JP7321063B2 - トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる事情に鑑み、トンネルの施工中、ロックボルトに加えられた張力や地山が崩れようとしている兆候などを視覚的に容易に把握できるようにすることを目的とする。
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をトンネル壁面に定着させるロックボルト端部定着装置であって、
前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、
前記突出端部に螺合されたナットと、
前記受圧板と前記ナットとの間に挟まれ、押圧力に応じて変色される樹脂又はゴムからなる変色性部材と、
を備えたことを特徴とする。
前記変色性部材が、前記ナットの締付トルクが規定以上となるときの第1押圧力で変色する第1変色材層と、前記第1変色材層に積層され、前記第1押圧力より高い第2押圧力で変色する第2変色材層とを含むことが好ましい。
前記第1変色材層が相対的に薄く、前記第2変色材層が相対的に厚いことが好ましい。
前記第2変色材層が、前記第1変色材層より前記ナットの側に配置されていることが好ましい。
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をロックボルト端部定着装置によってトンネル壁面に定着させる際に、
前記ロックボルト端部定着装置における、前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、前記突出端部に螺合されたナットとの間に、押圧力に応じて変色される樹脂又はゴムからなる変色性部材を挟み、
前記変色性部材の色によって前記ロックボルトの張力又は地山の状態を判断することを特徴とする。
実際の施工中のトンネル壁面を撮影した実画像データを取得し、
前記学習済みモデルに前記実画像データを入力して前記実画像データ中の変色性部材の変色の有無を判定させることが好ましい。
<第1実施形態(図1)>
図1は、NATM工法によって施工中のトンネル1を示したものである。地山2が掘削されて、掘削面に吹付けコンクリート3が吹付けられている。該吹付けコンクリート3からなるトンネル壁面3aから周辺の地山2に多数(図においては1つだけ図示)のロックボルト4が打ち込まれている。
なお、図示は省略するが、ロックボルト4の設置後、トンネル壁面3a上に防水シートが張設され、更にそのトンネル内側に二次覆工が構築される。したがって、吹付けコンクリート3によってトンネル壁面3aが構成されている期間は一時的である。
押圧力によって変色性部材20を構成する有機分子の化学結合状態や分子間の相互作用や分子構造が変化することで、変色性部材20が変色するようになっていてもよい。
変色性部材20の変色が起きる押圧力(第1押圧力)は、ナット12の締付トルクが規定の大きさ(適正値)以上のときの押圧力になるように設定されている。規定の締め付けトルクにおいて、ロックボルト4に作用する張力が所要の大きさとなる。
図示は省略するが、ナット12と変色性部材20との間にワッシャが設けられていてもよい。
地山2を掘削し、ロックボルト4をトンネル壁面3aから周辺の地山2に打ち込んだ後、ロックボルト4の突出端部4aに定着装置10を設置する。すなわち、突出端部4aの外周に受圧板11、変色性部材20、ナット12の順に嵌める。言い換えると、受圧板11とナット12との間に変色性部材20を挟む。
ナット12の締め付けトルクが規定の大きさ以上になったとき、変色性部材20が変色される。したがって、ナット12の締め付け中の作業者は、変色性部材20の色の変化を目視観察することによって、締め付けトルクが規定の大きさ以上となったことを容易に確認できる。ひいては、ロックボルト4に作用する張力が所要の大きさ以上となったことを容易に判断できる。トルクゲージなどで締め付けトルクを測定する場合、測定値の読み間違いがあっても簡単に確認できる。この結果、ナット12を過不足なく締め付けることができ、締め付け作業を容易化できる。
その後、作業状況の点検の際も、変色性部材20の色を目視観察することによって、ロックボルト4に所要の張力が作用しているか否かを容易に判断できる。要するに、ロックボルト端部定着装置10によれば、ロックボルト4に作用する張力を「見える化」できる。
<第2実施形態(図2)>
図2に示すように、本発明の第2実施形態のロックボルト端部定着装置10Bにおいては、変色性部材20Bが、2つ(複数)の変色材層21,22を含んでいる。これら変色材層21,22がロックボルト4の軸方向に積層されている。第1変色材層21は相対的に薄肉であり、第2変色材層22は相対的に厚肉である。第2変色材層22が、第1変色材層21よりもナット12側に配置されている。
第1変色材層21は、ナット12の締付トルクが規定以上となるときの第1押圧力で変色する。第2変色材層22は、前記第1押圧力では変色せず、第1押圧力より高い第2押圧力で変色される。
このとき、変色性部材20Bへの印加押圧力は第2押圧力未満であるから、第2変色材層22は未だ変色されていない。作業者は、該第2変色材層22をも目視観察することで、締め付けトルクが過度ではないことを把握できる。
地山2が崩れようとしているときは、受圧板11が地山2からの力によって変形される。このため、変色性部材20Bへの印加押圧力が第2押圧力以上になり、第2変色材層22が変色される。該第2変色材層22の色の変化を目視観察することで、地山2が崩れようとする兆候を把握でき、事前に適切な対応を行なうことができる。要するに、ロックボルト端部定着装置10Bによれば、ロックボルト4の締め付けトルクによる張力状態に加えて、地山2の状態をも「見える化」できる。
第2変色材層22を厚肉に形成しておくことで、定着装置10Bから離れた場所からでも、第2変色材層22の色の変化を容易に確認できる。
第2変色材層22を第1変色材層21よりナット12側に配置しておくことで、定着装置10Bから離れた場所から第2変色材層22の色の変化を一層容易に確認できる。
図3は、本発明の第3実施形態に係る状態判断システム5を示したものである。状態判断システム5は、第2実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10Bと、カメラ機能6c(撮影手段)を有する携帯通信端末6と、機械学習システム30を含む。携帯通信端末6は、スマートフォンによって構成されているが、カメラ機能及び通信機能を有する携帯可能なコンピュータ(PC)であればノートパソコンであってもよい。携帯通信端末6に照明機能が付属されていてもよい。
学習の結果、判定部32には、確度の高い学習済みモデル33が格納されている。
ロックボルト4の設置工程後、現場点検者Aが、携帯通信端末6のカメラ機能6cによって、トンネル壁面3aを撮影する。これによって、施工中のトンネル壁面3aの実画像データ6dが取得される。好ましくは、実画像データ6dには1又は複数のロックボルト端部4aひいては変色性部材20Bを含むロックボルト端部定着装置10Bの画像が含まれている。トンネル壁面3aの各所をスキャンするように撮影することで、多数の画像データ6dを取得してもよい。
機械学習システム30においては、受信した実画像データ6dを判定部32の学習済みモデル33に入力して、該実画像データ6d内の変色性部材20Bの変色の有無を判定する。特に第2変色材層22の変色を判定する。(なお、ロックボルト4の設置工程後であるために、第1変色材層21は変色済である。)
判定結果は、機械学習システム30から携帯通信端末6へ送信され、携帯通信端末6のディスプレイに表示される。判定結果を携帯通信端末6から音声出力してもよい。
例えば、第2実施形態において、第1変色材層21がナット12側に配置され、第2変色材層22が受圧板11側に配置されていてもよい。変色材層21,22の厚みが同程度でもよい。変色性部材が、変色を起こす押圧力の大きさが互いに異なる変色材層を3つ以上含んでいてもよい。
第3実施形態(図3)において、学習部31と判定部32が異なるコンピュータによって構成されていてもよい。状態判断システム5は、学習部31及び判定部32のうち少なくとも判定部32を有していればよい。学習部31は、外部コンピュータによって構成されていてもよい。携帯通信端末6が、学習済みモデル33をも有し、機械学習システム30の判定部32を兼ねていてもよい。
機械学習システム30による判断結果は、現場点検者Aの携帯通信端末6に送信されるだけでなく、地上の管理コンピュータにも送信されるようにしてもよい。
第3実施形態では、状態判断システム5によって、ロックボルト4の設置工程後の地山状態を判断していたが、ナット12の締め付けトルクひいてはロックボルト4の張力状態を状態判断システム5によって判断してもよい。機械学習システム30の学習部31によって、変色性部材20又は第1変色材層21の変色を判定する学習済みモデル33を生成し、該学習済みモデル33を判定部32に格納してもよい。
第3実施形態(図3)において、第2実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10Bを、第1実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10に置換してもよい。
ロックボルトは鏡ボルトであってもよい。
1 トンネル
2 地山
3 吹付けコンクリート
3a トンネル壁面
4 ロックボルト
4a 突出端部
5 状態判断システム
6 携帯通信端末
6c カメラ機能(撮影手段)
6d 実画像データ
7 通信回線
10,10B ロックボルト端部定着装置
11 受圧板
11c 挿通穴
12 ナット
20,20B 変色性部材
20c 中心穴
21 第1変色材層
22 第2変色材層
30 機械学習システム
31 学習部
32 判定部
Claims (7)
- トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をトンネル壁面に定着させるロックボルト端部定着装置であって、
前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、
前記突出端部に螺合されたナットと、
前記受圧板と前記ナットとの間に挟まれ、押圧力に応じて変色される樹脂又はゴムからなる変色性部材と、
を備えたことを特徴とするロックボルト端部定着装置。 - 前記変色性部材が、変色を起こす押圧力の大きさが互いに異なる複数の変色材層を積層してなることを特徴とする請求項1に記載のロックボルト端部定着装置。
- 前記変色性部材が、前記ナットの締付トルクが規定以上となるときの第1押圧力で変色する第1変色材層と、前記第1変色材層に積層され、前記第1押圧力より高い第2押圧力で変色する第2変色材層とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のロックボルト端部定着装置。
- 前記第1変色材層が相対的に薄く、前記第2変色材層が相対的に厚いことを特徴とする請求項3に記載のロックボルト端部定着装置。
- 前記第2変色材層が、前記第1変色材層より前記ナットの側に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のロックボルト端部定着装置。
- トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をロックボルト端部定着装置によってトンネル壁面に定着させる際に、
前記ロックボルト端部定着装置における、前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、前記突出端部に螺合されたナットとの間に、押圧力に応じて変色される樹脂又はゴムからなる変色性部材を挟み、
前記変色性部材の色によって前記ロックボルトの張力又は地山の状態を判断することを特徴とするトンネルの状態判断方法。 - 変色性部材の画像を含む学習用画像データから前記変色の有無を機械学習システムに学習させて生成した学習済みモデルを用意し、
実際の施工中のトンネル壁面を撮影した実画像データを取得し、
前記学習済みモデルに前記実画像データを入力して前記実画像データ中の変色性部材の変色の有無を判定させることを特徴とする請求項6に記載の状態判断方法。
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