以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る研磨装置を示す模式図である。図1に示す研磨装置は、基板の一例であるウェーハWを保持して回転させる研磨ヘッド1と、研磨パッド3を支持する研磨テーブル2と、研磨パッド3の表面に研磨液(例えばスラリー)を供給する研磨液供給ノズル4と、研磨パッド3の表面温度を調整するパッド温度調整装置5とを備えている。研磨パッド3の表面(上面)は、ウェーハWを研磨する研磨面を構成する。
研磨ヘッド1は鉛直方向に移動可能であり、かつその軸心を中心として矢印で示す方向に回転可能となっている。ウェーハWは、研磨ヘッド1の下面に真空吸着などによって保持される。研磨テーブル2にはモータ(図示せず)が連結されており、矢印で示す方向に回転可能となっている。図1に示すように、研磨ヘッド1および研磨テーブル2は、同じ方向に回転する。研磨パッド3は、研磨テーブル2の上面に貼り付けられている。
ウェーハWの研磨は次のようにして行われる。研磨されるウェーハWは、研磨ヘッド1によって保持され、さらに研磨ヘッド1によって回転される。一方、研磨パッド3は、研磨テーブル2とともに回転される。この状態で、研磨パッド3の表面には研磨液供給ノズル4から研磨液が供給され、さらにウェーハWの表面は、研磨ヘッド1によって研磨パッド3の表面(すなわち研磨面)に対して押し付けられる。ウェーハWの表面は、研磨液の存在下での研磨パッド3との摺接により研磨される。ウェーハWの表面は、研磨液の化学的作用と研磨液に含まれる砥粒の機械的作用により平坦化される。
パッド温度調整装置5は、研磨パッド3の表面に接触可能な熱交換器11と、温度調整された加熱液および冷却液を熱交換器11に供給する液体供給システム30とを備えている。この液体供給システム30は、温度調整された加熱液を貯留する加熱液供給源としての加熱液供給タンク31と、加熱液供給タンク31と熱交換器11とを連結する加熱液供給管32および加熱液戻り管33とを備えている。加熱液供給管32および加熱液戻り管33の一方の端部は加熱液供給タンク31に接続され、他方の端部は熱交換器11に接続されている。
温度調整された加熱液は、加熱液供給タンク31から加熱液供給管32を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から加熱液戻り管33を通じて加熱液供給タンク31に戻される。このように、加熱液は、加熱液供給タンク31と熱交換器11との間を循環する。加熱液供給タンク31は、ヒータ(図示せず)を有しており、加熱液はヒータにより所定の温度に加熱される。
加熱液供給管32には、第1開閉バルブ41および第1流量制御バルブ42が取り付けられている。第1流量制御バルブ42は、熱交換器11と第1開閉バルブ41との間に配置されている。第1開閉バルブ41は、流量調整機能を有しないバルブであるのに対し、第1流量制御バルブ42は、流量調整機能を有するバルブである。
液体供給システム30は、熱交換器11に接続された冷却液供給管51および冷却液排出管52をさらに備えている。冷却液供給管51は、研磨装置が設置される工場に設けられている冷却液供給源(例えば、冷水供給源)に接続されている。冷却液は、冷却液供給管51を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から冷却液排出管52を通じて排出される。一実施形態では、熱交換器11内を流れた冷却液を、冷却液排出管52を通じて冷却液供給源に戻してもよい。
冷却液供給管51には、第2開閉バルブ55および第2流量制御バルブ56が取り付けられている。第2流量制御バルブ56は、熱交換器11と第2開閉バルブ55との間に配置されている。第2開閉バルブ55は、流量調整機能を有しないバルブであるのに対し、第2流量制御バルブ56は、流量調整機能を有するバルブである。
パッド温度調整装置5は、研磨パッド3の表面温度(以下、パッド表面温度ということがある)を測定する放射温度計39と、放射温度計39により測定されたパッド表面温度に基づいて第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作する制御部40とをさらに備えている。第1開閉バルブ41および第2開閉バルブ55は、通常は開かれている。
放射温度計39は、非接触で研磨パッド3の表面温度を測定し、その測定値を制御部40に送る。制御部40は、パッド表面温度が、予め設定された目標温度に維持されるように、測定されたパッド表面温度に基づいて、第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作することで、加熱液および冷却液の流量を制御する。第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56は、制御部40からの制御信号に従って動作し、熱交換器11に供給される加熱液の流量および冷却液の流量を調整する。熱交換器11を流れる加熱液および冷却液と研磨パッド3との間で熱交換が行われ、これによりパッド表面温度が変化する。
このようなフィードバック制御により、研磨パッド3の表面温度(パッド表面温度)は、所定の目標温度に維持される。本実施形態では、制御部40は、パッド温度調整装置5、研磨ヘッド1などを含む研磨装置全体の動作の制御を実行するように構成されている。研磨パッド3の目標温度は、ウェーハWの種類または研磨プロセスに応じて決定され、決定された目標温度は、制御部40に予め入力される。
パッド表面温度を所定の目標温度に維持するために、ウェーハWの研磨中、熱交換器11は、研磨パッド3の表面(すなわち研磨面)に接触する。本明細書において、熱交換器11が研磨パッド3の表面に接触する態様には、熱交換器11が研磨パッド3の表面に直接接触する態様のみならず、熱交換器11と研磨パッド3の表面との間に研磨液(スラリー)が存在した状態で熱交換器11が研磨パッド3の表面に接触する態様も含まれる。いずれの態様においても、熱交換器11を流れる加熱液および冷却液と研磨パッド3との間で熱交換が行われ、これによりパッド表面温度が制御される。
熱交換器11に供給される加熱液としては、温水が使用される。より速やかに研磨パッド3の表面温度を上昇させる場合には、シリコーンオイルを加熱液として使用してもよい。熱交換器11に供給される冷却液としては、冷水またはシリコーンオイルが使用される。シリコーンオイルを冷却液として使用する場合には、冷却液供給源としてチラーを冷却液供給管51に接続し、シリコーンオイルを0℃以下に冷却することで、研磨パッド3を速やかに冷却することができる。冷水としては、純水を使用することができる。純水を冷却して冷水を生成するために、冷却液供給源としてチラーを使用してもよい。この場合は、熱交換器11内を流れた冷水を、冷却液排出管52を通じてチラーに戻してもよい。
加熱液供給管32および冷却液供給管51は、完全に独立した配管である。したがって、加熱液および冷却液は、混合されることなく、同時に熱交換器11に供給される。加熱液戻り管33および冷却液排出管52も、完全に独立した配管である。したがって、加熱液は、冷却液と混合されることなく加熱液供給タンク31に戻され、冷却液は、加熱液と混合されることなく排出されるか、または冷却液供給源に戻される。
本実施形態に係る研磨装置は、研磨ヘッド1近傍の研磨パッド3の表面温度(パッド表面温度)を測定する放射温度計を有している。図2は、研磨ヘッド1近傍のパッド表面温度を測定する放射温度計を示す模式図である。図2に示すように、研磨ヘッド1は、該研磨ヘッド1を回転させる回転軸15に連結されており、回転軸15は、カバー16によって囲まれている。カバー16は、その外面から突出するフランジ部16aを有しており、フランジ部16aの下面に放射温度計48が取り付けられている。以下の説明では、放射温度計39を「第1放射温度計39」と称することがあり、放射温度計48を、「第2放射温度計48」と称することがある。
第2放射温度計48は、ウェーハWを研磨している研磨ヘッド1近傍のパッド表温温度を測定する。第2放射温度計48も、制御部40に接続されており、第2放射温度計48によって測定されたパッド表面温度は制御部40に送られる。制御部40は、研磨プロセスに応じて予め設定された目標温度に対するパッド表面温度の許容範囲を予め記憶している。制御部40は、ウェーハWが研磨されている間、第2放射温度計48から送られたパッド表面温度の測定値が許容範囲内にあるか否かを監視する。パッド表面温度の測定値が許容範囲から逸脱すると、制御部40は警報を発する。一実施形態では、制御部40は、警報を発するとともに、ウェーハWの研磨を停止してもよい。ウェーハWの研磨中に、制御部40が第2放射温度計48によって測定されたパッド表面温度を監視することにより、ウェーハWに研磨異常が発生することが防止される。
図3は、図2に示す第2放射温度計48のセンサ部を拡大して示す模式図である。第1放射温度計39のセンサ部も第2放射温度計48のセンサ部と同様の構成を有するため、その重複する説明は省略する。
放射温度計は、一般に、測定対象物から放射される紫外線、赤外線、または可視光線などの電磁波の強度(エネルギー量)を測定し、その強度を温度に換算することにより、測定対象物の温度を測定する非接触式の温度計である。図3に示すように、第2放射温度計48のセンサ部48aは、測定対象物である研磨パッド3の表面から放射される電磁波が該センサ部48に効果的に到達するように、研磨パッド3の表面に対向している。センサ部48aの先端は、バリア49によって囲まれており、バリア49は、研磨パッド3以外の物体から放射された電磁波がセンサ部48aに到達することを阻止する部材である。バリア49によって、第2放射温度計48は外乱から保護され、正確なパッド表面温度を測定することができる。
放射温度計39,48の使用を開始してからある程度時間が経過すると、放射温度計39,48の各出力値が実際のパッド表面温度に対してずれてしまうことがある。そのため、放射温度計39,48は、以下に説明する較正システムを用いて定期的に較正される。例えば、各放射温度計39,48の較正プロセスは、研磨装置のメンテナンスの間に、または研磨パッド3を交換した後で実施される。
図4は、一実施形態に係る較正システムの構成を示す模式図である。図4に示す較正システムは、第1放射温度計39および第2放射温度計48の較正を実施するために用いられる。図5(a)は、図4に示す較正システムの較正ツールを模式的に示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す較正ツールの側面図である。
図4に示す較正システムは、第2放射温度計48の下方に配置される較正ツール60と、較正ツール60に接続される温度調整器66と、を備える。図4は、較正システムの較正ツール60が第2放射温度計48の下方に配置された例を示している。第1放射温度計39の較正プロセスを実施するときは、較正ツール60が第1放射温度計39の下方に配置される。
図5(a)および図5(b)に示すように、較正ツール60は、ホットプレートなどの加熱装置61と、加熱装置61を支持する台63とを備える。加熱装置61は、加熱板61aと、加熱板61aの下方に配置されたヒータ61bと、加熱板61aの温度を測定可能な温度センサ61cと、を備える。ヒータ61bは、その上面が加熱板61aの下面と接触するように配置されており、ヒータ61bの下面は、台63に固定されている。一実施形態では、ヒータ61bを、加熱板61aの内部に配置してもよい。この場合、加熱板61aの下面が台63に固定される。
較正ツール60は、温度調整器66(図4参照)に接続されている。温度調整器66は、加熱装置61の温度センサ61cから出力された加熱板61aの温度に基づいてヒータ61bの動作を制御し(例えば、PID制御し)、これにより、加熱板61aの温度を所定の目標温度に維持する。図5(b)に示す温度センサ61cは、熱電対であるが、温度センサ61cの型式は、任意である。例えば、温度センサ61cは、白金測温抵抗体、サーミスタ測温体、バイメタル式温度計であってもよい。
図5(b)に示すように、台63は、略C字状の断面を有する主フレーム63aと、補強リブ63bとを備える。主フレーム63aは、鉛直方向に延びる主板と、主板の両端に接続され、水平方向に延びる2つの板状アームから構成される。補強リブ63bは、一方のアームから他方のアームまで延びており、加熱装置61は、一方のアームの上面に固定されている。他方のアームの下面は、台63を研磨パッド3上に載置したときに研磨パッド3と接触する。補強リブ63bは、加熱装置61などの較正ツール60の部品によって台63の主フレーム63aが撓むのを防止するための部材である。台63を研磨パッド3上に載置したときに、補強リブ63bによって、加熱板61aの上面が水平に維持される。さらに、較正ツール60は、加熱装置61の加熱板61aを取り囲むように台63に固定された枠体71を備えている。枠体71は、加熱板61aが研磨装置に配置された部材(例えば、研磨ヘッド1)に衝突することを防止する部材である。
上述したように、従来の放射温度計の較正は、作業者によって保持されるポータブル放射温度計を用いて行っていた。本実施形態では、加熱装置61の加熱板61aの上面が第2放射温度計48と対向するように、台63を研磨パッド3の上面に載置すると、加熱装置61と第2放射温度計48との間の距離は常に一定に保たれる。さらに、加熱板61aの上面は、第2放射温度計48のセンサ部48aと平行に対向する。したがって、作業者の熟練度によって、較正結果にばらつきが生じるという不具合を回避することができる。
図4に示すように、温度調整器66は、研磨装置の制御部40に接続され、制御部40からの指令に基づいて、温度調整器66の設定温度を変更することができるように構成されている。すなわち、制御部40は、加熱装置61の加熱板61aの温度を温度調整器66を介して所望の目標温度に調整することができる。
較正ツール60は、加熱装置61の加熱板61aを冷却可能な冷却装置を有していてもよい。本実施形態では、較正ツール60の冷却装置は、加熱装置61の加熱板61aに空気を送ることが可能な冷却ファン65である。冷却ファン65は、温度調整器66に接続されており、温度調整器66は、上記ヒータ61bと冷却ファン65の動作を制御して、加熱板61aの温度を所望の目標温度に調整する。冷却ファン65から加熱板61aに送られる空気によって、加熱板61aの温度をより精密に調整することができる。さらに、加熱板61aの加熱初期段階では、加熱板61aの温度が目標温度よりも大きく上昇する所謂「オーバーシュート現象」が発生するおそれがある。しかしながら、冷却ファン65から送られる空気によって、加熱板61aのオーバーシュート現象を素早く収束させることができるので、第2放射温度計48を較正するために要する時間を短縮することができる。
図6は、第2放射温度計48の内部構造の一例を示す模式図である。第1放射温度計39も図6に示す内部構造と同様の構造を有するため、その重複する説明を省略する。図6に示すように、第2放射温度計48は、測定対象物から放射される紫外線、赤外線、または可視光線などの電磁波の強度(エネルギ量)を測定するセンサ部48aと、センサ部48aから出力されたアナログ信号値を増幅するアンプ48bと、アンプ48bによって増幅されたアナログ信号値をデジタル信号値に変換するアナログデジタル変換器(AD変換器)48cと、アナログデジタル変換器48cから出力されたデジタル信号値を、測定対象物の放射率に基づいて補正する放射率補正部48dと、放射率補正部48dから出力された補正デジタル信号値を測定対象物の温度に換算する換算部48eと、を備える。図6に示す第2放射温度計48では、センサ部48a、アンプ部48b、AD変換器48c、放射率補正部48d、および換算部48eがこの順に配列されている。しかしながら、本実施形態はこの例に限定されない。例えば、第2放射温度計48では、センサ部48a、アンプ部48b、放射率補正部48d、AD変換器48c、および換算部48eをこの順に配列してもよい。
第2放射温度計48が測定対象物の正確な温度を測定するためには、測定対象物の放射率を第2放射温度計48の放射率補正部48dに予め入力しておくことが好ましい。そこで、本実施形態では、加熱装置61の加熱板61aの上面に、所定の放射率を有する測定体68が取り付けられる(図5(a)および図5(b)参照)。加熱装置61の加熱板61aをヒータ61bによって加熱すると、測定体68の温度は、加熱板61aの温度と同一となる。第2放射温度計48の較正を実施するときは、測定体68が第2放射温度計48の直下に位置するように、較正ツール60の位置が調整され、第2放射温度計48は、加熱板61aと同一の温度を有する測定体68の温度を測定する。この場合、第2放射温度計48によって測定される加熱装置61の放熱面は、測定体68の表面である。測定体68の例としては、例えば、既知の放射率を有する黒体テープが挙げられる。一実施形態では、既知の放射率を有する黒体塗料を加熱板61aの上面に塗布して、測定体68を形成してもよい。黒体テープまたは黒体塗料の既知の放射率は、予め放射率補正部48dに入力される。放射率補正部48dは、入力された測定体68の放射率に基づいて、アナログデジタル変換器48cから出力されたデジタル信号値を、測定体68の放射率が所定の値(例えば、1.0)であるときのデジタル信号値に補正する。
一実施形態では、測定体68の放射率が未知であってもよい。この場合は、放射率補正部48dは、アナログデジタル変換器48cから出力されたデジタル信号値をそのまま換算部48eに出力する。
測定体68を、研磨パッド3の放射率と同様の放射率を有する材料から構成してもよい。例えば、研磨パッド3と同一の樹脂から構成される測定体68を、加熱板61aの上面に貼付してもよい。あるいは、測定体68を省略して、加熱板61aを第2放射温度計48によって温度が測定される測定体として使用してもよい。この場合、第2放射温度計48によって測定される測定体の放熱面は、加熱板61aの表面(上面)である。さらに、加熱板61aを研磨パッド3と同一の樹脂から構成するのが好ましい。
次に、第2放射温度計48を較正する方法について説明する。第1放射温度計39を較正する方法は、第2放射温度計48を較正する方法と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図7は、一実施形態に係る第2放射温度計48の較正方法の前半部分を示すフローチャートであり、図8は、一実施形態に係る第2放射温度計48の較正方法の後半部分を示すフローチャートである。図4に示すように、最初に、測定体68が第2放射温度計48のセンサ部48aと対向するように、較正ツール60が研磨パッド3の上面に載置される(図7のステップ1)。さらに、較正システムの温度調整器66を研磨装置の制御部40に接続する(図7のステップ2)。
制御部40は、第2放射温度計の較正を実行するために設定された複数の目標温度を予め記憶している。複数の目標温度は、例えば、所定の温度間隔(例えば、10℃)ごとにずれた温度の群であり、この群は、例えば、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃の温度を含む。次いで、制御部40は、複数の目標温度から選択された1つの目標温度Taを温度調整器66に送信して、加熱装置61の加熱板61aおよび測定体68を目標温度Taまで加熱する(図7のステップ3)。本実施形態では、制御部40は、温度調整器66に、複数の目標温度のうち最も小さい目標温度(例えば、30℃)Taを送信する。
測定体68の温度が目標温度Taに到達して、温度センサ61cの測定値が目標温度Taで安定すると、第2放射温度計48は、測定体68の温度を測定し(図7のステップ4)、その測定値を制御部40に送信する。制御部40は、第2放射温度計48から送られた測定体68の温度出力値(温度測定値)を記憶する(図7のステップ5)。
次いで、制御部40は、全ての目標温度に対して第2放射温度計48による測定体68の温度測定が実行されたか否かを決定する(図7のステップ6)。本実施形態では、制御部40は、ステップ3で用いられた目標温度Taが複数の目標温度のうち最も高い目標温度(例えば、80℃)であるか否かを決定する。ステップ3で用いられた目標温度Taが最も高い目標温度でない場合(図7のステップ6の「No」)、制御部40は、複数の目標温度のうち、ステップ3で用いられた目標温度Taの次に高い目標温度Tb(例えば、40℃)を、次の目標温度Taとして選択し(図7のステップ7)、上記ステップ3からステップ5を繰り返す。
全ての目標温度に対して第2放射温度計48による測定体68の温度測定が実行された場合(図7のステップ6の「Yes」)、制御部40は、各目標温度Taと、該目標温度Taに対応する第2放射温度計48の温度出力値の差をそれぞれ算出する(図7のステップ8)。目標温度Taと、該目標温度Taに対応する第2放射温度計48の温度出力値の差は、目標温度Taに対する第2温度計48の測定値の誤差である。本実施形態では、各目標温度Taと、該目標温度Taに対応する第2放射温度計48の温度出力値との差を「温度ずれ量」と称する。次いで、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲内にあるか否かを決定する(図7のステップ9)。温度ずれ量の基準範囲は、予め設定されており、制御部40に予め記憶されている。
基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図7のステップ9の「No」)、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、第2放射温度計48からの温度出力値を補正する(図8のステップ10)。本実施形態では、第2放射温度計48からの温度出力値を補正するために、制御部40は、第2放射温度計48のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータを補正(すなわち、変更)する。
図9乃至図11は、第2放射温度計48の温度出力値を補正する方法の一例を説明するためのグラフである。より具体的には、図9は、各目標温度Taと、該目標温度Taに対応する第2放射温度計48の温度出力値との関係を示す関数の一例を示したグラフであり、図10は、図9に示す関数のy切片を補正した一例を示すグラフであり、図11は、図10に示す関数の傾きを補正した一例を示すグラフである。図9乃至図11に示すグラフにおいて、縦軸(y軸)は第2放射温度計48の温度出力値を表し、横軸(x軸)は目標温度Taを表す。さらに、図9乃至図11に示すグラフには、上記温度ずれ量の基準範囲の上限に対応する上限直線ULと、下限に対応する下限直線LLが仮想線(点線)でそれぞれ示されている。
上述したように、制御部40は、温度調整器66に出力する複数の目標温度Taを予め記憶しており、第2放射温度48は、各目標温度Taに加熱された測定体68の温度の測定値を制御部40に送信する。したがって、制御部40は、各目標温度Taに対応する第2放射温度計48の温度出力値を図9に示すようなグラフにプロットすることができる。さらに、制御部40は、全てのプロット点に基づいて関数RFを算出する。例えば、制御部40は、最小自乗法により全てのプロット点に基づいた近似直線を算出し、この近似直線を関数RFとして用いる。
図9に示す例では、プロット点Pxが上限直線ULを超えている。この場合、制御部40は、図7に示すステップ9で基準範囲を超える温度ずれ量があると決定し、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、関数RFの傾き(すなわち、ゲイン)とy切片(すなわち、オフセット)を補正する。
本実施形態では、第2放射温度計48のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータを補正することにより、関数RFの傾きとy切片を変化させる。関数RFのy切片は、目標温度Taが0であるときの関数RFにおける第2放射温度計48の温度出力値の値に相当する。制御部40は、全ての温度ずれ量に基づいてy切片の補正量を算出し、この補正量に基づいて関数RFをy軸に沿って上下動させる。図10に示す例では、関数RFのy切片が0になるように、図9に示す関数RFをy軸に沿って上昇させている。当然ながら、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、関数RFをy軸に沿って下降させてもよい。さらに、補正後のy切片が0とは異なっていてもよい。
次に、制御部40は、全ての温度ずれ量に基づいて関数RFの傾きの補正量を算出し、この補正量に基づいて関数RFの傾きを変更する。図11では、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、補正されたy切片(図11に示すグラフでは、原点)を通る関数RFの傾きを減少させる例を示している。当然ながら、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、相関関数RFの傾きを増加させてもよい。
一実施形態では、制御部40は、関数RFの傾きを補正した後で、関数RFのy切片を補正してもよいし、関数RFの傾きとy切片を同時に補正してもよい。さらに、関数RFのy切片(または、傾き)を補正した後で、全ての温度ずれ量が基準範囲に入った場合は、制御部40は、関数RFの傾き(または、y切片)の補正を省略してもよい。
上述したように、第2放射温度計48の換算部48eは、放射率補正部48dから出力された補正デジタル信号値を測定対象物の温度に換算する。すなわち、換算部48eは、補正デジタル信号値をパッド表面温度に換算する換算式を予め格納している。そこで、一実施形態では、制御部40は、関数RFの傾きとy切片を補正する(すなわち、第2放射温度計48を較正する)ために、換算部48eに格納された換算式のパラメータを補正(すなわち、変更)してもよい。例えば、換算式が一次関数である場合は、該換算式の傾きとy切片を補正してもよく、換算式が二次関数である場合は、該換算式の係数を補正してもよい。
本実施形態では、制御部40が実行する第2放射温度計の較正動作は、上記ステップ3からステップ10に示す動作である。制御部40は、加熱装置61の加熱板61aおよび測定体68の温度を複数の目標温度Taのそれぞれに変更しながら、各目標温度Taにおける測定体68の温度を第2放射温度計48で測定し、温度ずれ量を算出する。さらに、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、第2放射温度計48のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータ(または、換算部48eに格納された換算式のパラメータ)を補正する。
制御部40は、好ましくは、各目標温度Taにおける補正後の全ての温度ずれ量が上記基準範囲内にあるか否かを確認する(図8のステップ11)。具体的には、制御部40は、再度、加熱装置61の加熱板61aおよび測定体68の温度を各目標温度Taにそれぞれ変更して、各目標温度Taにおける測定体68の温度を第2放射温度計48で測定し、各目標温度Taにおける温度ずれ量を算出し、これら温度ずれ量の全てが基準範囲に入るか否かを確認する。上記ステップ11で示す動作は、第2放射温度計48が確実に較正された否かを決定するための確認動作である。
確認動作を実行する前は、上記較正動作によって、加熱装置61の加熱板61aおよび測定体68の温度は、複数の目標温度のうち最も高い目標温度に加熱されている。そこで、制御部40は、上記冷却ファン65を稼働して、加熱板61aおよび測定体68の温度を、最も高い目標温度から最も低い目標温度に至るまで各目標温度Taに段階的に冷却していく。この場合、確認動作に要する時間を短縮できるので、研磨装置のダウンタイムを短縮することできる。
一実施形態では、上記較正動作が完了した直後に、制御部40は、冷却ファン65を稼働して、加熱板61aおよび測定体68の温度を室温(常温)まで冷却してもよい。この場合、上記確認動作は、加熱板61aおよび測定体68の温度を、最も低い目標温度から最も高い目標温度に至るまで各目標温度Taに段階的に加熱しながら行われる。
補正後の全ての温度ずれ量が基準範囲内にある場合、制御部40は、第2放射温度計48の較正プロセスが完了したことを示す信号を生成する(図7のステップ12)。完了信号は、例えば、研磨装置のブザーを動作させるトリーガーとして使用される。研磨装置のブザーが鳴ることによって、研磨装置の作業者は、第2放射温度計48の較正が完了したことをいち早く認識することができる。図7のステップ9で、全ての温度ずれ量が基準範囲内にある場合(図7のステップ9の「Yes」)も、制御部40は、第2放射温度計48の較正を実施する必要はないと判断して、第2放射温度計48の較正プロセスの完了信号を生成する(図7のステップ12)。
ステップ11に示す確認動作で、基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図8のステップ11の「No」)、制御部40は、上記ステップ3からステップ10に示す較正動作と、上記ステップ11に示す確認動作を繰り返す。具体的には、制御部40は、較正動作と確認動作との組み合わせの繰り返し数Nに1を加算する(図8のステップ13)。この繰り返し数Nの初期値は0であり、制御部40は、繰り返し数Nの上限値NAを予め記憶している。
制御部40は、繰り返し数Nを上限値NAと比較し(図8のステップ14)、繰り返し数Nが上限値NAよりも小さい場合(図8のステップ14の「Yes」)は、図7のステップ3に戻り、上記較正動作と確認動作とを繰り返す。繰り返し数Nが上限値NAに達した場合(図8のステップ14の「No」)は、制御部40は、第2放射温度計48の交換を促す信号を生成する(図8のステップ15)。この交換信号は、例えば、研磨装置の警報を発するためのトリーガーとして用いられる。繰り返し数Nが上限値NAに達するまで較正動作を繰り返しても、確認動作で基準範囲を超える少なくとも1つの温度ずれ量がある場合は、第2放射温度計48が故障しているか、または寿命に達したと考えることができる。そのため、制御部40は、警報を発して、第2放射温度計48の交換を促し、ウェーハWに研磨異常が発生することを防止する。
なお、上限値NAは1であってもよい。この場合、図8のステップ11で基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合、制御部40は、較正動作と確認動作を繰り返さずに、直ちに、第2放射温度計48の交換信号を生成する。
本実施形態によれば、較正システムの較正ツール60を第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)の下方に配置し、温度調整器66を研磨装置の制御部40に接続するだけで、制御部40が第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)の較正を自動で実行する。したがって、作業者の負担および研磨装置のダウンタイムが減少するので、第1放射温度計39および第2放射温度計48の較正プロセスが定期的に実行されることが期待できる。その結果、ウェーハWを所望の研磨レートで研磨することが可能となり、さらに、ウェーハWに研磨異常が発生することを効果的に防止することができる。
図4に示すように、較正システムは、プリンタなどの出力装置43を有していてもよい。図4に示す出力装置43は、研磨装置の外部に設けられており、制御部40と無線で通信可能に構成されている。一実施形態では、出力装置43は、制御部40と有線で接続可能に構成されてもよい。あるいは、制御部40と有線または無線で接続された出力装置43を研磨装置の内部に設けてもよい。
出力装置43は、制御部40から第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)の較正結果を読み出して、図12に示すような較正シートを出力する。較正シートには、少なくとも放射温度計の較正を実施した日付と、補正前後の関数RFの傾き(すなわち、ゲイン)およびy切片(すなわち、オフセット)と、確認動作(図8のステップ11参照)時に取得された放射温度計の温度ずれ量とが記載されるのが好ましい。このような較正シートを保管しておくことにより、各放射温度計39,48の寿命(すなわち、交換時期)を推測することができる。
図13は、他の実施形態に係る構成システムの較正ツールを模式的に示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
放射温度計39,48に研磨液などが付着することで、放射温度計39,48が汚れることがある。また、放射温度計39,48に故障が発生することもある。これらの場合、放射温度計39,48が正確なパッド表面温度を測定できないため、ウェーハWに研磨異常が発生したり、歩留まりが低下したりするおそれがある。したがって、所定枚数のウェーハWが研磨されるたびに(例えば、一枚のウェーハWが研磨されるたびに)、放射温度計39,48がパッド表面温度を正確に測定しているか否かを確認することが好ましい。そのため、本実施形態では、較正ツール60を放射温度計の近傍に配置して、所定枚数のウェーハWが研磨されるたびに、放射温度計39,48の温度出力値を確認する。
図13は、第1放射温度計39の近傍に配置された較正ツール60を示している。図示はしないが、第2放射温度計48の近傍にも、図13に示す較正ツール60と同様の構成を有する較正ツールが配置されている。一実施形態では、図13に示す較正ツール60を第1放射温度計39および第2放射温度計48のいずれか一方の近傍に配置してもよい。
図13に示す較正ツール60は、複数の(図示した例では、2つの)加熱装置61A,61Bと、該加熱装置61A,61Bに接続される温度調整器66と、加熱装置61A,61Bのそれぞれを第1放射温度計39の下方に移動させるための移動機構(加熱装置移動機構)80と、を備える。本実施形態では、加熱装置61A,61Bのそれぞれは、図4乃至図6を参照して説明された加熱装置61と同様の構成を有する。したがって、加熱装置61A,61Bのそれぞれは、上述した測定体68(図5(A)および図5(B)参照)を有している。一実施形態では、加熱装置61A,61Bのそれぞれは、ヒータ61bの代わりに、ペルチェ素子を加熱板61aおよび測定体68の加熱源として有していてもよい。
本実施形態では、加熱装置61A,61Bは共通の温度調整器66に接続されているが、複数の加熱装置61A,61Bのそれぞれに対応した個別の温度調整器66を有していてもよい。制御部40は、温度調整器66を介して複数の加熱装置61A,61Bのそれぞれを所定の目標温度に加熱する。加熱装置61A,61Bにおける所定の目標温度は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。制御部40は、加熱装置61A,61Bの所定の目標温度を予め記憶している。
図13に示す移動機構80は、加熱装置61A,61Bを支持する台63と、該台63を回動させるためのアクチュエータ82とを備える。本実施形態では、台63は半円板状の板部材であり、アクチュエータ82はモータである。移動機構80は、アクチュエータ82を支持する支持アーム84をさらに有しており、支持アーム84は、第1放射温度計39に固定されている。支持アーム84は、移動機構80を支持可能である限り、任意の静止部材に固定可能である。例えば、支持アーム84を研磨装置のフレーム(図示せず)に固定してもよい。さらに、アクチュエータ82の回転軸82aは、台63に連結されている。アクチュエータ82を駆動すると、台63が回転軸82aを中心に回動する。アクチュエータ82は、台63を任意の回転角度で回動させることができるように構成される。
図14は、一方の加熱装置61Aを第1放射温度計39の下方に移動させた状態を示す模式図である。図14は、第1放射温度計39の下方に一方の加熱装置61Aが位置するように台63が移動された第1測定位置を示している。図示はしないが、他方の加熱装置61Bが第1放射温度計39の下方に位置するときの台63の位置を第2測定位置と称する。なお、図13は、台63が第1放射温度計39から待避させられた待機位置を示している。台63が待避位置に移動されると、第1放射温度計39は、研磨パッド3の表面温度を測定することができる。
第1放射温度計39の温度出力値を確認する際には、制御部40は、アクチュエータ82を駆動して、台63を待避位置から第1測定位置および第2測定位置にそれぞれ移動させる。制御部40は、さらに、第1放射温度計から、所定の目標温度に加熱された加熱装置61A,61Bの測定体68の温度出力値をそれぞれ取得する。第1放射温度計39から加熱装置61A,61Bまでの距離は、外乱によって第1放射温度計39の温度出力値に大きな誤差が生じないように、できる限り小さいのが好ましい。例えば、測定体68の表面積が第1放射温度計39の視野の1.5倍以下となるように、第1放射温度計39と加熱装置61A,61Bとの間の距離が設定される。
上述したように、温度センサ61cの型式は任意である。例えば、温度センサ61cは、熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ測温体、バイメタル式温度計、IC温度センサであってもよい。白金測温抵抗体は測定精度が高いため、温度センサ61cは白金測温抵抗体であるのが好ましい。
図15は、加熱装置61A,61Bの保護カバーを示す模式図である。加熱装置61A,61Bの測定体68に汚れ(例えば、研磨液)が付着すると、第1放射温度計39が測定体68の正確な温度を測定することができない。そこで、待機位置に移動した加熱装置61A,61Bを覆う保護カバー85を設けてもよい。図15に示す保護カバー85は、略半円形状を有しており、その内部に、加熱装置61A,61Bを台63の一部とともに収容する収容空間が形成されている。保護カバー85は、研磨装置のフレームなどの静止部材にブラケットなどの固定部材(図示せず)を介して固定されている。
次に、第1放射温度計39の温度出力値を確認する方法について説明する。第2放射温度計48の温度出力値を確認する方法は、第1放射温度計39の温度出力値を確認する方法と同様であるため、その重複する説明を省略する。以下に説明するように、放射温度計39,48の温度出力値が所定の目標温度に対して設定された許容範囲から逸脱していた場合は、放射温度計39,48の較正が行われる。
図16は、一実施形態に係る第1放射温度計39の温度出力値を確認する方法の前半部分を示すフローチャートであり、図17は、一実施形態に係る第1放射温度計の温度出力値を確認する方法の後半部分を示すフローチャートである。
図16に示すように、制御部40はウェーハWの研磨処理を実行する(図16のステップ1)。次いで、制御部40は、ウェーハWの研磨処理枚数Nwが所定の枚数NBに到達したか否かを決定する(図16のステップ2)。制御部40は、所定の枚数NBを予め記憶している。所定の枚数NBは「1」であってもよい。ウェーハWの研磨処理枚数Nwが所定の枚数NBに到達していない場合(図16のステップ2における「Yes」参照)、ステップ1に戻り、制御部40は、次のウェーハWの研磨処理を実行する。
制御部40は、第1放射温度計39の温度出力値を確認するために、複数の加熱装置61A,61Bの各測定体68に対して設定された複数の目標温度Tb,Tcを予め記憶している。これら目標温度Tb,Tcは、互いに同一であってよいし、異なっていてもよい。ウェーハWの研磨処理枚数Nwが所定の枚数NBに到達していた場合(図16のステップ2における「No」参照)、制御部40は、温度調整器66を介して、加熱装置61A,61Bの各測定体68をそれぞれ目標温度Tb,Tcまで加熱する(図16のステップ3)。
次いで、第1放射温度計39は、各測定体68の温度を測定し(図16のステップ4)、それら測定値を制御部40に送信する。さらに、制御部40は、第1放射温度計39から送られた各測定体68の温度出力値(温度測定値)を記憶する(図16のステップ5)。
次いで、制御部40は、各目標温度Tb,Tcと、該目標温度Tb,Tcに対応する第1放射温度計39の温度出力値の差をそれぞれ算出する(図16のステップ6)。すなわち、制御部40は、各目標温度Tb,Tcと、該目標温度Tb,Tcにそれぞれ対応する第1放射温度計39の温度出力値との差である「温度ずれ量」を算出する。次いで、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲内にあるか否かを決定する(図16のステップ8)。温度ずれ量の基準範囲は、予め設定されており、制御部40に予め記憶されている。
基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図16のステップ8における「No」)、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、第1放射温度計39からの温度出力値を補正する(図17のステップ10)。本実施形態でも、制御部40は、第1放射温度計39からの温度出力値を補正するために、第1放射温度計39のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータを補正(すなわち、変更)する。例えば、制御部40は、図9乃至図11を参照して説明された方法を用いて、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、関数RFの傾き(すなわち、ゲイン)とy切片(すなわち、オフセット)を補正する。あるいは、温度出力値の補正は、第1放射温度計39の換算部48eに格納された換算式のパラメータの補正であってもよい。
このように、複数の加熱装置61A,61Bの測定体68を第1放射温度計39で測定したときに、第1放射温度計39の温度出力値が一つでも許容範囲を超えていた場合は、第1放射温度計39の較正を実行する。その結果、ウェーハWを所望の研磨レートで研磨することが可能となり、さらに、ウェーハWに研磨異常が発生することを効果的に防止することができる。
本実施形態でも、制御部40は、好ましくは、補正後の全ての温度ずれ量が基準範囲内にあるか否かを確認する(図17のステップ11)。具体的には、制御部40は、再度、所定の目標温度Tb,Tcにそれぞれ維持された、加熱装置61A,61Bの測定体68の温度を第1放射温度計39で測定し、各目標温度Tb,Tcに対する温度ずれ量を算出し、これら温度ずれ量の全てが基準範囲に入るか否かを確認する。上記ステップ11で示す動作は、第1放射温度計39が確実に較正された否かを決定するための確認動作である。
補正後の全ての温度ずれ量が基準範囲内にある場合、制御部40は、ステップ1に戻って、次のウェーハWの研磨処理を実行する。図16のステップ8で、全ての温度ずれ量が基準範囲内にある場合も、制御部40は、第1放射温度計39の較正を実施せずに、次のウェーハWの研磨処理を実行する。
ステップ11に示す確認動作で、基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図17のステップ11の「No」)、制御部40は、上記ステップ3からステップ10に示す較正動作と、上記ステップ11に示す確認動作を繰り返す。具体的には、制御部40は、較正動作と確認動作との組み合わせの繰り返し数Nに1を加算する(図17のステップ13)。この繰り返し数Nの初期値は0であり、制御部40は、繰り返し数Nの上限値NAを予め記憶している。
制御部40は、繰り返し数Nを上限値NAと比較し(図17のステップ13)、繰り返し数Nが上限値NAよりも小さい場合(図17のステップ14の「Yes」)は、図16のステップ3に戻り、上記較正動作と確認動作とを繰り返す。繰り返し数Nが上限値NAに達した場合(図17のステップ13の「No」)は、制御部40は、第1放射温度計39のメンテナンスを促す信号を生成する(図17のステップ14)。このメンテナンス信号は、例えば、研磨装置の警報を発するためのトリーガーとして用いられる。繰り返し数Nが上限値NAに達するまで較正動作を繰り返しても、確認動作で基準範囲を超える少なくとも1つの温度ずれ量がある場合は、第1放射温度計39に汚れが付着しているか、または第1放射温度計39が故障していると考えることができる。そのため、制御部40は、警報を発して、第1放射温度計39のメンテナンスを促し、ウェーハWに研磨異常が発生することを防止する。
なお、上限値NAは1であってもよい。この場合、図17のステップ11で基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合、制御部40は、較正動作と確認動作を繰り返さずに、直ちに、第1放射温度計39のメンテナンス信号を生成する。
図18(a)は、さらに他の実施形態に係る較正システムの較正ツール60を模式的に示す上面図であり、図18(b)は、図18(a)に示す加熱板61aを移動させる移動機構を模式的に示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した較正システムの構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図18(a)に示すように、加熱装置61の加熱板61aの上面には、複数の(図示した例では、4つの)測定体68A,68B,68C,68Dが取り付けられている。複数の測定体68A乃至68Dは、互い異なる放射率を有しており、第2放射温度計48の放射率補正部48d(図6参照)には、複数の測定体68A乃至68Dから選択された1つの測定体(例えば、測定体68A)の放射率が入力されている。測定体68A乃至68Dの放射率はそれぞれ既知であり、制御部40に予め記憶されている。
さらに、較正ツール60は、加熱板61aを台63に対して水平方向に移動させる移動機構(測定体移動機構)74を備えている。本実施形態では、移動機構74は、加熱板61aを水平方向に移動させるX軸移動機構75およびY軸移動機構76の組み合わせから構成される。X軸移動機構75は、加熱板61aをX軸に沿って移動させ、Y軸移動機構76は、X軸に垂直なY軸に沿って加熱板61aを移動させるように構成されている。これらX軸移動機構75およびY軸移動機構76は、例えば、ボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するサーボモータとから構成される。一実施形態では、X軸移動機構75およびY軸移動機構76は、ピストンシリンダ機構であってもよい。X軸移動機構75およびY軸移動機構76は、制御部40に接続されており、制御部40は、X軸移動機構75およびY軸移動機構76の動作、すなわち移動機構74の動作を制御することができる。
制御部40がX軸移動機構75およびY軸移動機構76を駆動するにより、加熱板61aを第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)に対してX軸方向およびY軸方向に移動させることができる。すなわち、制御部40は、移動機構74の動作を制御して、加熱板61aの上面に取り付けられた複数の測定体68A乃至68Dのそれぞれを第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)の直下に位置させることができる。
本実施形態では、所定の目標温度まで加熱された複数の測定体68A乃至68Dのそれぞれの温度を第2放射温度計48(または、第1放射温度計39)で測定する。上述したように、第2放射温度計48の放射率補正部48dには、複数の測定体68A乃至68Dから選択された1つの測定体68Aの放射率が入力されている。この場合、測定体68B乃至68Dの放射率は、第2放射温度計48の放射率補正部48dに入力された放射率とは異なるため、第2放射温度計48から出力された測定体68B乃至68Dの温度出力値には、それぞれ、放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれる。この測定誤差について、図19(a)乃至図19(d)を参照して以下に説明する。
図19(a)乃至図19(d)は、100℃の目標温度に加熱された複数の測定体68A乃至68Dの温度を第2放射温度計48でそれぞれ測定したときに、該第2放射温度計から出力される温度出力値の測定誤差を説明するための模式図である。より具体的には、図19(a)は、100℃に加熱された、0.90の放射率εaを有する測定体68Aの温度を第2放射温度計48で測定したときに、第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値Maを示す模式図であり、図19(b)は、100℃に加熱された、0.91の放射率εbを有する測定体68Bの温度を第2放射温度計48で測定したときに、第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値Mbを示す模式図である。図19(c)は、100℃に加熱された、0.92の放射率εcを有する測定体68Cの温度を第2放射温度計48で測定したときに、第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値をMc示す模式図であり、図19(d)は、100℃に加熱された、0.95の放射率εdを有する測定体68Dの温度を第2放射温度計48で測定したときに、第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値Mdを示す模式図である。
一般に、放射温度計に予め入力された放射率が測定対象物の放射率と異なる場合は、放射温度計から出力される温度出力値(温度測定値)には、放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれる。放射率の設定誤差は、測定対象物の放射率に対する、放射温度計に入力された放射率の比であり、以下の式(1)によって表される。
E(%) = (ε0/ε-1.00)・100 ・・・(1)
ここで、Eは、放射率の設定誤差を表し、ε0は、放射温度計に入力された放射率を表し、εは、測定対象物の放射率を表す。
本実施形態では、第2放射温度計48に入力された放射率は、測定体68Aの放射率εaである0.90である。そのため、第2放射温度計48で測定体68Aを測定するときは、放射率の設定誤差は0%であり、第2放射温度計48から出力される温度出力値には、測定誤差は含まれない。これに対し、測定体68B乃至68Dの放射率εb-εdは、それぞれ、測定体68Aの放射率εaとは異なる。そのため、第2放射温度計48で測定体68B乃至68Dのそれぞれを測定するときは、第2放射温度計48から出力される各温度出力値には、放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれる。具体的には、0.91の放射率εbを有する測定体68Bを測定するときは、放射率の設定誤差は1%であり、第2放射温度計48から出力される温度出力値には、1%の放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれる。同様に、0.92の放射率εcを有する測定体68Cを測定するときは、第2放射温度計48から出力される温度出力値には、2%の放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれ、0.95の放射率εdを有する測定体68Dを測定するときは、第2放射温度計48から出力される温度出力値には、5%の放射率の設定誤差に起因する測定誤差が含まれる。
ここで、測定対象物から放射される電磁波の強度(エネルギー量)と、測定対象物の温度との間の関係は直線関係にない。そのため、放射率の設定誤差を放射温度計から出力された温度測定値に乗算しても、測定誤差を補正することができない。例えば、放射率の設定誤差が5%である場合に、放射温度計から出力された温度測定値に1.05を乗算しても、測定対象物の実際の温度を得ることができない。さらに、放射率の設定誤差に起因する測定誤差は、放射温度計が利用している電磁波の波長、および測定対象物の温度などによっても異なる。
しかしながら、複数の測定体68A乃至68Dの放射率が既知であれば、実験によって、所定の目標温度Txに加熱された測定体68A乃至68Dの温度を第2放射温度計で測定したときの各測定誤差を予め取得しておくことができる。すなわち、測定体68A乃至68Dをそれぞれ第2放射温度計48で測定したときに、該第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値の期待値Ma-Mdを予め取得しておくことができる。本明細書では、第2放射温度計48から出力されるべき温度出力値の期待値Ma-Mdのそれぞれを、「温度期待値」と称する。
例えば、第2放射温度計48の較正に用いる目標温度Txを100℃として予め決定しておく。この場合、100℃に加熱された測定体68B乃至68Dの温度を、それぞれ、測定体68Aの放射率εaが入力された第2放射温度計48で実際に測定する実験を行う。そして、第2放射温度計48から出力された測定体68B乃至68Dの温度出力値のそれぞれを、温度期待値Mb-Mdとして決定する。なお、第2放射温度計48で測定体68Aを測定するときは、放射率の設定誤差は0%であり、第2放射温度計48から出力される測定体68Aの温度測定値には、測定誤差は含まれない。したがって、第2放射温度計48から出力されるべき測定体68Aの温度期待値Maは、目標温度Tx(=100℃)に等しい。図19(b)乃至図19(d)には、このような実験によって決定された温度期待値Ma-Mdの例が記載されている。
一実施形態では、第2放射温度計48から出力された各測定体68A乃至68Dの温度出力値に基づいて、所定の目標温度Txにおける放射率の設定誤差と、測定誤差との関係を表す特性方程式を予め決定してもよい。この場合、特性方程式から、上記温度期待値Ma乃至Mdが決定される。
このように、本実施形態に係る較正ツール60を用いて、第2放射温度計48の較正を実施する場合は、所定の目標温度Txに加熱された複数の測定体68A乃至68Dのそれぞれを第2温度放射計48で測定したときに、第2温度放射計48から出力される温度期待値Ma-Mdを予め決定しておく必要がある。本実施形態に係る較正ツール60を用いて、第1放射温度計39の較正を実施する場合も同様である。温度期待値Ma-Mdは、制御部40に予め記憶される。
次に、図20および図21を参照して、図18(a)に示す較正ツール60を用いて第2放射温度計48を較正する方法を説明する。なお、図18(a)に示す較正ツール60を用いて第1放射温度計39を較正する方法は、以下に説明する第2放射温度計48を較正する方法と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図20は、図18(a)に示す較正ツール60を備えた較正システムで、第2放射温度計48の較正を実施する方法の前半部分を示すフローチャートであり、図21は、図18(a)に示す較正ツール60を備えた較正システムで、第2放射温度計48の較正を実施する方法の後半部分を示すフローチャートである。図20および図21に示すフローチャートで特に説明しないステップは、図7および図8に示すフローチャートのステップと同様である。
図20に示すように、本実施形態でも、加熱装置61の加熱板61aが第2放射温度計48のセンサ部48aと対向するように、較正ツール60が研磨パッド3の上面に載置され(図20のステップ1)、さらに、較正システムの温度調整器66を研磨装置の制御部40に接続する(図20のステップ2)。
制御部40は、第2放射温度計48の較正を実施するために設定された所定の目標温度Txを予め記憶している。所定の目標温度Txは、任意に設定可能であるが、頻繁に用いられる研磨プロセスにおける研磨パッド3の目標温度に設定されるのが好ましい。制御部40は、研磨パッド3上に載置された較正ツール60の加熱板61aおよび複数の測定体68A-68Dの温度を温度調整器66を介して所定の目標温度Txまで加熱する(図20のステップ3)。
次いで、制御部40は、移動機構74を駆動して、複数の測定体68A乃至68Dのうちの1つの測定体68Aを第2放射温度計48の下方に移動させ、該測定体68Aの温度を第2放射温度計48で測定する(図20のステップ4)。そして、制御部40は、第2放射温度計48から出力された温度出力値を記憶する(図20のステップ5)。
次いで、制御部40は,全ての測定体68A乃至68Dの温度を測定したか否かを決定する(図20のステップ6)。全ての測定体68A乃至68Dの温度を測定していない場合(図20のステップ6の「No」)、制御部40は、移動機構74を駆動して、次の測定体68Bを第2放射温度計48の下方に移動させ(図20のステップ7)、該測定体68Bの温度を第2放射温度計48で測定する(図20のステップ4)とともに、第2放射温度計48から出力された温度出力値を記憶する(図20のステップ5)。
全ての測定体68A乃至68Dの温度の測定が完了した場合(図20のステップ6の「Yes」)、制御部40は、複数の測定体68A乃至68Dのそれぞれの温度ずれ量を算出する(図20のステップ8)。本実施形態では、温度ずれ量は、各温度期待値Ma乃至Mdと、第2放射温度計48から出力された各測定体68A乃至68Dの温度出力値との差である。例えば、測定体68Aの温度ずれ量は、温度期待値Ma(図19では、100℃)と、測定体68Aの第2放射温度計48の温度出力値との差であり、測定体68Dの温度ずれ量は、温度期待値Md(図19では、103.2℃)と、測定体68Dの第2放射温度計48の温度出力値との差である。次いで、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲内にあるか否かを決定する(図20のステップ9)。温度ずれ量の基準範囲は、予め設定されており、制御部40に予め記憶されている。
基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図20のステップ9の「No」)、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、第2放射温度計48からの温度出力値を補正する(図21のステップ10)。温度出力値の補正は、第2放射温度計48のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータの補正であってもよいし、第2放射温度計48の換算部48eに格納された換算式のパラメータの補正であってもよい。
本実施形態でも、制御部40が実行する第2放射温度計の較正動作は、上記ステップ3からステップ10に示す動作である。制御部40は、所定の目標温度Txに加熱された複数の測定体68A乃至68Dの温度を第2放射温度計48で測定し、各測定体の温度ずれ量を算出する。さらに、制御部40は、全ての温度ずれ量が基準範囲に入るように、第2放射温度計48のアナログデジタル変換器48cに格納された変換パラメータ(または、換算部48eに格納された換算式のパラメータ)を補正する。
制御部40は、好ましくは、各測定体68A乃至68Dの補正後の全ての温度ずれ量が上記基準範囲内にあるか否かを確認する(図21のステップ11)。具体的には、制御部40は、再度、目標温度Txに維持された各測定体68A乃至68Dの温度を第2放射温度計48で測定し、各測定体68A乃至68Dの温度ずれ量を算出し、これら温度ずれ量の全てが基準範囲に入るか否かを確認する。上記ステップ11で示す動作は、第2放射温度計48が確実に較正された否かを決定するための確認動作である。
補正後の全ての温度ずれ量が基準範囲内にある場合、制御部40は、第2放射温度計48の較正プロセスが完了したことを示す信号を生成する(図20のステップ12)。ステップ11に示す確認動作で、基準範囲を超える温度ずれ量が1つでもある場合(図21のステップ11の「No」)、制御部40は、上記ステップ3からステップ10に示す較正動作と、上記ステップ11に示す確認動作を繰り返す。さらに、制御部40は、繰り返し数Nが上限値NAに達した場合(図21のステップ14の「No」)に、第2放射温度計48の交換を促す信号を生成する(図21のステップ15)。
本実施形態では、第2放射温度計48の較正を実施するために、加熱板61aおよび測定体68A乃至68Dを複数の目標温度に加熱する必要がない。すなわち、加熱板61aおよび測定体68A乃至68Dを1つの目標温度Txに加熱し、その後、該目標温度Txに維持するだけでよい。したがって、第2放射温度計48の較正にかかる時間の短縮が図れるので、研磨装置のダウンタイムを大きく低減することができる。さらに、制御部40は、較正動作が完了しても確認動作が完了するまで、測定体68A乃至68Dの温度を目標温度Txに維持するので、確認動作を較正動作が完了した直後に実施できる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。