以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、扉2が左右方向に移動自在となっている引戸装置の外輪郭を形成している枠組み1と、建物内の2つの空間、例えば、居室空間と廊下を仕切るための仕切り体となっている壁3とが示されており、この壁3に、引戸装置の扉2で開閉される開口部Sが形成されている。壁3は、上下方向に延びる複数の縦躯体部材4と、左右方向に延びる複数の横躯体部材5と、これらの縦躯体部材4及び横躯体部材5の表裏両面に取り付けられた石膏ボード等の表面下地面材と、この表面下地面材の表面に貼り付けられたビニルシート等の表面仕上げ材とを含んで形成されている。
したがって、縦躯体部材4と横躯体部材5は壁3を形成している建材であって、壁3の躯体部材であり、壁3の躯体側部材ともなっている。
壁3を貫通した出入口となっている開口部Sを閉じていた扉2を図1中右側へ移動させて開口部Sを開けたときには、開口部Sに隣接して壁3の内部に形成されている戸袋6に扉2が収納される。したがって、本実施形態の戸袋6は、壁3の内部に設けられている壁収納タイプである。
図2には、引戸装置の扉2と壁3の表面下地面材及び表面仕上げ材等を除いた正面図が示されている。この図2に示されているように、引戸装置の外輪郭を形成している前記枠組み1は、戸先側縦枠部材10と、戸尻側縦枠部材11と、これらの戸先側縦枠部材10及び戸尻側縦枠部材11の上部間に架設されている無目12とにより形成されており、無目12は、枠組み1の上部の枠部材となっている。
したがって、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12は、枠組み1を形成している建材であって、枠組み1の枠部材である。また、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12は、縦躯体部材4と横躯体部材5が上述のように壁3の躯体側部材となっているのに対して、枠組み1のための枠側部材ともなっている。
図1から分かるように、無目12は、開口部Sと戸袋6とに跨る左右方向の長さを有し、開口部Sと戸袋6との境界部には、上端が無目12に接続されて下方へ延びる長さを有する竪額縁部材13が設けられている。この竪額縁部材13は、図2では二点鎖線によって示されている。
このため、本実施形態では、人が出入りする出入口となっている開口部Sは、戸先側縦枠部材10と、無目12と、竪額縁部材13と、開口部Sの床14とで囲まれた空間となっており、したがって、開口部Sは、枠組み1の内部の一部に形成されている。そして、壁3を形成している縦躯体部材4と横躯体部材5は、開口部Sの外側、具体的には、開口部Sの左側か右側と、上側とに配設された建材となっており、枠組み1を形成している戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12も、開口部Sの外側に配設された建材となっている。
なお、図1には、戸袋6の強度を確保するために竪額縁部材13と戸尻側縦枠部材11との間に架設された補強部材7も示されている。
無目12の内部には、扉2を左右方向に移動自在とするための図示されていない移動機構が収納配置されており、この移動機構は、上吊り式となっている扉2の上端に設けられたローラが転動自在に係合するレール部材や、無目12の内部に取り付けられていて、扉2との間にワイヤーが架け渡され、扉2が開口部Sを開けるために図1中右移動したときにぜんまいばねにばね力が蓄圧されて、この蓄圧されたばね力で扉2を閉じ移動させるためのぜんまいばね式自動閉鎖装置等により構成されている。
図3、図4及び図5は、図2のS3-S3、S4-S4及びS5-S5線断面図である。図5に示されているように、無目12には、開口部Sの貫通方向の片側において、取り外し可能のカバー部材8で塞がれた点検口9が形成されており、カバー部材8を取り外すことにより、点検口9から上記移動機構についての保守、点検作業等を行えるようになっている。これらのカバー部材8及び点検口9は、無目12の全長のうち、開口部Sと対応する箇所だけに設けられている。
図3に示されているように、枠組み1における扉2の閉じ側の枠部材となっている戸先側縦枠部材10には、この戸先側縦枠部材10の下地部材20がビス30で結合されており、また、図4に示されているように、枠組み1における扉2の開き側の枠部材となっている戸尻側縦枠部材11には、この戸尻側縦枠部材11の下地部材21がビス31で結合され、図5に示されているように、枠組み1の上部の枠部材となっている無目12には、この無目12の下地部材22がビス32で結合されている。これらのビス30,31,32は、戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11、無目12の長さ方向に複数設けられている。
棒状部材となっている下地部材20,21,22は、戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11、無目12と同様に、開口部Sの外側に配設された建材となっているとともに、枠組み1を形成している建材ともなっており、また、下地部材20,21,22は、戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11、無目12と同様に、枠組み1のための枠側部材ともなっている。
また、図1及び図2で示されている壁3の縦躯体部材4のうち、戸先側縦枠部材10と左右方向に対向している縦躯体部材4Aには、図3に示されているように、この縦躯体部材4Aの下地部材40がビス50で結合され、また、図1及び図2で示されている壁3の縦躯体部材4のうち、戸尻側縦枠部材11と左右方向に対向している縦躯体部材4Bには、図4に示されているように、この縦躯体部材4Bの下地部材41がビス51で結合されている。また、図1及び図2で示されている壁3の横躯体部材5のうち、無目12と上下に対向している横躯体部材5Aには、図5に示されているように、この横躯体部材5Aの下地部材42がビス52で結合されている。これらのビス50,51,52は、縦躯体部材4A,4B、横躯体部材5Aの長さ方向に複数設けられている。
なお、ビス50,51については、これらのビス50,51の向きを図3、図4で示されている向きと逆にし、頭部が戸先側縦枠部材10側に向いたビス50により、縦躯体部材4Aと下地部材40を結合するようにしてもよく、また、頭部が戸尻側縦枠部材11側に向いたビス51により、縦躯体部材4Bと下地部材41を結合するようにしてもよい。
下地部材20,21,22と同様に棒状部材となっている下地部材40,41,42は、縦躯体部材4A,4B、横躯体側部材5Aと同様に、開口部Sの外側に配設された建材であるとともに、壁3の建材ともなっており、また、下地部材40,41,42は、縦躯体部4A,4B、横躯体側部材5Aと同様に、壁3のための躯体側部材ともなっている。
そして、それぞれの下地部材20,21,22,40,41,42は、開口部Sの貫通方向に間隔を開けて設けられた一対のフランジ部61,62と、これらのフランジ部61,62の基部同士を接続するウエブ部63とからなるチャンネル材により形成されている。また、図3に示されているように、戸先側縦枠部材10の下地部材20と縦躯体部材4Aの下地部材40は、互いの開口側を左右方向に向かい合わせて配置されており、図4に示されているように、戸尻側縦枠部材11の下地部材21と縦躯体部材4Bの下地部材41も、互いの開口側を左右方向に向かい合わせて配置されており、図5に示されているように、無目12の下地部材22と横躯体部材5Aの下地部材42は、互いの開口側を上下方向に向かい合わせて配置されている。
図1及び図2には、横躯体部材5Aの下地部材42に対して無目12と戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11を、開口部Sの貫通方向に位置出しするための位置出し部材70,71が示されているとともに、横躯体部材5Aの下地部材42に対して無目12を開口部Sの貫通方向に位置出しするための位置出し部材72も示されている。図6及び図7は、無目12の長さ方向の両端部の近くに配置された位置出し部材70,71を示し、図8及び図9は、無目12の長さ方向の途中に配置された位置出し部材72を示す。この位置出し部材72は、図1及び図2に示されているように、無目12の長さ方向である左右方向に複数設けられている。
図7及び図9に示されているように、これらの位置出し部材70,71,72の全体は、開口部Sの貫通方向である幅寸法がW1となっている板ばねによって形成されており(図7では位置出し部材70のみが示されているが、位置出し部材71についても位置出し部材70と同じである。)、また、これらの位置出し部材70,71,72は、板状のベース部70A,71A,72Aと、このベース部70A,71A,72Aの左右方向の端部、すなわち、前記扉2の移動方向の端部から折り曲げられて下方への角度をもって延出している板状の位置出し部70B,71B,72Bとからなる。
また、図7及び図9から分かるように、位置出し部材70,71,72の板状のベース部70A,71A,72Aは、横躯体部材5Aの下地部材となっていてチャンネル材で形成されている下地部材42の内部に挿入されて、この下地部材42のウエブ部63の内面にビス等の止着具又は溶接で取り付けられている。また、位置出し部材70,71の板状の位置出し部70B,71Bは、縦躯体部材4A,4Bの下地部材となっていてチャンネル材で形成されている下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の間に挿入されているとともに、無目12の下地部材となっていてチャンネル材で形成されている下地部材22の一対のフランジ部61,62の間にも挿入されており、さらに、位置出し部材72の板状の位置出し部72Bは、無目12の下地部材22の一対のフランジ部61,62の間に挿入されている。
また、図7及び図9に示されているように、戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11、無目12、縦躯体部材4A,4B、横躯体部材5Aにビス30,31,32,50,51,52で結合されている下地部材20,21,22,40,41,42に設けられた一対のフランジ部61,62の内面間の間隔はW2であり(図7では縦躯体部材4Aの下地部材40のみが示されているが、縦躯体部材4Bの下地部材41についても同じである。)、この間隔W2は、位置出し部材70,71,72の上述した幅寸法W1と同じ又はこの幅寸法W1よりも若干小さくなっている。
したがって、位置出し部材70,71,72の位置出し部70B,71B,72Bにおける開口部Sの貫通方向の両端部は、下地部材20,21,22,40,41,42の一対のフランジ部61,62の内面に接触可能又は弾性力をもって接触可能となっている。
このため、上述のように位置出し部材70,71,72の板状のベース部70A,71A,72Aを横躯体部材5Aの下地部材42のウエブ部63の内面にビス等の止着具又は溶接で取り付けると、これらのベース部70A,71A,72Aにおける開口部Sの貫通方向の両端部が、下地部材42の一対のフランジ部61,62の内面に接触し、これにより、位置出し部材70,71,72が開口部Sの貫通方向に位置出しされて下地部材42に取り付けられることになる。
また、本実施形態では、横躯体部材5Aに下地部材42を結合している図5のビス52の軸部は、下地部材42のウエブ部63に形成されているねじ孔に螺入されているが、このビス52の軸部を挿通させるために横躯体部材5Aに形成されている孔64は、開口部Sの貫通方向に長い長孔となっている。
なお、ビス52の向きを上下逆とするとともに、開口部Sの貫通方向に長い長孔となっている孔64を下地部材42のウエブ部63に形成し、これにより、頭部が下側となったビス52の軸部を長孔64に挿通させて、この軸部を、横躯体部材5Aに形成されているねじ孔に螺合するようにしてもよい。
前述したように位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bを縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の間に挿入するときには、ビス52を緩めておき、この後に、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bを縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の間に挿入するようにすると、横躯体部材5Aの下地部材42と縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41との位置が、開口部Sの貫通方向にずれているときには、位置出し部材70,71の位置出し部70B,70Aにおける開口部Sの貫通方向の両端部を下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の内面に接触させることにより、横躯体部材5Aの下地部材42が長孔64の長さ方向に移動することになり、すなわち、長孔64は上記ずれを吸収するための手段となり、これにより、この下地部材42が、縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41を基準として開口部Sの貫通方向に位置出しされることになり、この位置出し後に、ビス52の締め付けを行う。
そして、ビス52の締め付けを行う前は、位置出し部材70,71が取り付けられていて前述の躯体側部材となっている下地部材42と、同じく躯体側部材となっている下地部材40,41とが、位置出し部材70,71によって仮連結されていることになる。
また、このビス52の締め付け後に、前述したように、ベース部70A,71A,72Aが下地部材42のウエブ部63にビス等で取り付けられた位置出し部材70,71,72の位置出し部70B,71B,72Bを、無目12の下地部材22の一対のフランジ部61,62の間に挿入して、位置出し部70B,71B,72Bにおける開口部Sの貫通方向の両端部を一対のフランジ部61,62の内面に接触させるための作業を行うと、この下地部材22は、縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41と横躯体部材5Aの下地部材42を基準として、開口部Sの貫通方向に位置出しされることになり、すわなち、下地部材22が図5のビス32で予め結合されている無目12が縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41と横躯体部材5Aの下地部材42を基準として、開口部Sの貫通方向の位置出しされることになり、これにより、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12からなる前述の枠組み1についての開口部Sの貫通方向の位置出しも可能となる。
なお、以上の位置出し作業を行うと、位置出し部材70,71,72により、前述の枠側部材となっている下地部材22と、前述の躯体側部材となっている下地部材40,41,42とが、位置出し部材70,71,72により、仮連結されることになる。
以上の位置出し作業によると、縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41と横躯体部材5Aの下地部材42は、互いに90度の角度をなして配設された建材となっており、位置出し部材70,71が取り付けられている下地部材42を下地部材41,42に対して、位置出し部材70,71により開口部Sの貫通方向に位置出しすることにより、互いに90度の角度をなしている建材同士が、位置出し部材70,71によって仮連結されて位置出しされることになる。
また、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22は、互い平行となって配設された建材となっており、位置出し部材70,71,72が取り付けられている下地部材42に対して下地部材22を、位置出し部材70,71,72によって開口部Sの貫通方向の位置出しすることにより、互いに平行となっている建材同士が、位置出し部材70,71,72によって仮連結されて位置出しされることになる。
なお、本実施形態では、図6及び図7から分かるように、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bが、無目12と縦躯体部材4A,4Bの下地部材22,40,41の内部だけに挿入され、前述した戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11の下地部材20,21の内部には挿入されていないが、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bを下地部材20,21の内部にも挿入し、これにより、位置出し部70B、71Bにおける開口部Sの貫通方向の両端部を下地部材20,21の一対のフランジ部61,62の内面にも接触させるようにしてもよい。
これによると、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22は、上述したように互いに平行となって配設された建材となっており、また、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11の下地部材20,21は、図6に示されているように、無目12の下地部材22の長さ方向の端部に配設された建材になっているとともに、横躯体部材5Aの下地部材42と戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11の下地部材20,21は、互いに90度の角度をなして配設された建材となっているため、位置出し部材70,71が取り付けられた下地部材42に、この下地部材42と平行に配設されている建材となっている下地部材22と、下地部材42と90度の角度をなして配設されている建材となっている下地部材20,21との両方を、位置出し部材70,71によって仮連結して位置出しできるようになる。
また、前述したように位置出し部材70,71,72のベース部70A,71A,72Aにおける開口部Sの貫通方向の両端部が、これらの位置出し部材70,71,72が取り付けられている下地部材42の一対のフランジ部61,62の内面に接触しているため、これらの位置出し部材70,71,72は、下地部材42において、開口部Sの貫通方向に位置出しして取り付けられていることになり、このため、下地部材42と下地部材20,21,22,40,41とを、開口部Sの貫通方向に一層正確に位置出しできることになる。
また、位置出し部材70,71,72全体は、前述したように板ばねによって形成されているため、位置出し部材70,71,72は、少なくとも板状のベース部70A,71A,72Aと板状の位置出し部70B,71B,72Bとの接続部から、板状の位置出し部70B,71B,72Bの先端部までばね性を有するものとなっている。このため、位置出し部70B,71B,72Bの先端部が無目12と縦躯体部材4A,4Bの下地部材22,40,41のウエブ部63に当接すると、位置出し部70B,71B,72Bは、弾性的に湾曲変形したり、ベース部70A,71A,72Aと位置出し部70B,71B,72Bとがなす角度を弾性的に変化させることが可能となっている。このため、位置出し部70B,71B,72Bの先端部が下地部材22,40,41のウエブ部63に当接するまで、位置出し部70B,71B,72Bを下地部材22,40,41の内部に充分挿入できるため、下地部材22と下地部材42同士,下地部材40と下地部材20同士,下地部材41と下地部材21同士が、これらの間隔が充分小さくなるまで近づいても、位置出し部材70,71,72による下地部材22と下地部材42同士,下地部材40と下地部材20同士,下地部材41と下地部材21同士についての開口部Sの貫通方向における位置出し作業を行えるようになっている。
なお、前述したビス30,31,32,50,51で結合されている部材同士を、これらのビス30,31,32,50,51を用いずに、例えば、工場で行う溶接により結合するようにしてもよい。
以上のようにして位置出し部材70,71,72により、枠組み1の構成部材となっている無目12が開口部Sの貫通方向に位置出しされて壁3に配置されると、枠組み1自体も開口部Sの貫通方向に位置出して壁3に配置できることが可能になる。これにより、図3で示した戸先側縦枠部材10の下地部材20と縦躯体部材4Aの下地部材40を、開口部Sの貫通方向に位置を一致させることや、図4に示した戸尻側縦枠部材11の下地部材21と縦躯体部材4Bの下地部材41も、開口部Sの貫通方向に位置を一致させること、さらには、図5に示した無目12の下地部材22と横躯体部材5Aの下地部材42も、開口部Sの貫通方向に位置を一致させることが可能となる。そして、前述したように位置出し部材70,71,72により、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22とを仮連結することができ、また、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bが、前述したように戸先側縦枠部材10の下地部材20と戸尻側縦枠部材11の下地部材21の内部に挿入されることにより、位置出し部材70,71により、下地部材42と下地部材20,21とを仮連結することができる。
図6及び図7には、戸先側縦枠部材10の下地部材20と縦躯体部材4Aの下地部材40に架け渡され、これらの下地部材20,40同士を左右方向の隙間を開けて連結するための連結部材80,81が示されているとともに、戸尻側縦枠部材11の下地部材21と縦躯体部材4Bの下地部材41に架け渡され、これらの下地部材21,41同士を左右方向の隙間を開けて連結するための連結部材82,83が示されており、さらに、無目12の下地部材22と横躯体部材5Aの下地部材42に架け渡され、これらの下地部材22,42同士を上下方向の隙間を開けて連結するための連結部材84,85も示されている。
棒状部材となっている下地部材20,21,22,40,41,42の長さ方向にそれぞれ複数個が配置されるこれらの連結部材80,81,82,83,84,85は板状の細長部材となっており、図3~図5に示されているように、これらの連結部材80,81,82,83,84,85のうち、連結部材80,82,84の長さ方向の一方の端部は、戸先側縦枠部材10の下地部材20のフランジ部61と、戸尻側縦枠部材11の下地部材21のフランジ部61と、無目12の下地部材22のフランジ部61とに、止着具であるビス88で結合されており、連結部材80,82,84の長さ方向の他方の端部は、縦躯体部材4Aの下地部材40のフランジ部61と、縦躯体部材4Bの下地部材41のフランジ部61と、横躯体部材5Aの下地部材42のフランジ部61とに、止着具であるビス89で結合されている。また、連結部材80,81,82,83,84,85のうち、連結部材81,83,85の長さ方向の一方の端部は、戸先側縦枠部材10の下地部材20のフランジ部62と、戸尻側縦枠部材11の下地部材21のフランジ部62と、無目12の下地部材22のフランジ部62とに、ビス88で結合されており、連結部材81,83,85の長さ方向の他方の端部は、縦躯体部材4Aの下地部材40のフランジ部62と、縦躯体部材4Bの下地部材41のフランジ部62と、横躯体部材5Aの下地部材42のフランジ部62とに、ビス89で結合されている。
すなわち、連結部材80,82,84は、下地部材20,21,22,40,41,42における開口部Sの貫通方向の一方の面に配置され、連結部材81,83,85は、下地部材20,21,22,40,41,42における開口部Sの貫通方向の他方の面に配置されている。
また、本実施形態では、ビス88,89のうち、一方のビス、本実施形態では、ビス88は通常のビスであるため、このビス88の軸部は、連結部材80,81,82,83,84,85に形成された孔に挿通されて、下地部材20,21,22のフランジ部61,62に予め形成されたねじ孔に螺入されるものとなっているが、ビス89は、連結部材80,81,82,83,84,85に形成された孔に軸部が挿入されて、この軸部が下地部材40,41,42のフランジ部61,62にねじ切り孔加工を行いながら螺入されるテックスビスとなっている。
また、下地部材20,21,22のフランジ部61と下地部材40,41,42のフランジ部61とを連結している連結部材80,82,84と、下地部材20,21,22のフランジ部62と下地部材40,41,42のフランジ部62とを連結している連結部材81,83,85は、図6に示されているように、所謂たすき掛けの状態で配置されている。すなわち、下地部材20,21,22,40,41,42における開口部Sの貫通方向の一方の面に配置されている連結部材80,82,84は、水平方向から一方の側へ傾いた状態で配置されており、下地部材20,21,22,40,41,42における開口部Sの貫通方向の他方の面に配置されている連結部材81,83,85は、水平方向から他方の側へ傾いた状態で配置されている。
このため、連結部材80,81,82,83,84,85をビス88を中心に回動させて、連結部材80,82,84と連結部材81,83,85をたすき掛け状態に配置した後に、連結部材80,81,82,83,84,85をテックスビス89により下地部材40,41,42に結合すると、下地部材20,21,22と下地部材40,41,42は、連結部材80,81,82,83,84,85により、上下方向及び左右方向に位置ずれ不能に連結されるとともに、ビス88を中心とする連結部材80,81,82,83,84,85の回動角度に応じて、下地部材20と下地部材40及び下地部材21と下地部材41では、左右方向の適切な間隔を確保して、下地部材20,21と下地部材40,41とを連結することができ、下地部材22と下地部材42では、上下方向の間隔を適切な大きさに設定して、下地部材22と下地部材42とを連結することができる。
図3及び図4には、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11の下端部に設けられ、これらの戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11についての図1で示した床14からの高さ位置を調整するための高さ位置調整手段となっているボルト91が示されている。このボルト91の軸部は、図10示されているように、戸先側縦枠部材10の下地部材20と戸尻側縦枠部材11の下地部材21の下端部に取り付けられた板状の基盤部材92に上下に形成されたねじ孔92Aに上から螺入されており、ボルト91の軸部の下端部は床14に当接している。
ボルト91の頭部には、図11で示す六角穴91Aが形成されており、この六角穴91Aに挿入係合される六角状のボールポイント部93Aが先端に設けられている六角レンチ93を回転操作することにより、ボルト91が回転して戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11の下地部材20,21の高さ位置の調整を行えるようになっている。
六角レンチ93は、図3で示されている戸先側縦枠部材10の下地部材20と縦躯体部材4Aの下地部材40との間の小さな隙間や、図4で示されている戸尻側縦枠部材11の下地部材21と縦躯体部材4Bの下地部材41との間の小さな隙間に挿入することができるため、上下方向や左右方向、前後方向に対して傾けてこれらの隙間に挿入した六角レンチ93により、ボルト91を回転させることで、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11の高さ位置が調整される。
図12及び図13は、縦躯体部材4A,4Bと横躯体部材5Aとで囲まれる空間部に、枠組み1を構成している戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12を挿入し、横躯体部材5Aの下地部材42に取り付けられた位置出し部材70,71,72により、枠組み1を開口部Sの貫通方向に位置出しするための作業を示している。
この作業が行われる前に、前述したように、図5で示したビス52を緩めておき、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bを縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の間に挿入することにより、横躯体部材5Aの下地部材42と縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41との位置が、開口部Sの貫通方向にずれているときには、位置出し部材70,71の位置出し部70B,70Aにおける開口部Sの貫通方向の両端部が下地部材40,41の一対のフランジ部61,62の内面に接触することにより、ビス52が図5の長孔64の長さ方向に移動して、横躯体部材5Aの下地部材42が、縦躯体部材4A,4Bの下地部材40,41を基準として開口部Sの貫通方向に位置出しされ、この位置出し後に、ビス52の締め付けが行われている。
また、図12及び図13に示されている作業を行うときには、連結部材80,81,82,83,84,85は、予めビス88だけにより、戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11、無目12の下地部材20,21,22に結合されている。なお、このような連結部材80,81,82,83,84,85は、予め工場で生産されて、図1で示す壁3や引戸装置が設置施工される作業現場に搬入されている。そして、連結部材80,81,82,83,84,85をビス88により下地部材20,21,22に結合するための作業は、工場で行ってもよく、作業現場で行ってもよい。
図12及び図13に示す作業は、戸先側縦枠部材10と戸尻側縦枠部材11と無目12からなる枠組み1の高さ位置を、図11で示した六角レンチ13によってボルト91を回転させることによって高くする作業であり、これにより、枠組み1の高さ位置を、横躯体部材5Aに対して適切な高さとすることができる。このように枠組み1の高さ位置を高くすると、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22は、図13に示されているように下地部材22の内部に位置出し部72Bが挿入される位置出し部材72により、開口部Sの貫通方向に位置出しされながら、仮連結されて適切な高さ位置関係となり、また、前述したように、位置出し部材70,71の位置出し部70B,71Bが、図6で示すように、下地部材22の内部に挿入されることにより、これらの位置出し部材70,71によっても下地部材42と下地部材22は、開口部Sの貫通方向に位置出しされながら、仮連結されて適切な高さ位置関係となる。
この後に、連結部材80,81,82,83,84,85をビス88を中心に回動させ、これらの連結部材80,81,82,83,84,85を、前述のねじ切り孔加工を行うテックスビス89により縦躯体部材4A,4B、横躯体部材5Aの下地部材40,41,42に結合し、この結合を、前述したように連結部材80,82,84と連結部材81,83,85とを、たすき掛けの状態にして配置する。
これにより、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22、縦躯体部材4Aの下地部材40と戸先側縦枠部材10の下地部材20、縦躯体部材4Bの下地部材41と戸尻側縦枠部材11の下地部材21は、それぞれ上下方向及び左右方向に不動に連結されることになる。
そして、横躯体部材5Aや無目21に高さ方向の位置誤差があり、また、縦躯体部材4A,4Bや戸先側縦枠部材10、戸尻側縦枠部材11に左右方向の位置誤差があっても、これらの誤差を、たすき掛け状態で配置された連結部材80,82,84と連結部材81,83,85とについてのビス88を中心とする回動角度によって吸収することができる。
また、本実施形態では、横躯体部材5Aの下地部材42と無目12の下地部材22、縦躯体部材4Aの下地部材40と戸先側縦枠部材10の下地部材20、縦躯体部材4Bの下地部材41と戸尻側縦枠部材11の下地部材21は、それぞれ溶接により結合されておらず、下地部材42と22同士、下地部材40と20同士、下地部材41と21同士は、機械的結合手段となっているビス88,89によってこれらの下地部材20,21,22,40,41,42に長さ方向の両端部が結合された連結部材80,81,82,83,84,85で連結されているため、下地部材42と22同士、下地部材40と20同士、下地部材41と21同士のそれぞれの連結作業を、図1の壁3が設置施工されて、開口部Sが扉2により開閉される引戸装置の設置施工作業現場において、溶接装置を用いることなく容易に行え、作業効率を向上させることができる。
図14は、連結部材80を下地部材20に前述のビス88で結合するのではなく、連結部材80と下地部材20に機械的結合手段として形成された係合手段95により、連結部材80を下地部材20に回動自在に結合する実施形態を示す。
ビス88と同様に機械的結合手段となっているこの係合手段95は、連結部材80に形状的に形成されている係合部96と、下地部材20に形状的に形成され、係合部96が挿入、係合可能であって、連結部材80を係合部96を中心に回動自在とする被係合部97とからなる。係合部96は、連結部材80の長さ方向に一対設けられたL字状のフック部96A,96Bにより形成されており、これらのフック部96A,96Bは、背中合わせ状態で互いに逆向きの状態で形成されている。このようなフック部96A,96Bは、連結部材80の材料である板材を打ち抜き、折り曲げ加工することにより、連結部材80に容易に設けることができる。
下地部材20の被係合部97は、丸孔部97Aと、この丸孔部97Aから互いに反対側へ延出形成されている一対の長孔部97B,97Cとからなる。
一対のフック部96A,96Bを下地部材20の表面側から一対の長孔部97B,97Cに挿入して、下地部材20の裏面側に突出させ、この後に、連結部材80を係合部96を中心に回動させると、一対のフック部96A,96Bは、一対の長孔部97B,97Cから外れた下地部材20の裏面の箇所に係合するため、係合部96が設けられている連結部材80の一方の端部は下地部材20に結合される。この後に、連結部材80の他方の端部は、前述したテックスビス89により前述した下地部材40に結合される。
このような係合部96と被係合部97からなる係合手段95による機械的結合手段によっても、連結部材80の一方の端部を下地部材20に回動自在かつ機械的に結合することができる。
また、以上の係合部96と被係合部97による係合手段95は、連結部材81,82,83,84,85と下地部材21,22とについても適用することができる。