本出願は、2019年5月29日に日本国に特許出願された特願2019-100598、及び、2019年5月29日に日本国に特許出願された特願2019-100644の優先権を主張するものであり、これらの先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
従来のシステムには、ガス検出性能等を向上させる必要がある。
本開示は、ガス検出性能等が改善された、ガス検出システムを提供することに関する。
本開示の一実施形態によれば、ガス検出性能等が改善された、ガス検出システムが提供され得る。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。各図は模式的に示したものである。
(第1実施形態)
ガス検出システム1は、図1に示すように、便器2に設置されている。便器2は、限定ではないが、水洗便器であってよい。便器2は、便器ボウル2Aと、便座2Bとを備える。ガス検出システム1は、便器2の任意の箇所に設置されていてよい。一例として、ガス検出システム1は、図1に示すように、便器ボウル2Aと便座2Bとの間から便器2の外部にわたって配置されていてよい。ガス検出システム1の一部は、便座2Bの内部に埋め込まれていてよい。便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。ガス検出システム1は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして取得し得る。ガス検出システム1は、サンプルガスに含まれるガスの種類及びガスの濃度等を検出し得る。ガス検出システム1は、検出結果等を電子機器3に送信し得る。図1に示すようなガス検出システム1は、「ガス検出装置」ともいう。
ガス検出システム1の用途は、上述の用途に限定されない。例えば、ガス検出システム1は、冷蔵庫に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、食品から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。その他の用途としては、例えば、ガス検出システム1は、工場又は実験室に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、薬品等から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。
便器2は、住宅又は病院等のトイレ室に設置され得る。便器2は、被検者によって使用され得る。上述のように、便器2は、便器ボウル2Aと、便座2Bとを備える。便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。
電子機器3は、例えば、被検者が利用するスマートフォンである。ただし、電子機器3は、スマートフォンに限定されない。電子機器3は、任意の電子機器であってよい。電子機器3は、被検者によってトイレ室に持ち込まれる場合、図1に示すようにトイレ室の内部に存在し得る。ただし、電子機器3は、例えば被検者がトイレ室に電子機器3を持ち込まない場合、トイレ室の外部に存在してよい。電子機器3は、ガス検出システム1から検出結果を、無線通信又は有線通信によって、受信し得る。電子機器3は、受信した検出結果を、表示部3Aに表示し得る。表示部3Aは、文字等を表示可能なディスプレイと、ユーザ(被検者)の指等の接触を検出可能なタッチスクリーンとを含んで構成されていてよい。当該ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro‐Luminescence Display)又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro‐Luminescence Display)等の表示デバイスを含んで構成されていてよい。当該タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、超音波方式、赤外線方式、電磁誘導方式又は荷重検出方式等の任意の方式でよい。
図2に示すように、ガス検出システム1は、筐体10と、流入路20,21と、排出路22,23,24とを備える。排出路22、排出路23及び排出路24は、任意の箇所で合流してよい。ガス検出システム1は、流路30,31,32,33,34,35,36,37,38,39と、弁40,41,42,43,44と、供給部50とを備える。ガス検出システム1は、濃縮部としての濃縮槽60と、貯留部としての貯留槽70と、チャンバ80と、回路部としての回路基板90とを備える。図3に示すように、ガス検出システム1は、回路基板90内に、記憶部91と、通信部92と、制御部94とを備える。ガス検出システム1は、センサ部93を備える。
筐体10には、ガス検出システム1の各種部品が収容されている。筐体10は、任意の材料で構成されていてよい。例えば、筐体10は、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
流入路20は、図1に示すように、便器ボウル2Aの内側へ露出し得る。流入路20の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。流入路20には、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして流入する。流入路20に流入したサンプルガスは、流路30,31,32を経て、濃縮槽60に供給される。図1に示すように、流入路20の一端は、便器ボウル2Aの内部に向けられてよい。図2に示すように、流入路20の他端は、弁40に接続されていてよい。流入路20は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
流入路21は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。流入路21の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。流入路21には、例えば、便器ボウル2Aの外側にあるトイレ室の空気が、パージガスとして流入する。流入路21に流入したパージガスは、流路30,33,34を経て、貯留槽70に供給される。図1に示すように、流入路21の一端は、便器2の外側に向けられてよい。図2に示すように、流入路21の他端は、弁40に接続されていてよい。流入路21は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
排出路22の一部は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。図2に示すような排出路22は、チャンバ80からの排気を外部に排出する。この排気には、検出処理後のサンプルガス及びパージガスが含まれ得る。図1に示すように、排出路22の一端は、便器2の外側に向けられていてよい。図2に示すように、排出路22の他端は、チャンバ80に接続されていてよい。排出路22は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
排出路23の一部は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。図2に示すような排出路23は、濃縮槽60からの排気を外部に排出する。この排気には、後述のサンプルガスの濃縮処理にて生じる検出対象外のガス等が含まれる。図1に示すように、排出路23の一端は、便器2の外側に向けられていてよい。図2に示すように、排出路23の他端は、弁43に接続されていてよい。排出路23は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
排出路24の一部は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。図2に示すような排出路24は、貯留槽70からの残留ガス等を外部に排出する。図1に示すように、排出路24の一端は、便器2の外側に向けられていてよい。図2に示すように、排出路24の他端は、弁44に接続されていてよい。排出路24は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図2に示すように、流路30の一端は、弁40に接続されている。流路30の他端は、流路31の一端及び流路33の一端に接続されている。流路31の一端は、流路30の他端に接続されている。流路31の他端は、弁41に接続されている。流路32の一端は、弁41に接続されている。流路32の他端は、濃縮槽60の入口部に接続されている。流路33の一端は、流路30の他端に接続されている。流路33の他端は、弁42に接続されている。流路34の一端は、弁42に接続されている。流路34の他端は、貯留槽70の入口部に接続されている。流路35の一端は、弁41に接続されている。流路35の他端は、弁44に接続されている。流路36の一端は、濃縮槽60の出口部に接続されている。流路36の他端は、弁43に接続されている。流路37の一端は、弁43に接続されている。流路37の他端は、チャンバ80に接続されている。流路38の一端は、貯留槽70の出口部に接続されている。流路38の他端は、弁44に接続されている。流路39の一端は、弁44に接続されている。流路39の他端は、チャンバ80に接続されている。流路30~39は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図2に示すように、弁40は、流入路20と、流入路21と、流路30との間に、位置する。弁40は、流入路20に接続される接続口と、流入路21に接続される接続口と、流路30に接続される接続口とを含む。弁40は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図2に示すような弁40は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、流入路20と流入路21と流路30との間の接続状態を切替える。例えば、弁40は、これらの間の接続状態を、流入路20と流路30とを接続させた状態、流入路21と流路30とを接続させた状態、又は、流入路20と流入路21と流路30とを接続させない状態に切替える。
図2に示すように、弁41は、流路31と、流路32と、流路35との間に、位置する。弁41は、流路31に接続される接続口と、流路32に接続される接続口と、流路35に接続される接続口とを含む。弁41は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図2に示すような弁41は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、流路31と流路32と流路35との間の接続状態を切替える。例えば、弁41は、これらの間の接続状態を、流路31と流路32とを接続させた状態、流路35と流路32とを接続させた状態、又は、流路31と流路32と流路35とを接続させない状態に切替える。
図2に示すように、弁42は、流路33と、流路34との間に、位置する。弁42は、流路33に接続される接続口と、流路34に接続される接続口とを含む。弁42は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図2に示すような弁42は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、流路33と流路34との間の接続状態を切替える。例えば、弁42は、これらの間の接続状態を、流路33と流路34とを接続させた状態、又は、流路33と流路34とを接続させない状態に切替える。
図2に示すように、弁43は、排出路23と、流路36と、流路37との間に、位置する。弁43は、排出路23に接続される接続口と、流路36に接続される接続口と、流路37に接続される接続口とを含む。弁43は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図2に示すような弁43は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、排出路23と流路36と流路37との間の接続状態を切替える。例えば、弁43は、これらの間の接続状態を、排出路23と流路36とを接続させた状態、流路36と流路37とを接続させた状態、又は、排出路23と流路36と流路37とを接続させない状態に切替える。
図2に示すように、弁44は、排出路24と、流路35と、流路38と、流路39との間に、位置する。弁44は、排出路24に接続される接続口と、流路35に接続される接続口と、流路38に接続される接続口と、流路39に接続される接続口とを含む。弁44は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図2に示すような弁44は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、排出路24と流路35と流路38と流路39との間の接続状態を切替える。例えば、弁44は、これらの間の接続状態を、排出路24と流路38とを接続させた状態、流路38と流路39とを接続させた状態、又は、流路35と流路38とを接続させた状態に切替える。又は、弁44は、排出路24と流路35と流路38と流路39とを接続させない状態に切替える。
図2に示すように、供給部50は、流路30に取り付けられている。供給部50は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、流入路20からのサンプルガスを濃縮槽60に供給可能である。また、供給部50は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、流入路21からのパージガスを貯留槽70に供給可能である。供給部50に示される矢印は、供給部50がガスを送る方向を示す。供給部50は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等のポンプで構成されていてよい。ただし、供給部50は、流入路20からのサンプルガスを濃縮槽60に供給可能な任意の部品で構成されていてよい。
図2に示すように、濃縮槽60の入口部は、流路32に接続されている。濃縮槽60の出口部は、流路36に接続されている。濃縮槽60には、流入路20から流入したサンプルガスが、流路30,31,32を経て、供給される。濃縮槽60内では、サンプルガスが、後述の処理により、濃縮される。本実施形態において「サンプルガスの濃縮」とは、サンプルガスに含まれる検出対象のガスの濃度を高めることを意味する。検出対象のガスの一例については、後述する。濃縮槽60内で濃縮されたサンプルガスは、流路36,37を経て、チャンバ80に供給される。
濃縮槽60は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体10内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状の容器等で構成されていてよい。濃縮槽60は、吸着剤61と、支持部材62,63と、ヒータ64とを有する。
図2に示すように、吸着剤61は、濃縮槽60の内部に配されている。吸着剤61は、ガス検出システム1の用途に応じた、任意の材料を含んでよい。吸着剤61は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかが含まれてよい。吸着剤61は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
吸着剤61は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着する。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。検出対象のガスは、例えば、大便の便臭に含まれていて、便器ボウル2A内に存在する大便以外の物質(水洗水及び尿等)に含まれないガス種である。サンプルガスが便から発生するガスである場合、吸着剤61の例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されていてよい。
吸着剤61に吸着された検出対象のガスは、吸着剤61がヒータ64で加熱されることにより所定温度になると、吸着剤61から脱離し得る。吸着剤61から検出対象のガスが脱離することにより、濃縮槽60内において、検出対象のガスの濃度が高まる。つまり、サンプルガスが濃縮される。ここで、一般的に、ガスは、所定の温度範囲内で、吸着剤61から脱離可能である。本実施形態において「ガスの脱離温度」とは、当該ガスが吸着剤61から脱離可能な所定の温度範囲内において、吸着剤61から脱離する当該ガスの量がピークとなる温度を意味する。
図4は、所定ガスを吸着させた吸着剤61の温度を変化させながら、吸着剤61から脱離したガスの濃度を検出したときの模式的なグラフである。図4において、横軸は、温度を示す。図4において、縦軸は、吸着剤61から脱離したガスの濃度を示す。所定ガスは、メチルメルカプタン及び水を含む。水は、温度t1を含む所定の温度範囲において、吸着剤61から脱離し得る。また、温度t1で、吸着剤61から脱離する水の濃度(量)は、ピークとなる。そのため、水の脱離温度は、温度t1となる。また、メチルメルカプタンは、温度t2を含む所定の温度範囲において、吸着剤61から脱離し得る。また、温度t2で、吸着剤61から脱離するメチルメルカプタンの濃度(量)は、ピークとなる。そのため、メチルメルカプタンの脱離温度は、温度t2となる。
図2に示すような吸着剤61は、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを吸着する場合がある。検出対象外のガスは、「ノイズガス」とも称される。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象外のガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。ここで、ガスの種類に応じて、ガスの脱離温度は、異なり得る。そのため、検出対象のガスの脱離温度と、検出対象外のガスの脱離温度は、異なり得る。例えば、図4では、サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガスは、メチルメルカプタンとなる。また、検出対象外のガスは、水となる。図4に示すように、水の脱離温度である温度t1と、メチルカプタンの脱離温度である温度t2は、異なる。本実施形態では、ガスの種類に応じてガスの脱離温度が異なることを利用して、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを、後述の処理により、サンプルガスから除外する。サンプルガスから除外された検出対象外のガスは、排出路23から外部に排出される。
図2に示すような支持部材62は、濃縮槽60の入口部付近において、吸着剤61を支持する。支持部材62は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図2に示すような支持部材63は、濃縮槽60の出口部付近において、吸着剤61を支持する。支持部材63は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図2に示すようなヒータ64は、吸着剤61を加熱可能である。例えば、ヒータ64は、図3に示すような制御部94の制御に基づいて、通電状態になることにより、吸着剤61を加熱する。ヒータ64は、濃縮槽60の外側に配されている。ヒータ64は、濃縮槽60の外側を包囲してよい。ヒータ64は、抵抗加熱ヒータ又はラバーヒータ等であってよい。
図2に示すように、貯留槽70の入口部は、流路34に接続されている。貯留槽70の出口部は、流路38に接続されている。貯留槽70には、流入路21から流入したパージガスが、流路30,33,34を経て、供給される。貯留槽70は、供給されたパージガスを貯留する。貯留槽70に貯留されたパージガスは、流路38,39を経て、チャンバ80に供給される。また、貯留槽70に貯留されたパージガスは、流路38,35,32を経て、濃縮槽60に供給される。
貯留槽70は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体10内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状の容器等で構成されていてよい。貯留槽70の容量は、濃縮槽60の容量よりも大きくてよい。貯留槽70は、吸着剤71と、支持部材72,73とを有する。
図2に示すように、吸着剤71は、貯留槽70の内部に配されている。吸着剤71は、ガス検出システム1の用途に応じた、任意の材料を含んでよい。吸着剤71は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかを含んでよい。吸着剤71は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
吸着剤71は、パージガスに混入した検出対象のガスを吸着するものを含んでよい。トイレ室内の空気をパージガスとする場合、パージガスに、検出対象のガスが混入する場合がある。吸着剤71がパージガスに混入した検出対象のガスを吸着することにより、貯留槽70内のパージガスが浄化され得る。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガスを吸着する吸着剤71の例として、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されていてよい。
吸着剤71は、パージガスに混入した検出対象外のガスを吸着するものを含んでよい。トイレ室内の空気をパージガスとする場合、パージガスに、検出対象外のガスが混入する場合がある。吸着剤71がパージガスに混入した検出対象外のガスを吸着することにより、貯留槽70内のパージガスが浄化され得る。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象外のガスを吸着する吸着剤71の例として、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更させてよい。
支持部材72は、貯留槽70の入口部付近において、吸着剤71を支持する。支持部材72は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
支持部材73は、貯留槽70の出口部付近において、吸着剤71を支持する。支持部材73は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図2に示すように、チャンバ80は、その内部に、センサ部81を有する。チャンバ80は、複数のセンサ部81を有してよい。チャンバ80は、複数に分かれていてよい。各センサ部81は、複数に分かれた各チャンバ80に配されていてよい。複数に分かれた各チャンバ80同士は、接続されていてよい。チャンバ80は、流路37に接続されている。チャンバ80には、流路37からサンプルガスが供給される。また、チャンバ80は、流路39に接続されている。チャンバ80には、流路39からパージガスが供給される。また、チャンバ80は、排出路22に接続されている。チャンバ80は、検出処理後のサンプルガス及びパージガスを排出路22から排出する。
図2に示すように、センサ部81は、チャンバ80内に配置されている。センサ部81は、特定のガスの濃度に応じた信号を、制御部94に出力する。センサ部81は、半導体式センサ、接触燃焼式センサ又は固体電解質センサ等の任意のセンサを含んで構成されていてよい。以下、センサ部81は、特定のガスの濃度に応じた信号として、特定のガスの濃度に応じた電圧を、制御部94に出力するものとして説明する。ただし、センサ部81が出力する特定のガスの濃度に応じた信号は、特定のガスの濃度に応じた電圧に限定されない。例えば、センサ部81は、特定のガスの濃度に応じた信号として、特定のガスの濃度に応じた電流を、制御部94に出力してよい。特定のガスには、特定の検出対象のガスと、特定の検出対象外のガスとが含まれる。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、特定の検出対象のガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。また、サンプルガスが便から発生するガスである場合には、特定の検出対象外のガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。複数のセンサ部81の各々は、これらのガスの少なくとも何れかの濃度に応じた電圧を、制御部94に出力し得る。
図3に示すような回路基板90は、電気信号が伝搬する配線、記憶部91、通信部92及び制御部94等を実装する。
図3に示すような記憶部91は、例えば、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成される。記憶部91は、各種情報、及び、ガス検出システム1を動作させるためのプログラムを記憶する。記憶部91は、ワークメモリとして機能してもよい。
図3に示すような通信部92は、図1に示すような電子機器3と通信可能である。通信部92は、外部サーバと通信可能であってよい。通信部92と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、近距離無線通信規格又は携帯電話網へ接続する無線通信規格であってよいし、有線通信規格であってよい。近距離無線通信規格は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線及びNFC(Near Field Communication)等を含んでよい。携帯電話網へ接続する無線通信規格は、例えば、LTE(Long Term Evolution)又は第4世代以上の移動通信システム等を含んでよい。また、通信部92と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、例えばLPWA(Low Power Wide Area)又はLPWAN(Low Power Wide Area Network)等の通信規格でもよい。
図3に示すようなセンサ部93は、画像カメラ、個人識別スイッチ、赤外線センサ及び圧力センサ等の少なくとも何れかを含んで構成されていてよい。センサ部93は、検出結果を、制御部94に出力する。
例えば、センサ部93は、赤外線センサを含んで構成される場合には、赤外線センサが照射した赤外線の対象物からの反射光を検出することにより、被検者がトイレ室に入室したことを検出し得る。センサ部93は、検出結果として、被検者がトイレ室に入室したことを示す信号を制御部94に出力する。
例えば、センサ部93は、圧力センサを含んで構成される場合には、図1に示すような便座2Bにかかる圧力を検出することにより、被検者が便座2Bに座ったことを検出し得る。センサ部93は、検出結果として、被検者が便座2Bに座ったことを示す信号を制御部94に出力する。
例えば、センサ部93は、圧力センサを含んで構成される場合には、図1に示すような便座2Bにかかる圧力の低減を検出することにより、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出し得る。センサ部93は、検出結果として、被検者が便座2Bから立ち上がったことを示す信号を制御部94に出力する。
例えば、センサ部93は、画像カメラ及び個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、顔画像、座高及び体重等のデータを収集する。センサ部93は、収集したデータから個人を特定識別して検出する。センサ部93は、検出結果として、特定識別した個人を示す信号を制御部94に出力する。
例えば、センサ部93は、個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、個人識別スイッチの操作に基づいて、個人を特定(検出)する。この場合、記憶部91には、予め個人情報が登録(記憶)されていてよい。センサ部93は、検出結果として、特定した個人を示す信号を制御部94に出力する。
図3に示すような制御部94は、1以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも何れかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部94は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-chip)、及び、SiP(System-in-a-Package)の少なくとも何れかを含んでもよい。
<パージガスの貯留処理>
制御部94は、センサ部93の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出し得る。制御部94は、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから所定の第1設定時間が経過した後、トイレ室の空気が、パージガスとして、流入路21に流入するように制御する。制御部94は、流入路21から流入したパージガスが、貯留槽70に貯留されるように制御する。第1設定時間は、被検者のトイレ室からの退出後、トイレ室内の換気扇等によって、トイレ室内の空気が、トイレ室外の空気と入れ替わる時間を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部94は、図2に示すような弁40によって流入路21と流路30とを接続させた状態にし、図2に示すような弁42によって流路33と流路34とを接続させた状態にする。さらに、制御部94は、図2に示すような弁44によって流路38と排出路24とを接続させた状態にする。加えて、制御部94は、供給部50を制御することにより、流入路21から、流路30,33,34、貯留槽70及び流路38を経て、排出路24に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、トイレ室の空気は、パージガスとして、流入路21に流入する。流入路21から流入したパージガスは、流路30,33,34を経て、貯留槽70に供給される。貯留槽70にパージガスが供給されることにより、当該パージガスによって貯留槽70内の残留ガスは、流路38へ押し出されて、排出路24から排出される。制御部94は、パージガスを流入路21に流入させ始めてから所定の第2設定時間が経過した時点で、供給部50を停止させる。さらに、制御部94は、弁40によって流入路21と流路30とを接続させない状態にし、弁42によって流路33と流路34とを接続させない状態にする。加えて、制御部94は、弁44によって流路38と排出路24とを接続させない状態にする。このような構成により、流入路21からのパージガスが貯留槽70に貯留される。第2設定時間は、貯留槽70の容量等を考慮して、適宜設定されていてよい。貯留槽70に貯留されたパージガスは、貯留槽70内の吸着剤71と接触し得る。パージガスが吸着剤71に接触することにより、パージガスに混入した検出対象のガス及び検出対象外のガスが吸着剤71に吸着され得る。パージガスに混入した検出対象のガス及び検出対象外のガスが吸着剤71に吸着されることにより、貯留槽70内のパージガスが浄化され得る。
<サンプルガスの貯留及び濃縮処理>
図3に示すような制御部94は、センサ部93の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bに座ったことを検出し得る。制御部94は、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから所定の第3設定時間が経過した後、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路20に流入するように制御する。制御部94は、流入路20から流入したサンプルガスが、濃縮槽60を通過するように制御する。第3設定時間は、被検者が便座2Bに座ってから、被検者が便を排出するまでにかかる時間を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部94は、図2に示すような弁40によって流入路20と流路30とを接続させた状態にし、弁41によって流路31と流路32とを接続させた状態にする。さらに、制御部94は、図2に示すような弁43によって流路36と排出路23とを接続させた状態にする。加えて、制御部94は、図2に示すような供給部50を制御することにより、流入路20から、流路30,31,32、濃縮槽60及び流路36を経て、排出路23に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、流入路20から流入したサンプルガスは、濃縮槽60を通過する。
図3に示すような制御部94は、サンプルガスが濃縮槽60を通過するように制御することにより、吸着剤61にサンプルガスに含まれる検出対象ガスを吸着させる。制御部94は、例えば所定の第1時間、サンプルガスが濃縮槽60を通過するように制御してよい。第1時間は、吸着剤61に吸着可能な検出対象のガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。また、制御部94は、濃縮槽60内を通過するサンプルガスの流量が第1流量となるように、供給部50を制御してよい。第1流量は、濃縮槽60の容積又は吸着剤61の面積等を考慮して、適宜設定されていてよい。また、制御部94は、サンプルガスが濃縮槽60内を通過している間、ヒータ64を非駆動状態に維持してよい。ヒータ64を非駆動状態に維持することにより、吸着剤61の温度は、室温となり得る。制御部94は、サンプルガスの流量を、供給部50を構成するポンプ等の駆動電圧及び周波数等の少なくとも何れかから、推定してよい。また、サンプルガスの流量を検出する流量センサが、ガス検出システム1に設けられてよい。この構成では、流量センサは、サンプルガスの流量を示す検出信号を、制御部94に出力する。制御部94は、流量センサが出力する検出信号に基づいて、サンプルガスの流量を検出する。制御部94は、パージガスの流量に関しても、サンプルガスと同一又は類似にして検出してよい。
図5は、図1に示すガス検出システム1の動作の一例のタイミングチャートである。図5の上部には、時刻に対する吸着剤61の温度の変化を示す。図5の中央部には、時刻に対する濃縮槽60内のガスの流量の変化を示す。図5の下部には、時刻に対する濃縮槽60の出口部付近の検出対象のガスの濃度の変化を示す。制御部94は、吸着剤61の温度を、ヒータ64の電流等から推定してよい。また、吸着剤61の近傍に温度センサが設けられていてよい。この構成では、温度センサは、吸着剤61の近傍の温度を示す信号を、制御部94に出力する。制御部94は、温度センサが出力する検出信号に基づいて、吸着剤61の温度を取得してよい。
図5に示すような時刻S0は、被検者が便座2Bに座ったことを制御部94が検出してから第3設定時間が経過した時点である。時刻S0で、制御部94は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路20に流入するように制御する。さらに、制御部94は、サンプルガスが濃縮槽60を通過するように制御する。この際、制御部94は、濃縮槽60を通過するサンプルガスの流量が第1流量F1になるように、供給部50を制御する。また、制御部94は、ヒータ64を非駆動状態に維持する。ヒータ64が非駆動状態に維持されることにより、吸着剤61は、室温T0に維持される。制御部94は、時刻S0から時刻S1までの第1時間、サンプルガスが濃縮槽60を通過するように制御する。
図5に示すような時刻S0で、サンプルガスが濃縮槽60を通過し始める。サンプルガスが濃縮槽60を通過し始めることにより、吸着剤61は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着し始める。濃縮槽60を通過することにより、吸着剤61に検出対象のガスを吸着されたサンプルガスは、排出路23から排出される。また、時刻S0以降、サンプルガスに検出対象外のガスが含まれる場合、当該検出対象外のガスも吸着剤61に吸着され得る。
図3に示すような制御部94は、サンプルガスが濃縮槽60を通過し始めてから第1時間が経過した時点で、濃縮槽60へのサンプルガスの通過を停止させる。例えば、制御部94は、第1時間が経過した時点で、供給部50を停止させる。さらに、制御部94は、弁41によって流路31と流路32を接続させない状態にし、弁43によって流路36と排出路23を接続させない状態にする。また、制御部94は、第1時間が経過した時点で、ヒータ64を駆動状態にすることにより、吸着剤61の温度を上昇させる。
図5に示すような時刻S1は、サンプルガスが濃縮槽60を通過し始めてから第1時間が経過した時点である。時刻S1で、制御部94は、濃縮槽60へのサンプルガスの通過を停止させる。濃縮槽60へのサンプルガスの通過が停止されることにより、濃縮槽60内のガスの流量は、0になる。また、時刻S1で、制御部94は、ヒータ64を駆動状態にする。時刻S1でヒータ64が駆動状態になることにより、吸着剤61の温度は、時刻S1以降、上昇する。
図3に示すような制御部94は、図2に示すような吸着剤61の温度が温度T1に到達すると、例えば所定の第2時間、吸着剤61の温度が温度T1に維持されるように制御する。第2時間は、サンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。温度T1は、サンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの脱離温度であってよい。例えば、検出対象外のガスが水である場合、温度T1は、図4に示すような温度t1となり得る。吸着剤61が温度T1に維持されることにより、検出対象外のガスは、吸着剤61から脱離し得る。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T1に維持されるように制御しつつ、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御する。制御部94は、濃縮槽60を通過したパージガスが、排出路23から排出されるように制御する。このような構成により、吸着剤61から脱離した検出対象外のガスは、パージガスとともに、排出路23から排出され得る。つまり、吸着剤61から脱離した検出対象外のガスは、濃縮槽60から除去され得る。制御部94は、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第1流量となるように、供給部50を制御してよい。
例えば、制御部94は、図2に示すような吸着剤61の温度が温度T1に到達すると、弁40によって流入路21と流路30とを接続させた状態にし、弁42によって流路33と流路34とを接続させた状態にする。さらに、制御部94は、弁44によって流路38と流路35とを接続させた状態にし、弁41によって流路35と流路32とを接続させた状態にし、弁43によって流路36と排出路23とを接続させた状態にする。加えて、制御部94は、供給部50を制御することにより、流入路21から、流路30,33,34、貯留槽70、流路38,35,32、濃縮槽60及び流路36を経て、排出路23に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れを生じさせることにより、パージガスは、濃縮槽60を通過して排出路23から排出される。パージガスが濃縮槽60を通過することにより、吸着剤61から脱離した検出対象外のガスは、濃縮槽60から除去されて、排出路23から排出される。
図5に示すような時刻S2で、吸着剤61の温度が温度T1に到達する。制御部94は、時刻S2から時刻S3までの第2時間、吸着剤61の温度が温度T1に維持されるようにヒータ64を制御する。時刻S2以降、吸着剤61の温度が温度T1に維持されることにより、検出対象外のガスは、吸着剤61から脱離し得る。また、時刻S2で、制御部94は、パージガスが濃縮槽60を通過して排出路23から排出されるように制御する。パージガスが濃縮槽60を通過して排出路23から排出されることにより、脱離した検出対象外のガスは、濃縮槽60から除去されて排出路23から排出され得る。制御部94は、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第1流量F1となるように、供給部50を制御してよい。
図3に示すような制御部94は、図2に示すような吸着剤61の温度が温度T1に到達してから第2時間が経過した時点で、吸着剤61の温度が上昇するようにヒータ64を制御する。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T2まで上昇するようにヒータ64を制御する。温度T2は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスの脱離温度であってよい。例えば、検出対象のガスがメチルメルカプタンである場合、温度T2は、図4に示すような温度t2となり得る。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T2になると、吸着剤61の温度が温度T2に維持されるようにヒータ64を制御する。
図5に示すような時刻S3は、第2時間が経過した時点である。時刻S3で、制御部94は、吸着剤61の温度が上昇するようにヒータ64を制御する。時刻S5で、吸着剤61の温度は、温度T2に到達する。制御部94は、時刻S5以降、吸着剤61の温度が温度T2に維持されるように制御する。
ここで、本開示では、図3に示すような制御部94は、第1時点から、当該第1時点よりも後の第2時点まで、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させる。本開示の第1時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達する前か又は温度T2に到達した時点である。第1実施形態では、第1時点は、吸着剤61の温度が、温度T3に到達した時点である。温度T3は、検出対象のガスが吸着剤61から脱離し始める温度に基づいて設定されていてよい。例えば、温度T3は、検出対象のガスがメチルメルカプタンである場合、図4に示すような温度t3となり得る。また、第1実施形態では、第2時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから例えば所定の第3時間が経過した時点である。吸着剤61の温度が温度T3に到達すると、濃縮槽60の内部では、検出対象のガスが、吸着剤61から脱離し始める。第1時点から第2時点までの時間、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止することで、吸着剤61から脱離した多くの検出対象のガスが、濃縮槽60に留まり得る。多くの検出対象のガスが、濃縮槽60に留まることで、濃縮槽60内の検出対象のガスの濃度が高まり得る。つまり、濃縮槽60においてサンプルガスがより濃縮され得る。第3時間は、吸着剤61に吸着され得る検出対象ガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部94は、図2に示すような吸着剤61の温度が温度T3に到達すると、供給部50を停止させる。さらに、制御部94は、弁41によって流路31と流路32と流路35とを接続させない状態にし、弁43によって排出路23と流路36と流路37とを接続させない状態にする。このような構成により、濃縮槽60へのパージガスの通過が停止される。
図3に示すような制御部94は、第2時点以降、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御する。本実施形態では、制御部94は、第2時点から、すなわち、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから第3時間が経過した時点から、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御する。制御部94は、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御する。このような構成により、濃縮槽60内の濃度が高められた検出対象のガスが、すなわち、濃縮槽60内のより濃縮されたサンプルガスが、パージガスによってチャンバ80のセンサ部81に搬送され得る。パージガスは、ガスを搬送する用途で使用される場合、「キャリアガス」とも称される。
例えば、制御部94は、第2時点になると、図2に示すような弁40によって流入路21と流路30とを接続させた状態にし、弁42によって流路33と流路34とを接続させた状態にする。さらに、制御部94は、弁44によって流路38と流路35とを接続させた状態にし、弁41によって流路35と流路32とを接続させた状態にし、弁43によって流路36と流路37とを接続させた状態にする。加えて、制御部94は、供給部50を制御することにより、流入路21から、流路30,33,34、貯留槽70、流路38,35,32、濃縮槽60及び流路36,37を経て、チャンバ80に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、パージガスは、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスを、チャンバ80に搬送する。
図5に示すような時刻S4で、吸着剤61の温度は、温度T3に到達する。つまり、時刻S4が第1時点に対応する。また、時刻S5で、吸着剤61の温度が温度T2に到達する。また、時刻S5から時刻S6までの時間が第3時間となる。つまり、時刻S6が第2時点に対応する。制御部94は、時刻S4から時刻S6まで、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止する。制御部94は、時刻S6で、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともに、チャンバ80に供給されるよう制御する。制御部94は、時刻S6から時刻S8までの時間、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御してよい。時刻S6から時刻S8までの時間は、貯留槽70の容積等に応じて適宜設定されていてよい。
ここで、濃縮槽60の入口部から供給されたパージガスは、濃縮槽60内の検出対象のガスを、濃縮槽60の出口部に向けて、徐々に押出し得る。そのため、濃縮槽60内の出口部付近の検出対象のガスの濃度は、検出対象のガスの種類に応じては、パージガスが濃縮槽60に供給され始めてから、ある程度の時間が経過した後、最大となる場合がある。図5に示すような例では、時刻S7で、濃縮槽60内の出口部付近の検出対象のガスの濃度が、最大値C1となる。つまり、パージガスが濃縮槽60を通過し始めた当初は、パージガスにより搬送される検出対象ガスの濃度がそれほど高くない場合がある。
そこで、制御部94は、パージガスが濃縮槽60を通過し始めてから所定の第4時間が経過するまで、濃縮槽60を通過したパージガスを、センサ部81に供給せずに、例えば排出路23から、排気してよい。さらに、制御部94は、第4時間が経過した後、濃縮槽60を通過したパージガスをセンサ部81に供給してよい。この場合、制御部94は、パージガスが濃縮槽60を通過し始めてから第4時間が経過するまで、弁43によって流路36と排出路23とを接続させた状態にすることにより、濃縮槽60を通過したパージガスを排出路23から排出させてよい。また、制御部94は、第4時間が経過した後、弁43によって流路36と流路37とを接続させた状態にすることにより、濃縮槽60を通過したパージガスをセンサ部81に供給してよい。第4時間は、濃縮槽60の長さ及び断面積等を考慮して、適宜設定されていてよい。第4時間は、図5に示すような時刻S6から、時刻S6aまでの時間程度であってよい。時刻S6aは、時刻S6の以後の時刻であり、時刻S7の直前の時刻である。また、制御部94は、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第2流量となるように供給部50を制御してよい。図5では、時刻S6以降、制御部94は、パージガスの流量が第2流量F2になるように供給部50を制御してよい。第2流量は、第1流量よりも小さい。第2流量は、濃縮槽60の容積及び弁43のスペック等を考慮して適宜決定されていてよい。濃縮槽60内を通過するパージガスの流量を第1流量よりも小さい第2流量にすることで、制御部94は、第4時間経過後、弁43によって流路36の接続先を排出路23から流路37に、スムーズに切替えることができる。
<ガスの種類及び濃度の検出処理>
制御部94は、貯留槽70に貯留されたパージガスが、チャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。例えば、制御部94は、弁40によって流入路21と流路30とを接続させた状態にし、弁42によって流路33と流路34とを接続させた状態にし、弁44によって流路38と流路39とを接続させた状態にする。さらに、制御部94は、供給部50を制御することにより、流入路21から、流路30,33,34、貯留槽70、流路38,39を経て、チャンバ80に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、貯留槽70に貯留されたパージガスは、チャンバ80のセンサ部81に供給される。
制御部94は、上述の<サンプルガスの貯留及び濃縮処理>にて説明したようにして、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御する。
制御部94は、貯留槽70に貯留されたパージガスと、濃縮槽60にて濃縮されたサンプルガスとが、チャンバ80のセンサ部81に交互に供給されるよう制御する。制御部94は、パージガスと濃縮されたサンプルガスとをチャンバ80に交互に供給することにより、チャンバ80のセンサ部81から、電圧波形を取得する。制御部94は、取得した電圧波形に対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。制御部94は、検出したガスの種類及び濃度を、検出結果として、通信部92を介して電子機器3に送信してよい。
[ガス検出システムの動作]
図6は、図1に示すガス検出システム1のガス濃縮時の動作の一例のフローチャートである。制御部94は、センサ部93の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから第1設定時間が経過した後、図6に示すような処理を開始してよい。
制御部94は、トイレ室の空気が、パージガスとして、流入路21に流入するように制御する(ステップS110)。制御部94は、流入路21に流入したパージガスが、貯留槽70に貯留されるように制御する(ステップS111)。
制御部94は、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから第3設定時間が経過した後、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路20に流入するように制御する(ステップS112)。制御部94は、流入路20から流入したサンプルガスが、第1時間、濃縮槽60を通過するように制御する(ステップS113)。
制御部94は、サンプルガスが濃縮槽60を通過し始めてから第1時間が経過したことを検出する(ステップS114)。制御部94は、第1時間が経過した時点で、濃縮槽60へのサンプルガスの通過を停止させる(ステップS115)。制御部94は、吸着剤61の温度が上昇するように、ヒータ64を制御する(ステップS116)。
制御部94は、吸着剤61の温度が温度T1に到達したことを検出する(ステップS117)。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T1に到達すると、第2時間、吸着剤61の温度が温度T1に維持されるようにヒータ64を制御する(ステップS118)。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T1に維持されるように制御しつつ、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御する(ステップS119)。
制御部94は、吸着剤61の温度が温度T1に到達してから、第2時間が経過したことを検出する(ステップS120)。制御部94は、第2時間が経過した時点で、吸着剤61の温度が上昇するようにヒータ64を制御する(ステップS121)。
制御部94は、吸着剤61の温度が温度T3に到達したことを検出する(ステップS122)。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T3に到達すると、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させる(ステップS123)。
制御部94は、吸着剤61の温度が温度T2に到達したことを検出する(ステップS124)。制御部94は、吸着剤61の温度が温度T2に維持されるようにヒータ64を制御する(ステップS125)。
制御部94は、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから、第3時間が経過したことを検出する(ステップS135)。制御部94は、第3時間が経過した時点で、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御する(ステップS127)。
ステップS113の処理では、制御部94は、濃縮槽60内を通過するサンプルガスの流量が第1流量となるように、供給部50を制御してよい。また、ステップS117の処理において、制御部94は、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第1流量となるように、供給部50を制御してよい。
ステップS127の処理では、制御部94は、パージガスが濃縮槽60を通過し始めてから第4時間が経過するまで、濃縮槽60を通過したパージガスを、センサ部81に供給せずに、例えば排出路23から、排気してよい。さらに、制御部94は、第4時間が経過した後、濃縮槽60を通過したパージガスをセンサ部81に供給してよい。この場合、制御部94は、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第2流量となるように供給部50を制御してよい。制御部94は、ステップS127の処理の終了後、ガスの濃縮処理を終了する。
図7は、図1に示すガス検出システム1のガスの種類及び濃度の検出時の動作の一例のフローチャートである。
制御部94は、貯留槽70に貯留されたパージガスが、チャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する(ステップS130)。制御部94は、図6に示すような処理を実行することにより、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御する(ステップS131)。
制御部94は、ステップS130の処理とステップS131の処理を交互に実行することにより、貯留槽70のパージガスと、濃縮槽60のサンプルガスとが、チャンバ80のセンサ部81に交互に供給されるよう制御する。
制御部94は、パージガスと濃縮されたサンプルガスとをチャンバ80に交互に供給することにより、チャンバ80のセンサ部81から、電圧波形を取得する(ステップS132)。制御部94は、取得した電圧波形に対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する(ステップS133)。制御部94は、ステップS133の処理の終了後、ガスの種類及び濃度の検出処理を終了する。
以上のように、第1実施形態に係るガス検出システム1では、制御部94は、第1時点から第2時点まで、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させる。さらに、制御部94は、第2時点からパージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。このような構成により、濃縮槽60内のより濃縮されたサンプルガスが、パージガスによってチャンバ80のセンサ部81に供給され得る。センサ部81により濃縮されたサンプルガスが供給されることで、センサ部81が出力する電圧に、サンプルガスに含まれる検出対象のガスが、より反映され得る。センサ部81が出力する電圧に検出対象のガスがより反映されることで、ガス検出システム1は、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度をより正確に検出することができる。従って、本実施形態によれば、ガス検出性能等が改善された、ガス検出システム1が提供され得る。
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態に係るガス検出システムについて説明する。第2実施形態に係るガス検出システムは、第1実施形態に係るガス検出システム1と同一又は類似の構成を採用することができる。従って、以下では、図1から図3を参照しつつ、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図3に示すような制御部94は、第1実施形態にて上述したように、サンプルガスが図2に示すような濃縮槽60を通過するように供給部50を制御する。この際、制御部94は、第1実施形態と同一又は類似に、濃縮槽60内を通過するサンプルガスの流量が第1流量となるように供給部50を制御する。
図3に示すような制御部94は、第1実施形態にて上述したように、図2に示すような吸着剤61の温度が上昇するようにヒータ64を制御しつつ、パージガスが濃縮槽60を通過するように供給部50を制御する。この際、制御部94は、第1実施形態と同一又は類似に、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第1流量となるように供給部50を制御する。
図3に示すような制御部94は、第1実施形態にて上述したように、第1時点から第2時点まで、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させ、第2時点からパージガスが濃縮槽60を通過してセンサ部81に供給されるように制御する。この際、第2実施形態では、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第3流量となるように供給部50を制御する。第3流量は、第1流量よりも大きい。第3流量は、濃縮槽60の容積及びガス検出システム1における所望の検出時間等を考慮して適宜決定されていてよい。濃縮槽60内を通過するパージガスの流量を第1流量よりも大きい第3流量にすることで、パージガスによって濃縮槽60内のサンプルガスをチャンバ80に供給する際にかかる時間が、短くなり得る。このような構成により、ガス検出システム1における検出時間が短くなり得る。
以下、第2実施形態に係る第1時点は、第1実施形態と同一又は類似に、吸着剤61の温度が、温度T3に到達した時点であるものとして説明する。また、第2実施形態に係る第2時点は、第1実施形態と同一又は類似に、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから第3時間が経過した時点であるものとして説明する。第1実施形態と同一又は類似に、第2実施形態に係る第3時間は、吸着剤61に吸着され得る検出対象ガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。ただし、第2実施形態に係る第3時間は、第1実施形態に係る第3時間とは独立して、設定されていてよい。例えば、上述のように、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量を第3流量にすることにより、パージガスによって濃縮槽60内のサンプルガスをチャンバ80に供給する際にかかる時間が、短くなり得る。サンプルガスをチャンバ80に供給する際にかかる時間が短くなる分、第3時間を長くしてよい。第3時間を長くすることにより、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させる時間が長くなり得る。濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させる時間が長くなることにより、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させている間、より多くの検出対象のガスが、吸着剤61から脱離し得る。つまり、濃縮槽60にてサンプルガスをより濃縮することができる。そのため、より濃縮されたサンプルガスを、センサ部81に供給することができる。
図8は、本開示の第2実施形態に係るガス検出システム1の動作の一例のタイミングチャートである。図8の上部には、時刻に対する吸着剤61の温度の変化を示す。図8の中央部には、時刻に対する濃縮槽60内のガスの流量の変化を示す。図8の下部には、時刻に対する濃縮槽60の出口部付近の検出対象のガスの濃度の変化を示す。
図8に示すような時刻S0から時刻S5まで、制御部94は、図5に示すような時刻S0から時刻S5までと同一又は類似に制御する。図8に示すような時刻S4で、図5と同一又は類似に、吸着剤61の温度は、温度T3に到達する。つまり、図8に示すような時刻S4は、図5と同一又は類似に、第1時点に対応する。また、図8に示すような時刻S5で、図5と同一又は類似に、吸着剤61の温度は、温度T2に到達する。
図8では、時刻S5から時刻S9までの時間が、第3時間となる。つまり、時刻S9が第2時点に対応する。制御部94は、時刻S4から時刻S9まで、濃縮槽60へのパージガスの通過を停止する。制御部94は、時刻S9で、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともに、チャンバ80に供給されるよう制御する。制御部94は、パージガスの流量が第3流量F3となるように制御する。時刻S10で、濃縮槽60内の出口部付近の検出対象のガスの濃度は、最大値C2となる。制御部94は、時刻S9から時刻S11までの時間、パージガスが濃縮槽60を通過するように制御してよい。時刻S9から時刻S11までの時間は、第3流量F3に基づいて、適宜設定されていてよい。
以上のように、第2実施形態に係るガス検出システム1では、制御部94は、第2時点からパージガスが濃縮槽60を通過するように制御する際、濃縮槽60内を通過するパージガスの流量が第3流量となるように制御する。第3流量は、第1流量よりも大きい。このような構成により、第2実施形態では、ガス検出システム1における検出時間を短縮することができる。
第2実施形態に係るガス検出システム1のその他の構成及び効果は、第1実施形態に係るガス検出システム1と同一又は類似である。
(第1実施形態及び第2実施形態の変形例)
以下、第1実施形態及び第2実施形態の変形例について説明する。
例えば、上述の第1実施形態では、図5に示すように、制御部94は、時刻S6から時刻S8までの時間、パージガスを濃縮槽60に通過させて、チャンバ80のセンサ部81に供給するものとして説明した。ただし、制御部94の制御は、これに限定されない。例えば、制御部94は、時刻S6から時刻S8までの時間、濃縮槽60内のサンプルガスと、貯留槽70内のパージガスとを交互に、センサ部81に供給してよい。この場合、制御部94は、検出対象のガスの濃度が最大値C1となる時刻S7付近において、センサ部81が出力する電圧に基づいて、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出してよい。第2実施形態についても同一又は類似である。
例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、制御部94は、第2時点から、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御するものとして説明した。ただし、本開示では、制御部94は、第2時点以降、パージガスが、濃縮槽60を通過して、濃縮槽60内の検出対象のガスとともにチャンバ80のセンサ部81に供給されるよう制御すればよい。例えば、ガス検出システム1は、濃縮槽60とチャンバ80との間に緩衝槽を備えてよい。この場合、制御部94は、第2時点からパージガスが濃縮槽60を通過して、当該緩衝槽に貯留されるように制御してよい。さらに、制御部94は、パージガスが濃縮槽60を通過して緩衝槽に貯留されるように制御した後、パージガスの濃縮槽60への供給を停止させてよい。パージガスの濃縮槽60への供給が停止されることにより、緩衝槽にて、吸着剤61から脱離した検出対象のガスの濃度が均一化され得る。加えて、制御部94は、パージガスの濃縮槽60への供給を停止させた後、緩衝槽に貯留されたサンプルガスが、チャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御してよい。このような構成により、検出対象のガスの濃度が均一化されたサンプルガスが、チャンバ80のセンサ部81に供給され得る。
例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、第1時点は、吸着剤61の温度が温度T3に到達した時点であるものとして説明した。ただし、第1時点は、これに限定されない。上述のように、本開示の第1時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達する前か又は温度T2到達した時点であればよい。また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、第2時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから第3時間が経過した時点であるものとして説明した。ただし、第2時点は、これに限定されない。上述のように、本開示の第2時点は、第1時点よりも後の時点であればよい。第1時点及び第2時点の他の例について、図9を参照して説明する。
図9は、本開示の第1時点及び第2時点の他の例を説明するタイミングチャートである。図5と同一又は類似に、時刻S3で、制御部94は、吸着剤61の温度が上昇するようにヒータ64を制御する。図5と同一又は類似に、時刻S4で、吸着剤61の温度は、温度T3に到達する。図5と同一又は類似に、時刻S5で、吸着剤61の温度は、温度T2に到達する。
例えば、第1時点は、温度T3に到達した時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S4が第1時点に対応してよい。また、第2時点は、吸着剤61の温度が検出対象のガスの脱離温度に到達した時点であってよい。つまり、時刻S5が第2時点に対応してよい。この場合、制御部94は、図9に示すような時刻S4から時刻S5までの時間A1、パージガスの濃縮槽60への通過を停止する。さらに、制御部94は、図9に示すような時刻S5から、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。このような構成とすることで、パージガスの濃縮槽60への通過を停止させる時間が、例えば図5に示すような時刻S4から時刻S6までパージガスを停止させる場合よりも、短くなり得る。パージガスの通過を停止させる時間が短くなることで、図9に示すような第2時点の時刻S5で吸着剤61から脱離していない検出対象のガスの量が、図5に示すような第2時点の時刻S6で吸着剤61から脱離していない検出対象のガスの量よりも、多くなり得る。第2時点において吸着剤61から脱離していない検出対象のガスの量が多くなることで、第2時点からパージガスが濃縮槽60を通過するように制御している間も、吸着剤61から検出対象のガスが脱離し得る。このような構成により、より長い間、検出対象のガスの濃度がある程度高いサンプルガスを、センサ部81に供給し続けることができる。
例えば、第1時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達した時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S5が第1時点に対応してよい。また、第2時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達した時点から第3時間が経過して時点であってよい。図9に示すような時刻S5から時刻S12までの時間が第3時間であってよい。つまり、図9に示すような時刻S12が第2時点に対応してよい。この場合、制御部94は、図9に示すような時刻S5から時刻S12までの時間A2、パージガスの濃縮槽60への通過を停止する。さらに、制御部94は、図9に示すような時刻S12から、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。このような構成とすることで、吸着剤61の温度が温度T2に到達してから、パージガスの濃縮槽60への通過が停止され得る。吸着剤61の温度が温度T2に到達してからパージガスの濃縮槽60への通過が停止されることで、パージガスの通過が停止されている間、検出対象外のガスが吸着剤61から脱離する蓋然性が低減され得る。検出対象外のガスが吸着剤61から脱離する蓋然性が低減されることにより、検出対象のガスの濃度を高めることができる。
例えば、第1時点は、吸着剤61の温度が検出対象ガスの脱離温度である温度T1を超えた時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S3が第1時点に対応してよい。また、第2時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達した時点から第3時間が経過した時点であってよい。図9に示すような時刻S5から時刻S12までの時間が第3時間であってよい。つまり、図9に示すような時刻S12が第2時点に対応してよい。この場合、制御部94は、図9に示すような時刻S3から時刻S12までの時間A3、パージガスの濃縮槽60への通過を停止する。さらに、制御部94は、図9に示すような時刻S12から、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。
例えば、第1時点は、吸着剤61の温度が検出対象ガスの脱離温度である温度T1を超えた時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S3が第1時点に対応してよい。また、第2時点は、吸着剤61の温度が温度T2に到達した時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S5が第2時点に対応してよい。この場合、制御部94は、図9に示すような時刻S3から時刻S5までの時間A4、パージガスの濃縮槽60への通過を停止する。さらに、制御部94は、図9に示すような時刻S5から、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。
例えば、第1時点は、吸着剤61の温度が検出対象ガスの脱離温度である温度T1を超えた時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S3が第1時点に対応してよい。また、第2時点は、温度T3に到達した時点であってよい。つまり、図9に示すような時刻S4が第2時点に対応してよい。この場合、制御部94は、図9に示すような時刻S3から時刻S4までの時間A5、パージガスの濃縮槽60への通過を停止する。さらに、制御部94は、図9に示すような時刻S4から、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。
例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、図3に示すように、ガス検出システム1は、1つの装置であるものとして説明した。ただし、本開示のガス検出システムは、1つの装置に限定されない。本開示のガス検出システムは、独立した複数の装置を含んでよい。例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態に、図10に示すような構成のガス検出システム1Aが採用されてよい。
図10に示すように、ガス検出システム1Aは、ガス検出装置4と、サーバ装置5とを備える。ガス検出装置4とサーバ装置5は、ネットワーク6を介して通信可能である。ネットワーク6の一部は、有線であってよいし、無線であってよい。ガス検出装置4の構成は、図2及び図3に示すようなガス検出システム1の構成と同一又は類似である。サーバ装置5は、記憶部5Aと、通信部5Bと、制御部5Cとを備える。制御部5Cは、上述した図3に示すような制御部94の処理を実行可能である。例えば、制御部5Cは、第1時点から第2時点まで、図2に示すような濃縮槽60へのパージガスの通過を停止させ、第2時点以降、パージガスが濃縮槽60を通過してチャンバ80のセンサ部81に供給されるように制御する。
(第3実施形態)
ガス検出システム101は、図11に示すように、便器102に設置されている。便器102は、限定ではないが、水洗便器であってよい。便器102は、便器ボウル102Aと、便座102Bとを備える。ガス検出システム101は、便器102の任意の箇所に設置されていてよい。一例として、ガス検出システム101は、図11に示すように、便器ボウル102Aと便座102Bとの間から便器102の外部にわたって配置されていてよい。ガス検出システム101の一部は、便座102Bの内部に埋め込まれていてよい。便器ボウル102Aには、被検者の便が排出され得る。ガス検出システム101は、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして取得し得る。ガス検出システム101は、サンプルガスに含まれるガスの種類及びガスの濃度等を検出し得る。ガス検出システム101は、検出結果等を電子機器103に送信し得る。図11に示すようなガス検出システム101は、「ガス検出装置」ともいう。
ガス検出システム101の用途は、上述の用途に限定されない。例えば、ガス検出システム101は、冷蔵庫に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム101は、食品から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。その他の用途としては、例えば、ガス検出システム101は、工場又は実験室に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム101は、薬品等から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。
便器102は、住宅又は病院等のトイレ室に設置され得る。便器102は、被検者によって使用され得る。上述のように、便器102は、便器ボウル102Aと、便座102Bとを備える。便器ボウル102Aには、被検者の便が排出され得る。
電子機器103は、例えば、被検者が利用するスマートフォンである。ただし、電子機器103は、スマートフォンに限定されない。電子機器103は、任意の電子機器であってよい。電子機器103は、被検者によってトイレ室に持ち込まれる場合、図11に示すようにトイレ室の内部に存在し得る。ただし、電子機器103は、例えば被検者がトイレ室に電子機器103を持ち込まない場合、トイレ室の外部に存在してよい。電子機器103は、ガス検出システム101から検出結果を、無線通信又は有線通信によって、受信し得る。電子機器103は、受信した検出結果を、表示部103Aに表示し得る。表示部103Aは、文字等を表示可能なディスプレイと、ユーザ(被検者)の指等の接触を検出可能なタッチスクリーンとを含んで構成されていてよい。当該ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)又は無機ELディスプレイ(IELD)等の表示デバイスを含んで構成されていてよい。当該タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、超音波方式、赤外線方式、電磁誘導方式又は荷重検出方式等の任意の方式でよい。
図12に示すように、ガス検出システム101は、筐体110と、流入路120,121と、排出路122,123,124とを備える。排出路122、排出路123及び排出路124は、任意の箇所で合流してよい。ガス検出システム101は、流路130,131,132,133,134,135,136,137,138,139と、弁140,141,142,143,144と、供給部150とを備える。ガス検出システム101は、ガスの濃縮部としての濃縮槽160と、ガスの貯留部としての貯留槽170と、チャンバ180と、回路部としての回路基板190とを備える。図13に示すように、ガス検出システム101は、回路基板190内に、記憶部191と、通信部192と、制御部194とを備える。ガス検出システム101は、センサ部193を備える。
筐体110には、ガス検出システム101の各種部品が収容されている。筐体110は、任意の材料で構成されていてよい。例えば、筐体110は、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
図11に示すように、流入路120は、便器ボウル102Aの内側へ露出し得る。流入路120の一部は、便座102Bに埋め込まれていてよい。流入路120には、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして流入する。流入路120に流入したサンプルガスは、流路130,131,132を経て、濃縮槽160に供給される。図11に示すように、流入路120の一端は、便器ボウル102Aの内部に向けられてよい。図12に示すように、流入路120の他端は、弁140に接続されていてよい。流入路120は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図11に示すように、流入路121は、便器ボウル102Aの外側へ露出し得る。流入路121の一部は、便座102Bに埋め込まれていてよい。流入路121には、例えば、便器ボウル102Aの外側にあるトイレ室の空気が、パージガスとして流入する。流入路121に流入したパージガスは、流路130,133,134を経て、貯留槽170に供給される。図11に示すように、流入路121の一端は、便器102の外側に向けられてよい。図12に示すように、流入路121の他端は、弁140に接続されていてよい。流入路121は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図11に示すように、排出路122の一部は、便器ボウル102Aの外側へ露出し得る。図12に示すような排出路122は、チャンバ180からの排気を外部に排出する。この排気には、検出処理後のサンプルガス及びパージガスが含まれ得る。図11に示すように、排出路122の一端は、便器102の外側に向けられていてよい。図12に示すように、排出路122の他端は、チャンバ180に接続されていてよい。排出路122は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図11に示すように、排出路123の一部は、便器ボウル102Aの外側へ露出し得る。図12に示すような排出路123は、濃縮槽160からの排気を外部に排出する。この排気には、後述のサンプルガスの濃縮処理にて生じる検出対象外のガス等が含まれる。図11に示すように、排出路123の一端は、便器102の外側に向けられていてよい。図12に示すように、排出路123の他端は、弁143に接続されていてよい。排出路123は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図11に示すように、排出路124の一部は、便器ボウル102Aの外側へ露出し得る。図12に示すような排出路124は、貯留槽170からの残留ガス等を外部に排出する。図11に示すように、排出路124の一端は、便器102の外側に向けられていてよい。図12に示すように、排出路124の他端は、弁144に接続されていてよい。排出路124は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図12に示すように、流路130の一端は、弁140に接続されている。流路130の他端は、流路131の一端及び流路133の一端に接続されている。流路131の一端は、流路130の他端に接続されている。流路131の他端は、弁141に接続されている。流路132の一端は、弁141に接続されている。流路132の他端は、濃縮槽160の入口部に接続されている。流路133の一端は、流路130の他端に接続されている。流路133の他端は、弁142に接続されている。流路134の一端は、弁142に接続されている。流路134の他端は、貯留槽170の入口部に接続されている。流路135の一端は、弁141に接続されている。流路135の他端は、弁144に接続されている。流路136の一端は、濃縮槽160の出口部に接続されている。流路136の他端は、弁143に接続されている。流路137の一端は、弁143に接続されている。流路137の他端は、チャンバ180に接続されている。流路138の一端は、貯留槽170の出口部に接続されている。流路138の他端は、弁144に接続されている。流路139の一端は、弁144に接続されている。流路139の他端は、チャンバ180に接続されている。流路130~139は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
図12に示すように、弁140は、流入路120と、流入路121と、流路130との間に、位置する。弁140は、流入路120に接続される接続口と、流入路121に接続される接続口と、流路130に接続される接続口とを含む。弁140は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図12に示すような弁140は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、流入路120と流入路121と流路130との間の接続状態を切替える。例えば、弁140は、これらの間の接続状態を、流入路120と流路130とを接続させた状態、流入路121と流路130とを接続させた状態、又は、流入路120と流入路121と流路130とを接続させない状態に切替える。
図12に示すように、弁141は、流路131と、流路132と、流路135との間に、位置する。弁141は、流路131に接続される接続口と、流路132に接続される接続口と、流路135に接続される接続口とを含む。弁141は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図12に示すような弁141は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、流路131と流路132と流路135との間の接続状態を切替える。例えば、弁141は、これらの間の接続状態を、流路131と流路132とを接続させた状態、流路135と流路132とを接続させた状態、又は、流路131と流路132と流路135とを接続させない状態に切替える。
図12に示すように、弁142は、流路133と、流路134との間に、位置する。弁142は、流路133に接続される接続口と、流路134に接続される接続口とを含む。弁142は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図12に示すような弁142は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、流路133と流路134との間の接続状態を切替える。例えば、弁142は、これらの間の接続状態を、流路133と流路134とを接続させた状態、又は、流路133と流路134とを接続させない状態に切替える。
図12に示すように、弁143は、排出路123と、流路136と、流路137との間に、位置する。弁143は、排出路123に接続される接続口と、流路136に接続される接続口と、流路137に接続される接続口とを含む。弁143は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図12に示すような弁143は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、排出路123と流路136と流路137との間の接続状態を切替える。例えば、弁143は、これらの間の接続状態を、排出路123と流路136とを接続させた状態、流路136と流路137とを接続させた状態、又は、排出路123と流路136と流路137とを接続させない状態に切替える。
図12に示すように、弁144は、排出路124と、流路135と、流路138と、流路139との間に、位置する。弁144は、排出路124に接続される接続口と、流路135に接続される接続口と、流路138に接続される接続口と、流路139に接続される接続口とを含む。弁144は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
図12に示すような弁144は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、排出路124と流路135と流路138と流路139との間の接続状態を切替える。例えば、弁144は、これらの間の接続状態を、排出路124と流路138とを接続させた状態、流路138と流路139とを接続させた状態、又は、流路135と流路138とを接続させた状態に切替える。又は、弁144は、排出路124と流路135と流路138と流路139とを接続させない状態に切替える。
図12に示すように、供給部150は、流路130に取り付けられている。供給部150は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、流入路120からのサンプルガスを濃縮槽160に供給可能である。また、供給部150は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、流入路121からのパージガスを貯留槽170に供給可能である。供給部150に示される矢印は、供給部150がガスを送る方向を示す。供給部150は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等のポンプで構成されていてよい。ただし、供給部150は、流入路120からのサンプルガスを濃縮槽160に供給可能な任意の部品で構成されていてよい。
図12に示すように、濃縮槽160の入口部は、流路132に接続されている。濃縮槽160の出口部は、流路136に接続されている。濃縮槽160には、流入路120から流入したサンプルガスが、流路130,131,132を経て、供給される。濃縮槽160内では、サンプルガスが、後述の処理により、濃縮される。本実施形態において「サンプルガスの濃縮」とは、サンプルガスに含まれる検出対象のガスの濃度を高めることを意味する。検出対象のガスの一例については、後述する。濃縮槽160内で濃縮されたサンプルガスは、流路136,137を経て、チャンバ180に供給される。
濃縮槽160は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体110内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状の容器等で構成されていてよい。濃縮槽160は、吸着剤161と、支持部材162,163と、ヒータ164とを有する。
図12に示すように、吸着剤161は、濃縮槽160の内部に配されている。吸着剤161は、ガス検出システム1の用途に応じた、任意の材料を含んでよい。吸着剤161は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかが含まれてよい。吸着剤161は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
吸着剤161は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着する。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。検出対象のガスは、例えば、大便の便臭に含まれていて、便器ボウル102A内に存在する大便以外の物質(例えば、水洗水及び尿等)に含まれないガス種である。サンプルガスが便から発生するガスである場合、吸着剤161の例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されていてよい。
吸着剤161に吸着された検出対象のガスは、吸着剤161がヒータ164で加熱されることにより所定温度になると、吸着剤161から脱離し得る。吸着剤161から検出対象のガスが脱離することにより、濃縮槽160内において、検出対象のガスの濃度が高まる。つまり、サンプルガスが濃縮される。ここで、一般的に、ガスは、所定の温度範囲内で、吸着剤161から脱離可能である。本実施形態において「ガスの脱離温度」とは、当該ガスが吸着剤161から脱離可能な所定の温度範囲内において、吸着剤161から脱離する当該ガスの量がピークとなる温度を意味する。
吸着剤161は、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを吸着する場合がある。検出対象外のガスは、「ノイズガス」とも称される。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象外のガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。ここで、ガスの種類に応じて、ガスの脱離温度は、異なり得る。そのため、検出対象のガスの脱離温度と、検出対象外のガスの脱離温度は、異なり得る。本実施形態では、ガスの種類に応じてガスの脱離温度が異なることを利用して、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを、後述の処理により、サンプルガスから除外する。サンプルガスから除外された検出対象外のガスは、排出路123から外部に排出される。
図14は、所定ガスを吸着させた吸着剤161Xの温度を変化させながら、吸着剤161Xから脱離したガスの濃度を検出したときの模式的なグラフである。ここで、吸着剤161Xは、後述の細孔161aを有さない。図14において、横軸は、温度を示す。図14において、縦軸は、吸着剤161Xから脱離したガスの濃度を示す。所定ガスは、検出対象のガス及び検出対象外のガスを含む。検出対象外のガスは、温度t101を含む所定の温度範囲において、吸着剤161Xから脱離し得る。また、温度t101で、吸着剤161Xから脱離する検出対象外のガスの濃度(量)は、ピークとなる。そのため、検出対象外のガスの脱離温度は、温度t101となる。また、検出対象のガスは、温度t102を含む所定の温度範囲において、吸着剤161Xから脱離し得る。また、温度t102で、吸着剤161Xから脱離する検出対象のガスの濃度(量)は、ピークとなる。そのため、検出対象のガスの脱離温度は、温度t102となる。このように、検出対象外のガスの脱離温度の温度t101と、検出対象のガスの脱離温度の温度t102とは、異なる。本実施形態では、検出対象外のガスの脱離温度と検出対象のガスの脱離温度とが異なることを利用して、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを、後述の処理により、サンプルガスから除外する。
図15に示すように、吸着剤161は、細孔161aを有する。細孔161aの細孔径は、検出対象のガス201の有効分子径(以下、「有効分子径」は、単に「分子径」とも記載する)及び検出対象外のガス202の分子径よりも、大きい。本開示において「細孔径」とは、吸着剤161が有する細孔161aの、吸着剤161の表面における直径の平均値を意味する。細孔161aの細孔径は、例えば細孔分布測定装置を用いて測定され得る。この場合、細孔径の平均値は、例えば平均細孔直径(4V/A)で計算され得る。つまり、比表面積(A)と全細孔容積(V)から、平均細孔直径が求められ得る。また、比表面積は、BET1点法を用いることによって求められ得る。全細孔容積は、1点法全細孔容積を用いることによって、求められ得る。このように比表面積及び全細孔容積を求めることにより、平均細孔直径は、簡便に求められ得る。また、細孔161aの細孔径は、走査型電子顕微鏡を用いた画像解析によっても、簡便に測定され得る。
細孔161aの細孔径がガス201,202の分子径よりも大きいことにより、サンプルガスに含まれるガス201,202は、細孔161aに入り込み得る。一般的に、細孔161aに入り込んだガスは、その周囲に存在する細孔161aの壁からの吸引力を受け得る。つまり、細孔161aを有する吸着剤161は、その細孔161aに入り込んだガスに吸引力を働かせることができる。細孔161aを有する吸着剤161は、その細孔161aに入り込んだガスに吸引力を働かせることができるため、細孔161aを有さない吸着剤161Xよりも、ガスを強く吸着し得る。細孔161aを有する吸着剤161の方が、細孔161aを有さない吸着剤161Xよりもガスを強く吸引できるため、吸着剤161からのガスの脱離温度の方が、吸着剤161Xからのガスの脱離温度よりも、高くなり得る。換言すると、吸着剤161からのガスの脱離温度は、吸着剤161が細孔161aを有することにより、細孔161aを有さない吸着剤161Xからのガスの脱離温度よりも、高くなり得る。従って、細孔161aを有する吸着剤161からのガス201,202の脱離温度は、細孔161aを有さない吸着剤161Xからのガス201,202の脱離温度よりも、高くなり得る。
図15に示すような検出対象のガス201は、サンプルガスが便から発生するガスである場合、上述のように、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミンの何れかとなり得る。また、検出対象外のガス202は、サンプルガスが便から発生するガスである場合、上述のように、水及びアンモニアの何れかとなり得る。ここで、(検出対象のガス201となり得る)メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミンの分子径は、(検出対象外のガス202となり得る)水及びアンモニアの分子径よりも、大きくなり得る。つまり、サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガス201の分子径は、検出対象外のガス202の分子径よりも大きくなり得る。
図15に示すようなガス201の分子径がガス202の分子径よりも大きい構成では、ガス201,202が細孔161aに入り込んだ場合、ガス201と細孔161aの壁との間に生じる隙間の方が、ガス202と細孔161aの壁との間に生じる隙間よりも、小さくなり得る。ガス201と細孔161aの壁との間に生じる隙間の方が、ガス202と細孔161aの壁との間に生じる隙間よりも、小さくなることにより、検出対象のガス201の方が、検出対象外のガス202よりも、細孔161aの壁からの吸引力を強く受け得る。上述のように、吸着剤161からのガスの脱離温度は、吸着剤161が細孔161aを有することにより、細孔161aを有さない吸着剤161Xからのガスの脱離温度よりも、高くなり得る。ここで、ガスが細孔161aの壁から受ける吸引力が強いほど、吸着剤161が細孔161aを有することにより、吸着剤161からのガスの脱離温度が、細孔161aを有さない吸着剤161Xからのガスの脱離温度よりも、高くなる度合いが大きくなる。従って、ガス201の分子径がガス202の分子径よりも大きい場合、検出対象のガス201の方が、検出対象外のガス202よりも、細孔161aを有することにより脱離温度が高くなる度合いが大きくなる。このような構成により、吸着剤161における検出対象のガス201の脱離温度と検出対象外のガス202の脱離温度との差は、吸着剤161Xにおける検出対象のガス201の脱離温度と検出対象外のガス202の脱離温度との差よりも、広がり得る。
例えば、図14に示すような構成において、検出対象のガスの分子径が検出対象外のガスの分子径よりも大きいものとする。上述のように、細孔161aを有さない吸着剤161Xからの検出対象外のガスの脱離温度は、温度t101である。これに対し、細孔161aを有する吸着剤161からの検出対象外のガスの脱離温度は、温度t101よりも高くなり、温度t111になる。また、上述のように、細孔161aを有さない吸着剤161Xからの検出対象のガスの脱離温度は、温度t102である。これに対し、細孔161aを有する吸着剤161からの検出対象のガスの脱離温度は、温度t102よりも高くなり、温度t121になる。このように、検出対象のガスの方が、検出対象外のガスよりも、細孔161aを有することにより脱離温度が高くなる度合いが、大きくなる。このような構成により、吸着剤161における検出対象のガスの脱離温度と検出対象外のガスの脱離温度との差(t121-t111)は、吸着剤161Xにおける検出対象のガスの脱離温度と検出対象外のガスの脱離温度との差(t102-t101)よりも、広がり得る。本実施形態では、検出対象のガスの脱離温度と検出対象外のガスの脱離温度との差を広げることにより、サンプルガスから、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスをより確実に除去することができる。
図15に示すような吸着剤161における細孔161aの密度は、吸着剤161の材料及び検出対象のガスの種類に応じて、適宜選択されていてよい。また、細孔161aの形状は、逆円錐形状である。ただし、細孔161aの形状は、逆円錐形状に限定されない。例えば、細孔161aの形状は、円筒形状等であってよい。
図12に示すような支持部材162は、濃縮槽160の入口部付近において、吸着剤161を支持する。支持部材162は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図12に示すような支持部材163は、濃縮槽160の出口部付近において、吸着剤161を支持する。支持部材163は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図12に示すようなヒータ164は、吸着剤161を加熱可能である。例えば、ヒータ164は、図13に示すような制御部194の制御に基づいて、通電状態になることにより、吸着剤161を加熱する。ヒータ164は、濃縮槽160の外側に配されている。ヒータ164は、濃縮槽160の外側を包囲してよい。ヒータ164は、抵抗加熱ヒータ又はラバーヒータ等であってよい。
図12に示すように、貯留槽170の入口部は、流路134に接続されている。貯留槽170の出口部は、流路138に接続されている。貯留槽170には、流入路121から流入したパージガスが、流路130,133,134を経て、供給される。貯留槽170は、供給されたパージガスを貯留する。貯留槽170に貯留されたパージガスは、流路138,139を経て、チャンバ180に供給される。また、貯留槽170に貯留されたパージガスは、流路138,135,132を経て、濃縮槽160に供給される。
貯留槽70は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体110内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状の容器等で構成されていてよい。貯留槽170の容量は、濃縮槽160の容量よりも大きくてよい。貯留槽170は、吸着剤171と、支持部材172,173とを有する。
図12に示すように、吸着剤171は、貯留槽170の内部に配されている。吸着剤171は、ガス検出システム101の用途に応じた、任意の材料を含んでよい。吸着剤171は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかを含んでよい。吸着剤171は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
吸着剤171は、パージガスに混入した検出対象のガスを吸着するものを含んでよい。トイレ室内の空気をパージガスとする場合、パージガスに、検出対象のガスが混入する場合がある。吸着剤171がパージガスに混入した検出対象のガスを吸着することにより、貯留槽170内のパージガスが浄化され得る。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象のガスを吸着する吸着剤171の例として、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されていてよい。
吸着剤171は、パージガスに混入した検出対象外のガスを吸着するものを含んでよい。トイレ室内の空気をパージガスとする場合、パージガスに、検出対象外のガスが混入する場合がある。吸着剤171がパージガスに混入した検出対象外のガスを吸着することにより、貯留槽170内のパージガスが浄化され得る。サンプルガスが便から発生するガスである場合、検出対象外のガスを吸着する吸着剤171の例として、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されていてよい。
支持部材172は、貯留槽170の入口部付近において、吸着剤171を支持する。支持部材172は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
支持部材173は、貯留槽170の出口部付近において、吸着剤171を支持する。支持部材173は、粉末又は繊維状の、ガラス又はフッ素樹脂を含んで構成されていてよい。
図12に示すように、チャンバ180は、その内部に、センサ部181を有する。チャンバ180は、複数のセンサ部181を有してよい。チャンバ180は、複数に分かれていてよい。各センサ部181は、複数に分かれた各チャンバ180に配されていてよい。複数に分かれた各チャンバ180同士は、接続されていてよい。チャンバ180は、流路137に接続されている。チャンバ180には、流路137からサンプルガスが供給される。また、チャンバ180は、流路139に接続されている。チャンバ180には、流路139からパージガスが供給される。また、チャンバ180は、排出路122に接続されている。チャンバ180は、検出処理後のサンプルガス及びパージガスを排出路122から排出する。
図12に示すように、センサ部181は、チャンバ180内に配置されている。センサ部181は、特定のガスの濃度に応じた信号を、制御部194に出力する。センサ部181は、半導体式センサ、接触燃焼式センサ又は固体電解質センサ等の任意のセンサを含んで構成されていてよい。以下、センサ部181は、特定のガスの濃度に応じた信号として、特定のガスの濃度に応じた電圧を、制御部194に出力するものとして説明する。ただし、センサ部181が出力する特定のガスの濃度に応じた信号は、特定のガスの濃度に応じた電圧に限定されない。例えば、センサ部181は、特定のガスの濃度に応じた信号として、特定のガスの濃度に応じた電流を、制御部194に出力してよい。特定のガスには、特定の検出対象のガスと、特定の検出対象外のガスとが含まれる。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、特定の検出対象のガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。また、サンプルガスが便から発生するガスである場合には、特定の検出対象外のガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。複数のセンサ部181の各々は、これらのガスの少なくとも何れかの濃度に応じた電圧を、制御部194に出力し得る。
図13に示すような回路基板190は、電気信号が伝搬する配線、記憶部191、通信部192及び制御部194等を実装する。
図13に示すような記憶部191は、例えば、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成され得る。記憶部191は、各種情報、及び、ガス検出システム101を動作させるためのプログラムを記憶する。記憶部191は、ワークメモリとして機能してもよい。
図13に示すような通信部192は、図11に示すような電子機器103と通信可能である。通信部192は、外部サーバと通信可能であってよい。通信部192と電子機器103及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、近距離無線通信規格又は携帯電話網へ接続する無線通信規格であってよいし、有線通信規格であってよい。近距離無線通信規格は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線及びNFC等を含んでよい。携帯電話網へ接続する無線通信規格は、例えば、LTE又は第4世代以上の移動通信システム等を含んでよい。また、通信部192と電子機器103及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、例えばLPWA又はLPWAN等の通信規格でもよい。
図13に示すようなセンサ部193は、画像カメラ、個人識別スイッチ、赤外線センサ及び圧力センサ等の少なくとも何れかを含んで構成されていてよい。センサ部193は、検出結果を、制御部194に出力する。
例えば、センサ部193は、赤外線センサを含んで構成される場合には、赤外線センサが照射した赤外線の対象物からの反射光を検出することにより、被検者がトイレ室に入室したことを検出し得る。センサ部193は、検出結果として、被検者がトイレ室に入室したことを示す信号を制御部194に出力する。
例えば、センサ部193は、圧力センサを含んで構成される場合には、図11に示すような便座102Bにかかる圧力を検出することにより、被検者が便座102Bに座ったことを検出し得る。センサ部193は、検出結果として、被検者が便座102Bに座ったことを示す信号を制御部194に出力する。
例えば、センサ部193は、圧力センサを含んで構成される場合には、図11に示すような便座102Bにかかる圧力の低減を検出することにより、被検者が便座102Bから立ち上がったことを検出し得る。センサ部193は、検出結果として、被検者が便座102Bから立ち上がったことを示す信号を制御部194に出力する。
例えば、センサ部193は、画像カメラ及び個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、顔画像、座高及び体重等のデータを収集する。センサ部193は、収集したデータから個人を特定識別して検出する。センサ部193は、検出結果として、特定識別した個人を示す信号を制御部194に出力する。
例えば、センサ部193は、個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、個人識別スイッチの操作に基づいて、個人を特定(検出)する。この場合、記憶部191には、予め個人情報が登録(記憶)されていてよい。センサ部193は、検出結果として、特定した個人を示す信号を制御部194に出力する。
図13に示すような制御部194は、1以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも何れかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部194は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC、及び、SiPの少なくとも何れかを含んでもよい。
<パージガスの貯留処理>
制御部194は、センサ部193の検出結果に基づいて、被検者が便座102Bから立ち上がったことを検出し得る。制御部194は、被検者が便座102Bから立ち上がったことを検出してから第1特定時間が経過した後、トイレ室の空気が、パージガスとして、流入路121に流入するように制御する。制御部194は、流入路121から流入したパージガスが、貯留槽170に貯留されるように制御する。第1特定時間は、被検者のトイレ室からの退出後、トイレ室内の換気扇等によって、トイレ室内の空気が、トイレ室外の空気と入れ替わる時間を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部194は、図12に示すような弁140によって流入路121と流路130とを接続させた状態にし、図12に示すような弁142によって流路133と流路134とを接続させた状態にする。さらに、制御部194は、図12に示すような弁144によって流路138と排出路124とを接続させた状態にする。加えて、制御部194は、供給部150を制御することにより、流入路121から、流路130,133,134、貯留槽170及び流路138を経て、排出路124に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、トイレ室の空気は、パージガスとして、流入路121に流入する。流入路121から流入したパージガスは、流路130,133,134を経て、貯留槽170に供給される。貯留槽170にパージガスが供給されることにより、当該パージガスによって貯留槽170内の残留ガスは、流路138へ押し出されて、排出路124から排出される。制御部194は、パージガスを流入路121に流入させ始めてから第2特定時間が経過した時点で、供給部150を停止させる。さらに、制御部194は、弁140によって流入路121と流路130とを接続させない状態にし、弁142によって流路133と流路134とを接続させない状態にする。加えて、制御部194は、弁144によって流路138と排出路124とを接続させない状態にする。このような構成により、流入路121からのパージガスが貯留槽170に貯留される。第2特定時間は、貯留槽170の容量等を考慮して、適宜設定されていてよい。貯留槽170に貯留されたパージガスは、貯留槽170内の吸着剤171と接触し得る。パージガスが吸着剤171に接触することにより、パージガスに混入した検出対象のガス及び検出対象外のガスが吸着剤171に吸着され得る。パージガスに混入した検出対象のガス及び検出対象外のガスが吸着剤171に吸着されることにより、貯留槽170内のパージガスが浄化され得る。
<サンプルガスの貯留及び濃縮処理>
図13に示すような制御部194は、センサ部193の検出結果に基づいて、被検者が便座102Bに座ったことを検出し得る。制御部194は、被検者が便座102Bに座ったことを検出してから第3特定時間が経過した後、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路120に流入するように制御する。制御部194は、流入路120から流入したサンプルガスが、濃縮槽160を通過するように制御する。例えば、制御部194は、サンプルガスが濃縮槽160を通過して排出路123から排出されるように制御する。第3特定時間は、被検者が便座102Bに座ってから、被検者が便を排出するまでにかかる時間を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部194は、図12に示すような弁140によって流入路120と流路130とを接続させた状態にし、弁141によって流路131と流路132とを接続させた状態にする。さらに、制御部194は、図12に示すような弁143によって流路136と排出路123とを接続させた状態にする。加えて、制御部194は、図12に示すような供給部150を制御することにより、流入路120から、流路130,131,132、濃縮槽160及び流路136を経て、排出路123に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、流入路120から流入したサンプルガスは、濃縮槽160を通過する。
図13に示すような制御部194は、サンプルガスが濃縮槽160を通過するように制御することにより、吸着剤161にサンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着させる。この際、制御部194は、ヒータ164を非駆動状態に維持する。ヒータ164を非駆動状態に維持することにより、吸着剤161の温度は、室温となり得る。制御部194は、第1規定時間、サンプルガスが濃縮槽160を通過するように制御してよい。第1規定時間は、吸着剤161に吸着可能な検出対象のガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。また、濃縮槽160内を通過するサンプルガスの流量は、濃縮槽160の容積又は吸着剤161の面積等を考慮して、適宜設定されていてよい。制御部194は、サンプルガスの流量を、供給部150を構成するポンプ等の駆動電圧及び周波数等の少なくとも何れかから、推定してよい。また、サンプルガスの流量を検出する流量センサが、ガス検出システム101に設けられてよい。この構成では、流量センサは、サンプルガスの流量を示す検出信号を、制御部194に出力する。制御部194は、流量センサが出力する検出信号に基づいて、サンプルガスの流量を検出する。制御部194は、パージガスの流量に関しても、サンプルガスと同一又は類似にして検出してよい。
図16は、図11に示すガス検出システム101の動作の一例のタイミングチャートである。図16には、時刻に対する吸着剤161の温度の変化を示す。制御部194は、吸着剤161の温度を、ヒータ164の電流等から推定してよい。また、吸着剤161の近傍に温度センサが設けられていてよい。この構成では、温度センサは、吸着剤161の近傍の温度を示す信号を、制御部194に出力する。制御部194は、温度センサが出力する検出信号に基づいて、吸着剤161の温度を取得してよい。
図16に示すような時刻S100は、被検者が便座102Bに座ったことを制御部194が検出してから第3特定時間が経過した時点である。時刻S100で、制御部194は、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路120に流入するように制御する。さらに、制御部194は、流入路120に流入したサンプルガスが濃縮槽160を通過するように制御する。この際、制御部194は、ヒータ164を非駆動状態に維持する。ヒータ164が非駆動状態に維持されることにより、吸着剤161は、時刻S100以降、室温T100に維持される。制御部194は、時刻S100から時刻S101までの第1規定時間、サンプルガスが濃縮槽160を通過するように制御する。サンプルガスが濃縮槽160を通過することにより、サンプルガスに含まれる検出対象ガスは、吸着剤161に吸着される。吸着剤161に検出対象のガスを吸着されたサンプルガスは、排出路123から排出される。時刻S100以降、サンプルガスに検出対象外のガスが含まれる場合、当該検出対象外のガスも吸着剤161に吸着され得る。
図13に示すような制御部194は、サンプルガスが濃縮槽160を通過し始めてから第1規定時間が経過した時点で、濃縮槽160へのサンプルガスの通過を停止させる。例えば、制御部194は、第1規定時間が経過した時点で、供給部150を停止させる。さらに、制御部194は、弁141によって流路131と流路132を接続させない状態にし、弁143によって流路136と排出路123を接続させない状態にする。また、制御部194は、第1規定時間が経過した時点で、ヒータ164を駆動状態にすることにより、吸着剤161の温度を上昇させる。
図16では、時刻S101が、サンプルガスが濃縮槽60を通過し始めてから第1規定時間が経過した時点である。時刻S101で、制御部194は、濃縮槽160へのサンプルガスの通過を停止させる。また、時刻S101で、制御部194は、ヒータ164を駆動状態にする。時刻S101でヒータ164が駆動状態になることにより、吸着剤161の温度は、時刻S101以降、上昇する。
図13に示すような制御部194は、図12に示すような吸着剤161の温度が温度T101に到達すると、第2規定時間、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるように制御する。第2規定時間は、サンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。温度T101は、サンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの脱離温度であってよい。図15に示すように吸着剤161が細孔161aを有する場合、温度T101は、図14に示すような温度t111となり得る。吸着剤161が温度T101に維持されることにより、検出対象外のガスは、吸着剤161から脱離し得る。制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるように制御しつつ、パージガスが濃縮槽160を通過するように制御する。例えば、制御部194は、濃縮槽160を通過したパージガスが、排出路123から排出されるように制御する。このような構成により、吸着剤161から脱離した検出対象外のガスは、パージガスとともに、排出路123から排出され得る。つまり、吸着剤161から脱離した検出対象外のガスは、濃縮槽160から除去され得る。濃縮槽160内を通過するパージガスの流量は、濃縮槽160の容積又は吸着剤161の面積等を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部194は、図12に示すような吸着剤161の温度が温度T101に到達すると、弁140によって流入路121と流路130とを接続させた状態にし、弁142によって流路133と流路134とを接続させた状態にする。さらに、制御部194は、弁144によって流路138と流路135とを接続させた状態にし、弁141によって流路135と流路132とを接続させた状態にし、弁143によって流路136と排出路123とを接続させた状態にする。加えて、制御部194は、供給部150を制御することにより、流入路121から、流路130,133,134、貯留槽170、流路138,135,132、濃縮槽160及び流路136を経て、排出路123に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れを生じさせることにより、パージガスは、濃縮槽160を通過して排出路123から排出される。パージガスが濃縮槽160を通過することにより、吸着剤161から脱離した検出対象外のガスは、パージガスによって、濃縮槽160から除去されて排出路123から排出され得る。
図16では、時刻S102で、吸着剤161の温度が温度T101に到達する。制御部194は、時刻S102から時刻S103までの第2規定時間、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるようにヒータ164を制御する。時刻S102以降、吸着剤161の温度が温度T101に維持されることにより、検出対象外のガスは、吸着剤161から脱離し得る。また、時刻S102で、制御部194は、パージガスが濃縮槽160を通過して排出路123から排出されるように制御する。パージガスが濃縮槽160を通過して排出路123から排出されることにより、脱離した検出対象外のガスは、パージガスによって、濃縮槽160から除去されて排出路123から排出され得る。
図13に示すような制御部194は、図12に示すような吸着剤161の温度が温度T101に到達してから第2規定時間が経過した時点で、吸着剤161の温度が温度T102まで上昇するようにヒータ164を制御する。温度T102は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスの脱離温度であってよい。図15に示すように吸着剤161が細孔161aを有する場合、温度T102は、図14に示すような温度t121となり得る。図16では、時刻S103が、第2規定時間が経過した時点である。図16では、時刻S103で、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102まで上昇するようにヒータ164を制御する。
図13に示すような制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に到達すると、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ164を制御する。制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ164を制御しつつ、パージガスが濃縮槽160を通過するように供給部150を制御する。例えば、制御部194は、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。このような構成により、濃縮槽160内の濃度が高められた検出対象のガスが、すなわち、濃縮槽160内のより濃縮されたサンプルガスが、パージガスによってチャンバ180のセンサ部181に搬送され得る。パージガスは、ガスを搬送する用途で使用される場合、「キャリアガス」とも称される。制御部194は、第3規定時間、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御してよい。第3規定時間は、パージガスの流量及び吸着剤161に吸着され得る検出対象のガスの量を考慮して、適宜設定されていてよい。また、濃縮槽160をキャリアガスとして通過するパージガスの流量は、吸着剤161に吸着され得る検出対象のガスの量及び濃縮槽160の断面積等を考慮して、適宜設定されていてよい。
例えば、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に到達すると、図12に示すような弁140によって流入路121と流路130とを接続させた状態にし、弁142によって流路133と流路134とを接続させた状態にする。さらに、制御部194は、弁144によって流路138と流路135とを接続させた状態にし、弁141によって流路135と流路132とを接続させた状態にし、弁143によって流路136と流路137とを接続させた状態にする。加えて、制御部194は、供給部150を制御することにより、流入路121から、流路130,133,134、貯留槽170、流路138,135,132、濃縮槽160及び流路136,137を経て、チャンバ180に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、パージガスは、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスを、チャンバ180に搬送する。
図16では、時刻S104で、吸着剤161の温度が、温度T102に到達する。時刻S104以降、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるように制御しつつ、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。また、制御部194は、時刻S104から時刻S105の第3規定時間、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。
<ガスの種類及び濃度の検出処理>
制御部194は、貯留槽170に貯留されたパージガスが、チャンバ180のセンサ部181に供給されるように制御する。例えば、制御部194は、弁140によって流入路121と流路130とを接続させた状態にし、弁142によって流路133と流路134とを接続させた状態にし、弁144によって流路138と流路139とを接続させた状態にする。さらに、制御部194は、供給部150を制御することにより、流入路121から、流路130,133,134、貯留槽170、流路138,139を経て、チャンバ180に向かうガスの流れを生じさせる。当該ガスの流れが生じることにより、貯留槽170に貯留されたパージガスは、チャンバ180のセンサ部181に供給される。
制御部194は、上述の<サンプルガスの貯留及び濃縮処理>にて説明したようにして、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。
制御部194は、貯留槽170に貯留されたパージガスと、濃縮槽160にて濃縮されたサンプルガスとが、チャンバ180のセンサ部181に交互に供給されるよう制御する。制御部194は、パージガスと濃縮されたサンプルガスとをチャンバ180に交互に供給することにより、チャンバ180のセンサ部181から、電圧波形を取得する。制御部194は、取得した電圧波形に対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。制御部194は、検出したガスの種類及び濃度を、検出結果として、通信部192を介して電子機器103に送信してよい。
[ガス検出システムの動作]
図17は、図11に示すガス検出システム101のガス濃縮時の動作の一例のフローチャートである。制御部194は、センサ部193の検出結果に基づいて、被検者が便座102Bから立ち上がったことを検出してから第1特定時間が経過した後、図17に示すような処理を開始してよい。
制御部194は、トイレ室の空気が、パージガスとして、流入路121に流入するように制御する(ステップS210)。制御部194は、流入路121に流入したパージガスが、貯留槽170に貯留されるように制御する(ステップS211)。
制御部194は、被検者が便座102Bに座ったことを検出してから第3特定時間が経過した後、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路120に流入するように制御する(ステップS212)。制御部194は、流入路120から流入したサンプルガスが、第1規定時間、濃縮槽160を通過するように制御する(ステップS213)。ステップS213の処理では、制御部194は、ヒータ164を非駆動状態に維持する。
制御部194は、サンプルガスが濃縮槽160を通過し始めてから第1規定時間が経過したことを検出する(ステップS214)。制御部194は、第1規定時間が経過した時点で、濃縮槽160へのサンプルガスの通過を停止させる(ステップS215)。制御部194は、吸着剤161の温度が上昇するように、ヒータ164を制御する(ステップS216)。
制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に到達したことを検出する(ステップS217)。制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に到達すると、第2規定時間、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるようにヒータ164を制御する(ステップS218)。制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるように制御しつつ、パージガスが濃縮槽160を通過するように制御する(ステップS219)。ステップS219の処理では、制御部194は、濃縮槽160を通過したパージガスが、排出路123から排出されるように制御する。
制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に到達してから、第2規定時間が経過したことを検出する(ステップS220)。制御部194は、第2規定時間が経過した時点で、吸着剤161の温度が吸着剤161の温度が温度T102まで上昇するようにヒータ164を制御する(ステップS221)。
制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に到達したことを検出する(ステップS222)。制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ64を制御しつつ(ステップS223)、パージガスが濃縮槽160を通過するように制御する(ステップS224)。ステップS224の処理では、制御部194は、パージガスが濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。制御部194は、ステップS224の処理の終了後、ガスの濃縮処理を終了する。
図18は、図11に示すガス検出システム101のガスの種類及び濃度の検出時の動作の一例のフローチャートである。
制御部194は、貯留槽170に貯留されたパージガスが、チャンバ180のセンサ部181に供給されるように制御する(ステップS230)。制御部194は、図17に示すような処理を実行することにより、濃縮槽160にて濃縮されたサンプルガスが、チャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する(ステップS231)。
制御部194は、ステップS230の処理とステップS231の処理を交互に実行することにより、貯留槽170のパージガスと、濃縮槽160のサンプルガスとが、チャンバ180のセンサ部181に交互に供給されるよう制御する。
制御部194は、パージガスと濃縮されたサンプルガスとをチャンバ180に交互に供給することにより、チャンバ180のセンサ部181から、電圧波形を取得する(ステップS232)。制御部194は、取得した電圧波形に対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する(ステップS233)。制御部194は、ステップS233の処理の終了後、ガスの種類及び濃度の検出処理を終了する。
以上のように、第3実施形態に係るガス検出システム101では、図15に示すように、吸着剤161の細孔161aの細孔径は、検出対象のガス201の分子径及び検出対象外のガス202の分子径よりも大きい。さらに、検出対象のガス201の分子径は、検出対象外のガス202の分子径よりも大きい。このような構成により、上述のように、吸着剤161における検出対象のガスの脱離温度と検出対象外のガスの脱離温度との差(t121-t111)が、広がり得る。つまり、図16に示すような温度T101と温度T102との差が広がり得る。温度T101と温度T102との差が広がることにより、検出対象外のガスは、サンプルガスからより確実に除去され得る。検出対象外のガスがサンプルガスからより確実に除去されることにより、ガス検出システム101は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。よって、第3実施形態によれば、改善された、ガス検出システム101が提供され得る。
(第4実施形態)
以下、本開示の第4実施形態に係るガス検出システムについて説明する。第4実施形態に係るガス検出システムは、第3実施形態に係るガス検出システム101と同一又は類似の構成を採用することができる。従って、以下では、図11から図13を参照しつつ、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
図13に示すような制御部194は、図12に示すような濃縮槽160にてサンプルガスを濃縮する際、第3実施形態と同一又は類似に、サンプルガスが図12に示すような濃縮槽160を通過するように供給部150を制御する。この際、第4実施形態では、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるように制御する。温度T101は、上述のように、サンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの脱離温度であってよい。サンプルガスが図12に示すような濃縮槽160を通過する際に、吸着剤161の温度を温度T101に維持することにより、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスは、図12に示すような吸着剤161に吸着されずに、図12に示すような排出路123から排出され得る。サンプルガスに含まれる検出対象外のガスが、図12に示すような吸着剤161に吸着されずに、図12に示すような排出路123から排出されることで、第4実施形態では、例えば図16に示すようなノイズガスを除去するための第2規定時間を削減することができる。このような構成とすることで、第4実施形態では、濃縮槽160にてサンプルガスを濃縮する際にかかる時間が短くなり得る。
図19は、本開示の第4実施形態に係るガス検出システム101の動作の一例のタイミングチャートである。図19には、時刻に対する吸着剤161の温度の変化を示す。
図19に示すような時刻S100は、被検者が便座102Bに座ったことを制御部194が検出してから第3特定時間が経過した時点である。時刻S100で、制御部194は、便器ボウル102Aに排出された便から発生するガスが、サンプルガスとして、流入路120に流入するように制御する。さらに、制御部194は、流入路120に流入したサンプルガスが濃縮槽160を通過するように制御する。また、時刻S100以降、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるようにヒータ164を制御する。制御部194は、時刻S100よりも以前にヒータ164を制御することにより、吸着剤161の温度を予め上昇させておいてよい。例えば、制御部194は、被検者が便座102Bに座ったことを制御部194が検出した時点で、ヒータ164を非駆動状態から駆動状態に切替えてよい。サンプルガスが濃縮槽160を通過する際、吸着剤161の温度が温度T101に維持させることで、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスは、吸着剤161に吸着されずに、図12に示すような排出路123から排出され得る。また、吸着剤161の温度が温度T102よりも低い温度T101に維持されることで、サンプルガスに含まれる検出対象のガスは、吸着剤161に吸着され得る。
図13に示すような制御部194は、第4規定時間、サンプルガスが濃縮槽160を通過するように供給部150を制御しつつ、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるようにヒータ164を制御してよい。図19では、第4規定時間は、時刻S100から時刻S106までの時間である。第4規定時間は、吸着剤161に吸着可能な検出対象のガスの量及びサンプルガスに含まれ得る検出対象外のガスの量の少なくとも何れかを考慮して、適宜設定されていてよい。第4規定時間は、図16に示すような第1規定時間又は第2規定時間と同等の時間であってよい。又は、第4規定時間は、第1規定時間及び第2規定時間とは独立して、設定されていてよい。
図13に示すような制御部194は、サンプルガスが図12に示すような濃縮槽160を通過し始めてから第4規定時間が経過した時点で、吸着剤161の温度が上昇するようにヒータ164を制御する。第3実施形態と同一又は類似に、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102まで上昇するようにヒータ164を制御する。第3実施形態と同一又は類似に、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に到達すると、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ164を制御する。第3実施形態と同一又は類似に、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ164を制御しつつ、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。
図19では、時刻S106が、第4規定時間が経過した時点である。時刻S106で、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102まで上昇するようにヒータ164を制御する。時刻S107で、吸着剤161の温度が温度T102に到達する。時刻S107で、制御部194は、吸着剤161の温度が温度T102に維持されるようにヒータ164を制御しつつ、パージガスが濃縮槽160を通過するように供給部150を制御する。制御部194は、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御する。
図13に示すような制御部194は、第3実施形態と同一又は類似に、第3規定時間、パージガスが、濃縮槽160を通過して、濃縮槽160内の検出対象のガスとともにチャンバ180のセンサ部181に供給されるよう制御してよい。図19では、第3規定時間は、時刻S107から時刻S108までの時間である。
[ガス検出システムの動作]
図20は、本開示の第4実施形態に係るガス検出システム101のガス濃縮時の動作の一例のフローチャートである。制御部194は、センサ部193の検出結果に基づいて、被検者が便座102Bから立ち上がったことを検出してから第1特定時間が経過した後、図20に示すような処理を開始してよい。
制御部194は、図17に示すようなステップS210,S211,S212,S213の処理と同一又は類似にして、ステップS240,S241,S242,S243の処理を実行する。制御部194は、ステップS243の処理を実行する際、吸着剤161の温度が温度T101に維持させるようにヒータ164を制御する(ステップS244)。
制御部194は、ステップS213の処理を実行してから第4規定時間が経過したことを検出する(ステップS245)。制御部194は、図17に示すようなステップS215と同一又は類似にして、ステップS246の処理を実行する。
制御部194は、図17に示すようなステップS221,S222,S223,S224の処理と同一又は類似にして、ステップS247,S248,S249,S250の処理を実行する。制御部194は、ステップS250の処理の終了後、ガスの濃縮処理を終了する。
以上のように、第4実施形態に係るガス検出システム101では、制御部194は、サンプルガスが図12に示すような濃縮槽160を通過するように供給部150を制御する際、吸着剤161の温度が温度T101に維持されるようにヒータ164を制御する。このような構成により、第4実施形態に係るガス検出システム101では、濃縮槽160にてサンプルガスを濃縮する際にかかる時間が短くなり得る。第4実施形態では、濃縮槽160にてサンプルガスを濃縮する際にかかる時間が短くなることで、ガス検出システム101における検出時間が短くなり得る。
第4実施形態に係るガス検出システム101のその他の効果及び構成は、第3実施形態に係るガス検出システム101と同一又は類似である。
(第5実施形態)
第5実施形態では、吸着剤161の細孔161aの細孔径について説明する。第5実施形態に係る吸着剤161は、第3実施形態及び第4実施形態に適用可能である。
図15に示すような吸着剤161の細孔161aの細孔径は、上述のように、検出対象のガス201の分子径よりも大きい。さらに、吸着剤161の細孔161aの細孔径は、検出対象のガス201の分子径の2倍以下であってよい。
図21は、本開示の第5実施形態における、吸着剤の温度と吸着剤から脱離したガスの濃度との関係を示す模式的なグラフである。具体的には、曲線P1及び曲線P2は、検出対象のガス及び検出対象外のガスを吸着させた吸着剤161の温度を変化させながら、吸着剤161から脱離した、検出対象外のガスに対する検出対象のガスの比率をプロットしていくことにより得られたものである。図21では、アセトンを検出対象のガスとして使用し、水を検出対象外のガスとして使用した。アセトンの分子径は、0.467nmである。水の分子径は、0.265nmである。曲線P1では、細孔161aの細孔径が5nmである吸着剤161を使用した。曲線P2では、細孔161aの細孔径が0.5nmである吸着剤161を使用した。曲線P1及び曲線P2の両方とも、使用した吸着剤161の細孔161aの細孔径は、アセトンの分子径0.467nm及び水の分子径0.265nmよりも大きい。
曲線P2が示すピーク値は、曲線P1が示すピーク値よりも、10倍程度大きかった。この結果から、細孔161aの細孔径が0.5nmである吸着剤161を使用した方が、細孔161aの細孔径が5nmである吸着剤161を使用する場合よりも、検出対象の濃度が高いサンプルガスが得られることが分かる。ここで、曲線P1で使用した吸着剤161の細孔161aの細孔径5nmは、アセトンの分子径0.467nmの2倍よりも大きい(細孔径5nm>分子径0.467nm×2)。また、曲線P2で使用した吸着剤161の細孔161aの細孔径0.5nmは、アセトンの分子径0.467nmの2倍以下である(細孔径0.5nm≦分子径0.467nm×2)。細孔161aの細孔径がアセトンの分子径2倍以下となる場合、アセトンと細孔161aとの間に生じる隙間は、細孔161aの細孔径がアセトンの分子径の2倍よりも大きくなる場合よりも、狭くなり得る。そのため、細孔161aの細孔径がアセトンの分子径2倍以下となる場合、アセトンは、細孔161aの細孔径がアセトンの分子径の2倍よりも大きくなる場合よりも、アセトンの脱離温度を除く温度において、細孔161aから抜けにくくなり得る。他方、曲線P1で使用した吸着剤161の細孔161aの細孔径5nm及び曲線P2で使用した吸着剤161の細孔161aの細孔径0.5nmの両方とも、水の分子径0.265nmの1.8倍程度よりも大きい。そのため、多くの水は、細孔161aの細孔径が5nmである場合及び細孔161aの細孔径が0.5nmである場合の何れにおいても、水の脱離温度で吸着剤161から脱離し得る。このような構成により、曲線P2が示すピーク値は、曲線P1が示すピーク値よりも、10倍程度大きくなったものと考えられる。従って、細孔161aの細孔径が検出対象のガスの分子径よりも大きく、且つ、検出対象のガスの分子径の2倍以下である場合(分子径0.467nm<細孔径0.5nm≦分子径0.467nm×2)、検出対象の濃度が高いサンプルガスが得られる。
曲線P1が示すように、吸着剤161の細孔161aの細孔径が5nmである場合、アセトンの脱離温度は、162度程度であった。曲線P2が示すように、吸着剤161の細孔161aの細孔径が0.5nmである場合、アセトンの脱離温度は、167度程度であった。細孔161aの細孔径が5nmである場合及び細孔161aの細孔径が0.5nmである場合の両方とも、アセトンの脱離温度は、吸着剤が細孔161aを有さない場合よりも、高くなった。また、細孔161aの細孔径が0.5nmである場合のアセトンの脱離温度(167度)は、細孔161aの細孔径が5nmである場合のアセトンの脱離温度(162度)よりも、5度程度高い。この結果から、細孔161aの細孔径が検出対象のガスの分子径よりも大きく、且つ、検出対象のガスの分子径の2倍以下である場合(分子径0.467nm<細孔径0.5nm≦分子径0.467nm×2)、検出対象のガスの脱離温度が高くなることが分かる。
(第3実施形態から第5実施形態の変形例)
以下、第3実施形態から第5実施形態の変形例について説明する。
例えば、上述の第3実施形態から第5実施形態では、図13に示すように、ガス検出システム101は、1つの装置であるものとして説明した。ただし、本開示のガス検出システムは、1つの装置に限定されない。本開示のガス検出システムは、独立した複数の装置を含んでよい。例えば、上述の第3実施形態から第5実施形態に、図22に示すような構成のガス検出システム101Aが採用されてよい。
図22に示すように、ガス検出システム101Aは、ガス検出装置104と、サーバ装置105とを備える。ガス検出装置104とサーバ装置105は、ネットワーク106を介して通信可能である。ネットワーク106の一部は、有線であってよいし、無線であってよい。ガス検出装置104の構成は、図12及び図13に示すような、ガス検出システム101の構成と同一又は類似である。サーバ装置105は、記憶部105Aと、通信部105Bと、制御部105Cとを備える。制御部105Cは、上述した図13に示すような制御部194の処理を実行可能である。例えば、制御部105Cは、濃縮槽160にて濃縮されたサンプルガスがチャンバ180のセンサ部181に供給されるように供給部150を制御可能である。
上述した第3実施形態から第5実施形態までの構成は、以下の付記にまとめられ得る。
(付記1)
特定のガスの濃度に応じた信号を出力するセンサ部と、
細孔を有する吸着剤を内部に有する濃縮部と、
サンプルガスを前記濃縮部に供給可能な供給部と、を備え、
前記細孔の細孔径は、前記サンプルガスに含まれる検出対象のガスの有効分子径及び検出対象外のガスの有効分子径よりも大きく、
前記検出対象のガスの有効分子径は、前記検出対象外のガスの有効分子径よりも大きい、ガス検出システム。
(付記2)
付記1に記載のガス検出システムであって、
前記細孔径は、前記検出対象のガスの有効分子径の2倍以下である、ガス検出システム。
(付記3)
付記1又は2に記載のガス検出システムであって、
前記検出対象のガスは、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミンの少なくとも1つを含み、
前記検出対象外のガスは、水及びアンモニアの少なくとも1つを含む、ガス検出システム。
(付記4)
付記1から3までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記吸着剤を加熱可能なヒータをさらに備える、ガス検出システム。
(付記5)
付記4に記載のガス検出システムであって、
前記濃縮部にて濃縮された前記サンプルガスが前記センサ部に供給されるように前記供給部を制御可能な制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記濃縮部にて前記サンプルガスを濃縮する際、前記サンプルガスが前記濃縮部を通過するように前記供給部を制御した後、前記吸着剤の温度が前記検出対象のガスの脱離温度まで上昇するように前記ヒータを制御する、ガス検出システム。
(付記6)
付記5に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記サンプルガスが前記濃縮部を通過するように前記供給部を制御する際、前記ヒータを非駆動状態に維持する、ガス検出システム。
(付記7)
付記5に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記サンプルガスが前記濃縮部を通過するように前記供給部を制御する際、前記吸着剤の温度が前記検出対象外のガスの脱離温度に維持されるように前記ヒータを制御する、ガス検出システム。
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは、分割したりすることが可能である。
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。