JP7330268B2 - 電子増倍管の内部領域の改善 - Google Patents

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Description

本発明は、概して科学分析装置の構成要素に関する。より具体的には、本発明は、イオン検出器に用いられる種類の電子増倍装置及び動作寿命を延ばすか又は性能を改善するための電子増倍装置への改良に関する。
質量分析計では、検体はイオン化されて一連の荷電粒子(イオン)を形成する。そして、得られたイオンは、一般に加速と、電場又は磁場への曝露とによってそれらの質量電荷比に従って分離される。分離された信号イオンは、イオン検出器表面に衝突して1つ以上の二次電子を生成する。結果は、質量電荷比の関数である検出されたイオンの相対的存在量のスペクトルとして表示される。
他の用途では、検出される粒子はイオンでなくてもよく、中性原子、中性分子又は電子であり得る。いずれにせよ、粒子が衝突する検出器表面が依然として設けられている。
検出器の衝突面への入力粒子の衝突から生じる二次電子は、電子増倍管によって通常増幅される。電子増倍管は、一般に二次電子放出によって動作し、それにより増倍管の衝突面への1つ又は複数の粒子の衝突により、衝突面の原子に関連する1つ又は(好ましくは)複数の電子が放出される。
電子増倍管の一種として、ディスクリートダイノード電子増倍管が知られている。このような増倍管はダイノードと呼ばれる一連の表面を含み、各ダイノードはより正の電圧に設定される。各ダイノードは、先のダイノードから放出された二次電子からの衝突により1つ以上の電子を放出することができ、それにより入力信号を増幅する。
検出器では、増幅された電子信号は陽極端子に衝突し、陽極端子はそれに衝突する電子の数に比例する電気信号を出力する。陽極からの信号は、当技術分野でよく知られているように分析のためにコンピュータに送られる。
電子放出ベース検出器の性能が経時的に劣化することは、当該技術分野における問題である。二次電子放出が経時的に減少して、電子増倍管の利得が減少すると考えられる。このプロセスを補償するために、必要な増倍管の利得を維持するために増倍管に印加される動作電圧を定期的に上げなければならない。しかしながら、最終的には増倍管の交換が必要となる。検出器の利得は、急激及び慢性的の両方で負の影響を受け得る。
従来の当業者は、ダイノードの表面領域を増加させることによってダイノードの経年劣化の問題に取り組んできた。表面領域の増加は、電子増倍プロセスの仕事量をより広い領域にわたって分散させるように作用し、老化プロセスを効果的に遅延させ、動作寿命及び利得安定性を改善する。このアプローチは、寿命をわずかに延ばすだけであり、もちろん、質量分析装置による検出器ユニットのサイズの制約によって制限される。
電子増倍の分野におけるさらなる問題はイオンフィードバックの問題である。イオンフィードバックは、電子増倍管内の又はその周辺の(残留ガス分子等の)中性粒子がイオン化する過程である。中性粒子は、任意の個々の高エネルギー電子によってイオン化され得る。このようなイオン化はより高い電子流束の領域でより起こりやすく、中性粒子の固定されたバックグラウンドの場合は電子流束に通常比例する。したがって、イオン化は電子増倍管内の任意の点で起こり得るが、大半はコレクタ近傍の電子増幅鎖の出力端に向かって起こる。中性種のイオン化も検出器の外で起こる。ディスクリートダイノード検出器は局所環境に対して通常非常に「オープン」である。ダイノードからダイノードへの電子伝達効率が100%未満であることから、二次電子の一部は局所環境に逃げて、中性ガス粒子がイオン化される真空チャンバの外部環境に移動する。
しかしながら、形成された場合、(正電荷を有する)イオンは、デバイスに印加される電圧電位に起因して、(増倍管の外部で形成されたイオンを含む)増倍管の入力端の方に引き付けられる。これらのイオンが十分なエネルギーを獲得すると、増倍管内の電子放射面と衝突する際に二次電子が生じる。イオン誘起された二次電子放電は続いて増幅し、デバイスの性能を低下させるスプリアス出力パルスがもたらされる。
スプリアスパルスは、バックグラウンドノイズ、ベースライン構造、スプリアスピーク又はそれらの組み合わせとして現れ得る。イオンフィードバックの抑制は電子増倍管の設計において重要な目的である。何故なら、それが顕在化し、検出器の性能に影響を与える無数の方法があるからである。
先行技術の電子増倍管でイオンフィードバックを低減するための2つの方法が提案されている。第1のアプローチはイオンブロッキング又はトラッピングであり、第2のアプローチはイオン形成の防止である。第1のアプローチでは、イオンがスプリアスパルスももたらすのに十分なエネルギー又は運動量を獲得する確率は、チャネルを物理的又は電気的に変更することで低減される。一般に、イオントラッピング又はブロッキングは、イオンフィードバック源、すなわちイオン自体を取り除くものではない。
第1のアプローチの1つの実際的な例として、従来技術の増倍管では、電子増倍の程度を制限する「ブロッキング」ダイノードを用いることによりイオンフィードバックが抑制されてきた。ブロッキングダイノードは、フィードバックイオンがダイノードに衝突するときにそれらの初期衝撃エネルギーを抑制するよう機能する。通常、ブロッキングダイノードは、2つ以上の連続するブロッキングダイノードの間の見通しを制限するように構成されている。
図1を参照して、電子増幅チェーンにおける3つのダイノードの典型的な配置を示す。増幅プロセスは、イオン/電子衝撃によるダイノードAからの二次電子の放出からスタートする。これらの放出された電子はダイノードBの伸長区画(最も上の区画)の方に引き寄せられる。放出ダイノードAの短い区画(最も下の区画)は、ターゲットのダイノードBよりも電圧が高い隣接するダイノードCの伸長区画の影響からこれらの電子を同時に遮蔽する。Cの伸長区画は十分遠くに延びるため、ダイノードAの短い区画はその電子軌道へ影響をもはやブロックしない。この時点で、ターゲットのダイノードBの中間(中央)及び短い区画に電子を集中させるダイノードCの方に電子が引き下げられる。そして、これらの電子はこのプロセスの繰り返しをトリガし、ダイノードBが新たなダイノードAになる。
このプロセスにおける隣接する伸長及び短い区画の連結は、従来技術の電子増倍管における一般的なダイノード形状及び配置をもたらし、これは、技術水準を表す。概ね有効であるものの、そのような構成の望ましくない結果は、ダイノードからダイノードへのより高い効率的な電子移動は検出器の中心ギャップの範囲を通常増加させるため、イオンフィードバックが増加することである。
本発明の一態様は、寿命が長く及び/又は性能が改善された改良された電子増倍管を提供することである。先行技術の電子増倍管に対する有用な代替を提供することは、先行技術のさらなる態様である。
文献、行為、材料、装置、物品等の議論は、本発明のための文脈を提供することのみを目的として本明細書に含まれる。これらの事項のいずれか又は全てが先行技術基準の一部を形成するか又は本願の各クレームの優先日前に存在していた本発明に関連する分野における技術常識であったことを示唆又は表現するものではない。
必ずしも最も広い態様ではないが、第1の態様では、本発明は、電子増幅チェーンを提供するように構成された一連の別個の電子放射面を含む電子増倍管であって、当該電子増倍管は、汚染物質(限定されないが試料キャリアガス流内で移動する汚染物質を含む)が当該電子増倍管に入ること、部分的に通過すること又は完全に通過することを抑制又は防止するように構成されている、電子増倍管を提供する。
第1の態様の一実施形態では、電子増倍管は、汚染物質が前記電子増倍管に入ること、部分的に通過すること又は完全に通過することを防止又は抑制するように構成された1つ以上のバッフルを含む。
第1の態様の一実施形態では、前記1つ以上のバッフルは、1つ以上のバッフルを有さない同一の又は同様の電子増倍管に比べて、前記電子増倍管の真空コンダクタンスを低減するように構成されている。
第1の態様の一実施形態では、前記電子増倍管内に直線状の経路が画定され、該直線状の経路は、前記1つ以上のバッフルの存在以外では、汚染物質が前記電子増倍管に入ること、部分的に通過すること又は完全に通過することを許容する。
第1の態様の一実施形態では、前記一連の個別の電子放射面は、前記電子増倍管の中心軸の周りに配置され、前記1つ以上のバッフルは、該中心軸に近づくか、当接するか又は交差する。
第1の態様の一実施形態では、前記一連の個別の電子放射面は、前記電子増倍管の中心軸領域の周りに配置され、前記1つ以上のバッフルは、該中心軸領域内に延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記1つ以上のバッフルは、前記中心軸領域を完全に横切る。
第1の態様の一実施形態では、前記1つ以上のバッフルは前記電子増倍管のハウジングから又は前記電子増倍管内の既存の構造から又は前記電子増倍管内の専用の構造から延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記一連の個別の電子放射面のそれぞれはダイノードであるか又はダイノードの一部であり、前記1つ以上のバッフルのうちの1つは該ダイノードから延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記ダイノードは周縁領域を有し、前記1つ以上のバッフルは該周縁領域から延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記ダイノードは、断面において、それぞれ前記電子増倍管の中心軸又は中心領域の方に概して延びる第1の区画及び第3の区画を有し、該第1の区画及び該第3の区画は第2の区画により結合され、(i)前記バッフルは前記第1の区画又は前記第3の区画から延びるか又は(ii)前記第1の区画又は前記第3の区画は、少なくとも部分的にバッフルとして機能するように延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記第1の区画は、断面において、前記第3の区画よりも長い。
第1の態様の一実施形態では、前記第2の区画は、断面において、前記第1の区画及び前記第2の区画の長さの中間の長さを有する。
第1の態様の一実施形態では、前記ダイノードは単一の材料から作られており、前記ダイノードの第1の区画及び第3の区画のそれぞれは、前記第2の区画とのそれぞれの界面における屈曲により画定され、前記第1の区画及び前記第3の区画は、前記電子増倍器の中心軸又は中心領域の方に概して延びる。
第1の態様の一実施形態では、前記一連の個別の電子放射面のそれぞれはダイノードであり、該一連のダイノードは交互配置されている。
第1の態様の一実施形態では、ダイノードの第1の区画は、前記増幅チェーンにおける次のダイノードの第1の区画と交互配置(interleaves with)されている。
第1の態様の一実施形態では、前記ダイノードの第1の区画は電子増倍管入力に最も近位の区画である。
第1の態様の一実施形態では、ダイノードの第1の区画は、前記増幅チェーンにおける次のダイノードの第1の区画と交互配置され、前記第1の区画と前記第2の区画との間に少なくとも約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm又は2.0mmの重複を提供する。
第1の態様の一実施形態では、電子増倍管は少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のバッフルを含む。
第1の態様の一実施形態では、前記ダイノードのうちの少なくとも1つはバッフルとして機能するように構成又は配置されている。
第1の態様の一実施形態では、前記1つ以上のバッフルのうちの少なくとも1つは、それぞれ約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm又は2.0mmの距離にわたって延びる。
第2の態様では、本発明は、第1の態様のいずれかの実施形態の電子増倍管と、前記電子増倍管によって出力される二次電子を収集するように構成されたコレクタとを含む粒子検出器を提供する。
図1は、従来技術のダイノードを含む電子増倍管内の二次電子の方向移動を示す極めて概略的な図である。 図2は、従来技術の電子増倍管における二次電子雪崩の生成を示す極めて概略的な図である。ダイノードにより形成される三次元の中央の直線状の空間の境界を破線矩形で示す。 図3は、電子増倍管のダイノードの割合を示す極めて概略的な図である。電子増幅チェーンにおいて連続するダイノードのうちの2つは、(i)互いに重なり合い且つ(ii)増倍管の中央の直線状の空間に伸びるように上側区画が過度に伸長されるように変更されている。 図4は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。図4~図10のそれぞれ図において、入力粒子(典型的にはイオン)は(図示の)増倍管の上部に入り、ダイノードにより生成された二次電子の雪崩が下部で出て行く。様々な図面は、変形されたダイノードと変形されていないダイノードとの様々な比率及び電子増倍管の特定の領域における変更されたダイノードの配置を有する実施形態を例示する。 図5は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図6は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図7は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図8は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図9は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図10は完全な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示す。 図11は、部分的な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示し、バッフルは任意のダイノードから離れている。 図12は、部分的な電子増倍管のダイノードの極めて概略的な図を示し、バッフルは任意のダイノードから離れている。 図13は、典型的な構成を示す極めて概略的なブロック図であり、ガスクロマトグラフィー器具が質量分析計に連結され、質量分析計は、本明細書に記載の種類の真空コンダクタンスを最小化するように構成されたイオン検出器を有する。 図14は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の断面図であり、その界面で非線形又は曲がりくねった経路を形成する。 図15は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の斜視図であり、その界面で非直線状の又は曲がりくねった経路を形成する。 図16は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の断面図であり、その界面で非直線状の又は曲がりくねった経路を形成し、要素のうちの一方は突起を有し、他方は相補的な凹部を有する。 図17は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の断面図であり、その界面で非直線状の又は曲がりくねった経路を形成し、要素のうちの一方は一連の突起を有し、他方は相補的な一連の凹部を有する。 図18は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の断面図であり、その界面で非直線状の又は曲がりくねった経路を形成し、要素のうちの一方は周縁リップを有する。 図19は、2つの検出器素子(「A」及び「B」)間の例示の界面の断面図であり、その界面で非直線状の又は曲がりくねった経路を形成し、要素のうちの一方は周縁リップ及び凹部を有し、他方は相補的な凸部を有する。
本説明を検討した後、本発明が様々な代替の実施形態及び代替の用途でどのように実施されるかが当業者には分かるであろう。しかしながら、本発明の様々な実施形態を本明細書に記載するが、これらの実施形態は例示に過ぎず、限定するものではないことが分かる。そのため、種々の代替的な実施形態の本説明は、本発明の範囲又は広さを制限するものと解釈すべきではない。さらに、利点又は他の態様についての記述は、特定の例示の実施形態に該当するものであり、必ずしも特許請求の範囲によってカバーされる全ての実施形態には該当しない。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む」という用語及び該用語の変形である「含まれる」及び「含み」等は、他の追加物、構成要素、整数又はステップを除外することを意図するものではない。
本明細書にわたって言及する「一実施形態」又は「1つの実施形態」とは、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。そのため、本明細書中の様々な箇所における「一実施形態において」又は「1つの実施形態において」という表現の出現は、可能性はあるが、全てが必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。
本明細書に記載の本発明の全ての実施形態は、本明細書に開示する利点の全てを有するわけではないことが分かる。一部の実施形態は1つの利点を有し得るが、他の実施形態は全く利点を有さない場合があり、先行技術に対する有用な代替手段に過ぎない。
本発明は、電子増倍管の真空コンダクタンスが低減された場合に従来技術の電子増倍管の改良が実現されるという本発明者らの発見に少なくとも部分的に基づく。このコンダクタンスの低減は、汚染物質種(キャリアガス流に由来する残留ガス分子等)の侵入を防止又は阻止することによって実現され得る。加えて又は代替的に、コンダクタンスの低減は、汚染物質種が電子増倍管を通過するのを防止又は阻止することにより実現され得る。後者の状況では、汚染物質種は電子増倍管の内部空間に入ることを許容され得るが、増倍管は汚染物質が増倍管の内部空間の深くに入り込む能力を制限するように構成されている。一部の状況では、汚染物質種が中央領域に位置するダイノードの周辺の領域又は電子増幅チェーンの末端領域の周りに入り込むことが防止されている。一部の状況では、汚染物質種は、末端ダイノードから放出された二次電子を受け取る(陽極である)コレクタ面の周囲の領域に入り込むことが防止されている。
本発明の一部の実施形態では、電子増倍管は、内部空間内に配置された1つ以上の物理的バリアを含む。そのような物理的バリアに言及するために、本明細書では「バッフル」という用語が用いられる。
電子増倍管がバッフルを含む場合、バッフルは、典型的には増倍管の「内部」であると考えられるように配置され及び/又はサイズ及び/又は形状を有する。この文脈で、「内部」という用語は、バッフルの少なくとも一部又はバッフルの全部が電子増倍管の境界ボリューム(bounding volume)内にある状況に言及することを意図する。一部の実施形態では、バッフルの一部又は全ては、電子増幅チェーンの2つの連続するダイノード等の2つの対向するダイノードの間に存在する空間内に延在する。
多くの状況で、電子増倍管は、(コレクタ/陽極を含むことによって)イオン検出器の形態で実施され、その場合、「内部」という用語は、検出器の境界ボリューム内を意味するものと定義され得る。
一般に、バッフルを含む任意の電子増倍管又はイオン検出器は、器具の修正を必要とせずに器具(質量分析計等)と機能的に連動できるようなサイズ、寸法又は配置をバッフルが有することが望ましい。そのため、電子増倍管又はイオン検出器の設置を妨げ得るバッフルは概して回避される。
電子増倍管内の汚染物質種のレベルの低下は、イオンフィードバックの問題を対処し得る。汚染物質種がイオン化され得る(したがってフィードバックイオン源になる)ことを考えると、バッフルは、電子増倍管内のイオンフィードバックのレベルを低減し得る。理解されるように、増倍管におけるイオン化の大部分は、電子束が最も高くなる電子増倍チェーンの末端の方で(すなわち、コレクタ陽極の方で)起こる。そのため、汚染物質種が増倍管に入ることは許容するものの、装置の末端領域へと汚染物質が通過することを少なくとも阻害する本発明の実施形態はそれでもなおイオンフィードバックを実質的に低減を提供し得る。
寿命の短縮の問題に関して、増倍管内の汚染物質種の減少により、その内部の電子放射面は少なくともある程度汚損が免れ得る。(ダイノードの形態で通常実施され得る)電子放射面は入ってくる電子に長期にわたって応答可能にとどまることで、寿命を延びる。イオンフィードバックを抑制することは、検出器が一定量の電荷しか出力することができず、イオンフィードバックがその電荷の一部を浪費することから、検出器の寿命を間接的に延ばし得る。
電子増幅器は、電子増幅チェーンを提供するように構成された一連の個々の電子放射面を通常含む。本発明によれば、電子増倍管は、試料キャリアガス流内を移動する汚染物質が電子増倍管に入ること、部分的に通過すること又は完全に通過することを阻止又は防止するように構成され得る。従来技術の電子増倍管の設計では、増倍管装置自体の真空コンダクタンスの重要性は認識されてこなかった。
当業者に理解されるように、質量分析計におけるイオン検出器として機能する電子増倍管はチャンバ内の高真空条件下で動作し、チャンバ内で試料粒子(イオン等)を導入するためにキャリアガスが用いられる。試料粒子はチャンバ内で加速され、電子増倍管に入る前に質量/電荷比に従って分離される。単一のイオンを一連の電子放射面により二次電子の雪崩に変換することは電子増倍管の仕事である。放射面の最後の部分により生成される二次電子はコレクタアノードに衝撃を与えて電気信号を形成する。試料キャリアガスもチャンバに入り、試料物質だけでなく、汚染物質も搬送する。そのため、汚染物質は真空チャンバを通って電子増倍管に運ばれて増倍管の動作に悪影響を及ぼし得る。
汚染物質はキャリアガス以外の発生源から生じ得る。汚染物質は様々な電子フィードスルー及びポンプシールのいずれかから真空チャンバに入り得る。例えば、拡散ポンプから微量のオイルがチャンバ内に漏れることは珍しいことではない。
チャンバ内の全ての汚染物質は最終的には検出器に入る。入るかどうかではなく、いつ入るかの問題である。バッフルは汚染物質が一旦検出器に入った場合にその移動度を制限する。
本発明によれば、汚染物質が増倍管に入るか又は通過するのを防止するか又は少なくとも抑制して、汚染物質に対する電子放射面及び検出器の一般的な内部環境の露出を制限するために電子増倍管の真空コンダクタンスが低減される。
電子増倍管では、図2に示すように対向するダイノードの間に直線状の経路が画定される。図2は、従来技術のディスクリートダイノード電子増倍管(10)のダイノードの極めて概略的な図である。この増倍管(10)は、図1を参照して本明細書の背景技術の節で説明したものと同じ基準で動作する。電子増幅チェーンにおけるダイノードのそれぞれは連続的に番号が振られている(15a~15g)。流入イオン(20)の経路を増倍管(10)の入口に示し、その後の増幅によって電子の雪崩(25)がもたらされる。以下で説明するように、破線の矩形で示すように、狭い直線状の空間(30)が中心軸に沿って且つ増倍管(10)の内部に延びている。直線状の空間(30)はダイノード(15)の端により(少なくとも幅で)画定されている。出願人は、直線状の空間(30)が電子増倍管の全体的な真空コンダクタンスに寄与し、コンダクタンスを低減するために、直線状の空間(30)を通るガスの通過を防止又は制限するための何らかの手段を提供することを提案する。
図2の従来技術の構成では、各ダイノード(15)は伸長区画(参照符号35)を有することが分かる。そのようなダイノードは従来技術では「ブロッキングダイノード」と呼ばれている。何故なら、それらは検出器を通る中央の直線状の空間に沿った見通し線をブロックするために用いられているからである。本明細書の背景技術の節で説明したように、このような制限の目的は、当技術分野で認められた問題であるイオンフィードバックを低減することである。ブロッキングダイノードを用いることにより、電子増倍を制限する目的で流入イオンの初期衝撃エネルギーを抑制することができる。伸長部(35)の長さは、2つ以上の連続するブロッキングダイノードの間の検出器を通る見通し線を防止するのに十分なものである。ブロッキングダイノードを作るために長い区画を伸長することの機能的なコストは、ダイノードからダイノードへの電子移動の効率の低下である。この理由から、連続するダイノードの長い区画の重複は、通常ゼロに近くなるように(例えば、0.1mm)選択される。製造公差を考慮した結果、これは、最悪の場合の重複である0.1mmが保証されるようにしばしば約0.2mmの公称重複となる。
従来技術の電子増倍管は、しばしば4つのブロッキングダイノードを1組又は3つのブロッキングダイノードを2組含む。ブロッキングダイノードを制限的に用いることにより、全体的な効率損失が最小限に抑えられる一方で、イオンフィードバックが実質的に抑制される。製造公差を考慮するために3つ以上のブロッキングダイノードがセットで通常用いられる。製造公差を考慮するために伸長区画をさらに伸長でき得るものの、ダイノードからダイノードへの電子移動効率が急速に低下する。したがって、1セットに3つ又は4つのブロッキングダイノードを用いると、さらに伸長区画を持つ2つのブロッキングダイノードのセットを用いる場合よりも全体的な効率が高くなる。
本発明によれば、ガスが直線状の空間(30)を通過する機会を制限するために従来技術の電子増倍管に変更を加える。そのような制限は、ガスが増倍管に入るか又は通過する能力を制限又は防止する非直線状の又は曲がりくねった経路を提供するように増倍管を設計することにより実現され、その結果として、増倍管の真空コンダクタンスが低減される。
ここで、本発明の電子増倍管内に配置された物理的バッフルの様々な配置を考慮して、本発明の一実施形態を示す図3を参照する。図3は、電子増倍管内の中央の直線状の空間(30)内で重複するように各ダイノードの上側区画を伸長することによりバッフルが設けられている。図3の実施形態では、ダイノード(15d)及び(15e)は過度に伸長された区画(40a)及び(40b)を有する。過度に伸長された区画(40a)及び(40b)のそれぞれは末端が中央の直線状の空間(30)内に伸長するように(参照符号35で示す)伸長区画よりも長くなっている。さらに、過度に伸長された区画(40a)及び(40b)は、電子増幅チェーンで連続するダイノード(15d)及び(15e)上に存在し、直線状の空間(30)にわたって重複する。理解されるように、過度に伸長された区画(40a)及び(40b)は直線状の空間(30)においてねじれを提示することにより電子増倍管の真空コンダクタンスに負の影響を与える。次に、汚染物質は空間(30)に入りにくくなる。たとえ汚染物質が空間(30)に入ってダイノード(15b)汚損したとしても、汚染物質はダイノード(15d)に移動する可能性は低く、ダイノード(15e)に到達する可能性はさらに低くなる。
過度に伸長された区画(40a)及び(40b)は、直線状の空間(30)への侵入及び通過に対して絶対的なバリアを提供しない。代わりに、増倍管を通過するガスの流れに対する一般的な抵抗を提供することにより、汚染物質が空間(30)に入る機会を減らし、ダイノード(15b)の第1の過度に伸長された区画(40a)上方の空間(30)の領域に入る機会をさらに低減し得る。ある状況では、汚染物質が過度に伸長された区画(40a)又は(40b)の後(上方を向いた)面に堆積することにより、ダイノードの電子放射面の汚染が回避され得る。
この機会に、「上向き」、「下向き」等の相対的な方向を示す用語は記載された様々な特徴を特定するためにのみ便宜上用いられることを明確にしたい。(質量分析計のような)器具に取り付けられた場合、特徴は本明細書に記載の方向を示す用語とは異なる向きを有し得る。
図3の実施形態では、2つの連続するダイノードの1対の過度に伸長されたダイノード区画が交互配置されている。過度に伸長された区画を含む単一のダイノードによって単一のバッフルのみが提供される場合には幾つかの利点が得られ得る。3つ以上のバッフルが提供される場合、例えば、過度に伸長された区画を有する第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12ダイノードによって例えば第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12のバッフルが提供される場合、図3の実施形態に対する利点が得られ得る。
真空コンダクタンスをさらに低減するために、電子増倍管の各ダイノードは、可能な限り多くバッフルを提供するために過度に伸長された区画を有し得る。一実施形態では、連続するダイノードの対のかなりの少数(たとえば、35%以上)が過度に伸長されたバッフル区画を有する。
過度に伸長された区画を欠くいくつかのダイノードを含む本発明の実施形態の場合、過度に伸長された区画を有するダイノードは、真空コンダクタンスの有用な低減が得るように配置され得る。例えば、バッフルとして作用するダイノードのブロックが、ガスが検出器に入るのを制限するために電子増倍管の入力側に存在するよう配置され得る。さらなる例として、内部バッフルとして作用するダイノードのブロックは、検出器の領域に最も高い電子束でガスが入るのを制限するために、増倍管の出力側においてコレクタ/陽極の周囲に配置され得る。さらなる構成では、内部バッフルとして作用するダイノードは、増倍管を通る見通し線の範囲を最小に抑えるために均等に離間され得る。
電子増倍管内に1つ以上のバッフルが存在すると、増倍効率がある程度低下することがある。内部バッフルとして作用するダイノードの数又は配置とは無関係に、効率コストは、増倍管内の様々なサイズの過度に伸長されたバッフル区画の使用によって少なくとも部分的に相殺され得る。バッフルに起因する効率コストは、別のバッフルとの予測される重複のサイズに応じて増加する。検出器内に一連のバッフルサイズを組み込むことにより、検出器の特定の領域に比較的高いレベルを、そして他の領域には比較的低いレベルのバッフリングを提供することが可能となり得る。例えば、最も大きく且つ最も効果的なバッフルは、汚染物質の負の効果の大半が見られる増幅チェーンの端部におけるコレクタ/陽極の周りで用いられ得る。同様に、大半の汚染物質が入る増倍管の入口で大きなバッフルが用いられ得る。
電子増倍管の文脈で配置される場合、バッフル(増幅チェーンにおける2つの連続するダイノードの過度に伸長された区画等)は、連続するダイノードの間に交互配置が作られるように重複するために十分に伸長され得る。重複は、増倍管の軸方向から又は増倍管の主軸に垂直な平面への参照から考慮され得る。
一部の実施形態では、約0.05mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm又は1mmの最小突出重複が提供される。一部の実施形態では、重複は約0.25mmである。
図面を参照してさらなる実施形態を説明する。図4を参照して、図4は電子増倍管の全てのダイノードの配置を示す。この実施形態では、増倍管は20個のダイノードを有する。ダイノードのそれぞれは(参照符号50で示す)過度に伸長された上部区画を含み、過度に伸長された区画の全ては直線状の空間(30)内に延びている。直線状の空間(30)内に延びることに加えて、過度に伸長された区画は、連続するダイノードが交互配置されるように重複する。
次に、図5を参照して、図5は20個のダイノードの配置を示し、最初の8つのダイノードは(参照符号50で示す)過度に伸長された上部区画を含み、過度に伸長された区画の全ては直線状の空間(30)内に延び且つ重複配置を有する。電子増倍チェーン内の第9のダイノード(60)以降は、直線状の空間(30)内に延びる区画がない従来技術のダイノードである。この実施形態では、第1の8つのダイノードの過度に伸長された区画はダイノード間の空間にねじれを形成する。ねじれがなければ、そこを通過するガスに対して抵抗がほとんどもたらされない。最初の8つのダイノードによって提供されるガス流に対する抵抗は、増倍管の真空コンダクタンスを全体的に減少させる。とりわけ、増倍管の中間領域(すなわち、第9のダイノード60の周囲)に汚染物質が侵入することが防止又は抑制される。
図6の実施形態は20個のダイノードの配置を示し、最初の14個のダイノード(そのうちの最後を参照符号60で示す)は過度に伸長された区画を有さない従来技術のダイノードである。したがって、ガスは、直線状の空間30を通過する際、ガスが直線状の空間30内に延び、第6~第20のダイオードの過度に伸長された区画と重複配置を有する過度に伸長された上部区画50を含む第15のダイノードと出会うまでは比較的抑制されていない。この実施形態では、最後の6つのダイノードの過度に伸長された区画がダイノード間の空間にねじれを形成する。ねじれがなければ、そこを通過するガスに対して抵抗がほとんどもたらされない。最後の8つのダイノードによって提供されるガス流に対する抵抗は、増倍管の真空コンダクタンスを全体的に減少させる。とりわけ、汚染物質は増倍管の中間領域に入ることは許容されるが、陽極/コレクタの周囲の最終領域への侵入が防止又は抑制される。
図7の実施形態では、過度に伸長された区画を有する全てのダイノードが参照符号55で示されているが、従来技術のダイノードは参照符号で示されていない。なお、先行技術のダイノードと、過度に伸長された区画を有するダイノードとが厳密に交互に配置されている。この構成は増倍管の全長にねじれを提供するが、このねじれは、(例えば、図4に示す)全てのダイノードが過度に伸長された区画を有する増倍管によって提供されるものよりも少ない。
図8の実施形態では、過度に伸長された区画を有する全てのダイノードが参照符号55で示されているが、従来技術のダイノードは参照符号で示されていない。ガスの通過は、過度に伸長された区画を含む最初の6つのダイノード及び最後の6つのダイノードによって倍増の入力(上)及び出力(下)領域の両方で制限されている。8つの従来技術のダイノードを含む中央領域は効率の損失を全く生じないが、最初の6つのダイノード及び最後の6つのダイノードは増倍管全体に効率コストを与える。
図9の実施形態では、過度に伸長された区画を有する全てのダイノードが参照符号55で示されているが、従来技術のダイノードは参照符号で示されていない。最初の3つのダイノード及び最後の6つのダイノードは、増倍管の入力及び出力領域でそれぞれブロックを形成する。残りのダイノードは連続対に形成され、第1の連続対(ダイノード4及び5)は先行技術のダイノードであり、第2の連続対(ダイノード6及び7)は過度に伸長された区画を含むダイノードであり、第3の連続対(ダイノード8及び9)は先行技術のダイノードであり、第4の連続対(ダイノード10及び11)は過度に伸長された区画を含むダイノードであり、第5の連続対(ダイノード12及び13)は先行技術のダイノードであり、第6の連続対(ダイノード14及び15)は過度に伸長された区画を含むダイノードであり、第7の連続対(ダイノード12及び13)は先行技術のダイノードである。
図10の実施形態は、別の同一のダイノードと交互配置された場合に約0.25mmの重複を提供する過度に伸長された区画を有するダイノード(80)と、別の同一のダイノードと交互配置された場合に約0.1mmの重複を提供する過度に伸長された区画を有するダイノード(85)と、別の同一のダイノードと交互配置された場合に約1mmの重複を提供する過度に伸長された区画を有するダイノード(90)と、別の同一のダイノードと対向した場合に重複を提供しない先行技術のダイノードの3つの種類のダイノードを用いる。
第1の組のダイノード(80)は適度なレベルのねじれを提供するため、汚染物質を含むガスを排除する適度な能力を提供する。これは、増倍管のこの領域は全てのガスの入口点であることを考慮すると望ましい。負の側面は、増倍管のこの部分における電子増幅について比較的の適度なレベルの効率低下が見られる点である。
第2の組のダイノードは、比較的低いレベルのねじれを提供するために、汚染物質を含むガスを排除する低い能力を提供するダイノード(85)及びダイノード(95)を交互に含む。これは、先のダイノード(80)がすでにガス流に対して大きな抵抗を既に与えていることを考えれば望ましい構成である。この第2の組のダイノードの少ない度合の重複は、電子増幅の効率に与える負の影響が比較的少ない。
第3の組のダイノード(90)は比較的高いねじれを提供するため、汚染物質を含むガスを排除する比較的高い能力を提供する。増倍管のこの領域は最高レベルの電子束を有することを考えればこの高い能力が望ましい。第3の組のダイノードにおける高レベルの重複は、電子増幅の効率に与える負の効果が比較的小さい。
図4~図10の実施形態は、電子増倍管の異なる領域で異なるダイノードを慎重に用いることにより、真空コンダクタンスの減少と電子増幅効率との競合する利害のバランスがどのように取られるかを示す。
ここまで説明してきた特定の実施形態のそれぞれは、ダイノードからの過度な伸長により物理的バッフルが提供されてきた。しかしながら、本発明はそのような構成に限定されないことが理解されるであろう。ダイノードの過度に伸長された区画によって形成されるバッフルに関する本明細書のあらゆる教示は、このように形成されない他の形態の物理的バッフルにも該当することを理解されたい。明らかなように、バッフルはダイノードから独立して形成されてもよく、そのような実施形態ではダイノードと一体形成されたバッフルに関する教示のいずれかが該当し得る。バッフルは、従来技術の電子増倍管内の任意の構造から又は実際にはバッフルを支持する目的で電子増倍管の設計に具体的に導入された構造から電子増倍管の直線状の空間内に延びてもよい。
図11は、2つのバッフル(100a)及び(100b)が直線状の空間(30)内に延びているが、バッフル(100a)及び(100b)はいずれのダイノード(105)の一部でなく、物理的にも取り付けられていない実施形態を示す。なお、この実施形態におけるダイノードは、既存の電子増倍管でしばしば用いられる上部区画から延びるブロック区画を持たない従来技術のダイノードである。
図12は、図11の実施形態と同様であるが、先行技術のダイノードでしばしば用いられる伸長されたブロック区画を有するダイノード(115)を含む実施形態を示す。この実施形態では、バッフル(110a)及び(100b)は、伸長されたブロック区画との衝突を避けるように配置される。
図面の実施形態のそれぞれは、バッフルが増倍管内の直線状の空間内に延びているが、その空間を越えていないことを示す。しかしながら、一部の状況では、バッフルの末端が直線状の空間を越えて延びることがある。
多くの場合、本発明の電子増倍管は検出器モジュールの一部である。検出器は、末端ダイノードから放出される二次電子の雪崩がコレクタ/陽極面に衝突して電気信号が生成されるようにコレクタ/陽極と機能的に関連する電子増倍管を含む。信号の大きさは、コレクタ/陽極面に衝突する電子の数に比例し、ひいては二次電子雪崩を誘発する元の粒子を表す。
したがって、一態様では、本発明は、本明細書に記載の電子増倍管を含む検出器を提供する。検出器はイオン検出器であってもよく、任意で、図13に示す一般的な従来技術のスキームに係るイオン検出器として質量分析計で用いられる種類のものであってもよい。図13は、質量分析計に連結されたガスクロマトグラフィー装置の典型的な配置を示す。試料が注入され、そして試料がオーブン内の分離媒体を通過するように推進するキャリアガスと混合される。試料の分離された成分は、移送ラインの末端から出て質量分析計に入る。これらの成分はイオントラップ質量分析器を通じてイオン化及び加速される。質量分析器を出たイオンは検出器に入り、各イオンに対する信号が検出器内のディスクリートダイノード電子増倍管(図示せず)により増幅される。増幅された信号は接続されたコンピュータで処理される。
出願人は、検出器が真空チャンバの環境とは異なるそれ自体の内部環境を画定できることを最初に認識した。したがって、チャンバ内で分散された(キャリアガスからの又はポンプシール及び電気フィードスルーなどの他のポータルを介して導入された)汚染物質は検出器内に移動し、検出器の内部環境を損ない得る。検出器の内部環境内の汚染物質の存在は、検出器寿命に深刻な悪影響を及ぼし、汚染事象が頻繁に繰り返されることで検出器寿命が慢性的に低下することがさらに認識されている。
内部バッフルを用いることにより、検出器内の汚染物質の移動度が低下するため、検出器によって自己生成される優れた動作条件を維持できる。本明細書の他の箇所で説明されるように、検出器は、(i)汚染物質の侵入を抑制し、(ii)検出器内で汚染物質の移動度を阻止するために協調して作用するバッフルの使用による外部シールドをさらに備え得る。出願人は、これは深刻な負の効果(検出器の性能を一時的に変化させる)があるが、長期的な性能不足及び検出器の寿命の短縮につながるより慢性的な負の効果も最初に認識した。問題の真の性質を発見した本出願人は、本明細書に記載の内部バッフルの特徴により汚染物質の侵入を抑制又は防止する1つ以上の特徴を有する検出器を提供する。
本発明の検出器は、検出器に出入りするガス又は他の物質の真空コンダクタンスを低減するように機能し得る。本発明の検出器は、検出器内部の環境を検出器外部の環境から切り離すさらなる効果を有し得る。いずれにせよ、望ましい最終結果は、潜在的な汚染物質が検出器に入り、電子増倍管の(ダイノード面等の)電子放射面又は検出器のコレクタ/陽極面を汚染する機会を減らすことである。
一部の実施形態では、内部バッフルの使用は、検出器が設置される質量分析計のイオン化手段に試料を導くために用いられるキャリアガス(水素、ヘリウム又は窒素等)に関して効果的にとなることを意図している。いったん試料がイオン化されると、得られたイオンの通過は質量分析器の制御下にあるが、残留キャリアガスは質量分析器を越えてイオン検出器に向かって続く。従来技術では、残留キャリアガスが検出器の寿命及び/又は性能に及ぼす影響が考慮されていなかった。出願人は、残留キャリアガスが、検出器の(増幅電子放射面である)ダイノード又は検出器のコレクタ/陽極を汚損するか又はその動作を妨害する汚染物質を通常含むことを見出した。場合によっては、キャリアガス自体がダイノード又はコレクタ/陽極に有害な影響を与え得る。
本発明の多くの実施形態は、検出器の真空コンダクタンスを制御することによって利点を実現し、ひいては検出器の内部環境と外部環境との連結を制御する。
本発明に従ってコンダクタンスが低減される場合、低減のレベルは、本発明のコンダクタンス変調機能の非存在下で測定されたコンダクタンスのパーセンテージとして表され得る。コンダクタンスの低減は、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%又は1000%よりも大きい。
当業者であれば、真空コンダクタンスの概念を理解し、電子増倍管又は検出器のコンダクタンス又は少なくとも2つの検出器の相対コンダクタンスを測定できる。近似として、検出器は真っ直ぐな管状のパイプ又はチューブと考えられ、そのコンダクタンスは、パイプの(全体の)長さ(M)及び半径(cm)を参照して計算され得る。長さを半径で割ることでL/a比が得られ、コンダクタンス(例えば、L/秒)が参照テーブルから読み取られる。検出器の幾何学的形状は真っ直ぐな管状のパイプ又はチューブと多少異なり得るため、算出される絶対コンダクタンスは正確ではない場合がある。しかしながら、検出器のコンダクタンス変調機能の有効性を評価する目的のためには、そのような近似は有用である。
検出器の真空コンダクタンスを低減して内部環境と外部環境との連結を最小限に抑えることで、検出器の内部環境の一般的な改善がもたらされ得る。理論によって制限されることをなんら望まないが、このアプローチは、検出器の電子増倍管の電子束がポンプとして作用することを可能にすることにより、検出器の動作のためのよりクリーンな環境を作り出すことができる。このよりクリーンな内部環境は主に増倍管の寿命を延ばす。検出器の動作方法に応じて、副次的な利点は、ノイズの減少、感度の向上、ダイナミックレンジの増加、イオンフィードバックの低減等も含む。検出器の真空コンダクタンスの低減は、検出器の性能及び寿命に対する有害な外部環境の影響を制限する。これには、持続的な及び急性な効果の両方を含む。
さらなる利点は、検出器の性能及び寿命に対する検出器の動作の悪影響を最小限に抑えることである。出願人は、ユーザのデューティサイクル、イオン入力電流及びモードの選択が検出器の性能に影響を及ぼし、検出器の寿命に大きな影響を及ぼすことを見出した。そのような効果は、外部環境と等しくなるように検出器の内部で実質的に完全な真空が形成されるのに要する時間である真空緩和時間に起因する。緩和時間はデューティサイクルにおける「オフ時間」と通常整合する。
同様に、電荷の離散化された性質は、典型的なイオン入力電流で擬似オフ時間をもたらすことが実証されている。これらの擬似オフ時間は、十分に低い電流での検出器真空緩和時間のオーダであり、とりわけ、検出器が飛行時間(TOF)モードで動作する場合にそうである。TOFモードでは、被分析物のイオンは時間内で共に集められる。したがって、異なる被分析物の数及びそれらの質量分布はTOFモードにおける擬似オフ時間も決定する。検出器の真空コンダクタンスを最小化することにより、検出器の真空緩和時間が延びる。これにより、検出器は、より広い範囲のデューティサイクル及びイオン入力電流にわたって、その意図された性能及び寿命を実現できる。真空緩和時間の延長は、検出器の動作モード及び被分析物のイオンの混合物が検出器の性能及び寿命に及ぼす影響を制限する。
真空コンダクタンスを低減することのさらなる効果は、外部検出器環境の変化に起因する検出器較正の変化を最小限に抑えることである。これには、汚染物質の急激な到着によるゲインの突然の損失と、検出器面に到達する水分子による一時的なゲイン回復の両方が含まれる。
本発明は多くの形態で実施されてもよく、検出器の真空コンダクタンスの低減をもたらすか又は支援する特徴のうちの1つ又は組み合わせを有する。本発明は、シールされた検出器、部分的にシールされた検出器、1つ以上のガス流バリアを備える検出器、検出器から離れて存在するガス流をシャントする適切に設計された軸外入力光学系に関連する検出器、検出器から離れて存在するガス流をシャントする適切に設計された軸外入力光学系に関連する1つ以上のガス流バリアを含む検出器、見通し線入力開口を有する検出器内でのガスの局所的な増大を防止するためのベント、グリル、開口及び/又は孔等の加工された不連続部(engineered discontinuities)を含む検出器、見通し線入力開口を有する検出器内でのガスの局所的な増大を防止するためのベント、グリル、開口及び/又は孔等の加工された不連続部をさらに含む1つ以上のガス流バリアを含む検出器、動作の間にコンダクタンスを最小限に抑えるために調整可能な(好ましくは可動の)ガス流バリアを用いる検出器の形態で実施され得る。
電子増倍管又は検出器における内部バッフルの使用は、真空コンダクタンスを低減するための他の手段と組み合わされ得る。例えば、出願人は、検出器の任意の界面又は不連続部を介してそれらの周りで確立される真空下で検出器に入るガス及び他の物質(その一部がダイノード汚染物質及び/又はコレクタ汚染物質として作用し得る)の能力を変化させることで、使用寿命及び/又は性能に影響を及ぼし得ることをさらに発見した。界面及び不連続部を介して検出器に出入りするガス又は他の物質の侵入を抑制又は防止する必要性は、質量分析及び他の用途で用いる検出器を設計する際に従来の当業者によってこれまで考慮されてこなかった。
出願人は、既存の検出器設計に組み込むための又は代替的に新たな検出器設計のためのベースとして一連の特徴を提案する。これらの特徴は、原子、分子又はより大きな種が検出器内に入ることを抑制又は防止する共通の機能を有する。これらの特徴がない場合、そのような原子、分子又はより大きな種は、検出器内の不連続部又は2つの検出器素子間の界面を利用して検出器に入り、検出器の電子放射面又は陽極/コレクタを潜在的に汚染するか又は他の誤動作を引き起こし得る。
当業者に理解されるように、検出器は様々な圧力形態で動作される。十分に低い圧力では、検出器の内外のガスはもはや従来の流体のように流れなくなり、代わりに遷移流又は分子流のいずれかで動作する。理論的に何ら制限されることを望まないが、出願人は、内部検出器環境及び外部検出器環境が遷移的及び/又は分子流レジーム(すなわち、非従来型フロー)で動作している場合、要素間の界面又は要素内の不連続部は汚染物質が内部検出器環境に入り得る経路を提供し得ることを提案する。
この発見を受けて、種々の手段によって検出器へのガスの分子流又は遷移流を防止するか又は少なくとも抑制する解決策が提案される。このような手段は、実質的にガス不透過性で、検出素子に実質的にガス密シールを形成することが可能な材料で構成されるシーラントの使用を含む。他の手段は、検出器内にガスが入る能力を制限又は防止するために非直線状の又は曲がりくねった経路を提供するために検出器要素を結合する様々な戦略の実施を含む。
理解されるように、任意の界面は実際には三次元であり、それゆえ界面を通る直線の見通し線が描かれていても、界面を通る分子にとって多くの経路が利用可能である。本発明の文脈において、「非直線状の又は曲がりくねった」という用語は、二次元断面を考慮した場合に一方側から他方側に界面を通る直線の見通し線を引くことができない任意の構成を含むことを意図する。
検出器へのガスの分子流又は遷移流を防止又は少なくとも抑制するための手段は、ガス分子(又は実際に他の汚染物質)の検出器内部への外部からの通過を絶対的に防止するように機能し得る。本発明の一部の形態では、前記手段は、所与の期間にわたって検出器に入る分子の数が、そのような手段が設けられていない場合よりも少なくなるように、ガス分子の通過を遅延又は遅らせるように作用する。
前記期間は、検出器の被分析物のイオン照射の2回のエピソードの間の期間に(直線的又は非直線的に)対応し得る。典型的な条件下で動作する現在のモデル質量分析計の場合、時間周期は一般に秒又はミリ秒の範囲である。多くの場合、期間は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900又は1000ミリ秒である。
質量分析計が分離装置(例えば、ガスクロマトグラフィー装置)に連結されている場合、少なくとも約1時間の間、試料キャリアガスが分光計の検出器に入るのを阻止又は防止することが望ましく、そのような期間は、試料がクロマトグラフィー媒体を通過し、そこから出る種を連続的に検出するのに必要なものである。試料が質量分析計に直接注入される場合、時間の単位は、約10分又はそれ未満であり得る。
外部検出器環境と内部検出器環境との連結を減らすために、検出器のハウジングの界面又は非連続部を介したガス流の制限に関して以下で説明する特徴は有用であると考えられる。例えば、検出器が質量分析計に組み込まれている場合、切り離しにより、検出器自体がポンプとして機能することを可能にする。検出器を封止/シールドすることにより、この内部ポンプ機構は有益な環境を作り出す。封止/シールドがない場合には比較的弱いポンプであるため内部ポンプは少ないか又は発生しない。この内部ポンプは、質量分析計の真空ポンプに加算的に作用して、電子放射面又は陽極/コレクタ面が動作し得る優れた動作環境を作り出す。より良い動作環境の主な利点は、検出器の動作寿命が延びることである。副次的な利点としては、ノイズの減少、イオンフィードバックの減少、感度の増加及びダイナミックレンジの増加が挙げられる。
検出器は、内部に不連続部を有する単一の要素を含み得る。該要素は、内部検出器環境(すなわち、電子放射面又はコレクタ/陽極面の周囲の環境)と外部検出器環境(すなわち、検出器が動作可能な真空チャンバ内の環境)との分離の維持のための専用のものであるか又は付随的な責任な負い得る。単一の要素により提供される環境の分離は必ずしも完全な分離を提供せず、多くの場合、ガス分子が検出器の内部の環境に入る可能性を低下させるだけであり得る。
単一の検出器構成要素内の不連続部は、例えば、ガスの分子流又は遷移流が検出器に入ることを可能にする個別の開口であり得る。あるいは、不連続部は検出器構成要素を製造する材料の多孔性から生じることがあり、ガスの分子流又は遷移流は該材料を通って検出器に入ることができる。いずれの場合も、ガス又はガスと混在する任意の他の汚染物質の通過に対するバリア又は部分的なバリアを提供するために、不連続部にシーラントが適用され得る。
不連続部の表面及び周囲の材料への接着を容易にして、質量分析計の真空チャンバ内で日常的な真空の形成及び破壊の際の剥離を防止するために、シーラントは接着特性を有し得る。
適切なシーラント/接着剤は、はんだ、ポリイミド等のポリマー(任意で、KaptonTMテープ等のテープの形態)を含み得る。シーラント/接着剤は、いったん硬化されると、真空下でチャンバ内の液体、蒸気又はガスを実質的に脱着しないという点で「事実上の漏出」への寄与が最小限なものであることが好ましい。このような材料は、しばしば「真空安全(vacuum safe)」と呼ばれる。
一部の状況では、検出器の構成は、複合構造を提供するために2つ以上の要素の結合を必要とする。複合構造は、内部検出器環境(すなわち、電子放射面又はコレクタ/陽極面の周囲の環境)と外部検出器環境(すなわち、検出器が動作可能な真空チャンバ内の環境)との分離の維持のための専用のものであるか又は付随的な責任な負い得る。
複合構造は、検出器にガスの分子流又は遷移流が入るのを防止又は少なくとも抑制するための手段を提供し得る。その場合、2つの検出器構成要素の界面は、分子流又は遷移流により検出器内にガスが入り得る潜在的な手段を提供する。
複合構造に寄与する検出器構成要素のいずれか又は双方は、検出器内へのガスの分子流又は遷移流を防止又は少なくとも抑制する目的を実現するための専用又は付随的なものになるように構成され得る。これらの特徴は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
他の実施形態では、検出器内へのガスの分子流又は遷移流をさらに防止又は少なくとも抑制するために複合構造に第3の構成要素が加えられ得る。例えば、第1の構成要素と第2の構成要素とが当接して界面を形成する場合、第3の構成要素は界面を跨ぐように第1の構成要素及び第2の構成要素の上に適用され得る。第3の構成要素は、任意の手段により、好ましくは接着剤、より好ましくはシーラント特性を有する接着剤により適所に固定され得る。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
第1の検出器構成要素「A」及び第2の検出器構成要素「B」を示す図14を参照して、検出器構成要素「B」は、構成要素「A」がぴったり嵌合できる凹部を有する。構成要素「A」及び「B」は、それぞれの輪郭及び2つの構成要素間の「U」字状の界面をより明確に示すために分離された状態で示している。実際には、構成要素「A」及び「B」は、ガスに対するバリア又は部分的なバリアを提供する界面を形成するために相互に接触している。
構成要素「A」及び「B」が互いに接触しても、ガスは、検出器の外部環境から検出器の内部環境に移動するために分子流又は遷移流により界面を通過し得る。しかしながら、界面の2つの90度の角により提供される非直線状の又は曲がりくねった経路は、ガスの遷移流又は分子流が該経路を通るのを阻害する。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図14の構成は、構成要素「B」が凹部を有さず、構成要素「A」が単に構成要素「B」の平面上に置かれる状況とは対照的である。そのような状況では、界面は厳密に直線状であるため、界面が非直線状の又は曲がりくねった経路を定義する図14の構成と比較して、ガスは、検出器の外部から内部に分子流又は遷移流により移動する可能性が高くなる。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図15は図14と同様の構成を示すが、構成要素「A」がぴったりと係合する比較的深い長手方向スロットが構成要素「B」に設けられている点で異なる。図15の構成要素「A」及び「B」の間に形成される界面は、構成要素「B」のスロットの深さが大きくなっていることから図14に示すものよりも長い。長さが大きくなることで、ガス分子が単位時間に界面の長さを移動する能力が最小化される。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図16は、図14の実施形態と同様の構成要素「A」及び構成要素「B」により形成される界面を示すが、構成要素「A」は、構成要素「B」に形成された凹部とぴったりと係合するように構成された下方に延びる凸部を有する。この構成は、分子流又は遷移流によるガスの移動に対して図14の実施形態に比べて改善されたバリア又は部分的バリアを提供する。この改善は界面により定義される経路が長くなり、4つの90°の角を有する非直線の又は曲がりくねった経路に起因する。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図17は、図16の実施形態と同様の構成要素「A」及び構成要素「B」により形成される界面を示すが、構成要素「A」は、構成要素「B」の相補的な凹部とぴったり係合するように構成された一連の下方に延びる凸部を有する、この構成は、分子流又は遷移流によるガスの移動に対して図16の実施形態に比べて改善されたバリア又は部分的バリアを提供する。この改善は界面により定義される経路が長くなり(各凸部が経路の長さを延ばす)、10個の90°の角及び3つの45°の角を有する非直線状の又は曲がりくねった経路に起因する。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図18は、構成要素「B」がリップを含み、構成要素「A」の側面が該リップに当接する実施形態を示す。構成要素「A」の下方を向いた端面は、構成要素「B」の上方を向いた面と接触する。この構成では、界面は1つの90°の角を有する非直線状の又は曲がりくねった経路を提供する。理解されるように、リップの深さは経路に長さを加え、より深いリップによって界面に沿ったガスの分子流又は遷移流の抑制又は防止が高められる。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
図19は、構成要素「A」上の凸部と構成要素「B」の相補的な凹部及びリップの使用を含む、より複雑な構成を示す。構成要素「A」の(y方向の)厚さは、ガスの接触面の通過をより効果的に阻止する経路の長さの増加を提供する。
非直線状の又は曲がりくねった経路は湾曲した区画又は複数の湾曲した区画を少なくとも部分的に一部に含み得る。例えば、図14を参照して、構成要素「A」の下方を向いた面は湾曲しているか又は波形に形成されていてもよく、構成要素「B」の凹部は、2つの構成要素が互いにぴったり嵌合するように相補的である。一般に、浅い曲線の使用は、分子流又は遷移流に基づくガスの接触面の通過を防止又は抑制する上で、90°の角よりも効果が低い。
一部の実施態様では、非直線状の又は曲がりくねった経路は、湾曲区画及び直線状の区画の組み合わせにより提供される。
上記の実施形態及び当業者が考え付くさらなる実施形態のいずれにおいても、界面を通るガス流をさらに制限するために、(接着剤としても機能し得る)シーラントを、組立前に構成要素「A」及び/又は構成要素「B」の相互接触領域に適用してもよい。それに加えて又は代替的に、シーラント/接着剤は、構成要素「A」及び構成要素「B」が(例えば、構成要素「A」の側面及び構成要素「B」の上方を向いた面により形成されるラインに沿って)当接する任意の領域を覆うために、界面の外に配置してもよい。これらの特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
シーラントは、2つの構成要素が検出器の外部環境から検出器の内部環境への直線状の又は曲がりくねっていない経路を提供する2つの構成要素の界面内又は周囲で使用され得る。直線状の又は曲がりくねっていない経路が提供されても、一部の状況においてはシールの存在はガス分子が検出器に入るのを適切に抑制又は防止するのに十分であり得る。
本検出器は、当業者が適切とみなす任意の用途で用いられ得る。典型的な用途は、質量分析計におけるイオン検出器としてである。
外部検出器環境から内部検出器環境を切り離す利点を出願人が発見したことを考慮して、検出器構造の展開には、真空チャンバに内在する汚染物質から電子放射面又はコレクタ/陽極面を保護するためにより完全なエンクロージャー及びハウジングを設けることを含むことを提案する。そのため、様々なハウジング又は筐体要素が従来技術の検出器に加えられ、その関連で構成要素間の界面が形成され得る。
上述した検出器構成要素の界面の構成に加えて、さらなる構造的な特徴が検出器に組み込まれ得る。第1の特徴として、検出器エンクロージャーの外面は、可能な限り少数の連続部品(構成要素)で構成され得る。エンクロージャーは、連続した外面を提供するように単一の素材から作られ、その場合、シーラントにより任意の不連続部が封止され得る。この特徴は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器エンクロージャー内の任意の加工された不連続部の大きさは、(面積の観点から)可能な限り小さくなるような寸法にされ得る。この文脈で使用されるように、「加工された不連続部」という用語は、検出器に意図的に加工された任意の開口、格子、グリル、ベント、開口又はスロット等のガスが外部から検出器の内部へ移動し得る任意の手段を含むことを意図する。通常、そのような不連続部は機能(例えば、イオン流が検出器に入るようにする)を有するため、必要な機能を行うのに十分な大きさであるが、好ましくはそれ以上ではない寸法で形成され得る。一部の実施形態では、加工された不連続部は適切に機能するのに必要最小値より大きいが、要求される絶対最小値の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%を超えない。この特徴は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器エンクロージャー内の加工された不連続部は、質量分析計内に存在する残留キャリアガスの流れ等の検出器の外部環境内を流れるガスから外方を向くように(face away from)方向付けられるか、配列されるか又はそれ以外の場合は空間的に配置され得る。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器エンクロージャーの外面は、検出器の外側環境の周りを流れる任意のガスから層流及び/又は渦を生成するために丸みを帯びた特徴を用い得る。これらの層流及び/又は渦は不連続部を効果的に封止する高いガス圧領域を提供し得る(さもなければ、不連続部は他の残留キャリアガスが入ることを許す)。この特徴は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器エンクロージャーの外面は、検出器の外側環境の周りを流れる任意のガスから層流及び/又は渦を生成するために丸みを帯びた特徴を用い得る。これらの層流及び/又は渦は不連続部を効果的に封止する高いガス圧領域を提供し得る。この特徴は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器のエンクロージャーの表面の不連続部は、残留キャリアガスの侵入を抑制するために関連するガス流バリアを有し得る。一部の実施形態では、ガス流バリアは、別の検出器構成要素と界面を形成する検出器構成要素の一部である。ガス流バリアは利点を提供し得るが、そのようなバリアは、バリアが検出器の別の構成要素と界面を形成する部分にガスが検出器に侵入するためのさらなる戸口も提供し得ることが分かる。本明細書の便益を考慮すれば、当業者はそのような機能に適した一連の仕掛けを考え付くことができる。
一部の実施形態では、バリアは第1及び第2の開口を有し、そのうちの一方は検出器のエンクロージャーの不連続部と(ひいては検出器の内部の環境と)ガス連通し、第2の開口は検出器の外の環境とガス連通する。第2の開口は、ガスの流れ(例えば残留キャリアガス)が実質的にないようにするために検出器に対して遠位にあり得る。これらの特徴のうちの1つ以上は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
一部の実施形態では、第2の開口は依然としてガスの流れに曝されるものの、バリアは、検出器の内部環境にガス流が侵入するのを防止又は抑制するように構成されている。この目的は、入ったガスが検出器の内部の環境に流れるのを少なく又はゼロになるように、バリアに入ったガスの流れを抑制又は防止することによって実現され得る、例えば、ガス流バリアは可能な限り長くてもよく及び/又は可能な限り狭くてもよく及び/又は1つ以上の屈曲部又はコーナーを含んでもよく及び/又は1つ以上の90度の屈曲部を含んでもよく及び/又は内部の見通し線を最小限にするために内部バッフルを含み得る。これらの特徴のうちの1つ以上は、単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
ガスフローバリアは、質量分析計によって用いられる残留キャリアガスの流れ等の検出器の外部環境で流れるガスから外方を向くように構成されるか、配置されるか又は方向づけられ得る。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
ガスフローバリアは、いかなる放電も防止又は抑制されるように丸みを帯びた外面を含み得る。それに加えて又は代替的に、そのような丸みを帯びた面は検出器の外部の環境内を流れるガスから層流ガス流及び/又は渦を生成し得る。これらの層流及び/又は渦は、シールドの開口を本質的に密閉する高圧領域を提供し得る。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器の外を流れるガスが検出器の内部環境内に入るのを防止又は抑制するために、2つ以上のガス流バリアは、相加的に又は相乗的に協働するように構成されるか、配置されるか又は方向付けられ得る。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
さらなる特徴として、検出器は、検出器を通る任意の又は全ての内部見通し線を制限するか又は完全に取り除く内部バッフルを含み得る。この特徴は、粒子(イオン及び電子等)の光学が負の影響を受けない限り、一般的に適用可能である。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器は、粒子ビームを受け入れるための入力開口を通常含む。出願人は、そのような開口は、通常大量の残留キャリアガス及び関連物質を受け入れ、事実上、検出器の内部環境及び外部環境を連結することを見出した。本明細書の他の部分で述べたように、そのような連結は多くの状況で望ましくないため、入力開口のサイズは可能な限り最小化されるべきである。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
検出器が2つの開口を含む場合、開口は、開口間に完全又は部分的な直接見通し線が存在しないように配置されることが好ましい。そのような配置は、検出器を通るガスの自由な流れを妨げるように作用し、ひいては検出器への残留キャリアガスの侵入を防止又は抑制する。この特徴は単独で又は本明細書で開示する任意の他の特徴の1つ以上との組み合わせで検出器に組み込まれ得る。
質量分析計で用いられるタイプの検出器を参照して本発明を主に説明してきたが、本発明はそのような構成に限定されないことを理解すべきである。他の用途では、検出すべき粒子はイオンでなくてもよく、中性原子、中性分子又は電子であってもよい。いずれにせよ、粒子が衝突する検出器表面が依然として設けられる。
当業者であれば、本明細書に記載の本発明は、具体的に記載されたもの以外のさらなる変更及び修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、本発明の精神及び範囲内にある全てのそのような変更及び修正を含むことが分かる。
図示及び詳細に説明した好ましい実施形態に関連して本発明を開示してきたが、それに加えられ得る様々な変更及び改良は当業者に簡単に明らかになるであろう。
したがって、本発明の精神及び範囲は、前述の例によって限定されるものではなく、法律によって許容される最も広い意味で理解すべきである。

Claims (20)

  1. イオン検出器のための電子増倍管であって、当該電子倍増管は、電子増幅チェーンを提供するように構成された一連の別個の電子放射面と、1つ以上のバッフルとを含み、汚染物質が前記電子増倍管に入り、完全に通過することを許容する直線状の経路が当該電子倍増管内に画定され、前記1つ以上のバッフルは、汚染物質が当該電子増倍管に入ること、部分的に通過すること又は完全に通過することを抑制又は防止するように構成されている、電子増倍管。
  2. 前記1つ以上のバッフルは、1つ以上のバッフルを有さない同一の又は同様の電子増倍管に比べて、前記電子増倍管の真空コンダクタンスを低減するように構成されている、請求項に記載の電子増倍管。
  3. 前記一連の個別の電子放射面は、前記電子増倍管の中心軸の周りに配置され、前記1つ以上のバッフルは、該中心軸に近づくか、当接するか又は交差する、請求項1又は2に記載の電子増倍管。
  4. 前記一連の個別の電子放射面は、前記電子増倍管の中心軸領域の周りに配置され、前記1つ以上のバッフルは、該中心軸領域内に延びる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  5. 前記1つ以上のバッフルは、前記中心軸領域を完全に横切る、請求項に記載の電子増倍管。
  6. 前記1つ以上のバッフルは前記電子増倍管のハウジングから又は前記電子増倍管内の既存の構造から又は前記電子増倍管内の専用の構造から延びる、請求項に記載の電子増倍管。
  7. 前記一連の個別の電子放射面のそれぞれはダイノードであるか又はダイノードの一部であり、前記1つ以上のバッフルのうちの1つは該ダイノードから延びる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  8. 前記ダイノードは周縁領域を有し、前記1つ以上のバッフルは該周縁領域から延びる、請求項に記載の電子増倍管。
  9. 前記ダイノードは、断面において、それぞれ前記電子増倍管の中心軸又は中心領域の方に概して延びる第1の区画及び第3の区画を有し、該第1の区画及び該第3の区画は第2の区画により結合され、
    (i)前記1つ以上のバッフルは前記第1の区画又は前記第3の区画から延びるか又は(ii)前記第1の区画又は前記第3の区画は、少なくとも部分的にバッフルとして機能するように延びる、請求項又はに記載の電子増倍管。
  10. 前記第1の区画は、断面において、前記第3の区画よりも長い、請求項に記載の電子増倍管。
  11. 前記第2の区画は、断面において、前記第1の区画及び前記第2の区画の長さの中間の長さを有する、請求項10に記載の電子増倍管。
  12. 前記ダイノードは単一の材料から作られており、前記ダイノードの第1の区画及び第3の区画のそれぞれは、前記第2の区画とのそれぞれの界面における屈曲により画定され、前記第1の区画及び前記第3の区画は、前記電子増倍管の中心軸又は中心領域の方に概して延びる、請求項乃至11のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  13. 前記一連の個別の電子放射面のそれぞれはダイノードであり、該一連のダイノードは交互配置されている、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  14. ダイノードの第1の区画は、前記電子増幅チェーンにおける次のダイノードの第1の区画と交互配置されている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  15. 前記ダイノードの第1の区画は電子増倍管入力に最も近位の区画である、請求項14に記載の電子増倍管。
  16. ダイノードの第1の区画は、前記増幅チェーンにおける次のダイノードの第1の区画と交互配置され、前記第1の区画と前記第2の区画との間に少なくとも約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm又は2.0mmの重複を提供する、請求項15に記載の電子増倍管。
  17. 少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のバッフルを含む、請求項乃至15のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  18. 前記ダイノードのうちの少なくとも1つはバッフルとして機能するように構成又は配置されている、請求項乃至16のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  19. 前記1つ以上のバッフルのうちの少なくとも1つは、それぞれ約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm又は2.0mmの距離にわたって延びる、請求項乃至18のいずれか一項に記載の電子増倍管。
  20. 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の電子増倍管と、前記電子増倍管によって出力される二次電子を収集するように構成されたコレクタとを含む粒子検出器。
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