以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
<容器充填装置の構成>
図1は、本実施形態の容器充填装置の配置を表す概略平面図である。
本発明の容器充填装置は、食品容器に食品飲料を充填するものである。ここで、食品容器とは、飲料や調味料などの食品として使用されるスラリーや粒子状、粉末状などを含む流体が充填される容器である。また、飲料としては、清涼飲料、水、茶、コーヒー、紅茶、ココア、果汁飲料、牛乳、健康飲料、酒類などがあり、調理料としては、醤油、酢、料理酒、みりん、油、各種ソース、塩、砂糖などがある。また、食品容器としては、プラスチックボトル(ペットボトル)、ガラス瓶、金属製の缶、紙製の容器などがある。
図1に示すように、本実施形態の容器充填装置10は、容器検査機11と、容器洗浄機12と、容器殺菌装置13と、容器すすぎ装置14と、飲料充填機15と、キャッパ装置16と、キャップ殺菌機17とを備える。また、容器充填装置10は、飲料充填機15とキャッパ装置16との間に容器搬送装置18が設けられる。
容器検査機11は、容器(食品容器)の損傷を検査するものである。容器洗浄機12は、容器の内部を洗浄するものである。容器殺菌装置13は、容器の内部を殺菌するものである。容器すすぎ装置14は、容器の内部をすすぐものである。飲料充填機15は、容器の内部に飲料を充填するものである。キャッパ装置16は、飲料が充填された容器にキャップ(蓋)を装着するものである。キャップ殺菌機17は、容器に装着されたキャップを殺菌するものである。容器搬送装置18は、飲料充填機15により内部に飲料が充填された容器をキャッパ装置16まで搬送する。
飲料充填機15は、回転テーブル21と、グリッパ装置22とを有する。回転テーブル21は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置22が設けられる。回転テーブル21は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置22は、容器すすぎ装置14から供給された容器を把持可能である。容器搬送装置18は、転送ホイール23と、グリッパ装置24とを有する。転送ホイール23は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置24が設けられる。転送ホイール23は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置24は、飲料充填機15から供給された容器を把持可能である。キャッパ装置16は、キャッパホイール25と、グリッパ装置26とを有する。キャッパホイール25は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置26が設けられる。キャッパホイール25は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置26は、転送ホイール23から供給された容器を把持可能である。
<グリッパによる容器の把持構造>
図2は、グリッパ装置による容器の把持状態を表す容器上部の側面図である。
図2に示すように、容器30は、容器本体31と、口部32と、首部33とを有する。容器本体31は、円筒形状をなし、長手方向の下部が閉塞した底部(図示略)が設けられる。容器本体31は、上端部の外径が小さくなって首部33が設けられる。容器本体31は、上端に口部32が設けられる。口部32は、開口部であって、飲料を充填可能である。また、容器本体31は、首部33にねじ部34と上部リング35とネックリング36が設けられる。ねじ部34は、雄ねじであって、キャップ(図示略)の雌ねじが螺合する。上部リング35は、首部33の外周面から外方に突出したリング形状をなす。ネックリング36は、上部リング35より下方に位置し、首部33の外周面から外方に突出したリング形状をなす。
図1および図2に示すように、飲料充填機15により内部に飲料が充填された容器30は、回転テーブル21のグリッパ装置22に把持されて搬送される。グリッパ装置22に把持された容器30は、回転テーブル21が回転することで搬送され、転送ホイール23のグリッパ装置24に受け渡される。グリッパ装置24に把持された容器30は、転送ホイール23が回転することで搬送され、キャッパ装置16におけるキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡される。
回転テーブル21に設けられる複数のグリッパ装置22とキャッパホイール25に設けられる複数のグリッパ装置26とは、ほぼ同様の構成である。転送ホイール23における複数のグリッパ装置24は、回転テーブル21のグリッパ装置22およびキャッパホイール25のグリッパ装置26とは、異なる構成である。グリッパ装置22,26は、容器30における首部33のネックリング36より下方の部分を把持する。グリッパ装置24は、容器30における首部33の上部リング35とネックリング36との間の部分を保持する。
<回転テーブルおよびキャッパホイールにおけるグリッパ装置>
図3は、回転テーブルおよびキャッパホイールにおけるグリッパ装置を表す平面図、図4は、回転テーブルおよびキャッパホイールにおけるグリッパ装置を表す側面図である。
図3および図4に示すように、回転テーブル21およびキャッパホイール25は、円板形状をなし、鉛直方向(図4の上下方向)に沿う回転軸(図示略)により回転自在に支持される。回転テーブル21およびキャッパホイール25は、図示しない駆動装置により図3にて反時計回り方向に駆動回転可能である。回転テーブル21およびキャッパホイール25は、外周部にグリッパ装置22,26がそれぞれ設けられる。グリッパ装置22,26は、容器30の首部33を把持可能である。
グリッパ装置22,26は、ほぼ同様の構成をなす。グリッパ装置22,26は、回転テーブル21およびキャッパホイール25の外周部に周方向に所定間隔を空けて複数配置される。グリッパ装置22,26は、回転テーブル21およびキャッパホイール25の径方向(図3および図4にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置22,26は、一対のグリッパ部材41,42を有する。グリッパ部材41,42は、回転テーブル21およびキャッパホイール25の周方向に並んで配置され、それぞれ長手方向の中間部が鉛直方向に沿う支持軸43,44により支持部材45に回動自在に支持される。
グリッパ部材41,42は、長手方向の一端部に把持部41a,42aがそれぞれ設けられる。把持部41a,42aは、円弧形状をなし、容器30の首部33を把持可能である。そのため、把持部41a,42aは、容器30の首部33の外周部に密着できる円弧形状となっている。このとき、把持部41a,42aは、容器30の首部33におけるネックリング36の下方の位置を把持する。グリッパ部材41,42は、長手方向の他端部にばね受部41b,42bがそれぞれ設けられる。ばね受部41b,42bの間に圧縮コイルばね46が装着される。圧縮コイルばね46は、グリッパ部材41,42に対してばね受部41b,42bが離間する方向に付勢力を付与する。
そのため、図3にて、一方のグリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸43を中心に反時計回り方向に付勢支持される。他方のグリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸44を中心に時計回り方向に付勢支持される。すると、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが接近する方向に付勢支持される。グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を挟み込むように把持可能となる。
グリッパ部材41は、レバー47の一端部が連結される。レバー47は、グリッパ部材41における他端部側からグリッパ部材42側に延出される。レバー47は、他端部にカムローラ48が回転自在に装着される。回転テーブル21およびキャッパホイール25は、下方にカム49が配置される。カム49は、容器受け渡し位置の近傍に固定される。カムローラ48とカム49とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ48がカム49に接触可能である。なお、グリッパ部材41とグリッパ部材42とは、図示しない連動機構(例えば、歯車機構)により連動可能となっている。
そのため、カムローラ48がカム49に接触していないとき、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を把持可能である。一方、回転テーブル21およびキャッパホイール25が回転し、カムローラ48がカム49に接触すると、グリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸43を中心に図3の時計回り方向に回動する。このとき、グリッパ部材41の回動動作が連動機構を介してグリッパ部材42に伝達される。グリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸44を中心に図3の反時計回り方向に回動する。すると、グリッパ部材41,42は、把持部41a,42aが容器30の首部33から離れ、容器30の把持が解除される。
<容器搬送装置>
図5は、転送ホイールにおけるグリッパ装置を表す平面図、図6は、転送ホイールにおけるグリッパ装置を表す側面図である。
図5および図6に示すように、転送ホイール23は、円板形状をなし、鉛直方向(図6の上下方向)に沿う回転軸50により回転自在に支持される。転送ホイール23は、図示しない駆動装置により図5にて時計回り方向に駆動回転可能である。転送ホイール23は、外周部にグリッパ装置24が設けられる。グリッパ装置24は、容器30の首部33を保持可能である。
図1に示すように、回転テーブル21と転送ホイール23とキャッパホイール25とは、水平方向に所定間隔を空けて配置される。回転テーブル21と転送ホイール23とキャッパホイール25とは、同じ速度(周速)で同期回転する。回転テーブル21は、グリッパ装置22が容器30を把持した状態で回転することで、容器30を周方向に沿って搬送する。回転テーブル21のグリッパ装置22と転送ホイール23のグリッパ装置24とが対向する位置、つまり、容器受け渡し位置に到達したとき、回転テーブル21のグリッパ装置22が保持した容器30を転送ホイール23のグリッパ装置24に受け渡す。転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を保持した状態で回転することで、容器30を周方向に沿って搬送する。転送ホイール23のグリッパ装置24とキャッパホイール25のグリッパ装置26とが対向する位置、つまり、容器受け渡し位置に到達したとき、転送ホイール23のグリッパ装置24が保持した容器30をキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡す。
図2、図5および図6に示すように、容器搬送装置18は、転送ホイール(回転体)23と、グリッパ装置24と、グリッパ移動装置27とを備える。本実施形態の容器搬送装置18は、飲料充填機15やキャッパ装置16とは異なり、容器30に飲料を充填したり、容器30にキャップを装着したりする作業がないことから、転送ホイール23とグリッパ装置24に加えて、グリッパ移動装置27を設けることが好ましい。
グリッパ装置24は、転送ホイール23の外周部に周方向に所定間隔を空けて複数配置される。グリッパ装置24は、転送ホイール23の径方向(図5および図6にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置24は、転送ホイール23に支持され、容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿入されることで、容器30を保持可能である。グリッパ移動装置27は、転送ホイール23の回転動作に伴ってグリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動可能である。
支持台51は、回転軸50を回転自在に支持する。回転軸50は、鉛直方向に沿って配置され、図示しない駆動装置により回転可能である。回転軸50は、外周部に転送ホイール23が固定される。グリッパ装置24は、転送ホイール23の外周部に配置される。
グリッパ装置24は、転送ホイール23の径方向に沿って配置されるグリッパ本体52を有する。転送ホイール23は、外周部側の下面に径方向に沿ってガイドレール53が固定される。グリッパ本体52は、基端部側(転送ホイール23の回転中心側)にガイド部材54が固定される。グリッパ本体52は、ガイド部材54が転送ホイール23のガイドレール53に移動自在に嵌合する。そのため、グリッパ本体52は、転送ホイール23の径方向に沿って移動自在に支持される。
グリッパ本体52は、先端部側に保持部55が設けられる。保持部55は、容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿脱可能であると共に、首部33を介して容器30を保持可能である。保持部55は、容器30の首部33に設けられる上部リング(環状突起)35の下部に係止することで、容器30を吊り下げ保持可能である。
グリッパ本体52は、平面部56と、第1壁部57と、第2壁部58と、第1係止部59と、第2係止部60とを有する。平面部56は、平板形状をなし、転送ホイール23の径方向に長く、水平方向に沿って配置される。平面部56は、上面部にガイド部材54が固定される。平面部56は、転送ホイール23の径方向における外方側の下部に第1壁部57および第2壁部58が固定される。第1壁部57と第2壁部58は、鉛直方向に沿う平板形状をなし、上端部が平面部56の下部に固定される。第1壁部57と第2壁部58は、転送ホイール23の径方向に所定間隔を空けて配置されることで、平面部56の下面と第1壁部57および第2壁部58のそれぞれの対向面により貫通溝61が形成される。貫通溝61は、転送ホイール23の径方向に直交する水平方向に沿うと共に、下方に開口する。
第1壁部57と第2壁部58は、それぞれの下部に第1係止部59と第2係止部60が固定される。第1係止部59と第2係止部60は、第1壁部57と第2壁部58の下部から互いに接近する水平方向に延びる。すなわち、第1係止部59と第2係止部60は、貫通溝61における転送ホイール23の径方向における外方側と内方側に設けられる。貫通溝61は、転送ホイール23の周方向の長さが容器30の首部33の外径より長く、例えば、首部33の外径の2倍より長く3倍より短いことが好ましい。また、貫通溝61は、転送ホイール23の径方向の幅が容器30の首部33の外径より長い。さらに、貫通溝61は、平面部56の下面から第1係止部59および第2係止部60の上面までの高さが容器30の口部32から上部リング35の下面までの高さより高い。
そのため、容器30は、鉛直方向に立った姿勢で、首部33における口部32から上部リング35までの部分が、保持部55における貫通溝61に挿脱可能である。そして、保持部55は、首部33が貫通溝61に挿入されたとき、第1係止部59および第2係止部60が容器30の上部リング35の下部に係止することで、容器30を吊り下げ保持可能となる。
グリッパ移動装置27は、支持機構71とカム機構72とを有する。支持機構71は、グリッパ装置24を転送ホイール23の径方向に沿って移動自在に支持するものであり、上述したガイドレール53とガイド部材54により構成される。
カム機構72は、グリッパ装置24を転送ホイール23の回転動作に伴って転送ホイール23の径方向に沿って移動するものである。カム機構72は、カムローラ73と、カム通路74とを有する。
グリッパ本体52は、平面部56における転送ホイール23の径方向の内方側の下部に支持軸75が固定される。支持軸75は、上端部がグリッパ本体52に固定され、下端部にカムローラ73が装着される。カムローラ73は、円柱形状をなし、支持軸75に対して鉛直方向に沿った軸心をもって回転自在である。なお、カムローラ73は、支持軸75に対して回転自在であることが好ましいが、回転しなくてもよい。支持台51は、転送ホイール23の下方に支持テーブル76が固定される。支持テーブル76は、円板形状をなし、転送ホイール23とほぼ同様の直径である。カム通路74は、支持テーブル76の上面部に凹部として設けられる。カム通路74は、転送ホイール23の周方向に沿って設けられる。カム通路74は、転送ホイール23の径方向における幅がカムローラ73の直径より若干大きく、カムローラ73が配置される。カム通路74は、カムローラ73の外周面が接触するカム面77,78を有する。カム通路74は、平面視が真円ではなく、楕円に近似した形状をなす。
そのため、転送ホイール23が回転するとき、グリッパ装置24の下方に位置するカムローラ73がカム通路74に沿って移動する。このとき、カムローラ73は、カム通路74の形状に応じて転送ホイール23の径方向に移動することで、グリッパ装置24は、転送ホイール23の回転に伴って転送ホイール23の径方向に沿って移動する。
<カム通路>
ここで、カム通路74の形状について説明する。図7は、グリッパ装置におけるカム形状を設定するための説明図、図8は、グリッパ装置におけるカム形状を設定する具体例を説明するための説明図である。
図5および図7に示すように、転送ホイール23の中心Oaとキャッパホイール25の中心Obとを結ぶ中心線をL1とし、中心線をL1と容器受け渡し位置30Aで直交する中心線をL2とする。転送ホイール23の中心Oaと容器受け渡し位置30A間の距離をRtとし、キャッパホイール25の中心Obと容器受け渡し位置30A間の距離をRcとする。例えば、キャッパホイール25のグリッパ装置26が容器30を把持していると仮定する。このとき、キャッパホイール25側における容器受け渡し位置30A(中心線L1)に対する容器位置30Bの角度をθcとし、転送ホイール23側における容器受け渡し位置30A(中心線をL1)に対する容器位置30Bの角度をθtとする。そして、転送ホイール23の中心Oaと中心線L2上の容器位置30Bとの直線長さをAとし、キャッパホイール25の中心Obと中心線L2上の容器位置30Bとの直線長さをBとする。また、移動軌跡23A,25Aは、基準となる移動軌跡であり、真円である。
すると、移動軌跡23Aの半径Rtと移動軌跡25Aの半径Rcは、下記数式により算出される。
Rt=A・cosθt
Rc=B・cosθc
また、転送ホイール23からキャッパホイール25に容器30を受け渡すとき、直線長さAと直線長さBとが中心線L2上で交わる必要があることから、下記数式が導き出される。
A・sinθt=B・sinθc
そして、上記3つの数式により下記数式が求められる。
Rt(sinθt/cosθt)=Rc(sinθc/cosθc)
この数式を変換すると、下記数式となり、この数式が前提条件となる。すなわち、この数式を満たすことが、転送ホイール23のグリッパ装置24からキャッパホイール25のグリッパ装置26に容器30を適切に受け渡す条件となる。
Rt・tanθt=Rc・tanθc
上記数式に基づいて、容器30を受け渡すための転送ホイール23のグリッパ装置24の角度(周方向における位置)に対して、移動軌跡23Aの半径Rtからどれだけ伸長すればよいのか、つまり、伸長量Dを算出する数式を導出する。
D={Rt+Rc(1-cosθc)}cosθt
+Rc・sinθc・sinθt-Rt
ここで、上記数式を用いてカム通路74の形状を具体的に算出する。図8に示すように、回転テーブル21のグリッパ装置22に把持された容器30の移動軌跡21Aの半径Rf=100、転送ホイール23のグリッパ装置24に保持された容器30の移動軌跡23Aの半径Rc=45、キャッパホイール25のグリッパ装置26に把持された容器30の移動軌跡25Aの半径Rc=50とする。そして、転送ホイール23のカム通路74の基準半径Rs=30とする。そして、上述した伸長量Dを算出する数式を用いてカム通路74の形状が求められる。この場合、回転テーブル21から転送ホイール23に容器30を受け渡すためのグリッパ装置24の作動範囲をα、転送ホイール23からキャッパホイール25に容器30を受け渡すためのグリッパ装置24の作動範囲をβとする。例えば、作動範囲αは、20度であり、作動範囲βは、40度である。作動範囲α,βの除く作動範囲は、容器30の移動に際して急激な加速度範囲が発生しないような移動軌跡、つまり、カム通路74を実現することができる形状とすることが望ましい。
<変形例>
なお、転送ホイール23のグリッパ装置24は、上述した構成に限定されるものではない。図9は、第1変形例のグリッパ装置を表す要部側面図、図10は、グリッパ装置を表す下面図、図11は、第2変形例のグリッパ装置を表す下面図、図12は、第3変形例のグリッパ装置を表す要部側面図、図13は、グリッパ装置を表す下面図である。
第1変形例において、図9および図10に示すように、グリッパ装置24Aは、グリッパ本体52Aを有する。グリッパ本体52Aは、先端部側に保持部55Aが設けられる。保持部55Aは、容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿脱可能であると共に、首部33を介して容器30を保持可能である。保持部55Aは、容器30の首部33に設けられる上部リング(環状突起)35の下部に係止することで、容器30を吊り下げ保持可能である。
グリッパ本体52Aは、平面部56と、第1壁部57と、第2壁部58と、第1係止部59と、第2係止部60とを有する。保持部55Aは、保持した容器30の転送ホイール23の周方向への相対移動を抑制する移動抑制部としての切欠部81を有する。切欠部81は、保持部55Aが保持した容器30の傾斜動作により首部33に設けられるネックリング(環状突起)36が係止する。すなわち、切欠部81は、第1係止部59の下面に形成される。切欠部81は、容器30のネックリング36の形状に合わせた形状であり、貫通溝61の貫通方向(転送ホイール23の周方向)に沿った湾曲形状をなす。
なお、移動抑制部としての切欠部は、第1変形例に限定されるものではない。第2変形例において、図11に示すように、グリッパ本体52Bは、平面部56と、第1壁部57と、第2壁部58と、第1係止部59と、第2係止部60とを有する。保持部55Bは、保持した容器30の転送ホイール23の周方向への相対移動を抑制する移動抑制部としての切欠部82を有する。切欠部82は、保持部55Aが保持した容器30の傾斜動作により首部33に設けられるネックリング36が係止する。すなわち、切欠部82は、第1係止部59の下面に形成される。切欠部82は、容器30のネックリング36が入り込みやすい形状であり、貫通溝61の貫通方向(転送ホイール23の周方向)に沿った直線形状をなす。切欠部82の長さは、ネックリング36の外径と同様とすることが好ましい。
そのため、グリッパ装置24A,24Bは、容器30の首部33が保持部55A,55Bの貫通溝61に挿入されると、第1係止部59および第2係止部60が容器30の上部リング35の下部に係止して容器30を吊り下げ保持する。このとき、転送ホイール23が回転することで、グリッパ装置24Aに保持された容器30に対して遠心力が作用する。このとき、容器30は、グリッパ装置24Aに保持された首部33を支点として下部が転送ホイール23における径方向の外側に移動して傾斜状態となる。すると、容器30は、ネックリング36の一部が保持部55A,55Bの切欠部81,82に係止し、貫通溝61の長手方向の移動が抑制され、保持部55A,55Bからの脱落を防止することができる。
第3変形例において、図12および図13に示すように、グリッパ装置24Cは、グリッパ本体52Cを有する。グリッパ本体52Cは、先端部側に保持部55Cが設けられる。保持部55Cは、容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿脱可能であると共に、首部33を介して容器30を保持可能である。保持部55Cは、容器30の首部33に設けられる上部リング(環状突起)35の下部に係止することで、容器30を吊り下げ保持可能である。
グリッパ本体52Cは、平面部56と、第1壁部57と、第1係止部59と、移動抑制部としての押圧部91を有する。押圧部91は、保持部55Cが保持した容器30における首部33の外面を押圧する。押圧部91は、把持レバー92と付勢部材としての圧縮コイルばね93とを有する。把持レバー92は、第2壁94と、第2係止部95とを有する。第2壁94は、上端部が連結軸96により平面部56に固定された取付部97に回動自在に支持される。連結軸96は、転送ホイール23の径方向に直交する水平方向に沿う。第2壁94は、下端部に第2係止部95が設けられる。平面部56は、把持レバー92より転送ホイール23の径方向における内方側に反力壁98が設けられる。圧縮コイルばね93は、把持レバー92と反力壁98との間に配置される。把持レバー92は、圧縮コイルばね93の付勢力により図12の時計回り方向に付勢支持される。平面部56は、把持レバー92より貫通溝61側にストッパ99が固定される。把持レバー92は、ストッパ99により回動量が規定される。
保持部55Cは、平面部56と第1壁部57と第1係止部59と第2壁94と第2係止部95とにより下方に開口する貫通溝61が形成される。第2壁94および第2係止部95は、第1壁部57および第1係止部59と対向して配置される。貫通溝61は、容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿脱可能である。容器30は、首部33が保持部55Cの貫通溝61に挿入されたとき、第1係止部59と第2係止部95は、首部33に設けられた上部リング35とネックリング36の間に入り込む。このとき、第2係止部95は、圧縮コイルばね93の付勢力により首部33を押圧する。なお、第2係止部95は、容器30の首部33が貫通溝61に入り込みやすいように、貫通溝61の各端部に貫通溝61の幅が大きくなるような傾斜面100が設けられる。
そのため、グリッパ装置24Cは、容器30の首部33が保持部55Cの貫通溝61に挿入されると、第1係止部59および第2係止部95が容器30の上部リング35の下部に係止して容器30を吊り下げ保持する。このとき、第2係止部95は、圧縮コイルばね93の付勢力により首部33を押圧するため、容器30は、貫通溝61の長手方向の移動が抑制され、保持部55Cからの脱落を防止することができる。
<容器搬送装置の作動>
図14は、容器を回転テーブルから転送ホイールに受け渡す前の状態を表す平面図、図15は、容器を回転テーブルから転送ホイールに受け渡す直前の状態を表す平面図、図16は、容器を回転テーブルから転送ホイールに受け渡すときの状態を表す平面図、図17は、容器を回転テーブルから転送ホイールに受け渡した直後の状態を表す平面図、図18は、容器を転送ホイールからキャッパホイールに受け渡す直前の状態を表す平面図、図19は、容器を転送ホイールからキャッパホイールに受け渡したときの状態を表す平面図、図20は、容器を転送ホイールからキャッパホイールに受け渡した直後直前の状態を表す平面図、図21は、容器を転送ホイールからキャッパホイールに受け渡した後の状態を表す平面図である。
図14に示すように、飲料充填機15は、グリッパ装置22が容器30を把持し、回転テーブル21が回転することで容器30を搬送する。飲料充填機15は、グリッパ装置22が把持した容器30を所定の回転位置で、容器搬送装置18に受け渡す。図14は、容器30を回転テーブル21から転送ホイール23に受け渡す前の状態である。このとき、回転テーブル21は、グリッパ装置22が容器30を把持して回転し、容器受け渡し位置に向かう。一方、転送ホイール23は、グリッパ装置22から容器30を受け取るために、グリッパ装置24が転送ホイール23の外方に移動する。すなわち、グリッパ装置24は、カムローラ73がカム通路74にガイドされることで、転送ホイール23の最も外方に移動する。
図15は、容器30を回転テーブル21から転送ホイール23に受け渡す直前の状態である。図15に示すように、回転テーブル21が回転すると、グリッパ装置22が容器30を把持したままで容器受け渡し位置に移動する。一方、転送ホイール23が回転すると、グリッパ装置24が回転テーブル21のグリッパ装置22が把持した容器30を受け取りに行く。このとき、転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を受け取るために、転送ホイール23の内方に移動する。すなわち、グリッパ装置24は、カムローラ73がカム通路74にガイドされることで、転送ホイール23の内方に移動し、グリッパ装置22が容器30を把持したままで、保持部55の貫通溝61に容器30の首部33が入り込む。
図16は、容器30を回転テーブル21から転送ホイール23に受け渡すときの状態である。図16に示すように、回転テーブル21が回転すると、グリッパ装置22が容器30を把持したままで容器受け渡し位置に到達する。一方、転送ホイール23が回転すると、グリッパ装置24が回転テーブル21のグリッパ装置22が把持した容器30を保持する。このとき、転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を保持するために、転送ホイール23の最も内方に移動する。すなわち、グリッパ装置24は、カムローラ73がカム通路74にガイドされることで、転送ホイール23の最も内方に移動し、グリッパ装置22が容器30を把持したままで、保持部55の貫通溝61に容器30の首部33が入り込んで保持する。
容器受け渡し位置で、図2に示すように、容器30は、ネックリング36の下部がグリッパ装置22に把持され、上部リング35の下部がグリッパ装置24に保持される。このとき、容器30は、グリッパ装置22に把持されていることで、グリッパ装置22に対して回転テーブル21の径方向と周方向の移動が拘束される。一方、容器30は、グリッパ装置24に保持されていることで、グリッパ装置24に対して転送ホイール23の径方向の移動が拘束されるが、周方向に移動は自由である。そのため、容器30に径方向のせん断力がほとんど作用しない。
図17は、容器30を回転テーブル21から転送ホイール23に受け渡した直後の状態である。図17に示すように、回転テーブル21が回転して容器受け渡し位置を過ぎると、グリッパ装置22が容器30の把持を解除する。一方、転送ホイール23が回転して容器受け渡し位置を過ぎると、グリッパ装置24だけが容器30を保持する。このとき、グリッパ装置24は、転送ホイール23の周方向(径方向に直交する水平方向)の移動が自由である。そのため、回転テーブル21のグリッパ装置22による容器30の把持解除が遅れても、容器30に対してせん断力の解放による衝撃力がほとんど作用しない。その後、転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を保持したままで回転する。
図18は、容器30を転送ホイール23からキャッパホイール25に受け渡す直前の状態である。図18に示すように、転送ホイール23が回転すると、グリッパ装置24が容器30を保持したままで容器受け渡し位置に移動する。一方、キャッパホイール25が回転すると、グリッパ装置26が転送ホイール23のグリッパ装置24が保持した容器30を受け取りに行く。このとき、転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を受け渡すために、転送ホイール23の内方に移動する。すなわち、グリッパ装置24は、カムローラ73がカム通路74にガイドされることで、転送ホイール23の内方に移動する。一方、キャッパホイール25は、グリッパ装置24が保持した容器30を受け取るために、グリッパ装置26が把持解除位置に移動する。
図19は、容器30を転送ホイール23からキャッパホイール25に受け渡したときの状態である。図19に示すように、転送ホイール23が回転すると、グリッパ装置24が容器30を保持したままで容器受け渡し位置に到達する。一方、キャッパホイール25が回転すると、グリッパ装置26が転送ホイール23のグリッパ装置24が保持した容器30を把持する。このとき、転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を受け渡すために、転送ホイール23の最も内方に移動する。すなわち、グリッパ装置24は、カムローラ73がカム通路74にガイドされることで、転送ホイール23の最も内方に移動し、グリッパ装置22が容器30を把持したままとなる。
容器受け渡し位置で、図2に示すように、容器30は、上部リング35の下部がグリッパ装置24に保持され、ネックリング36の下部がグリッパ装置26に把持される。このとき、容器30は、グリッパ装置26に把持されていることで、グリッパ装置26に対して回転テーブル21の径方向と周方向の移動が拘束される。一方、容器30は、グリッパ装置24に保持されていることで、グリッパ装置24に対して転送ホイール23の径方向の移動が拘束されるが、周方向に移動は自由である。そのため、容器30に径方向のせん断力がほとんど作用しない。
図20は、容器30を転送ホイール23からキャッパホイール25に受け渡した直後の状態である。図20に示すように、キャッパホイール25が回転して容器受け渡し位置を過ぎると、グリッパ装置26が容器30を把持して移動する。一方、転送ホイール23が回転して容器受け渡し位置を過ぎると、グリッパ装置26が把持した容器30の首部33がグリッパ装置24における保持部55の貫通溝61から抜け出ようとする。このとき、グリッパ装置24は、転送ホイール23の周方向(径方向に直交する水平方向)の移動が自由である。そのため、キャッパホイール25のグリッパ装置26による容器30の把持時に、容器30に対して衝撃力がほとんど作用しない。
図21は、容器を転送ホイールからキャッパホイールに受け渡した後の状態である。図21に示すように、キャッパホイール25が回転すると、グリッパ装置26が容器30を把持したまま移動する。一方、転送ホイール23が回転すると、グリッパ装置26が把持した容器30の首部33がグリッパ装置24における保持部55の貫通溝61から抜け出ることで保持を解除する。
<本実施形態の作用効果>
第1の態様に係る容器搬送装置は、鉛直方向に沿う回転軸50により回転可能な転送ホイール(回転体)23と、転送ホイール23に支持されて容器30の首部33が転送ホイール23の周方向に沿って挿脱可能であると共に首部33を介して容器30を保持可能な保持部55,55A,55B,55Cを有するグリッパ装置24,24A,24B,24Cと、転送ホイール23の回転動作に伴ってグリッパ装置24,24A,24B,24Cを転送ホイール23の径方向に沿って移動可能なグリッパ移動装置27とを備える。
第1の態様に係る容器搬送装置によれば、グリッパ移動装置27が転送ホイール23の回転動作に伴ってグリッパ装置24,24A,24B,24Cを転送ホイール23の径方向に沿って移動すると、グリッパ装置24,24A,24B,24Cは、保持部55,55A,55B,55Cに容器30の首部33が挿入されて容器30を保持することができる。そのため、グリッパ装置24,24A,24B,24Cは、容器受け渡すとき、容器30の首部33を把持したり把持を解除したりする必要がなく、容器に作用する衝撃力を低減することができる。その結果、容器30の振動によるスロッシングの発生が抑制され、容器30の外部へ飲料の飛跳ねを抑制することができる。
第2の態様に係る容器搬送装置は、保持部55,55A,55B,55Cは、首部33に設けられる環状突起としての上部リング35の下部に係止することで容器30を吊り下げ保持可能である。これにより、容器30の形状を変更することなく、保持部55,55A,55B,55Cが首部33を介して容器30を容易に吊り下げ保持することができる。
第3の態様に係る容器搬送装置は、保持部55,55A,55B,55Cは、転送ホイール23の径方向に直交する水平方向に貫通すると共に下方に開口する貫通溝61と、貫通溝61の下部に転送ホイール23の径方向に所定間隔を空けて設けられて上部リング35の下部に係止する一対の係止部59,60とを有する。これにより、容器30の移動に合わせて保持部55,55A,55B,55Cを移動することで、貫通溝61に容器30の首部33が挿通し、係止部59,60が上部リング35の下部に係止し、容器30にせん断力を作用させることなく、容器30を吊り下げ保持することができる。
第4の態様に係る容器搬送装置は、保持部55,55A,55B,55Cは、転送ホイール23の径方向に沿って延びる平面部56と、平面部56における転送ホイール23の径方向の外方側から下方に延びて転送ホイール23の径方向に所定間隔を空けて設けられる一対の壁部57,58と、一対の壁部57,58のそれぞれの下部から互いに接近する方向に延びる一対の係止部59,60とを有する。これにより、保持部55,55A,55B,55Cの構成を簡素化することができる。
第5の態様に係る容器搬送装置は、容器30は、首部33にネックリング36が設けられると共に、ネックリング36より容器30の口部32側に上部リング35が設けられ、保持部55,55A,55B,55Cは、上部リング35の下部に係止可能である。これにより、飲料充填機15やキャッパ装置16の各グリッパ装置22,26と干渉することなく、グリッパ装置24,24A,24B,24Cが容器30の首部33を保持することができる。
第6の態様に係る容器搬送装置は、保持部55A,55B,55Cは、保持した容器30の転送ホイール23の周方向への相対移動を抑制する移動抑制部を有する。これにより、保持部55,55A,55B,55Cが容器30の首部33を保持したとき、移動抑制部により容器30の移動を抑制することで、容器30の脱落を抑制することができる。
第7の態様に係る容器搬送装置は、移動抑制部は、55A,55Bが保持した容器30の傾斜動作により首部33に設けられるネックリング36が係止する切欠部81,82を有する。これにより、簡単な構成で容易に容器30の脱落を抑制することができる。
第8の態様に係る容器搬送装置は、移動抑制部は、保持部55Cが保持した容器の外面を押圧する押圧部91を有する。これにより、容器30の脱落を適切に抑制することができる。
第9の態様に係る容器搬送装置は、グリッパ移動装置27は、グリッパ装置24,24A,24B,24Cを転送ホイール23の径方向に沿って移動自在に支持する支持機構71と、グリッパ装置24,24A,24B,24Cを転送ホイール23の回転動作に伴って転送ホイール23の径方向に沿って移動するカム機構72とを有する。これにより、簡単な構成で容易に転送ホイール23の回転動作に伴ってグリッパ装置24,24A,24B,24Cを容易に径方向に沿って移動することができる。
第10の態様に係る容器搬送装置は、カム機構72は、グリッパ装置24,24A,24B,24Cに設けられるカムローラ73と、転送ホイール23の周方向に沿って設けられると共にカムローラ73が接触するカム面77,78を有するカム通路74とを有する。これにより、カム機構72の構成の簡素化を可能とすることができる。
なお、上述した実施形態では、保持部55に設けられる貫通溝61を、転送ホイール23の径方向に直交する水平方向に沿うように形成したが、この形状に限定されるものではない。例えば、貫通溝を転送ホイール23の周方向に沿うように平面視が湾曲形状となるように形成してもよい。また、貫通溝を転送ホイール23の周方向に沿うように、平面視が屈曲形状となるように形成してもよい。
また、上述した実施形態では、グリッパ移動装置27を支持機構71とカム機構72とから構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、グリッパ移動装置を油圧シリンダやエアシリンダなどの液圧式シリンダにより構成してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の回転体を転送ホイール23に適用したが、回転テーブル21やキャッパホイール25などに適用してもよい。