JP7314101B2 - 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置 - Google Patents

被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7314101B2
JP7314101B2 JP2020108889A JP2020108889A JP7314101B2 JP 7314101 B2 JP7314101 B2 JP 7314101B2 JP 2020108889 A JP2020108889 A JP 2020108889A JP 2020108889 A JP2020108889 A JP 2020108889A JP 7314101 B2 JP7314101 B2 JP 7314101B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
membrane
treated
filtration
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020108889A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022006582A (ja
Inventor
吉英 貝谷
拓也 岩本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Swing Corp
Original Assignee
Swing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Swing Corp filed Critical Swing Corp
Priority to JP2020108889A priority Critical patent/JP7314101B2/ja
Publication of JP2022006582A publication Critical patent/JP2022006582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7314101B2 publication Critical patent/JP7314101B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)

Description

特許法第30条第2項適用 令和1年10月 7日に公益社団法人 日本水道協会より発行された令和元年度全国会議(水道研究発表会)講演集、第286~287頁にて公開
本発明は、被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置に関し、特に、分離膜を用いて処理される被被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置に関する。
従来、浄水処理では固液分離プロセスとして砂ろ過が主流であったが、近年では、より高度な固液分離が期待できる精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた低圧膜ろ過法の導入が進んでいる。
そして、昨今は、中大規模の浄水場の老朽化に伴う更新設備に膜ろ過を適用するケースが多くなっているが、その場合、水道原水として河川水などの表流水を利用しているため、色度成分などの溶解性物質除去の観点から膜前処理として凝集処理を組み合わせる場合が多い。
前処理としての凝集処理は、膜ろ過法の課題の一つである有機性膜汚染の原因物質であるバイオポリマーの低減にも有効であるが、一方で、残留凝集剤による膜汚染の問題が生じる。
浄水処理における凝集では、ポリ塩化アルミニウム(PACl)や硫酸バンド(Alm)などのアルミニウム系凝集剤が用いられるため、凝集処理水中に存在する残留アルミニウムが膜汚染の原因物質となる。
残留アルミニウムによる膜汚染は、凝集剤注入率や凝集pH、加えて、原水の有機物構成成分に影響されると言われているが、その詳細は未だ明らかになっていない。
従来の砂ろ過法の場合、水質基準の観点から、濁度、色度、有機物指標などに着目してジャーテストにより最適な凝集剤注入率や凝集pHを決定するが、膜ろ過法の場合、膜汚染の観点からも凝集条件を選定する必要がある。
従来の凝集沈殿砂ろ過の場合、凝集対象物質は、膜ろ過法における膜孔径より大きい、いわゆる、濁度成分と、それよりも小さい溶解性成分に含まれるフミン物質に代表される色度成分やバイオポリマーと呼ばれる有機物群である。
比較的清澄な水道原水の場合、色度成分の濃度は低いので、凝集剤の注入率は濁度成分に対する必要量で選択される。
比較的汚染が進行している水道原水の場合には、濁度成分と色度成分を含む溶解性有機物が共存する事になるが、凝集処理条件は、後者の色度成分の除去条件によって決定され、色度成分が除去できれば、濁度成分はもちろん除去できる事になる。
一方、膜ろ過法の場合、パイロット規模の実証実験の実施、様々な凝集条件で膜ろ過試験を長期間行うことで、試行錯誤的に最適条件が決定されているのが現状であり、従来、以下の方法が提案されている。
特許文献1は、凝集処理水をMF膜で所定量ろ過するのに必要なろ過時間とその変化率に基づき、凝集剤注入率を決定する凝集剤注入率の決定方法を開示する。
特許文献2は、実際に使用する中空糸膜と同じ表面組成(材質、孔径など)の平膜を作成し、ラボスケールのろ過試験をする事を提案している。
特許文献3および4は、ケーキろ過や中間閉塞などの細孔閉塞モデルの理論に基づいて、前者では、ケーキろ過定数と運転可能な最大膜ろ過流束の関係を導いている。
特許文献5は、特許文献1及び特許文献4の先行技術を鑑み発明した技術であり、凝集に利用されなかった未利用凝集剤成分のみにより閉塞される評価用ろ過膜の膜閉塞度を測定するものである。
特許文献6および7は、分離膜を用いて処理する被処理水の膜閉塞性の評価方法として、ナノ粒子濃度やそのゼータ電位から膜閉塞評価指標を導く被処理水の膜閉塞性評価方法を開示する。
特開2006-55804号公報 特開2011-115705号公報 特許第5072366号 特開2007-152192号公報 特許第5993605号 特許第6530996号 特許第6486799号
特許文献1の凝集剤注入率の決定方法においては、原水に無機凝集剤が添加され、凝集処理水が砂ろ過され、砂ろ過された分離液がフィルタ(MF膜)によりろ過されている。
特許文献2においては、膜ろ過の前処理として凝集処理を付加する場合には、凝集処理された凝集水に対して膜ろ過が行われている。
特許文献3は、実施例において原水に凝集沈殿と砂ろ過の前処理を加えて濁度が低減した河川水を膜ろ過することが開示されている。
特許文献4は、原水をろ過膜に通水してろ過液を得ることが開示され、水質監視装置で算出された濾過係数の値に基いて前処理装置で使用する凝集剤の添加量を増減するなどの制御方法も開示されており、前処理装置はろ過装置の上流に配置されると考えられることから、凝集剤が添加された原水についてもろ過膜に通水されるものと考えられる。
特許文献5は、被処理水に凝集剤を添加し、凝集剤が添加された凝集処理水を、評価用ろ過膜を用いてろ過することを開示する。
しかしながら、凝集処理水の膜閉塞で本質的に問題となるのは、膜孔径よりも小さい粒子の膜表層付近での閉塞現象であることが発明者らの検討によりわかってきたところ、特許文献1~5の問題点は、膜ろ過に供される水に膜孔径よりも大きい粒子を含んで評価していることである。孔径よりも大きい粒子が膜ろ過に供される水に含まれている場合、膜ろ過水の膜閉塞性の正確な評価がなされるとは言い難い。
特許文献6は、実施例において、原水および凝集処理水を、それぞれ孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、ナノ粒子濃度と膜閉塞度評価指標であるファウリングポテンシャルを測定したことを開示する。
特許文献7は、実施例において、水道原水とその凝集処理水をそれぞれ0.45μmメンブレンフィルターで膜ろ過し、この膜ろ過した試料についてナノ粒子濃度、ゼータ電位およびファウリングテンシャルを測定したことを開示する。
しかしながら、特許文献6および7のように、無機凝集剤が添加された原水に対して膜ろ過を行い、この膜ろ過後の水を評価するのでは、添加された無機凝集剤が膜ろ過によって除去されてしまう。
前述のように、膜閉塞には、濁度成分のような大きな粒子ではなく、凝集剤と色度成分のような微小粒子との結合物が影響していることが発明者らの検討によりわかってきたところ、特許文献6および7の方法では凝集剤が膜ろ過によって除去されてしまうため、凝集剤による前処理水の膜閉塞性を評価するにあたり、凝集剤の影響がろ過抵抗の評価から除かれることとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、凝集処理後の凝集処理水の膜閉塞性を的確に評価することができる被処理水の膜閉塞性の評価方法および評価装置を提供することにある。さらなる目的は、この被処理水の膜閉塞性の評価方法を利用して、被処理水の凝集処理条件を決定することにある。
凝集処理水の膜閉塞となる原因物質は、使用する膜孔径よりも小さい粒子であるが、凝集処理水中には、凝集剤の凝集効果によって粗大化した膜孔径よりも大きいフロックと呼ばれる粒子群と、膜孔径よりも小さい粒子群が存在する。
凝集処理水の膜ろ過試験を従来のラボスケールで行う場合、しばらくろ過を継続すると、膜孔径よりも大きい凝集フロックが膜表面に堆積し、ケーキ層を形成する。
元々の粒子径が膜孔径よりも大きい粒子は、膜閉塞の原因とは成り難い。しかし、ケーキ層を形成し、ろ過抵抗の上昇の原因となるので、凝集条件を膜ろ過抵抗で評価しようとする場合、誤った判断を下す要因となる。特に、濁度が高い原水や凝集時の攪拌条件が強い場合にはその影響が顕著となることが発明者らの検討によりわかってきた。
浄水処理で使用される膜の孔径は、0.01~0.1μm程度である事が多いが、このような膜孔径よりも大きい濁度成分の影響を排除するために、しばしば、前処理として、被処理水の凝集処理水を孔径数μm程度のろ紙やMF膜でろ過処理して、更に別の膜でろ過試験を行い、ろ過抵抗を評価したりする場合がある。
しかし、発明者らが鋭意検討した結果、水道原水などの天然水をアルミニウム系の凝集剤を使用して凝集処理を行い、前記のような操作を行うと、前処理で膜閉塞の原因物質であるアルミニウムナノ粒子が除去されてしまい、正確な膜閉塞性の評価が行えない事が判明した。
そこで、発明者らは、更に、鋭意研究を重ね、従来の概念である、被処理水の凝集処理水に前処理を加えるのでは無く、逆に、被処理水に予めろ過処理を行い、粗大粒子のケーキ形成を完全に防ぎつつ、膜孔径と同程度、もしくはそれよりも小さい凝集フロック、凝集剤由来のナノ粒子によるろ過抵抗を測定する事により、被処理水の膜閉塞性を評価する手法を考案した。
すなわち、上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、分離膜を用いて処理される被処理水の膜閉塞性評価方法であって、
被処理水を精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第一の分離膜でろ過して膜ろ過水を得る前ろ過工程と、前記膜ろ過水に凝集剤を添加して凝集処理水を得る凝集剤添加工程と、前記凝集処理水を、前記第一の分離膜以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第二の分離膜により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定するろ過抵抗測定工程と、前記ろ過抵抗の測定結果により被処理水の膜閉塞性を評価する膜閉塞性評価工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、前ろ過により被処理水中の濁度成分を除去することができ、凝集剤添加後の凝集処理水に対して第二の分離膜で膜ろ過を行うことで、濁度成分のような大きな粒子の影響を排除し、凝集処理水中の主に凝集剤と色度成分が第二の分離膜の膜閉塞性に与える影響を評価することで、的確な膜閉塞性の評価が可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法において、凝集剤添加工程後であって、前記ろ過抵抗測定工程前の前記凝集処理水中に含まれる粒子のゼータ電位とナノ粒子濃度を測定するゼータ電位およびナノ粒子測定工程を有し、前記膜閉塞性評価工程において、前記ろ過抵抗の測定結果、測定された前記ゼータ電位及びナノ粒子濃度の値により被処理水の膜閉塞性を評価することを特徴とする。以下、本明細書においてゼータ電位等測定工程というときは、ゼータ電位およびナノ粒子測定工程を意味するものとする。
この構成によれば、ろ過抵抗の測定結果に加えて、膜閉塞性評価指標と相関を有することがわかっている粒子のゼータ電位およびナノ粒子濃度の値を考慮することで、さらに的確に被処理水の膜閉塞性を評価することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法において、さらに、前記被処理水に対して膜ろ過することなく直接前記凝集剤を添加した他の凝集処理水を得て、前記他の凝集処理水を前記第二の分離膜と同じ孔径を有する第三の分離膜により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定して他のろ過抵抗の測定結果を得て、前記膜閉塞性評価工程において前記他のろ過抵抗の測定結果も考慮して被処理水の膜閉塞性を評価することを特徴とする。
この構成によれば、従来の、膜孔径より大きい濁度成分、色度成分および凝集剤を含んだ他の凝集処理水の評価を加味できるので、さらに的確な膜閉塞性の評価を行うことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、被処理水の凝集処理条件の決定方法であって、請求項1~3の何れか一項に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法による被処理水の膜閉塞性の評価結果に基づき、前記被処理水の凝集処理条件を決定することを特徴とする。
この構成によれば、ろ過抵抗の測定結果の確認後に、例えば、実際の被処理水の膜ろ過において添加する凝集剤の添加濃度や、凝集剤の種類、pHなどの凝集処理条件を決定、変更することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、被処理水の膜閉塞性評価装置であって、
被処理水をろ過するための、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第一の分離膜と、前記第一の分離膜でろ過された膜ろ過水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、凝集剤添加手段で凝集剤が添加されて得られた凝集処理水を膜ろ過するための、前記第一の分離膜以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第二の分離膜と、前記凝集処理水を前記第二の分離膜で膜ろ過する際のろ過抵抗を測定するろ過抵抗測定手段と、を有し、前記ろ過抵抗の測定結果により被処理水の膜閉塞性を評価することを特徴とする。
この構成によれば、第一の分離膜によるろ過により被処理水中の濁度成分を除去することができ、凝集剤添加手段で凝集剤を添加した凝集処理水に対して第二の分離膜で膜ろ過を行うことで、濁度成分のような大きな粒子の影響を排除し、凝集処理水中の主に凝集剤と色度成分が第二の分離膜の膜閉塞性に与える影響を評価することで、的確な膜閉塞性の評価が可能となる。
本発明によれば、前ろ過により被処理水中の濁度成分を除去することができ、凝集剤添加後の凝集処理水に対して第二の分離膜で膜ろ過を行うことで、濁度成分のような大きな粒子の影響を排除し、凝集処理水中の主に凝集剤と色度成分が第二の分離膜の膜閉塞性に与える影響を評価することで、的確な膜閉塞性の評価が可能となる。
また、的確な膜閉塞性の評価が可能となることで、実際の膜ろ過設備の設計諸元の算出、安定運転の達成が可能となる。
本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法を模式的に示すフローシートである。 (a)ケーキろ過の閉塞モデル図であり、(b)ろ材(円管の束)上の堆積粒子pによる抵抗増加を、円管tが長くなったことに置き換えて説明するモデル図である。 従来の被処理水の膜閉塞性評価方法を模式的に示すフローシートである。 本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法の第一例を説明するフローチャートである。 本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法の第二例を説明するフローチャートである。 本発明の被処理水の膜閉塞性評価装置10を説明する模式図である。 実施例1のろ過定数測定を行った凝集処理水の各区分について、ケーキろ過定数(Kc(1/m))を縦軸、PACl注入率(mg/L)を横軸としてプロットした図である。 実施例2のナノ粒子の分析を行った各区分の凝集処理水について、ナノ粒子濃度を縦軸(左側目盛)および凝集pHを横軸としてプロットし(白抜き丸符号)、ナノ粒子のゼータ電位を縦軸(右側目盛)、凝集pHを横軸としてプット(黒ベタ塗り丸符号)した図である。
<被処理水の膜閉塞性評価方法>
図1は本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法を模式的に示すフローシートである。図示のように、被処理水1が第一の分離膜12でろ過され、ろ過された膜ろ過水2に凝集剤3が添加されて凝集処理水4となり、この凝集処理水4が第二の分離膜14により膜ろ過され、処理水5となる。そして、第二の分離膜14による膜ろ過時にろ過抵抗が測定され、測定されたろ過抵抗値により被処理水4の膜閉塞性を評価するものである。以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
(被処理水)
被処理水1には水道原水が用いられる。水道原水は、例えば、河川水、地下水、ダム湖水、湖沼水、伏流水、地下水などが挙げられる。
(第一の分離膜)
第一の分離膜12は、後述する前ろ過工程で用いられる分離膜であり、精密ろ過膜および限外ろ過膜からなる群から選択される。第一の分離膜12としては、被処理水の濁度成分を除去できる孔径であればよく、例えば、孔径1μm以下であり、好ましくは孔径0.1μm以上0.45μm以下である。孔径0.1μmより小さい精密ろ過膜または限外ろ過膜でも本発明の実施は可能であるが、高い透水性能の確保および被処理水中からの濁度成分の除去の観点から、第一の分離膜12の孔径が0.1μm以上0.45μm以下であることが好ましい。
第一の分離膜12の材質は、被処理水1中の有機物の吸着や捕捉を防ぐために、親水性の材質の膜が好ましい。具体的には、元々は疎水性の素材を親水性のポリマーで表面処理などを施した親水化膜が好ましい。このような親水化膜としては、例えば、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、親水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、親水性ポリエーテルスルホン(PES)、親水性ポリエチレン(PE)が挙げられる。
(凝集剤)
使用する凝集剤3としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PACl)、硫酸バンドなどのアルミニウム系凝集剤を用いることができるが、これに限られるものではない。アルミニウム系凝集剤を用いる場合、塩基度50%以上90%以下のものを用いることが好ましいが、この範囲外の塩基度のものも使用可能である。
さらに、凝集剤3として鉄系凝集剤、ポリシリカ系凝集剤、有機高分子系凝集剤を単独で使用してもよく、またはこれらと上記アルミニウム系業種剤とを併用してもよい。
(第二の分離膜)
第二の分離膜14の材質は、高分子膜でも無機膜でも何ら制限される事はないが、膜の物理的強度が強い方が望ましく、PTFE、PVDF、PES、セルロース混合エステル、酢酸セルロースなどの膜が使用できる。膜厚は100μm以上の方が取り扱い易いので好ましい。中でも、PVDFは膜強度も強いので好ましく、浄水設備で最も利用されている膜材質である点でも望ましい。
疎水性素材の膜を使用した場合、有機物の膜閉塞とアルミニウムナノ粒子による膜閉塞の両者を測定することができるが、親水性素材の膜を使用した場合は、有機物の膜閉塞の程度は低くなる。両方を評価できる事、膜強度の観点から考えると、疎水性の膜であることが好ましく、特に、疎水性PVDFの膜が好ましい。
また、第二の分離膜14も、第一の分離膜12と同様、精密ろ過膜および限外ろ過膜からなる群から選択される。
なお、第二の分離膜14は、第一の分離膜12以下の孔径を有する。したがって、第二の分離膜14の孔径は1μm以下である。なかでも、実際の設備に使用する膜の孔径が0.01μm以上0.1μm以下であること、一般に孔径が大きい方が高い透水性能が期待でき、より試験時間の短縮が望めるため、0.01μm以上0.1μm以下での範囲の膜孔径が好ましい。
(ろ過方法)
本発明は、吸引ろ過、加圧ろ過のろ過方法に何ら制限される事はないが、作成した凝集処理水4をできるだけ速やかに第二の分離膜14でのろ過抵抗測定に供給するためには吸引ろ過の方が好ましい。
(膜の形状等)
本発明は、平膜、中空糸膜の膜形状に何ら制限される事はないが、それぞれ特徴がある。平膜の場合、市販の吸引ろ過ホルダーを使用すれば、ファンネルをはずすだけで洗浄操作が可能であり、種々の市販されている膜があるので、目的に応じて膜の選定が可能となる。
中空糸膜の場合、試験用の膜モジュールを製作する必要があるが、膜本数、長さなどを調整する事で、膜面洗浄及び流水洗浄は十分可能である。
また、実際の浄水設備で使用する膜の多くは、外圧中空糸膜であるので、実際に使用する膜で試験をする事ができるので、平膜よりもより有益な情報が得られる可能性がある。
以下、本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法の第一例について、図1および図4を参照しつつ説明する。
本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法は、図4に示すように、前ろ過工程S101、凝集剤添加工程S102、ろ過抵抗測定工程S103および膜閉塞性評価工程S104を有する。
[前ろ過工程(S101)]
本工程では、被処理水1を精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第一の分離膜12でろ過して膜ろ過水2を得る。本工程において、被処理水1から濁度成分が主に除去され、色度成分が膜ろ過水2中に残る(以上、前ろ過工程(S101))。
[凝集剤添加工程(S102)]
本工程では、膜ろ過水2に凝集剤3を添加して凝集処理水4を得る。本工程では、例えば、凝集条件の決定のため、複数の区分の凝集処理水4が調整される。例えば、凝集剤3の注入率(添加濃度)を決定したい場合には、凝集剤3の注入率を変更した複数の区分の凝集処理水4を調整する。また、複数の凝集剤3の中から最適な凝集剤3を選択したい場合には、凝集剤3の種類(および必要であれば注入率)を変更した複数の区分の凝集処理水4を調整する。さらに、凝集pHを決定したい場合には、凝集剤3の添加の際に酸や塩基でpHを変更した複数の区分の凝集処理水4を調整する(以上、凝集剤添加工程(S103))。
[ろ過抵抗測定工程(S103)]
本工程では、凝集処理水4を、第一の分離膜12以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第二の分離膜14により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定する。
膜ろ過に際し、ろ過方式は、定圧ろ過、定速ろ過のいずれでも構わないが、定圧ろ過の方が吸引ろ過用のフィルタホルダーを使用すれば洗浄が容易で、10mL程度からの少量でのろ過水量の制御が可能となるので好ましい。
膜ろ過流束の範囲は、ろ過開始からろ過終了まで、定圧ろ過の場合は膜閉塞により次第に低下し、定速ろ過の場合は一定となるが、2.5m/日以上となる事が好ましく、より好ましくは、5.0m/日以上である。
膜ろ過流束が低いと、膜表層での膜閉塞原因物質の濃度分極現象や集塊化現象が生じ難い傾向にあり、短時間での膜閉塞が起こり難くなる。
ろ過抵抗の測定は、以下の理論に従う。すなわち、本発明では、膜孔径と同程度からそれよりも小さい凝集粒子やアルミニウムナノ粒子による膜細孔閉塞と膜表層のケーキ形成の両方を評価する。
発明者が膜細孔の閉塞現象を詳細に検討した結果、水道原水やその凝集処理水の膜閉塞は、膜表層の凹凸の“谷”の部分に粒子が次第に不可逆的に堆積していき、次第に“谷”が無くなって平らになっていく現象である事を見出した。すなわち、微視的には、みかけケーキ層が形成されているとも言い換えられる現象である。
そこで、発明者は、膜閉塞現象も含めてみかけケーキ層の形成現象として表現できる事を見出した。すなわち、膜閉塞度の指標として、みかけのケーキろ過定数を導入することにより、ケーキろ過理論を用いて膜閉塞を表現する事ができる。この観点は、データ解析の際のグラフの縦軸を初期透水性能との比で表現できるので、実用上の観点から直観的に分かり易く非常に便利である。
具体的には、ろ過抵抗の測定は、ケーキろ過の閉塞モデルに基づくケーキろ過式により行うことができる(例えば、角屋正人著、日本ポール株式会社 マーケティング・コミュニケーショングループ編集発行、2013 SPRING Pall News、117巻第10~第15頁を参照)。
ケーキろ過の閉塞モデルとは、ろ材を均一な内径、長さを持った円管の束と仮定した場合、負荷した粒子が円管を塞ぐことなく、ろ材(円管の束)の表面に体積していくというモデルである。その場合、図2(a)に示すように、円管tの束上に負荷した粒子pの量に比例して、堆積粒子p(ケーキ層)の厚みが増していく。ここで、堆積粒子pによる抵抗増加は、図2(b)に示す円管tが長くなったことに置き換えられる。
そして、ハーゲンポアズイユの式をろ材に適用し、上記ケーキろ過の閉塞モデルも考慮して計算を進めることにより、定圧ろ過の場合には、以下の式(1)
Figure 0007314101000001
(式(1)中、Jは単位ろ過面積あたりの流量(m/m・s)を、Jは単位ろ過面積あたりの初期流量(m/m・s)を、Kcはケーキろ過定数(1/m)、閉塞係数ともいう)を、vは単位面積あたりのろ液量(m/m)を、それぞれ示す。)を、
定流量ろ過の場合には、以下の式(2)
Figure 0007314101000002
(式(2)中、ΔPは円管両端での差圧(Pa)を、ΔPは円管両端での初期差圧(Pa)を、Kcはケーキろ過定数(1/m)、閉塞係数ともいう)を、vは単位面積あたりのろ液量(m/m)を、それぞれ示す。)
を、それぞれ得ることができる。
したがって、定圧ろ過の場合には、第二の分離膜14の入口圧力と出口圧力を一定とし、ろ液量および流速を測定し、(1)の式に当てはめることでケーキろ過定数Kc(1/m)を得ることができる。
また、定流量ろ過の場合には、第二の分離膜14の流速を一定とし、第二の分離膜14の入口圧力と出口圧力を測定し、ろ液量を測定し、(2)の式に当てはめることでケーキろ過定数Kc(1/m)を得ることができる(以上、ろ過抵抗測定工程(S103))。
[膜閉塞性評価工程(S104)]
本工程では、ろ過抵抗の測定結果により被処理水の膜閉塞性を評価する。具体的には、複数の区分の凝集処理水4について、前記ろ過抵抗測定工程(S103)で得られたケーキろ過定数Kcを比較し、よりケーキろ過定数Kcが小さい凝集処理水4を膜閉塞性が小さいと評価する(以上、膜閉塞性評価工程(S104))。
したがって、本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法によれば、前ろ過により被処理水1中の濁度成分を除去することができ、凝集剤3添加後の凝集処理水4に対して第二の分離膜14で膜ろ過を行うことで、濁度成分のような大きな粒子の影響を排除し、凝集処理水1中の主に凝集剤3と色度成分が第二の分離膜の膜閉塞性に与える影響を評価することで、的確な膜閉塞性の評価が可能となる。
さらに、凝集剤3の注入率や、凝集pH、凝集剤3の種類を変更した複数区分の凝集処理水4についてろ過抵抗測定を行い、得られたケーキろ過定数Kcを比較することで、最適な凝集処理条件を決定し、実設備での浄水ろ過に反映させることができる。
なお、上記第一例では、凝集剤3の注入率等を変更した複数区分の凝集処理水4についてろ過抵抗測定を行っているが、一つの区分の凝集処理水4についてろ過抵抗測定を行ってもよい。この場合、予め定めたケーキろ過定数Kcの基準値と上記一つの区分の凝集処理水4のケーキろ過定数Kcとを比較し、基準値より低ければその凝集処理条件で実設備での浄水処理を行い、基準値より高ければ凝集処理条件の見直しを行う、という対応を取ることができる。
さらに、上記第一例では、ろ過抵抗測定により得られたケーキろ過定数Kcによって被処理水1の膜閉塞性を評価しているが、さらに、凝集処理水4中に含まれる粒子のゼータ電位とナノ粒子濃度も考慮して膜閉塞性を考慮することも可能である。
[ゼータ電位等測定工程(S105)]
本工程は、任意に付加される工程であり、図4に示すように、凝集剤添加工程(S102)後であって、ろ過抵抗測定工程(S103)前の凝集処理水4中に含まれる粒子のゼータ電位とナノ粒子濃度を測定する。
ナノ粒子濃度およびナノ粒子のゼータ電位の測定は、例えば、ナノ粒子追跡解析法(NTA)、レーザー誘起破壊検知法(LIDB)および電気抵抗ナノパルス法(TRPS)から選択される方法により行うことができる。
ナノ粒子追跡解析法(NTA)は、ナノ粒子トラッキング解析法ともいい、粒子のブラウン運動の速度が粒子径に依存することを利用し、NTA(Nano Tracking Analysis)技術により、粒子のブラウン運動パターンを計測することで、粒子径と個数の粒度分布グラフを得る方法である。例えば、特表2014-521967号公報にその説明が記載されている。なお、ナノ粒子追跡解析法をPTAと略する場合もある。
レーザー誘起破壊検知法(LIDB、Laser Induced Breakdown Detection)は、ナノ秒パルスレーザーを、検知するナノ粒子を含む液体に集光させることで、ナノ粒子がレーザービームと交差するたびに生成するプラズマをセンサーによって検知し、得られたプラズマ統計値からサイズ分布と濃度を導き出す方法である。
電気抵抗ナノパルス法(TRPS、Tunable Resistive Pulse Sensor)は、ナノポアを挟んだ溶液中に電圧をかけると溶液中に含まれるナノ粒子が細孔を通過するが、その際に発生する電気抵抗ナノパルスから粒子の体積を求める(例えば、長いパルスほど体積の大きい粒子となる)方法である。例えば、特表2013-518268号公報にその説明が記載されている。
ここで、測定する粒子の大きさは、10~500nm程度である事から、ナノ粒子濃度とナノ粒子のゼータ電位の測定は、ナノ粒子追跡解析法(NTA)により行われることが好ましい。また、ナノ粒子追跡解析法(NTA)に用いるレーザーの波長は、400nm以上500nm以下の範囲から選択されることが好ましい。500nmを超えるとエネルギーが過大となり不経済であり、400nm未満であるとナノ粒子濃度およびナノ粒子の測定のためのアルゴリズムの作成が困難となる。特に好ましくは、460nm以上500nm以下の範囲である。
ナノ粒子濃度と膜閉塞性との関係については、出願人自ら特許第6486799号公報において明らかにしたところである。すなわち、膜閉塞性評価指標値とナノ粒子濃度との関係は、ナノ粒子濃度が増大するにつれて膜閉塞性評価指標が大きく上昇する曲線を描くという相関関係を有する。
また、ナノ粒子のゼータ電位と膜閉塞性評価指標との関係は、ナノ粒子のゼータ電位が-30mVから-15mV付近まで増加するにつれて膜閉塞性評価指標が大きく減少し、さらにゼータ電位が増加すると膜閉塞性評価指標の値が0へと収束していく曲線を描くという相関関係を有する。
したがって、膜閉塞が生じ難い粒子とは、ゼータ電位が0mV付近となり、粒子濃度がほぼ一定値になる落ち着く傾向を持っている。本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法によれば、そのような凝集条件を、濁度成分由来の粗大粒子による観察妨害無く評価できる。
なお、膜閉塞性評価指標は、ファウリングポテンシャル(FP)、MFI(MFI0.45)、MFI-UF、MFI-NF、CFS-MFIUF、UMFIなどが挙げられ、いずれも特許第6486799号公報に記載されており、当該公報に記載された方法で測定することが可能である(以上、ゼータ電位等測定工程(S105))。
次の膜閉塞性評価工程(S104)では、ろ過抵抗測定工程(S103)で測定されたろ過抵抗の測定結果、ゼータ電位等測定工程(S105)で測定されたゼータ電位およびナノ粒子濃度の値により被処理水1の膜閉塞性を評価する。
これにより、さらに的確に膜閉塞性の評価を行うことが可能となる。
さらに、上記第一例においては、ろ過抵抗の測定結果に基づき、またはろ過抵抗の測定結果とゼータ電位及びナノ粒子濃度とに基づき、膜閉塞性を評価しているが、図3に示すように、従来の原水(被処理水1)に凝集剤3が添加された凝集処理水4’に対して膜ろ過を行い、第三の分離膜16のろ過抵抗を測定する手法と上記第一例の方法とを組み合わせることも可能である。
以下、この組み合わせについて、本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法の第二例として説明する。
当該第二例では、図5の工程S101~工程S103のフローと平行して、凝集剤添加工程(S201)および他のろ過抵抗測定工程(S202)が実施される。
[凝集剤添加工程(S201)]
本工程では、被処理水1に対して膜ろ過することなく直接凝集剤3を添加して他の凝集処理水4’を得る。
したがって、他の凝集処理水4’は、濁度成分、色度成分、凝集剤3および凝集剤とこれらの成分との結合物の混合物となっている。
また、他の凝集処理水4’について、凝集剤3の注入率、凝集pH、凝集剤3の種類を任意に変更した区分を調整することができるが、上記凝集剤添加工程(S102)の凝集処理条件と合わせることが好ましい(以上、凝集剤添加工程(S201))。
[他のろ過抵抗測定工程(S202)]
本工程では、他の凝集処理水4’を第二の分離膜14と同じ孔径を有する第三の分離膜16により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定して他のろ過抵抗の測定結果を得る。
第三の分離膜16は、第二の分離膜14と同じ孔径を有していればよい。しかし、より正確な条件での対比の観点から、第二の分離膜14と同一の分離膜を用いることが好ましい。
また、膜ろ過の条件および他のろ過抵抗の測定の条件についても、上記ろ過抵抗測定工程(S103)に記載にしたがって任意の条件を選択することができるが、前ろ過工程(S101)の有無で他の条件を同じにして正確な対比を行うため、上記ろ過抵抗測定工程(S103)と同一の条件を選択することが好ましい(以上、他のろ過抵抗測定工程(S202))。
その後、上記の膜閉塞性評価工程(S104)に移行するが、この工程では、工程S103でのろ過抵抗の測定結果(および任意に工程S105で測定してたゼータ電位およびナノ粒子濃度の値)に加えて、他のろ過抵抗の測定結果も考慮して被処理水の膜閉塞性を評価する。
したがって、第二例に係る本発明の被処理水の膜閉塞性評価方法によれば、従来の凝集剤が添加された原水に対して膜ろ過を行い、そのろ過抵抗を測定する手法と、前ろ過した原水に凝集剤を添加して膜ろ過を行い、そのろ過抵抗を測定する手法とを併用することで、被処理水の膜閉塞性をより的確に評価することが可能となる。
<被処理水の凝集処理条件の決定方法>
次に、本発明の被処理水の凝集処理条件の決定方法について説明する。
本発明の被処理水の凝集処理条件の決定方法は、上記被処理水の膜閉塞性評価方法による被処理水の膜閉塞性の評価結果に基づき、被処理水の凝集処理条件を決定する。
具体的には、上記凝集剤添加工程(S102)において、例えば、凝集剤3の注入率、凝集pH、凝集剤3の種類等を任意に変更した複数の凝集処理水4の区分を調整し、この複数の凝集処理水4に対してろ過抵抗測定工程(S103)でろ過抵抗の測定を行い、ケーキろ過定数(Kc)を決定し、上記膜閉塞性評価工程(S104)においてこのケーキろ過定数(Kc)の大小に基づき、被処理水1の膜閉塞性を評価するとともに、実設備での浄水処理における凝集処理条件(凝集剤3の注入率、凝集pH、凝集剤3の種類等)を決定する。
あるいは、ケーキろ過定数(Kc)に基準値を設け、この基準値を下回る凝集処理条件をステップS101~S104で探索することとしてもよい。
これにより、ろ過抵抗の測定結果の確認後に、例えば、実設備での膜ろ過において添加する凝集剤3の注入率(添加濃度)や、凝集剤の種類、pHなどの凝集処理条件を決定、変更することが可能となる。
さらに、凝集処理水の残留凝集剤の性状をろ過抵抗の測定結果(および任意にゼータ電位、ナノ粒子濃度)により評価することが可能であり、従来の凝集処理方法である、凝集沈殿砂ろ過法の凝集剤の注入制御に使用することができる。
<被処理水の膜閉塞性評価装置>
次に、本発明の被処理水の膜閉塞性評価装置10について説明する。
図6に示すように、本発明の被処理水の膜閉塞性評価装置10は、第一の分離膜12と、凝集剤添加手段20と、第二の分離膜14と、ろ過抵抗測定手段30と、を有する。
第一の分離膜12は、被処理水1をろ過するための、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される膜であり、上記(第一の分離膜)に記載された膜を用いることができる。
凝集剤添加手段20は、第一の分離膜12でろ過された膜ろ過水2に凝集剤を添加する手段である。
凝集剤添加手段20としては、例えば、攪拌手段を有する凝集槽とこの凝集槽へと凝集剤を計量投入可能なホッパーとの組み合わせや、第一の分離膜12と第二の分離膜との間の配管に設けられたスタティックミキサとこのスタティックミキサの上流位置で上記配管に凝集剤を計量投入可能な投入装置との組み合わせなどが挙げられる。
後者の場合には、スタティックミキサの上流または下流にポンプが設けられ、そのポンプにより生じる流れによって添加された凝集剤が第一の分離膜12でろ過された膜ろ過水と混合される。
なお、凝集剤添加手段20は、上記二つの組み合わせに限られず、膜ろ過水2に凝集剤3を添加・混合可能な周知慣用の手段を適宜に用いることができる。
第二の分離膜14は、凝集剤添加手段20で凝集剤3が添加されて得られた凝集処理水4を膜ろ過するための、第一の分離膜12以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される膜である。
第二の分離膜14としては、上記(第二の分離膜)に記載された分離膜を用いることができる。
ろ過抵抗測定手段30は、凝集処理水4を第二の分離膜14で膜ろ過する際のろ過抵抗を測定する手段である。
図5の形態では、ろ過抵抗測定手段30は、第二の分離膜14の入口側および出口側に入口側圧力計30aおよび出口側圧力計30bをそれぞれ有する。
なお、第二の分離膜14の下流に図示しないポンプを設けることで吸引ろ過を行うことができるし、上流側にポンプを設ければ加圧ろ過を行うことができる。
また、図5の形態では、ろ過抵抗測定手段30は、第二の分離膜14を通過した処理水5の容積の測定器を有しており、これにより処理水5の量(ろ液量)を測定する。そして、弁21を閉じ、弁22を開くことで処理水5を測定器に導くことができる。なお、第二の分離膜14を通過した処理水5の容積の測定器は、流量計や、質量計で代用することも可能である。質量計を用いる場合、比重でろ液(処理水5)の質量を容積に換算する。
したがって、入口側圧力計30aおよび出口側圧力計30bを確認することで定圧ろ過であることが確認でき、また、処理水5の容積の測定器、流量計または質量計により単位ろ過面積あたりの流量J(m/m・s)、単位ろ過面積あたりの初期流量J(m/m・s)および単位面積あたりのろ液量v(m/m)の測定結果を得ることができ、これらを上記式(1)に代入することでケーキろ過定数Kcを得ることができる。
他方、定流量ろ過の場合は、処理水5の容積の測定器、流量計または質量計で流速が一定となっていることを確認し、処理水5の容積から単位面積あたりのろ液量v(m/m)を測定し、入口側圧力計30aおよび出口側圧力計30bにより円管両端での差圧ΔP(Pa)および円管両端での初期差圧(Pa)ΔPの測定結果を得ることができ、これらを上記式(2)に代入することで、ケーキろ過定数Kcを得ることができる。
上記測定結果を用いたケーキろ過定数Kcの決定は、手計算で行ってもよいし、任意にろ過抵抗測定手段30に備えることができる電子計算機によって行ってもよい。
そして、得られた被処理水1のケーキろ過定数Kcを他区分の被処理水と比較することで、あるいは予め定めたケーキろ過定数Kcの所定の基準値と比較することで、被処理水1の膜閉塞性を評価することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
たとえば、本発明の被処理水の膜閉塞性評価装置10において、被処理水を常時評価できる構成を採用すれば、実設備の膜ろ過装置の安定した運転を行うことができるだけでなく、薬品洗浄間隔などの運転条件の予想も可能となる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
被処理水には、比較的清澄な水道原水(濁度:9.5度、色度:15度、pH7.7、TOC:0.6mg/L)を使用し、この被処理水を孔径0.45μmのメンブンレンフィルターでろ過して膜ろ過水(濁度:<0.05度、色度:1.2度、TOC:0.5mg/L)とした。
この膜ろ過水を8つの区分に分け、凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PACl、塩基度50%)をそれぞれ濃度0mg/L、5mg/L、10mg/L、20mg/L、25mg/L、30mg/L、40mg/Lおよび50mg/Lとなる量で添加し、500mLのビーカーを使用して凝集処理を行った。
凝集処理は、凝集剤添加後、ジャーテスターを用い、急速撹拌処理(130rpm×3分)→緩速撹拌処理(30rpm×10分)→静置(5分)とし、8つの区分の凝集処理水を得た。
この凝集処理水240mlを、吸引ポンプを用いて全量定圧ろ過(吸引圧力90kPa)でメルク社製のVVHP膜(疎水性PVDF膜、孔径0.1μm)に通水し、ろ過水量の経時的変化を測定した。なお、フィルタホルダーとしては、直径25mmの平膜用ガラス製フィルタホルダーを使用した。
そして、上記式(1)に当てはめることでケーキろ過定数Kcを求めた。結果を、図7に示す。
図示のように、凝集剤濃度が0mg/Lから10mg/Lに増加するにつれて、ケーキろ過定数Kcも上昇した。これは、凝集剤濃度が増加するにつれて凝集処理水中の小粒子が増加したことの影響によるものと考えられる。さらに凝集剤濃度が30mg/Lまで増加すると、ケーキろ過定数Kcが大きく減少する。これは、凝集剤濃度の増加により凝集処理水中の粒子が膜表層の凹凸の谷の部分に入り込めない大きさにまで成長したことに起因するものと考えられる。さらに凝集剤濃度が増加すると、ケーキろ過定数Kcが徐々に増加する。これは、凝集剤が過剰となり、余った凝集剤が膜表層の凹凸の谷の部分に入りこむ影響が出ていると考えられる。
したがって、実施例1によれば、この被処理水の場合、PACl注入率が20mg/Lより小さいと膜閉塞性が高く、PACl注入率が30mg/Lの場合が最適であることがわかる。
<実施例2>
被処理水には、比較的清澄な水道原水(神奈川県藤沢市の水道水を水道原水として使用)を使用し、前処理には、孔径0.1μmのメンブレンフィルターを使用し、このろ過水を凝集処理に供した。
ろ過水の水質は、pH7.5、DOC:0.5mg/L、紫外線吸光度(UVA260、5cmセル):0.019、ゼータ電位:-14.9mV、ナノ粒子濃度:4.4×10個/mLであった。なお、ゼータ電位、ナノ粒子濃度については、後述する方法により測定した。
上記前ろ過処理を行った被処理水を5つの区分に分け、それぞれ硫酸を添加して凝集pHが5.5、6.0、6.5、6.8、7.2となるように調整した。次に、各区分に凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PACl、塩基度50%)を注入率5mg/Lで添加し、500mLのビーカーを使用して、ジャーテスターを用い撹拌速度130rpmで3分間の急速撹拌処理を行った。
これら5つの区分の凝集処理水について、ナノ粒子追跡解析法(NTA)を測定原理とした分析装置(PMX社製:ZetaView PMX110、仕様:レーザー波長488nm、レーザー出力40mV)で評価した。測定結果を図2に示す。
図8の白抜き丸符号は、ナノ粒子濃度を縦軸(左側目盛)、凝集pHを横軸としたプロットを、同図の黒ベタ塗り丸符号は、ナノ粒子のゼータ電位を縦軸(右側目盛)、凝集pHを横軸としたプロットを、それぞれ示す。
図8のナノ粒子のゼータ電位と凝集pHの関係(黒ベタ塗り丸符号)によれば、凝集pHが6.5付近でゼータ電位がほぼゼロとなっており、また、ナノ粒子濃度と凝集pHの関係(白ぬき丸符号)によれば、凝集pHが6.5より大きくなるとナノ粒子濃度が下げ止まる現象が確認された。
これらのことから、実施例2の被処理水について、凝集pHは6.5が好ましいと判断できた。
また、実施例2の5つの区分の凝集処理水について、実施例1と同じ条件で膜ろ過し、ケーキろ過定数(Kc)を求めたところ、pH6.5の区分においてKc=3.05となり、他の区分と比較して最も低い値が得られていた。
したがって、本試験で使用した被処理水に凝集処理を行う場合、凝集剤(PACl)の注入率を5mg/Lとし、凝集pHを6.5に設定することが最適凝集処理条件であると決定することができた。
1 被処理水
2 膜ろ過水
3 凝集剤
4、4’ 凝集処理水
5 処理水
10 被処理水の膜閉塞性評価装置
12 第一の分離膜
14 第二の分離膜
16 第三の分離膜

Claims (5)

  1. 浄水処理プロセスにおいて分離膜を用いて処理される水道原水である被処理水の膜閉塞性評価方法であって、
    被処理水を精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第一の分離膜でろ過して膜ろ過水を得る前ろ過工程と、
    前記膜ろ過水に凝集剤を添加して凝集処理水を得る凝集剤添加工程と、
    前記凝集処理水を、前記第一の分離膜以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第二の分離膜により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定するろ過抵抗測定工程と、
    前記ろ過抵抗の測定結果により被処理水の前記第二の分離膜に対する膜閉塞性を評価する膜閉塞性評価工程と、
    を有することを特徴とする被処理水の膜閉塞性評価方法。
  2. 凝集剤添加工程後であって、前記ろ過抵抗測定工程前の前記凝集処理水中に含まれる粒子のゼータ電位とナノ粒子濃度を測定するゼータ電位およびナノ粒子測定工程を有し、
    前記膜閉塞性評価工程において、前記ろ過抵抗の測定結果、測定された前記ゼータ電位及びナノ粒子濃度の値により被処理水の前記第二の分離膜に対する膜閉塞性を評価することを特徴とする請求項1に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法。
  3. さらに、前記被処理水に対して膜ろ過することなく直接前記凝集剤を添加した他の凝集処理水を得て、前記他の凝集処理水を前記第二の分離膜と同じ孔径を有する第三の分離膜により膜ろ過すると共にこの膜ろ過時のろ過抵抗を測定して他のろ過抵抗の測定結果を得て、前記膜閉塞性評価工程において前記他のろ過抵抗の測定結果も考慮して被処理水の前記第二の分離膜に対する膜閉塞性を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法。
  4. 請求項1~3の何れか一項に記載の被処理水の膜閉塞性評価方法による被処理水の前記第二の分離膜に対する膜閉塞性の評価結果に基づき、前記被処理水の凝集処理条件を決定することを特徴とする被処理水の凝集処理条件の決定方法。
  5. 浄水処理プロセスにおいて分離膜を用いて処理される水道原水である被処理水をろ過するための、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第一の分離膜と、
    前記第一の分離膜でろ過された膜ろ過水に凝集剤を添加する凝集剤添加手段と、
    凝集剤添加手段で凝集剤が添加されて得られた凝集処理水を膜ろ過するための、前記第一の分離膜以下の孔径を有し、精密ろ過膜及び限外ろ過膜からなる群から選択される第二の分離膜と、
    前記凝集処理水を前記第二の分離膜で膜ろ過する際のろ過抵抗を測定するろ過抵抗測定手段と、を有し、
    前記ろ過抵抗の測定結果により被処理水の前記第二の分離膜に対する膜閉塞性を評価することを特徴とする被処理水の膜閉塞性評価装置。
JP2020108889A 2020-06-24 2020-06-24 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置 Active JP7314101B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020108889A JP7314101B2 (ja) 2020-06-24 2020-06-24 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020108889A JP7314101B2 (ja) 2020-06-24 2020-06-24 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022006582A JP2022006582A (ja) 2022-01-13
JP7314101B2 true JP7314101B2 (ja) 2023-07-25

Family

ID=80110320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020108889A Active JP7314101B2 (ja) 2020-06-24 2020-06-24 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7314101B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017047395A (ja) 2015-09-04 2017-03-09 水ing株式会社 被処理水の膜閉塞性評価方法、その膜閉塞性評価方法に用いる膜ろ過装置、およびその膜閉塞性評価方法を用いて膜閉塞性評価指標値を決定した被処理水の膜ろ過方法
JP2019010621A (ja) 2017-06-30 2019-01-24 王子ホールディングス株式会社 水処理方法および水処理装置の管理方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017047395A (ja) 2015-09-04 2017-03-09 水ing株式会社 被処理水の膜閉塞性評価方法、その膜閉塞性評価方法に用いる膜ろ過装置、およびその膜閉塞性評価方法を用いて膜閉塞性評価指標値を決定した被処理水の膜ろ過方法
JP2019010621A (ja) 2017-06-30 2019-01-24 王子ホールディングス株式会社 水処理方法および水処理装置の管理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022006582A (ja) 2022-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Stoller On the effect of flocculation as pretreatment process and particle size distribution for membrane fouling reduction
JP4793193B2 (ja) 凝集装置及び凝集方法
Ding et al. Characteristics of meso-particles formed in coagulation process causing irreversible membrane fouling in the coagulation-microfiltration water treatment
Alhadidi et al. Effect of testing conditions and filtration mechanisms on SDI
JP4862576B2 (ja) 凝集装置及び凝集方法
JP5401087B2 (ja) 凝集剤注入制御方法
JP7314101B2 (ja) 被処理水の膜閉塞性評価方法、被処理水の凝集処理条件の決定方法および被処理水の膜閉塞性評価装置
EP1862791A2 (fr) Procédé de contrôle ou de détermination des caractéristiques d'une membrane d'ultrafiltration ou microfiltration
KR20190055840A (ko) 물 집약 공정에서 소수성 상태 및 파울링을 제어하기 위한 방법 및 시스템
JP6530996B2 (ja) 被処理水の膜閉塞性の評価方法及び膜処理装置の運転方法
JP6486799B2 (ja) 被処理水の膜閉塞性評価方法、その膜閉塞性評価方法に用いる膜ろ過装置、およびその膜閉塞性評価方法を用いて膜閉塞性評価指標値を決定した被処理水の膜ろ過方法
JP5863176B2 (ja) 被処理水の評価方法、及び膜処理装置、水処理プラント、その運転方法
AU2015316179B2 (en) Measurement and treatment of fluid streams
JP2018012061A (ja) 逆浸透膜供給水の膜閉塞性評価方法及びその膜閉塞性評価方法を用いた水処理装置の運転管理方法
CN103508532B (zh) 冷却水的排放水的处理方法和处理装置
JP5210948B2 (ja) 浄水場の薬品注入制御方法
JP2018008192A (ja) ファウラントの定量方法
JP2012223690A (ja) 浄水場の汚濁物質処理方法
JP2009222566A (ja) 微生物計測方法およびシステム
JP5972068B2 (ja) 不可逆的膜ファウリング物質のモニタリング装置
KR20140115604A (ko) 입자표면적에 의한 응집제 주입 제어장치 및 응집제 주입 제어방법, 그리고 이를 구비한 수처리 설비와 방법
JP2024001519A (ja) 凝集処理水の膜閉塞性評価方法、凝集膜ろ過方法、および凝集膜ろ過システム
JP7573996B2 (ja) 被処理水の膜閉塞性評価方法および凝集膜ろ過システム
KR100736513B1 (ko) 원수의 정수처리를 위한 회분식 흡인압력/시간 측정 장치및 이를 이용한 정수처리방법
KR100736514B1 (ko) 원수의 정수처리를 위한 연속식 흡인압력/시간 측정 장치및 이를 이용한 정수처리방법

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20200703

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220720

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7314101

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150