以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としての電子写真式のカラープリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図において、10はプリンタ、Csはプリンタ10の筐体であり、該筐体Csの上部に操作パネルPnが、筐体Csの下部に媒体収容部としての給紙カセット11が配設され、該給紙カセット11のスタッカSt1に媒体としての用紙Pが載置される。給紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構12が配設される。
該給紙機構12は給紙ローラ13及び図示されない分離装置から成り、給紙機構12によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、搬送ローラ対14に送られた後、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに供給される。
該各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、プリンタ10の本体、すなわち、装置本体Bdに対して着脱自在に配設され、像担持体としての感光体ドラム31等を備える。また、前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに対応させて、露光装置としてのLEDヘッド22が各感光体ドラム31と対向させて配設される。
画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ29、該トナーカートリッジ29の下方に形成され、トナーカートリッジ29から供給されたトナーを貯蔵するトナー貯蔵部30、前記感光体ドラム31、該感光体ドラム31の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、トナーを保持する現像剤担持体としての現像ローラ33、前記トナー貯蔵部30内のトナーを現像ローラ33に供給する現像剤供給部材としての供給ローラ34、現像ローラ33上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材としての現像ブレード35、感光体ドラム31上のトナーを除去する第1のクリーニング部材36等を備える。なお、前記現像ローラ33、供給ローラ34及び現像ブレード35によって現像器が構成される。
本実施の形態において、トナーカートリッジ29からトナー貯蔵部30に供給されたトナーは、供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ブレード35によって層厚が規制されて現像ローラ33上で薄層化され、このとき、トナーは供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦によって負の極性に帯電させられる。
前記感光体ドラム31は、後述される画像形成用の駆動部としてのIDモータ(ドラムモータ)76(図1)によって矢印方向に回転させられ、回転に伴って表面が、帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22によって露光されて、表面に潜像としての静電潜像が形成される。該静電潜像に前記現像ローラ33上のトナーが静電的に付着させられて、感光体ドラム31上に現像剤像としてのトナー像が形成される。
また、感光体ドラム31は、円筒型に加工された導電性支持体、及び導電性支持体上に感光層を塗布することによって形成された感光層部から成り、該感光層部は、導電性支持体側から順に、ブロッキング層、電荷発生層及び電荷輸送層を積層することによって形成される。
本実施の形態において、前記感光層部は、電荷輸送層の膜厚が約18〔μm〕になるように塗布される(特開2009-288672号公報参照。)。なお、膜厚の測定にはケツト科学研究所社製の渦電流膜厚計「LH-200J」が使用される。
そして、前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの下方に転写ユニットuが配設される。該転写ユニットuは、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、駆動ローラr1及び従動ローラr2によって走行自在に張設されたベルト部材としての転写ベルト17、該転写ベルト17を挟んで前記感光体ドラム31と対向させて回転自在に配設された第1の転写部材としての転写ローラ21及びクリーニング装置25を備える。該クリーニング装置25は、前記転写ベルト17に付着したトナーを掻き取り、除去する第2のクリーニング部材27、及び掻き取られたトナーを廃棄トナーとして収容する廃棄トナー収容室28を備える。
ベルト走行用の駆動部としての図示されないベルトモータが駆動されると、駆動ローラr1が矢印方向に回転させられ、転写ベルト17が矢印方向に走行させられる。
画像形成ユニット16Bkに供給された用紙Pは、転写ベルト17の走行に伴って搬送され、各感光体ドラム31と各転写ローラ21との間を通過し、該各転写ローラ21が、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて各感光体ドラム31に形成されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のトナー像を用紙Pに順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する。トナー像が転写された後の感光体ドラム31に残留したトナーは、前記第1のクリーニング部材36によって掻き取られて除去され、廃棄トナーとして、廃棄現像剤回収室としての図示されない廃棄トナー回収室に回収される。
続いて、用紙Pは、定着装置としての定着器18に送られ、該定着器18において、内部に加熱部材としての図示されないハロゲンランプを備えた第1の定着部材としての加熱ローラ19によって加熱され、第2の定着部材としての加圧ローラ20によって加圧され、カラーのトナー像が定着させられ、カラーの画像が形成される。そして、定着器18から排出された用紙Pは、排出ローラ対24によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂部に形成されたスタッカSt2に積載される。
本実施の形態において、前記各色のトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤等によって形成され、外添剤(疎水性シリカ)が添加される。また、本実施の形態において、各色のトナーは、粉砕法によって形成され、粉砕形状を有し、平均粒径が8〔μm〕にされるが、重合法等の製法によって形成することもできる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの着色剤として、有機系の顔料、例えば、カーボンブラック、ピグメントイエロー、ピグメントマゼンタ、ピグメントシアン等が使用されるが、混色させるためにある程度透明な顔料が使用される。
前記現像ローラ33は、金属製のシャフト、及び該金属製のシャフトの外周に形成された弾性層から成る。該弾性層として、半導電性を有し、ゴム硬度が70〔°〕(アスカーC)のウレタンゴムが使用される。
前記供給ローラ34は、金属製のシャフト、及び該金属製のシャフトの外周に形成された発泡層から成る。該発泡層として、硬度が50〔°〕(アスカーF)のシリコン発砲体が使用される。
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図において、10はプリンタ、50は制御部、51は、情報入力装置としての、かつ、上位装置としてのホストコンピュータ、52はインタフェース部、55は記憶装置としてのメモリであり、該メモリ55は、第1の記憶部としてのROM56、及び第2の記憶部としてのRAM57を備える。
前記制御部50は、図示されないCPU、入出力ポート、タイマ等を備え、ホストコンピュータ51からインタフェース部52を介して印刷ジョブを受信し、該印刷ジョブの印刷データ及び制御コマンドに基づいて用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
そのために、制御部50は、ROM56に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。ROM56には、前記プログラムのほかに、後述される印刷デューティ比率閾値テーブル、各種の設定値等が記録される。また、RAM57には、前記印刷データに基づいて生成され、通常の印刷を行うための画像データのほかに、各種の制御用のデータが一時的に記録される。なお、RAM57は、前記CPUが演算を行う際にワーキングメモリとして使用される。
また、制御部50は、廃棄条件成立判断処理部Pr1、廃棄処理部Pr2、プロセス制御処理部Pr3、印刷処理部Pr4等を備える。
前記廃棄条件成立判断処理部Pr1は、廃棄条件成立判断処理を行い、劣化したトナーを廃棄するための廃棄条件が成立したかどうかを判断する。
前記廃棄処理部Pr2は、廃棄処理を行い、劣化したトナーを廃棄する。そのために、廃棄処理部Pr2は、帯電ローラ32(図2)に直流の0〔V〕の帯電電圧VCを印加し、感光体ドラム31を所定の時間τ2回転させて停止させた後、感光体ドラム31の回転を開始してから所定の時間τ1現像ローラ33に直流の0〔V〕の現像電圧VDを印加して、感光体ドラム31に付着したトナーをクリーニング部材36によって除去する。
前記プロセス制御処理部Pr3は、プロセス制御処理を行い、IDモータ76を駆動し、感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を回転させるとともに、帯電ローラ32によって感光体ドラム31を帯電させる。
前記印刷処理部Pr4は、印刷処理を行い、LEDヘッド22を駆動し、感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成し、該トナー像を用紙Pに転写する。
そして、図において、61は、媒体搬送路Rt1を搬送される用紙Pを検出する図示されない媒体センサ、プリンタ10の印刷環境である温度を検出する図示されない温度センサ、湿度を検出する図示されない湿度センサ等から成るセンサ類、Pnは、プリンタ10に操作者が指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部63、及びプリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部64を備えた、操作パネル、67は、画像形成プロセスの制御を行うプロセス制御部である。
また、68は、前記各現像ローラ33にそれぞれ独立に、+30〔V〕以上、かつ、+150〔V〕以下の現像電圧VD、又は0〔V〕の現像電圧VD、又は-30〔V〕以上、かつ、-400〔V〕以下の現像電圧VDを印加する現像電圧制御部、71は、前記各供給ローラ34にそれぞれ独立に、0〔V〕の供給電圧VS、又は-50〔V〕以上、かつ、-700〔V〕以下の供給電圧VSを印加する層形成・供給電圧制御部、72は、前記各帯電ローラ32にそれぞれ独立に、0〔V〕の帯電電圧VC、又は-700〔V〕以上、かつ、-1500〔V〕以下の帯電電圧VCを印加する帯電電圧制御部、73は、前記各転写ローラ21にそれぞ独立に、+1000〔V〕以上、かつ、+5000〔V〕以下の転写電圧VTを印加する転写電圧制御部、74は、前記各LEDヘッド22をそれぞれ独立に駆動し、感光体ドラム31を露光する露光制御部、75は、IDモータ76をそれぞれ独立に駆動し、感光体ドラム31、現像ローラ33及び供給ローラ34を回転させるモータ制御部である。
本実施の形態において、前記現像電圧VD、供給電圧VS、帯電電圧VC及び転写電圧VTはいずれも直流の電圧にされる。
前記感光体ドラム31、現像ローラ33及び供給ローラ34の一方の端部には、図示されないギヤが配設され、該各ギヤが互いに噛合させられる。したがって、IDモータ76が駆動されると、IDモータ76の回転が感光体ドラム31に伝達され、現像ローラ33及び供給ローラ34に伝達される。
ところで、プリンタ10において印刷が継続して行われると、静電潜像を現像するのに使用されなかったトナーは、トナー貯蔵部30に回収された後、供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦の繰り返しによって摩擦熱で溶融し、凝集して劣化するので、画像品位が低下してしまう。
そこで、本実施の形態においては、トナーが劣化して廃棄条件が成立した場合に、ホストコンピュータ51から送信される印刷ジョブごとに廃棄処理部Pr2によって廃棄処理が行われ、所定の量の劣化したトナーが廃棄されるようになっている。
そのために、前記廃棄条件成立判断処理部Pr1は、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて、各印刷ジョブの印刷デューティ比率δ、並びに温度及び湿度の印刷環境を監視し、トナーが劣化して廃棄条件が成立したかどうかを判断し、廃棄条件が成立した場合に、廃棄処理部Pr2は、廃棄処理を行い、劣化したトナーを廃棄する。
次に、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの動作について説明する。なお、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの各動作は基本的に同じであるので、画像形成ユニット16Bkの動作について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの動作を示すフローチャート、図4は本発明の第1の実施の形態における廃棄条件が成立しなかった場合の画像形成ユニットの動作を示すタイムチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における廃棄条件が成立した場合の画像形成ユニットの動作を示すタイムチャートである。この場合、IDモータ76(図1)及びLEDヘッド22(図2)は、オンで駆動され、オフで停止させられ、帯電電圧VC及び供給電圧VSはオンで負(-)の値になり、オフで0〔V〕になり、現像電圧VDはオンで負(-)の値又は正(+)の値になり、オフで0〔V〕になり、転写電圧VTはオンで正(+)の値になり、オフで0〔V〕になる。
まず、制御部50は、ホストコンピュータ51から送信された印刷ジョブを取得し、印刷ジョブの印刷デューティ比率δを算出する。
ところで、印刷ジョブの印刷デューティが低い場合、静電潜像を現像してトナー像を形成するために使用され、消費されるトナーの量が少ないので、トナー貯蔵部30内のトナーは、供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦の繰り返しによって摩擦熱で溶融し、凝集して劣化する。
これに対して、印刷ジョブの印刷デューティが高い場合、静電潜像を現像してトナー像を形成するために使用され、消費されるトナーの量が多いので、トナー貯蔵部30内のトナーは、供給ローラ34及び現像ブレード35との摩擦の繰り返しが少なく、劣化しない。
そこで、前記廃棄条件成立判断処理部Pr1は、印刷ジョブごとに、印刷データに基づいて印刷枚数N、及び印刷時に形成されるドット数Dtを取得し、印刷枚数Nに対するドット数Dtを印刷デューティ比率δ
δ=Dt/N
として算出するとともに、センサ類61によって検出された温度及び湿度を読み込み、ROM56の印刷デューティ比率閾値テーブルを参照し、温度及び湿度に対応する閾値δthを読み出し、印刷デューティ比率δが閾値δth以下であるかどうかによって、廃棄条件が成立したかどうかを判断する。なお、閾値δthを、温度及び湿度にかかわらず、あらかじめ設定された所定の値、例えば、3〔%〕に設定することができる。
廃棄条件が成立しなかった場合、プロセス制御処理部Pr3は、図4に示されるように、タイミングt1で、IDモータ76を駆動し、感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を回転させるとともに、-1000〔V〕の帯電電圧VCを帯電ローラ32に印加し、感光体ドラム31の表面を帯電させる。なお、タイミングt1で、一つ前の印刷ジョブについての印刷処理が終了しているので、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕にされていて、帯電電圧VCの印加に伴い、感光体ドラム31が負の極性に帯電させられる。
また、前記プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt1で現像ローラ33に+100〔V〕の現像電圧VDを印加する。これにより、現像ローラ33に、トナーの帯電極性と逆の極性、すなわち、正の極性の現像電圧VDが印加されるので、負の極性に帯電させられたトナーは現像ローラ33によって保持され、感光体ドラム31に付着させられることはない。
ここで、感光体ドラム31の外周面上の帯電ローラ32と現像ローラ33との間の距離を23〔mm〕としたとき、タイミングt1からt2までの所定の時間τ1が経過する間に感光体ドラム31は回転させられて外周面が23〔mm〕移動する。なお、感光体ドラム31の外周面が23〔mm〕移動したときに、感光体ドラム31の帯電ローラ32と対向する部分が現像ローラ33と対向する位置に到達するように、IDモータ76の回転速度及び感光体ドラム31の回転速度が設定される。
続いて、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt2で、現像ローラ33に-200〔V〕の現像電圧VDを印加し、供給ローラ34に-300〔V〕の供給電圧VSを印加し、転写ローラ21に+2000〔V〕の転写電圧VTを印加する。
そして、プロセス制御処理部Pr3は、現像ローラ33及び供給ローラ34をそれぞれ2周分回転させる。これにより、現像ローラ33上のトナーが安定して帯電させられる。
続いて、前記印刷処理部Pr4は、タイミングt3で印刷処理を開始し、タイミングt4までの間に、RAM57から画像データを読み出し、該画像データに基づいてLEDヘッド22を駆動する。これにより、感光体ドラム31が露光され、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。
このとき、現像ローラ33に負の極性の現像電圧VDが、供給ローラ34に負の極性の供給電圧VSが印加されるので、トナーは、タイミングt4からt5までの間に、供給ローラ34によって現像ローラ33に付着させられ、現像ローラ33から感光体ドラム31に付着させられ、トナー像を形成する。また、転写ローラ21に正の極性の転写電圧VTが印加されているので、感光体ドラム31のトナー像は用紙Pに転写させられる。
そして、前記印刷処理部Pr4は、タイミングt5で、転写ローラ21への転写電圧VTの印加を停止させ、印刷処理を終了する。
続いて、前記プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt6で、帯電ローラ32への帯電電圧VCの印加を停止させる。これにより、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕になる。
また、前記プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt7で、IDモータ76を停止させて感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を停止させるとともに、現像ローラ33への現像電圧VDの印加、及び供給ローラ34への供給電圧VSの印加を停止させる。
なお、タイミングt6からt7までの前記所定の時間τ2は前記所定の時間τ1と等しくされる。したがって、帯電ローラ32に印加される帯電電圧VCが0〔V〕にされる間、感光体ドラム31は回転させられて外周面が23〔mm〕移動し、感光体ドラム31の帯電ローラ32と対向する部分が現像ローラ33と対向する位置に到達する。
一方、廃棄条件が成立した場合、プロセス制御処理部Pr3は、図5に示されるように、タイミングt1で、IDモータ76を駆動し、感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を回転させるとともに、帯電ローラ32に-1000〔V〕の帯電電圧VCを印加し、感光体ドラム31の表面を帯電させる。なお、タイミングt1で、一つ前の印刷ジョブについての印刷処理が終了しているので、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕にされていて、帯電電圧VCの印加に伴い、感光体ドラム31が負の極性に帯電させられる。
そして、前記廃棄処理部Pr2は、タイミングt1で廃棄処理を開始し、タイミングt2までの間に、現像ローラ33に0〔V〕の現像電圧VDを印加する。
このとき、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕であるので、現像ローラ33上で負の極性に帯電させられたトナーには静電気力が働かず、ファンデルワールス力によって、現像ローラ33上の所定の量のトナー、本実施の形態においては、現像ローラ33上のトナーのほぼ50〔%〕の量のトナーが感光体ドラム31に付着させられる。ファンデルワールス力によって感光体ドラム31に付着させられるトナーの量は、現像ローラ33及び感光体ドラム31の表面の粗度によって異なるが、ほぼ50〔%〕の量になることが知られている。
感光体ドラム31に付着させられたトナーは、感光体ドラム31の回転に伴って、第1のクリーニング部材36によって掻き取られ、除去される。したがって、劣化したトナーを廃棄することができる。
なお、劣化したトナーを廃棄するために、感光体ドラム31に付着させられたトナーを、転写ベルト17に転写し、第2のクリーニング部材27によって掻き取ることによって廃棄トナーとして廃棄トナー収容室28に収容するようにすることもできる。また、感光体ドラム31に付着させられたトナーを、第1のクリーニング部材36によって掻き取り、除去するとともに、転写ベルト17に転写し、第2のクリーニング部材27によって掻き取ることによって、廃棄トナーとして廃棄トナー収容室28に収容するようにすることもできる。
そして、現像ローラ33に0〔V〕の現像電圧VDが印加されるタイミングt1からt2までの所定の時間τ1が経過する間、感光体ドラム31は回転させられて外周面が23〔mm〕移動し、感光体ドラム31の帯電ローラ32と対向する部分が現像ローラ33と対向する位置に到達する。
なお、廃棄処理部Pr2は、現像ローラ33に負の極性の、例えば、-30〔V〕の現像電圧VDを印加することによって、劣化したトナーの廃棄量を多くしたり、現像ローラ33に正の極性の、例えば、+30〔V〕の現像電圧VDを印加することによって、劣化したトナーの廃棄量を少なくしたりすることができる。劣化したトナーの廃棄量を多くすると、感光体ドラム31に付着させられるトナーの量が多くなり、第1のクリーニング部材36によるクリーニング不良等が発生する可能性がある。したがって、現像ローラ33に0〔V〕の現像電圧VDを印加するのが好ましい。
続いて、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt2で、現像ローラ33に-200〔V〕の現像電圧VDを印加し、供給ローラ34に-300〔V〕の供給電圧VSを印加し、転写ローラ21に+2000〔V〕の転写電圧VTを印加する。
そして、プロセス制御処理部Pr3は、現像ローラ33及び供給ローラ34をそれぞれ2周分回転させる。これにより、現像ローラ33上のトナーが安定して帯電させられる。
続いて、印刷処理部Pr4は、タイミングt3で印刷処理を開始し、タイミングt4までの間に、RAM57から画像データを読み出し、該画像データに基づいてLEDヘッド22を駆動する。これにより、感光体ドラム31が露光され、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。
このとき、現像ローラ33に負の極性の現像電圧VDが、供給ローラ34に負の極性の供給電圧VSが印加されるので、トナーは、タイミングt4からt5までの間に、供給ローラ34によって現像ローラ33に付着させられ、現像ローラ33から感光体ドラム31に付着させられ、トナー像を形成する。また、転写ローラ21に正の極性の転写電圧VTが印加されているので、感光体ドラム31のトナー像は用紙Pに転写させられる。
そして、印刷処理部Pr4は、タイミングt5で、転写ローラ21への転写電圧VTの印加を停止させ、印刷処理を終了する。
続いて、廃棄処理部Pr2は、タイミングt6で帯電ローラ32への帯電電圧VCの印加を停止させ、帯電ローラ32に印加される帯電電圧VCを0〔V〕にする。これにより、感光体ドラム31の表面電位が0〔V〕になる。
なお、タイミングt6からt7までの所定の時間τ2は前記所定の時間τ1と等しくされる。したがって、帯電ローラ32に印加される帯電電圧VCが0〔V〕にされる間、感光体ドラム31は回転させられて外周面が23〔mm〕移動し、感光体ドラム31の帯電ローラ32と対向する部分が現像ローラ33と対向する位置に到達する。
また、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt7で、IDモータ76を停止させて感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を停止させるとともに、現像ローラ33への現像電圧VDの印加、及び供給ローラ34への供給電圧VSの印加を停止させる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御部50は印刷ジョブを取得する。
ステップS2 廃棄条件成立判断処理部Pr1は廃棄条件が成立したかどうかを判断する。廃棄条件が成立した場合はステップS3に進み、廃棄条件が成立しなかった場合はステップS4に進む。
ステップS3 廃棄処理部Pr2は現像ローラ33に0〔V〕の現像電圧VDを印加する。
ステップS4 プロセス制御処理部Pr3は現像ローラ33に+100〔V〕の現像電圧VDを印加する。
ステップS5 印刷処理部Pr4は印刷処理を行い、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、廃棄処理部Pr2が廃棄処理を行うことによって、帯電ローラ32に0〔V〕の帯電電圧VCが印加され、感光体ドラム31が所定の時間τ2回転させられて停止させられた後、前記感光体ドラム31の回転が開始されてから所定の時間τ1、0〔V〕の現像電圧VDが印加されて、感光体ドラム31に付着したトナーが第1のクリーニング部材36によって除去されるので、廃棄処理を行うための特別な廃棄シーケンスを設ける必要がなく、廃棄処理を簡素化することができる。
また、印刷を開始する前に廃棄処理を行うことができるので、印刷が開始されるまでの時間を短くすることができる。
さらに、帯電ローラ32に0〔V〕の帯電電圧VCが印加されることによって感光体ドラム31の表面電位が0〔V〕にされるので、劣化したトナーを感光体ドラム31に付着させるために感光体ドラム31を露光して感光体ドラム31の表面電位を0〔V〕にする必要がなくなる。
したがって、感光体ドラム31の寿命を長くすることができる。
次に、プリンタ10の比較例について説明する。
図6は比較例における画像形成ユニットの動作を示すフローチャート、図7は比較例における廃棄条件が成立した場合の画像形成ユニットの動作を示すタイムチャートである。なお、この場合、IDモータ76(図1)及びLEDヘッド22(図2)は、オンで駆動され、オフで停止させられ、帯電電圧VC及び供給電圧VSはオンで負(-)の値になり、オフで0〔V〕になり、現像電圧VDはオンで負(-)の値又は正(+)の値になり、オフで0〔V〕になり、転写電圧VTはオンで正(+)の値になり、オフで0〔V〕になる。
まず、制御部50の廃棄条件成立判断処理部Pr1は、ホストコンピュータ51から送信された印刷ジョブを取得し、印刷ジョブの印刷デューティ比率δを算出するとともに、センサ類61によって検出された温度及び湿度を読み込み、ROM56の印刷デューティ比率閾値テーブルを参照し、温度及び湿度に対応する閾値δthを読み出し、印刷デューティ比率δが閾値δth以下であるかどうかによって、廃棄条件が成立したかどうかを判断する。
廃棄条件が成立した場合、プロセス制御処理部Pr3は、図7に示されるように、タイミングt11で、IDモータ76を駆動し、感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を回転させるとともに、帯電ローラ32に-1000〔V〕の帯電電圧VCを印加し、感光体ドラム31の表面を帯電させる。なお、タイミングt11で、一つ前の印刷ジョブの印刷処理が終了しているので、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕にされていて、帯電電圧VCの印加に伴い、感光体ドラム31が負の極性に帯電させられる。
また、前記プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt11で、現像ローラ33に+100〔V〕の現像電圧VDを印加する。これにより、現像ローラ33に正の極性の現像電圧VDが印加されるので、負の極性に帯電させられたトナーは、現像ローラ33によって保持され、感光体ドラム31に付着させられることはない。
続いて、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt12で、現像ローラ33に-200〔V〕の現像電圧VDを印加し、供給ローラ34に-300〔V〕の供給電圧VSを印加する。
そして、プロセス制御処理部Pr3は、現像ローラ33及び供給ローラ34をそれぞれ2周分回転させる。これにより、現像ローラ33上のトナーが安定して帯電させられる。
次に、前記廃棄処理部Pr2は、廃棄処理を行い、タイミングt13からt14までの間に、LEDヘッド22を駆動し、LEDヘッド22のすべてのLEDを点灯する。これにより、感光体ドラム31の全体が露光され、感光体ドラム31の表面にベタの静電潜像が形成される。これに伴い、現像ローラ33上のトナーは感光体ドラム31にベタに付着させられるが、タイミングt13からt14までの間、転写ローラ21に転写電圧VTが印加されていないので、感光体ドラム31に付着させられたトナーは、用紙Pに転写されることなく、感光体ドラム31の回転に伴って、第1のクリーニング部材36によって掻き取られ、除去される。このようにして、劣化したトナーが廃棄される。
続いて、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt14からt15までの間に、現像ローラ33及び供給ローラ34をそれぞれ2周分回転させる。これにより、現像ローラ33上のトナーが安定して帯電させられる。
次に、プロセス制御処理部Pr3は、転写電圧制御部73によって転写ローラ21に+2000〔V〕の転写電圧VTを印加する。
続いて、前記印刷処理部Pr4は、タイミングt15で印刷処理を開始し、タイミングt16までの間に、RAM57から画像データを読み出し、該画像データに基づいてLEDヘッド22を駆動する。これにより、感光体ドラム31が露光され、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。
このとき、現像ローラ33に負の極性の現像電圧VDが、供給ローラ34に負の極性の供給電圧VSが印加されるので、トナーは、タイミングt16からt17までの間、供給ローラ34によって現像ローラ33に付着させられ、現像ローラ33から感光体ドラム31に付着させられ、トナー像を形成する。また、転写ローラ21に正の極性の転写電圧VTが印加されるので、感光体ドラム31のトナー像は用紙Pに転写させられる。
そして、印刷処理部Pr4は、タイミングt17で、転写ローラ21への転写電圧VTの印加を停止させ、印刷処理を終了する。
続いて、プロセス制御処理部Pr3は、タイミングt18で、IDモータ76を停止させて感光体ドラム31、現像ローラ33、供給ローラ34等を停止させるとともに、帯電ローラ32への帯電電圧VCの印加、現像ローラ33への現像電圧VDの印加、及び供給ローラ34への供給電圧VSの印加を停止させる。これにより、感光体ドラム31の表面電位は0〔V〕になる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 制御部50は印刷ジョブを取得する。
ステップS12 廃棄条件成立判断処理部Pr1は廃棄条件が成立したかどうかを判断する。廃棄条件が成立した場合はステップS13に進み、廃棄条件が成立しなかった場合はステップS14に進む。
ステップS13 廃棄処理部Pr2は廃棄処理を行う。
ステップS14 印刷処理部Pr4は印刷処理を行い、処理を終了する。
比較例においては、図7に示されるように、劣化したトナーを廃棄するために、タイミングt13からt14までの間にLEDヘッド22が駆動され、タイミングt14からt15までの間に、感光体ドラム31に付着させられたトナーが廃棄されるので、廃棄処理を行うための特別な廃棄シーケンスを設ける必要があり、廃棄処理が複雑になるとともに、印刷が開始されるまでの時間が長くなってしまう。
これに対して、本実施の形態においては、図5に示されるように、タイミングt1からt2までの間に、現像ローラ33に0〔V〕の現像電圧VDが印加されることによって感光体ドラム31にトナーが付着させられ、感光体ドラム31に付着させられたトナーが廃棄されるので、廃棄処理を行うための特別な廃棄シーケンスを設ける必要がなく、廃棄処理を簡素化することができるとともに、印刷が開始されるまでの時間を短くすることができる。
比較例においては、感光体ドラム31の外周面上の帯電ローラ32と現像ローラ33との間の距離を23〔mm〕とし、帯電ローラ32及び現像ローラ33の外径を13〔mm〕としたとき、タイミングt13からt14までの間に感光体ドラム31を露光し、タイミングt14からt15までの間に、現像ローラ33及び供給ローラ34をそれぞれ2周分回転させる必要があるので、タイミングt13からt15までの間の感光体ドラム31の外周の移動量L〔mm〕は、
L=23+(13π+13π)×2
≒23+163
≒186 〔mm〕
になる。また、感光体ドラム31の周速を180〔mm/s〕としたとき、タイミングt13からt15までの所定の時間τ3は、
τ3=186/180
≒1.03 〔s〕
になる。
すなわち、本実施の形態においては、印刷を開始するまでの時間を1.03〔s〕短くすることができる。
本実施の形態においては、各色のトナー像が用紙Pに直接転写される直接転写方式のプリンタ10について説明しているが、本発明を、各色のトナー像を中間転写ベルトに転写して中間転写ベルトにカラーのトナー像を形成し、用紙に転写するようにした中間転写方式のプリンタに適用することができる。
次に、中間転写方式で印刷を行うようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図において、10は画像形成装置としてのプリンタ、16Bk、16Y、16M、16Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット、u1は転写ユニットである。
該転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラR1、第2のローラとしての従動ローラR2、第3のローラとしてのバックアップローラR3、駆動ローラR1、従動ローラR2及びバックアップローラR3によって走行自在に張設された中間転写部材としての中間転写ベルト81、該中間転写ベルト81を挟んで像担持体としての感光体ドラム31と対向させて回転自在に配設された第1の転写部材としての転写ローラ21、前記中間転写ベルト81を挟んでバックアップローラR3と対向させて回転自在に配設された第2の転写部材としての二次転写ローラR4等を備える。
各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて感光体ドラム31上に形成された各色の現像剤像としてのトナー像が、中間転写ベルト81の走行に伴って順次重ねて中間転写ベルト81に転写され、カラーのトナー像が形成され、図示されない媒体としての用紙に転写される。
この場合、廃棄処理において、転写ローラ21に印加される転写電圧VTは0〔V〕にされ、二次転写ローラR4は中間転写ベルト81から離間させられる。そして、感光体ドラム31に付着させられたトナーは、感光体ドラム31の回転に伴って、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cに配設された図示されない第1のクリーニング部材によって掻き取られ、除去される。したがって、劣化したトナーを廃棄することができる。
なお、感光体ドラム31に付着させられたトナーを、中間転写ベルト81に転写し、中間転写ベルト81と対向させて配設された図示されない第2のクリーニング部材によって掻き取ることにより、廃棄トナーとして図示されない廃棄トナー収容室に収容するようにすることもできる。また、感光体ドラム31に付着させられたトナーを、前記第1のクリーニング部材によって掻き取り、除去するとともに、中間転写ベルト81に転写し、第2のクリーニング部材によって掻き取ることにより、廃棄トナーとして前記廃棄トナー収容室に収容するようにすることもできる。
前記各実施の形態においては、廃棄処理部Pr2が、廃棄処理を行うに当たり、タイミングt6からt7までの間、帯電ローラ32に0〔V〕の直流の帯電電圧VCを印加し、タイミングt1からt2までの間、現像ローラ33に0〔V〕の直流の現像電圧VDを印加するようになっているが、帯電電圧VC及び現像電圧VDのうちの少なくとも一方を、0〔V〕の直流の電圧成分に交流の電圧成分を重畳して発生させることもできる。その場合、交流成分の振幅及び周波数は任意に設定される。
前記各実施の形態においては、プリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。