JP7319058B2 - マット材、排ガス浄化装置及び断熱材付き排気管 - Google Patents
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Description
誤った向きに加工してしまうと、マット材を排ガス処理体へ巻きつける際の巻き付け性が低下したり、巻き付けに必要な長さが不足する等の問題があった。
マット材が、マット材剥離試験を行った際に、剥離片の剥離長さが200mmであり、剥離厚さが4mm未満となることは、マット材の第1主面及び第2主面と平行に近い角度で配向している無機繊維の割合が高いことを意味している。
このように配向している無機繊維の割合が高い場合、マット材を排ガス処理体に巻き付けた際に表面にマット裂けが生じにくくなる。すなわち、このような特徴を有するマット材は、巻き付け性及び機械的強度が優れる。
本発明のマット材を排ガス処理体に巻き付ける際は、マット材は長手方向に引っ張られながら曲げられることになる。
本発明のマット材が上記特徴を有すると、マット材を排ガス処理体に巻き付ける際に強く引っ張ったとしても、マット裂けが生じることを防ぐことができる。
また、本発明のマット材は直径50mmの処理体に巻きつけしても、マット割れが生じない。
さらには180°折り曲げてもマット割れが生じることを防ぐことができる。
有機バインダの含有量が上記範囲であると、マット材の可撓性と機械的強度とを両立させることができる。
有機バインダの含有量が4重量%未満である場合には、マット材を排ガス処理体に巻きつけた際に、マット裂けが発生してしまうことがあり、10重量%を超える場合には、排ガスの熱によって発生する分解ガスの量が多くなり、周囲の環境に悪影響を与える可能性がある。
有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃以下であると、有機バインダにより形成される有機バインダ皮膜の強度を高くしつつ、皮膜伸度が高くて可撓性に優れたマット材とすることができる。そのため、マット材を排ガス処理体に巻きつける際等にマット裂けが発生しにくくなる。また、有機バインダ皮膜が硬くなり過ぎないため、無機繊維が破断した際に、無機繊維同士を繋ぎ止める効果を発揮し、無機繊維の飛散を抑制することができる。一方、有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃を超える場合、マット材の可撓性が低下し、破断伸度が低下してしまうことがある。
無機繊維が、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維及び生体溶解性繊維からなる群から選択された少なくとも1種から構成されていると、耐熱性、耐風蝕性等、本発明のマット材に要求される特性を充分に満足することができる。
抄造により無機繊維を積層する際に、漉き上げの時間を長くすることにより、マット材の第1主面及び第2主面と平行に近い角度で無機繊維を配向させることができる。
本発明の排ガス浄化装置は、保持材として本発明のマット材を備えるため、排ガス浄化触媒を安定的に保持し、脱落を防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置は、保持材及び/又は断熱材として本発明のマット材を備える。
本発明のマット材が、保持材として用いられる場合には、巻き付け時のマット裂け等が発生しにくく、排ガス浄化装置に組み付けた後において排ガス処理体を安定的に保持することができる。
本発明のマット材が、断熱材として用いられる場合には、マット裂け等が発生しにくい。
本発明の断熱材付き排気管は、断熱材として本発明のマット材を備えるため、排気管にマット材を巻きつける際のマット裂け等が発生しにくく、好適に断熱することができる。
以下、本発明のマット材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本明細書において、マット材剥離試験とは以下の手順で行う試験の事を意味する。
図1は、マット材剥離試験におけるマット材準備工程を模式的に示す模式図である。
図2(a)は、マット材剥離試験における試験試料作製工程を模式的に示す模式図である。図2(b)は、試験試料作製工程で作製した試料を模式的に示す斜視図である。
図3(a)~(d)は、マット材剥離試験における切れ込み工程を模式的に示す模式図である。
図4(a)~(c)は、マット材剥離試験における剥離工程を模式的に示す模式図である。
図5(a)~(c)は、マット材剥離試験における剥離工程を模式的に示す模式図である。
図6(a)~(c)は、マット材剥離試験における剥離工程を模式的に示す模式図である。
図7(a)~(c)は、マット材剥離試験における剥離工程を模式的に示す模式図である。
(1)マット材準備工程
まず、図1に示すように、巻き付け方向となる長手方向(図1中、矢印Lで示す方向)及び長手方向と直交する短手方向(図1中、矢印Wで示す方向)を有するマット材10を準備する。
次に、図2(a)に示すように、平面視した際に、長手方向の距離が200mm、短手方向の距離が30mmの長方形状になり、厚さが10mmとなるように、マット材10を打ち抜き加工し、第1試験試料20a、第2試験試料20b、第3試験試料20c及び第4試験試料20dを作製する。
第2試験試料20bは、第1端部21b及び第1端部21bと反対側の第2端部22bとを有する。また、第2試験試料20bは、第1主面23b及び第1主面23bの反対側に位置する第2主面24bを有する。
第3試験試料20cは、第1端部21c及び第1端部21cと反対側の第2端部22cとを有する。また、第3試験試料20cは、第1主面23c及び第1主面23cの反対側に位置する第2主面24cを有する。
第4試験試料20dは、第1端部21d及び第1端部21dと反対側の第2端部22dとを有する。また、第4試験試料20dは、第1主面23d及び第1主面23dの反対側に位置する第2主面24dを有する。
次に、図3(a)に示すように、第1試験試料20aの第1端部21aの第1主面23aから1mmの位置に、第2端部22aの方向に向かう3mmの切れ込み25aを形成し、つまみ部26aを作製する。
また、図3(b)に示すように、第2試験試料20bの第1端部21bの第2主面24bから1mmの位置に、第2端部22bの方向に向かう3mmの切れ込み25bを形成し、つまみ部26bを作製する。
また、図3(c)に示すように、第3試験試料20cの第2端部22cの第1主面23cから1mmの位置に、第1端部21cの方向に向かう3mmの切れ込み25cを形成し、つまみ部26cを作製する。
また、図3(d)に示すように、第4試験試料20dの第2端部22dの第2主面24dから1mmの位置に、第1端部21dの方向に向かう3mmの切れ込み25dを形成し、つまみ部26dを作製する。
次に、図4(a)~(c)に示すように、第2主面24aが下になるように第1試験試料20aを固定台50に固定し、つまみ部26aを剥離試験機(図示せず)の把持部51でつまむ。そして、把持部51を、第2端部22aの方向に引っ張り、剥離片30aを作製する。
この際、把持部51の移動方向と第1主面23aとがなす角度が20°となるようにする。また、把持部51の移動速度は移動方向に向かって5mm/secとなるようにする。
その後、図4(c)に示すように、剥離片30aの長手方向の剥離片長さLa、及び、剥離片厚さTaを測定する。
剥離片厚さTaとは、剥離片30aの第1端部21aから190mmの位置の厚さの事を意味する。なお、剥離片30aの剥離片長さLaが190mmに満たない場合、剥離片30aの剥離片厚さTaは0mmとする。
この際、把持部51の移動方向と第2主面24bとがなす角度が20°となるようにする。また、把持部51の移動速度は移動方向に向かって5mm/secとなるようにする。その後、図5(c)に示すように、剥離片30bの長手方向の剥離片長さLb、及び、剥離片厚さTbを測定する。
剥離片厚さTbとは、剥離片30bの第1端部21bから190mmの位置の厚さの事を意味する。なお、剥離片30bの剥離片長さLbが190mmに満たない場合、剥離片30bの剥離片厚さTbは0mmとする。
この際、把持部51の移動方向と第1主面23cとがなす角度が20°となるようにする。また、把持部51の移動速度は移動方向に向かって5mm/secとなるようにする。その後、図6(c)に示すように、剥離片30cの長手方向の剥離片長さLc、及び、剥離片厚さTcを測定する。
剥離片厚さTcとは、剥離片30cの第2端部22cから190mmの位置の厚さの事を意味する。なお、剥離片30cの剥離片長さLcが190mmに満たない場合、剥離片30cの剥離片厚さTcは0mmとする。
この際、把持部51の移動方向と第2主面24dとがなす角度が20°となるようにする。また、把持部51の移動速度は移動方向に向かって5mm/secとなるようにする。その後、図7(c)に示すように、剥離片30dの長手方向の剥離片長さLd、及び、剥離片厚さTdを測定する。
剥離片厚さTdとは、剥離片30dの第2端部22dから190mmの位置の厚さの事を意味する。なお、剥離片30dの剥離片長さLdが190mmに満たない場合、剥離片30dの剥離片厚さTdは0mmとする。
本明細書において、「剥離厚さ」とは、剥離片30a~剥離片30dのうち、最も長い剥離片における剥離片厚さのことを意味する。
なお、最も長い剥離片が複数存在する場合には、「剥離厚さ」は、最も薄い剥離片厚さのことを意味する。
つまり、有機バインダと無機繊維とを含むマット材を用いてマット材剥離試験を行った際、第1試験試料の剥離片~第4試料の剥離片のうち、少なくとも1つの剥離片において、剥離片長さが200mmであり、剥離片厚さが4mm未満であれば、そのマット材は、本発明のマット材に含まれる。
上記の通り本発明のマット材は、マット材剥離試験を行った際に、剥離片の剥離長さが200mmであり、剥離厚さが4mm未満となる。
このような本発明のマット材では、マット材の第1主面及び第2主面と平行に近い角度で配向している無機繊維の割合が高い。
このように配向している無機繊維の割合が高い場合、マット材を排ガス処理体に巻き付けた際に表面にマット裂けが生じにくくなる。すなわち、このような特徴を有する本発明のマット材は、巻き付け性及び機械的強度が優れる。
なお、マット材剥離試験において、剥離片の剥離長さが200mm未満となるようなマット材、又は、剥離片の剥離厚さが4mm以上となるようなマット材は、無作為に配向している無機繊維の割合が高いマット材、又は、第1主面及び第2主面と急角度を形成するように配向している無機繊維の割合が高いマット材であるといえる。
このようなマット材を排ガス処理体に巻き付けると、マット材の表面にマット裂けが生じやすくなる。
本明細書において、マット材耐久試験とは以下の手順で行う試験の事を意味する。
図8は、マット材耐久試験のマット材準備工程を模式的に示す模式図である。
図9は、マット材耐久試験の試験試料作製工程を模式的に示す模式図である。
図10は、マット材耐久試験の耐久試験工程を模式的に示す模式図である。
(1)マット材準備工程
まず、図8に示すように、巻き付け方向となる長手方向(図8中、矢印Lで示す方向)及び長手方向と直交する短手方向(図8中、矢印Wで示す方向)を有するマット材110を準備する。
次に、図9に示すように、平面視した際に、長手方向の距離が220mm、短手方向の距離が30mmの長方形状にマット材110を打ち抜き、試験試料120を作製する。
次に、図10に示すように、試験試料120の一方の端部を固定台150に固定し、φ55mmの円柱体151に巻き付ける。次に、固定台150に固定した端部と逆側の試験試料120の端部に400gの重り152を取り付ける。
その後、5分間この状態を保持する。
マット裂けが確認できなかった場合、「マット材を用いてマット材耐久試験を行った際に、マット裂けが生じない」とする。
マット裂けが確認できた場合、「マット材を用いてマット材耐久試験を行った際に、マット裂けが生じた」とする。
本発明のマット材が「マット材耐久試験を行った際に、マット裂けが生じない」という特徴を有すると、マット材を排ガス処理体に巻き付ける際に強く引っ張ったとしても、マット裂けが生じることを防ぐことができる。
また、本発明のマット材は直径50mmの処理体に巻きつけしても、マット割れが生じない。
さらには180°折り曲げてもマット割れが生じることを防ぐことができる。
無機繊維は、特に限定されず、アルミナ-シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等であってもよい。また、ガラス繊維や生体溶解性繊維であってもよい。耐熱性や耐風蝕性等、マット材に要求される特性等に応じて変更すればよく、各国の環境規制に適合できるような太径繊維や繊維長のものを使用するのが好ましい。
無機繊維の平均繊維長が200μm未満である場合、このような場合、無機繊維同士が充分に絡み合わずに、充分な面圧及び引張強さを発揮できないことや、無機繊維が排ガスの風圧により飛散しやすくなることがある。一方、無機繊維の平均繊維長が20000μmを超える場合、マット材を構成する無機繊維の密度にムラが発生することがある。
繊維長の測定は、ピンセットを使用して、マット材から無機繊維が破断しないように抜き取り、光学顕微鏡を使用して繊維長を測定する。本明細書では、無機繊維300本を抜き取り、平均繊維長を求める。
マット材から無機繊維を採取する際には、必要に応じてマット材を脱脂処理して水の中へ投入し、無機繊維同士の絡みをほぐしながら無機繊維が破断しないように採取してもよい。
無機繊維の平均繊維径は、3~7μmであることがより好ましく、無機繊維の平均繊維径が3μm未満の場合、無機繊維の変形に対する復元力が低下し、充分な面圧を発揮しにくくなる。一方、無機繊維の平均繊維径が10μmを超える場合、無機繊維の柔軟性が失われ、変形時に折れやすくなることがある。
高分子樹脂成分として、アクリル系樹脂やゴム系樹脂等を含んだエマルジョン液を無機繊維に付着させて溶媒を除去することで、無機繊維に有機バインダを含有させることができる。
有機バインダの含有量が4重量%未満の場合、マット材に充分な可撓性を付与することができないことがあり、マット材を排ガス処理体に巻きつける際に、クラックが発生することがある。一方、有機バインダの含有量が10重量%を超える場合、排ガスの熱によって発生する有機バインダの分解ガスの量が多くなり、周囲の環境に影響を与える可能性がある。
有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃以下であると、有機バインダにより形成される有機バインダ皮膜の強度を高くしつつ、皮膜伸度が高くて可撓性に優れたマット材とすることができる。そのため、マット材を排ガス処理体に巻きつける際等にマット裂けが発生しにくくなる。また、有機バインダ皮膜が硬くなり過ぎないため、無機繊維が破断した際に、無機繊維同士を繋ぎ止める効果を発揮し、無機繊維の飛散を抑制することができる。一方、有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃を超える場合、マット材の可撓性が低下し、破断伸度が低下してしまうことがある。
まず、マット材を一定重量サンプルとして採取する。続いて、サンプルをるつぼに入れて加熱して有機バインダを燃焼除去し、加熱により減少した重量を有機バインダの重量とみなし、マット材の重量に対する含有量(重量%)を算出する。
一方、マット材中に有機バインダ及び無機バインダが含まれる場合、これらの含有量は、例えば以下の方法により測定することができる。
次に、上記有機バインダと上記無機バインダからなる有機溶媒をるつぼに入れ、加熱により有機溶剤を蒸発除去する。るつぼに残った残渣を、マット材に対する上記有機バインダと上記無機バインダの合計重量とみなし、マット材の重量に対する含有量(重量%)を算出する。
本発明のマット材は、円柱状の排ガス浄化装置、排ガス処理体や排気管に巻きつけることにより、断熱材、防音材等の用途に使用することができる。
本発明のマット材を円柱状の排ガス処理体の側面に巻きつけてケーシング内に収容することで排ガス浄化装置が得られる。従って、本発明のマット材は保持材として使用することもできる。
また、本発明のマット材を排ガス浄化装置の外周部や周囲に巻きつけて配置することによって、断熱材、防音材、吸音材等の用途に使用することができる。
図11は、本発明のマット材の一例を模式的に示す斜視図である。
図11に示す本発明のマット材210は、巻き付け方向となる長手方向Lと、長手方向に直交する短手方向Wを有する。
マット材210には、長手方向側の端部のうち、一方の端部である第1端部211に凸部211aが形成されており、他方の端部である第2端部212に凹部212aが形成されている。マット材210の凸部211a及び凹部212aは、外周が円柱状の排ガス浄化装置、排ガス処理体や排気管にマット材を巻きつける際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
なお、本発明のマット材を上記用途で用いる場合には、マット材は凸部及び凹部が形成されていない形状であってもよい。
マット材の厚さが2mm未満であると、その厚さが薄すぎるため、断熱性能や防音性能が低下してしまう。一方、マット材の厚さが30mmを超えると、柔軟性が低下し、装着対象となる部材への装着性が低下する。
マット材210は長手方向の長さが200~1300mmであっても、マット裂けが発生しにくい。
また、マット材210の短手方向の長さは、20~300mmであることが好ましい。
本発明の第1の排ガス浄化装置は、保持材として、本発明のマット材を備えるため、マット裂け等が発生しにくく、排ガス処理体を安定的に保持することができる。
またその形状としては、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のものであってもよい。
ケーシングの形状は、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、内径が一定である略円筒状であってもよい。
ケーシングの内径は、排ガス処理体にマット材を巻き付けた巻付体の直径より若干短くなっていることが好ましい。ケーシングの内径が、巻付体の直径より若干短いと、巻付体はしっかりと押さえつけられるので、排ガス浄化装置の使用時に、排ガス処理体が脱落しにくくなる。
本発明のマット材が、保持材として用いられる場合には、マット裂け等が発生しにくく、排ガス処理体を安定的に保持することができる。
本発明のマット材が、断熱材として用いられる場合には、マット裂けが発生しにくい。
本発明の断熱材付き排気管は、排気管と、上記排気管を覆うように配置された断熱材と、上記断熱材の外側に配置された金属カバーとを備える断熱材付き排気管であって、上記断熱材は、本発明のマット材であることを特徴とする。
また、本発明の断熱材付き排気管において、金属カバーは、ステンレス等の金属からなることが好ましい。
抄造により無機繊維を積層する際に、漉き上げの時間を長くすることにより、マット材の第1主面及び第2主面と平行に近い角度で無機繊維を配向させることができる。
本発明のマット材は、従来の方法により製造することができるが、抄造法により製造することが好ましく、連続式抄造法により製造することがより好ましい。
まず無機繊維を開繊し、開繊した無機繊維を溶媒中に分散させた後、有機バインダを添加して混合液とする。続いて成形器に混合液を流し込み、ろ過用のメッシュを用いて無機繊維を連続的に漉き上げて繊維集合体を作製し、その後繊維集合体を下面から吸引することにより脱水し、脱水した繊維集合体を乾燥することによりマット材を得ることができる。
漉き上げの条件としては、特に限定されないが、例えば、0.1~1.5m/minの速度で漉き上げることが好ましい。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[紡糸工程]
Al含有量が70g/Lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al2O3:SiO2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体を作製した。続いてこの無機繊維前駆体を圧縮して、長方形のシート状物を作製した。圧縮したシート状物を最高温度1250℃で焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維(平均繊維径5μm)を作製した。
上記無機繊維10kgを水1500Lに投入し、650rpmで20分間、市販のパルパー(容量2000L程度)を用いて撹拌することで、無機繊維を破砕し、短繊維化することで、開繊された無機繊維の溶液を得た。
工程により得た開繊された上記無機繊維の溶液の一部を、繊維分が170g、水が75Lとなるように取り出し、ここにアクリル系樹脂(ガラス転移温度Tg:-15℃)を水に分散させた市販のアクリルラテックス溶液(固形分重量50重量%)を21.7g投入し、650rpmで1分間撹拌することにより、スラリーを調製した。
上記スラリーを、連続抄造機を用いて従来公知の方法で、乾燥後の目付量が1500g/m2となるように、抄造して繊維集合体を得た。
この際、漉き上げ速度を、0.5m/minとした。
得られた繊維集合体をプレス機を用いて7.0mmに圧縮しながら140℃で15分加熱することでマット材を得た。得られたマット材の抄造方向が長手方向となる形状に切断し、長手方向の長さが430mm、短手方向の長さが100mm、厚さが10mmである実施例1に係るマット材を得た。
抄造工程において、漉き上げ速度を、15m/minとした以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るマット材を得た。
抄造工程において、乾燥後の厚さを11mmとし、抄造方法を連続式からバッチ式に変更したほかは、実施例1と同様の方法で、比較例2に係るマット材を得た。
結果を表1に示す。
図12(a)~(d)は、実施例1に係るマット材のマット材剥離試験の結果を示す写真である。
図12(a)は、実施例1に係るマット材の第1試験試料20aを用いたマット材剥離試験の結果である。図12(a)中の矢印は剥離方向を示している。
図12(b)は、実施例1に係るマット材の第2試験試料20bを用いたマット材剥離試験の結果である。図12(b)中の矢印は剥離方向を示している。
図12(c)は、実施例1に係るマット材の第3試験試料20cを用いたマット材剥離試験の結果である。図12(c)中の矢印は剥離方向を示している。
図12(d)は、実施例1に係るマット材の第4試験試料20dを用いたマット材剥離試験の結果である。図12(d)中の矢印は剥離方向を示している。
図13(a)は、比較例2に係るマット材の第1試験試料20aを用いたマット材剥離試験の結果である。図13(a)中の矢印は剥離方向を示している。
図13(b)は、比較例2に係るマット材の第2試験試料20bを用いたマット材剥離試験の結果である。図13(b)中の矢印は剥離方向を示している。
図13(c)は、比較例2に係るマット材の第3試験試料20cを用いたマット材剥離試験の結果である。図13(c)中の矢印は剥離方向を示している。
図13(d)は、比較例2に係るマット材の第4試験試料20dを用いたマット材剥離試験の結果である。図13(d)中の矢印は剥離方向を示している。
また、マット材耐久試験においてマット裂けが生じていなかった。
一方、比較例1に係るマット材は、マット材剥離試験において、剥離片の剥離長さが200mmであったものの、剥離厚さが4.78mmであった。
また、マット材耐久試験においてマット裂けが生じていた。
また、比較例2に係るマット材は、マット材剥離試験において、剥離片の剥離長さが200mm未満であった。
また、マット材耐久試験においてマット裂けが生じていた。
20a 第1試験試料
20b 第2試験試料
20c 第3試験試料
20d 第4試験試料
21a、21b、21c、21d 第1端部
22a、22b、22c、22d 第2端部
23a、23b、23c、23d 第1主面
24a、24b、24c、24d 第2主面
25a、25b、25c、25d 切れ込み
26a、26b、26c、26d つまみ部
30a、30b、30c、30d 剥離片
50、150 固定台
51 把持部
120 試験試料
151 円柱体
152 重り
211 第1端部
211a 凸部
212 第2端部
212a 凹部
Claims (9)
- 有機バインダと無機繊維とを含むマット材であって、
前記マット材は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、巻き付け方向となる長手方向と、前記長手方向に直交する短手方向を有し、
前記マット材を用いて下記マット材剥離試験を行った際に、第1試験試料に係る剥離片、第2試験試料に係る試験片、第3試験試料に係る試験片及び第4試験試料に係る試験片のうち少なくとも1つの試験片の剥離長さが200mmであり、剥離厚さが4mm未満となることを特徴とするマット材。
マット材剥離試験:
前記マット材を切断加工することにより、平面視した際に、長手方向の距離が200mm、短手方向の距離が30mmの長方形状になり、厚さが10mmとなる試験試料を4つ作製し、前記第1試験試料、前記第2試験試料、前記第3試験試料及び前記第4試験試料とする試験試料作製工程を行う。前記試験試料は、厚さ方向の一端である第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、長手方向の一端である第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部とを有する。
次に、前記第1試験試料の第1端部の第1主面から1mmの位置に、第2端部の方向に向かう3mmの切れ込みを形成し、つまみ部を作製し、
前記第2試験試料の第1端部の第2主面から1mmの位置に、第2端部の方向に向かう3mmの切れ込みを形成し、つまみ部を作製し、
前記第3試験試料の第2端部の第1主面から1mmの位置に、第1端部の方向に向かう3mmの切れ込みを形成し、つまみ部を作製し、
前記第4試験試料の第2端部の第2主面から1mmの位置に、第1端部の方向に向かう3mmの切れ込みを形成し、つまみ部を作製する切れ込み形成工程を行う。
次に、前記第2主面が下になるように前記第1試験試料を固定台に固定し、前記つまみ部を剥離試験機の把持部でつまみ、前記把持部の移動方向と前記第1主面とがなす角度が20°となり、かつ、前記把持部の移動速度が移動方向に向かって5mm/secとなるように、前記把持部を、前記第2端部の方向に引っ張り、前記第1試験試料に係る剥離片を作製し、前記第1試験試料に係る剥離片の長手方向の長さを剥離長さとし、前記第1試験試料に係る剥離片の前記第1端部から190mmの位置の厚さを剥離厚さとし、
前記第1主面が下になるように前記第2試験試料を固定台に固定し、前記つまみ部を剥離試験機の把持部でつまみ、前記把持部の移動方向と前記第2主面とがなす角度が20°となり、かつ、前記把持部の移動速度が移動方向に向かって5mm/secとなるように、前記把持部を、前記第2端部の方向に引っ張り、前記第2試験試料に係る剥離片を作製し、前記第2試験試料に係る剥離片の長手方向の長さを剥離長さとし、前記第2試験試料に係る剥離片の前記第1端部から190mmの位置の厚さを剥離厚さとし、
前記第2主面が下になるように前記第3試験試料を固定台に固定し、前記つまみ部を剥離試験機の把持部でつまみ、前記把持部の移動方向と前記第2主面とがなす角度が20°となり、かつ、前記把持部の移動速度が移動方向に向かって5mm/secとなるように、前記把持部を、前記第1端部の方向に引っ張り、前記第3試験試料に係る剥離片を作製し、前記第3試験試料に係る剥離片の長手方向の長さを剥離長さとし、前記第3試験試料に係る剥離片の前記第2端部から190mmの位置の厚さを剥離厚さとし、
前記第1主面が下になるように前記第4試験試料を固定台に固定し、前記つまみ部を剥離試験機の把持部でつまみ、前記把持部の移動方向と前記第1主面とがなす角度が20°となり、かつ、前記把持部の移動速度が移動方向に向かって5mm/secとなるように、前記把持部を、前記第1端部の方向に引っ張り、前記第4試験試料に係る剥離片を作製し、前記第4試験試料に係る剥離片の長手方向の長さを剥離長さとし、前記第4試験試料に係る剥離片の前記第2端部から190mmの位置の厚さを剥離厚さとする剥離工程を行う。 - 前記マット材を用いて下記マット材耐久試験を行った際に、マット裂けが生じない請求項1に記載のマット材。
下記マット材耐久試験:
前記マット材を切断加工することにより、長手方向の距離が220mm、短手方向の距離が30mmの長方形状となる試験試料を作製する試験試料作製工程を行う。
次に、前記試験試料の一方の端部を固定台に固定し、φ55mmの円柱体に巻き付け、固定台に固定した端部と逆側の前記試験試料の端部に400gの重りを取り付け、5分間この状態を保持する耐久試験工程を行う。 - 前記有機バインダの含有量は、前記マット材の全量に対して固形分換算で4~10重量%である請求項1又は2に記載のマット材。
- 前記有機バインダのガラス転移温度Tgは、5℃以下である請求項1~3のいずれかに記載のマット材。
- 前記無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維及び生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも1種から構成されている請求項1~4のいずれかに記載のマット材。
- 前記マット材は、抄造により無機繊維を積層したマット材である請求項1~5のいずれかに記載のマット材。
- 排ガス処理体と、
前記排ガス処理体を収容するケーシングと、
前記排ガス処理体と前記ケーシングとの間に配設され、前記排ガス処理体を保持する保持材とを備える排ガス浄化装置であって、
前記保持材は請求項1~6のいずれかに記載のマット材であることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 排ガス処理体と、
前記排ガス処理体を収容するケーシングと、
前記排ガス処理体と前記ケーシングとの間に配設され、前記排ガス処理体を保持する保持材と、
前記ケーシングを覆うように配置された断熱材と、
前記断熱材の外側に配置された金属カバーとを備える排ガス浄化装置であって、
前記保持材及び/又は前記断熱材は、請求項1~6のいずれかに記載のマット材であることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 排気管と、
前記排気管を覆うように配置された断熱材と、
前記断熱材の外側に配置された金属カバーとを備える断熱材付き排気管であって、
前記断熱材は、請求項1~6のいずれかに記載のマット材であることを特徴とする断熱材付き排気管。
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