以下、添付図面を参照して、本発明の各実施例について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号または対応する番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲または適用例をいかなる意味においても限定するものではない。
各実施例では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能であり、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。したがって、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
図1は、本発明の実施例1に係るセンサデータ監視システム1の構成を示す。本実施例は、搬送装置等を駆動するモータの異常検出を想定している。つまり、本実施例のセンサデータ監視システム1では、監視対象としてセンサデータの取得元となるモータ20を備える。また、モータ20には、動作電力供給を制御するモータ制御盤10が接続されている。また、センサデータ監視システム1は、モータ制御盤10からモータ20へ動作電力を供給する電力供給線11からなる設備(番号なし)に対し、電力供給線11の少なくとも1相のモータ駆動電流を計測する電流センサ30を備える。
さらに、センサデータ監視システム1は、電流センサ接続手段31を介してセンサデータを取得する異常予兆検出装置40を備える。そして、異常予兆検出装置40は、自身が提供する対話型ユーザインタフェースへのアクセスを行うクライアント装置60と、装置間接続手段50を介して接続される。
ここで、電流センサ30は、電力供給線11を流れるモータ駆動電流から所定の線形変換を施したアナログ値を出力する。もしくは、電流センサ30は、電流センサ30に内蔵されたアナログ-ディジタル変換部によりディジタル値に変換し、電流センサ接続手段31の接続手順に適合するセンサデータインタフェース部を介して、ディジタルデータを出力してもよい。このディジタルデータは、例えばI2CやSPIのような標準的な通信規格に準拠することが望ましい。
また、電流センサ接続手段31は、電流センサ30がアナログ出力の場合は有線とすることが典型的であり、ディジタル出力の場合は利用する通信規格に応じて有線または無線のいずれかを選択すればよい。
さらに、異常予兆検出装置40は、対話型ユーザインタフェースの実現手段として、HTTPサーバ機能、および/または、ファイルサーバ機能を備えていてよい。装置間接続手段50は、いわゆるネットワークで実現でき、有線もしくは無線イーサネット、携帯電話通信、特定小電力無線通信等の通信方式から要件に応じて適切に選択すればよい。
またさらに、クライアント装置60は、いわゆるコンピュータとして実現可能であるが、その機能については、後述する。
なお、異常予兆検出装置40をいわゆるクラウド化して実現してもよい。つまり、電流センサ接続手段31や装置間接続手段50をインターネットのような広域ネットワークで実現する。そして、異常予兆検出装置40を、電流センサ30やクライアント装置60と、広域ネットワークを介して接続する。
図2は、異常予兆検出装置40の詳細な機能構成の一例を示す。異常予兆検出装置40は、以下に記載する各構成を含む当該装置の少なくとも一部の動作を制御する装置制御部100を有する。他の構成としては、電流センサ接続手段31から入力されたセンサデータを取得し、アナログ入力の場合はディジタル値へ変換し、ディジタル化されたセンサデータを時系列に整列し一時格納するセンサデータ取得部110を有する。また、異常予兆検出装置40は、センサデータ取得部110により取得されたセンサデータの一部を切り出すデータフィルタリング部120を有する。さらに、異常予兆検出装置40は、データフィルタリング部120により切り出されたセンサデータに対し、所定のデータ解析アルゴリズムに基づくデータ解析処理を実行するデータ解析部130を有する。
またさらに、異常予兆検出装置40は、装置間接続手段50による装置間通信を制御するネットワークインタフェース部140および対話型ユーザインタフェースを実現するユーザインタフェース部150とを有する。以下、異常予兆検出装置40の各構成について説明する。
センサデータ処理制御パラメータ保存部160は、センサデータ処理制御パラメータの設定値を保存する。そして、センサデータ処理制御パラメータ保存部160は、センサデータ処理制御パラメータ提供手段161を通して、データフィルタリング部120とデータ解析部130にそれぞれ提供する。
データフィルタリング部120は、センサデータ転送手段111を介して、センサデータ取得部110が取得したセンサデータの入力を受け付ける。そして、データフィルタリング部120は、センサデータ処理制御パラメータの示す設定値に従い、入力センサデータの切り出し処理を実行する。このセンサデータ処理制御パラメータは、例えば、一定のデータ数をもつセンサデータを複数連続して切り出す切り出し処理の開始時刻またはインターバル、1回の切り出し処理における時間幅またはデータ数、切り出し処理の連続実行回数などを含んでもよい。但し、センサデータ処理制御パラメータは、これらに限定されない。なお、センサデータ処理制御パラメータについては、追って再度説明する。
次に、データ解析部130は、センサデータ転送手段121を介して、データフィルタリング部120が切り出したセンサデータの入力を受け付ける。そして、データ解析部130は、センサデータ処理制御パラメータの設定値に従い、所定のデータ解析アルゴリズムに基づくデータ解析処理を実行する。この実行の結果、データ解析部130は、解析結果として得られた特徴量データを、特徴量転送手段131を介して特徴量保存部170に、保存する。また、データ解析部130は、異常度データを、異常度転送手段132を介して異常度保存部180に保存する。
ここで、データ解析部130が実行するデータ解析アルゴリズムのうち、前半処理では、以下の(1)(2)の処理を実行する。
(1)入力センサデータごとに短時間フーリエ変換処理を行い、次元数が2以上の特徴として、周波数空間における最大強度(以下M0とも記載)と、最大強度を示す周波数(以下F0とも記載)を抽出する。
(2)本処理時点で異常予兆検出装置40が想定する制御モデルを反映したセンサデータ処理制御パラメータに基づき、入力センサデータの異常度を算出する、一連の処理を、入力センサデータ数だけ繰り返し実行する。
そして、データ解析アルゴリズムにおける前半処理に続いて実行する後半処理では、以下の(3)(4)の処理を実行する。
(3)前半処理で算出された異常度が事前に指定された範囲に含まれるセンサデータを選択する。
(4)選択されたセンサデータから抽出した特徴量の、特徴量空間内の分布から、公知のクラスタ分析手法を用いてクラスタ分析し、特徴量空間における1つ以上の制御モデルを生成する、一連の処理を実行する。
なお、データ解析部130が参照するセンサデータ処理制御パラメータには、特に制限されないが、以下のものを含んでもよい。つまり、短時間フーリエ変換やクラスタ分析処理が参照する制御パラメータに加え、クラスタ分析の対象とするか否かの判定基準となる異常度の閾値、生成する制御モデル数を含んでいてよい。
ここで、制御モデルとは、特徴量空間内の特徴量分布に対して、多変量正規分布による近似としてクラスタ分析を行った結果であり、典型的にはセンサデータ監視システム1の監視対象設備が特定の状態、例えば停止状態や無負荷運転状態であることに相当する。当該制御モデルを反映したセンサデータ処理制御パラメータの設定値を逆算出し、異常予兆検出装置40に設定することにより、当該特定状態からの乖離を示す異常度評価の行う際の基準とすることができる。なお、この異常度評価の処理内容については、後述する。
また、ネットワークインタフェース部140は、異常予兆検出装置40とクライアント装置60との間の通信を制御する。つまり、ネットワークインタフェース部140は、異常予兆検出装置40の内部データと、装置間接続手段50の準拠する通信プロトコルに適合する外部データとの間で、プロトコル処理および双方向のデータフォーマット変換を実行する。ここで、異常予兆検出装置40が送信し、クライアント装置60が受信するデータには、以下の(1)(2)がある。
(1)データ解析部130が生成し、異常度転送手段132を介してネットワークインタフェース部140が取得した異常度
(2)ユーザインタフェース部150が生成し、ユーザインタフェース接続手段141を介してネットワークインタフェース部140が取得した、対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプト
また、クライアント装置60が送信し、異常予兆検出装置40が受信するデータには、以下の(3)がある。
(3)クライアント装置60上に再現された対話型ユーザインタフェースの表示画面における利用者の操作に応答してクライアント装置60が生成し、ユーザインタフェース接続手段141を介してユーザインタフェース部150に提供される利用者操作情報。
また、ユーザインタフェース部150は、対話型ユーザインタフェースを実現する。つまり、ユーザインタフェース部150は、データ解析部130によるデータ解析結果を反映して生成した表示画面を利用者に提示する。また、ユーザインタフェース部150は、表示画面における利用者操作による処理指示を受け付ける。このような対話型ユーザインタフェースの典型的な実現手段として、HTTPサーバ機能が例示される。このHTTPサーバ機能により、クライアント装置60のもつHTTPクライアント機能との間でHTTP通信を行う。
また、装置制御部100は、以下のように、各構成を制御する。まず、装置制御部100は、制御インタフェース101によりセンサデータ取得部110の動作を制御する。また、装置制御部100は、制御インタフェース102によりデータフィルタリング部120の動作を制御する。また、装置制御部100は、制御インタフェース103によりデータ解析部130の動作を制御する。また、ユーザインタフェース部150は、制御インタフェース104によりネットワークインタフェース部140の動作を制御する。また、ユーザインタフェース部150は、制御インタフェース106によりセンサデータ処理制御パラメータ保存部160の動作を制御する。また、ユーザインタフェース部150は、制御インタフェース107により特徴量保存部170の動作を制御する。またさらに、ユーザインタフェース部150は、制御インタフェース108により異常度保存部180の動作を制御する。
加えて、装置制御部100は、制御インタフェース105によりユーザインタフェース部150の動作を制御する。このことで、装置制御部100は、利用者操作に応じたユーザインタフェース部150からの処理指示に基づき、制御インタフェース101、102、103、104、106、107、108のそれぞれを適切に制御する。このことで各部に所定の処理を実行させるとともに、制御インタフェース105を介して、対話型ユーザインタフェースの表示画面の更新を指示する。以上により、表示画面の生成に必要な特徴量および異常度データを提供することが可能になる。
なお、装置制御部100が実行する処理の一部または全部は、図示しないマイクロプロセッサ、メモリ、およびメモリ内に格納された当該マイクロプロセッサ上で動作するプログラムの組み合わせとして実現できる。但し、この実現手法は一例であり、他の構成で実現してもよい。
次に、図3は、クライアント装置60の詳細な機能構成の一例を示す。クライアント装置60は、当該装置の少なくとも一部の動作を制御する装置制御部200を有する。また、クライアント装置60は、異常予兆検出装置40から取得した異常度データ、および対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプトを処理するデータ処理部210を有する。また、クライアント装置60は、データ転送手段211を介してデータ処理部210による処理前後のデータを保存するデータ保存部220を有する。また、クライアント装置60は、装置間接続手段50による装置間通信を制御するネットワークインタフェース部230を有する。また、クライアント装置60は、利用者に対するインタフェースとなる入出力装置を接続する入出力インタフェース部240を有する。
また、クライアント装置60は、出力データ転送手段241を介して接続されるディスプレイ装置250を有する。さらに、クライアント装置60は、入力データ転送手段261を介して接続される入力装置260を有する。このクライアント装置60は、典型的にはパーソナルコンピュータや携帯情報端末等の情報機器で実現できる。なお、データ保存部220、ディスプレイ装置250および入力装置260は、クライアント装置60と別筐体で構成してもよい。また、ディスプレイ装置250および入力装置260については、タッチパネルなどで一体として構成してもよい。
ここで、データ処理部210は、ネットワークインタフェース部230から、ネットワークデータ転送手段212を介して取得した異常度データについて、解析や集計等の所定の処理を実行する。そして、データ処理部210は、データ転送手段211を利用して実行結果データをデータ保存部220に保存する。また、データ処理部210は、異常予兆検出装置40内のユーザインタフェース部150との間でHTTP通信を確立する。そして、データ処理部210は、ユーザインタフェース部150が提供する対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプトをクライアント装置60に対して送信することを要求する。また、データ処理部210は、受信したスクリプトから表示画面を再現し、再現した表示画面における、入力装置260からの利用者による操作を反映した所定の利用者操作情報を生成し、生成した利用者操作情報をユーザインタフェース部150に送信する。
次に、ネットワークインタフェース部230は、異常予兆検出装置40とクライアント装置60との間の通信を制御する。つまり、ネットワークインタフェース部230は、クライアント装置60の内部データと、装置間接続手段50の準拠する通信プロトコルに適合する外部データとの間で、プロトコル処理および双方向のデータフォーマット変換を実施する。異常予兆検出装置40が送信し、クライアント装置60が受信するデータには、以下の(1)(2)がある。
(1)異常予兆検出装置40内のデータ解析部130が生成し、ネットワークインタフェース部230でのデータフォーマット変換後、ネットワークデータ転送手段212を介してデータ処理部210に出力される異常度データ
(2)ユーザインタフェース部150からクライアント装置60に送信されたスクリプト
なお、(2)は、データ処理部210からユーザインタフェース部150に対する、対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプトの送信要求に応答するものである。
また、クライアント装置60が送信し、異常予兆検出装置40が受信するデータには、以下の(3)(4)がある。
(3)対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプトの送信要求
(4)利用者による操作を反映してデータ処理部210が生成した利用者操作情報
なお、(4)は、受信した対話型ユーザインタフェースの表示画面を記述するスクリプトをデータ処理部210が処理し、再現した表示画面において、利用者による操作を反映したものである。
次に、入出力インタフェース部240は、装置制御部200による制御の下、制御インタフェース201および入出力インタフェース接続手段204を介して、データ処理部210が再現した対話型ユーザインタフェースの表示画面データを受信する。そして、入出力インタフェース部240は、例えばMIPIといった標準的な通信規格に準拠する出力データ転送手段241を利用し、当該表示画面データをディスプレイ装置250に転送する。また、ディスプレイ装置250は、受信した表示画面データを表示することで、クライアント装置60上に再現された対話型ユーザインタフェースを可視化する。
また、入出力インタフェース部240には、さらに、可視化された対話型ユーザインタフェースに対して利用者が行った操作情報を取得する入力装置260と接続している。この入力装置260は、キーボードやマウス等で実現できる。そして、入出力インタフェース部240は、USBやシリアル通信等の周辺機器接続規格に準拠する入力データ転送手段261を介して入力装置260と接続される。なお、入出力インタフェース部240は、取得した操作情報を、装置制御部200による制御の下、入出力インタフェース接続手段204および制御インタフェース201を介して、データ処理部210に転送する。
次に、装置制御部200は、制御インタフェース201によりデータ処理部210の動作を制御する。また、装置制御部200は、制御インタフェース203によりネットワークインタフェース部230の動作を制御する。
また、装置制御部200は、データ処理部210と入出力インタフェース部240との間で、制御インタフェース201と入出力インタフェース接続手段204により、入出力データの転送を行う。
なお、装置制御部200が実行する処理の一部または全部は、図示しないマイクロプロセッサ、メモリ、およびメモリ内に格納された当該マイクロプロセッサ上で動作するプログラムの組み合わせとして実現できる。但し、この実現手法は一例であり、他の構成で実現してもよい。
次に、図4から図6を用いて、対話型ユーザインタフェースの表示画面のレイアウトについて詳細に説明する。いずれの表示画面も以下のように生成される。まず、異常予兆検出装置40内のユーザインタフェース部150が表示画面を記述するスクリプトを生成すする。そして、これら表示画面は、クライアント装置60内のデータ処理部210の動作により実現されたHTTPクライアント機能により、当該スクリプトを処理し、ディスプレイ装置250に表示される。また、これら表示画面は、異常度評価処理に関するものである。
まず、図4に、異常度評価処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面300の一例を示す。つまり、表示画面300は、異常度評価処理における表示画面である。この異常度評価処理とは、異常予兆検出装置40が異常度評価の基準とする制御モデルがセンサデータ処理制御パラメータ保存部160に保存された状態において、電流センサ30から取得したセンサデータの当該制御モデルからの乖離を示すための処理である。このために、本実施例では、異常度を算出する異常度算出処理を実行する。
ここで、異常度評価の基準とする制御モデルとは、当該制御モデルを反映した異常度算出処理となるよう逆算出されたセンサデータ処理制御パラメータの設定値である。なお、特に限定されないが、異常予兆検出装置40の動作開始時には、本画面が表示されるものとする。
表示画面300は、現在異常予兆検出装置40に設定されている制御モデルを基準として算出した異常度を表示する異常度表示部310を有する。また、表示画面は、各種指定ボタンとして、異常度算出処理の開始を要求する異常度評価開始ボタン320、異常度算出処理の停止を要求する異常度評価停止ボタン330、特徴量抽出および制御モデルの設定を要求する特徴量抽出・設定ボタン340を含む。これら各種指定ボタンは、入力装置260として接続されたマウスのボタンをクリックするなど、利用者による操作が可能なオブジェクトである。なお、表示画面300に係る対話型ユーザインタフェースの動作詳細については、図7とともに後述する。
図5に、特徴量抽出処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面400の一例を示す。つまり、表示画面400は、特徴量抽出処理における表示画面である。この特徴量抽出処理とは、異常予兆検出装置40のデータ解析部130が実行するデータ解析アルゴリズムの前半処理である。この前半処理とは、センサデータに対する短時間フーリエ変換処理による特徴量(M0およびF0)の抽出を行う処理である。なお、特に制限されないが、表示画面400は、表示画面300における、特徴量抽出・設定ボタン340の操作に応じて、HTTPクライアント機能により表示されるものとする。
また、表示画面400は、データフィルタリング部120で切り出したセンサデータの波形を表示する入力波形表示部410と、周波数スペクトルを表示する周波数スペクトル表示部420とを有する。ここで、周波数スペクトルとは、切り出したセンサデータに対して短時間フーリエ変換処理を実行した結果である。
さらに、表示画面400は、短時間フーリエ変換処理の処理内容を定義する制御パラメータの1つとして、窓幅時間の現在値を表示する現在値表示部430と、窓幅時間の設定更新を要求する場合に更新後の値を指定する更新値入力部431とを有する。また、表示画面400は、各種ボタンとして、窓幅時間の設定更新を要求する設定更新ボタン440と、特徴量抽出処理の開始を要求する抽出開始ボタン450と、特徴量抽出処理の停止を要求する抽出停止ボタン460とを有する。またさらに、表示画面400は、各種ボタンとして、特徴量抽出処理を終了し、制御モデル候補提示・設定処理への遷移を要求する次へボタン470と、特徴量抽出処理を終了し、異常度評価処理への遷移を要求するキャンセルボタン480とを有する。
このうち、更新値入力部431、設定更新ボタン440、抽出開始ボタン450、抽出停止ボタン460、次へボタン470、キャンセルボタン480は、入力装置260を介して、利用者による操作が可能なオブジェクトである。なお、この操作には、キーボードからキー入力する、マウスのボタンをクリックするなどが含まれる。なお、本表示画面に係る対話型ユーザインタフェースの動作詳細については、図8とともに後述する。
図6に、制御モデル候補提示・設定処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面500の一例を示す。つまり、表示画面500は、制御モデル候補提示・設定処理のおける表示画面である。この制御モデル候補提示・設定処理は、異常予兆検出装置40のデータ解析部130が実行するデータ解析アルゴリズムの後半処理である。この後半処理は、異常度が事前に指定された範囲に含まれるセンサデータの選択と、選択されたセンサデータから抽出した特徴量に基づく制御モデル候補の生成・設定処理である。なお、特に限定されないが、表示画面500は表示画面400における、次へボタン470の操作に応じて、HTTPクライアント機能により表示されるものとする。
また、表示画面500は、多次元マップ表示部510、候補リスト表示部540、スペクトログラム表示部520、モデル数表示・入力部550の各種表示部を有する。ここで、多次元マップ表示部510は、異常度が事前に指定された範囲に含まれるセンサデータから抽出した、1つ以上の特徴量511に関して、以下の情報を表示する。これは、特徴量空間における特徴量511の分布と、特徴量511の分布に対するクラスタ分析により得られた1つ以上の制御モデル候補512、513、514である。これらについては、併せて表示されることが可能である。
また、候補リスト表示部540は、制御モデル候補512、513、514をリスト形式で集約して表示する。さらに、スペクトログラム表示部520は、スペクトログラムを表示する。このスペクトログラムは、多次元マップ表示部510または候補リスト表示部540における選択操作により選択状態にある制御モデル候補513の近傍にある、特徴量511を算出する前のセンサデータに対するスペクトログラムである。
なお、この近傍には、図示した制御モデル候補513の枠内や図示した枠に対して一定条件を満たすものを含む。一定条件には、制御モデル候補512、513、514のうち、制御モデル候補513の枠に最も近いものや一定範囲内で近いものが含まれる。また、スペクトログラムは、当該制御モデル近傍の特徴量511を算出する前のセンサデータごとに表示される。
さらに、モデル数表示・入力部550は、作成する制御モデル候補数の現在値を表示する。そして、モデル数表示・入力部550は、制御モデルの再作成を要求する際には、利用者からその候補数の指定を受け付ける。
また、表示画面600には、モデル再作成ボタン560、モデル設定ボタン570、処理完了ボタン580を有する。まず、モデル再作成ボタン560は、利用者から制御モデル候補の再作成の要求を受け付ける。
また、モデル設定ボタン570は、利用者からセンサデータ処理制御パラメータの設定値の逆算出の要求を受け付ける。センサデータ処理制御パラメータは、多次元マップ表示部510または候補リスト表示部540において選択状態にある制御モデル候補から逆算出される。また、逆算出されたセンサデータ処理制御パラメータの設定値は、モデル設定ボタン570への操作に応じて、センサデータ処理制御パラメータ保存部160へ保存される。また、処理完了ボタン580は、利用者からの操作に応じて、制御モデル候補提示・設定処理を終了し、異常度評価処理への遷移の要求を受け付ける。
なお、多次元マップ表示部510内に表示された制御モデル候補512、513、514を示す領域に対して、入力装置260を介して利用者からの操作を受け付けることが可能なオブジェクトである。また、候補リスト表示部540、モデル数表示・入力部550、モデル再作成ボタン560、モデル設定ボタン570、処理完了ボタン580も同様に、入力装置260を介して利用者からの操作を受け付けることが可能なオブジェクトである。なお、入力装置260からの入力として、キーボードからのキー入力、マウスのボタンのクリックが含まれる。なお、表示画面500に係る対話型ユーザインタフェースの動作詳細については、図9とともに後述する。
ここで、制御モデル候補近傍にある特徴点とは、クラスタ分析における多変量正規分布の中心から所定の分散(例えば3σ)をもつ領域を示す楕円体に含まれる特徴量とする。また、センサデータごとのスペクトログラムは、データ解析部130における特徴量抽出処理を実行する際に作成される。また、スペクトログラムは、特徴量保存部170、または図2に示されていないスペクトログラム保存部に格納されている。もしくは、スペクトログラムは、スペクトログラム表示部520の表示内容を更新するごとに、センサデータ取得部110内に一時格納されたセンサデータから再計算される。
なお、多次元マップ表示部510における制御モデル候補と、候補リスト表示部540における制御モデル候補の選択状態は、HTTPサーバ側、すなわちユーザインタフェース部150の機能として適宜一致するよう制御されるものとする。また、モデル設定ボタン570を操作せずに処理完了ボタン580を操作して制御モデル候補提示・設定処理を完了させた場合、設定済みの制御モデルを維持する。
続いて、図7から図9を用いて、対話型ユーザインタフェースの表示画面に係るデータ処理フローについて詳細に説明する。表示画面を記述するスクリプト生成の主体は、異常予兆検出装置40内のユーザインタフェース部150が提供するHTTPサーバ機能である。クライアント装置60内のデータ処理部210の動作により実現されるHTTPクライアント機能と連携することで、利用者による操作に応答し、特徴量抽出やクラスタ分析等の所定のデータ処理の結果を反映したスクリプトの更新を行う。
図7に、異常度評価処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面300に係る、異常度評価処理フローを示す。本フローの初期状態においては、異常度評価処理は停止している。このため、異常度表示部310には異常度評価処理が停止中であることを示す所定の文字列が表示されているものとする。つまり、この文字列の表示は、異常予兆検出装置40を起動し、ユーザインタフェース部150が動作を開始した時点で表示される。以下、図7に従って、各処理ステップを説明する。
本処理フローを開始すると、装置制御部100は、まず異常度評価中フラグをクリア(S300)する。次に、装置制御部100は、特徴量抽出・設定ボタン340により利用者が特徴量抽出処理への遷移を要求しているかどうかをチェック(S310)する。
この結果、要求があれば(S310:Yes)、装置制御部100は、異常度評価中フラグをクリア(S311)する。そして、装置制御部100は、図8に示す特徴量抽出処理を実行(S312)したのち、ステップS310に戻る。
ステップS310で要求がない場合(S310:No)、装置制御部100は、異常度評価停止ボタン330により利用者が異常度評価処理停止を要求しているかどうかをチェック(S320)する。この結果、要求があれば(S320:Yes)、装置制御部100は、異常度評価中フラグをクリア(S321)する。そして、装置制御部100は、異常度表示部310に異常度評価処理が停止中であることを示す所定の文字列を表示させたのち、ステップS310に戻る。
また、上述のように、装置制御部100は、異常度評価処理停止の要求があったかをチェック(S320)する。この結果、ステップS320で要求がない場合(S320:No)、装置制御部100は、異常度評価開始ボタン320により利用者が異常度評価処理開始を要求しているかどうかをチェック(S330)する。この結果、要求があれば(S330:Yes)、装置制御部100は、異常度評価中フラグをセット(S331)する。
ステップS330で要求がない場合(S330:No)、またはステップS331の処理後、装置制御部100は、異常度評価中フラグがセット状態であるか否かをチェック(S340)する。この結果、セット状態(S340:Yes)であれば、装置制御部100は、その際に異常予兆検出装置40に設定されている制御モデルに基づき異常度を算出し、異常度表示部310の内容を算出された値に更新(S341)する。そして、ステップS310に戻る。
ステップS340でクリア状態(S340:No)であれば、装置制御部100は、ステップS310に戻る。
ここで、図8に、ステップS312の詳細、つまり、特徴量抽出処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面400に係る、特徴量抽出処理フローを示す。本ステップを実行する際、その初期状態においては、入力波形表示部410と周波数スペクトル表示部420はいずれも非表示である。また、現在値表示部430と更新値入力部431には、前回の特徴量抽出処理の際に利用した設定値、もしくは所定の既定値が表示されているものとする。具体的には、表示画面300の、特徴量抽出・設定ボタン340の操作により、利用者が特徴量抽出処理への遷移を要求した場合に表示される画面が表示されている。
本処理フローを開始すると、装置制御部100は、まず抽出処理中フラグをクリア(S400)し、特徴量保存部170に格納されている、前回の抽出処理において抽出済みの特徴量を削除(S401)する。
次に、装置制御部100は、キャンセルボタン480により利用者が特徴量抽出処理の中断を要求しているかどうかをチェック(S410)する。この結果、要求があれば(S410:Yes)、装置制御部100は、抽出処理中フラグをクリア(S411)したのち、本処理を終了し、図7に示す異常度評価処理に戻る。
ステップS410で要求がない場合(S410:No)、装置制御部100は、次へボタン470により利用者が特徴量抽出処理の完了と制御モデル候補提示・設定処理への遷移を要求しているかどうかをチェック(S420)する。この結果、要求があれば(S420:Yes)、装置制御部100は、抽出処理中フラグをクリア(S421)し、図9に示す制御モデル候補提示・設定処理を実行(S422)したのち、本処理を終了し、図7に示す異常度評価処理に戻る。
ステップS420で要求がない場合(S420:No)、装置制御部100は、設定更新ボタン440により利用者が窓幅時間の設定値更新を要求しているかどうかをチェック(S430)する。この結果、要求があれば(S430:Yes)、装置制御部100は、実行中の特徴量抽出処理をキャンセルするため抽出処理中フラグをクリア(S431)する。次に、装置制御部100は、窓幅時間の設定値を更新値入力部431に設定された値に変更(S432)する。次に、装置制御部100は、特徴量保存部170に格納されている、抽出済みの特徴量を削除(S433)する。そして、装置制御部100は、入力波形表示部410と周波数スペクトル表示部420をいずれも非表示に変更し、現在値表示部430の内容を更新後の設定値に変更したのち、ステップS410に戻る。
ステップS430で要求がない場合(S430:No)、装置制御部100は、抽出停止ボタン460により利用者が特徴量抽出処理の停止を要求しているかどうかをチェック(S440)する。この結果、要求があれば(S440:Yes)、装置制御部100は、抽出処理中フラグをクリア(S441)したのち、ステップS410に戻る。なお、特徴量抽出処理の実行回数を記憶しておき、あらかじめ指定された回数実行した時点で、利用者からの停止要求によらず、抽出処理を停止させる機能をユーザインタフェース部150に持たせてもよい。
ステップS440で要求がない場合(S440:No)、装置制御部100は、抽出開始ボタン450により利用者が特徴量抽出処理の開始を要求しているかどうかをチェック(S450)する。この結果、要求があれば(S450:Yes)、装置制御部100は、抽出評価中フラグをセット(S451)する。
ステップS450で要求がない場合(S450:No)、またはステップS451の処理後、装置制御部100は、抽出評価中フラグがセット状態であるか否かをチェック(S460)する。この結果、セット状態(S460:Yes)であれば、装置制御部100は、データフィルタリング部120が切り出した1区間分のセンサデータを対象に、当該センサデータから特徴量(M0、F0)を抽出する。そして、装置制御部100は、抽出した特徴量を特徴量保存部170に保存し、その際に設定されている制御モデルに基づき算出した異常度を異常度保存部180に保存する。また、装置制御部100は、入力波形表示部410には当該センサデータの波形を表示し、周波数スペクトル表示部420には当該センサデータを短時間フーリエ変換処理した周波数スペクトルを表示するまでの、一連の処理(S461)を実行する。そして、ステップS410に戻る。
ステップS460でクリア状態(S460:No)であれば、装置制御部100は、ステップS410に戻る。
次に、図9に、制御モデル候補提示・設定処理用の対話型ユーザインタフェースの表示画面500に係る、制御モデル候補提示・設定処理フローを示す。本処理での初期状態においては、多次元マップ表示部510とスペクトログラム表示部520はいずれも非表示である。また、候補リスト表示部540は候補リストのない状態での表示、モデル数表示・入力部550は前回の制御モデル候補提示・設定処理の際に利用した設定値、もしくは所定の既定値が表示されているものとする。つまり、表示画面400の次へボタン470の操作により、利用者が制御モデル候補提示・設定処理への遷移を要求した場合に表示される。
本処理フローを開始すると、装置制御部100は、以下に示す制御モデル候補の作成処理(S500)を実行する。このために、まず特徴量抽出処理において算出し異常度保存部180に保存されている異常度に応じて、装置制御部100が、事前に指定された範囲に含まれるセンサデータを選択する。次に、装置制御部100は、選択されたセンサデータから抽出した特徴量を特徴量保存部170から読み込み、読み込んだ特徴量を対象にクラスタ分析処理を実行する。そして、装置制御部100は、モデル数表示・入力部550に設定された数の制御モデル候補を生成する。
次に、装置制御部100は、以下に示す制御モデル候補を選択可能とする表示制御(S501)を実行する。このために、装置制御部100は、多次元マップ表示部510に対して、クラスタ分析処理の対象となった特徴量と、生成された制御モデル候補の特徴量空間における分布を示すよう表示内容を更新する。また、装置制御部100は、分散が最小であるなど所定の指標に基づき選択した制御モデル候補の1つが選択状態であることを示すよう表示内容を更新する。
また、装置制御部100は、スペクトログラム表示部520に対しては、選択状態にある制御モデル候補の近傍にある特徴量の元となるセンサデータに関するスペクトログラムを示すよう表示内容を更新する。また、候補リスト表示部540に対しては、生成された制御モデル候補がリスト形式で配置され、かつ選択状態にある制御モデル候補がリストから選択されている状態となるよう表示内容を更新する。
次に、装置制御部100は、処理完了ボタン580により利用者が制御モデル候補提示・設定処理の完了を要求しているかどうかをチェック(S510)する。この結果、要求があれば(S510:Yes)、装置制御部100は、本処理を終了し、図8に示す特徴量抽出処理に戻る。
ステップS510で要求がない場合(S510:No)、装置制御部100は、モデル設定ボタン570により利用者が選択状態にある制御モデル候補の異常予兆検出装置40への設定を要求しているかどうかをチェック(S520)する。この結果、要求があれば(S520:Yes)、装置制御部100は、選択状態にある制御モデルからセンサデータ処理制御パラメータの設定値を逆算出する。また、装置制御部100は、センサデータ処理制御パラメータ保存部160へ保存することで、当該モデルを異常予兆検出装置40に設定(S521)し、ステップS510に戻る。
ステップS520で要求がない場合(S520:No)、装置制御部100は、モデル再作成ボタン560により利用者が制御モデル候補の再作成を要求しているかどうかをチェック(S530)する。この結果、要求があれば(S530:Yes)、装置制御部100は、それぞれステップS500と共通の処理(S531)およびステップS501と共通の処理(S532)を実行する。そして、ステップS501に戻る。なお、作成される制御モデル候補数は、再作成の要求時点でモデル数表示・入力部550に設定されている値により特定することが望ましい。また、作成モデル数の変更に合わせて利用者が要求した再作成処理を行うことが望ましい。
また、ステップS530で要求がない場合(S530:No)、装置制御部100は、多次元マップ表示部510に対する制御モデル候補の選択動作があるかどうかをチェック(S540)する。選択動作には、各制御モデル候補を示す所定の領域をマウスボタンでクリックする、または候補リスト表示部540から制御モデル候補リストの1つを選択することが含まれる。選択動作があれば(S540:Yes)、以下のステップ541を実行する。まず、装置制御部100は、多次元マップ表示部510に対して、新たに選択された制御モデル候補が選択状態であることを示すよう表示内容を更新する。また、スペクトログラム表示部520に対して、装置制御部100は、新たに選択状態となった制御モデル候補の近傍にある特徴量の元となるセンサデータに関するスペクトログラムを示すよう表示内容を更新する。さらに、候補リスト表示部540に対して、装置制御部100は、新たに選択状態となった制御モデル候補がリストから選択されている状態となるよう表示内容を更新するそして、ステップS510に戻る。
以上説明したように、実施例1によれば、異常予兆検出装置が実行したセンサデータの特徴量抽出結果や、クラスタ分析に基づき作成した制御モデル候補を、利用者の理解が容易となる態様で提示する。またセンサデータ処理に利用する制御パラメータの修正、特徴量抽出や制御モデル候補作成処理の再実行、異常度評価の基準とする制御モデル候補の選択といった利用者からの指示を受け付ける対話型ユーザインタフェースを実現できる。このため、熟練者による手作業に対する依存度を大幅に削減できる。