JP7331839B2 - 13-ヒドロキシ-9(z)-オクタデセン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕下記(A)~(C)からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成することを含む、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法:
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質。
〔2〕前記タンパク質が、下記:
(A’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;または
(C’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質
である、〔1〕の方法。
〔3〕前記同一性が95%以上である、〔1〕または〔2〕の方法。
〔4〕前記タンパク質が、ラクトバチルス・ガリナラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、Pediococcus claussenii)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、〔1〕の方法。
〔5〕前記タンパク質が、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、〔4〕の方法。
〔6〕前記形質転換微生物が、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位を含む微生物である、〔1〕~〔5〕のいずれかの方法。
〔7〕前記形質転換微生物が、エシェリヒア属細菌である、〔1〕~〔6〕のいずれかの方法。
〔8〕前記形質転換微生物が、エシェリヒア・コリである、〔7〕の方法。
〔9〕δ-デカラクトンの製造方法であって、
(i)下記(A)~(C)からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること:
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
および
(ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること
を含む方法。
〔10〕(ii)が、β酸化活性を有する微生物の存在下において行われる、〔9〕の方法。
〔11〕前記β酸化活性を有する微生物が、アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物である、〔10〕の方法。
〔12〕前記β酸化活性を有する微生物が、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)である、〔11〕の方法。
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質。
目的のタンパク質を発現する形質転換微生物(例、目的のタンパク質をコードする塩基配列を含むDNAがpET-22b(+)に組み込まれたベクターで形質転換されたエシェリヒア・コリ〔Escherichia coli〕BLR(DE3)株)を、前培養(例、3mL SOC培地で37℃、16~24時間)および本培養(例、0.5mLの前培養液を50mL SOC培地で37℃、2時間)により培養し;
培養物に、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して培養(例、16℃、22~24時間)し;
遠心分離により所定量(例、4mL)の得られた培養液から菌体を回収し、および菌体を洗浄(例、0.8M NaClで2回)し;
菌体を、所定量(例、1mL)のリノール酸含有変換反応液(例、Citrate/phosphate buffer(pH6.0)100mL、Tween20終濃度0.25wt%、リノール酸 終濃度50g/L)に懸濁し;
変換反応液を、所定の条件(37℃、120rpmの振盪、5時間)で反応させ;
所定量(例、0.2mL)の変換反応液を有機溶媒(例、酢酸エチル0.6mL)で抽出し;
所定量(例、30μL)の有機溶媒層に誘導体化試薬(例、BSA+TMCS 5:1)60μLを加えて、室温にて2時間静置して脂肪酸類をシリル化させ、GC-MS分析によりシリル化リノール酸およびシリル化13-HODのピークを測定してリノレート13-ヒドラターゼ活性を評価する。
(a)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列を含むポリヌクレオチド;
(b)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;ならびに
(d)(a)~(c)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドの縮重変異体。
i)Argをコードする4種のコドン(AGG、AGA、CGG、およびCGA)からなる群より選ばれる少なくとも1種のコドンの、Argをコードする別のコドン(CGU、またはCGC)への変更;
ii)Glyをコードする1種のコドン(GGA)の、別のコドン(GGG、GGU、またはGGC)への変更;
iii)Ileをコードする1種のコドン(AUA)の、別のコドン(AUU、またはAUC)への変更;
iv)Leuをコードする1種のコドン(CUA)の、別のコドン(UUG、UUA、CUG、CUU、またはCUC)への変更;ならびに
v)Proをコードする1種のコドン(CCC)の、別のコドン(CCG、CCA、またはCCU)への変更。
縮重変異体がRNAの場合、上記のとおりヌクレオチド残基「U」が利用されるべきであるが、縮重変異体がDNAの場合、ヌクレオチド残基「U」の代わりに「T」が利用されるべきである。宿主細胞のコドン使用頻度に適合させるためのヌクレオチド残基の変異数は、変異前後で同一のタンパク質をコードする限り特に限定されないが、例えば、1~400個、1~300個、1~200個、または1~100個である。
(i)Lactobacillus acidophilus由来リノレート13-ヒドラターゼ(配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質)を産生する形質転換微生物に比し向上したリノレート13-ヒドラターゼ活性を有する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること;および
(ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること。
<Linoleate 13-hydrataseをコードする遺伝子の探索>
リノール酸のΔ12位の二重結合を水和しC13位に水酸基を導入する酵素として、Linoleate 13-hydratase(以下13-LAHと略称する)が知られている(米国特許出願公開US20040197882A1)。同酵素はLactobacillus acidophilusより単離され、リノール酸を基質に13-hydroxy-cis-9-octadecenoic acid(以下13-HODと略称する)を生成することが報告されている(韓国特許出願公開KR1020150098497A、Park et al.,J Biotechnol.,2015,208:1-10)。L.acidophilus由来13-LAH(以下Laci13-LAHと略称)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。Laci13-LAHよりも高活性な13-LAHを新たに単離する為に、データベースを利用した同一性検索を実施した。L.acidophilus 13-LAHのアミノ酸配列を基にblastp(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を利用して相同検索を行った。その結果、同酵素と70%以上の同一性を示した13種類の候補タンパク質を抽出した。表2に抽出された候補タンパク質の一覧を示す。
コドン使用頻度をE.coliに至適化された配列番号15~28で示す塩基配列をGenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用して、遺伝子合成を実施した。合成された各遺伝子は同社にてpET-9a(Novagen(Merck Millipore)製、製品番号69431-3)にクローニングされ、各種13-LAH遺伝子が導入されたプラスミド、pET-9a-Laci_13-LAH、pET-9a-Lamy_13-LAH、pET-9a-Lhel_13-LAH、pET-9a-Lgal_13-LAH、pET-9a-Lcri_13-LAH、pET-9a-Lkef_13-LAH、pET-9a-Lint_13-LAH、pET-9a-Lham_13-LAH、pET-9a-Lgas_13-LAH、pET-9a-Pcla_13-LAH、pET-9a-Lrum_13-LAH、pET-9a-Sinf_13-LAH、pET-9a-Smut_13-LAH、pET-9a-Sequ_13-LAHを取得した。各遺伝子の略称名は表2を参照。
各種13-LAHの遺伝子を発現する為のプラスミドpET-22b(+)KmRは、以下の手順で構築した。初めにpET-22b(+)(Novagen(Merck Millipore)社製、製品番号69744-3CN)の薬剤マーカーをアンピシリン耐性からカナマイシン耐性に変更した。λattL-KmR-λattR(国際公開第2008/090770号)を含むゲノムDNAを鋳型としてプライマーKm-pET-F(配列番号29)とKm-pET-R(配列番号30)を用いPCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)DNA polymerase、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・120sec.、30cycles)にてλattL-KmR-λattRの遺伝子断片を増幅した。得られたPCR産物をWizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、カナマイシン耐性遺伝子のDNA断片を取得した。続けて、pET-22b(+)を鋳型としてプライマーpET22-Km-invF(配列番号31)とpET22-Km-invR(配列番号32)を用いて、アンピシリン耐性遺伝子を除くプラスミドの全長領域をPCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)DNA polymerase、98℃・10sec.、54℃・15sec.、68℃・240sec.、40cycles)にて増幅した。得られたPCR産物を、前記と同様にWizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、pET-22b(+)の遺伝子断片を取得した。カナマイシン耐性遺伝子とpET-22b(+)の遺伝子断片をIn-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地(10g/L NaCl、10g/L Bacto tryptone、5g/L Bacto yeast extract、Bacto agar 20g/L)に播種後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体を取得した。出現した形質転換体はKm-pET-F(配列番号29)とKm-pET-R(配列番号30)で示すプライマーの組み合わせでコロニーPCRを行い、pET-22b(+)の薬剤マーカーがアンピシリン耐性からカナマイシン耐性に変更したpET-22b(+)KmRを取得した。pET-22b(+)KmRの構築で使用したプライマーの配列を表3に示した。
pET-22b(+)KmRは制限酵素NdeIとEcoRIによって消化処理した後、アガロースゲル電気泳動を実施した。続けて、pET-22b(+)KmRのDNA断片をゲルより切り出し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)を用いて精製DNA断片を取得した。各種13-LAHの遺伝子断片は、表4に示したプライマーの組み合わせと鋳型となるプラスミドを用いて、PCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・120sec.、30cycles)を行い13-LAHの遺伝子断片を増幅した。例えば、Lactobacillus amylovorus由来13-LAH(Lamy_13-LAH)の遺伝子断片は、pET-9a-Lamy_13-LAHを鋳型DNAとして13LAH1234578_F(配列番号33)と13LAH138_R(配列番号34)で記したプライマーの組み合わせでPCRを実施した。PCRの反応に用いた鋳型DNAとプライマーの組み合わせを表4に示した。その後、得られた各PCR産物は、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、各13-LAH遺伝子の精製DNA断片を取得した。上記pET-22b(+)KmRのDNA断片と各13-LAH遺伝子の精製DNA断片をそれぞれ、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。その後、50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地に播種した後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体を取得した。出現した形質転換体はT7P-F(塩基配列:5’TAATACGACTCACTATAGGG3’、配列番号61)とT7T-R(塩基配列5’GCTAGTTATTGCTCAGCGG3’、配列番号62)で示すプライマーの組み合わせでコロニーPCRを行い、pET-22b(+)KmRに各種13-LAHが導入された発現プラスミドを取得した。
<各種13-LAHが発現したE.coli BLR(DE3)株の構築>
BLR(DE3)株(メルクミリポア製、製品番号69053)から、定法に従ってエレクトロコンピテントセルを調製し、各種pET-22b(+)KmR-XXXX_13-LAH(XXXXは略称名を意味する、表4参照)をエレクトロポレーション法にて導入した。得られた形質転換体を50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地に播種後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体BLR(DE3)/pET-22b(+)KmR-XXXX_13-LAH株を取得した。
上記で得られたBLR(DE3)/pET-22b(+)KmR-XXXX_13-LAH株を、SOC培地3mLを張り込んだ試験管に播種し、37℃、120rpmの条件で16~24時間、振盪培養し、前培養液Aを得た。SOC培地の組成と調製法を表5に示す。前培養液AはSOC培地50mLを張り込んだ500mL振とうフラスコに0.5mL播種し、37℃で2時間、120rpmの条件で振盪培養した。その後、培養温度を16℃に下げ、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mM添加する方法で13-LAHタンパク質の発現を誘導した。IPTG添加後、培養をさらに22~24時間実施し、得られた培養液4mLを遠心分離することで菌体を回収した。その後、該菌体を0.8M NaClにて2回洗浄したものを、変換反応に用いた。得られた菌体を変換反応液1mLに懸濁し、14mL Falcon tubeにて37℃、120rpmの条件で5時間、振盪した。変換反応液の組成と調製法を表6に示す。
反応液中の脂肪酸類の抽出は以下の手順で分析した。変換後の反応液0.2mLを1.5mLロック付きマイクロチューブに入れ、そこに酢酸エチル0.6mLを加えた後、ボルテックスにて10秒間混合した。この酢酸エチル溶液を15,000rpm、25℃、10分間の条件で遠心分離し、上層の酢酸エチル層を分析サンプルとして取得した。続けて、分析サンプル中の脂肪酸類をシリル化反応に供する為、分析サンプル30μLに誘導体化試薬(BSA+TMCS 5:1(SUPELCO製、製品番号33018))60μLを加え、室温にて2時間静置した。これをGC-MS分析に用いた。GC-MS分析の条件を以下に示した。
装置:Agilent 5975C MSD and 7890A GC、オートサンプラー:Gerstel MPS Autosampler
(GC)
注入量:1μL、注入法:スプリット20:1、注入口温度:230℃、カラム:Agilent DB-1ms,30m,0.25mm,0.25μm(部品番号122-0132)、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス圧力:9.954psi
(MS)
インターフェース温度:280℃、イオン源温度:230℃、四重極温度:150℃、イオン化モード:EI:(電子エネルギー:70eV)、チューニング:Etune、溶媒待ち時間:4分、測定モード:スキャン(20-500m/Z)
次にGC-FIDを利用して、生産された13-HODの定量解析を実施した。サンプルは前記と同様にシリル化反応を実施した後、GC-FIDに供した。以下にGC-FIDの分析条件と定量解析の結果を表7に示す。
装置:島津GC-2010Plus/FID、カラム:Agilent DB-1ms,30m,0.25mm,0.25μm(部品番号122-0132)、注入量:1μL、注入法:スプリット20:1、注入口:230℃、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス:ヘリウム、線速度35cm/s、検出器:温度250℃、取り込み周期25Hz、メークアップ流量(Air)30mL/min。標品はリノール酸のC12位にヒドロキシル基が導入されたリシノール酸(東京化成工業社製、製品番号R0027)をサンプルと同様にシリル化した物を利用した。
<Yarrowia lipolyticaW29ΔURA3株構築用のプラスミドpUC-ΔPDH1::URA3の構築>
次に本検討で得られた13-HODを利用してδ-デカラクトンへの変換を試みた。Y.lipolytica CLIB122株のゲノム配列は公開されている(GCF_000002525.2)。ゲノム配列情報を基にURA3遺伝子を増幅する為のプライマーIF-ura3_f1(配列番号63)とIF-ura3_r1(配列番号64)を設計した。Y.lypolytica W29(CBS7504)株のゲノムDNAを鋳型にプライマーIF-ura3_f1とIF-ura3_r1でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行いURA3遺伝子のORF領域を含む遺伝子断片を得た。同様に、該菌株のゲノムDNAを鋳型にプライマーIF-Dpdh1_f1(配列番号65)とIF-Dpdh1_r1(配列番号66)の組み合わせと、プライマーIF-Dpdh1_f2(配列番号67)とIF-Dpdh1_r2(配列番号68)の組み合わせでそれぞれPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行い、PDH1遺伝子の上流領域(約1kb)とPDH1遺伝子の下流領域(約1kb)のそれぞれのDNA断片を得た。さらに、pUC18(TAKARA製、製品番号3218)のプラスミドDNAを鋳型にプライマーR-M13-M4(配列番号69)とR-M13-RV(配列番号70)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・240sec.、35cycles)を行いプラスミドのDNA断片を得た。上記で得られた4つのDNA断片を混合し、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。形質転換体を含む培養液を100mg/Lカルベニシリン二ナトリウム(ナカライテスク製、製品番号07129-14)を含むLB寒天培地に塗布し、得られた形質転換体に対してプライマーM13_M4(配列番号71)とM13-RV(配列番号72)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行うことでプラスミドへの目的遺伝子断片の挿入を確認し、得られたプラスミドをpUC-ΔPDH1::URA3と命名した。pUC-ΔPDH1::URA3の構築に使用したプライマーの配列を表8に示した。
次に、pUC-ΔPDH1::URA3のプラスミドDNAを鋳型にプライマーHR-Dpdh1_f1(配列番号73)とHR-Dpdh1_r1(配列番号74)とでPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・360sec.、35cycles)を行った。得られたPCR産物中の鋳型DNAを除くために、制限酵素DpnIで消化し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、得られたDNA断片を形質転換に用いた。続けて、Y.lipolyticaW29株のコンピテントセルを以下の手順に従って調製した。W29株を3mLのYPD培地(10g/L Bacto yeast extract、20g/L Polypeptone、20g/L Glucose)を用いて30℃で一晩培養した後、培養液30μLを新しい3mL YPD培地に再度接種し、吸光度(660nm)が0.8付近になるまで培養を行った。得られた培養液から菌体を遠心操作にて回収し、コンピテントセルの調製後、約2μgのpUC-ΔPDH1::URA3と混合し形質転換を実施した。なお、コンピテントセルの調製および形質転換はFrozen-EZ Yeast Transformation II Kit(ZYMO Research社、製品番号T2001)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。形質転換後の菌体溶液は、YPD培地にて30℃で一晩回復培養を行った後、菌体を回収し、SC+5-FOA寒天培地(22.2g/L Glucose、6.7g/L Yeast nitrogen base、1.5g/L 5-FOA、20g/L Bacto agar)に塗布し、5-FOA耐性株を得た。得られた耐性株のウラシル要求性をSC寒天培地およびSC(-ura)寒天培地(22.2g/L Glucose、6.7g/L Yeast nitrogen base without amino acid、0.77g/L -Ura DO supplement、20g/L Bacto agar)で確認した。このウラシル要求性を示した株に対してプライマーCP-Dura3_f1(配列番号75)とCP-Dura3_r1(配列番号76)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、72℃・30sec.、35cycles)でURA3遺伝子の欠損を確認した。このようにして得られたウラシル要求性の株をW29ΔURA3株とした。W29ΔURA3株の構築に使用したプライマーの配列を表8に示した。
δ-デカラクトンの生産能を上げる目的で、Acyl-CoA oxidase遺伝子の破壊を行った。Y.lipolyticaにはAcyl-CoA oxidaseをコードする遺伝子が6個存在する。その中でも、短鎖脂肪酸に対して高い基質親和性を示すAcyl-CoA oxidase 3(以下AOX3と略称する)を欠失することで、γ-デカラクトンの生産量が上がることが報告されている(非特許文献Wache et al.,Appl.Environ.Microbiol.,2000,66:1233-1236)。そこで、Y.lipolytica W29ΔURA3株から染色体上にコードされたAOX3遺伝子(YALI0D24750g)の破壊を実施した。AOX3の遺伝子配列を配列番号77、アミノ酸配列を配列番号78に示す。まず、同遺伝子を破壊する為のプラスミド、pUC57-AOX3-HygRを以下の手順に従って構築した。GenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用し、Y.lipolytica由来URA3遺伝子の両端にAOX3遺伝子の前後1000bpの相同領域を持つ遺伝子断片をpUC57にクローニングしたプラスミド、pUC57-AOX3-URA3を化学合成した。pUC57-AOX3-URA3の塩基配列を配列番号79に示す。次に、同プラスミドのURA3遺伝子をハイグロマイシン耐性遺伝子に置換した。前記と同様にGenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用し、Saccharomyces cerevisiae由来TEF1プロモーター下流にHygromycin B phosphotransferase(以下HygRと略称する)が連結した遺伝子断片をpUC57にクローニングしたプラスミド、pUC57-TEF-HygRを化学合成した。pUC57-TEF-HygRの塩基配列を配列番号80に示す。pUC57-AOX3-URA3を鋳型にプライマーAOX3_insert_F(配列番号81)とAOX3_insert_R(配列番号82)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、68℃・300sec.、35cycles)を行いプラスミドのDNA断片を得た。同様にpUC57-TEF-HygRを鋳型にプライマーAOX3_backbone_F(配列番号83)とAOX3_backbone_R(配列番号84)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、68℃・300sec.、35cycles)を行いTEFプロモーターとハイグロマイシン耐性遺伝子が連結したDNA断片を得た。上記、2つのDNA断片は、アガロースゲル電気泳動後、該当のバンドをゲルより切り出し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-up system(Promega)を用い精製した。得られた2つの精製DNA断片を混合し、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。形質転換体を含む培養液を100mg/Lカルベニシリン二ナトリウム(ナカライテスク製、製品番号07129-14)を含むLB寒天培地に塗布し、得られた形質転換体に対してプライマーpUC57_F(配列番号85)とpUC57_R(配列番号86)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、72℃・30sec.、35cycles)を行うことでプラスミドへの目的遺伝子断片の挿入を確認し、得られたプラスミドをpUC57-AOX3-HygRと命名した。pUC57-AOX3-HygRの塩基配列を配列番号87に示す。pUC57-AOX3-HygRの構築に使用したプライマーの配列を表9に示した。
次に、pUC57-AOX3-HygRのプラスミドDNAを鋳型にプライマーAOX3_del_F(配列番号88)とAOX3_del_R(配列番号89)とでPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、72℃・240sec.、40cycles)を行った。得られたPCR産物中の鋳型DNAを除くために、制限酵素DpnIで消化し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、得られたDNA断片を形質転換に用いた。続けて、Y.lipolytica W29ΔURA3株(以下、W29ΔURA3株と略称)のコンピテントセルを以下の手順に従って調製した。W29ΔURA3株を3mLのYPD培地(10g/L Bacto yeast extract、20g/L Polypeptone、20g/L Glucose)を用いて30℃で一晩培養した後、培養液30μLを新しい3mL YPD培地に再度接種し、吸光度(660nm)が0.8付近になるまで培養を行った。得られた培養液から菌体を遠心操作にて回収し、コンピテントセルの調製後、約1μgの精製したDNA断片と混合し形質転換を実施した。なお、コンピテントセルの調製および形質転換はFrozen-EZ Yeast Transfomation II Kit(ZYMO Research社、製品番号T2001)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。形質転換後の菌体溶液は、YPD培地にて30℃で一晩回復培養を行った後、菌体を回収し、300mg/LハイグロマイシンB(ナカライテスク製、製品番号07296-24)を含むYPD寒天培地に塗布し、30℃で2日間培養した。得られた形質転換体に対して、プライマーAOX3_check_F(配列番号90)とAOX3_check_R(配列番号91)を用いてコロニーPCR(KOD FX(登録商標)Neo DNA Polymerase、98℃・10sec.、55℃・30sec.、68℃・120sec.、40cycles)を行い、AOX3遺伝子の破壊を確認した。W29ΔURA3ΔAOX3株の構築に使用したプライマーの配列を表10に示した。
上記で得られたW29ΔURA3ΔAOX3株を、YPD培地10mLを張り込んだ試験管に播種し、30℃で20時間、振盪培養し、前培養液Bを得た。前培養液B 7.5mLを、誘導培地50mLを張り込んだ500mLフラスコに接種し、30℃で20時間、120rpmの条件で振盪培養した。誘導培地の組成と調製法を表11に示す。得られた培養液を遠心分離(1000G、5分、4℃)することで菌体を回収した。その後、菌体をリン酸緩衝液(137mM NaCl、8.1mM Na2HPO4、2.68mM KCl、1.47mM KH2PO4)にて2回洗浄したものを、変換反応に用いた。
装置:GC―2010Plus(島津製作所)、カラム:DB-1ms、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm(部品番号122-0132)、注入量:5μL、注入法:スプリット20:1、注入口:230℃、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで180℃まで昇温、その後50℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス:ヘリウム、カラム流量:2.0mL・min、検出器:温度250℃、取り込み周期25Hz、メークアップ流量(Air)30mL・min
配列番号2は、Lactobacillus amylovorus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、Lactobacillus helveticus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、Lactobacillus gallinarum由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号5は、Lactobacillus crispatus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号6は、Lactobacillus kefiranofaciens由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、Lactobacillus intestinalis由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号8は、Lactobacillus hamsteri由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号9は、Lactobacillus gasseri由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号10は、Pediococcus claussenii由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号11は、Lactobacillus ruminis由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号12は、Streptococcus infantarius由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号13は、Streptococcus mutans由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号14は、Streptococcus equinus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号15は、化学合成したLactobacillus acidophilus由来13-LAH遺伝子(Laci_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号16は、化学合成したLactobacillus amylovorus由来13-LAH遺伝子(Lamy_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号17は、化学合成したLactobacillus helveticus由来13-LAH遺伝子(Lhel_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号18は、化学合成したLactobacillus gallinarum由来13-LAH遺伝子(Lgal_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号19は、化学合成したLactobacillus crispatus由来13-LAH遺伝子(Lcri_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号20は、化学合成したLactobacillus kefiranofaciens由来13-LAH遺伝子(Lkef_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号21は、化学合成したLactobacillus intestinalis由来13-LAH遺伝子(Lint_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号22は、化学合成したLactobacillus hamsteri由来13-LAH遺伝子(Lham_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号23は、化学合成したLactobacillus gasseri由来13-LAH遺伝子(Lgas_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号24は、化学合成したPediococcus claussenii由来13-LAH遺伝子(Pcla_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号25は、化学合成したLactobacillus ruminis由来13-LAH遺伝子(Lrum_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号26は、化学合成したStreptococcus infantarius由来13-LAH遺伝子(Sinf_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号27は、化学合成したStreptococcus mutans由来13-LAH遺伝子(Smut_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号28は、化学合成したStreptococcus equinus由来13-LAH遺伝子(Sequ_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号29~32は、pET-22b(+)KmRの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号33~62は、13-LAH発現用プラスミドの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号63~76は、Yarrowia lipolyticaW29ΔURA3株の構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号77は、AOX3の塩基配列を示す。
配列番号78は、AOX3のアミノ酸配列を示す。
配列番号79は、pUC57-AOX3-Uraの塩基配列を示す。
配列番号80は、pUC57-TEF-HygRの塩基配列を示す。
配列番号81~86は、pUC57-AOX3-HygRの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号87は、pUC57-AOX3-HygRの塩基配列を示す。
配列番号88~91は、Yarrowia lipolytica W29ΔURA3ΔAOX3株の構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
Claims (12)
- 下記からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成することを含む、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法:
(1A)配列番号4のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(1B)配列番号4のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(1C)配列番号4のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(2A)配列番号5のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(2B)配列番号5のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(2C)配列番号5のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(3A)配列番号8のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(3B)配列番号8のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(3C)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(4A)配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(4B)配列番号9のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(4C)配列番号9のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(5A)配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(5B)配列番号10のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(5C)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(6A)配列番号13のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(6B)配列番号13のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(6C)配列番号13のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(7A)配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(7B)配列番号14のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(7C)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質。 - 前記タンパク質が、前記(3A)~(3C)、(4A)~(4C)、(6A)~(6C)、(7A)~(7C)からなる群より選ばれるタンパク質である、請求項1記載の方法。
- 前記同一性が95%以上である、請求項1または2記載の方法。
- 前記タンパク質が、ラクトバチルス・ガリナラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、Pediococcus claussenii)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、請求項1記載の方法。
- 前記タンパク質が、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、請求項4記載の方法。
- 前記形質転換微生物が、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位を含む微生物である、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
- 前記形質転換微生物が、エシェリヒア属細菌である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
- 前記形質転換微生物が、エシェリヒア・コリである、請求項7記載の方法。
- δ-デカラクトンの製造方法であって、
(i)下記からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること:
(1A)配列番号4のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(1B)配列番号4のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(1C)配列番号4のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(2A)配列番号5のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(2B)配列番号5のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(2C)配列番号5のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(3A)配列番号8のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(3B)配列番号8のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(3C)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(4A)配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(4B)配列番号9のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(4C)配列番号9のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(5A)配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(5B)配列番号10のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(5C)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(6A)配列番号13のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(6B)配列番号13のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(6C)配列番号13のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
(7A)配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(7B)配列番号14のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(7C)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質
および
(ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること
を含む方法。 - (ii)が、β酸化活性を有する微生物の存在下において行われる、請求項9記載の方法。
- 前記β酸化活性を有する微生物が、アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物である、請求項10記載の方法。
- 前記β酸化活性を有する微生物が、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)である、請求項11記載の方法。
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