以下、本発明を詳細に説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。本発明に係る導電性粒子では、上記導電性粒子の電子顕微鏡画像又は光学顕微鏡画像により、上記導電性粒子の面積と上記導電性粒子に外接する長方形の面積とを算出したときに、上記導電性粒子の面積の、上記導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比が0.80以上である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続する場合に、低い圧力で圧着を行ったとしても、接続抵抗を低くすることができる。
本発明に係る導電性粒子では、上記の構成が備えられているので、比較的低い圧力で電極間を電気的に接続した場合でも、導電性粒子と電極との接触面積を十分に確保することができ、接続抵抗を十分に低くすることができる。
また、本発明に係る導電性粒子では、電極間を電気的に接続する際に圧力を高くする必要がないので、電極の傷付きを効果的に抑制することができ、接続抵抗を十分に低くすることができる。また、本発明に係る導電性粒子では、電極間を電気的に接続する際に圧力を高くする必要がないので、圧縮された導電性粒子が元の形状に戻ろうとする作用が比較的働き難く、スプリングバックが発生し難い。本発明に係る導電性粒子では、導電性粒子と電極との接触面積の低下を効果的に防止することができ、接続抵抗を十分に低くすることができ、導通信頼性を効果的に高めることができる。
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。本発明に係る導電性粒子では、後述する本発明に係る基材粒子が備えられることが好ましい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部2とを有する。導電部2は、基材粒子11の表面を覆っている。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が導電部2により被覆された被覆粒子である。導電性粒子1では、導電部2は、単層の導電部(導電層)である。導電性粒子1では、長さ方向の中央部の側面が平面状である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子の変形例を示す断面図である。図4に示す導電性粒子1Xは、基材粒子11Xと、基材粒子11Xの表面上に配置された導電部2Xとを有する。導電性粒子1Xでは、長さ方向の中央部の側面が凸状であり、曲面状である。導電性粒子1Xでは、基材粒子11Xの長さ方向の中央部の側面が凸状であり、曲面状である。本発明に係る導電性粒子では、導電性粒子1のように長さ方向の中央部の側面が平面状であってもよく、導電性粒子1Xのように長さ方向の中央部の側面が凸状又は曲面状であってもよい。本発明に係る導電性粒子では、長さ方向の中央部の側面が平面状であってもよく、長さ方向の中央部の側面が平面状ではない形状であってもよい。上記の長さ方向の中央部の側面が平面状ではない形状としては、凸状及び凹状等が挙げられる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子11と、基材粒子11の表面上に配置された導電部22とを有する。導電部22は全体で、基材粒子11側に第1の導電部22Aと、基材粒子11側とは反対側に第2の導電部22Bとを有する。
図1に示す導電性粒子1と図2に示す導電性粒子21とでは、導電部2と導電部22とが異なっている。すなわち、導電性粒子1では、単層構造の導電部が形成されているのに対し、導電性粒子21では、2層構造の第1の導電部22A及び第2の導電部22Bが形成されている。第1の導電部22Aと第2の導電部22Bとは、異なる導電部として形成されていてもよく、同一の導電部として形成されていてもよい。
第1の導電部22Aは、基材粒子11の表面上に配置されている。基材粒子11と第2の導電部22Bとの間に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aは、基材粒子11に接している。第2の導電部22Bは、第1の導電部22Aに接している。基材粒子11の表面上に第1の導電部22Aが配置されており、第1の導電部22Aの表面上に第2の導電部22Bが配置されている。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子31は、基材粒子11と、導電部32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。導電部32は、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質33は、基材粒子11の表面上に配置されている。導電部32は、基材粒子11と、複数の芯物質33とを覆うように、基材粒子11の表面上に配置されている。導電性粒子31では、導電部32は、単層の導電部(導電層)である。
導電性粒子31は外表面に、複数の突起31aを有する。導電性粒子31では、導電部32は外表面に、複数の突起32aを有する。複数の芯物質33は、導電部32の外表面を隆起させている。導電部32の外表面が複数の芯物質33によって隆起されていることで、突起31a及び突起32aが形成されている。複数の芯物質33は導電部32内に埋め込まれている。突起31a及び突起32aの内側に、芯物質33が配置されている。導電性粒子31では、突起31a及び突起32aを形成するために、複数の芯物質33を用いている。上記導電性粒子では、上記突起を形成するために、複数の上記芯物質を用いなくてもよい。上記導電性粒子は、複数の上記芯物質を備えていなくてもよい。
導電性粒子31は、導電部32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電部32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。但し、上記導電性粒子は、絶縁性物質を必ずしも有していなくてもよい。上記導電性粒子は、複数の絶縁性物質を備えていなくてもよい。
上記導電性粒子の長径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。上記導電性粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなるので接続抵抗を低くすることができ、かつ、導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、上記導電性粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、上記導電性粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
上記導電性粒子の長径は、例えば、任意の導電性粒子を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察することにより算出することができる。上記導電性粒子の長径は、導電性粒子の外周の2点を直線で結んだ距離が最大となる寸法である。
上記導電性粒子の長径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、任意の導電性粒子50個の長径を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
本発明に係る導電性粒子では、上記導電性粒子の電子顕微鏡画像又は光学顕微鏡画像により、上記導電性粒子の面積と上記導電性粒子に外接する長方形の面積とを算出したときに、上記導電性粒子の面積の、上記導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)が0.80以上である。上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)が大きいほど、導電性粒子が長方形に近い形状になる。本発明に係る導電性粒子のアスペクト比は、一般的に1を超える。本発明に係る導電性粒子のアスペクト比(長径/短径)は、5以下であってもよく、3以下であってもよい。
上記導電性粒子に外接する四角形は、正方形ではなく、長方形である。上記導電性粒子に外接する長方形は、上記導電性粒子に外接する長方形の面積が最小となるように描かれる。
図6(a)及び(b)は、本発明に係る導電性粒子において、導電性粒子の面積及び導電性粒子に外接する長方形の面積を説明するための模式図である。図6(a)及び(b)には、上述した導電性粒子1を電子顕微鏡にて観察することにより得られた導電性粒子1の電子顕微鏡画像と、導電性粒子1に外接する長方形51とが模式的に示されている。
上記導電性粒子の面積とは、図6(a)において、導電性粒子1の面積(S1)である。上記導電性粒子に外接する長方形の面積とは、図6(b)において、導電性粒子1に外接する長方形51の面積(S2)である。上記導電性粒子の面積の、上記導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比とは、図6(a)及び(b)において、導電性粒子1の面積(S1)の、導電性粒子1に外接する長方形51の面積(S2)に対する比(S1/S2)である。
接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記導電性粒子における上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は、好ましくは0.82以上、より好ましくは0.85以上である。上記導電性粒子における上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は、好ましくは1.0以下、より好ましくは1.0未満である。
上記観察において、上記導電性粒子に外接する長方形の4つの頂点に導電性粒子が至っていないことが好ましい。
上記導電性粒子における上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、任意の導電性粒子50個の上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
本発明に係る導電性粒子では、上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は0.80以上である。上記導電性粒子の形状が真球状である場合には、上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は0.785であるので、本発明に係る導電性粒子の形状は真球状ではない。本発明に係る導電性粒子の形状は、上述した関係を満足していれば特に限定されない。本発明に係る導電性粒子の形状は、柱状であってもよく、俵状であってもよい。
上記導電性粒子が上述した関係を満足する形状である場合には、電極間を電気的に接続する際に、上記導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるので、接続時の圧力が上記導電性粒子全体に均一に付与される。結果として、上記導電性粒子のめっき割れの発生をより一層効果的に抑制することができ、接続抵抗をより一層低くすることができる。上記導電性粒子が真球状である場合には、電極間を電気的に接続する際に、上記導電性粒子と電極との接触面積が小さく、接続時の圧力が上記導電性粒子に局所的に付与されることがある。結果として、上記導電性粒子のめっき割れが発生しやすく、接続抵抗を低くすることが困難となることがある。
上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)を満足する導電性粒子は、所定の形状の基材粒子(例えば、柱状又は俵状の基材粒子)を用いることで得ることができる。所定の形状の基材粒子は、基材粒子の形成時の製造条件を調整したり、該製造条件と形成される基材粒子の10%K値とを調整したりすることにより得ることができる。例えば、基材粒子の形成時に、基材粒子に該基材粒子を練るような力を付与することにより、所定の形状の基材粒子を得ることができる。
上記導電性粒子の10%K値は、好ましくは2000N/mm2以上、より好ましくは2300N/mm2以上であり、好ましくは3200N/mm2以下、より好ましくは3000N/mm2以下、さらに好ましくは2800N/mm2以下である。上記導電性粒子の10%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制することができ、導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記導電性粒子の10%K値(導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率)は、以下のようにして測定できる。
試料台上に、導電性粒子を置く。導電性粒子は、重力によって、静置された状態になる。導電性粒子を、最も安定化する静置状態にすることが好ましい。一般的に、導電性粒子の長さ方向が、横方向になる。微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃において、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で導電性粒子1個を、試料台上の上下方向に圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、25℃における10%K値を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT-W200」、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記導電性粒子の10%K値は、任意に選択された50個の導電性粒子の10%K値を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
10%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:導電性粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の長径(mm)
上記K値は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記K値を用いることにより、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、導電性粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率は、好ましくは3%以上、より好ましくは6%以上であり、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。
上記導電性粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
試料台上に、導電性粒子を散布する。導電性粒子は、重力によって、静置された状態になる。導電性粒子を、最も安定化する静置状態にすることが好ましい。一般的に、導電性粒子の長さ方向が、横方向になる。散布された導電性粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃において、試料台上の上下方向に、導電性粒子が60%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から25℃における導電性粒子を60%圧縮変形させた際の圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT-W200」、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
導電部:
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。上記金属としては、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、金、銅又は銀が好ましい。上記金属は、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、金又は銅であってもよく、ニッケル又はパラジウムであってもよい。
また、導通信頼性を効果的に高めることができるので、上記導電部及び上記導電部の外表面部分はニッケルを含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性物質を配置することができる。
導電性粒子1,31のように、上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層、銀層又は錫を含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層効果的に高めることができる。錫を含む合金層は、錫と銀とを含む合金層であってもよい。
上記基材粒子の表面に上記導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、及び金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、上記導電部を形成する方法は、無電解めっきによる方法であることが好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が十分に低くなる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電部の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電部の厚みについては、任意の導電部の厚み5箇所の平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することが好ましく、導電部全体の厚みの平均値を1個の導電部の厚みとして算出することがより好ましい。複数の導電性粒子の場合には、上記導電部の厚みは、好ましくは、任意の導電性粒子10個について、これらの平均値を算出して求められる。
芯物質:
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。上記導電性粒子が、上記導電部の外表面に複数の突起を有していることで、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。上記導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、上記導電性粒子の導電部の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。上記突起を有する導電性粒子を用いることで、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。さらに、上記導電性粒子が表面に絶縁性物質を有する場合、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質やバインダー樹脂が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に複数の突起を容易に形成することができる。但し、導電性粒子の導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部(第1の導電部又は第2の導電部等)を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いずに、基材粒子に無電解めっきにより導電部を形成した後、導電部の表面上に突起状にめっきを析出させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等を用いてもよい。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質の材料は特に限定されない。上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質等が挙げられる。上記導電性物質としては、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。導電性を高めることができ、さらに接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。上記芯物質の材料である金属としては、上記導電部を形成するための金属として挙げた金属を適宜使用可能である。
絶縁性物質:
上記導電性粒子は、上記導電部の表面上に配置された絶縁性物質をさらに備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡をより一層防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。上記絶縁性物質の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート及びポリステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の架橋としては、ポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパンメタクリレートやアルコキシ化ペンタエリスリトールメタクリレート等の導入が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。また、重合度の調整に、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオールや四塩化炭素等が挙げられる。
上記導電部の表面上に絶縁性物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。絶縁性物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁性物質を配置する方法が好ましい。
上記導電部の外表面、及び絶縁性物質の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性物質の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性物質の表面の官能基と化学結合していても構わない。
(基材粒子)
本発明に係る基材粒子は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる。本発明に係る基材粒子では、上記基材粒子の10%K値が、2000N/mm2以下である。本発明に係る基材粒子では、上記基材粒子の電子顕微鏡画像又は光学顕微鏡画像により、上記基材粒子の面積と上記基材粒子に外接する長方形の面積とを算出したときに、上記基材粒子の面積の、上記基材粒子に外接する長方形の面積に対する比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)が0.80以上である。
本発明に係る基材粒子では、上記の構成が備えられているので、上記基材粒子を導電性粒子として用いて、電極間を電気的に接続する場合に、低い圧力で圧着を行ったとしても、接続抵抗を低くすることができる。
本発明に係る基材粒子を導電性粒子として用いた場合には、比較的低い圧力で電極間を電気的に接続した場合でも、導電性粒子と電極との接触面積を十分に確保することができ、接続抵抗を十分に低くすることができる。
また、本発明に係る基材粒子を導電性粒子として用いた場合には、電極間を電気的に接続する際に圧力を高くする必要がないので、電極の傷付きを効果的に抑制することができ、接続抵抗を十分に低くすることができる。また、本発明に係る基材粒子を導電性粒子として用いた場合には、電極間を電気的に接続する際に圧力を高くする必要がないので、圧縮された基材粒子が元の形状に戻ろうとする作用が比較的働き難く、スプリングバックが発生し難い。本発明に係る基材粒子を導電性粒子として用いた場合には、導電性粒子と電極との接触面積の低下を効果的に防止することができ、接続抵抗を十分に低くすることができ、導通信頼性を効果的に高めることができる。
上記基材粒子の長径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。上記基材粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記基材粒子を導電性粒子として用いた場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなるので接続抵抗を低くすることができ、かつ、導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、上記基材粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記基材粒子を導電性粒子として用いた場合に、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、上記導電性粒子の長径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記基材粒子を導電性粒子として用いた場合に、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
上記基材粒子の長径は、例えば、任意の基材粒子を電子顕微鏡にて観察することにより算出することができる。上記基材粒子の長径は、基材粒子の外周の2点を直線で結んだ距離が最大となる寸法である。
上記基材粒子の長径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、任意の基材粒子50個の長径を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
本発明に係る基材粒子では、上記基材粒子の10%K値は、2000N/mm2以下である。上記基材粒子の10%K値は、好ましくは500N/mm2以上、より好ましくは700N/mm2以上であり、好ましくは1500N/mm2以下、より好ましくは1300N/mm2以下である。上記基材粒子の10%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記基材粒子を導電性粒子として用いた場合に、スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制することができ、導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。また、上記基材粒子の10%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記基材粒子を導電性粒子として用いた場合に、上記導電性粒子のめっき割れの発生をより一層効果的に抑制することができ、接続抵抗をより一層低くすることができる。
上記基材粒子の10%K値(基材粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率)は、以下のようにして測定できる。
試料台上に、基材粒子を置く。基材粒子は、重力によって、静置された状態になる。基材粒子を、最も安定化する静置状態にすることが好ましい。一般的に、基材粒子の長さ方向が、横方向になる。微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃において、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で基材粒子1個を、試料台上の上下方向に圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、25℃における10%K値を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT-W200」、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記基材粒子の10%K値は、任意に選択された50個の基材粒子の10%K値を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
10%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:基材粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:基材粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:基材粒子の長径(mm)
上記K値は、基材粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記K値を用いることにより、基材粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
本発明に係る基材粒子では、上記基材粒子の電子顕微鏡画像又は光学顕微鏡画像により、上記基材粒子の面積と上記基材粒子に外接する長方形の面積とを算出したときに、上記基材粒子の面積の、上記基材粒子に外接する長方形の面積に対する比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)が0.80以上である。上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)が大きいほど、導電性粒子が長方形に近い形状になる。本発明に係る基材粒子のアスペクト比は、一般的に1を超える。本発明に係る基材粒子のアスペクト比(長径/短径)は、5以下であってもよく、3以下であってもよい。
上記基材粒子に外接する長方形は、上記基材粒子に外接する長方形の面積が最小となるように描かれる。
図7(a)及び(b)は、本発明に係る基材粒子において、基材粒子の面積及び基材粒子に外接する長方形の面積を説明するための模式図である。図7(a)及び(b)には、上述した基材粒子11を電子顕微鏡にて観察することにより得られた基材粒子11の電子顕微鏡画像と、基材粒子11に外接する長方形61とが模式的に示されている。
上記基材粒子の面積とは、図7(a)において、基材粒子11の面積(S3)である。上記基材粒子に外接する長方形の面積とは、図7(b)において、基材粒子11に外接する長方形61の面積(S4)である。上記基材粒子の面積の、上記基材粒子に外接する長方形の面積に対する比とは、図7(a)及び(b)において、基材粒子11の面積(S3)の、基材粒子11に外接する長方形61の面積(S4)に対する比(S3/S4)である。
接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子における上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は、好ましくは0.82以上、より好ましくは0.85以上である。上記基材粒子における上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は、好ましくは1.0以下、より好ましくは1.0未満である。
上記観察において、上記基材粒子に外接する長方形の4つの頂点に基材粒子が至っていないことが好ましい。
上記基材粒子における上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、任意の基材粒子50個の上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)を算術平均して平均値を算出することにより求めることが好ましい。
本発明に係る基材粒子では、上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は0.80以上である。上記基材粒子の形状が真球状である場合には、上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は0.785であるので、本発明に係る基材粒子の形状は真球状ではない。本発明に係る基材粒子の形状は、上述した関係を満足していれば特に限定されない。本発明に係る基材粒子の形状は、柱状であってもよく、俵状であってもよい。
上記基材粒子が上述した関係を満足する形状である場合には、上記基材粒子を導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続する際に、上記導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるので、接続時の圧力が上記導電性粒子全体に均一に付与される。結果として、上記基材粒子を導電性粒子として用いたときに、上記導電性粒子のめっき割れの発生をより一層効果的に抑制することができ、接続抵抗をより一層低くすることができる。上記基材粒子が真球状である場合には、上記基材粒子を導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続する際に、上記導電性粒子と電極との接触面積が小さく、接続時の圧力が上記導電性粒子に局所的に付与されることがある。結果として、上記基材粒子を導電性粒子として用いたときに、上記導電性粒子のめっき割れが発生しやすく、接続抵抗を低くすることが困難となることがある。
上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)を満足する基材粒子は、基材粒子の形成時の製造条件を調整したり、該製造条件と形成される基材粒子の10%K値とを調整したりすることにより得ることができる。例えば、基材粒子の形成時に、基材粒子に該基材粒子を練るような力を付与することにより、所定の形状の基材粒子を得ることができる。
スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、基材粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率は、好ましくは3%以上、より好ましくは6%以上であり、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。
上記基材粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
試料台上に、基材粒子を散布する。基材粒子は、重力によって、静置された状態になる。基材粒子を、最も安定化する静置状態にすることが好ましい。一般的に、基材粒子の長さ方向が、横方向になる。散布された基材粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃において、試料台上の上下方向に、基材粒子が60%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から25℃における基材粒子を60%圧縮変形させた際の圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、島津製作所社製「微小圧縮試験機MCT-W200」、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
上記基材粒子は、導電性粒子を得るために用いられる。上記基材粒子は、導電性粒子を得るための用途以外の用途に用いられてもよい。上記基材粒子は、スペーサとして用いられてもよい。上記基材粒子は、スペーサとして用いられることが好ましい。上記基材粒子は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。
さらに、上記基材粒子は、無機充填材、トナーの添加剤、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記基材粒子を用いることができる。
(基材粒子の他の詳細)
以下基材粒子の他の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがさらに好ましく、樹脂粒子であることが特に好ましい。これらの好ましい基材粒子の使用により、本発明の効果がより一層効果的に発揮され、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子を得ることができる。
上記基材粒子を用いた導電性粒子により電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。上記基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記樹脂粒子の材料として、種々の樹脂が好適に用いられる。上記樹脂粒子の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。
導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記基材粒子は、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂を含むことが好ましい。上記基材粒子は、アクリル樹脂を含む粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、シリコーン樹脂を含む粒子であることが好ましい。
上記アクリル樹脂の材料は、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。上記アクリル樹脂を、上記(メタ)アクリル化合物を重合させて得る場合には、上記(メタ)アクリル化合物としては、非架橋性の(メタ)アクリル化合物と架橋性の(メタ)アクリル化合物とが挙げられる。
上記非架橋性の(メタ)アクリル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記非架橋性の(メタ)アクリル化合物は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、又は、イソボルニル(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記非架橋性の(メタ)アクリル化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記架橋性の(メタ)アクリル化合物としては、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記架橋性の(メタ)アクリル化合物は、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、又は、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記架橋性の(メタ)アクリル化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記(メタ)アクリル化合物を、公知の方法により重合させることで、上記アクリル樹脂を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記シリコーン樹脂の材料は、ラジカル重合性基を有するシラン化合物と炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とであるか、ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物であるか、又は、ラジカル重合性基を両末端に有するシラン化合物であることが好ましい。これらの材料を反応させた場合には、シロキサン結合が形成される。得られるシリコーン樹脂において、ラジカル重合性基及び炭素数5以上の疎水基は一般に残存する。このような材料を用いることで、1μm以上200μm以下の長径を有する上記シリコーン樹脂を含む粒子を容易に得ることができ、しかも上記シリコーン樹脂を含む粒子の耐薬品性を高くし、かつ透湿性を低くすることができる。
上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物では、ラジカル重合性基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジビニルメトキシビニルシラン、ジビニルエトキシビニルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、及び1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物では、炭素数5以上の疎水基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、ジメチルメトキシフェニルシラン、ジメチルエトキシフェニルシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,3,3,5-テトラメチル-1,1,5,5-テトラペニルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、及びオクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物では、ラジカル重合性基はケイ素原子に直接結合していることが好ましく、炭素数5以上の疎水基はケイ素原子に直接結合していることが好ましい。上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ラジカル重合性基を有しかつ炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物としては、フェニルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、フェニルメチルビニルメトキシシラン、フェニルメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルビニルメトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、フェニルジビニルメトキシシラン、フェニルジビニルエトキシシラン、及び1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ジビニルジシロキサン等が挙げられる。
上記シリコーン樹脂を含む粒子を得るために、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物と、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とを用いる場合に、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物の重量の、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物の重量に対する比は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上である。上記シリコーン樹脂を含む粒子を得るために、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物と、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物とを用いる場合に、上記炭素数5以上の疎水基を有するシラン化合物の重量の、上記ラジカル重合性基を有するシラン化合物の重量に対する比は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
上記シリコーン樹脂を含む粒子を得るためのシラン化合物の全体において、炭素数5以上の疎水基の数の、ラジカル重合性基の数に対する比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記シリコーン樹脂を含む粒子は、1つのケイ素原子に2つのメチル基が結合したジメチルシロキサン骨格を有することが好ましい。スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記シリコーン樹脂の材料は、1つのケイ素原子に2つのメチル基が結合したシラン化合物を含むことが好ましい。
スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制する観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記シリコーン樹脂を含む粒子は、上述したシラン化合物を、ラジカル重合開始剤により反応させて、シロキサン結合を形成させることが好ましい。一般に、酸または塩基触媒を用いた重縮合によって上記シリコーン樹脂を含む粒子を合成する場合、10μm以上500μm以下の長径を有するシリコーン樹脂を含む粒子を得ることは困難であり、50μm以下の長径を有するシリコーン樹脂を含む粒子を得ることが特に困難である。これに対して、ラジカル重合開始剤及び上記構成のシラン化合物を用いることで、1μm以上500μm以下の長径を有するシリコーン樹脂を含む粒子を得ることができ、10μm以上の長径を有するシリコーン樹脂を含む粒子を得ることもでき、50μm以下の長径を有するシリコーン樹脂を含む粒子を得ることもできる。
上記シリコーン樹脂を含む粒子を得るために、ケイ素原子に結合した水素原子を有するシラン化合物を用いなくてもよい。この場合には、金属触媒を用いずに、ラジカル重合開始剤を用いて、シラン化合物を重合させることができる。結果として、上記シリコーン樹脂を含む粒子に金属触媒が含まれないようにすることができ、上記シリコーン樹脂を含む粒子における金属触媒の含有量を少なくすることができ、スプリングバックの発生をより一層効果的に抑制することができ、導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記シリコーン樹脂を含む粒子の具体的な製造方法としては、懸濁重合法、分散重合法、ミニエマルション重合法、又は乳化重合法等でシラン化合物の重合反応を行い、シリコーン樹脂を含む粒子を作製する方法等がある。シラン化合物の重合を進行させてオリゴマーを得た後、懸濁重合法、分散重合法、ミニエマルション重合法、又は乳化重合法等で重合体(オリゴマー等)であるシラン化合物の重合反応を行い、シリコーン樹脂を含む粒子を作製してもよい。例えば、ビニル基を有するシラン化合物を重合させて、末端においてケイ素原子に結合したビニル基を有するシラン化合物を得てもよい。フェニル基を有するシラン化合物を重合させて、重合体(オリゴマー等)として、側鎖においてケイ素原子に結合したフェニル基を有するシラン化合物を得てもよい。ビニル基を有するシラン化合物とフェニル基を有するシラン化合物とを重合させて、重合体(オリゴマー等)として、末端においてケイ素原子に結合したビニル基を有しかつ側鎖においてケイ素原子に結合したフェニル基を有するシラン化合物を得てもよい。
上記導電性粒子は、上記基材粒子と上記導電部との間に非導電部を有していてもよい。上記非導電部は、上記基材粒子の表面上に配置されていることが好ましい。上記非導電部は、上記基材粒子の表面を覆っていることが好ましい。本発明では、上記非導電部が上記基材粒子の表面上に配置されている場合においては、上記基材粒子の表面上に、上記非導電部を介して、上記導電部が配置されている。上記非導電部は、上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよく、上記基材粒子の表面の全部を覆っていてもよい。上記非導電部は、単層構造であってもよく、2層構造以上の多層構造であってもよい。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、上述した導電性粒子であるか、又は、上述した基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える導電性粒子である。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。
上記導電材料は、本発明に係る導電性粒子以外の導電性粒子(第2の導電性粒子)を含んでいてもよい。上記第2の導電性粒子は球状であってもよい。上記導電材料は、上記導電性粒子とは異なる成分として、第2の導電性粒子を含んでいてもよい。第2の導電性粒子は、上述した導電性粒子とは異なる。第2の導電性粒子とは、第2の導電性粒子の電子顕微鏡画像又は光学顕微鏡画像により、第2の導電性粒子の面積と第2の導電性粒子に外接する長方形の面積とを算出したときに、第2の導電性粒子の面積の、第2の導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比が0.785以上0.80未満である導電性粒子を意味する。
上記導電材料において、第2の導電性粒子の含有量は特に限定されない。上記導電材料において、上記導電性粒子の含有量よりも第2の導電性粒子の含有量が多い場合には、上記導電材料を用いて電極間を接続したときに、導電性粒子全体として電極間に均一に配置されやすくなる。また、上記導電材料において、第2の導電性粒子の含有量よりも上記導電性粒子の含有量が多い場合には、上記導電材料を用いて電極間を接続したときに、接続抵抗をより一層低くすることができる。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、以下の方法が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。さらに、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる他の方法としては、上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料において、本発明に係る導電性粒子と、上記第2の導電性粒子とが含まれる場合に、本発明に係る導電性粒子の含有量の上記第2の導電性粒子の含有量に対する比は、0.01以上であってもよく、0.05以上であってもよく、0.1以上であってもよい。上記導電材料において、本発明に係る導電性粒子と、上記第2の導電性粒子とが含まれる場合に、本発明に係る導電性粒子の含有量の上記第2の導電性粒子の含有量に対する比は、0.99以下であってもよく、0.95以下であってもよく、0.9以下であってもよい。
(接続構造体)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続部の材料は、導電性粒子であるか、又は導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料である。上記導電性粒子は、上述した導電性粒子であるか、又は上述した基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える導電性粒子である。上記接続部の材料は、上述した導電性粒子を含むことが好ましい。上記接続部が、上記導電性粒子により形成されているか、又は上記導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。
上記導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが上記導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
図5は、図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
図5に示す接続構造体41は、第1の接続対象部材42と、第2の接続対象部材43と、第1の接続対象部材42と第2の接続対象部材43とを接続している接続部44とを備える。接続部44は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図5では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1に代えて、導電性粒子21,31等の他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材42は表面(上面)に、複数の第1の電極42aを有する。第2の接続対象部材43は表面(下面)に、複数の第2の電極43aを有する。第1の電極42aと第2の電極43aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材42と第2の接続対象部材43とが導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104Pa~4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120℃~220℃程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×104Pa~1.0×106Pa程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方は、半導体ウェハ又は半導体チップであることが好ましい。上記接続構造体は、半導体装置であることが好ましい。
上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銀電極、SUS電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)基材粒子の作製
種粒子として平均粒子径6.0μmのポリスチレン粒子を用意した。上記ポリスチレン粒子5.0重量部と、イオン交換水900重量部と、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液170重量部とを混合し、混合液を調製した。上記混合液を超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに入れて、均一に撹拌した。
次に、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート10重量部と、メタクリル酸シクロヘキシル10重量部と、イソボルニルアクリレート80重量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物に、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)6.0重量部を添加し、さらに、イオン交換水1000重量部を添加し、乳化液を調製した。
セパラブルフラスコ中の上記混合液に、上記乳化液をさらに添加し、16時間撹拌し、種粒子にモノマーを吸収させて、モノマーが膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
その後、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液510重量部を添加し、加熱を開始して85℃で、セパラブルフラスコの底の回転子をスターラーを用いて300rpmで攪拌しながら10時間反応させた後、水、メタノール、アセトンで洗浄して、基材粒子を得た。
(2)導電性粒子の作製
得られた基材粒子を洗浄し、分級操作を行った後に乾燥した。その後、無電解めっき法により、得られた基材粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは、0.1μmであった。
(3)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
導電材料(異方性導電ペースト)を作製するため、以下の材料を用意した。
(導電材料(異方性導電ペースト)の材料)
熱硬化性化合物A:エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP-3300P」)
熱硬化性化合物B:エポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP-4032D」)
熱硬化性化合物C:エポキシ化合物(四日市合成社製「エポゴーセーPT」、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル)
熱硬化剤:熱カチオン発生剤(三新化学社製 サンエイド「SI-60」)
フィラー:シリカ(平均粒子径0.25μm)
導電材料(異方性導電ペースト)を以下のようにして作製した。
(導電材料(異方性導電ペースト)の作製方法)
熱硬化性化合物A10重量部と、熱硬化性化合物B10重量部と、熱硬化性化合物C15重量部と、熱硬化剤5重量部と、フィラー20重量部とを配合し、配合物を得た。さらに得られた導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
(4)接続構造体の作製
第1の接続対象部材として、L/Sが20μm/20μmのアルミニウム電極パターンを上面に有するガラス基板を用意した。また、第2の接続対象部材として、L/Sが20μm/20μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップを用意した。
上記ガラス基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ30μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が170℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、導電材料(異方性導電ペースト)層を170℃、1.0MPa、及び15秒間の条件で硬化させ、接続構造体を得た。
(実施例2)
基材粒子を作製する際に、スターラーの回転速度を半分の回転速度(150rpm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(参考例3)
基材粒子を作製する際に、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートを1,4-ブタンジオールジアクリレートに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例4)
基材粒子を作製する際に、スターラーの回転速度を1/3の回転速度(100rpm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例5)
導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の表面に金層(0.02μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例6)
導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の表面にパラジウム層(0.02μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例7)
導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の表面に銅層(0.1μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例8)
導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の表面に銀層(0.1μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例9)
導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の表面にはんだ層(0.3μm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例10)
導電性粒子を作製する際に、基材粒子の表面にニッケル粒子スラリー(平均粒子径150nm)を吸着させた後にニッケル層を形成し、導電部の外表面に複数の突起を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例11)
導電性粒子を作製する際に、基材粒子の表面にアルミナ粒子スラリー(平均粒子径150nm)を吸着させた後にニッケル層を形成し、導電部の外表面に複数の突起を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(実施例12)
導電性粒子を作製する際に、基材粒子の表面に酸化チタン粒子スラリー(平均粒子径150nm)を吸着させた後にニッケル層を形成し、導電部の外表面に複数の突起を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(比較例1)
基材粒子を作製する際に、スターラーで攪拌せずに、セパラブルフラスコの中央のパドルで攪拌したこと以外は、実施例1と同様にして、基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(比較例2)
基材粒子を作製する際に、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートの配合量を10重量部から3重量部に変更し、メタクリル酸シクロヘキシルの配合量を10重量部から3重量部に変更し、イソボルニルアクリレートの配合量を80重量部から94重量部に変更した。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、基材粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
(評価)
(1)基材粒子の長径及び導電性粒子の長径
得られた基材粒子及び導電性粒子について、電子顕微鏡にて観察することにより基材粒子及び導電性粒子の長径を算出した。基材粒子及び導電性粒子の長径は、任意の基材粒子50個及び任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡にて観察し、任意の基材粒子50個の長径及び任意の導電性粒子50個の長径を算術平均して平均値を算出することにより求めた。
(2)基材粒子の10%K値及び導電性粒子の10%K値
得られた基材粒子及び導電性粒子について、基材粒子の10%K値及び導電性粒子の10%K値を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
(3)基材粒子の形状及び導電性粒子の形状
得られた基材粒子について、電子顕微鏡にて観察することにより基材粒子の面積及び基材粒子に外接する長方形の面積を算出した。測定結果から、基材粒子の面積の、基材粒子に外接する長方形の面積に対する比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)を算出した。得られた基材粒子における上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡にて観察し、任意の基材粒子50個の上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)を算術平均して平均値を算出することにより求めた。上記比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)から基材粒子の形状を下記の基準で判定した。
[基材粒子の形状の判定基準]
○:基材粒子の面積の、基材粒子に外接する長方形の面積に対する比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)が0.80以上
×:基材粒子の面積の、基材粒子に外接する長方形の面積に対する比(基材粒子の面積/基材粒子に外接する長方形の面積)が0.80未満
得られた導電性粒子について、電子顕微鏡にて観察することにより導電性粒子の面積及び導電性粒子に外接する長方形の面積を算出した。測定結果から、導電性粒子の面積の、導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)を算出した。得られた導電性粒子における上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡にて観察し、任意の導電性粒子50個の上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)を算術平均して平均値を算出することにより求めた。上記比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)から導電性粒子の形状を下記の基準で判定した。
[導電性粒子の形状の判定基準]
○:導電性粒子の面積の、導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)が0.80以上
×:導電性粒子の面積の、導電性粒子に外接する長方形の面積に対する比(導電性粒子の面積/導電性粒子に外接する長方形の面積)が0.80未満
(4)基材粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率及び導電性粒子を60%圧縮
変形させたときの圧縮回復率
得られた基材粒子及び導電性粒子について、基材粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率及び導電性粒子を60%圧縮変形させたときの圧縮回復率を、上述した方法により測定した。
(5)初期の接続抵抗
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗Aを4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗Aを求めることができる。接続抵抗Aから初期の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[初期の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗Aが2Ω以下
○:接続抵抗Aが2Ωを超え3Ω以下
△:接続抵抗Aが3Ωを超え5Ω以下
×:接続抵抗Aが5Ωを超える
(6)高温高湿放置後の接続抵抗(導通信頼性)
上記の(5)初期の接続抵抗の評価後の接続構造体を85℃及び湿度85%の条件下で500時間放置した。500時間放置後の接続構造体において、対向する電極間の接続抵抗Bを4端子法により測定した。接続抵抗A,Bから高温高湿放置後の接続抵抗(導通信頼性)を以下の基準で判定した。
[高温高湿放置後の接続抵抗(導通信頼性)の判定基準]
○○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1.25倍未満
○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1.25倍以上1.5倍未満
○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1.5倍以上2倍未満
△:接続抵抗Bが接続抵抗Aの2倍以上5倍未満
×:接続抵抗Bが接続抵抗Aの5倍以上
(7)めっき割れ
走査型電子顕微鏡により、得られた接続構造体の接続部における導電性粒子において、めっき割れが発生しているか否かを観察した。めっき割れを下記の基準で判定した。
[めっき割れの判定基準]
○:めっき割れが発生していない
×:めっき割れが発生している
結果を下記の表1に示す。