JP7318151B1 - 温度センサ - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、平角形状の電線に取り付けられ、電線の温度を検知する温度センサを開示する。この温度センサは、センサホルダと、センサホルダに保持される、感熱体と感熱体に電気的に接続されるリード線を備えるセンサ本体と、センサホルダに固定され、弾性力により電線をセンサ本体に向けて押し付けるクリップと、を備える。
そこで本発明は、測定対象物に弾性力により押し付けられる温度センサにおいて、より簡易な構成でありながら測定対象物に対して装着する作業が容易な温度センサを提供することを目的とする。
本発明における弾性ブラケットは、保護体を保持する第1ばね片と、第1ばね片に対向する第2ばね片と、第1ばね片と第2ばね片との接続片と、を備える。
本発明の温度測定構造物において、温度センサは、測定対象物の温度を検知する感熱体と、感熱体を内部に収容する保護体と、を有するセンサ素子と、保護体を保持するU字形の圧縮ばねを有するブラケットと、を備える。
本発明におけるブラケットは、測定対象物に向けて保護体に弾性力を加える第1ばね片と、支持体に弾性力により押し付けられる第2ばね片と、を備える。
温度センサ1は、図1に示すように、温度測定の主たる要素である感熱体11を備えるセンサ素子10と、センサ素子10を保持するとともに、センサ素子10を測定対象物に弾性力により押し付けるための弾性ブラケット20と、を備える。温度センサ1の測定対象物は、センサ素子10が弾性により押し付けられる平坦な被検知面を備える、例えば特許文献1,2に開示される電動機のステータコイル、バスバーなどが一例として掲げられる。以下、センサ素子10および弾性ブラケット20の順にその構成を説明する。
センサ素子10の構成について、図1および図2を参照して説明する。
センサ素子10は、温度を検知する感熱体11と、感熱体11の対向する二面のそれぞれに形成される電極12,12と、電極12,12を介して感熱体11に電気的に接続される一対のリード線13,13と、感熱体11を覆う封止層16とを備えている。また、センサ素子10は、封止層16に覆われる感熱体11およびリード線13,13の一部を内部に収容して封止する電気的に絶縁性の保護体17を備える。
金属酸化物としてはサーミスタ(Thermistor:Thermally Sensitive Resistor)が好適に用いられ、典型的には負の温度係数を有するNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)が用いられる。金属としては白金(例えば、Pt100;JIS-C1604)が好適に用いられる。
リード線13,13は感熱体11に一定の電流を流す導電線であり、電気伝導度の高い金属材料、典型的には銅が用いられる。リード線13にはジュメット線(Dumet Wire)が好適に用いられる。ジュメット線とは、鉄-ニッケル合金からなる内層と銅からなる外層とをクラッドした複合線をいう。
リード線13は感熱体11に一定の電流を流す電線である。感熱体11に直接的に接続される電線であるリード線13にさらに電線が接続されることがあり、感熱体11に間接的に接続される電線は継線15,15と称される。
保護体17は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂から形成されている。この保護体17は、これらの樹脂材料の他、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず、適宜な樹脂材料を用いて構成することもできる。保護体17は、例えば、金型のキャビティに封止層16で覆われる感熱体11などを配置した状態で、当該キャビティに射出成形により製造することができる。
保護体17が透明な樹脂から構成されていると、保護体17の透視による感熱体11の外観検査が可能である。
保護体17は、弾性ブラケット20に圧着により保持される保持部17Aと、感熱体11などを封止する感熱部17Bと、を備える。保持部17Aと感熱部17Bは、幅方向Wの寸法は同じであるが、厚さ方向Tの寸法が異なり、保持部17Aの肉厚が薄い。なお、センサ素子10において、図2に示すように、保護体17の保持部17Aが設けられる側を前(F)、継線15,15が引き出される側を後(R)と定義する。この定義は相対的な意味を有する。また、センサ素子10において、長手方向L、幅方向Wおよび厚さ方向Tが、図2に示すように定義される。保持部17Aは弾性ブラケット20の保持片24,24により加圧されるため、破損するおそれのある例えば感熱体11は保持部17Aを避けて感熱部17Bに配置される。また、感熱部17Bよりも保持部17Aの肉厚を薄くしているのは、保持部17Aを圧着している保持片24,24よりも感熱部17Bの背を高くすることにより、保持片24,24が感熱部17Bの測定対象物100への接触を妨げないためである。この点について、弾性ブラケット20の説明において図示を伴って言及する。
次に、弾性ブラケット20の構成を、図1および図2を参照して説明する。
弾性ブラケット20は、センサ素子10を保持する機能に加えて、センサ素子10の保護体17を測定対象物100に弾性力をもって押し付ける機能を有する。弾性ブラケット20は好ましくは金属材料から構成されるが、樹脂材料から弾性ブラケット20を構成することもできる。
弾性ブラケット20は、基本的な構成としてU字形の圧縮板ばねを備え、この圧縮板ばねに保護体17を保持する構成を設けている。圧縮ばねとは、よく知られているように、圧縮荷重を受けて弾性力を生じさせるばねをいう。弾性ブラケット20は、U字状をなし、第1接続片21Aと第2接続片21Bを有する接続片21を備える。弾性ブラケット20は、接続片21の一方の第1接続片21Aに連なり、保護体17を保持する第1ばね片23と、接続片21の他方の第2接続片21Bに連なる第2ばね片25と、を備える。弾性ブラケット20は、接続片21、第1ばね片23および第2ばね片25に相当する部分を一体として備える素材板を金属板プレス成形により作製し、この素材板に機械的な加工を施すことにより作製できる。
弾性ブラケット20が板状の金属材料から構成される場合、接続片21は金属材料製の偏平な板材を折り曲げることにより形成される。適用される金属材料としては、例えば、鉄系合金、ステンレス鋼、りん青銅等が掲げられる。弾性ブラケット20のばねとしての使用によるへたりは第1ばね片23および第2ばね片25に比べて接続片21に生じやすいので、材料の選定においては接続片21におけるヘタリを考慮することが好ましい。また、接続片21を含めて弾性ブラケット20に要求される弾性力を考慮して、弾性ブラケット20の厚さが選定される。
第1ばね片23は、それぞれが平坦でかつ互いに平行をなす第1面23Aと第2面23Bを備える。センサ素子10の保護体17は、第2面173を介して第1面23Aに載せられた状態で第1ばね片23に保持される。第1ばね片23は、保護体17を保持するために、一対の保持片24,24を備える。保持片24,24は、第1ばね片23の幅方向Wの両側であって、接続片21の第1接続片21Aの近くに設けられる。保護体17は、保持片24,24に対応する領域に保持部17Aが配置されるように第1ばね片23に載せられ、保持部17Aを保持片24,24で加締めることで、第1ばね片23に圧着により固定される。保持片24,24で固定される保持部17Aよりも後方(R)の感熱部17Bは、機械的な拘束力を受けることなく、第1ばね片23に単純に支持されている。
次に、第2ばね片25について説明する。
第2ばね片25は、測定対象物100に対向して設けられる例えば支持面に突き当てられることで、第1ばね片23に保持される保護体17を測定対象物100に弾性力をもって押し付ける。
次に、測定対象物100の温度を測定するために、温度センサ1を定位置に装着する手順を、図3を参照して説明する。
ここで説明する測定対象物100は、ホルダ200に支持されている。ホルダ200は上壁201と、上壁201と鉛直方向Vに間隔を空けて設けられる下壁202と、を備える。上壁201および下壁202はそれぞれ上壁面203と下壁面204を備える。測定対象物100は上壁201の上壁面203に固定されており、測定対象物100と下壁面204との間の測定スペース207に温度センサ1が装着される。なお、測定スペース207は、弾性ブラケット20に弾性力を生じさせるように、鉛直方向Vの寸法が定められる。
以上で説明した温度センサ1は以下の効果を奏する。
温度センサ1はU字形状の弾性ブラケット20を備えている。したがって、温度センサ1は、特に弾性ブラケット20の構成が簡易である。また、測定対象物100と測定対象物100に対向する支持面、例えば下壁面204が存在していれば、その間の測定スペース207に弾性ブラケット20を挿入するだけで、温度センサ1を装着できる。つまり、温度センサ1は測定対象物100に対する装着作業が容易である。
以下、第1実施形態の変形例を、図4よび図5を参照して説明する。
以上では、ホルダ200に設けられた測定対象物100の温度を測定する例を示したが、図4に示すように、測定対象物100に対向し、かつ、所定間隔を隔てた支持体210があれば、温度センサ1による測定対象物100の温度を測定できる(図4 var1)。
温度センサ2は、保護体17の大部分およびセンサ素子10の主要部といえる感熱体11が第1ばね片23と第2ばね片25の間に隠れる。したがって、温度センサ2によれば、保護体17の周囲の環境、たとえば温度、雰囲気の変化に対する耐性が高い。
測定対象物100からの熱は第1ばね片23を介して保護体17、感熱体11に伝えられる。しかし、弾性ブラケット20が熱伝導性の高い金属材料から構成されれば、保護体17が直に測定対象物100に接触するのと熱応答性は同等である。
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る温度センサ6を説明する。
温度センサ6は、温度測定を行う定位置に維持するための構成を、保護体17に設ける。温度センサ6は、この構成を除けば第1実施形態に係る温度センサ1と同じ構成を備えている。したがって、以下では当該構成に関わる事柄を中心にして、温度センサ6の説明を行う。
保護体17と一体的に形成される係止突起17Cが係止溝206に嵌り込み、かつ、保護体17は一例として圧着により弾性ブラケット20に固定されている。したがって、温度センサ1の周囲に振動などの要因が生じたとしても、温度センサ1は定位置に留まり、測定対象物100の温度を安定して測定できる。
また、係止突起17Cを代替する構成を、弾性ブラケット20に設けることもできる。例えば、第1ばね片23の幅方向Wの一方の側または両側から突き出すように係止突起を設けることもできる。この係止突起は第1ばね片23と一体的に形成することができる。
さらにまた、第2実施形態においては、温度センサ6の側に係止突起17Cを設け、測定対象物100の側に係止溝206を設けているが、本発明はこれに限らない。係止突起17Cに相当する構成を測定対象物100の側に設け、保護体17の側に係止溝206に相当する構成を設けてもよい。
以上を要するに、本実施形態は、温度センサ6と測定対象物100との間に、測定対象物100に対して温度センサ6が位置ずれするのを抑える構成を備えることができる。
10 センサ素子
11 感熱体
12 電極
13 リード線
15 継線
16 封止層
17 保護体
17A 保持部
17B 感熱部
17C 係止突起
171 第1面
173 第2面
20 弾性ブラケット
21 接続片
21A 第1接続片
21B 第2接続片
23 第1ばね片
23A 第1面
23B 第2面
24 保持片
25 第2ばね片
25A 第1部
25B 第2部
25C 第1面
27 滑り止め帯
28 抜け止め爪
100 測定対象物
200 ホルダ
201 上壁
202 下壁
203 上壁面
204 下壁面
205 開口
206 係止溝
207 測定スペース
210 支持体
L 長手方向
T 厚さ方向
W 幅方向
V 鉛直方向
PL 仮想線
θ1,θ2 傾斜角度
Claims (8)
- 測定対象物の温度を検知する感熱体と、前記感熱体を内部に収容する保護体と、を有するセンサ素子と、
前記保護体を保持するとともに、前記測定対象物に向けて前記保護体に弾性力を加える弾性ブラケットと、を備え、
前記弾性ブラケットは、
第1面と前記第1面のうら側の第2面とを有し、前記保護体を前記第1面において固定により保持する第1ばね片と、
前記第1ばね片の前記第2面に対向する第2ばね片と、
前記第1ばね片と前記第2ばね片との接続片と、を備え、
前記第1ばね片は、前記感熱体を避けて前記保護体を固定により保持することを特徴とする温度センサ。 - 前記第1ばね片は、一端と他端とを備え、前記一端において前記接続片と接続され、かつ、前記一端よりも前記他端寄りの位置において前記保護体を固定する、
請求項1に記載の温度センサ。 - 前記保護体は、
前記第1ばね片に一体的に形成される保持片により固定される、
請求項1または請求項2に記載の温度センサ。 - 前記保護体は、一端と他端を備え、
前記保持片は、前記保護体の前記一端の側を固定する、
請求項3に記載の温度センサ。 - 前記保護体は、
前記保持片により固定される、前記一端の側に設けられる保持部と、
前記感熱体が封止される感熱部と、を備え、
前記保持部は、前記感熱部よりも肉厚が薄い、
請求項4に記載の温度センサ。 - 前記保護体は前記第1面に接して保持され、
前記第1面を基準にして、前記保持部を保持している前記保持片よりも、前記感熱部の背が高い、
請求項5に記載の温度センサ。 - 前記保護体は、
前記保持片により固定される保持部と、
前記感熱体が封止される感熱部と、を備え、
前記感熱部は、
前記測定対象物に面で接触する平坦な感熱面と、
前記感熱面と平行に対向、かつ平坦な前記第1ばね片に面で支持される支持面と、を備える、
請求項3に記載の温度センサ。 - 測定対象物と、前記測定対象物に対向する支持体と、前記測定対象物と前記支持体との間に装着される温度センサと、を備え、
前記温度センサは、
前記測定対象物の温度を検知する感熱体と、前記感熱体を内部に収容する保護体と、を有するセンサ素子と、
前記保護体を保持するとともに前記測定対象物に向けて前記保護体に弾性力を加える弾性ブラケットと、を備え、
前記弾性ブラケットは、
第1面と前記第1面のうら側の第2面とを有し、前記保護体を前記第1面において固定により保持する第1ばね片と、
前記第1ばね片の前記第2面に対向する第2ばね片と、
前記第1ばね片と前記第2ばね片との接続片と、を備え、
前記第1ばね片は、前記感熱体を避けて前記保護体を固定により保持することを特徴とする温度測定構造。
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