JP7302847B2 - 新規フルオロジニトロフェニル化合物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なフルオロジニトロフェニル化合物及びその用途(光学分割ラベル化剤等)に関する。
小分子と抗体の中間的性質を持つペプチド系天然物は、小分子と抗体の利点を併せ持ち且つ双方の欠点を克服しうる次世代の創薬シーズとして非常に大きな注目を集めている。
すでに薬剤として利用されている又は創薬リードとして有望視されている特異な生物活性を有するペプチド系天然物には、その構成アミノ酸としてL-アミノ酸だけでなくD-アミノ酸を含むものが多数存在する。ペプチド系天然物の構造決定には、構成アミノ酸の絶対立体配置の決定が重要である。絶対立体配置の決定は、まずペプチド系化合物を酸加水分解し、その分解産物のアミノ酸を光学分割ラベル化剤により誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)又は液体クロマトグラフィ-質量分析法(LC-MS)で分析し、ラベル化アミノ酸標品の溶出時間と比較して絶対立体配置を決定する方法(Marfey法)が汎用されている。
非特許文献1には、1984年にMarfeyによって開発されたHPLC用アミノ酸光学分割ラベル化剤である1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニン(L-FDAA)が報告されている。L-FDAAは芳香族求核置換反応(SNAr反応)を受けやすいフルオロジニトロフェニル骨格を有しているため、温和な塩基性条件下、各種アミノ酸のアミノ基と反応して、L-FDAAでラベル化されたアミノ酸に誘導される。このラベル化アミノ酸は340nm付近に特徴的なUV吸収を持つため、この特性を用いてHPLC分析し、当該ラベル化アミノ酸とその標品との溶出時間を対比することにより、当該アミノ酸の絶対立体配置を決定することができる。
その後、1997年にHaradaらにより、光学分割ラベル化剤として様々なFDAAの誘導体が合成され、それらを用いてアミノ酸の絶対立体配置を決定する手法が報告されている(非特許文献2及び3)。これによれば、検出方法としてLC-MS(ポジティブイオンマスクロマトグラム)を用いた場合に、1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-ロイシン(L-FDLA)がL-FDAAと比較して検出感度が優れていることが確認されている。また、LC-MSを使用することにより検出ピークの分子の質量情報が得られるため、より正確な分析が可能となった。
しかしながら、稀少な天然資源から極微量しか単離できない化合物の構造決定のためには、検出感度のさらなる向上が求められている。
例えば、ペプチド系天然物の構成アミノ酸の絶対立体配置を決定する際には、試料を加水分解することが必要となる。試料量が微量の稀少ペプチド系天然物を対象とする研究においては、加水分解後に生じる構成アミノ酸も極微量となるため詳細な構造決定は困難である。
また、ペプチド系天然物を高温、強酸、長時間の過酷な条件で加水分解すると分解産物の収量は増加するが、構成アミノ酸のラセミ化が進行するため、結果として誤った構造決定につながるという問題がある(例えば、非特許文献4)。
一方、ラセミ化を抑制するため、より低温、弱酸、短時間の温和な条件で加水分解を行うと分解産物の収量が低下してしまい、ラベル化アミノ酸も極微量しか得られず、結果としてそのラベル化アミノ酸の絶対立体配置の決定が困難となる。
そのため、従来の光学分割ラベル化剤と比較して、温和な加水分解条件下で生成する極微量のアミノ酸でも、より高感度でその絶対立体配置を検出できる光学分割ラベル化剤及びそれを用いた検出方法が求められていた。
Marfey P., Carlsberg Res. Commun., 1984, 49, 591. Harada K. et al, Anal. Chem., 1997, 69, 3346. Harada K. et al, Anal. Chem., 1997, 69, 5146. Kuranaga T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 9443.
本発明は、新規なフルオロジニトロフェニル化合物、その製法、及びその用途を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、式(1)で表される化合物(特に、式(1A)で表される化合物)が新規な化合物であること、また不斉中心を有する化合物(特に各種アミノ酸)の光学分割ラベル化剤として極めて有用であることを見出した。
具体的には、式(1A)で表される化合物を各種アミノ酸と反応させて当該アミノ酸をラベル化し、これをHPLC、LC-MS等で分析することにより、非特許文献1~3に記載された従来法に比べて、ラベル化されたアミノ酸を分離性良く且つ極めて高感度で検出できること、結果としてアミノ酸の絶対立体配置を正確且つ高感度に決定できることを見出した。かかる知見に基づいて、さらに検討することにより本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のフルオロジニトロフェニル化合物、その製法、及びその用途を提供する。
項1.式(1):
Figure 0007302847000001
(式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す。R及びRは同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す、或いはR及びRは互いに結合して隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよく、当該環は置換基を有していてもよい。Alkはアルキレン基を示す。)
で表される化合物又はその塩。
項2.式(1A):
Figure 0007302847000002
(式中、R1A及びR2Aは異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、R、R及びAlkは前記に同じ。R1A及びR2Aが結合するC*の立体化学は絶対立体配置を示す。)
で表される化合物又はその塩である、項1に記載の化合物又はその塩。
項3.R1A及びR2Aのいずれか一方が水素原子であり、他方が置換基を有していてもよいアルキル基であり、AlkがC2~C10アルキレン基である、項2に記載の化合物又はその塩。
項4.R1A及びR2Aで示される置換基を有していてもよいアルキル基が、下記の基;
(1)保護されていてもよい水酸基、
(2)アルコキシ基、
(3)保護されていてもよいカルボキシル基、
(4)アミド基、
(5)保護されていてもよいアミノ基、
(6)保護されていてもよいグアニジノ基、
(7)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいアリール基、
(8)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいヘテロアリール基、及び
(9)保護されていてもよいメルカプト基、
からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいアルキル基である、項2又は3に記載の化合物又はその塩。
項5.項1~4のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む光学分割ラベル化剤。
項6.項1に記載の式(1)で表される化合物又はその塩の製法であって、式(5):
Figure 0007302847000003
(式中、R、R、R及びR及びAlkは前記に同じ。)
で表される化合物又はその塩、及び、式(6):
Figure 0007302847000004
で表される化合物を反応させる工程を含む、製法。
項7.項2に記載の式(1A)で表される化合物又はその塩の製法であって、式(5A):
Figure 0007302847000005
(式中、R1A、R2B、R及びR及びAlkは前記に同じ。)
で表される化合物又はその塩、及び、式(6)で表される化合物を反応させる工程を含む、製法。
項8.不斉中心を有する化合物の絶対立体配置を決定する方法であって、
(1)当該不斉中心を有する化合物と、項5に記載の光学分割ラベル化剤とを反応させてラベル化された化合物を調製する工程、及び
(2)当該ラベル化された化合物を分析することにより、不斉中心を有する化合物の絶対立体配置を決定する工程、
を含む方法。
項9.前記不斉中心を有する化合物がアミノ酸又はその誘導体である、項8に記載の方法。
本明細書において、「光学分割ラベル化剤」とは、不斉中心を有する化合物(アミノ酸等)を光学分割するためのラベル化剤を意味する。例えば、この光学分割ラベル化剤をアミノ酸と反応させてラベル化されたアミノ酸(例えば、ジアステレオマー等)に変換し、これを、分離可能な分析手段(HPLC、LC-MS等)を用いて分析することにより、当該アミノ酸の絶対立体配置を決定することができる。具体的には、当該ラベル化されたアミノ酸と絶対立体配置が既知の標品とをHPLC、LC-MS等で分析し、両者の溶出時間(保持時間)を比較することにより、当該アミノ酸の絶対立体配置を決定することができる。
本発明の式(1A)で表される化合物は、不斉中心(特に不斉炭素)を有する化合物(特にアミノ酸等)の絶対立体配置を決定するための光学分割ラベル化剤として好適である。具体的には、弱塩基の存在下に、アミノ酸及び式(1A)で表される化合物を反応して、式(1A)で表される化合物でラベル化されたアミノ酸を調製する。それをHPLC、LC-MS等を用いて分析し溶出時間(保持時間)を測定することにより、高い分離能で且つ極めて高感度でラベル化アミノ酸の異性体(ジアステレオマー等)を検出することができる。各異性体の溶出時間と、標品である絶対立体配置が既知のラベル化されたアミノ酸の溶出時間とを対比することにより、アミノ酸の絶対立体配置を正確且つ高感度で決定することができる。
微量の稀少ペプチド系天然物の構成アミノ酸の構造決定をする場合、ラセミ化を抑制するためにより温和な条件下で加水分解を実施すると、構成アミノ酸の収量が極微量となることがある。その場合でも、本発明の式(1A)で表される化合物を用いることにより、より高感度でアミノ酸の絶対立体配置を決定することができる。
本発明の式(1A)で表される化合物を用いたラベル化されたアミノ酸の分析(LC-MS)結果は、従来の非特許文献1及び2に記載されたL-FDAAでラベル化されたアミノ酸の分析結果と比較して、中性アミノ酸であるロイシンのラベル化体では約10倍、塩基性アミノ酸であるリシンのラベル化体では約9倍、酸性アミノ酸であるグルタミン酸のラベル化体では約7倍の感度向上が認められた(例えば、表1~3、図1-1、図1-2、図2及び図3を参照)。
特に、検出装置のイオン化法としてエレクトロスプレーイオン化(ESI)法を使用し、ポジティブイオン化モードにより検出することで、より高感度の分析が可能である。式(1A)で表される化合物でラベル化されたアミノ酸は、分子内に第三級アミン構造を有しており、その窒素原子が容易にプロトン付加を受けることにより陽イオン化効率が向上するため、ポジティブイオン化モードでの検出感度が飛躍的に向上していると考えられる。
本発明の光学分割ラベル化剤でラベル化したアミノ酸の異性体(ジアステレオマー)分離能は、非特許文献1及び2に記載された既存の光学分割ラベル化剤でラベル化したものと同等以上である(例えば、表4、図4及び図5と非特許文献3とを参照)。
本発明の式(1)で表される化合物は、短工程で簡便かつ安価に製造することができ、再結晶により容易に精製できる。また、保存安定性にも優れ、空気中、室温、遮光条件にて安定に保存可能である。
本発明の式(1)で表される化合物は上記のような特徴を有しているため、様々な分野で用いられるアミノ酸分析用試薬として有用である。
実施例2(2)で行ったL-ロイシンの各種ラベル化体の検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 実施例2(2)において、L-ロイシンの各種ラベル化体の濃度を変化させて、それらの検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 実施例2(3)で行ったL-リシンの各種ラベル化体の検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 実施例2(4)で行ったL-グルタミン酸の各種ラベル化体の検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 実施例2(5)で行った各種アミノ酸の化合物(1a)によるラベル化体の分離及び検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 実施例2(6)で行った各種アミノ酸の化合物(1c)によるラベル化体の分離及び検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を示す。 化合物(1a)の保存前と3週間保存した後のHPLC結果を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「含む」なる表現については、「含む」、「実質的にからなる」及び「からなる」の概念を包含する。
1.フルオロジニトロフェニル化合物
本発明のフルオロジニトロフェニル化合物は、式(1)で表される化合物又はその塩(特に、式(1A)で表される化合物又はその塩)であり、光学分割ラベル化剤として有用である。
式(1)で表される化合物において、R及びRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。好ましくはC1~C20アルキル基であり、より好ましくはC1~C10アルキル基であり、さらに好ましくはC1~C6アルキル基であり、特に好ましくはC1~C4アルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。とりわけ、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基が好ましい。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、
(1)保護されていてもよい水酸基(当該水酸基の保護基として、例えば、トリアルキル(特にC1~C4アルキル)シリル基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基等が挙げられる。)、
(2)アルコキシ基(特にC1~C4アルコキシ基等が挙げられる。)、
(3)保護されていてもよいカルボキシル基(当該カルボキシル基の保護基としては、例えば、アリル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。)、
(4)アミド基(当該アミド基の窒素原子は1又は2個のアルキル基(特にC1~C4アルキル基)を有していてもよい。)、
(5)保護されていてもよいアミノ基(当該アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。)、
(6)保護されていてもよいグアニジノ基(当該グアニジノ基の保護基としては、トシル基、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。)、
(7)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種(特に1~3種)の基で置換されていてもよいアリール基(当該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル基等のC1~C4アルキル基が挙げられる。)、
(8)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種(特に1~3種)の基で置換されていてもよいヘテロアリール基(当該ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、インドリル基等が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル基等のC1~C4アルキル基が挙げられる。)、
(9)保護されていてもよいメルカプト基(当該メルカプト基の保護基としては、例えば、アルキル基(特にC1~C4アルキル基)等が挙げられる。)、
等が挙げられる。当該アルキル基は、これらの置換基からなる群より選択される少なくとも1種(特に1~3種)の基を有していてもよい。
及びRで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記アルキル基が有していてもよい置換基を挙げることができる。当該アリール基は、これらの置換基からなる群より選択される少なくとも1種(さらに1~5種、特に1~3種)の基を有していてもよい。
及びRで示される「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、例えば、環を構成する原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含むヘテロアリール基が挙げられる。具体的には、ピリジル基、イミダゾリル基、インドリル基等が挙げられる。
当該ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記アルキル基が有していてもよい置換基を挙げることができる。当該ヘテロアリール基は、これらの置換基からなる群より選択される少なくとも1種(さらに1~4種、特に1~3種)の基を有していてもよい。
式(1)で表される化合物において、R及びRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有していてもよいアリール基」及び「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」としては、上記R及びRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有していてもよいアリール基」及び「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」において記載したものの中から任意に選択することができる。
及びRは互いに結合して隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよく、当該環は置換基を有していてもよい。R及びRが互いに結合して隣接する窒素原子とともに形成する環としては、例えば、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環等が挙げられる。
当該環が有していてもよい置換基としては、例えば、上記アルキル基が有していてもよい置換基を挙げることができる。当該環は、これらの置換基からなる群より選択される少なくとも1種(さらに1~4種、特に1~3種)の基を有していてもよい
Alkで示されるアルキレン基としては、鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。好ましくはC2~C10アルキレン基であり、より好ましくはC2~C6アルキレン基であり、さらに好ましくはC2~C5アルキレン基であり、特に好ましくはC2~C3アルキレン基である。具体的には、例えば、ジメチレン基(-CH2CH2-)、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)、テトラメチレン基(-CH2CH2CH2CH2-)、-CH(i-Pr)CH2-等が挙げられる。
式(1)において、R及びRが異なる場合にはR及びRが結合する炭素原子は不斉炭素となり得る。この場合、式(1)で表される化合物は、当該不斉炭素の立体化学が、R体、L体、R体及びL体の任意の混合物(R体及びL体の等量混合物;ラセミ体)のいずれをも包含する。
式(1)で表される化合物は、塩を形成することもできる。当該化合物は特徴的な第三級アミン(Alk-NR)構造を有するため、所定の酸(無機酸又は有機酸)と塩を形成することができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、安息香酸等)、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等)が挙げられる。
式(1)で表される化合物が酸性基(カルボキシル基等)を有する場合、当該化合物が有する第三級アミン構造と分子内で塩を形成することができる。
式(1)で表される化合物又はその塩の好ましい態様として、式(1A)で表される化合物又はその塩が挙げられる。
1A及びR2Aで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有していてもよいアリール基」、及び「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」としては、それぞれ、上記R及びRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」「置換基を有していてもよいアリール基」、及び「置換基を有していてもよいヘテロアリール基」において記載したものの中から任意に選択することができる。
1A又はR2Aは、好ましくは「置換基を有していてもよいアルキル基」であり、より好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは鎖状又は分岐状のC1~C6アルキル基であり、特に好ましくは鎖状又は分岐状のC1~C4アルキル基(例えば、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基等)である。
1A及びR2Aのいずれか一方が水素原子であり、他方が置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくはC1~C6アルキル基)であり、AlkがC2~C10アルキレン基(好ましくはC2~C5アルキレン基)である、化合物が好ましい。
1A及びR2Aが結合するC*の立体化学は絶対立体配置を示すことから、式(1A)で表される化合物は、次の式(1A-1)又は(1A-2)で表されるいずれかの光学活性な化合物を包含する。
Figure 0007302847000006
(式中、R1A、R2A、R、R及びAlkは前記に同じ。C*の立体化学は絶対立体配置を示す。)
2.製造方法
式(1)で表される化合物又はその塩は、例えば、次のようにして製造することができる。
Figure 0007302847000007
(式中、Yはアミノ基の保護基を示す。R、R、R、R及びAlkは前記に同じ。)
(2)+(3)→(4):
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とをアミド化反応(縮合反応)させて式(4)で表される化合物を得る。
Yで示されるアミノ基の保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、ベンジル基等が挙げられる。これらの保護基を用いたアミノ基の保護及び脱保護は、いずれも公知の方法(例えば、Protecting Groups: Foundations of Organic Chemistry, Thieme Publishing Group; 3rd Edition)に従い又は準じて実施することができる。
アミド化反応は、公知の方法を用いて実施することできる。例えば、混酸無水物法、酸クロライド法、縮合剤を用いる方法等が挙げられる。典型例として、混酸無水物法を用いる方法を以下に説明する。
式(2)で表される化合物を、塩基(例えば、N-メチルモルホリン等)の存在下、クロロギ酸エステル(例えば、クロロギ酸イソブチル等)又はカルボン酸クロライド(例えば、アセチルクロライド等)を反応させ混酸無水物を形成し、これに式(3)で表される化合物を反応させることにより、式(4)で表される化合物を得る。
アミド化反応に用いる溶媒は、通常、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、アミド溶媒(例えば、DMF、DMA、NMP等)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン等)等が挙げられる。
塩基の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、1~2モル(特に、1~1.5モル)である。
クロロギ酸エステル又はカルボン酸クロライドの使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、1~2モル(特に、1~1.5モル)である。
式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、1~2モル(特に、1~1.5モル)である。
アミド化反応は、通常、-20~50℃(特に、0℃~室温(例えば25℃)程度)で実施することができる。
反応終了後は、公知の単離又は精製手段(抽出、洗浄、濃縮、再結晶、カラムクロマトグラフィー等)を用いて、式(4)で表される化合物を得ることができる。
(4)→(5):
式(4)で表される化合物の保護基(Y)を除去することにより、式(5)で表される化合物を得る。
式(4)で表される化合物のアミノ基の保護基(Y)は、保護基の種類に応じて、公知の方法(例えば、Protecting Groups: Foundations of Organic Chemistry, Thieme Publishing Group; 3rd Edition)により除去(脱保護)することができる。例えば、アミノ基の保護基がBoc基の場合、溶媒(例えば、ジクロロメタン等)の存在下又は非存在下、酸(例えば、トリフルオロ酢酸等)で処理することにより脱保護し、式(5)で表される化合物を得る。
脱保護反応終了後は、反応液から過剰の酸を除去して、次の反応に供することができる。必要に応じて公知の方法を用いて精製することもできる。
式(5)で表される化合物は、分子内にアミノ基(-NH)及び第三級アミン(Alk-NR)構造を有するため、酸とともに塩を形成していてもよい。当該酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、安息香酸等)、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等)の有機酸が挙げられる。
(5)+(6)→(1):
式(5)で表される化合物又はその塩と、式(6)で表される化合物とを反応させることにより、式(1)で表される化合物を得る。式(6)で表される化合物は、市販されているか、或いは公知の方法に従い又は準じて当業者が容易に製造することができる。
本反応は、通常、溶媒の存在下、塩基の存在下で実施することができる。
溶媒としては、通常、水、ケトン溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、アミド溶媒(例えば、DMF、DMA、NMP等)等が挙げられる。これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。
塩基としては、通常、無機塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等)、又は有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。無機塩基を用いる場合、水溶液の形態で用いることが好ましい。
塩基の使用量は、式(5)で表される化合物1モルに対し、通常、1~3モル(特に、1~2.5モル)である。
式(6)で表される化合物の使用量は、式(5)で表される化合物1モルに対し、通常、1~2モル(特に、1~1.5モル)である。
反応温度は、通常、0℃~60℃程度であり、好ましくは5℃~50℃程度である。反応時間は、通常、1分~5時間程度であり、好ましくは10分~3時間程度である。
反応終了後は、公知の単離又は精製手段(抽出、洗浄、濃縮、再結晶、カラムクロマトグラフィー等)を用いて式(1)で表される化合物を得ることができる。
式(1A)で表される化合物は、式(1)で表される化合物に包含され、下記反応式2に示すように、反応式1と同様にして製造することができる。つまり、原料として式(2A)で表される化合物を用いて、式(4A)で表される化合物、ついで式(5A)で表される化合物を調製し、この式(5A)で表される化合物又はその塩と式(6)で表される化合物を反応させることにより、式(1A)で表される化合物を製造することができる。
Figure 0007302847000008
(式中、R1A、R2A、R、R、Alk、Y及びC*は前記に同じ。)
本発明の式(1)で表される化合物は、上記反応式1及び2で示されるように、短工程で簡便かつ安価に製造することができる。また、式(1)で表される化合物は、通常、再結晶により容易に精製できる。また、式(1)で表される化合物は、保存安定性にも優れている。特に、R又はRが置換基を有していてもよいアルキル基(特にアルキル基)の場合は、これらの特徴が良く当てはまる。
3.用途
本発明の式(1)で表される化合物(特に、式(1A)で表される化合物)は、不斉中心を有する化合物(特にアミノ酸)の絶対立体配置を決定するための光学分割ラベル化剤として有用である。
具体的には、
(1)不斉中心を有する化合物と、式(1A)で表される化合物を含む光学分割ラベル化剤とを反応させてラベル化された化合物を調製する工程、及び
(2)当該ラベル化された化合物を分析することにより、不斉中心を有する化合物の絶対立体配置を決定する工程、
を含むことで、不斉中心を有する化合物(特にアミノ酸)の絶対立体配置を決定することができる。
不斉中心を有する化合物としては、例えば、不斉炭素を1個以上(特に1個)有し、分子内にアミノ基を有している化合物が挙げられる。具体的には、アミノ酸(α-アミノ酸、β-アミノ酸等)、その誘導体(ジペプチド、トリペプチド等)等が挙げられる。
典型例として、各種α-アミノ酸を本発明の光学分割ラベル化剤でラベル化する場合について説明する。検出対象である式(7)で表されるアミノ酸と、式(1A)で表される化合物を反応させて、式(8A)で表されるラベル化されたアミノ酸を調製する。反応は、水及び/又は水溶性有機溶媒(例えばアセトン等)中、塩基(例えば炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩)の存在下に、両者を反応させることより、式(8A)で表されるラベル化されたアミノ酸を得る。
Figure 0007302847000009
(式中、Rはα-アミノ酸の側鎖を示す。C**は絶対立体配置が決定される不斉炭素原子を示す。R1A、R2A、R、R、Alk及びC*は前記に同じ。)
本ラベル化反応は温和な条件で進行し(芳香族求核置換反応)、収率よくラベル化アミノ酸(特に式(8A)で表されるラベル化アミノ酸)を与える。このラベル化アミノ酸を、HPLC、LC-MS等で分析することにより、アミノ酸の絶対立体配置(特に上記C**の立体配置)を決定することができる。具体的には、HPLC又はLC-MS(EIC)分析を用いて、検査対象のラベル化アミノ酸の保持時間(溶出時間)と、予め絶対配置が既知のラベル化アミノ酸の標品の保持時間(溶出時間)とを対比することにより、アミノ酸(特にα-アミノ酸)の絶対立体配置を決定することができる。
HPLCの条件としては、一般的な条件を作用することができ特に限定はない。ラベル化アミノ酸は、340nm付近に特徴的なUV吸収を持つため、UV340nmにより検出することができる。
LC-MS(EIC)の条件としては、一般的な条件を作用することができ特に限定はない。例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いたポジティブイオン化モードを採用することができる。
式(8A)で表されるラベル化アミノ酸は、分子内に第三級アミン(-Alk-NR)構造を有するため、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いたポジティブイオン化モードにおいて分析した場合、その量が極微量であっても、分離性が良く且つ極めて高感度でその絶対立体配置を検出することができる。これは、第三級アミン構造の窒素原子が容易にプロトン付加を受けることにより、陽イオン化の効率が向上するため、ポジティブイオン化モードでの検出感度が飛躍的に向上するためである。そのため、本発明の光学分割ラベル化剤を用いた場合には、非特許文献1~3で報告されている従来の光学分割ラベル化剤(L-FDAA、L-FDVA等)を用いた場合に比べて、高い分離能で且つより高感度でラベル化アミノ酸を検出することができる(例えば、実施例2の(2)~(5)、表1~表4、図1-1~図5を参照)。
式(1A)で表される化合物を含む光学分割ラベル化剤のC*が、L-アミノ酸由来の絶対立体配置を有する場合、これを用いて式(7)で表されるアミノ酸をラベル化して、HPLC又はLC-MS(EIC)分析した場合、一般に、L-アミノ酸のラベル化体、次いでD-アミノ酸のラベル化体の順で検出される。
本発明の式(1)で表される化合物(特に式(1A)で表される化合物)を含む光学分割ラベル化剤は、例えば、食品、化粧品、医薬、農薬、化学分野などにおけるアミノ酸分析用試薬として有用である。
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例(化合物(1a)~(1d)の合成)
以下の方法に従い、化合物(1a)~(1d)を合成した。
Figure 0007302847000010
<合成方法>
Figure 0007302847000011
(1)化合物(1a)の合成
Boc-L-バリン(2a) (R1=i-Pr, R2=H)(585 mg)のTHF (13 mL)溶液に、0℃の条件下、N-メチルモルホリン(0.33 mL)とクロロギ酸イソブチル(0.39 mL)を加え10分間撹拌した。次に0 ℃から室温に戻し、N,N-ジメチルエチレンジアミン (0.59 mL)とDMF (10 mL)を加え2時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。続いて酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水で2回洗浄したのち硫酸マグネシウムで乾燥させた。残った反応物の酢酸エチル溶液を酢酸エチルとヘキサンによる再結晶で精製したところ、化合物(4a)(R1=i-Pr, R2=H)を649 mg(収率84%)得た。
得られた化合物(4a) (106 mg)のジクロロメタン(6 mL)溶液にトリフルオロ酢酸(TFA)を2 mL加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、トルエンで3回共沸させTFAを完全に除去した後、化合物(5a)の粗生成物を得た。
得られた化合物(5a)の粗生成物にアセトン(3 mL)を加え溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.3 mL)、DFDNB (90.6 mg)を加え、40 ℃の条件下1時間撹拌した。反応混合物に水を加え、ろ紙を用いてろ過し、水:アセトン(19:1)溶液で洗浄した。ろ紙上の残渣をアセトンに溶解させ減圧濃縮し、アセトンとヘキサンによる再結晶で精製したところ、目的化合物(1a)を108 mg (収率79%)得た。
L-FDVDA (1a):
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.11 (d, J=7.4 Hz, 1H), 8.96 (d, J=7.4 Hz, 1H), 8.90 (m, 1H), 6.84 (d, J=13.2 Hz, 1H), 4.18 (t, J=6.9 Hz, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.22 (t, J=5.4 Hz, 2H), 2.88 (s, 6H), 2.40 (m, 1H), 1.11 (d, J=6.9 Hz, 3H), 1.08 (d, J=6.9 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 170.29, 160.98, 158.82, 149.01, 128.02, 125.99, 101.90, 63.02, 58.09, 43.39, 34.42, 31.55, 19.30, 18.29;
HRMS(ESI) calcd for C15H23FN5O5 [M+H]+372.1678, found 372.1685;
[α]D 20=37.03 (c=0.79, アセトン);
(2)化合物(1b)~(1d)の合成
化合物(1b)~(1d)はそれぞれ、対応する保護されたアミノ酸(Boc-D-バリン(2b)、Boc-L-ロイシン(2c)、Boc-D-ロイシン(2d))を原料に用いて、上記(1)の方法に従い合成した。
D-FDVDA (1b):
1H NMR及びHR-MS(ESI)はL-FDVDA (1a)と同一。
[α]D 20=-33.54 (c=0.71, アセトン)
L-FDLDA (1c):
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.15 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.73 (m, 1H), 6.57 (d, J=13.2 Hz, 1H), 6.53 (m, 1H), 4.00 (dd, J=13.7, 5.7 Hz, 1H), 3.33 (q, J=5.5 Hz, 2H), 2.37 (m, 2H), 2.14 (s, 6H), 1.85-1.75 (m, 3H), 1.04 (d, J=6.3 Hz 3H), 0.96 (d, J=6.3 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 169.94, 161.03, 158.87, 148.31, 127.76, 126.62, 102.11, 101.89, 57.30, 44.96, 41.87, 36.76, 25.06, 22.80, 21.87;
HRMS(ESI) calcd for C16H25FN5O5 [M+H]+ 386.1834, found 386.1833;
[α]D 20=21.46 (c=0.46, アセトン)
D-FDLDA (1d):
1H NMR及びHR-MS(ESI)はL-FDLDA (1c)と同一。
[α]D 20=-30.38 (c=0.62, アセトン)
比較例(L-FDAA及びL-FDLAの合成)
L-FDAA及びL-FDLAは下記で示される化合物である。これらの化合物は、非特許文献1~3の記載に従い又は準じて合成した。
Figure 0007302847000012
実施例2(ラベル化したアミノ酸の分析)
(1)アミノ酸のラベル化
下記式に従い、各種アミノ酸(7)を化合物(1a)又は(1c)と反応させてラベル化して化合物(8)を調製し、LC-MS分析を行った。
Figure 0007302847000013
L-リシン(R5=-(CH2)4-NH2)を化合物(1a)でラベル化する場合を典型例として説明する。
市販のL-リシン(0.05mg)水溶液(50μL)に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50μL)を加えた。さらに化合物(1a)のアセトン溶液(10mg/mL)を25μL加え、50℃で1時間撹拌した。次に反応混合物に1M塩酸を60μL加え、濃縮乾固した。得られた固形物にメタノール(500μL)を加え、孔径0.22μmのメンブレンフィルターでろ過し、得られたメタノール溶液をLC-MSで分析した。
上記典型例に従い、各種アミノ酸(L-ロイシン、L-リシン、L-グルタミン酸、アミノ酸混合物)を、化合物(1a)、化合物(1c)、L-FDAA、L-FDLAのそれぞれを用いてラベル化して、LC-MSで分析した。
LC-MS分析は(株)島津製作所製LC-MS8040を使用した。イオン化はESIのポジティブモードを用い、UV波長340nmでそれぞれラベル化体を検出した。ラベル化体の分離にはImtakt cadenza CD-C18(150mm ×3mm, 粒子径3μm)を使用した。カラムオーブンは40℃、流速は0.2mL/minに設定した。溶出液には0.1%ギ酸水溶液(A)、0.1%ギ酸アセトニトリル溶液(B)を使用した。
(2)L-ロイシンの各種ラベル化体の検出感度比較
上記(1)で調製した、L-ロイシンをL-FDLA、L-FDAA、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化した4種混合物を、50% Bアイソクラティック条件で分析した。結果は図1-1及び表1の通りである。各種ラベル化体のポジティブイオンのピーク強度を、UV340nmで検出した各種ラベル化体のピーク面積で除した値を算出し比較したところ、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化したL-ロイシンは、L-FDLA又はL-FDAAでラベル化したL-ロイシンと比較し、約10倍の検出感度上昇が認められた。またUV340nmによる検出と比較し、ESIポジティブモードでの検出では40倍以上の高感度で検出することができた。
Figure 0007302847000014
また、L-ロイシンの各種ラベル化体の濃度を変化させて、それらの検出感度を、HPLC(UV340nm)とLC-MS(ESIポジティブモード)で分析した結果を図1-2に示す。これより、LC-MS(EIC)を用いた場合には、HPLCを用いた場合に比べて、よりラベル化体が低濃度でも高感度に検出できることが確認された。
(3)L-リシンの各種ラベル化体の検出感度比較
上記(1)で調製した、L-リシンをL-FDLA、L-FDAA、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化した4種混合物を、55% Bアイソクラティック条件で分析した。結果は図2及び表2の通りである。各種ラベル化体のポジティブイオンのピーク強度を、UV340nmで検出した各種ラベル化体のピーク面積で除した値を算出し比較したところ、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化したL-リシンは、L-FDLA又はL-FDAAでラベル化したL-リシンと比較し、約3~9倍の検出感度上昇が認められた。またUV340nmによる検出と比較し、ESIポジティブモードでの検出ではおよそ10倍の高感度で検出することができた。
Figure 0007302847000015
(4)L-グルタミン酸の各種ラベル化体の検出感度比較
上記(1)で調製した、L-グルタミン酸をL-FDLA、L-FDAA、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化した4種混合物を、55% Bアイソクラティック条件で分析した。結果は図3及び表3の通りである。各種ラベル化体のポジティブイオンのピーク強度を、UV340nmで検出した各種ラベル化体のピーク面積で除した値を算出し比較したところ、化合物(1a)又は化合物(1c)でラベル化したL-グルタミン酸は、L-FDLA又はL-FDAAでラベル化したL-グルタミン酸と比較し、約7~10倍の検出感度上昇が認められた。またUV340nmによる検出と比較し、ESIポジティブモードでの検出ではおよそ20倍の高感度で検出することができた。
Figure 0007302847000016
(5)各種アミノ酸の化合物(1a)ラベル化体の分離
上記(1)で調製した、各種D, L-アミノ酸の混合物を化合物(1a)でラベル化した混合物を含むメタノール溶液のうち1μLを用いて、60分かけた25%~55% Bのグラジエント条件で分析した。結果は図4及び表4の通りである。
Figure 0007302847000017
(6)各種アミノ酸の化合物(1c)ラベル化体の分離
上記(1)で調製した、各種D, L-アミノ酸の混合物を化合物(1c)でラベル化した混合物を含むメタノール溶液のうち1μLを用いて、60分かけた30%~60% Bのグラジエント条件で分析した。結果は図5及び表4の通りである。
(7)化合物(1b)及び化合物(1d)を用いて各種アミノ酸のラベル化体を調製し、HPLC及びLC-MS分析した場合も、同様に分離性よく且つ高感度にラベル化体を検出することができる。
実施例3(化合物(1a)の安定性)
化合物(1a)を遮光下、室温で3週間静置後、HPLCを用いて安定性を検討した(測定条件、検出条件は図6中に記載)。その結果、化合物(1a)は非常に安定であり室温保存が可能であることが判明した。
本発明の式(1)で表される化合物は、高感度でアミノ酸等の絶対立体配置を分析することができるため、光学分割ラベル化剤として利用できる。また、様々な分野におけるアミノ酸分析試薬として有用である。

Claims (9)

  1. 式(1):
    Figure 0007302847000018
    (式中、R及びRは同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す。R及びRは同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を示す、或いはR及びRは互いに結合して隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよく、当該環は置換基を有していてもよい。Alkはアルキレン基を示す。)
    で表される化合物又はその塩。
  2. 式(1A):
    Figure 0007302847000019
    (式中、R1A及びR2Aは異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、R、R及びAlkは前記に同じ。R1A及びR2Aが結合するC*の立体化学は絶対立体配置を示す。)
    で表される化合物又はその塩である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 1A及びR2Aのいずれか一方が水素原子であり、他方が置換基を有していてもよいアルキル基であり、AlkがC2~C10アルキレン基である、請求項2に記載の化合物又はその塩。
  4. 1A及びR2Aで示される置換基を有していてもよいアルキル基が、下記の基;
    (1)保護されていてもよい水酸基、
    (2)アルコキシ基、
    (3)保護されていてもよいカルボキシル基、
    (4)アミド基、
    (5)保護されていてもよいアミノ基、
    (6)保護されていてもよいグアニジノ基、
    (7)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいアリール基、
    (8)アルキル基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいヘテロアリール基、及び
    (9)保護されていてもよいメルカプト基、
    からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換されていてもよいアルキル基である、請求項2又は3に記載の化合物又はその塩。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む光学分割ラベル化剤。
  6. 請求項1に記載の式(1)で表される化合物又はその塩の製法であって、式(5):
    Figure 0007302847000020
    (式中、R、R、R及びR及びAlkは前記に同じ。)
    で表される化合物又はその塩、及び、式(6):
    Figure 0007302847000021
    で表される化合物を反応させる工程を含む、製法。
  7. 請求項2に記載の式(1A)で表される化合物又はその塩の製法であって、式(5A):
    Figure 0007302847000022
    (式中、R1A、R2B、R及びR及びAlkは前記に同じ。)で表される化合物又はその塩、及び、式(6)

    Figure 0007302847000023
    で表される化合物を反応させる工程を含む、製法。
  8. 不斉中心を有する化合物の絶対立体配置を決定する方法であって、
    (1)当該不斉中心を有する化合物と、請求項5に記載の光学分割ラベル化剤とを反応させてラベル化された化合物を調製する工程、及び
    (2)当該ラベル化された化合物を分析することにより、不斉中心を有する化合物の絶対立体配置を決定する工程、
    を含む方法。
  9. 前記不斉中心を有する化合物がアミノ酸である、請求項8に記載の方法。
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