JP7339810B2 - 水密アルミ配電線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内部に水密材を充填し、隙間腐食を防止した水密アルミ配電線及びその製造方法に関する。
従来、架空配電線には銅配電線が使用されているが、応力腐食断線対策として種々の構造が提案されている。例えば、特許文献1の第1図に開示された構造は、銅素線間に水密材料を配置した撚り線導体2とPVC絶縁被覆8との間に片面ラミネート金属テープ4を介在させたものであり、特許文献2の図1に開示された構造は、鋼撚線10とアルミ撚合わせ層50間に難腐食製部材20を水密状態に介在させたものであり、特許文献4の図1に開示された構造は、硬銅線1を複数本撚り合わせた導体2の周囲にアルミラミネートテープ層5を形成し、このアルミラミネートテープ層5の外側にプラスチック絶縁被覆層8を設けたものである。
近年になると、銅電線よりも安価な材質のアルミ配電線が注目されるようになった。アルミ配電線は架線の弛度変化への対策として芯部に鋼線を配置するのが一般的であるが、鋼線とアルミ素線間の異種金属腐食が問題となるため、鋼線としてアルミ覆鋼線や亜鉛メッキ鋼線を利用したアルミ配電線や、カーボンファイバ芯線を利用したアルミ配電線などが利用されるようになってきた。また、特許文献3の図5に開示されているとおり、鋼線1、圧縮形硬アルミ素線2間及び上記絶縁体3と硬アルミ素線2との間にプラスチック系水密コンパウンド4を充填したアルミ配電線も既に公知であり、特許文献3の図1に開示されているとおり鋼線1と硬アルミ素線2との間に炭化ケイ素粒を含有する油性の水密コンパウンド5を充填し、硬アルミ素線2と絶縁体3との間にプラスチック系の水性コンパウンド6を充填したアルミ配電線も既に公知である。このような水密構造を利用すれば、鋼線とアルミ素線との間の異種金属腐食を防止することも可能と考えられる。
特開昭62-256309号公報 特開平7-272538号公報 特開平11-232934号公報 特開2004-127727号公報
しかしながら、たとえ異種金属腐食を防止できたとしても、図8に示されるとおり、例えば、雨水100に含まれる水、酸素、塩化物イオンがアルミ配電線10の接続部などから絶縁被覆13の内側へ僅かでも浸入すると、アルミ素線12の表面に腐食が発生し、その腐食が進行することでアルミ素線12が減肉することが判明した。そして、アルミ素線12が減肉すると、絶縁被覆13とアルミ素線12との間に隙間200が生じるので、雨水100がさらに奥へと浸入し易くなり、延線方向300にかけて腐食(ひいては隙間200)が次第に広がり、ますます雨水100が奥へ浸入し易くなって減肉が広がるという悪循環が発生することも本願発明者等の実験で判明した。以下、このように絶縁被覆13の内側でアルミ素線12の表面に生じる腐食を「隙間腐食」という。この隙間腐食は、アルミ配電線10の表面寄りのみならず芯部寄りにも生じ得ると考えられる。
また、このような隙間腐食は絶縁被覆13の外側からは目視できないため、例えばアルミ配電線10が台風等の強風で断線した際に初めて発見されるというケースもあると推察される。しかも寒冷地では、隙間200に浸入した雨水100が凍結するので、その凍結膨張によって隙間200が拡大し、それが原因で隙間腐食の進行が早まるおそれもある。
因みに、特許文献3の図5に開示された水密構造では、圧縮形硬アルミ素線2と絶縁体3との間にプラスチック系の水密コンパウンド4を充填しているので、上記の隙間腐食を防げるようにも思えるが、特許文献3では水密コンパウンド4が硬アルミ素線2間に残留すると硬アルミ素線2の断面積が減少するという問題を指摘している。すなわち、特許文献3は、硬アルミ素線2間に水密コンパウンド4が介在しないようにすることを目的としたものと考えられる。そうとすれば、隣り合う硬アルミ素線2同士が互いに接触している構造となり、両者の間に水密コンパウンド4が入り込む余地はない。このため、特許文献3の水密コンパウンド4がアルミ素線2を雨水(水、酸素、塩化物イオン)から完全に保護できるとは限らなかった。
そこで、本発明は、このようなアルミ配電線特有の問題である隙間腐食の発生を確実に防止し、寒冷地や沿岸部でも高い耐久性を得ることのできる水密アルミ配電線及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線は、中心素線の周囲に複数のアルミ素線を配置すると共に、複数の前記アルミ素線を絶縁体で被覆した水密アルミ配電線において、前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間、複数の前記アルミ素線同士の間及び複数の前記アルミ素線と前記絶縁体との間に水密材が隙間なく充填されていることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線において、前記アルミ素線を撚り合わせる前に前記中心素線の周囲へ0.12mm~0.16mmの厚さの前記水密材を塗布することにより前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間及び複数の前記アルミ素線同士の間に前記水密材を充填してもよい
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線において、前記中心素線が複数の素線で形成され、複数の前記素線同士の間にも前記水密材が隙間なく充填されてもよい
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線において、前記水密材は、EVA、EEA、EMA、ロジン系樹脂のいずれかを含んでもよい
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線において、前記絶縁体はヒレ付き又は表面に凹凸が形成された低風圧型であってもよい
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線の製造方法は、中心素線の周囲に複数のアルミ素線を配置すると共に、複数の前記アルミ素線を絶縁体で被覆した水密アルミ配電線の製造方法において、前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間、複数の前記アルミ素線同士の間及び複数の前記アルミ素線と前記絶縁体との間の全てに水密材を充填することを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線の製造方法において、前記アルミ素線を撚り合わせる前に前記中心素線の周囲へ0.12mm~0.16mmの厚さの前記水密材を塗布することにより前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間及び複数の前記アルミ素線同士の間に前記水密材を充填してもよい
上記課題を解決するために本発明に係る一の水密アルミ配電線の製造方法は、前記中心素線の周囲に水密材を塗布するステップと、水密材が塗布された前記中心素線の周囲に複数の前記アルミ素線を撚り合わせて撚り線とするステップと、前記撚り線を圧縮することにより前記水密材を前記中心素線と複数の前記アルミ素線の隙間に充填するステップと、圧縮された撚り線の周囲に水密材を塗布するステップと、水密材が塗布された圧縮撚り線を絶縁体で被覆して前記絶縁体と前記圧縮撚り線との間に前記水密材を充填するステップと、を含み構成されてもよい
本発明に係る水密アルミ配電線によれば、複数の前記アルミ素線と前記絶縁体との間に水密材が隙間無く充填されているだけでなく、複数の前記アルミ素線同士の間にも水密材が隙間なく充填され、さらには前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間にも水密材が隙間無く充填されているので、万一、アルミ配電線の接続部などから絶縁体の内側へ雨水(水、酸素、塩化物イオン)が浸入したとしても、水密材によって複数の前記アルミ素線が雨水に触れることはないので、複数の前記アルミ素線の全ての腐食を防止して、隙間腐食へと進行する可能性を未然に防ぐことができるという効果がある。
図1は、本発明に係る水密アルミ配電線の一実施形態を示す断面図である。 図2は、複数の素線で構成された中心素線の断面図である。 図3は、絶縁被覆の表面に設けられたヒレを説明する図である。 図4は、液滴試験の条件を説明する図である。 図5は、液滴試験の結果を示す表である。 図6は、加圧試験の結果を示す表である。 図7は、複合サイクル試験の条件を示す表である。 図8は、アルミ配電線の隙間腐食を説明する断面図である。
1.実施形態
以下、本発明に係る水密アルミ配電線について、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る水密アルミ配電線の一実施形態を示す断面図である。
1-1.水密アルミ配電線の構成
図1に示されるとおり、本実施形態に係る水密アルミ配電線1は、概略として、中心に位置する中心素線2と、中心素線2の周囲に複数(ここでは6本)配置されたアルミ素線3,3と、複数のアルミ素線3,3を被覆する絶縁体(絶縁被覆)5を備え、中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間、複数のアルミ素線3,3同士の間、及び複数のアルミ素線3,3と絶縁被覆5との間には、水密材4が隙間なく略均一な厚さで充填されている。尚、複数のアルミ素線3,3は外部コア部6と呼ぶこともできる。
1-2.アルミ素線の材質等
複数のアルミ素線3,3の各々は例えばJISH2110(電気用アルミニウム地金)に定められる純度99.65%以上の純アルミニウムによって形成される。一方、中心素線2は、例えば、アルミ素線3,3と同じ材質(純アルミニウム)、或いはアルミ素線3,3とは異なる材質(例えばアルミニウム合金)の金属線によって形成される。但し、架線の弛度変化に対する対策が必要な場合、中心素線2には上記金属に代えて鋼線やAC(アルミ覆)線、カーボンファイバ等が使用されてもよい。また、中心素線2は、図2に示されるとおり、複数(図2では7本)の素線2a,2aで形成されてもよく、その場合は、複数の素線2a同士の間にも水密材4が隙間なく充填されるものとする。尚、アルミ素線3,3の本数は、複数本を撚り合わせた状態で外周面側(絶縁耐側)及び内周面側(中心導体側)を断面円弧状とするために、4本~8本程度(例えば6本)とするのが好ましい。また、アルミ素線3,3はそれぞれの断面が略台形状とされ、外周面側が円弧状凸面に加工されていると共に、内周面側が円弧状凹面に加工されており、アルミ素線3,3を撚り合わせた状態で外周面及び内周面が断面円形状となっている。
1-3.水密材の材質
水密材4には、水密コンパウンド、例えば、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン-エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン-メチルアクリレート共重合体)など、又は同等の性能を有する樹脂類を用いることができる。水密材4はそれぞれを単独でも或いは複数を併用してもよい。また、水密材4としてロジン系樹脂を用いることもできる。ロジン系樹脂としては、例えばロジンエステルを用いることができる。ロジンエステルは天然樹脂であるロジンから誘導される粘着特性を有するエステル樹脂である。また、ロジン系樹脂としてロジン変性フェノールを用いることもできる。尚、ロジン系樹脂は水密コンパウンドと共に水密材4として用いることもできる。
1-4.絶縁被覆の材質
絶縁被覆5には、例えば、塩化ビニル樹脂またはポリエチレン、架橋ポリエチレン等が用いられる。そして、絶縁被覆5の表面には風圧による影響を低減するために凹凸5Aが設けられている。また、絶縁被覆5の表面には図3に示されるとおり雪害対策用として対向する位置に凸状の一対のヒレ7,7を設けることもできる。
1-5.水密アルミ配電線の製造方法
水密アルミ配電線1は、中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間、複数のアルミ素線3,3同士の間及び複数のアルミ素線3,3と絶縁被覆5との間の全てに水密材4を充填することによって製造することができる。
例えば、水密アルミ配電線1の製造方法には、中心素線2の周囲に適当な厚さの水密材4を塗布するステップと、水密材4が塗布された中心素線2の周囲に複数のアルミ素線3,3を撚り合わせて撚り線とするステップと、当該撚り線を圧縮することにより水密材4を中心素線2と複数のアルミ素線3,3の隙間に充填するステップと、圧縮された撚り線の周囲に適当な厚さの水密材4を塗布するステップと、水密材4が塗布された圧縮撚り線を絶縁体(絶縁被覆5)で被覆して絶縁体(絶縁被覆5)と圧縮撚り線との間に水密材4を充填するステップとが含まれる。これらのステップにより、本実施形態では中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間、複数のアルミ素線3,3同士の間、及び複数のアルミ素線3,3と絶縁被覆5との間の全てをほぼ均一な厚さの水密材4で充填する。特に、本実施形態においては、複数のアルミ素線3,3を撚り合わせる前に、中心素線2の周囲へ0.12mm~0.16mmの厚さの水密材4を塗布しておくことにより、撚り合わせ後に中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間及び複数のアルミ素線3,3同士の間に適当な厚さの水密材4を充填することができる。
また、上記のように、外部コア部6が圧縮により形成されているため、中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間、複数のアルミ素線3,3同士の間、及び複数のアルミ素線3,3と絶縁被覆5との間には、それぞれ水密材4からなる平坦な層が隙間無く充填される。また、アルミ素線3,3のそれぞれの断面は略台形状となり、外周面側が円弧状凸面となる。また、アルミ素線3,3の内周面側は円弧状凹面となり、アルミ素線3,3を撚り合わせた状態で外周面及び内周面が断面円形状となる。
1-6.実施形態の効果
以上の本実施形態に係る水密アルミ配電線1によれば、複数のアルミ素線3,3と絶縁被覆5との間に水密材4が隙間無く充填されているだけでなく、複数のアルミ素線3,3同士の間にも水密材4が隙間なく充填され、さらには中心素線2と複数のアルミ素線3,3との間にも水密材4が隙間無く充填されているので、仮に、アルミ配電線1の接続部などから絶縁被覆5の内側へ海塩を含む雨水が浸入したとしても、複数のアルミ素線3,3が雨水に触れることはないので、複数のアルミ素線3,3の全ての腐食を防止して、隙間腐食(図6)へ進行する可能性を未然に防ぐことができるという効果がある。
2.実施例
以下、本実施形態の水密アルミ配電線の効果を検証するための試験結果を実施例として説明する。
2-1.試験に使用した電線
(1)ACSR-OC(中心素線(鋼線)が亜鉛メッキ)からなる従来のアルミ配電線
(2)ACSR/AC-OC(中心素線(鋼線)がアルミ覆)からなる従来のアルミ配電線
(3)アルミ素線を撚り合わせる前に中心素線の周囲へ塗布した水密材の厚さが0.12mmである本実施形態の水密アルミ配電線
(4)アルミ素線を撚り合わせる前に中心素線の周囲へ塗布した水密材の厚さが0.14mmである本実施形態の水密アルミ配電線
(5)アルミ素線を撚り合わせる前に中心素線の周囲へ塗布した水密材の厚さが0.16mmである本実施形態の水密アルミ配電線
なお、(3)~(5)の間で他の仕様は共通であり、以下のとおり設定した。
・外径D:12.0mm±4%(11.76mm~12.24mm)
・撚ピッチP:174mm±11mm(163mm~185mm)
・外層の水密材の厚さ:0.3mm
・P/D:≦16(13.86~15.11)
・断面積:95mm±4%(91.2mm~98.8mm
2-2.液滴試験
2-2-1.液滴試験の条件
図4(A)に示すとおり、アルミ配電線から0.3m分を試料として採取し、採取したアルミ配電線1の一方端側2cmの部分の絶縁被覆5を半割状に皮剥ぎし、その皮剥ぎ箇所に6ml/分の量及び頻度で水滴を、図4(B)に示すとおり、1時間に亘って滴下後、アルミ配電線1の内部の各層への水の浸入長(mm)を調べた。また、この試験では、図4(B)に示すとおり、電線1の内部の導体表面と電線1の切断面との双方に亘って水滴が流れるように、アルミ配電線1の姿勢を水平状態から30°だけ傾斜させた。
2-2-2.液滴試験の結果
図5は、液滴試験の結果(浸入長mm)を示す表である。図5の上部における数字「1」,「2」,「3」,…,「8」は試験回数であり、表の一段目は非水密アルミ配電線(1)の試験結果、二段目は非水密アルミ配電線(2)の試験結果、三段目は水密アルミ配電線(3)の試験結果、四段目は水密アルミ配電線(4)の試験結果、五段目は水密アルミ配電線(5)の試験結果である。また図5における「外層」はアルミ素線3が浸水した電線長さ(mm)を示し、「中心」は、中心素線2が浸水した電線長さ(mm)を示している。
この図5に示されるとおり、非水密アルミ配電線(1),(2)では浸水が認められたものの、水密アルミ配電線(3),(4),(5)では実質的な浸水は確認されなかった。試験回数を重ねるにつれて(回数6以上になると)浸入長がゼロに収束していることがわかる。図5では試験回数8回までしか示していないが、回数を増やしても同様の結果(浸入長ゼロ)となった。以上の結果、水密アルミ配電線(3),(4),(5)は、従来の非水密アルミ配電線(1),(2)よりも浸水の程度を軽減又は抑制することができることが判明した。以上の結果、アルミ素線の撚り合わせ前に中心素線の周囲へ塗布する水密材の厚さが0.12mm~0.16mmの範囲である場合に浸水防止効果が確実に得られると考えられる。
ところで、配電線の断面積を95mmとする場合に製造(制御)可能な水密材の厚さは水密アルミ配電線(3),(4),(5)の当該厚さ0.12mm,0.14mm,0.16mmの3通りであって、水密材4の厚さが水密アルミ配電線(5)の厚さ0.16mmより大きいと、中心素線2と複数のアルミ素線3との隙間、複数のアルミ素線3同士の隙間、及び複数のアルミ素線3と絶縁被覆5との隙間がそれぞれ大きくなり、アルミ配電線1の径サイズが仕様から外れたり、アルミ配電線1の被覆剥ぎ取りの工事が困難になったりすることが試験により判明している。よって、配電線の製造容易性や取扱容易性を考慮した場合には、中心素線の周囲へ塗布する水密材の厚さは0.16mmを超えないことが望ましい。以上の結果、浸水防止効果だけでなく、配電線の製造容易性や取扱容易性を考慮した場合であっても、中心素線の周囲へ塗布する水密材の厚さは0.12mm~0.16mmの範囲に収められることが望ましい。
2-3.加圧試験
2-3-1.加圧試験の条件
加圧試験では、アルミ配電線1に49kPa(0.5kgf/cm)の水圧をかけて24時間放置後、絶縁被覆5を剥ぎ取り水分の浸入長を調べた。なお、この加圧試験は、液滴試験で最も良好な結果を示した水密アルミ配電線(5)についてのみ行った。
2-3-2.加圧試験の結果
図6は、加圧試験の結果(浸入長mm)を示す表である。図6の上部における数字「1」,「2」は試験回数であり、表の最下段が水密アルミ配電線(5)の試験結果である。また図6における「外層」はアルミ素線3が浸水した電線長さ(mm)を示し、「中心」は中心素線2が浸水した電線長さ(mm)を示している。
この図6に示されるとおり、水密アルミ配電線(5)は2回の試験で80mmの長さまでしか浸水しないことが判明した。ここでは80mm程度の浸水が生じているものの、過酷試験である加圧試験下で80mm程度の浸水であれば、非加圧状態の各種環境下では隙間腐食の防止効果は十分に期待できると考えられる。
2-4.複合サイクル試験
2-4-1.複合サイクル試験の条件
図7に示すとおり、JISZ8502「めっき耐腐食性試験」の海塩による腐食を想定し、中性塩水噴霧サイクル試験に準拠した条件を採用した。サイクル試験後のアルミ配電線1について絶縁被覆5を剥きアルミ素線3の腐食状態の評価を行った。この際、アルミ配電線1から750mmの試料を採取し、試料中間部を100mm皮剥ぎした。さらに皮剥ぎ箇所の中心を支点として引留クランプ部を想定したR50以下の曲げを加えた。なお、この複合サイクル試験は、液滴試験及び加圧試験で最も不良な結果を示した非水密アルミ配電線(1)と、液滴試験及び加圧試験で最も良好な結果を示した水密アルミ配電線(5)とについて行った。
2-4-2.複合サイクル試験の結果
アルミ配電線(1)は腐食が発生したのに対して、水密アルミ電線(5)は腐食が全く発生しなかった。
3.補足
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。例えば、導体のサイズ、水密材の厚さなどは、上述した具体的数値に限定されることはなく、必要に応じて変更することが可能である。
1 水密アルミ配電線
2 中心素線
2a 中心素線を構成する素線
3 アルミ素線
4 水密材
5 絶縁被覆(絶縁体)
5A 凹凸
6 外部コア部
7 ヒレ
10 アルミ配電線
11 中心素線
12 アルミ素線
13 絶縁被覆
100 雨水
200 隙間
300 延線方向

Claims (5)

  1. 中心素線の周囲に複数のアルミ素線を配置すると共に、複数の前記アルミ素線を絶縁体で被覆した水密アルミ配電線の製造方法において、
    前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間、複数の前記アルミ素線同士の間及び複数の前記アルミ素線と前記絶縁体との間の全てに水密材を充填するものであって、
    前記中心素線と複数の前記アルミ素線との間及び複数の前記アルミ素線同士の間に前記水密材を充填するために、前記中心素線の周囲へ0.12mm~0.16mmの厚さで水密材を塗布した後に前記アルミ素線を撚り合わせる
    ことを特徴とする水密アルミ配電線の製造方法。
  2. 請求項に記載の水密アルミ配電線の製造方法において、
    前記中心素線の周囲に水密材を塗布するステップと、
    水密材が塗布された前記中心素線の周囲に複数の前記アルミ素線を撚り合わせて撚り線とするステップと、
    前記撚り線を圧縮することにより前記水密材を前記中心素線と複数の前記アルミ素線の隙間に充填するステップと、
    圧縮された撚り線の周囲に水密材を塗布するステップと、
    水密材が塗布された圧縮撚り線を絶縁体で被覆して前記絶縁体と前記圧縮撚り線との間に前記水密材を充填するステップと、
    を含み構成されてなることを特徴とする水密アルミ配電線の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の水密アルミ配電線の製造方法において、
    前記中心素線を複数の素線で形成し、複数の前記素線同士の間にも前記水密材を隙間なく充填する
    ことを特徴とする水密アルミ配電線の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の水密アルミ配電線の製造方法において、
    前記水密材は、EVA、EEA、EMA、ロジン系樹脂のいずれかを含む
    ことを特徴とする水密アルミ配電線の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の水密アルミ配電線の製造方法において、
    前記絶縁体はヒレ付き又は表面に凹凸が形成された低風圧型である
    ことを特徴とする水密アルミ配電線の製造方法。
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