JP7331839B2 - 13-ヒドロキシ-9(z)-オクタデセン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法に関する。
δ-デカラクトンは、香料として有用である。δ-デカラクトンは、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸(13-HOD)から生成することができる(特許文献1、非特許文献2、5)。したがって、13-HODは、δ-デカラクトンの製造における中間体として有用である。
特許文献1には、Lactobacillus acidophilus由来リノレート13-ヒドラターゼ(13-LAH)を用いたリノール酸から13-HODを製造する方法、およびWaltomyces lipoferを用いた13-HODからδ-デカラクトンを製造する方法が記載されている。非特許文献1には、13-LAHを導入したEscherichia coliを用いて13-HODを製造する方法が記載されている。非特許文献2には、リノール酸から13-HODを経由してδ-デカラクトンを製造する方法が記載されている。非特許文献3には、LAHの進化系統が記載され、13-LAHがL.acidophilusで見出されていることが記載されている。非特許文献4には、13-LAHをL.acidophilusから発見したこと、およびリノール酸から13-HODへの変換反応に対する13-LAHの触媒機能を同定したことが記載されている。非特許文献5には、デカラクトンの生産の概略が記載されている。
韓国特許出願公開KR1020150098497A
J Park et al.,J.Biotechnol.,208,1-10(2015) H Oh et al.,Adv.Synth.Catal.,357,408-416(2015) YY Chen et al.,Microbiol.,7,e1561(2016) K Kim et al.,Biotech.Bioeng.112,2206-2213(2015) Alina Swizdor et al.,Int.J.Mol.Sci.,13,16514-16543(2012)
本発明は、生産性が向上した13-HODおよびδ-デカラクトンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、L.acidophilus由来13-LAHよりも優れた酵素活性を有する13-LAHを見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕下記(A)~(C)からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成することを含む、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法:
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質。
〔2〕前記タンパク質が、下記:
(A’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;または
(C’)配列番号8、9、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質
である、〔1〕の方法。
〔3〕前記同一性が95%以上である、〔1〕または〔2〕の方法。
〔4〕前記タンパク質が、ラクトバチルス・ガリナラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、Pediococcus claussenii)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、〔1〕の方法。
〔5〕前記タンパク質が、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、〔4〕の方法。
〔6〕前記形質転換微生物が、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位を含む微生物である、〔1〕~〔5〕のいずれかの方法。
〔7〕前記形質転換微生物が、エシェリヒア属細菌である、〔1〕~〔6〕のいずれかの方法。
〔8〕前記形質転換微生物が、エシェリヒア・コリである、〔7〕の方法。
〔9〕δ-デカラクトンの製造方法であって、
(i)下記(A)~(C)からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること:
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
および
(ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること
を含む方法。
〔10〕(ii)が、β酸化活性を有する微生物の存在下において行われる、〔9〕の方法。
〔11〕前記β酸化活性を有する微生物が、アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物である、〔10〕の方法。
〔12〕前記β酸化活性を有する微生物が、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)である、〔11〕の方法。
本発明の方法によれば、生物学的方法により13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を効率的に製造することができる。さらに、本発明の方法によれば、生物学的方法によりδ-デカラクトンを効率的に製造することができる。
図1は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km株の反応液から得られたMS(質量分析)クロマトグラム示す図である。 図2は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Laci_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図3は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lamy_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図4は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lhel_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図5は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lgal_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図6は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lcri_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図7は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lkef_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図8は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lint_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図9は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lham_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図10は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lgas_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図11は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Pcla_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図12は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lrum_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図13は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Sinf_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図14は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Smut_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図15は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Sequ_13-LAH株の反応液から得られたMSクロマトグラム示す図である。 図16は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Laci_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図17は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lamy_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図18は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lhel_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図19は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lgal_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図20は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lcri_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図21は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lkef_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図22は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lint_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図23は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lham_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図24は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lgas_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図25は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Pcla_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図26は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Lrum_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図27は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Sinf_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図28は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Smut_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。 図29は、BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-Sequ_13-LAH株の反応液から得られたP2ピークのMSスペクトル示す図である。
本発明は、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法を提供する。本発明の方法は、下記(A)~(C)からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成することを含む:
(A)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
(C)配列番号4、5、8~10、13、および14(好ましくは、配列番号8、9、13、および14)からなる群から選ばれるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質。
タンパク質(B)では、アミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加からなる群より選ばれる1、2、3または4種の変異により、1個または数個のアミノ酸残基を改変することができる。アミノ酸残基の変異は、アミノ酸配列中の1つの領域に導入されてもよいが、複数の異なる領域に導入されてもよい。用語「1または数個」は、タンパク質の活性を大きく損なわない個数を示す。用語「1または数個」が示す数は、例えば1~60個、好ましくは1~50個、より好ましくは1~40個、さらにより好ましくは1~30個、なおさらにより好ましくは1~20個、特に好ましくは1~10個または1~5個(例、1個、2個、3個、4個、または5個)である。
タンパク質(C)における同一性%は、90%以上である。好ましくは、同一性は、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上であってもよい。ポリペプチド(タンパク質)の同一性%の算出は、アルゴリズムblastpにより行うことができる。より具体的には、ポリペプチドの同一性の算定%は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)において提供されているアルゴリズムblastpにおいて、デフォルト設定のScoring Parameters(Matrix:BLOSUM62;Gap Costs:Existence=11 Extension=1;Compositional Adjustments:Conditional compositional score matrix adjustment)を用いて行うことができる。ポリヌクレオチド(遺伝子)の同一性%の算出は、アルゴリズムblastnにより行うことができる。より具体的には、ポリヌクレオチドの同一性%の算定は、NCBIにおいて提供されているアルゴリズムblastnにおいて、デフォルト設定のScoring Parameters(Match/Mismatch Scores=1,-2;Gap Costs=Linear)を用いて行うことができる。
「リノレート13-ヒドラターゼ活性」とは、リノール酸を13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸(13-HOD)に変換する活性をいう。タンパク質(B)および(C)はそれぞれ、特定の測定条件で活性を測定した場合、配列番号4、5、8~10、13、および14からなる群から選ばれる対応するアミノ酸配列を含むタンパク質(好ましくは、対応するアミノ酸配列からなるタンパク質)の活性を基準として、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上、94%以上、96%以上、98%以上、または同等(すなわち、100%)以上の活性を有していてもよい。このような特定の測定条件としては、次の条件を採用することができる:
目的のタンパク質を発現する形質転換微生物(例、目的のタンパク質をコードする塩基配列を含むDNAがpET-22b(+)に組み込まれたベクターで形質転換されたエシェリヒア・コリ〔Escherichia coli〕BLR(DE3)株)を、前培養(例、3mL SOC培地で37℃、16~24時間)および本培養(例、0.5mLの前培養液を50mL SOC培地で37℃、2時間)により培養し;
培養物に、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して培養(例、16℃、22~24時間)し;
遠心分離により所定量(例、4mL)の得られた培養液から菌体を回収し、および菌体を洗浄(例、0.8M NaClで2回)し;
菌体を、所定量(例、1mL)のリノール酸含有変換反応液(例、Citrate/phosphate buffer(pH6.0)100mL、Tween20終濃度0.25wt%、リノール酸 終濃度50g/L)に懸濁し;
変換反応液を、所定の条件(37℃、120rpmの振盪、5時間)で反応させ;
所定量(例、0.2mL)の変換反応液を有機溶媒(例、酢酸エチル0.6mL)で抽出し;
所定量(例、30μL)の有機溶媒層に誘導体化試薬(例、BSA+TMCS 5:1)60μLを加えて、室温にて2時間静置して脂肪酸類をシリル化させ、GC-MS分析によりシリル化リノール酸およびシリル化13-HODのピークを測定してリノレート13-ヒドラターゼ活性を評価する。
タンパク質(B)および(C)は、目的特性を保持し得る限り、触媒ドメイン中の部位、および触媒ドメイン以外の部位に、変異が導入されていてもよい。目的特性を保持し得る、変異が導入されてもよいアミノ酸残基の位置は、当業者に明らかである。具体的には、当業者は、1)同種の特性を有する複数のタンパク質のアミノ酸配列を比較し、2)相対的に保存されている領域、および相対的に保存されていない領域を明らかにし、次いで、3)相対的に保存されている領域および相対的に保存されていない領域から、それぞれ、機能に重要な役割を果たし得る領域および機能に重要な役割を果たし得ない領域を予測できるので、構造・機能の相関性を認識できる。したがって、当業者は、本発明で用いられるタンパク質のアミノ酸配列において変異が導入されてもよいアミノ酸残基の位置を特定できる。
アミノ酸残基が置換により変異される場合、アミノ酸残基の置換は、保存的置換であってもよい。本明細書中で用いられる場合、用語「保存的置換」とは、所定のアミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換することをいう。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で周知である。例えば、このようなファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖を有するアミノ酸(例、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β位分岐側鎖を有するアミノ酸(例、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、ヒドロキシル基(例、アルコール性、フェノール性)含有側鎖を有するアミノ酸(例、セリン、スレオニン、チロシン)、および硫黄含有側鎖を有するアミノ酸(例、システイン、メチオニン)が挙げられる。好ましくは、アミノ酸の保存的置換は、アスパラギン酸とグルタミン酸との間での置換、アルギニンとリジンとヒスチジンとの間での置換、トリプトファンとフェニルアラニンとの間での置換、フェニルアラニンとバリンとの間での置換、ロイシンとイソロイシンとアラニンとの間での置換、およびグリシンとアラニンとの間での置換であってもよい。
本発明の方法で用いられる形質転換微生物は、Lactobacillus acidophilus由来リノレート13-ヒドラターゼ(配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質)を産生する形質転換微生物に比し向上したリノレート13-ヒドラターゼ活性を有することが好ましい。具体的には、本発明の方法で用いられる形質転換微生物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質を産生する形質転換微生物に対して1.0倍を超えるリノレート13-ヒドラターゼ活性を有することが好ましく、例えば1.01倍以上、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、さらにより好ましくは1.3倍以上、なおさらにより好ましくは1.4倍以上、最も好ましくは2倍以上のリノレート13-ヒドラターゼ活性を有してもよい。
本発明の方法で用いられる形質転換微生物が産生するタンパク質はまた、異種部分とペプチド結合を介して連結された融合タンパク質であってもよい。このような異種部分としては、例えば、目的タンパク質の精製を容易にするペプチド成分(例、ヒスチジンタグ、Strep-tag II等のタグ部分;グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、およびこれらの変異型等の目的タンパク質の精製に利用されるタンパク質)、目的タンパク質の可溶性を向上させるペプチド成分(例、Nus-tag)、シャペロンとして働くペプチド成分(例、トリガーファクター)、他の機能を有するペプチド成分(例、全長タンパク質またはその一部)、ならびにリンカーが挙げられる。
本発明の方法で用いられる形質転換微生物が産生するタンパク質は、ラクトバチルス・ガリナラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、Pediococcus claussenii)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼが好ましく、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼがより好ましい。
本発明で用いられる形質転換微生物は、例えば、本発明で用いられる上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位を含む微生物であってもよい。本発明では、用語「形質転換」は、宿主細胞に対するポリヌクレオチドの導入のみならず、宿主細胞におけるゲノムの改変もまた意図される。
本発明で用いられる上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、好ましくは、以下(a)~(d)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドであってもよい:
(a)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列を含むポリヌクレオチド;
(b)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号18、19、22~24、27、および28(好ましくは、配列番号22、23、27、および28)からなる群から選ばれる塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;ならびに
(d)(a)~(c)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドの縮重変異体。
上記ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよいが、DNAであることが好ましい。配列番号18、19、22~24、27、および28の塩基配列は、配列番号30のアミノ酸配列をコードする。配列番号31の塩基配列はそれぞれ、配列番号4、5、8~10、13、および14のアミノ酸配列をコードする。
上記ポリヌクレオチド(b)において、用語「ストリンジェント条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、ストリンジェント条件としては、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSC、0.1%SDS中、50~65℃での1または2回以上の洗浄が挙げられる。
上記ポリヌクレオチド(c)における同一性%は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上であってもよい。
上記ポリヌクレオチド(d)において、用語「縮重変異体」とは、変異前のポリヌクレオチド中の所定のアミノ酸残基をコードする少なくとも1つのコドンが、同一アミノ酸残基をコードする別のコドンに変更されたポリヌクレオチド変異体をいう。このような縮重変異体はサイレント変異に基づく変異体であることから、縮重変異体によりコードされるタンパク質は、変異前のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質と同一である。
好ましくは、縮重変異体は、それが導入されるべき宿主細胞のコドン使用頻度に適合するようにコドンが変更されたポリヌクレオチド変異体である。ある遺伝子を異種宿主細胞(例、微生物)で発現させる場合、コドン使用頻度の相違により、対応するtRNA分子種が十分に供給されず、翻訳効率の低下および/または不正確な翻訳(例、翻訳の停止)が生じることがある。例えば、エシェリヒア・コリでは、表1に示される低頻度コドンが知られている。
Figure 0007331839000001
したがって、本発明では、後述するような宿主細胞のコドン使用頻度に適合する縮重変異体を利用することができる。例えば、縮重変異体は、アルギニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、ロイシン残基、およびプロリン残基からなる群より選ばれる1種以上のアミノ酸残基をコードするコドンが変更されたものであってもよい。より具体的には、縮重変異体は、低頻度コドン(例、AGG、AGA、CGG、CGA、GGA、AUA、CUA、およびCCC)からなる群より選ばれる1種以上のコドンが変更されたものであってもよい。好ましくは、縮重変異体は、以下からなる群より選ばれる1種以上(例、1種、2種、3種、4種、または5種)のコドンの変更を含んでいてもよい:
i)Argをコードする4種のコドン(AGG、AGA、CGG、およびCGA)からなる群より選ばれる少なくとも1種のコドンの、Argをコードする別のコドン(CGU、またはCGC)への変更;
ii)Glyをコードする1種のコドン(GGA)の、別のコドン(GGG、GGU、またはGGC)への変更;
iii)Ileをコードする1種のコドン(AUA)の、別のコドン(AUU、またはAUC)への変更;
iv)Leuをコードする1種のコドン(CUA)の、別のコドン(UUG、UUA、CUG、CUU、またはCUC)への変更;ならびに
v)Proをコードする1種のコドン(CCC)の、別のコドン(CCG、CCA、またはCCU)への変更。
縮重変異体がRNAの場合、上記のとおりヌクレオチド残基「U」が利用されるべきであるが、縮重変異体がDNAの場合、ヌクレオチド残基「U」の代わりに「T」が利用されるべきである。宿主細胞のコドン使用頻度に適合させるためのヌクレオチド残基の変異数は、変異前後で同一のタンパク質をコードする限り特に限定されないが、例えば、1~400個、1~300個、1~200個、または1~100個である。
低頻度コドンの同定は、当該分野で既知の技術を利用することにより、任意の宿主細胞の種類およびゲノム配列情報に基づいて容易に行うことができる。したがって、縮重変異体は、低頻度コドンの非低頻度コドン(例、高頻度コドン)への変更を含むものであってもよい。また、低頻度コドンのみならず、生産菌株のゲノムGC含量への適合性などの要素を考慮して変異体を設計する方法が知られているので(Alan Villalobos et al., Gene Designer: a synthetic biology tool for constructing artificial DNA segments, BMC Bioinformatics. 2006 Jun 6;7:285.)、このような方法を利用してもよい。このように、上述の変異体は、それが導入され得る任意の宿主細胞(例、後述するような微生物)の種類に応じて適宜作製できる。
本発明において、用語「発現単位」とは、タンパク質として発現されるべき所定のポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む、当該ポリヌクレオチドの転写、ひいては当該ポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質の産生を可能にする最小単位をいう。発現単位は、ターミネーター、リボゾーム結合部位、および薬剤耐性遺伝子等のエレメントをさらに含んでいてもよい。発現単位は、DNAであってもRNAであってもよいが、DNAであることが好ましい。発現単位はまた、宿主細胞に対して同種(homologous)(すなわち、固有(inherent))であっても、異種(heterologous)(すなわち、非固有)であってもよい。発現単位はまた、タンパク質として発現されるべき1つのポリヌクレオチド、およびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位(すなわち、モノシストロニックmRNAの発現を可能にする発現単位)、またはタンパク質として発現されるべき複数のポリヌクレオチド(例えば2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらにより好ましくは5以上、特に好ましくは10以上のポリヌクレオチド)、およびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位(すなわち、ポリシストロニックmRNAの発現を可能にする発現単位)であってもよい。発現単位は、微生物(宿主細胞)においてゲノム領域(例、上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドが固有に存在する天然ローカスである天然ゲノム領域、もしくは当該天然ローカスではない非天然ゲノム領域)、または非ゲノム領域(例、細胞質内)に含まれることができる。発現単位は、1または2以上(例、1、2、3、4、または5)の異なる位置においてゲノム領域中に含まれていてもよい。非ゲノム領域に含まれる発現単位の具体的な形態としては、例えば、プラスミド、ウイルスベクター、ファージ、および人工染色体が挙げられる。
発現単位を構成するプロモーターは、その下流に連結されたポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質を宿主細胞で発現させることができるものであれば特に限定されない。例えば、プロモーターは、宿主細胞に対して同種であっても異種であってもよいが、好ましくは異種である。例えば、組換えタンパク質の産生に汎用される構成または誘導プロモーターを用いることができる。このようなプロモーターとしては、例えば、PhoAプロモーター、PhoCプロモーター、T7プロモーター、T5プロモーター、T3プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、PRプロモーター、PLプロモーター、SP6プロモーター、アラビノース誘導プロモーター、コールドショックプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーターが挙げられる。好ましくは、宿主細胞で強力な転写活性を有するプロモーターを用いることができる。宿主細胞で強力な転写活性を有するプロモーターとしては、例えば、宿主細胞で高発現している遺伝子のプロモーター、およびウイルス由来のプロモーターが挙げられる。
本発明において、形質転換微生物として使用される宿主細胞としては、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に属する細菌等の細菌、および真菌が挙げられる。細菌はまた、グラム陽性菌であってもグラム陰性菌であってもよい。グラム陽性細菌としては、例えば、バシラス(Bacillus)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌が挙げられる。バシラス(Bacillus)属細菌としては、枯草菌(Bacillus subtilis)が好ましい。コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌としては、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)が好ましい。グラム陰性細菌としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、パントエア(Pantoea)属細菌が挙げられる。エシェリヒア(Escherichia)属細菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)が好ましい。パントエア(Pantoea)属細菌としては、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)が好ましい。真菌としては、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、ワルトマイセス(Waltomyces)属(リポマイセス〔Lipomyces〕属とも呼ぶ)の微生物が好ましい。サッカロミセス(Saccharomyces)属の微生物としては、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の微生物としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)が好ましい。ヤロウィア(Yarrowia)属の微生物としては、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)が好ましい。ワルトマイセス属(リポマイセス〔Lipomyces〕属)の微生物としては、ワルトマイセス・リポファー(Waltomyces lipofer)(リポマイセス・リポファー〔Lipomyces lipofer〕とも呼ぶ)が好ましい。
本発明で用いられる形質転換微生物は、当該分野において公知の任意の方法により作製することができる。例えば、上述したような形質転換微生物は、発現ベクターを用いる方法(例、コンピテント細胞法、エレクトロポレーション法)、またはゲノム改変技術により作製することができる。発現ベクターが宿主細胞のゲノムDNAと相同組換えを生じる組込み型(integrative)ベクターである場合、発現単位は、形質転換により、宿主細胞のゲノムDNAに組み込まれることができる。一方、発現ベクターが宿主細胞のゲノムDNAと相同組換えを生じない非組込み型ベクターである場合、発現単位は、形質転換により、宿主細胞のゲノムDNAに組み込まれず、宿主細胞内において、発現ベクターの状態のまま、ゲノムDNAから独立して存在できる。あるいは、ゲノム編集技術(例、CRISPR/Casシステム、Transcription Activator-Like Effector Nucleases(TALEN))によれば、発現単位を宿主細胞のゲノムDNAに組み込むこと、および宿主細胞が固有に備える発現単位を改変することが可能である。
発現ベクターは、発現単位として上述した最小単位に加えて、宿主細胞で機能するターミネーター、リボゾーム結合部位、および薬剤耐性遺伝子等のエレメントをさらに含んでいてもよい。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対する耐性遺伝子が挙げられる。
発現ベクターはまた、宿主細胞のゲノムDNAとの相同組換えのために、宿主細胞のゲノムとの相同組換えを可能にする領域をさらに含んでいてもよい。例えば、発現ベクターは、それに含まれる発現単位が一対の相同領域(例、宿主細胞のゲノム中の特定配列に対して相同なホモロジーアーム、loxP、FRT)間に位置するように設計されてもよい。発現単位が導入されるべき宿主細胞のゲノム領域(相同領域の標的)としては、特に限定されないが、宿主細胞において発現量が多い遺伝子のローカスであってもよい。
発現ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、ファージ、または人工染色体であってもよい。発現ベクターはまた、組込み型(integrative)ベクターであっても非組込み型ベクターであってもよい。組込み型ベクターは、その全体が宿主細胞のゲノムに組み込まれるタイプのベクターであってもよい。あるいは、組込み型ベクターは、その一部(例、発現単位)のみが宿主細胞のゲノムに組み込まれるタイプのベクターであってもよい。発現ベクターはさらに、DNAベクター、またはRNAベクター(例、レトロウイルス)であってもよい。発現ベクターはまた、汎用されている発現ベクターであってもよい。このような発現ベクターとしては、例えば、pUC(例、pUC19、pUC18)、pSTV、pBR(例、pBR322)、pHSG(例、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398)、RSF(例、RSF1010)、pACYC(例、pACYC177、pACYC184)、pMW(例、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218)、pQE(例、pQE30)、およびその誘導体が挙げられる。
本発明の方法において用いられる基質であるリノール酸は、上記13-LAHを含む反応系(すなわち、上記13-LAHを産生する形質転換微生物の存在下、例、上記13-LAHを産生する形質転換微生物を含む培養液)に添加することができる。あるいは、本発明の方法では、反応系において生成したリノール酸を基質として利用することもできる。
本発明の方法が上記形質転換微生物を培養することにより行われる場合、培養培地としては、上述したものを用いることができる。培養培地は、炭素源を含むことが好ましい。炭素源としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類等の炭水化物;ショ糖を加水分解した転化糖;グリセロール;メタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸塩、一酸化炭素、二酸化炭素等の炭素数が1の化合物(以下、C1化合物という。);コーン油、パーム油、大豆油等のオイル;アセテート;動物油脂;動物オイル;飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の脂肪酸;脂質;リン脂質;グリセロ脂質;モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル;微生物性タンパク質、植物性タンパク質等のポリペプチド;加水分解されたバイオマス炭素源等の再生可能な炭素源;酵母エキス;又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養源としては、ビタミンB1、L-ホモセリンなどの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。なお、本発明で用いる培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じてその他の有機微量成分を含む培地であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
形質転換微生物の培養条件としては、特に限定されず、標準的な細胞培養条件を用いることができる。培養温度としては、4~40℃が好ましく、10~37℃がより好ましい。pHとしては、約4~9であることが好ましい。また、宿主細胞の性質に応じて好気性、無酸素性、又は嫌気性条件下で培養を行うことが好ましい。
培養方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。このような培養方法としては、例えば、バッチ培養法、流加培養法、連続培養法が挙げられる。形質転換体微生物により産生される特定のタンパク質の発現がlacプロモーター等の誘導的プロモーターの制御下にある場合、培養培地中に、例えばIPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)等の誘導剤を添加して、タンパク質の発現を誘導してもよい。
13-HODの製造の確認は、適宜行うことができる。例えば、このような確認は、反応系から13-HODを有機溶媒で抽出し、抽出液をガスクロマトグラフィーや質量分析に供することにより行うことができる。培養培地からの13-HODの回収および精製もまた、適宜行うことができる。例えば、13-HODの回収および精製は、有機溶媒による抽出・分画、および包接化合物を用いる方法(シクロデキストリン等の包接化合物等を接触させることで、13-HODの包接錯体を作成させ、その後当該包接錯体から13-HODを脱離する方法)が挙げられる。13-HODの回収および精製はまた、一般的な香料と同じく、精密蒸留により分離する方法により行われてもよい。13-HODの製造の確認、ならびに回収および精製については、例えば、国際公開第2016/029187号、米国出願公開第2012/0246767号、特開2002-47239号公報、Xie et al., Food Chem., 2009;117:375-380を参照してもよい。
別の実施形態では、本発明は、δ-デカラクトンの製造方法を提供する。本発明のδ-デカラクトンの製造方法は、以下を含む:
(i)Lactobacillus acidophilus由来リノレート13-ヒドラターゼ(配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質)を産生する形質転換微生物に比し向上したリノレート13-ヒドラターゼ活性を有する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること;および
(ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること。
工程(i)における形質転換微生物および13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成するための各条件は、上述したものが挙げられる。
工程(ii)は、化学的または生物学的な任意の方法により行うことができる(例、韓国特許出願公開KR1020150098497A;H Oh et al.,Adv.Synth.Catal.,357,408-416(2015);Alina Swizdor et al.,Int.J.Mol.Sci.,13,16514-16543(2012))。
特定の実施形態では、工程(ii)は、β酸化活性を有する微生物の存在下において行われてもよい。
β酸化活性を有する微生物としては、例えば、ヤロウィア(Yarrowia)属、ワルトマイセス(Waltomyces)属(リポマイセス〔Lipomyces〕属とも呼ぶ)、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の微生物が挙げられる。ヤロウィア(Yarrowia)属の微生物としては、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)が好ましい。ワルトマイセス属(リポマイセス〔Lipomyces〕属)の微生物としては、ワルトマイセス・リポファー(Waltomyces lipofer)(リポマイセス・リポファー〔Lipomyces lipofer〕とも呼ぶ)が好ましい。サッカロミセス(Saccharomyces)属の微生物としては、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の微生物としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)が好ましい。
δ-デカラクトンの生産能を上げるために、β酸化活性を有する微生物は、アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物であってもよい。アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物としては、例えば、Acyl-CoA oxidaseをコードする遺伝子群の中から特定の一つまたは複数の遺伝子を破壊するか、または機能低下するように改変した微生物が挙げられる。微生物がY.lipolyticaである場合、6個存在するAcyl-CoA oxidaseをコードする遺伝子の中で、短鎖脂肪酸に対して高い基質親和性を示すAcyl-CoA oxidase 3(AOX3)をコードする遺伝子が破壊され、または機能低下するように改変されることが好ましい。
アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物は、微生物のゲノムDNAとの相同組換えを利用する方法、またはゲノム改変技術により作製することができる。相同組換えを利用する方法としては、例えば、標的遺伝子(例、Acyl-CoA oxidase遺伝子)の前後の相同領域を持ち、標的遺伝子相当部分がマーカー遺伝子(例、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対する耐性遺伝子)に置き換わった遺伝子断片(例、DNA断片)を微生物に外来から導入する方法(例、コンピテント細胞法、エレクトロポレーション法)が挙げられる。ゲノム改変技術としては、ゲノム編集技術(例、CRISPR/Casシステム、Transcription Activator-Like Effector Nucleases(TALEN))が挙げられる。アルデヒドオキシダーゼ活性は、例えば、Sakayu Shimizu et. al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,91,108-113(1979)に記載された方法に従って測定できる。
工程(ii)における13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸は、工程(i)で得られた13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸(例、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を含む培養液、粗精製物、または精製物)として供給される。13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の供給源として工程(i)で得られた培養液を用いる場合、形質転換微生物は除去されていてもされていなくてもよい。
工程(ii)は、あらかじめ培地中で培養したβ酸化活性を有する微生物を、工程(i)で得られた13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を含む培養液に植菌して培養することにより実施してもよい。培養液に植菌される微生物は、例えば、一般的な微生物培養培地(例、YPD培地)中の培養(前培養)、その後の誘導培地(例、オレイン酸、アラキドン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イコセン酸、またはエルカ酸を含む培地)中の培養(誘導培養)、および緩衝液(例、リン酸緩衝液)での洗浄により調製してもよい。
β酸化活性を有する微生物の培養(前培養、誘導培養、および工程(ii)における培養)のための条件は、特に限定されず、標準的な細胞培養条件を用いることができる。培養温度としては、4~40℃が好ましく、10~37℃がより好ましい。pHとしては、約4~9であることが好ましい。また、微生物の性質に応じて好気性、無酸素性、又は嫌気性条件下で培養を行うことが好ましい。培養方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。このような培養方法としては、例えば、バッチ培養法、流加培養法、連続培養法が挙げられる。
δ-デカラクトンの生産量は、ガスクロマトグラフィー(GC)、水素炎イオン化型検出器(FID)、質量分析(MS)を用いて評価することができる。
本発明のδ-デカラクトンの製造方法は、δ-デカラクトンを回収することを含んでもよい。δ-デカラクトンを回収するための方法は、例えば、酢酸エチル、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、アセトンなどを利用した溶剤抽出法などが挙げられる。
本発明のδ-デカラクトンの製造方法は、δ-デカラクトンを精製することをさらに含んでもよい。δ-デカラクトンを精製するための方法は、例えば、蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィーを用いた方法が挙げられる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:各種微生物由来Linoleate 13-hydrataseの発現プラスミド構築
<Linoleate 13-hydrataseをコードする遺伝子の探索>
リノール酸のΔ12位の二重結合を水和しC13位に水酸基を導入する酵素として、Linoleate 13-hydratase(以下13-LAHと略称する)が知られている(米国特許出願公開US20040197882A1)。同酵素はLactobacillus acidophilusより単離され、リノール酸を基質に13-hydroxy-cis-9-octadecenoic acid(以下13-HODと略称する)を生成することが報告されている(韓国特許出願公開KR1020150098497A、Park et al.,J Biotechnol.,2015,208:1-10)。L.acidophilus由来13-LAH(以下Laci13-LAHと略称)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。Laci13-LAHよりも高活性な13-LAHを新たに単離する為に、データベースを利用した同一性検索を実施した。L.acidophilus 13-LAHのアミノ酸配列を基にblastp(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を利用して相同検索を行った。その結果、同酵素と70%以上の同一性を示した13種類の候補タンパク質を抽出した。表2に抽出された候補タンパク質の一覧を示す。
Figure 0007331839000002
<各種13-LAHをコードする遺伝子の化学合成>
コドン使用頻度をE.coliに至適化された配列番号15~28で示す塩基配列をGenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用して、遺伝子合成を実施した。合成された各遺伝子は同社にてpET-9a(Novagen(Merck Millipore)製、製品番号69431-3)にクローニングされ、各種13-LAH遺伝子が導入されたプラスミド、pET-9a-Laci_13-LAH、pET-9a-Lamy_13-LAH、pET-9a-Lhel_13-LAH、pET-9a-Lgal_13-LAH、pET-9a-Lcri_13-LAH、pET-9a-Lkef_13-LAH、pET-9a-Lint_13-LAH、pET-9a-Lham_13-LAH、pET-9a-Lgas_13-LAH、pET-9a-Pcla_13-LAH、pET-9a-Lrum_13-LAH、pET-9a-Sinf_13-LAH、pET-9a-Smut_13-LAH、pET-9a-Sequ_13-LAHを取得した。各遺伝子の略称名は表2を参照。
<発現プラスミドpET-22b(+)Kmの構築>
各種13-LAHの遺伝子を発現する為のプラスミドpET-22b(+)Kmは、以下の手順で構築した。初めにpET-22b(+)(Novagen(Merck Millipore)社製、製品番号69744-3CN)の薬剤マーカーをアンピシリン耐性からカナマイシン耐性に変更した。λattL-Km-λattR(国際公開第2008/090770号)を含むゲノムDNAを鋳型としてプライマーKm-pET-F(配列番号29)とKm-pET-R(配列番号30)を用いPCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)DNA polymerase、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・120sec.、30cycles)にてλattL-Km-λattRの遺伝子断片を増幅した。得られたPCR産物をWizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、カナマイシン耐性遺伝子のDNA断片を取得した。続けて、pET-22b(+)を鋳型としてプライマーpET22-Km-invF(配列番号31)とpET22-Km-invR(配列番号32)を用いて、アンピシリン耐性遺伝子を除くプラスミドの全長領域をPCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)DNA polymerase、98℃・10sec.、54℃・15sec.、68℃・240sec.、40cycles)にて増幅した。得られたPCR産物を、前記と同様にWizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、pET-22b(+)の遺伝子断片を取得した。カナマイシン耐性遺伝子とpET-22b(+)の遺伝子断片をIn-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地(10g/L NaCl、10g/L Bacto tryptone、5g/L Bacto yeast extract、Bacto agar 20g/L)に播種後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体を取得した。出現した形質転換体はKm-pET-F(配列番号29)とKm-pET-R(配列番号30)で示すプライマーの組み合わせでコロニーPCRを行い、pET-22b(+)の薬剤マーカーがアンピシリン耐性からカナマイシン耐性に変更したpET-22b(+)Kmを取得した。pET-22b(+)Kmの構築で使用したプライマーの配列を表3に示した。
Figure 0007331839000003
<pET-22b(+)Kmを利用した各種13-LAH発現用プラスミドの構築>
pET-22b(+)Kmは制限酵素NdeIとEcoRIによって消化処理した後、アガロースゲル電気泳動を実施した。続けて、pET-22b(+)KmのDNA断片をゲルより切り出し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)を用いて精製DNA断片を取得した。各種13-LAHの遺伝子断片は、表4に示したプライマーの組み合わせと鋳型となるプラスミドを用いて、PCR(PrimeSTAR GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・120sec.、30cycles)を行い13-LAHの遺伝子断片を増幅した。例えば、Lactobacillus amylovorus由来13-LAH(Lamy_13-LAH)の遺伝子断片は、pET-9a-Lamy_13-LAHを鋳型DNAとして13LAH1234578_F(配列番号33)と13LAH138_R(配列番号34)で記したプライマーの組み合わせでPCRを実施した。PCRの反応に用いた鋳型DNAとプライマーの組み合わせを表4に示した。その後、得られた各PCR産物は、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、各13-LAH遺伝子の精製DNA断片を取得した。上記pET-22b(+)KmのDNA断片と各13-LAH遺伝子の精製DNA断片をそれぞれ、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。その後、50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地に播種した後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体を取得した。出現した形質転換体はT7P-F(塩基配列:5’TAATACGACTCACTATAGGG3’、配列番号61)とT7T-R(塩基配列5’GCTAGTTATTGCTCAGCGG3’、配列番号62)で示すプライマーの組み合わせでコロニーPCRを行い、pET-22b(+)Kmに各種13-LAHが導入された発現プラスミドを取得した。
Figure 0007331839000004
Figure 0007331839000005
実施例2:各種13-LAHが発現したE.coliを利用したリノール酸からの13-HOD生産試験
<各種13-LAHが発現したE.coli BLR(DE3)株の構築>
BLR(DE3)株(メルクミリポア製、製品番号69053)から、定法に従ってエレクトロコンピテントセルを調製し、各種pET-22b(+)Km-XXXX_13-LAH(XXXXは略称名を意味する、表4参照)をエレクトロポレーション法にて導入した。得られた形質転換体を50mg/Lのカナマイシンを含むLB寒天培地に播種後、37℃で一晩培養を行い、形質転換体BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-XXXX_13-LAH株を取得した。
<BLR(DE3)/pET-22b(+)Km-XXXX_13-LAH株を利用したリノール酸からの13-HOD生産試験>
上記で得られたBLR(DE3)/pET-22b(+)Km-XXXX_13-LAH株を、SOC培地3mLを張り込んだ試験管に播種し、37℃、120rpmの条件で16~24時間、振盪培養し、前培養液Aを得た。SOC培地の組成と調製法を表5に示す。前培養液AはSOC培地50mLを張り込んだ500mL振とうフラスコに0.5mL播種し、37℃で2時間、120rpmの条件で振盪培養した。その後、培養温度を16℃に下げ、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mM添加する方法で13-LAHタンパク質の発現を誘導した。IPTG添加後、培養をさらに22~24時間実施し、得られた培養液4mLを遠心分離することで菌体を回収した。その後、該菌体を0.8M NaClにて2回洗浄したものを、変換反応に用いた。得られた菌体を変換反応液1mLに懸濁し、14mL Falcon tubeにて37℃、120rpmの条件で5時間、振盪した。変換反応液の組成と調製法を表6に示す。
Figure 0007331839000006
Stock solution Aは以下の手順で調製した。0.5gのNaCl、20gのBacto Tryptone、5gのBacto Yeast Extract、0.186gのKClを純水に溶解し、960mLにメスアップした後、NaOHにてpHを7.0に調整した。その後、120℃、15min.オートクレイブにて滅菌した。また、1M CaCl、1M MgSO、1M Glucoseは、各濃度の溶液を調製後、0.22μmのフィルターで滅菌濾過した物を利用した。放冷したStock solution A 960mLに10mLの1M CaCl、10mLの1M MgSO、さらには20mL 1M Glucoseを添加した。その後、カナマイシンが終濃度50mg/Lになるように混合液に添加したものをSOC培地として使用した。
Figure 0007331839000007
Citrate/phosphate bufferは1Mクエン酸溶液17.9mLと0.2Mリン酸水素二ナトリウム・12水和物溶液32.1mLを混ぜた後、NaOHでpHを6.0に調整した。その後、純水で100mlにメスアップし、120℃、15min.オートクレイブにて滅菌した。その後、同条件で滅菌処理したTween20とリノール酸を、それぞれ終濃度0.25wt%と50g/Lになるようになるように添加した。
<反応溶液からの脂肪酸類の抽出法とGC-MSによる成分分析>
反応液中の脂肪酸類の抽出は以下の手順で分析した。変換後の反応液0.2mLを1.5mLロック付きマイクロチューブに入れ、そこに酢酸エチル0.6mLを加えた後、ボルテックスにて10秒間混合した。この酢酸エチル溶液を15,000rpm、25℃、10分間の条件で遠心分離し、上層の酢酸エチル層を分析サンプルとして取得した。続けて、分析サンプル中の脂肪酸類をシリル化反応に供する為、分析サンプル30μLに誘導体化試薬(BSA+TMCS 5:1(SUPELCO製、製品番号33018))60μLを加え、室温にて2時間静置した。これをGC-MS分析に用いた。GC-MS分析の条件を以下に示した。
<GC-MS>
装置:Agilent 5975C MSD and 7890A GC、オートサンプラー:Gerstel MPS Autosampler
(GC)
注入量:1μL、注入法:スプリット20:1、注入口温度:230℃、カラム:Agilent DB-1ms,30m,0.25mm,0.25μm(部品番号122-0132)、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス圧力:9.954psi
(MS)
インターフェース温度:280℃、イオン源温度:230℃、四重極温度:150℃、イオン化モード:EI:(電子エネルギー:70eV)、チューニング:Etune、溶媒待ち時間:4分、測定モード:スキャン(20-500m/Z)
GC-MS解析で得られたMSクロマトグラムとMSスペクトルを図1~29に示す。
P1で示したR.T.=10.9min.のピークはシリル化(-SiMe)されたリノール酸を意味し、P2で示したR.T.=13.6min.はMSスペクトルの解析結果から、73、173、371(m/Z)に特徴的なピークを有することが示された(図16~29参照)。シリル化された13-HODのMSスペクトルの解析結果は既に公開されており(非特許文献:Park et al.,J Biotechnol.2015,20;208:1-10)、今回得られた結果と一致したことから、P2のピークはシリル化された13-HODであることが明らかとなった。以上の結果より、本検討で使用した各種13-LAH発現株の全てにおいてリノール酸から13-HODが変換されることを見出した。
<GC-FIDを利用した13-HODの定量解析>
次にGC-FIDを利用して、生産された13-HODの定量解析を実施した。サンプルは前記と同様にシリル化反応を実施した後、GC-FIDに供した。以下にGC-FIDの分析条件と定量解析の結果を表7に示す。
<GC-FIDの分析条件>
装置:島津GC-2010Plus/FID、カラム:Agilent DB-1ms,30m,0.25mm,0.25μm(部品番号122-0132)、注入量:1μL、注入法:スプリット20:1、注入口:230℃、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス:ヘリウム、線速度35cm/s、検出器:温度250℃、取り込み周期25Hz、メークアップ流量(Air)30mL/min。標品はリノール酸のC12位にヒドロキシル基が導入されたリシノール酸(東京化成工業社製、製品番号R0027)をサンプルと同様にシリル化した物を利用した。
Figure 0007331839000008
以上の結果から、Lactobacillus gallinarum、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus hamsteri、Lactobacillus gasseri、Pediococcus claussenii、Streptococcus mutans、さらにはStreptococcus equinus由来13-LAHにおいて、既知のLactobacillus acidophilus由来13-LAHよりも高い13-HOD生産量が観察された。
実施例3:Yarrowia lipolyticaを利用した13-HODからδ-デカラクトンへの変換反応
<Yarrowia lipolyticaW29ΔURA3株構築用のプラスミドpUC-ΔPDH1::URA3の構築>
次に本検討で得られた13-HODを利用してδ-デカラクトンへの変換を試みた。Y.lipolytica CLIB122株のゲノム配列は公開されている(GCF_000002525.2)。ゲノム配列情報を基にURA3遺伝子を増幅する為のプライマーIF-ura3_f1(配列番号63)とIF-ura3_r1(配列番号64)を設計した。Y.lypolytica W29(CBS7504)株のゲノムDNAを鋳型にプライマーIF-ura3_f1とIF-ura3_r1でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行いURA3遺伝子のORF領域を含む遺伝子断片を得た。同様に、該菌株のゲノムDNAを鋳型にプライマーIF-Dpdh1_f1(配列番号65)とIF-Dpdh1_r1(配列番号66)の組み合わせと、プライマーIF-Dpdh1_f2(配列番号67)とIF-Dpdh1_r2(配列番号68)の組み合わせでそれぞれPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行い、PDH1遺伝子の上流領域(約1kb)とPDH1遺伝子の下流領域(約1kb)のそれぞれのDNA断片を得た。さらに、pUC18(TAKARA製、製品番号3218)のプラスミドDNAを鋳型にプライマーR-M13-M4(配列番号69)とR-M13-RV(配列番号70)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・240sec.、35cycles)を行いプラスミドのDNA断片を得た。上記で得られた4つのDNA断片を混合し、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。形質転換体を含む培養液を100mg/Lカルベニシリン二ナトリウム(ナカライテスク製、製品番号07129-14)を含むLB寒天培地に塗布し、得られた形質転換体に対してプライマーM13_M4(配列番号71)とM13-RV(配列番号72)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、68℃・60sec.、35cycles)を行うことでプラスミドへの目的遺伝子断片の挿入を確認し、得られたプラスミドをpUC-ΔPDH1::URA3と命名した。pUC-ΔPDH1::URA3の構築に使用したプライマーの配列を表8に示した。
<Yarrowia lipolyticaW29ΔURA3株の構築>
次に、pUC-ΔPDH1::URA3のプラスミドDNAを鋳型にプライマーHR-Dpdh1_f1(配列番号73)とHR-Dpdh1_r1(配列番号74)とでPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・15sec.、68℃・360sec.、35cycles)を行った。得られたPCR産物中の鋳型DNAを除くために、制限酵素DpnIで消化し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、得られたDNA断片を形質転換に用いた。続けて、Y.lipolyticaW29株のコンピテントセルを以下の手順に従って調製した。W29株を3mLのYPD培地(10g/L Bacto yeast extract、20g/L Polypeptone、20g/L Glucose)を用いて30℃で一晩培養した後、培養液30μLを新しい3mL YPD培地に再度接種し、吸光度(660nm)が0.8付近になるまで培養を行った。得られた培養液から菌体を遠心操作にて回収し、コンピテントセルの調製後、約2μgのpUC-ΔPDH1::URA3と混合し形質転換を実施した。なお、コンピテントセルの調製および形質転換はFrozen-EZ Yeast Transformation II Kit(ZYMO Research社、製品番号T2001)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。形質転換後の菌体溶液は、YPD培地にて30℃で一晩回復培養を行った後、菌体を回収し、SC+5-FOA寒天培地(22.2g/L Glucose、6.7g/L Yeast nitrogen base、1.5g/L 5-FOA、20g/L Bacto agar)に塗布し、5-FOA耐性株を得た。得られた耐性株のウラシル要求性をSC寒天培地およびSC(-ura)寒天培地(22.2g/L Glucose、6.7g/L Yeast nitrogen base without amino acid、0.77g/L -Ura DO supplement、20g/L Bacto agar)で確認した。このウラシル要求性を示した株に対してプライマーCP-Dura3_f1(配列番号75)とCP-Dura3_r1(配列番号76)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、72℃・30sec.、35cycles)でURA3遺伝子の欠損を確認した。このようにして得られたウラシル要求性の株をW29ΔURA3株とした。W29ΔURA3株の構築に使用したプライマーの配列を表8に示した。
Figure 0007331839000009
<AOX3遺伝子の破壊用プラスミドpUC57-AOX3-Hygの構築>
δ-デカラクトンの生産能を上げる目的で、Acyl-CoA oxidase遺伝子の破壊を行った。Y.lipolyticaにはAcyl-CoA oxidaseをコードする遺伝子が6個存在する。その中でも、短鎖脂肪酸に対して高い基質親和性を示すAcyl-CoA oxidase 3(以下AOX3と略称する)を欠失することで、γ-デカラクトンの生産量が上がることが報告されている(非特許文献Wache et al.,Appl.Environ.Microbiol.,2000,66:1233-1236)。そこで、Y.lipolytica W29ΔURA3株から染色体上にコードされたAOX3遺伝子(YALI0D24750g)の破壊を実施した。AOX3の遺伝子配列を配列番号77、アミノ酸配列を配列番号78に示す。まず、同遺伝子を破壊する為のプラスミド、pUC57-AOX3-Hygを以下の手順に従って構築した。GenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用し、Y.lipolytica由来URA3遺伝子の両端にAOX3遺伝子の前後1000bpの相同領域を持つ遺伝子断片をpUC57にクローニングしたプラスミド、pUC57-AOX3-URA3を化学合成した。pUC57-AOX3-URA3の塩基配列を配列番号79に示す。次に、同プラスミドのURA3遺伝子をハイグロマイシン耐性遺伝子に置換した。前記と同様にGenScript社が提供する人工遺伝子合成受託サービスを利用し、Saccharomyces cerevisiae由来TEF1プロモーター下流にHygromycin B phosphotransferase(以下Hygと略称する)が連結した遺伝子断片をpUC57にクローニングしたプラスミド、pUC57-TEF-Hygを化学合成した。pUC57-TEF-Hygの塩基配列を配列番号80に示す。pUC57-AOX3-URA3を鋳型にプライマーAOX3_insert_F(配列番号81)とAOX3_insert_R(配列番号82)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、68℃・300sec.、35cycles)を行いプラスミドのDNA断片を得た。同様にpUC57-TEF-Hygを鋳型にプライマーAOX3_backbone_F(配列番号83)とAOX3_backbone_R(配列番号84)でPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、68℃・300sec.、35cycles)を行いTEFプロモーターとハイグロマイシン耐性遺伝子が連結したDNA断片を得た。上記、2つのDNA断片は、アガロースゲル電気泳動後、該当のバンドをゲルより切り出し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-up system(Promega)を用い精製した。得られた2つの精製DNA断片を混合し、In-Fusion(登録商標)HD cloning Kit(Clontech製、製品番号639648)で連結し、E.coli JM109株に形質転換した。形質転換体を含む培養液を100mg/Lカルベニシリン二ナトリウム(ナカライテスク製、製品番号07129-14)を含むLB寒天培地に塗布し、得られた形質転換体に対してプライマーpUC57_F(配列番号85)とpUC57_R(配列番号86)を用いてコロニーPCR(SapphireAmp Fast PCR Master Mix、TAKARA製、製品番号RR350A、98℃・5sec.、55℃・5sec.、72℃・30sec.、35cycles)を行うことでプラスミドへの目的遺伝子断片の挿入を確認し、得られたプラスミドをpUC57-AOX3-Hygと命名した。pUC57-AOX3-Hygの塩基配列を配列番号87に示す。pUC57-AOX3-Hygの構築に使用したプライマーの配列を表9に示した。
Figure 0007331839000010
<Yarrowia lipolytica W29ΔURA3ΔAOX3株の構築>
次に、pUC57-AOX3-HygのプラスミドDNAを鋳型にプライマーAOX3_del_F(配列番号88)とAOX3_del_R(配列番号89)とでPCR(Prime star GXL(登録商標)、98℃・10sec.、55℃・5sec.、72℃・240sec.、40cycles)を行った。得られたPCR産物中の鋳型DNAを除くために、制限酵素DpnIで消化し、Wizard(登録商標)SV Gel and PCR Clean-UP system(Promega製、製品番号A9281)で精製し、得られたDNA断片を形質転換に用いた。続けて、Y.lipolytica W29ΔURA3株(以下、W29ΔURA3株と略称)のコンピテントセルを以下の手順に従って調製した。W29ΔURA3株を3mLのYPD培地(10g/L Bacto yeast extract、20g/L Polypeptone、20g/L Glucose)を用いて30℃で一晩培養した後、培養液30μLを新しい3mL YPD培地に再度接種し、吸光度(660nm)が0.8付近になるまで培養を行った。得られた培養液から菌体を遠心操作にて回収し、コンピテントセルの調製後、約1μgの精製したDNA断片と混合し形質転換を実施した。なお、コンピテントセルの調製および形質転換はFrozen-EZ Yeast Transfomation II Kit(ZYMO Research社、製品番号T2001)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。形質転換後の菌体溶液は、YPD培地にて30℃で一晩回復培養を行った後、菌体を回収し、300mg/LハイグロマイシンB(ナカライテスク製、製品番号07296-24)を含むYPD寒天培地に塗布し、30℃で2日間培養した。得られた形質転換体に対して、プライマーAOX3_check_F(配列番号90)とAOX3_check_R(配列番号91)を用いてコロニーPCR(KOD FX(登録商標)Neo DNA Polymerase、98℃・10sec.、55℃・30sec.、68℃・120sec.、40cycles)を行い、AOX3遺伝子の破壊を確認した。W29ΔURA3ΔAOX3株の構築に使用したプライマーの配列を表10に示した。
Figure 0007331839000011
<Y.lipolytica W29ΔURA3ΔAOX3株を利用した13-HODからのδ-デカラクトン生産試験>
上記で得られたW29ΔURA3ΔAOX3株を、YPD培地10mLを張り込んだ試験管に播種し、30℃で20時間、振盪培養し、前培養液Bを得た。前培養液B 7.5mLを、誘導培地50mLを張り込んだ500mLフラスコに接種し、30℃で20時間、120rpmの条件で振盪培養した。誘導培地の組成と調製法を表11に示す。得られた培養液を遠心分離(1000G、5分、4℃)することで菌体を回収した。その後、菌体をリン酸緩衝液(137mM NaCl、8.1mM NaHPO、2.68mM KCl、1.47mM KHPO)にて2回洗浄したものを、変換反応に用いた。
Figure 0007331839000012
Stock solution Bは以下の手順で調製した。0.1gのYeast extract、2.1gのKHPO、4.51gのKHPO、0.1gのNaCl、0.2gのMgSOを純水に溶解し、929mLにメスアップした。その後、120℃、15min.オートクレイブにて滅菌した。また、10g/L FeSO、50mg/L ZnCl、156mg/L CuSOは、各濃度の溶液を調製後、0.22μmのフィルターで滅菌濾過した物を利用した。放冷したStock solution B 929mLに1mL FeSO、10mL ZnCl、10mL CuSO4、50mL Glucoseを添加した。その後、オレイン酸7gを添加したものを誘導培地として使用した。
リン酸緩衝液は以下の手順で調製した。80gのNaCl、2gのKCl、22gのNaHPO・7HO、2gのKHPOを純水に溶解し、1Lにメスアップした後、120℃、15min.オートクレイブにて滅菌し、10倍濃度ストック溶液とした。そのストック溶液を10倍希釈してリン酸緩衝液として使用した。
13-HODを含む培養液は、前記に記載した方法に準じて各種13-LAHを発現させた菌株で培養した培養液を使用した。本培養液に対して、乾燥菌体重量あたり約4.2gDCW(Dry Cell Weight)/LとなるようにW29ΔURA3ΔAOX3株を稙菌し、30℃、120rpmの条件で6時間の振盪培養を実施した。なお、DCWを計算する際は、OD600の値に0.197を掛けた値を用いた。反応液中のδ-デカラクトンは以下のように分析した。変換反応後の培養液0.2mLを1.5mLキャップロック付きチューブに入れ、2N HCl溶液20μLと酢酸エチル0.6mLを加え、ボルテックスにて10秒間混合した。これを15,000rpm、25℃、10分間の条件にて遠心分離した。上層の酢酸エチル層200μLを回収し、以下の条件でGC-FID分析を行った。各種13-LAHを発現させた菌株で培養した培養液から生成したδ-デカラクトン量を表12に示す。
<δ-デカラクトンのGC-FID分析条件>
装置:GC―2010Plus(島津製作所)、カラム:DB-1ms、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm(部品番号122-0132)、注入量:5μL、注入法:スプリット20:1、注入口:230℃、カラム温度プログラム:90℃で開始後25℃/minで160℃まで昇温、その後5℃/minで180℃まで昇温、その後50℃/minで280℃まで昇温(2.5分間維持)、キャリアガス:ヘリウム、カラム流量:2.0mL・min、検出器:温度250℃、取り込み周期25Hz、メークアップ流量(Air)30mL・min
Figure 0007331839000013
GC-FIDの解析結果より、各種13-LAHを発現した株から得られる培養液の全てにおいて、δ-デカラクトンの生産が確認できた。以上より、本検討で得られた13-HODを利用してδ-デカラクトンへの変換が可能であることが示された。
本発明は、δ-デカラクトンの中間体として利用可能な13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造のために、さらにδ-デカラクトンの製造のために有用である。
配列番号1は、Lactobacillus acidophilus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、Lactobacillus amylovorus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、Lactobacillus helveticus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号4は、Lactobacillus gallinarum由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号5は、Lactobacillus crispatus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号6は、Lactobacillus kefiranofaciens由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号7は、Lactobacillus intestinalis由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号8は、Lactobacillus hamsteri由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号9は、Lactobacillus gasseri由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号10は、Pediococcus claussenii由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号11は、Lactobacillus ruminis由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号12は、Streptococcus infantarius由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号13は、Streptococcus mutans由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号14は、Streptococcus equinus由来13-LAHのアミノ酸配列を示す。
配列番号15は、化学合成したLactobacillus acidophilus由来13-LAH遺伝子(Laci_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号16は、化学合成したLactobacillus amylovorus由来13-LAH遺伝子(Lamy_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号17は、化学合成したLactobacillus helveticus由来13-LAH遺伝子(Lhel_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号18は、化学合成したLactobacillus gallinarum由来13-LAH遺伝子(Lgal_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号19は、化学合成したLactobacillus crispatus由来13-LAH遺伝子(Lcri_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号20は、化学合成したLactobacillus kefiranofaciens由来13-LAH遺伝子(Lkef_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号21は、化学合成したLactobacillus intestinalis由来13-LAH遺伝子(Lint_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号22は、化学合成したLactobacillus hamsteri由来13-LAH遺伝子(Lham_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号23は、化学合成したLactobacillus gasseri由来13-LAH遺伝子(Lgas_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号24は、化学合成したPediococcus claussenii由来13-LAH遺伝子(Pcla_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号25は、化学合成したLactobacillus ruminis由来13-LAH遺伝子(Lrum_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号26は、化学合成したStreptococcus infantarius由来13-LAH遺伝子(Sinf_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号27は、化学合成したStreptococcus mutans由来13-LAH遺伝子(Smut_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号28は、化学合成したStreptococcus equinus由来13-LAH遺伝子(Sequ_13-LAH)の塩基配列を示す。
配列番号29~32は、pET-22b(+)Kmの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号33~62は、13-LAH発現用プラスミドの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号63~76は、Yarrowia lipolyticaW29ΔURA3株の構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号77は、AOX3の塩基配列を示す。
配列番号78は、AOX3のアミノ酸配列を示す。
配列番号79は、pUC57-AOX3-Uraの塩基配列を示す。
配列番号80は、pUC57-TEF-Hygの塩基配列を示す。
配列番号81~86は、pUC57-AOX3-Hygの構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号87は、pUC57-AOX3-Hygの塩基配列を示す。
配列番号88~91は、Yarrowia lipolytica W29ΔURA3ΔAOX3株の構築に使用したプライマーの塩基配列を示す。

Claims (12)

  1. 記からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成することを含む、13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸の製造方法:
    (1A)配列番号4のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (1B)配列番号4のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (1C)配列番号4のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (2A)配列番号5のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (2B)配列番号5のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (2C)配列番号5のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (3A)配列番号8のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (3B)配列番号8のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (3C)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (4A)配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (4B)配列番号9のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (4C)配列番号9のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (5A)配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (5B)配列番号10のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (5C)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (6A)配列番号13のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (6B)配列番号13のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (6C)配列番号13のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (7A)配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (7B)配列番号14のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
    (7C)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質
  2. 前記タンパク質が、前記(3A)~(3C)、(4A)~(4C)、(6A)~(6C)、(7A)~(7C)からなる群より選ばれるタンパク質である、請求項1記載の方法。
  3. 前記同一性が95%以上である、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記タンパク質が、ラクトバチルス・ガリナラム(Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、Pediococcus claussenii)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、請求項1記載の方法。
  5. 前記タンパク質が、ラクトバチルス・ハムステリ(Lactobacillus hamsteri)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、およびストレプトコッカス・エクイナス(Streptococcus equinus)からなる群から選ばれる微生物由来リノレート13-ヒドラターゼである、請求項4記載の方法。
  6. 前記形質転換微生物が、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現単位を含む微生物である、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
  7. 前記形質転換微生物が、エシェリヒア属細菌である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記形質転換微生物が、エシェリヒア・コリである、請求項7記載の方法。
  9. δ-デカラクトンの製造方法であって、
    (i)下記からなる群より選ばれるタンパク質を産生する形質転換微生物の存在下において、リノール酸から13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸を生成すること:
    (1A)配列番号4のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (1B)配列番号4のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (1C)配列番号4のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (2A)配列番号5のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (2B)配列番号5のアミノ酸配列において、1~20個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (2C)配列番号5のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (3A)配列番号8のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (3B)配列番号8のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (3C)配列番号8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (4A)配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (4B)配列番号9のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (4C)配列番号9のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (5A)配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (5B)配列番号10のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (5C)配列番号10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (6A)配列番号13のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (6B)配列番号13のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (6C)配列番号13のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;
    (7A)配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質;
    (7B)配列番号14のアミノ酸配列において、1~50個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、もしくは付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質;ならびに
    (7C)配列番号14のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、リノレート13-ヒドラターゼ活性を有するタンパク質
    および
    (ii)13-ヒドロキシ-9(Z)-オクタデセン酸からδ-デカラクトンを生成すること
    を含む方法。
  10. (ii)が、β酸化活性を有する微生物の存在下において行われる、請求項9記載の方法。
  11. 前記β酸化活性を有する微生物が、アルデヒドオキシダーゼの活性が野生型に比べて低下した微生物である、請求項10記載の方法。
  12. 前記β酸化活性を有する微生物が、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipoytica)である、請求項11記載の方法。
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