JP7340311B1 - 冷凍パンの解凍装置、冷凍パンの解凍方法 - Google Patents

冷凍パンの解凍装置、冷凍パンの解凍方法 Download PDF

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Abstract

冷凍パンを焼きたてのパンに近い状態に戻すことができる技術を提供する。解凍装置は、解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、解凍室内に入れられた冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、を備える。冷凍パンを解凍するとき、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置をすべて例えば300秒間の加熱時間帯の全時間帯にわたって稼働させる。スチーム発生装置を稼働させるとき、解凍室内の気体を常圧より加圧する。

Description

本発明は、冷凍パンを解凍するための技術、例えば、冷凍パンの解凍装置や、冷凍パンの解凍方法に関する。
近年、冷凍パンが急速に普及している。なお、本願における「冷凍パン」とは、焼成前の生地を冷凍したパンではなく、焼成後のパンを、例えば室温まで冷ました後に、再度冷凍したパンを意味する。
例えば、家庭用の冷凍パンは、解凍することにより、焼き立ての状態に近いパンに戻すことができる。冷凍パンを解凍して得られるパンは、冷凍されていない状態で販売されたパン(要するに、普通のパン)よりも、焼きたての状態に近い場合があり、一般に食味が良い。そのような理由で家庭用の冷凍パンが近年普及してきている。
また、業務用の冷凍パンも普及してきている。冷凍パンの食味は上述のように焼きたてのパンに近く食味が良いため、例えば大規模にチェーン展開を行うパンの製造、販売会社が、セントラルキッチン方式で大量生産した冷凍パンをパンの販売店に供給し、各販売店がそれを解凍して販売するといった手法で、冷凍パンを導入する事例が増えてきている。また、焼きたてのパンを販売する小規模なパンの販売店(いわゆる街のパン屋)では近年、重労働であるパン職人の担い手が不足する事態が生じているため、パン職人の負担を軽減する目的で冷凍パンが採用されることも増えてきている。
冷凍パンを解凍する場合の一般的な目的は、冷凍パンを解凍して、「焼きたて」のパン(或いは後述する「食べごろ」のパン)になるべく近い状態に戻すことである。
冷凍パンを焼きたてのパンに近い状態に戻すことを可能とするために、幾つかの技術が用いられている。
まず、冷凍パンにマイクロ波を照射することである。電子レンジの要領で冷凍パンにマイクロ波を照射すると、冷凍パンの生地が発熱して解凍が進む。
冷凍パンに水蒸気を供給する技術も用いられている。蒸し器の要領で冷凍パンに水蒸気を供給すると、水蒸気から冷凍パンに与えられる熱により冷凍パンの生地の解凍が進む。それに加えて、水蒸気が冷凍パンの生地に入り込み、冷凍パンの生地、特にクラム(後述する。)の水分量が増える。水分量が過度に増えた場合にはその限りではないが、これは一般に、解凍後の冷凍パンの食味と老化耐性を向上させる。
冷凍パンに遠赤外線を照射する技術も用いられている。例えば、ヒータによって冷凍パンに遠赤外線を照射することにより、冷凍パンの生地に熱を加え、それにより冷凍パンの生地の解凍が進む。また、遠赤外線を照射することにより、パンのクラスト(後述する。)の水分量を減らし、クラストのカリッと或いはサクッとした食感を増すことができる。これも、クラストの水分量が過度に減った場合を除き、一般に、解凍後の冷凍パンの食味を向上させる。
マイクロ波、水蒸気、遠赤外線を冷凍パンに供給する上述の3つの技術は、個別に用いられる場合もあるが、組合せて用いられる場合もある。
特開2000-279148 特開2014-031948
とはいえ、従来の技術を用いて冷凍パンを解凍した場合に、解凍後の冷凍パンを、「焼きたてのパンに近い状態」に戻すことは難しい。
従来の技術を用いて冷凍パンを解凍した場合には、解凍された冷凍パンの水分が、「焼きたて」のパンよりも、そして更には、一般的に「食べごろ」と言われる、粗熱の取れた(温度は38℃程度)焼きたてから20分ほど経過したパンよりも、下がっていることが殆どである。
また、水蒸気の供給を伴う加熱時間を長くすることにより、この問題をある程度解決することができるが、解凍にかかる時間が長くなると、家庭用の用途で用いるにせよ、業務用の用途で用いるにせよ、冷凍パンの使い勝手が悪くなる。
本願発明は、冷凍パンを焼きたてのパンに近い状態に戻すことができる技術を提供することを目的とする。
以上の目的をより正確に理解するためには、「焼きたてのパンに近い状態」という文言の定義が必要である。
その説明を行うに先立ち、まず、パンの構成と、パンの美味しさがどのようにして生じるのか、ということについて説明を行う。
パンは、クラムとクラストとからできている。クラムとは、内層とも呼ばれるパンの中身であって、一般には乳白色を呈する部分である。クラストとは、皮、表皮とも呼ばれるパンの表面であって、一般には茶色を呈する部分である。パン生地を焼成することにより、パンのクラムとクラストは、以下のようにして生成される。
パンを焼成する場合、例えば24℃程度の常温のパン生地を焼成する場合を考える。
パンを焼成する場合、パン生地の底面は、焼成の当初から、例えば200℃を超える温度の床と接触し、そこからの熱伝導によって生地の全体を膨張させるとともに、短時間で乾燥することで床からある程度断熱された状態となる。
他方、パン生地の底以外の部分は、焼成室に存在する空気と水蒸気により表面から伝導加熱されていく。焼成室内の空気には、時間の経過によりパン生地から生じた水蒸気も含まれ得る。生地の内部に大量に分布する生地の発酵によって生じた炭酸ガスによる気泡が水和デンプンから発生する水蒸気を含むことによって、焼成中にパンは大きく膨張する。水分の一部はパン生地から外部へ逃げるが、基本的にはパン生地の内部に残る。クラム中で水和デンプンは、α化(糊化)して粘り気を生じ、それによりモチモチとした食感を生む。他方、パン生地の表面では、α化したデンプンが乾燥し、メイラード反応を経て、香ばしく、パリパリ或いはサクサクといった食感を持つクラストとなる。クラストは、乾燥しており水分が少ないため、熱伝導率が低く、パン生地の外部と内部を断熱する。そのため一般に、クラムの中心の温度は焼成が終了するまで100℃を超えない状態に保たれる。そのような状態を保ちつつパンの焼成が終了し、クラムとクラストが生成されることになる。
以上の説明から分かるように、パンの食味には、クラストの香ばしさや食感を保証するための「クラストがよく乾燥していること」と、クラムの食感を保証するための「クラムが良く水分を含んでいること」とが大きく関係する。
もちろん他の要素も存在するが、本願では、これら2点をパンの美味しさを評価するための要素とする。
クラストは、少なくともクラムに比して乾燥している。そのため、クラストには黴が生えにくく、パンを保存食とするのに役立つ。クラストは、クラムから水分が逃げることを防ぐ機能をも有する。それにより、クラムの乾燥がある程度の期間防がれる。
焼成直後の「焼きたて」のパンに含まれた水分は、時間の経過とともに失われていくが、一般に、粗熱の取れた焼き立てから20分程が経過したときの状態のパンが「食べごろ」と呼ばれる。
とはいえ、クラムに含まれていた水分は、「食べごろ」の状態から時間が更に経過するに連れて徐々に失われていき老化していく。クラムから水分が抜けていく過程ではまず、クラムに含まれていた水分がクラストへ移り、クラムとクラストの水分量が均一化していくという現象が生じる。この現象が生じると、クラストの食感が劣化し、また、クラムにぱさつきが生じる。また、クラストから水分が抜け温度が下がっていくにしたがって、クラム内のα化していたデンプンはβ化して固くなり、ぼそぼそとした食感となる(これがここまでに何度か登場している「老化」という文言の意味である。)。更にパンの乾燥が進むと、クラストもクラムも乾燥した状態となる。クラムからの水分を受取ることにより水分過多に陥ったクラストが乾燥していく過程でクラストの食感は一時的に回復するが、乾燥が更に進むとその食感は再び悪くなる。また、クラムの食感は、クラムの乾燥が進むに連れ、つまり、「食べごろ」の状態から時間が経過する程落ちていく。
冷凍パンは一般に、「食べごろ」程度にまで温度が下がった状態のパンを冷凍することにより作られる。また、冷凍パンを製造するためにパンの冷凍を行うと、パンの水分が冷凍の過程で一部失われる。したがって、冷凍パンに含まれる水分量は、「焼き立て」のパンよりも、更には「食べごろ」のパンよりも幾らか少ないのが一般的である。
冷凍パンを解凍したときに、冷凍パンに元々含まれていた水分量をそのまま維持できるのであれば、解凍された冷凍パンは、「焼き立て」のパンよりも幾らか低い程度の水分量を保っているはずである。しかしながら、従来の解凍方法で解凍された冷凍パンは、冷凍された時点での水分量と同じ水分量を保っていない。それは、解凍を行う際に必ず行われる加熱によって、冷凍パン内の水分が外部に逃げるからである。
その結果、従来の解凍方法で解凍された冷凍パンは、「焼き立て」の状態よりも幾らか水分量が少ない「食べごろ」の状態よりも更に幾らか水分量が少なくなっている冷凍パンの水分量よりも、それに含まれる水分量が更に低くなっている。
逆にいえば、冷凍パンを解凍したときに、解凍された冷凍パンが、解凍前の冷凍パンに元々含まれていた水分量をそのまま維持しているのであれば、「食べごろ」のパンに含まれる水分量よりもその水分量は幾らか少ないものの、十分に美味しいパンであるはずである。本願では、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量を、「焼き立てに近い状態」のパンの下限の水分量とする。
また、冷凍パンを解凍したときに、解凍された冷凍パンに含まれる水分量が、「焼き立て」のパンに元々含まれていた水分量と同じか、それ以上となっているのであれば、「焼き立て」のパンと同じかそれ以上の食味となる。そもそも、焼成直後の「焼き立て」のパンと同等の水分量を持つパンは、流通の過程に乗ることもないし、また、パン焼きの設備を持つ飲食施設でも提供されることがないので、そのようなパンは、従来のパンを超えた新しい食味を持つ可能性がある(場合によっては優れた食味を持つ)ものであるとさえ言える。ただし、「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量を持つことになったパンは、クラストの乾燥が不十分となり、その点で食味が落ちるおそれがある。パンが食味を保ちうる「焼き立て」のパンの水分量から増加可能な水分量の範囲はパンの種類によって異なる。例えば、バターロールであれば一般的には、「焼き立て」の場合よりも水分量が2%増えるまでは食味が良いが、「焼き立て」の水分量より水分量が2%超となると食味が落ち、フランスパン(バタール等)の場合であれば一般的には「焼き立て」と同じ水分量の場合には食味が良いが、「焼き立て」の場合よりも水分量が多くなると食味が落ち、食パンの場合にはそれらの中間で一般的には、「焼き立て」の場合よりも水分量が1%増えるまでは食味が良いが、「焼き立て」の水分量より水分量が1%超となると食味が落ちる。本願では、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値(この限界値は、パンの種類によって異なる)を、「焼き立てに近い状態」のパンの上限の水分量とする。
都合、本願では、解凍後の冷凍パンの水分量が、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量(下限)から、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値の間の水分量にあるとき、そのパンが「焼き立てに近い状態」であると定義する。
以上の定義にしたがい、本願発明者は、冷凍パンの解凍方法について研究を重ねた。その結果以下の知見を得た。
上述したように、従来の方法で解凍されるとき、冷凍パンに含まれる水分は加熱により減るため、解凍された冷凍パンに含まれる水分量は、解凍前の冷凍パンに含まれる水分量を下回る。つまり、解凍後の冷凍パンに含まれる水分量は、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回る。
しかしながら、本願発明者は、様々な条件で実験を重ねた結果、冷凍パンを解凍するときに水蒸気を用い、且つパンに水蒸気が与えられるときに、解凍室内の気圧を高くした(加圧した)場合には、解凍された冷凍パンに含まれる水分量を、「焼き立てに近い状態」に収まる水分量にまで高めることが可能であり、しかもそれに要する時間を短縮できるという知見を得た。
本願発明は、そのような知見に基づく。
本願発明は、冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置を制御する制御装置と、を備えている、冷凍パンの解凍装置である。
この冷凍パンの解凍装置(以下、単に「解凍装置」と呼ぶ場合がある。)は、背景技術の欄で述べた従来の解凍装置で応用されていた3種類の加熱手段、つまり、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置を有する。スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置それ自体は従前のものと同じで構わない。
前記制御装置は、前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置を以下のように制御する。具体的には、制御装置は、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるようになっている。
また、解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるように構成されている。
本願の解凍装置における制御装置は、加熱時間帯、つまり、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置とのいずれかが稼働している時間帯において、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置とを制御する。制御装置は、加熱時間帯の最初のタイミングから加熱時間帯の所定のタイミングまでスチーム発生装置を稼働させ、加熱時間帯の所定のタイミングから加熱時間帯の最後のタイミングまでヒータを稼働させ、また、加熱時間帯の所定のタイミングから加熱時間帯のその後の所定のタイミングまでマイクロ波照射装置を稼働させる。
加熱時間帯の最初のタイミングからスチーム発生装置を稼働させることにより、加熱時間帯の最初のタイミングから解凍室内に水蒸気を供給するのは、マイクロ波はよく知られているように水分を効率よく加熱するのに対して凍結水分を効率よく加熱することはできないところ、非常に冷たい(例えば、-18℃前後かそれ以下)パンの表面に水蒸気が付着すると、パンの表面で結露した水蒸気がパンに凝縮潜熱を与え、パンを素早く解凍させるのに都合が良いからである。
また、加熱時間帯の所定のタイミングから加熱時間帯の最後のタイミングまでヒータを稼働させるのは、つまり、加熱時間帯の最後のタイミングでヒータによる冷凍パンに対する遠赤外線の照射を行うのは、遠赤外線によって温度が上昇することによる冷凍パンの解凍の効果ももちろんあるが、水蒸気に曝されることにより適正な水分量よりも大きな水分量を持つに至ったクラストの水分量を適正な水分量にまで下げるためには、加熱時間帯の最後のタイミングで遠赤外線を冷凍パンに照射することが必要であるからである。
マイクロ波照射装置は、加熱時間帯の所定のタイミングからその後の所定のタイミングまで稼働する。加熱時間帯において冷凍パンに対して照射されるマイクロ波は、冷凍パンに与えられる熱量を基準として考えた場合には通常、水蒸気や遠赤外線よりも大きな役割を果たす。逆に言えば、冷凍パンを解凍するための熱量を発生させるに十分なマイクロ波が冷凍パンに照射される時間範囲で、マイクロ波照射装置は冷凍パンにマイクロ波を照射するようになっていてもよい。マイクロ波は、加熱時間帯の最初のタイミングから照射されても良いし、加熱時間帯の最後のタイミングまで照射されても良いし、加熱時間帯の全時間帯で照射されてもよい。なお、マイクロ波は、例えば、3秒照射、7秒休みを繰り返すように、或いは、5秒照射、5秒休みを繰り返すように間欠的に照射される場合もある。それでもなお、そのような間欠的な照射が繰り返される場合でも(或いはマイクロ波照射装置が間欠的に稼働する場合でも)、本願では、マイクロ波が連続して照射されている(マイクロ波照射装置が連続的に稼働している)ものとして扱う。なお、この事情は、スチーム発生装置と、ヒータにおいても同様であり、それらが間欠的に稼働する場合でも、本願ではスチーム発生装置と、ヒータが連続して稼働しているものとして扱う。
そして、本願発明の解凍装置は、加熱時間帯内において、スチーム発生装置が稼働しているときにおける解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるように構成されている。本願出願人は、スチーム発生装置が稼働しているときにおける解凍室内の気圧が常圧よりも大きく保たれていると、詳しい機序は不明であるが、スチーム発生装置が発生させた水蒸気が解凍中の冷凍パンに良く入り込み、解凍終了後の冷凍パンに含まれる水分量が、従来の解凍方法で解凍された解凍終了後の冷凍パンに含まれる水分量よりも有意に高くなることを見出した。したがって、解凍中においてスチーム発生装置が稼働しているときの解凍室内の気圧を常圧よりも高く保つことによって、解凍された冷凍パンに含まれる水分量を、「焼き立てに近い状態」に収まる水分量とすることができるようになる。
なお、「解凍装置が、加熱時間帯内において、スチーム発生装置が稼働しているときにおける解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるように構成されている」という発明特定事項は、扉や弁(弁については後述する。弁は存在しない場合もある。)を含めた解凍室の気密性、スチーム発生装置のスチームの供給量、スチーム発生装置が供給するスチームの温度等によって決まる。
また、ヒータからの遠赤外線により冷凍パンに与えられる熱エネルギーの総量は、クラストが厚い程、又はクラストが乾燥しているほど、又はクラストが厚くて乾燥している程、大きくすべきと考えられる。上述したように、クラストはクラムから水分が逃げるのを防ぐ機能を持つ。したがって、冷凍パンに水蒸気由来の水分を多く供給しようとすると、厚い、乾燥している、又は厚くて乾燥しているクラスト程それを妨げる。そうすると、冷凍パンの特にクラムに水分を効率よく入れるために解凍室内の圧力を高くし、クラストを通過させていわば強引にクラムへ水分を入れることが必要となる。そうすると、厚い、乾燥している、又は厚くて乾燥しているクラストは、当初より柔らかくなって解凍後の冷凍パンの食味が落ちるおそれが強くなる。したがって、クラストをより乾燥させるために、ヒータから遠赤外線によって冷凍パンに与えられる熱エネルギーの総量を、クラストが厚い程、又はクラストが乾燥している程、又はクラストが厚くて乾燥している程、大きくすべきということとなる。
上述したように、本願の解凍装置は、加熱時間帯内において、スチーム発生装置が稼働しているときにおける解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるように構成されている。
ここで、解凍室内の気圧を常圧よりもどの程度大きくすべきかが問題となる。
例えば、解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも0.5kpa以上大きくなるように構成されていればよい。0.5kpaは加圧の程度としてはそれ程大きくないものの、この程度の加圧を行っただけでも、解凍後の冷凍パン内の水分量は、加圧しなかった場合に比して劇的に大きくなり、パンの種類によっては、解凍後の冷凍パンの水分量を、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることに寄与する。
また、解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも5kpa以上、8kpa以下の範囲で大きくなるように構成されていてもよい。本願発明者が事前に行った実験によれば、この程度まで加圧を行ってやると、解凍後のパンが食パン、フランスパンのいずれの場合であっても、それらに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができた。
また、解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも5kpa以上、7kpa以下の範囲で大きくなるように構成されていてもよい。本願発明者が事前に行った実験によれば、この程度まで加圧を行ってやると、解凍後のパンがバターロール、食パン、フランスパンのいずれの場合であっても、それらに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができた。解凍後の冷凍パンの水分量の多寡、言い換えれば、解凍時における冷凍パンへの水分の入り易さには、パンのクラストの厚さと乾燥の程度とが大きく関係している可能性が高く、バターロールはクラストが薄く湿っており、フランスパンはクラストが厚く乾燥しているパンの代表であることを考慮すると、冷凍パンの解凍時にこの程度の加圧をしてやると、パンの種類によらず大抵の冷凍パンを解凍したときに、解凍後のパンに含まれる水分量を、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができると考えられる。
解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも10kpa以上大きくならないように構成されていてもよい。それ以上解凍室内の気圧を上げても、解凍後のパンの水分量が「焼き立てに近い状態」のパンの水分量を超え解凍後のパンの食味が落ちるおそれが大きいし、また、それ以上解凍室内の気圧を上げる場合には解凍室に大きな耐圧性が必要になることから、解凍装置を製造する際のコスト上昇が生じかねないからである。とはいえ、加熱時間帯を30秒以内にする等、短時間で冷凍パンの解凍を行おうとする場合には、上述の圧力を常圧より10kpa以上大きくすることも可能である。
前記加熱時間帯は300秒以内であり、前記制御装置は、前記ヒータを、少なくとも、前記加熱時間帯の中央のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させるようになっていてもよい。つまり、制御装置はヒータを、そのように制御するようになっていても良い。300秒以下の加熱時間帯の少なくとも後半の半分の時間帯にヒータを稼働させれば、解凍後のパンのクラストを、パンの種類に概ね関係なく、食味が落ちない程度に乾燥させることができる。
前記加熱時間帯は300秒以内であり、前記制御装置は、前記スチーム発生装置を、前記加熱時間帯の最初のタイミングから最後のタイミングまで稼働させるようになっていてもよい。つまり、制御装置はスチーム発生装置を、そのように制御するようになっていても良い。300秒以下の加熱時間帯の全体でスチーム発生装置を稼働させれば、解凍後のパンの水分量を、パンの種類に概ね関係なく、「焼き立てに近い状態」のパンの水分量の範囲に収めることができる。
加熱時間帯が300秒以内であるか否かによらず、前記制御装置は、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のすべてを、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させるようになっていてもよい。つまり、制御装置はヒータ、マイクロ波照射装置、スチーム発生装置を、そのように制御するようになっていても良い。加熱時間帯の全体でヒータ、マイクロ波照射装置、スチーム発生装置のすべてを稼働させれば、加熱時間帯を短縮する、例えば300秒以内にするのに役立つ。
なお、この段落で述べたすべての場合に共通するが、加熱時間帯を300秒以下と比較的短くすると、特に解凍された冷凍パンを客に提供する飲食施設のオペレーションに向く。300秒以下の加熱時間帯の下限は、ヒータ、マイクロ波照射装置、スチーム発生装置の能力にもよるが、30秒程度(例えば、30秒)である。逆に、加熱時間帯の上限は特に無い。
解凍装置は、前記解凍室内の気体に流れを作る、フロー機構を備えていてもよい。
既に述べたように、スチーム発生装置が稼働しているときの解凍室内の気体に常圧より高い圧力をかけると解凍後の冷凍パンに含まれる水分量を、加圧を行わないときよりも有意に高くすることができる。それに加えて、本願発明者の研究によると、加圧された解凍室内の気体に流れがあるときと無いときとでは、流れがあるときの方が、解凍後のパンに含まれる水分量が有意に増した。そのような現象が生じる機序は定かでないものの、解凍時において冷凍パンに新鮮な水蒸気が次々と当たり続けて冷凍パンの表面で結露し、冷凍パンに凝縮潜熱を与え続けるから、加圧された解凍室内の気体に流れがある場合の方が、解凍後のパンに含まれる水分量が増すのだと思われる。
したがって、フロー機構を解凍装置に設ければ、解凍された冷凍パンの水分量を「焼き立てに近い状態」のパンの水分量の範囲に収め易くなるし、また、解凍に必要な時間を短縮させることにも寄与する。
前記フロー機構は、前記解凍室内で、前記解凍室内の気体を循環させる送風機であってもよい。また、前記フロー機構は、前記解凍室内の気体の圧力が、所定の圧力を超えた場合に、前記解凍室内の気体を前記解凍室外に排出する弁であってもよい。弁は、解凍室と外部環境とを繋ぐ管に設けるのが通常であるがこれには限られない。上述の如く機能する弁は公知或いは周知であるから、弁は、既存のもので十分である。
フロー機構が上述の弁を備える場合、冷凍パンの解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも1kpa以上、7kpa以下の範囲で大きくなるように構成されていてもよい。つまり、制御装置が、解凍室内の気体の気圧をそのように制御するようになっていてもよい。そうすることで、バターロールとフランスパンを解凍した場合に、解凍後のそれらに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量にすることが可能となる。
フロー機構が上述の弁を備える場合、冷凍パンの解凍装置は、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも1kpa以上、5kpa以下の範囲で大きくなるように構成されていてもよい。つまり、制御装置が、解凍室内の気体の気圧をそのように制御するようになっていてもよい。そうすることで、バターロールと、食パンと、フランスパンを解凍した場合に、解凍後のそれらに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量にすることが可能となる。これは、パンの種類によらず大抵の冷凍パンを解凍したときに、解凍後のパンに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができる可能性が高い、ということを意味する。
本願発明者は、以上で説明した冷凍パンの解凍装置で実行される方法をも、本願の発明の一態様として提案する。この発明の効果は、冷凍パンの解凍装置の効果に等しい。
一例となる方法は、冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置を制御する制御装置と、を備えている、冷凍パンの解凍装置にて実行される冷凍パンの解凍方法(以下、単に「解凍方法」という場合がある。)である。
そして、この解凍方法は、前記制御装置に、前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるとともに、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるようにする。
本願発明者は、以上で説明した冷凍パンの解凍装置であって、上述の制御装置を有さないものを用いて実行できる方法をも、本願の発明の一態様として提案する。その方法は、手動で、スチーム発生装置と、ヒータと、マイクロ波照射装置とを制御し、或いは解凍室内の気圧を制御する場合をも含むものとなる。その点を除けば、この発明の効果は、冷凍パンの解凍装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、を備えている、冷凍パンの解凍装置を用いて実行される冷凍パンの解凍方法である。
この解凍方法は、前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるとともに、前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるようにする。
本願の解凍方法では、解凍された冷凍パンが、解凍前の冷凍パンの持っていた水分量以上の水分量を含むようにする、ことができる。それにより、得られた解凍されたパンは、従来の方法で解凍された冷凍パンよりも食味が良く、老化しにくいものとなる。
本願の解凍方法では、解凍された冷凍パンが、焼き立ての状態での水分量以上の水分量を含むようにする、ことができる。この場合、更に、「焼き立ての状態での水分量以上の水分量」は、本願でいう「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内とすることができる。
既に述べたように、パンの水分量の上限は通常、「焼き立て」の状態の水分量であり、「食べごろ」の状態における水分量は、「焼き立て」の状態よりも既に幾らか減っている。パンが流通に乗る状態での水分量は、「食べごろ」の状態における水分量よりも更に減っている。
焼き立て以上の水分量のパンは、従来には存在しない、いわば誰も食べたことのないパンであり、従来存在していたパンとは異なる(長所を増した)食味を持っている。従来存在していたパンとは異なる食味を持つパンは、焼き立てのパンよりもより水分量が多く少なくとも本願発明者が試食を行った限り美味であるし、また、水分量が多いため、従来のパン(冷凍パンを解凍したパンではなく、冷凍していないパンも含む)と比べ、乾燥しにくいから老化が遅く、食味が良い時期が長く保たれる。
本願の冷凍パンの解凍方法によれば、そのようないわば新たなジャンルのパンの製造も可能となる。
一実施形態による冷凍パンの解凍装置の透視正面図。 図1に示した冷凍パンの解凍装置の透視右側面図。 図1に示した冷凍パンの解凍装置の透視平面図。 加熱時間帯における、スチーム発生装置、ヒータ、マグネトロンそれぞれの稼働状態を示すタイミングチャート。 試験例1の結果を示す表。 試験例2の結果を示す表。 試験例3の結果を示す表。 試験例4の結果を示す表。 試験例5の結果を示す表。 試験例6の結果を示す表。 試験例7の結果を示す表。 試験例8の結果を示す表。 試験例9の結果を示す表。 試験例10の結果を示す表。 試験例11の結果を示す表。 試験例12の結果を示す表。 試験例13の結果を示す表。 試験例14の結果を示す表。 試験例15の結果を示す表。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい一実施形態について説明する。
各実施形態の説明において、共通する対象には共通の符号を付すものとし、重複する説明は、場合により省略するものとする。
この実施形態による冷凍パンの解凍装置1は、図1から図3に示したようなものである。図1は正面図、図2は右側面図、図3は、平面図である。
冷凍パンの解凍装置1の構成は、後述する制御装置の機能と、弁とを除けば、スチーム発生装置、ヒータ、及びマイクロ波照射装置を備える既存の解凍装置と同じでよい。そのため、解凍装置1の構成の説明は比較的簡単に行うこととする。
解凍装置1は筐体10を備えている。筐体10は、例えば、金属製であり、これには限られないが、この実施形態では略直方体形状である。筐体10の内部には、解凍室11が設けられている。解凍室11は、その内部に、解凍の対象となる冷凍パンを入れられる空間である。これには限られないが、解凍室11は、略直方体の形状をしている。これには限られないがこの実施形態における解凍室11の大きさは、幅405mm×奥行645mm×高さ245mmであり、その容積は略0.064m(64l)である。
解凍室11の内壁面は、後述するスチーム発生装置から供給される水蒸気或いは水に耐えられるようになっており、後述するヒータの熱に耐えられるようになっており、また、後述するようにしてマイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波を反射できるようになっている。また、解凍室11の内壁は、蓄熱性が大きいほうが有利である。
筐体10の前面には扉12が設けられている。扉12は、解凍室11を開閉するためのものである。図1では扉12は閉状態であり、図3では扉12は開状態である。扉12は、図1の左側の辺で例えば筐体10にヒンジ接続されており、筐体10に対して開閉できるようになっている。
これには限られないが扉12は矩形であり、また、これには限られないがこの実施形態ではその真中に、解凍室11内を外部から覗くためのガラス窓12Aが設けられている。ただし、ガラス窓12Aからの放熱やマイクロ波の漏れのおそれがあるなら、ガラス窓12Aは省略することができる。扉12が閉められたとき、扉12の縁と筐体10とは、気密になり、後述するようにして解凍室11の内部の気体の圧力が常圧よりも高められた場合においても、扉12の縁から気体が漏れないようになっている。扉12の縁と筐体10とを気密に保つため、扉12の当該部分にパッキンを設ける等の公知、或いは周知の技術を応用可能である。
筐体10の、これには限られないが前面の図1における右側には操作パネル13が設けられている。操作パネル13は、後述する制御装置に所望の入力を行うためのものである。操作パネル13には、制御装置に入力を行うための入力装置が設けられているが図示を省略している。入力装置は、押し釦、回転式のダイヤル、タッチパネル等の公知、或いは周知の適宜のものを用いれば良い。
解凍装置1は、それが稼働したときに、解凍室11内に水蒸気を供給するスチーム発生装置20と、それが稼働したときに、解凍室11内に入れられた冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータ30と、それが稼働したときに、解凍室11内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、スチーム発生装置20、ヒータ30、マイクロ波照射装置を制御する制御装置50とを備えている。この実施形態では、スチーム発生装置20、ヒータ30、マイクロ波照射装置、及び制御装置50はすべて筐体10内に設けられているが、制御装置50は筐体10外に設けられていても構わない。
スチーム発生装置20は、いわゆるボイラーである。スチーム発生装置20は、公知或いは周知の手法で、筐体10の外部からその内部に水を供給可能となっている。スチーム発生装置20は、その内部の水を火力、或いは電力により沸騰させ、水蒸気を発生させるようになっている。これには限られないが、この実施形態のスチーム発生装置20は、大型の2kwヒータを備え応答性をよくするため容積を小型にしたボイラーとされている。このボイラーが供給する水蒸気の圧力の上限は設計上無限であるが、ボイラーが供給する水蒸気の圧力は、解凍室11内の圧力を予定された圧力にするのに必要な圧力に設定されている。また、スチーム発生装置20が供給する水蒸気の温度は、常圧では99℃程度であるが、圧力が10kpaに上昇すると103℃程度となる。
スチーム発生装置20は間欠的に稼働する場合もある。
スチーム発生装置20は、その一端側を解凍室11に連通させられた例えば金属製の管であるスチーム管21の他端と接続されている。スチーム発生装置20は、その内部で発生させた水蒸気を、スチーム管21を介して、解凍室11内に供給することができるようになっている。
これには限られないが、ボイラーであるこの実施形態におけるスチーム発生装置20の相当蒸発量は、以下の数式により求めることができ、およそ3.30kg/hである。
相当蒸発量=電気消費量(2kw)×電気発熱量(3.6MJ/kw)×ボイラー効率(95%)÷2257kJ/kg
ヒータ30は、遠赤外線を発生させ、それを解凍室11内に入れられた冷凍パンに対して照射する。それが可能な限り、ヒータ30は、既存のものでよく、公知或いは周知のものを用いることができる。
これには限られないがこの実施形態におけるヒータ30は、例えば、シーズヒータとすることができ、これには限られないがこの実施形態ではそうしている。金属製の管にシリカを詰め込んで構成されており、絶縁性に加えて防水性が高いため、水蒸気が充満する雰囲気下でも使用可能である。
これには限られないが、この実施形態におけるヒータ30は棒状であり、解凍室11の天井の直下と床の直上(炉床板60の直下)にそれぞれ4本ずつ、それらの長さ方向が解凍装置1の前後方向と一致するようにして水平に取付けられている。つまり、これには限られないがこの実施形態におけるヒータ30は、上下双方向から冷凍パンに遠赤外線を加えるようになっている。この実施形態では上側のヒータ30は合計で1500W、下側のヒータは合計で1000Wであるが、これもこの限りではない。
シーズヒータは折り曲げ等の加工も可能である。したがって、ヒータ30は棒状である必要はなく、例えば、上側のヒータ30を一連のW字型、下側のヒータ30を一連のU字型とする等、適当に設計することが可能である。
ヒータ30は間欠的に稼働する場合もある。
マイクロ波照射装置は、公知或いは周知のように、マイクロ波を発生させるマグネトロン41と、マグネトロン41が発生させたマイクロ波を解凍室11内に導く導波管42とから構成されている。
マグネトロン41は例えば、マイクロ波を発生させられる機器であれば公知或いは周知のもので良く、例えば磁電管とも呼ばれる発振用真空管により構成されている。これには限られないが、この実施形態では、マグネトロン41は2つであり、これには限られないが、この実施形態では、筐体10内の解凍室11の後方に設けられている。これには限られないが、この実施形態における各マグネトロン41が発生させるマイクロ波の周波数は、日本で使用できる企画周波数である2450MHzであり、その出力は1.1kwである。
マグネトロン41は間欠的に稼働する場合もある。
導波管42は、マグネトロン41が発生させたマイクロ波を解凍室11に導く管である。導波管42の構成も、公知或いは周知のものとすることができる。これには限られないがこの実施形態の導波管42は、各マグネトロン41の下方を基端とし、解凍装置1の前方に向かってその先端が水平に伸びる、断面矩形の金属製の管である。両導波管42の上面は解凍室11の床と面一とされ、解凍室11内に露出している。導波管42の上面には、左右方向に伸びる切れ目である多数のスリット42Aが設けられている。マグネトロン41から導波管42内に至ったマイクロ波は、導波管42の基端から先端に向かい、その途中にある多数のスリット42Aから出て、解凍室11内に、或いは解凍室11内に入れられた冷凍パンに照射されるようになっている。マグネトロン41が間欠的に稼働するのであれば、マイクロ波の照射も間欠的なものとなる。
なお、解凍室11内の、床面の直上のヒータ30のすぐ上には、解凍室11の水平断面に対応した矩形の板である炉床板60が水平にわたされている。
炉床板60はスチーム発生装置20から解凍室11内に導かれた水蒸気が導波管42の内部に入り込むことを防ぐための板であり、水蒸気は通さないが、マイクロ波を通し、遠赤外線で蓄熱するものとなっている。したがって、水蒸気が導波管42に入り込むことはないが、マイクロ波とヒータ30からの遠赤外線は、解凍中の冷凍パンを問題なく加熱できるようになっている。
炉床板60としては、日光化成株式会社が製造、販売を行う耐熱ボードである「ベスサーモF(商標)」を用いることができる。
制御装置50は上述したように、スチーム発生装置20、ヒータ30、マイクロ波照射装置(正確には、マイクロ波照射装置に含まれるマグネトロン41)を制御する。制御装置50はそれが可能なように、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41のそれぞれと、図示を省略の信号線によって接続されている。
制御装置50は、公知或いは周知の装置により構成することができ、公知或いは周知のコンピュータやマイコンによって構成することができる。制御装置50がコンピュータなのであれば、コンピュータは例えば、演算装置であるCPU(central processing unit)と、書換不可能な記録媒体であるROM(read only memory)と、書換可能な記録媒体であるRAM(random access memory)と、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41及び操作パネル13との信号線を介しての接続をなすためのインターフェイスと、を含んで構成されている。
スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は信号線を通って制御装置50から送られた信号によって、それぞれ稼働し(もちろん、公知或いは周知のように信号によってそれぞれの稼働の状態をも制御可能である)、また停止するようになっている。
制御装置50は、また、操作パネル13からの入力を受付けることが可能なように、操作パネル13と図示を省略の信号線で接続されている。信号線を介して操作パネル13から入力された信号に基づいて、制御装置50は、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41を制御するための信号を生成するようになっている。
この実施形態における解凍装置1は、必ずしも必須ではないが、解凍室11内の気体に流れを作る、フロー機構を備えている。フロー機構は、解凍室11で冷凍パンの解凍が行われている後述する加熱時間帯のうち、少なくともスチーム発生装置20が稼働している時間帯において、解凍室11内の気体に流れを与えるものとされる。
これには限られないがこの実施形態におけるフロー機構は、この実施形態では、解凍室11と解凍装置1外とを繋ぐ、例えば金属製の管である排気管71の解凍装置1の外面部分の開口に設けられた弁72である。弁72は、解凍室11内の気体の圧力が、所定の圧力を超えた場合に、解凍室11内の気体(主に、空気と水蒸気)を解凍室11外に排出する機能を有している。解凍室11内の気体が解凍室11の外部に流れ出ることにより、解凍室11内には気体の流れが生じる。
この実施形態では、弁72は、筐体10の図1における左側面に設けられているが、もちろんこれはこの限りではない。
弁72は、公知或いは周知のものでよい。弁72が解凍室11内の気体を外部に排出するときの解凍室11内の圧力は、その操作によって調整可能とされている。弁72が解凍室11内の気体を外部に排出するときの解凍室11内の圧力の調整は、弁72に対して手動で行うようになっていても良いし、操作パネル13の操作によって制御装置50が行うようになっていても良い。後者の場合であれば、制御装置50は信号線で弁72と接続されることになる。
フロー機構は弁72によらず、図示はしないが、送風装置としても良い。送風装置は例えば、解凍室11内の気体を撹拌するためのファンである。ファンが稼働すると解凍室11内に気体の流れが生じる。この場合気体は、解凍室11外に排出されることがなく、解凍室11内で循環することになる。
以上のような解凍装置1の使用方法と動作、具体的には、冷凍パンを解凍するときの使用方法と動作について説明する。
解凍装置1を用いて冷凍パンを解凍する場合には、閉状態にあった解凍装置1の扉12を開状態にして、解凍室11内に解凍の対象となる冷凍パンを入れる。冷凍パンは複数である場合がある。次いで、扉12を閉状態とする。これにより、弁72の部分を除き、解凍室11は気密な状態となる。
次いで、操作パネル13を操作して、冷凍パンの解凍方法を決定する。なお、操作パネル13の操作は、解凍室11に冷凍パンを入れて扉12を閉状態にする前に行っても良い。
決定するのは、少なくとも、加熱時間帯(加熱時間帯とは、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マイクロ波照射装置のうちのマグネトロン41とのいずれかが稼働している時間帯を意味する。)の中のどのタイミングで、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マイクロ波照射装置のうちのマグネトロン41とをそれぞれ稼働させ、どのタイミングでそれぞれ稼働させないかということである。また、それらに加えて、加熱時間帯の長さを最初に決定するようにすることも可能である。
更に、それらに加えて、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41の出力を決定できるようにしてもよい。例えば、スチーム発生装置20が発生させる水蒸気の量や温度をどのようにするか、ヒータ30の放熱量(上下のヒータ30の作動温度設定を異ならせることも可能である。)、マグネトロン41が発生させるマイクロ波の強さをユーザに設定させることができる。スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41の出力は、加熱時間帯において、経時的に変化するようにすることも可能である。
この実施形態では、それらが稼働するときにおけるスチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41の出力はどれも常に一定であることとし、操作パネル13から入力されるのは、加熱時間帯の長さと、加熱時間帯中のどのタイミングで、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マグネトロン41とを稼働させ、どのタイミングで稼働させないかという情報であるものとする。
なお、加熱時間帯の長さと、加熱時間帯中のどのタイミングで、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マグネトロン41とを稼働させ、どのタイミングで稼働させないかということには、後述するようにこの実施形態では制限がある。その制限を超える入力が操作パネル13からなされた場合には、制御装置50は例えばエラーとしてその入力を受付けないようにすることができる。
また、ある解凍装置1を用いて解凍されるパンの種類には限りがあるだろうし、同じ設定を複数種類の冷凍パンに適用できることもあるであろう。したがって、ユーザの予めの設定により、或いは解凍装置1のメーカーによる出荷時から、制御装置50の例えばRAMに、加熱時間帯の長さと、加熱時間帯中のどのタイミングで、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マグネトロン41とを稼働させ、どのタイミングで稼働させないかという情報のすべてを特定するデータを、例えば複数記録しておくことも可能である。そのようなことが予めなされている場合には、ユーザはそれら複数のデータのいずれかを選択することにより、選択したデータに含まれる上述した情報のすべてを、一括して入力することができるから便利である。
なお、この実施形態では、操作パネル13の操作を行うのと前後して、弁72が解凍室11内の気体を外部に排出するときの解凍室11内の圧力を調整する。この調整は、既に述べたように、それが可能とされている場合には操作パネル13の操作によって行ってもよい。
また、設定方法の別によらず、ヒータ30からの遠赤外線によって冷凍パンに与えられる熱エネルギーの総量は、クラストが厚い程、又はクラストが乾燥しているほど、又はクラストが厚くて乾燥している程、大きくすべきと考えられる。遠赤外線によって冷凍パンに与えられる熱エネルギーの総量を大きくするには、例えば、ヒータ30の設定温度を上げるか、加熱時間帯に占めるヒータ30の稼働時間の割合を大きくすれば良い。
ユーザが操作パネル13を操作して上述の入力を行うと、信号線を介してその情報が制御装置50に送られる。例えば、ユーザが、操作パネル13にあるスタートスイッチを操作すると、制御装置50は、制御のための信号をそれぞれ、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マグネトロン41とに送る。それにより、加熱時間帯が開始され、解凍室11内の冷凍パンの解凍が開始される。
加熱時間帯とは、スチーム発生装置20と、ヒータ30と、マイクロ波照射装置のうちのマグネトロン41とのいずれかが稼働している時間帯を意味する。
加熱時間帯の長さは、それ以上の長さとすることも可能であるが、この実施形態では300秒以下とする。加熱時間帯の長さは概ね30秒が下限である。これには限られないが、この実施形態では加熱時間帯の長さは300秒とされる。
加熱時間帯の長さによらず、加熱時間帯において、スチーム発生装置20は、少なくとも加熱時間帯の最初のタイミングから加熱時間帯の所定のタイミングまで稼働させられる。ただし、スチーム発生装置20が稼働する時間の長さは、解凍された冷凍パンが、「食べごろに近い状態」のパンの水分量に収まるようにする。
加熱時間帯の長さによらず、加熱時間帯において、ヒータ30は、少なくとも加熱時間帯の所定のタイミングから加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させられる。ただし、ヒータ30が稼働する時間の長さは、解凍された冷凍パンにおけるクラストが十分に乾燥した状態となるのに十分な長さとする。
加熱時間帯の長さによらず、加熱時間帯において、マイクロ波照射装置におけるマグネトロン41は、加熱時間帯の所定のタイミングから加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで稼働させられる。ただし、マグネトロン41が稼働する時間の長さは、冷凍パンが解凍するのに十分な熱量を冷凍パンが生じるだけの長さとする。
この実施形態では加熱時間帯の長さは300秒であるが、加熱時間帯が300秒以内である場合、制御装置50は、ヒータ30を、少なくとも、加熱時間帯の中央のタイミングから加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させる。300秒以下の加熱時間帯の少なくとも後半の半分の時間帯にヒータ30を稼働させれば、解凍後のパンのクラストを、パンの種類に概ね関係なく、食味が落ちない程度に乾燥させることができる。
この実施形態では加熱時間帯の長さは300秒であるが、加熱時間帯が300秒以内である場合、制御装置50は、スチーム発生装置20を、加熱時間帯の最初のタイミングから最後のタイミングまで稼働させる。300秒以下の加熱時間帯の全体でスチーム発生装置20を稼働させれば、解凍後のパンの水分量を、パンの種類に概ね関係なく、「焼き立てに近い状態」のパンの水分量の範囲に収めることができる。
このような条件を満たす、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41それぞれのON、OFFを示すタイミングチャートを図4(A)に示す。網掛けされている時間帯は、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41のそれぞれがONとなっている時間帯であり、網掛けされていない時間帯はそれらがOFFとなっている時間帯である。この例では、スチーム発生装置20は、300秒の加熱時間帯のうちの最初の150秒間稼働してその後は停止し、ヒータ30は、加熱時間帯のうちの最初の150秒間は停止しているがその後の150秒間は稼働し、マグネトロン41は、加熱時間帯のうちの37.5秒経過時点から250秒経過時点まで稼働し、その余の時間は停止する。
加熱時間帯の長短によらず、加熱時間帯のすべての時間帯において、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41のすべてがONで有り続けても良い。それを示したタイミングチャートが、図4(B)である。図4(B)では、加熱時間帯の長さは300秒である。30秒とする等、加熱時間帯を短くしようとすれば、タイミングチャートはいきおい図4(B)に示したようなものとなる。
ヒータ30やマグネトロン41による加熱により解凍室11内の温度が上昇することにより、解凍室11内の空気が膨張することによっても、弁72がなければ解凍室11内の気圧が常圧よりも大きくなる場合がある。加熱時間帯において、スチーム発生装置20が稼働しているときにおける解凍室11内の気圧は、弁72がなければ常圧よりも大きくなる場合がある。弁72はそれらの状況が生じた場合においても解凍室11内の気圧が所望のものとなるように調整されている。なお、「スチーム発生装置20が稼働しているとき」には、スチーム発生装置20が停止状態から稼働状態へ変化しているときと、稼働状態から停止状態へ変化しているときは含まれない。これは、本願のすべてで共通である。
例えば、弁72が作動しなければ、解凍室11内の気体の圧力が、弁72が作動して外部に解凍室11内の気体を排出する圧力よりも高くなるようにスチーム発生装置20が水蒸気を解凍室11内に供給する場合がある。そのような場合において弁72が作動すれば、解凍室11内の気体(主に、空気と水蒸気)が弁72を介して解凍室11外に排出されることによって、解凍室11内の気圧が所定の気圧に保たれることになる。それによって、この実施形態では、加熱時間帯において、解凍室11内の気体の圧力が、ユーザが弁72を調整することによって設定した圧力に保たれる。また、弁72が作動することにより、解凍室11内に気体の流れができることになる。
例えば、解凍室11内の気圧は、加熱時間帯内において、スチーム発生装置20が稼働しているときに、最低でも、常圧よりも0.5kpa以上大きくなるようにする。パンの種類にもよるが、この程度の加圧でも、解凍後の冷凍パンに含まれる水分量を、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲に収めることが可能となる。例えば、バターロールのようなクラストが薄く湿ったパンであれば、このような低い加圧でも十分なことが多い。
例えば、解凍室11内の気圧は、加熱時間帯内において、スチーム発生装置20が稼働しているときに、常圧よりも5kpa以上、8kpa以下の範囲で大きくなるようにしてもよい。この程度まで加圧を行ってやると、解凍後のパンが食パン、フランスパンのいずれの場合であっても、解凍後の冷凍パンに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができる。
例えば、解凍室11内の気圧は、加熱時間帯内において、スチーム発生装置20が稼働しているときにおける解凍室11内の気圧が、常圧よりも5kpa以上、7kpa以下の範囲で大きくなるようにしてもよい。この程度まで加圧を行ってやると、解凍後のパンがバターロール、食パン、フランスパンのいずれの場合であっても、それらに含まれる水分量を「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができ、それから考察するに冷凍パンの解凍を行ったときに、概ねパンの種類にかかわらず、解凍された冷凍パンの水分量を、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内にすることができると予想される。
加熱時間帯内において、スチーム発生装置20が稼働しているときにおける解凍室11内の気圧は、常圧よりも10kpa以上大きくならないようにする。
加熱時間帯において冷凍パンが解凍されるときには、概ね以下の現象が起きる。
解凍室11内にスチーム発生装置20から水蒸気を供給する。クラストの表面に水蒸気が結露して、凝縮潜熱により冷凍パンが表面から加熱される。それにより、熱或いは熱を帯びた水分が冷凍パンの中心に向かって、氷の結晶を溶かしながら浸透していく。
水蒸気の供給開始と同時に或いはそれに遅れてマイクロ波照射装置からマイクロ波が照射される。マイクロ波は冷凍パンの中心付近の水分を加熱する。それによって生じる熱により、冷凍パンの解凍が進む。
加熱時間帯の最初から、或いは途中から最後のタイミングまで、ヒータ30による冷凍パンの加熱が行われる。それにより、クラストが乾燥し、また、クラストにおいてメイラード反応が生じて香りが立つ。メイラード反応はクラストの温度が160℃を超えると生じ、180℃を超えるとクラストが褐変する。クラストが乾燥することによってクラストの厚さと強度が維持され、クラストが水蒸気によって軟弱となることによって生じる解凍後の冷凍パンの収縮(しぼみ)が防止される。
クラストは水蒸気から水分を添加されながら乾燥するため、解凍された冷凍パンに添加された水分(解凍前の冷凍パンの水分量を超える分の水分)の大半はクラムに入り込むことになる。
以上のようにして冷凍パンの解凍が終了する。
ユーザは、扉12を開状態にして、解凍された冷凍パンを解凍室11から取り出せば良い。
<試験例>
以下、試験結果について説明する。
まず、試験例1から試験例3について説明する。
上述した解凍装置1を用いて、試験例1ではバターロールを、試験例2では食パンを、試験例3ではフランスパン(ミニフランス)をそれぞれ解凍した。
解凍の条件は、ヒータ30の設定温度を除き、いずれの試験でも共通とした。
加熱時間帯の長さは300秒である。また、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は、図4(B)に示したタイミングチャートにしたがって、加熱時間帯のすべての時間帯でON(稼働状態)とした。
スチーム発生装置20による水蒸気の発生量は、後述するような解凍室11内の気体の圧力を達成するのに十分な量であり、水蒸気の温度は解凍室11内の気体の圧力にもよるが99℃から103℃程度であった。また、スチーム発生装置20は、制御装置50によって、加熱時間帯の全体において、5秒稼働、5秒停止を繰り返すように制御した。
マグネトロン41の出力は最大出力ではなく500Wとし、加熱時間帯のすべての時間帯で、3秒稼働、7秒停止を繰り返させた。
以上の条件下で、スチーム発生装置20を稼働させているときの解凍室11内の気体の圧力を弁72を調節することで変化させて、様々な加圧力下でバターロール、食パン、フランスパンの冷凍パンを解凍する実験を行い、解凍されたそれぞれの冷凍パンの水分量を調べた。冷凍パンを一回解凍する間に弁72の調整は行わず、スチーム発生装置20が稼働している間の解凍室11内の気体の圧力を一定に保つようにした。ただし、解凍室11内の気体の圧力が0kpaのときにおいては、弁72は作動しておらず(閉状態のままで保たれ)、したがって解凍室11から外部に気体が流れることがないので、解凍室11内に気体の流れができていない。それ以外の圧力の場合には、スチーム発生装置20から解凍室11内に供給される水蒸気と、解凍室11から弁72を介して解凍室11外へと排出される気体とがバランスすることによって、解凍室11内に気体の流れができるとともに、解凍室11内の気体の圧力が所望の圧力に保たれる。
各パンの水分量の測定は、クラムとクラストを、各パンにおける両者の存在比率に合わせて採取したものについて行ったので、パン全体の水分量を意味する。
<試験例1>
試験に用いたバターロールは、「焼き立て」の状態で水分量が36%、「食べごろ」の状態で水分量が35%であった。また、それを冷凍した後の冷凍パンの状態で水分量が33%であった。
既に述べたように、本願では、「焼き立てに近い状態」を、解凍後の冷凍パンの水分量が、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量(下限)から、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値の間の水分量にある、と定義する。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、冷凍パンの状態での水分量である33%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれたのが「焼き立て」の状態の水分量よりも2%多い水分量であったため、38%と定めた。つまり、バターロールの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、33%から38%である。その水分量を超えると、クラムがベタつき、防黴効果に影響が生じかねないと思われた。
その上で、冷凍パンであるバターロールを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから8kpaの間で変化させた。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30を150℃、下側のヒータ30を130℃とし、また、上側のヒータ30を150℃、下側のヒータ30を130℃とした状態で予め30分予熱してからバターロールを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍した。
試験結果を図5に示す。「増減(%)」の欄は、解凍の前後におけるパンの水分量(水分率)の差を示す。「評価」の欄の○は、解凍後のパンの水分量が、「焼き立てに近い状態」のパンの水分量の範囲に収まっていることを示している。
圧力が0kpaのときは、解凍後のパンに含まれる水分量が減る結果となった。
圧力が僅か0.5kpaかかると、解凍後のパンに含まれる水分量が解凍前の水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲内となった。
圧力が1kpaから7kpaまでの試験では、解凍後のパンに含まれる水分量が、解凍前の水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の水分量に収まった。
圧力が8kpaの場合には、解凍後のパンに含まれる水分量が「焼き立てに近い状態」の水分量の上限を超えた。
<試験例2>
試験に用いた食パンは、スライスしたものであり、「焼き立て」の状態で水分量が43%、「食べごろ」の状態で水分量が42%であった。また、それを冷凍した後の冷凍パンの状態で水分量が41%であった。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、冷凍パンの状態での水分量である41%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれたのが「焼き立て」の状態の水分量よりも1%多い水分量であったため、44%と定めた。つまり、食パンの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、41%から44%である。その水分量を超えると、クラムがベタつくと思われた。試験に用いた食パンはスライスされたものでありクラストが周囲にしか存在しないので、クラストによる防黴効果が当初から基本的に無いので考慮の必要がない。
その上で、冷凍パンである食パンを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから9kpaの間で変化させた。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30を180℃、下側のヒータ30を180℃とし、また、上側のヒータ30を180℃、下側のヒータ30を180℃とした状態で予め30分予熱してから食パンを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍した。
試験結果を図6に示す。
圧力が0kpaのときは、解凍後のパンに含まれる水分量が解凍前のパンに含まれる水分量よりも減る結果となった。
同様に、圧力が0.5kpaから4kpaの範囲では、解凍後のパンに含まれる水分量が解凍前の水分量を下回り、ここまでの圧力ではすべて、解凍後のパンに含まれる水分量は、「焼き立てに近い状態」の水分量の下限を下回った。
圧力が5kpaから8kpaまでの試験では、解凍後のパンに含まれる水分量が、解凍前の水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の水分量に収まった。
圧力が9kpaの場合には、解凍後のパンに含まれる水分量が「焼き立てに近い状態」の水分量の上限を超えた。
<試験例3>
試験に用いたフランスパンは、「焼き立て」の状態で水分量が38%、「食べごろ」の状態で水分量が37%であった。また、それを冷凍した後の冷凍パンの状態で水分量が36%であった。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、冷凍パンの状態での水分量である36%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれたのが「焼き立て」の状態の水分量と同じ水分量であったため、38%と定めた。つまり、フランスパンの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、36%から38%である。その水分量を超えると、クラムがベタつき、防黴効果に影響が生じかねないと思われた。
その上で、冷凍パンであるフランスパンを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから9kpaの間で変化させた。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30を180℃、下側のヒータ30を180℃とし、また、上側のヒータ30を180℃、下側のヒータ30を180℃とした状態で予め30分予熱してからフランスパンを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍した。
試験結果を図7に示す。
圧力が0kpaのときは、解凍後のパンに含まれる水分量が解凍前のパンに含まれる水分量よりも減る結果となった。
同様に、圧力が0.5kpaから2kpaの範囲では、解凍後のパンに含まれる水分量が解凍前の水分量を下回り、ここまでの圧力ではすべて、解凍後のパンに含まれる水分量は、「焼き立てに近い状態」の水分量の下限を下回った。
圧力が3kpaから8kpaまでの試験では、解凍後のパンに含まれる水分量が、解凍前の水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の水分量に収まった。
圧力が9kpaの場合には、解凍後のパンに含まれる水分量が「焼き立てに近い状態」の水分量の上限を超えた。
[試験例1から試験例3についてのまとめ]
試験例1から試験例3のいずれの場合においても、解凍室11内の気体の圧力が0Kpaの場合にはパンの水分量が「焼き立てに近い状態」の水分量を下回ったが、バターロールでは0.5kpa、食パンでは5kpa、フランスパンでは3kpaの加圧を行うことにより、解凍後のパンに含まれる水分量を、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲に収めることができた。言い換えると、試験例1から試験例3のいずれの場合においても、解凍室11内の気体に上述の加圧を行うことにより、解凍後のパンの水分を、冷凍パンの水分量よりも多くすることが可能となった。
また、バターロールについての試験例1では解凍室11内の気体の圧力が8kpaに達すると、食パンとフランスパンについての試験例2、3では解凍室11内の気体の圧力が9kpaに達すると、解凍後のパンの水分量が「焼き立てに近い状態」の水分量を上回ってしまう結果となった。
また、試験例1から試験例3のいずれの場合においても、バターロールについての試験例1では若干の例外が存在するものの、解凍後のパンの水分量が「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっているか否かに関わらず、解凍室11内の加圧の程度を高めていくほど、解凍後のパンの水分量が増えていくという傾向がはっきりと現れた。
上述の試験例1から3において、バターロールを解凍する試験例1では、食パン、フランスパンを解凍する試験例2、3よりもヒータ30の出力を小さくしている。バターロールは、フランスパンよりもクラストの食感が要求されないのでクラストを乾燥させる必要がそれ程ないため、ヒータ30の出力が、フランスパンの場合よりも相対的に低くて良いからである。試験例1では、ヒータ30が照射する遠赤外線による加熱の程度が相対的に低いため、ヒータ30を用いての加熱による水分量の減少よりも、スチーム発生装置20が発生させた水蒸気による水分量の増大の方が相対的に強く効いていると思われる。
バターロールの場合には、圧力をそれ程高くしなくても解凍後の水分量を冷凍パンの状態よりも高くすることが容易である。これは、バターロールは、フランスパンよりもクラストが柔らかく薄いので、圧力をそれ程高くしなくとも解凍時におけるクラムへの水分の添加が容易であるためであると考えられる。
フランスパンは、クラストのクリスピーな食感が強く要求されるため、クラストをより乾燥させなければならない。そのため、試験例3ではヒータ30の出力を高くしている。また、クラストが厚く乾燥しているため、より高い圧力をかけないと解凍後の水分量が十分とはならない。
食パンは、解凍後の状態をどのように仕上げることを望むのかによって、ヒータ30の設定温度の設定の幅が広い。例えば、しっとりと仕上げたい場合はバターロールのようにヒータ30の設定温度を低く、トーストのようにサクッと仕上げたい場合はフランスパンのように高い設定温度が要求される。試験例2では、設定温度を試験例3のフランスパンの場合と同様に高くしている。その結果、食パンではかなり圧力を上げないとフランスパンと比較して水分が入りにくくなっている。これは、スライスされたことによって広い面積で剥き出しになっているクラムから、ヒータ30による遠赤外線による高い温度による加熱によって、大量の水分が失われることが原因となっていると思われる。
次に、試験例4から試験例15について説明する。
上述した解凍装置1を用いて、試験例4から7ではバターロールを、試験例8から11では食パンを、試験例12から15ではフランスパン(ミニフランス)をそれぞれ解凍した。試験例4から試験例15で用いたバターロール、食パン、フランスパンのそれぞれは、試験例1で用いられたバターロール、試験例2で用いられた食パン、試験例3で用いられたフランスパンとは異なるものとした。
それらのうち、バターロールについての試験例4、食パンについての試験例8、フランスパンについての試験例12では、解凍の条件を同じとした。
同様に、バターロールについての試験例5、食パンについての試験例9、フランスパンについての試験例13でも、また、バターロールについての試験例6、食パンについての試験例10、フランスパンについての試験例14でも、また、バターロールについての試験例7、食パンについての試験例11、フランスパンについての試験例15でも、解凍の条件を同じとした。
つまり、バターロール、食パン、フランスパンのそれぞれについて、異なる4種類の同一の条件で、解凍を行った。
バターロールについての試験例4、食パンについての試験例8、フランスパンについての試験例12で採用した解凍の条件は以下のようなものである。
加熱時間帯の長さは60秒である。
また、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は、図4(B)に示したタイミングチャートにしたがって、加熱時間帯のすべての時間帯で基本的に(後述するように、スチーム発生装置20には例外がある。)ON(稼働状態)とした。
スチーム発生装置20による水蒸気の発生量は、後述するような解凍室11内の気体の圧力を達成するのに十分な量であり、水蒸気の温度は解凍室11内の気体の圧力にもよるが99℃から103℃程度であった。また、スチーム発生装置20は、制御装置50によって、加熱時間帯の全体において、5秒稼働、5秒停止を繰り返すように制御した。ただし、圧力の欄に「0(水蒸気無)」と記載したものについては、スチーム発生装置20は稼働させず、解凍室11内に水蒸気を供給しなかった。
マグネトロン41の出力は最大出力ではなく500Wとし、加熱時間帯のすべての時間帯で、3秒稼働、7秒停止を繰り返させた。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30、下側のヒータ30とも170℃とし、また、上側のヒータ30を170℃、下側のヒータ30を170℃とした状態で予め30分予熱してからバターロール等のパンを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍することとした。
以上の条件下で、スチーム発生装置20を稼働させているときの解凍室11内の気体の圧力を弁72を調節することで変化させて、様々な加圧力下でバターロール、食パン、フランスパンの冷凍パンを解凍する実験を行い、解凍されたそれぞれの冷凍パンの水分量を調べた。冷凍パンを一回解凍する間に弁72の調整は行わず、スチーム発生装置20が稼働している間の解凍室11内の気体の圧力を一定に保つようにした。
ただし、解凍室11内の気体の圧力が0kpaの場合については、そもそもスチーム発生装置20にて水蒸気を解凍室11に供給しない(0(水蒸気無))、スチーム発生装置20から水蒸気を解凍室11に供給するものの、その供給量が解凍室11の内部の気体の圧力が0kpaに保たれるように少なくする(0(フロー無))、スチーム発生装置20から水蒸気を解凍室11に供給するとともに、弁72から気体を排出させることにより解凍室11の内部の気体の圧力が0kpaに保たれるようにする(0(フロー有))の3種類の条件で、バターロール等のパンを解凍した。解凍室11内の気体の圧力が0kpa以外の圧力の場合には、スチーム発生装置20から解凍室11内に供給される水蒸気と、解凍室11から弁72を介して解凍室11外へと排出される気体とがバランスすることによって、解凍室11内に気体の流れができるとともに、解凍室11内の気体の圧力が所望の圧力に保たれるようにした。
各パンの水分量の測定は、クラムとクラストを、各パンにおける両者の存在比率に合わせて採取したものについて行ったので、パン全体の水分量を意味する。
バターロールについての試験例5、食パンについての試験例9、フランスパンについての試験例13で採用した解凍の条件は以下のようなものである。
加熱時間帯の長さは120秒である。
また、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は、図4(B)に示したタイミングチャートにしたがって、加熱時間帯のすべての時間帯で基本的に(スチーム発生装置20には例外がある。)ON(稼働状態)とした。
その他の条件はすべて、バターロールについての試験例4、食パンについての試験例8、フランスパンについての試験例12で採用した解凍の条件に倣った。
バターロールについての試験例6、食パンについての試験例10、フランスパンについての試験例14で採用した解凍の条件は以下のようなものである。
加熱時間帯の長さは60秒である。
また、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は、図4(B)に示したタイミングチャートにしたがって、加熱時間帯のすべての時間帯で基本的に(スチーム発生装置20には例外がある。)ON(稼働状態)とした。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30、下側のヒータ30とも200℃とし、また、上側のヒータ30を200℃、下側のヒータ30を200℃とした状態で予め30分予熱してからバターロール等のパンを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍することとした。
その他の条件はすべて、バターロールについての試験例4、食パンについての試験例8、フランスパンについての試験例12で採用した解凍の条件に倣った。
バターロールについての試験例7、食パンについての試験例11、フランスパンについての試験例15で採用した解凍の条件は以下のようなものである。
加熱時間帯の長さは120秒である。
また、スチーム発生装置20、ヒータ30、マグネトロン41は、図4(B)に示したタイミングチャートにしたがって、加熱時間帯のすべての時間帯で基本的に(スチーム発生装置20には例外がある。)ON(稼働状態)とした。
ヒータ30の設定温度は、上側のヒータ30、下側のヒータ30とも200℃とし、また、上側のヒータ30を200℃、下側のヒータ30を200℃とした状態で予め30分予熱してからバターロール等のパンを解凍装置1の解凍室11内に入れて解凍することとした。
その他の条件はすべて、バターロールについての試験例4、食パンについての試験例8、フランスパンについての試験例12で採用した解凍の条件に倣った。
<試験例4から試験例7>
試験例4から試験例7ではバターロールを解凍した。試験例4から試験例7で用いたバターロールは、山崎製パン株式会社が製造、販売するバターロール(ヤマザキバターロール12個入り、JANコード:4903110152934)とした。そのバターロールを個別にパック包装して水分蒸散対策を施してから冷凍することにより、解凍前の冷凍パンとした。冷凍後のバターロールの水分量は35%であった。山崎製パン株式会社の製造、包装技術が高いため、試験例1で用いた一般的なバターロールと比して、冷凍後のバターロールに含まれる水分量が高いものと思われた。
既に述べたように、本願では、「焼き立てに近い状態」を、解凍後の冷凍パンの水分量が、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量(下限)から、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値の間の水分量にある、と定義する。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、冷凍パンの状態での水分量である35%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれることを考慮して38%と定めた。つまり、バターロールの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、35%から38%である。その水分量を超えると、クラムがベタつき、防黴効果に影響が生じかねないと思われた。
その上で、冷凍パンであるバターロールを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから8kpaの間で変化させた。
試験結果を図8から図11に示す。図8から図11はそれぞれ、試験例4から試験例7に該当する。図8以下でも同様であるが、「増減(%)」の欄、「評価」の欄の記載方法は、図5から図7に倣っている。
試験例4では、加熱時間帯が60秒で、ヒータ30の設定が170℃である。
試験例4では、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであり、且つスチーム発生装置20を稼働させずに解凍室11に水蒸気を供給しない場合(0(水蒸気無)の場合)には、解凍後のバターロールの水分量は34.65%となり、水分量は解凍前から-0.35%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回っている。解凍室11内の気体の圧力が0kpaであり、且つスチーム発生装置20を稼働させて解凍室11に水蒸気を供給するものの解凍室11からの排気をしない場合(0(フロー無)の場合)には、解凍後のバターロールの水分量は34.75%となり、水分量は解凍前から-0.25%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回っている。
他方、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであり、且つスチーム発生装置20を稼働させて解凍室11に水蒸気を供給するとともに解凍室11からの排気を行う場合(0(フロー有)の場合)には、解凍後のバターロールの水分量は35.09%となり、水分量は解凍前から+0.09%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲に収まっている。
つまり、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであったとしても、解凍室11内に水蒸気が供給されれば、「焼き立てに近い状態」の下限には至らないまでも、水蒸気が供給されない場合よりも解凍後のバターロールの水分量が増し、解凍室11内に水蒸気が供給され且つ解凍室11内に気体の流れが生じていれば、「焼き立てに近い状態」に到達するまで解凍後のバターロールの水分量が増す、ということがわかる。以上から、解凍室11内に気体の流れを生じさせることにより、解凍後のパンの水分量をそのような流れがないときよりも大きくすることができるということがわかる。
試験例4では、更に、解凍室11内の気体の圧力を、1kpa、3kpa、4kpa、5kpa、6kpa、7kpa、8kpaに調整して試験を行った。
その結果、若干の例外があるものの、解凍後のバターロールの水分量は、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていくことがわかった。解凍後のバターロールの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大の36.85%となり、解凍前から+1.85%となった。その場合においても、解凍後のバターロールの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
試験例5では、加熱時間帯が120秒でヒータ30の設定が170℃、試験例6では、加熱時間帯が60秒でヒータ30の設定が200℃、試験例7では、加熱時間帯が120秒でヒータの設定が200℃とされた。
試験例5から試験例7の場合においても、試験例4の結果が概ね踏襲され以下の結果となった。
「0(水蒸気無)」の場合、「0(フロー無)」の場合には、解凍後のバターロールの水分量は解凍前のバターロールの水分量を下回ったが、「0(フロー有)」の場合には、解凍後のバターロールの水分量は解凍前のバターロールの水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の範囲の水分量となった。また、解凍後のバターロールの水分量は、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていった。試験例5から試験例7のいずれの場合でも、解凍後のバターロールの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大となったが、いずれの場合でも解凍後のバターロールの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
<試験例8から試験例11>
試験例8から試験例11では食パンを解凍した。試験例8から試験例11で用いた食パンは、フジパン株式会社が製造、株式会社ヨークがヨークマートにて販売する食パン(セブン・ザ・プライス食パン 8枚切り)であった。そして、その食パンを冷凍することにより、解凍前の冷凍パンとした。冷凍後の食パンの水分量は、試験例8から試験例11で用いたものすべてにおいて41%であった。
既に述べたように、本願では、「焼き立てに近い状態」を、解凍後の冷凍パンの水分量が、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量(下限)から、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値の間の水分量にある、と定義する。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、試験例8から試験例11のすべてにおいて冷凍パンの状態での水分量である41%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれることを考慮して、44%と定めた。つまり、食パンの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、試験例8から試験例11のすべてにおいて41%から44%である。
その上で、冷凍パンである食パンを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから8kpaの間で変化させた。
試験結果を図12から図15に示す。図12から図15はそれぞれ、試験例8から試験例11に該当する。
試験例8では、加熱時間帯が60秒で、ヒータ30の設定が170℃である。
試験例8では、「0(水蒸気無)」の場合には、解凍後の食パンの水分量は40.27%となり、水分量は解凍前から-0.73%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回っている。「0(フロー無)」の場合には、解凍後の食パンの水分量は40.93%となり、水分量は解凍前から-0.07%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回っている。
他方、「0(フロー有)」の場合には、解凍後の食パンの水分量は41.51%となり、水分量は解凍前から+0.51%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の水分量の範囲に収まっている。
つまり、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであったとしても、解凍室11内に水蒸気が供給されれば、「焼き立てに近い状態」の下限には至らないまでも、水蒸気が供給されない場合よりも解凍後の食パンの水分量が増し、解凍室11内に水蒸気が供給され且つ解凍室11内に気体の流れが生じていれば、「焼き立てに近い状態」に到達するまで解凍後の食パンの水分量が増す、ということがわかる。以上から、解凍室11内に気体の流れを生じさせることにより、食パンにおいても、解凍後のパンの水分量をそのような流れがないときよりも大きくすることができるということがわかる。
試験例8では、更に、解凍室11内の気体の圧力を、1kpa、3kpa、4kpa、5kpa、6kpa、7kpa、8kpaに調整して試験を行った。
その結果、解凍後の食パンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていくことがわかった。解凍後の食パンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大の42.08%となり、解凍前から+1.08%となった。その場合においても、解凍後の食パンの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
試験例9では、加熱時間帯が120秒でヒータ30の設定が170℃、試験例10では、加熱時間帯が60秒でヒータ30の設定が200℃、試験例11では、加熱時間帯が120秒でヒータの設定が200℃とされた。
試験例9から試験例11の場合においても、試験例8の結果が概ね踏襲され以下の結果となった。上述したように試験例9、試験例10、試験例11では41%から44%である。
「0(水蒸気無)」の場合、「0(フロー無)」の場合には、解凍後の食パンの水分量は解凍前の食パンの水分量を下回ったが、「0(フロー有)」の場合には、解凍後の食パンの水分量は解凍前の食パンの水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の範囲の水分量となった。また、解凍後の食パンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていった。試験例9から試験例11のいずれの場合でも、解凍後の食パンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大となったが、試験例9から試験例11のいずれの場合でも解凍後の食パンの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
<試験例12から試験例15>
試験例12から試験例15ではフランスパンを解凍した。試験例12から試験例15で用いたフランスパン(株式会社タカキベーカリーが製造、販売する石窯ミニフランス(8))を冷凍した場合における水分量はいずれも、37%であった。
既に述べたように、本願では、「焼き立てに近い状態」を、解凍後の冷凍パンの水分量が、解凍前の冷凍パンの水分量と同じ水分量(下限)から、そのパンの食味を保ちつつ水分量を上げることのできる「焼き立て」のパンの水分量以上の水分量の限界値の間の水分量にある、と定義する。
したがって、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量は、冷凍パンの状態での水分量である37%である。また、「焼き立てに近い状態」の上限の水分量は、クラムとクラストの食味、食感がともに保たれることを考慮して38%と定めた。つまり、フランスパンの冷凍パンを解凍した場合の「焼き立てに近い状態」の水分量は、37%から38%である。
その上で、冷凍パンであるフランスパンを、解凍装置1で解凍した。加熱時間帯においてスチーム発生装置20が稼働しているときの解凍室11内の圧力を、0kpaから8kpaの間で変化させた。
試験結果を図16から図19に示す。図16から図19はそれぞれ、試験例12から試験例15に該当する。
試験例12では、加熱時間帯が60秒で、ヒータ30の設定が170℃である。
試験例12では、「0(水蒸気無)」の場合には、解凍後のフランスパンの水分量は36.61%となり、水分量は解凍前から-0.39%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を下回っている。「0(フロー無)」の場合には、解凍後のフランスパンの水分量は36.97%となり、水分量は解凍前から-0.03%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の下限の水分量を僅かに下回っている。
他方、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであり、且つスチーム発生装置20を稼働させて解凍室11に水蒸気を供給するとともに解凍室11からの排気を行う場合(0(フロー有)の場合)には、解凍後のフランスパンの水分量は37.02%となり、水分量は解凍前から+0.02%となった。これは、「焼き立てに近い状態」の水分量の下限を僅かに超え、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっている。
つまり、解凍室11内の気体の圧力が0kpaであったとしても、解凍室11内に水蒸気が供給されれば、「焼き立てに近い状態」の下限には至らないまでも、水蒸気が供給されない場合よりも解凍後のフランスパンの水分量が増し、解凍室11内に水蒸気が供給され且つ解凍室11内に気体の流れが生じていれば、「焼き立てに近い状態」に到達するまで解凍後のフランスパンの水分量が増す、ということがわかる。以上から、解凍室11内に気体の流れを生じさせることにより、解凍後のパンの水分量をそのような流れがないときよりも大きくすることができるということがわかる。
試験例12では、更に、解凍室11内の気体の圧力を、1kpa、3kpa、4kpa、5kpa、6kpa、7kpa、8kpaに調整して試験を行った。
その結果、解凍後のフランスパンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていくことがわかった。解凍後のフランスパンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大の38.04%となり、解凍前から+1.04%となった。試験例12では、解凍室11内の気体の圧力が8kpaの場合のみ、解凍後のフランスパンの水分量が「焼き立てに近い状態」の範囲を超えたが、それ以外の場合には、解凍後のフランスパンの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
試験例13では、加熱時間帯が120秒でヒータ30の設定が170℃、試験例14では、加熱時間帯が60秒でヒータ30の設定が200℃、試験例15では、加熱時間帯が120秒でヒータの設定が200℃とされた。
試験例13から試験例15の場合においても、試験例12の結果が概ね踏襲され以下の結果となった。
「0(水蒸気無)」の場合、「0(フロー無)」の場合には、解凍後のフランスパンの水分量は解凍前のフランスパンの水分量を下回ったが、「0(フロー有)」の場合には、解凍後のフランスパンの水分量は解凍前のフランスパンの水分量を上回り、「焼き立てに近い状態」の範囲の水分量となった。また、解凍後のフランスパンの水分量は、試験例14の場合を除き、解凍室11内の気体の圧力を増すにつれて大きくなっていった。試験例13から試験例15のいずれの場合でも、解凍後のフランスパンの水分量は、解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合に最大となった。試験例13における解凍室11内の気体の圧力が8kpaである場合には、解凍後のフランスパンの水分量は「焼き立てに近い状態」を超えていたが、それ以外のすべての試験例における解凍室11内の圧力を加圧した場合では、解凍後のフランスパンの水分量は、「焼き立てに近い状態」の範囲に収まっていた。
1 解凍装置
11 解凍室
20 スチーム発生装置
30 ヒータ
41 マグネトロン
42 導波管
50 制御装置
72 弁

Claims (17)

  1. 冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、
    それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
    前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置を制御する制御装置と、
    を備えている、冷凍パンの解凍装置であって、
    前記制御装置は、前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるようになっているとともに、
    前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるように構成されている、
    冷凍パンの解凍装置。
  2. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも0.5kpa以上大きくなるように構成されている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  3. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも5kpa以上、8kpa以下の範囲で大きくなるように構成されている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  4. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも5kpa以上、7kpa以下の範囲で大きくなるように構成されている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  5. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも10kpa以上大きくならないように構成されている、
    請求項1~4のいずれか記載の冷凍パンの解凍装置。
  6. 前記加熱時間帯は300秒以内であり、前記制御装置は、前記ヒータを、少なくとも、前記加熱時間帯の中央のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させるようになっている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  7. 前記加熱時間帯は300秒以内であり、前記制御装置は、前記スチーム発生装置を、前記加熱時間帯の最初のタイミングから最後のタイミングまで稼働させるようになっている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  8. 前記制御装置は、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のすべてを、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで稼働させるようになっている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  9. 前記解凍室内の気体に流れを作る、フロー機構を備えている、
    請求項1記載の冷凍パンの解凍装置。
  10. 前記フロー機構は、前記解凍室内で、前記解凍室内の気体を循環させる送風機である、
    請求項9記載の冷凍パンの解凍装置。
  11. 前記フロー機構は、前記解凍室内の気体の圧力が、所定の圧力を超えた場合に、前記解凍室内の気体を前記解凍室外に排出する弁である、
    請求項9記載の冷凍パンの解凍装置。
  12. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも1kpa以上、7kpa以下の範囲で大きくなるように構成されている、
    請求項9記載の冷凍パンの解凍装置。
  13. 前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも1kpa以上、5kpa以下の範囲で大きくなるように構成されている、
    請求項9記載の冷凍パンの解凍装置。
  14. 冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、
    それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
    前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置を制御する制御装置と、
    を備えている、冷凍パンの解凍装置にて実行される冷凍パンの解凍方法であって、
    前記制御装置に、前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるとともに、
    前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるようにする、
    冷凍パンの解凍方法。
  15. 冷凍パンを入れられる、前記冷凍パンの出し入れを行うための開閉自在とされた扉を有する解凍室と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に水蒸気を供給するスチーム発生装置と、
    それが稼働したときに、前記解凍室内に入れられた前記冷凍パンに遠赤外線を照射するヒータと、
    それが稼働したときに、前記解凍室内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
    を備えている、冷凍パンの解凍装置を用いて実行される冷凍パンの解凍方法であって、
    前記解凍室に入れられた前記冷凍パンを解凍するとき、前記スチーム発生装置、前記ヒータ、前記マイクロ波照射装置のいずれかが稼働している連続する時間を加熱時間帯と定義した場合に、前記加熱時間帯の最初のタイミングから前記加熱時間帯の所定のタイミングまで前記スチーム発生装置を稼働させ、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯の最後のタイミングまで前記ヒータを稼働させ、また、前記加熱時間帯の所定のタイミングから前記加熱時間帯のその後の所定のタイミングまで前記マイクロ波照射装置を稼働させるとともに、
    前記加熱時間帯内において、前記スチーム発生装置が稼働しているときにおける前記解凍室内の気圧が、常圧よりも大きくなるようにする、
    冷凍パンの解凍方法。
  16. 解凍された冷凍パンが、解凍前の冷凍パンの持っていた水分量以上の水分量を含むようにする、
    請求項14又は15記載の冷凍パンの解凍方法。
  17. 解凍された冷凍パンが、焼き立ての状態での水分量以上の水分量を含むようにする、
    請求項14又は15記載の冷凍パンの解凍方法。
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