以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
図1は、本実施の形態における電力変換装置を含む電力系統管理システムの構成を示す図である。電力系統管理システム1は、例えば、マイクログリッドにおける自律電力系統を管理する。自律電力系統には、例えば図1に示すように、配電用電圧器6に接続される配電線3が設けられている。配電線3には、第1分散型電源14、第2分散型電源24、負荷4、および太陽光発電設備5(図ではPVと略す)が接続されている。マイクログリッドは、例えば、スマートシティ、ビル、工場、離島などに適用される。ただし、電力系統管理システム1の適用例はこれらに限定されない。
電力系統管理システム1には、太陽光発電設備5以外の自然エネルギーを用いた発電設備(風力発電機、水力発電機など)が接続されてもよい。また、電力系統管理システム1には、火力発電所等が接続されてもよい。図1に示す負荷4は、電力を消費する設備である。図2に示すように、負荷4には、例えばマンション・住宅702、街灯703、学校・病院704、商業負荷706等が含まれる。これらの負荷702~704には、変圧器701を介して、交流電流が供給される。商業負荷706には、変圧器705を介して、交流電流が供給される。
図1に示すように、電力系統管理システム1は、電力管理装置2と、第1電力変換装置10と、第2電力変換装置20と、第1分散型電源14と、第2分散型電源24と、を備えている。第1分散型電源14および第2分散型電源24は、例えば、蓄電池である。電力変換装置10、20は、負荷4における電力需要に応じて、分散型電源14、24の直流電力を交流電力に変換し、配電線3に供給する。また、電力変換装置10、20は、負荷4における電力消費が小さいときに、余剰電力を用いて、分散型電源14、24を充電してもよい。
電力管理装置2は、例えば、CEMS(Community Energy Management System)、AEMS(Aria Energy Management System)、BEMS(Building and Energy Management System)等である。電力管理装置2は、自律電力系統における電力の需給を管理する。図3に、電力管理装置2の構成例を示す。電力管理装置2は、例えば、発電電力予測回路201と、消費電力予測回路202と、運転計画作成部203と、管理部204と、を有する。発電電力予測回路201は、太陽光発電設備5の発電電力を予測し、その予測結果である発電電力情報を生成する。発電電力予測回路201は、天気予報に基づいて、発電電力を予測してもよい。
消費電力予測回路202は、負荷4における消費電力を予測し、その予測結果である消費電力情報を生成する。消費電力予測回路202が生成する消費電力情報には、日付(年月日)、時刻等の情報も含まれる。運転計画作成部203は、発電電力予測回路201から出力される発電電力情報および消費電力予測回路202から出力される消費電力情報に基づいて、第1電力変換装置10および第2電力変換装置20の運転計画を作成する。運転計画作成部203には、変電所からの充放電電力の計画値も通知される。変電所から通知される計画値は、例えば30分周期で、30分間の充放電電力に関する情報である。
管理部204は、配電線3に接続される分散型電源14、24の運転計画の作成を管理する。管理部204は、運転計画作成部203が生成した、電力指令値Pref1*、Pref2*、周波数指令値Fref*、および制御パラメータ等を記憶する。管理部204は、後述の第1インバータ制御部12および第2インバータ制御部22にそれぞれ、第1電力指令値Pref1*および第2電力指令値Pref2*を出力する。管理部204は、後述の第1制御パラメータ管理部11および第2制御パラメータ管理部21にそれぞれ、制御パラメータを出力する。制御パラメータは、詳細は後述するが、仮想同期発電機(VSG)制御に用いられる。図3では、第1制御パラメータ管理部11および第2制御パラメータ管理部21に出力される制御パラメータを、それぞれM1、M2等と表記している。なお、本実施の形態では、第1インバータ制御部12および第2インバータ制御部22にVSG制御を実装した場合について説明するがこれに限るものではなく、電圧源として動作するインバータに垂下特性(出力電力―出力交流系統電圧周波数特性)を持たせれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
図1に示すように、第1電力変換装置10は、第1制御パラメータ管理部11と、第1インバータ制御部12と、第1インバータ13と、第1検出部16と、を有している。第2電力変換装置20は、第2制御パラメータ管理部21と、第2インバータ制御部22と、第2インバータ23と、第2検出部26と、を有している。第1インバータ制御部12は、第1Pref制御部12aと、第1電圧・周波数制御部12bと、を有する。第2インバータ制御部22は、第2Pref制御部22aと、第2電圧・周波数制御部22bと、を有する。
図4に、第1制御パラメータ管理部11の構成例を示す。第2制御パラメータ管理部21の構成例の図示は省略するが、第1制御パラメータ管理部11の構成と同様であってもよい。第2電力変換装置20の他の部位の構成についても、第1電力変換装置10の構成と同様であってもよい。図4に示すように、第1制御パラメータ管理部11は、例えば記憶回路301と、Pref制御パラメータ管理部302と、受信部303と、制御回路304と、を有する。
受信部303は、電力管理装置2の管理部204から出力された各種情報を受信する。各種情報には、周波数指令値Fref*、交流系統の実効電圧Vref*、第1分散型電源14の定格容量Pbase1、フラグ情報、Δfmin、Δfmax、制御パラメータ、等が含まれる。定格容量Pbase1とは、例えば後述の放電側定格容量Pmaxまたは充電側定格容量Pminに関する情報である。フラグ情報とは、例えば後述のフラグ値Pref_flagである。ΔfminおよびΔfmaxについては後述する(図12、図13参照)。記憶回路301は、受信部303が受信した各種情報を記憶し、制御回路304に出力する。制御回路304は、第1制御パラメータ管理部11の動作を制御する。Pref制御パラメータ管理部302は、電力管理装置2から通知されたPref*、Pref制御パラメータ、PI制御パラメータ、電圧制御ゲインなどを管理する。第1制御パラメータ管理部11は、第1インバータ制御部12と通信を行い、上記した各種情報を第1インバータ制御部12に出力する。なお、PI制御パラメータ、電圧制御ゲインなどは電力変換装置10、20内のデフォルト値を用いても良いことは言うまでもない。
図5に、第1分散型電源14および第1インバータ13の構成例を示す。図5に示すように、第1分散型電源14は、例えば電源本体部14aと、コンバータ14bと、コンバータ制御部14cと、を有する。電源本体部14aは、例えば蓄電池の本体部分である。コンバータ制御部14cには、電力管理装置2の管理部204から出力された第1コンバータ制御パラメータ、コンバータ14bと電源本体部14aとの間の電流Iderおよび電圧Vder、コンバータ14bと第1インバータ13との間の電流Iconvおよび電圧Vconv、等が入力される。コンバータ制御部14cは、これらの入力に基づき、コンバータ14bを制御する。
コンバータ14bは、コンバータ制御部14cによる制御下で、電源本体部14aの直流電流の電圧を変換し、第1インバータ13に出力する。第1インバータ13は、例えば、インバータ回路13a、フィルタ13bを有している。インバータ回路13aは、インバータ制御部12から出力される目標電圧u*、v*、w*に基づき、直流電流を交流電流に変換する。フィルタ13bは、インバータ回路13aから出力される交流電流の電圧を調整する。第1検出部16は、第1インバータ13の出力電力の検出値Pmeasure、電圧Vinv、電流Iinv、周波数Finvを検出し、第1インバータ制御部12にフィードバックする。
図6に、第1検出部16の構成例を示す。図6に示すように、第1検出部16は、電圧検出部801と、交流周波数検出部802と、電力検出部803と、電流検出部804と、を有する。電圧検出部801は電圧Vinvを検出する。交流周波数検出部802は、周波数Finvを検出する。電流検出部804は、電流Iinvを検出する。電力検出部803は、電圧検出部801および電流検出部804の検出結果に基づき、電力を検出し、検出値Pmeasureとして出力する。
第1分散型電源14および第1インバータ13を合わせて、「第1インバータ電源15」と称する。第2分散型電源24および第2インバータ23を合わせて、「第2インバータ電源25」と称する。インバータ電源15、25は、仮想同期発電機(VSG:Virtual Synchronous Generator)であってもよい。言い換えると、電力変換装置10、20は、VSG制御を行ってもよい。VSG制御を行うことで、分散型電源14、24を用いて生成した交流電力に慣性を付与し、負荷変動に対する安定性を高めることができる。ただし、電力変換装置10、20は、VSG制御を行わなくてもよい。また、電力系統管理システム1は、3つ以上の分散型電源を含んでもよい。また、本実施の形態では、VSG制御を実装した場合について説明するがこれに限るものではなく、電圧源として動作するインバータに垂下特性(出力電力―出力交流系統電圧周波数特性)を持たせれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
第1電力変換装置10および第2電力変換装置20は、互いに同様の制御を行ってもよい。以下では、2つの電力変換装置10、20を代表させて、主として第1電力変換装置10において行われる制御について説明する。ただし、第1電力変換装置10と第2電力変換装置20とで制御内容が異なってもよい。
本明細書で用いる語については、以下のように定義する。
第1電力指令値Pref1*:電力管理装置2が定める、第1分散型電源14に対する出力電力の指令値である。
第2電力指令値Pref2*:電力管理装置2が定める、第2分散型電源24に対する出力電力の指令値である。
第1目標出力Pref1:第1Pref制御部12aが定める、第1インバータ電源15が目標とする出力電力である。
第2目標出力Pref2:第2Pref制御部22aが定める、第2インバータ電源25が目標とする出力電力である。
第1変更指令値Pref1’:第1電力変換装置10が、第1電力指令値Pref1*をオフセットした後の値である。
第2変更指令値Pref2’:第2電力変換装置20が、第2電力指令値Pref2*をオフセットした後の値である。
第1出力電力Pout1:第1インバータ電源15の出力電力である。
第2出力電力Pout2:第2インバータ電源25の出力電力である。
第1検出値Pmeasure1:第1検出部16によって検出された、第1出力電力Pout1の値である。
第2検出値Pmeasure2:第2検出部26によって検出された、第2出力電力Pout2の値である。
なお、以下の説明では、第1電力指令値Pref1*と第2電力指令値Pref2*を区別せずに「電力指令値Pref*」と記載する場合がある。同様に、第1目標出力Pref1と第2目標出力Pref2を区別せずに「目標出力Pref」と、第1変更指令値Pref1’と第2変更指令値Pref2’を区別せずに「変更指令値Pref’」と、第1出力電力Pout1と第2出力電力Pout2を区別せずに「出力電力Pout」と、第1検出値Pmeasure1と第2検出値Pmeasure2を区別せずに「検出値Pmeasure」と記載する場合がある。
電力管理装置2は、例えば、負荷4における電力需要の予測などに基づいて、第1電力指令値Pref1*および第2電力指令値Pref2*を生成する。第1インバータ制御部12には、電力管理装置2から、第1電力指令値Pref1*が入力される。第2インバータ制御部22には、電力管理装置2から、第2電力指令値Pref2*が入力される。インバータ制御部12、22は、電力指令値Pref*に基づいて、目標出力Prefを演算する。
次に、VSG制御の概要について説明する。VSG制御は、以下のような同期発電機の動作を模倣する。同期発電機は、負荷変動が生じた場合、動揺方程式に従って、同期発電機内の回転体が持つ回転エネルギーを増減させる。これにより、同期発電機が供給する電力量と、負荷における消費電力と、の間でバランスを取る。例えば、負荷が大きくなると同期発電機内の回転体から回転エネルギーが出力され、回転体の回転数(交流系統の周波数)が減少する。また、負荷が小さくなると、余剰エネルギーを同期発電機内の回転体が取り込み、回転体の回転数(交流系統の周波数)が増加する。
一般的に、同期発電機にはガバナ機能が実装されている。回転体の回転数(周波数)が上昇したとき、同期発電機へのエネルギー供給量が多いと推測される。そこでガバナ機能では、回転体の回転数が上昇すると、同期発電機へのエネルギー供給量を小さくする。また、回転体の回転数(周波数)が低下すると、同期発電機へのエネルギー供給量を大きくする。
VSG制御においては、上記のような同期発電機の動作を模倣する。具体的に、図1に示す第1制御パラメータ管理部11は、第1インバータ電源15がVSG制御を行うための制御パラメータを管理する。「制御パラメータ」は、例えば、制動係数Dg,慣性定数M,ガバナゲインKdg、ガバナ時定数T、等である。制動係数Dgは、周波数の変化に対する制動力(ブレーキ)を示す量である。慣性定数Mは、VSG制御において模倣する回転体の慣性力である。ガバナゲインKdgは、上記したガバナ機能を模倣するための比例ゲインである。ガバナ時定数Tは、ガバナ機能における伝達遅れである。
同期発電機の回転体における動揺方程式は、「Tin-Tout=M×dω/dt+Dg×ω」のように表される。VSG制御においても、同様の動揺方程式に基づいて、インバータ電源15、25の出力電力を決定する。なお、Tinは回転体に入力されるトルクであり、Toutは回転体から出力されるトルクであり、ωは回転体の角速度である。同期発電機のガバナ機能は、一般的に、「-1/Kgd×{1/(1+S×T)}」のように、一次遅れ系モデルで表される。
Pref制御部12aには、制御パラメータ管理部11が管理する制御パラメータと、電力管理装置2が出力した第1電力指令値Pref1*と、第1検出部16が検出した第1検出値Pmeasure1と、が入力される。Pref制御部12aは、これらの入力の値に基づき、目標出力Pref1を演算し、電圧・周波数制御部12bに出力する。電圧・周波数制御部12bは、目標出力Pref1を満足するように、3相の目標電圧u*、v*、w*を定める。u*はU相に関する目標電圧であり、v*はV相に関する目標電圧であり、w*はW相に関する目標電圧である。第1インバータ13は、目標電圧u*、v*、w*に基づき、第1分散型電源14の直流電力を交流電力に変換する。交流電力は、配電設備X1を介して、配電線3に供給される。
Pref制御部22aには、制御パラメータ管理部21が管理する制御パラメータと、電力管理装置2が出力した第2電力指令値Pref2*と、第2検出部26が検出した第2検出値Pmeasure2と、が入力される。Pref制御部22aは、これらの入力の値に基づき、目標出力Pref2を演算し、電圧・周波数制御部22bに出力する。電圧・周波数制御部22bは、目標出力Pref2を満足するように、3相の目標電圧u*、v*、w*を定める。第2インバータ23は、目標電圧u*、v*、w*に基づき、第2分散型電源24の直流電力を交流電力に変換する。交流電力は、配電設備X2を介して、配電線3に供給される。
第1検出部16は、第1インバータ電源15が出力した電力を検出し、第1検出値Pmeasure1として、第1インバータ制御部12にフィードバックする。第2検出部26は、第2インバータ電源25が出力した電力を検出し、第2検出値Pmeasure2として、第2インバータ制御部22にフィードバックする。インバータ制御部12、22は、検出値Pmeasureを用いて、検出値Pmeasureが目標出力Prefに近づくように、フィードバック制御を行う。
図7に、第1インバータ制御部12の構成例を示す。図7に示すように、第1インバータ制御部12の電圧・周波数制御部12bは、VSG制御部401と、電圧制御部402と、電圧リミッター403と、ゲートパルス作成部404と、を有する。VSG制御部401は、制御パラメータ、目標出力Pref1、等に基づき、VSG制御を行う。VSG制御部401は、VSG制御の結果である電圧周波数fおよび位相情報θを、電圧制御部402に出力する。
fおよびθに加えて、電圧制御部402には、交流系統の実効電圧Vref*、電圧制御ゲイン、第1検出部16からの電圧Vinvおよび周波数Finv、が入力される。これらの情報に基づき、電圧制御部402は、3相(U相、V相、W相)の電圧波形を生成する。生成された電圧波形は電圧リミッター403に入力される。電圧リミッター403は、入力された電圧波形に対して所定の処理を行い、PWM変調を行うための3相のリファレンス波形U_ref,V_ref,W_ref,を生成する。ゲートパルス作成部404は、リファレンス波形U_ref,V_ref,W_refをそれぞれ三角波と比較し、ゲートパルスを生成する。このゲートパルスに基づき、インバータ電源15から出力される3相の電圧が定まる。すなわち、本実施の形態では、ゲートパルスが目標電圧u*、v*、w*に相当する。
図8に、VSG制御部401の構成例を示す。VSG制御部401は、ガバナ回路501と、第1積分器502と、第1乗算器503と、第2乗算器504と、第2積分器505と、加算器506と、を有する。第1積分器502および第1乗算器503は、VSG制御部401が有する演算部401aの一部である。ガバナ回路501には、第1検出部16が検出した周波数Finvと周波数指令値Fref*との差が入力される。この差(Finv-Fref*)に基づき、ガバナ回路501は、目標出力Prefに加えるオフセット値を算出する。
演算部401aには、出力電力Poutから、目標出力Prefおよびオフセット値を減算した結果が入力される。この入力に対して第1乗算器503の出力を減算した結果が、第1積分器502に入力される。第1積分器502は、入力された値を1/M倍して積分することで、電圧周波数偏差Δfを生成する。第1乗算器503は第1積分器502の出力に制動係数Dgを乗算する。加算器506は、第1積分器502が生成した電圧周波数偏差Δfに対して、周波数指令値Fref*を加算することで、電圧周波数fを演算する。第2乗算器504は電圧周波数fに2πを乗算し、角周波数ωを得る。第2積分器505は角周波数ωを積分し、位相情報θを算出する。このようにして得られる電圧周波数fおよび位相情報θが、図7に示すように、電圧制御部402に入力される。
図9に、電圧制御部402の構成例を示す。電圧制御部402は、Abc/dq変換を行う第1変換部402aと、Dq/abc変換を行う第2変換部402bと、PI回路402cと、を有する。第1変換部402aは、第1検出部16からの電圧Vinvを、3軸(a軸、b軸、c軸)の値から、2軸(d軸、q軸)の値へと変換する。この変換の際に、第1変換部402aは、VSG制御部401から出力された電圧周波数fおよび位相情報θを用いる。
PI回路402cには、第1変換部402aの出力から実効電圧Vref*を減算した結果が入力される。PI回路402cは、この入力に対してPI制御を行う。第2変換部402bは、第1変換部402aからの出力およびPI回路402cからの出力の和に対して、2軸から3軸への変換を行う。この変換の際に、第2変換部402bは、VSG制御部401から出力された電圧周波数fおよび位相情報θを用いる。第2変換部402bからの出力が、先述のリファレンス波形U_ref,V_ref,W_refの元となる。
図10に、第1Pref制御部12aの構成例を示す。第1Pref制御部12aは、PI制御部601と、Pref制御管理部602と、受信部603と、プラス側減算部604と、マイナス側減算部605と、を有する。受信部603は、電力管理装置2から出力される電力指令値Pref1*と、第1制御パラメータ管理部11から出力される自己補正制御フラグおよびEMS更新フラグと、を受信し、Pref制御管理部602に出力する。
自己補正制御フラグは、垂下特性の変更を実施するか否かを示す。EMS更新フラグは、電力管理装置2から通知される電力指令値Pref*が更新されたか否かを示す。自己補正制御フラグおよびEMS更新フラグの両方がセットされている場合、垂下特性の変更を一旦停止し、通知された電力指令値Pref*をそのまま用いて電力変換が行われる。「フラグがセットされる」とは、例えば、自己補正制御フラグまたはEMS更新フラグの値が1に設定されることである。
更に、受信部603は、電力管理装置2から出力されるPref制御パラメータおよびPI制御パラメータを受信する。受信部603は、PI制御パラメータをPI制御部601に出力し、他の情報をPref制御管理部602に出力する。PI制御パラメータには、例えば、比例制御ゲインKp、積分制御ゲインKi、が含まれる。Pref制御パラメータには、例えば、Pmax、Pmin、Pmax_high_threshold、Pmax _low_threshold、Pmin_high_threshold、Pmin_low_threshold、が含まれる(詳細は後述)。
プラス側減算部604は、第1検出部16が出力した検出値Pmeasureから、Pref制御管理部602が出力するPmaxを減算し、減算結果(etplus)をPref制御管理部602に出力する。同様に、マイナス側減算部605は、検出値PmeasureからPminを減算し、減算結果(etminus)をPref制御管理部602に出力する。
Pref制御管理部602は、受信部603から入力されるPref制御パラメータ、自己補正制御フラグ、EMS更新フラグ、電力指令値Pref*と、プラス側減算部604から出力されるetplus、マイナス側減算部605より出力されるetminus、に基づき制御偏差etを生成する。Pref制御管理部602は生成した制御偏差etをPI制御部601に出力する。なお、制御偏差etの生成フローに関しては後述する(図17参照)。Pref制御管理部602は、垂下特性の変更を一旦停止する際、PI制御部601内の積分制御に使用する積分器をリセットするためのリセットフラグを生成する。Pref制御管理部602は、生成したリセットフラグをPI制御部601に出力する。
PI制御部601は、受信部603が出力するPI制御パラメータ(Kp,Ki)に基づき、制御偏差etがゼロになるようにPI制御を行なう。PI制御部601の演算結果(pref_offset)は、加算部606に入力される。また、加算部606には、Pref制御管理部602を経由して、電力指令値Pref1*が入力される。加算部606は、これらの値を加算し、目標出力Pref1を生成する。目標出力Pref1は図7に示すVSG制御部401に入力され、VSG制御を実施する際の情報として使用される。
図11に、コンバータ制御部14c(図5参照)の構成例を示す。図11に示すように、コンバータ制御部14cは、放電制御回路901と、決断部902と、充電制御回路903と、DC/DCコンバータ制御回路904と、を有する。放電制御回路901は、第1分散型電源14の放電制御を行う際に使用する、コンバータ14bの制御指令値を生成する。充電制御回路903は、第1分散型電源14の充電制御を行う際に使用する、コンバータ14bの制御指令値を生成する。DC/DCコンバータ制御回路904は、放電制御回路901および充電制御回路903に対して、制御に使用するパラメータおよび目標値等を出力する。DC/DCコンバータ制御回路904は、第1分散型電源14の充電電力量(SOC),充電電力(充電電流)および放電電力(放電電流)等を管理する。DC/DCコンバータ制御回路904は、決断部902を制御するための制御信号を出力する。
決断部902は、DC/DCコンバータ制御回路904からの制御信号に従って、放電制御回路901および充電制御回路903のうちいずれか一方の出力を、コンバータ14bの制御指令値として、選択的に出力する。具体的には、決断部902は、第1分散型電源14の充電が指示された場合には、充電制御回路903が生成した制御指令値を出力する。決断部902は、第1分散型電源14の放電が指示された場合には、放電制御回路901が生成した制御指令値を出力する。
次に、図12、図13を用いて、電力変換装置10、20の垂下特性(本実施の形態のVSG制御に基づく垂下特性)について説明する。垂下特性は、インバータ電源15、25における出力電力Poutの、周波数との相関である。図12、図13は垂下特性の具体例であり、周波数指令値Fref*に対する偏差Δfと出力電力Poutとの関係を示している。図12、図13において、横軸が周波数に関する偏差Δfであり、縦軸が出力電力Poutである。なお、垂下特性はVSG制御に基づくものに限るものではなく、例えば、電力変換装置10、20の内部に、テーブルデータとして記憶されていてもよい。より具体的には、第1制御パラメータ管理部11の記憶回路301、あるいは第2制御パラメータ管理部21の記憶回路が、テーブルデータとして垂下特性を記憶してもよい。その他の記憶可能なデバイスが、テーブルデータとして垂下特性を記憶してもよい。
インバータ電源15、25がともにVSG制御を行う場合、両者で周波数が同期する。つまり、インバータ電源15、25の制御における偏差Δfの値が両者で一致する。出力電力Poutが正の領域(原点Oより上側)は、分散型電源14、24が放電する場合を表す。出力電力Poutが負の領域(原点Oより下側)は、分散型電源14、24に充電する場合を表す。インバータ電源15、25は、出力電力Poutが予め定められた下限値と上限値との間の範囲となるように、使用することが求められる。第1インバータ電源15と第2インバータ電源25とで、上限値および下限値の設定が異なってもよい。
図12の「定格容量Pmax」は、「上限値」の一例であり、インバータ電源15、25が出力可能な最大許容電力である。言い換えると、Pmaxはインバータ電源15、25の放電側の定格容量である。図13の「定格容量Pmin」は、「下限値」の一例であり、インバータ電源15、25に充電可能な最大許容電力である。言い換えると、Pminはインバータ電源15、25の充電側の定格容量である。放電側定格容量Pmaxおよび充電側定格容量Pminは、例えば充放電に伴う発熱量等に基づいて定められる。
ただし「上限値」は、定格容量Pmaxに限らず、インバータ電源15、25の出力電力Poutの最大値として、電力管理装置2が設定した値であってもよい。同様に「下限値」は、定格容量Pminに限らず、インバータ電源15、25の出力電力Poutの最小値として、電力管理装置2が設定した値であってもよい。以下では、第1インバータ電源15と第2インバータ電源25とで、定格容量Pmaxおよび定格容量Pminが同じである場合を説明する。ただし、第1インバータ電源15と第2インバータ電源25とで、定格容量Pmaxが異なってもよいし、定格容量Pminが異なってもよい。
偏差Δfは、周波数指令値Fref*に対する、実際の電力系統の交流電力における周波数の差分である。Δfが小さいほど、周波数指令値Fref*に対して実際の周波数が低下していること、つまり電力系統における負荷が増加していることを表す。したがって、Δfが小さいほど、分散型電源14、24から、より多くの電力を供給することが求められる。逆に、Δfが大きいほど、電力系統における負荷が減少していること(余剰電力が大きいこと)を表す。したがって、Δfが大きいほど、より大きな電力を用いて分散型電源14、24を充電可能である。先述のΔfminは、第1出力電力Pout1および第2出力電力Pout2の両方が、上限値(図12の例では定格容量Pmax)に一致するときの偏差Δfの値である。先述のΔfmaxは、第1出力電力Pout1および第2出力電力Pout2の両方が、下限値(図13の例では定格容量Pmin)に一致するときの偏差Δfの値である。
本実施の形態では、本来の垂下特性によりインバータ電源15を制御した際、インバータ電源15の出力がPmax(あるいはPmin)を超えた場合、電力管理装置2が出力した電力指令値Pref*に対してオフセットを加えるよう制御する。図12において、直線L1は、第1インバータ電源15の本来の垂下特性を示す。「本来の垂下特性」とは、電力管理装置2が出力した第1電力指令値Pref1*をそのまま用いた場合の垂下特性である。これに対して、直線L1’は、第1電力指令値Pref1*に対して第1Pref制御部12aがオフセットを加えた後の垂下特性である。直線L2は、第2インバータ電源25の本来の垂下特性である。なお、本実施の形態では、第1インバータ電源15は、第2インバータ電源25が出力する交流系統電圧の周波数の偏差がΔfminと一致するまでPref制御を実施する。言い換えると、第1インバータ電源15は、Pref1”がPref2*と一致するまでPref制御を実施する。
直線L1の切片は、第1電力指令値Pref1*である。直線L2の切片は、第2電力指令値Pref2*である。直線L1、L2の傾きは、VSG制御における制動係数DgおよびガバナゲインKdg等によって定まる。図12、図13の例では、VSG制御を行う際の制御パラメータ(本実施の形態では制動係数DgおよびガバナゲインKdg)が、第1インバータ電源15と第2インバータ電源25とで同じである場合を示す。このため、直線L1,L2の傾きは同じである。ただし、第1インバータ電源15と第2インバータ電源25とで制御パラメータが異なってもよい。つまり、直線L1と直線L2とで傾きが異なってもよい。図12の例では、第1電力指令値Pref1*が第2電力指令値Pref2*より大きい場合を示す。
まず、インバータ電源15、25が放電する場合について説明する。図12において、電力系統の負荷が増加し、まずΔfが0からα2まで減少する場合を考える。0α1<Δf<0では、直線L1,L2ともに、縦軸の値(出力電力Pout)は、定格容量Pmaxより小さい。したがって、第1インバータ電源15および第2インバータ電源25ともに、適正に放電動作することができる。Δf=α1では、直線L2の縦軸の値は定格容量Pmaxより小さいが、直線L1の縦軸の値は定格容量Pmaxに一致する。ここで、仮に第1インバータ電源15の垂下特性が直線L1のまま維持された場合、Δf<α1の範囲では、直線L1の縦軸の値が、定格容量Pmaxを超えてしまう。この場合、第1インバータ電源15はこれ以上周波数を低くすることができない。一方、第2インバータ電源25は出力電力を増加させ、周波数を低下させる。これにより、第1インバータ電源15と第2インバータ電源25は互いに周波数同期が取れなくなり、互いの出力する交流電圧の位相差が拡大する。結果として、インバータ電源15、25の間の横流電力が増加し、両インバータ電源の許容電力を超えるため、保護回路等が働くことで両インバータ電源15、25の動作が停止する可能性がある。
そこで本実施の形態では、出力電力Poutが上限値(図12の場合は定格容量Pmax)を超えないように、電力変換装置10が、インバータ電源15の垂下特性を自律的に変更する。垂下特性の変更は、検出値Pmeasureおよび電力指令値Pref*に基づき、インバータ制御部12(例えばPref制御部12a)が行う。「垂下特性の変更」には、切片を変更する場合と、傾きを変更する場合と、が含まれる。図12の直線L1’は、直線L1の切片を変更した場合を示している。具体的に、直線L1’の切片は、第1変更指令値Pref1’である。
次に、電力系統の負荷がさらに増加し、Δfがα2からΔFminまで減少する場合を考える。Pload=2*Pmaxと仮定する。ここで、仮に第1インバータ電源15の垂下特性が直線L1’のまま維持された場合、Δf<α2の範囲では、直線L1’の縦軸の値が、定格容量Pmaxを超えてしまう。この場合、第1インバータ電源15はこれ以上周波数を低くすることができない。Δf<α2の範囲でも出力電力Poutが上限値(図12の場合は定格容量Pmax)を超えないように、電力変換装置10が、インバータ電源15の垂下特性を自律的に変更する。この場合、直線L1'はさらに直線L1”に変更される。なお、図12の例では、直線L1”と直線L2とが重なるため、直線L1”の表記を省略している。具体的に、直線L1”の切片は、第1変更指令値Pref1”である。図12の例では、Pref1”=Pref2*である。つまり、図12の例では、第1インバータ制御部12が、垂下特性の切片を、本来の第1電力指令値Pref1*から第1変更指令値Pref1’、Pref1”(=Pref2*)へと変更した場合を示している。
第1インバータ制御部12が、直線L1’のように垂下特性を変更した結果、α2<Δf<α1の範囲内においても、第1インバータ電源15の出力電力Poutは定格容量Pmax以下となる。つまり、第1インバータ電源15の許容最大電力の範囲内であるため、正常な動作を継続することができる。このように、垂下特性を変更することで、インバータ電源15が正常に動作する範囲を広げることができる。なお、本実施の形態では、Pref指令値を変更する場合、第1インバータ電源15の出力電力が許容最大電力(定格容量Pmax)となるよう、Pref指令値を生成するよう制御する。
次に、インバータ電源15、25に充電する場合について説明する。図13において、電力系統の負荷が減少し、まずΔfが0からβ2まで増加する場合を考える。0<Δf<β1では、直線L1,L2ともに、縦軸の値(出力電力Pout)は、定格容量Pminより大きい。したがって、第1インバータ電源15および第2インバータ電源25ともに、適正に充電動作することができる。Δf=β1では、直線L1の縦軸の値は定格容量Pminより大きいが、直線L2の縦軸の値は定格容量Pminに一致する。この場合、第2インバータ電源25はこれ以上周波数を高くすることができない。これにより、第2インバータ電源25と第1インバータ電源15は互いに周波数同期が取れなくなり、互いの出力する交流電圧の位相差が拡大する。結果として、インバータ電源15、25の間の横流電力が増加し、両インバータ電源の許容電力を超えるため、保護回路等が働くことで両インバータ電源15、25の動作が停止する可能性がある。
そこで本実施の形態では、出力電力Poutが下限値(図13の場合は定格容量Pmin)を下回らないように、第2インバータ電源25の垂下特性を変更する。図13の直線L2’は、直線L2の切片を変更した場合を示している。具体的に、直線L2’の切片は、第2変更指令値Pref2’である。
次に、電力系統の負荷がさらに減少し、Δfがβ2からΔFmaxまで増加する場合を考える。Pload=2*Pminと仮定する。ここで、仮に第2インバータ電源25の垂下特性が直線L2’のまま維持された場合、Δf>β2の範囲では、直線L2’の縦軸の値が、定格容量Pminを下回ってしまう。この場合、第2インバータ電源25はこれ以上周波数を高くすることができない。Δf>β2の範囲でも出力電力Poutが下限値(図13の場合は定格容量Pmin)を下回らないように、電力変換装置10が、インバータ電源25の垂下特性を自律的に変更する。この場合、直線L2'はさらに直線L2”に変更される。なお、図13の例では、直線L2”と直線L1とが重なるため、直線L2”の表記を省略している。具体的に、直線L2”の切片は、第2変更指令値Pref2”である。図12の例では、Pref2”=Pref1*である。つまり、図13の例では、第2インバータ制御部22が、垂下特性の切片を、本来の第2電力指令値Pref2*から第2変更指令値Pref2’、Pref2”(=Pref1*)へと変更した場合を示している。
第2インバータ制御部22が垂下特性を変更した結果、β1<Δf<β2の範囲内においても、第2インバータ電源25の出力電力Poutは定格容量Pmin以上となる。つまり、第2インバータ電源25の許容最大電力の範囲内であるため、正常な動作を継続することができる。このように、垂下特性を変更することで、インバータ電源25が正常に動作する範囲を広げることができる。なお、本実施の形態では、Pref指令値を変更する場合、第2インバータ電源25の充電電力が許容最大電力(定格容量Pmin)となるよう、Pref指令値を生成するよう制御する。
なお、第1インバータ制御部12は、制動係数DgまたはガバナゲインKdgを変更することで、第1インバータ電源15の垂下特性の傾きを変更してもよい。第1インバータ制御部12は、第1インバータ電源15の垂下特性の切片および傾きの両方を変更してもよい。同様に、第2インバータ制御部22は、制動係数DgまたはガバナゲインKdgを変更することで、第2インバータ電源25の垂下特性の傾きを変更してもよい。第2インバータ制御部22は、第2インバータ電源25の垂下特性の切片および傾きの両方を変更してもよい。
次に、電力変換装置10、20の動作の例について、図14、図15を用いて説明する。図14は、負荷が増加して、検出値Pmeasureが先述の「上限値」を超えた場合の動作である。図15は、負荷が減少して、検出値Pmeasureが、先述の「下限値」を下回った場合の動作である。図14、図15の動作は、電力変換装置10、20のどちらが行ってもよい。
図14、図15の横軸は時間である。図14、図15における上部のグラフの縦軸は、検出値Pmeasureである。図14、図15における下部のグラフの縦軸は目標出力Prefである。図14のPmaxは先述の放電側定格容量(「上限値」の一例)である。図14のPmax_high_thresholdは、上限側高位閾値であり、負荷が増加した場合にPref(補正)制御をONとするか否かを判定するために用いられる。「補正制御」とは、垂下特性(電力指令値:Pref)の変更を行うことである。図14のPmax_low_thresholdは、上限側下位閾値であり、Pref制御モード(詳細は後述する)で動作している際に、負荷が減少した場合にPref(補正)をOFFとするか否かを判定するために用いられる。Pmax_high_thresholdは上限値よりも高い値に設定され、Pmax_low_thresholdは上限値よりも低い値に設定される。
図15のPminは先述の充電側定格容量(「下限値」の一例)である。図15のPmin_high_thresholdは、下限側高位閾値であり、負荷が減少した場合にPref(補正)制御をONとするか否かを判定するために用いられる。図15のPmin_low_thresholdは、下限側下位閾値であり、負荷が増加した場合にPref(補正)制御をOFFとするか否かを判定するために用いられる。Pmin_high_thresholdは下限値よりも高い値に設定され、Pmin_low_thresholdは下限値よりも低い値に設定される。Pmax_high_threshold、Pmax_low_threshold、Pmin_high_threshold、およびPmin_low_thresholdは、電力管理装置2が設定し、電力変換装置10、20に通知した値であってもよい。あるいは、Pmax_high_threshold、Pmax_low_threshold、Pmin_high_threshold、およびPmin_low_thresholdは、電力変換装置10、20が自律的に設定した値であってもよい。
図14のt<T11では、検出値Pmeasureが安定しており、Pref(補正)制御がOFFとなっている。つまり、目標出力Prefとして電力指令値Pref*がそのまま使用されている。図14のt=T11で、負荷の増加に伴い、検出値Pmeasureが増加している。t=T12で、検出値Pmeasureが、定格容量Pmaxを超えて、Pmax_high_thresholdに到達している。このとき、Pref(補正)制御がONとなり、目標出力Prefが変更指令値Pref’に切り替わる。具体的には、Pref’=Pref*+Pref_offsetである。Pref_offsetは、電力指令値Pref*に対して加えられるオフセット量であり、図14の例では負の値である。Pref(補正)制御がONとなり目標出力Prefが低下する結果、検出値Pmeasureも定格容量Pmaxまで低下する。
t=T13で、負荷の減少に伴い、検出値Pmeasureが減少している。t=T14で、検出値Pmeasureが、Pmax_low_thresholdまで減少している。このとき、Pref(補正)制御がOFFとなり、目標出力Prefが電力指令値Pref*に戻っている。つまり、オフセット量Pref_offsetがゼロに設定され、本来の垂下特性に基づき、目標出力Prefが決定される。このように、検出値PmeasureとPmax_high_threshold、Pmax_low_thresholdとの比較に基づいてPref(補正)制御のON/OFFが切り替えられる。ただし、Pmax_high_threshold、Pmax_low_thresholdを用いず、検出値Pmeasureと上限値(例えば定格容量Pmax)との比較に基づいて、Pref(補正)制御のON/OFFが切り替えられてもよい。
図15のt<T21では、検出値Pmeasureが安定しており、Pref(補正)制御がOFFとなっている。つまり、目標出力Prefとして電力指令値Pref*がそのまま使用されている。図15のt=T21で、負荷の減少に伴い、検出値Pmeasureが低下している。t=T22で、検出値Pmeasureが、定格容量Pminを下回り、Pmin_low_thresholdに到達している。このとき、Pref(補正)制御がONとなり、目標出力Prefが変更指令値Pref’に切り替わる。具体的には、Pref’=Pref*+Pref_offsetである。図15の例におけるオフセット量Pref_offsetは、正の値である。Pref(補正)制御がONとなり目標出力Prefが上昇する結果、検出値Pmeasureも定格容量Pminまで上昇する。
t=T23で、負荷の増加に伴い、検出値Pmeasureが増加している。t=T24で、検出値Pmeasureが、Pmin_high_thresholdまで増加している。このとき、Pref(補正)制御がOFFとなり、目標出力Prefが電力指令値Pref*に戻っている。つまり、オフセット量Pref_offsetがゼロに設定され、本来の垂下特性に基づき、目標出力Prefが決定される。このように、検出値PmeasureとPmin_high_threshold、Pmin_low_thresholdとの比較に基づいてPref(補正)制御のON/OFFが切り替えられる。ただし、Pmax_low_threshold、Pmax_low_thresholdを用いず、検出値Pmeasureと下限値(例えば定格容量Pmin)との比較に基づいて、Pref(補正)制御のON/OFFが切り替えられてもよい。なお、本実施の形態では、上述の通り、Pref(補正)制御のON/OFFについてヒステリシスを持たせることで、Pref(補正)制御のON/OFFがハンチングしないように構成した。ただし、これに限るものではなく、特にヒステリシスを持たせない、あるいはON/OFFに不感帯を設けるなどしても良いことは言うまでもない。
次に、図16のフローチャートを用いて、電力変換装置10、20において行われる制御フローの一例を説明する。以下のフローに含まれる判定処理および実行処理は、例えばインバータ制御部12、22が実行する。まず、ステップS1において、自己補正フローを実施するか否かが判定される。具体的には、図10に示すPref制御管理部602が、受信部603から入力された自己補正制御フラグを確認する。自己補正制御フラグがセットされている場合、Pref制御管理部602は自己補正フローを実施すると判定し(S1:YES)、ステップS2に進む。自己補正制御フラグがセットされていない場合、Pref制御管理部602は自己補正フローを実施しないと判定し(S1:NO)、処理を終了する。ステップS2において、制御偏差etの計算が行われる。制御偏差etについては、後述する。
ステップS3において、Pref制御管理部602は、電力指令値Pref*が、前回値に対して更新されたか否かを判定する。この判定は、例えばEMS変更フラグがセットされているか否かに基づいて実行される。電力指令値Pref*が更新されている場合(S3:YES)、ステップS4に進む。電力指令値Pref*が更新されてない場合(S3:NO)、ステップS7に進む。ステップS4において、Pref制御管理部602はリセットフラグをPI制御部601(図10参照)に出力する。これにより、オフセット量Pref_offsetがゼロに設定される。ステップS5において、目標出力Prefが電力指令値Pref*に設定される。ステップS6において、フラグ値Pref_flagがゼロに設定される。フラグ値Pref_flagとは、垂下特性の変更の有無に関する設定値である。Pref_flag=0の場合、垂下特性が変更されず、本来の垂下特性が用いられる。この状態を、「通常制御モード」という。Pref_flag=1の場合、垂下特性が変更される。具体的には、切片および傾きの少なくとも一方が変更される(本実施の形態では垂下特性の切片を変更)。この状態を、「Pref制御モード」という。
ステップS7において、Pref制御管理部602は、Pref制御モードに移行するか否かを判定する。具体的には、Pref制御管理部602は、検出値PmeasureとPmax_high_thresholdの比較、および検出値PmeasureとPmin_low_thresholdの比較、を行う。Pmeasure>Pmax_high_thresholdの場合、あるいは、Pmeasure<Pmin_low_thresholdの場合(S7:YES)には、ステップS8に進む。ステップS8において、Pref_flagが1に設定され、ステップS9に進む。S7:NOの場合には、Pref_flagの値は維持されたまま、ステップS9に進む。ステップS9において、Pref_flagの値が0であると判定されると(ステップS9:NO)、処理を終了する。ステップS9において、Pref_flagの値が1であると判定されると(ステップS9:YES)、ステップS10に進む。
ステップS10において、Pref制御管理部602は、Pref制御モードを継続するか否かを判定する。具体的には、Pref制御管理部602は、検出値PmeasureとPmin_high_thresholdの比較、および検出値PmeasureとPmax_low_thresholdの比較を行う。Pmin_high_threshold≦Pmeasure≦Pmax_low_thresholdを満たす場合(S10:YES)、ステップS13に進む。S10:NOの場合、ステップS11に進む。ステップS11において、Pref制御管理部602は、制御偏差etをPI制御部601(図10参照)に出力する。PI制御部601は、PI制御を行い、制御偏差etがゼロとなるように、オフセット量Pref_offsetを計算する。
ステップS12において、加算部606(図10参照)は電力指令値Pref*に対してオフセット量Pref_offsetを加算し、その結果を目標出力PrefとしてVSG制御部401(図7参照)に出力する。ステップS12が完了すると、処理を終了する。ステップS13では、オフセット量Pref_offsetがゼロに設定される。ステップS14では、目標出力Prefが電力指令値Pref*に設定される。ステップS15では、Pref_flagの値が0に設定され、Pref制御モードから通常制御モードへと移行し、処理が終了する。
次に、図17を用いて、制御偏差etの計算フロー(図16のステップS2)について説明する。ステップS21において、プラス側偏差etplusとして、検出値Pmeasureと上限値(例えば定格容量Pmax)との偏差が演算される。この演算は、図10に示すプラス側減算部604が実行する。実行結果はPref制御管理部602に入力される。ステップS22において、Pref制御管理部602は、プラス側偏差etplusが0より大きいか否かを判定する。etplus>0の場合(ステップS22:YES),ステップS24に進む。etplus≦0の場合、ステップS23においてetplusの値がゼロに設定され、ステップS24に進む。ステップS24において、マイナス側偏差etminusとして、検出値Pmeasureと下限値(例えば定格容量Pmin)との偏差が演算される。この演算は、図10に示すマイナス側減算部605が実行する。実行結果は、Pref制御管理部602に入力される。
ステップS25において、Pref制御管理部602は、マイナス側偏差etminusが0より小さいか否かを判定する。etminus<0の場合(S25:YES)、ステップS27に進む。etminus≧0の場合(S25:NO)、ステップS26においてetminusの値がゼロに設定され、ステップS27に進む。ステップS27において、プラス側偏差etplusおよびマイナス側偏差etminusの和が、制御偏差etの値として設定される。以降は、図16に示すステップS3へと処理が続く。図16、図17に示すような制御フローを実行することで、図14、図15に示す動作を実現することができる。
上記制御フローでは、ステップS7、S10においてPref制御モードと通常制御モードとの間で移行するか否かを判定する際、Pmax_high_threshold、Pmin_low_threshold、Pmax_low_threshold、Pmin_high_thresholdが用いられる。これにより、いわゆるハンチングの発生を回避することができる。ハンチングとは、Pref_offsetの値がゼロ近傍である場合に、モード間の移行が繰り返し実行される現象である。なお、ハンチングを回避できれば、Pmax_high_threshold、Pmin_low_threshold、Pmax_low_threshold、Pmin_high_thresholdの条件設定は変更可能である。
なお、上述した電力管理装置2および電力変換装置10、20の機能は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、プログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。これらの機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
上述した電力管理装置2および電力変換装置10、20の機能を実現するためのプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。そして、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することにより、上述した電力管理装置2および電力変換装置10、20における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータ」とは、OS及び周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ」は、インターネット又はWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。尚、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に、電力管理装置2または電力変換装置10、20で合体されてもよい。また、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバ又はクライアントとなるコンピュータ内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものを含む。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。差分プログラムとは、上述した機能を、コンピュータに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現するものである。
以上説明したように、本開示に係る電力変換装置10は、電力管理装置2が生成した電力指令値Pref*に基づき、電力系統に電圧源として交流電力を供給する。電力変換装置10は、分散型電源14の直流電力を交流電力に変換するインバータ13と、インバータ13の制御パラメータを管理する制御パラメータ管理部11と、インバータ13の出力電力Poutを検出して検出値Pmeasureとして出力する検出部16と、インバータ制御部12と、を備える。インバータ制御部12は、検出値Pmeasureと、電力指令値Pref*と、制御パラメータ管理部11から出力される制御パラメータ(制動係数Dg,慣性定数M,ガバナゲインKdg、ガバナ時定数T等)と、に基づき、インバータ13を制御する電圧指令値(u*,v*,w*)を生成する。制御パラメータは、インバータ13における出力電力Poutの、周波数との相関である、垂下特性に関するものである。インバータ制御部12は、検出値Pmeasureおよび電力指令値Pref*に基づいて垂下特性を変更し、変更した垂下特性に基づき電圧指令値(u*,v*,w*)を生成する。
この構成によれば、電力系統における負荷変動が生じた場合に、分散型電源14の出力電力Poutが、上限値を超えること、あるいは下限値を下回ることを抑制できる。したがって、分散型電源14の動作が停止してしまうことを抑制できる。
また、インバータ制御部12は、電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えることで、垂下特性をオフセットさせてもよい。つまり、垂下特性の傾きは維持し、切片のみを変更してもよい。
また、インバータ制御部12は、検出値Pmeasureが上限値から下限値までの範囲内にある場合は、電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えずに使用した垂下特性に基づいて電圧指令値(u*,v*,w*)を生成し、検出値Pmeasureが上限値を超えた場合、出力電力Poutが上限値に一致するように電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えて使用した垂下特性に基づき電圧指令値(u*,v*,w*)を生成し、検出値Pmeasureが下限値を下回った場合、出力電力Poutが下限値に一致するように、電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えて使用した垂下特性に基づき電圧指令値(u*,v*,w*)を生成してもよい。
また、インバータ制御部12は、電力指令値Pref*が更新された場合、オフセット量Pref_offsetをゼロとし、更新後の電力指令値Pref*を使用した垂下特性に基づいて電圧指令値(u*,v*,w*)を生成してもよい。
また、インバータ制御部12は、電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えている場合であって、検出値Pmeasureが上限側下位閾値Pmax_low_thresholdを下回った場合、あるいは、検出値Pmeasureが下限側上位閾値Pmin_high_thresholdを上回った場合に、オフセット量Pref_offsetをゼロとしてもよい。
また、上限側下位閾値Pmax_low_thresholdおよび下限側上位閾値Pmin_high_thresholdは、電力管理装置2から通知されてもよい。
また、インバータ制御部12は、電力指令値Pref*にオフセット量Pref_offsetを加えている場合であって、検出値Pmeasureが上限値を下回った場合、あるいは、検出値Pmeasureが下限値を上回った場合に、オフセット量Pref_offsetをゼロとしてもよい。
また、インバータ制御部12は、PI制御に基づいてオフセット量Pref_offsetを計算してもよい。
また、インバータ制御部12は、仮想同期発電機制御を行ってもよい。
また、本実施の形態に係る電力変換方法は、インバータ13の出力電力Poutを検出値Pmeasureとして検出する工程と、電力管理装置2が生成した電力指令値Pref*および検出値Pmeasureに基づき、インバータ13における出力電力Poutの周波数との相関である垂下特性を変更する工程と、変更した垂下特性に基づいて電圧指令値(u*,v*,w*)を生成する工程と、電圧指令値(u*,v*,w*)に基づいて分散型電源14の直流電力を交流電力に変換する工程と、を有する。
また、本実施の形態に係る電力変換プログラムは、コンピュータに、電力管理装置2が生成した電力指令値Pref*およびインバータ13の出力電力Poutの検出値Pmeasureに基づき、インバータ13における出力電力Poutの周波数との相関である垂下特性を変更する処理と、変更した垂下特性に基づいて電圧指令値(u*,v*,w*)を生成する処理と、電圧指令値(u*,v*,w*)に基づいて分散型電源14の直流電力を交流電力に変換する処理と、を実行させる。
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施の形態では、電力変換装置10、20がVSG制御を行う場合を例として説明した。しかしながら、電力変換装置10、20の一方または両方がVSG制御を行わなくてもよい。VSG制御を行わない場合においても、前記実施の形態において説明したように垂下特性を変更することで、出力電力が上限値を超えることを回避できる。
第1電力変換装置10または第2電力変換装置20がVSG制御を行わない場合の制御の具体例について、図18~図21を用いて説明する。図18~図21は、いわゆるドループ制御の例を示している。本明細書において、「ドループ制御」とは、電力指令値Pref*と検出値Pmeasureとの差分に基づき、出力電力Poutにおける交流電圧の周波数Fを変化させる制御である。より具体的には、前記差分に応じて、周波数Fを単調減少させる。図18~21において、横軸は出力電力Poutにおける交流電圧の周波数であり、縦軸はPmeasureである。縦軸の値が電力指令値Pref*から離れているほど、電力指令値Pref*と検出値Pmeasureとの差分が大きいことを示す。図18~図21のいずれの例も、前記差分に応じて、周波数Fが単調減少している。
図18は、代表的なドループ制御における垂下特性の例である。図18では、電力指令値Pref*と検出値Pmeasureとの差分に比例するように、周波数Fを変化させている。図19では、基本となる垂下特性(実線)に対してドループゲインを乗算し、垂下特性の傾きを変化させている。図20では、縦軸の値が電力指令値Pref*の近傍である領域に、不感帯を設けている。不感帯では、その他の領域と比べて、電力指令値Pref*と検出値Pmeasureとの差分が変動したときの、周波数Fの変化が小さい。
不感帯を設けることで、以下の効果が得られる。負荷の消費電力と電力変換装置10、20の出力電力Poutがバランスした場合、電圧計および電流計のセンサ誤差に起因して、不必要な充放電が行われる場合がある。不必要な充放電は、電力ロスおよび蓄電池(分散型電源14、24)へのダメージにつながる。不感帯を設けることで、このような不必要な充放電を抑制し、電力ロスおよび蓄電池へのダメージを回避することができる。このような効果は、図20のように、垂下特性を曲線とした場合も得ることができる。
次に、図22~図24のフローチャートを用いて、電力変換装置10、20において行われるPref制御フローの一例を説明する。以下のフローに含まれる判定処理および実行処理は、例えばインバータ制御部12、22が実行する。まず、ステップS1において、自己補正フローを実施するか否かが判定される。具体的には、図10に示すPref制御管理部602が、受信部603から入力された自己補正制御フラグを確認する。自己補正制御フラグがセットされている場合、Pref制御管理部602は自己補正フローを実施すると判定し(S1:YES)、ステップS101に進む。自己補正制御フラグがセットされていない場合、Pref制御管理部602は自己補正フローを実施しないと判定し(S1:NO)、処理を終了する。ステップS101において、Pref制御管理部602はPrefの値として、電力管理装置2から受信し第1制御パラメータ管理部11(あるいは第2制御パラメータ管理部21)内のPref制御パラメータ管理部302で管理されているPref*を代入する。ステップS101を終了すると、Pref制御管理部602は、ステップS102で電力管理装置2から電力指令値(Pref*)を受信しているか否かを確認する。より具体的には、Pref制御管理部602はEMSフラグがセットされているか否かを確認する。
ステップS102がYesの場合は、ステップS103で、Pref_flagをクリアし、et、およびPref_offsetの値を“ゼロ”とする。また、リセットフラグを“1”とする。これにより、通常制御モードへ移行しフローを終了する。一方、ステップS102がNoの場合は、ステップS104でPref_flagがゼロであるか、つまりPref制御モードを実行中であるかを確認する。ステップS104でYesの場合は、ステップS105でPref制御モードに移行するかを判断する。具体的には、Pmeasure>Pmax_high_threshold、あるいはPmeasure<Pmin_low_thresholdの場合Pref制御モードに移行すると判断する。ステップS105がNoの場合、フローを終了する。一方、ステップS105がYes、あるいはステップS104がNoの場合(Pref制御モードを実行中の場合)、ステップS106でPref制御を実施する。
次に、図23を用いてPref制御(図22のステップS106に対応)のフローを説明する。Pref制御が開始されると、Pref制御管理部602はステップS110でPref_flagをセットし、ステップS111で実測電力(Pmesure)が電力指令値(Pref*)より大きいか判断する。ステップS111でYesの場合、ステップS112でPout_targetの値としてPmaxをセットする。一方、ステップS111でNoの場合、ステップS113でPout_targetの値としてPminをセットする。
ステップS112、あるいはステップS113でPout_targetのセットが完了するとPref制御管理部602はステップS114でet(=Pmesure-Pout_target)を算出する。ステップS114を完了するとPref制御管理部602は算出されたetに対してPID制御を行いPref_offsetを算出する。なお、図23に示すフローではPID制御を用いたがこれに限るものではなく、図16と同様にPI制御を利用する、あるいは比例制御を使用しても良いことは言うまでもない。また、図16に示すフロー(ステップS11)においてもPI制御の代わりにPID制御、あるいは比例制御を用いても良いことは言うまでもない。
図23に示すように、ステップS115を終了するとPref制御管理部602はステップS116でPref制御終了判定を実施する。図24にPref制御終了判定フローを示す。Pref制御終了判定フローが開始されるとPref制御管理部602はステップS120でPmin_high_threshold≧Pmeasure≧Pmax_low_thresholdであるかを確認する。ステップS120がNoの場合は、Pref制御を継続し、ステップS123でPref(=Pref*+Pref_offset)を算出し全体フローを終了する。
一方、ステップS120でYesの場合は、Pref制御管理部602はPref制御を終了すると判断し、ステップS121でet、およびPref_offsetを“ゼロ”とする。また、リセットフラグを“1”とし、ステップS122でPref_flagをクリアする。これにより、通常制御モードへ移行し、ステップS123でPref(=Pref*+Pref_offset)を算出し全体フローを終了する。
図22~図24に示すフローによれば、各インバータの垂下特性(Pref)を最適に制御することができるので、電力系統における負荷変動が生じた場合に、分散型電源14の出力電力Poutが、上限値を超えること、あるいは下限値を下回ることを抑制できる。したがって、分散型電源14の動作が停止してしまうことを抑制できる効果がある。
なお、Pref制御に関するフローは図16,17、および図22~図24に示すものに限るものではなく、上述した図12、あるいは図13に示すようにPrefを制御すれば同様の効果を奏することは言うまでもない。また、垂下特性を有する分散電源の数は2台に限るものではなく、3台以上の場合でも、Δfmaxを複数台の分散電源の中から一番大きな値を抽出、あるいはΔfminを複数台の分散電源の中から一番小さな値を抽出し各垂下特性を有する分散電源を上述のようにPref制御を行うことで同様の効果を奏することは言うまでもない。
また、本実施の形態では、垂下特性を有する分散電源の容量が同一の場合について説明したがこれに限るものではなく、分散電源の容量が異なる場合でも、例えば、放電電力が最大になった場合、Δfminまでの周波数ではPref制御を実施することで同様の効果が得られることは言うまでもない。同様に、充電電力が最大になった場合、Δfmaxまでの周波数ではPref制御を実施することで同様の効果が得られることは言うまでもない。
上記の通り、インバータ制御部12、22は、電力指令値Pref*と検出値Pmeasureとの差分に応じて出力電力Poutの周波数Fが単調減少する垂下特性(図18~図21)に基づき、電圧指令値(u*,v*,w*)を生成してもよい。
その他、上記した実施の形態あるいは変形例を、適宜組み合わせてもよい。