JP7315774B1 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好な塗膜を実現可能な水性塗料組成物の提供を目的とする。【解決手段】本開示の水性塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)と、ウレア樹脂水分散体(B)と、分散樹脂(C)と、を含み、前記分散樹脂(C)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下である。【選択図】なし

Description

本開示は、水性塗料組成物に関する。
建築物の外壁材としては、意匠性、耐久性、コスト等の面から、ケイ酸カルシウム板、木片セメント板、軽量気泡コンクリート板等の無機材料を板状に成形した窯業建材が用いられている。これらは、無機材料を板状に成形した後、一次養生、オートクレーブ養生前用塗料組成物(インラインシーラーとも言う)の塗布、乾燥、オートクレーブ養生、オートクレーブ養生後塗料組成物(下塗りとも言う)の塗布、乾燥を行い、更に上塗り塗料組成物の塗布、乾燥を行うことにより製造される。
前記インラインシーラーは、耐水性、耐エフロレッセンス性、下塗り塗膜との密着性等を向上させるために用いられる。建築材料では、環境に配慮した製品の開発、特にVOCの低減が進められており、インラインシーラーとして、水性シーラーを用いることが検討されている。
かかるインラインシーラーとして、特許文献1には、カルボニル基含有不飽和モノマーを含有するビニル系水性共重合体にポリヒドラジド架橋剤を配合した水性硬化型シーラーが記載されている。
また、特許文献2には、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの変性樹脂から選ばれる水性樹脂であって、カルボキシ基及び/又はカルボニル基により水性化されている水性樹脂と、ブロックイソシアネート化合物とを含む水性硬化型シーラーが記載されている。
特許文献3には、特定のアミド系モノマーを含み、酸価が特定範囲にあるビニル系共重合体を含む水性シーラーが記載されている。
特許文献4には、合成樹脂エマルションと水溶性樹脂溶液を含む水性シーラーが記載されている。
特許文献5には、特定のガラス転移温度を有するビニル共重合体樹脂系エマルションと、特定量の層状珪酸塩化合物を含む水性シーラーが記載されている。
特開平11-131054号公報 特開2000-086973号公報 国際公開第2000/007960号 特開2000-204285号公報 特開2003-226863号公報
前記インラインシーラーを塗布した無機材料は、オートクレーブ養生される。オートクレーブ養生は、代表的には、水蒸気存在下、温度160~170℃、圧力8~9kgf/cm、養生時間4~8時間程度の条件で実施される。しかしながら、本発明者らの検討によれば、従来から知られる前記の水性シーラーをインラインシーラーとして用いた場合、オートクレーブ養生中に、無機材料表面に形成されたインラインシーラーの塗膜同士が互いに付着してブロッキングが生じ、取扱いが困難になるという問題が生じる。
一方で、本発明者らの検討によれば、前記ブロッキングを抑制するために塗料組成物として硬質な材料を用いた場合、得られる塗膜の耐ブロッキング性は向上し得る一方で、耐凍結融解性が十分でないとの問題が生じる。
更に、本発明者らが検討を進めたところ、優れた柔軟性と強度(抗張力)との両立を目的として添加剤を加えると、貯蔵中に塗料組成物の増粘が生じやすくなることが見出された。
本開示は、前記事情に鑑みて検討されたものであり、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好な塗膜を実現可能な水性塗料組成物の提供を目的とする。
本開示は、以下を含む。
[1] 塗膜形成樹脂(A)と、
ウレア樹脂水分散体(B)と、
分散樹脂(C)と、を含み、
前記分散樹脂(C)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下である、水性塗料組成物。
[2] 前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂水分散体、アクリルシリコーン樹脂水分散体、フッ素樹脂水分散体、シリコーン樹脂水分散体、エポキシ樹脂水分散体及びウレタン樹脂水分散体から選ばれる1種以上を含む、[1]に記載の水性塗料組成物。
[3] 前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂水分散体及びアクリルシリコーン樹脂水分散体から選ばれる1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の水性塗料組成物。
[4] 前記アクリル樹脂水分散体中のアクリル樹脂の重量平均分子量は、20,000超である、[2]又は[3]に記載の水性塗料組成物。
[5] 前記塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度は、10℃以上60℃以下である、請求項[3]に記載の水性塗料組成物。
[6] 前記塗膜形成樹脂(A)は、スチレンに由来する単位を含む、[3]~[5]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[7] 前記スチレンに由来する単位の割合は、塗膜形成樹脂(A)の固形分の総量100質量%中、10質量%以上70質量%以下である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[8] 前記塗膜形成樹脂(A)の平均粒子径は、70nm以上200nm以下である、[3]~[7]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[9] 前記塗膜形成樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[10] 前記ウレア樹脂水分散体(B)の平均粒子径は、100nm以上1,000nm以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[11] 前記ウレア樹脂水分散体(B)に含まれるウレア基の濃度は、ウレア樹脂水分散体(B)の固形分の総量100質量%中、5質量%以上30質量%以下である、[1]~[10]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[12] 前記ウレア樹脂水分散体(B)の固形分の濃度は、水性塗料組成物の固形分100質量%中、5質量%以上80質量%以下である、[1]~[11]に記載の水性塗料組成物。
[13] 前記分散樹脂(C)は、酸価が10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である分散樹脂(C1)、及び、
酸価が150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である分散樹脂(C2)から選ばれる1種以上を含む、[1]~[12]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[14]
顔料を更に含む、[1]~[13]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
[15] 互いに対向する2つの主面を有する無機基材の少なくとも一方の主面に水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、及び、
前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、を含み、
前記水性塗料組成物が、[1]~[14]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物である、塗膜の製造方法。
[16] 無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面上に配置された塗膜とを有する窯業建材の製造方法であって、
無機材料を板状に成形し、一次養生して無機基材を得ること、
前記無機基材の少なくとも一方の面に、水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、
前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、
前記無機基材及び塗膜をオートクレーブ養生すること、を含み、
前記水性塗料組成物が、[1]~[14]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物である、窯業建材の製造方法。
[17] 無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面の上に配置されたインラインシーラー層とを有する窯業建材であって、
前記インラインシーラー層は、[1]~[14]のいずれか1つに記載の水性塗料組成物から形成される、窯業建材。
本開示の水性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好な塗膜を実現し得る。
本開示の水性塗料組成物は、
塗膜形成樹脂(A)と、
ウレア樹脂水分散体(B)と、
分散樹脂(C)と、を含み、
前記分散樹脂(C)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下である。
本開示の水性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性を実現し得る。本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、本開示の水性塗料組成物が前記効果を奏し得る理由は、以下のように考えられる。
本開示の水性塗料組成物は、塗膜形成樹脂(A)に加えて、ウレア樹脂水分散体(B)を含む。ウレア樹脂は、柔軟性に優れるため、耐凍結融解性を改善し得る。また、ウレア樹脂は、構造として有するウレア結合の凝集力が高いため、強度(抗張力)にも優れており、耐ブロッキング性を改善し得ると考えられる。一方で、ウレア樹脂水分散体は、水性塗料組成物中において、凝集しやすくなる場合があり、貯蔵安定性が低下する原因ともなり得る。本開示の水性塗料組成物は、特定の分散樹脂(C)を更に含むため、ウレア樹脂水分散体の柔軟性とその強度(抗張力)を維持したまま、貯蔵安定性の低下を抑制することができ、前記効果を奏するものと考えられる。
なお、柔軟性に優れる樹脂として、ウレタン樹脂が知られているが、ウレタン樹脂は、凝集力がウレア樹脂と比較して小さく、十分な強度(抗張力)を得ることが困難である。
(A)塗膜形成樹脂
前記塗膜形成樹脂(A)は、塗膜を構成し得る樹脂を意味する。塗膜形成樹脂(A)は、代表的には、水性樹脂(樹脂の水分散体)であることが好ましい。
前記塗膜形成樹脂(A)としては、アクリル樹脂水分散体、アクリルシリコーン樹脂水分散体、エポキシ樹脂水分散体、ウレタン樹脂水分散体、フッ素樹脂水分散体及びシリコーン樹脂水分散体から選ばれる1種以上が好ましく、アクリル樹脂水分散体、アクリルシリコーン樹脂水分散体、エポキシ樹脂水分散体及びウレタン樹脂水分散体から選ばれる1種以上がより好ましく、アクリル樹脂水分散体が更に好ましい。
(アクリル樹脂水分散体(A1))
前記アクリル樹脂水分散体(A1)は、アクリル樹脂を含む水分散体であり、粒子状となって水性媒体に分散しているアクリル樹脂を意味し、すなわち、粒子状となって媒体に分散しているアクリル樹脂を意味する。前記アクリル樹脂は、例えば、エチレン性モノマーを含むモノマー混合物を水性媒体中で重合させることにより調製できる。重合反応は、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等を含む乳化重合であることが好ましい。
前記エチレン性モノマーとしては、水酸基含有モノマー;ε-カプロラクトン変性(メタ)アクリルモノマー;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物をε-カプロラクトン変性したもの;カルボキシ基含有モノマー及びその他のモノマーを混合したものを使用できる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3-ジヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルシクロヘキシル等のヒドロキシアルキル基含有モノマー;前記ヒドロキシアルキル基含有モノマーをε-カプロラクトン変性したモノマー等が挙げられる。ε-カプロラクトン変性(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業社製のプラクセルFA-1、プラクセルFA-2、プラクセルFA-3、プラクセルFA-4、プラクセルFA-5、プラクセルFM-1、プラクセルFM-2、プラクセルFM-3、プラクセルFM-4及びプラクセルFM-5等が挙げられる。なお、本開示において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2-エチルプロペン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸モノマー又はこれらのジカルボン酸モノエステルモノマー等を挙げることができる。カルボキシ基含有モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
その他のエチレン性モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸-n、i及びt-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のジカルボン酸モノエステルモノマー;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の脂環基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルモノマー;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のその他のN-置換(メタ)アクリルアミド系モノマー;(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、N-アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N-アルキロール(メタ)アクリルアミド(例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等)、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミドモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジルキ含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸エチレングリコール等の2官能モノマ-;等を挙げることができる。
エチレン性モノマーは、1種のみを使用してもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
前記モノマー混合物は、スチレン系モノマーを含むことが好ましい。モノマー混合物の合計100質量部中、スチレン系モノマーの含有率は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下、更に好ましくは20質量%以上60質量%以下であり得る。スチレン系モノマーの含有率が前記範囲にあることで、得られる塗膜の耐ブロッキング性が向上し得、また、耐水性が良好になり得る。
乳化重合は、前記モノマー混合物を、水性液中で、ラジカル重合開始剤及び乳化剤の存在下でかくはん下加熱することによって実施することができる。反応温度は例えば30~100℃程度であるのが好ましく、反応時間は例えば1~10時間程度であるのが好ましい。上記反応温度は、例えば、水と乳化剤を仕込んだ反応容器にモノマー混合物又はモノマープレ乳化液の一括添加又は暫時滴下によって調節することができる。
前記ラジカル重合開始剤として、通常アクリル樹脂の乳化重合で使用される公知の開始剤を用いることができる。具体的には、水溶性のフリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を、水溶液の形で使用することができる。また、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とが組み合わされた、いわゆるレドックス系開始剤を水溶液の形で使用することができる。
前記乳化剤としては、炭素数が6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩部分エステル等の親水性部分とを同一分子中に有するミセル化合物から選ばれるアニオン系又は非イオン系の乳化剤を用いることができる。このうちアニオン乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテル等が挙げられる。またこれら一般汎用のアニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル系、メタクリル系、プロペニル系、アリル系、アリルエーテル系、マレイン酸系等の基を有する各種アニオン系、ノニオン系反応性乳化剤等も適宜、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
また、乳化重合の際、メルカプタン系化合物や低級アルコール等の分子量調節のための助剤(連鎖移動剤)の併用は、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進し基材への接着性を向上させる観点から、好ましい場合も多く、適宜状況に応じて行われる。
乳化重合法としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコアシェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法等、いずれの乳化重合法も用いることができる。
得られたアクリル樹脂エマルションに対し、必要に応じて有する酸基の一部又は全量を中和してアクリル樹脂エマルションの安定性を保つため、塩基性化合物を添加することができる。塩基性化合物として、例えば、アンモニア、各種アミン類、アルカリ金属等を用いることができる。
アクリル樹脂水分散体(A1)中のアクリル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは10℃以上120℃以下、より好ましくは20℃以上80℃以下である。アクリル樹脂のガラス転移温度が前記範囲にあることにより、塗膜の硬度が向上し、オートクレーブ養生した場合でも耐ブロッキング性が良好になり得る。
なお、本開示において、ガラス転移温度は、示差熱走査熱量計によって測定した値であり、例えば、示差走査熱量計DSC-6100(セイコーインスツルメンツ社製)等により測定できる。
アクリル樹脂水分散体(A1)中のアクリル樹脂の水酸基価は、一態様において、好ましくは0mgKOH/gであり、別の態様において、好ましくは5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下である。アクリル樹脂の水酸基価が前記範囲にあることで、得られる塗料組成物の耐水性及び耐凍結融解性が良好になる等の利点がある。
アクリル樹脂水分散体(A1)中のアクリル樹脂の酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である。アクリル樹脂の酸価が前記範囲にあることで、得られる塗料組成物の耐水性及び耐凍結融解性が良好になる等の利点がある。
なお、本開示において、酸価及び水酸基価は、いずれも固形分換算での値を示し、JIS K 0070に準拠した方法により測定された値である。
アクリル樹脂水分散体(A1)中のアクリル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000超10,000,000以下、より好ましくは100,000超2,000,000以下であり得る。アクリル樹脂の重量平均分子量が前記範囲にあることで、得られる塗膜(インラインシーラー層)の強度が良好となり得る。
本開示において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィにより測定される、ポリスチレン換算値である。
前記アクリル樹脂水分散体(A1)中のアクリル樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。アクリル樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保でき、耐凍結融解性が良好になる利点がある。本開示において、平均粒子径は、動的光散乱法によって決定される平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELSZシリーズ(大塚電子社製)等を使用して測定することができる。
アクリル樹脂水分散体として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、MACRYNAL SM 6810w/42WA等のMACRYNALシリーズ(ダイセル・オルネクス社製)、BAYHYDROL A2470等のBAYHYDROLシリーズ(住化コベストロウレタン社製)、バーノックWD-551等のバーノックシリーズ(DIC社製)、NeoCryl XK-555等のNeoCrylシリーズ(DSM社製)等を挙げることができる。
前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記アクリル樹脂水分散体(A1)の固形分の含有率は、0質量%以上であり、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
本開示において、ある成分の固形分は、該成分から溶媒を除いた部分を意味する。
(アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2))
アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)は、アクリルシリコーン樹脂を含む水分散体であり、アクリルシリコーン樹脂エマルションであり得る。アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)中のアクリルシリコーン樹脂は、例えば、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー及び前記エチレン性モノマーを含むモノマー混合物を重合することによって調製できる。
アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとは、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマーである。アルコキシシリル基は、1個又は2個以上のアルコキシ基がケイ素原子に結合している基であり、好ましくは、C1-14アルコキシ基を1個又は2個以上有し、より好ましくはC1-4アルコキシ基を1個又は2個以上有する。アルコキシシリル基において、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の個数は、好ましくは1~3個であり、より好ましくは2~3個である。前記アルコキシル基は、特に酸性の環境において加水分解されてシラノール基を形成しやすい。前記シラノール基が脱水結合することにより、シロキサン結合を形成して架橋したり高分子量化したりするので、得られる塗膜の造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性が向上し、特に、優れた耐候性、耐温水性を得ることができる利点がある。
前記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは、ビニル基等の重合性の不飽和結合を含有する炭化水素基が、前記アルコキシシリル基を構成するケイ素原子に前記アルコキシル基とは別に少なくとも1個結合してなる。前記不飽和結合を有するため、前記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは付加重合を行うこともでき、前記シロキサン結合による効果に加えて、得られる塗膜の造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性を向上させることができる。
前記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは、C1-14アルコキシ基を1個又は2個以上有するアルコキシシリル基を有する、ラジカル重合性不飽和モノマーであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは、1種のみを使用してもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
前記アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーのうち、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
前記モノマー混合物中に含まれるアルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーの量は、モノマー混合物100質量部中、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。
前記モノマー混合物は、更に、アルコキシシランを含んでいてもよい。前記アルコキシシランを含むと、得られる塗膜に優れた耐候性、耐水性を与えることができる。
前記アルコキシシランは、1個又は2個以上のアルコキシ基がケイ素原子に結合している化合物である。前記アルコキシシランは、好ましくは、1個又は2個以上のC1-14アルコキシ基を有し、より好ましくは、1個又は2個以上のC1-4アルコキシ基を有する。前記C1-14アルコキシ基又は前記C1-4アルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状であってよい。アルコキシシランにおいて、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の個数は、好ましくは1~4個であり、より好ましくは2~4個である。前記アルコキシシランが2個以上のアルコキシ基を有する場合、2個以上のアルコキシ基は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
前記アルコキシシランは、アルキル基を更に有していてもよい。前記アルキル基は、好ましくはC1-14アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基である。前記アルコキシシランがアルキル基を有する場合、アルキル基の個数は、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個である。前記アルコキシシランが2個以上のアルキル基を有する場合、2個以上のアルキル基は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
本発明において前記アルコキシシランは、前記アルコキシシリル基含有重合性単量体とは異なり、化合物中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有しない。
前記アルコキシシランとしては特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用できる。これらのうち、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
アルコキシシランは、1種のみを使用してもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
前記アルコキシシランの含有量は、前記モノマー混合物100質量部中、0.1~10質量部であることが好ましい。
前記モノマー混合物は、代表的には、アルコキシシリル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーに加えて、他のエチレン性モノマーを含む。前記エチレン性モノマーとしては、アクリル樹脂水分散体(A1)の製造に用いられるエチレン性モノマーと同様の化合物が挙げられる。
前記モノマー混合物は、スチレン系モノマーを含むことが好ましい。モノマー混合物の合計100質量部中、スチレン系モノマーの含有率は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下、更に好ましくは20質量%以上60質量%以下であり得る。スチレン系モノマーの含有率が前記範囲にあることで、得られる塗膜の耐水性及び耐凍結融解性が良好である。
アクリルシリコーン樹脂エマルション(A2)は、前記アクリル樹脂水分散体(A1)の製造方法と同様の乳化重合法によって調製できる。
前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)中のアクリルシリコーン樹脂の水酸基価は、一態様において、好ましくは0mgKOH/gであり、別の態様において、好ましくは1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、更に好ましくは5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である。前記アクリルシリコーン樹脂の水酸基価が前記範囲内であることによって、得られる塗料組成物が良好な耐水性を有し、得られる塗膜の耐凍結融解性が良好になる等の利点がある。
前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)中のアクリルシリコーン樹脂の酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である。前記アクリルシリコーン樹脂の酸価が前記範囲内であることによって、得られる塗料組成物が良好な耐水性を有し、得られる塗膜の耐凍結融解性が良好になる等の利点がある。
アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)中のアクリルシリコーン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000以上10,000,000以下、より好ましくは100,000以上2,000,000以下であり得る。アクリルシリコーン樹脂の重量平均分子量が前記範囲にあることで、得られる塗膜(インラインシーラー層)の強度が良好となり得る。
前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)中のアクリルシリコーン樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。アクリルシリコーン樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保できる利点がある。
前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)の固形分の含有率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
また、前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記アクリル樹脂水分散体(A1)及び前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)の固形分の合計の含有率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
(エポキシ樹脂水分散体(A3))
エポキシ樹脂水分散体は、エポキシ樹脂を含む水分散体であり、代表的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有する液状又は固形のエポキシ樹脂を、乳化剤を用いて乳化・分散させた分散体であり得る。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型及びこれらの変性物等であり得る。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)の調製に用いられる乳化剤としては、例えば、石鹸、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン系乳化剤、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤を挙げることができる。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)中のエポキシ樹脂のガラス転移温度は、好ましくは10℃以上120℃以下、より好ましくは20℃以上80℃以下である。このような範囲にガラス転移温度を有することにより、塗膜の硬度が向上し、オートクレーブ養生した場合でも、耐ブロッキング性が良好になり得る。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)中のエポキシ樹脂の水酸基価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下である。エポキシ樹脂の水酸基価が前記範囲にあることで、得られる塗膜(インラインシーラー層)の強度が良好である。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)中のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは185~2,000、より好ましくは190~1,500であり得る。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)中のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは370~4,000、より好ましくは400~3,500であり得る。エポキシ樹脂の重量平均分子量が前記範囲にあることで、得られる塗膜(インラインシーラー層)の強度が良好である。
前記エポキシ樹脂水分散体(A3)中のエポキシ樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。エポキシ樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保できる利点がある。
前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記エポキシ樹脂水分散体(A3)の固形分の含有率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
また、前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記アクリル樹脂水分散体(A1)、前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)及びエポキシ樹脂水分散体(A3)の固形分の合計の含有率は、0質量%以上であり、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
(ウレタン樹脂水分散体(A4))
前記ウレタン樹脂水分散体(A4)は、ウレタン樹脂を含む水分散体であり、該ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物;該反応物と、必要に応じて用いる鎖伸長剤及び/又は末端停止剤との反応物;等であり得る。
前記ポリオールは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する化合物を意味する。前記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール;水添ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール;ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA(特に、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル)等の芳香族ポリオール;2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のカルボキシ基を有するポリオール;グリセリン、アンニトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上のポリオール;ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール等の高分子量のポリオール(例えば、重量平均分子量800以上のポリオール)等が挙げられる。前記ポリオールとしては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオールとしてカルボキシ基を有するポリオールを用いる場合、カルボキシ基を中和するための中和塩基を含んでいてもよい。前記中和塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物等が挙げられる。分散安定性の観点から、前記中和塩基とカルボキシ基とのモル比(塩基/カルボキシ基)は、好ましくは0.5以上3.0以下、より好ましくは0.8以上2.0以下である。
前記ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。前記ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。前記ポリイソシアネートとしては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤は、1分子中に、2個以上の活性水素原子を有する化合物を意味し、水又はアミン化合物を用いることができる。前記アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン;トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物:ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノール、3-アミノプロパンジオール等のアルカノールアミン等が挙げられる。前記鎖伸長剤としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記末端停止剤は、1分子中に1個以上の活性水素原子を有する化合物を意味し、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールを用いることができる。前記末端停止剤としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオール、ポリイソシアネート並びに必要に応じて用いる鎖伸長剤及び末端停止剤の反応は、無溶媒下又は反応溶媒下で実施でき、必要に応じて乳化剤を共存させてもよい。該反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル化合物;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム化合物等が挙げられる。得られた反応物と水とを混合し、必要に応じて反応溶媒を除去することで、ウレタン樹脂水分散体(A4)を得ることができる。
一実施態様において、ウレタン樹脂として、エステル系ウレタン樹脂、エーテル系ウレタン樹脂及びカーボネート系ウレタン樹脂を用いることができる。
前記ウレタン樹脂水分散体(A4)中のウレタン樹脂の酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であり得る。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲にあることで、得られる塗膜の耐水性及び耐凍結融解性が良好である。
前記ウレタン樹脂水分散体(A4)中のウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上100,000以下、より好ましくは10,000以上100,000以下、更に好ましくは20,000超100,000以下であり得る。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲にあることで、得られる塗膜の耐水性及び耐凍結融解性が良好である。
前記ウレタン樹脂水分散体(A4)中のウレタン樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。ウレタン樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保できる利点がある。
前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記ウレタン樹脂水分散体(A4)の固形分の含有率は、0質量%以上であり、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
また、前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の合計100質量部中、前記アクリル樹脂水分散体(A1)及び前記アクリルシリコーン樹脂水分散体(A2)の固形分の合計の含有率は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下であり得る。
(フッ素樹脂水分散体)
フッ素樹脂水分散体は、フッ素樹脂を含む水分散体であり、該フッ素樹脂は、代表的には、フルオロオレフィンモノマーを少なくとも含むモノマー混合物を重合することによって、調製できる。前記モノマー混合物の重合は、フルオロオレフィンを少なくとも含むモノマー混合物を一段階で重合することにより実施してもよく、フルオロオレフィンを少なくとも含むモノマー混合物の重合体をシードとして、エチレン性モノマーをシード重合することにより実施してもよい。
前記フルオロオレフィンは、特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VdF)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン等の非パーフルオロオレフィン;が挙げられる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)の具体例として、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)等が挙げられる。
また、フルオロオレフィンとして、官能基含有フルオロオレフィンモノマーも使用できる。官能基含有フルオロオレフィンが有する官能基として、例えば、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基、エポキシ基等が挙げられる。
前記フルオロオレフィンとしては、1種のみを用いてよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
前記モノマー混合物は、その他のエチレン性モノマーを含んでいてもよい。前記エチレン性モノマーとしては、アクリル樹脂水分散体(A1)に用いられるエチレン性モノマーとして例示した化合物を適宜用いることができる。
前記含フッ素重合体粒子の調製に用いられる界面活性剤として、フッ素系界面活性剤及び非フッ素系界面活性剤のいずれも用いることができる。フッ素系界面活性剤として、アニオン性フッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤として、例えば、C-H結合とC-F結合とを有する疎水基と、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの塩等の親水基とを有する部分フッ素化界面活性剤を好適に用いることができる。非フッ素系界面活性剤として、アニオン性非フッ素系界面活性剤が好ましい。非フッ素系界面活性剤として、例えば、不飽和二重結合基を含む疎水基と、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの塩等の親水基とを有する界面活性剤を好適に用いることができる。このような非フッ素系界面活性剤の具体例として、例えば、アクアロンHS-10(第一工業製薬社製)等が挙げられる。また、必要に応じて、当業者において通常用いられる、前記以外の界面活性剤を含んでもよい。
前記含フッ素重合体粒子は、前記界面活性剤の存在下で水性分散重合を行なうことによって調製できる。重合温度は特に制限はなく、重合開始剤の種類に応じて選択できる。重合温度は、好ましくは40~120℃、より好ましくは50~100℃である。重合において、モノマーの供給は連続的であっても逐次的であってもよい。
重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤が好適に用いることができる。水溶性ラジカル重合開始剤の具体例として、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが特に好ましい。
次いで、得られた含フッ素重合体粒子の水性分散液中で、エチレン性不飽和モノマーを、含フッ素重合体粒子にシード重合することによって、フッ素樹脂エマルションを好適に調製できる。シード重合方法として、例えば、含フッ素重合体粒子の水性分散液に、エチレン性不飽和モノマーを加えて、含フッ素重合体粒子(シード粒子)を核としてエチレン性不飽和モノマーを水性分散重合させる方法が挙げられる。エチレン性不飽和モノマーとして、上述のモノマーを用いることができる。
シード重合において、必要に応じて界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤として、上述の界面活性剤を好適に用いることができる。界面活性剤を用いる場合の使用量は、例えば、媒体である水の全量に対して、好ましくは0.01~5質量%である。
前記フッ素樹脂水分散体中のフッ素樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。フッ素樹脂水分散体(A4)の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保できる利点がある。
前記フッ素樹脂水分散体中のフッ素樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~1,000,000であり得る。
フッ素樹脂エマルションとして、市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、ゼッフルSE-310、SE-405、SE-700(ダイキン工業社製)等が挙げられる。
(シリコーン樹脂水分散体)
前記シリコーン樹脂水分散体は、シリコーン樹脂を含む水分散体であり、該シリコーン樹脂は、代表的には、分岐状及び/又は直鎖状のオルガノポリシロキサンを含み得る。
前記分岐状オルガノポリシロキサンは、例えば、下記式で表され得る。
[R11SiO3/2[R12 SiO]
[式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいC1-20有機基又は水酸基を表し、
mは1~1,000の整数、nは0~100の整数を表し、m+nは、1~1,000である。]
前記式中のR11又はR12で表されるC1-20有機基の具体例として、例えば、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C3-20シクロアルキル基、C6-20芳香族炭化水素基等が挙げられる。前記C1-20有機基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基等が挙げられる。
11又はR12としては、それぞれ独立して、水酸基、C1-6アルキル基又はC6-10アリール基が好ましい。
前記分岐状オルガノポリシロキサンとして、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、東レ・ダウコーニング社製の804RESIN、805RESIN、840RESIN、SR-2400;信越化学工業社製のKR-220L、KR-242A、KR-251、KR-225、KR-271、KR-282、X40-2406;旭化成ワッカーシリコーン社製のSILRES K、SILRES KX、SILRES HK46、SILRES REN50、SILRES REN60、SILRES H62C、SILRES MES100等が挙げられる。
前記直鎖状オルガノポリシロキサンは、例えば、下記式で表され得る。
13-[R14 SiO]-R15
[式中、R13は、水酸基、C1-6直鎖状炭化水素基又はC6-10芳香族炭化水素基を表し、
14は、C1-6直鎖状炭化水素基又はC6-10芳香族炭化水素基を表し、
15は、水素原子、C1-6直鎖状炭化水素基又はC6-10芳香族炭化水素基を表し、
xは1~400の整数を表す。)
前記分岐状オルガノポリシロキサンの含有量は、前記分岐状オルガノポリシロキサンと前記直鎖状オルガノポリシロキサンの合計100質量部中、好ましくは20質量部以上100質量部以下、より好ましくは40質量部以上98質量部以下であり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)の水分散体は、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂それぞれの水分散体以外に、その他の樹脂の水分散体を含んでいてもよい。かかる樹脂としては、ポリエステル樹脂の水分散体が挙げられる。
(ポリエステル樹脂水分散体)
前記ポリエステル樹脂水分散体は、ポリエステル樹脂を含む水分散体であり、該ポリエステル樹脂は、代表的には、多価アルコール成分と多塩基酸成分とを重縮合することによって調製できる。
前記多価アルコール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール等のヒドロキシカルボン酸成分を挙げることができる。
前記多塩基酸成分の例としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸及び酸無水物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,4-及び1,3-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸及び無水物;無水マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族多価カルボン酸及び無水物等の多塩基酸成分及びそれらの無水物等を挙げることができる。必要に応じて安息香酸又はt-ブチル安息香酸等の一塩基酸を併用してもよい。
また、反応成分として、更に、1価アルコール、カージュラE(商品名:シエル化学製)等のモノエポキサイド化合物、及びラクトン類(β-プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン等)を併用してもよい。
前記成分に加えてヒマシ油、脱水ヒマシ油等の脂肪酸、及びこれらの脂肪酸のうち1種、又は2種以上の混合物である油成分を、前記酸成分及びアルコール成分に加えてもよい。また、アクリル樹脂、ビニル樹脂等をグラフト化したり、ポリイソシアネート化合物を反応させたりすることも、前記水酸基及びカルボキシ基についての要件を満たしていれば可能である。
このようにして得られるポリエステル樹脂に対して、先に挙げた塩基性化合物で中和し、水性媒体に分散することによって、ポリエステル樹脂水分散体を得ることができる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは10℃以上120℃以下、より好ましくは20℃以上80℃以下である。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が前記範囲にあることにより、塗膜の硬度が向上し、オートクレーブ養生した場合でも耐ブロッキング性が良好になり得る。
前記ポリエステル樹脂の水酸基価は、好ましくは1~100mgKOH/g、より好ましくは2~50mgKOH/g、更に好ましくは3~20mgKOH/gであり得る。ポリエステル樹脂の水酸基価が前記範囲にあることで、耐水性及び耐凍結融解性が良好であり得る。
前記ポリエステル樹脂が水性樹脂(水分散体である場合)、該水分散体中のポリエステル樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。ポリエステル樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保できる利点がある。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000以上500,000以下、より好ましくは3,000以上40,000以下、更に好ましくは5,000以上20,000以下であり得る。
前記ポリエステル樹脂水分散体として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、バイロナールMD-1100、バイロナールMD-1200等のバイロナールシリーズ(東洋紡社製)、プラスコートZ-730、プラスコートZ-760等のプラスコートシリーズ(互応化学工業社製)等を挙げることができる。
前記塗膜形成樹脂(A)は、スチレンに由来する単位を含むことが好ましい。前記塗膜形成樹脂の固形分100質量部中、スチレンに由来する単位の含有率は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは20質量%以上65質量%以下、更に好ましくは30質量%以上60質量%以下であり得る。スチレンに由来する単位の含有率が前記範囲にあることで、得られる塗膜の硬度が向上し、オートクレーブ養生した場合でも、耐ブロッキング性が良好であるとともに、塗膜の耐水性が向上し、耐凍結融解性も良好になり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度は、好ましくは10℃以上120℃以下、更に好ましくは20℃以上80℃以下であり得る。ガラス転移温度が前記範囲にあることで、得られる塗膜の硬度が向上し、オートクレーブ養生した場合でも、耐ブロッキング性が良好になり得る。
前記塗膜形成樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であり得る。塗膜形成樹脂(A)の水酸基価が前記範囲にあることで、得られる塗膜の強度が良好である。
前記塗膜形成樹脂(A)の酸価は、好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり得る。塗膜形成樹脂(A)の酸価が前記範囲にあることで、得られる塗膜の強度が良好である。
前記塗膜形成樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは400以上10,000,000以下、より好ましくは2,000以上5,000,000以下、更に好ましくは20,000超2,000,000以下、一層好ましくは25,000以上1,000,000以下であり得る。塗膜形成樹脂(A)の重量平均分子量が前記範囲にあることで、得られる塗膜の強度が良好である。
前記塗膜形成樹脂(A)が水性樹脂(水分散体)である場合、該水分散体中の塗膜形成樹脂の平均粒子径は、好ましくは70nm以上200nm以下、より好ましくは75nm以上180nm以下、更に好ましくは80nm以上150nm以下であり得る。塗膜形成樹脂の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる塗膜が十分な耐水性を良好に確保でき、耐凍結融解性が良好になる利点がある。
前記塗膜形成樹脂(A)の固形分の含有量は、前記水性塗料組成物の固形分100質量部中、好ましくは30質量%以上97質量%以下、より好ましくは60質量%以上95質量%以下、更に好ましくは70質量%以上93質量%以下であり得る。
(B)ウレア樹脂水分散体
前記ウレア樹脂水分散体は、ウレア樹脂のエマルション又はディスパージョンであり得る。本開示において、ウレア樹脂は、ポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物との反応物を意味し、ウレタン結合の含有量が低減されていることが好ましく、ウレタン結合を含まないことが好ましい。ウレア樹脂水分散体(B)は、塗膜形成樹脂(A)とは異なる。
前記ポリアミン化合物は、2以上のアミノ基を有する化合物であれば特に限定されない。ポリアミン化合物として、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリオキシアルキレン基含有ポリアミン、ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミン等を挙げることができる。
脂肪族アミンとしては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、その他の脂肪族アミン等が挙げられる。
アルキレンポリアミンとしては、例えば、HN-R-NH(式中、Rは、1個以上の炭素数1~10の炭化水素基で置換されていてもよい炭素数1~12の二価の炭化水素基である。)で表されるポリアミン化合物が挙げられる。より具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン等が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、例えば、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2-アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3-ビス(2’-アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン-ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3-アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン等が挙げられる。
脂環式ポリアミンとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’-イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)等を含む脂環式ポリアミンが挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、例えば、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ベンゼン環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物、及びその他の芳香族系ポリアミン化合物等が挙げられる。芳香族ポリアミンは特に限定されるものではないが、より具体的には、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン(MXDA)、p-キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4
’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジアミノビフェニル、2,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ポリアミンは、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリアミン化合物であって、以下に示す「ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミン」に該当しないもの、すなわち芳香族基を有しないもの、をいう。ポリオキシアルキレン基含有ポリアミンが有するポリオキシアルキレン鎖として、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)鎖、ポリ(オキシテトラメチレン)鎖等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ポリアミンとして、例えば、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジアミン等のポリオキシアルキレンジアミン等が挙げられる。これらは、脂肪族ポリアミンにポリオキシアルキレン基が導入された化合物であり、ポリオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミンということもできる。
他のポリオキシアルキレン基含有ポリアミンとして、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを反応させて得られる化合物のヒドロキシ基の2個以上をアミノ基に変換させたポリアミン等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン基含有ポリアミンの分子量は、好ましくは200~2,000、より好ましくは600~1,800である。分子量が前記範囲内であることによって、得られる塗膜の耐水性等の性能を向上させることができる。前記分子量は、ポリアミン化合物の分子式が判明している場合は、分子式に従って計算することにより求めることができる。また前記分子量は、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレンの繰り返し単位数が自然数ではない場合は、数平均分子量であってもよい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による、ポリスチレン換算値として求めることができる。
前記ポリオキシアルキレン基含有ポリアミンとして市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ジェファーミンシリーズ(ハンツマン社製)等のポリオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミン等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミンは、ポリオキシアルキレン鎖及び芳香族基を有するポリアミン化合物である。ポリオキシアルキレン鎖の具体例は前記と同様である。
ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミンは、例えば、ジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はテトラメチレンオキシド等のアルキレンオキシドに、アミノ基含有芳香族化合物を導入したポリアミン等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミンとして、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、エラスマーシリーズ(クミアイ化学協業社製)が挙げられる。
前記ポリアミン化合物として、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記ポリアミン化合物のうち、ポリオキシアルキレン基含有ポリアミン、ポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミン用いるのがより好ましい。前記ポリアミン化合物を用いることで、調製されるウレア樹脂水分散体の水分散安定性が良好になるという利点がある。
前記ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2又はそれ以上有する。前記ポリイソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI等の脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物を不揮発性化し、毒性を低くした形態の化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレット体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体又はアロハネート体等のアダクト体;比較的低分子のウレタンプレポリマー等のポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物は親水性基を有していてもよいお。ポリイソシアネート化合物に導入できる親水性基として、カルボキシ基及びスルホン酸基等のアニオン性基、第三級アミノ基等のカチオン性基及びポリオキシアルキレン基等のノニオン性基が挙げられる。これらの中で、耐水性等の性能を考慮すると、前記親水性基はノニオン性基であることが好ましい。具体的なノニオン性基として、親水性が高いポリオキシエチレン基が好ましい。
水分散性を有するポリイソシアネート化合物として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、アクアネート130、アクアネート140、アクアネート200及びアクアネート210(東ソー社製)、バイヒジュール304、バイヒジュールXP-2655、バイヒジュール401-70、バイヒジュール3100、(住化コベストロウレタン社製)、バーノックDNW-5000、バーノックDNW-5500、バーノックDNW-6000(DIC社製)、レザミンD-1063、レザミンD-2040(大日精化工業社製)等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物として、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリアミン化合物に含まれるアミノ基と、前記ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の当量比(NH/NCO)は、好ましくは0.5以上2.0以下、より好ましくは0.8以上1.2以下である。なお、前記当量比は、いずれも固形分換算したものである。当量比(NH/NCO)が前記範囲内となる量であることによって、ポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物との反応性を良好な範囲で確保できる利点がある。
前記ウレア樹脂水分散体(B)中のウレア樹脂におけるウレア基濃度は、得られるウレア樹脂水分散体(B)の乳化性や分散安定性の観点から、例えば、1質量%以上45質量%以下、好ましくは5質量%以上30質量%、より好ましくは10質量%以上25質量%である。前記ウレア樹脂は、ウレア基濃度が高い。このような特徴を有することによって、前記ウレア樹脂水分散体が水性塗料組成物に含まれる場合において、良好な塗膜物性を有する塗膜を形成できる利点がある。
前記ウレア樹脂水分散体(B)中のウレア樹脂におけるウレタン結合濃度は、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0質量%以上3質量%以下、更に好ましくは0質量%以上1質量%以下であり得る。ウレア結合は、ウレタン結合と比較して凝集力が高いため、前記ウレア樹脂水分散体(B)中のウレア樹脂におけるウレタン結合濃度が前記範囲にあることで、得られる塗膜(インラインシーラー)は柔軟性及び強度(抗張力)に優れ、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好である。
本開示において前記ウレア樹脂におけるウレア基濃度は、ウレア樹脂の製造配合より、計算(ウレア基の合計質量/ウレア樹脂全体固形分質量)で求めることができる。また、前記ウレア樹脂におけるウレタン結合濃度は、ウレア樹脂の製造配合より、計算(ウレタン結合の合計質量/ウレア樹脂全体の固形分質量)で求めることができる。
前記ウレア樹脂水分散体中のウレア樹脂の平均粒子径は、例えば、50nm以上1,500nm以下、好ましくは100nm以上1,000nm以下、より好ましくは100nm以上300nm以下である。ウレア樹脂水分散体の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られる水分散体の分散安定性等が向上し、また、得られる塗膜の塗膜外観や耐凍結融解性を良好にできる等の利点がある。
前記ウレア樹脂水分散体は、下記工程:ポリアミン化合物水分散体を得る、ポリアミン化合物水分散体調製工程、
ポリアミン化合物水分散体と、ポリイソシアネート水分散体とを混合して反応させて、塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体を得る、反応工程
を含む製造方法により製造できる。
ポリアミン化合物水分散体調製工程
ポリアミン化合物水分散体調製工程は、前記ポリアミン化合物を水中に分散させて分散体を得る工程である。塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体の製造において、前記ポリアミン化合物を水中に分散させてポリアミン化合物水分散体を調製し、このポリアミン化合物水分散体とポリイソシアネート水分散体とを反応させることによって、簡便に室温条件下においても、ウレア反応を良好に進行させることができる利点がある。
ポリアミン化合物水分散体調製工程は、前記ポリアミン化合物を水系溶媒中に分散させる。水系溶媒として、水(イオン交換水、純水、上水、工業水等)、及び水と水混和性有機溶媒との混合物等が挙げられる。水混和性有機溶媒として、例えば、酢酸エチル等のエステル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;アセトン等のケトン類;等が挙げられる。
ポリアミン化合物を水系溶媒中に分散させる方法として、前記ポリアミン化合物が親水性基を有する場合は、前記ポリアミン化合物を水中に加えてかくはんすることによって分散させることができる。また、前記ポリアミン化合物の分散において、必要に応じて、界面活性剤、分散樹脂等を併用してもよい。
前記ポリアミン化合物の分散における1態様として、ポリアミン化合物及び界面活性剤を水系溶媒中で混合して、ポリアミン化合物水分散体を調製する態様が挙げられる。
前記界面活性剤は、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含むのが好ましい。そして前記アニオン界面活性剤は、リン酸エステル型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、及び硫酸エステル型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル類、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル類、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
アニオン界面活性剤の1種である、リン酸エステル型界面活性剤は、陰イオン基としてリン酸基を有する界面活性剤である。リン酸エステル型界面活性剤として、例えば、リン酸基を有する界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル等;及びこれらの塩、例えばアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
前記リン酸エステル及びその塩として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ディスパロンPW-36、ディスパロンAQ-330(楠本化成社製)、DISPERBYK-103、DISPERBYK-111、DISPERBYK-145(ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の1種である、カルボン酸型界面活性剤は、陰イオン基としてカルボン酸基を有する界面活性剤である。カルボン酸型界面活性剤として、例えば、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルカプロン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸;クロトン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸;ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸等のテトラ不飽和脂肪酸;ポセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズポンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸等のペンタ不飽和脂肪酸;ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等のヘキサ不飽和脂肪酸;ヒマシ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、糠脂肪酸、コメ油脂肪酸、ダイズ脂肪酸、サフラワー脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等の植物油誘導体及び混合脂肪酸;セバシン酸、アジピン酸、ダイマー酸等のジカルボン酸;安息香酸、サリチル酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;及びこれらの塩、例えば、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
前記カルボン酸型界面活性剤としては、市販品を用いてよく、例えば、キシダ化学社、東京化成工業社、日本精化社等から入手できる。
アニオン界面活性剤の1種である、スルホン酸型界面活性剤は、陰イオン基としてスルホン酸基を有する界面活性剤である。スルホン酸基を有する界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ペルフルオロアルキルオキシベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、N-アシルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、アルキルアミド硫酸等;及びこれらの塩、例えばアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等。
前記スルホン酸基を有する界面活性剤として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ペレックスSS-H、ネオペレックスG-25(花王社製)、リポランPB-800(ライオン社製)、テイカパワーL128(テイカ社製)、ニューコール565SNC、ニューコール707SF(日本乳化剤社製)、アクアロンKH-10(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の1種である、硫酸エステル型界面活性剤は、陰イオン基として硫酸エステル基を有する界面活性剤である。硫酸エステル型界面活性剤として、例えば、脂肪酸硫酸エステル塩、アルキルサルフェート塩、アルキルエーテルサルフェート塩、アマイドエーテルサルフェート塩等が挙げられる。前記硫酸エステル基を有する界面活性剤としては、市販品を用いてもよい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル類、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル類、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ノニオン界面活性剤として市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、Genapolシリーズ、Genagenシリーズ(クラリアントジャパン社製)、ノイゲンシリーズ(第一工業製薬社製)、ニューコールN700シリーズ(日本乳化剤社製)等が挙げられる。
前記界面活性剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。例えば、アニオン界面活性剤のみを用いてもよく、ノニオン界面活性剤のみを用いてもよく、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。
前記分散体調製工程における温度及び分散条件は、当業者において通常行われる範囲で適宜選択できる。
前記調製工程で調製されるポリアミン化合物水分散体は、水分散体の平均粒子径が100~1,000nmの範囲内であるのが好ましく、100~300nmの範囲内であるのがより好ましい。調製されるポリアミン化合物水分散体の平均粒子径が前記範囲内であることによって、得られるウレア樹脂水分散体の分散安定性等が向上する利点がある。
本開示において、水分散体の平均粒子径は、動的光散乱法によって決定される平均粒子径を意味し、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELSZシリーズ(大塚電子社製)等を使用して測定できる。
ポリアミン化合物水分散体調製工程において、ポリアミン化合物水分散体中に含まれるポリアミン化合物の含有量は、ポリアミン化合物の構造及び分子量等に応じて適宜選択できる。例えば、ポリアミン化合物水分散体中に含まれるポリアミン化合物の含有量は、ポリアミン化合物水分散体100質量部に対して30~70質量部の範囲内であるのが好ましく、40~60質量部の範囲内であるのがより好ましい。ポリアミン化合物の含有量が前記範囲内にあることによって、ウレア水分散体を効率よく製造でき、かつ得られる塗膜の耐水性等が向上するという利点がある。
前記分散体調製工程において、界面活性剤を用いる場合における界面活性剤の含有量は、ポリアミン化合物100質量部に対して0.01~20質量部の範囲内であるのが好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲内であることによって、得られるウレア水分散体の水分散性及び得られる塗膜の耐水性等が良好になるという利点がある。
反応工程
反応工程は、前記より得られたポリアミン化合物水分散体と、ポリイソシアネート水分散体とを混合して反応させる工程である。この反応によって、塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体を得ることができる。
ポリイソシアネート水分散体は、水分散性を有するポリイソシアネート化合物を水系溶媒中に分散させることによって調製できる。水分散性を有するポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2又はそれ以上有するポリイソシアネート化合物に親水性基を導入したもの、及び、ポリイソシアネート化合物及び界面活性剤を混合乳化させて、いわゆる自己乳化させたもの等を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物と界面活性剤とを混合し乳化させた、自己乳化ポリイソシアネート化合物の調製に好適に用いられる界面活性剤として、例えば、カルボキシ基及びスルホン酸基等のアニオン性基を有するアニオン界面活性剤、第三級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン界面活性剤、及びポリオキシアルキレン基等のノニオン性基を有するノニオン界面活性剤が挙げられる。これらの中で、耐水性を考慮すると、ノニオン界面活性剤を用いるのがより好ましい。
また、前記反応工程における温度及び反応条件は、当業者において通常行われる範囲で適宜選択できる。
前記ウレア樹脂水分散体における有機溶媒含有量は、ウレア樹脂水分散体中に含まれるウレア樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは1~10質量部である。有機溶媒含有量が前記範囲内であることによって、分散安定性の良好な水分散体が得られるという利点がある。前記ウレア樹脂水分散体に含まれ得る有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン等のケトン類;等が挙げられる。
前記製造方法によって、塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体を、より簡便な手順で製造できる。より具体的には、塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体の製造において、ポリアミン化合物及びポリイソシアネート水分散体を必須成分とする、より簡便な構成成分により、ウレア樹脂水分散体を製造できる。そして前記塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体の製造においては、ポリアミン化合物を水中に分散させてポリアミン化合物水分散体を調製し、そしてこのポリアミン化合物水分散体とポリイソシアネート水分散体とを反応させることによって、簡便にそして穏やかな反応条件下において、ウレア反応を良好に進行させることができる利点がある。
前記反応においては、ポリアミン化合物を水中に分散させてポリアミン化合物水分散体を調製し、そしてこのポリアミン化合物水分散体とポリイソシアネート水分散体とを反応させる。このため、反応速度制御を目的として、ポリアミン化合物及びポリイソシアネート成分それぞれにおいて、多量の有機溶媒等を用いて希釈する必要はない。そして前記製造方法は、反応制御を目的とした、多量の希釈用有機溶媒の添加を必要としないことから、希釈用有機溶媒の脱溶媒工程もまた必要としない。これにより、ウレア樹脂水分散体の製造において、脱溶媒工程等の製造工程の工数を減らすことができる利点がある。希釈用有機溶媒の脱溶媒工程を必要としないことは更に、得られたウレア樹脂水分散体の黄変等の性状変化を低減できる利点もある。
このような塗料組成物調製用ウレア樹脂水分散体を水性塗料組成物中に含めることによって、得られる塗膜の耐アルカリ加水分解性及び耐酸性を向上させることができる利点がある。
前記製造方法は更に、ポリアミン化合物水分散体とポリイソシアネート水分散体とを反応させることによってウレア反応を制御するため、例えば、ウレタン樹脂水分散体の製造時におけるように、予めプレポリマーを調製して分子量を高めることによりイソシアネート基の反応を制御する等の必要はない。前記製造方法においては前記工程を有することから、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物の選択自由度が高いという利点がある。
前記ウレア樹脂水分散体の固形分の含有量は、前記塗膜形成樹脂(A)の固形分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上70質量部以下、より好ましくは3質量部以上50質量部以下、更に好ましくは4質量部以上30質量部以下であり得る。
(C)分散樹脂
前記分散樹脂(C)は、分散作用を示し得る。前記分散樹脂(C)は、親水性基を有することが好ましい。前記親水性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基等の酸基;アミノ基等の塩基性基;酸基のアミン塩基等が挙げられる。本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、前記分散樹脂(C)が親水性基を有することで、前記ウレア樹脂のウレア結合と親水性基とが水素結合的に相互作用し得、ウレア樹脂の分散安定性の向上が期待でき、また、分散樹脂(C)の親水性基間の静電反発により、組成物全体の分散安定性向上が期待できるため、水性塗料組成物の貯蔵安定性が向上し得ると考えられる。ただし、前記分散樹脂(C)は、前記塗膜形成樹脂(A)とは異なる。
前記分散樹脂(C)の酸価は、好ましくは、10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以上240mgKOH/g以下、更に好ましくは70mgKOH/g以上230mgKOH/g以下であり得る。分散樹脂(C)の酸価が前記範囲にあることで、酸基の間で静電的相互作用が生じやすくなり、組成物全体の分散安定性が向上しやすくなると考えられる。
前記分散樹脂(C)のアミン価は、好ましくは0mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、一態様において、より好ましくは0mgKOH/g、別の態様において、より好ましくは30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり得る。前記分散樹脂(C)のアミン価が大きいほど、ウレア樹脂のウレア結合との間で水素結合的な相互作用が生じやすくなり、ウレア樹脂の分散安定性が向上し得ると考えられる。また、前記分散樹脂(C)のアミン価が小さいと、前記酸基による組成物全体の分散安定性向上効果がより発揮されやすくなると考えられる。なお、本開示において、アミン価は、固形分換算での値を示し、JIS K 7237に準拠した方法により測定された値である。
前記分散樹脂(C)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下であり、好ましくは3,000以上19,000以下、より好ましくは3,000以上18,000以下であり得る。前記分散樹脂(C)の重量平均分子量が前記範囲にあることで、水性塗料組成物の貯蔵安定性が良好になり得る。
前記分散樹脂(C)は、酸価が10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である分散樹脂(C1)及び、酸価が150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である分散樹脂(C2)から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。前記分散樹脂(C1)を含むことで、分散樹脂(C1)とウレア樹脂とが相互作用して、ウレア樹脂が安定化され得、分散樹脂(C1)が有する酸基により、組成物全体の貯蔵安定性が向上し得ると考えられる。また、前記分散樹脂(C2)を含むことで、組成物中に含まれる塗膜形成樹脂(A)やウレア樹脂水分散体(B)の存在に関わらず静電的相互作用が生じやすくなり、組成物全体の貯蔵安定性が向上しやすくなると考えられる。
前記分散樹脂(C1)の酸価は、好ましくは50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以上120mgKOH/以下、より好ましくは65mgKOH/g以上115mgKOH/g以下であり得る。
前記分散樹脂(C1)のアミン価は、好ましくは65mgKOH/g以上130mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以上125mgKOH/g以下であり得る。
前記分散樹脂(C1)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下であり、好ましくは3,000以上15,000以下、より好ましくは3,000以上10,000以下であり得る。
前記分散樹脂(C1)の固形分の含有量は、前記ウレア樹脂水分散体(B)の固形分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上4質量部以下、より好ましくは0.6質量部以上3質量部以下であり得る。
前記分散樹脂(C2)の酸価は、好ましくは150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、より好ましくは160mgKOH/g以上240mgKOH/g以下であり得る。
前記分散樹脂(C2)のアミン価は、好ましくは0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下、より好ましくは0mgKOH/g以上1mgKOH/g以下であり得る。
前記分散樹脂(C2)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下であり、好ましくは3,000以上18,000以下、より好ましくは5,000以上16,000以下であり得る。
前記分散樹脂(C2)の固形分の含有量は、前記ウレア樹脂水分散体(B)の固形分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上5質量部以下、より好ましくは1.2質量部以上4.5質量部以下であり得る。
前記分散樹脂(C2)の固形分の含有量は、前記分散樹脂(C1)の固形分の含有量1質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上8質量部以下であり得る。
前記分散樹脂(C)は、好ましくは、アクリル樹脂を含む。前記分散樹脂(C)は、例えば、前記エチレン性モノマーを含むモノマー混合物を、無溶媒又は適当な有機溶媒の存在下において重合反応を行い、水中に滴下、混合し、必要に応じて過剰な溶媒を除去することによって調製できる。前記エチレン性モノマーとしては、アクリル樹脂水分散体(A)の製造に用いられるエチレン性モノマーと同様の化合物が挙げられる。
重合反応において、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤として例えば、ラジカル重合開始剤として当技術分野において用いられる開始剤を使用できる。重合開始剤の具体例として、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシド及びクメンハイドロパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスシアノ吉草酸及びアゾイソブチロニトリル等の有機アゾ化合物等が挙げられる。
重合反応は、例えば、80~140℃の温度で行うことができる。重合反応時間は、重合温度及び反応スケールに応じて適宜選択することができ、例えば、1~8時間で行うことができる。重合反応は、当業者に通常行われる操作で行うことができる。例えば、加熱した有機溶媒中に、エチレン性モノマーを含むモノマー混合物及び重合開始剤を滴下することにより重合を行うことができる。重合に用いることができる有機溶媒は、特に限定されないが、沸点が60~250℃程度のものが好ましい。好適に用いることができる有機溶媒として、例えば、酢酸ブチル、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルエーテルアセテートのような非水溶性有機溶媒;及びテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、2-ブタノール、t-ブチルアルコール、ジオキサン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2-メトキシプロパノール、2-ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、N-メチルピロリドン、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのような水溶性有機溶媒が挙げられる。
重合により得られたアクリル樹脂に中和剤を加えて、アクリル樹脂に含まれる酸基の少なくとも一部を中和してもよい。この工程により、アクリル樹脂に対して水分散性を良好に付与できる。中和剤は水分散性樹脂組成物を調製する際にその中に含まれる酸基を中和するために一般的に用いられているものであれば特に限定されない。例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンのような有機アミン及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムのような無機塩基類が挙げられる。これら中和剤は単独で使用してもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。
必要に応じて中和したアクリル樹脂に対して水を混合するか、又は水中にアクリル樹脂を混合することにより、アクリル樹脂水分散体を調製できる。アクリル樹脂水分散体の調製において、必要に応じて、中和剤の添加前又は水分散後に、過剰な有機溶媒を除去してもよい。
前記分散樹脂(C)としては、市販品を用いてもよい。前記分散樹脂(C)の具体例としては、ノプコスパース6100(サンノプコ社製)、ジョンクリルHPD96J(BASF社製)等が挙げられる。
前記分散樹脂(C)の含有量は、ウレア樹脂水分散体(B)の固形分100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上8質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以上5質量部以下であり得る。
前記水性塗料組成物は、必要に応じて硬化剤を含んでいてもよい。前記硬化剤としては、塗膜形成樹脂(A)に含まれ得るカルボキシ基、水酸基、エポキシ基又はイソシアネート基等と反応し得る基を1分子中に2個以上有する化合物が挙げられる。前記硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物及びフェノール樹脂が挙げられる。
前記水性塗料組成物は、水性媒体を含む。前記水性媒体としては、水、親水性溶媒及び水と親水性溶媒との混合物が挙げられる。
前記親水性溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;並びに、N-メチル-2-ピロリドン等を挙げることができる。
前記水性塗料組成物は、前記成分に加えて、他の成分を必要に応じて含んでもよい。他の成分としては、例えば、顔料(体質顔料、有機又は無機着色顔料)、樹脂粒子、硬化触媒、粘性剤、造膜助剤、そして塗料組成物において通常用いられる添加剤(例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、ピンホール防止剤、防錆剤等)等が挙げられる。これらの成分は、本開示の塗料組成物が有する諸物性を損なわない態様で適宜添加できる。
前記顔料としては、例えば、体質顔料、無機着色顔料、有機着色顔料等が挙げられる。顔料質量濃度は、好ましくは0質量%以上60質量%以下であり、一態様において、好ましくは0質量%以上10質量%以下、より好ましくは0質量%以上5質量%以下であり得、別の態様において、好ましくは5質量%超60質量%以下、より好ましくは10質量%超50質量%以下、更に好ましくは20質量%以上40質量%以下であり得る。なお、本開示において、顔料質量濃度は、水性塗料組成物に含まれる固形分の全量100質量中の、顔料の質量基準の含有率を意味する。
前記体質顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、マイカ、ガラス繊維等を挙げることができる。このうち酸化チタン、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、タルク、クレーを含むことが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一実施態様において、体質顔料の顔料質量濃度(PWC)は、好ましくは0質量%以上60質量%以下、より好ましくは0質量%以上40質量%以下である。体質顔料の量がこのような範囲内であることにより、得られる塗膜の耐水性が向上するという利点がある。
前記着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、コールダスト等の着色無機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、ペリレン、アンスラピリミジン、カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、アゾオレンジ、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、アゾイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、ペリレンレッド、アゾレッド、アントラキノンレッド等の着色有機顔料等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水性塗料組成物の固形分濃度は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは20質量%以上60質量%以下、更に好ましくは30質量%以上50質量%以下であり得る。
(塗料組成物の調製方法)
水性塗料組成物は、前記塗膜形成樹脂(A)、ウレア樹脂水分散体(B)及び分散樹脂(C)及び必要に応じて用いる他の成分を、当業者に知られた方法によって混合することによって調製できる。塗料組成物の調製方法は、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ニーダー又はロール等を用いた混練混合手段、又は、サンドグラインドミル又はディスパー等を用いた分散混合手段等の、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。
前記水性塗料組成物は、主剤及び硬化剤から構成される2液型塗料組成物であってもよく、1液型塗料組成物であってもよい。前記水性塗料組成物の製造方法として、例えば、下記態様が挙げられる。
(態様1)
前記塗膜形成樹脂(A)、前記ウレア樹脂水分散体(B)及び前記分散樹脂(C)を混合して、水性塗料組成物を得ることを含む、製造方法。
(態様2)
前記塗膜形成樹脂(A)、前記ウレア樹脂水分散体(B)及び前記分散樹脂(C)を混合して水性主剤(I)を調製し、一方で、硬化剤を含む水性硬化剤(II)を調製することにより、水性塗料組成物を得ることを含む、製造方法。
(態様3)
前記塗膜形成樹脂(A)、前記ウレア樹脂水分散体(B)、分散樹脂(C)及び硬化剤を混合して、水性塗料組成物を調製する、塗料製造工程、を包含する、製造方法。
前記水性塗料組成物は、各種被塗物に塗装できる。被塗物として、例えば、住宅又はビル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根に用いられる建材が好ましい。すなわち、前記水性塗料組成物は、建材塗装用水性塗料組成物、又は建築物塗装用水性塗料組成物として用いることができる。前記水性塗料組成物は、例えば、インラインシーラー用塗料組成物として用いることができ、建材塗装用水性クリヤー塗料組成物、又は建築物塗装用水性クリヤー塗料組成物として用いてもよい。
前記水性塗料組成物の被塗物として好適な建材としては、例えば、無機材料建材が挙げられる。
前記無機材料建材としては、例えば、JIS A 5422、JIS A 5430等に記載された窯業建材、ガラス基材等を挙げることができ、例えば、珪カル板、パルプセメント板、スラグ石膏板、炭酸マグネシウム板、石綿パーライト板、木片セメント板、硬質木質セメント板、コンクリート板、軽量気泡コンクリート板等を挙げることができる。
前記水性塗料組成物の被塗物としては、無機材料建材が好ましいが、これに限定されず、木質建材、金属建材、プラスチック建材等の被塗物に塗装してもよい。前記木質建材としては、例えば、製材、集成材、合板、パーティクルボード、ファイバーボード、改良木材、薬剤処理木材、床板等が挙げられ、前記金属建材としては、例えば、アルミニウム板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板、ブリキ板等が挙げられ、前記プラスチック建材としては、例えば、アクリル板、ポリ塩化ビニル板、ポリカーボネート板、ABS板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリオレフィン板等が挙げられる。
前記水性塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法等を挙げることができる。これらは建材の種類等に応じて適宜選択できる。水性塗料組成物は、乾燥膜厚として3~30μmとなるように塗装することが好ましく、5~20μmとなるように塗装するのがより好ましい。
前記水性塗料組成物を塗装した後、必要に応じて乾燥工程を行ってもよい。乾燥条件は、被塗物の形状及び大きさ等によって適宜選択できる。乾燥温度は、例えば50~130℃であってよく、乾燥時間は、1~60分であってよい。
好ましい態様において、本開示は、無機基材の少なくとも一方の面に前記水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、及び、前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、を含む塗膜の製造方法を含む。
好ましい態様において、本開示は、無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面に配置された塗膜とを有する窯業建材の製造方法を含み、該製造方法は、
無機材料を板状に成形し、一次養生して無機基材を得ること、
前記無機基材の少なくとも一方の面に、前記水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、
前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、
前記無機基材及び塗膜をオートクレーブ養生することにより、窯業建材を得ること、を含む。
前記無機材料は、例えば、セメント原料、ガラス、石灰石、ケイ砂及び繊維材料等を含み得る。前記セメント原料ととしては、ポルトランドセメント、混合セメントが挙げられる。前記繊維材料としては、木繊維が挙げられる。前記無機材料と必要に応じて用いる水とを混合して、板状に成形し、一次養生することで、一定の形状を有する無機基材を得ることができる。
前記一次養生は、例えば、常圧下、50~90℃の温度で、4~12時間保持することにより実施され得る。一次養生により、前記セメント原料の水和及び硬化が進行し得る。
次に、前記無機基材の少なくとも一方の面に前記水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得る。前記無機基材の面は、無機基材の表(おもて)の面に限定されず、無機基材が空気と接する面を含む。
前記水性塗料組成物の塗装は、乾燥塗膜の膜厚が、好ましくは3~30μm、より好ましくは5~20μmとなるように実施され得る。塗装方法としては、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法等が挙げられる。
前記塗膜は、前記塗装膜から、水分等の分散媒が除去され乾燥された膜を意味する。前記塗装膜を乾燥する際、乾燥温度は、例えば50~130℃であってよく、乾燥時間は、1~60分であってよい。
次に、前記無機基材及び塗膜をオートクレーブ養生することにより、窯業建材を得る。前記オートクレーブの際、塗膜は変化しないが、無機基材に含まれ得るセメント原料やガラス、石灰石、ケイ砂等の化合が進行し得、無機基材の強度が高められ得る。
前記オートクレーブ養生は、例えば、6~10kgf/cm(好ましくは8~9kgf/cm)の圧力下、150~190℃(好ましくは160~170℃)の温度で、6~10時間(好ましくは4~8時間)保持することにより実施され得る。オートクレーブ養生の際、水蒸気を共存させることが好ましい。
前記製造方法では、無機基材の少なくとも一方の面上に水性塗料組成物を塗装しているが、これに限定されず、無機基材の2つの面上に水性塗料組成物を塗装してもよい。また、前記無機基材の端面(側面又は木口ともいう)に水性塗料組成物を塗装してもよい。
本開示の技術的範囲には、無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面の上に配置されたインラインシーラー層とを有する窯業建材であって、前記インラインシーラー層が、前記水性塗料組成物から形成された、窯業建材も含まれる。
前記無機基材は、少なくとも2つの面を有する。前記無機基材の面は、前記無機基材の表(おもて)面に限定されず、前記無機基材と空気とが接する面を包含する。また、前記インラインシーラー層は、前記無機基材の表面に接していることが好ましい。
前記インラインシーラー層の厚さは、好ましくは3~30μm、より好ましくは5~20μmであり得る。
前記窯業建材では、無機基材の少なくとも一方の面上にインラインシーラー層が配置されているが、これに限定されず、無機基材の2つの面上にインラインシーラー層が配置されていてもよい。また、前記無機基材の端面(側面又は木口ともいう)にインラインシーラー層が配置されていてもよい。
前記窯業建材は、前記窯業建材の製造方法により製造され得るが、前記製造方法により製造されたものに限定されない。また、前記窯業建材の製造方法は、前記窯業建材を提供するものに限定されない。
本開示の水性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好な塗膜を実現可能であり、住宅又はビル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根に用いられる建材に用いられ得、特に、窯業建材におけるインラインシーラー層用に好ましく用いられる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(製造例A1-1)
アクリル樹脂水分散体(A1-1)の調製方法
ステンレス容器に、メタクリル酸メチル308質量部、スチレン160質量部、アクリル酸ブチル316質量部、アクリル酸16質量部をかくはん混合後、乳化剤としてスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(ラテムルS-180A、花王社製)20質量部と水480質量部を添加し、ホモミキサーを用いて、室温で15分かくはんし、反応前乳化混合物を得た。
かくはん機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応容器に、水480質量部を入れ、反応容器中の温度を80℃に上げてから、前記反応前乳化混合物736質量部と、反応開始剤として過硫酸アンモニウムの12質量%水溶液44質量部を別々の滴下ロートから、同時に2時間かけて滴下した。滴下が終了してから反応容器中の温度を80℃で1時間維持した後、30℃まで冷却し、アクリル樹脂水分散体(A1-1)948質量部(固形分濃度:45.0質量%、粒子径:130nm)を得た。
(製造例A1-2)
アクリル樹脂水分散体(A1-2)の調製方法
ステンレス容器に、メタクリル酸メチル204質量部、スチレン160質量部、アクリル酸ブチル420質量部、アクリル酸16質量部をかくはん混合後、乳化剤としてスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(ラテムルS-180A、花王社製)20質量部と水480質量部を添加し、ホモミキサーを用いて、室温で15分かくはんし、第1反応前乳化混合物を得た。
かくはん機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を取り付けた反応容器に、水480質量部を入れ、反応容器中の温度を80℃に上げてから、前記第1反応前乳化混合物734.4質量部と、反応開始剤として過硫酸アンモニウムの12質量%水溶液44質量部を別々の滴下ロートから、同時に2時間かけて滴下した。滴下が終了してから反応容器中の温度を80℃で30分間維持し、アクリル樹脂水分散体(a1-2)を得た。
別容器にて、メタクリル酸メチル400質量部、アクリル酸ブチル224質量部、スチレン160質量部及びアクリル酸16質量部をかくはん混合後、乳化剤としてスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩(ラテムルS-180A、花王社製)20質量部と水480質量部を添加し、ホモミキサーを用いて、室温で15分かくはんし、第2反応前乳化混合物を得た。
先に得られたアクリル樹脂水分散体(a1-2)を含む容器に、前記第2反応前乳化混合物734.4質量部と反応開始剤として過硫酸アンモニウムの12質量%水溶液44質量部を別々の滴下ロートから、同時に2時間かけて滴下した。滴下が終了してから反応容器中の温度を80℃で1時間維持した後、30℃まで冷却し、コアシェル型アクリル樹脂水分散体(A1-2)1,600質量部(固形分濃度:45.0質量%、粒子径:130nm)を得た。
(製造例A1-3)~(製造例A1-15)
アクリル樹脂水分散体(A1-3)~(A1-15)の調製方法
モノマー種及び量を表1のとおり変更した以外は、製造例(A1-1)と同様にして、塗膜形成樹脂(A1-12)を調製した。また、モノマー種及び量を表1のとおり変更した以外は、製造例(A1-2)と同様にして、塗膜形成樹脂(A1-3)~(A1-11)、(A1-13)~(A1-15)及び(A2-1)を調製した。各塗膜形成樹脂における水酸基価等の特数値を表1に示す。
(製造例B-1)
製造例2-11 ポリイソシアネート水分散体の調製方法
イソシアネート化合物としてバイヒジュール401-70(住化コベストロウレタン社製、ノニオン変性親水性ポリイソシアネート(IPDI);固形分濃度:70質量%)100質量部、イオン交換水40質量部をディスパーにより混合、かくはんし、ポリイソシアネート水分散体を得た。得られたポリイソシアネート水分散体の不揮発分は50質量%であり、平均粒子径は180nmであった。なお、平均粒子径は、電気泳動光散乱光度計ELS-800(大塚電子社製)を用いて測定した。
製造例2-21 ポリアミン化合物水分散体(1)の調製方法
ポリアミン化合物としてエラスマー650 100質量部、有機溶媒として1-ブトキシ-2-プロパノール(ダワノールPnB、安藤パラケミー社製)6質量部、アニオン界面活性剤としてラテムルPD-104(花王社製、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム;固形分濃度:20質量%)5質量部、ノニオン界面活性剤としてニューコールN723(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル;固形分濃度:60質量%)10質量部をディスパーにより混合、均一になるまでかくはんし、イオン交換水を53質量部添加した。粘度上昇を確認した後、5分間かくはんを維持した。続いてイオン交換水を27質量部添加し、粘度低下を確認し、ポリアミン化合物水分散体(1)を得た。得られたポリアミン化合物水分散体(1)の固形分濃度は52質量%であり、平均粒子径は1,000nmであった。
製造例2-31 ウレア樹脂水分散体(B-1)の調製方法
製造例2-21で得られたポリアミン化合物水分散体(1)100質量部、製造例1で得られたポリイソシアネート水分散体(1)100質量部、イオン交換水5質量部をディスパーにより混合、かくはんし、ウレア樹脂水分散体(B-1)を得た。得られたウレア樹脂水分散体(1)の固形分濃度は50質量%であり、平均粒子径は200nmであった。また、得られたウレア樹脂水分散体(B-1)中のウレア樹脂におけるウレア基濃度は10質量%であった。
(製造例B-2)~(製造例B-7)
製造例2-22~2-25 ポリアミン化合物水分散体(2)~(5)の調製方法
各成分の種類及び量を、表2に記載したように変更した以外は、製造例2-21と同様にして、ポリアミン化合物水分散体(2)~(5)を調製した。各水分散体における組成、諸特数値を表2に示す。また、表中に記載の成分は下記のとおりである。
エラスマー650:クミアイ化学工業社製、ポリオキシアルキレン基含有芳香族アミン;分子量:900、有効成分濃度:100質量%
ジェファーミンD2000:ハンツマン社製、ポリオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミン;分子量:2,000、有効成分濃度:100質量%
ジェファーミンD230:ハンツマン社製、ポリオキシアルキレン基含有脂肪族ポリアミン;分子量:230、有効成分濃度:100質量%
製造例2-32~2-37 ウレア樹脂水分散体(B-2)~(B-7)の調製方法
各成分の種類及び量を、表3に記載したように変更した以外は、製造例2-31と同様にして、ウレア樹脂水分散体(B-2)~(B-7)を調製した。各水分散体における組成、諸特数値を表3に示す。
塗料組成物の調製に用いた各成分は、以下のとおりである。
塗膜形成樹脂(A):
塗膜形成樹脂(A3-1):タケラックWS-5000(ウレタン樹脂水分散体、三井化学社製)、Tg:65℃、固形分濃度:30質量%
塗膜形成樹脂(A4-1):リカボンドEX-8(エポキシ樹脂分散体:ジャパンコーティングレジン社製)、固形分濃度:100質量%、エポキシ当量:5.7eq/g
塗膜形成樹脂(A5-1):タフチックF-167(ポリメタクリル酸メチル系重合物の水分散体;日本エクスラン工業社製)、平均粒子径:0.3μm、固形分濃度:27質量%
塗膜形成樹脂(A5-2):タフチックF-200(ポリメタクリル酸メチル系重合物の水分散体:日本エクスラン工業社製)、平均粒子径:3.0μm、固形分濃度:30質量%
分散樹脂(C):
分散樹脂(C1-1):ノプコスパース6100(アクリル樹脂:サンノプコ社製)、酸価:95mgKOH/g、アミン価:80mgKOH/g、重量平均分子量:10,000、固形分濃度:70質量%
分散樹脂(C1-2):BYK2010(アクリル樹脂:BYK社製)、酸価:50mgKOH/g、アミン価:50mgKOH/g、重量平均分子量:10,000、固形分濃度:40質量%
分散樹脂(C1-3):EFKA4550(アクリル樹脂:BASF社製)、酸価:13mgKOH/g、アミン価:50mgKOH/g、重量平均分子量:17,000、固形分濃度:50質量%
分散樹脂(C2-1):ジョンクリルHPD96J(アクリル樹脂:BASF社製)、酸価:220mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:16,000、固形分濃度:34質量%
分散樹脂(C2-2):ディスパテックスSMAN(スチレンマレイン酸共重合体ナトリウム塩:日華化学社製)、酸価:185mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:7,000、固形分濃度:30質量%
分散樹脂(C2-3):BYK-194N(ポリマー系:BYK社製)、酸価:75mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:10,000、固形分濃度:57質量%
分散剤(c):
分散剤(c-1):BYK-2015(アクリル樹脂:BYK社製)、酸価:10mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:25,000、固形分濃度:40質量%
分散剤(c-2):ニューコール509(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:日本乳化剤社製)、酸価:0mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:2,200、固形分濃度:65質量%
分散剤(c-3):ヨネリン(メタリン酸ナトリウム:米山化学社製)、酸価:650mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g、重量平均分子量:500、固形分濃度:100質量%
その他の材料:
(X1)顔料:重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)
(X2)消泡剤:SNデフォーマー777(鉱物油系消泡剤、サンノプコ社製)、固形分濃度:98質量%
(X3)造膜助剤:CS-12(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、JNC社製)
(X4)増粘剤:アデカノールUH540(ウレタン会合系増粘剤、アデカ社製)、固形分濃度:30質量%
(X5)pH調整剤:25%アンモニア水(三菱ケミカル社製)
(実施例1)
水性塗料組成物1の調製
アクリル樹脂水分散体(A1-1)(固形分濃度:45.0質量%)86.61質量部(固形分39.9質量部)、ウレア樹脂水分散体(B-1)5.00質量部、分散樹脂(C1-1)0.04質量部、分散樹脂(C2-1)0.08質量部、造膜助剤としてCS-12 3.7質量部、消泡剤としてSNデフォーマー777 0.32質量部、pH調整剤として25%アンモニア水 0.16質量部及び水道水3.57質量部を加え、次に、増粘剤としてアデカノールUH540 0.5質量部を加え、ディスパーでかくはん、混合し、水性塗料組成物1を得た。
得られた水性塗料組成物の粘度を、ストーマー粘度計KU-2(BROOKFIELD社製)を用いて、25℃で測定したところ、62KUであった。なお、配合量は、揮発分も含めた有り姿の量(質量部)を意味する。
(実施例2~41、比較例1~8)
水性塗料組成物2~41、比較水性塗料組成物1~8の調製
各成分の種類及び量を、表4~7に記載のように変更したこと以外は、実施例1の水性塗料組成物1の調製方法と同様にして、塗料組成物を調製した。実施例41において、顔料(X1)は、塗膜形成樹脂(A)と同じタイミングで加えた。
試験板の作製
サイディングボード(150×150×16mm、ニチハ社製)の表面に、実施例及び比較例で得られた水性塗料組成物を、乾燥膜厚が10μmとなるようにスプレー塗装し、ジェット乾燥器(風速:10m/s)にて150℃で1分間乾燥させて試験板を得た。
(3)評価項目
1)貯蔵安定性
実施例及び比較例で得られた塗料組成物に水道水を添加し、粘度を、NK2カップ(アネスト岩田社製)で30秒となるよう調整した(初期粘度(秒))。
前記初期粘度に調整した塗料組成物を、50℃の恒温室に7日間静置した。静置後の塗料組成物の粘度を、前記と同様に測定した(経時粘度(秒))。塗料温度は、いずれも25℃とした。
初期粘度に対する経時粘度の変化率を下記式により算出し、貯蔵安定性を下記基準により評価した。△以上を合格とした。
粘度変化率(%)=経時粘度(秒)/初期粘度(秒)×100
○:粘度変化率が3%以下である。
○△:粘度変化率が3%を超え5%以下である。
△:粘度変化率が5%を超え10%以下である。
×:粘度変化率が10%を超える。
3)耐ブロッキング性
実施例及び比較例で得られた試験板を、ブロッキング試験機(加美機工社製)を用いて、以下の手順により、耐ブロッキング性の評価を行なった。
試験板2枚の塗装面を重ねて設置し、板温50℃、積載荷重3kg/cmで10分間試験を行い、試験板を引き離したときの塗膜の外観を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○:塗膜面に変化が無い。
○△:塗膜の一部にわずかに損傷が認められる。
△:塗膜の一部に損傷が認められる。
×:塗膜の全面に損傷が認められる。
4)耐凍結融解性
実施例及び比較例で得られた試験板を、JIS A 1435に規定される耐凍害性試験(気中凍結水中融解法:気中凍結(-20℃)2時間、水中融解(10℃)1時間を1サイクル)を行い、200サイクル後の塗膜外観を観察し評価した。評価基準は以下のとおりとした。
○:ルーペ(15倍)の観察でも塗膜面に変化が無い。
○△:ルーペ(15倍)の観察で塗膜にわずかにクラックが認められる。
△:ルーペ(15倍)の観察で塗膜にクラックが認められる。
×:目視の観察で塗膜にクラックが認められる。
実施例1~41は、本開示の実施例であり、水性塗料組成物の貯蔵安定性が良好であって、得られた塗膜は、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好であった。
比較例1は、ウレア樹脂水分散体(B)及び分散樹脂(C)を含まない例であり、得られた塗膜の耐ブロッキング性が十分に満足できるものではなかった。
比較例2及び3は、ウレア樹脂水分散体(B)をアクリル樹脂粒子に変更した例であり、得られた塗膜の耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が十分に満足できるものではなかった。
比較例4は、ウレア樹脂水分散体(B)をウレタン樹脂水分散体に変更した例であり、得られた塗膜の耐ブロッキング性が十分に満足できるものではなかった。
比較例5は、分散樹脂(C)を含まない例であり、貯蔵安定性が十分に満足できるものではなかった。
比較例6~8は、特定の分散樹脂(C)を含まない例であり、貯蔵安定性が十分に満足できるものではなかった。
本開示の水性塗料組成物は、貯蔵安定性が良好であって、耐ブロッキング性及び耐凍結融解性が良好な塗膜を実現可能であり、住宅又はビル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根に用いられる建材に用いられ得、特に、窯業建材におけるインラインシーラー層用に好ましく用いられる。

Claims (16)

  1. 塗膜形成樹脂(A)と、
    ウレア樹脂水分散体(B)と、
    分散樹脂(C)と、を含み、
    前記塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度は、5℃以上70℃以下であり、
    前記塗膜形成樹脂(A)の平均粒子径は、70nm以上200nm以下であり、
    前記ウレア樹脂水分散体(B)は、ポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物との反応物を含み、
    前記ポリアミン化合物は、ポリオキシアルキレン基含有ポリアミン及びポリオキシアルキレン基含有芳香族ポリアミンから選ばれる1種以上を含み、
    前記分散樹脂(C)は、アクリル樹脂を含み、
    前記分散樹脂(C)の酸価は、10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、
    前記分散樹脂(C)の重量平均分子量は、3,000以上20,000以下である、水性塗料組成物。
  2. 前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂水分散体、アクリルシリコーン樹脂水分散体、フッ素樹脂水分散体、シリコーン樹脂水分散体、エポキシ樹脂水分散体及びウレタン樹脂水分散体から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂水分散体及びアクリルシリコーン樹脂水分散体から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  4. 前記アクリル樹脂水分散体中のアクリル樹脂の重量平均分子量は、20,000超である、請求項3に記載の水性塗料組成物。
  5. 前記塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度は、10℃以上60℃以下である、請求項3に記載の水性塗料組成物。
  6. 前記塗膜形成樹脂(A)は、スチレンに由来する単位を含む、請求項3に記載の水性塗料組成物。
  7. 前記スチレンに由来する単位の割合は、塗膜形成樹脂(A)の固形分の総量100質量%中、10質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  8. 前記塗膜形成樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  9. 前記ウレア樹脂水分散体(B)の平均粒子径は、100nm以上1,000nm以下である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  10. 前記ウレア樹脂水分散体(B)に含まれるウレア基の濃度は、ウレア樹脂水分散体(B)の固形分の総量100質量%中、5質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  11. 前記ウレア樹脂水分散体(B)の固形分の濃度は、水性塗料組成物の固形分100質量%中、5質量%以上80質量%以下である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  12. 前記分散樹脂(C)は、酸価が10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である分散樹脂(C1)、及び、
    酸価が150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、且つ、アミン価が0mgKOH/g以上10mgKOH/g以下である分散樹脂(C2)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  13. 顔料を更に含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  14. 互いに対向する2つの主面を有する無機基材の少なくとも一方の主面に水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、及び、
    前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、を含み、
    前記水性塗料組成物が、請求項1~13のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である、塗膜の製造方法。
  15. 無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面上に配置された塗膜とを有する窯業建材の製造方法であって、
    無機材料を板状に成形し、一次養生して無機基材を得ること、
    前記無機基材の少なくとも一方の面に、水性塗料組成物を塗装して、塗装膜を得ること、
    前記塗装膜を乾燥させて、塗膜を得ること、
    前記無機基材及び塗膜をオートクレーブ養生すること、を含み、
    前記水性塗料組成物が、請求項1~13のいずれか1項に記載の水性塗料組成物である、窯業建材の製造方法。
  16. 無機基材と、前記無機基材の少なくとも一方の面の上に配置されたインラインシーラー層とを有する窯業建材であって、
    前記インラインシーラー層は、請求項1~13のいずれか1項に記載の水性塗料組成物から形成される、窯業建材。
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