JP7332077B1 - ロール研削機の異常振動予測方法、圧延ロールの研削方法、金属帯の圧延方法、ロール研削機の異常振動予測装置及びロール研削設備 - Google Patents

ロール研削機の異常振動予測方法、圧延ロールの研削方法、金属帯の圧延方法、ロール研削機の異常振動予測装置及びロール研削設備 Download PDF

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Abstract

研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応したロール研削機の異常振動を予測できるロール研削機の異常振動予測方法、ロール研削機の異常振動予測装置を提供する。回転する圧延ロール12の外周面を研削砥石14で研削するロール研削機10の異常振動予測方法であって、ロール研削機10の剛性に関する剛性パラメータと、研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータと、を取得する取得ステップと、剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを用いて、圧延ロール12の研削工程における異常振動を予測する予測ステップと、を含む。

Description

本発明は、ロール研削機の異常振動予測方法、圧延ロールの研削方法、金属帯の圧延方法、ロール研削機の異常振動予測装置及びロール研削設備に関する。
冷間圧延工程で発生する表面欠陥の一つに、チャタマークが挙げられる。チャタマークとは、板厚の変動により金属帯の幅方向に線状の模様が発生し、その模様が長手方向に周期的に表れる表面欠陥をいう。チャタマークは、主に、圧延機振動(以下、チャタリングと記載する。)が原因となって発生することが知られている。チャタリングが発生し、金属帯にチャタマークが形成されると外観不良により製品欠陥となる。また、チャタリングがひどい場合には、張力の急激な変動による金属帯の破断等が生じ、生産性を著しく低下させる要因となる。
チャタリングは、圧延機を構成するベアリング等の回転部品のキズや、圧延ロールと金属帯の潤滑不良、圧延ロールの異常プロフィル等により引き起こされることが多い。その中で、圧延ロールの研削工程で発生する外周面の異常プロフィルが原因となってチャタリングが発生すると、当該異常プロフィルを有する圧延ロールを組み替えるまで圧延機振動が継続し、多量の製品欠陥を生じさせるので問題となる。
圧延ロールの異常プロフィルは、当該圧延ロールを工作物とする研削工程で生じる研削機の異常振動によって生じる。圧延ロールの研削工程で発生する研削機振動は、砥石の固有振動数、工作物支持系の固有振動数、あるいは、砥石から工作物に至る機械系全体の固有振動数と、加振周波数とが一致すると共振によって研削機振動が大きくなってロール研削機に異常振動が発生する。
このようなロール研削機の異常振動を防止する技術として、特許文献1には、ロール研削機におけるビビリ振動を防止する方法が開示されている。特許文献1によれば、光学式センサーを用いたビビリ検出器で検出したビビリ波形と、砥石台及び芯押台に設置した振動計により測定される振動波形との相関に基づいてビビリ振動を予測できるとしている。
特開昭52-56468号公報
特許文献1に開示された方法は、ロール研削機におけるビビリ振動を防止するものである。ビビリ振動は研削砥石と工作物である圧延ロールとの接点である研削点において生じることから、特許文献1に開示された方法では、研削点が振動源となってロール研削機に伝達される振動挙動に着目している。しかし、ロール研削機において発生する異常振動は、必ずしも研削点における振動が原因となるものだけではなく、研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応して異常振動が生じ得る。このため、特許文献1に開示された方法では、研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応した異常振動の発生が予測できないという課題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応したロール研削機の異常振動の発生を予測できるロール研削機の異常振動予測方法、ロール研削機の異常振動予測装置及びロール研削設備を提供することを目的とする。また、砥石研削においてロール研削機の異常振動の発生を抑制した圧延ロールの研削方法、さらには、当該圧延ロールの研削方法によって研削した圧延ロールを用いる金属帯の圧延方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測方法であって、前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータと、前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータと、を取得する取得ステップと、前記剛性パラメータ及び前記砥石回転パラメータを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する予測ステップと、を含む、ロール研削機の異常振動予測方法。
[2]前記剛性パラメータは、前記圧延ロールの回転中心と前記研削砥石の回転中心との距離又は前記圧延ロールの直径と前記研削砥石の直径の合計値を含む、[1]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[3]前記取得ステップでは、前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータをさらに取得し、前記予測ステップでは、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記負荷パラメータを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する、[1]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[4]前記負荷パラメータは、前記研削砥石を回転させる電動機の負荷電流値を含む、[3]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[5]回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測方法であって、前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータ及び前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータを含む入力データを取得する取得ステップと、前記入力データを入力とし、前記圧延ロールの研削工程における異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する予測ステップと、
を含む、ロール研削機の異常振動予測方法。
[6]前記剛性パラメータは、前記圧延ロールの回転中心と前記研削砥石の回転中心との距離又は前記圧延ロールの直径と前記研削砥石の直径の合計値を含む、[5]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[7]前記取得ステップでは、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータを含む入力データを取得する、[5]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[8]前記負荷パラメータは、前記研削砥石を回転させる電動機の負荷電流値を含む、[7]に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
[9][1]から[8]のいずれか1つに記載のロール研削機の異常振動予測方法を用いる圧延ロールの研削方法であって、前記予測ステップにより前記異常振動が発生すると予測された場合に、前記ロール研削機の研削条件を前記異常振動が発生しないと予測される研削条件に変更する、圧延ロールの研削方法。
[10][9]に記載の圧延ロールの研削方法を用いて研削された圧延ロールを圧延機に組み込んで金属帯の圧延を行う、金属帯の圧延方法。
[11]回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測装置であって、前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータ及び前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータを含む入力データを取得するデータ取得部と、前記入力データを入力とし、異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、前記ロール研削機の異常振動の発生を予測する異常振動予測部と、を有する、ロール研削機の異常振動予測装置。
[12]前記データ取得部は、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータを含む入力データを取得する、[11]に記載のロール研削機の異常振動予測装置。
[13]前記異常振動予測モデルを用いて前記異常振動が発生しない前記入力データを特定するガイダンス情報取得部をさらに有する、[11]又は[12]に記載のロール研削機の異常振動予測装置。
[14]回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機と、[11]又は[12]に記載のロール研削機の異常振動予測装置と、を備える、ロール研削設備。
[15]回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機と、[13]に記載のロール研削機の異常振動予測装置と、を備える、ロール研削設備。
本発明によれば、剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを用いてロール研削機の異常振動を予測するので、研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応したロール研削機の異常振動の発生を予測できる。
図1は、第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法が実施できるロール研削設備の構成を示す模式図である。 図2は、異なる直径の研削砥石を有するロール研削機の正面図である。 図3は、圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値と研削機剛性との関係を示すグラフである。 図4は、振動周波数と振動強度との関係を示すグラフである。 図5は、砥石回転周波数と振動強度との関係を示すグラフである。 図6は、剛性パラメータに関する異常振動マップである。 図7は、剛性パラメータに関する異常振動マップである。 図8は、砥石負荷電流値と研削機剛性との関係を示すグラフである。 図9は、負荷パラメータに関する異常振動マップである。 図10は、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法が実施できるロール研削設備110を示す模式図である。 図11は、異常振動予測装置44の構成例を示す模式図である。 図12は、異常振動予測モデルとしてニューラルネットワークを用いた例を示す図である。 図13は、振動強度の測定結果を示すグラフである。 図14は、振動強度の測定結果を示すグラフである。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法が実施できるロール研削設備100の構成を示す模式図である。図1(a)は、ロール研削設備100の上面図を示す。図1(b)は、ロール研削機10の正面図を示す。図1に示したロール研削機10は、円筒型の研削砥石を用いて圧延ロール12の外周面を研削するロール研削機である。研削対象となる圧延ロール12は、圧延機にて使用された後にクレーン等を用いてロールショップに運搬される。その後、圧延ロール12は、軸受箱から抜き出され、自然放冷により常温まで冷却された後、1本ずつロール研削機10にセットされる。
ロール研削機10は、研削砥石14を支持する研削ヘッド16と、研削ヘッド16を支持する支持テーブル18と、ガイド26、28と、ロール支持台68と、振動計32とを備える。研削ヘッド16は、研削砥石14と、これを駆動する砥石回転モータ30を支持する。研削砥石14と砥石回転モータ30との間には、動力伝達のためのプーリーとベルトが配置される。また、砥石回転モータ30によって、直接、研削砥石14が回転駆動される場合もある。
支持テーブル18は、ガイド26に案内されて圧延ロール12の軸方向と平行に移動する。ガイド26における支持テーブル18の移動は、サーボモータを用いた位置制御により行われ、これにより、研削砥石14と圧延ロール12との軸方向の相対位置が制御される。研削ヘッド16は、ガイド28に案内されて圧延ロール12の軸心に垂直となる方向に移動する。ガイド28における研削ヘッド16の移動も、サーボモータを用いた位置制御により行われ、これにより、研削砥石14による切込み量が制御される。ただし、支持テーブル18は、ガイド26及びガイド28を移動する2軸テーブルにより構成されてもよい。2軸テーブルを用いる場合には、支持テーブル18は、圧延ロール12の軸方向と平行に配置されるガイド26に沿って移動するとともに、ガイド28に沿って研削砥石14を圧延ロール12の軸心に垂直となる方向にも移動する。なお、以後の説明において、研削砥石14を直接的または間接的に支持する研削ヘッド16、支持テーブル18、ガイド28及び砥石回転モータ30から構成される構造体を研削砥石支持部66という。
ロール支持台68は、圧延ロール12を軸方向の一端側から支持するロールチャック20と、圧延ロール12を所定の回転数で回転駆動させるロール回転モータ22と、圧延ロール12を軸方向の他端側から支持する芯押し台24とを有する。芯押し台24は、圧延ロール12の軸心をロール回転モータ22の回転軸の軸心と合わせる役割を担う。芯押し台24の圧延ロール12との接触部は円錐形状になっており、当該円錐の先端が圧延ロール12の軸端部の中心に空いた座繰り穴及び固定治具の座繰り穴に押し入れられる。これにより、圧延ロール12の軸心は、ロール回転モータ22の回転軸の軸心に一致して固定される。研削時の圧延ロール12の回転数は、ロール研削機10の制御用コントローラ42により制御される。
圧延ロール12は、圧延ロール12の軸方向の一方の端部から他方の端部まで研削され、引き続き他方の端部から一方の端部まで研削される。このように研削砥石14が1往復する単位をトラバースという。通常の研削工程は、研削量を大きく設定する粗研削工程と、圧延ロール12の表面を仕上げるための仕上研削工程とに分かれている。一般的に、粗研削のトラバース数は80~150回程度であり、仕上研削のトラバース数は5~15回程度である。ここで、粗研削工程は、圧延ロール12の表面を切込みにより除去して、疲労層や微視的な亀裂が生じている部分を除去する研削工程である。仕上研削工程は、圧延ロールの表面粗さを所定の範囲に調整するための弱い研削工程である。
図1に示すロール研削設備100は、さらに、制御用計算装置40と、制御用コントローラ42とを有する。制御用計算装置40は、研削対象となる圧延ロール12の寸法情報、研削量、及び表面仕上粗さの目標値等に関する情報に基づき、圧延ロール12に対する研削条件を設定する。
研削条件は、少なくとも、研削時のロール回転数、研削砥石14の回転数、及び研削砥石14の切込み量の3つの設定条件を含み、粗研削から仕上研削のトラバース毎に設定される。なお、砥石切込み量に代えて砥石回転モータ30の設定電流値を用いてもよい。また、これらのロール研削機10における研削条件は、圧延ロール12の研削状態をオペレータが確認しながら適宜修正される場合がある。この場合には、修正されたロール研削機10の研削条件が制御用計算装置40に出力される。
ロール研削機10における研削条件を設定するにあたって、研削対象となる圧延ロール12の直径、表面の硬度、研削前の表面粗さ等の因子を考慮した設定テーブルを用いる場合がある。また、研削砥石14の条件として、研削砥石14の番手、初期砥石径、現砥石径、研削砥石14の累積研削時間、ドレス装置によるドレス後の総研削量等が考慮されて、研削条件が設定される。
初期砥石径とは、研削砥石14が製造されてからロール研削で最初に使用される前の砥石径である。現砥石径とは、研削対象の圧延ロール12の研削を開始する前に測定された砥石径である。砥石径は、研削砥石14の外周部を複数個所選定し、マイクロメータを用いて当該複数個所を測定する。また、研削砥石14の側面に半径方向に1~5mmピッチのマークを予め付与しておき、当該マークから砥石径を読み取ることによって砥石径を特定してもよい。研削砥石14は、初期砥石径が850~950mmである。研削砥石14は、砥石径が450~600mm程度になった後に廃却される。
制御用計算装置40は、ロール研削機10の操業条件の制御目標値を設定する。制御用コントローラ42は、研削開始から研削終了までの各トラバースに対する研削時のロール回転数、研削砥石14の回転数及び研削砥石14の切込み量がその制御目標値になるように各機器を制御する。また、制御用コントローラ42は、研削時の研削砥石14を駆動する砥石回転モータ30の実績値を取得する。なお、研削中のロール回転数、研削砥石14の回転数及び研削砥石14の切込み量の実績値を計測できる場合には、制御用コントローラ42は、これらの実績値を取得する。このようにして取得された実績値は、ロール研削の操業状態を解析するためのデータとして、制御用計算装置40に出力される。制御用計算装置40及び制御用コントローラ42は、ワークステーション、パソコン等の汎用コンピュータである。制御用計算装置40及び制御用コントローラ42は単一のコンピュータで構成されてもよい。
以上のようなロール研削設備100において、仕上研削が終了した圧延ロール12は、研削済みロール保管エリアに移され、順番がくるとロール交換装置に戻され、圧延機に組み込まれる。また、ロール研削機10は振動計32を備える。振動計32は、圧延ロールの研削工程における異常振動についての実績データを取得する。振動計32は、研削ヘッド16及びロール支持台68のいずれかに設置するのが好ましく、研削砥石14に近い位置に設けることがより好ましい。このような位置に振動計32を設けることで、研削砥石14と圧延ロール12との接触部で発生する振動を検出できる。また、振動の測定方向は限定されないが、研削砥石14が圧延ロール12に切込みを与える方向と同一の方向の振動を測定するのが好ましい。
第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、ロール研削機10の剛性に関する剛性パラメータ及び研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータを用いてロール研削機10の異常振動を予測する。まず、ロール研削機10の剛性パラメータについて説明する。
ロール研削機10の剛性に関する剛性パラメータとは、工作物である圧延ロール12がロール支持台68に支持された状態において、ロール研削機10の剛性に影響を与えるパラメータを意味する。また、ロール研削機10の剛性とは、研削砥石14の圧延ロール12との接触部における変位に対するロール研削機10に作用する外力が与える影響度を表す。
具体的には、研削砥石14を直接的または間接的に支持する研削砥石支持部66の剛性(以下、研削機剛性と記載する。)を、ロール研削機10の剛性に関するパラメータを剛性パラメータとする。なお、工作物である圧延ロール12及びロール支持台68の質量及び剛性は、研削砥石支持部66の質量よりも大きく、剛性も高い。したがって、ロール研削機10の全体の振動挙動に対する圧延ロール12及びロール支持台68の寄与は、研削機剛性に比べて低い。このため、ロール研削機10の剛性パラメータに、工作物である圧延ロール12およびロール支持台68に関するパラメータは含めなくてよい。
剛性パラメータとして、圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離を用いることが好ましい。圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離によって研削工程における研削ヘッド16の支持テーブル18に対する相対位置が変化し、これにより、研削ヘッド16の振動のしやすさが変化するからである。なお、圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離に代えて圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値を用いてもよい。以下の説明では、剛性パラメータとして圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値を用いた例で説明する。
図2は、異なる直径の研削砥石を有するロール研削機の正面図である。図2(a)は、大径の研削砥石を有するロール研削機70を示す。図2(b)は、小径の研削砥石を有するロール研削機80を示す。研削砥石の直径が小さく、圧延ロール12の回転中心と研削砥石の回転中心との距離が短くなると、研削砥石14を圧延ロール12に接触させるためには、研削ヘッド16をガイド28に沿って圧延ロール12の方向により前進させる必要がある。このため、ロール研削機70よりもロール研削機80の方が研削砥石14の回転中心と研削砥石支持部66の重心との間の距離(以下、アーム長と記載する。)が長くなる。
アーム長が長くなると、圧延ロール12と研削砥石14との間で作用する研削力(研削砥石の回転方向の接線力)が同じであっても、研削砥石支持部66の重心周りの回転モーメントが大きく作用する。これにより、研削砥石支持部66の剛性が変化してロール研削機の振動挙動が変化する。すなわち、圧延ロールの回転中心と研削砥石14の回転中心との距離が短く、上記アーム長が長い場合にはロール研削機の剛性が小さくなる。
図3は、圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値と研削機剛性との関係を示すグラフである。図3の横軸は圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値(mm)であり、縦軸は研削機剛性(N/mm)である。研削機剛性は、研削砥石支持部66をマス・バネ・ダンパー系の振動モデルにより近似して、振動計によって計測される振動周波数と振動強度との関係が一致するように、振動モデルのパラメータを特定することで求めた。なお、研削機剛性は、研削砥石支持部66に対するハンマリング試験によって固有振動数を測定し、研削砥石支持部66の質量から算出してもよい。
図3に示すように、圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値が大きくなる、すなわち、圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離が長くなると、研削機剛性が大きくなった。この結果から、圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離が長くなると研削砥石支持部66の振動のしやすさが変化して、研削機剛性が大きくなる傾向があることが確認された。圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値が大きくなると、アーム長が短くなって、研削砥石支持部66の重心周りの回転モーメントが小さくなるからである。この結果から、剛性パラメータとして圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値を用いることが好ましいことがわかる。
次に、研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータについて説明する。砥石回転パラメータとは、圧延ロール12を研削する研削条件を代表するパラメータのうち、研削砥石14の回転速度に関するパラメータである。具体的には、砥石回転パラメータとして研削砥石14の回転数、回転周波数および回転角速度のうちのいずれか1つを用いてよく、これらの値として研削砥石14を駆動する砥石回転モータ30の回転数、回転周波数および回転角速度の値を用いてよい。砥石回転パラメータは、研削砥石支持部66に対する外的に作用する振動源の周波数となって、研削砥石支持部66の振動挙動に影響を与える。すなわち、ロール研削機10の振動は、研削砥石14を支持する研削砥石支持部66の剛性と、振動源の周波数とによって特定される。
図4は、振動周波数と振動強度との関係を示すグラフである。図4は、特定の砥石回転数に対する周波数スペクトルを示しており、横軸は振動周波数(Hz)であり、縦軸は振動強度(m/sec)である。図4に示したグラフは、圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値と負荷パラメータである砥石負荷電流値とを一定にして、砥石回転数8.5rps(砥石回転に相当する周波数8.5Hz)における振動強度を測定した結果を示す。
図4に示すように、振動計32によって測定されるロール研削機10の振動強度は、砥石回転数の整数倍に相当する振動周波数でピークを有することがわかる。ただし、砥石回転周波数60Hzの振動は電源系統の周波数による外乱であり、ロール研削機10の振動強度ではない。このように、振動強度のピークは、特定の砥石回転数の整数倍となった場合に生じることがわかる。第1の実施形態では、特定の砥石回転数Nに対応して、当該砥石回転数の整数倍の周波数に対応するピーク値をPNiとする。ただし、iは砥石回転数の倍数であり、iは1以上の任意の整数である。なお、砥石回転数の倍数iは、最大で6~12の範囲で決定すればよい。砥石回転数の倍数iの最大値が6未満では異常振動の発生を予測できない場合があり、砥石回転数の倍数iの最大値が12を超えると振動のピーク値が小さくなる傾向がみられるからである。
図5は、砥石回転周波数と振動強度との関係を示すグラフである。図5において、横軸は砥石回転周波数(Hz)であり、縦軸は振動強度(m/sec)である。図5に示したグラフは、剛性パラメータを一定にして、砥石回転数Nを変化させて、砥石回転数の整数倍の周波数に対応するピーク値PNi(i=1~6)を特定し、倍数iごとにプロットしたグラフである。図5に示したグラフは、砥石回転数の倍数iにおけるピーク強度をプロットしたものであり、このグラフをピーク強度マップと記載する。
図5に示すように、剛性パラメータを一定にして砥石回転数Nを変化させた場合には、砥石回転数Nの整数倍の周波数に対応した振動強度のピークが現れる。すなわち、図5に示した関係を把握すれば、砥石回転パラメータである砥石回転数Nが変化した場合に、砥石回転数Nの整数倍iごとに振動強度のピーク値がどのように変化するかが明確になる。このように、砥石回転周波数と振動強度との関係が明確になれば、異常振動の閾値(例えば10-1m/s)を設定することで、ロール研削機10に異常振動が発生する砥石回転数Nの範囲と、これに対応する倍数iとが特定できる。
さらに、図5に示した関係を、剛性パラメータを変更して取得することにより、ロール研削機10の異常振動マップを作成できる。図6は、剛性パラメータに関する異常振動マップである。図6において、横軸は砥石直径と圧延ロール直径の合計値(mm)であり、縦軸は砥石回転数(rps)である。
図6に示した異常振動マップは、剛性パラメータとして圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値(4点)を横軸にとり、振動強度が閾値を超える砥石回転数Nの範囲を倍数iごとの棒形状で示したマップである。図6のように、横軸に表される変数の離散値に対して表される異常振動マップを離散型異常振動マップと記載する。離散型異常振動マップは、剛性パラメータの条件を3以上15以下で変更して作成することが好ましい。剛性パラメータの条件の変更数を3未満にして離散型異常振動マップを作成すると、当該マップでは、異なる剛性パラメータの条件で発生する異常振動を予測しづらくなるので好ましくない。また、剛性パラメータの条件の変更数を15より多くして離散型異常振動マップを作成しても異常振動の予測精度が顕著に向上せず、当該マップ作成の労力が増えるので好ましくない。
図6に示すように、研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータである砥石回転数によって、ロール研削機10の異常振動が発生する範囲が決定されることがわかる。さらに、異常振動が発生する砥石回転数の範囲が、剛性パラメータである圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値によって変化することがわかる。
図6から、圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値が一定の場合に、図中の棒形状で示される砥石回転数の範囲は、ロール研削機10の振動強度が閾値を超えるので、当該範囲では、圧延ロールの研削工程でロール研削機10の異常振動が発生すると予測できる。なお、図6は、異常振動の閾値を10-1m/sに設定した例であるが、振動強度の閾値は、チャタリングが発生した圧延ロールのロール研削時における振動データの実績値に基づいて決定すればよい。
図7は、剛性パラメータに関する異常振動マップの他の例である。図7に示した振動マップは、図6に示した異常振動マップにおける同じ倍数の異常振動が発生する砥石回転数の上限値及び下限値のそれぞれを連続的な曲線で結んだ異常振動マップである。このような異常振動マップを作成することで、任意の圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値に対して研削砥石の回転数の倍数iごとにロール研削機10の異常振動が発生する範囲が特定できるので、これにより、圧延ロールの異常振動を予測できる。図7のように、横軸に表される変数の連続的な変化に対して表される異常振動マップを連続型異常振動マップと記載する。
このように、図7に示した連続型異常振動マップを予め作成しておけば、剛性パラメータとして圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値と、砥石回転パラメータとして、研削砥石14の回転数とを取得することで、ロール研削機10を用いた圧延ロール12の研削工程において異常振動の発生を予測できることがわかる。
第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、取得ステップを実行して、剛性パラメータと砥石回転パラメータとを取得し、その後、予測ステップを実行して、これらパラメータ及び予め作成された図7に示す異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を用いて圧延ロールの研削工程における異常振動を予測する。これにより、研削砥石14と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応したロール研削機10の異常振動の予測が実現できる。
次に、研削砥石14に作用する負荷に関する負荷パラメータについて説明する。第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、さらに負荷パラメータを加えて、剛性パラメータ、砥石回転パラメータ及び負荷パラメータを用いてロール研削機10の異常振動を予測してもよい。
研削砥石14に作用する負荷に関する負荷パラメータとは、研削工程における研削砥石14と圧延ロール12との接触部に作用する負荷(荷重、接線力)に関係するパラメータである。負荷パラメータとして、研削砥石14を回転させる電動機である砥石回転モータ30の負荷電流値(以下、砥石負荷電流値と記載する。)や研削工程の砥石切込み量を用いてよい。
研削砥石14に作用する負荷に関する負荷パラメータは、研削砥石14の圧延ロール12との接触部における弾性変形に影響を与えるとともに、研削砥石支持部66が有する機械的なガタの状態に影響を与え、これにより間接的に研削機剛性に影響を与える。負荷パラメータである砥石切込み量や砥石負荷電流値が大きいと、研削砥石14が圧延ロール12から受ける反力が増加し、研削砥石支持部66が受ける力も大きくなる。この結果、研削砥石支持部66が有する機械的なガタが抑制されて研削砥石支持部66のみかけの剛性が大きくなる。
図8は、砥石負荷電流値と研削機剛性との関係を示すグラフである。図8において、横軸は砥石負荷電流値(A)であり、縦軸は研削機剛性(N/mm)である。図8に示したグラフは、ロール研削機10の粗研削工程において、圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値を一定として、砥石負荷電流値と研削機剛性との関係を調べた結果である。図8に示すように、砥石負荷電流値が大きくなると、研削砥石支持部66のみかけの剛性が変化して、ロール研削機10の剛性が大きくなる傾向があることが確認された。
図9は、負荷パラメータに関する異常振動マップ(連続型異常振動マップ)である。図9において、横軸は砥石負荷電流値(A)であり、縦軸は砥石回転数(rps)である。図9に示した異常振動マップは、図4~7で説明した剛性パラメータの異常振動マップの作成方法と同じ方法で作成できる。具体的には、特定の砥石回転数に対する周波数スペクトルを測定し、砥石回転数の倍数iにおけるピーク強度をプロットしたピーク強度マップを作成する。そして、負荷パラメータを変更することにより複数のピーク強度マップを作成して、負荷パラメータに関する離散型異常振動マップから負荷パラメータに関する連続型異常振動マップを作成すればよい。
図8、図9に示すように、負荷パラメータはロール研削機10の剛性に影響を及ぼし、ロール研削機10の異常振動の発生に影響を及ぼす。したがって、さらに負荷パラメータを加えて、剛性パラメータ、砥石回転パラメータ及び負荷パラメータを用いてロール研削機10の異常振動を予測することが好ましいことがわかる。特に、剛性パラメータとして圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離又は圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値と、負荷パラメータとして砥石負荷電流値とを含み、これらに加えて砥石回転パラメータを用いてロール研削機10の異常振動を予測することが好ましい。研削砥石支持部66の構造による剛性とみかけの剛性とを用いることにより、ロール研削機10の異常振動の予測精度が向上するからである。具体的には、図7に示した剛性パラメータに関する異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を負荷パラメータ別にそれぞれ作成しておき、取得した負荷パラメータに対応した剛性パラメータに関する異常振動マップを用いてロール研削機10の異常振動を予測すればよい。これにより、ロール研削機10における異常振動の発生の予測精度を向上できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図10は、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法が実施できるロール研削設備110を示す模式図である。ロール研削設備110は、図1に示したロール研削設備100に対して異常振動予測装置44を備える点において異なる。ロール研削設備110において図1に示したロール研削設備100と共通する要素については同じ参照番号を付して重複する説明を省略する。
第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータ及び研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータを含む入力データを入力とし、圧延ロールの研削工程における異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、圧延ロールの研削工程における異常振動を予測する。
図11は、異常振動予測装置44の構成例を示す模式図である。異常振動予測装置44は、例えば、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータである。異常振動予測装置44は、制御部46と、入力部48と、出力部50と、記憶部52とを有する。制御部46は、例えば、CPU等であって、記憶部52から読み込んだプログラムを実行することにより、制御部46をデータ取得部54、異常振動予測部56、予測モデル生成部58、ガイダンス情報取得部60として機能させる。
入力部48は、例えば、キーボード、ディスプレイと一体的に設けられたタッチパネル等である。出力部50は、例えば、LCDまたはCRTディスプレイ等である。記憶部52は、例えば、更新記録可能なフラッシュメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスク、メモリーカード等の情報記録媒体およびその読み書き装置である。記憶部52には、データベース62、異常振動予測モデル64及び制御部46が各機能を実行するためのプログラムや当該プログラムが使用するデータ等が記録されている。
次に、データ取得部54、異常振動予測部56、ガイダンス情報取得部60、予測モデル生成部58が実行する処理について説明する。データ取得部54は、ロール研削機10の剛性に関する剛性パラメータ及び研削砥石14の回転速度に関する砥石回転パラメータを入力データとして取得する。
データ取得部54は、取得ステップを実行して、剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを取得する。データ取得部54が取得する剛性パラメータは、研削砥石支持部66の剛性に関連する操業パラメータであればよい。研削砥石支持部66の剛性に関連する操業パラメータとは、例えば、圧延ロール12の回転中心と研削砥石14の回転中心との距離及び圧延ロール12の直径と研削砥石14の直径の合計値の少なくとも1つである。また、データ取得部54が取得する砥石回転パラメータは、研削砥石14の回転速度に関連する操業パラメータであればよい。研削砥石14の回転速度に関連する操業パラメータとは、例えば、研削砥石14の回転数、回転周波数および回転角速度の少なくとも1つであり、これらの値として研削砥石14を駆動する砥石回転モータ30の回転数、回転周波数および回転角速度の値を用いてよい。これらのパラメータは、研削砥石と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応したロール研削機10の異常振動の発生に影響を及ぼす。したがって、これらデータを入力データに含めることで、異常振動予測モデル64は、当該固有振動数に対応した異常振動情報が出力される異常振動予測モデルになる。
データ取得部54は、これら入力データを制御用計算装置40から取得してもよく、オペレータによる入力部48への入力操作によって取得してもよい。データ取得部54は、これら入力データを異常振動予測部56に出力する。
データ取得部54は、取得ステップを実行して、研削砥石14に作用する負荷に関する負荷パラメータを入力データとしてさらに取得することが好ましい。データ取得部54が取得する負荷パラメータは、研削砥石14と圧延ロール12との接触部に作用する負荷に関係する操業パラメータであればよく、例えば、砥石負荷電流値、研削工程の砥石切込み量の少なくとも1つである。上述したように、負荷パラメータは異常振動の発生に影響を及ぼすことから、剛性パラメータ、砥石回転パラメータ及び負荷パラメータを入力データに含めることで、異常振動の発生の予測精度が向上する。
また、データ取得部54は、剛性パラメータの実績データ、砥石回転パラメータの実績データ及び異常振動情報の実績データを1組とするデータセットを取得して、記憶部52のデータベース62に格納する。データ取得部54は、制御用計算装置40に保存されているこれら実績データのデータセットを取得してよく、また、オペレータによる入力部48への入力操作によって実績データのデータセットを取得してもよい。また、データ取得部54は、個々の実績データを取得してもよく、この場合には個々の実績データを一旦記憶しておき、対応する他の実績データを取得して1組のデータセットが揃った後に、データベース62に格納するとしてもよい。
データベース62には、100個以上のデータセットが蓄積されることが好ましい。データベース62には200個以上のデータセットが蓄積されることがより好ましく、500個以上のデータセットが蓄積されることがさらに好ましい。データ取得部54は、データベース62に蓄積されたデータセットを所定の条件にてスクリーニングしてもよい。また、データベース62に格納されるデータセット数に上限値を設け、データ取得部54は、その上限値を超えるデータセットを格納する際に最も古いデータセットを削除してデータベース62に格納されるデータセットを更新してもよい。
異常振動予測部56は、データ取得部54から入力データを取得すると、予測ステップを実行し、異常振動予測モデルを用いて、圧延ロール12の研削工程における異常振動を予測する。異常振動予測モデルは、例えば、剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを含む入力データを入力すると、圧延ロール12の研削工程における異常振動情報を出力する学習済の機械学習モデルである。異常振動情報とは、圧延ロール12の研削工程における異常振動に関連する情報であり、例えば、研削工程における異常振動の発生の有無を示す情報であってもよく、研削工程で生じる振動の振動強度を示す情報であってもよい。異常振動情報が、振動強度を示す情報である場合、予め、記憶部52には、異常振動となる振動強度の閾値が定められて格納されており、異常振動予測部56は、当該閾値を記憶部52から読み出し、出力された振動強度を示す情報と比較することで圧延ロール12の研削工程における異常振動の発生を予測する。
機械学習モデルとしては、ニューラルネットワーク(深層学習や畳み込みニューラルネットワーク等を含む)のほか、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を用いてよい。また、複数のモデルを組み合わせたアンサンブルモデルを用いてもよく、k-近傍法やロジスティック回帰のような分類モデルを用いてもよい。
図12は、異常振動予測モデルとしてニューラルネットワークを用いた例を示す図である。図12におけるL1は入力層であり、L2は中間層であり、L3は出力層である。このような機械学習モデルを用いることで、多重共線性の問題を考慮せず、ロール研削機10の異常振動と相関関係を有するパラメータを入力として自由に選択できるので、ロール研削機10の異常振動の予測精度を高めることができる。例えば、中間層を2層、ノード数を3個ずつとしたニューラルネットワークを用いてよく、活性化関数としてシグモイド関数を用いてよい。
予測モデル生成部58は、データベース62に格納されたデータセットを用いて機械学習モデルを機械学習させて学習済の機械学習モデルを生成する。予測モデル生成部58は生成した学習済の機械学習モデルを異常振動予測モデルとして記憶部52に格納する。また、予測モデル生成部58は、データベース62に蓄積されたデータセットを学習データとテストデータとに分けて学習させることで、異常振動の推定精度を向上させてもよい。例えば、予測モデル生成部58は、学習データを用いて、ニューラルネットワークの重み係数の機械学習を行い、テストデータを用いてロール研削機10の異常振動予測の正解率が高くなるように、ニューラルネットワークの構造を適宜変更してもよい。変更するニューラルネットワークの構造とは、例えば、中間層の数やノード数である。これにより、ロール研削機10の異常振動の予測精度を高めることができる。
また、予測モデル生成部58は、誤差伝播法を用いて学習済の機械学習モデルの重み係数を更新してもよい。また、予測モデル生成部58は、生成した学習済の機械学習モデルを6ヵ月ごとにデータベース62に格納されたデータセットを用いて更新されてもよい。機械学習に用いるデータセット数が多いほど、精度の高いロール研削機10の異常振動の予測が可能になる。また、新しいデータセットを用いて機械学習することで、最近のロール研削機10の状態が反映された異常振動予測モデルにすることができ、さらに高い精度でロール研削機10の異常振動を予測できる。
異常振動予測部56は、剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを含む入力データを異常振動予測モデルに入力し、異常振動情報を出力させることで圧延ロール12の研削工程における異常振動の発生を予測する。異常振動予測部56は、圧延ロール12の研削工程における異常振動の発生を予測すると、その予測結果を出力部50に表示させる。オペレータはこの表示を視認することで、圧延ロール12の研削工程で異常振動が発生するか否かを確認できる。
ガイダンス情報取得部60は、ロール研削機10に異常振動が発生すると予測された場合、もしくは、オペレータによる入力部48への入力操作により、ガイダンス情報取得ステップを実行する指示が入力された場合に、ガイダンス情報取得ステップを実行する。ガイダンス情報取得部60は、異常振動予測モデルを用いて、ロール研削機10の異常振動が発生しない入力データを特定する。ロール研削機10に異常振動が発生すると予測された場合に、ガイダンス情報取得部60は、入力データの組み合わせを示すテーブルを記憶部52から読み出す。ガイダンス情報取得部60は、テーブルに従って入力データを異常振動予測モデルに入力して異常振動情報を出力させる。
ガイダンス情報取得部60は、異常振動が発生しない異常振動情報が出力された入力データの組み合わせを特定する。ガイダンス情報取得部60は、特定した入力データの組み合わせを出力部50に表示させる。オペレータは、この表示を視認することでロール研削工程において異常振動が発生しない剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを確認できる。
このように、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、まず、取得ステップを実行して、データ取得部54が剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを含む入力データを取得する。その後、予測ステップを実行して、異常振動予測部56が剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを含む入力データを異常振動予測モデルに入力して、圧延ロール12の研削工程における異常振動情報を出力させる。これにより、圧延ロール12の研削工程における異常振動情報の発生が予測できる。
なお、図11に示した例においては、異常振動予測装置44が予測モデル生成部58を有する例を用いて説明したが、異常振動予測装置44は予測モデル生成部58を有さなくてもよい。異常振動予測装置44が予測モデル生成部58を有さない場合には、入力部48を通じて外部から異常振動予測モデルを記憶部52に格納すればよい。また、異常振動予測装置44がガイダンス情報取得部60を有する例を用いて説明したが、異常振動予測装置44はガイダンス情報取得部60を有さなくてもよい。但し、ガイダンス情報取得部60を有することで、異常振動が発生しない剛性パラメータ及び砥石回転パラメータを特定でき、当該パラメータから異常振動が発生しない研削条件を設定できる。このため、異常振動予測装置44はガイダンス情報取得部60を有することが好ましい。
また、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法では、異常振動予測モデルとして学習済の機械学習モデルを用いる例で説明したが、異常振動予測モデルとして重回帰モデルを用いてもよい。この場合、機械学習モデルにおける入力が説明変数となり、機械学習モデルにおける出力が目的変数となる。重回帰モデルを用いた場合においても、データベース62に格納されているデータセットを用いて、重回帰モデルの各パラメータが予め求められ、記憶部52に格納される。さらに、異常振動予測装置44は、制御用計算装置40又は制御用コントローラ42と単一のコンピュータで構成されてもよく、制御用計算装置40、制御用コントローラ42及び異常振動予測装置44が単一のコンピュータで構成されてもよい。
以上、本発明の第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法及び本発明の第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法を用いることで、圧延ロール12の研削工程における異常振動の発生を予測できることを説明した。このロール研削機の異常振動予測方法を用いることで、ロール研削時の異常振動の発生を抑制できる圧延ロール12の研削方法が実現できる。この圧延ロール12の研削方法は、ロール研削機の異常振動予測方法の実施によりロール研削機10の異常振動が予測された場合に、ロール研削機10の研削条件を異常振動が発生しないと予測される研削条件に変更して、圧延ロール12の外周面を研削する圧延ロール12の研削方法である。
例えば、第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法で圧延ロール12の研削工程で異常振動の発生が予測された場合に、図7に示した剛性パラメータに関する異常振動マップを参照して、圧延ロール12の研削条件が異常振動マップの危険領域に含まれないように研削条件を再設定すればよい。
また、第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法による異常振動の発生予測を圧延ロール12の研削工程を開始する前に行ってよい。この場合には、圧延ロール12の研削工程を開始する前に取得ステップを実行して、剛性パラメータの設定値と砥石回転パラメータの設定値を取得し、必要に応じて負荷パラメータの設定値を取得して予測ステップを実行する。これにより、ロール研削機10の異常振動の発生を圧延ロール12の研削工程を開始する前に予測でき、異常振動が発生しないと予測される適正な研削条件に設定できる。
さらに、異常振動の発生予測を圧延ロール12の研削工程を開始した後に行ってもよい。この場合には、圧延ロール12の研削工程を開始した後に取得ステップを実行して、剛性パラメータの実績値と砥石回転パラメータの実績値を取得し、必要に応じて負荷パラメータの実績値を取得して予測ステップを実行する。これにより、ロール研削機10の異常振動の発生を圧延ロール12の研削工程の途中で予測でき、異常振動が発生しないと予測される適正な研削条件に再設定できる。
適正な研削条件に再設定された圧延ロール12の研削方法で研削された圧延ロール12を圧延機に組み込んで金属帯の圧延を行うことが好ましい。ロール研削機10の異常振動が生じない条件で研削された圧延ロール12を組み込むことでチャタリングの発生を抑制しながら金属帯を圧延できるようになる。
また、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法で圧延ロール12の研削工程で異常振動の発生が予測された場合に、研削条件を変更して、再度、ロール研削機の異常振動予測方法で異常振動の発生を予測する。これを繰り返し実施し、異常振動が発生しないと予測される剛性パラメータ及び砥石回転パラメータに対応した研削条件に再設定すればよい。さらに、ガイダンス情報取得部60を有する場合には、ガイダンス情報取得部60によって特定される異常振動が発生しないと予測される剛性パラメータ及び砥石回転パラメータに対応した研削条件に再設定すればよい。このようにして圧延ロール12の研削条件を設定することで、研削砥石14と工作物を含む機械系全体の固有振動数に対応した異常振動の発生を抑制しながら圧延ロール12の研削を実施できる。
また、第2の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法による異常振動の発生予測を圧延ロール12の研削工程を開始する前に行ってよい。この場合には、圧延ロール12の研削工程を開始する前に取得ステップを実行して、剛性パラメータの設定値と砥石回転パラメータの設定値を取得し、必要に応じて負荷パラメータの設定値を取得して予測ステップを実行する。これにより、ロール研削機10の異常振動の発生を圧延ロール12の研削工程を開始する前に予測でき、異常振動が発生しないと予測される適正な研削条件に設定できる。
さらに、異常振動の発生予測を圧延ロール12の研削工程を開始した後に行ってもよい。この場合には、圧延ロール12の研削工程を開始した後に取得ステップを実行して、剛性パラメータの実績値と砥石回転パラメータの実績値を取得し、必要に応じて負荷パラメータの実績値を取得して予測ステップを実行する。これにより、ロール研削機10の異常振動の発生を圧延ロール12の研削工程の途中で予測でき、異常振動が発生しないと予測される適正な研削条件に再設定できる。
適正な研削条件に再設定された圧延ロール12の研削方法で研削された圧延ロール12を圧延機に組み込んで金属帯の圧延を行うことが好ましい。ロール研削機10の異常振動が生じない条件で研削された圧延ロール12を組み込むことでチャタリングの発生を抑制しながら金属帯を圧延できるようになる。
[実施例1]
次に、冷間タンデム圧延機に用いる圧延ロールについて、第1の実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法を用いて異常振動の発生を予測しながら圧延ロールを研削した実施例1を説明する。本実施例では、ロール研削機に設置した振動計を用いて、各種の研削条件でロール研削機の振動データを取得して図7に示した異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を作成し、圧延ロールの異常振動が発生する砥石回転数の範囲とロール研削機の剛性パラメータとの関係を特定した。その際の異常振動の閾値を10-1m/sとした。図7に示した剛性パラメータに関する異常振動マップを、負荷パラメータである砥石負荷電流値ごとに作成した。この剛性パラメータに関する異常振動マップを用いて、ロール研削機の異常振動の発生を予測した。ロール研削に用いた研削砥石は円筒型のアルミナ系砥石である。研削砥石の現砥石径は635mmであった。工作物である圧延ロールの直径は1370mmであった。
ロール研削工程のトラバースとして粗研削を選択し、研削条件として負荷電流値を120Aとし、砥石回転数を750rpmとし、圧延ロールの回転数を10rpmとし、トラバース速度を2mm/passとした。しかしながら、予め作成した剛性パラメータに関する異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を参照すると、砥石回転数Nの3倍の振動強度が大きくなり、ロール研削機の異常振動の発生が予測された。そこで、砥石回転数を630rpmに変更し、ロール研削機の異常振動が発生しない研削条件に再設定して圧延ロールを研削した。そして、再設定した研削条件により研削した圧延ロールを冷間タンデム圧延機に用いて鋼帯の圧延を行ったところ、チャタリングが発生することなく鋼帯を圧延できた。
実施例の効果を確認するため、上記の研削条件の下、砥石回転数を630rpmに変更した条件と、砥石回転数を750rpmのままにした条件とで圧延ロールを研削し、各研削工程の振動強度を測定した。
図13は、振動強度の測定結果を周波数スペクトルとして示すグラフである。図13において、横軸は振動数(Hz)であり、縦軸は振動強度(m/sec)である。図13中の実線が砥石回転数630rpmの振動強度を示し、破線が750rpmの振動強度を示す。
異常振動マップを用いた異常振動の予測通り、異常振動の発生が予測された砥石回転数750rpmの研削工程では閾値(0.1m/s)を超える異常振動が発生した。これに対し、異常振動が予測されなかった砥石回転数630rpmの研削工程では、閾値を超える大きな異常振動は発生しなかった。この結果から、本実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法の実施により異常振動が予測できることが確認された。また、このような異常振動が予測された場合に、異常振動マップを用いて、研削条件を異常振動が発生しない研削条件に変更することで、ロール研削機の異常振動を抑制できることが確認された。
[実施例2]
次に、上記の実施例1と同様の方法により作成した異常振動マップを用いて、ロール研削機の異常振動を予測した実施例2を説明する。実施例2では、異常振動マップとして、剛性パラメータを4条件変更して剛性パラメータに関する異常振動マップ(離散型異常振動マップ)を作成した。さらに、剛性パラメータに関する異常振動マップを、負荷パラメータを5条件変更して、負荷パラメータごとに剛性パラメータに関する異常振動マップ(離散型異常振動マップ)を作成した。そして、X軸に圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値をとり、Y軸に負荷パラメータをとって、異常振動が発生する砥石回転数の上限値及び下限値のそれぞれを連続的な曲面で結んだ3次元の異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を生成した。
実施例2の異常振動マップは、剛性パラメータとして、圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値を用いた。圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値は、1800~2500mmの範囲で変更して剛性パラメータに関する異常振動マップを作成した。負荷パラメータには砥石負荷電流値を用いた。砥石負荷電流値は、100~140Aの範囲で変更し、負荷パラメータごとに剛性パラメータに関する異常振動マップを作成し、これを用いて3次元の異常振動マップ(連続型異常振動マップ)を生成した。
実施例2では、このようにして作成した3次元の異常振動マップを用いて、ロール研削機の異常振動を予測した。ロール研削には円筒型のアルミナ系の研削砥石を用いた。研削砥石の現砥石径は640mmであった。圧延ロールの直径は1302mmであった。
ロール研削工程のトラバースとして粗研削を選択した。ロール研削条件として、砥石回転数を730rpmとし、圧延ロールの回転数を10rpmとし、トラバース速度を2mm/passとした。上記のようにして作成した3次元の異常振動マップを参照すると、砥石負荷電流値を140Aにすると異常振動が発生することが予測された。一方、同一の剛性パラメータの値に対して、砥石負荷電流値を100Aにすれば異常振動が発生しないことが予測された。そこで、砥石負荷電流値を100A、140Aに設定して、2つの条件でロール研削を行い、振動計32によって測定した振動強度を測定した。
図14は、振動強度の測定結果を示すグラフである。図14において、横軸は振動数(Hz)であり、縦軸は振動強度(m/sec)である。図14中の実線が砥石負荷電流値100Aの振動強度を示し、破線が140Aの振動強度を示す。
3次元の異常振動マップを用いた異常振動の予測通り、異常振動の発生が予測された砥石負荷電流値140Aでは振動強度が閾値(0.1m/s)を超える異常振動が発生した。これに対し、異常振動が予測されなかった砥石負荷電流値100Aの条件でのロール研削では、閾値を超える大きな異常振動は発生しなかった。この結果から、本実施形態に係るロール研削機の異常振動予測方法の実施により異常振動が予測できることが確認された。また、このような異常振動が予測された場合に、異常振動マップを用いて、研削条件を異常振動が発生しない研削条件に変更することで、ロール研削機の異常振動を抑制できることが確認された。
[実施例3]
次に、ロール研削機の剛性パラメータ、研削砥石の砥石回転パラメータ及び研削砥石に作用する負荷パラメータを入力とし、圧延ロールの研削工程における異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測した実施例3を説明する。実施例3では、予め種々の研削条件によりロール研削が行われた際の実績データを学習用データとして取得した。実績データとして取得した学習用データは、以下の通りである。
ロール研削機の剛性パラメータ:圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値
研削砥石の砥石回転パラメータ:砥石回転数
研削砥石に作用する負荷パラメータ:砥石負荷電流値
それぞれの研削条件において、振動強度が閾値(0.1m/s)を超えた場合をNGとし、振動強度が閾値以下であった場合をOKとして、異常振動情報の実績値を取得した。収集した学習用データの研削条件の範囲は、圧延ロールの直径と研削砥石の直径の合計値が1800~2500mmの範囲内であり、砥石回転数が8.5~13・5rpmの範囲内であり、砥石負荷電流値は100~140Aの範囲内である。
異常振動予測モデルは、これら剛性パラメータ、砥石回転パラメータ及び負荷パラメータの入力実績データと、異常振動の発生有無(OKまたはNG)の出力実績データとを1組とするデータセットを用いて、機械学習モデルを機械学習することで生成した。使用した機械学習モデルは、ニューラルネットワークであり、その中間層は2層、ノードは3つずつとして、活性化関数にシグモイド関数を用いた。
実施例3では、このようにして生成した異常振動予測モデルを用いて、新たに行う圧延ロールの研削における異常振動の発生を予測した。研削を行った圧延ロールの数は10本である。また、実施例3では、圧延ロールの粗研削工程において、異常振動予測モデルにより異常振動が発生すると予測された場合には、ロール研削機の研削条件をガイダンス情報取得部によって特定された異常振動が発生しないと予測される研削条件に変更して、圧延ロールの研削を行った。その結果、研削を行った圧延ロールを、冷間圧延機に組み込んで鋼板を圧延したところ、圧延中にチャタリングが発生したケースはなかった。これに対して、異常振動予測モデルにより異常振動が発生すると予測された場合であってもロール研削機の研削条件を変更せずに研削を行った圧延ロール用いて鋼板を圧延したところ、60%の発生率でチャタリングが発生した。
10 ロール研削機
12 圧延ロール
14 研削砥石
16 研削ヘッド
18 支持テーブル
20 ロールチャック
22 ロール回転モータ
24 芯押し台
26 ガイド
28 ガイド
30 砥石回転モータ
32 振動計
40 制御用計算装置
42 制御用コントローラ
44 異常振動予測装置
46 制御部
48 入力部
50 出力部
52 記憶部
54 データ取得部
56 異常振動予測部
58 予測モデル生成部
60 ガイダンス情報取得部
62 データベース
64 異常振動予測モデル
66 研削砥石支持部
68 ロール支持台
70 ロール研削機
80 ロール研削機
100 ロール研削設備
110 ロール研削設備

Claims (15)

  1. 回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測方法であって、
    前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータと、前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータと、を取得する取得ステップと、
    前記剛性パラメータ及び前記砥石回転パラメータを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する予測ステップと、
    を含む、ロール研削機の異常振動予測方法。
  2. 前記剛性パラメータは、前記圧延ロールの回転中心と前記研削砥石の回転中心との距離又は前記圧延ロールの直径と前記研削砥石の直径の合計値を含む、請求項1に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  3. 前記取得ステップでは、前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータをさらに取得し、
    前記予測ステップでは、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記負荷パラメータを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する、請求項1に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  4. 前記負荷パラメータは、前記研削砥石を回転させる電動機の負荷電流値を含む、請求項3に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  5. 回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測方法であって、
    前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータ及び前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータを含む入力データを取得する取得ステップと、
    前記入力データを入力とし、前記圧延ロールの研削工程における異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、前記圧延ロールの研削工程における異常振動の発生を予測する予測ステップと、
    を含む、ロール研削機の異常振動予測方法。
  6. 前記剛性パラメータは、前記圧延ロールの回転中心と前記研削砥石の回転中心との距離又は前記圧延ロールの直径と前記研削砥石の直径の合計値を含む、請求項5に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  7. 前記取得ステップでは、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータを含む入力データを取得する、請求項5に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  8. 前記負荷パラメータは、前記研削砥石を回転させる電動機の負荷電流値を含む、請求項7に記載のロール研削機の異常振動予測方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のロール研削機の異常振動予測方法を用いる圧延ロールの研削方法であって、
    前記予測ステップにより前記異常振動が発生すると予測された場合に、前記ロール研削機の研削条件を前記異常振動が発生しないと予測される研削条件に変更する、圧延ロールの研削方法。
  10. 請求項9に記載の圧延ロールの研削方法を用いて研削された圧延ロールを圧延機に組み込んで金属帯の圧延を行う、金属帯の圧延方法。
  11. 回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機の異常振動予測装置であって、
    前記ロール研削機の剛性に関する剛性パラメータ及び前記研削砥石の回転速度に関する砥石回転パラメータを含む入力データを取得するデータ取得部と、
    前記入力データを入力とし、異常振動情報を出力とする異常振動予測モデルを用いて、前記ロール研削機の異常振動の発生を予測する異常振動予測部と、
    を有する、ロール研削機の異常振動予測装置。
  12. 前記データ取得部は、前記剛性パラメータ、前記砥石回転パラメータ及び前記研削砥石に作用する負荷に関する負荷パラメータを含む入力データを取得する、請求項11に記載のロール研削機の異常振動予測装置。
  13. 前記異常振動予測モデルを用いて前記異常振動が発生しない前記入力データを特定するガイダンス情報取得部をさらに有する、請求項11又は請求項12に記載のロール研削機の異常振動予測装置。
  14. 回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機と、
    請求項11又は請求項12に記載のロール研削機の異常振動予測装置と、
    を備える、ロール研削設備。
  15. 回転する圧延ロールの外周面を研削砥石で研削するロール研削機と、
    請求項13に記載のロール研削機の異常振動予測装置と、
    を備える、ロール研削設備。
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