JP2020141560A - 新規アルデヒド合成酵素遺伝子、当該遺伝子を有する組換え微生物及びこれを用いたアルカンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中鎖アルデヒドの合成活性を有する新規なアルデヒド合成酵素遺伝子、当該遺伝子を有する組換え微生物及びこれを用いたアルカンの製造方法の提供。【解決手段】中鎖アルコールの酸化活性及びアルデヒド合成能を指標にスクリーニングされたアルデヒド高生産菌:Pantoea sp.より単離された遺伝子、当該遺伝子に加え、デカルボニラーゼ遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシン還元酵素遺伝子を導入した組換え微生物、及びこの微生物を用いたアルカンの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、アルコールをアルデヒドに変換する活性を有する新規アルデヒド合成酵素遺伝子、当該遺伝子を有する組換え微生物及びこれを用いたアルカンの製造方法に関する。
近年、化石燃料に代わるエネルギーとして、バイオ燃料に注目が集まっている。現在用いられているバイオ燃料としては、トウモロコシやサトウキビを原料とするバイオエタノールや、植物油を原料とした脂肪酸メチルエステルを主成分とするバイオディーゼルなどが挙げられる。しかし、これらのバイオ燃料は、酸化劣化や、低温流動性又は噴霧特性の悪さ等の問題を抱えている(非特許文献1及び2)。
一方、上述したバイオ燃料の抱える問題を解決し、より化石燃料に近い成分のバイオ燃料として、次世代バイオ燃料が着目されている。次世代バオ燃料とは、食料と競合しない非食用のバイオマスを原料とするバイオ燃料である。次世代バイオ燃料に関する多くの研究があり、ディーゼルや航空燃料として炭素数10〜16の中鎖アルカンが適しているといわれている(非特許文献3)。アルカンは、軽油やガソリンといった化石燃料の主成分であり、バイオエタノールやバイオディーゼルと比較してエネルギー密度の高さや現行インフラへの適合性などにおいて利点がある。
アルカンを合成する技術として、アシルACP還元酵素(acyl-ACP reductase[EC 1.2.1.80])とデカルボニラーゼ(decarbonylase[EC 4.1.99.5])とを細胞内で共発現させることによりアルカンを合成する技術が知られている(特許文献1)。ここでアシルACP還元酵素は生物の細胞膜構成成分として普遍的に存在する脂肪酸の原料であるアシル-ACPをアルデヒドに変換する酵素である。また、デカルボニラーゼはアルデヒドをアルカンに変換する酵素である。
アシルACP還元酵素については、炭素数18のアシル-ACPに対する基質特異性が高く、炭素数18のアルデヒドを合成する能力が高いことが知られている(非特許文献4)。一方、デカルボニラーゼについては、基質特異性は高くなく、種々の鎖長のアルデヒドを基質とすることが知られている(非特許文献5)。
ところで、アルデヒドは、アシル-CoAからアシル-CoA還元酵素[EC 1.2.1.50]によって合成される経路、脂肪酸からカルボン酸還元酵素(carboxylic acid reductase[EC 1.2.99.6])やアルデヒドデヒドロゲナーゼ(aldehyde dehydrogenase[EC 1.2.1.3])によって合成される経路、アルコールからアルコールデヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase[EC 1.1.1.1])やアルコール酸化酵素(alcohol oxidase[EC 1.1.3.13])によって合成される経路が知られている。
しかしながら、炭素数6〜18程度の中鎖アルデヒドを合成する有効な方法は知られていない(非特許文献6)。このような中鎖アルデヒドを合成できれば、基質特異性の低い、種々の鎖長のアルデヒドを基質とするデカルボニラーゼを用いて中鎖のアルカンを合成できることとなる。
また、微生物でアルデヒドを合成しようとした場合、細胞内で合成されたアルデヒドが内在性のアルコールデヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)等の酸化還元酵素によりアルコールまで還元されてしまうという問題がある(非特許文献7)。アルコールデヒドロゲナーゼは、高いタンパク質当たりの活性を有している。一般に、アルコールデヒドロゲナーゼは、アルデヒドをアルコールに還元するが、中にはその逆のアルコールをアルデヒドに酸化するものも知られている(特許文献2)。
US Patent No. 8,846,371 特開平7-313153号公報
Yoshimoto et al. (2009) J. Combust. Soc. Jpn., 51, 121-128 Park et al. (2011) Fuel, 90, 633-639 Biotech. Adv., 30, 989-1000 (2012) FEBS J, 280, 4773-4781(2013) PNAS, 110, 8, 3191-3196 (2013) Appl. Environ. Micro., 81, 6, 1892-1901(2015) Fatma et al. (2016) Metab. Eng.,37, 35-45
しかしながら、バイオ燃料に使用可能な中鎖アルデヒドの合成活性を有する酵素は知られていなかった。そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、中鎖アルデヒドの合成活性を有する新規な新規アルデヒド合成酵素遺伝子、当該遺伝子を有する組換え微生物及びこれを用いたアルカンの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、従来公知のアルデヒド合成酵素とは異なるアミノ酸配列を有し、中鎖アルデヒドの合成活性を有する新規アルデヒド合成酵素を見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)以下、(a)又は(b)のタンパク質をコードするアルデヒド合成酵素遺伝子。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有し、36番目のバリン及び322番目のバリンが保存されたアミノ酸配列からなり、アルコールからアルデヒドを合成する活性を有するタンパク質
(2)上記(1)記載のアルデヒド合成酵素遺伝子によりコードされるアルデヒド合成酵素。
(3)上記(1)記載のアルデヒド合成酵素遺伝子と、当該遺伝子の発現を制御する制御領域とを有する発現ベクター。
(4)上記(1)記載のアルデヒド合成酵素遺伝子を宿主微生物に導入した組換え微生物。
(5)上記宿主微生物は大腸菌又はKlebsiella属細菌であることを特徴とする(4)記載の組換え微生物。
(6)デカルボニラーゼ遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシン還元酵素遺伝子を更に導入したことを特徴とする(4)記載の組換え微生物。
(7)上記(4)〜(6)いずれかに記載の組換え微生物を培養する工程を含むアルカンの製造方法。
(8)上記組換え微生物を培養する培地はアルカリ性であることを特徴とする(7)記載のアルカンの製造方法。
(9)上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収する工程を更に含むことを特徴とする(7)記載のアルカンの製造方法。
(10)上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収し、回収したアルカンを精製する工程を更に含むことを特徴とする(7)記載のアルカンの製造方法。
(11)炭素数9〜20のアルカンを製造することを特徴とする(7)記載のアルカンの製造方法。
本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子は、新規なアミノ酸配列を有し、アルカリ性下においてアルコールからアルデヒドを合成する活性を有するタンパク質をコードする。よって、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子を利用することによって、アルカン合成能に優れた組換え微生物を取得することができる。また、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子を導入した組換え微生物を利用したアルカン合成系におけるアルカン生産性を大幅に向上させることができ、アルカン製造における大幅なコストダウンが可能となる
実施例3で精製したアルデヒド合成酵素の酵素活性についてpH依存性を測定した結果を示す特性図である。 実施例3で精製したアルデヒド合成酵素について基質特異性を検討した結果を示す特性図である。 実施例3で単離したアルデヒド合成酵素遺伝子を導入した形質軽質転換体を用いてアルカンを合成した結果を示す特性図である。 with adhP株及びwithout adhP株について、培養経過に伴って生成されるアルカン及びアルコールを測定した結果を示す特性図である。 with adhP株及びwithout adhP株について、培養経過に伴って生成されるアルカン成分及びアルコール成分を分析した結果を示す特性図である。
以下、本発明を図面及び実施例を用いてより詳細に説明する。
<アルデヒド合成酵素遺伝子>
本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子は、アルコールを酸化してアルデヒドを合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子には、後述の実施例に開示したように、中鎖アルコールの酸化活性及びアルデヒド合成能を指標にスクリーニングされたアルデヒド高生産菌:Pantoea sp.より単離した遺伝子が含まれる。なお、従来、Pantoea sp. AS-PWVM4由来のアルコールデヒドロゲナーゼとしては、adhP遺伝子によりコードされる36.8kDaのタンパク質が知られている。アルデヒド高生産菌:Pantoea sp.より単離した遺伝子は、この従来公知のアルコールデヒドロゲナーゼに対して二か所のアミノ酸残基が相違する新規なタンパク質をコードすることが明らかとなっている。
アルデヒド高生産菌:Pantoea sp.より単離した遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示し、当該遺伝子のコーディング領域の塩基配列を配列番号1に示している。Pantoea sp. AS-PWVM4由来のadhP遺伝子がコードするアルコールデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列とを比較すると、配列番号2に示したアミノ酸配列におけるN末端から36番目のバリン及び322番目のバリンが相違している。なお、Pantoea sp. AS-PWVM4由来のadhP遺伝子がコードするアルコールデヒドロゲナーゼにおいて、N末端から36番目のアミノ酸がイソロイシン及び322番目のアミノ酸がスレオニンである。
本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子は、配列番号1の塩基配列からなるコーディング領域を有する遺伝子、或いは配列番号2に示したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子に限定されず、例えば、上記36番目のバリン及び322番目のバリンが維持されているならば、配列番号2のアミノ酸配列に対して類似性及び/又は同一性の高いアミノ酸配列を有するものが挙げられる。具体的には、配列番号2のアミノ酸配列に対して50%以上の同一性、好ましくは60%以上の同一性、より好ましくは70%以上の同一性、更に好ましくは80%以上の同一性、更に好ましくは85%以上の同一性、最も好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つアルデヒド合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。或いは、具体的には、配列番号2のアミノ酸配列に対して80%以上の類似性、好ましくは85%以上の類似性、より好ましくは90%以上の類似性、更に好ましくは95%以上の同一性、更に好ましくは97%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つアルデヒド合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。
同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。また、類似性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基と性質が類似するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子は、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものに限定されず、例えば、上記36番目のバリン及び322番目のバリンが維持されているならば、配列番号2のアミノ酸配列において1又は複数個、好ましくは1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。ここで、複数個とは、例えば、2〜40個とすることができ、2〜30個とすることが好ましく、2〜20個とすることが好ましく、2〜10個とすることがより好ましく、2〜5個とすることが最も好ましい。
さらに、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子は、配列番号1の塩基配列からなるコーディング領域を有するものに限定されず、例えば、上記36番目のバリン及び322番目のバリンを維持したタンパク質をコードするならば、配列番号1の塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドからなるコーディング領域を有するものであってもよい。ここで「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。より詳細には、ストリンジェントな条件としては、例えば、ナトリウム濃度が25〜500mM、好ましくは25〜300mMであり、温度が42〜68℃、好ましくは42〜65℃である。より具体的には、5×SSC(83mM NaCl、83mMクエン酸ナトリウム)、温度42℃である。
なお、上述のように、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号1の塩基配列とは異なる塩基配列によりコードされるタンパク質では、上述した36番目のバリン及び322番目のバリンの位置がそれぞれ36番目及び322番目とは異なる位置になる場合がある。
なお、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるアルデヒド合成酵素をコードする塩基配列や、配列番号1に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
ところで、配列番号2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号1に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAによりコードされるタンパク質がアルデヒド合成活性を有することは、定法に従って確認することができる。一例としては、まず、対象となるタンパク質をコードする遺伝子を宿主(例えば、大腸菌)で発現できるような発現ベクターを構築する。次に、構築した発現ベクターで宿主を形質転換し、宿主内で上記遺伝子を発現させる。次に培養液に含まれる宿主を超音波処理により破砕し、その後、不要物を遠心分離等により除去して粗タンパク液を得る。その後、SDS-PAGEにより単一のバンドとなるまで精製し、上記遺伝子によりコードされる精製タンパク質を得る。そして、得られた精製タンパク質を用いて、基質となるアルコール(例えば1-テトラデカノール)を酸化してアルデヒド(例えばテトラデカナール)を生成するかを確認する。基質のアルコールが減少し、アルデヒドを生成している場合には、上記遺伝子によりコードされるタンパク質は、アルデヒド合成酵素活性を有するものであると結論付けることができる。
以上のように、本発明に係る新規なアルデヒド合成酵素遺伝子は、特に中鎖アルコールを酸化して中鎖アルデヒドを合成することができる。中鎖アルデヒドとは、炭素数4〜18、好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜12のアルデヒドを意味するこのような中鎖アルデヒドは、後述するデカルボニラーゼの基質として利用されアルカンとなる。
特に、本発明に係る新規なアルデヒド合成酵素遺伝子がコードするアルデヒド合成酵素は、アルカリ性の環境下においてはアルコールを酸化してアルデヒドを生成する反応を触媒し、酸性の環境下には逆反応であるアルデヒドを還元してアルコールを生成する反応を触媒する。このことから、本発明に係る新規なアルデヒド合成酵素遺伝子を導入した組換え体を用いたアルコール及び/又はアルデヒドの発酵培養系において、培養反応のpHを変更するといった簡便な方法によって、アルコール及び/又はアルデヒドの合成量を制御することができる。アルコールやアルデヒドは、種々の代謝産物の中間体であることから、本発明に係る新規なアルデヒド合成酵素遺伝子、当該アルデヒド合成酵素遺伝子を導入した組換え体を様々な物質制裁に応用することができる。
<デカルボニラーゼ遺伝子>
デカルボニラーゼ遺伝子は、デカルボニラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を意味する。デカルボニラーゼ活性とは、基質となるアルデヒド化合物を脱カルボニルして炭化水素(アルカン)を生成する活性を意味する。デカルボニラーゼ遺伝子としては、一例として、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードする野生型デカルボニラーゼのアミノ酸配列を配列番号5に示す。なお、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子のコーディング領域の塩基配列を配列番号4に示す。
ただし、デカルボニラーゼ遺伝子としては、配列番号4及び5により特定される遺伝子に限定されず、配列番号5のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼをコードするものであっても良い。配列番号5のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードするデカルボニラーゼと類似性及び/又は同一性の高いアミノ酸配列を有するものが挙げられる。具体的には、配列番号5のアミノ酸配列に対して50%以上の同一性、好ましくは60%以上の同一性、より好ましくは70%以上の同一性、更に好ましくは80%以上の同一性、更に好ましくは85%以上の同一性、最も好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ上述したデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。或いは、具体的には、配列番号5のアミノ酸配列に対して80%以上の類似性、好ましくは85%以上の類似性、より好ましくは90%以上の類似性、更に好ましくは95%以上の類似性、更に好ましくは97%以上の類似性を有するアミノ酸配列からなり、且つ上述したデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。
同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。また、類似性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基と性質が類似するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、配列番号5のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、配列番号5に示すアミノ酸配列に対して、1〜50個のアミノ酸、好ましくは1〜40個のアミノ酸、より好ましくは1〜30個のアミノ酸、更に好ましくは1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質でも良い。
さらに、配列番号5のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼとしては、配列番号4に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつデカルボニラーゼ活性を有するタンパク質でも良い。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号5のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるデカルボニラーゼをコードする塩基配列や、配列番号4に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
ここで、N. punctiforme PCC 73102株由来のデカルボニラーゼ遺伝子がコードするデカルボニラーゼと類似性及び/又は同一性の高いアミノ酸配列を有するデカルボニラーゼは、タンパク質のアミノ酸配列情報を格納したデータベース(例えばGenBank)を利用することで特定し、その塩基配列情報やアミノ酸配列情報を取得することができる。
例えば、デカルボニラーゼ遺伝子としては、[1]Nostoc punctiformeのNpun_R1711に代表されるデカルボニラーゼ(Science, Vol. 329, p. 559-562, (2010))、[2]アルデヒドデヒドロゲナーゼ類縁のデカルボニラーゼ(特許第5867586号)、[3]シロイヌナズナのCer1遺伝子に代表される長鎖アルカン合成酵素(Plant Cell, 24, 3106-3118, 2012)及び[4]ショウジョウバエのCYP4G1遺伝子に代表されるP450系のアルカン合成酵素(PNAS, 109, 37, 14858-14863, 2012)の4種類を挙げることができる。
より具体的に上記[1]については、Nostoc punctiformeのNpun_R0380(Npun_R1711のパラログ)、Nostoc sp.のNos7524_4304、Anabaena cylindricaのAnacy_3389、Anabaena azollaeのAazo_3371、Cylindrospermum stagnaleのCylst_0697、Gloeocapsa sp.のGlo7428_0150、Calothrix sp.のCal7507_5586、Fischerella sp.のFIS3754_06310、Microcoleus sp.のMic7113_4535、Chroococcidiopsis thermalisのChro_1554、Geitlerinema sp.のGEI7407_1564、Cyanothece sp.のCyan8802_0468等を挙げることができる。
上記[2]については、Escherichia coli K-12 W3110由来のBAE77705、BAA35791、BAA14869、BAA14992、BAA15032、BAA16524、BAE77705、BAA15538及びBAA15073;Pseudomonas putida_F1由来のYP_001268218、YP_001265586、YP_001267408、YP_001267629、YP_001266090、YP_001270490、YP_001268439、YP_001267367、YP_001267724、YP_001269548、YP_001268395、YP_001265936、YP_001270470、YP_001266779及びYP_001270298;Bacillus subtilis 168株由来のNP_388129、NP_389813、NP_390984、NP_388203、NP_388616、NP_391658、NP_391762、NP_391865及びNP_391675;Corynebacterium glutamicum ATCC13032由来のNP_599351、NP_599725、NP_601988、NP_599302、NP_601867及びNP_601908;Lactobacillus reuteri DSM20016由来のYP_001270647;Saccharomyces cerevisiae由来のNP_010996、NP_011904、NP_015264、NP_013828、NP_009560、NP_015019、NP_013893、NP_013892及びNP_011902;Candida tropicalis MYA-3404由来のXP_002548035、XP_002545751、XP_002547036、XP_002547030、XP_002550712、XP_002547024、XP_002550173、XP_002546610及びXP_002550289;Debaryomyces hansenii CBS767由来のXP_460395、XP_457244、XP_457404、XP_457750、XP_461954、XP_462433、XP_461708及びXP_462528;Pichia pastoris GS115由来のXP_002489360、XP_002493450、XP_002491418、XP_002493229、XP_002490175、XP_002491360及びXP_002491779;Schizosaccharomyces pombe由来のNP_593172、NP_593499及びNP_594582;Aspergillus oryzae RIB40由来のXP_001822148、XP_001821214、XP_001826612、XP_001817160、XP_001817372、XP_001727192、XP_001826641、XP_001827501、XP_001825957、XP_001822309、XP_001727308、XP_001818713、XP_001819060、XP_001823047、XP_001817717及びXP_001821011;Zea mays由来のNP_001150417、NP_001105047、NP_001147173、NP_001169123、NP_001105781、NP_001157807、NP_001157804、NP_001105891、NP_001105046、NP_001105576、NP_001105589、NP_001168661、NP_001149126及びNP_001148092;Arabidopsis thaliana由来のNP_564204、NP_001185399、NP_178062、NP_001189589、NP_566749、NP_190383、NP_187321、NP_190400、NP_001077676及びNP_175812;Drosophila melanogaster由来のNP_733183、NP_609285、NP_001014665、NP_649099、NP_001189159、NP_610285及びNP_610107;Rattus norvegicus由来のNP_001006999、XP_001067816、XP_001068348、XP_001068253、NP_113919、XP_001062926、NP_071609、NP_071852、NP_058968、NP_001011975、NP_115792、NP_001178017、NP_001178707、NP_446348、NP_071992、XP_001059375、XP_001061872及びNP_001128170;Homo sapiens由来のNP_036322、NP_001193826、NP_001029345、NP_000684、NP_000680、NP_000683、NP_000681、NP_001071、NP_000687、NP_001180409、NP_001173、NP_000682、NP_000373、NP_001154976、NP_000685及びNP_000686;Klebsiella sp. NBRC100048株由来のKPN_02991、KPN_1455及びKPN_4772等を挙げることができる。
上記[3]については、Arabidopsis thaliana(シロイヌナズナ)のAT1G02190とAT1G02205(CER1)、Oryza sativa(コメ)の4330012、Solanum lycopersicum(トマト)の101252060、Capsella rubella(ホソミナズナ)のCARUB_v10008547mg、Brassica napus(セイヨウアブラナ)の106437024、Brassica rapa (ハクサイ)の103843834、Eutrema salsugineum(ユリワサビ)のEUTSA_v10009534mg、Tarenaya hassleriana(セイヨウフウチョウソウ)の104810724、Gossypium raimondii(ワタ)の105773703、Theobroma cacao(カカオ)のTCM_042351、Vitis vinifera(ワインブドウ)の100243849、Sesamum indicum(ゴマ)の105167221、Eucalyptus grandis(ユーカリ)の104442848、Pyrus bretschneideri(中国白桃)の103929751、Arachis ipaensisの107618742及びMalus domestica(リンゴ)の103428452等を挙げることができる。
上記[4]については、Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)のCYP4G1、Musca domestica(イエバエ)の101887882、Aedes aegypti(ネッタイシマカ)のAaeL_AAEL006824及びAnopheles gambiae(ハマダラカ)のAgaP_AGAP000877等を挙げることができる。
<フェレドキシン遺伝子>
上述したデカルボニラーゼにより、アルデヒドからアルカンを合成する系においてフェレドキシンを存在させることで、アルカンの生産性を向上する。また、フェレドキシンに加えてフェレドキシンNADPHレダクターゼ(フェレドキシンNADP+レダクターゼと称する場合もある)を存在させることにより、アルカンの生産性を更に顕著に向上させることができる。
フェレドキシンとは、内部に鉄-硫黄クラスター(Fe-Sクラスター)を含む鉄硫黄タンパク質であり、電子伝達体として機能するタンパク質である。フェレドキシン遺伝子としては、特に限定されず、如何なる生物由来の遺伝子を使用しても良い。例えば、DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベース等の遺伝子情報を格納したデータベースを参照することで、様々な生物種由来のフェレドキシン遺伝子に関する塩基配列やフェレドキシンのアミノ酸配列を特定することができる。
より具体的に、フェレドキシン遺伝子としては、特に限定されないが、例えばNostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシン遺伝子(YP_001865513)を使用することができる。Nostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシン遺伝子がコードするフェレドキシンのアミノ酸配列を配列番号7に示す。なお、Nostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシン遺伝子のコーディング領域の塩基配列を配列番号6に示す。
なお、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号7に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号7に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号7に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号7に示すアミノ酸配列に対して、1〜20個のアミノ酸、好ましくは1〜15個のアミノ酸、より好ましくは1〜10個のアミノ酸、更に好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらに、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号6に示す塩基酸配列からなるものに限定されず、配列番号6に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードするものでもよい。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号7に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号6に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
一方、フェレドキシンNADPHレダクターゼとは、フェレドキシンとNADPHとの間の酸化還元反応を触媒する酵素である。上述したデカルボニラーゼによりアルデヒドからアルカンを合成する系においてフェレドキシンとともにフェレドキシンNADPHレダクターゼを存在させるには、一例として、フェレドキシンをコードする遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼをコードする遺伝子を導入すればよい。フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、特に限定されず、如何なる生物由来の遺伝子を使用しても良い。例えば、DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベース等の遺伝子情報を格納したデータベースを参照することで、様々な生物種由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子に関する塩基配列やフェレドキシンNADPHレダクターゼのアミノ酸配列を特定することができる。
より具体的に、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、特に限定されないが、例えばNostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子(YP_001866231)を使用することができる。Nostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子がコードするフェレドキシンNADPHレダクターゼのアミノ酸配列を配列番号9に示す。なお、Nostoc punctiforme PCC73102由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子のコーディング領域の塩基配列を配列番号8に示す。
なお、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号9に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号9に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号9に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号9に示すアミノ酸配列に対して、1〜50個のアミノ酸、好ましくは1〜40個のアミノ酸、より好ましくは1〜30個のアミノ酸、更に好ましくは1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらに、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号8に示す塩基酸配列からなるものに限定されず、配列番号8に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードするものでもよい。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号9に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号9に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
<アシルACPレダクターゼ遺伝子>
上述したデカルボニラーゼが基質として利用するアルデヒドは、上述した本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子がコードするアルデヒド合成酵素によりアルコールから合成されるものに限定されず、例えば、アシル-ACPから脂肪アルデヒドへの変換を触媒するアシルACPレダクターゼ遺伝子によるものであっても良い。言い換えると、アシルACPレダクターゼ遺伝子を利用することで、上述したデカルボニラーゼの基質となるアルデヒドを供給することができる。
アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、特に限定されず、EC 1.2.1.80として登録されたアシルACPレダクターゼをコードするものを使用することができる。例えば、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、Synechococcus elongatusのSynpcc7942_1594、Synechococcus sp.のM744_09025、Leptolyngbya sp.のLEP3755_23580、Gloeocapsa sp.のGlo7428_0151、Nostoc sp.のNos7107_1027、Anabaena variabilisのAva_2534、Calothrix sp.のIJ00_07395、Crinalium epipsammumのCri9333_4415及びFischerella sp.のFIS3754_06320等を挙げることができる。
例えば、Synechococcus elongatus PCC 7942株由来のアシルACPレダクターゼ遺伝子は配列番号11のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子である。ただし、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、配列番号11のアミノ酸配列に対して60%以上の同一性、好ましくは70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりアシルACPレダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするものであっても良い。
同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
さらに、アシルACPレダクターゼ遺伝子をとしては、配列番号11に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号11に示すアミノ酸配列に対して、1〜50個のアミノ酸、好ましくは1〜40個のアミノ酸、より好ましくは1〜30個のアミノ酸、更に好ましくは1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりアシル-ACPレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらにまた、アシルACPレダクターゼ遺伝子としては、配列番号10に示す塩基配列からなるものに限定されず、配列番号10に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアシル-ACPレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号11に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号10に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
また、上述したアシルACPレダクターゼ遺伝子に代えて、上述したデカルボニラーゼ変異体の基質となるアルデヒドを合成する酵素をコードする遺伝子を使用することができる。
例えば、Photorhabdus luminescensのplu2079(luxC)、Photorhabdus asymbioticaのPAU_02514(luxC)、Aliivibrio fischeriのVF_A0923(luxC)及びVibrio campbelliiのVIBHAR_06244、Shewanella woodyiのSwoo_3633等の長鎖脂肪酸アシルCoAレダクターゼ [EC.1.2.1.50]をコードする遺伝子を使用することができる。また、例えばGlycine max(ダイズ)の100776505及び100801815等といった特開2015-226477記載のアシルCoAレダクターゼをコードする遺伝子を使用することができる。さらに、これらの他に、アルデヒドを合成できる酵素をコードする遺伝子であれば、何ら限定すること無く使用することができる。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ[EC.1.1.1.1]、アルコールオキシダーゼ[EC. 1.1.3.13]、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[EC. 1.2.1.3]及びカルボン酸レダクターゼ[EC. 1.2.99.6]等の酵素をコードする遺伝子を使用することができる。
<組換え微生物>
本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子を、上述したデカルボニラーゼ遺伝子とともに宿主微生物に導入することで、アルカン合成能を有する組換え微生物を作製することができる。本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子を導入する微生物としては、特に限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)及びKlebsiella属細菌を挙げることができる。なお、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子及びデカルボニラーゼ遺伝子を導入する微生物として酵母を使用することもできる。酵母としては特に限定されないが、Pichia stipitis等のPichia属酵母、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属酵母及びCandida tropicalisやCandida parapsilosis等のCandida属酵母等を挙げることができる。
上述したアルデヒド合成酵素遺伝子、デカルボニラーゼ遺伝子、フェレドキシン遺伝子、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子及びアシルACPレダクターゼ遺伝子等を宿主に導入する際、例えば、これら遺伝子を含むDNA断片を、宿主微生物で機能する発現ベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを微生物に導入して形質転換すればよい。使用可能な発現ベクターは、特に限定されず、プラスミド型ベクター、又は宿主生物中のゲノムに組み込み可能な染色体導入型ベクターを挙げることができる。発現ベクターとしては、特に限定されず、入手可能な如何なる発現ベクターを宿主微生物に応じて適宜選択すればよい。なお、発現ベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNA(YAC:yeast artificial chromosome)などが挙げられる。
プラスミド DNAとしては、例えばpRS413、pRS414、pRS415、pRS416、YCp50、pAUR112又はpAUR123などのYCp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pYES2又はYEp13などのYEp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pAUR101又はpAUR135などのYIp型大腸菌-酵母シャトルベクター、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pTV118N、pTV119N、pBluescript、pHSG298、pHSG396又はpTrc99AなどのColE系プラスミド、pACYC177又はpACYC184などのp15A系プラスミド、pMW118、pMW119、pMW218又はpMW219などのpSC101系プラスミド等)、アグロバクテリウム由来のプラスミド(例えばpBI101等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)、φX174、M13mp18又はM13mp19などが挙げられる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子などが挙げられる。YAC用ベクターとしてはpYACC2などが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
発現ベクターにおいて、上述した遺伝子は、発現可能な状態でベクターに組み込まれることが必要である。発現可能な状態とは、宿主生物において所定のプロモーターの制御下に発現されるように、各遺伝子とプロモーターとを連結してベクターに組み込むことを意味する。発現ベクターには、上述した遺伝子のほか、プロモーター及びターミネータ、所望によりエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)等を連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えば、アンピシリン耐性遺伝子やカナマイシン耐性遺伝子やハイグロマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
また、発現ベクターを用いた形質転換法としても、従来公知の方法を適宜使用することができる。形質転換方法としては、塩化カルシウム法、コンピテントセル法、プロトプラスト又はスフェロプラスト法、電気パルス法等を例示することができる。
一方、上述した遺伝子のコピー数を高めるように導入しても良い。すなわち、遺伝子を微生物の染色体DNA上に多コピー存在させるように導入しても良い。微生物の染色体DNA上に遺伝子を多コピーで導入するには、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して相同組換えにより行うことができる。
さらに、遺伝子の発現の増強は、導入した遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を、より高発現可能なものに置換する方法、所定の遺伝子の発現を上昇させるようなレギュレーターを導入する方法などによっても達成される。高発現可能なプロモーターとしては、特に限定されないが、例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、pLプロモーター等を挙げることができる。
<アルカン製造>
以上で説明したように、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子及びデカルボニラーゼ遺伝子を導入した組換え微生物を使用することでアルカンを優れた生産性で合成できる。また、これら遺伝子に加えて更に、フェレドキシン遺伝子、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子及びアシルACPレダクターゼ遺伝子を導入した組換え微生物を使用することでアルカンを更に優れた生産性で合成できる。これら組換え微生物を使用する系では、これら微生物に適した培地にて培養し、当該培地中にアルカンを生産することができる。より具体的には、本発明によれば、アルカン合成酵素によるアルカン合成能を向上させることができ、その結果、アルカンの生産性を向上することができる。
本発明において、生産対象のアルカンとしては特に限定されないが、例えば炭素数が9〜20の範囲、好ましくは14〜17の範囲、より好ましくは13〜16の範囲のアルカンとする。これらは、粘度の高い液体であり、軽油(ディーゼル油)や航空機燃料に使用することができる。このようなアルカンは、上述した組換え微生物を培養した反応系から定法に従って単離し、その後、精製することができる。また、ENGINEERING IN LIFE SCIENCES、巻: 16 号: 1 ページ: 53-59“Biosynthesis of chain-specific alkanes by metabolic engineering in Escherichia coli”に記載の方法を適用することで、短い鎖長のアルカンを合成することができる。
特に、本発明に係るアルデヒド合成酵素遺伝子がコードするアルデヒド合成酵素は、アルカリ性の環境下においてアルデヒド合成活性が高くなる。よって、上述した組換え微生物を培養する際には、培地のpHを7.0より大きくする、好ましくはpHを7.1〜8.5、より好ましくはpHを7.1〜7.5とする。培地中のpHをこの範囲とすることによって、アルカンの生産性をより向上することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、アルコールを利用したアルデヒド合成能を有する微生物を同定し、同定した微生物からアルデヒド合成酵素遺伝子を単離し、単離したアルデヒド合成酵素遺伝子を用いた組換え微生物及びアルカン合成系を構築した。なお、特に断らない限りすべての試薬は和光純薬工業株式会社より購入した。
〔実施例1〕
土壌等より菌約850株を単離した。次に1-テトラデカノール(東京化成工業株式会社製)1mM、NAD+(オリエンタル酵母工業株式会社)3mM、NADP+(オリエンタル酵母工業株式会社)3mM、0.5%(v/v)のTritonX-100溶液を含む1mLの100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に小スパテル1杯分程度の菌体を加え、28℃、300rpmで4時間反応させた。その後、3000rpmで10分間遠心し、上清を100μLを採取して吸光度分析に供した。100μLの反応液上清を96穴マイクロプレートに分注し、マイクロプレートリーダー、Spectra Max Plus384(Molecular devices CA, USA にて340nmの吸光度を測定した。その際、菌体を添加しない反応液をブランクとし、吸光度の値の補正を行った。基質無しのコントロールと比較して、約0.1以上吸光度が上昇した株を二次スクリーニングに回した。
〔実施例2〕
実施例1において、吸光度分析による一次スクリーニングで選抜した株を二次スクリーニングに供した。まず、1-テトラデカノール(東京化成工業株式会社)2mM、NAD+(オリエンタル酵母工業株式会社)5mM、NADP+(オリエンタル酵母工業株式会社)5mM、0.5%(v/v)のTritonX-100溶液を含む1mLの100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)に小スパテル1杯分程度の風乾菌体を加え、28℃、300rpmで24時間反応させた。その後、反応液に1N HClを200μL、飽和食塩水500μL、内部標準(5mMの1-オクタデカノールのメタノール溶液)100μLを加え、トルエン1mLで抽出し、ガスクロマトグラフィ分析(株式会社島津製作所)に供した。分析条件は以下のように設定した。
カラム:Nukol, 30m x 0.25mm I.D.カラム(SUPELCO)
検出器(温度): FID (200℃)
注入法:スプリット
キャリアガス(圧力):He (100kPa/cm2)
気化室温度:200℃
分析時間:60分間
温度勾配:初期温度80℃から5℃/minで112.5℃へ、そこから40℃/minで190℃、以後190℃で51.56minを維持
その結果、合計21株でテトラデカナールの生成を確認し、46株でテトラデカン酸の生成を確認した(なお、これらのうち18株ではテトラデカナール及びテトラデカン酸の両方が見られた)。その中から、1-テトラデカノール酸化活性が高い株として、Pantoea sp.を選抜した。
〔実施例3〕
本実施例では、優れたアルデヒド合成能を有する微生物として同定されたPantoea sp.からアルデヒド合成酵素遺伝子を同定した。まず、実施例2で同定したPantoea sp.を、0.5%(NH4)2SO4、0.1%NH4Cl、0.1%KH2PO4、0.3%K2HPO4、0.05%MgSO4、0.001%FeSO4、0.1%Yeast Extract、1%テトラデカノール及び0.1%TritonX-100からなる培地を用いて、28℃、300rpmで24時間培養した。
培養終了後、培養細胞を遠心分離で回収した後に超音波破砕した。その後、5000g、4℃、15分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清をさらに超遠心分離(100000g、4℃、1時間)し、不要物を除去した。こうして得られた可用性画分を硫安沈殿、HiTrap phenyl HP、Superdex 200 increase 10/300 GL、Hi Trap Q sepharose XLカラムに供し、ほぼSDS PAGEで単一バンドになるまで精製した。
酵素活性は以下のように測定した。まず、NAD+(オリエンタル酵母工業株式会社)3mM、NADP+(オリエンタル酵母工業株式会社)3mM、0.01%(v/v)のTritonX-100溶液、10μLの酵素液を含む1mLの100mM Tris(HCl)緩衝液(pH 8.5)を3分間室温に置いた後、終濃度1mMの1-テトラデカノール(東京化成工業株式会社)を添加して反応を開始し340nmの吸光度を測定した。1ユニットは1分間に1μmolの基質を変換する酵素量(μmol/min)とした。反応は25℃で行った。
そして、アルデヒド合成酵素活性を有する精製タンパク質についてN末端アミノ酸シークエンスを行ったところ、MNMKIKTTMKAAVVKSFGEP(配列番号3)の配列が得られた。この配列に基づいてアルデヒド合成酵素遺伝子の配列を決定したところ、Pantoea sp. AS-PWVM4のadhP遺伝子(36.8kDa)のアルコールデヒドロゲナーゼと比較して二か所のアミノ酸が相違する以外は同じ配列であることが明らかとなった。本実施例で同定した優れたアルデヒド合成能を有するPantoea sp.由来のアルデヒド合成酵素遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号1に示し、当該アルデヒド合成酵素遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示した。なお、配列番号2におけるN末端から36番目のバリン及び322番目のバリンが、Pantoea sp. AS-PWVM4のadhP遺伝子においてはそれぞれイソロイシン及びスレオニンであった。
〔実施例4〕
本実施例では、実施例3で単離したアルデヒド合成酵素遺伝子がコードするアルデヒド合成酵素の活性についてpH依存性を検討した。
まず、実施例3でクローニングした遺伝子をpET21b(+)ベクターのSal IとNot Iサイトにin-frameで組み込み発現ベクターpET21b(+)-adhPを構築した。本ベクターで大腸菌Rosetta2を形質転換し、IPTG誘導させてクローニングした遺伝子を発現させた。培養液を超音波破砕した後に超遠心分離(100000g、4℃、1時間)して不要物を除去した。得られた粗精製酵素をさらにSuperdex 200 increase 10/300 GLでSDS PAGEで単一バンドになるまで精製した。精製酵素を用いてpHプロファイルを測定した。
本実施例においても、実施例3と同様にして酵素活性を測定した。すなわち、NAD+(オリエンタル酵母株式会社製)3mM、NADP+(オリエンタル酵母株式会社製)3mM、0.01%(v/v)のTriton X-100溶液、10μLの酵素液を含む1mLの緩衝液を3分間室温に置いた後、終濃度1mMの1-テトラデカノール(東京化成工業株式会社製)を添加して反応を開始して340nmの吸光度を測定した。1ユニットは、1分間に1μmolの基質を変換する酵素量(μmol/min)とした。反応は25℃で行った。この反応において、緩衝液は、反応液をpH5.0と5.5にするときは100mMの酢酸緩衝液を使用し、反応液をpH6.0、6.5、7.0、7.5及び8.0にするときは100mMのリン酸カリウム緩衝液を使用し、反応液をpH7.5、8.0、8.5及び9.0にするときは100mMのTris(HCl)緩衝液を使用し、反応液をpH9.0、9.5及び10.0にするときは100mMのNaHCO3/Na2CO3緩衝液を使用した。
図1に、100mMのTris(HCl)、pH8.5の緩衝液を用いたときを100とした相対活性を示した。図1において、破線はアルデヒドをアルコールに還元する反応の相対活性を示し、実線はアルコールからアルデヒドに酸化する反応の相対活性を示している。図1から判るように、精製したアルデヒド合成酵素は、反応液のpH7.0〜8.0を境にして酸性側ではアルデヒドをアルコールに還元する反応を、アルカリ側ではアルコールをアルデヒドに酸化する反応を触媒した。
〔実施例5〕
本実施例では、実施例4で精製したアルデヒド合成酵素を用いて、その基質特異性を検討した。
本実施例では、反応液に含まれる基質である1-テトラデカノールを他のアルコールに変えた以外は実施例3と同条件で酵素活性を測定した。その結果を図2に示した。図2の縦軸は、最も反応性が高かった1-オクタノールを100としたときの相対値を示している。図2に示したように、本実施例により、実施例4で精製したアルデヒド合成酵素は、炭素数6の1-ヘキサノールから炭素数14の7-テトラデノールに対して反応性を有することが判った。また、実施例4で精製したアルデヒド合成酵素は、1-オクタノールを中心とした中鎖アルコール(炭素数6〜10)に対して高い基質特異性があることが判った。さらに、実施例4で精製したアルデヒド合成酵素は、2級アルコールに対しても反応性があることが判った。
〔実施例6〕
本実施例では、実施例3で取得したアルデヒド合成酵素遺伝子を発現する組換え微生物を作製した。
まず、実施例3で取得したアルデヒド合成酵素遺伝子をpRSF-Duet(Novagen社製)のMCS1のSal IサイトとNot Iサイトとの間に(発現するとN末端にHis-tag配列が付加される)、デカルボニラーゼ遺伝子(Nostoc punctiforme PCC73102, YP_001865325)配列をMCS2のNde lサイトとXho Iサイトとの間に挿入した。なお、Nostoc punctiforme PCC73102由来のデカルボニラーゼ遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号4及び5に示した。なお、MCS2に挿入したデカルボニラーゼ遺伝子は、Nde Iサイトの塩基配列に含まれるATGが付加されるため、発現するとN末端にメチオニン残基が一つ余分についた酵素として合成されることになる。また、得られた発現ベクターをpRSF-Duet-adhP-NpADと命名した。
また、大腸菌にコドンを最適化したフェレドキシン遺伝子(Nostoc punctiforme PCC73102, YP_001865513)とフェレドキシンNADPリダクターゼ遺伝子(Nostoc punctiforme PCC73102, YP_001866231)のDNA配列を合成した。なお、これら遺伝子のDNA配列を合成するに際して、いずれの配列もタンパク質を安定化させるため、開始コドンの次にGAA配列を挿入し、N末端から二番目のアミノ酸がグルタミン酸になるように設計した。本実施例で設計したフェレドキシン遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号6及び7に示した。本実施例で設計したフェレドキシンNADPリダクターゼ遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号8及び9に示した。
これらの合成DNA配列はそれぞれpCDF-Duet(Novagen社製)のNco lサイトとNot lサイトとの間及びNde lサイトとXho lサイトとの間に挿入した。得られたベクターをpCDF-Duet-fd-fdrと命名した。
次に、これら二つのベクターで大腸菌Rosetta2 (DE3)(Novagen社製)を形質転換した。得られた形質転換体をE. coli Rosetta2 (DE3)/pRSF-Duet-adhP-NpAD/pCDF-Duet-fd-fdrと命名した。
次に、形質転換体を培養し菌体を遠心回収した。1-テトラデカノール(東京化成工業株式会社)2.5mM、NAD+(オリエンタル酵母工業株式会社)5mM、NADPH(オリエンタル酵母工業株式会社)5mM、0.1%(v/v)のTritonX-100溶液を含む1mLの100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.5)に20〜60mgの回収菌体を添加し、30℃、120rpmで20時間振とうしながら培養した。反応後は実施例2に準じてガスクロマトグラフィ分析を行い、基質及び生成物(1-ドデカノール、ミリスチン酸、1-テトラデカナール、トリデカン)を定量した。
その結果を図3に示した。図3に示すように、アルカン生産は40mgの菌体を用いた時に最大となった。この時、2.5mMのアルコール(1-テトラデカノール)から1.11mMのアルカン(トリデカン)を合成することができ、44.7%の変換収率に達した。
〔実施例7〕
本実施例では、実施例3で取得したアルデヒド合成酵素遺伝子によるアルカン生産性の向上効果を検討した。なお、本実施例では、アシルACPリダクターゼ遺伝子を導入した株を用いて検討を行った。
まず、実施例6で作製したpRSF-Duet-adhP-NpADにおけるNpAD遺伝子の下流にSLiCE法(Z Seamless Ligation Cloning Extract)を用いて長鎖アシル-ACPリダクターゼ遺伝子 (Synechococcus elongatus PCC7942, YP_400611)のDNA配列を挿入した。このとき、MCS2下流のS-tag配列:AAAGAAACCGCTGCTGCGAAATTT(配列番号12)の下流に人工配列AAGGAGCGATCGCC(配列番号13)を介して長鎖アシル-ACPリダクターゼ遺伝子のDNA配列が割り込まれるように設計した。この人工配列にはrbs配列が含まれており、ポリシストロニックに遺伝子が発現される。なお、Synechococcus elongatus PCC7942由来の長鎖アシル-ACPリダクターゼ遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号10及び11に示した。得られたベクターをpRSF-Duet-adhP-NpAD-SeARと命名した。
次に、デカルボニラーゼ遺伝子(Nostoc punctiforme PCC73102、YP_001865325(配列番号4及び5))と長鎖アシル-ACPリダクターゼ遺伝子(Synechococcus elongatus PCC7942、YP_400611(配列番号10及び11))のDNA配列をpRSF-Duet(Novagen社製)のPst lサイトとNde lサイトとの間にそれぞれフレームが合うよう挿入した。得られたベクターをpRSF-Duet-NpAD-SeARと命名した。ここでNpADはN末端にpRSF-Duet由来のHis-tag配列が付与して合成される。
次に、E. coli Rosetta2 (DE3)(Novagen社製)をpRSF-Duet-adhP-NpAD-SeARとpCDF-Duet-fd-fdr(実施例6参照)で形質転換した。得られた形質転換株をwith adhP株と命名した。同様に、E. coli Rosetta2 (DE3)(Novagen社製)をpRSF-Duet-NpAD-SeARとpCDF-Duet-fd-fdr(実施例6参照)で形質転換した。得られた形質転換株をwithout adhP株と命名した。
これらwith adhP株とwithout adhP株を、それぞれ抗生物質(カナマイシン50μg/mL、クロラムフェニコール34μg/mL及びストレプトマイシン10μg/mL)を含むLB培地15ml(50mlのファルコンチューブ)に植菌した。なおこれらの株はグリセロールストックから植菌した。その後、37℃、180rpmで18時間培養した。これらの培養はそれぞれの株で2本ずつ行った。そして、培養液を合わせた30mlを植菌し、5Lのジャーファーメンター(Biott社製)で更に培養した。このとき、0.01%のTritonX-100と上記抗生物質を含む2.5Lの2xYT培地で培養した。また、5NのNaOH溶液でpH7.2に制御し、通気量0.4vvm、攪拌300rpm、温度37℃で培養した。また、O.D.600nmが0.6〜0.9となった時点で終濃度0.5mMのIPTGを添加すると同時に攪拌を120rpm、培養温度30℃に変え、その後、89時間培養した。培養開始後、21時間、41時間、49時間、65時間及び72時間にサンプリングすると同時に終濃度0.4%になるよう40%のグルコース溶液を添加した。
上述した培養の間、経時的に培地中のアルコール濃度及びアルカン濃度を、実施例2に記載した条件でガスクロマトグラフィ分析によって測定した。その結果を図4及び5に示した。なお、図5においてwith adhP株は「Adh+」或いは単に「+」と表記し、without adhP株は「Adh-」或いは単に「-」と表記した。これら図4及び5に示すように、adhP遺伝子を導入したwith adhP株は、同adhP遺伝子を導入しないwithout adhP株に比べ生成されたアルコール量が減少し、アルカンの生産量が大幅に上昇することが明らかとなった。

Claims (11)

  1. 以下、(a)又は(b)のタンパク質をコードするアルデヒド合成酵素遺伝子。
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有し、36番目のバリン及び322番目のバリンが保存されたアミノ酸配列からなり、アルコールからアルデヒドを合成する活性を有するタンパク質
  2. 請求項1記載のアルデヒド合成酵素遺伝子によりコードされるアルデヒド合成酵素。
  3. 請求項1記載のアルデヒド合成酵素遺伝子と、当該遺伝子の発現を制御する制御領域とを有する発現ベクター。
  4. 請求項1記載のアルデヒド合成酵素遺伝子を宿主微生物に導入した組換え微生物。
  5. 上記宿主微生物は大腸菌又はKlebsiella属細菌であることを特徴とする請求項4記載の組換え微生物。
  6. デカルボニラーゼ遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシン還元酵素遺伝子を更に導入したことを特徴とする請求項4記載の組換え微生物。
  7. 請求項4〜6いずれか一項記載の組換え微生物を培養する工程を含むアルカンの製造方法。
  8. 上記組換え微生物を培養する培地はアルカリ性であることを特徴とする請求項7記載のアルカンの製造方法。
  9. 上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収する工程を更に含むことを特徴とする請求項7記載のアルカンの製造方法。
  10. 上記組換え微生物を培養する培地よりアルカンを回収し、回収したアルカンを精製する工程を更に含むことを特徴とする請求項7記載のアルカンの製造方法。
  11. 炭素数9〜20のアルカンを製造することを特徴とする請求項7記載のアルカンの製造方法。
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