JP7319802B2 - トンネル防災システム - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル防災システムに関する。
従来、トンネル非常用設備として、水噴霧設備が知られている。水噴霧設備は、トンネルの天井又は側壁上方に取り付けられ、分散放水することにより、火災の火勢抑制及び延焼防止に用いられる設備である(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-146930号公報
トンネルの中には、監視員通路が設置されているものがある。監視員通路は、トンネル内において維持管理に従事する作業員の安全を確保することを目的として設置される通路である。この監視員通路は、トンネル内の車道上で火災が発生した場合に、避難経路として利用されることがある。しかし、監視員通路と車道の間には、せいぜい手すりぐらいしか設けられていないため、車道上の火炎が監視員通路に侵入してくる可能性があり、監視員通路を利用した避難には安全上の支障があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、監視員通路を利用した避難の安全性を向上させることを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係るトンネル防災システムは、トンネル内の車道と監視員通路に沿って設置される配水管であって、前記車道上で火災が発生した場合に、上方に放水して前記車道と前記監視員通路を隔てる水幕又は複数の水柱を形成するための複数の放水口を有する配水管を備える。
好ましい態様において、前記配水管は、前記車道と前記監視員通路を隔てる手すりを構成する。
さらに好ましい態様において、前記トンネル防災システムは、前記手すりに設置され、前記放水を制御するために操作される操作部をさらに備える。
さらに好ましい態様において、前記配水管は、前記トンネルに沿って延びる第1管部と、当該第1管部を支持する第2管部とを備え、前記第1管部は、前記第2管部を軸にして回転可能なように支持され、端部から放水する。
本発明によれば、監視員通路を利用した避難の安全性が向上する。
トンネル防災システムの構成の一例を示す図 手すり16の外観の一例を示す図 手すり16の外観の一例を示す図 トンネル防災システムの動作例を示すシーケンス図 水幕形成用配管9の設置例を示す図 水幕形成用配管9の設置例を示す図 水幕形成用配管9の設置例を示す図 水幕形成用配管9Aの外観の一例を示す図
1.実施形態
本発明の一実施形態に係るトンネル防災システムについて、図面を参照して説明する。
1-1.構成
図1は、本トンネル防災システムの構成の一例を示す図である。同図は特に、火災発生時の放水動作に関連する機器についてのみ示している。
同図に示す火災検知器1は、回線を介して防災受信盤2と接続され、火災を検知すると火災信号を防災受信盤2に出力する。火災検知器1は、トンネルの内壁に、例えば50m間隔の検知区間ごとに設置される。
第1自動弁装置3は、その1次側が給水配管4に接続され、その2次側が水噴霧用配管5に接続される。水噴霧用配管5の他端には、水噴霧ヘッド6が接続される。水噴霧ヘッド6は、トンネルの側壁上方に、例えば5m間隔で設置される。また、第1自動弁装置3は、回線を介して信号変換器7に接続される。この第1自動弁装置3は、トンネルの壁中に、例えば50m間隔の放水区画ごとに設置される。ここで、放水区画は、上述した検知区間と重なるように設定される。
第2自動弁装置8は、その1次側が給水配管4に接続され、その2次側が水幕形成用配管9に接続される。この水幕形成用配管9については後で詳述する。また、第2自動弁装置8は、回線を介して信号変換器7に接続される。この第2自動弁装置8は、トンネルの壁中に、上述した放水区画ごとに設置される。
操作部10は、水幕形成用配管9からの放水を制御するために操作される操作装置である。操作部10は、回線を介して信号変換器7に接続され、信号変換器7は、操作部10が操作されると操作信号を防災受信盤2に出力する。出力される操作信号には、水幕形成用配管9からの放水開始を指示する操作信号と、放水停止を指示する操作信号がある。この操作部10は、後述する手すり16に設置される。なお、変形例として、操作部10はトンネルの側壁に設置されてもよい。
信号変換器7は、回線を介して防災受信盤2に接続され、防災受信盤2との間で信号の送受信を行う。特に火災発生時の放水動作に関連する動作として、以下の3つの動作を行う。
(1)防災受信盤2から出力される、第1自動弁装置3に対する制御信号に従って、第1自動弁装置3の自動弁を開閉する。
(2)防災受信盤2から出力される、第2自動弁装置8に対する制御信号に従って、第2自動弁装置8の自動弁を開閉する。
(3)操作部10が操作されると、操作信号を防災受信盤2に出力する。
この信号変換器7は、トンネルの側壁に、上述した放水区画ごとに設置される。
ポンプ制御盤11は、回線を介して防災受信盤2に接続され、防災受信盤2から出力される制御信号に基づいて消火ポンプ12の運転を制御する。消火ポンプ12は、起動すると、水槽13に貯留される消火用水を加圧して給水配管4に供給する。このポンプ制御盤11は、ポンプ室に設置される。
遠方監視制御設備14は、通信ネットワークを介して防災受信盤2に接続され、防災受信盤2との間で信号の送受信を行う。特に火災発生時の放水動作に関連する動作として、操作者による操作に基づいて、消火ポンプ12、第1自動弁装置3又は第2自動弁装置8に対する制御信号を防災受信盤2に出力する。
防災受信盤2は、回線を介して接続される各機器を通じて、トンネル内における火災の監視と、消火のための制御を行う。特に火災発生時の放水動作に関連する動作として、以下の6つの動作を行う。
(1)火災検知器1から火災信号を受信すると、その火災検知器1が設置される放水区画を特定し、特定した放水区画とこれに隣接する放水区画の信号変換器7に対して、第1自動弁装置3と第2自動弁装置8の自動弁を開放するよう指示する制御信号を出力する。また、ポンプ制御盤11に対して起動信号を出力する。
(2)信号変換器7から、水幕形成用配管9からの放水開始を指示する操作信号を受信すると、その信号変換器7に対して、第2自動弁装置8の自動弁を開放するよう指示する制御信号を出力する。また、ポンプ制御盤11に対して起動信号を出力する。
(3)信号変換器7から、水幕形成用配管9からの放水停止を指示する操作信号を受信すると、その信号変換器7に対して、第2自動弁装置8の自動弁を閉鎖するよう指示する制御信号を出力する。
(4)防災受信盤2の表示操作部(図示略)に対する操作に応じて、または、遠方監視制御設備14から受信する制御信号に応じて、消火ポンプ12の起動又は停止を指示する制御信号をポンプ制御盤11に出力する。
(5)防災受信盤2の表示操作部に対する操作に応じて、または、遠方監視制御設備14から受信する制御信号に応じて、第1自動弁装置3に対する開制御又は閉制御を指示する制御信号を、指定される放水区画の信号変換器7に出力する。
(6)防災受信盤2の表示操作部に対する操作に応じて、または、遠方監視制御設備14から受信する制御信号に応じて、第2自動弁装置8に対する開制御又は閉制御を指示する制御信号を、指定される放水区画の信号変換器7に出力する。
この防災受信盤2は、例えば施設制御室に設置される。
中継増幅盤15は、防災受信盤2と、防災受信盤2から遠方の火災検知器1又は信号変換器7との間で送受信される信号を中継増幅するための装置である。
次に、上述した手すり16について説明する。
図2及び図3は、手すり16の外観の一例を示す図である。図2は、トンネルの長手方向から見た手すり16の外観を示し、図3は、トンネルの短手方向から見た手すり16の外観を示す。手すり16は、図2に示すように、トンネル内の車道Rと監視員通路Pを隔てるように、監視員通路Pの車道R側の端に沿って設置される。この手すり16は、放水区間単位で設置される。なおここで、監視員通路Pとは、トンネル内において維持管理に従事する作業員の安全を確保することを目的として設置される通路のことである。
この手すり16は、図3に示すように、L字形の水幕形成用配管9と、水幕形成用配管9を支持する支柱17により構成される。これらの構成要素のうち、水幕形成用配管9は、車道Rと監視員通路Pに沿って設置される配水管であり、段部S内で第2自動弁装置8を介して給水配管4と接続される。この水幕形成用配管9は、その側面に複数の放水口18を備えており、車道R上で火災が発生した場合には、図2及び図3に示すように、これらの複数の放水口18から鉛直上方に放水して、車道Rと監視員通路Pを隔てる水幕を張る。放水口18の形成間隔は、例えば10cmであり、水幕の高さは、例えば放水口18から2mである。この水幕が形成されることで、車道R上の火炎が監視員通路Pに侵入することが抑制され、その結果、監視員通路Pを利用した避難の安全性が向上する。なお、放水口18には、散水ノズルを取り付けてもよい。
1-2.動作
以上説明したトンネル防災システムの動作例について説明する。以下では特に、火災発生時の放水動作の一例について、図4に示すシーケンス図を参照して説明する。
トンネル内で車両火災が発生し、この火災が火災検知器1により検知されると(ステップS1)、この火災検知器1は火災信号を防災受信盤2に出力する(ステップS2)。この火災信号を受信した防災受信盤2は、ポンプ制御盤11に対して起動信号を出力する(ステップS3)。この起動信号を受信したポンプ制御盤11は、消火ポンプ12を起動する(ステップS4)。起動された消火ポンプ12は、水槽13に貯留される消火用水を加圧して給水配管4に供給する。
また、火災信号を受信した防災受信盤2は、火災信号を出力した火災検知器1が設置される放水区画を特定し(ステップS5)、特定した放水区画とこれに隣接する放水区画の信号変換器7に対して、第1自動弁装置3の自動弁を開放するよう指示する制御信号を出力する(ステップS6)。この制御信号を受信した信号変換器7は、第1自動弁装置3の自動弁を開放する(ステップS7)。その結果、特定された放水区画に設置された水噴霧ヘッド6から分散放水が行われ、火勢抑制と延焼防止が図られる。
また、火災信号を受信した防災受信盤2は、特定した放水区画の信号変換器7に対して、第2自動弁装置8の自動弁を開放するよう指示する制御信号を出力する(ステップS8)。この制御信号を受信した信号変換器7は、第2自動弁装置8の自動弁を開放する(ステップS9)。その結果、特定された放水区画に設置された水幕形成用配管9により、車道Rと監視員通路Pを隔てる水幕が形成される。その結果、車道R上の火炎が監視員通路Pに侵入することが抑制され、監視員通路Pを利用した避難の安全性が向上する。
以上が、火災発生時の動作例についての説明である。
なお、上記の動作例では、防災受信盤2が火災信号を受信したことを契機として放水動作が行われているが、防災受信盤2は、表示操作部に対する操作に応じて、または、遠方監視制御設備14から受信する制御信号に応じて、放水動作(具体的には、ステップS3、S6及びS8)を実行してもよい。その際、制御対象の放水区画は、防災受信盤2又は遠方監視制御設備14の操作者により指定される。
また、上記の放水動作のうち、ステップS3の消火ポンプ12の起動制御とステップS8の第2自動弁装置8の開制御については、防災受信盤2は、信号変換器7から、水幕形成用配管9からの放水開始を指示する操作信号を受信することを契機として実行してもよい。
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。下記の変形例は互いに組み合わせてもよい。
2-1.変形例1
図2及び図3に示す手すり16の構造は、あくまで一例である。別の構造として、例えば、水幕形成用配管9を側面視で逆U字形とし、その両端を給水配管4と接続させてもよい。または、水幕形成用配管9を支持する支柱17の一部を、水幕形成用配管9と給水配管4を接続する配水管としてもよい。
2-2.変形例2
上記の実施形態では、水幕形成用配管9は手すり16の一部として設置されているが、水幕形成用配管9の設置方法はこれに限られない。例えば、図5に示すように、監視員通路Pの車道R側の端に埋設してもよい。または、図6に示すように、車道Rの監視員通路P側の端に埋設してもよい。または、図7に示すように、トンネルの側壁上方に設置し、複数の放水口18から鉛直下方に放水させるようにしてもよい。これらの設置方法でも、車道Rと監視員通路Pを隔てる水幕を張ることができる。
2-3.変形例3
水幕形成用配管9は、車道R上の火災を消火するための放水銃として利用可能としてもよい。図8は、放水銃として利用可能とした水幕形成用配管9Aの外観の一例を示す図である。同図に示す水幕形成用配管9Aは、直線状管部91と、直線状管部91に着脱自在に接続されるL字状管部92を備える。L字状管部92は、トンネルに沿って延びる第1管部921と、この第1管部921を支持する第2管部922を備える。第1管部921は、その一端が直線状管部91に着脱自在に接続され、その他端が第2管部922に接続される。第2管部922は、その一端が第1管部921に接続され、その他端が第2自動弁装置8を介して給水配管4に接続される。第1管部921は、図8に示すように、第2管部922を軸にして回転可能なように支持され、その端部9211から放水する。この端部9211を車道R上の火炎に向けて放水することで、火勢抑制と延焼防止を図ることができる。なお、端部9211には散水ノズルを取り付けてもよい。
2-4.変形例4
手すり16は、複数の放水口18から鉛直上方に直線状に放水することで、水幕に代えて複数の水柱を車道Rと監視員通路Pの間に形成するようにしてもよい。
2-5.変形例5
手すり16は、鉛直上方に放水するための複数の放水口18に加えて、下方(鉛直下方)に放水するための複数の放水口を備えてもよい。下方に放水することで、手すり16の下方向にも車道Rと監視員通路Pを隔てる水幕を張ることができる。また、放水された消火水は車道Rに流れてゆくため、消火用として活用される。
1…火災検知器、2…防災受信盤、3…第1自動弁装置、4…給水配管、5…水噴霧用配管、6…水噴霧ヘッド、7…信号変換器、8…第2自動弁装置、9、9A…水幕形成用配管、10…操作部、11…ポンプ制御盤、12…消火ポンプ、13…水槽、14…遠方監視制御設備、15…中継増幅盤、16…手すり、17…支柱、18…放水口、91…直線状管部、92…L字状管部、921…第1管部、922…第2管部、9211…端部、P…監視員通路、R…車道、S…段部

Claims (3)

  1. トンネル内の車道と監視員通路に沿って設置される配水管であって、前記車道上で火災が発生した場合に、少なくとも上方に放水して前記車道と前記監視員通路を隔てる水幕又は複数の水柱を形成するための複数の放水口を有する配水管を備え、
    前記配水管は、前記車道と前記監視員通路を隔てる手すりを構成し、
    前記配水管は、前記トンネルに沿って延び、前記複数の放水口を有さない第1管部と、当該第1管部を支持する第2管部とを備え、
    前記第1管部は、前記第2管部を軸にして回転可能なように支持され、端部から放水する
    ことを特徴とするトンネル防災システム。
  2. 前記手すりに設置され、前記放水を制御するために操作される操作部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル防災システム。
  3. 前記配水管は、さらに、下方に放水して前記車道と前記監視員通路を隔てる水幕又は複数の水柱を形成するための複数の他の放水口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル防災システム。
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