以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫について詳細に説明する。なお、図中、同一または相当する部分には、同じ符号を付す。以下の実施の形態では、家庭で使用され、主に食品を貯蔵する冷蔵庫の例を示す。
まず、図1および図2を用いて、実施の形態に係る冷蔵庫100について説明する。図1は、実施の形態に係る冷蔵庫100の外観を示す正面図である。図2は、図1に示す冷蔵庫100の断面S1の断面図である。冷蔵庫100は、開口部を有する断熱箱体110と、断熱箱体110の開口を開閉する断熱扉11A、11B、12、13、14、および15を備える。断熱箱体110の内部には、複数の貯蔵室が形成されている。冷蔵庫100は、貯蔵室として、断熱扉11Aおよび11Bを有する冷蔵室1、断熱扉12を有する製氷室2、断熱扉13を有する切替室3、断熱扉14を有する冷凍室4および断熱扉15を有する野菜室5を備える。
冷蔵室1は、主に野菜以外の食品を収納するための貯蔵室である。冷蔵室1内の温度は、例えば、+3℃~+10℃の冷蔵温度帯に保たれる。製氷室2は、製氷された氷を貯めるための貯蔵室である。製氷室2は、例えば-17℃以下の冷凍温度帯に保たれる。切替室3は、室内の温度を冷凍温度帯、冷蔵温度帯等の複数の温度帯に段階的に切り替えることができる貯蔵室である。冷凍室4は室内の温度が冷凍温度帯に保たれる。野菜室5は、主に野菜を収納するための貯蔵室である。野菜室5は、野菜の保存に適した冷蔵温度帯に保たれる。以下、冷蔵室1、製氷室2、切替室3、冷凍室4および野菜室5を区別しない場合は、貯蔵室といい、貯蔵室用の断熱扉を貯蔵室用扉という。
冷蔵庫100は、断熱箱体110と各貯蔵室の開口に配置された貯蔵室用扉とによって、外気の熱が貯蔵室内に侵入するのを防ぐ。これによって貯蔵室用扉が閉状態である場合には、貯蔵室内部の低温状態を維持することができる。断熱箱体110の内部には、各貯蔵室に加えて、機械室6および冷却室7が形成されている。機械室6には圧縮機21、凝縮器(図示せず)等の各種装置が収容されている。冷却室7には冷却器23、送風機24などの各種装置が収容されている。冷蔵庫100は、冷凍サイクルによって冷却室7内の空気を冷却する。図2の例では、冷凍サイクルは、圧縮機21と、凝縮器(図示せず)と、膨張弁(図示せず)と、冷却器23との4つの要素で構成される。これらの要素は配管によって環状に接続され、配管を介して各要素を冷媒が循環する。
具体的には、冷却器23は、膨張弁を経由して送られてきた低温・低圧の液体冷媒を、周辺の空気から熱を奪って気化する。これにより冷却器23の周囲が冷却され、冷気が生成される。冷却器23は、気化した気体冷媒を圧縮機21に吐出する。冷却器23は、例えば冷媒管に金属製の薄板を有するフィンを接合したフィンチューブ熱交換器である。冷媒管とフィンとを例えば拡管によって接合することで、冷媒管とフィンとの間の接触熱抵抗を小さくする。これによりフィン効率を向上させ、熱交換量を向上させる。
圧縮機21は、主軸を回転して、冷却器23から吐出される気体冷媒を圧縮し、圧縮後の高温・高圧の気体冷媒を凝縮器に吐出する。凝縮器は、圧縮機21から送られてきた高温・高圧の気体冷媒を放熱させ、低温・高圧の液体冷媒にする。凝縮器から吐出された低温・高圧の液体冷媒は、管径の細い膨張弁を通過させることで気化しやすいように圧力が下げられる。圧力が下げられた低温・低圧の液体冷媒は膨張弁を経由して冷却器23に送られる。送風機24は、ファンを回転して、冷却器23周辺で冷却された冷気を、ダクトを介して各貯蔵室へと送る。以下、圧縮機21の主軸の単位時間あたりの回転数および送風機24のファンの単位時間あたりの回転数をそれぞれ、単に回転数という。
送風機24の回転数が大きい程、送風機24の送風力が大きくなる。また、圧縮機21の回転数が大きい程、圧縮機21の圧縮力が大きくなり、冷却器23の冷気生成力が大きくなる。結果として、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数がそれぞれ大きいほど、冷蔵庫100の冷却能力が大きくなる。反対に、送風機24の回転数が小さい程、送風機24の送風力が小さくなる。また、圧縮機21の回転数が小さい程、圧縮機21の圧縮力が小さくなり、冷却器23の冷気生成力が小さく。結果として、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数がそれぞれ小さいほど、冷蔵庫100の冷却能力が小さくなる。
なお、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数はそれぞれ、単位時間あたりの回転数のことをいう。
図2に示すように、冷蔵庫100の背面の上部には、制御盤16が収納されている。制御盤16は、主に各貯蔵室内の温度調節を行う。制御盤16は、制御回路、記憶装置などの電気部品が基盤に実装されたものである。
冷蔵室1内には、冷蔵室1内の温度を検知する冷蔵室温度センサ51が設けられている。製氷室2内には、製氷室2内の温度を検知する製氷室温度センサ52が設けられている。切替室3内には、切替室3内の温度を検知する切替室温度センサ(図示せず)が設けられている。冷凍室4内には、冷凍室4内の温度を検知する冷凍室温度センサ54が設けられている。野菜室5内には、野菜室5内の温度を検知する野菜室温度センサ55が設けられている。断熱箱体110の外側には、冷蔵庫外の温度を検知する外気温センサ58が設けられている。以下、冷蔵庫外の温度を外気温という。
以下、冷蔵室温度センサ51、製氷室温度センサ52、切替室温度センサ(図示せず)、冷凍室温度センサ54、および、野菜室温度センサ55を総称する場合には、貯蔵室温度センサ50という。貯蔵室温度センサ50は、貯蔵室内温度検知部の例である。外気温センサ58は、外気温検知部の例である。
冷蔵室1内には、断熱扉11A、11Bの開閉を検知する冷蔵室用開閉センサ61が設けられている。製氷室2内には、断熱扉12の開閉を検知する製氷室用開閉センサ62が設けられている。切替室3内には、断熱扉13の開閉を検知する切替室用開閉センサ(図示せず)が設けられている。冷凍室4内には、断熱扉14の開閉を検知する冷凍室用開閉センサ64が設けられている。野菜室5内には、断熱扉15の開閉を検知する野菜室用開閉センサ65が設けられている。
以下、冷蔵室用開閉センサ61、製氷室用開閉センサ62、切替室用開閉センサ(図示せず)、冷凍室用開閉センサ64、および、野菜室用開閉センサ65を総称する場合には、貯蔵室用扉開閉センサ60という。貯蔵室用扉開閉センサ60は、扉開閉検知部の例である。貯蔵室用扉開閉センサ60が検知するのは、断熱扉の開閉状態でもよいし、開閉動作でもよい。
続いて、実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400について図3を用いて説明する。図3は、冷蔵庫管理システム400の構成例を示す図である。冷蔵庫管理システム400は、複数の冷蔵庫100と、複数の冷蔵庫100とネットワーク200を介して接続される冷蔵庫管理サーバ300とを備える。
冷蔵庫100は、例えば家庭用冷蔵庫であって、各家庭に設置される。ネットワーク200は、無線または有線のどちらでもよく、例えば公衆回線、プライベートなLAN回線などである。冷蔵庫管理サーバ300は、コンピュータから構成され、複数の冷蔵庫100を2以上の冷蔵庫群に分類し、冷蔵庫群ごとに基準となる送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を決定する。冷蔵庫管理サーバ300は、冷蔵庫群ごとに基準となる送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す基準制御情報を生成し、冷蔵庫100に、該当する冷蔵庫群の基準制御情報を送信する。基準制御情報は、例えば、外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である。あるいは、基準制御情報は、単に送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す情報であってもよい。基準制御情報が示す外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とは、それぞれ幅のある値である。
続いて、冷蔵庫100の制御盤16の機能構成例について図4を用いて説明する。図4に示すように、制御盤16は、温度制御部161と通信制御部162を備える。温度制御部161は、圧縮機21および送風機24の制御を行う。通信制御部162は、ネットワーク200を介して冷蔵庫管理サーバ300と通信を行う。
温度制御部161は、貯蔵室温度センサ50から、各貯蔵室内の温度を示す貯蔵室温度情報を取得する。温度制御部161は、外気温センサ58から、外気温を示す外気温情報を取得する。温度制御部161は、貯蔵室用扉開閉センサ60から、各貯蔵室用扉の開閉を示す開閉情報を取得する。温度制御部161は、通信制御部162を介して冷蔵庫管理サーバ300から基準制御情報を受信する。また、温度制御部161は、各貯蔵室の設定温度を示す設定温度情報を記憶している。
例えば、基準制御情報が、外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である場合、温度制御部161は、貯蔵室温度情報が示す貯蔵室内の温度が当該貯蔵室の設定温度よりも高くなったときに、当該貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値を求める。温度制御部161は、基準制御情報を参照し、外気温情報が示す外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値との組み合わせに対応付けられた送風機24の回転数および圧縮機21の回転数で、それぞれ送風機24および圧縮機21を回転させ、貯蔵室内に送られる冷気の量および温度を調節して貯蔵室内の温度を調節する。
一方、基準制御情報が、単に送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す情報である場合は、温度制御部161は、基準制御情報が示す送風機24の回転数および圧縮機21の回転数で、それぞれ送風機24および圧縮機21を回転させる。この場合、温度制御部161は、例えば、外気温情報が示す外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに基づいて、図示しないダンパの開閉を制御し、各貯蔵室内に送られる冷気の量を調節して貯蔵室内の温度を調節する。
また、温度制御部161は、通信制御部162を介して、貯蔵室温度センサ50から受信した時系列の貯蔵室温度情報と、貯蔵室用扉開閉センサ60から受信した時系列の開閉情報とを冷蔵庫100を識別する情報に対応付けて、冷蔵庫管理サーバ300に送信する。
なお、ユーザは、冷蔵庫100の使用を開始するときに、制御盤16に接続された図示しない操作パネルまたはスマートフォン、パソコン等の情報端末に、冷蔵庫100を使用する家庭の家族の人数および各家族の性別、年齢、職業、居住地域などの属性を示す家族情報を入力する。冷蔵庫100の制御盤16は、入力された家族情報に冷蔵庫100を識別する情報を対応付けて、ネットワーク200を介して冷蔵庫管理サーバ300に送信する。家族の人数または属性が変わった場合には随時、ユーザは新たな家族情報を冷蔵庫100の操作パネルまたは他の情報端末に入力して、家族情報を更新する。あるいは、ユーザは、スマートフォン、パソコン等の情報端末で冷蔵庫管理サーバ300に直接接続して家族情報を送信してもよい。
続いて、冷蔵庫管理サーバ300の機能構成例について、図5を用いて説明する。冷蔵庫管理サーバ300は、通信部301、基準設定部302および記憶部303を備える。通信部301は、ネットワーク200を介して、各冷蔵庫100または情報端末から受信した家族情報を記憶部303に記憶する。また、通信部301は、ネットワーク200を介して、各冷蔵庫100から時系列の貯蔵室温度情報および時系列の開閉情報を受信し、基準設定部302に送る。通信部301は、使用者情報取得部、貯蔵室温度情報取得部および開閉情報取得部の例である。
基準設定部302は、少なくとも、記憶部303が記憶する各冷蔵庫100の家族情報に基づいて、各冷蔵庫100を2以上の冷蔵庫群に分類する。
冷蔵庫群を定める方法として、冷蔵庫100を使用する家庭の家族の人数および家族の属性に基づいて2以上の冷蔵庫群を定める第1の方法がある。この方法では、新たな家族情報を取得した際または家族情報が更新された際に、家族情報が示す家庭の家族の人数および家族の属性で冷蔵庫100を第1の冷蔵庫群に分類する。各冷蔵庫群に分類される家庭の家族の人数および家族の属性の条件は、例えば、予め実験、シミュレーションなどを行い、投入する物品の量、物品を投入する頻度など、使い方が類似する家庭の冷蔵庫100をまとめて1つの冷蔵庫群とする。例えば、第1の冷蔵庫群は、60~70代の夫婦の2人家族の冷蔵庫群、10代~20代の大学生の1人暮らしの冷蔵庫群、乳幼児1人および30~40代共働き夫婦の3人家族冷蔵庫群、子供3人、専業主婦および50~60代会社員の5人家族の冷蔵庫群などである。第1の冷蔵庫群は、使い方が類似する家庭の冷蔵庫100をまとめた各冷蔵庫群の総称である。
冷蔵庫群を定める方法として、冷蔵庫100の時系列の開閉情報から算出した一定期間の平均扉開閉回数に基づいて、2以上の冷蔵庫群を定める第2の方法がある。一定期間は例えば1ヶ月である。第2の方法では、例えば、一定期間の平均扉開閉回数に1つ以上の閾値を設けて、冷蔵庫100を第2の冷蔵庫群に分類する。あるいは、一定期間の平均扉開閉回数を目的関数として、ランダムフォレストのような機械学習の手法を用いて、冷蔵庫100を2以上の第2の冷蔵庫群に分類する。例えば、第2の冷蔵庫群は、1ヶ月の平均扉開閉回数が60回以下の冷蔵庫群、61回以上120回以下の冷蔵庫群、121回以上の冷蔵庫群である。第2の冷蔵庫群は、第1の冷蔵庫群の中で、平均扉開閉回数が同じ範囲内の冷蔵庫100をまとめた各冷蔵庫群の総称である。
冷蔵庫100を冷蔵庫群に分類する第1の方法だけを用いてもよいし、組みあわせてもよい。本実施の形態では、第1の方法と第2の方法とを組みあわせて、冷蔵庫100を第1の方法で第1の冷蔵庫群に分類し、第1の冷蔵庫群の中で、第2の方法でさらに詳細な第2の冷蔵庫群に分類する。
基準設定部302は、冷蔵庫100を冷蔵庫群に分類した後、冷蔵庫群を識別する情報を、記憶部303が記憶する当該冷蔵庫100の家族情報に追加する。冷蔵庫群を識別する情報は、例えば、第1の冷蔵庫群の識別する情報と第2の冷蔵庫群を識別する情報の組み合わせでもよいし、第1の冷蔵庫群と第2の冷蔵庫群との組み合わせに一意の識別情報を付与してもよい。
基準設定部302は、まず、第1の冷蔵庫群ごとに、予め実験、シミュレーションなどを行って算出された冷蔵庫群ごとに好適な圧縮機21の回転数および好適な送風機24の回転数を圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数として定める。次に、第1の冷蔵庫群の中で、平均扉開閉回数に応じて第2の冷蔵庫群ごとに基準となる圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数を変化させる。例えば、平均扉開閉回数が閾値より多い第2の冷蔵庫群では、基準となる圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数のどちらかまたは両方を上げる。反対に、平均扉開閉回数が閾値以下の第2の冷蔵庫群では、基準となる圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数のどちらかまたは両方を下げる。
基準設定部302は、冷蔵庫群ごとに定めた基準となる圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数を示す基準制御情報を生成し、記憶部303に記憶する。基準設定部302は、通信部301を介して、記憶部303が記憶する冷蔵庫群の基準制御情報を当該冷蔵庫群に対応する冷蔵庫100に送信する。通信部301は、基準制御情報送信部の例である。
ここで、各冷蔵庫100の冷却速度について説明する。冷蔵庫100の冷却能力が高いほど、冷却速度は速くなる。反対に、冷蔵庫100の冷却能力が低いほど、冷却速度は遅くなる。基準設定部302は、冷蔵庫100の貯蔵室に物品が投入されたか否かを貯蔵室温度情報および開閉情報に基づいて判定する。一般的にユーザが貯蔵室用扉を開けて貯蔵室に物品を投入すると、貯蔵室の温度が上がる。そこで、例えば、冷蔵庫100の製造者が、予め実験、シミュレーションなどを行い、貯蔵室用扉を開けて物品を投入した場合の貯蔵室の温度の変化と、貯蔵室用扉を開けて物品を取り出した場合の貯蔵室の温度の変化とを測定し、貯蔵室に物品が投入されたか否かを判定可能な温度上昇率または温度上昇幅の閾値を決定する。基準設定部302は、冷蔵庫100ごとに決定された温度上昇率または温度上昇幅の閾値を示す情報を取得する。基準設定部302は、貯蔵室用扉の開状態を示す開閉情報を受け取った後に受け取る貯蔵室温度情報が示す当該貯蔵室の温度の変化を監視し、温度上昇率または温度上昇幅が閾値を超えた場合、基準設定部302は、貯蔵室に物品が投入されたと判定する。
基準設定部302は、冷蔵庫100の貯蔵室に物品が投入されたと判定した後、当該貯蔵室用扉の閉状態を示す開閉情報を取得した時に当該貯蔵室の貯蔵室温度情報が示す当該貯蔵室内の温度と設定温度との温度差を算出する。また、基準設定部302は、冷蔵庫100の貯蔵室に物品が投入されたと判定した後、当該貯蔵室用扉の閉状態を示す開閉情報を取得した時の当該貯蔵室内の温度から設定温度に復帰するまでにかかった時間を計測する。基準設定部302は、算出した温度差を、計測した設定温度に復帰するまでにかかった時間で除算して、冷却速度を計算する。あるいは、基準設定部302は、貯蔵室に物品が投入されたと判定してから、当該貯蔵室用扉の閉状態を示す開閉情報を取得するまでの間の当該貯蔵室の貯蔵室温度情報が示す当該貯蔵室内の最高温度と設定温度との温度差を算出する。また、基準設定部302は、貯蔵室に物品が投入されたと判定してから、当該貯蔵室用扉の閉状態を示す開閉情報を取得するまでの間の当該貯蔵室の最高温度から設定温度に復帰するまでにかかった時間を計測する。基準設定部302は、算出した温度差を、計測した設定温度に復帰するまでにかかった時間で除算して、冷却速度を計算する。基準設定部302は、冷蔵庫100の冷却速度を示す冷却速度情報を、記憶部303に記憶する。
なお、冷却速度の計算は、各冷蔵庫100の制御盤16の温度制御部161が行ってもよい。この場合、温度制御部161は通信制御部162を介して冷却速度情報を冷蔵庫管理サーバ300に送信する。冷蔵庫管理サーバ300の通信部301は、各冷蔵庫100から受信した冷却速度情報を記憶部303に記憶する。
基準設定部302は、記憶部303に記憶された冷却速度情報から、同じ冷蔵庫群内での各冷蔵庫100の冷却速度を比較して統計処理を行う。基準設定部302は、同じ冷蔵庫群内で冷却速度が速いと判定した冷蔵庫100に、通信部301を介して、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を下げる弱制御情報を送信する。どちらの回転数を下げるかを示す情報と下げ幅とを示す情報が弱制御情報に含まれる。冷蔵庫100は、受信した弱制御情報に従って、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を下げる。基準設定部302は、同じ冷蔵庫群内で冷却速度が遅いと判定した冷蔵庫100に、通信部301を介して、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を上げる強制御情報を送信する。どちらの回転数を上げるかを示す情報と上げ幅を示す情報が強制御情報に含まれる。冷蔵庫100は、受信した強制御情報に従って、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を上げる。
ここで、冷却速度を比較する統計処理方法の一例について図6を用いて説明する。図6は、実施の形態に係る冷蔵庫群ごとの冷却速度の分布を表すグラフである。基準設定部302は、冷却速度が、同じ冷蔵庫群内の冷却速度の分布の決められた信頼区間の上側信頼限界の冷却速度より速い冷蔵庫100について、冷蔵庫群内で冷却速度が速いと判定し、冷却速度が、同じ冷蔵庫群内の冷却速度の分布の決められた信頼区間の下側信頼限界の冷却速度より遅い冷蔵庫100について、冷蔵庫群内で冷却速度が遅いと判定する。図6の例では、信頼区間を(平均±標準偏差)とするが、これに限らず、例えば、(平均±2×標準偏差)の信頼区間でもよいし、その他の信頼区間でもよい。基準設定部302は、冷蔵庫群A内の冷却速度の平均μAと標準偏差σAとを求める。基準設定部302は、冷蔵庫100の冷却速度が平均μA+標準偏差σAよりも速い場合に、冷蔵庫群A内で冷却速度が速いと判定する。基準設定部302は、冷蔵庫群Aに分類された冷蔵庫100の冷却速度が平均μA-標準偏差σAよりも遅い場合に、冷蔵庫群A内で冷却速度が遅いと判定する。同様に、基準設定部302は、冷蔵庫群B内の冷却速度の平均μBと標準偏差σBとを求める。基準設定部302は、冷蔵庫群Bに分類された冷蔵庫100の冷却速度が平均μB+標準偏差σBよりも速い場合に、冷蔵庫群B内で冷却速度が速いと判定する。基準設定部302は、冷蔵庫100の冷却速度が平均μB-標準偏差σBよりも遅い場合に、冷蔵庫群B内で冷却速度が遅いと判定する。
なお、冷却速度の分布の信頼区間は(平均±標準偏差)に限らない。例えば、(平均±2×標準偏差)の信頼区間でもよいし、その他の信頼区間でもよい。
基準制御情報が、外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である場合、基準設定部302は、冷蔵庫100ごとに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す制御情報を冷蔵庫100から取得して記憶部303に記憶する。この場合、冷蔵庫100の制御盤16の温度制御部161は、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す制御情報を生成して、通信制御部162を介して冷蔵庫管理サーバ300に送信する。
基準制御情報が、単に送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す情報である場合、基準設定部302は、冷蔵庫100ごとに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す制御情報を記憶する。弱制御情報および強制御情報を送っていない冷蔵庫100の送風機24の回転数および圧縮機21の回転数は、該当する冷蔵庫群の基準制御情報が示す送風機24の回転数および圧縮機21の回転数である。弱制御情報を送った冷蔵庫100の送風機24の回転数および圧縮機21の回転数は、該当する冷蔵庫群の基準制御情報が示す送風機24の回転数および圧縮機21の回転数から少なくとも一方の回転数を下げた送風機24の回転数および圧縮機21の回転数である。強制御情報を送った冷蔵庫100の送風機24の回転数および圧縮機21の回転数は、該当する冷蔵庫群の基準制御情報が示す送風機24の回転数および圧縮機21の回転数から少なくとも一方の回転数を上げた送風機24の回転数および圧縮機21の回転数である。
ここで、基準制御情報を更新する方法について説明する。基準設定部302は、記憶部303が記憶する制御情報を参照し、同じ冷蔵庫群内の冷蔵庫100の圧縮機21の回転数及び送風機24の回転数を算出し、統計処理によって基準となる圧縮機21の基準となる回転数および送風機24の基準となる回転数を修正する必要があるか否かを判定する。
具体的には、例えば基準制御情報が、外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である場合、基準設定部302は、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均と標準偏差を求める。基準設定部302は、基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の分布の決められた信頼区間の上側信頼限界の回転数より大きい、または、下側信頼限界の回転数より小さい基準制御情報について、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要があると判定する。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、決められた信頼区間内の中に納まる場合には、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要がないと判定する。以下の例では、信頼区間を(平均±標準偏差)とする。以下の例では、信頼区間を(平均±標準偏差)とするが、これに限らず、例えば、(平均±2×標準偏差)の信頼区間でもよいし、その他の信頼区間でもよい。
基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、平均+標準偏差よりも大きい、または、平均-標準偏差よりも小さい場合に、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要があると判定する。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、平均±標準偏差以内の中に納まる場合には、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要がないと判定する。基準設定部302は、送風機24の回転数についても同様の処理を行う。
基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均+標準偏差よりも大きい場合、基準となるすべての圧縮機21の回転数を一定数下げて、基準となる圧縮機21の回転数の平均を同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均±標準偏差以内に納める修正を行う。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数の平均が、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均-標準偏差よりも小さい場合、基準となるすべての圧縮機21の回転数を一定数上げて、基準となる圧縮機21の回転数の平均を同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均±標準偏差以内に納める修正を行う。基準設定部302は、送風機24の回転数についても同様の処理を行う。
例えば基準制御情報が、単に圧縮機21の回転数および送風機24の回転数を示す情報である場合、基準設定部302は、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均と標準偏差を求める。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数が、平均+標準偏差よりも大きい、または、平均-標準偏差よりも小さい場合に、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要があると判定する。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数が、平均±標準偏差以内の中に納まる場合には、基準となる圧縮機21の回転数を修正する必要がないと判定する。基準設定部302は、送風機24の回転数についても同様の処理を行う。
基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数が、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均+標準偏差よりも大きい場合、基準となる圧縮機21の回転数を下げて、基準となる圧縮機21の回転数を同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均±標準偏差以内に納める修正を行う。基準設定部302は、基準となる圧縮機21の回転数が、同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均-標準偏差よりも小さい場合、基準となる圧縮機21の回転数を上げて、基準となる圧縮機21の回転数を同じ冷蔵庫群内の圧縮機21の回転数の平均±標準偏差以内に納める修正を行う。基準設定部302は、送風機24の回転数についても同様の処理を行う。
基準設定部302は、記憶部303が記憶する基準制御情報を修正すると、通信部301を介して、当該冷蔵庫群に分類された冷蔵庫100に修正した基準制御情報を送信する。
続いて、冷蔵庫管理サーバ300が実行する、冷蔵庫100を2以上の冷蔵庫群に分類する冷蔵庫分類処理のフローについて、図7を用いて説明する。図7に示す冷蔵庫分類処理は、冷蔵庫管理サーバ300の電源が投入されたことで開始する。冷蔵庫管理サーバ300の基準設定部302は、通信部301を介して冷蔵庫100の制御盤16または情報端末から家族情報を取得したまたは家族情報が更新されたか否かを判定する(ステップS11)。
家族情報を取得せず、かつ、家族情報が更新されていない場合(ステップS11;NO)、基準設定部302は、ステップS11を繰り返し、家族情報の取得または家族情報の更新を待機する。家族情報を取得した、または、家族情報が更新された場合(ステップS11;YES)、基準設定部302は、取得した家族情報または更新された家族情報に対応する冷蔵庫100の制御盤16から開閉情報を取得したか否かを判定する(ステップS12)。当該冷蔵庫100の制御盤16から開閉情報を取得していない場合(ステップS12;NO)、基準設定部302は、ステップS12を繰り返し、開閉情報の取得を待機する。当該冷蔵庫100の制御盤16から開閉情報を取得した場合(ステップS12;YES)、基準設定部302は、一定期間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。一定期間は例えば1ヶ月である。
一定期間が経過していない場合(ステップS13;NO)、基準設定部302は、ステップS13を繰り返し、一定期間の経過を待機する。一定期間が経過した場合(ステップS13;YES)、基準設定部302は、取得した時系列の開閉情報から一定期間の平均扉開閉回数を算出する(ステップS14)。基準設定部302は、家族情報が示す家庭の家族の人数および家族の属性と一定期間の平均扉開閉回数とに基づいて、当該冷蔵庫100を2以上の冷蔵庫群に分類する(ステップS15)。
基準設定部302は、家族情報が示す家庭の家族の人数および家族の属性に基づいて第1の冷蔵庫群に分類し、一定期間の平均扉開閉回数に基づいて第2の冷蔵庫群に分類する。例えば、第1の冷蔵庫群は、60~70代の夫婦の2人家族の冷蔵庫群、10代~20代の大学生の1人暮らしの冷蔵庫群、乳幼児1人および30~40代共働き夫婦の3人家族冷蔵庫群、子供3人、専業主婦および50~60代会社員の5人家族の冷蔵庫群などである。例えば、第2の冷蔵庫群は、1ヶ月の平均扉開閉回数が60回以下の冷蔵庫群、61回以上120回以下の冷蔵庫群、121回以上の冷蔵庫群である。
基準設定部302は、分類した冷蔵庫群を識別する情報を、記憶部303が記憶する当該冷蔵庫100の家族情報に追加する(ステップS16)。冷蔵庫群を識別する情報は、例えば、第1の冷蔵庫群の識別する情報と第2の冷蔵庫群を識別する情報の組み合わせでもよいし、第1の冷蔵庫群と第2の冷蔵庫群との組み合わせに一意の識別情報を付与してもよい。基準設定部302は、冷蔵庫100を冷蔵庫群に分類すると、通信部301を介して、記憶部303が記憶する当該冷蔵庫群の基準制御情報を冷蔵庫100に送信する(ステップS17)。冷蔵庫管理サーバ300の電源がOFFになっていなければ(ステップS18;NO)、ステップS11に戻り、ステップS11~ステップS18を繰り返す。電源がOFFになった場合(ステップS18;YES)、処理を終了する。
続いて、冷蔵庫管理サーバ300が実行する、冷蔵庫100の冷却速度を変更する冷却速度変更処理のフローについて、図8を用いて説明する。図8に示す冷却能力変更処理は、冷蔵庫管理サーバ300の電源が投入されたことで開始する。冷蔵庫管理サーバ300の基準設定部302は、冷蔵庫100ごとに冷却能力変更処理を実行する。基準設定部302は、記憶部303に冷蔵庫100の冷却速度を示す冷却速度情報が一定数以上あるいか否かを判定する(ステップS21)。
記憶部303に冷蔵庫100の冷却速度を示す冷却速度情報が一定数以上ない場合(ステップS21;NO)、基準設定部302は、ステップS21を繰り返し、記憶部303に一定数以上の冷却速度情報が記憶されるのを待機する記憶部303に冷蔵庫100の冷却速度を示す冷却速度情報が一定数以上ある場合(ステップS21;YES)、基準設定部302は、記憶部303に記憶された一定数以上の冷却速度情報から、冷蔵庫群ごとに冷蔵庫群内の冷却速度の平均μCと標準偏差σCとを算出する(ステップS22)。
基準設定部302は、冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC+標準偏差σCよりも速いか否かを判定する(ステップS23)。冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC+標準偏差σCよりも速い場合(ステップS23;YES)、基準設定部302は、当該冷蔵庫100に通信部301を介して、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を下げる弱制御情報を送信し(ステップS24)、処理はステップS27に移行する。冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC+標準偏差σCよりも速くない場合(ステップS23;NO)、基準設定部302は、冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC-標準偏差σCよりも遅いか否かを判定する(ステップS25)。冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC-標準偏差σCよりも遅い場合(ステップS25;YES)、基準設定部302は、当該冷蔵庫100に通信部301を介して、圧縮機21の回転数と送風機24の回転数との少なくとも一方を上げる強制御情報を送信し(ステップS26)、処理はステップS27に移行する。
冷蔵庫100の冷却速度が同じ冷蔵庫群の平均μC-標準偏差σCよりも遅くない場合(ステップS25;YES)、冷蔵庫管理サーバ300の電源がOFFになっていなければ(ステップS27;NO)、ステップS21に戻り、ステップS11~ステップS27を繰り返す。電源がOFFになった場合(ステップS27;YES)、処理を終了する。なお、図8の例では、信頼区間を(平均μC±標準偏差σC)としたが、これに限らない。例えば、(平均μC±2×標準偏差σC)の信頼区間でもよいし、その他の信頼区間でもよい。
続いて、冷蔵庫管理サーバ300が実行する、冷蔵庫群ごとの基準制御情報を更新する基準制御情報更新処理のフローについて、図9を用いて説明する。図9に示す基準制御情報更新処理は、冷蔵庫管理サーバ300の電源が投入されたことで開始する。図9に示すフローチャートは、基準制御情報が単に送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す情報であって、圧縮機21の回転数を更新する場合の基準制御情報更新処理のフローチャートである。
冷蔵庫管理サーバ300の基準設定部302は、基準制御情報の更新タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS31)。基準制御情報の更新タイミングは、冷蔵庫群ごとに設定されており、例えば、定期的に到来する構成にしてもよいし、冷蔵庫管理システム400の管理者が、基準制御情報の更新指示を冷蔵庫管理サーバ300に入力したタイミングでもよい。
基準制御情報の更新タイミングが到来していない場合(ステップS31;NO)、基準設定部302は、ステップS31を繰り返し、基準制御情報の更新タイミングの到来を待機する。記基準制御情報の更新タイミングが到来した場合(ステップS31;YES)、基準設定部302は、記憶部303が記憶する制御情報を参照し、同じ冷蔵庫群内の冷蔵庫100の圧縮機21の回転数及び送風機24の回転数の平均μRおよび標準偏差σRを算出する(ステップS32)。
基準設定部302は、基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR+標準偏差σRよりも大きいか否かを判定する(ステップS33)。基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR+標準偏差σRよりも大きい場合(ステップS33;YES)、基準設定部302は、基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数を下げて、平均μR±標準偏差σR以内に収める修正を行い(ステップS34)、処理はステップS37に移行する。
基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR+標準偏差σRよりも小さい場合(ステップS33;NO)、基準設定部302は、基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR-標準偏差σRよりも小さいか否かを判定する(ステップS35)。基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR-標準偏差σRよりも小さい場合(ステップS35;YES)、基準設定部302は、基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数を上げて、平均μR±標準偏差σR以内に収める修正を行い(ステップS36)、処理はステップS37に移行する。
基準制御情報の基準となる圧縮機21の回転数が平均μR-標準偏差σRよりも大きい場合(ステップS35;NO)、冷蔵庫管理サーバ300の電源がOFFになっていなければ(ステップS37;NO)、ステップS31に戻り、ステップS31~ステップS37を繰り返す。電源がOFFになった場合(ステップS37;YES)、処理を終了する。
冷蔵庫管理サーバ300は、基準制御情報の送風機24の回転数を更新する場合も同様の基準制御情報更新処理を実行する。基準制御情報が外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である場合には、ステップS33で、基準となる圧縮機21の回転数の平均を平均μR+標準偏差σRと比較し、ステップS35で、基準となる圧縮機21の回転数の平均を平均μR-標準偏差σRと比較する。なお、図9の例では、信頼区間を(平均μR±標準偏差σR)としたが、これに限らない。例えば、(平均μR±2×標準偏差σR)の信頼区間でもよいし、その他の信頼区間でもよい。
以上説明したとおり、実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400は、冷蔵庫100を、使用する家庭の家族の人数および家族の属性と平均扉開閉回数とに基づく冷蔵庫群に分類し、冷蔵庫群ごとに定められた基準となる圧縮機の回転数および送風機の回転数で冷蔵庫100の圧縮機21および送風機24を制御する。これにより、冷蔵庫管理サーバ300の負荷が小さい処理で冷蔵庫100を使用する家庭の使い方に適した冷却能力にすることが可能な冷蔵庫100を提供することができる。
実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400では、使用する家庭の家族の人数および家族の属性に基づく冷蔵庫群内で平均扉開閉回数によって基準となる圧縮機の回転数および送風機の回転数を決定している。使用する家庭の家族の人数および家族の属性によって第1の冷蔵庫群に分類することで、冷蔵庫100の使い方が類似した家庭の冷蔵庫100を同じ冷蔵庫群に分類することが期待できる。加えて、平均扉開閉回数によって冷蔵庫群に分類することで、食品の購入頻度、食品の使用頻度などが類似している家庭の冷蔵庫100を同じ冷蔵庫群に分類することが期待できる。これによって、冷蔵庫100の冷却能力を冷蔵庫100を使用する家庭の使い方に応じて変更することができる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400では、同じ冷蔵庫群内の冷蔵庫100同士の冷却速度を比較し、冷蔵庫100の圧縮機21および送風機24の回転数を調節している。これによって、同じ冷蔵庫群の冷蔵庫100の中で特に物品の投入量が多い冷蔵庫100、および、特に物品の投入量が少ない冷蔵庫100の冷却能力を適切に調節できる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400では、同じ冷蔵庫群に分類された実際の冷蔵庫100の使用状況に応じて基準制御情報を更新する。これによって、例えば、同じ冷蔵庫群の冷蔵庫100に投入される物品の量が、予め実験、シミュレーションなどで想定した物品の量と異なる場合、基準となる圧縮機21および送風機24の回転数を補正することができる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫管理システム400では、基準設定部302および記憶部303を冷蔵庫管理サーバ300に有する。その結果、負荷の高い基準設定部302の処理を処理能力の高い冷蔵庫管理サーバ300に行わせることができるので、冷蔵庫100の制御盤16の処理の負荷とメモリの使用量を軽減できる。
冷蔵庫管理サーバ300のハードウェア構成について図10を用いて説明する。冷蔵庫管理サーバ300は、ハードウェア構成としてプロセッサ310、メモリ312、インターフェース313を備える。冷蔵庫管理サーバ300の各機能は、プロセッサ310がメモリ312に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。インターフェース313は、ネットワーク200に接続し、各冷蔵庫100との通信を確立させるインターフェースを含む。図10では、プロセッサ310およびメモリ312をそれぞれ1つで構成する例を示しているが、複数のプロセッサ310および複数のメモリ312が連携して各機能を実行してもよい。プロセッサ310は、インターフェース313を介して取得した情報をメモリ312に記憶する。
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
上述した実施の形態では、冷蔵庫100を冷蔵庫群に分類する第2の方法として、一定期間の平均扉開閉回数に基づいて、2以上の冷蔵庫群を定める方法を説明したが、これに限らない。例えば、時系列の貯蔵室温度情報および時系列の開閉情報から算出した一定期間の平均物品投入回数に基づいて、2以上の冷蔵庫群を定めてもよい。この場合、基準設定部302は、基準設定部302は、冷蔵庫100の物品投入回数を貯蔵室に物品が投入されたと判定する度に、物品が投入された日時を記憶しておき、一定期間の平均物品投入回数を算出する。
上述した実施の形態では、冷蔵庫100は、温度センサである貯蔵室温度センサ50と外気温センサ58とを備えるが、これに限らない。冷蔵庫100は、さらに冷却室7内には、冷却室7内の温度を検知する冷却室温度センサ57を備えてもよい。この場合、制御盤16の温度制御部161は、冷却室温度センサ57から、冷却室7内の温度を示す冷却室温度情報を取得する。例えば、基準制御情報が、外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに、送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を対応付けた情報である場合、温度制御部161は、貯蔵室温度情報、外気温情報および冷却室温度情報と、基準制御情報とに基づいて、圧縮機21および送風機24の回転数を決定する。また、基準制御情報は、単に送風機24の回転数および圧縮機21の回転数を示す情報である場合、温度制御部161は、外気温情報が示す外気温と、貯蔵室内の温度から設定温度を減算した差分値とに基づいて、図示しないダンパの開閉を制御し、各貯蔵室内に送られる冷気の量を調節して貯蔵室内の温度を調節してもよい。
上述した実施の形態では、家庭で使用され、主に食品を貯蔵する冷蔵庫の例を示したが、冷蔵庫に投入する物品は食品に限らず、冷蔵庫が使用されるのは家庭に限らず、冷蔵庫の使用者は家族に限らない。
上述した実施の形態では、回転して冷媒を圧縮する圧縮機21の回転数および回転して貯蔵室へ冷気を送風する送風機24の回転数を制御して、冷蔵庫100の冷却能力を調整するが、これに限らない。例えば、ピストン型の圧縮機21の往復回数、羽のない送風機24のモーターの駆動電力、電磁式エアーポンプの駆動電力などを制御して、冷蔵庫100の冷却能力を調整してもよい。また、冷蔵庫100は、送風機24を備えなくてもよい。この場合、圧縮機21の圧縮能力を制御して、冷蔵庫100の冷却能力を調整する。
上述した実施の形態では、冷蔵庫100は、圧縮式の冷蔵庫であって、圧縮機21の回転数を制御して、冷却器23の冷気生成能力を調整するが、これに限らない。冷蔵庫100は、吸収式の冷蔵庫であってもよい。この場合、例えば、冷媒および吸収液を加熱する発生器の加熱力を制御して、冷却器の冷気生成能力を調整する。