以下、レバー付きコネクタの一実施形態について説明する。
図1は、レバー付きコネクタの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示されているレバー付きコネクタの分解斜視図であり、図3は、図2に示されている分解斜視図を図2中の矢印V11方向から見た図である。
本実施形態におけるレバー付きコネクタ1は、コネクタ本体11と、レバー12と、嵌合検知部材13と、を備えている。コネクタ本体11は、オス型の相手方コネクタ2と着脱可能に嵌合するメス型のコネクタ部分である。レバー12は、相手方コネクタ2とコネクタ本体11との嵌合及び嵌合解除を補助する部位である。レバー12は、相手方コネクタ2へとコネクタ本体11を押し込んで嵌合させる嵌合位置P11と、相手方コネクタ2からコネクタ本体11を離して嵌合を解除する解除位置P12と、の間で移動可能となるようにコネクタ本体11に支持されている。嵌合検知部材13は、レバー12が嵌合位置P11に位置する嵌合時に所定の仮係止位置P13と相手方コネクタ2へと押し込まれる本係止位置P14との間で進退可能となるようにレバー12に保持されている。嵌合検知部材13は、本係止位置P14への到達を以て嵌合完了を検知する。レバー12には、この嵌合検知部材13を進退可能に保持するスライド収容部14が設けられている。
コネクタ本体11は、略矩形ブロック状に形成されており、嵌合方向D11の前端側の端面111及び後端側の端面112を除く外周面113のうち、図中で上下面として示される対向一対の面がレバー12の支持面113aとなっている。これら一対の支持面113aそれぞれに、レバー12を軸支するためのボス114が突出して設けられている。
レバー12は、平面視で長靴型を有する対向一対の腕板121と、両者間を繋ぐ連結棒122及び操作棒123と、を備えている。連結棒122は、腕板121において長靴型の踵に相当する部分同士を繋いでいる。また、操作棒123は、腕板121において長靴型の履き口に相当する部分同士を繋いでおり、作業者がレバー12を移動させる際の手がかりとなる。一対の腕板121それぞれにおいて長靴型の足首に相当する部分に、コネクタ本体11のボス114が嵌入する軸孔121aが設けられている。レバー12は、この軸孔121aに嵌入したボス114を中心とした矢印D12方向に、嵌合位置P11と解除位置P12と、の間で回動可能となるようにコネクタ本体11に軸支されている。
また、一対の腕板121のうち、図中で上側に示されている一方の腕板121に、嵌合検知部材13を進退可能に収容するスライド収容部14が設けられている。
ここで、図1に示されている解除位置P12では、レバー12は、不用意に動かないようにコネクタ本体11に対して仮係止された状態となる。
図4は、解除位置にレバーが位置するレバー付きコネクタを図1中のV12方向から見た平面図である。
解除位置P12における仮係止のために、コネクタ本体11には仮係止用突起115が設けられ、レバー12には仮係止用ロックアーム124が設けられている。仮係止用突起115は、コネクタ本体11における一対の支持面113aのうち図中で上面として示されている面に、四角錐台状に突出して設けられている。仮係止用ロックアーム124は、腕板121において長靴型の爪先に相当する部分に設けられたスリット125の、足の甲側の板部分である。スリット125の先端部分が、仮係止用突起115が嵌入可能なように四角形状に拡がっている。図1及び図4に示されているように、この拡がった部分に嵌入した仮係止用突起115に仮係止用ロックアーム124が当接して係止することでレバー12が解除位置P12に仮係止される。また、仮係止用ロックアーム124は、腕板121の他の部分よりも薄くなっている。レバー12が解除位置P12から嵌合位置P11へと回動する際には、仮係止用ロックアーム124が支持面113aから離れる方向に撓んで仮係止用突起115を乗り越えることで仮係止状態を脱するように構成されている。尚、本実施形態では、一対の腕板121のそれぞれに仮係止用ロックアーム124が設けられているが、仮係止用突起115はコネクタ本体11における一対の支持面113aのうちの一方にのみ設けられている。このため、仮係止用突起115が設けられている側の仮係止用ロックアーム124のみが仮係止のために機能する。
レバー12の腕板121では、長靴型の靴底の踵寄りに相当する位置に設けられた矩形状の切欠き126を挟んで、相手方コネクタ2とコネクタ本体11との嵌合を補助する嵌合用リブ127と、嵌合解除を補助する嵌合解除用リブ128と、が設けられている。嵌合用リブ127は、上述した爪先側のスリット125と切欠き126との間の部分である。嵌合解除用リブ128は、切欠き126から踵までの部分であり、上記の連結棒122は、一対の腕板121における嵌合解除用リブ128同士を繋いでいる。
レバー付きコネクタ1は、レバー12が仮係止された状態で相手方コネクタ2に嵌合される。また、この仮係止時には、レバー12におけるスライド収容部14において嵌合検知部材13は手前側に引かれた仮係止位置P13に位置付けられている。レバー12が解除位置P12から嵌合位置P11まで回動された嵌合時には、上述したように嵌合検知部材13が相手方コネクタ2へと押し込まれて本係止位置P14に位置付けられて嵌合が検知される。
図5は、図1に示されている相手方コネクタを、レバー付きコネクタの嵌合側から見た平面図と、その平面図中のA11-A11線に沿った断面図と、を並べて示した図である。
相手方コネクタ2は、レバー付きコネクタ1の嵌合側が開口した有底四角筒状に形成されたオス型のコネクタである。その内部空間が、レバー付きコネクタ1におけるメス型のコネクタ本体11の収容部21となっている。また、この収容部21を区画する周壁のうち、図1~図4に示されているレバー12における嵌合用リブ127及び嵌合解除用リブ128に対応する図中右側の壁が、嵌合用リブ127及び嵌合解除用リブ128が係止する係止壁22となっている。
このような相手方コネクタ2に対し、まず、レバー12が仮係止状態となったレバー付きコネクタ1のコネクタ本体11が浅く仮嵌合される。その後、レバー12が回動されてコネクタ本体11が相手方コネクタ2へと押し込まれることで嵌合が行われる。
コネクタ本体11が押し込まれた後に、嵌合検知部材13が相手方コネクタ2へと押し込まれて嵌合検知が行われるが、相手方コネクタ2には、図1及び図5に示されているように、押し込まれる嵌合検知部材13に対応する位置に受入れ部23が設けられている。この受入れ部23は、レバー12において嵌合検知部材13のスライド収容部14が設けられた腕板121の支持面113aと嵌合時に対面する、図中で上側に示されている外壁に設けられている。受入れ部23は、相手方コネクタ2にこのように設けられ、嵌合時に本係止位置P14まで押し込まれる嵌合検知部材13を収容する。
図6は、相手方コネクタに対し、レバーが仮係止状態となったレバー付きコネクタのコネクタ本体が浅く仮嵌合された様子を示す図である。この図6では、仮嵌合の様子が、相手方コネクタ2を、嵌合方向D11の後方側から見た平面図と、その平面図におけるA12-A12線に沿った断面図とで示されている。レバー付きコネクタ1については同方向からみた外観の平面図で示されている。
また、図7は、レバー付きコネクタにおいて、レバーが嵌合位置に至るまでの途中位置まで回動した嵌合途中の様子を示す図である。そして、図8は、レバー付きコネクタにおいて、レバーが嵌合位置まで回動されてコネクタ本体が相手方コネクタへと押し込まれることで嵌合が完了した様子を示す図である。図7でも、嵌合途中の様子が、相手方コネクタ2を、嵌合方向D11の後方側から見た平面図と、その平面図におけるA13-A13線に沿った断面図とで示されている。同様に、図8でも、嵌合完了の様子が、相手方コネクタ2を、嵌合方向D11の後方側から見た平面図と、その平面図におけるA14-A14線に沿った断面図とで示されている。これらの図7及び図8でも、図6と同様に、レバー付きコネクタ1については同方向からみた外観の平面図で示されている。
まず、図6に示されているように、レバー付きコネクタ1のコネクタ本体11が仮嵌合されると、レバー12における嵌合用リブ127と嵌合解除用リブ128との間の切欠き126に相手方コネクタ2における係止壁22の一部が嵌入した状態となる。この仮嵌合の状態でレバー12が解除位置P12から矢印D121方向に回動されると、図7に示されているように、まず嵌合用リブ127が係止壁22の内側に当接して係止する。レバー12の回動が進むと、仮係止用ロックアーム124が仮係止用突起115から外れるとともに、嵌合用リブ127が係止壁22の内側を嵌合方向D11とは反対側に引きこむ。この引き込みにより、相手方コネクタ2がコネクタ本体11へと引き寄せられて、コネクタ本体11が相手方コネクタ2へと押し込まれることとなる。そして、図8に示されているように、レバー12が嵌合位置P11まで回動されると、コネクタ本体11が相手方コネクタ2の収容部21に収容されて嵌合することとなる。
この後、スライド収容部14で仮係止位置P13に位置付けられている嵌合検知部材13が相手方コネクタ2の受入れ部23へと、本係止位置P14に向かって図8中の矢印D13方向に押し込まれる。この嵌合検知部材13の本係止位置P14への到達を以て嵌合完了が検知されることとなる。
嵌合解除の際には、まず、嵌合検知部材13が本係止位置P14から仮係止位置P13へと動かされ、その後に、レバー12が嵌合時とは逆方向となる矢印D122方向に回動される。すると、まず嵌合解除用リブ128が係止壁22の外側に当接して係止し、レバー12の回動が進むと、嵌合解除用リブ128が係止壁22の外側を嵌合方向D11に押すことでコネクタ本体11が相手方コネクタ2から引き離されることとなる。そして、図6に示されているように、仮係止用ロックアーム124が仮係止用突起115に係止する解除位置P12までレバー12が回動されると、コネクタ本体11と相手方コネクタ2との嵌合が解除されることとなる。
ここで、本実施形態では、嵌合位置P11まで回動したレバー12を、この嵌合位置P11に保持するための以下に説明する構造が、コネクタ本体11とレバー12の双方に設けられている。
まず、図2に示されているように、コネクタ本体11の外周面113のうち、嵌合位置P11のレバー12のスライド収容部14に対応する図中で上面側の支持面113aから一段下がった段差面113bに、嵌合検知側第1保持突起116が設けられている。そして、レバー12におけるスライド収容部14には、レバー12が嵌合位置P11まで回動したときに嵌合検知側第1保持突起116に係止する嵌合検知側第1ロック部141が設けられている。スライド収容部14では、その底壁が嵌合検知部材13の押込み方向D14の後方側を固定端とし前方側を自由端とした片持ち梁状のアーム片142となっている。嵌合検知側第1ロック部141は、このアーム片142における自由端に、嵌合検知部材13とは反対側に突出するように設けられている。
次に、図3に示されているように、コネクタ本体11における、嵌合位置P11のレバー12のスライド収容部14とは反対側の腕板121に対応する図中で下面側の支持面113aに、回動片側保持突起117が設けられている。そして、図1~図3に示されているように、レバー12のスライド収容部14とは反対側の腕板121には、一対の軸支アーム16で軸支された回動片15に、回動片側ロック部17及び回動片側ロック解除部18が設けられている。回動片15は、帯板形状を有し、レバー12が嵌合位置P11に位置する嵌合時では、コネクタ本体11の嵌合方向D11に延在するように、一対の軸支アーム16によってレバー12の腕板121に軸支されている。回動片15は、帯板形状の幅方向D15に延びる回動軸AX11の回りに回動可能となるように腕板121に軸支されている。回動片側ロック部17は、回動片15において、レバー12が嵌合位置P11に位置するときに嵌合方向D11の前方側となる一端部に設けられ、回動片側ロック解除部18が後方側の他端部に設けられている。
レバー12が嵌合位置P11まで回動すると、以下に説明するように、嵌合検知側第1ロック部141が嵌合検知側第1保持突起116に係止するとともに、回動片側ロック部17が回動片側保持突起117に係止する。
図9は、嵌合位置のレバーにおける嵌合検知側第1ロック部がコネクタ本体の嵌合検知側第1保持突起に係止するとともに、回動片側ロック部が回動片側保持突起に係止する様子を示す図である。図9では、各ロック部が各保持突起に係止する様子が、一部については図8におけるA15-A15線に沿った断面で示されている。
嵌合位置P11までレバー12が回動してコネクタ本体11が相手方コネクタ2の収容部21に収容されるまでの途次において、嵌合検知側第1ロック部141が嵌合検知側第1保持突起116を乗り越えて係止する。この乗越えは、片持ち梁状のアーム片142が、嵌合検知側第1ロック部141が設けられた自由端が矢印D16方向に上下動するように撓むことで行われる。
また、この嵌合検知側の係止と同時に、回動片側ロック部17が回動片側保持突起117に係止する。本実施形態では、図2に示されているように回動片15が中央部に四角孔が設けられた矩形リング状に形成されており、回動片側ロック部17は、嵌合方向D11の前方側で回動軸AX11に沿った一辺部分となっている。レバー12の回動の途次において、回動片側ロック部17となった前方側の一辺部分が矢印D17方向に上下動するように回動片15が回動軸AX11の回りに回動することで、回動片側ロック部17が回動片側保持突起117を乗り越えて係止する。
以上のように各ロック部が各保持突起に係止した状態でコネクタ本体11が相手方コネクタ2の収容部21に収容されると、レバー12のスライド収容部14において嵌合検知部材13が操作されて嵌合の完了が確認される。即ち、嵌合検知部材13が押込み方向D14に、相手方コネクタ2における受入れ部23へと押し込まれることで嵌合検知が行われる。この押込みによる嵌合検知が正常に行われると嵌合の完了が確認され、相手方コネクタ2に対するレバー付きコネクタ1の嵌合作業が終了する。
相手方コネクタ2に対するレバー付きコネクタ1の嵌合を解除する際には、まず嵌合検知部材13が手前側に引かれて仮係止位置P13まで戻される。その後に、各ロック部を各保持突起から次のように外しながらレバー12が嵌合時とは逆方向に動かされて嵌合が解除される。
次に、本実施形態における嵌合検知部材13と、その周辺構造について更に詳細に説明する。
図10は、レバーにおいて嵌合検知部材が進退可能に保持されるスライド収容部を、図中のA16-A16線及びA17-A17線それぞれに沿った断面とともに示す図である。また、図11は、嵌合検知部材を、図中のA18-A18線及びA19-A19線それぞれに沿った断面とともに示す図である。
まず、図10に示されているようにレバー12に設けられたスライド収容部14の底壁をなす片持ち梁状のアーム片142には、上述したように、その自由端に嵌合検知部材13とは反対側に突出するように嵌合検知側第1ロック部141が設けられている。この嵌合検知側第1ロック部141は、レバー12を嵌合位置P11に保持するために嵌合検知側第1保持突起116に係止する。
また、嵌合検知部材13の押込み方向D14について、アーム片142の中間部には、嵌合検知部材13へと突出するように嵌合検知側第2ロック部143が設けられている。この嵌合検知側第2ロック部143は、押込み方向D14に本係止位置P14まで押し込まれる嵌合検知部材13を本係止位置P14に保持するために、嵌合検知部材13における後述の嵌合検知側第2保持突起131に係止する。
ここで、アーム片142は、中央部に四角形の貫通孔144が設けられた四角枠状に形成されている。嵌合検知側第2ロック部143は、この貫通孔144を、押込み方向D14と交差するアーム片142の幅方向D18に相互間に挟むように一対が設けられている。嵌合検知側第2ロック部143は、四角枠状のアーム片142において押込み方向D14に沿った一対の測枠それぞれの中間部に設けられている。
また、アーム片142における嵌合検知部材13の側の面には、押込み方向D14について一部が貫通孔144となり、この貫通孔144から押込み方向D14の前方側へと自由端まで延びるように凹溝145が形成されている。
一方の嵌合検知部材13には、図11に示されているように嵌合検知側第2保持突起131と嵌合検知側第3保持突起132とが設けられている。
嵌合検知側第2保持突起131は、嵌合検知部材13からアーム片142へと突出して設けられ、本係止位置P14まで押し込まれた嵌合検知部材13を本係止位置P14に保持するための部位である。この嵌合検知側第2保持突起131は、アーム片142に一対設けられた嵌合検知側第2ロック部143が係止するように、押込み方向D14の中間部に、一対が幅方向D18に配列されて設けられている。
嵌合検知側第3保持突起132は、嵌合検知部材13の略中央からアーム片142へと突出して設けられている。そして、嵌合検知部材13を仮係止位置P13に保持するためにアーム片142における貫通孔144を含む凹溝145における押込み方向D14の後端側に係止する。上記の一対の嵌合検知側第2保持突起131は、この嵌合検知側第3保持突起132を相互間に挟むように設けられている。また、また、嵌合検知側第3保持突起132は、嵌合検知側第2保持突起131よりも突出高が高くなるように設けられている。アーム片142における凹溝145は、仮係止位置P13で嵌合検知側第3保持突起132が係止しつつも、本係止位置P14への嵌合検知部材13の押込みに伴う押込み方向D14の移動を妨げないように嵌合検知側第3保持突起132を通過させる。
図12は、レバーが嵌合位置に至るまでの途次において図10に示されているアーム片の嵌合検知側第1ロック部が、コネクタ本体における嵌合検知側第1保持突起に係止する様子を示す図である。この図12には、係止の様子が、図9と同様の部分断面図と、嵌合検知部材13の周辺構造についての拡大図で示されている。
まず、この図12に示さている状態では、スライド収容部14において嵌合検知部材13が仮係止位置P13に位置している。このときには、嵌合検知部材13における嵌合検知側第3保持突起132がアーム片142の凹溝145の一部となった貫通孔144における押込み方向D14の後端側に係止している。また、このときには、嵌合検知側第3保持突起132に隣接する嵌合検知側第2保持突起131が、アーム片142の嵌合検知側第2ロック部143における押込み方向D14の後端側に当接している。その結果、嵌合検知部材13は、前後の動きがともに規制されて仮係止位置P13に安定して保持された状態となっている。
レバー付きコネクタ1では、レバー12が嵌合位置P11に至るまでの途次において、スライド収容部14のアーム片142がコネクタ本体11における嵌合検知側第1保持突起116の上を通過する。そして、この通過時に、アーム片142における嵌合検知側第1ロック部141が、仮係止位置P13の嵌合検知部材13へとアーム片142を撓ませることで嵌合検知側第1保持突起116を乗り越えて係止する。このとき、嵌合検知部材13における嵌合検知側第2保持突起131の突端がアーム片142における嵌合検知部材13の側の面に当接している。この当接のため、嵌合検知部材13とアーム片142との間には、嵌合検知側第2保持突起131の突出高分の間隙d11が開いている。嵌合検知側第1ロック部141が嵌合検知側第1保持突起116を乗り越える際には、自由端がこの間隙d11に入り込むようにアーム片142が撓むこととなる。
そして、レバー12が嵌合位置P11に至った後、嵌合検知のために嵌合検知部材13が本係止位置P14へと押し込まれるまでの途次において、アーム片142の嵌合検知側第2ロック部143が嵌合検知部材13の嵌合検知側第2保持突起131に係止する。
図13は、嵌合検知部材が本係止位置へと押し込まれるまでの途次において、アーム片の嵌合検知側第2ロック部が嵌合検知部材の嵌合検知側第2保持突起に係止する様子を示す図である。この図13には、係止の様子が、嵌合検知部材13の嵌合検知側第2保持突起131を通る図11中のA19-A19線に沿った、周辺構造を含む断面の拡大図で示されている。
スライド収容部14では、嵌合検知部材13が仮係止位置P13から本係止位置P14に至るまでの途次において、嵌合検知側第2保持突起131がアーム片142における嵌合検知側第2ロック部143の上を押込み方向D14に通過する。そして、この通過時に、嵌合検知側第2保持突起131に押されて嵌合検知側第2ロック部143が嵌合検知部材13とは反対側にアーム片142を撓ませることで嵌合検知側第2保持突起131を乗り越えて係止する。このとき、アーム片142の直下にはコネクタ本体11における嵌合検知側第1保持突起116が位置している。嵌合検知側第2ロック部143が嵌合検知側第2保持突起131を乗り越えるに当たってアーム片142を撓ませる際には、アーム片142における貫通孔144に嵌合検知側第1保持突起116が進入する。また、乗越え後も嵌合検知部材13は押込み方向D14に若干前進するが、この際には、嵌合検知側第3保持突起132(図11)が、アーム片142における凹溝145の内部を押込み方向D14に通過する。
以上に説明した本実施形態のレバー付きコネクタ1によれば、嵌合検知部材13が動かされる際に撓み変形し、構造が複雑になりがちなアーム片142が、作業者によって動かされる嵌合検知部材13ではなくレバー12に設けられている。このレバー12は、大きさ等の点で嵌合検知部材13に比べて余裕のある部材となっている。このアーム片142には、嵌合検知部材13における嵌合検知側第2保持突起131に係止する嵌合検知側第2ロック部143が設けられている。そして、アーム片142は、嵌合検知部材13の移動時に撓み変形して嵌合検知側第2保持突起131に嵌合検知側第2ロック部143を係止させる役割を担っている。更に、このアーム片142には、コネクタ本体11の外周面113における嵌合検知側第1保持突起116に係止する嵌合検知側第1ロック部141も設けられている。ここで、嵌合検知側第1保持突起116への嵌合検知側第1ロック部141の係止は、嵌合位置P11まで動かされたレバー12を嵌合位置P11に保持するために行われる。アーム片142は、レバー12の移動時にも撓み変形して嵌合検知側第1保持突起116に嵌合検知側第1ロック部141を係止させる役割も担っている。即ち、このレバー12に設けられた1つのアーム片142が、嵌合検知部材13及びレバー12それぞれについて2種類の係止を行わせる役割を担っている。このように、上述のレバー付きコネクタ1は、2つの点において構造が簡単で耐久性に優れている。一点目は、作業者によって動かされる微小部品としての嵌合検知部材13ではなくレバー12にアーム片142が設けられている点である。二点目は、1つのアーム片142が2種類の係止を行わせる役割を担っている点である。つまり、本実施形態のレバー付きコネクタ1は、嵌合検知部材13を備えつつも構造が簡単で耐久性に優れたものとなっている。
ここで、本実施形態では、アーム片142には、嵌合検知側第2ロック部143が嵌合検知側第2保持突起131を乗り越えるに当たってアーム片142を撓ませた際に、嵌合検知側第1保持突起116が進入する貫通孔144が設けられている。
この構成によれば、アーム片142に貫通孔144を設けるといった簡単な構造により、アーム片142を撓ませた際の嵌合検知側第1保持突起116との干渉を効果的に回避することができる。
また、本実施形態では、嵌合検知側第2ロック部143は、アーム片142の幅方向D15について貫通孔144を相互間に挟むように一対が設けられている。
この構成によれば、アーム片142に貫通孔144を設けつつも、嵌合検知側第2ロック部143を一対設けて嵌合検知部材13の嵌合検知側第2保持突起131との係止を安定化させることができる。
また、本実施形態では、嵌合検知部材13を仮係止位置P13に保持するための嵌合検知側第3保持突起132が、嵌合検知部材13からアーム片142へと突出して設けられ、アーム片142における嵌合検知部材13側の面には凹溝145が設けられている。この凹溝145には、仮係止位置P13で嵌合検知側第3保持突起132が係止する。その上で、凹溝145は、本係止位置P14への嵌合検知部材13の押込みに伴う嵌合検知側第3保持突起132の押込み方向D14の移動を妨げないように押込み方向D14に沿って嵌合検知側第3保持突起132を通過させる。
この構成によれば、嵌合係止部材に嵌合検知側第3保持突起132を設け、アーム片142に凹溝145を設けることで、嵌合検知部材13の仮係止と本係止位置P14への押込みとを良好に両立させることができる。
また、本実施形態では、嵌合検知側第2保持突起131は、嵌合検知部材13の幅方向D15について嵌合検知側第3保持突起132を相互間に挟むように一対が設けられている。
この構成によれば、嵌合検知部材13に嵌合検知側第3保持突起132を設けつつも、嵌合検知側第2保持突起131を一対設けてアーム片142の嵌合検知側第2ロック部143との係止を安定化させることができる。
尚、以上に説明した実施形態はレバー付きコネクタの代表的な形態を示したに過ぎず、レバー付きコネクタは、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、有底四角筒状でオス型の相手方コネクタ2と嵌合する略矩形ブロック状でメス型のコネクタ本体11を備えたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、互いに嵌合可能であれば、コネクタ本体や嵌合対象の相手型コネクタにおける具体的な形状や雌雄型は任意に設定し得るものである。
また、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、コネクタ本体11に回動片側保持突起117が設けられ、レバー12の回動片15に回動片側ロック部17が設けられたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、嵌合検知側についてのみ保持突起とロック部を設けることとしてもよい。ただし、嵌合検知側と回動片側とのそれぞれに保持突起とロック部とを設けることでレバー12を嵌合位置P11に強固に保持することができるので好適である。
また、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、アーム片142を撓ませた際に嵌合検知側第1保持突起116が進入する貫通孔144がアーム片142に設けられたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、他の構成によって嵌合検知側第1保持突起116との干渉を回避することとしてもよい。ただし、上記の構成によれば、貫通孔144を設けるといった簡単な構造により干渉を効果的に回避することができる点は上述した通りである。
また、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、嵌合検知側第2ロック部143がアーム片142に一対設けられたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、嵌合検知側第2ロック部143を1つだけ設けることとしてもよい。ただし、嵌合検知側第2ロック部143を一対設けることで、嵌合検知部材13の嵌合検知側第2保持突起131との係止を安定化させることができる点も上述した通りである。
また、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、嵌合検知部材13に嵌合検知側第3保持突起132が設けられ、アーム片142に嵌合検知側第3保持突起132を通過させる凹溝145が設けられたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、嵌合検知部材13の仮係止構造は任意の構造に設定し得るものである。ただし、嵌合検知部材13の仮係止構造として上記の構造を採用することで、嵌合検知部材13の仮係止と本係止位置P14への押込みとを良好に両立させることができる点も上述した通りである。
また、上述した実施形態では、レバー付きコネクタの一例として、嵌合検知側第2保持突起131が嵌合検知部材13に一対設けられたレバー付きコネクタ1が例示されている。しかしながら、レバー付きコネクタはこれに限るものではなく、嵌合検知側第2保持突起131を1つだけ設けることとしてもよい。ただし、嵌合検知側第2保持突起131を一対設けることで、アーム片142の嵌合検知側第2ロック部143との係止を安定化させることができる点も上述した通りである。