JP7314472B1 - グラビア、フレキソ又はスクリーンインキ及びその製造方法、並びに印刷物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献3に記載のインキは、コーヒーの抽出物をそのままの状態、すなわち、染料として使用している。そのため、食品包材用のインキとして用いる場合特に耐水性が不十分であるなど、堅牢性に劣ると考えられる。
(1)着色剤及び液状媒体を含有し、
前記着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素及び焙煎後のコーヒー豆の粉末のうちの少なくとも一方を含み、
積算粒子径分布の99%に対応した粒子径(D99)が0.5~300μmである、グラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。
焙煎されたコーヒー豆を準備することと、焙煎されたコーヒー豆から色素を抽出することと、前記色素を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるようにレーキ化することとを含むことにより前記抽出色素を製造する工程、及び/又は、
焙煎されたコーヒー豆を準備することと、焙煎されたコーヒー豆を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるように粉砕することとを含むことにより前記コーヒー豆の粉末を製造する工程、
を含む、グラビア、フレキソ又はスクリーンインキの製造方法。
本実施形態のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキ(以下、これらを総称して単に「インキ」とも呼ぶ。)は、着色剤及び液状媒体を含有し、着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素及び焙煎後のコーヒー豆の粉末のうちの少なくとも一方を含み、積算粒子径分布の99%に対応した粒子径(D99)(以下、単に「粒子径(D99)」とも呼ぶ。)が0.5~300μmであることを特徴としている。
本明細書において、インキの積算粒子径分布の99%に対応した粒子径(D99)は、体積基準の粒子径であり、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定することができる。
以下に本実施形態のインキの各成分について説明する。
本実施形態において、着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素の形態と、焙煎後のコーヒー豆の粉末の形態とがある。以下、それぞれの形態について詳述する。
本実施形態において、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素(以下、「コーヒー豆抽出色素」とも呼ぶ。)は、焙煎され褐色系の色調となったコーヒー豆から色素を抽出し、抽出した色素をレーキ化して得られる。すなわち、コーヒー豆抽出色素は、所定の粒子径を有し、褐色系の顔料として機能する。
なお、粒子径(D90)の測定は、レーザー回析式乾式粒度分布測定装置により行うことができる。
レーキ化度(%) = 100-コーヒー抽出色素の可溶性固形分値/金属塩の可溶性固形分値×100
可溶性固形分は屈折計やBrix計など既知の方法で測定することができる。
本実施形態において、焙煎後のコーヒー豆の粉末(以下、「コーヒー豆粉末」とも呼ぶ。)は、焙煎され褐色系の色調となったコーヒー豆を所定の粒子径となるように粉砕して得られる。
なお、コーヒー豆粉末の粒子径(D99)の測定は、コーヒー豆抽出色素と同様に測定することができる。
また、本実施形態のインキにおいては、着色剤として、コーヒー豆抽出色素及びコーヒー豆粉末の少なくとも一方に加え、カーボンブラックなど、一般的に使用される顔料を併用してもよい。
本実施形態のインキに使用する液状媒体としては、水又は有機溶剤が挙げられる。また、有機溶剤は、水溶性溶剤、非水溶性溶剤に分類できる。
水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等のグリコール溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶性溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、ブチルアセテート、メチルアセテート、ノルマルプロピルアセテート等のエステル溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、及びヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液状媒体としては、中でも、芳香族溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、アルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、グリコール溶剤、炭化水素溶剤及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態のインキは、インキの液滴を定着させ印刷物の耐性を向上させるため、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン樹脂、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、環化ゴム樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
なお、水溶性溶剤を使用する水性インキの場合、水性のバインダー樹脂が使用される。水性のバインダー樹脂としては、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、等が挙げられる。もっとも、水性インキの場合、バインダー樹脂は含有しなくてもよい。バインダー樹脂として生分解性を有する樹脂を用いる場合、インキ全体としての生分解性も期待することができる。
以下に、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン樹脂、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂について詳述する。
ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000~100,000のものが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂は、アミン価及び/又は水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましい。また、水酸基価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲であると、基材への接着性が向上する。
塩化ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニル由来の構造単位とその他モノマー由来の構造単位を含有するものであれば特に限定されない。中でも塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂が好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000がより好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、被膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
セルロース樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、及びニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000がより好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。
上記ニトロセルロースは、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。平均重合度は20~200の範囲のものが好ましく、30~150の範囲のものがより好ましい。平均重合度が20以上の場合、インキ被膜の強度が向上し、耐擦傷性が向上するため好ましい。又、平均重合度が200以下の場合、溶剤への溶解性、インキの低温安定性、併用樹脂との相溶性が向上するため好ましい。また、窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。
本実施形態でインキに使用するアクリル樹脂としては、不飽和二重結合を有するモノマーを、重合開始剤を用いて溶媒中で重合させることで得られるアクリル樹脂が使用可能である。ここで不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル化合物、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の少なくとも1個のN-置換メチロール基を含有する(メタ)アクリル酸アミド誘導体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類の(メタ)アクリル酸のモノまたはジエステル類、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン誘導体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の酸基を有するビニル化合物等が例示できる。本発明のグラビアインキのプラスチックフィルムに対する接着性、耐熱性の面から、カルボキシル基および/または水酸基を有するアクリル樹脂が好ましく、アクリル樹脂に水酸基を持たせる場合、アクリル樹脂として構成するモノマーとして(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物を含有するものが好ましい。以上のアクリル樹脂の重量平均分子量は、30,000~100,000の範囲であることが好ましい。また、アクリル樹脂はガラス転移温度(Tg)が40~110℃であることが好ましい。
ポリアミド樹脂は以下に限定されるものではないが、好ましくは多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得ることができる有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドである。特に、重合脂肪酸及び/又はダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂であることが好ましく、更には一級及び二級モノアミンを一部含有するものが好ましい。
多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
ロジン樹脂は、ロジン骨格を有する樹脂であれば特に限定されないが、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、ロジンフェノール、重合ロジンなどが好ましい。軟化点(環球法による)が90~200℃であることが好ましい。耐ブロッキング性を向上させるためである。またロジン系樹脂はポリウレタン樹脂と併用することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、通常、ジカルボン酸成分と、ジオール成分との重縮合、ジカルボン酸成分と、ジオール成分と、オキシカルボン酸成分との重縮合、ラクチド成分の開環重合等により得られる樹脂である。ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が0~100℃であることが好ましく、20~80℃であることがより好ましい。軟化点が20℃以上であると、塗膜形成時に良好な耐熱性が得られる。また、80℃以下の軟化点であると、基材への密着性が向上する。ポリエステル樹脂は数平均分子量が3000~100,000のものが好ましく、5000~40,000のものがより好ましい。数平均分子量が3000以上であると、塗膜形成時に良好な耐油性が得られる。また、100,000以下であると、インキにおいて適正な粘度を与えることが可能であり、良好な印刷適性が得られる。
中でも、バイオマス度を高める観点からポリ乳酸樹脂が好ましい。
ポリ乳酸樹脂とは、植物由来のデンプンや糖を原料とし、化学的な工程を経て製造されたポリ乳酸を主骨格とするバイオマスプラスチックであり、従来の石油を原料とするプラスチックとは異なり、使用後にコンポストまたは土中などの、水分と温度が適度な環境下に置くことで加水分解が促進され、その後、微生物による分解(生分解)が進行し、最終的にはCO2と水に完全に分解する生分解性樹脂である。工業的にはトウモロコシ等から生成したデンプンから作られた乳酸の環状二量体であるラクチドから合成されるポリエステル樹脂である。ポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸樹脂全体に対しポリ乳酸由来の構成単位を70~100質量%含むことが好ましく、90~100質量%含むことがより好ましい。
例えば、ポリ乳酸樹脂は、上記ラクチドを開環重合して得られる。具体的には、有機溶剤としての酢酸エチルと、モノマーとしてのラクチドと、重合開始剤とを、120~180℃で2~6時間撹拌加熱行うことで得ることができる。
ポリ乳酸樹は上記重合開始剤の化合物を構成単位として有していることが好ましく、性状の良いポリ乳酸樹脂を得ることができる。中でも、上記重合開始剤は、アルコール化合物であることが好ましい。当該アルコール化合物としてはモノアルコール、ジオールなどが好適に挙げられる。モノアルコールとしては炭素数5~20のアルコール化合物が挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、オクタノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコールなどが好適に挙げられる。ジオールとしてはジエチレングリコール、プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,9-ノナンジオールなどが好適に挙げられる。重合開始剤はポリ乳酸樹脂の全質量中、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以下であることが更に好ましい。なお、ポリ乳酸樹脂の製造には、反応効率向上のために酸性触媒、チタン、あるいはスズ系錯体を用いてもよい。
エポキシ樹脂は、軟化点が40~160℃であることが好ましく、60~140℃であることがより好ましい。軟化点が40℃以上であると、塗膜形成時に良好な耐熱性が得られる。また、160℃以下の軟化点であると、基材への密着性が向上する。エポキシ樹脂は重量平均分子量が500~100,000のものが好ましく、700~50,000のものがより好ましい。重量平均分子量が100以上であると、塗膜形成時に良好な耐油性が得られる。また、100,000以下であると、良好な光沢が得られる。
本実施形態のインキは、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、必要に応じて公知の添加剤、例えば顔料誘導体、顔料分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
インキ原料のバイオマス度は、インキ原料の固形成分中の全炭素原子のうち、動植物由来の炭素原子の割合である。炭素原子がすべて動植物由来である際はバイオマス度100%とする。原料の生産時に素原料として化石燃料等を併用している場合、もしくはすべての炭素が動植物由来か自明でない場合は放射性炭素年代測定により定量することができる。
インキのバイオマス度は、インキの中の全固形分に対するバイオマス由来の固形分が占める質量割合を%で示した値である。
本実施形態の印刷物は、上述の本実施形態のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキからなる印刷層を有する印刷物である。本実施形態の印刷物における印刷層は、本実施形態のインキを使用して印刷されてなるため堅牢性が高く、またバイオマス度が高い。
本実施形態のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキの製造方法は、着色剤及び液状媒体を含有し、着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素及び焙煎後のコーヒー豆の粉末のうちの少なくとも一方を含むグラビア、フレキソ又はスクリーンインキの製造方法である。そして、焙煎されたコーヒー豆を準備する(以下、「工程A-1」とも呼ぶ。)と、焙煎されたコーヒー豆から色素を抽出すること(以下、「工程A-2」とも呼ぶ。)と、色素を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるようにレーキ化すること(以下、「工程A-3」とも呼ぶ。)とを含むことにより抽出色素を製造する工程(以下、「工程A」とも呼ぶ。)、及び/又は、焙煎されたコーヒー豆を準備すること(以下、「工程B-1」とも呼ぶ。)と、焙煎されたコーヒー豆を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるように粉砕する工程(以下、「工程B-2」とも呼ぶ。)を含むことによりコーヒー豆の粉末を製造する工程(以下、「工程B」とも呼ぶ。)を含むことを特徴としている。
工程Aは、工程A-1~工程A-3を含むことにより抽出色素を製造する工程である。以下に工程A-1~工程A-3について説明する。
工程A-1は、焙煎されたコーヒー豆を準備する工程である。本工程において、焙煎されたコーヒー豆を準備するに当たり、未焙煎のコーヒー豆を焙煎してもよいし、市販のコーヒー豆等、既に焙煎されたコーヒー豆を入手してもよい。
未焙煎のコーヒー豆を焙煎する場合、焙煎方法としては、コーヒー豆が褐色系の色調となれば特に限定はなく、公知の焙煎方法を採用することができる。
あるいは、既に焙煎されたコーヒー豆を入手する場合、市販のコーヒー豆や賞味期限が切れて廃棄されるものを入手してもよい。
工程A-2は、焙煎されたコーヒー豆から色素を抽出する工程である。焙煎されたコーヒー豆からの色素の抽出は特に制限はなく、公知の抽出法により行うことができる。例えば、水抽出、熱水抽出、有機溶媒抽出により行うことができる。
工程A-3は、色素を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるようにレーキ化する工程である。工程A-2で抽出した色素は水溶性であるが、本工程において、水溶性の色素をレーキ化することで、所定の粒子径を有する、水に不溶な顔料とする。
なお、粒子径(D90)を所定の範囲内とする当たり、粒子径の調整は、レーキ化における、金属塩濃度の調整、レーキ化時の温度、レーキ化の時間の調整、篩過時のメッシュの目開きの調整等により行うことができる。
工程Bは、工程B-1~工程B-2を含むことによりコーヒー豆の粉末を製造する工程である。以下に工程B-1~工程B-2について説明する。
工程B-1は、焙煎されたコーヒー豆を準備する工程である。本工程は、工程A-1と同じであり、上述の工程A-1の説明がそのまま当てはまる。従って、説明を省略する。
工程B-2は、焙煎されたコーヒー豆を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるように粉砕する工程である。粉砕は、粉砕機を使用して行うことができる。粉砕機としては、例えば、ビーズミル、ローターミル、ジェットミル、ピンミル、ハンマーミル、ターボミル、ボールミル、産業用石臼等が挙げられる。粒子径(D90)が0.5~300μmとなるように粉砕するには、粉砕機の選定、粉砕時間の設定等により適宜行うことができる。
焙煎したコーヒー豆を準備し、コーヒーミルにより粉砕した。次いで、水で加熱抽出して色素を抽出した。その後、ミョウバンによって抽出した色素をレーキ化した。
レーキ色素を脱水後、ビーズミルで解砕し、メッシュを用いた篩過を行った。
抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を、レーザー開設式乾式粒度分布測定装置(株式会社日本レーザー製 HELOS&RODOS)により測定したところ40μmであった。また、レーキ化度を測定したところ、74.2%であった。
焙煎したコーヒー豆を準備し、コーヒーミルにより粉砕した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液で加熱抽出して色素を抽出した。その後、ミョウバンによって抽出した色素をレーキ化した。レーキ色素を脱水後、ビーズミルで解砕し、メッシュを用いた篩過を行った。
抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を、レーザー開設式乾式粒度分布測定装置(日本レーザー製 HELOS&RODOS)により測定したところ38μmであった。また、レーキ化度を測定したところ、76.2%であった。
篩過に用いるメッシュ目開きを変えることにより、抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を5μmとしたこと以外、コーヒー豆抽出色素DE1と同様にして作製した。また、レーキ化度を測定したところ、75.0%であった。
篩過に用いるメッシュ目開きを変えることにより、抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を290μmとしたこと以外、コーヒー豆抽出色素DE1と同様にして作製した。また、レーキ化度を測定したところ、74.5%であった。
篩過に用いるメッシュ目開きを変えることにより、抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を450μmとしたこと以外、コーヒー豆抽出色素DE1と同様にして作製した。また、レーキ化度を測定したところ、73.8%であった。
レーキ化しなかったこと以外、コーヒー豆抽出色素DE1と同様にして作製した。
抽出色素の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を、レーザー開設式乾式粒度分布測定装置(日本レーザー製 HELOS&RODOS)により測定したところ35μmであった。また、レーキ化度について、DE6はレーキ化処理をしていないため0%とした。
焙煎したコーヒー豆を準備し、脱脂効率を向上させるため脱脂後に産業用石臼により粉砕した。粉砕したコーヒー豆粉末を乾燥後、ビーズミルで解砕し、メッシュを用いた篩過を行った。コーヒー豆抽出色素1と同様にして、乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を測定したところ、5μmであった。
焙煎したコーヒー豆を準備し、産業用石臼により粉砕した。コーヒー豆抽出色素1と同様にして、乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)を測定したところ、78μmであった。
乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が308μmとなるように粉砕したこと以外はコーヒー豆粉末CG1と同様に粉砕した。
乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が390μmとなるように粉砕したこと以外はコーヒー豆粉末CG1と同様に粉砕した。
(液状媒体)
以下の比率は、質量比を表す。
・液状媒体1:ノルマルプロピルアセテート(NPAC):イソプロピルアルコール(IPA)=75%:25%の混合液
・液状媒体2:トルエン:メチルエチルケトン(MEK):イソプロピルアルコール(IPA)=40%:40%:20%の混合液
・液状媒体3:MCH(メチルシクロヘキサン):ノルマルプロピルアセテート(NPAC):イソプロピルアルコール(IPA)=35%:35%:30%の混合液
・液状媒体4:ノルマルプロピルアセテート(NPAC):ノルマルプロピルアルコール(NPA):プロピレングリコールモノプロピルエーテル=20%:75%:5%の混合液
・液状媒体5:水:イソプロピルアルコール(IPA)=95:5の混合液
・液状媒体6:プロピレングリコール:プロピレングリコールモノプロピルエーテル=50:50の混合液
・液状媒体7:シクロヘキサノン:γ-ブチロラクトン=50:50の混合液
・液状媒体8:シクロヘキサノン:エチレングリコールモノブチルエーテル=60:40の混合液
・液状媒体9:プロピレングリコール
・液状媒体10:水:プロピレングリコールモノプロピルエーテル=50:50の混合液
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液:日信化学工業株式会社製、ソルバインTAO 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7(質量比)の共重合樹脂、固形分30%酢酸エチル溶液
・ニトロセルロース樹脂溶液:NOBEL NC社製 DHX 40-70(H綿 固形分70%、バイオマス度47%)
・アクリル樹脂溶液:三菱レイヨン株式会社製、ダイヤナールBR-107 30%酢酸エチル/イソプロピルアルコール溶液、重量平均分子量60000、ガラス転移温度50℃、酸価3.5mgKOH/g
・ポリアミド樹脂溶液:築野食品工業株式会社製、ベジケムグリーン V725(軟化点129℃、バイオマス度82%)をイソプロパノール溶液に溶解し固形分30%に調整
・水性アクリル樹脂溶液:BASFジャパン株式会社製 JONCRYL63D (固形分30%)
・ポリウレタン合成に使用するポリエステルポリオールの合成
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、1,3-プロパンジオール(植物由来バイオマス度100%)26部、1,2-プロピレングリコール(植物由来バイオマス度100%)26部、コハク酸(植物由来バイオマス度100%)18 部、セバシン酸(植物由来バイオマス度100%)30部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/g、バイオマス度100%のポリエステルポリオールを得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、上記のポリエステルポリオールを23.6部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)4.68部、酢酸エチル7.5部、2-エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に120℃で6時間反応させ、酢酸プロピル7.5部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.72部、酢酸エチル34部及びイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)21部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、重量平均分子量71000、アミン価10mgKOH/g バイオマス度79%、固形分30%のポリウレタン樹脂溶液を得た。なお、バイオマス度とは化合物中に含まれる全炭素原子中の、動植物由来の炭素原子の割合をいう。
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、Mラクチドを100部、オクタノール0.1部を仕込み180℃到達後に2-エチルヘキサン酸スズを0.05部添加し2時間開環重合を行った後116%強リン酸0.08部を添加して減圧下脱残留ラクチドを行ったものを酢酸エチルで固形分50%に調整して、重量平均分子量50000のポリ乳酸樹脂溶液を得た。
温度計、撹拌機、還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール50.4部、数平均分子量2000のポリエチレングリコール 5.0部、シクロヘキサンジメタノール1.3部、ジメチロールブタン酸9.2部、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン6.4部、トリメチロールプロパン0.2部、及びメチルエチルケトン125部を混合、撹拌しながらイソホロンジイソシアネート27.6部を1時間かけて滴下し、80℃ 、6時間反応させた。次に、冷却しながら、28%アンモニア水2.5部とイオン交換水526部を上記溶剤型ウレタン樹脂に徐々に添滴下して中和することにより水溶化し、さらにメチルエチルケトンを減圧留去した後、水を加えて固形分調整を行うことで、水性ポリウレタン樹脂溶液を得た(重量平均分子量約40,000)。
・ポリウレタン樹脂溶液:DIC株式会社製 パンデックスT-5102A-23A(固形分23%)
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂:日信化学工業株式会社製、ソルバインC 塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13(質量比)の共重合樹脂
・アクリル樹脂溶液:三菱ケミカル株式会社製 ダイヤナールBR-77
・ロジン樹脂:ハリマ化成グループ株式会社製 ハリマックAS-5
・ポリエステル樹脂:東洋紡株式会社製 バイロン200 非晶性ポリエステル樹脂
・エポキシ樹脂:三菱ケミカル株式会社製 jER 1001
・環化ゴム樹脂:allnex社製 ALPEX CK514
・エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂:住友化学株式会社製 スミテートMB-11
・水性ポリウレタン樹脂溶液:Covestro Coating Resin社製 NeoRez R-960(固形分33%)
・水性アクリル樹脂溶液:BASFジャパン株式会社製 Joncryl 63D(固形分30%)
[実施例1](S1)
着色剤として焙煎後のコーヒー豆由来の抽出色素DE1 10部、液状媒体1 45部、ポリウレタン樹脂溶液30部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液15部をアイガーミル(アイガー社製)にて10分間分散し、油性グラビアインキ組成物S1を得た。
実施例1の方法に従って、同様に油性グラビアインキ組成物S2~S15及び油性フレキソインキ組成物S16を得た。配合組成を表1に示す。
実施例1の方法に従って、油性グラビアインキ組成物C1を得た。同様に、実施例1の方法に従って、インキ組成物C2、C3を得た。配合組成を表1に示す。
着色剤として焙煎後のコーヒー豆由来の抽出色素DE1 10部、液状媒体5 50部、水性アクリル樹脂溶液40部、をアイガーミルにて10分間分散し、水性グラビアインキ組成物S17を得た。
実施例17の方法に従って、同様に水性グラビアインキ組成物S18~S27及び水性フレキソインキ組成物S28を得た。配合組成を表2に示す。
実施例17の方法に従って、インキ組成物C4を得た。同様に、実施例17の方法に従って、インキ組成物C5,C6を得た。配合組成を表2に示す。
着色剤として焙煎後のコーヒー豆由来の抽出色素DE1 15部、液状媒体7 55部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液15部、アクリル樹脂溶液15部を、ミキサー回転式攪拌機を用いて均一に混合した後、3本ロール分散機を2パスして油性スクリーン印刷用インキ組成物S29を得た。
実施例29の方法に従って、同様に油性スクリーン印刷用インキ組成物S30~S39、S47及び水性スクリーン印刷用インキ組成物S40~S43、S51を得た。配合組成を表3に示す。
着色剤として焙煎後のコーヒー豆由来の抽出色素DE4 15部、液状媒体7 55部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液15部、アクリル樹脂溶液15部を、ミキサー回転式攪拌機を用いて均一に混合し油性スクリーン印刷用インキ組成物S44を得た。
実施例44の方法に従って、同様に油性又は水性スクリーン印刷用インキ組成物S45、S46、S48~S50を得た。配合組成を表3に示す。
実施例44の方法に従って、油性又は水性スクリーン印刷用インキ組成物C7~12を得た。配合組成を表3に示す。
得られた油性グラビアインキ組成物S1~S15、C1~C3のそれぞれ100部に対し、イソプロピルアルコール:酢酸n-プロピル混合溶剤(質量比25:75)を40部混合して希釈グラビアインキとした。
得られた油性フレキソインキ組成物S16の100部に対し、n-プロピルアルコール:酢酸n-プロピル混合溶剤(質量比80:20)を30部混合して希釈フレキソインキとした。
得られた水性グラビアインキ組成物S17~S27、C4~C6のそれぞれ100部に対し、水:IPA混合液(質量比95:5)を50部混合して希釈グラビアインキとした。
得られた水性フレキソインキ組成物S28の100部に対し、水:IPA混合液(質量比50:50)を10部混合して希釈フレキソインキとした。
調製した各インキの粒子径(D99)をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックMT3000IIシリーズ)により測定した。測定結果を表1~2に示す。
各インキの印刷面を水で濡らした綿棒で擦り、綿棒への色移りの程度を下記の色彩勾配に基づき以下のA~Cで評価を行った。
色彩勾配(色コード(16進法)) (淡色)#ffffff、#fcf7f0、#f8efe2、#f4e7d3、#f0dfc5、#ecd8b7、#e7d0a9、#bcaa8b、#94856d、#6d6251、#484237、#26231f、#000000(濃色)
A:色移りなし
B:#ffffffより濃色 ~ #f8efe2と同等もしくはより淡色
C:#f8efe2より濃色
A,Bは実用上問題がない範囲である。
(1)油性グラビアインキの濃度評価:インキ組成物S1~S15、C1~C3について、グラビア希釈インキを175L/inch、135度 コンプレストのグラビアシリンダー(東洋FPP株式会社製)で市販の片面コロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PET、厚さ12μm)の処理面上に印刷し印刷物を得た。
(2)水性グラビアインキの濃度評価:インキ組成物S17~S27、C4~C6について、グラビア希釈インキを版深15μのグラビアシリンダー(東洋FPP株式会社製)で漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙株式会社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m2)の艶を有しない面に印刷し印刷物を得た。
(3)油性フレキソインキの濃度評価:インキ組成物S16について、フレキソ希釈インキをフレキソ印刷機(アニロックス条件:900LPI,3cc/m2)にて市販の片面コロナ処理PET(厚さ12μm)の処理面上に印刷し印刷物を得た。
(4)水性フレキソインキの濃度評価:インキ組成物S28について、フレキソ希釈インキをフレキソ印刷機(アニロックス条件:900LPI,3cc/m2)で漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙株式会社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m2)の艶を有しない面に印刷し印刷物を得た。
[評点基準]
印刷物のベタ部の濃度をエックスライト社製X-Rite分光濃度計を用いて白色台紙上で反射濃度測定しL値に基づき以下のA~Cで評価を行った。
A:L値が80以下
B:L値が80以上88未満
C:L値が88以上
A,Bは実用上問題がない範囲である。
(1)グラビアインキのスジ評価:得られたグラビア希釈インキを周長600mmのグラビアシリンダーにセラミックドクターをドクター圧2.0kg/cm2でセットし100m/分の印刷速度で空転させて10分後の版面の状態に基づき以下のA~Cで評価を行った。
A:スジの発生が認められない。
B:1本以上3本以下のスジ発生が認められる。
C:4本以上のスジ発生が認められる。
A,Bは実用上問題がない範囲である。
(2)フレキソインキのスジ評価:得られたフレキソ希釈インキをフレキソ印刷機(アニロックス条件:900LPI,3cc/m2、版条件:ベタ版)にセットし70m/分の印刷速度で空転させて10分後の版面の状態に基づき以下のA~Cで評価を行った。
評点基準
A:スジの発生が認められない。
B:1本以上3本以下のスジ発生が認められる。
C:4本以上のスジ発生が認められる。
A,Bは実用上問題がない範囲である。
インキのバイオマス度とはインキの固形分の化合物中に含まれる植物由来その他のバイオマス由来の割合をいう。バイオマス度= 100 × 該当化合物のバイオマス由来成分質量/ 該当化合物の総質量で表される。ただし、該当化合物が、バイオマス由来原料と、バイオマス由来でない原料との反応物である場合、反応前の原料に換算して、計算する。例えば、二塩基酸とジオールとの反応物であるポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)の場合、バイオマス度= 100 × ( バイオマス二塩基酸+ バイオマス由来ジオール) / (すべての二塩基酸+すべてのジオール)「すべての二塩基酸+すべてのジオール」とは、バイオマス由来およびバイオマス由来でない二塩基酸、およびバイオマス由来およびバイオマス由来でないジオールの合計をいう。
一方、インキの粒子径(D99)が過大な比較例4はスジ汚れが生じ、グラビアインキ等の適性に劣っていた。また、レーキ化していない色素を着色剤として用いた比較例5は耐水性に劣り、かつ、高濃度で印刷ができなかった。さらに、インキの粒子径(D99)が過大な比較例6は耐水性に劣り、かつ、スジ汚れが生じグラビアインキ等の適性に劣っていた。
調製した各インキの粒子径(D99)をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックMT3000IIシリーズ)により測定した。測定結果を表3~4に示す。
(1)油性スクリーン印刷用インキの濃度評価:実施例29~39、44~47について、スクリーン印刷用インキをスクリーン刷版(ポリエステルメッシュ T-100(線径0.054mm、線数100mesh/Inch、乳剤厚20μm、バイアス各22.5°)を用いて市販の片面コロナ処理PET(厚さ125μm)の処理面上にスクリーン印刷してスクリーン印刷物を得た。
(2)水性スクリーン印刷用インキの濃度評価: 実施例40~43、48~51について、スクリーン印刷用インキをスクリーン刷版(ポリエステルメッシュ T-100(線径0.054mm、線数100mesh/Inch、乳剤厚20μm、バイアス各22.5°)を用いて厚紙(ボール紙、ミルクカートン紙、ケント紙、段ボール紙)のいずれかの基材にスクリーン印刷してスクリーン印刷物を得た。
[評点基準]
印刷物のベタ部の濃度をエックスライト社製X-Rite分光濃度計を用いて反射濃度測定しL値に基づき以下のA~Cで評価を行った。
A:L値が50未満
B:L値が50以上60未満
C:L値が60以上
A,Bは実用上問題がない範囲である
スクリーン印刷用インキをスクリーン刷版(ポリエステルメッシュ テトロンT-100(線径0.054mm、線数100mesh/Inch、乳剤厚20μm、バイアス各22.5°))を用いて市販の片面コロナ処理PET(厚さ125μm)の処理面上にスクリーン印刷し、初期5ショットの平均の転移量を基準とし、20ショット後の転移量の変化に基づき以下のA~Cでメッシュ詰まりを評価した。
[転移率変化]=100%-[20ショット後の転移量]/[初期5ショットの平均の転移量]
A:転移率変化が0%以上5%未満
B:転移率変化が5%以上20%未満
C:転移率変化が20%以上もしくはメッシュを通過できない残渣が視認できる
A,Bは実用上問題がない範囲である。
一方、インキの粒子径(D99)が過大な比較例7及び10はメッシュ詰まりが生じ、スクリーンインキの適性に劣っていた。また、レーキ化していない色素を着色剤として用いた比較例8及び11は耐水性に劣り、かつ、高濃度で印刷ができなかった。さらに、コーヒー豆粉末を使用し、インキの粒子径(D99)が過大な比較例9及び12は耐水性に劣り、かつ、メッシュ詰まりが生じスクリーンインキの適性に劣っていた。
Claims (7)
- 着色剤及び液状媒体を含有し、
前記着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素及び焙煎後のコーヒー豆の粉末のうちの少なくとも一方を含み、
積算粒子径分布の99%に対応した粒子径(D99)が0.5~300μmである、グラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。 - 前記抽出色素又は前記焙煎後のコーヒー豆の粉末の乾燥状態における積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmである、請求項1に記載のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。
- 前記液状媒体が、芳香族溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、アルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、グリコール溶剤、炭化水素溶剤及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。
- さらに、バインダー樹脂を含む、請求項1又は2に記載のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。
- 前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、環化ゴム樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項4に記載のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキ。
- 請求項1又は2に記載のグラビア、フレキソ又はスクリーンインキからなる印刷層を有する、印刷物。
- 着色剤及び液状媒体を含有し、前記着色剤は、焙煎後のコーヒー豆由来のレーキ化された抽出色素及び焙煎後のコーヒー豆の粉末のうちの少なくとも一方を含むグラビア、フレキソ又はスクリーンインキの製造方法であって、
焙煎されたコーヒー豆を準備することと、焙煎されたコーヒー豆から色素を抽出することと、前記色素を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるようにレーキ化することとを含むことにより前記抽出色素を製造する工程、及び/又は、
焙煎されたコーヒー豆を準備することと、焙煎されたコーヒー豆を、積算粒子径分布の90%に対応した粒子径(D90)が0.5~300μmとなるように粉砕することとを含むことにより前記コーヒー豆の粉末を製造する工程、
を含む、グラビア、フレキソ又はスクリーンインキの製造方法。
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