JP7315063B2 - 立体異性体の製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕下記(1)および(2)を含む、立体異性体の製造方法:
(1)水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質を、下記式(I):
XおよびYは、それぞれ独立して、窒素原子、または炭素原子であり、
R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、前記物質およびその立体異性体から式(I)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、R3、およびR4の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
Xが窒素原子である場合、R4は存在せず、
Yが窒素原子である場合、R1は存在せず、
XおよびYの双方が炭素原子である場合、R1およびR4の少なくとも1つは、置換基として-NO2である。〕の化合物と反応させて、前記物質の立体異性体を生成すること;および
(2)前記立体異性体を式(I)の化合物から分離すること。
〔2〕XおよびYの一方が窒素原子であり、他方が炭素原子である、〔1〕の方法。
〔3〕式(I)の化合物が、0以上のLogD値を有する、〔1〕または〔2〕の方法。
〔4〕前記物質およびその立体異性体から式(I)の化合物を分離する能力を有する基が、炭素原子数4以上の疎水性基である、〔3〕の方法。
〔5〕炭素原子数4以上の疎水性基が、-A-(B)n-Dで表される基(ここで、Aは、置換されていてもよい2価の炭化水素基であり、Bは、-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=S)-、-O-S(=O)2-O-、-N-S(=O)2-N-、-O-S(=O)2-N-、-N-S(=O)2-O-、-N-C(=O)-、-N-C(=S)-、-S-S-、-C=N-O-、-C=N-NH-、-O-P(=O)(-OH)-O-、-O-P(=O)(-OH)-N-、-N-P(=O)(-OH)-O-、-N-P(=O)(-OH)-N-、または2価のトリアゾールであり、Dは、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、nは、0または1であり、A、BおよびDにおける炭素原子の総数が4以上である。)である、〔4〕の方法。
〔6〕Aがメチレンであり、Bが-O-、-O-C(=O)-または-O-C(=S)-であり、Dが置換されていてもよい炭素原子数3~12の1価の炭化水素基である、〔5〕の方法。
〔7〕置換基が下記からなる群より選ばれる基である、〔1〕~〔6〕のいずれかの方法:
(a1)ハロゲン原子;
(a2)置換されていてもよい1価の炭化水素基;
(a3)置換されていてもよい1価の複素環基;
(a4)カルボキシル、グアニジノ、シアノ、アジド、ニトロ、硫酸基、スルホン酸基、カルバモイル、カルバモイルアミノ、ニトリル、リン酸基からなる群より選ばれる基;
(a5)Ra-Z-、およびRa-C(=Z)-(ここで、Zは、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。Raは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(a6)Ra-Z1-C(=Z2)-、およびRa-C(=Z2)-Z1-(ここで、Z1、およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。Raは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(a7)NRbRc-(ここで、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);
(a8)NRbRc-C(=Z)-、およびRb-C(=Z)-NRc-からなる群より選ばれる基(ここで、Zは、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);
(a9)NRbRc-C(=Z2)-Z1-(ここで、Z1、およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);ならびに
(a10)V-W-(ここで、Vは、(a1)~(a9)からなる群より選ばれる基であり、Wは、置換されていてもよい2価の炭化水素基、または置換されていてもよい2価の複素環基である。)。
〔8〕前記式(I)の化合物が、下記式(II):
R1、R2、およびR3の少なくとも1つは、前記物質およびその立体異性体から式(II)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、およびR3の残りは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基である。〕の化合物である、〔1〕~〔7〕のいずれかの方法。
〔9〕前記式(II)の化合物が、下記式(III):
R5は、-(E)m-F(ここで、Eは、-C(=O)-、または-C(=S)-であり、Fは、置換されていてもよい炭素原子数8~12の1価の炭化水素基であり、mは、0または1である。)である。〕の化合物である、〔8〕の方法。
〔10〕反応が塩基の存在下で行われる、〔1〕~〔9〕のいずれかの方法。
〔11〕反応が15~50℃の条件下で行われる、〔1〕~〔10〕のいずれかの方法。
〔12〕分離が晶析以外の方法で行われる、〔1〕~〔11〕のいずれかの方法。
〔13〕分離が、分子間相互作用を利用する分離方法により行われる、〔12〕の方法。
〔14〕分子間相互作用が疎水性相互作用である、〔13〕の方法。
〔15〕前記物質が、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸チオエステル、アミノ酸アミド、アミノニトリル、またはペプチドである、〔1〕~〔14〕のいずれかの方法。
〔16〕アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ホモシステイン、ホモシスチン、ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、メチルセレニルシステイン、セレノシステイン、セレノシスチン、およびセレノメチオニンからなる群より選ばれるアミノ酸である、〔14〕の方法。
〔17〕前記物質がL体のアミノ酸であり、立体異性体がD体のアミノ酸である、〔15〕または〔16〕の方法。
〔18〕前記物質が、同位体で標識されている、〔1〕~〔17〕のいずれかの方法。
〔19〕同位体が、13C、2H、17O、18O、15N、および34Sからなる群より選ばれる安定同位体である、〔18〕の方法。
〔20〕下記式(I):
XおよびYは、それぞれ独立して、窒素原子、または炭素原子であり、
R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、前記物質およびその立体異性体から式(I)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、R3、およびR4の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
Xが窒素原子である場合、R4は存在せず、
Yが窒素原子である場合、R1は存在せず、
XおよびYの双方が炭素原子である場合、R1およびR4の少なくとも1つは、置換基として-NO2である。〕の化合物を含む、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質のその立体異性体への変換試薬。
〔21〕塩基をさらに含む、〔20〕の試薬。
〔22〕水溶液をさらに含む、〔20〕または〔21〕の試薬。
〔23〕下記式(III):
R5は、-(E)m-F(ここで、Eは、-C(=O)-、または-C(=S)-であり、Fは、置換されていてもよい炭素原子数8~12の1価の炭化水素基であり、mは、0または1である。)である。〕の化合物。
本発明の試薬は、本発明の方法の簡便な実施に有用である。
本発明の化合物は、アミノ化合物およびその立体異性体から化合物を良好に分離することを可能にし、アミノ化合物からその立体異性体への変換において高い変換効率を示すことができ、しかも水溶性反応系への十分な溶解性を維持することもできる。
1-1.序論
本明細書において、以下の一般的な用語は、特にそれに反する記載がない限り、以下の意味で使用される。
「1価の炭化水素基」としては、例えば、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、および1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。1価の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、さらにより好ましくは1~4である。
アルキルの炭素原子数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、さらにより好ましくは1~4である。このようなアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルが挙げられる。
アルケニルの炭素原子数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、さらにより好ましくは2~4である。このようなアルケニルとしては、例えば、ビニル、プロペニル、n-ブテニルが挙げられる。
アルキニルの炭素原子数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、さらにより好ましくは2~4である。このようなアルキニルとしては、例えば、エチニル、プロピニル、n-ブチニルが挙げられる。
1価の鎖状炭化水素基としては、アルキルが好ましい。
シクロアルキルの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
シクロアルケニルの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルケニルとしては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルが挙げられる。
シクロアルキニルの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルキニルとしては、例えば、シクロプロピニル、シクロブチニル、シクロペンチニル、シクロヘキシニルが挙げられる。
1価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキルが好ましい。
1価の芳香族炭化水素基としては、フェニルが好ましい。
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基を意味する。1価の複素環基は、1価の芳香族複素環基、または1価の非芳香族複素環基である。複素環基を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子およびケイ素原子からなる群から選択される1種以上(例、1種、2種、3種)を含むことが好ましく、酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群から選択される1種以上(例、1種、2種、3種)を含むことがより好ましく、窒素原子を1個以上(例、1個、2個)含むことがさらにより好ましい。
「2価の炭化水素基」としては、例えば、2価の鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、および2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。2価の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、さらにより好ましくは1~4である。
アルキレンの炭素原子数は、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~6であり、さらにより好ましくは1~4である。このようなアルキレンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレンが挙げられる。
アルケニレンの炭素原子数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、さらにより好ましくは2~4である。このようなアルケニレンとしては、例えば、エチレニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、へキセニレンが挙げられる。
アルキニレンの炭素原子数は、好ましくは2~12であり、より好ましくは2~6であり、さらにより好ましくは2~4である。このようなアルキニレンとしては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、へキシニレンが挙げられる。
2価の鎖状炭化水素基としては、アルキレンが好ましい。
シクロアルキレンの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルキレンとしては、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロへキシレンが挙げられる。
シクロアルケニレンの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルケニレンとしては、例えば、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロへキセニレンが挙げられる。
シクロアルキニレンの炭素原子数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~6であり、さらにより好ましくは5または6である。このようなシクロアルキニレンとしては、例えば、シクロプロピニレン、シクロブチニレン、シクロペンチニレン、シクロへキシニレンが挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキレンが好ましい。
2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレンが好ましい。
「2価の複素環基」とは、複素環式化合物の複素環から水素原子2個を除いた基を意味する。2価の複素環基は、2価の芳香族複素環基、または2価の非芳香族複素環基である。複素環基を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子およびケイ素原子からなる群から選択される1種以上(例、1種、2種、3種)を含むことが好ましく、酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群から選択される1種以上(例、1種、2種、3種)を含むことがより好ましく、窒素原子を1個以上(例、1個、2個)含むことがさらにより好ましい。
「炭素原子数3以上の1価の炭化水素基」としては、例えば、炭素原子数3以上の1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、および1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。炭素原子数3以上の1価の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上である。炭素原子数3以上の1価の炭化水素基の炭素原子数はまた、好ましくは15以下であり、より好ましくは12以下である。より具体的には、炭素原子数3以上の1価の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。
炭素原子数3以上のアルキルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなアルキルとしては、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルが挙げられる。
炭素原子数3以上のアルケニルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなアルケニルとしては、例えば、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニルが挙げられる。
炭素原子数3以上のアルキニルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなアルキニルとしては、例えば、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニルが挙げられる。
炭素原子数3以上の1価の鎖状炭化水素基としては、炭素原子数3以上のアルキルが好ましい。
炭素原子数3以上の1価の炭化水素基との関連において、シクロアルキルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなシクロアルキルとしては、例えば、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルが挙げられる。
炭素原子数3以上の1価の炭化水素基との関連において、シクロアルケニルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなシクロアルケニルとしては、例えば、シクロオクテニル、シクロノネニル、シクロデセニル、シクロウンデセニル、シクロドデセニルが挙げられる。
炭素原子数3以上の1価の炭化水素基との関連において、シクロアルキニルの炭素原子数は、好ましくは6~15であり、より好ましくは8~12である。このようなシクロアルキニルとしては、例えば、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル、シクロウンデシニル、シクロドデシニルが挙げられる。
炭素原子数3以上の1価の炭化水素基との関連において、1価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキルが好ましい。
炭素原子数3以上の1価の炭化水素基との関連において、1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニルが好ましい。
「炭素原子数8~12の1価の炭化水素基」は、上述した「炭素原子数3以上の1価の炭化水素基」のうち、より好ましい炭素原子数として言及されたものに該当する。したがって、「炭素原子数8~12の1価の炭化水素基」としては、例えば、炭素原子数8~12の1価の鎖状炭化水素基、炭素原子数8~12の1価の脂環式炭化水素基、および炭素原子数8~12の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。炭素原子数8~12の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素原子数8~12のアルキル、炭素原子数8~12のアルケニル、および炭素原子数8~12のアルキニルが挙げられるが、炭素原子数8~12のアルキルが好ましい。炭素原子数8~12の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、炭素原子数8~12のシクロアルキル、炭素原子数8~12のシクロアルケニル、および炭素原子数8~12のシクロアルキニルが挙げられるが、炭素原子数8~12のシクロアルキルが好ましい。炭素原子数8~12の1価の炭化水素基は、好ましくは、炭素原子数8~12の1価の鎖状炭化水素基であり、より好ましくは、炭素原子数8~12のアルキルである。
「アラルキル」とは、1価の芳香族炭化水素基を有するアルキルをいう。アルキルが有する1価の芳香族炭化水素基は、「1価の炭化水素基」の例として上述した1価の芳香族炭化水素基と同様である。1価の芳香族炭化水素基を有するアルキルにおけるアルキルは、「1価の炭化水素基」の例として上述したアルキルと同様である。アラルキルとしては、炭素原子数7~15のアラルキルが好ましい。このようなアラルキルとしては、例えば、ベンゾイル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチルが挙げられる。
置換されていてもよい基が置換基を有する基である場合、置換基の数は、例えば1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1もしくは2個、さらにより好ましくは1個である。このような場合、置換基としては、例えば、以下が挙げられる:
(i)ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);
(ii)1価の炭化水素基;
(iii)1価の複素環基;
(iv)アミノ、ヒドロキシル、スルファニル、カルボキシル、グアニジノ、シアノ、アジド、ニトロ、硫酸基、スルホン酸基、カルバモイル、カルバモイルアミノ、リン酸基からなる群より選ばれる基。
(i)ハロゲン原子;
(ii)1価の炭化水素基;
(iii)上記(iv)の基。
(i)ハロゲン原子;
(ii)アルキル;
(iii)上記(iv)の基。
(i)ハロゲン原子;
(ii)アルキル。
(i)ハロゲン原子。
「置換されていてもよい非芳香族環」とは、無置換の非芳香族環、または置換基を有する非芳香族環をいう。置換されていてもよい非芳香族環について置換基の数および種類の定義、例および好ましい例は、置換されていてもよい基について上述したものと同様である。
2-1.序論
本発明は、立体異性体の製造方法を提供する。
(1)水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質を、上記式(I)の化合物と反応させて、前記物質の立体異性体を生成すること;および
(2)前記立体異性体を式(I)の化合物から分離すること。
2-2-1.反応の概要の説明
本工程では、式(1)の化合物を触媒として用いることにより、「水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質」(反応の出発物質)における当該不斉炭素原子のキラリティが変換され(ラセミ化)、これにより上記物質の立体異性体(生成物)が得られる。反応の出発物質および生成物は、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子に関して立体異性体の関係にある。したがって、上記物質の立体異性体には、エナンチオマーのみならず、ジアステレオマー(出発物質が上記不斉炭素原子以外に複数の不斉原子を含む場合)もまた含まれる。
本発明において触媒として用いられる式(I)の化合物は、以下のとおりである:
XおよびYは、それぞれ独立して、窒素原子、または炭素原子であり、
R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質の立体異性体から式(I)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、R3、およびR4の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
Xが窒素原子である場合、R4は存在せず、
Yが窒素原子である場合、R1は存在せず、
XおよびYの双方が炭素原子である場合、R1およびR4の少なくとも1つは、置換基として-NO2である。〕の化合物。
Yは、窒素原子、または炭素原子であり、
R1、R2、およびR3の少なくとも1つは、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質の立体異性体から式(I’)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、およびR3の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
Yが窒素原子である場合、R1は存在しない。〕の化合物。
Xは、窒素原子、または炭素原子であり、
R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質の立体異性体から式(I’’)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R2、R3、およびR4の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
Xが窒素原子である場合、R4は存在しない。〕の化合物。
R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質の立体異性体から式(I’’’)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、R3、およびR4の残りは、それぞれ、水素原子、または置換基であり、
R1およびR4の少なくとも1つは、置換基として-NO2である。〕の化合物。
R1、R2、およびR3の少なくとも1つは、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質およびその立体異性体から式(II)の化合物を分離する能力を有する基であり、
R1、R2、およびR3の残りは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基である。〕の化合物。
R5は、-(E)m-F(ここで、Eは、-C(=O)-、または-C(=S)-であり、Fは、置換されていてもよい炭素原子数8~12の1価の炭化水素基であり、mは、0または1である。)である。〕の化合物。
(a1)ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);
(a2)置換されていてもよい1価の炭化水素基;
(a3)置換されていてもよい1価の複素環基;
(a4)カルボキシル、グアニジノ、シアノ、アジド、ニトロ、硫酸基、スルホン酸基、カルバモイル、カルバモイルアミノ、リン酸基からなる群より選ばれる基;
(a5)Ra-Z-、およびRa-C(=Z)-(ここで、Zは、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。Raは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(a6)Ra-Z1-C(=Z2)-、およびRa-C(=Z2)-Z1-(ここで、Z1、およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。Raは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(a7)NRbRc-(ここで、RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);
(a8)NRbRc-C(=Z)-、およびRb-C(=Z)-NRc-からなる群より選ばれる基(ここで、Zは、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);
(a9)NRbRc-C(=Z2)-Z1-(ここで、Z1、およびZ2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。RbおよびRcは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);ならびに
(a10)V-W-(ここで、Vは、(a1)~(a9)からなる群より選ばれる基であり、Wは、置換されていてもよい2価の炭化水素基、または置換されていてもよい2価の複素環基である。)。
水素原子含有アミノ基とは、1個または2個の水素原子を有するアミノ基をいう。水素原子含有アミノ基における水素原子は、通常の水素原子(1H)、または重水素原子(2H)もしくは三重水素原子(3H)であってもよい。したがって、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質は、1個または2個の水素原子を有するアミノ基を有する不斉炭素原子をキラル部位として含む。本発明の方法では、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子(すなわち、当該アミノ基に対してα位に存在する不斉炭素原子)のキラリティが変換される。
(c1)置換されていてもよい1価の炭化水素基;
(c2)置換されていてもよい1価の複素環基;
(c3)カルボキシル、グアニジノ、シアノ、アジド、ニトロ、硫酸基、スルホン酸基、カルバモイル、カルバモイルアミノ、ニトリル、リン酸基からなる群より選ばれる基;
(c4)R’a-Z’-、およびR’a-C(=Z’)-(ここで、Z’は、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、またはセレン原子(Se)である。R’aは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(c5)R’a-Z’1-C(=Z’2)-、およびR’a-C(=Z’2)-Z’1-(ここで、Z’1、およびZ’2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。R’aは、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。)からなる群より選ばれる基;
(c6)NR’bR’c-(ここで、R’bおよびR’cは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。ただし、上記水素原子含有アミノ基、好ましくは-NH2を除く。);
(c7)NR’bR’c-C(=Z’)-、およびR’b-C(=Z’)-NR’c-からなる群より選ばれる基(ここで、Z’は、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。R’bおよびR’cは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);
(c8)NR’bR’c-C(=Z’2)-Z’1-(ここで、Z’1、およびZ’2は、それぞれ独立して、酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。R’bおよびR’cは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい1価の炭化水素基、または置換されていてもよい1価の複素環基である。);ならびに
(c9)V’-W’-(ここで、V’は、(c1)~(c8)、およびアミノ基からなる群より選ばれる基であり、W’は、置換されていてもよい2価の炭化水素基、または置換されていてもよい2価の複素環基である。)。
反応は、適宜行うことができる。例えば、上記式の化合物は、0.1mM~0.2M等のモル濃度で用いることができる。水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質は、当該物質の立体異性体について所望される生産量によっても異なるが、1mM~2M等のモル濃度で用いることができる。使用される上記物質と上記式の化合物とのモル比(上記物質/上記式の化合物)は、例えば1/10~100(好ましくは1~50、より好ましくは2~20)であってもよい。
本発明の方法によれば、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質のキラリティの変換は、常温等の温和な条件で進行する。したがって、反応系に含まれる上記物質およびその立体異性体の比率の維持のためには、上記物質およびその立体異性体から上記式の化合物を速やかに分離する必要がある。したがって、本分離工程により、上記物質およびその立体異性体の比率の維持、ひいては立体異性体混合物の品質の安定化を実現することができる。
本発明はまた、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質のその立体異性体への変換試薬を提供する。
以下の合成例1~3により、キラリティ変換触媒(以下実施例中、単に「触媒」と呼ぶこともある。)として用いることができる5-octoxymethyl-3-hydroxy-2-methyl-4-pyridinecarboxaldehyde(「octylpyridoxal」とも呼ぶ。)を調製した。
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ(ppm)147.86,146.08,138.71,129.27,125.89,99.80,60.29,58.58,24.77,18.32.
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ(ppm)152.32,147.68,138.37,131.57,128.70,70.60,68.54,60.33,31.82,29.65,29.40,29.22,26.18,22.64,18.12,14.08.
13C NMR(101MHz,CDCl3)δ(ppm)197.36,153.97,152.48,139.47,130.11,120.47,70.90,67.59,31.76,29.60,29.30,29.16,26.12,22.60,18.79,14.04.
触媒の取り扱いをより簡便化するため、トリエチルアミン(TEA)を水中に塩基として含む水溶液にoctylpyridoxal(化合物5)をあらかじめ溶解させた保存溶液を調製した。コニカルチューブに化合物5を秤量し、純水にて2.8mg/mL(10mmol/L)の濃度となるように水を加えた。さらにトリエチルアミンを210mmol/Lの濃度となるように加え(pH 約11)、1mLずつマイクロチューブに分注した。この溶液は-80℃で凍結保存した。
非加熱条件下の低容量の反応系において、アミノ酸のキラリティを変換した。具体的には、アミノ酸を反応用バイアルに秤量し、保存溶液を加え、室温下で反応を行った。Lysに関しては、2塩酸塩となっていたため、トリエチルアミンを50μL追加して反応を行った。反応後、以下に示した方法で触媒を分離した。分離後の溶液を15mLコニカルチューブにアミノ酸溶液として採取した。必要に応じて、採取したアミノ酸溶液から、遠心濃縮器にて水および塩基を除去してアミノ酸乾燥物を調製し、アミノ酸乾燥物の重量を回収重量として測定した。
アミノ酸をマイクロウェーブ(MW)反応用バイアル(0.2-0.5mL用)に秤量し、保存溶液300μLを加え、MW反応装置にて200℃で15分間加熱した。反応後の操作は方法(A)と同じである。
固相抽出(SPE)カラムにアセトニトリルを通液した後、純水で通液することによりコンディショニングを行った。反応生成物(アミノ酸のD体およびL体の混合物)を含む反応溶液をカラムに直接ロードし、純水を流し、触媒のみをカラムに保持させることによって触媒を分離(除去)した。
安定同位体標識体アミノ酸の触媒からの分離のため、GLサイエンス製1g/6mLのInertSep(登録商標)C18カラム(疎水性相互作用クロマトグラフィー用カラム)を使用した。
反応生成物(アミノ酸のD体およびL体の混合物)からの触媒の分離を、以下の条件および構成の装置を利用して確認した。キラリティの変換後に単離された試料を、10mg/mL溶液として調製した。
・デガッサー:Agilent Technologies製 1200 Series G1379B Degasser
・ポンプ:Agilent Technologies製 1200 Series G1312A Bin Pump
・オートサンプラー:Agilent Technologies製 1200 Series G1367B HiP-ALS
・カラム恒温槽:Agilent Technologies製 1200 Series G1316A TCC
・質量分析計:AB SCIEX製 3200 QTRAP(登録商標)
・制御ソフトウェア:AB SCIEX製 Analyst(登録商標)1.6.2
・質量分析計設定
CUR:15 TEM:600
CAD:3 GS1:30
IS :5000 GS2:70
・移動相A液:ギ酸0.1%水溶液
・移動相B液:アセトニトリル
・カラム:GL Science製 Inertsil(登録商標)C8-3,3μm(2.1x50mm)
・カラム恒温槽温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・測定トランジション(表3)
(誘導体化による光学分割)
アミノ酸溶液は、0.1mmol/L程度になるよう、水または0.01%塩酸にアミノ酸乾燥物(方法(A)を参照)を溶解し、サンプル溶液として用いた。アセトニトリル/ホウ酸緩衝溶液(1/1,v/v)60μLに対し、アミノ酸希釈液10μLを加え、そこに光学分割によるD体およびL体の分析を可能にする誘導体化試薬((R)-PNP-PDEA、国際公開第2017/057433号)のアセトニトリル溶液(10mg/mL)を10μL加えて撹拌し、室温で10分間以上反応させて、D体およびL体を光学分割可能な誘導体を作製した。反応後にギ酸0.1%溶液420μLを加えて反応を停止させた。以上の方法により調製した溶液を以下のLC-MSによる測定に付し、D体およびL体のピーク面積値を比較し、キラリティの変換効率を算出した。
・質量分析計:AB SCIEX製 Triple Quad(商標)6500
・移動相A液:ギ酸0.1%水溶液
・移動相B液:アセトニトリル/水/ギ酸(90/10/0.1)
・カラム:Waters製 Acquity UPLC(登録商標)BEH-Phenyl,1.7μm(2.1x50mm)
・Injection Volume:1μL
・質量分析計設定
CUR:40 TEM:600
CAD:8 GS1:70
IS :4500 GS2:70
・測定トランジション(表5)
%D=(D体ピークエリア値)/{(D体ピークエリア値)+(L体ピークエリア値)}×100
ThrおよびHis、ならびに以降の実施例2および参考例1に関しては、(1)と同様の「誘導体化」に加え、以下の条件でキラリティの変換効率を測定した(単離後の乾燥重量の測定は行わなかった)。
・ポンプ:島津製作所製LC-10AD VP
・オートサンプラー:島津製作所製SIL-HTC
・カラム恒温槽:島津製作所製CTO-10AD VP
・質量分析計:島津製作所製LCMS-2010A
・制御ソフトウェア:島津製作所製LabSolutions LCMS Ver.3.70 .390
・装置設定
ネブライザガス流量:1.5L/min
CDL温度:200℃
ヒートブロック温度:200℃
検出器電圧:1.5kV
モード:SIM ポジティブモード
Injection Volume:1μL
・カラム恒温槽温度:40℃
・オートサンプラー温度:4℃
・移動相A液:ギ酸0.1%水溶液
・移動相B液:アセトニトリル
・カラム:Waters製 Acquity UPLC(登録商標)BEH-Phenyl,1.7μm(2.1x50mm)
(Lot. No. 0118391041570)
・測定SIM(m/z): 414.1(Thr)/225.65(His)
・Injection Volume:1μL
・グラジエント条件(表8)
非加熱条件下の低容量の反応系でアミノ酸のキラリティの変換効率を検討した。
具体的には、アルデヒド基を有する種々の芳香族化合物(触媒)をアミノ酸に対して1当量用いて、アミノ酸のキラリティの変換効率を検討した。使用した化合物を以下に示す。
反応の詳細は、下記表10のとおりである。
触媒に対する炭化水素基の導入によるアミノ酸のキラリティの変換効率に対する影響を検討した。より具体的には、炭化水素基が導入された触媒であるoctylpyridoxal(化合物5)、およびPyridoxal(コントロール)を用いて、アミノ酸のキラリティの変換効率を比較した。
疎水性相互作用を利用してアミノ酸を触媒から分離する場合、触媒とアミノ酸との疎水度が異なる値を採る必要がある。そこで、触媒候補物およびアミノ酸の疎水度を評価した。疎水度の指標として、LogD値を、BIOVIA社Discovery Studio バージョン2017R2により計算した。
触媒候補物として、(a)Pyridoxal、および(b)Pyridoxalのヒドロキシメチルにおけるヒドロキシ基(OH)中の水素原子が炭化水素原子数1~13個の直鎖アルキル基(C1~C13)で置換された誘導体を利用することにより、Pyridoxalの誘導体化に必要とされる炭素原子数を評価した。
結果を表14に示す。
また、Pyridoxalはメチルを置換基として有するピリジン化合物であることを考慮すると、置換基としてメチルを有しないピリジン化合物である場合には、4以上の炭素原子を含む疎水性基が、疎水性相互作用を利用したアミノ酸からの触媒の十分な分離のために好ましいと考えられた。
したがって、疎水性相互作用を利用する分離方法により、水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質およびその立体異性体から上記式の化合物を良好に分離するためには、置換基(例、メチル)の有無にかかわらず、一般的に、上記物質およびその立体異性体から上記式の化合物を分離する能力を有する基として、4以上の炭素原子を含む疎水性基を用いるのが好ましいと考えられる。
本発明の変換試薬は、例えば、本発明の方法の簡便な実施に有用である。
本発明の化合物は、例えば、本発明の方法に好適に用いることができる。
Claims (17)
- 下記(1)および(2):
(1)水素原子含有アミノ基を有する不斉炭素原子を含む物質を、有機塩基の存在下で、下記式(II):
R1は、-A-B-Dで表される基(ここで、Aは、メチレンであり、Bは、-O-であり、Dは、炭素原子数3~12の1価の炭化水素基である。)であり、
R2は、水素原子であり、
R3は、メチルである。〕の化合物と水溶系溶媒中で反応させて、前記物質の立体異性体を生成すること;および
(2)前記立体異性体を式(II)の化合物から疎水性相互作用を利用して分離することを含み、
前記物質が、アミノ酸、アミノ酸エステル、アミノ酸チオエステル、アミノ酸アミド、アミノニトリル、またはペプチドである、立体異性体の製造方法。 - 炭素原子数8~12の1価の炭化水素基が、炭素原子数8~12のアルキルである、請求項2記載の方法。
- 炭素原子数8~12のアルキルが、炭素原子数8のアルキルである、請求項3記載の方法。
- 有機塩基が揮発性有機塩基である、請求項1記載の方法。
- 前記有機塩基と前記化合物のモル比(前記有機塩基/前記化合物)が100~10である、請求項5記載の方法。
- 反応が15~50℃の条件下で行われる、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
- アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ホモシステイン、ホモシスチン、ホモアルギニン、シトルリン、オルニチン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、メチルセレニルシステイン、セレノシステイン、セレノシスチン、およびセレノメチオニンからなる群より選ばれるアミノ酸である、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
- 前記物質がL体のアミノ酸であり、立体異性体がD体のアミノ酸である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
- 前記物質が、同位体で標識されている、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
- 同位体が、13C、2H、17O、18O、15N、および34Sからなる群より選ばれる安定同位体である、請求項10記載の方法。
- 前記分離が固相抽出により行われる、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
- 炭素原子数8~12の1価の炭化水素基が、炭素原子数8~12のアルキルである、請求項14記載の試薬。
- 炭素原子数8~12のアルキルが、炭素原子数8のアルキルである、請求項15記載の試薬。
- 水溶液をさらに含む、請求項13~16のいずれか一項記載の試薬。
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