JP7329783B1 - 磁気顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】個々の細胞の活力を観察できる磁気顕微鏡を提供する。【解決手段】本発明は、従来のGSRセンサをより小型化して、磁気センサ素子グリッド基板に緻密に配置して、磁気センサグリッドを作製して、それを細胞観察時のシャーレ62の下に配置して、細胞が発する磁界を計測し、細胞内に流れる電流素片分布を計算し、それをPC画像にイメージ図として表示することを可能にした磁気顕微鏡61である。この磁気顕微鏡と光学顕微鏡64を組み合わせることで、リアルタイムで細胞の機械的運動と形状変化の動きと各細胞の活性化度を容易に観察できるようにすることができる。【選択図】図8

Description

本発明は、細胞研究で使用される光学顕微鏡で観察されている細胞の構造や動きと同時に、細胞集合体内から発する磁界と磁界を生み出す素である電流素片を測定することによって、細胞集合体全体の活力を観察する磁気顕微鏡に関する。
iPS細胞などの細胞の生育観察を行う場合、光学顕微鏡による細胞体の形態変化や運動観察に加えて、細胞集合体内に流れる電流素片を観察して、細胞集合体全体の活力を観察することが求められている。
しかし、細胞の大きさは20μm程度でその集合体の大きさは5mm以下である。このような微細な細胞内に流れる電流から発する磁界を測定して、電流素片の強さと方向からその細胞の活力が予測される。しかし、現在そのような微細な細胞内に流れる電流素片を測定できる磁気顕微鏡は知られていない。
ここで、磁気顕微鏡とは、微小な細胞から発する微小な磁界を検出し、細胞形状に即して、そのサイズを倍率100倍から1000倍に増幅して、磁界の分布または磁界の素となる電流素片の分布を観察する装置であると定義することができる(図1)。
なお、磁気センサを利用した細胞評価装置が、特許文献1に開示されている。その文献の図17に直径20μmのアモルファスワイヤを80μm間隔で碁盤目状構造に配置し、各ワイヤの両端から高周波交流電流を通電して両端の電圧からアモルファスワイヤのインピーダンスを測定して、ワイヤの交点の磁界HxまたはHyを測定することができると記載されている。
しかし、磁気インピーダンスセンサは、ワイヤ両端に電圧をかけて交流電流を通電した時に、流れるワイヤに係る磁界の平均値をとるものであって、交点の磁界を単独に測定できないことは理論的に明らかである。事実、本発明を裏付ける論文は発表されていないし、製品も販売されていない。
発明者は、おそらくグリッド(i,j)番目に素子を配置して、i番目のワイヤからj番目のワイヤに交流電流が流れるようにスイッチ操作をして、(i,j)番目に配置した素子だけを駆動させるグリッドセンサ、この種のタイプのセンサは広く知られているが、その技術と勘違いしているように思われる。つまり、2mm間隔以下の碁盤目状に磁気センサが配置された磁気グリッドセンサは、いまだ開発されていない。
細胞から発する磁界は細胞直上で10nT以下程度と考えられる。特許文献1によると1nT以下と説明しているが、センサの測定位置が細胞体から900μmと離れているが、本発明は300μm以下を想定しており、発生する磁界が距離の自乗に反比例することから、両者の見解は整合していると言える。
その磁界を検出するための磁気センサ素子のサイズは、細胞のサイズを考慮すると、10μm~500μm程度が求められる。現在知られているGSRセンサは、長さ500μmの場合には検出力は15nT程度であり、上記要求を満たす小型で高感度の磁気センサは知られていない。しかもこの磁気センサ素子をX軸とY軸にグリッド上に緻密に多数個グリッド状に配置する製造技術も確立されていない。
小型で高感度な磁気センサとそれを使った磁気センサグリッドを開発して、磁気顕微鏡の開発が求められている。なお、磁気顕微鏡に関する先行技術文献について、j-platpatによる検索では見出ことができなかった。
特許第5526384号公報
本発明は、20μmサイズの細胞から発する磁界を測定し、細胞内に発生する微小な磁界とその素となる電流素片を観察することによって細胞の活力を計測するものである。
本発明者は、小型GSRセンサを開発し、その素子をX軸とY軸に沿った碁盤目状の複数列のグリッド線上に、各列に沿って複数個配置すれば20μm程度大きさの細胞を観察する磁気顕微鏡を発明できるのではとの考えを思いついた。
具体的には、光学顕微鏡で観察中のシャーレの下側に、X軸とY軸に沿って碁盤目状に多数の磁気センサを配置した磁気センサグリッドを取り付けて、微小磁界を測定し、その測定値から電流素片を算出すれば、細胞レベルの微小磁界と電流素片と細胞の活性度がリアルタイムで測定できるのではとの着想であった。そして、その実用可能性の検討を行った結果、以下の6つの課題が横たわっていることに思い至った。
そのための技術開発課題として、
第1の課題は、検出力が1pT~10nT程度で、サイズが10μm~2mm以下の磁気センサを開発することである。具体的には現状のGSRセンサの小型化と高性能化を図ることであるが、磁気センサの検出力はサイズに比例し、両者の間には背反性が存在し、両特性を同時に改善するのは難しい課題である。
第2の課題は、ASIC基板の上に、磁気センサ素子をX軸とY軸に沿ってグリッド上に100個~400万個程度配置する技術を開発することである。なお素子の数は、40倍~1,000倍の倍率および10mm径~50mm径程度の測定面積によって選択すべき課題である。
第3の課題は、電流素片から発する磁界を磁気センサグリッドで測定し、それから細胞集合体に流れる電流素片分布および磁界分布の等高線図を計算して、イメージ画像をスクリーンに表示するプログラムを開発する課題である。
第4の課題は、超高密度に配置された磁気センサグリッドを使って、イメージ画像の画素の大きさを20μm程度とし、磁界分布の分解能を1μm程度にして、倍率1,000の磁気顕微鏡を開発することである。
第1の課題については、磁気センサとして、GSRセンサを採用した。コイルピッチを0.1μm~3μmとし、および磁性ワイヤの本数を必要に応じて複数本設置することで、コイル巻き数を150回~2,000回として、検出力は1pT~50pTと高感度化する。GSRセンサを小型で高感度化を実現することでこの問題を解決できる。GSRセンサ素子を図2に示す。
ここで、GSRセンサについては、本発明者による特許公報第5839527号公報に詳細に記載されており、本発明において引用する。GSRセンサは、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイルと磁性ワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個の電極を接続する配線で構成されるGSR素子、およびその磁性ワイヤにGHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁気センサである。
第2の課題については、多数個の素子をASIC基板の上に形成し、磁性ワイヤをX軸とY軸に沿って碁盤目状に貼り、そこにコイル配線と電極配線を焼き付ける技術を利用して、この課題を解決した。ASICと多数個の素子とはベアホールを使って接合した。ASICは、多数個の素子に対応して、素子1個に対応して多数個使用してもよいし、チャンネルの切り替え機能を有する多数個の素子を制御するASICを使用してもよい。磁気センサ素子グリッドを図3~図5に示す。
図3は磁気センサ素子グリッドの上面図、図4(図4A、図4B、図4C)は磁気センサ素子グリッドの単位素子の構造の平面図、図5(図5A、図5B、図5C)は磁気センサ素子グリッドの断面図を示している。
磁界の測定値としては、X軸素子とY軸素子の多数個の交点の磁界、図4A(aー1)はHz、図4A(aー2)はHx,図4A(aー3)はHyを計測し、それらの値をグリッドの磁界として、磁界分布および電流素片分布を計算することにした。すなわち、Hz=(Hz1+Hz2+Hz3+Hz4)/4、Hx=(Hx1+Hx2+Hx3+Hx4)/4、Hy=(Hy1+Hy2+Hy3+Hy4)/として求めた。
グリッド素子基板の上面を平坦にして、その平坦面を細胞観察用シャーレの細胞液側の基板面に直接接触させて、観察用細胞から素子までの距離を300μm以下として、細胞から発する微小磁界の測定を容易にすることである。観察用細胞から素子までの距離が小さければ小さいほど良い。
第3の課題については、観察前に、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して初期の磁界測定値mHij(→)(b)を求め、その値をX軸とY軸平面上のグリッドサイズに対応した磁界分布として表示する。
次にシャーレに細胞を設置してから、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値mHij(→)(a)を求め、そこからmHij(→)(b)を差し引いて、測定値とする。すなわち、mHij(→)=mHij(→)(a)-mHij(→)(b)となる。
この値を細胞集合体内の電流素片Idsから発する磁界と考え、磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置にある磁気センサで測定してその測定値をmHij(→)とし、mHij絶対値の等高線図を作成し、mHij(→)のピークから電流素片Idsの位置P(x,y,z)とmHij(→)のピークの山の広がりから電流素片Ids(→)の長さを仮定して、細胞集合体内に電流素片Idsが存在しているとする。ピークの箇所がn個ある場合、n個の電流素片Idsがあると仮定して計算のモデルを作成する。
次に、k番目の電流素片Ids(→)の位置P(x,y,z)とし、磁界の測定位置Gij(x ij ,y ij ,0)として、前記電流素片位置P(x,y,z)と前記測定位置Gij(x ij ,y ij ,0)との距離Rijk(→)とすると、
k番目の前記電流素片Ids(→)が前記測定位置G(i,j)番の位置に作る磁界は、Hijk(→) =1/4πRijk×Ids(→)×Rijk(→)の基本方程式から求めることができるので、それらの磁界を加算して、前記磁気センサ素子グリッドの前記測定位置G(i,j)番の位置に作る理論値tHij(→)は、tHij(→)=ΣtHijk(→)とする。(Σは、kを1からn個加算する。)
両者の誤差をeij(→)=mHij(→)-tHij(→)とし、 誤差関数E=Σ(e ij を作成し、
(→)の向きについては、XY軸平面に対して、傾斜角をφとして、X軸に対する角度をθとし、この誤差関数からガウスニュートン法で誤差関数を偏微分して、7n個の連立方程式を導出し、Iの絶対値とdsとθとφおよびX、Y、Zとからなる7n個の連立方程式を求め、その式から7n個の未知数を求め、細胞集合体に流れる多数個の電流素片を計算し、その結果を用いて電流素片の分布図を作成し、スクリーンに表示することである。
ここで、各ベクトル物理量のベクトル表示は(→)を添付することにした。
磁気顕微鏡の磁界測定値から求めた磁界分布図を図6に示し、電流素片を求める計算プログラムのフローチャートを図7に示す。
なお、本発明は磁気顕微鏡の構成を旨としたものなので、誤差関数から電流素片ベクトルを算出する方法は上記方法に限られるものではない。
第4の課題については、センサグリッドの単位素子において、コイルピッチを0.1μmとして、素子の長さ10μm、磁性ワイヤの本数を2本とし、コイル巻き数を180回とすることで、センサグリッドの画素を10μm×10μmとする。磁気センサの検出力は5pTを確保する。これらの測定値から、磁界分布図を作成すると、磁界分布図の画素は1μm程度となり、倍率1000倍の磁気顕微鏡を得ることができる。
次に、光学顕微鏡で観察した細胞の形状図の上に、磁気顕微鏡で測定した電流素片分布を重ねて、その画像をスクリーンに表示することにした。これによりリアルタイムで細胞の機械的運動と形状変化の動きと各細胞の活性化度の両方を容易に観察できるようにすることができる。
光学顕微鏡と磁気顕微鏡を一体としたイメージを図8に示し、それぞれの観察結果(磁気顕微鏡はイメージ図)を図9に示す。
なお、磁界分解空間能を光学顕微鏡の分解能に一致させるために、離散的に測定した磁界測定値の中間の磁界は、補間法により磁界分布を関数近似して、その中間の位置での磁界の値を求めることにした。この補間法により、グリッド間隔の1/20程度の磁界空間分解能を得ることができる。
電流素片の位置精度は、電流素片の位置を算出するプログラムから、理論的にグリッド間隔の1/20程度の精度となることを確認した。
以上の4つの解決策を組み合わせて、磁気顕微鏡を発明することができた。
なお、本発明は、小型かつ高感度の磁気センサを対象としており、GSRセンサに限るものでない。このことはその構成から明白である。
本発明により、細胞観察に細胞の活力度合いを観察できるようになる。しかも光学顕微鏡と一体化することで形状とその動きの様子と個々の細胞の活力がリアルタイムかつ同時に測定することができるようになり、細胞の研究の基本ツールになることが期待される。
磁気顕微鏡のイメージ図である。(a)は斜視図で、(b)は側面図である。 GSRセンサ素子を示す図である。 磁気センサ素子グリッドの平面図である。 磁気センサ素子のグリッド単位の平面図で、Z軸素子またはX軸素子またはY軸素子からなる1軸素子を示す図である。 磁気センサ素子のグリッド単位の平面図で、X軸素子およびY軸素子からなる2軸素子を示す図である。 磁気センサ素子のグリッド単位の平面図で、素子台座に配置されているX軸素子およびY軸素子からなる3軸素子を示す図である。 1軸素子グリッドにて、z軸タイプ、x軸タイプ、y軸タイプのA1 -A2線の断面図である。 2素子グリッドのA1-A2線の断面図である。 3素子グリッドのA1-A2線の断面図である。 磁気顕微鏡の磁界測定値から求めた磁界分布図である。 電流素片を求める計算プログラムのフローチャートを示す図である。 光学顕微鏡と磁気顕微鏡を一体としたイメージ図である。 磁気顕微鏡の観察結果のイメージ図である。
本発明の第1実施形態は、以下の通りである。
細胞観察用シャーレの細胞液側の基板面に設置された磁気センサ素子グリッドと、
磁気センサ素子グリッドで、細胞内に流れる電流素片から生じる微小磁界に対応するグリッド電圧を検知して、グリッド電圧をグリッド磁気信号に変換する信号処理回路と、
磁気センサ素子グリッドは、センサグリッド基板上のX軸とY軸に沿った碁盤目状の交点の位置に、厳密には交点を挟んだ4か所に磁気センサ素子を配置して、交点の位置の磁界を測定し、
グリッド磁界の絶対値を等高線図として表示する表示装置とを備えていることを特徴とする磁気顕微鏡である。
また、磁気顕微鏡の磁気センサ素子は、
Hz磁界、Hx磁界、Hy磁界のいずれか1磁界を測定する1軸素子からなることを特徴とする。
また、磁気顕微鏡の磁気センサ素子は、
Hx磁界およびHy磁界を測定する2軸素子からなることを特徴とする。
また、磁気顕微鏡の磁気センサ素子は、
Hx磁界、Hy磁界およびHz磁界を測定する3軸素子からなることを特徴とする。
また、磁気顕微鏡は、
グリッド磁界の値から細胞内に流れる前記電流素片を計算するプログラムおよびその値をイメージ画像としてスクリーンに表示する装置とからなることを特徴とする。
また、磁気顕微鏡は、
観察前に、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して初期の磁界測定値mHij(→)(b)を求め、その値をX軸とY軸平面上のグリッドサイズに対応した磁界分布として表示する。
次にシャーレに細胞を設置してから、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値mHij(→)(a)を求め、そこからmHij(→)(b)を差し引いて、測定値mHij(→)とする。すなわち、測定値mHij(→)=mHij(→)(a)-mHij(→)(b)となる。
この測定値mHij(→)を細胞集合体内の電流素片から発する磁界と考え、磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置にある磁気センサで測定してその測定値をmHij(→)とし、mHij絶対値の等高線図を作成し、
mHij(→)の絶対値のピークから電流素片Idsの位置P(x,y,z)を仮定し、前記mHij(→)の絶対値のピークの山の広がりから電流素片Idsの長さdsを仮定して、前記細胞集合体内にn個の電流素片Idsが存在しているとの計算モデルを作成する。
次に、k番目の電流素片Idsの位置P(x,y,z)とし、磁界の測定位置Gij(xij,yij,0)として電流素片位置P(x,y,z)と磁界測定位置Gij(xij,yij,0)との距離Rijkとすると、
k番目の電流素片Idsが作る磁界は、Hijk(→)=1/4πRijk ×Ids(→)×Rijk(→)の方程式から求めることができるので、1からn個の磁界を加算して、前記磁気センサ素子グリッドの測定位置Gij(i,j)の位置に作る磁界の理論値をtHij(→)=ΣHijk(→)とし、
両者の誤差をeij(→)=mHij(→)-tHij(→)とし、
誤差関数E=Σ(e ij を作成する。
(→)の向きについては、XY軸平面に対して、傾斜角をφとして、X軸に対する角度をθとし、
この誤差関数からIとdsとθとφおよびX、Y、Zに関する7n個の連立方程式を求め、その式から未知数を求め、
細胞集合体に流れるn個の電流素片を計算し、その結果を用いて電流素片の分布図を作成し、スクリーンに表示することを特徴とする。
以下、発明の実施形態について、図1~図9を用いて詳細に説明する。
<磁気顕微鏡>
図1に磁気顕微鏡を構成する磁気センサ素子グリッドと被検体の細胞(細胞集合体)との位置関係を示す。なお、磁気顕微鏡は磁気センサ素子で検出した磁界の信号を変換する信号処理回路および表示装置等からなる。
磁気センサ素子グリッド10は、多数個の磁気センサ素子101からなる。
シャーレ(細胞観察用)11に細胞(細胞集合体)12を載置し、その上に磁気センサ素子グリッド10を設置する。または、図1に示すように磁気センサ素子グリッド10の上にシャーレ11を設置してもよい。
両者の位置関係は、観察する細胞(細胞集合体)のサイズ・体積と磁気センサ素子グリッドの検出能、さらに光学顕微鏡との組み合わせにより任意に選択できる。
<磁気センサ>
磁気センサとして、GSRセンサを採用する。そのGSR素子の基本構造を図2に示し、磁気センサ素子グリッドの構造を図3~図5に示して説明する。
磁性ワイヤ22の直径は、1μm~10μmとする。検出コイル23のコイルピッチは0.1μm~3μmとし、コイル幅は3μm~30μmとする。磁性ワイヤの本数は、必要に応じて1本~8本とする。
なお、磁気顕微鏡を構成する磁気センサとして、サイズおよび性能の点から磁気顕微鏡として特性を発揮できる場合には、GSRセンサに限定されるものではない。
磁気センサ素子グリッド3の単位素子(磁気センサ素子)32のサイズは、10μm~1mmである。
単位素子32のサイズが10μmの場合は、コイルピッチは0.1μmとし、コイル幅は3μmとし、磁性ワイヤ本数は2本としてコイル巻き数を150回とすることが好ましい。
一方、単位素子32のサイズが1mmの場合には、コイルピッチは3μmとし、コイル幅は30μmとし、磁性ワイヤ本数は1本~8本までとし、コイル巻き数を2400回とすることが好ましい。
ここで、GSRセンサについては、図2に示すように、基板21上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤ22とそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイル23とワイヤ通電用の電極24の2個とコイル電圧検出用電極28の2個の電極を接続する配線26、29で構成されるGSR素子2、およびその磁性ワイヤにGHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁気センサである。
<磁気センサ素子グリッド(グリッド)>
磁気センサ素子グリッド3は、図3に示すように、単位素子(磁気センサ素子)32をグリッド基板31に多数個配置したものである。
磁気センサ素子グリッド3のサイズは、5mm角~20mm角、または直径5mm~直径20mmとする。その単位素子32のサイズは、10μm~1mmである。単位素子32の数は、最小の5×5の25画素~最大の2000×2000の400万画素である。
単位素子32は、図4に示すように、1軸素子(図4A)のタイプ、2軸素子(図4B)のタイプ、3軸素子(図4C)の3つのタイプがある。
そして、3つのタイプについて、図3のA1-A2線における断面図を図5(5A、5B、5C)に示す。断面図は、シャーレの上に設置した磁気センサ素子グリッドの断面を示している。
まず、1軸素子(図4A)のタイプは、グリッド基板31にGSRセンサ素子321をX軸とY軸の交点321oを中心にして対称に、
(a-1)Z軸素子321zをZ軸方向に各1個配置した1軸素子のタイプ、
(a-2)X軸素子321xをX軸方向に各1個配置した1軸素子のタイプ、
(a-3)Y軸素子321yをY軸方向に各1個配置した1軸素子のタイプ
がある。
これらの断面図(図5A)は、
(a-1)1軸素子グリッド-z軸タイプ(4(41))にて、GSR素子411とASIC412、電極413およびグリッド配線414を保護する被覆剤415からなり、シャーレ40の上に載置されている。
(a-2)1軸素子グリッド-x軸タイプ(4(42))は、GSR素子421とASIC422、電極423およびグリッド配線424を保護する被覆剤425からなり、シャーレ40の上に載置されている。
(a-3)1軸素子グリッド-y軸タイプ(4(43))は、GSR素子431とASIC432、電極433およびグリッド配線434を保護する被覆剤435からなり、シャーレ40の上に載置されている。
次に、2軸素子(図4B)のタイプは、グリッド基板31にGSRセンサ素子321をX軸とY軸の交点321oに沿って、
(b)横方向に2個のX軸素子321xと縦方向に2個のY軸素子321yを原点321o中心にして対象に配置した2軸素子のタイプ
がある。
この2軸素子のタイプ(4(44))の断面図は、図5Bに示すように、GSR素子441とASIC442、電極443およびグリッド配線444を保護する被覆剤445からなり、シャーレ40の上に載置されている。
最後に、3軸素子(図4C)のタイプは、グリッド基板31に磁界ベクトルセンサをX軸とY軸の交点321oに沿って配置した3軸タイプである。
この3軸素子タイプは、四角錐台、八角錐台または変則八面錐台からなる台座330の傾斜面331に4個のGSR素子またはon-ASICタイプのGSRセンサを傾斜方向とGSR素子の磁性ワイヤ321wが一致するように4回対称で鏡像対称に配置したものである。
2個のX軸素子321xと2個のY軸素子321yからX軸方向とY軸方向の磁界を測定するとともにZ軸方向の磁界を計算により求めるものである。
なお、on-ASICタイプのGSRセンサは、発明者らが発明したもので特許公報(特許第7062216号公報)にて開示されている。詳細な内容は、当該特許公報の記載を参照する。また、この磁界ベクトルセンサは、発明者らが発明したもので特許公報(特許第7215702号公報)にて開示されている。詳細な内容は、当該特許公報の記載を参照する。
この3軸素子のタイプ(4(45))の断面図は、図5Cに示すように、GSR素子451とASIC452、電極453およびグリッド配線454を保護する被覆剤455からなり、シャーレ40の上に載置されている。
なお、Z軸方向の磁界は計算により求めるもので素子451zは計算上の素子である。
<磁気センサ素子グリッドと細胞との位置関係>
磁気センサ素子グリッド10の位置は、シャーレ11の厚みは200μm以下とし、磁気センサ素子グリッド10の上面を平坦にして、平坦面をシャーレの裏側に直接押し当てて、細胞から磁気センサ素子101の測定部までの距離を300μm以下とすることが好ましい。細胞が発する磁界は距離の二乗に反比例するので、この距離を極力小さくすることが求められるわけである。
<単位素子の交点における磁界成分の測定>
(A)1軸素子における磁界成分の測定
(a-1)交点321oを中心に4個の単位素子321zで測定したHz1、Hz2、Hz3,Hz4の4個のデータから、交点の磁界成分であるHzは、Hz=(Hz1+Hz2+Hz3+Hz4)/4から求めることができる。
(a-2)交点321oを中心に4個の単位素子321xで測定したHx1、Hx2、Hx3、Hx4の4個のデータから、交点の磁界成分であるHxは、Hx=(Hx1+Hx2+Hx3+Hx4)/4から求めることができる。
(a-3)交点321oを中心に4個の単位素子321yで測定したHy1、Hy2、Hy3、Hy4の4個のデータから、交点の磁界成分であるHyは、Hy=(Hy1+Hy2+Hy3+Hy4)/4から求めることができる。
(B)2軸素子における磁界成分の測定
(b)交点321oを中心にX軸向きの2個の単位素子321xとY軸向きの2個の単位素子321yとで測定したHx1、Hx2、Hy1、Hy2の4個のデータから、交点の磁界成分であるHxとHyは、Hx=(Hx1+Hx2)/2、Hy=(Hy1+Hy2)/2から求めることができる。
(C)3軸素子における磁界成分の測定
(c)磁界ベクトルセンサにおいて、台座の傾斜角度をθとし、交点321oを中心にX軸向きの2個の単位素子321xとY軸向きの2個の単位素子321yとで測定したHx1、Hx2、Hy1、Hy2の4個のデータから、交点321oの磁界成分であるHxとHyは、Hx=(1/2cosθ)(Hx1-Hx2)、Hy=(1/2sinθ)(Hy1-Hy2)から求めることができる。そして、Z軸方向のHzは、Hz=(1/4sinθ)(Hx1+Hx2+Hy1+Hy2)からもとめることができる。
なお、測定前にまず環境磁界を測定し、シャーレに細胞を載せて観察する際に、測定値から環境磁界を差し引くと、外部磁界の影響を受けることはない。
磁気センサ素子グリッドは、単位素子32の交点の位置をX軸方向のi番とY軸方向のj番の位置をPijとし表し、Pijにおける測定値をHijとして、Hijを電流素片分布計算プログラムに転送する電子回路を兼ね備えている。
なお、単位素子32を構成する各素子(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の素子)のグリッド基板上の位置を(i,j)番として、各素子の測定値を直接グリッド磁界測定値として、磁界分布および電流素片分布を計算してもよい。
<電流素片分布を計算するプログラム>
電流素片分布を計算するプログラムは、細胞集合体内の電流素片から発する磁界を磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置にある磁気センサで測定し、その測定値をmHijとする。
実際には環境磁界の影響を受けるので、観察前に、磁気センサ素子グリッド位置(i,j)における磁界を計測して初期の磁界測定値mHij(→)(b)を求め、その値をX軸とY軸平面上のグリッドサイズに対応した磁界分布として表示する。
次にシャーレに細胞を設置してから、磁気センサ素子グリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値mHij(→)(a)を求め、そこからmHij(→)(b)を差し引いて、測定値とする。
すなわち、mHij(→)=mHij(→)(a)-mHij(→)(b)となる。
この値を細胞集合体内の電流素片から発する磁界と考え、磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置にある磁気センサで測定してその測定値をmHij(→)とする。
mHij絶対値の等高線図を作成し、n個のピーク位置を特定し、各mHij絶対値のピークから電流素片の位置P(x,y,z)とピークの山の広がりから電流素片ds(→)の長さを仮定して、細胞集合体内の位置P(x,y,z)に電流素片Ids(→)が存在していると仮定する。ピークの箇所がn個(1個以上の複数個)ある場合、n個の電流素片があると仮定して計算のモデルを作成する。
次に、k番目の電流素片Idsの位置P(x,y,z)とし、磁界の測定位置Gij(xij,yij,o)として電流素片位置P(x,y,z)と測定位置Gij(xij,yij,o)との距離Rijkとすると、
k番目の電流素片Idsが作る磁界は、Hijk(→)=1/4πRijk ×Ids(→)×Rijk(→)の方程式から求めることができるので、n個の電流素片が作る磁界を加算して、磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置に作る理論値tHij(→)=ΣtHijk(→)とする。
両者の誤差をeij=mHij(→)-tHij(→)とし、誤差関数E=Σ(eijを作成し、
の向きについては、XY軸平面に対して、傾斜角をφとして、X軸に対する角度をθとし、この誤差関数からガウスニュートン法で誤差関数を偏微分して、7n個の連立方程式を導出し、IとdsとθとφおよびX、Y、Zとからなる7n個の連立方程式を求め、その式から7n個の未知数を求め、細胞集合体に流れる多数個の電流素片を計算し、その結果を用いて電流素片の分布図を作成し、磁界分布図としてスクリーンに表示する。
プログラムの手順は次の通りである(図7)。なお、ベクトル表示は、(→)とする。
第1ステップ(101);
観察前に、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して初期の磁界測定値mHij(→)(b)を求める。
ただし、センサグリッド座標系O-XYZとして、各素子の位置を特定しておくものとする。
第2ステップ(102);
シャーレに細胞を設置してから、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値mHij(→)(a)を求め、そこからmHij(→)(b)を差し引いて、測定値mHij(→)とし、磁界分布を計算し、mHij(→) 絶対値分布にk個のピークがある場合、そのピーク位置P(X、Y、Z)に電流素片Idsが存在すると仮定する。dsの長さはピーク位置を中心に、その山の広がりから定めるものとする。
図6に磁界分布図の例を示す。
細胞集合体4は、細胞41~細胞45の5個(n=5)からなり、それぞれの細胞の等高線411~等高線451が図示され、等高線図を示している。それぞれの等高線図のピークに電流素片Ids~電流素片Idsがあり、その位置が位置P~位置Pでなる。
それを電流素片分布計算プログラムに転送する。
第3ステップ(103);
ピーク位置Pに電流素片Idsが存在すると仮定してPの位置にあるn個の電流素片Idsが作る各磁気センサ素子グリッドの位置Gij(Xij,Yij)における理論的磁界強度は、k番目の電流素片が発する磁界は、計算式tHijk(→)=1/4πRijk ×Ids(→)×Rijk(→)で求めることができる。電流素片は1からn個あるので、Gij(Xij,Yij)の位置における理論的磁界強度は、tH ij =Σ 1/4πR ijk ×I ds ×R ijk とn個の和で求める。
第4ステップ(104);
k番目の電流素片の位置Idsと磁界の測定位置Gij(Xij,Yij)までの距離ベクトルRijk(→)と、電流素片のZ軸との傾きをφとし、X軸との傾きをθとすると、
tH ij は、電流強度Iと電流素片の長さdsと位置Xijk、Yijk、Zijkと方位角θ、φの関数となる。
第5ステップ(105);
測定誤差を計算する。
ij (→) = mH ij (→)-tH ij (→)
第6ステップ(106);
誤差の平方和を求める。
E = Σe ij
第7ステップ(107);
ガウスニュートン法で 誤差平方和が最小となる電流強度Iと電流素への長さdsとXk、、Zと方位角θ、φを算出する。
第8ステップ(108);
各電流素片の大きさIdsと位置X、Y、Zの値から、電流素片分布を計算し、それをPC画面にイメージ画像として表示する。または各電流素片の電流の強度Iと位置X、Y、Zの値から、電流分布を計算し、それをPC画面にイメージ画像として表示する
電流素片の中心位置は、画素の大きさの1/10以下の位置精度を持ち、電流の強度は、±10%以下の精度で計算することができる。
また、各電流素片の分布と電流保存の法則によって制約を受けており、電流保存の法則と矛盾しないか、確認する。
本発明の実施形態は、図8および図9に示すように、シャーレ51の基板面の下方に磁気センサ素子グリッド50を設置し、上方には光学顕微鏡が設置されていて、細胞52の動きを光学的に観察し、同時に磁気的に観察することができる。
光学顕微鏡で観察し、撮影した細胞52の形状図の上に、磁気顕微鏡で測定した電流素片分布を重ねて、その画像をスクリーンに表示する。
これによりリアルタイムで細胞の機械的運動と形状変化の動き(図9(a))と各細胞の活性化度71(図9(b))の両方を容易に観察できるようにすることができる。
[実施例1]
本発明の第1実施形態において、各設計要素を、以下の通りとしたものである。
磁気センサとして、GSRセンサを採用する。GSR素子の構造を図2に示す。
磁性ワイヤ22の長さを0.95mmとし、ワイヤ径は10μmとし、コイルピッチは3μmとし、コイルの幅は30μmとし、および磁性ワイヤの本数は、4本とした。コイル巻き数を1,200回とした。センサグリッドの単位素子のサイズは、1mmとした。これにより、単位素子の磁気検出力は1pTであった。
ここで、用いたGSRセンサについては、図2に示すように、基板上に導電性を有する磁界検出用磁性ワイヤとそれに巻回した周回コイルで形成した検出用コイルとワイヤ通電用の電極2個とコイル電圧検出用電極2個の電極を接続する配線で構成されるGSR素子、およびその磁性ワイヤに1.2GHzの周波数を持つパルス電流を流す手段とパルス電流を流した時に生じるコイル電圧を検知し、コイル電圧を外部磁界Hに変換する電子回路とからなる超高感度マイクロ磁気センサである。
磁気センサ素子グリッドは、単位素子を図3のように多数個配置したものである。単位素子は2軸素子からなり、図4B(b)に示すように、グリッド基板にGSRセンサ素子をX軸とY軸に沿って各2個配置し、X軸素子とY軸素子の交点の磁界(Hx,Hy)が計測できる構造としたものである。グリッドセンサのサイズは、20mm角とした。グリッドの素子の数は、361画素とした。
グリッド基板は、平坦な絶縁素材や絶縁被膜コーティングしたASIC基板を用いた。グリッド基板は、最上面の素子の配置面と信号処理をする電子回路面と機械的強度を保証する強度素材から成り立っている。電子回路と強度部材からなるASIC基板面にGSR素子を配置して、両者をベアホールで接続した。
グリッド基板の位置は、シャーレの厚みを160μmとし、磁気センサ素子グリッドの上面を平坦にして、平坦面をシャーレの裏側に直接押し当てて、細胞から細胞液面までの磁気センサ素子の測定部までの距離を240μmとした。
単位素子で測定したHx1,Hx2,Hy1,Hy2の4個のデータから、交点の磁界成分であるHxとHyは、Hx=(Hx1+Hx2)/2、Hy=(Hy1+Hy2)/2から求めた。測定前にまず環境磁界を測定し、シャーレに細胞を載せて観察する際に、測定値から環境磁界を差し引いて、外部磁界の影響を受けないようにした。
センサグリッドは、センサ素子の交点の位置をX軸方向のi番とY軸方向のj番の位置をPijと表し、Pijにおける測定値をHij(→)とし、磁界測定分布を求めた。この測定値Hij(→)は電流素片分布計算プログラムに電子回路を経由して転送された。
さらに、グリッド間の磁界については、補間法で近似曲線を作成し、グリッド間隔の1/20程度の磁界空間分布能を得ることができた。
電流素片分布を計算するプログラムは、細胞集合体内の電流素片から発する磁界を磁気センサグリッドの(i,J)番の位置にある磁気センサで測定し、その測定値をmHij(→)とし、k番目の電流素片が作る理論値tHij(→)は、各電流素片が作る磁界はtH ijk (→) =1/4πR ijk ×I ds (→)×R ijk (→)となるので、n個の電流素片が作る磁界を加算して求めた。両者の誤差をeij(→)=mHij(→)-tHij(→)とし、誤差関数E=Σ(eijと定義する。Iの向きについては、XY軸平面に対して、傾斜角をφとして、X軸に対する角度をθと定義した。
6個の電流素片がある場合(つまりn=6個)、ガウスニュートン法で誤差関数を偏微分すると、42個の連立方程式を導出し、それから求めることができる。
プログラムの手順は以下の通り(図7)である。なお、ベクトル表示は、(→)とする。
第1ステップ(101)は、観察前に、センサグリッド位置(i,j)における磁界を計測して初期の磁界測定値mHij(→)(b)を求める。
ただし、センサグリッド座標系O-XYZとして、各素子の位置を特定しておくものとする。
第2ステップ(102)は、シャーレに細胞を設置してから、磁気センサ素子グリッド位置(i,j)における磁界を計測して磁界測定値mHij(→)(a)を求め、そこからmHij(→)(b)を差し引いて、磁界測定値mHij(→)とし、磁界分布を計算し、mHij(→) 絶対値分布にn個のピークがある場合、そのk番目のピーク位置P(x、y、zk)に電流素片Idsが存在すると仮定する。dsの長さはピーク位置を中心に、その山の広がりから定めるものとする。それを電流素片分布計算プログラムに転送する。
第3ステップ(103)は、ピーク位置Pに電流素片Idsが存在すると仮定してPの位置にあるn個(kは1からnの値を取る)の電流素片Idsが作る各磁気センサ素子グリッドの位置P(i,j)における理論的磁界強度は、電流素片が発する磁界は、計算式tHij=1/4πRij ×Ids×Rijで求めることができる。電流素片はn個あるので、P(i,j)の位置における理論的磁界強度は、tH ij =Σ 1/4πR ijk ×I ds ×R ijk n個の和で求める。
第4ステップ(104)は、k番目の電流素片位置Idsと磁界の測定位置Gまでの距離ベクトルRijk(→)と、電流素片のZ軸との傾きをφとし、X軸との傾きをθとすると、理論的磁界強度tHijは、電流強度Iと電流素片の長さdsと位置Xijk、Yijk、Zijkと方位角θ、φの関数となる。
第5ステップ(105)は、測定誤差を計算する。
ij (→) = mH ij (→)-tH ij (→)
第6ステップ(106)は、誤差の平方和を求める。
E = Σe ij
第7ステップ(107)は、ガウスニュートン法で 誤差平方和が最小となるIとdsとXk、k、Zkと方位角θ、φを算出する。
第8ステップ(108)は、各電流素片の大きさIとdsと位置X、Y、Zと方位角θ、φの値から、電流素片ベクトル分布または電流素片の電流強度を計算し、それをPC画面にイメージ画像として表示する。
電流素片の中心位置と強度・方位は、画素の大きさの1/10以下の位置精度を持ち、電流の強度はと方位は、±10%以下の精度で計算することができる。
また、各電流素片の分布と電流保存の法則とが矛盾していなかった。
センサグリッドのサイズは、20mm角とした。グリッドの素子の数は、400画素とした。
磁気顕微鏡の磁界空間分解能と電流素片の中心位置の位置精度は50μmで、これにより20倍の光学顕微鏡の精度に対応することができた。電流の強度と方位は、±10%以下の精度になると電流素片の計算プログラムを使ったシュミユレーション計算の結果、見積もることができた。
[実施例2]
実施例1において、GSRセンサとして、磁性ワイヤ長さを10μmとし、ワイヤ径は8μmとし、コイルピッチは0.1μmとし、コイルの幅は20μmとし、およびワイヤの本数は、2本とした。センサグリッドの単位素子のサイズは、0.10mmとした。コイル巻き数を200回とした。これにより、単位素子の磁気検出力は100pTであった。
センサグリッドのサイズは、10mm角とした。グリッドの素子の数は、2500画素とした。
磁気顕微鏡の磁界空間分解能と電流素片の中心位置の位置精度は10μmで、これ
により100倍の光学顕微鏡の精度に対応することができた。電流の強度と方位は、±10%以下の精度となると理論的に予測された。
[実施例3]
実施例1において、GSRセンサとして、磁性ワイヤ長さを10μmとし、ワイヤ径は2μmとし、コイルピッチは0.2μmとし、コイルの幅は4.5μmとし、およびワイヤの本数は、2本とした。センサグリッドの単位素子のサイズは、0.011mmとした。コイル巻き数を100回とした。これにより、単位素子の磁気検出力は500pTであった。
センサグリッドのサイズは、5mm角とした。グリッドの素子の数は、25万画素とした。
磁気顕微鏡の磁界空間分解能と電流素片の中心位置の位置精度は1μmで、これに
より1000倍の光学顕微鏡の精度に対応することができた。電流の強度と方位は、±5%以下の精度となると電流素片の計算プログラムを使ったシュミュレーション計算の結果、見積もることができた。
[実施例4]
実施例1において、GSRセンサとして、磁性ワイヤ長さを2mmとし、ワイヤ径は10μmとし、コイルピッチは3μmとし、コイルの幅は40μmとし、およびワイヤの本数は、4本とした。センサグリッドの単位素子のサイズは、0.011mmとした。コイル巻き数を2000回とした。これにより、単位素子の磁気検出力は5pTであった。
センサグリッドのサイズは、50mm角とした。グリッドの素子の数は、625画素とした。
磁気顕微鏡の磁界空間分解能と電流素片の中心位置の位置精度は50μmで、これ
により10倍の光学顕微鏡の精度に対応することができた。電流の強度と方位は、±10%以下の精度となると電流素片の計算プログラムを使ったシュミュレーション計算の結果、見積もることができた。
[実施例5]
実施例1~実施例4の磁気顕微鏡に光学顕微鏡を組み合わせたものである。
図8に示すように、磁気センサ素子グリッド50をシャーレ51の基板面の下方に設置し、上方には光学顕微鏡53が設置したことにより、細胞52の動きを光学的に観察してCCDカメラ64で撮影し、同時に磁気的に観察することができた。光学顕微鏡で観察した細胞の形状図の上に、磁気顕微鏡で測定した電流素片分布を重ねて、その画像をスクリーンに表示した。これによりリアルタイムで細胞の機械的運動と形状変化の動きと各細胞の活性化度の両方を容易に観察できた(図9)。
本発明により、リアルタイムで細胞の機械的運動と形状変化の動きと各細胞の活性化度の両方を容易に観察できるようになり、細胞特にIPS細胞の生育観察がより正確に観察できるようになる。
10:磁気センサ素子グリッド、101:磁気センサ素子、11:シャーレ、12:細胞(細胞集合体)
2:磁気センサ素子(GSRセンサ素子)
21:基板、22:磁性ワイヤ、23:検出コイル、24:ワイヤ端子、25:ワイヤ電極、26:配線、27:コイル端子、28:コイル電極、29:配線
3:磁気センサ素子グリッド
31:センサグリッド基板(基板)
32:グリッド単位素子(単位素子)
321x:X軸方向の磁気センサ素子(GSRセンサ素子)、321y:Y軸方向の磁気センサ素子(GSRセンサ素子)、321z:Z軸方向の磁気センサ素子(GSRセンサ素子)、321o:原点(単位素子の原点、磁界ベクトルセンサの原点)、321w:磁性ワイヤ
33:素子台座
330:台座、331:台形斜面、332:稜線、333:上面
4:単位素子
4(41):1軸素子グリッド-Z軸タイプ
40:シャーレ、411:GSR素子、412:ASIC、413:電極、414:グリッド配線(配線)、415:被覆剤
4(42):1軸素子グリッド-X軸タイプ
40:シャーレ、421:GSR素子、422:ASIC、423:電極、424:グリッド配線(配線)、425:被覆剤
4(43):1軸素子グリッド-Y軸タイプ
40:シャーレ、431:GSR素子、432:ASIC、433:電極、434:グリッド配線(配線)、435:被覆剤
4(44):2軸素子グリッド
40:シャーレ、441:GSR素子、442:ASIC、443:電極、444:グリッド配線(配線)、445:被覆剤
4(45):3軸素子グリッド
40:シャーレ、451:GSR素子、452:ASIC、453:電極、454:グリッド配線(配線)、455:被覆剤
5:細胞集合体
51:細胞、511:等高線、512:電流素片
52:細胞、521:等高線、522:電流素片
53:細胞、531:等高線、532:電流素片
54:細胞、541:等高線、542:電流素片
55:細胞 551:等高線、552:電流素片
6:磁気顕微鏡と光学顕微鏡の一体システム
61:磁気顕微鏡、611:磁気センサ素子(GSRセンサ素子)、62:シャーレ、63:細胞集合体、64:光学顕微鏡、65:CCDカメラ
7:細胞集合体
71:激しい運動箇所







Claims (6)

  1. 細胞観察用シャーレの細胞液側の基板面に設置された磁気センサ素子グリッドと、
    前記磁気センサ素子グリッドで、細胞内に流れる電流素片から生じる微小磁界に対応するグリッド電圧を検知して、前記グリッド電圧をグリッド磁界の値に変換する信号処理回路と、
    前記磁気センサ素子グリッドは、センサグリッド基板上のX軸とY軸に沿った碁盤目状の交点の位置に、磁気センサ素子を配置して、交点の位置の磁界を測定し、
    前記グリッド磁界の絶対値を等高線図として表示する表示装置とを備えていることを特徴とする磁気顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記磁気センサ素子は、Hz磁界、Hx磁界、Hy磁界のいずれか1磁界を測定する1軸素子からなることを特徴とする磁気顕微鏡。
  3. 請求項1において、
    前記磁気センサ素子は、Hx磁界およびHy磁界を測定する2軸素子からなることを特徴とする磁気顕微鏡。
  4. 請求項1において、
    前記磁気センサ素子は、Hx磁界、Hy磁界およびHz磁界を測定する3軸素子からなることを特徴とする磁気顕微鏡。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか一項 において、
    前記グリッド磁界の値から細胞内に流れる前記電流素片を計算するプログラムおよび前記プログラムにより計算した値をイメージ画像としてスクリーンに表示する前記表示装置からなることを特徴とする磁気顕微鏡。
  6. 請求項5において、
    細胞内の前記電流素片から発する磁界を前記磁気センサ素子グリッドの(i,j)番の位置にある磁気センサで測定してその測定値をmHij(→)とし、mHij絶対値の等高線図を作成し、
    前記mHij(→)のピークから前記電流素片Idsの位置P(x,y,z)を仮定し、前記mHij(→)のピークの山の広がりから前記電流素片Idsの長さを仮定して、細胞集合体内にn個の前記電流素片Idsが存在しているとの計算モデルを作成し、
    次に、k番目の前記電流素片Idsの位置P(x,y,z)とし、磁界の測定位置Gij(xij,yij,0)として前記電流素片位置P(x,y,z)と前記磁界測定位置Gij(xij,yij,0)との距離Rijkとすると、
    k番目の前記電流素片Idsが前記センサグリッド基板上に作る磁界は、それぞれH(→)=1/4πR ×Ids(→)×R(→)の方程式から求めることができるので、それらの磁界を加算して、前記磁気センサ素子グリッドの測定位置G(i,j)番の位置に作る理論値tHij(→)とし、
    両者の誤差をeij(→)=mHij(→)-tHij(→)とし、
    誤差関数E=Σ(e ij を作成し、
    (→)の向きについては、XY軸平面に対して、傾斜角をφとして、X軸に対する角度をθとし、
    この誤差関数からIとdsとθとφおよびX、Y、Zに関する7n個の連立方程式を求め、その式から未知数を求め、
    前記細胞集合体に流れるn個の前記電流素片Idsを計算し、その結果を用いて前記電流素片Idsの分布図を作成し、スクリーンに表示することを特徴とする磁気顕微鏡。
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