以下、本発明を適用した位置出し冶具及び穿孔方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90の一例を示す斜視図である。図2(a)は、図1のa部を上下方向Zから見た図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A断面図である。以下、上下方向Zとし、上下方向Zに交わりクレーンランウェイガーダー90の長手方向を第1平面方向Xとし、上下方向Zと第1平面方向Xとに交わる方向を第2平面方向Yとする。
クレーンランウェイガーダー90は、例えばI形鋼、H形鋼等が用いられ、天井クレーン等を支持する部材である。クレーンランウェイガーダー90は、上下に一対のフランジ98、98と、一対のフランジ98、98を連結するウェブ99とを有する。クレーンランウェイガーダー90は、フランジ98にガセットプレート94を更に有する。ガセットプレート94には、既設ラチス材80とボルト接合するための第2ボルト孔91が形成される。
既設ラチス材80は、例えばT形鋼が用いられ、長手方向が水平方向に沿って配置される。既設ラチス材80は、ラチスフランジ88と、ラチスフランジ88に対して垂直に設けられるラチスウェブ89とを有する。既設ラチス材80は、ラチスフランジ88に第1ボルト孔81が形成され、クレーンランウェイガーダー90の上下のフランジ98、98のガセットプレート94にそれぞれボルト6によりボルト接合される。
(第1実施形態)
位置出し冶具1は、例えばクレーンランウェイガーダー90の架け替え工事の際に用いられる。位置出し冶具1は、第1ボルト孔81が形成された既設の第1鋼材8(既設ラチス材80)に新たにボルト接合する第2鋼材9(クレーンランウェイガーダー90)に第2ボルト孔91を穿設する際に用いられるものである。
図3は、第1実施形態における位置出し冶具1の一例を示す斜視図である。図4は、第1実施形態における位置出し冶具1の一例を示す断面図である。位置出し冶具1は、互いに離間して配置され、既設ラチス材80(第1鋼材8)とクレーンランウェイガーダー90(第2鋼材9)とを挟むための第1板部2と第2板部3と、第1板部2と第2板部3とを連結する連結部4とを備える。
第1板部2は、板状の部材が用いられる。第1板部2は、例えば鋼材が用いられるが、樹脂製のもの等が用いられてもよい。第1板部2は、第2板部3に向けて突出されて第1ボルト孔81に挿通可能な第1突起部21を有する。
第1突起部21は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第1板部2は、基端部2aに連結部4が設けられ、基端部2aとは反対側の端部となる先端部2bの近傍に、第1突起部21を有する。
第2板部3は、板状の部材が用いられる。第2板部3は、例えば鋼材が用いられるが、樹脂製のもの等が用いられてもよい。
第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、第2鋼材9にマーキングを付すために用いられる位置出し機構30を有する。位置出し機構30は、第1貫通孔31である。第2板部3は、基端部3aに連結部4が設けられ、基端部3aとは反対側の端部となる先端部3bの近傍に、第1貫通孔31を有する。
第1貫通孔31は、円形状に形成されるが、角形状等に形成されてもよい。第1貫通孔31の直径d1は、第1突起部21の外径D1以下であることが好ましい。また、第1貫通孔31は、ポンチが挿通可能な程度の直径が確保されていればよく、例えば5mm程度の直径であってもよい。また、第1貫通孔31の中心は、第1突起部21の中心に略一致するように配置されることが好ましい。
連結部4は、板状の連結板部49を有する。連結板部49は、例えば鋼材が用いられるが、樹脂製のもの等が用いられてもよい。連結部4は、第1板部2の基端部2aと第2板部3の基端部3aとに溶接等により接合されて、第1板部2の基端部2aと第2板部3の基端部3aとを連結する。
次に、第1鋼材8(既設ラチス材80)と第2鋼材9(クレーンランウェイガーダー90)との接合方法について説明する。この接合方法では、本発明を適用した穿孔方法と、その後に行われる接合工程を備える。
本発明に係る穿孔方法では、位置出し冶具1を用いる。本発明に係る穿孔方法は、第1ボルト孔81が形成された既設ラチス材80(第1鋼材8)に新たにボルト接合するクレーンランウェイガーダー90(第2鋼材9)に、第2ボルト孔91を穿孔する方法である。本発明に係る穿孔方法は、位置出し工程と、位置出し工程の後に行われる穿孔工程と、を備える。
図5(a)は、既設ラチス材80のラチスフランジ88に、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94を載置した状態を示す図であり、図5(b)は、図5(a)のA-A断面図である。先ず、本発明に係る穿孔方法は、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94を、既設ラチス材80のラチスフランジ88に載置した状態から開始する。このとき、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94には、第2ボルト孔91が穿孔されていない状態である。
ここで、既設ラチス材80には、クレーンランウェイガーダー90側の端部80aに近接する第1ボルト孔81を、第1ボルト孔81-1とし、端部80aに遠ざかるにつれて第1ボルト孔81-2、第1ボルト孔81-3、第1ボルト孔81-4とする。また、既設ラチス材80のラチスウェブ89を挟んで、第1ボルト孔81-1~第1ボルト孔81-4の反対側の第1ボルト孔81を第1ボルト孔81-5~第1ボルト孔81-8とする。
図6(a)は、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94とを第1板部2と第2板部3とにより挟んだ状態を示す図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。位置出し工程では、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94とを第1板部2と第2板部3とにより挟む。このとき、図6(b)に示すように、第1板部2の先端部2bと第2板部3の先端部3bとが離間するように拡開させ、既設ラチス材80とガセットプレート94と挟む。そして、位置出し工程では、位置出し冶具1を水平方向にスライドさせる。
図7(a)は、第1ボルト孔81-1に第1突起部21を挿通した状態を示す図であり、図7(b)は、図7(a)のA-A断面図である。位置出し工程では、第1ボルト孔81-1に第1突起部21を挿通する。
そして、位置出し工程では、第1貫通孔31に基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94にマーキングを付する。マーキングを付する際には、第1貫通孔31の周縁に沿って円形状にマーキングを罫書いてもよいし、第1貫通孔31の中心にポンチ等によりマーキングを罫書いてもよいし、第1貫通孔31にスプレー等の手段を用いてマーキングを付してもよい。
図8は、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94の上面側から第2ボルト孔91-1を穿孔した状態を示す図である。次に、穿孔工程では、位置出し工程で付したマーキングに基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94の上面側から第2ボルト孔91-1を穿孔する。穿孔は、周知の穿孔装置等により行われる。
その後、位置出し工程と、穿孔工程をもう一度行い、第2ボルト孔91を更に1か所穿孔する。具体的には、位置出し工程では、第1ボルト孔81-8に第1突起部21を挿通し、第1貫通孔31に基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94にマーキングを罫書いて付する。次に、穿孔工程では、位置出し工程で罫書いて付したマーキングに基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94に第2ボルト孔91-8を穿孔する。このように、第2ボルト孔91を2か所、穿孔する。
図9(a)は、テンプレート7の貫通孔71に基づいて、ガセットプレート94に第2ボルト孔91を順次穿孔した状態を示す図であり、図9(b)は、図9(a)のA-A断面図である。その後、予め作成しておいたテンプレート7をガセットプレート94の上面に配置する。テンプレート7は、第1ボルト孔81-1~第1ボルト孔81-8に対応する位置に予め貫通孔71が形成されている。
ガセットプレート94の上面にテンプレート7を載置した後、2か所の第1ボルト孔81(第1ボルト孔81-1と第1ボルト孔81-8)と、2か所の第2ボルト孔91(第2ボルト孔91-1と第2ボルト孔91-8)と、テンプレート7の2か所の貫通孔71と、にボルト6を貫通させ、既設ラチス材80と、ガセットプレート94と、テンプレート7と、をボルト接合する。
そして、テンプレート7の貫通孔71に基づいて、ガセットプレート94に第2ボルト孔91(第2ボルト孔91-2~第2ボルト孔91-7)を順次穿孔する。
以上により、本発明に係る穿孔方法が完了する。
次に、第1鋼材8(既設ラチス材80)と第2鋼材9(クレーンランウェイガーダー90)との接合方法では、本発明に係る穿孔方法が完了した後に、接合工程を行う。
図10(a)は、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94とをボルト接合した状態を示す図であり、図10(b)は、図10(a)のA-A断面図である。接合工程では、第2ボルト孔91-1~第2ボルト孔91-8の穿孔が完了した後、テンプレート7を取り外し、各々の第1ボルト孔81と各々の第2ボルト孔91とにボルト6を貫通させ、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94とをボルト接合する。
以上の手順を、既設ラチス材80とこれに新たに接合するクレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94とで繰り返し行うことにより、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90との接合が完了する。
本実施形態によれば、第1板部2は、第2板部3に向けて突出されて第1ボルト孔81に挿通可能な第1突起部21を有し、第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、第2鋼材にマーキングを付するために用いられる位置出し機構30を有する。これにより、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90とを第1板部2と第2板部3とにより挟んで、第1ボルト孔81に第1突起部21を挿通することで、位置出し機構30(第1貫通孔31)に基づいて、クレーンランウェイガーダー90にマーキングを付することができる。
そして、このマーキングに基づいて穿孔することにより、第1ボルト孔81に対応する位置に第2ボルト孔91を精度よく穿孔することができる。すなわち、既設ラチス材80の第1ボルト孔81の位置から新たなに接合するクレーンランウェイガーダー90の第2ボルト孔91の位置をいわば裏写しできるようにマーキングを付することができ、このマーキングに基づいて、クレーンランウェイガーダー90に上側から第2ボルト孔91を穿孔することができる。このため、従来のような穿孔装置を下側から支持する必要がなくなり、作業者が上向きで穿孔作業をする必要もない。したがって、第2ボルト孔91を穿設する際の安全性を確保することができ、作業効率を高くすることができる。
本実施形態によれば、第1貫通孔の直径は、前記第1突起部の外径以下である。これにより、ガセットプレート94に穿孔すべき第2ボルト孔91の位置を、より精度よくマーキングすることができる。このため、より精度よく第2ボルト孔91を穿孔することができる。
本実施形態によれば、第1貫通孔31の中心は、第1突起部の中心に略一致するように配置される。これにより、ガセットプレート94に穿孔すべき第2ボルト孔91の位置を、一層精度よくマーキングすることができる。このため、一層精度よく第2ボルト孔91を穿孔することができる。
本実施形態によれば、第1鋼材8と第2鋼材9とを第1板部2と第2板部3とにより挟んで、第1ボルト孔81に第1突起部21を挿通し、位置出し機構30(第1貫通孔31)に基づいて、第2鋼材9にマーキングを付する位置出し工程と、位置出し工程で付したマーキングに基づいて、第2鋼材9に第2ボルト孔91を穿孔する穿孔工程と、を備える。このため、従来のような穿孔装置を下側から支持する必要がなくなり、作業者が上向きで穿孔作業をする必要もない。したがって、第2ボルト孔91を穿設する際の安全性を確保することができ、作業効率を高くすることができる。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態における位置出し冶具1の一例を示す図である。第2実施形態における位置出し冶具1は、突起部が複数設けられる点で、第1実施形態と相違する。
位置出し冶具1は、第1板部2と、第2板部3と、連結部4とを備える。
第1板部2は、第2板部3に向けて突出される第1突起部21と、第2突起部と、第3突起部23を有する。
第2突起部22は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第2突起部22は、第1突起部21とは離間して第1板部2に設けられる。第2突起部22の外径D2は、第1突起部21の外径D1と異なる径で形成される。
第3突起部23は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第3突起部23は、第1突起部21と第2突起部22とは離間して第1板部2に設けられる。第3突起部23の外径D3は、第1突起部21の外径D1と、第2突起部22の外径D2と、異なる径で形成される。
例えば、第1突起部21の外径D1は、24mm程度とし、第2突起部22の外径D2は、例えば22mm程度とし、第3突起部23の外径D3は、例えば16mm程度としてもよい。
第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、位置出し機構30としての第1貫通孔31を有し、第2突起部22に対向する位置に、位置出し機構30としての第2貫通孔32を有し、第3突起部23に対向する位置に、位置出し機構30としての第3貫通孔33を有する。
第2貫通孔32は、円形状に形成されるが、角形状等に形成されてもよい。第2貫通孔32の直径d2は、第2突起部22の外径D2以下であることが好ましい。また、第2貫通孔32は、ポンチが挿通可能な程度の直径が確保されていればよく、例えば5mm程度の直径であってもよい。また、第2貫通孔32の中心は、第2突起部22の中心に略一致するように配置されることが好ましい。
第3貫通孔33は、円形状に形成されるが、角形状等に形成されてもよい。第3貫通孔33の直径d3は、第3突起部23の外径D3以下であることが好ましい。また、第3貫通孔33は、ポンチが挿通可能な程度の直径が確保されていればよく、例えば5mm程度の直径であってもよい。また、第3貫通孔33の中心は、第3突起部23の中心に略一致するように配置されることが好ましい。
本実施形態によれば、第1板部2は、第1突起部21から離間して、第2板部3に向けて突出される第2突起部22を有し、第2突起部22の外径D2は、第1突起部21の外径D1と異なり、第2板部3は、第2突起部22に対向する位置に位置出し機構30を有する。これにより、マーキングを付する際に、既設ラチス材80の第1ボルト孔81の径に応じて、第1ボルト孔81に挿通すべき突起部として、第1突起部21又は第2突起部22のうちいずれかを選択することができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
なお、第2実施形態では、第1板部2に第1突起部21と第2突起部22と第3突起部23とを有する例について説明したが、第1板部2に少なくとも2つの突起部を有していてもよい。また、第1板部2に突起部が4つ以上有していてもよい。このとき、各々の突起部の外径がそれぞれ異なるように形成されるとともに、第2板部3に、各々の突起部に対向する位置に、それぞれ位置出し機構30が形成されればよい。それぞれの位置出し機構30が貫通孔の場合には、各々の貫通孔の径は、対向する各々の突起部の外径以下で形成されればよい。
係る実施形態によれば、マーキングを付する際に、既設ラチス材80の第1ボルト孔81の径に応じて、第1ボルト孔81に挿通すべき突起部として、複数の突起部のうちのいずれかを選択することができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより一層高くすることができる。
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態における位置出し冶具1の一例を示す図である。第3実施形態における位置出し冶具1は、第1突起部21が複数の段部を有する点で、第1実施形態と相違する。
第1突起部21は、第1段部211と、第2段部212と、第3段部213と、を有する。
第1段部211は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第1段部211は、第1板部2から第2板部3に向けて突出する第1段部211の外径D1とする。
第2段部212は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第2段部212は、第1段部211の上面から第2板部3に向けて突出して形成される。第2段部212の外径D2は、第1段部211の外径D1よりも径小に形成される。
第3段部213は、円柱状に形成されるが、角柱状等に形成されてもよい。第3段部213は、第2段部212の上面から第2板部3に向けて突出して形成される。第3段部213の外径D3は、第2段部212の外径D2よりも径小に形成される。
例えば、第1段部211の外径D1は、24mm程度とし、第2段部212の外径D2は、例えば22mm程度とし、第3段部213の外径D3は、例えば16mm程度としてもよい。
第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、位置出し機構30としての第1貫通孔31を有する。
第1貫通孔31は、円形状に形成されるが、角形状等に形成されてもよい。第1貫通孔31の直径d1は、第3段部213の外径D3以下であることが好ましい。第1貫通孔31の直径d1は、第1段部211の外径D1以下であってもよいし、第2段部212の外径D2以下であってもよい。また、第1貫通孔31は、ポンチが挿通可能な程度の直径が確保されていればよく、例えば5mm程度の直径であってもよい。また、第1貫通孔31の中心は、第1突起部21の中心に略一致するように配置されることが好ましい。
本実施形態によれば、第1突起部21は、第1板部2の上面から第2板部3に向けて突出される第1段部211と、第1段部211の上面から第2板部3に向けて突出されて第1段部211の外径よりも径小な第2段部212を有する。これにより、マーキングを罫書く際に、既設ラチス材80の第1ボルト孔81の径に応じて、第1ボルト孔81に挿通すべき突起部として、第1段部211又は第2段部212のうちいずれかを選択することができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
なお、第3実施形態では、第1突起部21が第1段部211と第2段部212と第3段部213とを有する例について説明したが、第1突起部21に少なくとも2つの段部を有していてもよい。また、第1突起部21が段部を4つ以上有していてもよい。このとき、各々の段部の外径がそれぞれ異なるように形成されるとともに、第2板部3に、突起部に対向する位置に、位置出し機構30を有していればよい。位置出し機構30が貫通孔の場合には、この貫通孔の径は、対向する突起部の外径以下で、より好ましくは最上段の段部の外径以下で、形成されればよい。
係る実施形態によれば、マーキングを付する際に、既設ラチス材80の第1ボルト孔81の径に応じて、第1ボルト孔81に挿通すべき突起部として、複数の段部のうちのいずれかを選択することができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより一層高くすることができる。
本実施形態によれば、第1貫通孔31の直径d1が、最上段の段部の外径以下となる。これにより、ガセットプレート94に穿孔すべき第2ボルト孔91の位置を、より精度よくマーキングすることができる。このため、より精度よく第2ボルト孔91を穿孔することができる。
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態における位置出し冶具1の第1例~第3例を示す図である。図14は、第4実施形態における位置出し冶具1の第4例~第6例を示す図である。第4実施形態における位置出し冶具1は、連結部4が第1板部2と第2板部3との距離を調整自在である点で、第1実施形態と相違する。
連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を備える。
調整機構41は、外面にネジ部が形成されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合される螺合部43とを有する。調整機構41は、ネジ部材42に螺合される螺合部43の位置を調整することにより、第1板部2と第2板部3との距離を調整自在となる。図13の例では、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を2つ有するが、調整機構41は、1つ有していてよいし、3つ以上有していてもよい。
また、調整機構41は、第1板部2と第2板部3との距離を示す距離表示部を更に有していてもよい。距離表示部は、例えば、第1板部2と第2板部3との距離を示す目盛りとして、ネジ部材42等に設けられてもよい。
図13(a)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第1例を示す図である。ネジ部材42は、例えば、全ネジボルト等が用いられる。ネジ部材42は、一方の端部が第1板部2に溶接等で固定され、他方の端部側が第2板部3に貫通される。螺合部43は、例えば、ナット431が用いられる。
図13(b)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第2例を示す図である。ネジ部材42は、一方の端部が第2板部3に溶接等で固定され、他方の端部側が第1板部2に貫通されてもよい。このとき、螺合部43は、例えば、ナット431が用いられる。螺合部43は、第1板部2を挟んで両側に配置される。
図13(c)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第3例を示す図である。ネジ部材42は、一方の端部側が第1板部2に貫通され、他方の端部側が第2板部3に貫通される。螺合部43は、例えば、ナット431が用いられる。螺合部43は、第1板部2を挟んで両側に配置される。また、螺合部43は、第2板部3を挟んで両側に配置される。
図14(a)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第4例を示す図である。ネジ部材42は、一方の端部が第1板部2に溶接等で固定され、他方の端部側が第2板部3に貫通される。螺合部43は、第2板部3に形成される孔432の内面に形成される。
図14(b)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第5例を示す図である。ネジ部材42は、一方の端部が第2板部3に溶接等で固定され、他方の端部側が第1板部2に貫通されてもよい。螺合部43は、第1板部2に形成される孔432の内面に形成される。
図14(c)は、第4実施形態における位置出し冶具1の第6例を示す図である。ネジ部材42は、一方の端部側が第1板部2に貫通され、他方の端部側が第2板部3に貫通される。螺合部43は、第2板部3を挟んで両側に配置される。螺合部43は、第1板部2に形成される孔432の内面と、第2板部3に形成される孔432の内面に形成される。
本実施形態では、位置出し工程では、第1板部2と第2板部3の距離を調整機構41により調整し、第1鋼材8と第2鋼材9とを第1板部2と第2板部3とにより挟んで、第1ボルト孔81に第1突起部21を挿通し、位置出し機構30に基づいて、第2鋼材9にマーキングを付することとなる。
本実施形態によれば、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を有する。これにより、第1鋼材8の厚さと第2鋼材9の厚さに応じて、第1板部2と第2板部3との距離を調整することができ、第1板部2と第2板部3とにより強固に挟むことができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
本実施形態によれば、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を複数有する。これにより、複数の調整機構41により第1板部2と第2板部3との距離を調整することで、第1板部2に対する第2板部3の位置を特定の位置に固定することができ、第1突起部21に対向する位置に第1貫通孔31を確実に配置することができる。このため、ガセットプレート94に穿孔すべき第2ボルト孔91の位置を、一層精度よくマーキングすることができる。このため、一層精度よく第2ボルト孔91を穿孔することができる。
本実施形態によれば、調整機構41は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を有する。これにより、第1鋼材8の厚さと第2鋼材9の厚さに応じて、第1板部2と第2板部3との距離を調整することができ、第1板部2と第2板部3とにより強固に挟むことができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
本実施形態によれば、調整機構41は、第1板部2と第2板部3との距離を示す距離表示部を有する。これにより、第1鋼材8の厚さと第2鋼材9の厚さに応じて、距離表示部に基づいて、第1板部2と第2板部3との距離を予め設定することができる。このため、作業効率をより高くすることができる。
(第5実施形態)
図15(a)は、第5実施形態における位置出し冶具1の第1例を示す図であり、図15(b)は、図15(a)位置出し冶具1を図中矢印A方向から見た図である。第5実施形態における位置出し冶具1は、連結部4が第1板部2と第2板部3との距離を調整自在である点で、第1実施形態と相違する。
連結部4は、第1板部2と第2板部3とを連結する連結板部49と、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を備える。
調整機構41は、連結板部49に形成される孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第2板部3の基端部3aの端面に設けられる螺合部43を有する。
孔44は、第1板部2から第2板部3に向けて延びる長孔形状に形成される。ネジ部材42は、例えば、ボルト等が用いられ、外面にネジ部が形成される。螺合部43は、例えば、ナットが用いられ、ネジ部材42に螺合され、第2板部3の基端部3aの端面に溶接等により接合される。
調整機構41は、長孔形状の孔44に貫通されるネジ部材42の位置と螺合部43の位置とを調整することにより、第1板部2と第2板部3との距離を調整自在となる。図15の例では、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を2つ有するが、調整機構41は、1つ有していてよいし、3つ以上有していてもよい。
なお、図示は省略するが、調整機構41は、連結板部49に形成される孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第1板部2の基端部2aの端面に設けられる螺合部43を有していてもよい。
図16(a)は、第5実施形態における位置出し冶具1の第2例を示す図であり、図16(b)は、図16(a)の位置出し冶具1を図中矢印A方向から見た一例を示す図である。
連結部4は、第1板部2と第2板部3とを連結する連結板部49と、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を備える。
調整機構41は、連結板部49に形成される孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第1板部2の基端部2aの端面と第2板部3の基端部3aの端面に設けられる螺合部43を有する。
孔44は、第1板部2から第2板部3に向けて延びる長孔形状に形成される。ネジ部材42は、例えば、ボルト等が用いられ、外面にネジ部が形成される。螺合部43は、ネジ部材42に螺合され、第1板部2の基端部2aの端面に溶接等により接合される。また、螺合部43は、ネジ部材42に螺合され、第2板部3の基端部3aの端面に溶接等により接合される。
調整機構41は、長孔形状の孔44に貫通されるネジ部材42の位置と螺合部43の位置とを調整することにより、第1板部2と第2板部3との距離を調整自在となる。
本実施形態によれば、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を有する。これにより、第1鋼材8の厚さと第2鋼材9の厚さに応じて、第1板部2と第2板部3との距離を調整することができ、第1板部2と第2板部3とにより強固に挟むことができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
本実施形態によれば、連結部4は、第1板部2と第2板部3との距離を自在に調整する調整機構41を複数有する。これにより、複数の調整機構41により第1板部2と第2板部3との距離を調整することで、第1板部2に対する第2板部3の位置を特定の位置に固定することができ、第1突起部21に対向する位置に第1貫通孔31を確実に配置することができる。このため、ガセットプレート94に穿孔すべき第2ボルト孔91の位置を、一層精度よくマーキングすることができる。このため、一層精度よく第2ボルト孔91を穿孔することができる。
加えて、本実施形態によれば、調整機構41は、連結板部49に形成される長孔形状の孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第1板部2の基端部2aの端面及び第2板部3の基端部3aの端面の少なくとも何れかに設けられる螺合部43を有する。これにより、第1鋼材8の厚さと第2鋼材9の厚さに応じて、第1板部2と第2板部3との距離を微調整することができ、第1板部2と第2板部3とにより強固に挟むことができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
図17(a)は、第5実施形態における位置出し冶具1の第3例を示す模式図であり、図17(b)は、図17(a)を図中矢印A方向から見た位置出し冶具1の一例を示す模式図である。
第5実施形態の第3例における位置出し冶具1は、円形状の孔44が第1板部2から第2板部3に向けて複数並べて配置される点で、第5実施形態の第1例、第2例と相違する。
調整機構41は、連結板部49に形成される複数の円形状の孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第2板部3の基端部3aの端面に設けられる螺合部43を有する。
調整機構41は、複数の孔44のうちの何れかの孔44に貫通されるネジ部材42の位置と螺合部43の位置とを調整することにより、第1板部2と第2板部3との距離を調整自在となる。
本実施形態によれば、調整機構41は、連結板部49に形成される複数の円形状の孔44と、孔44に貫通されるネジ部材42と、ネジ部材42に螺合されて第2板部3の基端部3aの端面に設けられる螺合部43を有する。これにより、複数の孔44のうちの何れかを選択してネジ部材42を貫通させることで、第1板部2と第2板部3との距離を調整して、第1板部2と第2板部3とにより強固に挟むことができる。このため、汎用性を高くすることができ、作業効率をより高くすることができる。
図18は、第6実施形態に係る位置出し冶具1を用いて、第1ボルト孔81-1に第1突起部21を挿通した状態を示す断面図である。第6実施形態における位置出し冶具1は、位置出し機構30が、第1実施形態と相違する。
位置出し機構30は、第1突起部21に対向する位置に、第1突起部に向けて突出された突出部34である。突出部34は、例えば三角錐状の角錐状や、円錐状、円柱状、角柱状等の所定の形状で突出される。突出部34の直径は、第1突起部21の外径以下であることが好ましい。突出部34の中心は、第1突起部21の中心に略一致するように配置されることが好ましい。
本実施形態における位置出し工程では、突出部34に基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94にマーキングを付する。マーキングを付する際には、突出部34が形成された第2板部3を、ハンマー等の所定の打撃手段により打撃することにより、マーキングを罫書けばよい。
本実施形態によれば、第1板部2は、第2板部3に向けて突出されて第1ボルト孔81に挿通可能な第1突起部21を有し、第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、第2鋼材にマーキングを付するために用いられる位置出し機構30を有する。これにより、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90とを第1板部2と第2板部3とにより挟んで、第1ボルト孔81に第1突起部21を挿通することで、突出部34に基づいて、クレーンランウェイガーダー90にマーキングを付することができる。特に、ハンマー等の所定の打撃手段により打撃することにより、マーキングを付することができ、マーキング作業を容易に行うことができる。
図19は、第7実施形態に係る位置出し冶具1を用いて、第1ボルト孔81-1に第1突起部21を挿通した状態を示す断面図である。第7実施形態における位置出し冶具1は、位置出し機構30が、第1実施形態と相違する。
位置出し機構30は、第1突起部21に対向する位置に、噴射部35を有する。噴射部35は、例えば所定のインク等の噴射剤をスプレー缶のように噴射する噴射口35aと、噴射口35aから噴射させる噴射剤を収容する収容部35bと、を有する。噴射部35は、噴射口35aが第1突起部21に向けられて配置される。
本実施形態における位置出し工程では、噴射部35に基づいて、クレーンランウェイガーダー90のガセットプレート94にマーキングを付する。マーキングを付する際には、噴射部35からインク等の噴射剤を噴射することにより、行われる。
本実施形態によれば、第1板部2は、第2板部3に向けて突出されて第1ボルト孔81に挿通可能な第1突起部21を有し、第2板部3は、第1突起部21に対向する位置に、第2鋼材にマーキングを付するために用いられる噴射部35を有する。これにより、既設ラチス材80とクレーンランウェイガーダー90とを第1板部2と第2板部3とにより挟んで、第1ボルト孔81に第1突起部21を挿通することで、噴射部35に基づいて、クレーンランウェイガーダー90にマーキングを付することができる。特に、噴射剤を噴射させることにより、マーキングを付することができ、マーキング作業を容易に行うことができる。
上述した実施形態では、既設ラチス材に新たにクレーンランウェイガーダーを接合する例について説明したが、第1鋼材に新たに第2鋼材を接合する際に用いられればよく、例えばラチスの新設や、耐震補強等で用いられてもよい。また、第1鋼材又は第2鋼材として柱部材が適用されてもよい。
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。