JP7330014B2 - 心磁計測装置、心磁計測方法、および、心磁計測プログラム - Google Patents

心磁計測装置、心磁計測方法、および、心磁計測プログラム Download PDF

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本発明は、心磁計測装置、心磁計測方法、および、心磁計測プログラムに関する。
従来、磁気センサを複数配列して構成される磁気センサアレイを用いて、被験者の心臓の電気活動により生成される微弱な生体磁場(「心磁」という。)を計測する心磁計測装置が知られている。(例えば、特許文献1~3参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2001-87237号公報
[特許文献2] 国際公開第2017/209273号
[特許文献3] 特開2017-133993号公報
従来の心磁計測装置では、磁気センサアレイを構成する各々の磁気センサは、心磁を胸面に垂直な1軸方向でのみ検出していた。しかしながら、微弱な心磁をより高精度に計測するためには、複数の磁気センサの特性を精度よく較正することが望ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、心磁計測装置を提供する。心磁計測装置は、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイを備えてよい。心磁計測装置は、複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして、新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する較正演算部を備えてよい。
磁気センサアレイは、複数の磁気センサセルが二次元に配列された二次元配列を含んで構成されてよい。
較正演算部は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列における少なくとも1部について順次繰り返してよい。
較正演算部は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列における略中心から外周に向かって順次繰り返してよい。
較正演算部は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列において渦巻状に順次繰り返してよい。
基準セルと近接セルとの間における磁場計測値の差分を算出する差分算出部を更に備えてよい。
較正演算部は、差分の2乗を最小化するように、近接セルの計測値を較正してよい。
較正演算部は、近接セルの計測値に施す線形演算の係数を適応制御して、近接セルの計測値を較正してよい。
磁気センサアレイを較正するための較正用磁場を発生する較正用磁場発生部を更に備えてよい。
較正用磁場発生部は、磁気センサアレイとの間の相対位置を調整可能に構成されてよい。
基準セルと基準セルに近接する近接セルとの間の距離は、基準セルと新たな基準セルに近接する近接セルとの間の距離よりも短くてよい。
複数の磁気センサセルのそれぞれは、磁気センサと、磁気センサが検出した入力磁場を低減させるフィードバック磁場を磁気センサに与える磁場生成部と、磁場生成部がフィードバック磁場を発生するために流す電流に応じた出力信号を出力する出力部と、を有してよい。
本発明の第2の態様においては、心磁計測方法を提供する。心磁計測方法は、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイにおける、複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして、新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正することを備えてよい。
本発明の第3の態様においては、心磁計測プログラムを提供する。心磁計測プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。心磁計測プログラムは、コンピュータを、各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイにおける複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして、新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する較正演算部として機能させてよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本実施形態に係る心磁計測装置10の構成を示す。 本実施形態に係る磁気センサユニット110の構成を示す。 本実施形態に係る磁気センサアレイ210中の磁気センサセル220の構成および配置を示す。 本実施形態に係る磁気抵抗効果素子を有する磁気センサの入出力特性の一例を示す。 本実施形態に係るセンサ部300の構成例を示す。 本実施形態に係るセンサ部300の入出力特性の一例を示す。 本実施形態に係る磁気センサ520の構成例を示す。 本実施形態に係る磁気センサ520にフィードバック磁場を発生させた時の磁束分布を示す。 本実施形態に係る磁気センサアレイ210を被験者の胸部における心臓に向かう位置に配置させた場合の複数の磁気センサセル220の配置例を示す。 本実施形態に係る磁気センサアレイ210の構成および寸法例を示す。 本実施形態に係る磁気センサアレイ210、センサデータ収集部230、およびセンサデータ処理部1100の構成を示す。 本実施形態に係る心磁計測装置10が磁場の空間分布を信号分離するフローを示す。 本実施形態に係る心磁計測装置10が備えてよい較正用磁場発生器1300の一例を示す。 本実施形態に係る心磁計測装置10が、磁気センサアレイ210全体に亘って計測データを較正するフローを示す。 LMSアルゴリズムを用いて補正行列Rを更新したシミュレーション結果の一例を示す。 本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る心磁計測装置10の構成を示す。心磁計測装置10は、磁気センサを用いて、人間の心臓の電気活動により生成される磁場である心磁を計測する。また、心磁計測装置10は、人間以外の生体の心磁を計測するために用いられてもよい。なお、心磁計測装置10に用いられる磁気センサは、磁場を計測し得るいかなるセンサであってもよい。以下、磁気センサが磁気抵抗効果素子を有する場合を一例として説明するが、これに限定されるものではない。磁気センサは、超伝導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートセンサ、および、ホール素子等、磁気抵抗効果素子とは異なる他のセンサを有していてもよい。
心磁計測装置10は、本体部100と、情報処理部150とを備える。本体部100は、被験者の心磁をセンシングするためのコンポーネントであり、磁気センサユニット110と、ヘッド120と、駆動部125と、ベース部130と、ポール部140とを有する。
磁気センサユニット110は、心磁計測時に被験者の胸部における心臓に向かう位置に配置され、被験者の心磁をセンシングする。ヘッド120は、磁気センサユニット110を支持し、磁気センサユニット110を被験者に対向させる。駆動部125は、磁気センサユニット110およびヘッド120の間に設けられ、キャリブレーションを行う場合にヘッド120に対する磁気センサユニット110の向きを変更する。本実施形態に係る駆動部125は、図中のZ軸を中心に磁気センサユニット110を360度回転させることができる第1アクチュエータと、Z軸と垂直な軸(図中の状態においてはX軸)を中心に磁気センサユニット110を回転させる第2アクチュエータとを含み、これらを用いて磁気センサユニット110の方位角および天頂角を変更する。図中の駆動部125として示したように、駆動部125は図中のY軸方向から見るとY字形状を有し、第2アクチュエータは、磁気センサユニット110を図中X軸中心に360度回転させることができる。
ベース部130は、他の部品を支える基台であり、本実施形態においては心磁計測時に被験者が乗る台となっている。ポール部140は、ヘッド120を被験者の胸部の高さに支持する。ポール部140は、磁気センサユニット110の高さを被験者の胸部の高さに調整するべく上下方向に伸縮可能であってよい。
情報処理部150は、本体部100による計測データを処理して表示・印刷等により出力するためのコンポーネントである。情報処理部150は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。これに代えて、情報処理部150は、心磁計測の情報処理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
図2は、本実施形態に係る磁気センサユニット110の構成を示す。磁気センサユニット110は、磁気センサアレイ210およびセンサデータ収集部230を有する。磁気センサアレイ210は、各々が複数の磁気センサを有し、磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセル220を配列して構成される。本図において、磁気センサアレイ210は、X方向、Y方向およびZ方向のそれぞれに複数の磁気センサセル220(例えば、X方向に8個、Y方向に8個、およびZ方向に2個の計128個の磁気センサセル220)が平面状に配置されている。
センサデータ収集部230は、磁気センサアレイ210に含まれる複数の磁気センサセル220に電気的に接続され(図示せず。)、複数の磁気センサセル220からのセンサデータ(検出信号)を収集して情報処理部150へと供給する。
図3は、本実施形態に係る磁気センサアレイ210中の磁気センサセル220の構成および配置を示す。各磁気センサセル220は、各々が磁気センサを有する複数のセンサ部300x~z(「センサ部300」と総称する。)を有する。センサ部300xはX軸方向に沿って配置されX軸方向の磁場を検出可能である。また、センサ部300yはY軸方向に沿って配置されY軸方向の磁場を検出可能である。また、センサ部300zはZ軸方向に沿って配置されZ軸方向の磁場を検出可能である。本図において一点鎖線で示される拡大図によって示されるように、本実施形態において、各センサ部300は、それぞれ、磁気抵抗効果素子の両端に磁気収束板が配置されている。したがって、各センサ部300は、磁気収束板に挟まれた狭い位置に配置された磁気抵抗効果素子を用いて磁場の空間分布をサンプリングすることにより、各軸方向において、空間におけるサンプリング点を明確にすることができる。各センサ部300の構成の詳細については後述する。
複数の磁気センサセル220は、X軸方向に沿ってΔx、Y軸方向に沿ってΔy、Z軸方向に沿ってΔzの間隔でそれぞれ等間隔に配列されている。磁気センサアレイ210における各磁気センサセル220の位置は、X方向の位置i、Y方向の位置j、およびZ方向の位置kの組[i,j,k]により表される。ここで、iは1≦i≦Nxを満たす整数であり(NxはX方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)、jは1≦j≦Nyを満たす整数であり(NyはY方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)、kは1≦k≦Nzを満たす整数である(NzはZ方向に配列された磁気センサセル220の個数を示す)。
本図において、センサ部300x、300y、および300zにより検出する磁場の3軸方向と、磁気センサセル220を配列する三次元の方向とが同一方向である。これにより、測定磁場の分布の各成分の把握が容易となる。また、センサ部300x、300y、および300zは、各磁気センサセル220内において、磁気センサセル220を配列する三次元方向それぞれから見て互いに重ならないように配置されている。また、本図において、センサ部300x、300y、および300zは、複数のセンサ部300の間に設けるギャップ側に一端が設けられ、他端が当該ギャップから離れるように3軸方向の各軸方向に延伸して配置されている。一例として、本図において、磁気センサセル220の正面視左下の角部に空隙(ギャップ)が設けられ、センサ部300x、300y、および300zは、一端が当該空隙に接するように設けられ、他端が当該空隙から離れるようにX軸、Y軸、およびZ軸方向の各軸方向に延伸して配置されている例を示す。本図において、センサ部300x、300y、および300zが、立方体状の磁気センサセル220の一角部から互いに垂直な3辺に沿って配置され、該一角部に空隙が設けられている。また、後に述べるセンサ部300x、300y、および300zが有するコイルまたは磁性体が、互いに重ならないように配置されていることが好ましい。これにより、測定点を明確にでき、測定磁場の各成分の把握がさらに容易となる。また、センサ部300x、300y、および300zが有する他軸感度を互いに等価なものとみなすことができる。この他軸感度は、センサ部300x、300y、および300zが有するコイル、または磁性体による相互干渉によって発生するものである。しかしながら、検出する磁場の3軸方向と磁気センサセル220を配列する三次元の方向とは異なっていてもよい。例えば、検出する磁場の3軸方向としてX軸、Y軸、およびZ軸に代えて、極座標系のr軸、θ軸、およびφ軸を用いてもよい。また、磁気センサセル220を配列する三次元の方向として、X軸、Y軸およびZ軸に代えて、極座標系のr軸、θ軸、およびφ軸を用いてもよい。検出する磁場の3軸方向と磁気センサセル220を配列する三次元の方向とが異なる場合、磁気センサセル220内におけるセンサ部300の配置や、磁気センサセル220の配列方向に制約を受けることがなく、磁気センサアレイ210の設計の自由度を増すことができる。
図4は、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子を有する磁気センサの入出力特性の一例を示す。本図は、横軸が磁気センサに入力する入力磁場の大きさBを示し、縦軸が磁気センサの検出信号の大きさV_xMR0を示す。磁気センサは、例えば、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistance)効果素子またはトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto-Resistance)効果素子等を有し、予め定められた一軸方向の磁場の大きさを検出する。
このような磁気センサは、入力磁場Bに対する検出信号V_xMR0の傾きである磁気感度が高く、10pT程度の微小な磁場を検出することができる。その一方で、磁気センサは、例えば、入力磁場Bの絶対値が1μT程度で検出信号V_xMR0が飽和してしまい、入出力特性の直線性が良好な範囲が狭い。そこで、このような磁気センサにフィードバック磁場を発生させる閉ループを加えると、磁気センサの直線性(または線形性と呼ぶ)を改善することができる。このような磁気センサについて次に説明する。
図5は、本実施形態に係るセンサ部300の構成例を示す。センサ部300は、複数の磁気センサセル220のそれぞれの内部に設けられ、磁気センサ520と、磁場生成部530と、出力部540と、を含む。なお、センサ部300の一部、例えば増幅回路532および出力部540は、磁気センサセル220側ではなくセンサデータ収集部230側に設けられてもよい。
磁気センサ520は、図4で説明した磁気センサと同様に、GMR素子またはTMR素子等の磁気抵抗効果素子を有する。また、磁気センサ520のそれぞれは、磁気抵抗効果素子と磁気抵抗効果素子の両端に配置された二つの磁気収束板とを含み、磁気抵抗効果素子は、二つの磁気収束板に挟まれた位置に配置される。磁気センサ520が有する磁気抵抗効果素子は、感磁軸の正の方向を+X方向とした場合に、+X方向の磁場が入力すると抵抗値が増加し、-X方向の磁場が入力すると抵抗値が減少するように形成されてよい。即ち、磁気センサ520が有する磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化を観測することにより、当該磁気センサ520に入力する磁場Bの大きさを検出することができる。例えば、磁気センサ520の磁気感度をSとすると、磁気センサ520の入力磁場Bに対する検出結果は、S×Bと算出できる。なお、磁気センサ520は、一例として、電源等が接続され、抵抗値の変化に応じた電圧降下を、入力磁場の検出結果として出力する。磁気センサ520の構成の詳細については後述する。
磁場生成部530は、出力部540が出力する出力信号に応じた大きさで、磁気センサ520が検出した入力磁場を低減させるフィードバック磁場を発生させ、磁気センサ520に与える。磁場生成部530は、例えば、磁気センサ520に入力する磁場Bとは逆向きで、絶対値が当該入力磁場と略同一のフィードバック磁場B_FBを発生させ、入力磁場を打ち消すように動作する。磁場生成部530は、増幅回路532と、コイル534とを含む。
増幅回路532は、磁気センサ520の入力磁場の検出結果に応じた電流をフィードバック電流I_FBとして出力する。磁気センサ520が有する磁気抵抗効果素子が、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を含むブリッジ回路により構成される場合、増幅回路532の入力端子対には、ブリッジ回路の出力がそれぞれ接続される。そして、増幅回路532は、ブリッジ回路の出力に応じた電流をフィードバック電流I_FBとして出力する。増幅回路532は、例えば、トランスコンダクタンスアンプを含み、磁気センサ520の出力電圧に応じたフィードバック電流I_FBを出力する。例えば、増幅回路532の電圧・電流変換係数をGとすると、フィードバック電流I_FBは、G×S×Bと算出できる。
コイル534は、フィードバック電流I_FBに応じたフィードバック磁場B_FBを発生させる。コイル534は、磁気センサ520が有する磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果素子の両端に配置された二つの磁気収束板を取り囲むように、磁気センサ520が検出対象とする磁場の軸方向に沿って巻かれている。コイル534は、磁気センサ520の全体にわたって均一のフィードバック磁場B_FBを発生させることが望ましい。例えば、コイル534のコイル係数をβとすると、フィードバック磁場B_FBは、β×I_FBと算出できる。ここで、フィードバック磁場B_FBは、入力磁場Bを打ち消す向きに発生するので、磁気センサ520に入力する磁場は、B-B_FBに低減されることになる。したがって、フィードバック電流I_FBは、次式のように示される。
Figure 0007330014000001
(数1)式をフィードバック電流I_FBについて解くと、センサ部300の定常状態におけるフィードバック電流I_FBの値を算出することができる。磁気センサ520の磁気感度Sおよび増幅回路532の電圧・電流変換係数Gが十分に大きいとすると、(数1)式から次式が算出される。
Figure 0007330014000002
出力部540は、磁場生成部530がフィードバック磁場B_FBを発生するために流すフィードバック電流I_FBに応じた出力信号V_xMRを出力する。出力部540は、例えば、抵抗値Rの抵抗性素子を有し、当該抵抗性素子にフィードバック電流I_FBが流れることによって生じる電圧降下を出力信号V_xMRとして出力する。この場合、出力信号V_xMRは、(数2)式より次式のように算出される。
Figure 0007330014000003
以上のように、センサ部300は、外部から入力する磁場を低減させるフィードバック磁場を発生するので、磁気センサ520に実質的に入力する磁場を低減させる。これにより、センサ部300は、例えば、磁気センサ520として図4に示した非線形性であり、動作磁場範囲が狭い特性を有する磁気抵抗効果素子を用い、入力磁場Bの絶対値が1μTを超えても、検出信号V_xMRが飽和することを防止できる。このようなセンサ部300の入出力特性を次に説明する。
図6は、本実施形態に係るセンサ部300の入出力特性の一例を示す。本図は、横軸がセンサ部300に入力する入力磁場の大きさBを示し、縦軸がセンサ部300の検出信号の大きさV_xMRを示す。センサ部300は、磁気感度が高く、10pT程度の微小な磁場を検出することができる。また、センサ部300は、例えば、入力磁場Bの絶対値が100μTを超えても、検出信号V_xMRの良好な線形性を保つことができる。
即ち、本実施形態に係るセンサ部300は、例えば、入力磁場Bの絶対値が数百μT以下といった、予め定められた入力磁場Bの範囲において、当該入力磁場Bに対する検出結果が線形性を有するように構成される。このようなセンサ部300を用いることにより、心磁信号のように微弱な磁気的信号を簡便に検出することができる。
図7は、本実施形態に係る磁気センサ520の構成例を示す。本図において、磁気センサ520は、磁気抵抗効果素子710と、磁気抵抗効果素子710の両端に配置された磁気収束板720および730とを有する。磁気収束板720および730は、磁気抵抗効果素子710を間に挟むように、磁気抵抗効果素子710の両端に配置されている。本図において、磁気収束板720は、感磁軸に沿って磁気抵抗効果素子710の負側に設けられ、磁気収束板730は、感磁軸に沿って磁気抵抗効果素子710の正側に設けられている。なお、ここで、感磁軸は、磁気抵抗効果素子710を形成する磁化固定層において固定された磁化の方向に沿っていてよい。また、感磁軸の負側から正側に向かって磁場が入力されると、磁気抵抗効果素子710の抵抗は増加または減少してよい。磁気収束板720および730は、例えばパーマロイ等の透磁率の高い材料により形成される。そして、磁気センサ520が本図に示すように構成される場合、コイル534は、磁気抵抗効果素子710と、磁気抵抗効果素子710の両端に配置された磁気収束板720および730との断面を取り囲むように、磁気センサ520が検出対象とする磁場の軸方向に沿って巻かれている。また、磁気センサ520は、1つの磁気センサ520内に複数の磁気抵抗効果素子710を有する場合、磁気抵抗効果素子およびその両端に配置された磁気収束板を含む組を複数有してもよい。その場合、磁気抵抗効果素子およびその両端に配置された磁気収束板を含む組を1つのコイルで取り囲むようにコイル534が巻かれてもよい。
このような磁気センサ520において、感磁軸の負側から正側に磁場が入力されると、透磁率の高い材料で形成された磁気収束板720および730が磁化されることにより、本図において破線で示すような磁束の分布が発生する。すると、磁気収束板720および730が磁化されることにより発生する磁束は、二つの磁気収束板720および730の間に挟まれた磁気抵抗効果素子710の位置を通過することとなる。このため、磁気抵抗効果素子710の位置における磁束密度は、磁気収束板720および730を配置することによって大幅に増加させることができる。また、本図のように、磁気収束板720および730に挟まれた狭い位置に配置された磁気抵抗効果素子710を用いて磁場の空間分布をサンプリングすることにより、空間におけるサンプリング点を明確にすることができる。
図8は、本実施形態に係る磁気センサ520にフィードバック磁場を発生させた時の磁束分布を示す。図8においては、図7と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本実施形態に係る磁気センサ520において、コイル534にフィードバック電流が供給されると、コイル534がフィードバック磁場を発生させることにより、本図において一点鎖線で示すような磁束の分布が発生する。このフィードバック磁場により発生する磁束は、磁気抵抗効果素子710に入力され磁気収束板720および730によって磁気増幅された磁場の空間分布をキャンセルするように空間分布する。このため、磁気センサ520は、本図に示すように磁気抵抗効果素子710の両端に磁気収束板720および730が配置されており、磁気抵抗効果素子およびその両端に配置された磁気収束板を含む組を1つのコイルで取り囲むようにコイル534が巻かれている場合には、磁気抵抗効果素子710の位置における磁場分布をフィードバック磁場によって正確にキャンセルすることができるため、入力磁場と出力電圧との間の線形性が高いセンサを実現することができる。
図9は、本実施形態に係る磁気センサアレイ210を被験者の胸部における心臓に向かう位置に配置させた場合の複数の磁気センサセル220の配置例を示す。磁気センサアレイ210は、複数の磁気センサセル220が二次元に配列された二次元配列を含んで構成される。また、磁気センサアレイ210は、これら二次元配列をなす複数の磁気センサセル220をZ方向に複数段重ねた複数の磁気センサセル220から構成されていてもよい。すなわち、磁気センサアレイ210は、全体として二次元または三次元配列構造であってよい。本図においては、一例として、磁気センサアレイ210は、X方向に8個およびY方向に8個の計64個の磁気センサセル220が二次元配列をなし、これら64個の磁気センサセル220をZ方向に2段重ねた計128個の磁気センサセル220から構成されている。すなわち、被検者から近い位置に[1,1,1]~[8,8,1]の計64個の磁気センサセル220が二次元配列をなし、被検者から遠い位置に[1,1,2]~[8,8,2]の計64個の磁気センサセル220が二次元配列をなし、これらを合わせた計128個の磁気センサセル220によって全体として三次元配列構造となっている。なお、本図においては、位置[1,1,1]~[8,8,1]の磁気センサセル220のみが図示され、位置[1,1,2]~[8,8,2]の磁気センサセル220は省略されている。しかしながら、位置[1,1,2]~[8,8,2]の磁気センサセル220は、位置[1,1,1]~[8,8,1]の磁気センサセル220と同じXY座標におけるZ軸プラス方向、すなわち、被験者から遠ざかる方向に、それぞれ配置されているものとする。
ここで、複数の磁気センサセル220により二次元配列をなすにあたって、複数の磁気センサセル220は、具体的にどのように配置されていてもよい。一例として、複数の磁気センサセル220は、同一平面上に配置されていてもよい。すなわち、[1,1,1]~[8,8,1]とで複数の磁気センサセル220が配置されるZ軸座標は同一であってもよい。同様に、[1,1,2]~[8,8,2]とで複数の磁気センサセル220が配置されるZ軸座標は同一であってもよい。
これに代えて、複数の磁気センサセル220は、一の方向から平面視した場合に当該一の方向に垂直な同一平面上となるように配置されていてもよい。例えば、複数の磁気センサセル220は、Z軸方向から平面視した場合にZ軸方向に垂直なXY平面上となるように配置されていてもよい。すなわち、[1,1,1]~[8,8,1]とで複数の磁気センサセル220が配置されるZ軸座標は同一であることに限定されず、少なくとも一部がそれぞれ異なっていてもよい。同様に、[1,1,2]~[8,8,2]とで複数の磁気センサセル220が配置されるZ軸座標は同一である場合に限定されず、少なくとも一部がそれぞれ異なっていてもよい。二次元配列をなす複数の磁気センサセル220のZ軸座標がそれぞれ異なっていてよい場合、磁気センサアレイ210は、複数の磁気センサセル220を、被験者の胸部の少なくとも一部を取り囲むための内部空間が形成されるように配列して構成することができる。これにより、磁気センサアレイ210は、測定対象磁場源である心臓により近い位置で磁場を計測することができる。
図10は、本実施形態に係る磁気センサアレイ210の構成および寸法例を示す。本図は、複数の磁気センサセル220を配列して構成される磁気センサアレイ210におけるXZ平面断面図を示しており、各数値は、その寸法をmm単位で示している。本図に示すように、磁気センサアレイ210において、X軸位置が互いに異なる複数の磁気センサセル220は、Z軸座標がそれぞれ異なるように配列されていてよい。より詳細には、複数の磁気センサセル220は、磁気センサアレイ210におけるX軸方向の中心に向かうにつれて、Z軸座標がプラス方向に増加するように配列されていてよい。すなわち、磁気センサアレイ210において、複数の磁気センサセル220は、Z軸のプラス方向に凸となるように配列されていてよい。また、磁気センサアレイ210において、複数の磁気センサセル220を被験者の重心を中心として被験者の胸部に沿うように、断面視略円弧状に配列させることで、被験者の胸部を多方向から覆う内部空間を形成してよい。これにより、磁気センサアレイ210は、心臓に対向する一方向だけでなく多方向にセンサ部を配置させることができ、心磁を多方向からセンシングすることができる。
ここで、心臓を含む人体断面の横方向の長さは、平均的な成人男性で約30cm程度であるといわれている。しがたって、磁気センサアレイ210において、複数の磁気センサセル220は、円弧が断面視で長軸方向の長さが約30cm程度の楕円上に位置するように、円弧状に配列されていてよい。なお、上述の磁気センサアレイ210の構成および寸法は一例であって、本実施形態に係る磁気センサアレイ210はこれに限定されるものではない。磁気センサアレイ210は、被験者の心磁を良好にセンシングし得るよう、複数の磁気センサセルの構成および寸法を適宜変更してよい。
図11は、本実施形態に係る磁気センサアレイ210、センサデータ収集部230、およびセンサデータ処理部1100の構成を示す。
磁気センサアレイ210は、複数の磁気センサセル220を有する。複数の磁気センサセル220のそれぞれは、上述のとおり複数のセンサ部300x~zを有する。本図においては、磁気センサアレイ210が各次元方向に有する複数の磁気センサセル220のうち、位置[i,j,k]、[i+1,j,k]、[i,j+1,k]、および、[i,j,k+1]に関する部分を示す。
センサデータ収集部230は、複数のAD変換器1110およびクロック発生器1112を有する。複数のAD変換器1110は、磁気センサセル220の複数のセンサ部300x~zのそれぞれに対応して設けられており、対応するセンサ部300が出力するアナログの検出信号(図6のセンサ出力信号V_xMR)をデジタルの計測値V(Vx,Vy,Vz)に変換して複数の計測値を計測データとして出力する。ここで、Vx、Vy、およびVzは、センサ部300x、300y、および300zからの検出信号をデジタルに変換した計測値(例えばデジタルの電圧値を表す)である。
クロック発生器1112は、サンプリングクロックを発生させ、共通のサンプリングクロックを複数のAD変換器1110のそれぞれへ供給する。そして、複数のAD変換器1110のそれぞれは、クロック発生器1112から供給された共通のサンプリングクロックに応じてAD変換を行う。したがって、異なる位置に設けられた3軸のセンサ部300x~zの出力をそれぞれAD変換する複数のAD変換器1110の全てが同期動作をする。これにより、複数のAD変換器1110は、異なる空間に設けられた3軸のセンサ部300x~zの検出結果を同時にサンプリングすることができる。
センサデータ処理部1100は、計測データ取得部1120、較正演算部1130、差分算出部1135、データ出力部1140、基底ベクトル記憶部1150、および信号空間分離部1160を有する。
計測データ取得部1120は、心臓の電気活動により発生する心磁を含む入力磁場に基づく計測値を取得する。計測データ取得部1120は、複数の磁気センサセル220のそれぞれに接続された複数のAD変換器1110に接続され、磁気センサアレイ210を構成する複数の磁気センサセル220内のセンサ部300x~zによって計測された複数の計測値を計測データとして取得する。具体的に、計測データ取得部1120は、AD変換器1110によってデジタルに変換された計測値V(Vx,Vy,Vz)を所定のタイミングTでラッチして取得するフリップフロップ等を用いて構成されてよい。
較正演算部1130は、計測データ取得部1120に接続され、計測データ取得部1120が取得した計測データを、較正パラメータを用いて較正する。特に、本実施形態に係る較正演算部1130は、複数の磁気センサセル220のうちの1つの磁気センサセル220を基準セルとして、基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして、新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する。これについては、磁気センサアレイ210全体に亘る計測データの較正の説明の中で、詳細に述べる。較正演算部1130による計測データの較正の概要は以下のとおりである。位置[i,j,k]にある磁気センサセル220に入力される磁場をB(Bx,By,Bz)とし、センサ部300x、300y、300zによる3軸磁気センサの検出結果を計測値V(Vx,Vy,Vz)とする。この場合、3軸磁気センサの磁気センサ特性を行列Sとすると、3軸磁気センサの検出結果Vは次式のように示すことができる。
Figure 0007330014000004
ここで、Sxx、Syy、およびSzzは、それぞれセンサ部300x、300y、および300zの主軸方向の感度(主軸感度)を表し、Sxy、Sxz、Syx、Syz、Szx、およびSzyは他軸方向の感度(他軸感度)を表している。また、Vos,x、Vos,y、およびVos,zは、それぞれセンサ部300x、300y、および300zのオフセットを表している。ここで主軸方向とは、センサ部300x、300y、および300zが主として計測する方向であり、他軸方向とは、それらが主として計測しない方向である。磁場の計測において、主軸方向は磁場が入力されたときに磁気センサが最大の感度を示す方向(入力軸方向、感度軸方向)である。そして、他軸方向は、主軸方向と垂直な軸とする。例えば、センサ部300xがX軸方向を計測する場合、主軸方向はX軸であり、他軸方向はY軸方向およびZ軸方向である。磁気センサ520は、主軸感度のみを持つことが理想的だが、プロセス因等により他軸感度を持つことがある。また、磁気センサ520は、上述した相互干渉によって発生する他軸感度も持つ。
センサ部300のそれぞれが、検出すべき入力磁場の範囲において、当該入力磁場に対する検出結果が線形性を有するので、行列Sの各要素は、入力磁場Bの大きさとは無関係な略一定の係数となる。また、センサ部300が他軸感度を有していても、当該センサ部300の検出結果が線形性を有していれば、行列Sの各要素は、入力磁場Bの大きさとは無関係な略一定の係数となる。
したがって、較正演算部1130は、行列Sの逆行列S-1とオフセット(Vos,x,Vos,y,Vos,z)とを用いることで、次式のように、計測値V(Vx,Vy,Vz)を元の入力された磁場を示す磁場計測値B(Bx,By,Bz)に変換することができる。つまり、較正演算部1130は、計測データ取得部1120からの計測値Vを、主軸感度、他軸感度、およびオフセットを用いて較正する。これにより、較正演算部1130は、主軸方向の感度、他軸方向の感度、およびオフセットを補正する。なお、この変換は、センサ部300x~zが上述の磁気収束板を備えている場合も成立する。これは、磁気センサセル220がセンサ部300x~zを利用した3軸磁気センサとして構成されるためであり、線形代数を利用した変換が可能となるからである。なお、センサ部300の出力から較正演算部1130までに、ハイパスフィルタ等を備えることにより、計測値Vを交流成分とする場合は、オフセットの較正は省略してもよい。すなわち、較正演算部1130は、計測データ取得部1120からの計測値Vを、主軸感度、他軸感度、および、オフセットの少なくともいずれかを用いて較正してもよい。なお、これらの較正パラメータは、あらかじめ既知の直流または交流の磁場を計測することによって算出されていてよい。また、本実施形態における較正演算部1130は、各磁気センサセル220からの出力を、独立な3軸成分として較正できればよく、必ずしも直交している3軸成分に補正する必要はない。すなわち、すべての磁気センサセル220が同一の磁場を測定している場合に、較正演算部1130は、計測データ取得部1120からの計測値Vを、独立な3軸成分で表現された、同一の磁場計測値Bに較正してよい。
Figure 0007330014000005
較正演算部1130は、略一様な磁場を計測した計測データを用いて行列Sの逆行列S-1およびオフセット(Vos,x,Vos,y,Vos,z)を算出し、計測データ取得部1120により取得された計測値Vを、これらの較正パラメータを用いて磁場計測値Bに変換する。そして、較正演算部1130は、複数の磁場計測値Bを磁場計測データとしてデータ出力部1140に供給する。
差分算出部1135は、基準セルと近接セルとの間における磁場計測値の差分を算出する。差分算出部1135は、算出した差分に基づく較正の指標を較正演算部1130へ供給する。また、差分算出部1135は、算出した差分に基づく較正の指標をモニタ等に表示してもよいし、他の機能部または装置へ出力してもよい。
データ出力部1140は、較正演算部1130によって較正された複数の磁場計測値Bを、磁場計測データとして信号空間分離部1160に供給する。
基底ベクトル記憶部1150は、信号空間分離部1160が磁場の空間分布を信号分離するために必要な基底ベクトルを予め記憶し、これを信号空間分離部1160へ供給する。
信号空間分離部1160は、データ出力部1140から供給された磁場計測値B、すなわち、計測値Vを較正した磁場計測値Bによって示される磁場の空間分布を、正規直交関数の空間分布を持つ磁場を磁気センサアレイ210で検出したときに複数の磁気センサ520のそれぞれが出力する信号ベクトルを基底ベクトルとして信号分離する。この際、信号空間分離部1160は、信号分離に必要な基底ベクトルを、基底ベクトル記憶部1150から取得する。そして、信号空間分離部1160は、基底ベクトル記憶部1150から取得した基底ベクトルを用いて、磁場計測値Bによって示される磁場の空間分布を、測定対象磁場(信号源空間信号)と外乱磁場(外乱空間信号)とに信号分離し、外乱磁場を抑制して測定対象磁場を算出し、これを出力する。
図12は、本実施形態に係る心磁計測装置10が磁場の空間分布を信号分離するフローを示す。ステップ1210において、基底ベクトル記憶部1150は、基底ベクトルを記憶する。一例として、基底ベクトル記憶部1150は、測定対象磁場の測定前に、球面調和関数の空間分布を持つ磁場を磁気センサアレイ210で検出したときに複数の磁気センサ520のそれぞれが出力する信号ベクトルを基底ベクトルとして記憶する。ここで、基底ベクトル記憶部1150は、空間内の予め定められた点を座標原点に指定した時に球面調和関数を空間サンプリングして得られる磁場信号ベクトルを基底ベクトルとして記憶する。ここで、球面調和関数とは、n次元ラプラス方程式の解となる斉次多項式を単位球面に制限することで得られる関数であり、球面上での正規直交性を有する。なお、本図においては、一例として、基底ベクトル記憶部1150が基底ベクトルを記憶するステップ1210を、心磁計測装置10による磁場の空間分布を信号分離するフローにおける最初のステップとした場合について示す。しかしながら、基底ベクトル記憶部1150は、心磁計測装置10による磁場の空間分布を信号分離するフローの前に、基底ベクトルを事前に記憶しておいてもよい。また、基底ベクトル記憶部1150は、シミュレーション結果等により予め決められている信号ベクトルを基底ベクトルとして記憶してもよい。
次に、ステップ1220において、信号空間分離部1160は、磁気センサアレイ210によって計測され、較正演算部1130によって較正された磁場計測データBを、データ出力部1140から取得する。なお、較正演算部1130による計測データの較正の詳細については後述する。
また、ステップ1230において、信号空間分離部1160は、ステップ1210において基底ベクトル記憶部1150が基底ベクトルとして記憶した信号ベクトルを、基底ベクトル記憶部1150から取得する。なお、本フローにおいて、ステップ1220とステップ1230とはどちらが先に行われてもよい。
ステップ1240において、信号空間分離部1160は、ステップ1220において取得した磁場計測データBによって示される磁場の空間分布を、ステップ1230において取得した信号ベクトルを基底ベクトルとして利用して級数展開する。そして、信号空間分離部1160は、級数展開によって得られたベクトルから、磁場の空間分布を測定対象磁場(信号源空間信号)と外乱磁場(外乱空間信号)とに信号分離する。なお、正規直交関数は球面調和関数であってよい。また、信号空間分離部1160は、信号分離するにあたって、基底ベクトルの級数展開係数を最小2乗法により計算する。
そして、ステップ1250において、信号空間分離部1160は、ステップ1240において信号分離した結果に基づいて、外乱磁場を抑制して測定対象磁場だけを算出して出力し、処理を終了する。以下、これについて詳細に説明する。
静磁場B(r)は、ラプラス方程式Δ・V(r)=0を満たすポテンシャルV(r)を用いて、次式のように、ポテンシャルV(r)の空間勾配(gradient)として求められる。ここで、rは座標原点からの位置を表す位置ベクトルであり、Δはラプラシアンであり、μは透磁率であり、∇はベクトル微分演算を表す演算子である。
Figure 0007330014000006
そして、ラプラス方程式の解は、一般に、正規直交関数系である球面調和関数Yl,m
(θ,φ)を使った級数展開の形での解を持つため、ポテンシャルV(r)は次式で表すことができる。ここで、|r|は位置ベクトルrの絶対値(座標原点からの距離)であり、θおよびφは球座標における2つの偏角であり、lは方位量子数であり、mは磁気量子数であり、αおよびβは多極モーメントであり、LinおよびLoutはそれぞれ被験者から見て磁気センサアレイ210の手前の空間と奥の空間のそれぞれについての級数の数である。方位量子数lは正の整数をとり、磁気量子数mは-lから+lまでの整数をとる。すなわち、例えばlが1のとき、mは-1、0、および1であり、例えばlが2のとき、mは-2、-1、0、1、および2である。なお、磁場においては単磁極が存在しないことから、(数7)において方位量子数lは、0からではなく1から始まっている。(数7)における第1項は、座標原点からの距離に反比例する項であり、被験者から見て磁気センサアレイ210の手前の空間に存在するポテンシャルを示している。また、(数7)における第2項は、座標原点からの距離に比例する項であり、被験者から見て磁気センサアレイ210の奥の空間に存在するポテンシャルを示している。
Figure 0007330014000007
したがって、(数6)および(数7)によれば、静磁場B(r)は、次式で表すことができる。ここで、(数8)における第1項は、被験者から見て磁気センサアレイ210の手前の空間に存在する磁場源、すなわち、心臓の電気活動が作る心磁場(測定対象磁場)を示している。また、(数8)における第2項は、被験者から見て磁気センサアレイ210の奥の空間に存在する磁場源が作る外乱磁場を示している。
Figure 0007330014000008
球面調和関数を使った級数展開の形でラプラス方程式の解を表した場合、その一般解は無限級数となるが、生体磁場を計測するのに十分なSNR(信号ノイズ比、すなわち、外乱磁場及びセンサノイズに対する測定対象磁場信号の比)が得られればよく、実際には10項程度の級数で表せば十分であると言われている。また、脳磁計における信号空間分離の級数については、Lin=8、Lout=3前後が一般的に利用されている。したがって、本実施形態においても、LinおよびLoutは、上記と同程度の値を用いればよい。しかしながら、LinおよびLoutの値は、これに限定されるものではなく、外乱磁場を十分抑制し測定対象磁場だけを算出するのに十分な、いかなる数値であってもよい。
ここで、基底ベクトルとなるal,mおよびbl,mを次式のように定義する。このal,mおよびbl,mは、球面座標で表現されている。なお、このal,mおよびbl,mは、磁気センサセル220の個数を(センサ部300x、y、およびzがあるため)3倍した数の次元を持つベクトルとなる。このように、センサ部300x、y、およびzの主軸方向の感度と他軸方向の感度補正を含めて計算されたal,mおよびbl,mの値は基底ベクトル記憶部1150に記憶される。基底ベクトル記憶部1150が、磁気感度(主軸感度、他軸感度)の補正を含めて計算されたal,mおよびbl,mの値を記憶する本実施形態に係る心磁計測装置10は、動作時に、計測データ取得部1120によって取得されたデータに対して較正演算部1130における補正を行うことで、各磁気センサセル220の磁気感度(主軸感度、他軸感度)の補正を行うことが可能となる。
Figure 0007330014000009
そうすると、ある時刻にそれぞれの磁気センサセル220において出力される信号から構成されるセンサアレイ出力ベクトルΦは、以下の式で表すことができる。
Figure 0007330014000010
さらに、Sin、Sout、Xin、およびXoutをそれぞれ次のように定義する。すなわち、Sinを、l=1からl=Linまで、各lにおいてm=-lからlまでの整数をとった時の各ベクトルaを順に列に並べた、計Lin・(Lin+2)列のベクトルと定義する。また、Soutを、l=1からL=Loutまで、各lにおいてm=-lからlまでの整数をとった時の各ベクトルbを順に列に並べた、計Lout・(Lout+2)列のベクトルと定義する。また、Xinを、l=1からl=Linまで、各lにおいてm=-lからlまでの整数をとった時の各多極モーメントαl,mを順に列に並べたベクトルを転置した、計Lin・(Lin+2)行のベクトルと定義する。また、Xoutを、l=1からl=Linまで、各lにおいてm=-1からlまでの整数をとった時の各多極モーメントβl,mを順に列に並べたベクトルを転置した、計Lout・(Lout+2)行のベクトルと定義する。
Figure 0007330014000011
そうすると、センサアレイ出力ベクトルΦは、次式に示すように、行列Sと縦ベクトルXの内積の形で表すことができる。ここで、行列Sは、基底ベクトルを示し、例えば、ステップ1030において、信号空間分離部1160が基底ベクトル記憶部1150から取得したものである。また、縦ベクトルXは、基底ベクトルに係る係数を示す。
Figure 0007330014000012
本実施形態に係る信号空間分離部1160は、ステップ1240において、この(数12)で得られたセンサアレイ出力ベクトルΦのモデル式に基づいて、次式を用いてΦ=S・Xを最小2乗近似で満たす縦ベクトルXを決定する。これにより、信号空間分離部1160は、ステップ1240において、磁場の空間分布を解くことができる。つまり磁場の空間分布を推定できるようになる。すなわち、測定対象磁場をφin_h=SinXin、外乱磁場をφout_h=SoutXoutとして推定できる。この際、信号空間分離部1160は、外乱磁場の大きさが予め定められた範囲を超える場合に、測定対象磁場を高精度に計測できない旨の警告を出してもよい。これにより、心磁計測装置10は、装置が故障している場合や、測定対象磁場を高精度に計測することができない程大きな外乱磁場が存在している場合等の状況において、測定対象磁場を計測してしまうことを事前に防止することができる。この場合に、信号空間分離部1160は、例えば、SoutXoutの各成分のいずれかの大きさが予め定められた閾値を超える場合に外乱磁場の大きさが予め定められた範囲を超えると判断してもよいし、SoutXoutの各成分の大きさの和や平均が予め定められた閾値を超える場合に外乱磁場の大きさが予め定められた範囲を超えると判断してもよい。
Figure 0007330014000013
そして、ステップ1250において、信号空間分離部1160は、ステップ1240において決定した縦ベクトルを用いて、SoutXoutを減少させて外乱磁場成分、すなわち、(数8)における第2項の成分を抑制した結果を出力する。信号空間分離部1160は、SinXinだけを結果として出力することで、外乱磁場成分を抑制して、測定対象磁場成分、すなわち、(数8)における第1項の成分だけを出力してもよい。
これにより、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、磁場を3軸方向で検出可能な複数のセンサ部300を有する磁気センサセル220を三次元に配列して構成される磁気センサアレイ210を用いて計測された磁場計測データBによって示される磁場の空間分布を、測定対象磁場と外乱磁場とに信号分離することができる。また、心磁計測装置10は、外乱磁場成分を抑制して測定対象磁場成分だけを出力するので、測定対象磁場をより高精度に計測することができる。また、複数のセンサ部300がそれぞれ磁気収束板を有するので、センサ部300の磁気感度を高めるとともに、空間サンプリング点を明確化することができ、信号空間分離技術との親和性をより高めることができる。さらに、心磁計測装置10が較正演算部1130を有するので、高精度な較正(主軸感度ミスマッチ、多軸感度、およびオフセット等)を実現でき、複数のセンサ部300のキャリブレーション誤差を、信号空間分離段階で処理するのではなく、その前段で低減させることができるので、より高精度に測定対象磁場成分を取り出すことができる。
図13は、本実施形態に係る心磁計測装置10が備えてよい較正用磁場発生器1300の一例を示す。本実施形態に係る心磁計測装置10は、磁気センサアレイ210を較正するための較正用磁場発生器1300を更に備えてよい。較正用磁場発生器1300は、例えば、略立方体状に構成され、内部空間に磁気センサアレイ210を収容可能であってよい。そして、較正用磁場発生器1300は、例えば、左右側面に対に設けられX軸方向の較正用磁場を発生するx軸方向の較正用磁場発生部1310x、上下面に対に設けられY軸方向の較正用磁場を発生するy軸方向の較正用磁場発生部1310y、前後面に対に設けられZ軸方向の較正用磁場を発生するz軸方向の較正用磁場発生部1310zを有する。ここで、x軸方向の較正用磁場発生部1310x、y軸方向の較正用磁場発生部1310y、およびz軸方向の較正用磁場発生部1310zを較正用磁場発生部1310と総称する。すなわち、心磁計測装置10は、磁気センサアレイ210を較正するための較正用磁場を発生する較正用磁場発生部1310を更に備える。
較正用磁場発生部1310は、較正用磁場発生器1300の内部空間に一様な磁場を発生させる。較正用磁場発生部1310は、例えば、ヘルムホルツコイルであってよい。ヘルムホルツコイルは、同一の二つのコイルを、同一の中心軸を持つように、かつ、コイル間の距離がコイルの半径と同じになるように配置させた一対のコイルである。較正用磁場発生部1310は、このようなヘルムホルツコイルを用いることによって、コイルで挟まれた空間の中心部分に目的の磁場を発生させることができる。
このように、較正用磁場発生器1300は、それぞれがヘルムホルツコイルのように各軸方向に一様な磁場を発生する較正用磁場発生部1310を3軸方向分有しているので、これら複数の較正用磁場発生部1310x~zをそれぞれ制御することで、位相の異なる複数の較正用磁場を内部空間に発生させることができる。なお、この際、x軸方向の較正用磁場発生部1310xの一対のコイルで挟まれた空間の中心部分、かつ、y軸方向の較正用磁場発生部1310yの一対のコイルで挟まれた空間の中心部分、かつ、z軸方向の較正用磁場発生部1310zの一対のコイルで挟まれた空間の中心部分、すなわち、較正用磁場発生器1300の略中央部分が、最も磁場が一様となる。したがって、較正用磁場発生部1310は、磁気センサアレイ210との間の相対位置を調整可能に構成されてよい。すなわち、較正用磁場発生器1300の内部空間に磁気センサアレイ210を収容し、複数の磁気センサセル220のそれぞれを用いて較正用磁場を計測させる場合に、対象とする磁気センサセル220が最も磁場が一様となる部分となるように、較正用磁場発生部1310の位置を磁気センサアレイ210に対して移動可能に構成してもよい。これに代えて、対象とする磁気センサセル220が最も磁場が一様となる部分となるように、磁気センサアレイ210の位置を較正用磁場発生部1310に対して移動可能に構成してもよい。
図14は、本実施形態に係る心磁計測装置10が、磁気センサアレイ210全体に亘って計測データを較正するフローを示す。ステップ1410において、心磁計測装置10は、心磁の計測に先立って、較正用磁場発生器1300の内部空間に磁気センサアレイ210を収容させる。そして、心磁計測装置10は、この状態で較正用磁場発生部1310から位相の異なるN通りの較正用磁場を発生させ、この際に磁気センサアレイ210を用いて計測された計測データをそれぞれ取得する。
ステップ1420において、較正演算部1130は、複数の磁気センサセル220のうちの1つの磁気センサセル220、すなわち、位置[i,j,k]の磁気センサセル220を初期の基準セルとして選択する。一例として、較正演算部1130は、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列において略中心に位置する磁気センサセル220、例えば、位置[4,4,1]の磁気センサセル220を初期の基準セルとして選択する。
ステップ1430において、較正演算部1130は、全ての磁気センサセル220の較正が完了したか否か判定する。ステップ1420に続くステップ1430においては、全ての磁気センサセル220の較正が完了していないので、較正演算部1130は、処理をステップ1440に進め、位置[i',j',k']の磁気センサセル220を近接セルとして選択する。一例として、較正演算部1130は、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列において、基準セルに隣接する磁気センサセル220を隣接セルとして選択する。より詳細には、較正演算部1130は、例えば、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列において、位置[4,4,1]に隣接する位置[4,5,1]の磁気センサセル220を近接セルとして選択する。なお、上述の説明では、較正演算部1130が、二次元配列において基準セルに隣接するセルを近接セルとして選択する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。較正演算部1130は、二次元配列において基準セルに隣接していない、すなわち、離隔したセルを近接セルとして選択してもよい。
ステップ1442において、較正演算部1130は、n=1に設定する。ここで、nは、N以下の自然数を示す。
ステップ1450において、較正演算部1130は、近接セルの補正行列を更新する。これについて、数式を用いて詳細に説明する。n通り目の較正用磁場を与えた場合に、基準セル、すなわち、位置[i,j,k]の磁気センサセル220において計測された3軸の計測値成分からなるセンサ出力ベクトルΦ[i,j,k]は、次式で表される。ここで、S[i,j,k]は、位置[i,j,k]の磁気センサセル220における磁気センサ特性行列を示す。また、B[i,j,k]は、位置[i,j,k]の磁気センサセル220における3軸軸センサの感度誤差補正後の磁場計測値を示す。
Figure 0007330014000014
したがって、位置[i,j,k]の磁気センサセル220における3軸軸センサ誤差補正後の磁場計測値B[i,j,k]は、次式で表すことができる。ここで、R[i,j,k]は、位置[i,j,k]の磁気センサセル220における磁気センサ特性を補正する補正行列を示し、磁気センサ特性行列S[i,j,k]の逆行列によって表される。
Figure 0007330014000015
同様に、近接セル、すなわち、位置[i',j',k']の磁気センサセル220において計測された3軸の計測値成分からなるセンサ出力ベクトルΦ[i',j',k']は、次式で表される。
Figure 0007330014000016
したがって、位置[i',j',k']の磁気センサセル220における3軸センサの感度誤差補正後の磁場計測値B[i',j',k']は、次式で表すことができる。ここで、R[i',j',k']は、位置[i',j',k']の磁気センサセル220における磁気センサ特性を補正する補正行列を示し、磁気センサ特性行列S[i',j',k']の逆行列によって表される。
Figure 0007330014000017
そして、差分算出部1135は、(数式15)および(数式17)を用いて、次式により、n通り目の較正用磁場を与えた場合における、基準セルと近接セルとの間における磁場計測値の差分を算出する。すなわち、差分算出部1135は、n通り目の較正用磁場を与えた場合における、位置[i,j,k]と位置[i',j',k']の磁場計測値の差分δ(n)[i',j',k']を算出する。なお、初期の基準セルとして選択された位置[i,j,k]の磁気センサセル220については、その磁気センサ特性を補正する補正行列R[i,j,k]は予め決定されているものとする。
Figure 0007330014000018
また、差分算出部1135は、次式により、近接セルにおける計測値の較正の指標を算出する。すなわち、差分算出部1135は、位置[i,j,k]と位置[i',j',k']の磁場計測値の差分δ(n)[i',j',k']を2乗した指標J(n)[i',j',k']を、近接セルにおける計測値の較正の指標として算出する。差分算出部1135は、算出した指標Jを較正演算部1130へ供給する。この際、差分算出部1135は、算出した指標Jを、例えば、モニタ機器等、他の機能部または装置へ出力してもよい。
Figure 0007330014000019
そして、較正演算部1130は、差分算出部1135から供給された指標Jをコスト関数として、当該コスト関数を最小化するように近接セルの計測値を較正する。すなわち、較正演算部1130は、差分δの2乗を最小化するように、近接セルの計測値を較正する。この際、較正演算部1130は、近接セルの計測値に施す線形演算の係数を適応制御して、近接セルの計測値を較正してよい。一例として、較正演算部1130は、例えば、次に示す漸化式にしたがって、近接セル、すなわち、位置[i',j',k']の磁気センサセル220における補正行列R[i',j',k']を更新する。ここで、当該漸化式は、∂Jα/∂Rβγ=0(ここで、α、β、およびγは、x、y、およびzのいずれかを示す)という、LMS(Least Mean Square)の最急降下アルゴリズムにおける勾配=0の条件から導かれるものであり、μは更新の重みを決めるパラメータである。なお、上述の説明では、較正演算部1130が、LMSアルゴリズムを用いて補正行列Rを更新する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。較正演算部1130は、RLS(Recursive Least Square)等、他のアルゴリズムを用いて補正行列Rを更新してもよい。
Figure 0007330014000020
次に、ステップ1452において、較正演算部1130は、nをインクリメントしてn=n+1とする。そして、ステップ1454において、較正演算部1130は、nがNと一致するか否か判定する。ステップ1454において、nがNと一致しないと判定した場合、較正演算部1130は、処理をステップ1450に戻して、ステップ1450およびステップ1452の処理を繰り返す。すなわち、較正演算部1130は、位相の異なるN通りの較正用磁場を与えた場合に計測された全ての計測データを用いて、近接セルの補正行列Rを更新する。これにより、較正演算部1130は、補正行列Rの更新を収束させる。
そして、ステップ1454において、nがNと一致すると判定した場合、すなわち、N通りの較正用磁場を与えた場合の全てを考慮して、近接セルの補正行列を更新したと判定した場合、較正演算部1130は、処理をステップ1460へ進める。
ステップ1460において、較正演算部1130は、指標Jが予め定められたしきい値以下であるか否か判定する。すなわち、較正演算部1130は、差分δの2乗が予め定められたしきい値以下であるか否か判定する。そして、指標Jが予め定められたしきい値を超えると判定した場合、ステップ1470において、計測データの較正に失敗したと判断して、処理を終了する。
一方、ステップ1460において、指標Jが予め定められたしきい値以下であると判定した場合、較正演算部1130は、ステップ1480において、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして設定する。すなわち、[i,j,k]=[i',j',k']とする。そして、較正演算部1130は、ステップ1430に処理を戻して、ステップ1430~ステップ1480の処理を繰り返す。すなわち、較正演算部1130は、複数の磁気センサセル220のうちの1つの磁気センサセル220を基準セルとして、基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの近接セルを新たな基準セルとして、新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する。この際、基準セルと基準セルに近接する近接セルとの間の距離は、基準セルと新たな基準セルに近接する近接セルとの間の距離よりも短くてよい。
一例として、較正演算部1130は、[4,4,1]を基準セルとして、当該基準セルに近接する近接セル[4,5,1]の計測値を較正する。次に、較正演算部1130は、較正済みの「4,5,1」を新たな基準セルとして、当該新たな基準セルに近接する近接セル[5,5,1]の計測値を較正する。較正演算部1130は、このような処理を繰り返し実行することで、例えば、[4,4,1]→[4,5,1]→[5,5,1]→…→[5,3,1]→…→[3,3,1]→…→[3,6,1]→…→[6,6,1]→…→[6,2,1]→…→[2,2,1]→…→[2,7,1]→…→[7,7,1]→…→[7,1,1]→…→[1,1,1]→…→[1,8,1]→…→[8,8,1]→…→[8,1,1]の順に近接セルの計測値を較正する。
なお、上述の説明では、位置[1,1,1]~[8,8,1]の磁気センサセル220を順次較正する場合について説明したが、位置[1,1,2]~[8,8,2]の磁気センサセル220についても、同様に較正してよい。一例として、較正演算部1130は、Z軸位置の異なる複数の磁気センサセル220の計測値を同時に較正してよい。すなわち、較正演算部1130は、[4,4,1]を基準セルとして[4,5,1]の計測値を較正する場合に、[4,4,2]を基準セルとして[4,5,2]の計測値を同時に較正してよい。また、[4,5,1]を基準セルとして[5,5,1]の計測値を較正する場合に、[4,5,2]を基準セルとして[5,5,2]の計測値を同時に較正してよい。これに代えて、較正演算部1130は、Z軸位置の異なる複数の磁気センサセル220の計測値をそれぞれ独立に較正してもよい。
このように、較正演算部1130は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列における少なくとも1部について順次繰り返す。この際、較正演算部1130は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列における略中心から外周に向かって順次繰り返してよい。特に、較正演算部1130は、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、複数の磁気センサセル220がなす二次元配列において渦巻状に順次繰り返してよい。
なお、上述の説明では、較正演算部1130が、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列において、略中心から外周に向かって渦巻き状の経路に沿って順次繰り返す場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。較正演算部1130は、例えば、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列において、略中心から外周に向かって放射状の経路に沿って順次繰り返してもよいし、ランダムな経路に沿って順次繰り返してもよい。
ステップ1430において、全ての磁気センサセル220の較正が完了したと判定した場合、較正演算部1130は、ステップ1490において、磁気センサアレイ210の較正が完了したと判断して、処理を終了する。
図15は、LMSアルゴリズムを用いて補正行列Rを更新したシミュレーション結果の一例を示す。本図において、横軸は、補正行列Rの更新の繰り返し回数を示しており、図14のフローにおけるnに対応する。また、本図において、縦軸は、磁場計測値の差分の大きさを示しており、(数18)におけるδ(n)の絶対値に対応する。本図に示されるように、LMSアルゴリズムにしたがって補正行列R[i',j',k']の更新を繰り返すことにより、差分δ(n)の大きさが徐々に小さくなっていき、次第に収束していくことが分かる。そして、差分δ(n)の大きさが十分小さくなった後の補正行列R[i',j',k']を用いて、位置[i',j',k']の磁気センサセル220における磁気センサ特性を補正することにより、位置[i,j,k]の磁気センサセル220における磁気センサ特性と一致させることができる。そして、心磁計測装置10は、同様の操作を磁気センサアレイ210全体に亘って行うことで、磁気センサアレイ210全体のセンサ特性を補正することができる。
このように、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、磁気センサアレイ210を較正するにあたって、基準セルと基準セルに近接する近接セルの2つの磁気センサセル220のみを用いて近接セルの計測値を較正し、当該処理を磁気センサアレイ210の全体に亘って順次実行する。これにより、入力磁場が略同一とみなせる空間に配置された2つの磁気センサセル220の間で磁気センサ特性を一致させ、当該処理の繰り返しにより磁気センサアレイ210の全体を較正することができる。したがって、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、磁気センサアレイ210を構成する複数の磁気センサセル220の磁気センサ特性を精度よく較正することができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、新たな基準セルの設定、および、近接セルの計測値の較正を、二次元配列における略中心から外周に向かって、例えば、渦巻状に順次繰り返す。これにより、心磁計測装置10は、基準セルと近接セルとの間における較正誤差の蓄積を比較的小さく抑えることができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、基準セルと近接セルとの間における磁場計測値の差分を算出するので、当該差分に基づく指標をユーザや他の機能部または装置へ提供することができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、このような差分の2乗を最小化するように近接セルの計測値を較正するので、較正後の基準セルの磁場計測値と較正後の近接セルの磁場計測値との差分を小さくすることができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、このような差分の2乗を最小化するにあたって、近接セルの計測値に施す線形演算の係数を適用制御するので、線形代数を利用して近接セルの計測値を較正することができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、較正用磁場を発生する較正用磁場発生部1310を備えるので、磁気センサアレイ210を較正するために必要な計測データを取得する磁場環境を較正用磁場発生部1310から意図的に与えることができる。また、本実施形態に係る心磁計測装置10によれば、較正用磁場発生部1310を、磁気センサアレイ210との間の相対位置を調整可能に構成するので、複数の磁気センサセル220のそれぞれを用いて較正用磁場を計測させる場合に、対象とする磁気センサセル220が最も磁場が一様となる部分となるように、調整することができる。
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
図16は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 心磁計測装置
100 本体部
110 磁気センサユニット
120 ヘッド
125 駆動部
130 ベース部
140 ポール部
150 情報処理部
210 磁気センサアレイ
220 磁気センサセル
230 センサデータ収集部
300 センサ部
520 磁気センサ
530 磁場生成部
532 増幅回路
534 コイル
540 出力部
710 磁気抵抗効果素子
720、730 磁気収束板
1100 センサデータ処理部
1110 AD変換器
1112 クロック発生器
1120 計測データ取得部
1130 較正演算部
1135 差分算出部
1140 データ出力部
1150 基底ベクトル記憶部
1160 信号空間分離部
1300 較正用磁場発生器
1310 較正用磁場発生部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード

Claims (14)

  1. 各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイと、
    前記複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、前記基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの前記近接セルを新たな基準セルとして、前記新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する較正演算部と、
    を備える、心磁計測装置。
  2. 前記磁気センサアレイは、前記複数の磁気センサセルが二次元に配列された二次元配列を含んで構成される、請求項1に記載の心磁計測装置。
  3. 前記較正演算部は、前記新たな基準セルの設定、および、前記近接セルの計測値の較正を、前記二次元配列における少なくとも1部について順次繰り返す、請求項2に記載の心磁計測装置。
  4. 前記較正演算部は、前記新たな基準セルの設定、および、前記近接セルの計測値の較正を、前記二次元配列における略中心から外周に向かって順次繰り返す、請求項3に記載の心磁計測装置。
  5. 前記較正演算部は、前記新たな基準セルの設定、および、前記近接セルの計測値の較正を、前記二次元配列において渦巻状に順次繰り返す、請求項4に記載の心磁計測装置。
  6. 前記基準セルと前記近接セルとの間における磁場計測値の差分を算出する差分算出部を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
  7. 前記較正演算部は、前記差分の2乗を最小化するように、前記近接セルの計測値を較正する、請求項6に記載の心磁計測装置。
  8. 前記較正演算部は、前記近接セルの計測値に施す線形演算の係数を適応制御して、前記近接セルの計測値を較正する、請求項7に記載の心磁計測装置。
  9. 前記磁気センサアレイを較正するための較正用磁場を発生する較正用磁場発生部を更に備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
  10. 前記較正用磁場発生部は、前記磁気センサアレイとの間の相対位置を調整可能に構成される、請求項9に記載の心磁計測装置。
  11. 前記基準セルと前記基準セルに近接する近接セルとの間の距離は、前記基準セルと前記新たな基準セルに近接する近接セルとの間の距離よりも短い、請求項1から10のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
  12. 前記複数の磁気センサセルのそれぞれは、磁気センサと、前記磁気センサが検出した入力磁場を低減させるフィードバック磁場を前記磁気センサに与える磁場生成部と、前記磁場生成部が前記フィードバック磁場を発生するために流す電流に応じた出力信号を出力する出力部と、を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の心磁計測装置。
  13. 各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイにおける、前記複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、前記基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの前記近接セルを新たな基準セルとして、前記新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正すること
    を備える、心磁計測方法。
  14. コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
    各々が磁場を3軸方向で検出可能な複数の磁気センサセルを配列して構成される磁気センサアレイにおける前記複数の磁気センサセルのうちの1つの磁気センサセルを基準セルとして、前記基準セルに近接する近接セルの計測値を較正し、較正済みの前記近接セルを新たな基準セルとして、前記新たな基準セルに近接する近接セルの計測値を較正する較正演算部
    として機能させる、心磁計測プログラム。
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