以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の本実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態のスロットマシン1は、収納箱BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1~第3リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
本実施形態の遊技機では、第1リールR1~第3リールR3の上部は、機種のテーマ等を表現した意匠を備えた化粧パネル330によって構成される。本実施形態では、7セグメント表示器や単体LED等を用いて構成された下記の遊技情報表示部DSの他には、小型の液晶表示器(小型LCD)等から成る表示器702を配置するだけで、遊技演出を行う大型の表示装置は設けていない。しかしながら、このような遊技演出を行う大型の表示装置を配置する場合には、例えば化粧パネル330に換えて、大型のLCDパネル等を配置することができる。
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1~第3リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1~ストップボタンB3の打順を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後第1リールR1~第3リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述する有利区間制御手段200Aによって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する有利区間報知部500Aが設けられている(図2参照)。
本実施形態では、遊技操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3の近傍に小型の液晶表示器(小型LCD)等から成る表示器702を配置してある。この小型の表示器702は、例えば携帯電話・スマートフォンを連動させるユーザサービスに必要なQRコード(登録商標)の表示や、そのようなサービスに必要なメニュー表示、スランプグラフの表示等に用いることができる。本実施形態の小型の表示器702では、例えば副制御部20にVDPを配置しなければならないような複雑で大規模な遊技表示は行わない。
また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面上扉UDと前面下扉DDとに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを清算するための清算ボタンBSも設けられている。
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、清算ボタンBSが押下された場合、清算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す清算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、それぞれ独立した制御基板である主制御部10と副制御部20とを有する遊技制御部2によって制御される。主制御部10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320、遊技情報表示部DS等の出力手段の動作を制御する。主制御部10の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAM等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
また、主制御部10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、コマンド送信手段175A、主記憶手段190、有利区間制御手段200A及び指示機能制御手段200Bを含む。主制御部10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、主記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
設定変更手段100は、主記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態である設定変更許可状態において、設定変更手段100は、電源装置に設けられているリセットスイッチ260からの入力信号を受け付けるごとに、設定値記憶手段191に記憶されている設定値を設定1→設定2・・・設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させる。また、スロットマシン1では、設定変更許可状態におけるスタートレバーSLの操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値記憶手段191に記憶されている設定値を確定させて設定変更許可状態を終了する。本実施形態のスロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及び有利区間制御手段200Aが実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、非有利区間が設定されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、指示機能制御手段200Bが設定変更前において指示機能に係る制御についても、初期化されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、主制御部10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及び有利区間制御手段200Aが実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されている。このため、スロットマシン1においては、指示機能制御手段200Bが実行する指示機能に係る制御についても、電断が発生しその後電力の供給が再開された場合に、電断前の状態が維持されるように構成されている。
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段105は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
抽選テーブル選択処理では、主記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナス等の各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、主記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に格納される。
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し第1リールR1~第3リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、第1リールR1~第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって第1リールR1~第3リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、主記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、主記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、主記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
コマンド送信手段175Aは、主制御部10を構成する各手段が実行する制御処理の内容から他の制御部や出力手段へ送信するコマンドを作成する制御処理であるコマンド作成処理と、コマンド作成処理で作成したコマンドを他の制御部や出力手段に送信する制御処理であるコマンド送信処理と、を実行する。本実施形態のコマンド送信手段175Aは、コマンド作成処理において、例えば、遊技者がシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBを押下操作したことをベットスイッチ220が検出した際に作成するコマンドであるベットコマンド、遊技者がスタートレバーSLを開始操作したことをスタートスイッチ230が検出した際に作成するコマンドであるスタートコマンド、内部抽選手段120による内部抽選を実行した際に作成するコマンドである当選役コマンド等を作成する。
本実施形態のコマンド送信手段175Aは、コマンド作成処理で作成したコマンドについて、遊技の進行によらず主制御部10が所定の周期(例えば1.49ms)で実行する主制御部10の割込み処理を2回実行するごと(2.98msごと)に、主制御部10の割込み処理に含まれる処理であり作成したコマンドを1コマンド送信する処理であるコマンド送信処理を実行することで、作成したコマンドを副制御部20に送信可能に構成されている。副制御部20にコマンドを送信した場合には、後述するコマンド受信手段175Bによって送信したコマンドが受信され、コマンドに対応する演出が実行される。
また、本実施形態のコマンド送信手段175Aは、コマンド作成処理で当選役コマンドを作成した場合に、コマンド送信処理において、作成した当選役コマンドに応じて主制御表示装置500に当選役コマンドを送信可能に構成されている。主制御表示装置500は、コマンド送信手段175Aから送信された当選役コマンドを受信することで、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500を構成する各セグメントが点灯又は消灯し、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選情報を報知する報知表示を実行することができる。
有利区間制御手段200Aは、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能な遊技が実行される区間(期間)である有利区間(有利期間)と、入賞補助制御が実行されない遊技が実行される区間(期間)である非有利区間(非有利期間、通常区間)と、の間での移行に係る制御を、有利区間制御データ記憶手段198に記憶されているデータを用いて実行する。有利区間制御データ記憶手段198には、非有利区間において有利区間を開始するか否かを決定する有利区間移行抽選で用いられる有利区間移行抽選テーブルや、有利区間制御手段200Aが有利区間内において実行する所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタが格納されている。
有利区間制御手段200Aは、有利区間を終了する条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから非有利区間を開始するとともに、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等を初期化する処理である終了処理を実行する。また、有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始し、かつ入賞補助制御が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に有利区間報知部500Aを点灯させる。このため、有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始している場合であっても、後述する指示機能制御手段200Bによって入賞補助制御が実行されない指示機能状態である場合には、有利区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
非有利区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく指示機能制御手段200Bによる指示機能に係る制御が実行されない期間であり、有利区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく指示機能制御手段200Bによる指示機能に係る制御が実行可能な期間である。
有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始した遊技から1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を有利区間ゲーム数カウンタ(不図示)に加算し、有利区間ゲーム数カウンタに記憶される値(記憶値)を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した値(差枚数)を有利区間差枚数カウンタ(不図示)に累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
ここで、有利区間ゲーム数カウンタは、有利区間制御データ記憶手段198に含まれるカウンタであり、有利区間制御手段200Aによって更新される値(遊技回数)を記憶するカウンタである。また、有利区間差枚数カウンタは、有利区間制御データ記憶手段198に含まれるカウンタであり、有利区間制御手段200Aによって更新される値として、メダルが投入された場合に投入数に対応する値を減算し、メダルが払い出された場合に払出数に対応する値を加算することで差枚数を記憶するカウンタである。
本実施形態の有利区間制御手段200Aは、有利区間に制御している場合、遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ有利区間ゲーム数カウンタの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を有利区間差枚数カウンタの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
ここで、有利区間制御手段200Aは、有利区間差枚数カウンタの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで有利区間差枚数カウンタの記憶値を減算した際に、有利区間差枚数カウンタの記憶値が値「0」未満となる場合、有利区間差枚数カウンタの記憶値を値「0」にセットする。これにより、有利区間制御手段200Aは、有利区間差枚数カウンタの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、有利区間差枚数カウンタの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、有利区間差枚数カウンタの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
有利区間制御手段200Aは、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり有利区間ゲーム数カウンタの記憶値が値「1500」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚のメダルを遊技者が獲得した場合、つまり有利区間差枚数カウンタの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2400」になった場合に、有利区間を終了させる条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから非有利区間を開始する終了処理を実行する。
有利区間制御手段200Aは、終了処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、有利区間制御手段200Aは、特定終了条件以外の予め設定されている条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも終了処理を実行する。
指示機能制御手段200Bは、有利区間制御手段200Aによって有利区間が開始されている場合に、特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理(入賞補助制御)と、入賞補助制御を実行可能な状態であるアシストタイム状態(以下、アシストタイムを「AT」とも記載)を含む複数の指示機能状態の間での指示機能状態の移行に係る処理と、等の指示機能に係る制御(アシストタイム制御)を行う。本実施形態のスロットマシン1では、指示機能制御手段200Bによるアシストタイム制御において用いるプログラムデータやデータテーブル、カウンタ、ON状態又はOFF状態にセットする各種フラグについて、主記憶手段190の指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている。
本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、指示機能状態が入賞補助制御を実行可能な状態である場合に、指示機能作動処理として、内部抽選手段120に当選した当選エリアに応じてそれぞれ異なる当選コマンドを作成させ、作成させた当選コマンドを主制御表示装置500に送信させることで、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知し、遊技者にストップボタンB1~ストップボタンB3の操作方法を指示する機能(指示機能)である報知表示が主制御表示装置500に実行される制御である入賞補助制御を実行可能となるように構成されている。入賞補助制御が実行されストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されるAT状態における遊技が、本実施形態における報知遊技を構成する。
副制御部20は、主制御部10から送信される各種信号(コマンド)に基づき、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて後述の表示装置700(図2、図5参照)、音響装置340を含む演出装置300等の出力手段の動作を制御する。副制御部20の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRWM等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。本実施形態の副制御部20は、プロセッサとして、CPU(サブCPU等と呼ばれることがある)を有している。また、副制御部20は、副制御部20のROM上に、コマンド受信手段175B、演出制御手段180A及び副記憶手段180Bを設けている。副制御部20を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、副記憶手段180Bに予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
コマンド受信手段175Bは、主制御部10のコマンド送信手段175Aから送信される信号(コマンド)の有無を監視するポーリング処理を主制御部10からコマンドが送信される周期よりも短い周期(例えば512μs)で実行し、ポーリング処理によってコマンド送信手段175Aからコマンドが送信されていることを判定した場合に送信されたコマンドを受信する制御処理であるコマンド受信処理を実行する。
演出制御手段180Aは、主制御部10から送信された各種コマンドに基づく演出と、副記憶手段180Bに記憶されている演出データを用いて演算した結果に基づく演出と、の遊技に関する演出を実行可能に構成されている。演出制御手段180は、例えば、可動物341や、表示装置700を用いて行う各種の遊技表示や、音響装置340を用いて行う音響演出、ランプ342を用いて行う発光演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ342(LED、白熱灯、蛍光管など任意の発光素子で構成される)の点灯あるいは点滅、スピーカからの音の出力等の制御を実行することにより、遊技を盛り上げる演出の実行制御を行う。また、指示機能制御手段200BによってAT状態が実行されている場合、演出制御手段180Aは、内部抽選手段120から送信される当選コマンドに基づき、特定役の入賞を補助する演出である入賞補助演出を実行する。
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3~図5を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
<内部抽選手段>
図3は、本実施形態のスロットマシン1における各遊技状態で選択される内部抽選テーブルである内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCを示している。内部抽選テーブルAは、遊技状態が非RT状態である場合に選択される。内部抽選テーブルAでは、小役に当選する当選エリアと、小役とボーナスとが重複して当選する当選エリアと、ボーナスに当選する当選エリアと、リプレイに当選する当選エリアと、に乱数が対応付けられており、小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選するように構成されている。また、内部抽選テーブルAでは、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されている。
本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を備えており、当選エリア「RBB&1枚役」と、当選エリア「RBB」と、のいずれかに当選することでRBBが成立状態に設定される。
内部抽選テーブルBは、非RT状態においてRBBが成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態であるボーナス成立状態である場合に選択される。内部抽選テーブルBは、内部抽選テーブルAにおいて小役に対応付けられていた乱数と、小役とボーナスとが重複して当選する当選エリアに対応付けられていた乱数と、が小役に対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいてリプレイに対応付けられていた乱数と、ボーナスのみに対応付けられていた乱数と、がリプレイに対応付けられている。
内部抽選テーブルCは、RBBが作動した場合に移行される遊技状態であるRBB作動状態において選択される。内部抽選テーブルCは、小役の当選確率について、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBのいずれの内部抽選テーブルにおいて設定されている小役の当選確率よりも高くなるように設定されている。
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベルA、ベルB、1枚役A~1枚役F及びレア役が用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選エリア(当選態様)として、当選エリア「打順ベル1」~「打順ベル12」と、当選エリア「RBB&1枚役」と、当選エリア「1枚役」と、当選エリア「JAC1」と、当選エリア「JAC2」と、が設定されている。ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」は、ベルAと、1枚役A~1枚役Fのうち少なくとも1つと、に重複当選する当選エリアであり、それぞれ重複当選する入賞役が異なる構成となっている。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」には、それぞれベルAを入賞可能にする打順(正解打順)が設定されている。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」の当選時において、スロットマシン1では、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、ベルAが入賞し、正解打順とは異なる打順(不正解打順)でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作され、かつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞可能なタイミングである場合に、当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」は、ベルBと、1枚役A~1枚役Fのうち少なくとも1つと、に重複当選する当選エリアであり、それぞれ重複当選する入賞役が異なる構成となっている。当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」には、それぞれベルBを入賞可能にする打順(正解打順)が設定されている。当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」の当選時において、スロットマシン1では、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合に、ベルBが入賞し、正解打順とは異なる打順(不正解打順)でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作され、かつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞可能なタイミングである場合に、当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
当選エリア「RBB&1枚役」は、RBB、1枚役A~1枚役Fに重複して当選するエリアである。当選エリア「RBB&1枚役」の当選時において、スロットマシン1では、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞可能なタイミングである場合に、当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
当選エリア「1枚役」は、それぞれ当選エリア「RBB&1枚役」と同じ小役に重複して当選し、かつストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞可能なタイミングである場合に、当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかが入賞し、不正解打順でかつ押下タイミングが当選している1枚役A~1枚役Fのいずれかを入賞できないタイミングである場合に、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。当選エリアであり、RBBが抽選の対象に含まっているか否かの差を有している。
当選エリア「レア役」は、レア役に当選し、ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合にレア役を入賞可能に構成されており、ストップボタンB3の押下タイミングがレア役を入賞させることができないタイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。なお、本実施形態の内部抽選手段120は、小役を含む各当選態様の当選確率について、当選エリア「レア役」に当選する確率が、他の小役を含む当選態様のいずれかに当選する確率よりも低い確率となる、いわゆるレア役として構成されている。
次に、リプレイを含む当選エリアについて説明する。本実施形態のスロットマシン1では、リプレイのみを含む当選エリアとして、当選エリア「通常リプレイ」と、当選エリア「レアリプレイ」と、が設定されている。
当選エリア「通常リプレイ」は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、通常リプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらず通常リプレイを入賞可能に構成されている。
当選エリア「レアリプレイ」は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、レアリプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらずレアリプレイを入賞可能に構成されている。なお、本実施形態の内部抽選手段120は、リプレイを含む各当選態様の当選確率について、当選エリア「レアリプレイ」に当選する確率が、当選エリア「通常リプレイ」に当選する確率よりも低い確率となる、いわゆるレアリプレイとして構成されている。
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。
<小役の配当>
本実施形態において、ベルA、ベルBの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(例えば10枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役F及びレア役の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(例えば1枚)に設定されている。
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120にリプレイの当選確率が約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を実行させる。
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120にリプレイの当選確率が約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を実行させる。
RBB作動状態は、RBBが入賞することで移行される遊技状態(ボーナス状態)である。RBB作動状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、200枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態へ移行させる。RBB作動状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA、ベルB、1枚役A~1枚役F、レア役のすべての小役に当選する当選エリア「JAC1」と、1枚役A~1枚役F、レア役のすべての1枚役に当選する当選エリア「JAC2」と、に乱数が対応付けられている。
図3を用いてRBB作動状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるRBB作動状態において当選エリア「JAC1」又は当選エリア「JAC2」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりRBB作動状態において小役に当選する確率がRBB作動状態以外のRBB非作動時の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「JAC1」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のそれぞれに当選する確率よりも高い確率に設定されている。
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、RBB作動状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態及びボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も上昇するように構成されている。
また、スロットマシン1は、RBB作動状態において、当選エリア「JAC1」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」の各当選確率を合算した当選確率)及び当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも高く、かつ、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の第1小役(ベルA、ベルB)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の第1小役が重複して当選する第2当選態様(当選エリア「JAC1」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)及びボーナス成立状態において、複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態(RBB作動状態)において、第2当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態及びボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態及びボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
このため、本実施形態のスロットマシン1は、RBB作動状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
ここで、RBB作動状態以外の遊技状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下操作しないとベルA、ベルBを入賞させることができない構成であることから、ベルA、ベルBのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下操作できた場合に限定される。一方、後述する指示機能制御手段200Bによって入賞補助制御が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順が報知されるため、ベルA、ベルBのいずれかが入賞する確率について、入賞補助制御が実行されない場合に対して最大で6倍まで高めることができる。
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作した場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA、ベルBの2種類を設定している。そして、RBB作動状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、RBB作動状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/2に圧縮している。このように構成することで、RBB作動状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、RBB作動状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、RBB作動状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、RBB作動状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
<有利区間制御手段と指示機能制御手段>
図4(B)は、本実施形態の有利区間制御手段200Aによって制御される区間(期間)と、指示機能制御手段200Bによって制御される指示機能状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
図4(B)に示すように、非有利区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく指示機能制御手段200Bによる指示機能に係る制御が実行されない期間である。有利区間制御手段200Aは、非有利区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアと、遊技が開始された際の遊技状態と、に基づき、非有利区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
有利区間抽選において、有利区間制御手段200Aは、まず、主記憶手段190のうち有利区間に係るデータを記憶している有利区間制御データ記憶手段198から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、有利区間制御手段200Aは、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。なお、有利区間制御データ記憶手段198には、有利区間制御手段200Aが有利区間内において実行する所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグも格納されている。なお、有利区間制御手段200Aは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
有利区間において、指示機能制御手段200Bは、指示機能に係る状態(指示機能状態)として、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に入賞補助制御が実行されない非AT状態と、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に入賞補助制御が実行されるAT状態と、を有している。指示機能制御手段200Bは、指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている各種抽選テーブルを参照し、各指示機能状態に応じた抽選に係る処理を実行する。
有利区間において、指示機能制御手段200Bは、指示機能に係る状態(指示機能状態)として、通常非AT状態と、チャンスゾーン(CZ)状態と、AT状態と、有している。指示機能制御手段200Bは、指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている各種抽選テーブルを参照し、各指示機能状態に応じた抽選に係る処理を実行する。
通常非AT状態は、有利区間制御手段200Aによって有利区間が開始され、かつ他の指示機能状態に移行していない場合に設定される、複数種類の指示機能状態の中で通常状態に相当する指示機能状態(通常指示機能状態)である。通常非AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合に、指示機能状態をCZ状態に移行するか否かを決定するCZ抽選を実行する。また、通常非AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、指示機能状態をAT状態に移行するか否かを決定する通常時AT抽選を実行する。
指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、CZ抽選における「CZ状態への移行」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるようにCZ抽選を実行する。また、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、通常時AT抽選における「AT状態への移行」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように通常時AT抽選を実行する。
また、指示機能制御手段200Bは、通常非AT状態において、有利区間を開始してから1200ゲームの遊技が実行された場合と、有利区間を開始してから最もメダルを消費した後に2000枚のメダルを遊技者が獲得した場合と、に、指示機能状態を通常非AT状態からCZ状態に移行させる。
CZ状態は、通常非AT状態から移行可能な指示機能状態である。CZ状態において、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始時に指示機能制御データ記憶手段199のCZ終了判定カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZ終了判定カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。指示機能制御手段200Bは、CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでの間、毎ゲームAT状態の実行を決定するか否かを抽選するAT抽選を実行するように構成されており、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合にのみ通常時AT抽選が実行される通常非AT状態よりもAT状態に移行しやすい状態となっている。
CZ状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、他の当選エリアに当選した場合に実行するAT抽選よりも「AT状態への移行」に当選する確率が高い特別AT抽選を実行する。
CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでにAT抽選又は特別AT抽選で「AT状態への移行」に当選した場合、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでにAT抽選又は特別AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に指示機能状態をCZ状態から非AT状態に移行する。なお、指示機能制御手段200Bは、CZ状態におけるAT抽選又は特別AT抽選において「AT状態への移行」に当選した遊技において、指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行するように構成されていてもよい。また、指示機能制御手段200Bは、CZ状態において、有利区間を開始してから1210ゲームの遊技が実行された場合と、有利区間を開始してから最もメダルを消費した後に2010枚のメダルを遊技者が獲得した場合と、に、指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行させる。
AT状態は、通常非AT状態又はCZ状態においてAT状態への移行条件が成立することで移行する指示機能状態である。AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選手段120による内部抽選において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞役が変化する当選エリアに当選したことに基づき入賞補助制御を実行可能に構成されている。ここで、入賞補助制御によって入賞する確率が上がる役(特定の役)は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」の当選時のベルAと、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」の当選時のベルBである。
指示機能制御手段200Bは、AT状態を開始した場合に、AT状態において実行された遊技回数を計数するカウンタであるAT状態遊技回数カウンタ(不図示)に、AT状態で実行可能な遊技回数に相当する初期値をセットし、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値「1」でAT状態遊技回数カウンタの記憶値を減算するデクリメント更新を実行する。本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、遊技状態が非RT状態である状態で有利区間が開始された場合、AT状態遊技回数カウンタに初期値として値「50」をセットする。
また、本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、指示機能に係る制御として、AT状態遊技回数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行する。
AT状態においてAT状態遊技回数カウンタの記憶値が値「0」になった場合、つまり、AT状態が終了した場合、有利区間制御手段200Aは、通常終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了して非有利区間に制御するとともに、終了処理を実行する。終了処理が実行されることで、スロットマシン1では、有利区間制御データ記憶手段198に含まれる有利区間中に更新されたデータ(例えば有利区間ゲーム数カウンタの記憶値等)と、指示機能制御データ記憶手段199に含まれる有利区間中に更新されたデータ(例えば、AT状態遊技回数カウンタの記憶値等)と、が初期化される。
<副制御部および表示装置>
図5は、本実施形態における、上記の副制御部20、および表示制御部701と、表示器702を備えた表示装置700を構成する制御系を示している。表示器702は、本実施形態では、図1に示したように、遊技者が操作するストップボタンB1~B3の近傍に配置した小型のLCDによって構成される。
本実施形態では、大型の演出表示のための表示装置を設けず、小型の表示器702を備えた表示装置700のみを配置する構造で、VDPのような表示制御手段を設けない。そのため、副制御部20は、最低限でもCPU601のみを含む、VDPを持たない安価なLSIチップによって構成することができる。
なお、図5では、演出装置300(図2)の音響装置340(図2)を構成するスピーカに対する音声出力を行うためのサウンドI/F621から成る音声制御部620、役物類のような可動物の駆動系のモータ、ソレノイドの制御、センサ類の検出信号取り込みに用いられるASIB I/F631を有する可動物/センサ制御部630の各ブロックを副制御部20の外側に配置してある。図5では、ASIB I/F631により制御される代表的な被制御ブロックとしてモータ/センサ/ランプのブロック632を図示してある。これらの音声制御部620および可動物/センサ制御部630は、CPU601とともに副制御部20を構成するカスタムLSIに1チップ化されていてもよい。
以下では、まず、図5の副制御部20の構成につき説明する。CPU601は、CPUコア602、副制御部20の左右に示した周辺回路(651~656、音声制御部620、可動物/センサ制御部630および表示装置700)と通信するためのI/Oポートアレイ603、主にI/Oキャッシュ等として利用される内蔵eDRAM(Embeded DRAM)604を備える。
I/Oポートアレイ603には、主制御部10と主にコマンド入出力を行うための主制御部I/O651、計時制御に利用されるRTC652(Real Time Clock)、例えば副制御部20の基板上に配置されたDIPスイッチ653、副制御部20のファームウェアの格納等に用いられる副制御部基板上に配置された制御ROM654、必要に応じて副制御部20の状態をバックアップするために用いられるバックアップSRAM655、およびデバッグUART656、音声制御部620、可動物/センサ制御部630等と接続され、これら各部との信号入出力に用いられる。なお、DIPスイッチ653は、デバッグ、検証動作等のためのモード設定等に利用される。
本実施形態では、表示装置700との通信は、後述のように描画コマンドの送受信によって行う。そのため、表示装置700のインターフェース743と、副制御部20のI/Oポートアレイ603の間は、通信インターフェース703によって接続されている。この通信インターフェース703で用いる通信規格は、後述するような表示装置700の制御に必要な描画コマンドを送受信できるものであれば任意であり、例えばRS422/RS232のようなシリアルインターフェースを用いることが考えられる。ただし、通信インターフェース703の通信規格は、任意であり、他のUSBのようなシリアルバスであってもよく、あるいは、SCSIのようなパラレルインターフェースを用いても構わない。あるいは、通信インターフェース703は、IEEE 802.3、IEEE 802.11のようなネットワークインターフェース(有線、無線を問わない)等であっても構わない。
図5の構成において、表示装置700は、表示制御部701と、小型LCD等から成る表示器702と、を備える。表示制御部701は、CPU710、演出画像の背景やキャラクタ、簡易動画の表示に用いる静止画のような画像素材を格納したCGROM711(画像ROM)、CPUの制御プログラムを格納したROM、表示器702の表示制御に用いられるフレームバッファ(FB)領域を含む領域を備えたRAM等から成る記憶部740を備える。さらに、表示制御部701は、通信インターフェース703を介して副制御部20と通信するためのインターフェース743と、小型LCD等から成る表示器702と通信するためのインターフェース744を備える。
表示装置700のCPU710は、後述のような簡易な描画コマンドを処理して、フレームバッファに表示画像を展開できればよく、例えば汎用のCPUで簡単安価に構成できる。ただし、本発明は、CPU710に描画コマンド処理系の仕様等によっては、GPU(Graphic Processing Unit)のような、表示画像処理に特化した高速なプロセッサを用いることを制限するものではない。
図6は、表示制御部701の記憶部740の記憶領域の配置構成の一例を示している。RAM741(CPU RAM)の領域は、CPU710のプログラム処理に用いられるワークエリア等として利用されるもので、DRAM等の汎用的な記憶素子によって構成することができる。表示器702の表示制御に用いられるフレームバッファ7421(FB)は、比較的、高速なメモリ素子で構成されたVRAM742の一部に配置される。
フレームバッファ7421(FB)は、書き込みと、表示器702への転送に交互に用いられるフレームバッファA、Bのような2バッファ構成とすることができる。フレームバッファ7421(FB)以外のVRAM742の領域は任意領域7423として利用される。例えば、CPU710が、テクスチャ表示制御、レイヤ表示制御等を行う場合には、この任意領域7423を用いることができる。また、制御ROM745の領域には、CPU710が実行する制御プログラムを格納しておく。このCPU710の制御プログラムには、例えば下記の描画コマンド処理手段を構成するソフトウェアが含まれる。また、図6では不図示であるが、記憶部740には、CGROM711(図5)の領域がマップされていてもよい。あるいは、CGROM711は、各種フラッシュメモリデバイス等として実装され、フラッシュメモリインターフェース等を介してアクセスされる構成であってもよい。
表示制御部701のCPU710は、副制御部20から通信インターフェース703を介して送信される描画コマンドを解釈し、表示器702で表示させるための画像をフレームバッファ7421(FB)に展開(レンダリング)する描画コマンド処理手段を備える。この描画コマンド処理手段は、CPU710が実行するソフトウェアによって実装することができる。なお、この種の描画コマンド処理手段は、例えばディスプレイ・アナライザ等と呼ばれることがある。
副制御部20から通信インターフェース703を介して送信される描画コマンドは、例えば以下に例示するようなフォーマットを有する。
// コマンド構築開始
CLcdDriver::LcdSetCmdStat(LCD_CMD_STAT_START);
//レイヤ内全削除
LCD_CMD_SET_LAYER(*pstBuf, LCD_CMD_LAYER_NUM_0, LCD_CMD_LAYER_CTRL_DEL);
// 画像追加(通常)
LCD_CMD_SET_LAYER(*pstBuf, LCD_CMD_LAYER_NUM_0, LCD_CMD_LAYER_CTRL_SEL);
LCD_CMD_SET_PIC(*pstBuf, ES_Dwin01_New, 0, 0, LCD_CMD_PIC_CTRL_ADD);
LCD_CMD_SET_LEFT_UP(*pstBuf, 0, 0);
LCD_CMD_SET_RIGHT_DW(*pstBuf, 480, 272);
LCD_CMD_SET_EFFECT(*pstBuf,LCD_CMD_BLEND_NORMAL,LCD_CMD_FLIP_OFF,LCD_CMD_FLIP_OFF);
// 画像追加(加算)
LCD_CMD_SET_LAYER(*pstBuf, LCD_CMD_LAYER_NUM_0, LCD_CMD_LAYER_CTRL_SEL);
LCD_CMD_SET_PIC(*pstBuf, ES_Bunny_Under, 0, 1, LCD_CMD_PIC_CTRL_ADD);
LCD_CMD_SET_LEFT_UP(*pstBuf, 0, 0);
LCD_CMD_SET_RIGHT_DW(*pstBuf, 480, 272);
LCD_CMD_SET_EFFECT(*pstBuf, LCD_CMD_BLEND_ADD, LCD_CMD_FLIP_ON, LCD_CMD_FLIP_ON);
// 終了コマンド
LCD_CMD_SET_EOC(*pstBuf);
// コマンド構築終了
CLcdDriver::LcdSetCmdStat(LCD_CMD_STAT_END);
上記の一群の描画コマンドでは、まず、レイヤ内をクリア(全削除)し、第1の画像(通常)をフレームバッファ7421の1画面内に追加している。ここでは、まず、描画コマンドの構築開始をコマンドCLcdDriver::LcdSetCmdStat(LCD_CMD_STAT_START)により指定している。その後、画像を配置するレイヤを手続きLCD_CMD_SET_LAYER で指定し、続く手続きLCD_CMD_SET_LAYER で用いる特定画像を指定している。この時、ES_Dwin01_New はその特定画像のCGROM711上、あるいはそこからコピーしてきた同画像の記憶部740におけるバッファアドレスに相当する。また、手続きLCD_CMD_SET_LEFT_UP、LCD_CMD_SET_RIGHT_DW、で画像の1画面中における位置とサイズを指定し、必要なエフェクト(ブレンド、透明度、上下左右のフリップの有無等)を手続きLCD_CMD_SET_EFFECT で指定している。続いて、第2の画像(加算)を同様の手続きの流れで同じレイヤ(あるいは別のレイヤでも同じ)に追加する。この画像の追加終了は、コマンドLCD_CMD_SET_EOC(*pstBuf)によって宣言される。最後に終了コマンドCLcdDriver::LcdSetCmdStat(LCD_CMD_STAT_END)によって、コマンド構築終了を宣言する。
上記のような一群の描画コマンドを受信すると、表示制御部701は、表示器702で表示させる画像の1フレームごとに描画コマンドを解析して実行する。例えば背景(第1の画像)のテクスチャ上の適当な位置に、キャラクタ(第2の画像)を重畳表示する画像をフレームバッファ7421の1画面分、描画する。このような描画制御により、表示器702に、携帯電話・スマートフォンを連動させるユーザサービスに必要なQRコード(登録商標)の表示や、そのようなサービスに必要なメニュー表示、スランプグラフの表示等、任意の遊技表示を行うことができる。
なお、上記の描画コマンドは、例えばC++的な疑似プログラムコードの形式による一例であって、上記の記法は描画コマンドの形態を限定するものではない。例えば、実際に副制御部20から通信インターフェース703を介して送信される描画コマンドは、テーブルデータ構造やパケット構造によって記述されたバイナリコードやバイトコンパイルされた中間コードの形式で表現されていてよい。また、上記の描画コマンドの例では、例えば画面の書き換えを、削除コマンドと、画像追加コマンド、あるいはさらに追加する画像の位置やサイズを指定する制御コマンド、などのように複数コマンドに分割した手続きにより記述するものとしている。しかしながら、例えば画面の書き換えを1コマンドで指定できるようなコマンド仕様を採用してもよい。その場合、現在の表示画像をクリアするか、あるいはクリアせずに重畳表示するか、などを指定可能なオプションを、描画コマンドの引数などによって指定できるようなコマンド仕様を採用することができる。また、画面書き換えのような描画の場合、削除コマンドと、画像追加コマンド、あるいはさらに追加する画像の位置やサイズを指定する制御コマンド、などのように複数コマンドから成るフルセットの描画コマンドを毎回、表示制御部701に送信すると、インターフェースの通信速度が十分でない場合などにおいて、表示処理の効率が低下し、コマ落ちなどの不具合を生じる可能性がある。そこで、画面の一部書き換えなどの場合には、前画面との差分のみを送信できるようなコマンドを用意しておくことができる。
また、上記の一群の描画コマンドは、例えば、上述の特許文献1等でVDPの指令に用いられているディスプレイリストのフォーマットにマクロ化された描画コマンドを展開した形式にほぼ相当する。もし、表示制御部701に送られる描画コマンドがディスプレイリストのフォーマットにマクロ化されている場合、表示制御部701では例えばVDPで行われるような比較的複雑なアナライザ処理を行う必要がある。
これに対して、本実施形態では、予め副制御部20側のCPU601がコマンドの羅列に展開した形式で描画コマンドを送信すればよい。例えば、特定の画像の表示時刻を見計らって、副制御部20側のCPU601が順次、描画コマンドを表示制御部701に逐次送信することができる。これにより、表示制御部701では、例えばVDPで行われるような比較的複雑なアナライザ処理を行うことなく、フレームバッファ7421の1画面内に表示器702で表示させる1画面の画像を描画(レンダリング)することができる。
上記のような副制御部20側のCPU601と、表示制御部701のCPU710の役割分担によって、複雑高価なハードウェアを必要とせず、簡単安価なハードウェアによって、いずれのCPUも単純かつ比較的に高速に実行可能なプログラム制御を行うだけで、例えば、小型の表示器702で実施するような画像表示を制御することができる。
また、本実施形態では、例えば、表示制御部701は、簡単安価かつ小型軽量なハードウェア構成で実施することができ、例えば、表示制御部701と表示器702は、例えば図5の破線に示す表示装置700の部分は、一体化された表示ユニットとして構成することが容易である。しかも、この表示ユニットとして構成された表示装置700は、シリアルインターフェースのような簡易な通信インターフェースを介して容易に副制御部20と接続することができる。
このため、副制御部20側では、機種ごとの小型の表示器702の有無等に応じてディスプレイリスト操作を含む大規模なソフトウェア改修を行う必要がなく、もし小型の表示器702での表示が必要な場合には、上述のような簡易な描画コマンドの生成、送信処理を組み込むだけで表示器702を持つ機種の制御に対応できる。逆に言えば、表示制御部701と表示器702が一体化され、通信インターフェースを介して副制御部20と接続可能、かつ簡易な描画コマンド群を解釈可能に構成された本実施形態の表示ユニットは、汎用性が高く、副制御部20側で大規模なハードウェアないしソフトウェア改修を必要とせず、増設、改修に容易に利用することができる。
ここで、図7を参照して、図5の表示制御部701のCPU710廻りの構成例につき説明しておく。図7は、図5の表示制御部701のCPU710廻りの構成例を詳細に示したものである。図7においては、CPU710はCPUのチップ単体か、あるいは、例えばCPU基板のような形態で何らかの周辺とともに一体化されたCPUユニットの部分とする。図7では、主に、CPU710と、副制御部20、およびLCD(液晶表示器)で構成された表示器702と、の間の入出力を行うインターフェースの具体的な構成例を示してある。
図7において、インターフェース743は、前記のように例えばRS422/RS232のようなシリアルインターフェースで構成することができる。副制御部20からCPU710への送信は、シリアルデータRXDと、クロックRXCLKのような信号線によって行われる。図7の上側に示したシリアルデータRXDと、クロックRXCLKは、例えばCPU710(ないしその周辺回路)のシリアルポートと接続される。
一方、CPU710から副制御部20への送信は、図7の下側に示したシリアルデータTXDと、クロックTXCLKの各信号線を介して行われる。この例では、CPU710(ないしその周辺回路)には、シリアルのI/Oポートが用意されていないため、インターフェース743にはパラレル/シリアル変換器7431を設けてある。副制御部20へシリアルデータを送信する場合、CPU710が、例えば8ビットのI/Oポートからパラレル/シリアル変換器7431に送信データを入力すると、パラレル/シリアル変換器7431がシリアルデータへ変換する。これにより、副制御部20へ送信されるシリアルデータTXDと、クロックTXCLKから成るシリアル信号が生成される。
なお、図7では、CPU710ないしその周辺回路がシリアルポートを有している場合の構成を示しており、上側に示した副制御部20から送信されるシリアルデータRXDと、クロックRXCLKは直接CPU710のブロックと接続されている。しかしながら、何らかの理由、例えばCPU710ないしその周辺回路がシリアルポートを有していないなどの理由で、CPU710のパラレルI/Oポートを介して副制御部20から送信されるデータを受信したい場合には、パラレル/シリアル変換器7431とは逆の変換を行う不図示のシリアル/パラレル変換器を設け、これによりシリアルデータRXDと、クロックRXCLKを受信するようにしてもよい。
表示制御においては、CPU710が例えばSDRAM7402に割り当てられているフレームバッファに描画したピクセルデータは、インターフェース744から例えばそれぞれ16ビットカラーのRGB画像データとして表示器702(LCD)に送信される。
また、図7において、ROM7403は、上記のCGROM711(画像ROM)に相当する領域を含むが、このROM7403は例えばバンク構成とすることができる。ROM7403のバンク数は任意であり、本実施形態ではB0~B3の4バンク構成とするが、あるいはそれ以上の数のバンクを用意してバンク切り換えを行う構成であってもよい。
ROM7403のバンク切り換えは、例えばCPU710のアドレスバス上位側の2~4ビット程度のアドレス線をデコードするアドレスデコーダ7433をバンク切り換え器として用意しておく。このような構成により、CPU710がリニアアドレスの形式でアクセス可能なメモリ空間に、B0~B3の4バンクを配置することができる。このような構成によれば、CPU710はリニアアドレスの形式でアドレスデコーダ7433がマップされたアドレスをアドレスバスに出力するだけで、自動的にROM7403の目的のバンクB0~B3にアクセスすることができる。
ROM7403のバンク割り当て、即ち、どのようなデータを各バンクに格納するかの使い分けの形態は任意である。例えば、バンク0には制御プログラムと初期化時の画像データなどを格納する。バンク1は、例えば上記のCGROM711に相当する画像ROM領域とし、この画像ROM領域には、表示器702で表示させるキャラクタやアイコン、フォントなどの画像データ、ユーザサービスに必要なQRコード(登録商標)などの画像データを格納することができる。また、続くバンク1、2には、他の制御データ、例えば上記のメニュー表示、スランプグラフの表示に必要な画像素材、あるいは制御データなどを格納しておくことができる。
3.本実施形態のまとめ
上述のように、本実施形態の遊技機(1)は、
遊技制御を行う主制御部(10)と、遊技に係る遊技表示を行う表示装置(700)と、前記主制御部の遊技制御に基づいて、遊技演出を制御する副制御部(20)と、を備えた遊技機において、
前記表示装置(700)は、表示器(702)と、前記表示器の表示制御を行う表示制御部(701)と、を備え、
前記副制御部(20)は、前記表示器(702)で前記遊技表示を行わせるための一群の描画コマンドを、通信インターフェース(703)を介して前記表示制御部(701)に対して送信し、
前記表示制御部(701)は、前記通信インターフェース(703)を介して受信した前記描画コマンドに基づき、前記表示器で表示させる画像の1フレームごとに前記描画コマンドを解析して実行することにより、前記表示器(702)で前記遊技表示を行わせる
構成である。
また、前記一群の描画コマンドは、前記描画コマンドの構築開始を宣言する開始コマンドと、前記描画コマンドの構築終了を宣言する終了コマンドと、を含む構成とすることができる。
以上のような構成によれば、表示装置(700)を表示器(702)と、表示制御部(701)と、によってユニット化し、副制御部(20)と表示装置(700)の間の接続をシリアルインターフェースのような通信インターフェース(703)を介して接続する。表示制御部(701)は、例えば小型LCD等の表示器(702)で行う遊技表示の形態に応じて、表示器で表示させる画像の1フレームごとに前記描画コマンドを解析して実行し、表示画像を生成する機能を備えていればよい。このような構成により、表示装置(700)は汎用性の高い表示ユニットとして構成できる。また、前記一群の描画コマンドは、前記描画コマンドの構築開始を宣言する開始コマンドと、前記描画コマンドの構築終了を宣言する終了コマンドと、を含む構成とすることにより、解釈の処理が容易でコンパクトに記述可能な描画コマンドを提供することができる。
副制御部(20)は、表示装置(700)に係る表示制御のためのハードウェアやソフトウェアを丸々抱え込む必要がなく、使用する表示装置(700)に見合った描画コマンドを、通信インターフェース(703)を介して送信できるよう構成すればよい。従って、表示器(702)の表示制御のために副制御部(20)にVDP等を配置する必要がなく、副制御部(20)のハードウェアやソフトウェアに係る構成を簡単安価にし、その開発コストを大きく低減できる。即ち、本実施形態によれば、簡単安価なハードウェアおよびソフトウェア構成で、小型ないし小規模な表示器を用いた遊技表示を制御することができる、という優れた効果がある。
また、本実施形態によれば、前記通信インターフェース(703)は、前記描画コマンドを送受信するためのパラレルインターフェースまたはシリアルインターフェース、あるいはネットワークインターフェース等により構成することができる。例えば、通信インターフェース(703)は、制御信号線+電源線等のシンプルなインターフェースケーブルと通信回路によって構成でき、バス接続等による場合よりも副制御部(20)と表示装置(700)をより簡単安価に接続できる。
また、本実施形態によれば、前記表示制御部(701)は、前記描画コマンドを解釈し、小型LCD等の前記表示器(702)で表示させる画像データを生成する描画コマンド処理手段(710)と、前記描画コマンド処理手段(710)が生成した前記画像データを格納するフレームバッファ(7421)を備えた記憶部(740)と、を有する構成とすることができる。
このような構成は、小型LCD等の表示器(702)で遊技表示を行わせるのに必要充分な描画コマンド処理手段(710)およびフレームバッファ(7421)を備えた記憶部(740)を設けるだけでよく、表示装置(700)を簡単安価に構成することができる。
あるいはさらに、前記表示制御部(701)が、前記表示器(702)で表示させる前記画像データの素材は、CGROM(711)等に格納する構成を用いることができる。その場合、CGROM(711)は、描画コマンド処理手段(710)や記憶部(740)の接続されたバスに接続できる他、CGROM(711)をフラッシュメモリ等によって実装する場合は、フラッシュメモリインターフェース等を介して着脱可能にでき、例えば、CGROM(711)を交換するだけで容易に表示装置(700)の仕様変更やバージョンアップ等に対応可能である。
なお、本実施形態で用いる描画コマンドは、例えばディスプレイリスト(DL)などを用いる場合に、ディスプレイリスト(DL)に格納される描画コマンドを個々のコマンドに展開した形式にほぼ相当する。もし、表示制御部(701)に送られる描画コマンドがディスプレイリストのフォーマットにマクロ化されているのであれば、表示制御部(701)では例えばVDPで行われるような比較的複雑なアナライザ処理を行う必要がある。これに対して、本実施形態では、予め副制御部(20)側のCPU(601)がコマンドの羅列に展開した形式で描画コマンドを送信すればよい。例えば、特定の画像の表示時刻を見計らって、CPU(601)が順次、描画コマンドを表示制御部(701)に逐次送信することができる。これにより、表示制御部(701)では、例えば、VDPで行われるような比較的複雑なアナライザ処理を行うことなく、フレームバッファ(7421)の1画面内に表示器(702)で表示させる1画面の画像を描画(レンダリング)することができる。
4.変形例
なお、以上説明した本実施形態においては、指示機能に係る状態におけるAT状態で遊技者が指示された打順で停止操作を行うことでメダル(遊技価値)を増やすことができるものを説明したが、これに限らず、例えばボーナス状態でメダルを増加させる、所謂単純ボーナス機であってもよい。
また、本実施形態においては、主に遊技状態がボーナス成立状態である際にAT状態を実行するものについて説明したが、これに限らず、例えばシフト作動が可能なボーナスを搭載して、シフト役が当選したシフト成立状態でAT状態を実行するような遊技機であっても構わない。
また、本実施形態においては、遊技機の一例としてスロットマシン1を説明したが、遊技球を遊技価値として用いて遊技するパチンコ機(弾球遊技機)であっても構わず、特に大型液晶等を備えていない第2種の遊技機(所謂羽根物機)で上述同様の小型LCDを備えるようなことが考えられる。
また、本実施形態においては、大型の遊技演出を行う表示装置と、それを制御するVDPを持たない遊技機を例示したが、そのような規模のVDPにより制御される表示装置が配置される場合にも、上述同様に通信インターフェースを介して描画コマンドを送信することにより制御可能な小型LCDと表示制御部から成る表示装置を設けることができる。