本発明の外用薬は、(A)経皮投与可能な薬効成分を含有する外用剤(以下、外用剤(A)と記載することがある。)と、(B)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物(以下、組成物(B)又は噴霧用組成物と記載することがある。)を組み合わせてなる外用薬である。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー。
外用剤(A)としては、経皮投与可能な薬効成分を含有する皮膚に適用して使用する外用剤が挙げられる。当該外用剤の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、チック剤等の塗布薬が挙げられる。
外用剤(A)に用いられる薬効成分としては、αアドレナリン受容体遮断薬、アドレナリン受容体刺激薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、パーキンソン病治療薬、ビタミン関連薬、ホルモン薬、みずむし・たむし用薬(抗真菌薬)、解熱鎮痛薬、外用痔疾用薬、冠血管拡張薬、気管支拡張・鎮咳剤、強心薬、狭心症治療薬、局所麻酔薬、血糖降下薬、口腔咽喉薬、向精神薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗虫・駆虫・殺虫薬、抗不整脈薬、抗嘔吐薬、高脂血症治療薬、殺菌薬、止血薬、女性用薬、消毒薬、睡眠薬、組織呼吸賦活剤、鎮痒消炎薬、等張液、皮膚疾患治療剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、保湿剤、勃起不全治療薬、麻酔薬、末梢血管拡張薬、免疫抑制剤、毛髪用薬、利尿薬、浣腸剤、禁煙補助剤が挙げられる。このうち、アドレナリン受容体刺激薬、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、ビタミン関連薬、外用痔疾用薬、気管支拡張・鎮咳剤、局所麻酔薬、口腔咽喉薬、向精神薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗虫・駆虫・殺虫薬、殺菌薬、止血薬、女性用薬、消毒薬、組織呼吸賦活剤、鎮痒消炎薬、等張液、皮膚疾患治療剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、保湿剤、麻酔薬、免疫抑制剤、毛髪用薬から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
αアドレナリン受容体遮断薬としては、ウラピジル、テラゾシン塩酸塩、ブナゾシン塩酸塩、プラゾシン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、ビソプロロールフマル酸塩、プロプラノロール塩酸塩、チリソロール塩酸塩、ブフェトロール塩酸塩、ブプラノロール塩酸塩、アテノロール、インデノロール塩酸塩、アルプレノロール塩酸塩、オクスプレノロール塩酸塩、カルテオロール塩酸塩、ナドロール、ピンドロール、チモロールマレイン酸塩、ニプラジロール、ブニトロロール塩酸塩、ペンブトロール硫酸塩、ボピンドロールマロン酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ベタキソロール塩酸塩、ベバントロール塩酸塩、アセブトロール塩酸塩が挙げられる。
アドレナリン受容体刺激薬としては、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドパミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、エチレフリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、クロニジン塩酸塩、メチルドパ、グアナベンズ酢酸塩、グアンファシン塩酸塩、イソプレナリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、オルシプレナリン硫酸塩、クロルプレナリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、サルブタモール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、ヘキソプレナリン硫酸塩、ツロブテロール塩酸塩、フェノテロール臭化水素酸塩、プロカテロール塩酸塩、クレンブテロール塩酸塩、マブテロール塩酸塩、イソクスプリン塩酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、ペモリン、イミプラミン塩酸塩、アメジニウムメチル硫酸塩が挙げられる。そして、これらの中では、エフェドリン塩酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬としては、ロサルタンカリウム、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、オルメサルタンメドキソミル、イルベサルタンが挙げられる。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬としては、アラセプリル、カプトプリル、デラプリル塩酸塩、キナプリル塩酸塩、ベナゼプリル塩酸塩、シラザプリル水和物、エナラプリルマレイン酸塩、トランドラプリル、イミダプリル塩酸塩、リシノプリル水和物、ペリンドプリルエルブミン、テモカプリル塩酸塩、ラミプリルが挙げられる。
カルシウム拮抗薬としては、ベラパミル塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ベプリジル塩酸塩、クレンチアゼム、ニフェジピン、ニカルジピン塩酸塩、フェロジピン、ニソルジピン、シルニジピン、アラニジピン、ベニジピン塩酸塩、マニジピン塩酸塩、ニルバジピン、ニトレンジピン、バルニジピン塩酸塩、エホニジピン塩酸塩が挙げられる。
ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤としては、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、メチルブレドニゾロン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、ベタメタゾン吉草酸エステル、ジフルコルトロン吉草酸エステル、クロベタゾールプロピオン酸エステル、フルオシノニド、ハルシノニド、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、塩酸テトラヒドロゾリン、アムシノニド、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、ジフルプレドナート、ジフロラゾン酢酸エステル、デキサメタゾン吉草酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル、デキサメタゾンプロピオン酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルが挙げられる。そして、これらの中では、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、ジフルコルトロン吉草酸エステル、クロベタゾールプロピオン酸エステル、フルオシノニド、ハルシノニド、酢酸デキサメタゾン、塩酸テトラヒドロゾリン、アムシノニド、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、ジフルプレドナート、ジフロラゾン酢酸エステル、デキサメタゾン吉草酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル、デキサメタゾンプロピオン酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
パーキンソン病治療薬として、トリヘキシフェニジル塩酸塩、プロフェナミン塩酸塩、ピロヘプチン塩酸塩、マザチコール塩酸塩、メチキセン塩酸塩、ビペリデン塩酸塩、アマンタジン塩酸塩、レボドパ、カルビドパ、ベンセラシド、ドロキシドパ、ブロモクリプチンメシル酸塩、タリペキソール塩酸塩、カベルゴリン、ペルゴリドメシル酸塩、セレギリン塩酸塩が挙げられる。
ビタミン関連薬としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、フィトナジオン、アルファカルシドール、エルデカルシトール、カルシトリオール、ファレカルシトリオール、レチノールパルミチン酸エステル、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、レチノール、乳酸カルシウム、乳酸カルシウム水和物、トレチノイン、八ッ目鰻精製油、アスコルビン酸、d-α-トコフェロール、L-アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸散、アスコルビン酸末、オロチン酸、ニコチン酸アミド、ビタミンC、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、直打用アスコルビン酸、パントテン酸カルシウム、ビタミンA油、トコフェロール、d-α-トコフェロールコハク酸エステル、d-α-トコフェロール酢酸エステル、コハク酸d-α-トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、ニコチン酸、塩酸ピリドキシン、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール散、酪酸リボフラビン、理研ドライE-B500d-GP、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、酢酸レチノール、肝油、強肝油、コハク酸dl-α-トコフェロール、塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸リボフラビンナトリウム、リン酸ピリドキサール、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、パントテン酸ナトリウム、ビオチン、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、イノシトールヘキサニコチネート、ウルソデスオキシコール酸、L-塩酸システイン、L-システイン、ガンマーオリザノール、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、コンドロイチン硫酸ナトリウム、加工大蒜、ニンジン、ヨクイニンが挙げられる。そして、これらの中では、ビタミンA、フィトナジオン、アルファカルシドール、エルデカルシトール、カルシトリオール、ファレカルシトリオール、レチノールパルミチン酸エステル、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、レチノール、乳酸カルシウム、乳酸カルシウム水和物、トレチノイン、八ッ目鰻精製油、アスコルビン酸、d-α-トコフェロール、L-アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸散、アスコルビン酸末、オロチン酸、ニコチン酸アミド、ビタミンC、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、直打用アスコルビン酸、パントテン酸カルシウム、ビタミンA油、トコフェロール、d-α-トコフェロールコハク酸エステル、d-α-トコフェロール酢酸エステル、コハク酸d-α-トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、ニコチン酸、塩酸ピリドキシン、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール散、酪酸リボフラビン、理研ドライE-B500d-GP、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、L-システインから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ホルモン薬としては、エストロゲン、エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、インスリン、プロスタグランジンが挙げられる。
みずむし・たむし用薬(抗真菌薬)としては、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、フェニル-11-ヨード-10-ウンデシノエート、エキサラミド、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、硝酸ミコナゾール、チオコナゾール、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、シクロピロクスオラミン、シッカニン、トリコマイシン、ピロールニトリン、チアントール、2,4,6-トリブロムフェニルカプロン酸エステル、トリメチルセチルアンモニウムペンタクロロフェネート、トルシクラート、トルナフタート、ハロプロジン、木槿皮(原生薬換算量)、安息香酸ベルベリン、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン液、酢酸デカリニウム、ヒノキチオール、レブルシン、安息香酸、クロロブタノール、酢酸、フェノール、ヨードチンキ、塩酸ジフェニルピラリン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルイミダゾール、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジブカィン、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン、アルジオキサ、グリチルリチン酸及びその塩類、シコン(原生薬換算量)、トウキ(原生薬換算量)、チモール、竜脳、フタル酸ジエチル、クロルヒドロキシアルミニウムが挙げられる。
解熱鎮痛薬としては、アスピリンナトリウム、エテンザミド、アリルイソプロピル尿素、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれら塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれら塩類、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル(乾燥水酸化アルミニウムゲルとして)、乾燥水酸化アルミニウムゲル、地竜、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、サンショウ、ショウキョウが挙げられる。
外用痔疾用薬としては、セイヨウトチノキ種子エキス、アミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸メプリルカイン、オキシポリエトキシドデカン、ロートエキス、エピネフリン液、ナファゾリン塩酸塩、ヒドロコルチゾン、タンニン酸、アクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、デカリニウム塩化物、ベルベリン塩化物水和物、セトリミド、レゾルシン、スルファジアジン、スルフイソミジン、スルフイソミジンナトリウム、ホモスルファミン、マレイン酸クロルフェニラミンン、アルミニウム・クロルヒドロキシアラントイネート、イクタモール、塩化リゾチーム、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、精製卵黄レシチン、卵黄油、硫酸アルミニウムカリウム、シコン、セイヨウトチノキ種子、ハマメリス、加工ダイサン、d-カンフル、dl-カンフル、ハッカ油、dl-メントールが挙げられる。そして、これらの中では、セイヨウトチノキ種子エキス、d-カンフル、dl-カンフル、dl-メントールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
冠血管拡張薬としては、エタフェノン塩酸塩、トリメタジジン塩酸塩、トラピジル、ニコランジルが挙げられる。
気管支拡張・鎮咳剤としては、dl-メチルエフェドリン塩酸塩が好ましい。
強心薬としては、ジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、ラナトシドC、プロスシラリジン、ドブタミン塩酸塩、ドカルパミン、デノパミン、アミノフィリン水和物、ミルリノン、ベスナリノン、ピモベンダン、ユビデカレノンが挙げられる。
狭心症治療薬としては、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ジラセプ塩酸塩、ジピリダモールが挙げられる。
局所麻酔薬としては、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、レボプピバカインが挙げられる。そして、これらの中では、リドカインが好ましい。
血糖降下薬としては、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物、メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン塩酸塩、トログリタゾンが挙げられる。
口腔咽喉薬としては、クロルヘキシジン塩酸塩、アズレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
向精神薬としては、クロルプロマジン塩酸塩、ペラジンマレイン酸塩、レボメプロマジンマレイン酸塩、トリフロペラジン塩酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、ペルフェナジン、フルフェナジンマレイン酸塩、チオリダジン塩酸塩、チオチキセン、カルピプラミン塩酸塩、クロカプラミン塩酸塩水和物、モサプラミン塩酸塩、ゾテピン、ハロペリドール、スピペロン、チミペロン、ブロムペリドール、ピモジド、オキシペルチン、スルピリド、スルトプリド塩酸塩、チアプリド塩酸塩、ネモナプリド、ペロスピロン塩酸塩、クエチアピンフマル酸塩、リスペリドン、オランザピン、プロペリシアジン、クロチアゼパム、エチゾラム、アルプラゾラム、ロラゼパム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラム、フルジアゼパム、メキサゾラム、ロフラゼ
プ酸エチル、クロミプラミン塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、ロフェプラミン塩酸塩、アモキサピン、ドスレピン塩酸塩、マプロチリン塩酸塩、ミアンセリン塩酸塩、セチプチリンマレイン酸塩、フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、ミルナシプラン塩酸塩、トラゾドン塩酸塩、炭酸リチウム、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩が挙げられる。そして、これらの中では、ヒドロキシジンパモ酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩が好ましい。
抗アレルギー薬としては、ペミロラスト、クロモグリク酸ナトリウム、トラマラスト、アンレキサノクス、アゼラスチン、ケトチフェン、メキタジン、フェキソフェナジン、エピナスチン、エパスチン、セチリジン、レボセチリジン、ベポタスチン、エメダスチン、オロパタジン、ロラタジン、デスロラタジン、ピラスチン、プランルカスト、モンテルカスト、スプラタストトシル酸塩、トラニラストが挙げられる。そして、これらの中では、クロモグリク酸ナトリウム、メキタジン、ロラタジン、スプラタストトシル酸塩、トラニラストが好ましい。
抗ヒスタミン薬としては、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、プロメタジン、ヒドロキシアジン、シプロヘプタジン、クレマスチン、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、アゼラスチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、シプロヘプタジン塩酸塩水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、フマル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、アリメマジン酒石酸塩、クレマスチンフマル酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩水和物、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ホモクロルシクリジン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、レボセチリジン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩が挙げられる。そして、これらの中では、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、タンニン酸ジフェンヒドラミン、アゼラスチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、シプロヘプタジン塩酸塩水和物、フェキソフェナジン塩酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、アリメマジン酒石酸塩、クレマスチンフマル酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩水和物、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ホモクロルシクリジン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、レボセチリジン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩が好ましい。
抗菌薬としては、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系、ペネム系、アミノグリコシド系、ホスホマイシン系、クロラムフェニコール系、マクロライド系、グリコペプチド系、キノロン系、ニューキノロン系、サルファ剤、フラジオマイシン硫酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、ペンタミジンイセチオン酸塩、スルファジアジン銀が挙げられる。そして、これらの中では、クロラムフェニコール系、フラジオマイシン硫酸塩、ゲンタマイシン硫酸塩、ペンタミジンイセチオン酸塩、スルファジアジン銀が好ましい。
抗虫・駆虫・殺虫薬としては、2-ウンデカノン、p-メンタン-3,8-ジオール、アトバコン・プログアニル塩酸塩、イカリジン、オイゲノナール、オレンジ油、ゲラニオール、シトラル、シトロネラール、シトロネロール、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、ピネン、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル、ミルセン、メトフルトリン、リナロール、リモネン、レモンユーカリ精油、アルベンダゾール、プラジカンテル、フェノトリン、サントニン、パモ酸ピルビニウム、マクリ、ピランテルパモ酸塩、チニダゾール、キニーネ塩酸塩水和物、プリマキンリン酸塩、メフロキン塩酸塩、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、メトロニダゾール、d,d-T-シフェノトリン、アミドフルメト、イミプロトリン、オルトジクロロベンゼン、ジクロルボス、ダイアジノン、ディート、トリクロルホン、ヒドラメチルノン、ピペロニルブトキサイド、ピリプロキシフェン、ピレトリン、フェニトロチオン、フェンチオン、フタルスリン、プロペタンホス、プロポクスル、ペルメトリン、メトキサジアゾン、メトプレン、安息香酸ベンジル、除虫菊エキス(総ピレトリン)、パロモマイシン硫酸塩、イベルメクチン、メベンダゾール、カイニン酸、アジピン酸ピペラジン、クエン酸ピペラジン、ピペラジンヘキサヒドラート、リンゴ酸ピペラジン、リン酸ピペラジン、イオウ、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、アロエ、センナ、ダイオウ、アミノエチルスルホン酸、胆汁エキス(末)、胆汁末、デヒドロコール酸、クレンピ、シクンシ、ユーカリ油が挙げられる。そして、これらの中では、p-メンタン-3,8-ジオール、イカリジン、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル、ディートが好ましい。
抗不整脈薬としては、キニジン硫酸塩水和物、アジマリン、プロカインアミド塩酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩、シベンゾリンコハク酸塩、メキシレチン塩酸塩、プロパフェノン塩酸塩、ピルジカイニド塩酸塩、ソタロール塩酸塩、アミオダロン塩酸塩が挙げられる。
抗嘔吐薬としては、グラニセトロン塩酸塩、アザセトロン塩酸塩、オンダンセトロン塩酸塩、ラモセトロン塩酸塩、トロピセトロン塩酸塩が挙げられる。
高脂血症治療薬としては、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム、ロスバスタチンカルシウム、ピタバスタチンカルシウム、ククロフィブラートアルミニウム、クリノフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ニコモール、ニセリトロール、プロブコール、エゼチミブが挙げられる。
殺菌薬としては、グルコン酸クロルヘキシジン、銅クロロフィリンナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、セチルピリジニウム塩化物水和物、ベンゼトニウム塩化物、塩化ベンザルコニウムが好ましい。
止血薬としては、トラネキサム酸、ワルファリンカリウム、ヘパリンナトリウム、アルガトロバン一水和物、カルバゾクロムが挙げられる。そして、これらの中では、トラネキサム酸、カルバゾクロムが好ましい。
女性用薬としては、DL-メチオニン、トコフェロール散(50%)、ローヤルゼリーが好ましい。
消毒薬としては、ヨウ素、クレゾールが好ましい。
睡眠薬としては、フルラゼパム、ハロキサゾラム、クアゼパム、ニトラゼパム、フルニトラゼパム、エスタゾラム、ニメタゼパム、ロルメタゼパム、リルマザホン塩酸塩、トリアゾラム、ミダゾラム、ゾピクロン、ゾルピデム酒石酸塩、ブロチゾラム、バルビタール、アモバルビタールが挙げられる。
組織呼吸賦活剤としては、ソルコセリルが好ましい。
鎮痒消炎薬としては、クロタミトン、コルチゾン酢酸エステル、イソチペンジル塩酸塩、サリチル酸グリコール、ベンザルコニウム塩化物、カラミン、d-ボルネオール、アンモニア水が挙げられる。そして、これらの中では、クロタミトンが好ましい。
等張液としては、生理食塩液が好ましい。
皮膚疾患治療剤としては、トラフェルミン、エトレチナート、マキサカルシトール、アルクロキサ、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジルアルファデクス、トレチノイントコフェリル、精製白糖が好ましい。
非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤としては、サリチル酸、アスピリン、スルピリン水和物、アセトアミノフェン、ジクロフェナクナトリウム、フェンブフェン、イブプロフェン、アミノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ナプロキセン、オキサプロフェン、ケトプロフェン、チアプロフェン酸、スリンダク、フルフェナム酸アルミニウム、フェルビナク、メフェナム酸、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、プログルメタシンマレイン酸塩、ベンダザック、ピロキシカム、アンピロキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、メロキシカム、フルルビブロフェン、エトドラク、チアラミド塩酸塩、ブコローム、ロキソプロフェンナトリウム、フルルビプロフェン、エスフルルビプロフェン、サリチル酸メチル、リゾチーム塩酸塩、ブロメライン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジブカイン、ジメチルイソプロピルアズレン、塩化ベンゼトニウム、グリチルリチン酸二カリウム、l-メントール、酸化亜鉛、アラントイン、ヘパリン類似物質、グリチルレチン酸が挙げられる。そして、これらの中では、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ケトプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、ピロキシカム、ロキソプロフェンナトリウム、フルルビプロフェン、エスフルルビプロフェン、サリチル酸メチル、リゾチーム塩酸塩、ブロメライン、l-メントール、酸化亜鉛、アラントイン、ヘパリン類似物質、グリチルレチン酸が好ましい。
保湿剤としては、白色ワセリン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ヒアルロン酸が挙げられる。そして、これらの中では、白色ワセリン、グリセリンが好ましい。
勃起不全治療薬としては、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩、タダラフィルが挙げられる。
麻酔薬としては、ベンゾカイン、プロカイン塩酸塩、リドカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩、クロロプロカイン、メピバカイン塩酸塩、ジブカイン塩酸塩、ブピバカイン塩酸塩、ドロペリドール、フェンタニルクエン酸塩が挙げられる。そして、これらの中では、リドカイン塩酸塩、ジブカイン塩酸塩が好ましい。
末梢血管拡張薬としては、ヒドララジン塩酸塩、トドララジン塩酸塩水和物、ブドララジン、カドララジン、ニトロプルシドナトリウムが挙げられる。
免疫抑制剤としては、タクロリムス、タクロリムス水和物が挙げられる。そして、これらの中では、タクロリムス水和物が好ましい。
毛髪用薬としては、カルプロニウム塩化物水和物、フィナステリド、デュタステリド、カシュウチンキ、チクセツニンジンチンキ、ミノキシジルが好ましい。
利尿薬としては、ベンチルヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、メチクロチアジド、エタクリン酸、インダパミド、クロルタリドン、トリパミド、メチクラン、メフルシド、ピレタニド、フロセミド、ブメタニド、トラセミド、アゾセミド、カンレノ酸カリウム、スピロノラクトン、トリアムテレン、アセタゾラミドが挙げられる。
浣腸剤としては、D-ソルビトール、ビサコジルが挙げられる。
禁煙補助剤としては、ニコチンが挙げられる。
前記薬効成分は、外用剤(A)の用途に応じて1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、消炎鎮痛外用剤であれば、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、局所麻酔剤、ビタミン関連薬、メントール等の清涼化剤等を組み合わせて配合することができる。感染性皮膚疾患用外用剤であれば、抗菌薬、清涼化剤、ステロイド系抗炎症薬等を組み合わせて配合することができる。アトピー性皮膚治療用外用剤であれば、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、局所麻酔剤免疫抑制薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、保湿剤、ビタミン関連薬等を組み合わせて配合できる。みずむし・たむし用薬であれば、抗真菌剤、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬等を組み合わせて配合できる。痔疾用外用剤であれば、ステロイド系抗炎症薬、止血剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、抗ヒスタミン薬等を組み合わせて配合できる。
外用剤(A)中の薬効成分の含有量は、薬効成分の種類、外用剤(A)の剤形によって異なるが、薬効発現性、耐水性、耐摩擦性、耐屈伸性等を向上させる観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。また、薬効成分の安定性を向上させる観点から10質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。薬効成分の含有量は、外用剤(A)中、0.0001質量%以上0.001質量%以下が好ましく、0.01質量%以上10質量%以下がより好ましく、20質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
外用剤(A)には、剤形の種類に応じて種々の基剤成分を含有させることができる。そのような成分としては、水、油剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、ポリオール、アルコール、防腐剤、香料、酸化防止剤、安定剤等を挙げることができる。
噴霧用組成物(組成物(B))は、前記の成分(a)及び成分(b)を含有する。
成分(a)の揮発性物質は、液体の状態において揮発性を有する物質である。噴霧用組成物において成分(a)は、電界内に置かれた該噴霧用組成物を十分に帯電させた後、ノズル先端から皮膚に向かって吐出され、成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物の電荷密度が過剰となり、クーロン反発によって更に微細化しながら成分(a)が更に蒸発していき、最終的に乾いた被膜を皮膚上に形成させる目的で配合される。この目的のために、揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。
成分(a)の揮発性物質のうち、アルコールとしては例えば一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。一価の鎖式脂肪族アルコールとしてはC1~C6アルコールが、一価の環式脂肪族アルコールとしてはC4~C6環式アルコールが、一価の芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等がそれぞれ挙げられる。それらの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、n-プロパノール、n-ペンタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
成分(a)の揮発性物質のうち、ケトンとしてはジC1-C4アルキルケトン例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(a)の揮発性物質は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエタノール及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、そして最も好ましくはエタノールである。
噴霧用組成物における成分(a)の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが一層好ましい。また98質量%以下であることが好ましく、96質量%以下であることが更に好ましく、94質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(a)の含有量は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、55質量%以上96質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上94質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(a)を含有することで、静電スプレー法を行うときに噴霧用組成物を十分に揮発させることができる。
成分(b)である被膜形成能を有するポリマーは、一般に、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることを言う。
被膜形成能を有するポリマーとしては、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的には、被膜形成能を有するポリマーは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとに大別される。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が溶解しない性質を有するものをいう。
水溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性ポリマーのうち、被膜の製造が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、その数平均分子量は、5万以上300万以下であることが好ましく、10万以上250万以下であることが一層好ましい。
一方、水不溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えば被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水不溶性ポリマーのうち、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、(アクリル酸アルキル・オクチルアミド)共重合体等のアクリル樹脂、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン等を用いることが好ましい。
噴霧用組成物における成分(b)の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、6質量%以上であることが一層好ましい。また50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(b)の含有量は、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(b)を配合することで、繊維の堆積物からなり、耐水性、耐汗性、耐摩擦性、耐屈伸性に優れ、かつ薬効成分の放出性の良好な被膜を首尾よく形成することができる。
噴霧用組成物中には、上述した成分(a)及び成分(b)のみが含まれていてもよく、あるいは成分(a)及び成分(b)に加えて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、染料、HLB値が10超の界面活性剤、UV防御剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、制汗剤、各種ビタミン等が挙げられる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、例えば制汗剤を香料として使用することができる。あるいは、他の用途との併用として、例えば制汗剤と香料としての効果を奏するものとして使用することができる。噴霧用組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の配合割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の外用薬は、外用剤(A)を皮膚に適用する前又は後に噴霧用組成物(組成物(B))を皮膚に直接静電スプレーして被膜を形成して使用する。
まず、外用剤(A)の皮膚への適用手段は、前記外用剤の剤形に依存し、皮膚への塗布、スプレーなどにより行なわれる。
噴霧用組成物は、前記外用剤(A)の皮膚への適用の前又は後に、直接静電スプレーして被膜を形成する。外用剤(A)を皮膚に適用後に、当該適用部位に直接静電スプレーするのが、薬効成分の効果発現性、耐摩擦性、耐屈伸性等を向上させる観点が好ましい。
静電スプレー法を行う場合、噴霧用組成物として、その粘度が、25℃において、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上であるものを用いる。また粘度が、25℃において、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であるものを用いる。噴霧用組成物の粘度は、25℃において、好ましくは1mPa・s以上5000mPa・s以下であり、より好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下であり、更に好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である。この範囲の粘度を有する噴霧用組成物を用いることで、静電スプレー法によって被膜、特に繊維の堆積物からなる多孔性被膜を首尾よく形成することができる。多孔性被膜の形成は、皮膚の蒸れ防止、薬効成分の経皮吸収能向上、被膜の皮膚への密着性及び追従性の向上、薬効成分の皮膚に対する均一性及び持続性の向上、衣類と外用剤が接触することによるべたつき感の低減及び耐水性等の観点から有利なものである。噴霧用組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定される。E型粘度計としては例えば東京計器株式会社製のE型粘度計を用いることができる。その場合のローターとしては、ローターNo.43を用いることができる。
噴霧用組成物は静電スプレー法によって、ヒトの皮膚に直接噴霧される。静電スプレー法は、静電スプレー工程において、静電スプレー装置を用いて、皮膚に噴霧用組成物を静電スプレーして、被膜を形成する工程を含む。該静電スプレー装置は、噴霧用組成物を収容する容器と、噴霧用組成物を吐出するノズルと、容器中に収容されている噴霧用組成物をノズルに供給する供給装置と、ノズルに電圧を印加する電源とを備える。好適に、図1には、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を表す概略図が示されている。図1に示す静電スプレー装置10は、低電圧電源11を備えている。低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させ得るものである。静電スプレー装置10の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り替えを容易に行えるという利点もある。電池に代えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。
静電スプレー装置10は、高電圧電源12も備えている。高電圧電源12は、低電圧電源11と接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電子回路(図示せず)を備えている。昇圧電子回路は一般にトランス、キャパシタ及び半導体素子等から構成されている。
静電スプレー装置10は、補助的電気回路13を更に備えている。補助的電気回路13は、上述した低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。更に補助的電気回路13は、後述するマイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、後述する噴霧用組成物の容器15からマイクロギヤポンプ14への噴霧用組成物の供給量が制御される。補助的電気回路13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられており、スイッチSWの入り切りによって、静電スプレー装置10を運転/停止できるようになっている。
静電スプレー装置10は、ノズル16を更に備えている。ノズル16は、金属を初めとする各種の導電体や、プラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から噴霧用組成物の吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には噴霧用組成物が流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は導電体でもよく、あるいは非導電体でもよい。また、ノズル16は、高電圧電源12と電気的に接続されている。これによって、ノズル16に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、ノズル16に人体が直接触れた場合に過大な電流が流れることを防止するために、ノズル16と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。
管路17を介してノズル16と連通しているマイクロギヤポンプ14は、容器15中に収容されている噴霧用組成物をノズル16に供給する供給装置として機能する。マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。また、マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の噴霧用組成物をノズル16に供給するように構成されている。
マイクロギヤポンプ14には、フレキシブル管路18を介して容器15が接続されている。容器15中には噴霧用組成物が収容されている。容器15は、カートリッジ式の交換可能な形態をしていることが好ましい。
以上の構成を有する静電スプレー装置10は、例えば図2に示すように使用することができる。図2には、片手で把持できる寸法を有するハンディタイプの静電スプレー装置10が示されている。同図に示す静電スプレー装置10は、図1に示す構成図の部材のすべてが円筒形の筐体20内に収容されている。筐体20の長手方向の一端10aには、ノズル(図示せず)が配置されている。ノズルは、その組成物の吹き出し方向を、筐体20の縦方向と一致させて、被膜形成対象物である肌側に向かい凸状になるように該筐体20に配置されている。ノズル先端が筐体20の縦方向においてに被膜形成対象物に向かい凸状になるように配置されていることによって、筐体に噴霧用組成物が付着しにくくなり、安定的に被膜を形成することができる。
被膜形成対象皮膚が使用者の自身の皮膚である場合、静電スプレー装置10を動作させるときには、使用者、すなわち静電スプレーによって自己の皮膚に被膜を形成する者が該装置10を手で把持し、ノズル(図示せず)が配置されている該装置10の一端10aを、静電スプレーを行う対象部位に向ける。図2では、使用者の前腕部内側に静電スプレー装置10の一端10aを向けている状態が示されている。この状態下に、装置10のスイッチをオンにして静電スプレー法を行う。装置10に電源が入ることで、ノズルと皮膚との間には電界が生じる。図2に示す実施形態では、ノズルに正の高電圧が印加され、皮膚が負極となる。ノズルと皮膚との間に電界が生じると、ノズル先端部の噴霧用組成物は、静電誘導によって分極してその先端部分がコーン状になり、コーン先端から帯電した噴霧用組成物の液滴が電界に沿って、皮膚に向かって空中に吐出される。空間に吐出され且つ帯電した噴霧用組成物から溶媒である成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、皮膚に到達する。この場合、噴霧用組成物の粘度を適切に調整することで、噴霧された該組成物を液滴の状態で皮膚に到達させることができる。あるいは、空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質の成分(a)を該組成物から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を皮膚の表面に堆積させることもできる。例えば、噴霧用組成物の粘度を高めると、該組成物を繊維の形態で皮膚の表面に堆積させやすい。これによって、繊維の堆積物からなる被膜が皮膚の表面に形成される。繊維の堆積物からなる被膜は、ノズルと皮膚との間の距離や、ノズルに印加する電圧を調整することでも形成することが可能である。
静電スプレー法を行っている間は、被膜形成対象物である皮膚とノズルとの間に高い電位差が生じている。しかし、インピーダンスが非常に大きいので、人体を流れる電流は極めて微小である。例えば通常の生活下において生じる静電気によって人体に流れる電流よりも、静電スプレー法を行っている間に人体に流れる電流の方が数桁小さいことを、本発明者は確認している。
静電スプレー法によって繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることが更に好ましい。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
前記の繊維は、製造の原理上は無限長の連続繊維となるが、少なくとも繊維の太さの100倍以上の長さを有することが好ましい。本明細書においては、繊維の太さの100倍以上の長さを有する繊維のことを「連続繊維」と定義する。そして、静電スプレー法によって製造される被膜は、連続繊維の堆積物からなる多孔性の不連続被膜であることが好ましい。このような形態の被膜は、集合体として1枚のシートとして扱えるだけでなく、非常に柔らかい特徴を持っており、それに剪断力が加わってもばらばらになりにくく、身体の動きへの追従性に優れるという利点がある。また、皮膚から生じた汗の放散性に優れるという利点もある。更に、被膜の剥離が容易であるという利点もある。これに対して、細孔を有さない連続被膜は剥離が容易でなく、また汗の放散性が非常に低いので、皮膚に蒸れが生じやすい。
繊維状となった噴霧用組成物は、帯電した状態で皮膚に到達する。先に述べたとおり皮膚も帯電しているので、繊維は静電力によって皮膚に密着する。皮膚の表面には肌理等の微細な凹凸が形成されているので、その凹凸によるアンカー効果と相まって繊維は皮膚の表面に一層密着する。このようにして静電スプレーが完了したら、静電スプレー装置10の電源を切る。これによってノズルと皮膚との間の電界が消失し、皮膚の表面は電荷が固定化される。その結果、被膜の密着性が一層発現する。
以上の説明は、被膜として繊維の堆積物からなる多孔性被膜についてのものであったが、被膜の形態はこれに限られず、細孔を有さない連続被膜を形成してもよく、繊維の堆積物以外の形態を有する多孔性被膜、例えば連続被膜に不規則に又は規則的に複数の貫通孔が形成されてなる多孔性被膜、すなわち不連続被膜を形成してもよい。上述のとおり、噴霧用組成物の粘度、ノズルと皮膚との間の距離、及びノズルに印加する電圧などを制御することで任意の形状の被膜を形成することができる。
ノズルと皮膚との間の距離は、ノズルに印加する電圧にも依存するが、被膜を均一に形成する観点から、30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましい。また300mm以下であることが好ましく、150mm以下であることが更に好ましい。例えばノズルと皮膚との間の距離は、30mm以上300mm以下であることが好ましく、50mm以上150mm以下であることが更に好ましい。ノズルと皮膚との間の距離は、一般的に用いられる非接触式センサ等で測定することができる。
静電スプレー法によって形成された被膜が多孔性のものであるか否かを問わず、被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、1g/m2以上であることが更に好ましい。また30g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることが更に好ましい。例えば被膜の坪量は、0.1g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上20g/m2以下であることが更に好ましい。被膜の坪量をこのように設定することで、被膜の密着性を向上させることができる。なお、皮膚に組成物を直接に静電スプレーして被膜を形成する静電スプレー工程とは、皮膚又は前記外用剤(A)が施された皮膚(単に皮膚ともいう)に静電スプレーして、被膜を形成する工程を意味する。組成物を皮膚以外の場所に静電スプレーして繊維からなるシートを作製し、そのシートを皮膚に塗布する工程は、前記静電スプレー工程とは異なる。
本発明においては、上述した静電スプレーによって被膜を形成する静電スプレー工程の前に、若しくはその後に、又は該静電スプレー工程の前後に、水、ポリオール及び20℃で液体の油から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を皮膚に施す液剤適用工程を行うこともできる。静電スプレー工程の後に、特に静電スプレー工程の直後に液剤適用工程を行うことで、静電スプレー工程で形成された被膜が、該液剤で皮膚になじみやすくなり、該被膜が皮膚に高密着化するとともに、一層透明性が向上する。被膜の端部と皮膚との間に段差が生じにくくなり、それによっても被膜と皮膚との密着性が向上する。その結果、関節等の皮膚の伸び縮みの程度が大きい部位や、肩などの曲率の大きい部位に被膜を形成しても、その剥離や破れ等が生じにくくなるとともに、薬効成分の経皮吸収性も向上する。また、前記被膜が透明、有色透明、又は半透明である場合、下地の皮膚が隠蔽されにくくなる。好適には被膜が、繊維の堆積物からなる多孔性被膜である場合、高い空隙率であるにもかかわらず皮膚との密着性が高く、また大きな毛管力が発生しやすい。更に、繊維が微細である場合には多孔性被膜を高比表面積化することが容易となり、薬効成分の経皮吸収性も向上する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持し、該装置10のノズルとその者の皮膚との間に電界を生じさせたが、両者間に電界が生じる限り、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持する必要はない。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の外用薬を開示する。
<1>(A)経皮投与可能な薬効成分を含有する外用剤と(B)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物とを組み合わせてなる外用薬であって、前記外用剤(A)を皮膚に適用する前又は後に前記組成物(B)を皮膚に直接静電スプレーして被膜を形成して使用することを特徴とする外用薬。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー。
<2>皮膚に直接静電スプレーして皮膚上に繊維の堆積物からなる被膜を形成する<1>に記載の外用薬。
<3>前記静電スプレーする工程が、静電スプレー装置を用いて皮膚に前記組成物を静電スプレーして繊維の堆積物からなる被膜を形成する工程であり、
前記静電スプレー装置が、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧を印加する電源とを備える前記<1>又は<2>に記載の外用薬。
<4>前記薬効成分が、αアドレナリン受容体遮断薬、アドレナリン受容体刺激薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、パーキンソン病治療薬、ビタミン関連薬、ホルモン薬、みずむし・たむし用薬(抗真菌薬)、解熱鎮痛薬、外用痔疾用薬、冠血管拡張薬、気管支拡張・鎮咳剤、強心薬、狭心症治療薬、局所麻酔薬、血糖降下薬、口腔咽喉薬、向精神薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗虫・駆虫・殺虫薬、抗不整脈薬、抗嘔吐薬、高脂血症治療薬、殺菌薬、止血薬、女性用薬、消毒薬、睡眠薬、組織呼吸賦活剤、鎮痒消炎薬、等張液、皮膚疾患治療剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、保湿剤、勃起不全治療薬、麻酔薬、末梢血管拡張薬、免疫抑制剤、毛髪用薬、利尿薬、浣腸剤、禁煙補助剤から選ばれる1種又は2種以上である前記<1>~<3>のいずれかに記載の外用薬。
<5>前記薬効成分が、アドレナリン受容体刺激薬、ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、ビタミン関連薬、外用痔疾用薬、気管支拡張・鎮咳剤、局所麻酔薬、口腔咽喉薬、向精神薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、抗虫・駆虫・殺虫薬、殺菌薬、止血薬、女性用薬、消毒薬、組織呼吸賦活剤、鎮痒消炎薬、等張液、皮膚疾患治療剤、非ステロイド系抗炎症・消炎鎮痛剤、保湿剤、麻酔薬、免疫抑制剤、毛髪用薬から選ばれる1種又は2種以上である前記<1>~<3>のいずれかに記載の外用薬。
<6>外用剤(A)中の薬効成分の含有量が、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい<1>~<5>のいずれかに記載の外用薬。
<7>外用剤(A)の剤形が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、及びチック剤から選ばれる<1>~<6>のいずれかに記載の外用薬。
<8>前記成分(a)の揮発性物質は、その蒸気圧が20℃において0.01kPa以上106.66kPa以下であり、好ましくは0.13kPa以上66.66kPa以下であり、更に好ましくは0.67kPa以上40.00kPa以下であり、より一層好ましくは1.33kPa以上40.00kPa以下である、前記<1>~<7>のいずれかに記載の外用薬。
<9>前記成分(a)の揮発性物質のうち、アルコールとしては、一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールを用い、前記アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、プロパノール、ペンタノールなどを用い、これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いる、前記<1>~<8>のいずれかに記載の外用薬。
<10>前記成分(a)の揮発性物質のうち、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを用い、これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる、前記<1>~<9>のいずれかに記載の被膜の製造方法。
<11>前記成分(a)の揮発性物質は、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはエタノール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、最も好ましくはエタノールである、前記<1>~<10>のいずれかに記載の外用薬。
<12>被膜形成能を有するポリマーは水溶性であり、
前記水溶性である被膜形成能を有するポリマーは、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子であり、これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いる、前記<1>~<11>のいずれかに記載の外用薬。
<13>被膜形成能を有するポリマーは水不溶性であり、
前記水不溶性である被膜形成能を有するポリマーは、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂であり、これらの水不溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いる、前記<1>~<12>のいずれかに記載の外用薬。
<14>前記組成物における前記成分(a)の含有量は、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また98質量%以下、好ましくは96質量%以下、更に好ましくは94質量%以下であり、50質量%以上98質量%以下、好ましくは55質量%以上96質量%以下、更に好ましくは60質量%以上94質量%以下である、前記<1>~<13>のいずれかに記載の外用薬。
<15>前記組成物における前記成分(b)の含有量は、2質量%以上、好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、また50質量%以下、好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下であり、2質量%以上50質量%以下、好ましくは4質量%以上45質量%以下、更に好ましくは6質量%以上40質量%以下である、前記<1>~<14>のいずれかに記載の外用薬。
<16>前記組成物は、その粘度が、25℃において、1mPa・s以上、好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上であり、また、25℃において、5000mPa・s以下、好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であり、1mPa・s以上5000mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下、更に好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である、前記<1>~<15>のいずれかに記載の外用薬。
<17>前記組成物中に、成分(a)及び成分(b)のみが含まれているか、あるいは成分(a)及び成分(b)に加えて他の成分が含まれおり、
前記他の成分として、(b)の被膜形成能を有するポリマーの可塑剤、着色顔料、体質顔料、染料、界面活性剤、UV防御剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、各種ビタミンが用いられる前記<1>~<16>のいずれかに記載の外用薬。
<18>前記組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の配合割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい前記<17>に記載の外用薬。
<19>静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行い、
前記静電スプレー装置はノズルを備えており、
前記ノズルは、金属を初めとする各種の導電体、又はプラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から前記組成物の吐出が可能な形状をしている前記<1>~<18>のいずれかに記載の外用薬。
<20>静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行い、
前記静電スプレー装置はノズル及び筐体を備えており、
前記筐体の長手方向の一端に、前記ノズルが配置されており、
前記ノズルは、前記組成物の吹き出し方向を、前記筐体の縦方向一致させて、肌側に向かい凸状になるように該筐体に配置されている前記<1>~<19>のいずれかに記載の被外用薬。
<21>噴霧された前記組成物を、溶媒である揮発性物質を液滴から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成する前記<1>~<20>のいずれかに記載の外用薬。
<22>静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行い、
前記静電スプレー装置はノズルを備えており、
前記ノズルと皮膚との間の距離は、30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましく、300mm以下であることが好ましく、150mm以下であることが更に好ましく、30mm以上、300mm以下にすることが好ましく、50mm以上150mm以下にすることが更に好ましい前記<1>~<21>のいずれかに記載の外用薬。
<23>静電スプレー法によって形成された被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、1g/m2以上であることが更に好ましく、30g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることが更に好ましく、0.1g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上20g/m2以下であることが更に好ましい前記<1>~<22>のいずれかに記載の外用薬。
<24>静電スプレーによって被膜を形成する静電スプレー工程の前及び/又は後に、水、ポリオール及び20℃の液体の油から選ばれる1種又は2種以上を含有する液剤を皮膚に施す液剤適用工程を有する<1>~<23>のいずれかに記載の外用薬。
<25>経皮投与による疾患の治療方法であって、(A)経皮投与可能な薬効成分を含有する外用剤を皮膚に適用する前又は後に下記成分(a)及び成分(b)を含有する組成物(B)を皮膚に直接静電スプレーして被膜を形成することを特徴とする方法。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー。
<26>(A)経皮投与可能な薬効成分を含有する外用剤と(B)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物とを組み合わせであって、前記外用剤(A)を皮膚に適用する前又は後に前記組成物(B)を皮膚に直接静電スプレーして被膜を形成して使用することを特徴とする組み合わせ。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー。
<27>外用薬製造のための使用であって、(A)経皮投与可能な薬効成分を含有する外用剤と(B)成分(a)及び成分(b)を含有する組成物とを組み合わせてなり、前記外用剤(A)を皮膚に適用する前又は後に前記組成物(B)を皮膚に直接静電スプレーして被膜を形成して使用することを特徴とする外用薬製造のための使用。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質、
(b)被膜形成能を有するポリマー。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
[試験1]
〔実施例1〕
(1)噴霧用組成物の調製
噴霧用組成物として、表3の組成物を用いた。
(2)外用剤(A)の調製
表1~表2記載のクリーム剤及び油性軟膏剤を製造した。製造法は、成分を混合してクリーム剤又は油性軟膏剤とした。
(クリーム剤の製造例)
成分1~6を70℃で加熱溶解した。一方、成分7~12を70℃で加熱溶解し、これを前記成分1~6を加熱溶融した混合液に入れ混合し、次いで70℃でホモミキサーを用いて乳化し、室温(25℃)まで徐冷してクリーム剤を得た
(油性軟膏剤の製造例)
成分2~3を70℃で加熱溶解した。その後、撹拌・混合しながら徐冷し50℃にした。成分1を前記成分2~3の混合液に入れ、撹拌・混合しながら室温(25℃)まで徐冷して油性軟膏剤を得た。
(3)外用剤塗布工程
人肌の硬度に近く主にウレタン樹脂から成るゲルに、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレート等から成る層で構成された人工皮革を両面テープで貼付して作製したモデル皮膚試験片の中央に2cm×4cmの適用領域を設定し、外用剤をなるべく均一に塗布した。
(4)静電スプレー工程
図1に示す構成を有し、図2に示す外観を有する静電スプレー装置10を用い、(3)の外用剤(A)適用工程で形成されたモデル皮膚試験片に向けて静電スプレー法を約10秒間行った。静電スプレー法の条件は以下に示すとおりとした。
・印加電圧:10kV
・ノズルと皮膚との距離:約100mm
・噴霧用組成物の吐出量:5mL/h
・環境:25℃、30%RH
この静電スプレーによって、モデル皮膚試験片の表面の適用領域上に繊維の堆積物からなる多孔性被膜が形成された。被膜の坪量は約4g/m2、繊維の太さは平均506nmであった。
[実施例2~10]
表1~表2記載の外用剤(A)と表3記載の噴霧用組成物を用いて実施例1と同様に、モデル皮膚試験片に外用剤(A)塗布及び静電スプレーを行った。
[比較例1~10]
図1に示す構成を有し、図2に示す外観を有する静電スプレー装置10を用い、基材層となる剥離紙を備えた金属製の回転コレクタに向けて静電スプレー(表3)を20秒間行った。静電スプレー法の条件は以下に示すとおりとした。
・印加電圧:30kV・ノズルと回転ドラムコレクタとの距離:100mm
・噴霧用組成物の吐出量:3mL/h
・環境:25℃、30%RH
この静電スプレーによって、剥離紙の表面に繊維の堆積物からなる多孔性被膜が形成され、剥離紙を2cm×4cmに切り取ってシートを得た。実施例1と同様に、モデル皮膚試験片の中央に2cm×4cmの適用領域を設定し、外用剤をなるべく均一に塗布した後、適用領域にシートを貼付した。被膜の坪量は約0.4mg/cm2、繊維の太さは平均506nmであった。
[比較例11~15]
外用剤(A)を塗布することなく、モデル皮膚試験片に対して実施例1と同様の静電スプレーを行った。
[評価]
試験片の適用領域に外用剤を塗布し、静電スプレーあるいはシート貼付を行った後、約2時間静置した後状態を確認する。試験片を適用領域長辺(4cm)の中線で180°谷折りにし、次いで広げるという屈曲操作を50回繰り返す。静電スプレー前後の状態を目視観察によって比較し、多孔性被膜の密着性がもっとも優れていたもの(多孔性被膜内に外用剤が十分に含浸し、白~灰色に見えることなく透明な状態)を「5」、多孔性被膜の密着性が全くないものを「1」として、貼付後密着性の5段階評価を行った。また、屈曲操作前後の状態を目視観察によって比較し、多孔性被膜の密着性がもっとも優れていたもの(屈曲による折り目部分でも多孔性被膜が浮くことなく密着し、白~灰色に見えることがなく透明な状態)を「5」、多孔性被膜の密着性が全くないものを「1」として、屈曲操作後密着性の5段階評価を行った。
結果を表3に示す。