以下、図面を参照し、本発明について説明する。
有機金属化合物
燐光物質で励起子が発光する際、発光スペクトルの幅が広くなって色純度が低下し、量子効率も高くない。本発明にかかる有機金属化合物は、堅い化学構造を持つため、有機発光ダイオードに導入された場合、有機発光ダイオードの駆動電圧を低下させ、発光効率および発光寿命を向上させる。本発明にかかる有機金属化合物は、下記の化学式(1)で表される構造を有することができる。
化学式(1)中、Mは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、または銀(Ag)であり、AとBとCは、それぞれ独立して、5若しくは6員の芳香族環、または5若しくは6員のヘテロ芳香族環である。X1とX2は、それぞれ独立して、CR4、N、またはPであり、X1とX2のうち、一方はCR4であり、他方はN、またはPである。Y1とY2は、それぞれ独立して、BR5、CR5R6、C=O、C=NR5、SiR5R6、NR5、PR5、AsR5、SbR5、BiR5、P(O)R5、P(S)R5、P(Se)R5、As(O)R5、As(S)R5、As(Se)R5、Sb(O)R5、Sb(S)R5、Sb(Se)R5、Bi(O)R5、Bi(S)R5、Bi(Se)R5、O、S、Se、Te、SO、SO2、SeO、SeO2、TeO、およびTeO2で構成される群から選択される。R1~R6は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシ基、シリル基、C1~C20のアルキルシリル基、C1~C20のアルキル基、C1~C20のヘテロアルキル基、C2~C20のアルケニル基、C2~C20のヘテロアルケニル基、C2~C20のアルキニル基、C2~C20のヘテロアルキニル基、C1~C20のアルコキシ基、C1~C20のアルキルアミノ基、C3~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C30の芳香族基、およびC3~C30のヘテロ芳香族で構成される群から選択されるか、またはaとbとcがそれぞれ2以上である場合、R1~R3は、それぞれ独立して、隣接する官能基と結合し、C4~C20の脂環族環、C3~C20のヘテロ脂環族環、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができる。前記R1~R6をそれぞれ構成する前記アルキル基、前記ヘテロアルキル基、前記アルケニル基、前記ヘテロアルケニル基、前記アルコキシ基、前記アルキルアミノ基、前記アルキルシリル基、前記脂環族基、前記ヘテロ脂環族基、前記芳香族基、および前記ヘテロ芳香族基は、それぞれ独立して、非置換、若しくは重水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C4~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C20の芳香族基、C3~C20のヘテロ芳香族基、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される官能基で置換されてもよく、R1~R3の隣接する官能基が結合して形成する前記脂環族環、前記ヘテロ脂環族環、前記芳香族環、および前記ヘテロ芳香族環は、それぞれ独立して、非置換若しくは少なくとも1つのC1~C10のアルキル基で置換されてもよい。aとbとcは、それぞれ置換基のR1、R2、R3の数であって、aは0~3の整数であり、bは0~2の整数であり、cは0~4の整数であり得る。[Z1-Z2]はアセチルアセトナート系補助配位子であり、mは1~3の整数であり、nは0~2の整数であり、m+nは金属元素Mの酸化数を表す。
本明細書において、「非置換」は水素原子で置換されていることを意味し、この場合、水素原子に軽水素が含まれる。
本明細書において、「置換」という用語が用いられた場合、置換基は、例えば、重水素、三重水素、非置換若しくはハロゲンで置換されたアルキル基、非置換若しくはハロゲンで置換されたアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミン基、アルキルアミン基、ニトロ基、ヒドラジル基、スルホン酸基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、シクロアルキルシリル基、アリールシリル基、非置換若しくは置換のアリール基、ヘテロアリール基などが挙げられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
本明細書中の「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロ脂環族」、「ヘテロ芳香族」などにおける「ヘテロ」は、これら脂肪族環や芳香族環または脂環族環を構成する炭素原子の1つ以上、例えば、1~5つの炭素原子が、N、O、S、Si、Se、P、Bおよびこれらの組み合わせで構成される群から選択された1つ以上のヘテロ原子で置換されたことを意味する。
例えば、化学式(1)中、R1~R6が、C6~C30の芳香族官能基である場合、該芳香族官能基は、C6~C30のアリール基、C7~C30のアリールアルキル基、C6~C30のアリールオキシ基、C6~C30のアリールアミノ基などであり得る。一例に、R1~R6がC6~C30のアリール基である場合、アリール基は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、アントラセニル、ペンタレニル、インデニル、インデノインデニル、ヘプタレニル、ビフェニルレニル、インダセニル、フェナレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、ジベンゾフェナントレニル、アズレニル、ピレニル、フルオランテニル、トリフェニルレニル、クリセニル、テトラフェニル、テトラセニル、プレイアデニル、ピセニル、ペンタフェニル、ペンタセニル、フルオレニル、インデノフルオレニル、またはスピロフルオレニルのような、縮合若しくは非縮合のアリール基であり得る。
また、化学式(1)中、R1~R6が、C3~C30のヘテロ芳香族官能基である場合、該ヘテロ芳香族官能基は、C3~C30のヘテロアリール基、C4~C30のヘテロアリールアルキル基、C3~C30のヘテロアリールオキシ基、C3~C30のヘテロアリールアミノ基などであり得る。一例に、R1~R6がC3~C30のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、ピロリジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル、ベンゾフロカルバゾリル、ベンゾチエノカルバゾリル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、キナゾリニル、キノゾリニル、キノリジニル、プリニル、ベンゾキノリニル、ベンゾイソキノリニル、ベンゾキナゾリニル、ベンゾキノキサリニル、アクリジニル、フェナントロリニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、プテリジニル、ナフタリジニル、フラニル、ピラニル、オキサジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ジオキシニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオピラニル、キサンテニル、クロメニル、イソクロメニル、チアジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ジフロピラジニル、ベンゾフロジベンゾフラニル、ベンゾチエノベンゾチオフェニル、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル、ベンゾチエノベンゾフラニル、ベンゾチエノジベンゾフラニル、若しくはN置換のスピロフルオレニルのような縮合または非縮合のヘテロアリール基であり得る。
例えば、化学式(1)中、R1~R6をそれぞれ構成する芳香族官能基、またはヘテロ芳香族官能基は、1~3つの芳香族環からなり得る。化学式(1)中、R1~R6をそれぞれ構成する芳香族基、またはヘテロ芳香族官能基における芳香族基、またはヘテロ芳香族環の数が増大すると、有機化合物の共役構造が長くなりすぎて、有機金属化合物のバンドギャップが非常に狭くなり得る。一例に、化学式(1)中、R1~R3をそれぞれ構成するアリール基、またはヘテロアリール基は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピロリル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、カルバゾリル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、フェノキサジニル、および/またはフェノチアジニルを含むが、本発明がこれに限定されるものではない。
一方、化学式(1)中、隣接するR1~R3は、それぞれ結合し、非置換若しくはアルキルで置換されたC4~C20の脂環族環(例えば、C4~C10の脂環族環)、非置換若しくはアルキルで置換されたC3~C20のヘテロ脂環族環(例えば、C3~C10のヘテロ脂環族環)、非置換若しくはアルキルで置換されたC6~C20の芳香族環(例えば、C6~C10の芳香族環)、または非置換若しくはアルキルで置換されたC3~C20のヘテロ芳香族環(例えば、C3~C10のヘテロ芳香族環)を形成することができる。互いに隣接するそれぞれのR1~R3が結合して形成する脂環族環、ヘテロ脂環族環、芳香族環およびヘテロ芳香族環は、特に限定されるものではない。例えば、これらの官能基が結合して形成し得る芳香族環、またはヘテロ芳香族環は、ベンゼン環、ピリジン環、インドール環、ピラン環、C1~C10のアルキルで置換され得るフルオレン環などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
化学式(1)の構造を有する有機金属化合物は、少なくとも5つの環が縮合した配位子を有する。堅い化学構造を持つため、発光過程において化学構造が回転することなく、良好な発光寿命を安定して維持することができる。励起子の発光により、本発明に係る有機金属化合物の発光スペクトルを特定の範囲に制限することができるので、色純度を向上させることができる。
また、有機金属化合物は、中心金属に結合する2座配位子が互いに異なるヘテロレプティック金属借体であり得る。互いに異なる2座配位子が結合することにより、発光色と発光色純度を容易に調節することができる。また、それぞれの配位子に様々な置換基を導入し、色純度や発光ピークを調節することができる。化学式(1)の構造を有する有機金属化合物は、赤色光を発することができ、有機発光ダイオードの発光効率を向上させることができる。
例示的側面において、化学式(1)の構造を有する有機金属化合物として、A環とB環とC環は、それぞれ6員の芳香族環、または6員のヘテロ芳香族環を含むことができる。かかる有機金属化合物は、下記の化学式(2)で表される構造を有することができる。
化学式(2)中、M、X1、X2、Y1、Y2、[Z1-Z2]、mおよびnは、それぞれ化学式(1)で定義したものと同じである。X3~X5は、それぞれ独立して、CR7、N、P、SおよびOで構成される群から選択され、X3~X5のうち、少なくとも1つはCR7である。X6~X8は、それぞれ独立してCR8、N、P、SおよびOで構成される群から選択され、X6~X8のうち、少なくとも1つはCR8である。X9とX10は、それぞれ独立してCR9、N、P、SおよびOで構成される群から選択され、X9とX10のうち、少なくとも1つはCR9である。R7~R9は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシ基、シリル基、C1~C20のアルキルシリル基、C1~C20のアルキル基、C1~C20のヘテロアルキル基、C2~C20のアルケニル基、C2~C20のヘテロアルケニル基、C2~C20のアルキニル基、C2~C20のヘテロアルキニル基、C1~C20のアルコキシ基、C1~C20のアルキルアミノ基、C3~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C30の芳香族基、およびC3~C30のヘテロ芳香族基で構成される群から選択されるか、またはそれぞれ独立して、隣接する官能基と結合し、C4~C20の脂環族環、C3~C20のヘテロ脂環族環、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができる。前記R7~R9をそれぞれ構成する前記アルキル基、前記ヘテロアルキル基、前記アルケニル基、前記ヘテロアルケニル基、前記アルコキシ基、前記アルキルアミノ基、前記アルキルシリル基、前記脂環族基、前記ヘテロ脂環族基、前記芳香族基、および前記ヘテロ芳香族基は、それぞれ独立して、非置換若しくは重水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C4~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C20の芳香族基、C3~C20のヘテロ芳香族基、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される官能基で置換されてもよく、R7~R9の隣接する官能基が結合して形成する前記脂環族環、前記ヘテロ脂環族環、前記芳香族環、および前記ヘテロ芳香族環は、それぞれ独立して、非置換若しくは少なくとも1つのC1~C10のアルキル基で置換されてもよい。
選択的に、化学式(1)または化学式(2)の構造を有する有機金属化合物において、中心金属はイリジウムであり、補助配位子はアセチルアセトナート系であり得る。かかる有機金属化合物は、下記の化学式(3)で表される構造を有することができる。
化学式(3)中、X1~X10、Y1、Y2は、それぞれ化学式(2)で定義したものと同じである。mは1~3の整数であり、nは0~2の整数であり、m+n=3である。Z3~Z5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシ基、シリル基、C1~C20のアルキルシリル基、C1~C20のアルキル基、C1~C20のヘテロアルキル基、C2~C20のアルケニル基、C2~C20のヘテロアルケニル基、C2~C20のアルキニル基、C2~C20のヘテロアルキニル基、C1~C20のアルコキシ基、C1~C20のアルキルアミノ基、C3~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C30の芳香族基、およびC3~C30のヘテロ芳香族基で構成される群から選択されるか、または隣接する官能基と結合し、C4~C20の脂環族環、C3~C20のヘテロ脂環族環、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができる。前記Z3~Z5をそれぞれ構成する前記アルキル基、前記ヘテロアルキル基、前記アルケニル基、前記ヘテロアルケニル基、前記アルコキシ基、前記アルキルアミノ基、前記アルキルシリル基、前記脂環族基、前記ヘテロ脂環族基、前記芳香族基、および前記ヘテロ芳香族基は、それぞれ独立して、非置換若しくは重水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C4~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C20の芳香族基、C3~C20のヘテロ芳香族基、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される官能基で置換されてもよく、Z3~Z5の隣接する官能基が結合して形成する前記脂環族環、前記ヘテロ脂環族環、前記芳香族環、および前記ヘテロ芳香族環は、それぞれ独立して、非置換、若しくは少なくとも1つのC1~C10のアルキル基で置換されてもよい。
他の例示的側面において、前記A環は6員の芳香族環を含み、前記B環は、0若しくは1つの窒素原子を持つ6員の芳香族環、または6員のヘテロ芳香族環を含み、前記C環は、0~2つの窒素原子を持つ6員の芳香族環、またはヘテロ芳香族環を含むことができる。例えば、化学式(1)の構造を有する有機金属化合物は、下記の化学式(4)で表される構造を有する有機金属化合物を含むことができる。
化学式(4)中、M、a、b、mおよびnは、それぞれ化学式(1)で定義したものと同じである。X11~X13は、それぞれ独立して、CR15またはNであり、X11とX12のうち、いずれか一方はCR15であり、他方はNである。Y3とY4は、それぞれ独立して、CR16R17、NR16、O、S、SeまたはSiR16R17である。R11~R15は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1~C10のアルキル基、C4~C20のシクロアルキル基、C4~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C20のアリール基およびC3~C20のヘテロアリール基で構成される群から選択されるか、またはaとbがそれぞれ2以上である場合、R11とR12は、それぞれ独立して、隣接する官能基と結合し、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができ、R13~R15は、隣接する官能基と結合し、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができ、前記C6~C20の芳香族環、および前記C3~C20のヘテロ芳香族環は、それぞれ独立して、非置換若しくは少なくとも1つのC1~C10のアルキル基で置換されてもよい。R16とR17は、それぞれ独立して、水素、重水素、C1~C10のアルキル基、C4~C20のシクロアルキル基、C4~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C20のアリール基およびC3~C20のヘテロアリール基で構成される群から選択される。
例えば、前記X11は、非置換若しくは置換された炭素原子であり、前記X12は、窒素原子であり得る。選択的に、化学式(4)のR13~R15のうち、隣接する2つの官能基は結合し、C6~C10の芳香族環、またはC3~C10のヘテロ芳香族環を形成することができる。
化学式(1)または化学式(4)の構造を有する有機金属化合物において、中心金属はイリジウムであり、補助配位子はアセチルアセトナート系であり得る。かかる有機金属化合物は、下記の化学式(5)で表される構造を有することができる。
化学式(5)中、R11~R14、X11~X13、Y3、Y4、aおよびbは、それぞれ化学式(4)で定義したものと同じである。mは1~3の整数であり、nは0~2の整数であり、m+n=3である。Z3~Z5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル基、ホスフィノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシ基、シリル基、C1~C20のアルキルシリル基、C1~C20のアルキル基、C1~C20のヘテロアルキル基、C2~C20のアルケニル基、C2~C20のヘテロアルケニル基、C2~C20のアルキニル基、C2~C20のヘテロアルキニル基、C1~C20のアルコキシ基、C1~C20のアルキルアミノ基、C3~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C30の芳香族基、およびC3~C30のヘテロ芳香基族で構成される群から選択されるか、または隣接する官能基と結合し、C4~C20の脂環族環、C3~C20のヘテロ脂環族環、C6~C20の芳香族環、若しくはC3~C20のヘテロ芳香族環を形成することができる。前記Z3~Z5をそれぞれ構成する前記アルキル基、前記ヘテロアルキル基、前記アルケニル基、前記ヘテロアルケニル基、前記アルコキシ基、前記アルキルアミノ基、前記アルキルシリル基、前記脂環族、前記ヘテロ脂環族、前記芳香族、および前記ヘテロ芳香族は、それぞれ独立して、非置換若しくは重水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C4~C20の脂環族基、C3~C20のヘテロ脂環族基、C6~C20の芳香族基、C3~C20のヘテロ芳香族基、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される官能基で置換されてもよく、Z3~Z5の隣接する官能基が結合して形成する前記脂環族環、前記ヘテロ脂環族環、前記芳香族環、および前記ヘテロ芳香族環は、それぞれ独立して、非置換若しくは少なくとも1つのC1~C10のアルキル基で置換されてもよい。
さらに具体的に、化学式(1)の構造を有する有機金属化合物は、下記の化学式(6)で表される構造を有する有機金属化合物から選択されるいずれか1つを含むことができる。
化学式(2)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物も複数の縮合芳香族環、またはヘテロ芳香族環からなる配位子を含み、その結果、堅い化学構造を持つ。発光半値幅が狭く、発光過程において安定した化学構造が維持されるため、発光寿命を改善することができる。さらに、有機金属化合物は、2座配位性金属借体であるため、発光色純度および発光色を容易に調節することができる。化学式(2)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を発光物質層に導入することで、駆動電圧が低く、発光効率および発光寿命に優れた有機発光ダイオードを実現することができる。
有機発光装置および有機発光ダイオード
化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を発光層に導入し、有機発光ダイオードの発光効率および発光寿命を向上させることができる。化学式(1)から化学式(6)の構造を有する金属有機化合物が導入された有機発光ダイオードは、有機発光表示装置、または有機発光照明装置のような有機発光装置に適用することができる。一例に、本発明にかかる有機発光表示装置について説明する。
図1は、本発明にかかる有機発光表示装置の回路を概略的に示す模式図である。図1に示すように、有機発光表示装置には、互いに交差して画素領域Pを定義するゲート配線GLとデータ配線DLおよびパワー配線PLが形成される。画素領域Pには、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、ストレージキャパシタCstおよび有機発光ダイオードDが形成される。画素領域Pは、赤色Rの画素領域、緑色Gの画素領域および青色Bの画素領域を含むことができる。
スイッチング薄膜トランジスタTsは、ゲート配線GLおよびデータ配線DLに接続され、駆動薄膜トランジスタTdおよびストレージキャパシタCstは、スイッチング薄膜トランジスタTsとパワー配線PLの間に接続される。有機発光ダイオードDは、駆動薄膜トランジスタTdに接続される。かかる有機発光表示装置では、ゲート配線GLに印加されたゲート信号により、スイッチング薄膜トランジスタTsがオンすると、データ配線DLに印加されたデータ信号がスイッチング薄膜トランジスタTsを介し、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極およびストレージキャパシタCstの一電極に印加される。
駆動薄膜トランジスタTdは、ゲート電極に印加されたデータ信号によりオンする。その結果、データ信号に比例する電流が、パワー配線PLから駆動薄膜トランジスタTdを介して有機発光ダイオードDへ流れるようになり、有機発光ダイオードDは、駆動薄膜トランジスタTdを介して流れる電流に比例する輝度に発光する。このとき、ストレージキャパシタCstは、データ信号に比例する電圧に充電され、1フレームの間、駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極の電圧が一定に保持される。したがって、有機発光表示装置は、希望する映像を表示することができる。
図2は、本発明の例示的な第1実施形態にかかる有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。図2に示すように、有機発光表示装置100は、基板102と、基板102の上部に配置される薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTrに接続される有機発光ダイオードDとを含む。
例えば、基板102には、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域が定義され、有機発光ダイオードDは画素領域毎に位置する。すなわち、赤色・緑色・青色の光を発する有機発光ダイオードDが、赤色の画素領域、緑色の画素領域および青色の画素領域に対応して備えられる。
基板102は、ガラス基板であってもよく、薄いフレキシブル基板であってもよく、高分子のプラスチック基板であってもよい。例えば、基板102は、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリカーボネート(PC)のうち、いずれか1つから形成することができる。その上部に薄膜トランジスタTrと有機発光ダイオードDが配置された基板102は、アレイ基板を形成する。
基板102上にバッファー層106が形成され、バッファー層106上に薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層106は省略してもよい。
バッファー層106の上部に半導体層110が形成される。例えば、半導体層110は、酸化物半導体物質から形成することができる。半導体層110が酸化物半導体物質からなる場合、半導体層110の下部に遮光パターン(不図示)を形成することができる。遮光パターンは、光の半導体層110への入射を防止し、半導体層110が光によって劣化することを防止する。選択的に、半導体層110は多結晶シリコンから形成することもできるが、この場合、半導体層110の両端部に不純物がドープされることもある。
半導体層110の上部には、絶縁物質からなるゲート絶縁膜120が基板102の全面に形成される。ゲート絶縁膜120は、シリコン酸化物(SiOx)、またはシリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁物質から形成することができる。
ゲート絶縁膜120の上部には、金属のような導電性物質からなるゲート電極130が半導体層110の中央に対応して形成される。図2において、ゲート絶縁膜120は、基板102の全面に形成されているが、ゲート電極130と同じ形にパターニングされてもよい。
ゲート電極130の上部には、絶縁物質からなる層間絶縁膜140が基板102の全面に形成される。層間絶縁膜140は、シリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁物質で形成してもよく、ベンゾシクロブテンやフォトアクリルのような有機絶縁物質で形成してもよい。
層間絶縁膜140は、半導体層110の両側上面を露出する第1および第2半導体層コンタクトホール142、144を有する。第1および第2半導体層コンタクトホール142、144は、ゲート電極130の両側に、ゲート電極130と離隔して位置する。図2において、第1および第2半導体層コンタクトホール142、144は、ゲート絶縁膜120内にも形成されているが、ゲート絶縁膜120がゲート電極130と同じ形にパターニングされる場合、第1および第2半導体層コンタクトホール142、144は、層間絶縁膜140内にのみ形成される。
層間絶縁膜140の上部には、金属のような導電性物質からなるソース電極152とドレイン電極154が形成される。ソース電極152とドレイン電極154は、ゲート電極130を中心にして離隔して位置し、それぞれ第1および第2半導体層コンタクトホール142、144を介して、半導体層110の両側に接触する。
半導体層110、ゲート電極130、ソース電極152、およびドレイン電極154は、薄膜トランジスタTrを構成し、薄膜トランジスタTrは、駆動素子として機能する。図2に示す薄膜トランジスタTrは、半導体層110の上部にゲート電極130、ソース電極152およびドレイン電極154が位置するコプラナ構造を有するが、半導体層の下部にゲート電極が位置し、半導体層の上部にソース電極とドレイン電極が位置する逆スタッガード(Inverted staggered)構造を有することもできる。この場合、半導体層は、非晶質シリコンから形成することができる。
図2に示していないが、ゲート配線(図1のGL)とデータ配線(図1のDL)が互いに交差して画素領域を定義し、ゲート配線およびデータ配線に接続されるスイッチング素子(図1のTs)がさらに形成される。該スイッチング素子は、駆動素子である薄膜トランジスタTrに接続される。また、パワー配線(図1のPL)がデータ配線、またはゲート配線と並んで離隔して形成され、1フレームの間に、駆動素子である薄膜トランジスタTrのゲート電極130の電圧を一定に維持するためのストレージキャパシタCstをさらに含むことができる。
ソース電極152とドレイン電極154の上部には、保護層160が薄膜トランジスタTrを覆いながら基板102の全面に形成される。保護層160は、その上面が平坦であり、薄膜トランジスタTrのドレイン電極154を露出するドレインコンタクトホール162を有する。ここで、ドレインコンタクトホール162は、第2半導体層コンタクトホール144の直上に形成されているが、第2半導体層コンタクトホール144と離隔して形成されてもよい。
有機発光ダイオードDは、保護層160上に位置し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極154に接続される第1電極210と、第1電極210上に順次積層される発光層230および第2電極230を含む。
第1電極210は、画素領域毎に分離して形成される。第1電極210は、陽極(アノード)であり得る。また、第1電極210は、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば、透明導電性酸化物(Transparent Conductive Oxide、TCO)からなり得る。具体的に、第1電極210は、インジウム・スズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)、インジウム・スズ・亜鉛酸化物(Indium Tin Zinc Oxide、ITZO)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム・銅酸化物(Indium Copper Oxide、ICO)、およびアルミニウム:酸化亜鉛(Al:ZnO、AZO)からなり得る。
有機発光表示装置100がボトムエミッションタイプである場合、第1電極210は、透明導電性酸化物からなる単層構造を有することができる。一方、本発明の有機発光表示装置100がトップエミッションタイプである場合、第1電極210の下部に反射電極、または反射層をさらに形成することができる。例えば、反射電極、または反射層は、銀(Ag)、またはアルミニウム・パラジウム・銅(Aluminum Palladium Copper、APC)合金から形成することができる。トップエミッションタイプの有機発光ダイオードDにおいて、第1電極210は、ITO/Ag/ITO、またはITO/APC/ITOの三層構造を有することができる。
また、保護層160上には、第1電極210の端部を覆うバンク層164が形成される。バンク層164は、画素領域に対応し、第1電極210の中央を露出する。
第1電極210上には、発光層230が形成される。発光層230は、発光物質層(Emitting Material Layer、EML)の単層構造を有することができる。あるいは、発光層230は、正孔注入層(Hole Injection Layer、HIL)、正孔輸送層(Hole Transport Layer、HTL)、電子遮断層(Electron Blocking Layer、EBL)、正孔遮断層(Hole Blocking Layer、HBL)、電子輸送層(Electron Transport Layer、ETL)、電子注入層(Electron Injection Layer、EIL)および/または電荷発生層(Charge Generation Layer、CGL)を含むことができる(図3、図5および図6を参照)。発光層230は、1つの発光部からなってもよく、2つの発光部を有するタンデム構造にしてもよい。
発光層230は、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含むことができる。化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含み、有機発光ダイオードDおよび有機発光表示装置100の駆動電圧を低下させ、発光効率および発光寿命を大幅に向上させることができるが、これについては後述する。
発光層230が形成された基板102の上部に、第2電極220が形成される。第2電極220は、表示領域の全面に位置し、仕事関数が比較的に小さい導電性物質からなり、電子を注入する陰極(カソード)であり得る。例えば、第2電極220は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはこれらの合金や組み合わせ(例えばアルミニウム‐マグネシウム合金、AlMg)のように反射特性のよい素材からなり得る。有機発光表示装置100がトップエミッションタイプである場合、第2電極220はその厚さが薄く、光透過(半透過)特性を有する。
第2電極220上には、外部の水分が有機発光ダイオードDへ浸透することを防ぐため、封止フィルム170(Encapsulation Film)が形成される。封止フィルム170は、第1無機絶縁層172と、有機絶縁層174と、第2無機絶縁層176の積層構造を有することができるが、これに限定されるものではない。また、封止フィルム170は省略してもよい。
有機発光表示装置100は、外部光の反射を減らすための偏光板(不図示)を備えることができる。例えば、偏光板(不図示)は円形状であり得る。有機発光表示装置100がボトムエミッションタイプである場合、偏光板は基板102の下部に位置することができる。一方、有機発光表示装置100がトップエミッションタイプである場合、偏光板は封止フィルム170の上部に位置することができる。また、トップエミッションタイプの有機発光表示装置100では、封止フィルム170、または偏光板(不図示)上にカバーウィンドウ(不図示)を取り付けることができる。このとき、基板102とカバーウィンドウ(不図示)がフレキシブルな素材からなる場合は、フレキシブル表示装置を構成することができる。
続いて、本発明の有機金属化合物が導入された有機発光ダイオードについてさらに具体的に説明する。図3は、本発明の例示的な第1実施形態により、単一発光部を有する有機発光ダイオードを概略的に示す断面図である。図3に示すように、本発明の第1実施形態にかかる有機発光ダイオードD1は、互いに対向する第1電極210および第2電極220と、第1電極210と第2電極220の間に位置する発光層230とを含む。有機発光表示装置100(図2を参照)は赤色の画素領域、緑色の画素領域、および青色の画素領域を含み、有機発光ダイオードD1は赤色の画素領域に位置することができる。
例示的側面において、発光層230は、第1電極210と第2電極220の間に位置する発光物質層340(EML)を含む。また、発光層230は、第1電極210と発光物質層340の間に位置する正孔輸送層320(HTL)と、発光物質層340と第2電極220の間に位置する電子輸送層360(ETL)のうち、少なくともいずれか1つを含むことができる。さらに、発光層230は、第1電極210と正孔輸送層320の間に位置する正孔注入層320(HIL)と、電子輸送層360と第2電極220の間に位置する電子注入層370(EIL)のうち、少なくともいずれか1つを含むことができる。また、選択的に発光層230は、発光物質層340と正孔輸送層320の間に位置する第1励起子遮断層である電子遮断層330(Electron Blocking Layer、EBL)および/または発光物質層340と電子輸送層360の間に位置する第2励起子遮断層である正孔遮断層350(Hole Blocking Layer、HBL)をさらに含むことができる。
第1電極210は、発光物質層340に正孔を供給する陽極であり得る。第1電極210は、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば透明導電性酸化物(TCO)から形成することが好ましい。例えば、第1電極210は、ITO、IZO、ITZO、SnO、ZnO、ICO、およびAZOからなり得る。
第2電極220は、発光物質層340に電子を供給する陰極であり得る。第2電極220は、仕事関数が比較的に小さい導電性物質、例えばAl、Mg、Ca、Ag、またはこれらの合金や組み合わせのように、反射特性のよい素材からなり得る。
正孔注入層310は、第1電極210と正孔輸送層320の間に位置し、無機物である第1電極210と有機物である正孔輸送層320の間の界面特性を向上させる。1つの例示的側面において、正孔注入層310は、4,4’,4”‐トリス(3‐メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン;MTDATA、4,4’,4”‐トリス(N,N‐ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン;NATA、4,4’,4”‐トリス(N‐(ナフタレン‐1‐イル)‐N‐フェニルアミノ)トリフェニルアミン;1T‐NATA、4,4’,4”‐トリス(N‐(ナフタレン‐2‐イル)‐N‐フェニルアミノ)トリフェニルアミン;2T‐NATA、フタロシアニン銅;CuPC、トリス(4‐カルバゾイル‐9‐イル‐フェニル)アミン;TCTA、N,N’‐ジフェニル‐N,N’‐ビス(1‐ナフチル)‐1,1’‐ビフェニル‐4,4”‐ジアミン;NPB(NPD)、1,4,5,8,9,11‐ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(ジピラジノ[2,3‐f:2’,3’‐h]キノキサリン‐2,3,6,7,10,11‐ヘキサカルボニトリル;HAT‐CN、1,3,5‐トリス[4‐(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン;TDAPB、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸;PEDOT/PSS、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、N,N’‐ジフェニル‐N,N’‐ジ‐[4‐(N,N‐ジフェニル‐アミノ)フェニル]ベンジジン;NPNPB、およびこれらの組み合わせで構成される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。有機発光ダイオードD1の特性により、正孔注入層340は省略してもよい。
正孔輸送層320は、第1電極210と発光物質層340の間において、発光物質層340に隣接して位置する。1つの例示的側面において、正孔輸送層320は、N,N’‐ジフェニル‐N,N’‐ビス(3‐メチルフェニル)‐1,1’‐ビフェニル‐4,4’‐ジアミン;TPD、NPB(NPD)、4,4’‐ビス(N‐カルバゾリル)‐1,1’‐ビフェニル;CBP、ポリ[N,N’‐ビス(4‐ブチルフェニル)‐N,N’‐ビス(フェニル)‐ベンジジン];Poly‐TPD、ポリ[(9,9‐ジオクチルフルオレニル‐2,7‐ジイル)‐co‐(4,4’‐(N‐(4‐sec‐ブチルフェニル)ジフェニルアミン))];TFB、ジ‐[4‐(N,N‐ジ‐p‐トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン;TAPC、3,5‐ジ(9H‐カルバゾール‐9‐イル)‐N,N‐ジフェニルアニリン;DCDPA、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)ビフェニル)‐4‐アミン、N‐([1,1’‐ビフェニル]‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
発光物質層340は、ホスト(第1ホスト)およびドーパント342(第1ドーパント)を含み、実際の発光はドーパントで行われ得る。一例に、発光物質層340は赤色で発光することができる。例えば、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物は、ドーパントとして用いることができる。
発光物質層340と第2電極220の間には、電子輸送層360と電子注入層370を順次積層することができる。電子輸送層360を成す素材には、高い電子移動度が求められるが、スムーズな電子輸送により、発光物質層340に電子を安定して供給する。
例示的側面において、電子輸送層360は、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物のうち、少なくともいずれか1つを含むことができる。
具体的に電子輸送層360は、トリス(8‐ヒドロキシキノリン)アルミニウム;Alq3、2‐ビフェニル‐4‐イル‐5‐(4‐t-ブチルフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール;PBD、スピロ-PBD、リチウムキノラート;Liq、1,3,5‐トリス(N‐フェニルベンゾイミダゾール‐2‐イル)ベンゼン;TPBi、ビス(2‐メチル‐8‐キノリノラト‐N1,08)‐(1,1’‐ビフェニル‐4‐オラト)アルミニウム;BAlq、4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;Bphen、2,9‐ビス(ナフタレン‐2‐イル)‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;NBphen、2,9‐ジメチル‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;BCP、3‐(4‐ビフェニル)‐4‐フェニル‐5‐tert‐ブチルフェニル‐1,2,4‐トリアゾール;TAZ、4‐(ナフタレン‐1‐イル)‐3,5‐ジフェニル‐4H‐1,2,4‐トリアゾール;NTAZ、1,3,5‐トリス(p‐ピリド‐3‐イル‐フェニル)ベンゼン;TpPyPB、2,4,6‐トリス(3’‐(ピリジン‐3‐イル)ビフェニル‐3‐イル)‐1,3,5‐トリアジン;TmPPPyTz、ポリ[(9,9‐ビス(3’‐((N,N‐ジメチル)‐N‐エチルアンモニウム)‐プロピル)‐2,7‐フルオレン)‐アルト‐2,7‐(9,9‐ジオクチルフルオレン)]ジブロミド;PFNBr、トリス(フェニルキノキサリン);TPQ、ジフェニル‐4‐トリフェニルシリル‐フェニルホスフィンオキシド;TSPO1、2‐[4‐(9,10‐ジ‐2‐ナフタレン‐2‐イル‐2‐アントラセン‐2‐イル)フェニル]‐1‐フェニル‐1H‐ベンゾイミダゾール;ZADN、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
電子注入層370は、第2電極220と電子輸送層360の間に位置するが、第2電極220の特性を改善し、素子の寿命を改善することができる。例えば、電子注入層370の素子には、LiF、CsF、NaF、BaF2などのアルカリ金属ハライド系物質、および/またはアルカリ土類金属ハライド系物質、および/またはLiq、安息香酸リチウム、ステアリン酸ナトリウムなどの有機金属系物質を用いることができるが、これに限定されるものではない。選択的に電子注入層370は省略してもよい。
一方、正孔が発光物質層340を介して第2電極220側に移動し、または電子が発光物質層340を介して第1電極210側に移動した場合、有機発光ダイオードD1の寿命および発光効率が低下し得る。これを防止するため、本発明の例示的な第1実施形態にかかる有機発光ダイオードD1は、発光物質層340に隣接する少なくとも1つの励起子遮断層を有する。
例えば、本発明の第1実施形態にかかる有機発光ダイオードD1は、正孔輸送層320と発光物質層340の間に、電子移動を制御・防止することができる電子遮断層330を有することができる。一例に、電子遮断層330は、TCTA、トリス[4‐(ジエチルアミノ)フェニル]アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、TAPC、MTDATA、1,3‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン;mCP、3,3‐ジ(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ビフェニル;mCBP、CuPC、N,N’‐ビス[4‐[ビス(3‐メチルフェニル)アミノ]フェニル]‐N,N’‐ジフェニル‐[1,1’‐ビフェニル]‐4,4’‐ジアミン;DNTPD、TDAPB、DCDPA、2,8‐ビス(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
また、発光物質層340と電子輸送層360の間に、第2励起子遮断層として正孔遮断層350が位置し、発光物質層340と電子輸送層360の間の正孔移動を防止する。例示的側面において、正孔遮断層350の素材として、電子輸送層360に使用できるオキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物のうち、少なくともいずれか1つを用いることができる。
例えば、正孔遮断層350は、発光物質層340に用いられた素材に比べ、HOMOエネルギー準位の低いBCP、BAlq、Alq3、PBD、スピロ‐PBD、Liq、ビス‐4,6‐(3,5‐ジ‐3‐ピリジルフェニル)‐2‐メチルピリミジン;B3PYMPM、ビス[2‐(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド;DPEPO、9‐(6‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ピリジン‐3‐イル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、TSPO1、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
前述のように、発光物質層340は、第1ホストおよび第1ドーパント342を含むことができる。第1ドーパントは、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含む。
第1ドーパント342と共に用いられるホストは、9‐(3‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル)‐9H‐カルバゾール‐3‐カルボニトリル;mCP‐CN、CBP、mCBP、mCP、DPEPO、2,8‐ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾチオフェン;PPT、1,3,5‐トリ[(3‐ピリジル)‐フェン‐3‐イル]ベンゼン;TmPyPB、2,6‐ジ(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ピリジン;PYD‐2Cz、2,8‐ジ(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ジベンゾチオフェン;DCzDBT、3’,5’‐ジ(カルバゾール‐9‐イル)‐[1,1’‐ビフェニル]‐3,5‐ジカルボニトリル;DCzTPA、4’‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ビフェニル‐3,5‐ジカルボニトリル;pCzB‐2CN、3’‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ビフェニル‐3,5‐ジカルボニトリル;mCzB‐2CN、TSPO1、9‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐6‐イル)‐9H‐カルバゾール;CCP、4‐(3‐(トリフェニレン‐2‐イル)フェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、9‐(4‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、9‐(3‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、9‐(6‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ピリジン‐3‐イル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、9,9’‐ジフェニル‐9H,9’H‐3,3’‐ビカルバゾール;BCzPh、1,3,5‐トリス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン;TCP、TCTA、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐2,2’‐ジメチルビフェニル;CDBP、2,7‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジメチルフルオレン;DMFL‐CBP、2,2’,7,7’‐テトラキス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐スピロフルオレン;Spiro‐CBP、3,6‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9‐(2‐エチル‐ヘキシル)‐9H‐カルバゾール;TCzl、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択することができるが、これに限定されるものではない。例えば、第1ドーパント342は、1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%の割合で発光物質層340にドープすることができる。
化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物は、発光半値幅が狭く、堅い化学構造を持つため、発光過程において安定した化学構造が維持され、色純度および発光寿命が向上する。また、2座配位子の構造および配位子への置換基を替え、発光色を調節することができる。それにより、有機発光ダイオードD1の駆動電圧を低下させ、発光効率および発光寿命を向上させることができる。
前述の第1実施形態では、赤色で発光する単一発光部を有する有機発光表示装置、および有機発光ダイオードについて説明した。これと別に、白色(W)発光を含むフルカラーの表示装置を実現することもできるが、これについて説明する。
図4は、本発明の例示的な第2実施形態にかかる有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。図4に示すように、本発明の第2実施形態にかかる有機発光表示装置400は、赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPがそれぞれ定義された第1基板402と、第1基板402に対向する第2基板404と、第1基板402と第2基板404の間に位置し、白色を発光する有機発光ダイオードDと、有機発光ダイオードDと第2基板404の間に位置するカラーフィルター層480を含む。
第1基板402および第2基板404は、それぞれ、ガラス基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよく、高分子のプラスチック基板であってもよい。例えば、第1基板402および第2基板404は、それぞれPI、PES、PEN、PET、およびPCのうち、いずれか1つで形成することができる。
第1基板402上にバッファー層406が形成され、バッファー層406上に赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPのそれぞれに対応して薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層406は省略してもよい。
バッファー層406上に半導体層410が形成される。例えば、半導体層410は、酸化物半導体物質からなってよく、多結晶シリコンからなってもよい。
半導体層410の上部には、絶縁物質、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、またはシリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁物質からなるゲート絶縁膜420が形成される。
ゲート絶縁膜420の上部には、金属のような導電性物質からなるゲート電極430が半導体層410の中央に対応して形成される。ゲート電極430の上部には、絶縁物質、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、若しくはシリコン窒化物(SiNx)のような無機絶縁物質、またはベンゾシクロブテンやフォトアクリルのような有機絶縁物質からなる層間絶縁膜440が形成される。
層間絶縁膜440は、半導体層410の両側上面を露出する第1および第2半導体層コンタクトホール442、444を有する。第1および第2半導体層コンタクトホール442、444は、ゲート電極430の両側に、ゲート電極430と離隔して位置する。
層間絶縁膜440の上部には、金属のような導電性物質からなるソース電極452およびドレイン電極454が形成される。ソース電極452とドレイン電極454は、ゲート電極430を中心にして離隔して位置し、それぞれ第1および第2半導体層コンタクトホール442、444を介し、半導体層410の両側に接触する。
半導体層410、ゲート電極430、ソース電極452、およびドレイン電極454は、薄膜トランジスタTrを構成し、薄膜トランジスタTrは、駆動素子として機能する。
図4に示していないが、ゲート配線(図1のGL)とデータ配線(図1のDL)が互いに交差して画素領域を定義し、ゲート配線とデータ配線に接続されるスイッチング素子(図1のTs)がさらに形成される。該スイッチング素子Tsは、駆動素子である薄膜トランジスタTrに接続される。また、パワー配線(図1のPL)がデータ配線DLと並んで離隔して形成され、1フレームの間に、駆動素子である薄膜トランジスタTrのゲート電極の電圧を一定に維持するためのストレージキャパシタ(図1のCst)をさらに含むことができる。
ソース電極452およびドレイン電極454の上部には、保護層460が薄膜トランジスタTrを覆いながら第1基板402の全面に形成される。保護層460は、薄膜トランジスタTrのドレイン電極454を露出するドレインコンタクトホール462を有する。
保護層460上に有機発光ダイオードDが位置する。有機発光ダイオードDは、薄膜トランジスタTrのドレイン電極452に接続される第1電極510と、第1電極510に対向する第2電極520と、第1電極510と第2電極520の間に位置する発光層530を含む。
それぞれの画素領域毎に形成される第1電極510は、陽極(アノード)であり得る。また、仕事関数が比較的に大きい導電性物質からなり得る。例えば、第1電極510は、ITO、IZO、ITZO、SnO、ZnO、ICO、およびAZOから形成することができる。第1電極510の下部には反射電極、または反射層をさらに形成することができる。例えば、反射電極、または反射層は銀、またはAPC合金から形成することができる。
保護層460上には、第1電極510の端部を覆うバンク層464が形成される。バンク層464は、画素領域RP、GP、BPに対応し、第1電極510の中央を露出する。バンク層464は省略してもよい。
第1電極510上に、複数の発光部を含むことができる発光層530が形成される。図5および図6に示すように、発光層530は、複数の発光部600、700、700A、800と、1つ以上の電荷発生層680、780を含むことができる。それぞれの発光部600、700、700A、800は少なくとも1つの発光物質層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子輸送層、および/または電子注入層をさらに含むことができる。
発光層530の形成された第1基板402の上部に第2電極520が形成される。第2電極520は、表示領域の全面に位置し、仕事関数が比較的に小さい物質からなり、電子を注入する陰極(カソード)であり得る。例えば、第2電極520は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはこれらの合金や組み合わせ(例えばアルミニウム‐マグネシウム合金、AlMg)のように反射特性のよい素材からなり得る。
一方、本発明の例示的な第2実施形態にかかる有機発光表示装置400では、発光層530からの光が第2電極520を介し、カラーフィルター層480に入射するため、第2電極520は、光が透過できるよう、薄い厚さを有する。
カラーフィルター層480は有機発光ダイオードDの上部に位置し、赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPのそれぞれに対応する赤色のカラーフィルター482、緑色のカラーフィルター484および青色のカラーフィルター486を含む。図4に示していないが、カラーフィルター層480は、接着層を介して有機発光ダイオードDに貼り付けることができる。あるいは、有機発光ダイオードDの直上に形成することもできる。
図に示していないが、外部の水分が有機発光ダイオードDへ浸透することを防ぐため、封止フィルムを形成することができる。例えば、封止フィルムは、第1無機絶縁層と、有機絶縁層と、第2無機絶縁層の積層構造を有することができるが、これに限定されるものではない(図2の170を参照)。また、第2基板404の外側面には、外部光の反射を減らすための偏光板を取り付けることができる。偏光板は、例えば円形状であり得る。
図4において、有機発光ダイオードDからの光は第2電極520を透過し、カラーフィルター層480は有機発光ダイオードDの上部に配置される。すなわち、有機発光表示装置400は、トップエミッションタイプであり得る。あるいは、有機発光表示装置400がボトムエミッションタイプである場合、有機発光ダイオードDからの光は第1電極510を透過し、カラーフィルター層480は、有機発光ダイオードDと第1基板402の間に配置することができる。
図に示していないが、有機発光ダイオードDとカラーフィルター層480の間には色変換層を備えることもできる。色変換層は、赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPにそれぞれ対応して赤色の色変換層、緑色の色変換層、青色の色変換層を含み、有機発光ダイオードDからの白色光をそれぞれ赤色、緑色、青色に変換することができる。例えば、色変換層は量子ドットを含むことができる。それにより、有機発光表示装置400の色純度はさらに向上することができる。選択的にカラーフィルター層480の代わりに色変換層を含むこともできる。
前述のように、有機発光ダイオードDからの白色光は、赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPにそれぞれ対応する赤色のカラーフィルター482、緑色のカラーフィルター484、青色のカラーフィルター486を透過する。その結果、赤色の画素領域RP、緑色の画素領域GPおよび青色の画素領域BPでは、それぞれ赤色、緑色および青色の光が表示される。
本発明の第2実施形態にかかる有機発光表示装置に適用することができる有機発光ダイオードについて、さらに具体的に説明する。図5は、本発明の例示的な第2実施形態により、タンダム構造で形成された2つの発光部を有する有機発光ダイオードを概略的に示す断面図である。
図5に示すように、本発明の第2実施形態にかかる有機発光ダイオードD2は、互いに対向する第1電極510および第2電極520と、第1電極510と第2電極520の間に位置する発光層530を含む。発光層530は、第1電極510と第2電極520の間に位置する第1発光部600と、第1発光部600と第2電極520の間に位置する第2発光部700と、第1発光部600と第2発光部700の間に位置する電荷発生層680を含む。
第1電極510は、陽極であり得る。また、仕事関数が比較的に大きい導電性物質、例えば、透明導電性酸化物(TCO)から形成することが好ましい。例えば、第1電極510は、ITO、IZO、ITZO、SnO、ZnO、ICO、および/またはAZOから形成することができる。第2電極520は、陰極であり得る。また、仕事関数が比較的に小さい導電性物質、例えば、Al、Mg、Ca、Ag、またはこれらの合金や組み合わせのように反射特性のよい素材からなり得る。
第1発光部600は、第1発光物質層640(EML1)を含む。第1発光部600は、第1電極510と第1発光物質層640の間に位置する正孔注入層610と、正孔注入層610と第1発光物質層640の間に位置する第1正孔輸送層620(HTL1)と、第1発光物質層640と電荷発生層680の間に位置する第1電子輸送層660(ETL1)のうち、少なくともいずれか1つを含む。選択的に、第1発光部600は、第1正孔輸送層620と第1発光物質層640の間に位置する第1電子遮断層630(EBL1)および/または第1発光物質層640と第1電子輸送層660の間に位置する第1正孔遮断層650(HBL1)をさらに含むことができる。
第2発光部700は、第2発光物質層740(EML2)を含む。第2発光部700は、電荷発生層680と第2発光物質層740の間に位置する第2正孔輸送層720(HTL2)と、第2電極520と第2発光物質層740の間に位置する第2電子輸送層760(ETL2)と、第2電極520と第2電子輸送層760の間に位置する電子注入層770のうち、少なくとも1つを含むことができる。選択的に、第2発光部700は、第2正孔輸送層720と第2発光物質層740の間に位置する第2電子遮断層730(EBL2)、および/または第2発光物質層740と第2電子輸送層760の間に位置する第2正孔遮断層750(HBL2)をさらに含むことができる。
このとき、第1発光物質層640と第2発光物質層740のうち、少なくとも一方は、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含み、赤ないし緑の波長域で発光することができる。第1発光物質層640と第2発光物質層740のうち、他方は青色で発光し、有機発光ダイオードD2は、白色(W)発光を実現することができる。以下、第2発光物質層740が化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含む場合について説明する。
正孔注入層610は、第1電極510と第1正孔輸送層620の間に位置し、無機物である第1電極510と有機物である第1正孔輸送層620の間の界面特性を向上させる。例えば、正孔注入層610は、MTDATA、NATA、1T‐NATA、2T‐NATA、CuPC、TCTA、NPB(NPD)、HAT‐CN、TDAPB、PEDOT/PSS、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、NPNPB、およびこれらの組み合わせで構成される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。有機発光ダイオードD2の特性により、正孔注入層610は省略してもよい。
第1正孔輸送層620と第2正孔輸送層720は、それぞれTPD、NPB、CBP、Poly‐TPD、TFB、TAPC、DCDPA、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)ビフェニル)‐4‐アミン、N‐([1,1’‐ビフェニル]‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
第1電子輸送層660と第2電子輸送層760は、それぞれ第1発光部600と第2発光部700における電子輸送をスムーズにさせる。一例に、第1電子輸送層660と第2電子輸送層760は、それぞれオキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物のうち、いずれか1つを含むことができる。例えば、第1電子輸送層660と第2電子輸送層760は、それぞれAlq3、PBD、スピロ-PBD、Liq、TPBi、BAlq、Bphen、NBphen、BCP、TAZ、NTAZ、TpPyPB、TmPPPyTz、PFNBr、TPQ、TSPO1、ZADN、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
電子注入層770は、第2電極520と第2電子輸送層760の間に位置するが、第2電極520の特性を改善し、素子の寿命を改善することができる。例えば、電子注入層770の素子には、LiF、CsF、NaF、BaF2などのアルカリ金属ハライド系物質、および/またはアルカリ土類金属ハライド系物質、および/またはLiq、安息香酸リチウム、ステアリン酸ナトリウムなどの有機金属系物質を用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、第1電子遮断層630と第2電子遮断層730は、それぞれTCTA、トリス[4‐(ジエチルアミノ)フェニル]アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、TAPC、MTDATA、mCP、mCBP、CuPC、DNTPD、TDAPB、DCDPA、2,8‐ビス(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、およびこれらの組み合わせで構成される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
第1正孔遮断層650と第2正孔遮断層750は、それぞれ第1電子輸送層660および第2電子輸送層760に用いられ得るオキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物のうち、いずれか1つを含むことができる。例えば、第1正孔遮断層650と第2正孔遮断層750は、それぞれBCP、Alq3、PBD、スピロ-PBD、Liq、BAlq、B3PYMPM、DPEPO、9‐(6‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ピリジン‐3‐イル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、TSPO1、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される化合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
電荷発生層680(CGL)は、第1発光部600と第2発光部700の間に位置する。電荷発生層680は、第1発光部600に隣接して位置するN型電荷発生層685(N‐CGL)と、第2発光部700に隣接して位置するP型電荷発生層690(P‐CGL)を含む。N型電荷発生層685は、電子を第1発光部600の第1発光物質層640へ注入し、P型電荷発生層690は、正孔を第2発光部700の第2発光物質層740へ注入する。
N型電荷発生層685は、Li、Na、K、Csのようなアルカリ金属、および/またはMg、Sr、Ba、Raのようなアルカリ土類金属がドープされた有機層であり得る。例えば、N型電荷発生層685に用いられるホストは、BphenやMTDATAを含み、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属は、約0.01重量%~30重量%でドープすることができる。
一方、P型電荷発生層690は、タングステン酸化物(WOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、ベリリウム酸化物(Be2O3)、バナジウム酸化物(V2O5)およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される無機物、および/またはNPD、HAT‐CN、F4TCNQ、TPD、N,N,N’,N’‐テトラナフタレニル‐ベンジジン;TNB、TCTA、N,N’‐ジオクチル‐3,4,9,10‐ペリレンジカルボキシミド;PTCDI‐C8、およびこれらの組み合わせで構成される群から選択される有機物を含むことができる。
本実施形態において、第1発光物質層640は青色の発光物質層であり得る。この場合、第1発光物質層640は青色であってもよく、空色であってもよく、濃い青であってもよい。第1発光物質層640は、ホストと青色のドーパントを含むことができる。ホストは、第1ホストと同じであり得る。また、青色のドーパントは、青色の燐光物質、青色の蛍光物質、青色の遅延蛍光物質のうち、少なくとも1つを含むことができる。
第2発光物質層740は、第2電子遮断層730と第2正孔遮断層750の間に位置する下部発光物質層740Aと、下部発光物質層740Aと第2正孔遮断層750の間に位置する上部発光物質層740Bを含むことができる。このとき、下部発光物質層740Aと上部発光物質層740Bのうち、いずれか一方は、黄色または赤色で発光し、他方は緑色で発光することができる。以下、下部発光物質層740Aが緑色で発光し、上部発光物質層740Bが赤色で発光する場合について説明する。
下部発光物質層740Aは、第1ホストおよび第1ドーパント742を含む。第1ホストは、mCP‐CN、CBP、mCBP、mCP、DPEPO、PPT、TmPyPB、PYD‐2Cz、DCzDBT、DCzTPA、pCzB‐2CN、mCzB‐2CN、TSPO1、CCP、4‐(3‐(トリフェニレン‐2‐イル)フェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、9‐(4‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、9‐(3‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、9‐(6‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)ピリジン‐3‐イル)‐9H‐3,9’‐ビカルバゾール、BCzPh、TCP、TCTA、CDBP、DMFL‐CBP、Spiro‐CBP、TCz1などを含むことができる。第1ドーパント742は、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含み、緑色で発光することができる。また、第1ドーパント742は、下部発光物質層740A中、1重量%~50重量%、例えば1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~15重量%の割合でドープすることができる。
上部発光物質層740Bはホストおよび赤色のドーパントを含む。ホストは、第1ホストと同じであり得る。また、赤色のドーパントは、赤色の燐光物質、赤色の蛍光物質、赤色の遅延蛍光物質のうち、いずれか1つを含むことができる。
本発明の第2実施形態にかかる有機発光ダイオードD2はタンダム構造を有し、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含む。耐熱性に優れており、堅い化学構造を持ち、発光色を容易に調節できる本発明の有機金属化合物を含む有機発光ダイオードD2は、発光効率および発光寿命を向上させることができる。
一方、有機発光ダイオードは、3つ以上の発光部がタンダム構造で形成されてもよい。図6は、本発明の例示的な第3実施形態により、3つの発光部がタンダム構造で形成された有機発光ダイオードを概略的に示す断面図である。
図6に示すように、本発明の第3実施形態にかかる有機発光ダイオードD3は、互いに対向する第1電極510および第2電極520と、第1電極510と第2電極520の間に位置する発光層530Aを含む。発光層530Aは、第1電極510と第2電極520の間に位置する第1発光部600と、第1発光部600と第2電極520の間に位置する第2発光部700Aと、第2発光部700Aと第2電極520の間に位置する第3発光部800と、第1発光部600と第2発光部700Aの間に位置する第1電荷発生層680と、第2発光部700Aと第3発光部800の間に位置する第2電荷発生層780を含む。
第1発光部600は、第1発光物質層640を含む。第1発光部600は、第1電極510と第1発光物質層640の間に位置する正孔注入層610と、正孔注入層610と第1発光物質層640の間に位置する第1正孔輸送層620と、第1発光物質層640と第1電荷発生層680の間に位置する第1電子輸送層660のうち、いずれか1つを含むことができる。選択的に、第1発光部600は、第1正孔輸送層620と第1発光物質層640の間に位置する第1電子遮断層630と、第1発光物質層640と第1電子輸送層660の間に位置する第1正孔遮断層650のうち、いずれか1つをさらに含むことができる。
第2発光部700Aは、第2発光物質層740を含む。第2発光部700Aは、第1電荷発生層680と第2発光物質層740の間に位置する第2正孔輸送層720と、第2発光物質層740と第2電荷発生層780の間に位置する第2電子輸送層760のうち、いずれか1つを含むことができる。選択的に、第2発光部700Aは、第2正孔輸送層720と第2発光物質層740の間に位置する第2電子遮断層730と、第2発光物質層740と第2電子輸送層760の間に位置する第2正孔遮断層750のうち、いずれか1つをさらに含むことができる。
第3発光部800は、第3発光物質層840(EML3)を含む。第3発光部800は、第2電荷発生層780と第3発光物質層840の間に位置する第3正孔輸送層820(HTL3)と、第3発光物質層840と第2電極520の間に位置する第3電子輸送層860(HTL3)と、第3電子輸送層860と第2電極520の間に位置する電子注入層870のうち、いずれか1つを含むことができる。選択的に、第3発光部800は、第3正孔輸送層820と第3発光物質層840の間に位置する第3電子遮断層830(EBL3)と、第3発光物質層840と第3電子輸送層860の間に位置する第3正孔遮断層850(HBL3)のうち、いずれか1つをさらに含むことができる。
このとき、第1ないし第3発光物質層640、740、840のうち、少なくともいずれか1つは、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含むことができる。例えば、第1ないし第3発光物質層640、740、840のうち、いずれか1つは、赤色ないし緑色で発光することができる。このとき、第1ないし第3発光物質層640、740、840のうち、他の1つは青色で発光することで、有機発光ダイオードD3は、白色(W)発光を実現することができる。以下、第2発光物質層740が、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含み、赤色ないし緑色で発光し、第1発光物質層640および第3発光物質層840は青色で発光する場合について説明する。
第1電荷発生層680は、第1発光部600と第2発光部700Aの間に位置し、第2電荷発生層780は、第2発光部700Aと第3発光部800の間に位置する。第1電荷発生層680は、第1発光部600に隣接して位置する第1N型電荷発生層685と、第2発光部700Aに隣接して位置する第1P型電荷発生層690を含む。第2電荷発生層780は、第2発光部700Aに隣接して位置する第2N型電荷発生層785と、第3発光部800に隣接して位置する第2P型電荷発生層790を含む。このとき、第1N型電荷発生層685および第2N型電荷発生層785は、それぞれ第1発光部600の第1発光物質層640、そして第2発光部700Aの第2発光物質層740に電子を注入し、第1P型電荷発生層690および第2P型電荷発生層790は、それぞれ第2発光部600の第2発光物質層740、そして第3発光部700Aの第3発光物質層840に正孔を注入する。
一方、本実施形態において、第1発光物質層640と第3発光物質層840は、それぞれ青色の発光物質層であり得る。この場合、第1および第3発光物質層640、840は青色であってもよく、空色であってもよく、濃い青であってもよい。第1発光物質層640と第3発光物質層840は、それぞれホストおよび青色のドーパントを含むことができる。ホストは、第1ホストと同じであり得る。また、青色のドーパントは、青色の燐光物質、青色の蛍光物質、青色の遅延蛍光物質のうち、少なくとも1つを含むことができる。このとき、第1発光物質層640と第3発光物質層840における青色のドーパントは、その色および発光効率が同じであってもよく、異なってもよい。
第2発光物質層740は、第2電子遮断層730と第2正孔遮断層750の間に位置する下部発光物質層740Aと、下部発光物質層740Aと第2正孔遮断層750の間に位置する上部発光物質層740Bを含むことができる。このとき、下部発光物質層740Aと上部発光物質層740Bのうち、いずれか一方は赤色で発光し、他方は緑色で発光することができる。以下、下部発光物質層740Aが緑色で発光し、上部発光物質層740Bが赤色で発光する場合について説明する。
下部発光物質層740Aは、第1ホストおよび第1ドーパント742を含む。第1ドーパント742は、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含み、緑色で発光することができる。また、第1ドーパント742は、下部発光物質層740A中、1重量%~50重量%、例えば1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~15重量%の割合でドープすることができる。
上部発光物質層740Bはホストおよび赤色のドーパントを含む。ホストは、第1ホストと同じであり得る。また、赤色のドーパントは、赤色の燐光物質、赤色の蛍光物質、赤色の遅延蛍光物質のうち、いずれか1つを含むことができる。
本発明の第3実施形態にかかる有機発光ダイオードD3は、少なくとも1つの発光物質層に、化学式(1)から化学式(6)の構造を有する有機金属化合物を含む。本発明にかかる有機金属化合物は、発光半値幅が狭く、発光過程において安定した化学構造が維持される。したがって、本発明にかかる有機金属化合物を含み、3つの発光部を有する有機発光ダイオードは、発光効率、色純度および発光寿命が向上した白色発光を実現することができる。
以下、例示的な実施形態を用いて本発明を説明するが、本発明が下記の実施例に記載の技術思想に限定されるものではない。
合成例1:化合物1の合成
(1)中間体A‐1の合成
反応容器に1‐ブロモ‐3‐フルオロ‐2‐ヨードベンゼン(100g、332.35mmol)、2‐ブロモ‐6‐ヒドロキシフェニルボロン酸(72.1g、332.35mmol)、Na2SO4(141.6g、997.04mmol)、THF(1000mL)を入れ、溶かした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4、19.2g、16.62mmol)を入れ、80℃で12時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、トルエンを用いて有機層を抽出した。有機層にMgSO4を入れてろ過し、ろ液を減圧蒸留した後、混合物をクロロホルム/エタノールで再結晶し、中間体A‐1(60.9g、歩留まり53%)を得た。MS(m/z)は343.88であった。
(2)中間体A‐2の合成
反応容器に中間体A‐1(60.9g、176.02mmol)、DMF(400mL)を入れ、溶かした後、K2CO3(69.8g、528.05mmol)を入れ、100℃で1時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、エタノール(100mL)をゆっくりと加えた。混合物を減圧蒸留した後、クロロホルム/エチルアセテートで再結晶し、中間体A‐2(43g、歩留まり75%)を得た。MS(m/z)は323.88であった。
(3)中間体A‐3の合成
反応容器に中間体A‐2(40g、122.71mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(35g、147.25mmol)、[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(Pd(dppf)Cl2、4.5g、6.14mmol)、KOAc(36.1g、368.12mmol)、そして1,4‐ジオキサン(500mL)を入れ、溶かした後、100℃で4時間攪拌した。反応物の温度を常温まで下げ、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体A‐3(35.7g、歩留まり78%)を得た。MS(m/z)は372.05であった。
(4)中間体A‐4の合成
反応容器に化合物SM‐1(10g、52.19mmol)、中間体A‐3(23.4g、62.63mmol)、パラジウム(II)アセテート(Pd(OAc)2、1.2g、10mol%)、トリフェニルホスフィン(PPh3、6.8g、26.09mmol)、NaOAc(17.1g、208.76mmol)、DMF(200mL)を入れ、溶かした後、120℃で16時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体A‐4(10.6g、歩留まり63%)を得た。MS(m/z)は321.08であった。
(5)中間体A‐5の合成
反応容器に中間体A‐4(10.6g、32.99mmol)、ジエチルエーテル(200mL)を入れ、AlCl3(5.3g、39.59mmol)をゆっくりと加えた。15分間攪拌し、温度を0℃まで下げた後、水素化アルミニウムリチウム(LAH、1.9g、49.48mmol)をゆっくりと加えた。反応物を50℃で1時間攪拌した。温度を常温まで下げ、エチルアセテートをゆっくりと加えた後、HCl(6M、200ml)を加えた。エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体A‐5(9.1g、歩留まり90%)を得た。MS(m/z)は307.1であった。
(6)中間体A‐6の合成
反応容器に中間体A‐5(9.1g、29.61mmol)、DMSO(200mL)を入れ、溶かした後、常温下でナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu、21.3g、222.07mmol)を加え、70℃で15分間攪拌した。メチルヨージド(33.6g、236.87mmol)をゆっくりと入れ、1時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、蒸留水を加えて20分間攪拌し、生成した固体をろ過した。メタノート/アセトンで再結晶し、中間体A‐6(5.3g、歩留まり53%)を得た。MS(m/z)は335.13であった。
(7)中間体A‐7の合成
反応容器に中間体A‐6(5g、14.9mmol)、2‐エトキシエタノール(100mL)、蒸留水(30mL)を入れ、溶かした後、1時間窒素でバブリングし、IrCl3・H2O(2.1g、6.78mmol)を加えて2日間還流した。反応完了後、温度をゆっくりと常温まで下げ、生成した固体をろ過した。ろ過された固体を、ヘキサンとメタノールで洗浄し、乾燥させて中間体A‐7(2.1g、歩留まり34%)を得た。
(8)化合物1の合成
反応容器に中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)、アセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)、Na2CO3(2.5g、23.4mmol)、そして2‐エトキシエタノール(100mL)を入れ、溶かした後、24時間ゆっくりと攪拌した。反応完了後、反応物にジクロロメタンを加えて反応生成物を溶かした後、ジクロロメタンと蒸留水を用いて有機層を抽出した。MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、化合物1(1.2g、歩留まり55%)を得た。MS(m/z)は960.25であった。
合成例2:化合物52の合成
(1)中間体B‐1の合成
化合物SM‐1(10g、52.19mmol)と中間体A‐3(23.4g、62.63mmol)に代わり、化合物SM‐2(10g、70.64mmol)と化合物SM‐3(33g、84.77mmol)を用いた点を除き、中間体A‐4の合成方法と同様の方法で中間体B‐1(14.4g、歩留まり71%)を得た。MS(m/z)は287.04であった。
(2)中間体B‐2の合成
中間体A‐4(10.6g、32.99mmol)に代わり、中間体B‐1(14.4g、50.16mmol)を用いた点を除き、中間体A‐5の合成方法と同様の方法で中間体B‐2(12.9g、歩留まり94%)を得た。MS(m/z)は273.06であった。
(3)中間体B‐3の合成
中間体A‐5(9.1g、29.61mmol)に代わり、中間体B‐2(12.9g、47.15mmol)を用いた点を除き、中間体A‐6の合成方法と同様の方法で中間体B‐3(7.8g、歩留まり55%)を得た。MS(m/z)は301.09であった。
(4)中間体B‐4の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体B‐3(5g、16.59mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体B‐4(2.9g、歩留まり47%)を得た。
(5)化合物52の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)に代わり、中間体B‐4(2.9g、1.77mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物52(1.6g、歩留まり51%)を得た。MS(m/z)は892.18であった。
合成例3:化合物53の合成
(1)中間体C‐1の合成
化合物SM‐1(10g、52.19mmol)と中間体A‐3(23.4g、62.63mmol)に代わり、化合物SM‐2(10g、70.64mmol)と化合物SM‐4(38g、84.77mmol)を用いた点を除き、中間体A‐4の合成方法と同様の方法で中間体C‐1(18.8g、歩留まり77%)を得た。MS(m/z)は346.11であった。
(2)中間体C‐2の合成
中間体A‐4(10.6g、32.99mmol)に代わり、中間体C‐1(18.8g、54.39mmol)を用いた点を除き、中間体A‐5の合成方法と同様の方法で中間体C‐2(16.5g、歩留まり91%)を得た。MS(m/z)は332.13であった。
(3)中間体C‐3の合成
中間体A‐5(9.1g、29.61mmol)に代わり、中間体C‐2(16.5g、49.50mmol)を用いた点を除き、中間体A‐6の合成方法と同様の方法で中間体C‐3(8.6g、歩留まり48%)を得た。MS(m/z)は360.16であった。
(4)中間体C‐4の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体C‐3(5g、13.9mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体C‐4(3.1g、歩留まり52%)を得た。
(5)化合物53の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)に代わり、中間体C‐4(3.1g、1.64mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物53(1.6g、歩留まり49%)を得た。MS(m/z)は1010.32であった。
合成例4:化合物86の合成
(1)中間体D‐1の合成
反応容器に化合物SM‐5(10g、61.12mmol)、化合物SM‐6(22.7g、67.24mmol)、Pd(OAc)2(0.7g、3.06mmol)、PPh3(3.2g、12.22mmol)、K2CO3(25.3g、183.37mmol)、そして1,4‐ジオキサン(150mL)と水(150mL)を入れ、溶かした後、100℃で12時間攪拌した。反応物の温度を常温まで下げ、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体D‐1(12.9g、歩留まり68%)を得た。MS(m/z)は310.11であった。
(2)中間体D‐2の合成
反応容器に中間体D‐1(12.9g、41.56mmol)、DMSO(200mL)を入れて溶かした後、CuI(11.9g、62.35mmol)を加え、150℃で12時間還流した。反応完了後、ろ過し、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体D‐2(4.7g、歩留まり37%)を得た。MS(m/z)は308.09であった。
(3)中間体D‐3の合成
反応容器に中間体D‐2(4.7g、15.38mmol)、1‐ヨードベンゼン(3.4g、16.77mmol)、トルエン(200mL)を入れて溶かした後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3、0.7g、0.76mmol)、P(t‐Bu)3(0.3g、1.52mmol)、NaOt‐Bu(2.9g、30.49mmol)を加え、100℃で24時間還流した。反応完了後、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体D‐3(5g、歩留まり85%)を得た。MS(m/z)は384.13であった。
(4)中間体D‐4の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体D‐3(5g、13.01mmol)を用いた点を除き、中間体A‐6の合成方法と同様の方法で中間体D‐4(2.6g、歩留まり44%)を得た。
(5)化合物86の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体D‐4(3.5g、1.97mmol)と2,2,6,6‐テトラメチルヘプタン‐3,5‐ジオン(3.6g、19.65mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物86(1.4g、歩留まり47%)を得た。MS(m/z)は1142.34であった。
合成例5:化合物101の合成
(1)中間体E‐1の合成
反応容器に中間体A‐2(50g、153.38mmol)、THF/ジエチルエーテル(1:1、500mL)を入れて溶かした後、温度を-100℃まで下げ、2.5Mのn‐BuLi(153.38mmol)をゆっくりと加えた。30分間温度を維持した後、N,N‐ジメチルホルムアミド(207.4g、2.8mol)をゆっくりと加え、-80℃で2時間攪拌した。その後、HCl/EtOH(1:3、500mL)をゆっくりと加えて反応を完了させ、反応物をHCl/EtOH(1:5、2000mL)に入れた。ジエチルエーテルを用いて有機層を抽出し、MgSO4を入れてろ過し、ろ液を減圧蒸留した後、展開溶媒にヘキサンとジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体E‐1(19.4g、歩留まり46%)を得た。MS(m/z)は273.96であった。
(2)中間体E‐2の合成
中間体A‐2(40g、122.71mmol)に代わり、中間体E‐1(19.4g、70.56mmol)を用いた点を除き、中間体A‐3の合成方法と同様の方法で中間体E‐2(13.6g、歩留まり60%)を得た。MS(m/z)は322.14であった。
(3)中間体E‐3の合成
化合物SM‐5(10g、61.12mmol)と化合物SM‐6(22.7g、67.24mmol)に代わり、化合物SM‐7(10g、61.12mmol)とE‐2(21.7g、67.24mmol)を用いた点を除き、中間体D‐1の合成方法と同様の方法で中間体E‐3(15.4g、歩留まり78%)を得た。MS(m/z)は323.09であった。
(4)中間体E‐4の合成
反応容器に中間体E‐3(15.4g、47.63mmol)、メタノール(200mL)を入れて溶かした後、攪拌しながらI2(12.1g、47.63mmol)を加えた。I2が溶解した後、H2O(50mL)に溶解したNaNO2(3.3g、47.63mmol)を加え、常温で10分間攪拌した。その後、70℃で18時間攪拌し、反応が完了すると、ゆっくりと常温まで下げ、1MのNaS2O3で洗浄した。CHCl3を用いて有機層を抽出し、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体E‐4(16.3g、歩留まり97%)を得た。MS(m/z)は353.11であった。
(5)中間体E‐5の合成
反応容器に中間体E‐4(16.3g、46.13mmol)、TFT(500mL)を入れて溶かした後、CH3MgBr(27.5g、230.64mmol)をゆっくりと加え、12時間攪拌した。反応が完了すると、エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体E‐5(8g、歩留まり49%)を得た。MS(m/z)は353.14であった。
(6)中間体E‐6の合成
反応容器に中間体E‐5(8g、22.64mmol)、酢酸と硫酸の混合水溶液(100mL)を入れて溶かした後、16時間還流した。反応完了後、温度を常温まで下げ、氷の入った水酸化ナトリウム水溶液に反応物をゆっくりと滴下した。エチルアセテートを用いて有機層を抽出した後、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。トルエン/エタノールで再結晶し、中間体E‐6(3.6g、歩留まり48%)を得た。MS(m/z)は335.13であった。
(7)中間体E‐7の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体E‐6(5g、14.9mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体E‐7(3.5g、歩留まり58%)を得た。
(8)化合物101の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体E‐7(3.5g、1.97mmol)と2,2,6,6‐テトラメチルヘプタン‐3,5‐ジオン(3.6g、19.65mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物101(2g、歩留まり50%)を得た。MS(m/z)は1044.35であった。
合成例6:化合物137の合成
(1)中間体F‐1の合成
化合物SM‐5(10g、61.12mmol)と化合物SM‐6(22.7g、67.24mmol)に代わり、化合物SM‐5(10g、61.12mmol)と化合物SM‐8(23.9g、73.35mmol)を用いた点を除き、中間体D‐1の合成方法と同様の方法で中間体F‐1(13g、歩留まり65%)を得た。MS(m/z)は326.09であった。
(2)中間体F‐2の合成
中間体D‐1(12.9g、41.56mmol)に代わり、中間体F‐1(13g、39.73mmol)を用いた点を除き、中間体D‐2の合成方法と同様の方法で中間体F‐2(5.2g、歩留まり40%)を得た。MS(m/z)は324.07であった。
(3)中間体F‐3の合成
中間体D‐2(4.7g、15.38mmol)に代わり、中間体F‐2(5.2g、15.89mmol)を用いた点を除き、中間体D‐3の合成方法と同様の方法で中間体F‐3(5g、歩留まり79%)を得た。MS(m/z)は400.1であった。
(4)中間体F‐4の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体F‐3(5g、12.48mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体F‐4(3g、歩留まり52%)を得た。
(5)化合物137の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体F‐4(3g、1.48mmol)と3,7‐ジエチルノナン‐4,6‐ジオン(3.1g、14.75mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物137(1.4g、歩留まり39%)を得た。MS(m/z)は1202.32であった。
合成例7:化合物479の合成
(1)中間体G‐1の合成
反応容器に化合物SM‐9(50g、153.38mmol)、メチルボロン酸(23g、383.46mmol)、Pd2(dba)3(4.2g、3mol%)、2‐ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,6’‐ジメトキシビフェニル(SPhos、6.3g、15.34mmol)、リン酸二水素カリウム(176.6g、766.92mmol)、そしてトルエン(1000mL)を入れて溶かした後、120℃で12時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、エチルアセテートを用いて有機層を抽出し、溶媒を除去した後、展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体G‐1(16.9g、歩留まり56%)を得た。MS(m/z)は196.09であった。
(2)中間体G‐2の合成
反応容器に中間体G‐1(16.9g、86.12mmol)、DMF(300mL)を入れて溶かした後、NBS(33.7g、189.46mmol)を加え、光を遮断したまま12時間攪拌した。反応完了後、水を加え、生成した固体をろ過した。ろ過された固体を水で3回洗浄し、トルエン/エタノールで再結晶し、中間体G‐2(26.8g、歩留まり88%)を得た。MS(m/z)は351.91であった。
(3)中間体G‐3の合成
反応容器に中間体G‐2(20g、56.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(16.1g、67.79mmol)、Pd(dppf)Cl2(2.1g、2.82mmol)、KOAc(17.1g、173.89mmol)、そして1,4‐ジオキサン(300mL)を入れて溶かした後、100℃で4時間攪拌した。反応物の温度を常温まで下げ、エチルアセテートを用いて有機層を抽出し、MgSO4を用いて有機層の水を除去し、ろ過した後、減圧して溶媒を除去した。展開溶媒にヘキサンとエチルアセテートを用いたカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、中間体G‐3(17.2g、歩留まり76%)を得た。MS(m/z)は400.08であった。
(4)中間体G‐4の合成
中間体A‐3(23.4g、62.63mmol)に代わり、中間体G‐3(25.1g、62.63mmol)を用いた点を除き、中間体A‐4の合成方法と同様の方法で中間体G‐4(12.8g、歩留まり61%)を得た。MS(m/z)は349.11であった。
(5)中間体G‐5の合成
中間体A‐4(10.6g、32.99mmol)に代わり、中間体G‐4(12.8g、36.55mmol)を用いた点を除き、中間体A‐5の合成方法と同様の方法で中間体G‐5(11.8g、歩留まり96%)を得た。MS(m/z)は335.13であった。
(6)中間体G‐6の合成
中間体A‐5(9.1g、29.61mmol)に代わり、中間体G‐5(11.8g、35.09mmol)を用いた点を除き、中間体A‐6の合成方法と同様の方法で中間体G‐6(7g、歩留まり55%)を得た。MS(m/z)は363.16であった。
(7)中間体G‐7の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体G‐6(5g、13.76mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体G‐7(3g、歩留まり51%)を得た。
(8)化合物479の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体G‐7(3g、1.59mmol)と3,7‐ジエチルノナン‐4,6‐ジオン(3.4g、15.95mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物479(1.7g、歩留まり47%)を得た。MS(m/z)は1128.44であった。
合成例8:化合物700の合成
(1)中間体H‐1の合成
メチルボロン酸(23g、383.46mmol)に代わり、プロパン‐2‐イルボロン酸(33.7g、383.46mmol)を用いた点を除き、中間体G‐1の合成方法と同様の方法で中間体H‐1(24g、歩留まり62%)を得た。MS(m/z)は252.15であった。
(2)中間体H‐2の合成
中間体G‐1(16.9g、86.12mmol)に代わり、中間体H‐1(24g、95.10mmol)を用いた点を除き、中間体G‐2の合成方法と同様の方法で中間体H‐2(36.7g、歩留まり94%)を得た。MS(m/z)は407.97であった。
(3)中間体H‐3の合成
中間体A‐2(50g、153.38mmol)に代わり、中間体H‐2(36.7g、89.39mmol)を用いた点を除き、中間体E‐1の合成方法と同様の方法で中間体H‐3(13.2g、歩留まり41%)を得た。MS(m/z)は358.06であった。
(4)中間体H‐4の合成
中間体A‐2(40g、122.71mmol)に代わり、中間体H‐3(13.2g、36.65mmol)を用いた点を除き、中間体A‐3の合成方法と同様の方法で中間体H‐4(8g、歩留まり54%)を得た。MS(m/z)は406.23であった。
(5)中間体H‐5の合成
化合物SM‐7(10g、61.12mmol)とE‐2(21.7g、67.24mmol)に代わり、化合物SM‐10(10g、56.30mmol)とH‐4(25.2g、61.93mmol)を用いた点を除き、中間体E‐3の合成方法と同様の方法で中間体H‐5(18.3g、歩留まり77%)を得た。MS(m/z)は421.2であった。
(6)中間体H‐6の合成
中間体E‐3(15.4g、47.63mmol)に代わり、中間体H‐5(18.3g、43.41mmol)を用いた点を除き、中間体E‐4の合成方法と同様の方法で中間体H‐6(18.4g、歩留まり94%)を得た。MS(m/z)は451.21であった。
(7)中間体H‐7の合成
中間体E‐4(16.3g、46.13mmol)に代わり、中間体H‐6(18.4g、40.81mmol)を用いた点を除き、中間体E‐5の合成方法と同様の方法で中間体H‐7(8.1g、歩留まり44%)を得た。MS(m/z)は451.25であった。
(8)中間体H‐8の合成
中間体E‐5(8g、22.64mmol)に代わり、中間体H‐7(8.1g、17.96mmol)を用いた点を除き、中間体E‐6の合成方法と同様の方法で中間体H‐8(4.4g、歩留まり57%)を得た。MS(m/z)は433.24であった。
(9)中間体H‐9の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体H‐8(5g、11.92mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体H‐9(2.7g、歩留まり45%)を得た。
(10)化合物700の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体H‐9(2.7g、1.22mmol)と3,7‐ジエチルノナン‐4,6‐ジオン(2.6g、12.19mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物700(1.5g、歩留まり49%)を得た。MS(m/z)は1268.6であった。
合成例9:化合物800の合成
(1)中間体I‐1の合成
化合物SM‐7(10g、61.12mmol)と中間体E‐2(21.7g、67.24mmol)に代わり、化合物SM‐11(10g、55.68mmol)と化合物SM‐12(20.9g、66.82mmol)を用いた点を除き、中間体E‐3の合成方法と同様の方法で中間体I‐1(12.1g、歩留まり66%)を得た。MS(m/z)は329.09であった。
(2)中間体I‐2の合成
反応容器に中間体I‐1(12.1g、36.75mmol)、DMF(100mL)を入れて溶かした後、K2CO3(15g、108.57mmol)を加え、100℃で1時間攪拌した。反応完了後、温度を常温まで下げ、エタノール(100mL)をゆっくりと入れて、混合物を減圧蒸留した後、クロロホルム/エチルアセテートで再結晶し、中間体I‐2(5.5g、歩留まり48%)を得た。MS(m/z)は309.08であった。
(3)中間体I‐3の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体I‐2(5g、16.16mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体I‐3(2.5g、歩留まり41%)を得た。
(4)化合物800の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)に代わり、中間体I‐3(2.5g、1.51mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物800(1.1g、歩留まり42%)を得た。MS(m/z)は908.15であった。
合成例10:化合物827の合成
(1)中間体J‐1の合成
化合物SM‐7(10g、61.12mmol)と中間体E‐2(21.7g、67.24mmol)に代わり、化合物SM‐11(10g、55.68mmol)と化合物SM‐13(21.4g、66.82mmol)を用いた点を除き、中間体E‐3の合成方法と同様の方法で中間体J‐1(12.5g、歩留まり65%)を得た。MS(m/z)は345.06であった。
(2)中間体J‐2の合成
中間体I‐1(12.1g、36.75mmol)に代わり、中間体J‐1(12.5g、36.19mmol)を用いた点を除き、中間体I‐2の合成方法と同様の方法で中間体J‐2(6g、歩留まり51%)を得た。MS(m/z)は325.06であった。
(3)中間体J‐3の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体J‐2(5g、15.37mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体J‐3(3.2g、歩留まり52%)を得た。
(4)化合物827の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体J‐3(3.2g、1.82mmol)と3,7‐ジエチルノナン‐4,6‐ジオン(3.9g、18.16mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物827(2.1g、歩留まり56%)を得た。MS(m/z)は1052.23であった。
合成例11:化合物839の合成
(1)中間体K‐1の合成
中間体A‐3(23.4g、62.63mmol)に代わり、化合物SM‐14(25g、62.63mmol)を用いた点を除き、中間体A‐4の合成方法と同様の方法で中間体K‐1(10.5g、歩留まり58%)を得た。MS(m/z)は347.13であった。
(2)中間体K‐2の合成
中間体A‐4(10.6g、32.99mmol)に代わり、中間体K‐1(10.5g、30.27mmol)を用いた点を除き、中間体A‐5の合成方法と同様の方法で中間体K‐2(9.6g、歩留まり95%)を得た。MS(m/z)は333.15であった。
(3)中間体K‐3の合成
中間体A‐5(9.1g、29.61mmol)に代わり、中間体K‐2(9.6g、28.76mmol)を用いた点を除き、中間体A‐6の合成方法と同様の方法で中間体K‐3(5.4g、歩留まり52%)を得た。MS(m/z)は361.18であった。
(4)中間体K‐4の合成
中間体A‐6(5g、14.9mmol)に代わり、中間体K‐3(5g、13.83mmol)を用いた点を除き、中間体A‐7の合成方法と同様の方法で中間体K‐4(3.2g、歩留まり53%)を得た。
(5)化合物839の合成
中間体A‐7(2.1g、1.2mmol)とアセチルアセトン(1.2g、11.71mmol)に代わり、中間体K‐4(3.2g、1.67mmol)と3,7‐ジエチルノナン‐4,6‐ジオン(3.5g、16.66mmol)を用いた点を除き、化合物1の合成方法と同様の方法で化合物839(2g、歩留まり54%)を得た。MS(m/z)は1124.48であった。
実施例1:有機発光ダイオードの製造
合成例1で合成した化合物1を発光物質層に適用した有機発光ダイオードを製造した。ITOが薄膜(100nm)としてコーティングされたガラス基板を洗浄し、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行った後、100℃のオーブンで乾燥させた。ITO透明電極上に有機物層を蒸着するため、蒸着チャンバー内へ基板を移送した。約5~7×10‐7Torrの真空状態下、加熱ボートから蒸発させ、次のように順次蒸着した。蒸着速度は1Å/sに設定した。
正孔注入層(下記のHI‐1(NPNPB)、60nm)、正孔輸送層(NPB、80nm)、発光物質層(ホストのCBP:ドーパントの化合物1=95:5の重量比、30nm)、電子輸送層と電子注入層(下記のET1(2‐[4‐(9,10‐ジ‐2‐ナフタレニル‐2‐アントラセニル)フェニル]‐1‐フェニル‐1H‐ベンゾイミダゾール;ZADN):Liq=1:1の重量比、30nm)、陽極(Al、100nm)。
製造した有機発光ダイオードをガラスでカプセル化し、皮膜を形成するため、蒸着チャンバーからドライボックスへ移した後、UV硬化エポキシおよび水分ゲッターを使用し、カプセル化した。発光ダイオードを製造するために用いられた化合物のうち、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光ホスト材料および電子輸送材料は、下記化学式(7)に記載の構造を有する。
実施例2ないし実施例11:有機発光ダイオードの製造
発光物質層のドーパントとして、化合物1に代わり、化合物52(実施例2)、化合物53(実施例3)、化合物86(実施例4)、化合物101(実施例5)、化合物137(実施例6)、化合物479(実施例7)、化合物700(実施例8)、化合物800(実施例9)、化合物827(実施例10)、化合物839(実施例11)をそれぞれ用いた点を除き、実施例1と同じ材料および同じ手順で有機発光ダイオードを製造した。
比較例:有機発光ダイオードの製造
発光物質層のドーパントとして、化合物1に代わり、下記化学式(8)に記載の比較化合物を用いた点を除き、実施例1と同じ材料および同じ手順で有機発光ダイオードを製造した。
実験例1:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例1ないし実施例11、および比較例でそれぞれ製造した有機発光ダイオードの光学的物性を測定した。9mm2の放出領域を有するそれぞれの有機発光ダイオードを外部の電力供給源に連結し、電流供給源(KEITHLEY)および光度計(PR 650)を用いて、室温で素子の特性を評価した。10mA/cm2の電流密度で測定したそれぞれの有機発光ダイオードの駆動電圧(V)、外部量子効率(EQE、相対値)、初期輝度から5%減少までの時間(LT95、%、相対値)を下記の表1に示す。
表1に示すように、比較例によって製造した有機発光ダイオードに比べ、本発明によって合成した有機金属化合物を発光物質層のドーパントに用いると、駆動電圧は、最大7.8%減少し、EQEとLT95は、それぞれ最大22%、42%増加した。したがって、本発明によって合成した有機金属化合物を発光物質層に導入することにより、駆動電圧が低下し、発光効率および発光寿命が大幅に向上した有機発光ダイオードを製造することができる。
以上、本発明の実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明が必ずしも該実施例に記載の技術思想に限定されるものではない。むしろ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、該実施例に基づき、様々な変形および変更を容易に推考することができる。また、かかる変形および変更が本発明の権利範囲に属することは、請求の範囲から明らかになる。