JP7337353B2 - うつ状態であると判定するための、プロセッサを備える装置の作動方法、うつ状態判定システム、及びうつ状態判定装置 - Google Patents

うつ状態であると判定するための、プロセッサを備える装置の作動方法、うつ状態判定システム、及びうつ状態判定装置 Download PDF

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    • A61B5/16Devices for psychotechnics; Testing reaction times ; Devices for evaluating the psychological state

Description

本発明は、うつ状態であると判定するための判別方法、及びうつ状態判定システムに関する。
近年では、うつ病等の精神疾患の患者が増えているため、うつ状態であると判定するための方法や、装置の開発の要求が高まっている。例えば、特許文献1では、被検者の覚醒時間帯において、拍動間隔、活動量を計測し、拍動間隔を周波数スペクトル変換して得られたパワースペクトルを周波数Lf1からLf2まで定積分した値(LF)と、周波数Hf1からHf2まで定積分した値(HF)とを算出して、(LF/HF)/活動量が所定の値(定数C3)より大きくなる場合に、うつ状態であると判定する方法、装置が開示されている。
国際公開第2016/031650号
特許文献1に開示されているように、うつ状態の判定方法等については知られていたが、これまでに被験者の年齢や性別に応じた判定方法は知られていなかった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被験者の年齢、性別に応じてうつ状態であると判定するための判別方法、及びうつ状態判定システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係るうつ状態であると判定するための判別方法は下記[1]の通りである。
[1]被検者がうつ状態であると判定するために、前記被検者の拍動間隔を計測する計測ステップ、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含む判別方法。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R1 ・・・(1)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R2 ・・・(2)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R3 ・・・(3)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R4 ・・・(4)
但し、前記第1の所定年齢と前記第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、LF、HFは、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して得た値であり、R1~R4は定数である。
上記構成により、被験者の年齢、性別に応じてうつ状態であると判定するための判別方法を提供することができる。判別方法の好ましい態様は、下記[2]~[13]、[1a]~[1d]、[3a]、[3b]、[5a]、[5b]、[6a]、[6b]の通りである。
[2]R1≧R2、R3≧R4である[1]に記載の判別方法。
[3]前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び
前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含む[1]または[2]に記載の判別方法。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H1 ・・・(5)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H2 ・・・(6)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H3 ・・・(7)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF>H4 ・・・(8)
但し、H1~H4は定数である。
[4]H1>H2、H3>H4である[3]に記載の判別方法。
[5]被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測する計測ステップ、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含む[1]~[4]のいずれか1項に記載の判別方法。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
HF×活動量<B1 ・・・(10)
(LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
HF×活動量<B2 ・・・(13)
(LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
HF×活動量<B3 ・・・(16)
(LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
HF×活動量<B4 ・・・(19)
(LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
[6]前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含む[5]に記載の判別方法。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
HF/活動量<B5 ・・・(22)
(LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
HF/活動量<B6 ・・・(25)
(LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
HF/活動量<B7 ・・・(28)
(LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
HF/活動量<B8 ・・・(31)
(LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
[7]前記覚醒時間帯および前記睡眠時間帯として、被検者の姿勢に伴う加速度を計測し、該加速度と所定値を比較することによって分類された覚醒時間帯と睡眠時間帯を用いる[6]に記載の判別方法。
[8]前記加速度は、被検者の姿勢に伴う身長方向の加速度である[5]~[7]のいずれか1項に記載の判別方法。
[9]前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、
前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
下記(33)式が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、下記(33)式が満足されない時間帯を覚醒時間帯に分類する[8]に記載の判別方法。
負加速度T≧D1・・・(33)
但し、D1は定数である。
[10]前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
下記(33)式が満足される時間帯のうち最長の時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する[8]に記載の判別方法。
負加速度T≧D1・・・(33)
但し、D1は定数である。
[11]前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
所定時間以上連続して下記(33)式が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する[8]に記載の判別方法。
負加速度T≧D1・・・(33)
但し、D1は定数である。
[12]前記加速度は、加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行った後の値である[5]~[11]のいずれか1項に記載の判別方法。
[13]前記モルフォロジー演算が、所定の時間幅で行われるオープニング処理とクロージング処理の少なくともいずれか一方である[12]に記載の判別方法。
[1a]前記第1の所定年齢が34歳、35歳、または36歳であり、前記第2の所定年齢が34歳、35歳、または36歳である[1]~[13]のいずれか1項に記載の判別方法。
[1b]前記第1の所定年齢が35歳であり、前記第2の所定年齢が35歳である[1]~[13]のいずれか1項に記載の判別方法。
[1c]R1は3.0~3.4であり、R2は3.35~3.60であり、R3は2.7~3.1であり、R4は3.00~3.40である[1]~[13]、[1a]、[1b]のいずれか1項に記載の判別方法。
[1d]R1は3.4であり、R2は3.35であり、R3は3.1であり、R4は3.00である[1]~[13]、[1a]、[1b]のいずれか1項に記載の判別方法。
[3a]H1は390~410、H2は240~300、H3は360~420、H4は240~280である[3]~[13]、[1a]~[1d]のいずれか1項に記載の判別方法。
[3b]H1は390、H2は240、H3は360、H4は280である[3]~[13]、[1a]~[1d]のいずれか1項に記載の判別方法。
[5a]A1は160~180、B1は80~100、C1は5~15、A2は130~150、B2は70~90、C2は0.5~0.9、A3は160~180、B3は55~65、C3は9~14、A4は145~165、B4は50~60、C4は0.45~0.55である[5]~[13]、[1a]~[1d]、[3a]、[3b]のいずれか1項に記載の判別方法。
[5b]A1は160、B1は80、C1は15、A2は130、B2は70、C2は0.5、A3は160、B3は55、C3は14、A4は145、B4は50、C4は0.45である[5]~[13]、[1a]~[1d]、[3a]、[3b]のいずれか1項に記載の判別方法。
[6a]A5は36000~46000、B5は23000~26000、C5は0.070~0.080、A6は37000~41000、B6は15000~18000、C6は0.08~0.10、A7は57000~61000、B7は28000~34000、C7は0.03~0.05、A8は40000~42000、B8は17000~20000、C8は0.04~0.06である[6]~[13]、[1a]~[1d]、[3a]、[3b]、[5a]、[5b]のいずれか1項に記載の判別方法。
[6b]A5は36000、B5は23000、C5は0.080、A6は37000、B6は15000、C6は0.10、A7は57000、B7は28000、C7は0.05、A8は40000、B8は17000、C8は0.06である[6]~[13]、[1a]~[1d]、[3a]、[3b]、[5a]、[5b]のいずれか1項に記載の判別方法。
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係るうつ状態判定システムは、下記[14]の通りであり、好ましい態様は下記[15]~[20]、[14a]~[14d]、[16a]、[16b]、[18a]、[18b]、[19a]、[19b]の通りである。
[14]被検者の拍動間隔を計測する計測部と、前記拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して、LFおよびHFを算出する処理部と、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算し、前記左辺の値が下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定する判定部と、を備えることを特徴とするうつ状態判定システム。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、 (LF/HF)>R1 ・・・(1)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R2 ・・・(2)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R3 ・・・(3)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R4 ・・・(4)
但し、前記第1の所定年齢と前記第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、
R1~R4は定数である。
[15]R1≧R2、R3≧R4である[14]に記載のうつ状態判定システム。
[16]前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている[14]または[15]に記載のうつ状態判定システム。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H1 ・・・(5)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H2 ・・・(6)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H3 ・・・(7)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF>H4 ・・・(8)
但し、H1~H4は定数である。
[17]H1>H2、H3>H4である[16]に記載のうつ状態判定システム。
[18]前記被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測する計測部を有し、前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている[14]~[17]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
HF×活動量<B1 ・・・(10)
(LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
HF×活動量<B2 ・・・(13)
(LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
HF×活動量<B3 ・・・(16)
(LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
HF×活動量<B4 ・・・(19)
(LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
[19]前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている[18]に記載のうつ状態判定システム。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
HF/活動量<B5 ・・・(22)
(LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
HF/活動量<B6 ・・・(25)
(LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
HF/活動量<B7 ・・・(28)
(LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
HF/活動量<B8 ・・・(31)
(LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
[20]前記拍動間隔として、心電信号におけるR波とR波との間隔であるRR間隔を用いる[14]~[19]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[14a]前記第1の所定年齢が34歳、35歳、または36歳であり、前記第2の所定年齢が34歳、35歳、または36歳である[14]~[20]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[14b]前記第1の所定年齢が35歳であり、前記第2の所定年齢が35歳である[14]~[20]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[14c]R1は3.0~3.4であり、R2は3.35~3.60であり、R3は2.7~3.1であり、R4は3.00~3.40である[14]~[20]、[14a]、[14b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[14d]R1は3.4であり、R2は3.35であり、R3は3.1であり、R4は3.00である[14]~[20]、[14a]、[14b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[16a]H1は390~410、H2は240~300、H3は360~420、H4は240~280である[16]~[20]、[14a]~[14d]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[16b]H1は390、H2は240、H3は360、H4は280である[16]~[20]、[14a]~[14d]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[18a]A1は160~180、B1は80~100、C1は5~15、A2は130~150、B2は70~90、C2は0.5~0.9、A3は160~180、B3は55~65、C3は9~14、A4は145~165、B4は50~60、C4は0.45~0.55である[18]~[20]、[14a]~[14d]、[16a]、[16b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[18b]A1は160、B1は80、C1は15、A2は130、B2は70、C2は0.5、A3は160、B3は55、C3は14、A4は145、B4は50、C4は0.45である[18]~[20]、[14a]~[14d]、[16a]、[16b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[19a]A5は36000~46000、B5は23000~26000、C5は0.070~0.080、A6は37000~41000、B6は15000~18000、C6は0.08~0.10、A7は57000~61000、B7は28000~34000、C7は0.03~0.05、A8は40000~42000、B8は17000~20000、C8は0.04~0.06である[19]~[20]、[14a]~[14d]、[16a]、[16b]、[18a]、[18b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
[19b]A5は36000、B5は23000、C5は0.080、A6は37000、B6は15000、C6は0.10、A7は57000、B7は28000、C7は0.05、A8は40000、B8は17000、C8は0.06である[19]~[20]、[14a]~[14d]、[16a]、[16b]、[18a]、[18b]のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
本発明のうつ状態であると判定するための判別方法、及びうつ状態判定システムによれば、被験者の年齢、性別に応じてうつ状態であるか否かを判別することができる。これにより、医療機関への受診等が促進されて、うつ病の早期発見、早期治療につながる。
図1は、パワースペクトル積分の説明図である。 図2は、実施の形態1に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。 図3は、実施の形態2に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。 図4は、実施の形態3に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。 図5は、実施の形態4に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。 図6は、実施の形態5に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。 図7は、実施の形態6に係るうつ状態判定システムの構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係る判別方法は、被検者がうつ状態であると判定するために、被検者の拍動間隔を計測する計測ステップ、被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含む。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R1 ・・・(1)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R2 ・・・(2)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R3 ・・・(3)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R4 ・・・(4)
但し、第1の所定年齢と第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、LF、HFは、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して得た値であり、R1~R4は定数である。
特許文献1では、上述の通り、被検者の年齢、性別に関わらず覚醒時間帯における(LF/HF)/活動量等がうつ状態の判定のためのパラメータとして用いられていた。本発明者らの検討により、所定年齢未満の男女においてはLF/HFが所定値を超える場合にうつ状態である可能性が高い一方で、所定年齢以上の男女においてはLF/HFが所定値を下回る場合にうつ状態である可能性が高いことが分かった。これにより被験者の年齢、性別に応じてうつ状態であるか否かを判別し易くすることができる。以下では、当該判別方法、うつ状態判定システムの順に説明する。
1.うつ状態であると判定するための判別方法
以下では、うつ状態であると判定するための判別方法についてステップ毎に説明する。
〈計測ステップ〉
計測ステップでは、被検者の拍動間隔を計測する。
拍動間隔としては、心拍あるいは脈拍の間隔が好ましい(単位:ms)。心拍間隔は、心電図からR波とR波の間隔を読み取ること、あるいは隣り合う心拍同士の間隔を計測することにより取得してもよい。脈拍間隔は、隣り合う脈拍同士の間隔を計測することにより取得してもよい。拍動間隔またはその揺動は、自律神経活動を示しているといわれている。
拍動間隔として、心電信号におけるR波とR波との間隔であるRR間隔(以下、「RRI」と記載する)を用いることが好ましい。RRIは信号のピークがはっきり出ることにより拍動間隔の精度が高くなるため、ピーク位置の誤認識が起こりにくい。
計測ステップでは、更に、被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測することが好ましい。活動量とは、被検者の動きに伴う加速度または角速度であり、重力加速度gに対する比で表してもよい(単位:無次元量)。被検者の動きに伴う加速度Aとしては、例えば以下の式(I)で表されるように、3軸加速度計等を用いて計測される加速度であるX軸、Y軸、Z軸方向の加速度x、y、zの二乗和の平方根から重力加速度g(=9.8m/s2)分を減じた値が挙げられる(ここで単位gは重力加速度の大きさを表す)。動きがないときの加速度Aは0である。
Figure 0007337353000001
被検者の動きに伴う加速度Aは、2軸加速度計を用いて計測される被験者の加速度であるX軸、Y軸の加速度x、yの二乗和の平方根であってもよく、更にこれを重力加速度g(=9.8m/s2)に対する比で表したものであってもよい(単位:無次元量)。この場合、2軸加速度計は、測定方向が重力方向と垂直な方向になるように被験者に取付けられることが好ましい。加速度計として、ユニオンツール株式会社製のmyBeat(登録商標)が挙げられる。加速度計は被験者の胸部または腹部に配置されることが好ましく、胸部に配置されることがより好ましい。
一方、角速度Ωは被検者のX軸、Y軸、Z軸周りの角速度ω、ω、ωの二乗和の平方根であり、単位はrad/sまたは1/sである。つまり、角速度Ωは以下の式(II)で表される。
Figure 0007337353000002
角速度は回転を検出するため、例えば、睡眠時間帯における被検者の寝返りの頻度などを検出するのに適している。
〈計算ステップ〉
計算ステップでは、被検者の性別と年齢に応じて、上記式(1)~(4)の左辺を計算する。これらのうち被検者の性別と年齢に応じて、被験者一人当り上記式(1)~(4)のうちの一つの左辺を計算すればよい。以下では、式(1)~(4)をまとめて第1群の式と呼ぶ場合がある。
式(1)、(2)に係る第1の所定年齢は、33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、34歳~36歳のうちいずれか一つの年齢であることが好ましく、35歳であることがより好ましい。
式(3)、(4)に係る第2の所定年齢は、33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、34歳~36歳のうちいずれか一つの年齢であることが好ましく、35歳であることがより好ましい。第2の所定年齢は、第1の所定年齢と異なっていてもよいが、同じ年齢であることが好ましい。
式(1)~(4)中、LF、HFは、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して得た値である。LFは、例えば、時間信号fである拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを周波数Lf1からLf2まで定積分した値であり、HFは、例えば、前記パワースペクトルを周波数Hf1からHf2まで定積分した値である。好ましくはHf1>Lf1、Hf2>Lf2であり、より好ましくはHf1>Lf1、Hf2>Lf2、Hf1≧Lf2である。例えば、LFは、時間信号fである拍動間隔を周波数スペクトル変換したもの(周波数スペクトルF)を二乗することにより得られるパワースペクトルF2(第1のパワースペクトル)を周波数Lf1からLf2まで定積分した値であり、HFは、前記パワースペクトルF2(第1のパワースペクトル)を周波数Hf1(>Lf1)からHf2(>Lf2)まで定積分した値とすることができる。第1のパワースペクトルF2を用いて計算されるLF、HFの単位はms2である。具体的なR1~R4の値は特に制限されるものではなく、パワースペクトル積分の積分範囲、活動量の種類(加速度または角速度)、被検者の年齢、性別等の条件に応じて設定することができる。周波数スペクトル変換の方法としては、例えば高速フーリエ変換(FFT)、ウェーブレット解析、最大エントロピー法などを用いることができる。なお、本明細書においては、FFTを用いた場合を例として説明するが、もちろん他の方法を用いることも可能である。
例えば、拍動間隔をスプライン補間しサンプリング間隔Δtで再サンプリングした拍動間隔RRIkの離散フーリエ変換Gkは、以下の式(III)で表され、パワースペクトルF2(第1のパワースペクトル)(単位:ms2/Hz)は、以下の式(IV)で表される。ここで、kは時系列、Nはデータ数を表し、Sは任意のスケールであり、一般にパワースペクトラムではS=1である。
Figure 0007337353000003
Figure 0007337353000004
他方、LFおよびHFの値として、拍動間隔を周波数スペクトル変換した値から得たパワースペクトルF(第2のパワースペクトル)(単位:ms)を所定の区間で定積分したものを用いてもよい。このように、パワースペクトルとして拍動間隔を周波数スペクトル変換した値を用いれば、より簡便にLFおよびHFの値を算出することができる。第2のパワースペクトルFを用いて計算されるLF、HFの単位は無次元量であることが好ましい。パワースペクトルF(第2のパワースペクトル)は、以下の式(V)で表される。
Figure 0007337353000005
パワースペクトル積分について、図1を参照しながら説明する。図1の縦軸はパワースペクトル(単位:ms2/Hz)であり、横軸は周波数(単位:Hz)である。LFは、パワースペクトルF2を例えば0.04Hz(Lf1)から0.15Hz(Lf2)まで定積分した値であり、図1において斜線によりハッチングがされている部分の面積である。一方、HFは、パワースペクトルF2を例えば0.15Hz(Hf1)から0.4Hz(Hf2)まで定積分した値であり、図1において縦線によりハッチングがされている部分の面積である。図1では、Lf2とHf1がいずれも0.15Hzと等しくなるように積分範囲を設定したが、Lf1<Hf1及びLf2<Hf2の関係を満たしていることが好ましく、更にHf1≧Lf2の関係を満たしていることがより好ましい。ここでは、パワースペクトル積分の方法を、第1のパワースペクトルF2を用いて説明したが、第2のパワースペクトルFによる定積分も同様に行うことができる。
周波数スペクトル変換により得られるパワースペクトルは、血圧の変動に由来する成分でMayer-Wave関連成分ともいわれるLFと、呼吸に由来する成分HFとに分けられる。血圧変動成分LFは0.1Hz周辺のパワースペクトルであり、交感神経活動と副交感神経活動の双方に関連している。一方、呼吸由来の成分HFは0.3Hz周辺のパワースペクトルで、副交感神経活動に関連していると考えられている。以上のことから、交感神経活動及び副交感神経活動を示すLFの積分範囲は、少なくとも0.1Hzを含み、Lf1<0.1<Lf2であることが好ましい。また、Lf1は0.03Hzであることがより好ましく、0.04Hzであることがさらに好ましい。Lf2は0.16Hzであることがより好ましく、0.15Hzであることがさらに好ましい。また、副交感神経活動を示すHFの積分範囲は、少なくとも0.3Hzを含み、Hf1<0.3<Hf2であることが好ましい。Hf1は0.14Hzであることがより好ましく、0.15Hzであることがさらに好ましい。Hf2は0.41Hzであることがより好ましく、0.4Hzであることがさらに好ましい。
〈判別ステップ〉
判別ステップでは、計算ステップにて算出された左辺の値が、各式の大小関係を満足するか否かを判別する。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(1)の(LF/HF)>R1の大小関係を満たすか否か判別する。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R1は3.0であることが好ましく、3.2であることがより好ましく、3.4であることがさらに好ましい。ここでR1の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R1は1.8であることが好ましく、2.0であることがより好ましく、2.2であることがさらに好ましい。ここでR1の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(2)の(LF/HF)<R2の大小関係を満たすか否か判別する。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R2は3.60であることが好ましく、3.40であることがより好ましく、3.35であることがさらに好ましい。ここでR2の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R2は2.0であることが好ましく、1.8であることがより好ましく、1.6であることがさらに好ましい。ここでR2の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(3)の(LF/HF)>R3の大小関係を満たすか否か判別する。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R3は2.7であることが好ましく、2.9であることがより好ましく、3.1であることがさらに好ましい。ここでR3の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R3は1.7であることが好ましく、1.8であることがより好ましく、1.9であることがさらに好ましい。ここでR3の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(4)の(LF/HF)<R4の大小関係を満たすか否か判別する。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R4は3.40であることが好ましく、3.20であることがより好ましく、3.00であることがさらに好ましい。ここでR4の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、R4は1.7であることが好ましく、1.6であることがより好ましく、1.5であることがさらに好ましい。ここでR4の単位は無次元量である。
R1≧R2、及びR3≧R4のうち少なくとも一つの大小関係を満たすことが好ましく、R1≧R2、及びR3≧R4の大小関係を満たすことがより好ましい。またR1>R2、及びR3>R4の大小関係を満たしてもよい。男女共に加齢によりLF/HFの値が高くなり易いため、当該大小関係を満たすように定数を設定することにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
うつ状態であると判定するための判別方法は、被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含むことが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H1 ・・・(5)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H2 ・・・(6)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H3 ・・・(7)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF>H4 ・・・(8)
但し、H1~H4は定数である。
上記左辺の値が、各式の大小関係を満足するか否かについても判別することにより、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。以下では、上記式(5)~(8)をまとめて第2群の式と呼ぶ場合がある。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(5)のHF<H1の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H1は410であることが好ましく、400であることがより好ましく、390であることがさらに好ましい。ここでH1の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H1は21であることが好ましく、20であることがより好ましく、19であることがさらに好ましい。ここでH1の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(6)のHF<H2の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H2は300であることが好ましく、270であることがより好ましく、240であることがさらに好ましい。ここでH2の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H2は17であることが好ましく、16であることがより好ましく、15であることがさらに好ましい。ここでH2の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(7)のHF<H3の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H3は420であることが好ましく、390であることがより好ましく、360であることがさらに好ましい。ここでH3の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H3は20であることが好ましく、19であることがより好ましく、18であることがさらに好ましい。ここでH3の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(8)のHF>H4の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H4は240であることが好ましく、260であることがより好ましく、280であることがさらに好ましい。ここでH4の単位は無次元量である。他方、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、H4は16であることが好ましく、17であることがより好ましく、18であることがさらに好ましい。ここでH4の単位は無次元量である。
H1>H2、H3>H4のうち少なくとも一つの大小関係を満たすことが好ましい。これにより、誤判定の発生を低減し易くすることができる。そのため、H1>H2、及びH3>H4の大小関係を満たすことがより好ましい。
被験者毎に、上記第1群の式である式(1)~(4)のうちの一つの式に加えて、上記第2群の式(5)~(8)のうちの一つの式の大小関係を満たす場合に、うつ状態であると判定することが好ましい。上記第2群の式(5)~(8)の条件を加えることにより、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。
うつ状態であると判定するための判別方法は、被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測する計測ステップ、被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含むことが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
HF×活動量<B1 ・・・(10)
(LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
HF×活動量<B2 ・・・(13)
(LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
HF×活動量<B3 ・・・(16)
(LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
HF×活動量<B4 ・・・(19)
(LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
上記左辺の値が、各式の大小関係を満足するか否かについても判別することにより、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。以下では、上記式(9)~(20)をまとめて第3群の式と呼ぶ場合がある。
上記計算ステップでは、被検者の性別と年齢に応じて第1群の式の左辺と第3群の式の左辺とを計算することが好ましい。例えば、第1の所定年齢未満の男性の場合には、式(1)、及び式(11)の左辺を計算することが好ましく、式(1)、式(9)、式(10)及び、式(11)の左辺を計算することがより好ましい。また、第1の所定年齢以上の男性の場合には、式(2)、及び式(14)の左辺を計算することが好ましく、式(2)、式(12)、式(13)及び、式(14)の左辺を計算することがより好ましい。また、第2の所定年齢未満の女性の場合には、式(3)、及び式(17)の左辺を計算することが好ましく、式(3)、式(15)、式(16)及び、式(17)の左辺を計算することがより好ましい。また、第2の所定年齢以上の女性の場合には、式(4)、及び式(20)の左辺を計算することが好ましく、式(4)、式(18)、式(19)及び、式(20)の左辺を計算することがより好ましい。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(9)の拍動間隔×活動量<A1の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A1は180msであることが好ましく、170msであることがより好ましく、160msであることがさらに好ましい。なお、うつ状態の判定をしやすくするために、式(9)は拍動間隔×活動量/100<A11としてもよい。このときA11は、A1を100で除した値、つまりA11=A1/100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(10)のHF×活動量<B1の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B1は100ms2であることが好ましく、90ms2であることがより好ましく、80ms2であることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(10)はHF×活動量×100<B11としてもよい。このときB11は、B1に100を乗じた値、つまりB11=B1×100で表される。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B1は10であることが好ましく、9であることがより好ましく、8であることがさらに好ましい。ここでB1の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(11)の(LF/HF)/活動量>C1の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C1は5であることが好ましく、10であることがより好ましく、15であることがさらに好ましい。ここでC1の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C1は5であることが好ましく、10であることがより好ましく、15であることがさらに好ましい。ここでC1の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(11)は(LF/HF)/活動量×100>C11としてもよい。このときC11は、C1に100を乗じた値、つまりC11=C1×100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(12)の拍動間隔×活動量<A2の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A2は150msであることが好ましく、140msであることがより好ましく、130msであることがさらに好ましい。なお、うつ状態の判定をしやすくするために、式(12)式は拍動間隔×活動量/100<A21としてもよい。このときA21は、A2を100で除した値、つまりA21=A2/100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(13)のHF×活動量<B2の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B2は90ms2であることが好ましく、80ms2であることがより好ましく、70ms2であることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(13)はHF×活動量×100<B21としてもよい。このときB21は、B2に100を乗じた値、つまりB21=B2×100で表される。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B2は4.5であることが好ましく、3.5であることがより好ましく、2.5であることがさらに好ましい。ここでB2の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の覚醒時間帯における式(14)の(LF/HF)×活動量<C2の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C2は0.9であることが好ましく、0.7であることがより好ましく、0.5であることがさらに好ましい。ここでC2の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C2は0.5であることが好ましく、0.4であることがより好ましく、0.3であることがさらに好ましい。ここでC2の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(14)は(LF/HF)×活動量×100<C21としてもよい。このときC21は、C2に100を乗じた値、つまりC21=C2×100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(15)の拍動間隔×活動量<A3の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A3は180msであることが好ましく、170msであることがより好ましく、160msであることがさらに好ましい。なお、うつ状態の判定をしやすくするために、式(15)は拍動間隔×活動量/100<A31としてもよい。このときA31は、A3を100で除した値、つまりA31=A3/100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(16)のHF×活動量<B3の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B3は65ms2であることが好ましく、60ms2であることがより好ましく、55ms2であることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(16)はHF×活動量×100<B31としてもよい。このときB31は、B3に100を乗じた値、つまりB31=B3×100で表される。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B3は10であることが好ましく、9であることがより好ましく、8であることがさらに好ましい。ここでB3の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(17)の(LF/HF)/活動量>C3の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C3は9であることが好ましく、11であることがより好ましく、14であることがさらに好ましい。ここでC3の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C3は4であることが好ましく、7であることがより好ましく、10であることがさらに好ましい。ここでC3の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(17)は(LF/HF)/活動量×100>C31としてもよい。このときC31は、C3に100を乗じた値、つまりC31=C3×100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(18)の拍動間隔×活動量<A4の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A4は165msであることが好ましく、155msであることがより好ましく、145msであることがさらに好ましい。なお、うつ状態の判定をしやすくするために、式(18)は拍動間隔×活動量/100<A41としてもよい。このときA41は、A4を100で除した値、つまりA41=A4/100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(19)のHF×活動量<B4の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B4は60ms2であることが好ましく、55ms2であることがより好ましく、50ms2であることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(19)はHF×活動量×100<B41としてもよい。このときB41は、B4に100を乗じた値、つまりB41=B4×100で表される。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B4は4.0であることが好ましく、3.5であることがより好ましく、3.0であることがさらに好ましい。ここでB4の単位は無次元量である。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の覚醒時間帯における式(20)の(LF/HF)×活動量<C4の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。当該大小関係を満たすと判別する場合には、うつ状態である可能性が高いことを意味する。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C4は0.55であることが好ましく、0.50であることがより好ましく、0.45であることがさらに好ましい。ここでC4の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C4は0.045であることが好ましく、0.030であることがより好ましく、0.015であることがさらに好ましい。ここでC4の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(20)は(LF/HF)×活動量×100<C41としてもよい。このときC41は、C4に100を乗じた値、つまりC41=C4×100で表される。
A1>A2であることが好ましい。若年層の男性の方が高年層の男性の方よりも覚醒時間帯の拍動間隔×活動量の値が大きくなり易いため、A1>A2とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。A3>A4であることが好ましい。若年層の女性の方が高年層の女性の方よりも覚醒時間帯の拍動間隔×活動量の値が大きくなり易いため、A3>A4とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
B1>B2であることが好ましい。若年層の男性の方が高年層の男性の方よりも覚醒時間帯のHF×活動量の値が大きくなり易いため、B1>B2とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。B3>B4であることが好ましい。若年層の女性の方が高年層の女性の方よりも覚醒時間帯のHF×活動量の値が大きくなり易いため、B3>B4とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
C1>C3であることが好ましい。若年層において男性の方が女性より覚醒時間帯の(LF/HF)/活動量の値が大きくなり易いため、C1>C3とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。C2>C4であることが好ましい。高年層において男性の方が女性より覚醒時間帯の(LF/HF)×活動量の値が大きくなり易いため、C2>C4とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
A1>A2、A3>A4、B1>B2、B3>B4、C1>C3、及びC2>C4のうち少なくとも一つの大小関係を満たすことが好ましく、A1>A2、B1>B2、B3>B4、C1>C3、及びC2>C4の大小関係を満たすことがより好ましく、A1>A2、A3>A4、B1>B2、B3>B4、C1>C3、及びC2>C4の大小関係を満たすことがさらに好ましい。
被験者毎に、上記第1群の式である式(1)~(4)のうちの少なくとも一つの式に加えて、上記第3群の式(9)~(20)のうちの少なくとも一つの式の大小関係を満たす場合に、うつ状態であると判定することが好ましい。上記第3群の式(9)~(20)の条件を加えることにより、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。
上記計測ステップ、および計算ステップでは、覚醒時間帯における被験者の生体情報を処理するが、更に、睡眠時間帯における被験者の生体情報を処理することが好ましい。覚醒時間帯とは被検者の目が覚めている、つまり起きている時間帯を指す。一方、睡眠時間帯とは、被検者が眠っている時間帯であり、覚醒時間帯以外の時間帯を指す。覚醒時間帯と睡眠時間帯は、被検者の生活環境や精神状態により様々な態様を示すものであり、時間長や時間帯が特に限定されるものではない。
覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類は、被検者へのアンケートによって睡眠開始時間と覚醒開始時間を自己申告してもらうことにより行ってもよいし、後述するうつ状態判定システムに設けられる入力手段により行ってもよい。そのほか、例えば特開2010-179133号公報や特開2009-297474号公報に記載の公知の睡眠状態計測方法等を適用することもできる。
被検者の姿勢に伴う加速度を計測し、加速度と所定値を比較することによって覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類することが好ましい。この分類方法によれば、被検者の自己申告は不要であるため、被検者の検査負担が軽減される。また、被検者の申告漏れや申告誤りによる覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類ミスの発生も抑止される。
睡眠時間帯の身長方向の加速度が立位時に負の値となるように加速度計が調整されている場合、睡眠時間帯の身長方向の加速度は、覚醒時間帯の身長方向の加速度と比べて大きい傾向にある。このように、身長方向の加速度は、覚醒時間帯と睡眠時間帯で差があることから、覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類に適している。そのため、覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類に用いる加速度としては、被検者の姿勢に伴う身長方向の加速度であることが好ましい。身長方向とは、被検者の足部から頭部へ向かう方向である。
身長方向の加速度を用いた覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類としては、以下の第一の分類方法、第二の分類方法、第三の分類方法が挙げられる。
第一の分類方法は、式(33)が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、式(33)が満足されない時間帯を覚醒時間帯に分類する方法である。以降説明する覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類方法の例示において、被検者の立位時に計測された身長方向の加速度が正の値の場合は、身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度T(単位:無次元量)とし、被検者の立位時に計測された身長方向の加速度が負の値の場合は、当該負の値を負加速度Tとする。
T≧D1・・・(33)
但し、D1は定数である(単位:無次元量)。
このように式(33)を用いて負加速度Tと所定値D1の大小を比較することによって、覚醒時間帯と睡眠時間帯を容易に分類することができる。この方法は、リアルタイムで覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類する必要がある場合に適している。D1は、-0.85であることが好ましく、-0.80であることがより好ましく、-0.75であることが更に好ましい。
第二の分類方法は、式(33)が満足される時間帯のうち最長の時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する方法である。具体的には、計測単位時間の間、式(33)が満足される時間帯のうち最長の時間帯を睡眠時間帯に分類し、当該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する。計測単位時間は、計測開始から計測終了までの時間長である。本方法では式(33)が満足される最長の時間帯を睡眠時間帯に分類することから、この際、1日に少なくとも1つの睡眠時間帯が得られるように、計測単位時間は24時間以内の時間長である。第二の分類方法は、睡眠時に中途半端な時間で起きずに連続して眠ることができる被検者に対して有効である。
第三の分類方法は、所定時間以上連続して式(33)が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、当該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する方法である。所定時間は、睡眠時以外の状態で臥位になったと推定される時間帯を覚醒時間帯とみなすために設定される時間長である。所定時間は例えば15分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上に設定することができる。第三の分類方法では、細切れに分類された睡眠時間帯を積算することにより実質的な睡眠時間帯を推定するため、睡眠時に中途半端な時間で起きてしまう中途覚醒の不眠症を抱えた被検者に対して有効である。
加速度を用いて覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類する場合、当該加速度は、加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行った後の値であることが好ましい。モルフォロジー演算は、画像処理でノイズ除去のために用いられる。このため、加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行った後の値を式(33)に適用すれば、得られた加速度のうち、総計測時間と比較して短時間(例えば、総計測時間の1/150時間以内)に変化する値は除去される。このため、加速度-時間波形の全体の輪郭が抽出されて、覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類しやすくなる。
モルフォロジー演算に要する処理時間を短縮するために、所定値D1をしきい値として2値化処理がなされた加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行うことも好ましい。2値化処理では、例えば、加速度が所定値(しきい値)D1以上の場合に加速度を0とみなし、加速度が所定値D1未満での場合に加速度を1とみなす。
モルフォロジー演算は、例えば、線を太くする処理を行う膨張演算、線を細くする処理を行う収縮演算、収縮演算後に膨張演算を行うオープニング処理、膨張演算後に収縮演算を行うクロージング処理がある。モルフォロジー演算後の加速度を用いて覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類する場合、モルフォロジー演算が、所定の時間幅で行われるオープニング処理とクロージング処理の少なくともいずれか一方であることが好ましい。また、モルフォロジー演算として、オープニング処理およびクロージング処理の両方を行うことがより好ましい。このように膨張演算と収縮演算を組み合わせることによって、加速度-時間波形の全体の輪郭を抽出しやすくなるため、覚醒時間帯と睡眠時間帯をより一層分類しやすくなる。
オープニング処理やクロージング処理を行う回数は特に限定されないが、オープニング処理、クロージング処理をそれぞれ1回以上実施することが好ましく、オープニング処理、クロージング処理をそれぞれ2回以上実施することがより好ましい。
膨張演算や収縮演算を行う際の時間幅についても適宜設定すればよいが、例えば、1回目のオープニング処理及びクロージング処理の時間幅を2分とし、2回目のオープニング処理およびクロージング処理の時間幅を5分とすることができる。このように処理回数を重ねる毎に、処理時の時間幅を大きくすることが好ましい。このように、オープニング処理およびクロージング処理の時間幅を段階的に大きくすることで、総計測時間と比較して短時間に変化した加速度のデータが除去されるのを抑止する。
うつ状態であると判定するための判別方法は、被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び左辺の値が、下記式の大小関係を満足するか否かを判別する判別ステップを含むことが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
HF/活動量<B5 ・・・(22)
(LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
HF/活動量<B6 ・・・(25)
(LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
HF/活動量<B7 ・・・(28)
(LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
HF/活動量<B8 ・・・(31)
(LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
被検者の性別と年齢に応じて、睡眠時間帯における上記左辺の値が、各式の大小関係を満足するか否かについても判別することにより、健常者をうつ状態と過って判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。以下では、上記式(21)~(32)をまとめて第4群の式と呼ぶ場合がある。
計算ステップでは、第1群の式の左辺と、第2群の式の左辺、第3群の式の左辺、および第4群の式の左辺のうち少なくとも一つの群の左辺とを計算することが好ましく、第1群の式の左辺と、第2群の式の左辺、第3群の式の左辺、または第4群の式の左辺とを計算することがより好ましく、第1群の式の左辺と、第3群の式の左辺とを計算することが更に好ましい。
計算ステップでは、被検者の性別と年齢に応じて式(21)~(32)の左辺を計算することが好ましい。第4群の式の左辺について、例えば、第1の所定年齢未満の男性の場合には、式(23)の左辺を計算することが好ましく、式(21)、式(22)及び式(23)の左辺を計算することがより好ましい。第1の所定年齢以上の男性の場合には、式(26)の左辺を計算することが好ましく、式(24)、式(25)及び式(26)の左辺を計算することがより好ましい。第2の所定年齢未満の女性の場合には、式(29)の左辺を計算することが好ましく、式(27)、式(28)及び式(29)の左辺を計算することがより好ましい。第2の所定年齢以上の女性の場合には、式(32)の左辺を計算することが好ましく、式(30)、式(31)及び式(32)の左辺を計算することがより好ましい。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被験者の睡眠時間帯における式(21)の拍動間隔/活動量<A5の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A5は46000msであることが好ましく、41000msであることがより好ましく、36000msであることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(21)は(拍動間隔/活動量)/100<A51としてもよい。このときA51は、A5を100で除した値、つまりA51=A5/100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の睡眠時間帯における式(22)のHF/活動量<B5の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B5は26000ms2であることが好ましく、25000ms2であることがより好ましく、24000ms2であることがさらに好ましく、23000ms2であることが最も好ましい。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B5は625であることが好ましく、615であることがより好ましく、605であることがさらに好ましい。ここでB5の単位は無次元量である。この場合、うつ状態の判定をしやすくするために、式(22)は(HF/活動量)/1000<B51としてもよい。このときB51は、B5を1000で除した値、つまりB51=B5/1000で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢未満の男性については、被検者の睡眠時間帯における式(23)の(LF/HF)×活動量>C5の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C5は0.070であることが好ましく、0.075であることがより好ましく、0.080であることがさらに好ましい。ここでC5の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C5は0.015であることが好ましく、0.030であることがより好ましく、0.045であることがさらに好ましい。ここでC5の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(23)は(LF/HF)×活動量×100>C51としてもよい。このときC51は、C5に100を乗じた値、つまりC51=C5×100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被験者の睡眠時間帯における式(24)の拍動間隔/活動量<A6の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A6は41000msであることが好ましく、39000msであることがより好ましく、37000msであることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(24)は(拍動間隔/活動量)/100<A61としてもよい。このときA61は、A6を100で除した値、つまりA61=A6/100で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の睡眠時間帯における式(25)のHF/活動量<B6の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B6は18000ms2であることが好ましく、17000ms2であることがより好ましく、16000ms2であることがさらに好ましく、15000ms2であることが最も好ましい。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B6は550であることが好ましく、540であることがより好ましく、530であることがさらに好ましい。ここでB6の単位は無次元量である。この場合、うつ状態の判定をしやすくするために、式(25)は(HF/活動量)/1000<B61としてもよい。このときB61は、B6を1000で除した値、つまりB61=B6/1000で表される。
判別ステップでは、第1の所定年齢以上の男性については、被検者の睡眠時間帯における式(26)の(LF/HF)×活動量>C6の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C6は0.08であることが好ましく、0.09であることがより好ましく、0.10であることがさらに好ましい。ここでC6の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C6は0.056であることが好ましく、0.059であることがより好ましく、0.062であることがさらに好ましい。ここでC6の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(26)は(LF/HF)×活動量×100>C61としてもよい。このときC61は、C6に100を乗じた値、つまりC61=C6×100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被験者の睡眠時間帯における式(27)の拍動間隔/活動量<A7の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A7は61000msであることが好ましく、59000msであることがより好ましく、57000msであることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(27)は(拍動間隔/活動量)/100<A71としてもよい。このときA71は、A7を100で除した値、つまりA71=A7/100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の睡眠時間帯における式(28)のHF/活動量<B7の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B7は34000ms2であることが好ましく、32000ms2であることがより好ましく、30000ms2であることがさらに好ましく、28000ms2であることが最も好ましい。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B7は650であることが好ましく、640であることがより好ましく、630であることがさらに好ましい。ここでB7の単位は無次元量である。この場合、うつ状態の判定をしやすくするために、式(28)は(HF/活動量)/1000<B71としてもよい。このときB71は、B7を1000で除した値、つまりB71=B7/1000で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢未満の女性については、被検者の睡眠時間帯における式(29)の(LF/HF)×活動量>C7の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C7は0.03であることが好ましく、0.04であることがより好ましく、0.05であることがさらに好ましい。ここでC7の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C7は0.050であることが好ましく、0.053であることがより好ましく、0.056であることがさらに好ましい。ここでC7の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(29)は(LF/HF)×活動量×100>C71としてもよい。このときC71は、C7に100を乗じた値、つまりC71=C7×100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被験者の睡眠時間帯における式(30)の拍動間隔/活動量<A8の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量が加速度の場合には、A8は42000msであることが好ましく、41000msであることがより好ましく、40000msであることがさらに好ましい。うつ状態の判定をしやすくするために、式(30)は(拍動間隔/活動量)/100<A81としてもよい。このときA81は、A8を100で除した値、つまりA81=A8/100で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の睡眠時間帯における式(31)のHF/活動量<B8の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B8は20000ms2であることが好ましく、19000ms2であることがより好ましく、18000ms2であることがさらに好ましく、17000ms2であることが最も好ましい。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるHFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、B8は550であることが好ましく、525であることがより好ましく、500であることがさらに好ましい。ここでB8の単位は無次元量である。この場合、うつ状態の判定をしやすくするために、式(31)は(HF/活動量)/1000<B81としてもよい。このときB81は、B8を1000で除した値、つまりB81=B8/1000で表される。
判別ステップでは、第2の所定年齢以上の女性については、被検者の睡眠時間帯における式(32)の(LF/HF)×活動量>C8の大小関係を満たすか否か判別することが好ましい。例えば活動量として加速度を用いて、第1のパワースペクトルF2から得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C8は0.04であることが好ましく、0.05であることがより好ましく、0.06であることがさらに好ましい。ここでC8の単位は無次元量である。他方、活動量として加速度を用いて、第2のパワースペクトルFから得られるLFの積分範囲を0.04~0.15Hz、HFの積分範囲を0.15Hz~0.4Hzにした場合、C8は0.049であることが好ましく、0.052であることがより好ましく、0.055であることがさらに好ましい。ここでC8の単位は無次元量である。うつ状態の判定をしやすくするために、式(32)は(LF/HF)×活動量×100>C81としてもよい。このときC81は、C8に100を乗じた値、つまりC81=C8×100で表される。
A5<A6であることが好ましい。若年層の男性の方が高年層の男性よりも睡眠時間帯の拍動間隔/活動量の値が小さくなり易いため、A5<A6とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。A7>A8であることが好ましい。若年層の女性の方が高年層の女性よりも睡眠時間帯の拍動間隔/活動量の値が大きくなり易いため、A7>A8とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
B5>B6であることが好ましい。若年層の男性の方が高年層の男性よりも睡眠時間帯のHF/活動量の値が大きくなり易いため、B5>B6とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。B7>B8であることが好ましい。若年層の女性の方が高年層の女性よりも睡眠時間帯のHF/活動量の値が大きくなり易いため、B7>B8とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
C5<C6であることが好ましい。若年層の男性の方が高年層の男性よりも睡眠時間帯の(LF/HF)×活動量の値が小さくなり易いため、C5<C6とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。C7<C8であることが好ましい。若年層の女性の方が高年層の女性よりも睡眠時間帯の(LF/HF)×活動量の値が小さくなり易いため、C7<C8とすることにより、うつ状態の判別の精度が向上する。
A5<A6、A7>A8、B5>B6、B7>B8、C5<C6、及びC7<C8のうち少なくとも一つの大小関係を満たすことが好ましく、A5<A6、A7>A8、B5>B6、及びB7>B8のうち少なくとも一つの大小関係を満たすことが好ましく、A5<A6、A7>A8、B5>B6、及びB7>B8の大小関係を満たすことがより好ましく、A5<A6、A7>A8、B5>B6、B7>B8、C5<C6、及びC7<C8の大小関係を満たすことが更に好ましい。
被験者毎に、上記第1群の式である式(1)~(4)のうちの一つの式に加えて、上記第4群の性別と年齢に応じた式(21)~(32)のうちの少なくとも一つの式の大小関係を満たす場合に、うつ状態であると判定することが好ましい。上記第4群の式(21)~(32)の条件を加えることにより、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定の発生を低減することができる。また被験者毎に、上記第1群の性別と年齢に応じた式(1)~(4)のうちの一つの式に、上記第2群の性別と年齢に応じた式(5)~(8)のうちの一つの式、及び式(21)~(32)のうちの少なくとも一つの大小関係を満たす場合に、うつ状態であると判定することがより好ましく、上記第1群の性別と年齢に応じた式(1)~(4)のうちの一つの式に、上記第3群の性別と年齢に応じた式(9)~(20)のうちの少なくとも一つの式、及び式(21)~(32)のうちの少なくとも一つの式の大小関係を満たす場合に、うつ状態であると判定することが更に好ましい。
うつ状態であると判定するための判別方法は、うつ状態の判別結果を被検者等に通知する通知ステップを含むことが好ましい。通知方法は、音声、静止画、動画などが挙げられる。被検者に判別結果を通知することにより、医療機関への受診等が促進される。
これらのうつ状態であると判定するための判別方法は、例えば以下に詳述するうつ状態判定システム等を用いて実施することができる。上記判別方法の各ステップの少なくとも一部のステップは、被験者、操作者等により実行されてもよく、計測ステップ、計算ステップ、及び判別ステップが下記のうつ状態判定システムにより実行されることが好ましく、計測ステップ、計算ステップ、判別ステップ、及び通知ステップが下記のうつ状態判定システムにより実行されることがより好ましい。なお全ステップが下記うつ状態判定システムにより実行されてもよい。
2.うつ状態判定システム
うつ状態判定システムは、被検者の拍動間隔を計測する計測部と、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して、LFおよびHFを算出する処理部と、被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算し、左辺の値が下記式の大小関係を満足する場合に被検者がうつ状態であると判定する判定部と、を備える。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R1 ・・・(1)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R2 ・・・(2)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)>R3 ・・・(3)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
(LF/HF)<R4 ・・・(4)
但し、第1の所定年齢と第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、R1~R4は定数である。
上記の通り、うつ状態判定システムは、計測部と、処理部と、判定部とを備える。計測部は、例えば、被検者の心拍を計測する心電計や心拍センサ、被検者の脈波を計測して脈拍を求める脈波センサ、被検者の活動量を計測する加速度センサまたは角速度センサ等である。処理部は、計測部により計測された拍動間隔に基づき、周波数スペクトル変換を行い、パワースペクトル積分値を算出し、うつ状態の判定に用いるLF及びHFを算出する。処理部は、計測部で計測された被検者の加速度等に基づいて、活動量を算出してもよい。判定部は、計測部で計測された処理部で得られたLF及びHFを用いて、被検者の性別と年齢に応じて判定データを作成して、定数R1~R4等の所定値と判定データを比較することによりうつ状態の判定を行う。処理部及び判定部を構成する装置としては、うつ状態の判定に用いる判定データの作成や、所定値と判定用データの比較等を行うソフトウェアを搭載するコンピュータや計測機器等の解析機が挙げられる。
上記式(1)~(4)の詳細については、「1.うつ状態であると判定するための判別方法」の記載を参照することができる。
判定部は、被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に被検者がうつ状態であると判定するように制御されていることが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H1 ・・・(5)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H2 ・・・(6)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF<H3 ・・・(7)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
HF>H4 ・・・(8)
但し、H1~H4は定数である。
上記式(5)~(8)の詳細については、「1.うつ状態であると判定するための判別方法」の記載を参照することができる。
うつ状態判定システムは、被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測する計測部を有し、判定部は、被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に被検者がうつ状態であると判定するように制御されていることが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
HF×活動量<B1 ・・・(10)
(LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
HF×活動量<B2 ・・・(13)
(LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
HF×活動量<B3 ・・・(16)
(LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の覚醒時間帯における、
拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
HF×活動量<B4 ・・・(19)
(LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
上記式(9)~(20)の詳細については、「1.うつ状態であると判定するための判別方法」の記載を参照することができる。
判定部は、被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に被検者がうつ状態であると判定するように制御されていることが好ましい。
[I]第1の所定年齢未満の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
HF/活動量<B5 ・・・(22)
(LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
[II]第1の所定年齢以上の男性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
HF/活動量<B6 ・・・(25)
(LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
[III]第2の所定年齢未満の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
HF/活動量<B7 ・・・(28)
(LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
[IV]第2の所定年齢以上の女性
被検者の睡眠時間帯における、
拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
HF/活動量<B8 ・・・(31)
(LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
上記式(21)~(32)の詳細については、「1.うつ状態であると判定するための判別方法」の記載を参照することができる。以下では、うつ状態判定システムの実施の形態1~6について説明する。
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1に係るうつ状態判定システム1の構成を示すブロック図である。図2に示すうつ状態判定システム1は、計測部を構成するセンサ10と、解析機50とを備える。
(1)計測部
センサ10は、計測部11を有し、計測部11は拍動間隔を検出する拍動計測部12を有している。計測部11は、更に、活動量を検出する活動量計測部13を有することが好ましい。センサ10は、小型軽量であり、本体裏面の電極(図示せず)を被検者の胸部に密着させた状態で、被検者の肌に本体ごと取りつけることができる。これにより、センサ10は服の下に隠れ目立たなくなる。
うつ状態判定システムは、拍動間隔として、心電信号におけるR波とR波との間隔であるRR間隔(RRI)を用いることが好ましい。RRIは信号のピークがはっきり出ることにより拍動間隔の精度が高くなるため、ピーク位置の誤認識が起こりにくい。なお、本実施の形態においては、拍動間隔としてRRIを、活動量として加速度を計測することが好ましい。
拍動計測部12は、電極を被検者の胸部に密着させた状態で心電信号を計測し、この心電信号に基づきRRIを算出して解析機50へ送信する。なお、センサ10の拍動計測部12が心電信号に基づきRRIを算出したが、RRIの算出は後述する処理部51で行われてもよい。
拍動計測部12では、心拍を測定する代わりに脈波を測定してもよい。脈波は、人の指先や耳たぶ等に波長が700nm~1200nmの近赤外線を照射し、近赤外線の反射量を接触あるいは非接触で測定することができる。脈波を測定する場合は、比較的測定器を体に取り付け易いという利点があり、特に非接触で測定するタイプを使用した場合には、測定器を体に取り付ける煩わしさがなくなるので、広く普及する可能性がある。このように測定した脈波の隣り合うピーク同士の間隔から脈拍間隔を求めることができる。
計測部11の活動量計測部13では、例えば被検者のX軸、Y軸、Z軸方向における加速度を計測して解析機50へ送信する。加速度を計測するセンサの種類は特に限定されず、例えば、ピエゾ抵抗体型加速度センサ、圧電型加速度センサ、静電容量型加速度センサなどを用いることができる。ピエゾ抵抗体型加速度センサは、半導体を用いているため小型で量産化がしやすい。圧電型加速度センサは、比較的高い加速度の検出がしやすい。静電容量型加速度センサはピエゾ抵抗体型加速度センサに比べて高感度で、検出可能な加速度の範囲が広く、温度依存性も小さい。
活動量として、加速度の代わりに角速度を検出してもよい。角速度を計測するセンサの種類は特に限定されず、例えば、回転型、振動型、ガス型、光ファイバー型、リングレーザー型の角速度センサを用いることができる。
計測部11で計測された拍動間隔、活動量等のデータを解析機50の受信部52に送信する方法として、無線通信を用いてもよいし、有線通信を用いてもよい。特に無線通信でデータを送受する場合は、内蔵するバッテリーの持ちを向上させるために、例えば3個分のRRIをまとめて送信する等により送受信の頻度を下げることが好ましい。また、活動量を用いる場合には、加速度はRRIと同じタイミングで送受することが好ましい。
消費電力を抑制する観点から、センサは電源をON状態にしてから所定時間経過した後、自動的に電源がOFF状態になることが好ましい。所定時間はうつ状態の判定に必要なデータ数を考慮して設定すればよく、例えば24時間や48時間などに設定することができる。
(2)処理部
解析機50は、処理部51と判定部81を備え、処理部51は受信部52、周波数スペクトル変換部55、パワースペクトル積分算出部56を備える。受信部52では、センサ10から送信されるRRIと活動量を受信する。
周波数スペクトル変換部55では、FFT等の周波数スペクトル変換方法を用いて、受信部52から送信された時間信号であるRRIを周波数スペクトルに変換する。次に、パワースペクトル積分算出部56では、周波数スペクトル変換部55で得られたスペクトルからパワースペクトルを算出して、所定の周波数範囲で積分を行うことにより、LF及びHFを求める。具体的には、以下のような処理が行われる。まず、周波数スペクトル変換部55で得られた周波数スペクトルからパワースペクトルを算出すると、縦軸がパワースペクトル密度、横軸が周波数の分布図が得られる。次に、Lf1~Lf2の範囲、及びHf1~Hf2の範囲でパワースペクトルを積分することにより、LFとHFをそれぞれ求める。なお、好ましくはLf1<Hf1、Lf2<Hf2である。なお、パワースペクトルの具体的な算出方法は、「1.うつ状態であると判定するための判別方法」で述べたとおりであり、パワースペクトルとして、例えば第1のパワースペクトルF2を用いてもよ
く、第2のパワースペクトルFを用いてもよい。
(3)判定部
うつ状態判定システムの判定部81は、判定データ作成部82と、所定値格納部83と、比較部84を備える。まず、判定データ作成部82では、被検者の性別と年齢に応じて、うつ状態の判定に用いる式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの左辺の算出に必要な判定データを作成する。式(9)等を用いる場合、RRI、活動量等は処理部51の受信部52から判定データ作成部82へ送信される。HF及びLFは処理部51のパワースペクトル積分算出部56から判定部81の判定データ作成部82に送信される。これらのデータに基づいて式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの左辺に記載される判定データを作成する。判定データ作成部82は、例えば後述する入力部から性別、年齢を取得して、性別、年齢に応じて式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの左辺を選択して、左辺の値を算出することができる。
所定値格納部83にはうつ状態の判定に用いる式(1)~式(4)の右辺に記載される定数R1~R4等の所定値が格納されている。所定値格納部83は、所定値を被検者の性別、年齢毎に適宜変更することができるように制御されていることが好ましい。例えば、所定値格納部83は、例えば後述する入力部から性別、年齢に応じた所定値を取得することがより好ましい。
比較部84では、判定データ作成部82で作成された判定用データ(例えば式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの左辺のデータ)と、所定値格納部83に格納されている所定値(例えば式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの右辺のデータ)を式に代入して、左辺と右辺の大小を比較し、式の大小関係を満足するか判定する。大小関係を満足する場合はうつ状態であると判定し、満足しない場合にはうつ状態ではないと判定する。
解析機50は、被験者の性別、年齢、所定値等を入力するための入力部を有することが好ましい。これにより、判定データ作成部82が、性別、年齢に応じて式(1)~式(4)のうちのいずれか一つの左辺を選択して、左辺の値を算出することができる。またこれにより、所定値格納部83は、入力部から性別、年齢に応じた所定値を取得することができる。入力部としては、ボタン、タッチパネル、キーボード等が挙げられる。入力部は、センサ10に設けられていてもよい。
解析機50は、判定部81からうつ状態の判定結果を被検者等に通知する通知部91を有することが好ましい。通知方法は、音声、静止画、動画など特に限定されない。医師やカウンセラーなどの専門家、被検者やその家族等、通知対象者の専門知識レベルに応じて通知内容を変えることも可能である。ここではうつ状態判定システム1に通知部91が設けられる例を示したが、うつ状態判定システム1とは別の通知用機器に判定結果を送信し、被検者等へ結果を通知してもよい。通知用機器としては、例えば外付けモニタ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スピーカー、イヤホンなどが挙げられる。
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係るうつ状態判定システム2の構成を示すブロック図である。図3に示すうつ状態判定システム2は、センサ10と、解析機60とを備える。なお、実施の形態1のうつ状態判定システム1と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
解析機60は、処理部61と、判定部81を備え、処理部61は、受信部62、異常値検出部63、異常値除去部64、周波数スペクトル変換部65、パワースペクトル積分算出部66を含む。
異常値検出部63は、受信部62から出力されたRRI及び活動量が、異常値とみなすべきものであるか否かを判断する。RRIが異常値とみなすべきものであるか否かは次のように判断する。実施の形態2では、RRI(秒単位)の逆数を60倍して瞬時心拍数を算出し、1拍分前の瞬時心拍数との差の絶対値が第1の所定数(本実施の形態では、「18」とする)以下である直近の複数点(本実施の形態では、「8点」とする)における平均を算出する。次に当該平均と評価対象のRRIに対応する瞬時心拍数との差の絶対値が第2の所定数(本実施の形態では「35」とする)以上である場合に、評価対象のRRIを異常値とみなす。ここで、第1の所定数は30が好ましく、より好ましくは20、さらに好ましくは15である。また、第2の所定数は50が好ましく、より好ましくは40、さらに好ましくは30である。
なお、第1の所定数、第2の所定数、直近の複数点の数を、個人差等に応じて適宜変更してもよい。例えば、第1の所定数を30以下、第2の所定数を30以上、直近の複数点の数を4~20の範囲内で適宜変更してもよい。
活動量については、活動量がマイナスの値になっているときには異常値とみなしてもよい。
異常値除去部64は、異常値検出部63により異常値とみなされたRRIを周波数スペクトル変換部65におけるデータ処理の対象から除外する。また、異常値除去部64は、異常値検出部63により異常値とみなされたRRI及び活動量を判定データ作成部82におけるデータ処理の対象から除外する。
実施の形態2に係るうつ状態判定システム2は、上記第3群の式、上記第4群の式を用いる場合に特に有効である。
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3に係るうつ状態判定システム3の構成を示すブロック図である。図4に示すうつ状態判定システム3は、センサ20と、解析機50とを備える。なお、実施の形態1のうつ状態判定システム1と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
センサ20の計測部21には、拍動計測部22と、活動量計測部23に加えて、覚醒状態または睡眠状態を入力する入力手段24が設けられることが好ましい。これにより、覚醒時間帯の開始時と睡眠時間帯の開始時に被検者が自ら入力手段24を操作することにより、覚醒情報及び睡眠情報を得ることができる。入力手段24とは、例えば、センサの表面に設けられたスイッチであり、このスイッチはボタン型でもよく、レバー型でもよく、その方式は特に限定されない。
入力手段24はうつ状態判定システム3のセンサ20ではなく、解析機50に設けられることも好ましい。これにより、センサ20に入力手段24が設けられる場合に比べて、睡眠時の寝返りなどに伴って被検者が無意識のうちに入力手段24を操作することを防止することができる。
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4に係るうつ状態判定システム4の構成を示すブロック図である。図5に示すうつ状態判定システム4は、センサ30と、解析機50とを備える。なお、実施の形態1のうつ状態判定システム1と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
センサ30の計測部31には、拍動計測部32と、活動量計測部33に加えて、体温計測部34となる体温計測手段が設けられることが好ましい。うつ状態の場合は低体温になりやすいことが知られている。うつ状態では夜型の生活になりやすくなり、日の光を浴びる機会が減少するため、体内時計を正常に合わせることが困難になるためである。さらに、うつ状態の患者は夜間であっても体温が高いため、身体が休まらない状態になり易い。このため、体温計測手段(体温計測部34)により体温データを取得して、上記式(1)~式(4)によるうつ状態の判定と組み合わせることにより、うつ状態の判定精度をさらに向上させることができる。
一般に体温は口腔、腋下、鼓膜など環境温度による影響が小さい身体の深部で測定されるが、うつ状態判定システムの計測部は、心拍や脈波を測定するために被検者の肌に取りつけられるものであるため、深部体温を直接計測することは困難である。したがって、ここでの体温とは深部体温だけではなく、体表面温も含むものとする。また、体温を直接測定せずに計測部を構成する部材、例えばセンサの基板の温度を測定することも可能である。被検者の体温が上昇すればセンサの基板温度も上昇するため、センサの基板温度を測定すれば相対的に体温の変化を計測することができる。体温計測手段は温度センサであればその種類は特に限定されず、例えば白金、ニッケル、銅などの金属測温抵抗体、熱電対、サーミスタ、IC化温度センサ、水晶温度計などを用いることができる。
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5に係るうつ状態判定システム5の構成を示すブロック図である。図6に示すうつ状態判定システム5は、センサ40と、解析機70とを備える。なお、実施の形態1のうつ状態判定システム1と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
センサ40には、拍動計測部42と活動量計測部43から構成される計測部41で取得した生体情報を一時的に保存するデータ保存部44が設けられることが好ましい。センサ40で取得したデータを逐次的に解析機70に送信してデータを処理する必要がないため、データ通信によって消費する電力量を抑制することができる。例えば、被検者が自宅でセンサを用いて計測を行い、後日、医療機関にある解析機を用いて医師がうつ状態であるか否かを判定する場合などに適している。
解析機70の処理部71は、周波数スペクトル変換及びパワースペクトル積分を行うためにデータ保存部44に保存されたRRIのデータを読み出す。判定部81では、データ保存部44から読み出したRRIのデータと、周波数スペクトル変換部75及びパワースペクトル積分算出部76で算出されたLF及びHFを用いてうつ状態の判定を行う。判定部81では、活動量を用いてもよい。なお、小型軽量なセンサを得るために、データ保存部44には公知の半導体メモリを用いることが好ましい。
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6に係るうつ状態判定システム6の構成を示すブロック図である。図7に示すうつ状態判定システム6は、センサ10と、解析機100とを備える。なお、実施の形態1のうつ状態判定システム1と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
センサ10の計測部11の活動量計測部13ではX、Y、Z軸のうちいずれか1軸が身長方向の加速度と一致している。これは、身長方向の加速度の値を用いて覚醒時間帯と睡眠時間帯の分類を行うためである。
解析機100は、処理部101と、判定部81を備え、処理部101は、受信部102、周波数スペクトル変換部105、パワースペクトル積分算出部106、モルフォロジー演算部107を含む。
モルフォロジー演算部107では、受信部102から出力された負加速度-時間波形のノイズを除去するために負加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行う。ここでモルフォロジー演算としては上述したように、例えば、膨張演算、収縮演算、オープニング処理、クロージング処理、これらの組み合わせを適用することができる。なお、図7には示していないが、処理部101には、モルフォロジー演算部107での処理前に、所定値D1をしきい値として負加速度の値の大きさを二値化する二値化処理部を設けることもできる。二値化処理部では、例えば、負加速度TがD1以上であれば負加速度Tは0とみなされ、負加速度TがD1未満であれば1とみなされる。このように、モルフォロジー演算に先立って、加速度に対して二値化処理を行うことにより、モルフォロジー演算に要する処理時間を短縮することができる。所定値D1の値は特に制限されないが、例えば-0.85gであることが好ましく、-0.8gであることがより好ましく、-0.75gであることがさらに好ましい(ここで単位gは重力加速度の大きさを表す)。
判定部81では、処理部101のモルフォロジー演算部107で処理された負加速度Tの値を所定値D1と比較して、式(33)が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、式(33)が満足されない時間帯を覚醒時間帯に分類する。
T≧D1・・・(33)
但し、D1は定数である。
ここでは単に式(33)を用いて覚醒時間帯と睡眠時間帯を分類する第一の分類方法を用いて説明したが、上述したように、式(33)が満足される時間帯のうち最長の時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する方法(第二の分類方法)や、所定時間以上連続して式(33)が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、当該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する方法(第三の分類方法)を用いることが可能である。
実施の形態6に係るうつ状態判定システム6は、特に上記第4群の式を用いる場合に有効である。
処理部、判定部、及び通知部は、解析機の構成単位であることが好ましいが、これらのうち少なくとも一つが他の機器の構成単位であってもよい。各部は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ(MPU)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、FPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の論理回路これらの一部または全部等から構成されていてもよい。また解析機は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の補助記憶装置、CD-ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型の記録媒体を有していてもよい。
本願は、2020年12月22日に出願された日本国特許出願第2020-212223号に基づく優先権の利益を主張するものである。2020年12月22日に出願された日本国特許出願第2020-212223号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
(検証)
精神系の医療機関に通院していない健常者84人と、双極性障害または大うつ病患者と医師に診断され医療機関に通院している患者57人を被験者として、実施の形態1のうつ状態判定システム1の有用性についての検証を行った。
まず被験者を健常者と患者に分け、更に男性と女性に分け、更に35歳未満と35歳以上に分けて、最終的に表1、2に示す通り8群(MP1群、MP2群、FP1群、FP2群、MH1群、MH2群、FH1群、FH2群)に分けた。
次いで、被験者に対して一人ずつうつ状態判定システム1の小型の心電計を48時間、装着させて、覚醒時間帯及び睡眠時間帯におけるRRI(単位:ms)と活動量(加速度)(単位:無次元量)を測定した。心電計で測定したRRIを周波数スペクトル変換して、得られた第1のパワースペクトルF2(単位:ms2/Hz)についてパワースペクトル積分を行うことによりLF及びHF(単位:ms2)を算出した。そして得られたHF/LFの値を、うつ状態であると判定するための判別方法の式(1)~(4)等に適用して、各式を満足するか判別した。なお、本検証においてR1、R2、R3、R4等の定数(所定値)は表1、2の通り、うつ状態判定システム1に設定し、LF及びHFの積分範囲はLf1=0.04Hz、Lf2=0.15Hz、Hf1=0.15Hz、Hf2=0.4Hzとした。また、覚醒時間帯及び睡眠時間帯の分類は、第一の分類方法を用い、定数D1は、-0.75とした。
次いで、医療機関が双極性障害または大うつ病患者と診断したMP1群、MP2群、FP1群、FP2群の被験者のうち、うつ状態判定システム1が上記第1群の式(1)~(4)のいずれか一つを満たすと判別した被験者の割合を算出した。即ち、双極性障害または大うつ病患者に罹患している患者をうつ状態と判別する正判定率を算出した。
次に、実施の形態1のうつ状態判定システム1の設定を変更して、MP1群、MP2群、FP1群、FP2群の被験者に対して、順に上記第1群の式(2)、(1)、(4)、(3)の式を満たすとうつ状態判定システム1が判別した被験者の割合も算出した。これらの結果を表1に示す。
表1に示す通り、男性、35歳未満、患者のMP1群については、表1に示す通り、被験者の33.3%が式(2)を満たした。一方、被験者の66.7%が式(1)を満たした。このようにMP1群において、式(1)により正判定率を向上できることが分かった。
男性、35歳以上、患者のMP2群については、表1に示す通り、被験者の41.2%が式(1)を満たした。一方、被験者の58.8%が式(2)を満たした。このようにMP2群において、式(2)により正判定率を向上できることが分かった。
女性、35歳未満、患者のFP1群については、表1に示す通り被験者の23.5%が式(4)を満たした。一方、被験者の64.3%が式(3)を満たした。このようにFP1群において、式(3)により正判定率を向上できることが分かった。
女性、35歳以上、患者のFP2群については、表1に示す通り被験者の23.5%が式(3)を満たした。一方、被験者の76.5%が式(4)を満たした。このようにFP2群において、式(4)により正判定率を向上できることが分かった。
更に、健常者のMH1群、MH2群、FH1群、FH2群のうち、うつ状態判定システム1が上記第1群の式、および上記第2群の式、上記第1群の式および上記第3群の式、上記第1群の式および上記第4群の式を満たすと判別した被験者の割合を算出した。即ち、健常者をうつ状態と判別してしまう誤判定率を算出した。その結果を表2に示す。その結果、いずれの群においても、上記第1群の式である式(1)~(4)に加えて、上記第2群の式である式(5)~(8)、上記第3群の式である式(9)~(20)、または上記第4群の式である式(21)~(32)を用いることにより、誤判定率を低減することができた。
Figure 0007337353000006
1~6:うつ状態判定システム
10、20、30、40:センサ
11、21、31、41:計測部
12、22、32、42:拍動計測部
13、23、33、43:活動量計測部
24:入力手段、34:体温計測部、44:データ保存部
50、60、70、100:解析機
51、61、71、101:処理部
52、62、102:受信部
55、65、75、105:周波数スペクトル変換部
56、66、76、106:パワースペクトル積分算出部
63:異常値検出部、64:異常値除去部
81:判定部、82:判定データ作成部、83:所定値格納部、84:比較部
91:通知部
107:モルフォロジー演算部

Claims (21)

  1. 被検者がうつ状態であると判定するための、プロセッサを備える装置の作動方法であって
    計測された前記被検者の拍動間隔を受信する受信ステップ
    受信した前記被検者の拍動間隔に基づき前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び
    計算した前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判別する判別ステップを含む、プロセッサを備える装置の作動方法。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R1 ・・・(1)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R2 ・・・(2)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R3 ・・・(3)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R4 ・・・(4)
    但し、前記第1の所定年齢と前記第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、
    LF、HFは、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して得た値であり、
    R1~R4は定数である。
  2. R1≧R2、R3≧R4である請求項1に記載の装置の作動方法。
  3. 受信した前記被検者の拍動間隔に基づき前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算する計算ステップ、及び
    計算した前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判別する判別ステップを含む請求項1または2に記載の装置の作動方法。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H1 ・・・(5)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H2 ・・・(6)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H3 ・・・(7)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF>H4 ・・・(8)
    但し、H1~H4は定数である。
  4. H1>H2、H3>H4である請求項3に記載の装置の作動方法。
  5. 計測された被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)を受信する受信ステップ
    受信した前記被検者の拍動間隔及び活動量に基づき前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び
    計算した前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判別する判別ステップを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の装置の作動方法。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
    HF×活動量<B1 ・・・(10)
    (LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
    HF×活動量<B2 ・・・(13)
    (LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
    HF×活動量<B3 ・・・(16)
    (LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
    HF×活動量<B4 ・・・(19)
    (LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
    但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
  6. 受信した前記被検者の拍動間隔及び活動量に基づき前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算する計算ステップ、及び
    計算した前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判別する判別ステップを含む請求項5に記載の装置の作動方法。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
    HF/活動量<B5 ・・・(22)
    (LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
    HF/活動量<B6 ・・・(25)
    (LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
    HF/活動量<B7 ・・・(28)
    (LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
    HF/活動量<B8 ・・・(31)
    (LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
    但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
  7. 前記覚醒時間帯および前記睡眠時間帯として、被検者の姿勢に伴う加速度と所定値を比較することによって分類された覚醒時間帯と睡眠時間帯を用いる請求項6に記載の装置の作動方法。
  8. 前記加速度は、被検者の姿勢に伴う身長方向の加速度である請求項5~7のいずれか1項に記載の装置の作動方法。
  9. 前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、
    前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
    下記(33)式が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、下記(33)式が満足されない時間帯を覚醒時間帯に分類する請求項8に記載の装置の作動方法。
    負加速度T≧D1・・・(33)
    但し、D1は定数である。
  10. 前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、
    前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
    下記(33)式が満足される時間帯のうち最長の時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する請求項8に記載の装置の作動方法。
    負加速度T≧D1・・・(33)
    但し、D1は定数である。
  11. 前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が正の値の場合は、前記身長方向の加速度に-1を乗算した値を負加速度Tとし、
    前記被検者の立位時に計測された前記身長方向の加速度が負の値の場合は、前記負の値を負加速度Tとし、
    所定時間以上連続して下記(33)式が満足される時間帯を睡眠時間帯に分類し、該睡眠時間帯以外を覚醒時間帯に分類する請求項8に記載の装置の作動方法。
    負加速度T≧D1・・・(33)
    但し、D1は定数である。
  12. 前記加速度は、加速度-時間波形に対してモルフォロジー演算を行った後の値である請求項5~11のいずれか1項に記載の装置の作動方法。
  13. 前記モルフォロジー演算が、所定の時間幅で行われるオープニング処理とクロージング処理の少なくともいずれか一方である請求項12に記載の装置の作動方法。
  14. 被検者の拍動間隔を計測する計測部と、
    前記拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して、LFおよびHFを算出する処理部と、
    前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算し、前記左辺の値が下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定する判定部と、を備えることを特徴とするうつ状態判定システム。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R1 ・・・(1)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R2 ・・・(2)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R3 ・・・(3)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R4 ・・・(4)
    但し、前記第1の所定年齢と前記第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、
    R1~R4は定数である。
  15. R1≧R2、R3≧R4である請求項14に記載のうつ状態判定システム。
  16. 前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている請求項14または15に記載のうつ状態判定システム。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H1 ・・・(5)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H2 ・・・(6)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF<H3 ・・・(7)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    HF>H4 ・・・(8)
    但し、H1~H4は定数である。
  17. H1>H2、H3>H4である請求項16に記載のうつ状態判定システム。
  18. 前記被検者の動きに伴う加速度または角速度(以下、「活動量」と記載する)とを計測する計測部を有し、
    前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている請求項14~17のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A1 ・・・(9)
    HF×活動量<B1 ・・・(10)
    (LF/HF)/活動量>C1 ・・・(11)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A2 ・・・(12)
    HF×活動量<B2 ・・・(13)
    (LF/HF)×活動量<C2 ・・・(14)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A3 ・・・(15)
    HF×活動量<B3 ・・・(16)
    (LF/HF)/活動量>C3 ・・・(17)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    拍動間隔×活動量<A4 ・・・(18)
    HF×活動量<B4 ・・・(19)
    (LF/HF)×活動量<C4 ・・・(20)
    但し、A1~A4、B1~B4、C1~C4は定数である。
  19. 前記判定部は、前記被検者の性別と年齢に応じて下記式のうち少なくとも一つの式の左辺を計算し、前記左辺の値が、下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定するように制御されている請求項18に記載のうつ状態判定システム。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A5 ・・・(21)
    HF/活動量<B5 ・・・(22)
    (LF/HF)×活動量>C5 ・・・(23)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A6 ・・・(24)
    HF/活動量<B6 ・・・(25)
    (LF/HF)×活動量>C6 ・・・(26)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A7 ・・・(27)
    HF/活動量<B7 ・・・(28)
    (LF/HF)×活動量>C7 ・・・(29)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の睡眠時間帯における、
    拍動間隔/活動量<A8 ・・・(30)
    HF/活動量<B8 ・・・(31)
    (LF/HF)×活動量>C8 ・・・(32)
    但し、A5~A8、B5~B8、C5~C8は定数である。
  20. 前記拍動間隔として、心電信号におけるR波とR波との間隔であるRR間隔を用いる請求項14~19のいずれか1項に記載のうつ状態判定システム。
  21. 計測された被検者の拍動間隔を受信する受信部と、
    受信した前記被検者の拍動間隔に基づき前記被検者の性別と年齢に応じて下記式の左辺を計算し、計算した前記左辺の値が下記式の大小関係を満足する場合に前記被検者がうつ状態であると判定する判定部と、を備えることを特徴とするうつ状態判定装置。
    [I]第1の所定年齢未満の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R1 ・・・(1)
    [II]第1の所定年齢以上の男性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R2 ・・・(2)
    [III]第2の所定年齢未満の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)>R3 ・・・(3)
    [IV]第2の所定年齢以上の女性
    被検者の覚醒時間帯における、
    (LF/HF)<R4 ・・・(4)
    但し、前記第1の所定年齢と前記第2の所定年齢は、それぞれ33歳~37歳のうちいずれか一つの年齢であり、
    LF、HFは、拍動間隔を周波数スペクトル変換するステップを含んで得たパワースペクトルを定積分して得た値であり、
    R1~R4は定数である。
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