以下、添付図面を参照し、本発明に係る実施形態を次の順序で説明する。
<1.遊技機の構造>
<2.遊技機の制御構成>
[2-1.主制御部]
(設定値の変更操作について)
(性能表示について)
(演出制御コマンド)
[2-2.演出制御部]
<3.動作の概要説明>
[3-1.図柄変動表示ゲーム]
(特別図柄変動表示ゲーム)
(装飾図柄変動表示ゲーム)
(普通図柄変動表示ゲーム)
(保留について)
[3-2.遊技状態]
[3-3.当りについて]
[3-4.演出について]
(演出モード)
(予告演出)
(演出手段)
<4.主制御部の処理>
[4-1.主制御側メイン処理]
(初期設定処理)
(初期設定後の処理)
(メインループ処理)
(設定変更処理)
(RAMクリア処理)
(設定確認処理)
(メインループ前処理)
(実施形態としての設定値表示用データテーブルと設定値変換テーブルの利点)
[4-2.主制御側タイマ割込み処理]
(電源チェック・バックアップ処理)
(エラー管理及び遊技進行のための処理等)
[4-3.特別図柄変動表示ゲームに係る処理]
(特別図柄管理処理)
(特図1始動口チェック処理)
(特別図柄変動開始処理)
(変動管理処理)
(大当り乱数判定処理)
(変動パターン抽選処理)
(実施形態としての設定値関連データテーブルの利点)
<5.演出制御部の処理>
[5-1.処理概要]
[5-2.設定履歴確認画面の表示]
[5-3.実施形態における設定値のデータ型について]
[5-4.設定値示唆演出]
(左図柄による示唆演出)
(ミニキャラ予告による示唆演出)
(大当り終了演出による示唆演出)
(SU予告による示唆演出)
[5-5.主制御部と演出制御部が対応する設定値範囲の差違について]
<6.設定関連コマンド処理、設定値変換についての変形例>
<7.その他、設定値に係る変形例>
<8.これまでのまとめ>
<9.設定値に関する示唆演出>
[9-1.演出の種類]
[9-2.演出タイミング]
[9-3.演出例]
(演出01)~(演出21)
(各演出まとめ)
[9-4.その他の演出例]
(設定値変更示唆演出1)
(設定値変更示唆演出2)
(設定値変更示唆演出3)
(設定値示唆演出1)
<10.大当りに関する示唆演出>
[10-1.演出の種類]
[10-2.演出タイミング]
[10-3.演出例]
<11.その他の演出>
<12.設定値によって出現確率が異なる演出について>
[12-1.第1例]
[12-2.第2例]
<13.遊技機への選択的実装の例>
[13-1.演出の現出タイミングについて]
[13-2.客待ち中について]
[13-3.先読み中について]
[13-4.変動中(前半)について]
[13-5.変動中(後半)について]
[13-6.大当り中について]
[13-7.変動中(全体)について]
[13-8.設定値示唆演出と現出タイミング]
[13-9.大当り示唆演出と現出タイミング]
[13-10.演出ボタンと各演出]
<14.遊技機への選択的実装の例2>
<15.定義について>
<16.1CPU構成について>
[16-1.パチンコ遊技機の制御構成]
[16-2.演出制御部の構成]
[16-3.演出制御部の機能対比]
[16-4.演出制御部の処理]
[16-5.演出制御の動作例]
[16-6.1CPU構成についてのまとめ及び変形例]
<17.画像演出制御について>
[17-1.プリロード有無の対比]
[17-2.データ転送回路について]
[17-3.プリロードデータのキャッシュについて]
[17-4.描画について]
[17-5.画像演出制御に係るCPUの処理]
(プリローダを機能させない例)
(プリローダを機能させる例)
[17-5.画像演出制御に係る変形例及びその他変形例]
<1.遊技機の構造>
図1及び図2を参照して、本発明に係る実施形態としてのパチンコ遊技機1の構造について説明する。図1はパチンコ遊技機1の外観を示す正面側の斜視図を、図2はパチンコ遊技機1が有する遊技盤3の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下「遊技機1」と略称する場合がある)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成された演出ボタン13(操作手段)が設けられている。この演出ボタン13は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプ(ボタンLED75)が点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯中に所定の操作(押下、連打、長押し等)をすることにより演出に変化をもたらすことが可能となっている。
また、図1では図示を省略しているが、前面操作パネル7には、遊技者やホールスタッフ等の使用者が各種の項目の選択や方向指示等を行うための十字キー16が設けられている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(例えばフルカラーLEDによる光演出用LED等)が複数設けられている。この装飾ランプ45としてのフルカラーLED(光演出用LED)は、パチンコ遊技機の周囲、つまりガラス扉6の前枠周縁に周方向に複数個設けられている。
図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図示の遊技盤3には、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示動作(変動表示および停止表示)が可能である液晶表示装置(LCD)36が設けられている。以降の説明においては、左図柄、中図柄、右図柄に変動表示される複数種類の装飾図柄をそれぞれ「図柄群」と記載することもある。即ち、例えば、左表示エリアに停止表示された図柄は、左図柄を構成する図柄群のうちの一つとされる。
この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、装飾図柄の変動表示動作の他、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護すると共に、遊技球の打ち出しの強さ又はストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、センター飾り48は遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとの何れかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグメント表示器により表現される「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示して、種々の予告演出(演出画像)と共に装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣に、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1、2、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。例えば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、何れかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1~第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38aにおける第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略称する)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放又は拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(例えば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」入賞装置として構成されている。
普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38bにおける第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略称する)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、又は入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が配設されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成してもよいし、両流下経路にそれぞれ形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。
センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、又は誘導されない構成となっている。従って「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難又は不可能とされるようになっている。可動翼片47は、後述の電サポ有り状態を伴う遊技状態になると、通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。
本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、遊技状態に応じて変化する。具体的には、後述の「電サポ無し状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、後述の「電サポ有り状態」を伴う遊技状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。
本実施形態の遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(例えば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。
ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、或いは入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく通過型のゲートからなる入賞口(例えば、普通図柄始動口37)である場合はそのゲートを遊技球が通過したりすることを言い、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入口すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出されたか否かによらず、入賞口に遊技球が入口した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
<2.遊技機の制御構成>
図3のブロック図を参照して、遊技機1の遊技動作制御を実現するための構成(制御構成)について説明する。
本実施形態の遊技機1は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下「演出制御部24」と称する)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機1に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を有して構成される。
演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36について表示駆動を行う液晶制御部40が接続されている。液晶制御部40は、例えば上記した主制御基板(主制御部)20や演出制御基板(演出制御部)24、払出制御基板29、電源基板等の各種基板とは別基板上に搭載されたマイクロコンピュータを有して構成されている。
なお、図3において、各部への電源供給ルートは省略している。
[2-1.主制御部]
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM(Read Only Memory)202(主制御ROM)と、ワーク領域やバッファメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータを構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を実現するためのCTC(Counter Timer Circuit)、及びCPU201に割込み信号を付与するタイマ割込み等の割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、及び電源投入時や遮断時や電源異常などを検知してシステムリセット信号を出力してCPU201をリセット可能なリセット回路、及び制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、及び予め設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、及びハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路等も備えている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、上始動口34への入賞(入球)を検出する上始動口センサ34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、アウト口49から排出される遊技球(アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20はこれらから出力される検出信号を受信可能とされている。主制御部20は、各センサからの検出信号に基づき、何れの入賞口に遊技球が入球したのかを把握可能とされる。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
さらに主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。さらにまた、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。
また、主制御部20には、複合表示装置38c、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、複合表示装置38cに表示される各種情報を表示制御するための制御信号や、ラウンド数表示装置39bに表示される大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能とされている。
さらに、主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、枠用外部集中端子基板21を介し、遊技機外部に設けられたホールコンピュータHCに対し所定の遊技情報(例えば、大当り情報、賞球数情報、図柄変動実行情報等)を送信可能とされている。
なお、ホールコンピュータHCは、主制御部20からの遊技情報を監視して、パチンコホールの遊技機の稼働状況を統括的に管理するための情報処理装置(コンピュータ装置)である。
さらにまた、主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能とされている。
払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信などである。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能とされている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能とされている。
さらに、払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(本実施形態では、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、少なくとも前枠2の開放状態を検出する検出センサ)が接続されている。
払出制御基板29は、満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、各種の状態信号を送信可能となっている。この状態信号には、満杯状態を示す球詰り信号、少なくとも前枠2が開放されていることを示す扉開放信号、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す補給切れ信号、賞球の払出不足や球計数センサ19bに異常が発生したこと示す計数エラー信号、払い出し動作が完了したことを示す払出完了信号などが含まれ、様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2の開放状態(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態(球詰りエラー)等を監視する。
さらにまた、払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射を許可する許可信号を送信可能とされている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの許可信号が出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号が出力されていること(発射許可信号ON状態)、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることを検出されていること、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、遊技球の発射動作が許容される。従って、発射許可信号が出力されていない場合には(発射許可信号OFF状態)、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。
なお、払出制御基板29が上記球詰りエラーを検出すると、主制御部20に球詰り信号を送信すると共に発射制御基板28に対する発射許可信号の出力を停止し(発射許可信号OFF)、上受け皿9の満杯状態が解消されるまで打ち出し動作を停止する制御を行うようになっている。
また、払出制御基板29は、発射制御基板28に対する発射の許可信号の出力を、主制御部20より発射許可が指示されたことを条件に行う。
ここで、主制御部20は、設定キースイッチ94、及びRAMクリアスイッチ98が接続されており、これらスイッチからの検出信号を受信可能とされている。
RAMクリアスイッチ98は、RAM203の所定領域を初期化することを指示入力するための例えば押しボタン式のスイッチとされる。
設定キースイッチ94は、電源投入時にホールスタッフが所持する設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより設定変更モード(ON操作時)に切り替えるためのキースイッチとされる。
ここで、設定変更モードは、設定値Veを変更可能なモードである。設定値Veは、遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの当選確率についての段階を表す値である。
RAMクリアスイッチ98は、前枠2が開放された状態で操作可能に設けられたRAMクリアボタンの操作に応じてON/OFFされる。また、設定キースイッチ98は、上記した設定鍵を挿抜可能とされたキーシリンダが対応して設けられており、該キーシリンダに挿入された設定鍵が順方向に回動されることでON、該ONの状態から逆方向に回動されることでOFFとなる。キーシリンダは、前枠2が開放された状態で設定鍵の挿入による操作が可能となるように設けられている。なお、キーシリンダは、設定鍵が挿入されることで操作可能とされた操作子として機能する。
本例では、設定値Veの変更操作には、上記のRAMクリアボタンが兼用される。具体的に、RAMクリアボタンは、設定値Veを順送りするための操作子としても機能する。
RAMクリアスイッチ98、及び設定キースイッチ94は、遊技機1内部の適所に設けられている。例えば、主制御基板20上に配置される。
また主制御部20は、設定・性能表示器97が接続されている。
設定・性能表示器97は、例えば7セグメント表示器を有して構成され、設定値Veと性能情報(後述する)の表示が可能とされた表示手段として機能する。設定・性能表示器97は、例えば主制御部(主制御基板)20上の視認し易い位置に搭載されている。
主制御部20は、設定・性能表示器97に対して設定値Veや性能情報を表示させるための制御信号を送信可能とされている。
ここで、設定値Veは、主として、少なくとも大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別(例えば、設定1~6の6段階)に規定するもので、設定値Veが高くなるほど、当選確率が高くなり(設定1が最低の当選確率、以降、設定の値の昇順に当選確率が高くなる)、遊技者に有利に作用するようになっている。換言すれば、設定値Veが高くなるほど、所謂「機械割(出玉率、PAYOUT率)」が高くなり、遊技者に有利に作用するようになっている。
このように、設定値Veとは、大当り当選確率や機械割などを規定する値であり、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、本実施形態では、各設定値Veに応じて遊技に係る有利度が規定されることになる。
本例では、規則上使用可能とされる設定値Veの段階(有利度の段階)が6段階であることを前提とする。具体的に、設定値Veの規則上使用可能な範囲(以下「使用可能範囲Re」と表記する)は、「1」~「6」の範囲であることを前提としている。
この前提の下で、本例のパチンコ遊技機1は、規則上使用可能な設定値Veのうち、一部の設定値Veのみを使用する。具体的に、本例のパチンコ遊技機1は、使用可能範囲Re内の設定値Veである「1」~「6」のうち、例えば「1」「2」「6」の3値のみを使用する。換言すれば、当選確率についての段階を規則上の最大段階である6段階とするのではなく、3段階に制限した仕様とされている。
以下、パチンコ遊技機1において実際に使用される設定値Veの範囲、具体的には使用可能範囲Re内の設定値Veのうちで実際に使用される設定値Veの範囲(上記例では「1」「2」「6」の範囲)のことを「使用範囲Ru」と表記する。
設定値Veは、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員等のホールスタッフによって設定が行われる。なお、大当りが複数種類ある場合、何れの大当りの当選確率を設定値Veに応じて変化させるか、対象となる大当りの種類は、適宜定めることができる。例えば、大当り1~3という3種類の大当りがあるとした場合、設定値Veが相対的に高い方が、大当り1~3のすべての当選確率を高くしてもよいし、大当り1~3の合算当選確率を高くしてもよい。また一部の大当りの当選確率を高くしてもよい。例えば、大当り1~2の当選確率だけを高くし、大当り3については全設定値Veで一定の当選確率にしてもよい。
(設定値の変更操作について)
設定値Veを変更するためには、本例では、遊技機1の電源がオフとされ前枠2が解放された状態において、設定キースイッチ94をON操作(設定変更モード側に操作)し且つRAMクリアボタンを押圧した状態(RAMクリアスイッチ98がONの状態)で遊技機1への電源を投入する。すると、現在の設定値Veが設定・性能表示器97に表示され、設定値Ve(本例では1、2、6)の変更操作が可能な「設定変更モード」に移行される。
本例では、設定変更モードに移行するか否かの判定は、後述の主制御側メイン処理において行われる(図5のステップS104を参照)。設定変更モードに移行するための上記の操作条件が満足されているときは、これに応じて設定変更のための処理が実行される。
設定変更モードへの移行後において、設定値Veの変更操作子として機能するRAMクリアボタンがON操作されると、設定・性能表示器97の現在の表示値が「1→2→6→1→2→6→・・・」のように使用範囲Ru内で循環式に切り替えられる。そして希望する設定値Veとなったところで、設定キースイッチ94がOFFされると、設定値Veが確定され、確定した設定値Veの情報がRAM203の所定領域に格納(記憶)される。
また、設定キースイッチ94がOFFされると、設定変更モードが終了され、設定・性能表示器97の表示がクリアされる。
設定変更モードが終了すると、遊技進行を許容する状態に移行される。
(性能表示について)
主制御部20は、設定・性能表示器97に対し所定の性能情報を表示させるための制御信号を送信可能とされている。
性能情報とは、パチンコホールや関係各庁が確認したい情報であり、遊技機1に対する過剰賞球等の不正賞球ゴトの有無や遊技機1本来の出玉性能などに関する情報などがその代表例である。従って、性能情報自体は、予告演出等とは異なり、遊技者が遊技に興じる際に、その遊技進行自体には直接的に関係の無い情報となる。
このため設定・性能表示器97は、遊技機1内部、例えば、主制御部(主制御基板)20、払出制御基板29、発射制御基板28、上記中継基板、演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24上や、基板ケース(基板を保護する保護カバー)など、前枠2が開放状態とされたときに表示情報を視認可能となる位置に設けられている。
ここで、性能情報には、具体的に次のような情報を採用することができる。
(1)特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おいてアウト口49から排出された総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる。
上記「総払出個数」とは、入賞口(上始動口34、下始動口35、一般入賞口43、大入賞口50)に入賞した際に払い出された遊技球(賞球)の合計値である。本実施形態の場合、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個である。
また、特定状態として、何れの状態を採用するかについては、如何なる状態下の性能情報を把握したいかに応じて適宜定めることができる。本実施形態の場合であれば、通常状態、潜確状態、時短状態、確変状態、大当り遊技中のうち、何れの状態も採用することができる。また、複数種類の状態を計測対象としてもよい。例えば、通常状態と確変状態や、当り遊技中を除く全ての遊技状態等であり、その計測対象とする種類は適宜定めることができる。
また、特定状態中の期間として、大当り抽選確率が低確率状態又は高確率状態の何れかの期間を採用してもよい。
また、1又は複数の特定の入賞口を計測対象から除外したものを総払出個数としてもよい(特定入賞口除外総払出個数)。例えば、各入賞口のうち、大入賞口50を計測対象から除外したものを、総払出個数としてもよい。
(2)その他、総払出個数、特定入賞口除外総払出個数、総アウト球数の何れかだけを計測し、その計測結果を性能情報としてもよい。
本実施形態では、通常状態中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の総アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値)を性能情報(以下「通常時比率情報」と称する)として表示する。なお、この際の表示値は、小数点第1位を四捨五入した値とする。
従って、通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報の各データが、RAM203の該当領域(特定中総賞球数格納領域、特定中アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域)にそれぞれ格納(記憶)されるようになっている。但し、単に永続的に計測して性能情報を表示するのではなく、総アウト球数が所定の規定個数(例えば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了する。この規定個数とは、通常状態の総アウト球数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)の総アウト球数(以下「全状態アウト個数」と称する)である。この全状態アウト個数もリアルタイムに計測され、RAM203の該当領域(全状態アウト個数格納領域)に格納される。以下、説明の便宜のために、特定中総賞球数格納領域、特定中アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域、全状態アウト個数格納領域を「計測情報格納領域」と略称する。
そして、終了時点の通常時比率情報をRAM203の所定領域(性能表示格納領域)に格納し(今回の通常時比率情報を記憶)、その後、計測情報格納領域(通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数)をクリアしてから、再度、計測を開始する(通常時払出個数、通常時アウト個数、通常時比率情報および全状態アウト球数の計測を開始する)。そして、設定・性能表示器97には、前回の通常時比率情報(計測履歴情報)と、現在計測中の通常時比率情報とが表示されるようになっている。なお、前回の情報に限らず、前々回やその前(3回前)などの履歴を表示可能に構成してもよく、何回前までの情報を表示するかについては適宜定めることができる。
ここで、本例の場合、設定・性能表示器97には設定値Veと性能情報とが択一的に表示される。具体的に、本例では、設定変更や設定確認は電源投入に伴う起動時にのみ行われるため、電源投入に伴う起動後、設定変更モードや設定確認を行うモードに移行したことに応じて設定・性能表示器97に設定値Veが表示され、設定変更や設定確認が完了した後において、性能情報の表示が行われる。
なお、設定値Veと性能情報を共通の表示器により表示する構成に限定されず、別々の表示器により表示する構成を採ることもできる。その場合、設定値Veと性能情報の表示が並行して行われてもよい。
(演出制御コマンド)
主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報等を含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能とされている。但し、ゴト行為等の不正を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
ここで、演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)及びイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定及び出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定及び出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
[2-2.演出制御部]
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワーク領域やバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源IC)、RTC(Real Time Clock)機能部、カウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。
本例の演出制御部24は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリとして、上記のRAM243以外にメモリ244を有している。メモリ244は、例えばSRAM(Static RAM)で構成され、CPU241による情報の読み出し速度がRAM243よりも遅いものとされている。RAM243はバックアップ電源が接続されておらず、パチンコ遊技機1が電源遮断されると記憶情報を保持不能とされているのに対し、メモリ244はバックアップ電源が接続されてパチンコ遊技機1が電源遮断されても記憶情報を保持可能とされている。
なお、メモリ244の用途については後述する。
演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36に画像表示を実行させるための液晶制御部40の制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(ボタンLED75、その他の演出用LED(図示せず))の発光制御、可動体(役物)の動作制御等である。
液晶制御部40は、CPUや各種のメモリ装置を備えたコンピュータ装置として構成され、液晶表示装置36の表示制御を司る。この液晶制御部40は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、演出制御部24からの各種指示(後述する「液晶制御コマンド」等)に基づきVDPの動作を制御するCPU(液晶制御CPU)と、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納するROM(液晶制御ROM)と、ワーク領域やバッファメモリとして機能するRAM(液晶制御RAM)と、を中心に構成されている。
上記の液晶制御CPUが演出制御部24からの指示に基づきVDPの動作(液晶表示装置36の表示駆動動作)を制御することで、液晶表示装置36に演出制御部24の指示に応じた画像表示が行われる。
なお、図3に示す本実施形態のパチンコ遊技機1は、演出制御部24のCPU241とは別基板上に、液晶表示用のCPU(液晶制御部40のCPU)を有している。このような構成は、一般的に「2CPU」の構成と称される。一方で、液晶制御部40のCPUと同様の機能を果たすCPUを演出制御部24に実装した構成、すなわち、演出制御部24が液晶制御部40としての機能も果たす構成については「1CPU」の構成と称される。
演出制御部24は、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音コントローラ:音源IC)を有しており、音響制御部が出力する音響信号はアンプ部46dで増幅されてスピーカ46に供給される。
また、演出制御部24には、装飾ランプ45や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部として機能するランプドライバ部45dと、可動体(図示せず)を動作させる可動体役物モータ80cに対する駆動制御部として機能するモータドライバ部80d(モータ駆動回路)とが接続されている。演出制御部24は、これらランプドライバ部45dやモータドライバ部80dに指示を行って光表示装置45aによる光表示動作や可動体役物モータ80cの動作を制御する。
演出制御部24にはまた、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(例えば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば、これをエラーとして検出する。
また演出制御部24には、図中に操作部17として示す演出ボタン13や十字キー16のスイッチ、つまり演出ボタン13、十字キー16の操作検出スイッチが接続され、演出制御部24は、演出ボタン13、十字キー16からの操作検出信号をそれぞれ受信可能とされている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、予め用意された複数種類の演出パターンの中から抽選により、又は一意に演出パターンを選択(決定)し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
ここで、演出制御コマンドについて、演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)が送信する上述したストローブ信号の入力に基づき割込み処理を発生させてその受信・解析を行う。具体的に、CPU241は、上述したストローブ信号の入力に基づいてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、これにより実現される割込み処理において、演出制御コマンドを取得し、コマンド内容の解析を行う。
この際、CPU241は、ストローブ信号の入力に基づいて割込みが発生した場合には、他の割込みに基づく割込み処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込みが同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概要説明>
[3-1.図柄変動表示ゲーム]
次に、上記のような制御構成(図3)により実現される遊技機1の遊技動作の概要について説明する。
先ずは、図柄変動表示ゲームについて説明する。
(特別図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行われる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、特別図柄2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、又は特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「はずれ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略称する)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
(装飾図柄変動表示ゲーム)
また、上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
従って、例えば特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(例えば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(例えば「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52cが作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:例えば、29.8秒)経過するまでか、又は大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:例えば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これら何れかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、予め定められた規定ラウンド数(例えば、最大16ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技が予め定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了するようになっている。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、先ず主制御部20が、上始動口34又は下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34a又は下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」又は「はずれ」の何れであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「はずれ」であったならばそのはずれ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(はずれが1種類の場合は、はずれについて種別抽選を行う必要がないためその抽選を省略してもよい)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。
そして、主制御部20は、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(例えば、大当り抽選結果及び特別図柄の変動時間に関する情報等)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(例えば、後述の「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、はずれの場合の「はずれ変動パターン」に大別される。これら変動パターンには、例えば、後述のリーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との発生(重複発生)を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’等、複数種類の変動パターンが含まれる。なお、リーチ演出や疑似連演出の演出時間を確保する関係上、通常、リーチ演出や疑似連演出を指定する変動パターンの方が、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(予告演出等の演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36又は光表示装置45a或いは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この二つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記二つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。例えば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(例えば、2個のLED39が全て点灯状態、又は「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(例えば0.2秒)経過するまでか、又は下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(例えば4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これら何れかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。
(保留について)
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、又は普電開放遊技中等に、上始動口34又は下始動口35若しくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34a又は下始動口センサ35a若しくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中に関わるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(例えば最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データ、又はその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、又は液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、及び普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄又は普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、及び普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また、各図柄の最大保留記憶数の全部又は一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。
[3-2.遊技状態]
本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本実施形態の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態について説明する。
本実施形態の遊技機1は、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態の少なくとも4種類の遊技状態を実行制御可能に構成されている。これら遊技状態は、大当り抽選確率状態(低確率状態、高確率状態)や電チューサポート状態(特典遊技)の発生の有無(電サポ有り、電サポ無し)等で区別される。
「電チューサポート状態」とは、普電開放遊技における普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)が、通常状態よりも延長された「開放延長状態」を指す。開放延長状態が発生すると、可動翼片47の開動作期間が、例えば、通常時(非開放延長状態下)の0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、例えば、通常時の1回から2~3回に延長される。
本実施形態の場合、電チューサポート状態下では、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(例えば256分の1)から高確率(例えば256分の255)に変動して(普図確率変動状態)が発生すると共に、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄の変動表示動作時間)を短縮する‘普通図柄時短状態’が発生する(例えば10秒から1秒に短縮される)。従って、電チューサポート状態が発生すると、普電開放遊技が頻繁に発生し、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態(高ベース状態)となる。以下、電チューサポート状態下を「電サポ有り」、そうでない場合を「電サポ無し」と略称する。
本実施形態において、「通常状態」とは、大当り抽選確率が所定確率(通常確率)の低確率(例えば399分の1)であり、電サポ無しの遊技状態(低確率+電サポ無し)を言う。
「時短状態」とは、大当り抽選確率が通常状態と同様の低確率であるが、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄の変動表示動作時間))が通常状態よりも短縮される‘特別図柄時短状態’が発生すると共に、電チューサポート状態となる遊技状態を言う。つまり、時短状態中は「低確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
「潜確状態」とは、大当り抽選確率が上記低確率よりも上昇した高確率(例えば39.9分の1)に変動した‘特別図柄確変状態’であり、電サポ無しの遊技状態(高確率+電サポ無し)を言う。
「確変状態」とは、大当り抽選確率が潜確状態と同様の高確率であるが、特別図柄時短状態及び電チューサポート状態が発生する遊技状態を言う。つまり、確変状態中は「高確率+電サポ有り+特別図柄時短状態」となる。
遊技状態に関し、大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「通常状態」「時短状態」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」「確変状態」である場合は、少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお、大当り中は大入賞口が開閉される大当り遊技が発生するが、大当り抽選確率及び電サポの有無については、上記通常状態と同じ、低確率・電サポ無しの遊技状態下に置かれる。
[3-3.当りについて]
続いて、遊技機1における「当り」について説明する。
本実施形態の遊技機1においては、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。本例の場合、当りの種別には、大当り種別に属する例えば「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」の各大当りが含まれる。
なお、上記「R」の表記は、規定ラウンド数(最大ラウンド数)を意味する。
大当り種別は、条件装置の作動契機となる当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、又は遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものを言う。
上記確変状態は、大当り種別に当選することなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回:規定ST回数)終了した場合に、高確率状態を終了させて低確率に移行させる、いわゆる「回数切り確変機(ST機)」となっており、規定ST回数が終了したときは、次ゲームから通常状態に移行される。但し、次回大当りが当選するまで継続させるタイプの「一般確変機」としてもよい。
なお、特別図柄変動表示ゲームの実行回数は、特別図柄変動表示ゲーム1、及び特別図柄変動表示ゲーム2の合計実行回数(特図1及び特図2の合計変動回数)であってもよいし、何れか一方の実行回数(例えば特別図柄変動表示ゲーム2の実行回数)であってもよい。また、時短状態の回数についても60回や100回に限らず、遊技性に応じて適宜定めることができる。また、どのような種類の当りを設けるかについても特に制限はなく、適宜定めることができる。
ここで、本例では、大当り種別と同様に「はずれ」についても複数の種別が設けられている。具体的には、「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の三種のはずれ種別が設けられている。
前述のように、当落抽選の結果が「はずれ」であった場合には、図柄抽選においてはずれ種別の抽選が行われる。
[3-4.演出について]
(演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。具体的には、通常状態、時短状態、潜確状態、確変状態のそれぞれに対応した、通常演出モード、時短演出モード、潜確演出モード、確変演出モードが設けられている。各演出モードでは、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景演出により表示され、遊技者が現在、どのような遊技状態に滞在しているかを把握することができるようになっている。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、主制御部20側で管理される遊技状態情報を含む演出制御コマンドに基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、現在の遊技状態を把握し、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。上記のような特定の演出制御コマンドとしては、例えば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態に変化が生じる際に送られる遊技状態指定コマンド等がある。
(予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている。このような予告演出は、当り種別に当選したか否かの期待度(以下「当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」や「疑似連演出」、さらには「先読み予告演出」等がある。演出制御部24は、これら演出を実行(現出)制御可能な予告演出制御手段として機能する。
「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様:リーチ変動パターン)を言い、具体的には、リーチ状態を経由して最終的なゲーム結果を導出表示するような演出態様を言う。リーチ演出には当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。例えば、ノーマルリーチ演出が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を‘スーパーリーチ演出’と言う。この「スーパーリーチ」の多くは、当選期待感を煽るべく、ノーマルリーチよりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。また、ノーマルリーチやスーパーリーチには複数種類のリーチ演出が含まれる。本例では、スーパーリーチには、スーパーリーチ1、2、3、4という複数種類のリーチ演出が含まれ、これらスーパーリーチ1~4の当選期待度については「スーパーリーチ1<スーパーリーチ2<スーパーリーチ3<スーパーリーチ4」という関係性を持たせている。
「疑似連演出」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似連変動)を伴う演出態様を言い、「疑似連変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部又は全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。このような「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるようにその発生率(出現率)が定められており、例えば、疑似変動回数に応じて、スーパーリーチ等の期待感を煽るための演出が選択され易くされている。
「先読み予告演出」(以下では「先読み予告」や「先読み演出」と略称する場合もある)とは、先読み判定の結果に基づいて、判定対象の図柄の変動表示が行われるよりも前に、有利状態に制御される可能性を報知する演出を意味する。なお、「有利状態」は、遊技者にとって有利な状態を意味する。
具体的に、本例の先読み演出は、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様や先に実行される図柄変動表示ゲームの背景演出等を利用して、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される前に、当選期待度を事前に報知し得る演出態様で行われる。なお、図柄変動表示ゲームにおいては、上記「リーチ演出」の他、いわゆる「SU(ステップアップ)予告演出」や「タイマ予告演出」、「復活演出」、「プレミア予告演出」などの種々の演出が発生し、ゲーム内容を盛り上げるようになっている。
ここで、図4を参照し、上記先読み予告演出の一例としての「保留変化予告演出」について説明する。
本実施形態の遊技機1の場合、液晶表示装置36の画面内の上側の表示エリアには、装飾図柄変動表示ゲームを現出する表示エリア(装飾図柄の変動表示演出や予告演出を現出するための表示領域)が設けられており、また画面内の下側の表示エリアには、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76(保留表示部a1~d1)と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77(保留表示部a2~d2)とが設けられている。作動保留球の有無に関しては、所定の保留表示態様により、その旨が報知される。図4では、作動保留球の有無を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)、又は消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される例を示している。
作動保留球の有無に関する表示(保留表示)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。本実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1又は特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1又はa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたって維持される。
作動保留球が発生した場合、主制御部20から、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含め、現存する作動保留球数)とを指定する「保留加算コマンド」が演出制御部24に送信される(図22のステップS1309~S1312参照)。
本実施形態の場合、上記保留加算コマンドは2バイトで構成され、保留加算コマンドは、先読み判定時の作動保留球数を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定情報を特定可能とする下位バイト側データとから構成される。
ここで、上記説明から理解されるように、本実施形態では、上始動口34又は下始動口35に入賞が発生して新たに保留球が生じたことに基づいて、当該保留球についての先読み判定として、当該保留球に係る図柄変動表示ゲームについての大当り抽選が行われる。後述するように、主制御部20は、このような先読み判定として行った大当り抽選の結果を表す情報を、RAM203の該当記憶領域に保留記憶する。
先読み判定時に得られた大当り抽選結果の情報は、図柄変動表示ゲームにおける図柄変動パターンを選択(抽選)するために用いられるものであり、いわば「変動パターン選択用情報」と換言することができる。従って、主制御部20は、先読み判定を行って、その結果得られる「変動パターン選択用情報」をRAM203の所定領域に保留記憶していると言うことができる。
演出制御部24は、主制御部20が送信した上記の保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告演出」に関する演出制御処理を行う。具体的には、先読み予告演出の実行可否を抽選する「先読み予告抽選」を行い、これに当選した場合には、先読み予告演出を現出させる。
ここで、先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンを先読み判定して得られる遊技情報である。すなわち、この情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果を先読み判定した情報(先読み当落情報)が含まれ、その他、図柄抽選結果を先読み判定した情報(先読み図柄情報)や変動開始時の変動パターンを先読み判定した情報(先読み変動パターン情報)を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、先読み予告にて報知する内容に応じて適宜定めることができる。
本例では、保留加算コマンドには先読み当落情報、先読み図柄情報、及び先読み変動パターン情報が含まれているものとする。
なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。例えば、上記変動開始時の変動パターンが「スーパーリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明すれば、本ケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が「スーパーリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「スーパーリーチ種別」である旨を指定することができる。
本実施形態の場合、先読み予告抽選に当選した場合には、保留表示部a1~d1、a2~d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、例えば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、デンジャー柄(或いは虹色などの特殊な色彩や絵柄)による保留表示(特別保留表示態様)に変化し得る「保留表示変化系」の先読み予告演出(「保留変化予告」とも称する)が行われる。
図4では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、デンジャー柄の表示は、この順に、当選期待度が高いことを意味しており、特にデンジャー柄の保留アイコンの表示は、大当り当選期待度が極めて高い表示となるプレミアム的な保留アイコンとされている。
(演出手段)
遊技機1における各種の演出は、遊技機1に配設された演出手段により現出される。この演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光表示装置45a:光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音響発生装置46a:音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで、演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(例えば7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<4.主制御部の処理>
続いて、本実施形態の主制御部20が行う処理について説明する。主制御部20の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図5)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込み処理(主制御側タイマ割込み処理:図18)とを含んで構成される。
[4-1.主制御側メイン処理]
図5は、主制御側メイン処理を示したフローチャートである。
主制御側メイン処理が開始されるのは、停電状態や電源異常等からの復旧時に電源基板からのシステムリセット信号によるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことによりウォッチドッグタイマ機能(WDT)が発揮されてCPU201が強制的にリセット(WDTリセット)される場合等がある。何れの場合でも、当該メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、先ず、CPU201を含む各部のレジスタの値を初期設定する等の遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS101)。
(初期設定処理)
図6は、ステップS101の初期設定処理を示したフローチャートである。
図6において、上記のシステムリセットやWDTリセットが発生すると、CPU201はステップS201で、自らを割込み禁止状態に設定し、次いで、ステップS202のスタックポインタ設定処理として、RAM203のスタックポインタの値をスタック領域の最終アドレスに対応して設定する処理を実行する。そして、続くステップS203で、RAMプロテクトを無効とすると共に、RAM203の指定エリア外走行禁止機能における禁止領域を無効とする処理を行う。
次いで、CPU201はステップS204で、セキュリティ信号OFF、設定値表示OFF、発射許可信号OFFとするための処理を実行する。ここで、セキュリティ信号は、枠用外部集中端子基板21を通じてホールコンピュータHCに出力される信号であり、ホールコンピュータHCに設定変更中等の状態通知を行うための信号として機能する。設定値表示OFFとは、設定・性能表示器97における設定値Veの表示をOFFさせることを意味する。
発射許可信号は、前述のように払出制御基板29から発射制御基板28に出力される信号であり、CPU201は払出制御基板29に対する指示を行って発射許可信号をOFFさせる。
ここで、セキュリティ信号OFF、設定値表示OFFは、設定変更中の電源入切対策である。すなわち、設定変更処理において設定値Veを表示中に電源が切られた可能性もあるため、設定値表示とセキュリティ信号を一旦OFFとするものである。
ステップS204に続くステップS205でCPU201は、電源異常チェック処理を実行する。
図7に示すように、電源異常チェック処理では、WDTタイマをクリアし(ステップS11)、電源異常信号がONであるか否かを判定する(ステップS12)。電源異常信号は、電源基板から出力される信号であり、電源異常信号OFFが正常レベルであることを表し、電源異常信号ONが正常レベルでない(つまり異常である)ことを表す。電源異常信号がONであれば、CPU201は図5に示すステップS101に戻り、主制御側メイン処理を最初からやり直す。すなわち、電源に異常が認められた場合には主制御側メイン処理がリセットされるものである。
そして、電源異常信号がONでなければ、電源に異常は認められないため、CPU201は電源異常チェック処理を終える。
図6に戻り、CPU201はステップS205の電源異常チェック処理を終えたことに応じ、ステップS206で起動時の各種設定処理を行う。このステップS206の設定処理では、例えば、所定の割込みモードに設定する割込みモード設定処理や、内部ハード乱数回路を起動させる内部ハード乱数設定処理等を実行する。
ステップS206に続くステップS207でCPU201は、サブ制御基板(演出制御部24)の起動待ち時間をセットする。そして、ステップS208~S210の処理により、セットした起動待ち時間が経過するのを待機する。具体的には、セットした起動待ち時間を1減算し(ステップS208)、電源異常チェック処理(ステップS209)を実行した上で、起動待ち時間がゼロでなければ(ステップS210:≠0)ステップS208の処理に戻る。このような起動待ち時間に基づく待機処理により、演出制御部24の起動が完了することになる。
ステップS210において、上記の起動待ち時間が経過した場合(待ち時間=0)、CPU201はステップS211に進み、待機画面表示コマンドを演出制御部24に送信する。
この待機画面表示コマンドを受け、演出制御部24は、例えば「Please Wait...」等の文字が配された画面等、起動時に対応して定められた所定の画面表示を液晶表示装置36に実行させるための制御を行う。
ステップS211の送信処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS212に処理を進めて、該ステップS212とステップS213の処理により、電源異常チェック処理(S212:図7参照)を実行しながら、払出制御基板29からの電源投入時信号が送られてくるのを待機する。この電源投入時信号は、払出制御基板29が正常に立ち上がった場合に出力される信号であり、CPU201は、払出制御基板29が正常起動するまで待機するようになっている。これにより、何らかのトラブルによって払出制御基板29が正常に機能していない場合には、ステップS212とS213の処理が繰り返されるだけで遊技動作は開始されない。従って、例えば賞球が払い出されない等の払出異常が発生せず、遊技者に不信感を与えることの防止が図られる。
CPU201は、上記の電源投入時信号が送られてきた場合は(ステップS213:ON)、ステップS101の初期設定処理を終える。
(初期設定後の処理)
CPU201は、上記の初期設定処理を終えたことに応じ、図5に示すステップS102に進む。
ステップS102でCPU201は、入力ポートn(すなわち所定の入力ポート)の情報を取得し、Wレジスタにコピーする。
ここで、入力ポートnは1バイト(8ビット)のポートとされ、本例では、次の各信号が入力される。なお、以下に示す「b0」~「b7」はビット位置を表す。
b0:設定キー(設定キースイッチ94からの入力信号)
b1:補給切れ検出信号
b2:計数エラー信号
b3:断線検出信号1
b4:断線検出信号2
b5:扉開放信号(前扉開放センサ61の検出信号)
b6:RAMクリアボタン(RAMクリアスイッチ98からの入力信号)
b7:電源投入時信号及び払出通信確認信号
ここで、b0の設定キーについては、「0」が設定キースイッチ94=OFF、「1」が設定キースイッチ94=ONを意味する。また、b5の扉開放信号については、「0」が扉閉鎖(前枠2が閉鎖)、「1」が扉開放を意味する。さらに、b6のRAMクリアボタンについては、「0」がRAMクリアスイッチ98=OFF(ボタン非操作状態)、「1」がRAMクリアスイッチ98=ON(ボタン操作状態)を意味する。
ステップS102に続くステップS103でCPU201は、Wレジスタの値をマスクする。具体的には、以下で説明する設定変更処理(S115)、RAMクリア処理(少なくともS117及びS118)、設定確認処理(S109)、バックアップ復帰処理(S111)の移行判定を行うにあたって必要とされる値である設定キー(b0)、RAMクリアボタン(b6)、扉開放信号(b5)以外の値をマスクする処理を行う。
先の説明から理解されるように、設定変更処理への移行条件としては、起動時において、前枠2が開放された状態で設定キーとRAMクリアボタンの双方が操作状態とされることとされている。
また、本例において、RAMクリア処理への移行条件は、操作の面では、起動時において設定キーが非操作状態、RAMクリアボタンが操作状態とされることとされている。
また、設定確認処理への移行条件は、操作の面では、前枠2が開放された状態において、設定キーが操作状態、RAMクリアボタンが非操作状態とされることとされている。
さらに、バックアップ復帰処理への移行条件は、操作の面では、起動時において設定キー、RAMクリアボタンの双方が非操作状態とされることとされている。
図8は、これら設定変更処理、RAMクリア処理、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行にあたっての操作面での各判定条件と、Wレジスタの値との対応関係を示している。
図8では、設定変更処理、RAMクリア処理、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行判定の順番を示している。
1番目の設定変更処理への移行判定は、図示のように判定条件が設定キー:ON(設定キースイッチ94:ON)、扉開放:ON(前扉開放センサ61:ON)、RAMクリアスイッチ98:ONとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:1、5ビット目:1、6ビット目:1が条件とされる。
2番目のRAMクリア処理への移行判定は、判定条件がRAMクリアスイッチ98:ONであり、Wレジスタの値としては6ビット目:1か否かを判定することになる。ここで、本例では、RAMクリア処理への移行判定は、設定変更処理の移行条件が不成立の場合に実行される。また、設定確認処理、バックアップ復帰処理への移行にあたっては、RAMクリアスイッチ98がOFFであることが条件とされる。これらの点より、設定変更処理への移行条件が不成立であって、RAMクリアスイッチ98がONであれば、RAMクリア処理への移行操作が行われていると推定することができる。このため本例では、上記のようにRAMクリア処理への移行判定では、操作の面では、RAMクリアスイッチ98がONであるか否か(6ビット目:1か否か)のみを判定することとしている。
3番目の設定確認処理への移行判定は、判定条件が設定キー:ON、扉開放:ON、RAMクリアスイッチ98:OFFとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:1、5ビット目:1、6ビット目:0が条件とされる。
さらに、4番目のバックアップ復帰処理への移行判定は、判定条件が設定キー:OFF、RAMクリアスイッチ98:OFFとされ、従ってWレジスタの値としては0ビット目:0、6ビット目:0が条件とされる。
ここで、バックアップ復帰処理について、設定確認処理を経ずにバックアップ復帰処理のみが行われるための移行条件としては、上記のように操作面では設定キー:OFF、RAMクリアスイッチ98:OFFと表記することができるが、設定確認処理の実行有無を問わず単にバックアップ復帰処理が行われる状態に移行するか否かの条件としては、後述するバックアップフラグがONであるということが条件となる(ステップS106の判定処理を参照)。
説明を図5に戻す。
CPU201は、ステップS103のマスク処理を行ったことに応じ、ステップS104で設定変更条件成立判定処理を実行する。具体的には、設定変更モードに移行すべきか否かを判定するべく、ステップS103のマスク後の値(3ビット)が「111」であるか否かを判定する。
マスク後の値が「111」であり、設定変更条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201はステップS115の設定変更処理を実行する。すなわち、RAMクリアボタンや設定キーの操作に応じて設定値Veを新たに設定するための処理を行う。
なお、ステップS115の設定変更処理の詳細については後に改めて説明する。
ここで、上記のように本実施形態では、設定キースイッチ94、前扉開放センサ61、及びRAMクリアスイッチ98による検出信号、換言すれば、設定変更モードへの移行判定を行うにあたり用いられる各検出信号を主制御部20の同一入力ポートに入力し、入力した各検出信号の値がそれぞれ所定条件を満たす値であるか否かを一括判定している。
これにより、設定変更モードへの移行判定について、各検出信号の値が所定条件を満たす値か否かを個別判定する場合よりも判定処理数の削減が図られる。
ステップS115の設定変更処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS116でRAMクリア処理を実行する。このRAMクリア処理は、RAM203におけるワーク領域を含む所定領域(使用領域)内の値を初期化する処理や、ステップS115で実行した設定変更処理の終了を演出制御部24側に通知するための設定変更終了コマンドの送信処理を含むが、詳細は後述する。
続いて、先のステップS104において、ステップS103によるマスク後の値が「111」ではなく、設定変更条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS105に進んでRAM異常か否かを判定する。具体的には、RAM203のワーク領域に格納されている「設定値」が使用範囲Ru外の値(本例では「1」「2」「6」の範囲外)であるか否かを少なくとも判定する。
ここで、CPU201が設定値Veに関して扱う値としては、設定値Vdがある。設定値Vdは、設定値Vdは、設定値Veに対応した値であり、本例では1バイトの値とされ、前述した使用範囲Ruに対応する少なくとも3段階を表現可能となるように、00H(0)~02H(3)の値が定められている。なお、「H」は16進数を意味する(以下、同様)。本例では、設定値Vd=00Hが設定値Ve=「1」を、設定値Vd=01Hが設定値Ve=「2」を、設定値Vd=02Hが設定値Ve=「6」をそれぞれ表すものとされる。主制御部20において、「設定値」としては主に設定値Vdが扱われるもので、主制御部20のRAM203のワーク領域における「設定値」の格納領域にはこの設定値Vdが格納される。
ステップS105の判定処理では、ワーク領域に格納された設定値Vdが00H~02Hの範囲の値であるか否かを判定する。
ステップS105において、設定値が上記の使用範囲Ru外(つまり正常な範囲外)の値であり、RAM異常であると判定した場合、CPU201はステップS112以降に続く電源再投入を待機するための処理に以降する。
具体的に、ステップS112でCPU201は、電源再投入時のコマンド送信処理として、パチンコ遊技機1の電源再投入且つ設定変更を促すための報知が行われるように指示するための演出制御コマンド(設定変更待ちコマンド)を演出制御部24に送信する処理を行う。起動時においてRAM異常が検知された場合には、強制的に設定変更モードに移行させて設定値Veの変更(設定)を受け付ける。このためCPU201は、先ずステップS112で、設定変更待ちコマンドにより設定変更モードに移行する旨を演出制御部24側に通知する。
該設定変更待ちコマンドを受け演出制御部24は、例えば「扉を開けて設定を変更して下さい」等の文字を含む画面等、設定変更操作を促すための画面表示を液晶表示装置36に実行させる。このとき、演出制御部24は、該画面表示と共に対応する光演出(例えば光表示装置45aにおける全LED点灯)や音演出を現出させる制御を行ってもよい。
ステップS112に続くステップS113でCPU201は、バックアップフラグを00H(つまりOFF)とした上で、ステップS114のエラー表示処理を繰り返す。このステップS114のエラー表示処理では、設定・性能表示器97にエラー表示を実行させるための処理が行われる。このエラー表示処理はパチンコ遊技機1の電源が遮断されるまで繰り返され、電源が再投入されると主制御側メイン処理としてステップS101以降の処理が再び実行される。このとき、上記の画面表示等に応じて設定変更モードへの移行操作が行われていれば、設定変更モードへの移行が行われ、RAM異常状態の解消が図られる。
上記したステップS105において、設定値が使用範囲Ru外の値ではなく、RAM異常ではないと判定した場合、CPU201はステップS106に進んでバックアップフラグがON状態か否か(本例ではバックアップフラグ=5AHがON状態)を判定する。
遊技機1において、電源遮断時には、主制御側タイマ割込み処理における後述する電源チェック・バックアップ処理(ステップS901、図19参照)により、RAM203の記憶情報についてバックアップのための処理が行われる。電源遮断時に適正にバックアップ処理が行われた場合には、バックアップフラグがON状態とされる(図19のステップS1010参照)。このため上記のステップS106ではバックアップフラグを確認して、バックアップ復帰可能であるか否かの判定を行う。具体的に、ステップS106では、RAM203の所定領域に格納されたバックアップフラグがON状態(5AH)である否かを判定する。
ステップS106でバックアップフラグがONでないと判定した場合、CPU201は上述したステップS112に処理を進める。これにより、バックアップ復帰条件を満たさない場合には、先に説明したRAM異常が認められた場合と同様、強制的に設定変更モードへの移行が行われる。
ここで、前述したように、ステップS106の判定処理は、設定確認処理の実行有無を問わず、バックアップ復帰処理が行われる状態への移行可否を判定する処理に相当するものである。
一方、ステップS106でバックアップフラグがONであると判定した場合、CPU201は、ステップS107でRAMクリア条件(RAMクリア処理への移行条件)が成立しているか否かを判定する。具体的には、Wレジスタの6ビット目の値が「1」か否かを判定する。
Wレジスタの6ビット目の値が「1」であり、RAMクリア条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201は上述したステップS116に処理を進める。これにより、上述したRAMクリア処理が実行される。
ここで、上記したステップS107→S116に至るルートを参照して分かるように、本実施形態の遊技機1では、設定変更をせずにRAMクリアを行うことが可能とされている。これにより、RAM203における払出関係のデータ等、設定値Veに係るデータ以外をクリアしたい場合に対応可能とされている。
また、ステップS107において、Wレジスタの6ビット目の値が「1」でなく、RAMクリア条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS108に進んで設定確認条件(設定確認処理への移行条件)が成立しているか否かを判定する。すなわち、ステップS103によるマスク後のWレジスタの値が「110」か否かを判定する。
マスク後のWレジスタの値が「110」であり設定確認条件が成立しているとの肯定結果が得られた場合、CPU201はステップS109の設定確認処理を実行し、ステップS110に処理を進める。すなわち、バックアップ復帰のための処理に移行する。
なお、ステップS109の設定確認処理の詳細については改めて説明する。
一方、マスク後のWレジスタの値が「110」ではなく設定確認条件が成立していないとの否定結果が得られた場合、CPU201はステップS109の設定確認処理をパスして、ステップS110に進む。
ステップS110でCPU201は、バックアップ復帰時のコマンド送信処理として、バックアップ復帰時に対応した所定の演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理を行う。
ステップS110に続くステップS111でCPU201は、バックアップ復帰処理を行う。
バックアップ復帰処理は、電源遮断時にバックアップされたRAM203の記憶内容に基づいて、電源投入後に電源遮断前の動作に復帰させる処理となる。具体的に、CPU201は、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技動作を開始するための処理を行う。
また、バックアップ復帰処理では、バックアップ復帰した場合に対応した情報表示指示を行うための停電復帰表示コマンド(OB03H)が後述するステップS119のメインループ前処理において演出制御部24に送信されるようにするべく、停電復帰表示コマンドの下位バイトデータをレジスタに記憶する処理を実行する。
ステップS111のバックアップ復帰処理を実行した場合、又は前述したステップS116のRAMクリア処理を実行した場合(つまり設定変更処理とRAMクリア処理の双方を実行した場合、又はRAMクリア処理のみを実行した場合)、CPU201はステップS117処理を進める。
ステップS117でCPU201は、例えば4ms等の所定時間毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定を行う。
このステップS117の設定処理が行われることで、以降、割込みコントローラへの割込み要求信号が定期的に出力され、主制御側タイマ割込み処理が実行される。
続くステップS118でCPU201は、遊技開始を指示するための演出制御コマンドを演出制御部24に送信する処理を行い、次いで、ステップS119に処理を進めてメインループ前処理を実行した上で、ステップS120のメインループ処理を実行する。
なお、ステップS119のメインループ前処理については後に改めて説明する。
(メインループ処理)
図9は、ステップS120のメインループ処理を示したフローチャートである。
図9のメインループ処理において、CPU201はステップS601で、自身を割込み禁止状態に設定し、続くステップS602で乱数更新処理を実行する。この乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には、大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、又は変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ等が設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS602の乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ等を更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。例えば、仮に、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が「0~238」とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に「1」を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に「1」を加算した結果が「239」であれば「0」を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。
ステップS602の乱数更新処理を終えると、CPU201はステップS603で全レジスタの値を退避する処理を行った上で、ステップS604で性能表示モニタ集計除算処理を行う。
この性能表示モニタ集計除算処理は、前述した性能情報としての値(ここでは、例えば前述した「通常時比率情報」としての値とする)を演算する処理である。前述のように、通常時比率情報の値は、総払出個数と総アウト球数とを用いて算出されるものであるが、CPU201は、総払出個数については、入賞口(上始動口34、下始動口35、一般入賞口43、大入賞口50)に入賞した遊技球の数をカウントした結果に基づき算出し、総アウト球数については、アウト口49から排出された遊技球の数をカウントすることで求める。
入賞球数のカウント、及びアウト球数のカウントは、主制御側タイマ割込み処理における後述する入力管理処理(図18ステップS904を参照)で行われる。CPU201は、このようにタイマ割込み処理側で行う入賞球数のカウント、及びアウト球数のカウントのそれぞれによるカウント値に基づき、ステップS604において通常時比率情報としての値を演算する。前述のように、演算した通常時比率情報としての値は、RAM203の所定領域(計測情報格納領域)に格納される。
なお、このように算出された通常時比率情報の値は、主制御側タイマ割込み処理における後述する性能表示モニタ表示処理(図18ステップS916を参照)によって設定・性能表示器97に表示される。
ステップS604に続くステップS605でCPU201は、全レジスタ復帰処理を行い、さらに続くステップS606で自身を割込み許可状態に設定した上で、ステップS601に戻る。
このようにステップS123のメインループ処理では、ステップS601~S606の処理が無限ループ状に繰り返される。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込み処理を行っている間を除いて、これらステップS601~S606の処理を繰り返し実行することになる。
(設定変更処理)
図10は、ステップS115の設定変更処理を示したフローチャートである。
この設定変更処理では、操作に基づき設定値Veを設定するための処理や、設定変更中である旨や設定変更が終了(完了)した旨を通知するための演出制御コマンドを演出制御部24に送信するための処理等が行われる。
図10において、CPU201は、先ずステップS401で設定変更中コマンド(BA76H)を演出制御部24に送信する処理を実行する。
この設定変更中コマンドを受け、演出制御部24は、例えば「設定変更中です」等の文字が配された画面等、設定変更中である旨を報知するための画面表示を液晶表示装置36に実行させたり、スピーカ46から設定変更中に対応した音出力が行われるようにするための処理を行う。さらにこの際、演出制御部24は、前述した光発生手段(光表示装置45a)における所定のLED(例えば全LED)を所定の点灯パターンにより点灯させてもよい。
なお、設定変更中コマンドを始めとして、設定変更に係りCPU201が送信した各種演出制御コマンドに対応して演出制御部24が実行する処理については後述する(図52A等)。
続くステップS402でCPU201は、バックアップフラグを00H(つまりOFF状態)とした上で、ステップS403でシステム動作ステータス=2に設定する。このシステム動作ステータスは、起動時においてステップS115の設定変更処理を経由したか否かを少なくとも識別するための情報であり、「2」は設定変更処理を経由した旨を表し、「2」以外の値(例えば「0」)が設定変更処理を経由していない旨を表す。
図5を参照して分かるように、本例では、設定変更処理とRAMクリア処理(S116)の双方を実行する場合と、設定変更処理を実行せずRAMクリア処理のみを実行する場合とでRAMクリア処理(プログラム)を共用するものとしているが、上記のシステム動作ステータスを用いることで、RAMクリア処理のプログラムを共用しながら、前者の場合と後者の場合とで処理を実行し分けることができる。
ステップS403に続くステップS404でCPU201は、設定値を取得する処理を実行する。具体的には、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Vd(本例では00H~02Hの何れか)を取得する。
ステップS404に続くステップS405以降の処理は、設定値Veの順送り操作(RAMクリアボタンの操作)に応じて設定・性能表示器97における表示値を更新したり、設定変更の完了操作(設定キーの操作)に応じて設定値Veを設定したりするための処理となる。
先ず、CPU201はステップS405で、取得した設定値Vdを1デクリメントし(「設定値-1」)、続くステップS406で設定値Vdが「2」(最大段階数-1)以上か否かを判定する(設定値≧2」)。本例では、設定値Vdの最大値は02H(最大段階数は「3」)であるため、設定変更処理の開始後に初回に実行されるステップS406で設定値≧2と判定されることはない。
ステップS406において、設定値Vdが2以上でなければ、CPU201はステップS407でキャリーフラグをセットした上で(ONとした上で)、ステップS408で設定値Vdを1インクリメント(「設定値+1」)し、ステップS409でキャリーフラグがONであるか否か判定する。キャリーフラグがONであれば、CPU201はステップS411で設定変更時コマンドの取得処理を実行し、続くステップS412のコマンド処理によって設定変更時コマンドを演出制御部24に送信する。
なお、設定変更時コマンドについては後述する。
そして、ステップS412のコマンド送信処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS413の出力管理処理を実行する。この出力管理処理により、設定・性能表示器97に現在の設定値Vdに対応する設定値Veが表示される。なお、ステップS413の出力管理処理の詳細は後述する。
ステップS413に続くステップS414でCPU201は、設定キーがOFFであるか否か、つまり設定キースイッチ94がOFFであるか否かを判定し、設定キーがOFFでなければステップS415で変更スイッチ、すなわちRAMクリアスイッチ98がONであるか否かを判定する。RAMクリアスイッチ98がONでなければ、CPU201はステップS413の出力管理処理を再度実行する。
ステップS413~S415の処理により、CPU201は設定キー、変更スイッチの何れかがONとなるまで待機すると共に、待機中はステップS413の処理によって設定・性能表示器97に現在の設定値Veを表示させるための処理を繰り返す。
ステップS415において、変更スイッチがONであれば、CPU201はステップS406に戻る。
ここで、ステップS115の設定変更処理の開始時に取得された設定値Vd(それまで設定中であった設定値Vd)が02Hであった場合には、ステップS415で変更スイッチがONと判定されたことに応じて実行されるステップS406の処理において、「設定値≧2」であるとの判定結果が得られる(ステップS405で-1されるがステップS408で+1されるため)。設定値Vdが02Hの状態で行われた変更操作(順送り操作)に応じては、設定値Vdを00Hに戻すべきである。このため、ステップS406で「設定値≧2」と判定された場合は、ステップS407のキャリーフラグセット処理をパスして、ステップS408に処理を進める。これにより、ステップS409ではキャリーフラグがOFFと判定されるため、処理がステップS410に進められて設定値Vdが00Hに戻される(「設定値←0」)。
CPU201は、ステップS410で設定値Vdを00Hに戻したことに応じ、ステップS411、S412の処理を経由してステップS413に処理を進める。つまりこの場合は、設定・性能表示器97に設定値Vd=00Hに対応した設定値Ve(本例では「1」)が表示される。
なお、キャリーフラグは、例えばステップS409でONと判定されたことに応じてOFFとされる。
上記の処理により、設定変更中においては、変更操作に応じて設定値Vdが00H~02Hの範囲内(使用範囲Ru内)で循環式に変更されると共に、変更された設定値Vdに対応する設定値Veが設定・性能表示器97に表示される。
ここで、上記したステップS405~S410の処理によると、ステップS406で設定値Vdとの比較対象とする値の大きさによって、設定値Vdを「00H」に戻す際の上限値を変化できることが分かる。つまり、上記例では、ステップS406における比較対象値を「2(02H)」とすることで、設定値Vd=2のときにステップS415で変更スイッチの操作が検知された場合に、設定値Vdが「00H」に戻されるようにしている。ステップS406における比較対象値を「1」や「0」とすれば、それぞれ、設定値Vd=1のとき、設定値Vd=0のときに変更スイッチの操作が検知された場合に設定値Vdが「00H」に戻される。
パチンコ遊技機1については、設定変更を可能とする機種と不能とする機種とを作り分けることも考えられるが、上記したステップS405~S410の処理を採用していれば、ステップS406における比較対象値を「0」に設定することで、設定変更が不能な機種を容易に作成できることが分かる。このことは、パチンコ遊技機1に処理を実行させるためのプログラムは共通としたまま、ステップS406の処理で参照する比較対象値の記憶値を変更するのみで、設定変更可能な機種と設定変更不能な機種とを作り分けることが可能なことを意味している。つまりこの点で、汎用性の高いプログラムとされている。
また、図10に示す処理によれば、ステップS406の比較対象値を「0」として設定変更を不能とした場合であっても、設定変更操作が有効に処理される(S415)。そして、このように有効に処理される設定変更操作に応じ、図10の処理の中では、レジスタに格納される設定値情報の値も変化することになる(S408)。但し、ステップS405の比較対象値=「0」とされていれば、設定変更操作が行われても、最終的には設定値Vdが変更されないプログラムとなっている。
また、ステップS412で送信する設定変更時コマンドは、設定変更処理中において選択中の設定値Vdに応じた設定値Veを演出制御部24に通知するためのコマンドであり、該選択中の設定値Veを表す情報が格納されるコマンドとされる。
上記したステップS406~S415の一連の処理により、設定値の順送り操作により選択中の設定値Veが切り替わるごとに、切り替え後の設定値Veを反映した設定変更時コマンドが演出制御部24に送信されることになる。
なお、図10では図示による説明を省略したが、設定値Vdに応じた設定値Veを取得するにあたっては、CPU201は後述する設定値オフセット変換テーブルを用いる(図16参照)。
ステップS415において、設定キーがOFFであると判定した場合、CPU201はステップS416に進んで設定値Vdを保存する処理を実行する。すなわち、設定値VdをRAM203のワーク領域における所定領域に格納する処理を実行する。
CPU201は、ステップS416の保存処理を実行したことに応じてステップS115の設定変更処理を終える。
図11は、ステップS413の出力管理処理のフローチャートである。
先ず、CPU201はステップS501で、セキュリティ信号出力処理を実行する。具体的には、枠用外部集中端子基板21を通じてホールコンピュータHCに対してセキュリティ信号が出力されるようにするための処理を行う。
続くステップS502でCPU201は、LEDコモンポート、すなわち設定・性能表示器97としてのLEDのコモンポートに0を出力する処理を実行した上で、ステップS503で7セグデコードテーブルから表示用データを取得する処理を実行する。すなわち、設定値Vdに基づき設定値Ve(「1」「2」「6」)の表示用データを取得する処理である。
なお、ステップS502でLEDコモンポートに0を出力した場合には設定・性能表示器97が表示OFF状態(無表示状態)となるが、その意義については後述する。
図12は、7セグデコードテーブルの例を示し、図13は設定・性能表示器97におけるセグメント構成とセグメントの表示パターンとの関係を例示した図である。
7セグデコードテーブルは、主制御部20のROM202に格納されている。
本例では、設定・性能表示器97における7つのセグメントが図13Aに示すように0~6の数値によりナンバリングされている。設定・性能表示器97には、これら0~6の7つのセグメントと共にDP(ドットポイント)の表示部(発光部)も設けられており、該DPの表示部には「7」のナンバリングがされている。
7セグメントの表示用データとしては、数値「0」を表す「SEG_0」の表示用データから、数値「9」を表す「SEG_9」の表示用データまでの計10個が用意されている。表示用データは、1バイト(8ビット)のデータとされ、最下位ビット位置を1番目のビット位置とすると、1番目のビット位置がセグメント「0」の表示/非表示(発光/非発光)を表す。以降、同様に2番目のビット位置がセグメント「1」、3番目のビット位置がセグメント「2」、4番目のビット位置がセグメント「3」、5番目のビット位置がセグメント「4」、6番目のビット位置がセグメント「5」、7番目のビット位置がセグメント「6」の表示/非表示をそれぞれ表す。
また、本例における表示用データは、8番目のビット位置がDP(「7」)の表示/非表示を表すものとされている。
図12に示す7セグデコードテーブルは、設定値Vd=00H、01H、02Hの各値から、それぞれ対応する表示用データ、具体的にはSEG_1、SEG_2、SEG_6の表示用データが取得されるように構成されている。
具体的に、本例の7セグデコードテーブルにおいては、図中「6203」~「6208」のアドレス領域のように、少なくとも00H~05Hの各設定値Vdごとの表示用データを格納する領域が確保されており、この領域における最上層部の領域(番号が最も若いアドレスの領域)に設定値Vd=00Hに対応した表示用データSEG_1(図中「06」)が、2番目の領域に設定値Vd=01Hに対応した表示用データSEG_2(図中「5B」)が、3番目の領域に設定値Vd=02Hに対応した表示用データSEG_6(図中「7D」)が格納されている。
なお、本例では、設定値Vd=03Hに対応する4番目の領域、設定値Vd=04Hに対応する5番目の領域、及び設定値Vd=05Hに対応する6番目の領域には、表示用データとして「00」が格納されているが、その意義については改めて説明する。
また、本例の7セグデコードテーブルには、7番目の領域に設定値エラーを表す「E」の表示を行うための表示用データSEG_E(「79」)が格納されているが、これにより、設定値Vdが使用範囲Ru外の値である等、設定値Vdが異常な値を示す場合に対応して設定・性能表示器97を通じた設定値エラーの報知を行うことが可能とされている。
説明を図11に戻す。
CPU201は、ステップS503の処理によって7セグデコードテーブルから取得した表示用データを、ステップS504で設定・性能表示器97に出力する処理を行う。
続くステップS505~S508の処理は、設定・性能表示器97における設定値Veの表示用LEDをダイナミック点灯(間欠的な点灯)させるための処理となる。具体的に、ステップS505でCPU201は、LEDカウンタを1インクリメントし、続くステップS506でLEDカウンタの0,1ビット目(下位2ビット)が「11」であるか否かを判定する。ここで、LEDカウンタの下位2ビットが「11」となるのは、ステップS505のインクリメント処理が4の倍数回行われたときである。
ステップS506において、LEDカウンタの1,0ビット目が「11」であれば、CPU201はステップS507に進み、LEDコモンポートに設定値表示用のセグを指定するデータを出力し、ステップS508の表示用タイマカウント処理を実行する。ステップS507の出力処理が実行されることで、設定・性能表示器97においてはステップS504で出力した表示用データに基づく設定値Veの表示が行われる。そして、この表示状態は、ステップS508の表示用タイマの時間分(本例では4ms)、継続されることになる。
図11に示す出力管理処理は、ステップS508のタイマカウント処理に続くステップS509の処理の実行に応じて終了となり、処理は図10に示すステップS414に進むことになるが、この際、設定キーOFF且つ変更スイッチがONであれば、ステップS413の出力管理処理が繰り返される。上述のようにステップS502ではLEDコモンポートに0が出力されるので、先のステップS507の処理で開始された設定値表示用のLEDの点灯状態は該ステップS502の実行により解除される。そして、ステップS505ではLEDカウンタが1インクリメントされるため、ステップS506ではLEDカウンタの0,1ビット目が「11」でないと判定され、ステップS507の出力処理はパスされてステップS508のタイマカウント処理が実行される。つまり、ステップS507の処理が実行されて設定値表示用のLEDが少なくとも4msの期間点灯された後は、LEDカウンタの0,1ビット目が再度「11」となるまでの間、つまり本例では少なくとも4ms×3=12msの間、該LEDが消灯状態とされるものである。
このようにして、設定値表示用のLEDを所定の周期で間欠的に点灯させるダイナミック点灯が実現される。
図11において、CPU201はステップS508のタイマカウント処理を実行したことに応じ、ステップS509で入力データ作成処理を実行する。
この入力データ作成処理は、例えば主制御側タイマ割込み処理(図18)におけるステップS902の同処理を呼び出して実行する。後述するように、該入力データ作成処理で作成される入力データには、設定値Veの順送り操作の有無を表すRAMクリアスイッチ98の入力データや、設定変更の完了操作の有無を表す設定キースイッチ94の入力データが含まれている。
図10を参照して分かるように、設定変更の完了操作の有無の判定(S414)や設定値Veの順送り操作の有無の判定(S415)は、ステップS413の出力管理処理の後に実行されるものであり、このステップS509の入力データ作成処理を実行しておくことで、これら判定処理で必要とされるデータを予め得るようにしている。
(RAMクリア処理)
図14は、図5に示したRAMクリア処理のフローチャートである。
先ず、CPU201はステップS601で、領域内RAM初期化処理を実行する。このステップS601の初期化処理は、RAM203におけるワーク領域を含む所定領域(使用領域)内の値を初期化(クリア)する処理となる。但し、このステップS601の初期化処理では、ワーク領域における設定値Vdの格納領域については初期化の対象外とされている。
なお、上述した性能情報については、RAM203における使用領域外の領域に格納されており、従ってステップS601の初期化処理ではクリアされない。
RAMクリア処理でクリア対象となるのは、通常の遊技進行の際に必要な各種のフラグやタイマやカウンタ等のRAM領域(通常データ格納領域)のデータである。これらのデータには、例えば次のようなものがある。すなわち、遊技状態指定に係るデータ(通常状態、確変状態、時短状態、潜確状態など、現在の遊技状態を特定する遊技状態フラグ)、当り遊技中であるか否かを指定するフラグ(条件装置作動フラグ)、当り遊技の実行に係る各種データ(現在のラウンド数、最大ラウンド数等)、大当り抽選結果に係るデータ(大当り判定フラグ:当落抽選結果情報、特別図柄判定データ:図柄抽選結果情報)、作動保留球に関する保留データ(作動保留球数、大当り抽選に利用される各種乱数値、補助当り抽選に利用される各種乱数値、変動パターン用乱数)、特別図柄動作ステータス、遊技進行を管理するタイマ(特別図柄役物動作タイマ)、スイッチ・センサ類に係る入出力データ、入賞口の入賞球数をカウントする各種の入賞カウンタ、電サポ状態の有無を指定するフラグ(開放延長フラグ)、電サポの残余回数をカウントする電サポ回数カウンタ、高確率状態の残余回数をカウントするカウンタ(特図確変回数カウンタ、普図確変回数カウンタ)、各種エラーフラグ(RAMエラーフラグを除く)、及び払出関連のデータ等である。何れにしても、RAMクリア処理が実行されると、特定のデータ(設定値Vdや性能情報)以外のすべてのデータが初期状態に設定される。
ここで、先の図5の説明から理解されるように、設定変更処理(S115)が実行された場合には、ステップS116に処理が進められてRAMクリア処理が実行される。
設定変更処理では設定値Vdが変更され得る。設定値Vdが変更された場合、RAM203のワーク領域における設定値Vd以外の格納値が、変更後の設定値Vdに対して整合しない状態となる可能性がある。このため、設定変更処理を行った場合は、RAMクリア処理を実行することで、ワーク領域における設定値Vd以外の領域をクリア(初期化)するものとしている。
ステップS601の初期化処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS602でRAMクリア報知タイマに30sをセットする共に本特図に外れ目をセットするための処理を実行する。RAMクリア報知タイマは、後述する図17のステップS803の処理で送信されるRAMクリアコマンドに応じて演出制御部24が実行するRAMクリア報知の時間を設定するためのタイマであり、本例では30sを設定する。また、ここで言う本特図とは、例えば上述した特図1及び特図2のことを意味する。
ステップS602に続くステップS603でCPU201は、前述したシステム動作ステータスが「2」であるか否かを判定する。すなわち、起動後にステップS115の設定変更処理を経由したか否かを判定する。
システム動作ステータスが「2」であれば、CPU201はステップS604~S612により、設定変更処理を経由した場合に対応した処理を実行する。
システム動作ステータスが「2」でなければ、CPU201は、ステップS613に処理を進めてRAMクリアコマンドの下位バイトデータをレジスタに記憶し、ステップS116のRAMクリア処理を終える。
なお、上記のようにコマンドの下位バイトデータをレジスタに記憶する動作は、後述するメインループ前処理(図17)のステップS804で送信するコマンド種別を指定する動作として機能する。
設定変更処理を経由した場合、CPU201は、先ずステップS604でシステム動作ステータスを「0」にリセットした上で、ステップS605で設定変更終了コマンド(BA77H)の取得処理を実行し、続くステップS606のコマンド送信処理により設定変更終了コマンドを演出制御部24に送信する。
ステップS606に続くステップS607~S612の処理は、設定・性能表示器97における設定値Veの表示に係る処理となる。
先ず、ステップS607でCPU201は、LEDコモンポートに設定値表示用のセグを指定するデータを出力し、続くステップS608で7セグデコードテーブル(図13参照)から設定値Vdに対応する表示用データを取得し、ステップS609で表示用データにDP付加する処理、すなわち表示用データの7番目のビット位置の値を「1」とする処理を実行した上で、ステップS610の出力処理により表示用データを設定・性能表示器97に出力する。
ステップS611に続くステップS612、S613の処理は、設定・性能表示器97における設定値Ve及びDPの表示状態を所定時間(本例では1s)継続させるための処理となる。具体的に、CPU201はステップS612の表示用タイマカウント処理(例えば先のステップS508(図11参照)と同様の4ms周期のタイマカウント処理)を、ステップS612で1sが経過したと判定するまで繰り返し実行する。
ステップS612で1sが経過したと判定した場合、CPU201はステップS613の記憶処理を実行し、ステップS116のRAMクリア処理を終える。
これまでの説明から理解されるように、ステップS115の設定変更処理が実行され、設定変更の完了操作が行われた場合(図10のステップS412:Y)には、ステップS116のRAMクリア処理において設定変更終了コマンドが演出制御部24に送信されて(S605、S606)、設定変更が終了した旨の通知が行われる。
本例の場合、設定変更終了コマンドは、設定変更が終了した旨を演出制御部24に通知するものであって、設定変更処理で設定された設定値Veを通知する機能までは与えられていない。
本例では、設定変更処理で設定された設定値Veは、後述する図17(メインループ前処理)のステップS808の処理で送信される設定値コマンドによって演出制御部24に通知される。
(設定確認処理)
図15は、ステップS109の設定確認処理を示したフローチャートである。
設定確認処理は、設定中の設定値Veを確認表示するための処理となる。
図15において、CPU201は先ずステップS701で、不正情報タイマに30sをセットする。不正情報タイマは、前述したセキュリティ信号のホールコンピュータHCに対する出力時間を管理するためのタイマである。
続くステップS702で現在の設定値情報を取得する処理を行う。すなわち、RAMのワーク領域に格納されている設定値Vdを取得する。
ステップS702に続くステップS703でCPU201は、設定値オフセット変換テーブルから設定値データを取得する処理を実行する。
図16は、主制御部20のROM202に格納された設定値オフセット変換テーブルの例を示している。
設定値オフセット変換テーブルは、設定値Vd(00H~02H)を設定値Ve(「1
」「2」「6」)の識別データ(「SETNUM1」~「SETNUM6」)に変換するためのテーブルとして機能する。
本例の場合、設定値オフセット変換テーブルは、図中「6215」~「6220」のアドレス領域のように、少なくとも00H~05Hの各設定値Vdごとに設定値Veの識別データを格納する領域が確保されており、この領域における最上部の領域に設定値Vd=00Hに対応した設定値Ve「1」の識別データ(図中「00」)が、2番目の領域に設定値Vd=01Hに対応した設定値Ve「2」の識別データ(図中「01」)が、3番目の領域に設定値Vd=02Hに対応した設定値Ve「6」の識別データ(図中「05」)が格納されている。
なお、本例では、設定値Vd=03Hに対応する4番目の領域、設定値Vd=04Hに対応する5番目の領域、及び設定値Vd=05Hに対応する6番目の領域には、設定値Veの識別データとして「00」が格納されているが、その意義については改めて説明する。
図15において、CPU201はステップS703の取得処理により、上記の識別データを「設定値データ」として取得する。
ステップS703の取得処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS704で設定確認中コマンド(BA6xH)の取得処理を実行し、続くステップS705のコマンド送信処理により、設定確認中コマンドを演出制御部24に送信する。
CPU201はステップS704の取得処理において、設定確認中コマンドにステップS703で取得した設定値データ、すなわち現在設定値中の設定中の設定値Veを識別するための識別データを含ませる処理を行う。
これにより、ステップS705のコマンド送信処理が実行されることで、演出制御部24に設定確認中である旨と現在の設定値Veが通知されることになる。
ステップS705に続くステップS706、S707の処理は、現在の設定値Veを設定・性能表示器97に表示させるための処理となる。
具体的に、CPU201は先ずステップS706で、設定値とDPのデータを取得する処理を実行する。すなわち、RAM203のワーク領域に格納されている現在の設定値Vdと、設定・性能表示器97におけるDPのデータ(「1」)とを取得する処理を実行する。その上で、ステップS707の出力管理処理を実行する。このステップS707の出力管理処理は、図11に示したステップS413の出力管理処理と同じ処理である。これにより、この場合の設定・性能表示器97には、現在の設定値Veを表す値とDPの表示が行われる。
ステップS707に続くステップS708でCPU201は、設定キーOFF(設定キースイッチ94がOFF)であるか否か、つまり設定確認表示の終了指示操作が行われたか否かを判定し、設定キーOFFでなければステップS707の出力管理処理を再度実行する。これにより、ステップS705で設定確認中コマンドが送信された後は、ステップS708の処理により設定確認表示の終了指示操作が行われるまで待機するようにされ、待機中はステップS707の処理によって設定・性能表示器97に現在の設定値Ve及びDPを表示させる処理を継続して行うようにされる。
ステップS708で設定キーOFFであると判定した場合、CPU201はステップS709で設定確認終了コマンド(BA67H)の取得処理を実行し、続くステップS710のコマンド送信処理により設定確認終了コマンドを演出制御部24に送信し、ステップS109の設定確認処理を終える。
(メインループ前処理)
図17は、ステップS119のメインループ前処理のフローチャートである。
メインループ前処理において、CPU201は先ずステップS801で、イニシャライズコマンドの取得処理を実行し、続くステップS802のコマンド送信処理によりイニシャライズコマンドを演出制御部24に送信する。イニシャライズコマンドは、役物としての可動体を動作させる可動体役物モータ80cのイニシャライズ(原点復帰)指示を行うためのコマンドである。
ステップS802に続くステップS803でCPU201は、取得した下位バイトコマンドから送信コマンドデータを取得する処理を行い、取得したコマンドデータを、ステップS804のコマンド送信処理により演出制御部24に送信する。
ここで、ステップS803の取得処理では、起動後に経由してきた処理の過程で下位バイトデータがレジスタに格納されたコマンドのデータが取得される。具体的に、ステップS116のRAMクリア処理を経由した場合(設定変更処理とRAMクリア処理の双方が行われた場合、又は設定変更処理が行われずRAMクリア処理のみが行われた場合)には、RAMクリアコマンド(BA02H)のデータが取得される。一方、ステップS111のバックアップ復帰処理が行われた場合(設定確認処理とバックアップ復帰処理の双方が行われた場合、又は設定確認処理が行われずバックアップ復帰処理のみが行われた場合)には停電復帰表示コマンド(OB03H)のデータが取得される。
これにより演出制御部24は、RAMクリア処理が行われた場合、バックアップ復帰処理が行われた場合でそれぞれ異なる処理を実行するようにされている。
ステップS804に続くステップS805でCPU201は、特図1、特図2の保留個数を送信するための処理を実行する。ここで、このステップS805の処理では、ステップS111のバックアップ復帰処理が行われた場合に特図1、特図2の保留個数を演出制御部24に送信し、ステップS116のRAMクリア処理が行われた場合には該保留個数の送信は行わない(保留個数の情報がクリアされているため)。
ステップS805に続くステップS806~S808の処理は、現在の設定値Veを設定値コマンドにより演出制御部24に通知するための処理となる。
先ず、ステップS806でCPU201は、現在の設定値情報を取得するための処理として、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Vdを取得する処理を行い、続くステップS807で設定値オフセット変換テーブル(図16)から設定値データを取得する処理を実行する。具体的には、ステップS806で取得した設定値Vd(00H~02H)に対応する設定値Ve(「1」「2」「5」)の識別データを取得する。
そして、CPU201は続くステップS808で設定値コマンド(F6xxH)の取得処理を行い、ステップS809のコマンド送信処理により設定値コマンドを演出制御部24に送信する。
ステップS808の取得処理では、ステップS807で取得した識別データを含む設定値コマンドを取得する。このような設定値コマンドにより、演出制御部24に現在の設定値Veを通知することができる。
ステップS809のコマンド送信処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS810で内部機能レジスタの設定処理、すなわちハードウェア乱数のカウント機能等、各種機能の初期設定のためのレジスタ設定処理を実行し、ステップS811で性能表示モニタ点灯用タイマを5sにセットする処理を実行する。性能表示モニタ点灯用タイマは、設定・性能表示器97の起動時における動作確認点灯動作(本例では5秒間の点滅動作)について、その動作時間を管理するためのタイマである。
さらに、ステップS811に続くステップS812でCPU201は、システム動作ステータスを「0」にリセットし、ステップS813で払出制御基板29に対する発射許可信号をONとする。これに応じ払出制御基板29は、発射許可状態であると判断し、上記許可信号を発射制御基板28に対して出力し、発射装置32による遊技球の発射動作を許容する。これにより、発射操作ハンドル15による遊技球の発射が可能になる。
なお、ここでは、主制御部20からの発射許可信号を払出制御基板29が受けて発射動作を許容する構成、つまり、主制御部20からの発射許可の指示情報が、払出制御基板29を通じて間接的に発射制御基板28に送られる構成を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、主制御部20による発射許可信号を直接的に発射制御基板28に出力する構成とすることもできる。
CPU201は、ステップS813の処理を実行したことに応じ、ステップS119のメインループ前処理を終える。
(実施形態としての設定値表示用データテーブルと設定値変換テーブルの利点)
ここで、本実施形態では、図16に示した設定値オフセット変換テーブルのように、主制御部20のROM202には、設定値を参照して選択される複数の設定値関連情報を含むデータテーブルが格納されている。
そして、このデータテーブルには、主制御部20が設定変更処理(図10参照)により設定可能な設定値Vd(「00H」~「02H」)を参照した場合に選択される設定値関連情報である第一設定値関連情報と、主制御部20が設定変更処理により設定不能な設定値を参照した場合に選択される設定値関連情報である第二設定値関連情報とが含まれている。具体的に、第一設定値関連情報としては、図16に示す設定値オフセット変換テーブルにおけるアドレス「6215」「6216」「6217」にそれぞれ格納された「00」「01」「05」が該当し、第二設定値関連情報としては、アドレス「6218」「6219」「6220」にそれぞれ格納された「00」「00」「00」が該当する。
さらに、データテーブルにおいては、第一設定値関連情報として、当選確率が最も低い段階を表す設定値Veに関する特定情報(つまりアドレス「6215」における「00」)が、少なくとも記憶され、また第二設定値関連情報として、特定情報と同じ情報が記憶されている。
設定値Vdが設定不能な値であったときは、RAM203に格納される設定値Vdを最低段階を表す値に書き替えることが考えられる。
しかし、書き替え後に改竄される等した場合、設定不能な設定値Vdに基づきデータテーブルから対応する情報が取得されて、設定不能な設定値に応じた動作が実現される虞がある。
上記構成によれば、データテーブルから設定不能な設定値Vdに応じた情報を取得することが不能とされるため、不正行為が成立してしまうことの防止を図ることができ、遊技の公平性を高めることができる。
また、本実施形態では、上記した特定情報として0が記憶されている。
これにより、設定値関連情報に特定情報=0を書き込むという簡易な手法により、設定値の改竄による不正行為の成立防止を図ることが可能とされる。すなわち、遊技の公平性を簡易な手法により高めることができる。
また、本実施形態では、図12に示した7セグデコードテーブルについても、主制御部20が設定変更処理により設定可能な設定値Vdを参照した場合に選択される設定値関連情報である第一設定値関連情報(アドレス「6203」~「6205」)と、主制御部20が設定変更処理により設定不能な設定値を参照した場合に選択される設定値関連情報である第二設定値関連情報(アドレス「6206」~「6208」)とが含まれるようにしている。そして、7セグデコードテーブルでは、第二設定値関連情報として0を記憶させている。
これにより、不正行為や何らかの誤動作等に伴い、設定変更処理で設定不能な設定値Vdによりデータテーブルが参照されたとしても、設定値の表示手段(本例では設定・性能表示器97)に設定値表示が行われないようにすることが可能とされる。具体的に本例では、表示用データとして「00」のデータ、すなわち「00000000」が取得されるので、設定値表示用の7セグにおける「0」~「6」の全てのセグが非表示とされ、結果、数値表示が行われないことになる。
従って、設定値の誤表示防止を図ることができる。
[4-2.主制御側タイマ割込み処理]
図18のフローチャートを参照して、主制御側タイマ割込処理について説明する。
主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図18において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、先ずはステップS901の電源チェック・バックアップ処理を実行する。この電源チェック・バックアップ処理では、主に、電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断が生じる等の異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAM203に格納するバックアップ処理等が行われる。
(電源チェック・バックアップ処理)
図19は、ステップS901の電源チェック・バックアップ処理を示したフローチャートである。
電源チェック・バックアップ処理において、CPU201はステップS1001で、電源基板から出力される電源異常信号を2回読み込み、続くステップS1002で双方の読み込み値が一致しているか否かを判定する。双方の値が一致していない場合は、ステップS1001に戻って再度、電源異常信号を2回読み込む。
ステップS1002において、双方の値が一致していれば、CPU201はステップS1003で、電源異常信号が正常レベルか否か(電源異常信号がOFF=正常レベル、ON=正常レベルでない)を判定する。
電源異常信号が正常レベルであれば(ステップS1003:OFF)、CPU201はステップS1004でバックアップフラグをOFF状態とし、続くステップS1005で電源異常確認カウンタをクリアし、ステップS901の電源異常チェック処理を終える。すなわち、電源異常信号が正常レベルであることが確認された場合は、以降で説明するバックアップ処理は行われずタイマ割込み処理が継続される。
一方、ステップS1003で電源異常信号が正常レベルでなかった場合(ステップS1003:ON)、CPU201はステップS1006で電源異常確認カウンタの値を1インクリメントした上で、ステップS1007で電源異常確認カウンタの値が所定の閾値(閾値=2以上の自然数:例えば「2」)以上であるか否かを判定する。
電源異常確認カウンタの値が閾値以上でなければ、CPU201はステップS901の電源異常チェック処理を終える。すなわち、電源異常信号が正常レベルでない状態が検知されたが連続的な検知でない場合には、バックアップ処理は行われずタイマ割込み処理が継続される。
一方、電源異常確認カウンタの値が閾値以上であれば、CPU201はステップS1008~S1011として示すバックアップ処理を行う。
具体的に、CPU201は先ず、電源異常確認カウンタの値をクリアし(S1108)、発射許可信号をOFFとした上で(S1009)、バックアップフラグをONとする(S1010)。
さらに、CPU201は、電源断コマンドを演出制御部24に送信し(S1011)、ステップS1012に処理を進める。
ステップS1012でCPU201は、RAMプロテクトを有効とし、禁止領域を無効に設定する処理を行う。
RAMプロテクトとは、誤作動や誤操作などによるRAM203に対する書き換え防止機能である。RAMプロテクトを有効に設定することで、RAM203からのデータ読み出しのみが可能とされてデータの書き込みが不能な状態となる。
また、禁止領域は、IAT(指定エリア外走行禁止)機能における指定エリアに対応した領域であり、禁止領域を無効に設定することで、以降はIATリセットが発生しないようになる。
ステップS1012に続くステップS1013でCPU201は、出力ポートの値をクリアし、さらに続くステップS1014でタイマ割込み処理を停止すると共に、自身を割込み禁止状態に設定し、無限ループ処理に移行する。
この無限ループ中において、CPU201はWDTによりリセットされ、また動作電源の喪失により動作停止状態に移行する。
説明を図18に戻す。
図18において、ステップS901の電源チェック・バックアップ処理を終えると、CPU201はステップS902で入力データ作成処理を実行する。具体的には、各種センサやスイッチから入力情報(ON/OFF信号や、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ))に基づき、入力データ作成する。
ここでの入力情報とは、例えば上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)や、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98等の設定値Veの設定操作に係るスイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(操作情報)や、払出制御基板29からの状態信号(前扉開放センサ61や満杯検出センサ60のON/OFF情報)等である。これにより、アウト口や各入賞口において遊技球が検出されたか否かが割込みごとに監視される。
ステップS902の入力データ作成処理を終えると、CPU201はステップS903で、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を実行する。ここでは、遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマの値について更新(減算処理)が行われる。
次いで、CPU201はステップS904で、入力管理処理を行う。この入力管理処理では、入力データ作成処理(S902)で作成された入力データに基づき、入賞カウンタやOUT球監視カウンタの値などを更新する。「入賞カウンタ」とは、各入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。またOUT球監視カウンタは、アウト口49から排出される遊技球(アウト球)を計数するカウンタである。
ステップS904の入力管理処理は、各種入賞口センサからの入力信号(検出信号)を管理する入力管理手段として機能する。
ステップS904に続くステップS905でCPU201は、設定異常チェック処理を実行する。
図20は、ステップS905の設定異常チェック処理を示したフローチャートである。
図20において、CPU201はステップS1101で、設定値エラーフラグを確認する。設定値エラーフラグは、設定値Vdの異常が認められた場合に以下で説明するステップS1103の処理によりセットされる(ONされる)フラグであり、本例では「5AH」がON状態を意味する。
ステップS1101において、設定値エラーフラグが「5AH」(ON状態)であれば、CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終える。すなわち、ステップS1101で設定値エラーフラグがONと判定されるということは、既に後述するステップS1104で設定値異常コマンド(演出制御部24に設定エラー報知の実行を指示するコマンド)の送信が実行されている状態であるため、設定値エラーフラグを再度送信することなく、設定異常チェック処理を終える。
一方、ステップS1101で設定値エラーフラグが「5AH」でない(OFFである)と確認された場合、CPU201はステップS1102で設定値Vdが正常範囲内の値(0~2の範囲内)であるか否かを判定する。具体的には、RAM203のワーク領域に格納されている設定値Vdを取得し、値が「00H」~「02H」の範囲にあるか否かを判定する。
設定値Vdが正常範囲内の値であれば、CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終える。
設定値Vdが正常範囲内の値でなければ、CPU201はステップS1103に進んで設定値エラーフラグをセット(ON状態)とし、続くステップS1104で設定値Vdに異常が生じた旨を表すための設定値異常コマンドを演出制御部24に送信し、設定異常チェック処理を終える。
ここで、設定値エラーフラグは、後述する図22のステップS1308(入賞時の設定エラー判定)をはじめとして、図24におけるステップS1501(変動開始時の大当り乱数判定を行う際の設定エラー判定や、図28におけるステップS1701(変動開始時の変動パターン抽選を行う際の設定エラー判定)において用いられる。
ここで、上記の設定値異常コマンドを受け演出制御部24は、設定値Veのデータ異常を報知するための処理を行う。例えば、液晶表示装置36に「RAM異常です。係員を呼んで下さい。」等の表示を含む画像を表示させる処理を行う。
遊技機1において、設定エラー(設定値エラー)は、設定変更操作を行うことで解除可能とされている。
説明を図18に戻す。
CPU201はステップS905の設定異常チェック処理を終えると、ステップS906でエラー管理処理を実行する。このエラー管理処理では、各種センサ類に係る入力データや払出制御基板29からの状態信号に基づき、エラー発生の有無の監視を行う。
エラーが発生した場合には、CPU201はエラー処理として、エラーコマンドの送信が必要なエラー種別である場合には当該するコマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラーコマンドを受けると、エラー種別に応じたエラー報知を実行する。また、CPU201は発生中のエラーが解消された場合、エラー解除コマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24がこのエラー解除コマンドを受けると、実行中のエラー報知を終了させる。
次いで、CPU201はステップS907で、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込み内乱数管理処理を実行する。ここでは、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。なお内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、乱数生成回路で生成されるので、ここで更新されることはない。
ステップS907に続くステップS908でCPU201は、賞球管理処理を実行する。この賞球管理処理では、上記の入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、CPU201はステップS909で、普通図柄管理処理を実行する。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。ここでは、普通図柄始動口センサ37aにより遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普通図柄に関する作動保留球)として、最大保留球数を上限まで保留記憶する(保留記憶処理)。そして、普図に関する所定の変動表示開始条件が成立した場合、作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する。
さらに、CPU201はステップS910で、普通電動役物管理処理を実行する。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を行う。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、可動翼片47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、CPU201はステップS911で、特別図柄管理処理を実行する。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、及び変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄の決定等、特別図柄変動表示ゲームに必要な処理が実行される。
なお、ステップS911の特別図柄管理処理の詳細については改めて説明する。
次いで、CPU201はステップS912で特別電動役物管理処理を実行する。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。具体的には、大当り抽選結果が大当りであった場合、その当り種別に対応した当り遊技(大当り遊技)を実行制御する。
具体的には、大入賞口ソレノイド52cに対するソレノイド制御用データの設定、ラウンド数のカウント(大当りの場合)、大入賞口50への最大入賞数及び開放時間の監視などを行う。また当り遊技が終了した場合は、当選時の遊技状態と当り種別とに基づく遊技状態の移行設定を行う。
またここでは、当り遊技の進行状況に応じて、複数の演出制御コマンドを送信する。大当り開始時、ラウンド遊技開始時、ラウンド遊技終了時、最大ラウンド数消化時などにおいて、それぞれ、大当り開始コマンド、ラウンド開始コマンド、ラウンド終了コマンド、大入賞口入賞コマンド、大当り終了コマンドを送信時期の到来に応じて送信する。上記大当り開始コマンドには、今回の当り種別情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技中に展開される一連の当り演出シナリオを決定する際に利用される。また、大当り終了コマンドには、今回の当り種別とその当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり、当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、当り遊技後の演出モードを決定する際に利用される。従って、この「大当り終了コマンド」は、当り遊技終了後の遊技状態を特定し得ることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割を担う。
上記ステップS912までの遊技進行のための処理を終えると、CPU201はステップS913で、外部端子管理処理を行う。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。動作状態情報には、例えば、当り遊技発生情報、図柄変動表示ゲーム実行開始情報、入賞数・賞球数情報、エラー情報などの遊技情報がある。
次いで、CPU201はステップS914で、LED管理処理を実行する。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、設定・性能表示器97などのLED表示器に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を行う。普通図柄管理処理(ステップS909)、特別図柄管理処理(ステップS911)などで作成された表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で対応する表示装置又は表示器に出力され、表示制御が行われる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄や普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)等が実現される。
ステップS914に続くステップS915でCPU201は、全レジスタの値を退避させた上で、ステップS916の性能表示モニタ表示処理を行う。すなわち、設定・性能表示器97に前述した通常時比率情報としての値を表示させるための処理である。
先に触れたように本例の場合、通常時比率情報の値は全状態アウト球数が所定規定値に達するごとに演算し直されるものであり、設定・性能表示器97は、現在の通常時比率情報と前回の通常時比率情報(直近の演算し直しタイミングにおいて演算終了とされた通常時比率情報)とを表示可能とされている。このため、この場合のステップS916の表示処理では、設定・性能表示器97にこれら二種の通常時比率情報としての値を表示させる処理を行う。
なお、現在の通常時比率情報の値は、前述したメインループ処理(図11)におけるステップS604の処理で算出される値であり、前回の通常時比率情報の値は、RAM203の所定領域に保存され、CPU201は該保存値を読み出して設定・性能表示器97に表示させる。
次いで、CPU201はステップS917で全レジスタの値を復帰させ、ステップS918でWDTのカウント値をクリアし、主制御側タイマ割込み処理を終える。
以上のタイマ割込み処理が終了すると、CPU201は次のタイマ割込みが発生するまでの間、メインループ処理(S123)を実行する。
[4-3.特別図柄変動表示ゲームに係る処理]
(特別図柄管理処理)
次に、特別図柄変動表示ゲームに係る主制御部20の処理について説明する。
図21は、先に述べた特別図柄管理処理(ステップS911)を示したフローチャートである。前述のように、特別図柄管理処理は、図18に示した主制御側タイマ割込み処理の一部処理として実行されるものであり、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選と、抽選結果に基づく特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、及び変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄の決定等が行われる。
図21において、CPU201は、先ずステップS1201で特別図柄1側(上始動口34側)についての特図1始動口チェック処理を行い、続くステップS1202で特別図柄2側(下始動口35側)についての特図2始動口チェック処理を行う。
なお、これら始動口チェック処理の詳細については図22を参照して改めて説明する。
ステップS1201、S1202の始動口チェック処理を終えると、CPU201はステップS1203で条件装置作動フラグの状態を判定する。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(例えば5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(例えば00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
条件装置作動フラグがOFF状態(≠5AH)の場合、すなわち大当り遊技中でない場合、CPU201はステップS1204の特別図柄動作ステータス分岐処理に進み、特別図柄動作ステータス(00H~03H)に応じて特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS1205、S1206、S1207)。
一方、ステップS1203で大当り遊技中と判定した場合(=5AH)、CPU201はステップS1205~S1207の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS1208の特別図柄表示データ更新処理に進む。すなわち、大当り遊技中である場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、大当り後に確定表示されたままの状態が保持される)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、該ステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS1204の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」の何れのステータス値であるかに応じて、それぞれ対応する処理を実行する。
具体的に、CPU201は、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には特別図柄変動開始処理(ステップS1205)を、「変動中(02H)」である場合には特別図柄変動中処理(ステップS1206)を、「確認中(03H)」である場合には特別図柄確認時間中処理(ステップS1207)をそれぞれ実行する。ここで、上記「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を意味し、上記「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を意味し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を意味する。
なお、ステップS1206の特別図柄変動中処理では、特別図柄が変動中であるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを監視し、変動時間が経過したならば、演出制御コマンドとして、「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する処理や、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(例えば500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに03Hを格納する)処理などを行う。上記「変動停止コマンド」とは、特別図柄の変動が終了したことを示すコマンドであり、この変動停止コマンドにより演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したこと(終端)を把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了と共に、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。また、上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
また、ステップS1207の特別図柄確認時間中処理では、上述の確定表示時間が経過したか否かを監視し、確定表示時間が経過したならば、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)、今回の特別図柄変動表示ゲームが大当りであれば、大当り遊技を開始するために要する処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)を行う。大当り図柄停止時の各種設定処理では、大当り遊技移行前処理として、大当り判定フラグをクリアして条件装置作動フラグをON状態にし、遊技状態を通常状態と同様の遊技状態に設定する等の各種設定処理を行う。
また、ステップS1207の特別図柄確認時間中処理では、遊技状態が更新された場合に、遊技状態の移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する処理を行う。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドにより遊技状態が移行した旨を把握することができる。
上記のステップS1205、S1206、S1207の処理により、特別図柄の変動開始及び変動停止を1セットする変動表示動作が実現されることになる。
なお、ステップS1205の特別図柄変動開始処理の詳細については図23を参照して改めて説明する。
ステップS1205~S1207の何れかの処理を終えると、CPU201はステップS1208の特別図柄表示データ更新処理を実行する。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、特別図柄変動中の7セグ表示用データを作成し、特別図柄が変動中でなければ、特別図柄停止表示中の7セグ表示用データを作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図18のLED管理処理(ステップS914)によって特別図柄表示装置38a、38bに出力される。
CPU201は、ステップS1208の更新処理を実行したことに応じてステップS911の特別図柄管理処理を終え、図18に示したステップS912の特別電動役物管理処理に進む。
(特図1始動口チェック処理)
図22のフローチャートを参照し、特図1始動口チェック処理(ステップS1201)について説明する。
この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たす。本例における特図1始動口チェック処理では、特図1側の特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理(特図1側の入賞時処理)として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理(保留記憶処理)、保留加算コマンドの送信処理等が実行される。
なお、特図2始動口チェック処理(ステップS1202)も、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特図2側の特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、及び保留加算コマンドの送信処理等が実行される。従って、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは実質的に同一の処理内容となっている。以下では、特図1始動口チェック処理を中心に説明し、特図2始動口チェック処理についての詳細は、重複記載を避けるために省略する。
図22において、CPU201は、先ずステップS1301で、上始動口34への入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する。
上始動口34への入賞を検出した場合、CPU201はステップS1302に進んで特別図柄1の作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が4以上であるか否か判定する。すなわち、特図1作動保留球の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)以上であるか否かを判定する。ただし、上始動口34の入賞検出がなかった場合(ステップS1301:N)は、何もせずにステップS1201の特図1始動口チェック処理を終える。
ステップS1302で特図1作動保留球数が4以上であった場合、つまり上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合、CPU201は後述のステップS1311に進み、一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合(4未満の場合)は、特図1作動保留球数に1を加算して(ステップS1303)、ステップS1304の処理に進む。
ステップS1304でCPU201は、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する。具体的には、各種の乱数カウンタから、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア、すなわち、特図1保留記憶エリアと、特図2保留記憶エリアとが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア~保留n記憶エリア(nは最大保留記憶数:本実施形態ではn=4)が設けられており、それぞれ最大保留記憶数分の保留データを格納可能となっている。
ステップS1304に続くステップS1305でCPU201は、保留加算コマンドを作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得する。
次いで、CPU201はステップS1306で、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する。特図1先読み禁止条件とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止する条件である。
特図1先読み禁止条件が成立している場合、CPU201は先読み判定に関する先読み判定処理(ステップS1309)を実行せずに、ステップS1311に進む。この場合、先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を持つ保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなり、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が禁止され、その結果、先読み予告演出も実行されないことになる。換言すれば、上記先読み禁止データは、先読み判定処理(ステップS1309)を実行していない旨を指定するものと言える。
本例では、遊技状態によらず特図1及び特図2の先読み判定を行うのではなく、現在の遊技状態に基づいて、先読み禁止か否かを判定するようになっている。その理由は次の通りである。
右打ち有利となる‘電サポ有り’を伴う遊技状態中である場合(時短状態、確変状態)である場合には、下始動口35への入賞が頻繁に発生するが、左打ち有利となる‘電サポ無し’を伴う遊技状態中である場合(通常状態、潜確状態)には、下始動口35への入賞がほぼ発生せずに上始動口34への入賞が頻繁に発生することを考慮し、遊技状態によらず特図1及び特図2の先読み判定を闇雲に行うのではなく、‘電サポ有り’の時短状態又は確変状態である場合には特図1側の先読み判定を禁止して特図2側の先読み判定を許容し、‘電サポ無し’の通常状態又は潜確状態である場合には特図2側の先読み判定を禁止して特図1側の先読み判定を許容するようになっている。
ステップS1306において、特図1先読み禁止条件が成立していない場合、CPU201はステップS1307で設定値エラーフラグ(ステップS905の設定異常チェック処理でセットされるフラグ)を参照し、続くステップS1308で設定エラーか否か(設定値エラーフラグがON状態:5AHであるか否か)を判定する。
設定エラーである場合、CPU201は異常(設定値データ異常)が発生したとして、先読み判定処理(ステップS1309)は実行せずに、ステップS1311に進む。詳細は後述するが、入賞時の処理において設定値Vdの異常が認められた場合、RAMエラーとせずに、先読み禁止データ(01H)を含む保留加算コマンドを送信して、ステップS1201の始動口チェック処理を抜けることになる。
一方、設定エラーでなかった場合、CPU201はステップS1309の先読み判定処理を実行する。この先読み判定処理では、変動開始時に実行される大当り抽選結果を先読み判定する。従って、当落抽選結果を先読み判定する‘先読み当落判定’と、図柄抽選結果を先読み判定する‘先読み図柄判定’と、変動開始時の変動パターンを先読み判定する‘先読み変動パターン判定’とに関する一連の処理が含まれる。
具体的に、ステップS1309においてCPU201は、先ずRAM203(判定用乱数記憶エリア)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、該大当り判定用乱数値と後述する「大当り判定用乱数判定テーブル」とに基づいて、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(少なくとも大当り、はずれの別を決定する先読み当落判定)を行い、その結果(「先読み当落結果」と称する)を取得する。
なお、本実施形態では、当落判定(当落抽選)には設定値Vdが用いられるが、このような設定値Vdに基づく本実施形態としての当落判定の具体的な手法については後に改めて説明する。当落判定は、特別図柄の変動開始時の処理(図23)においても同様に行われるため、当落判定の具体的な手法の説明は、該変動開始時の処理の説明時に改めて行う。
ここで、本実施形態では、先読み当落結果はCPU201内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み当落判定結果が、この後の先読み図柄判定の処理で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAM203に記憶する必要が無いためである。
また、ステップS1309でCPU201は、上記した先読み図柄判定の処理として、先読み当落結果(少なくとも当り、はずれの別)と特別図柄種別(特図1、2)とに応じた図柄テーブル(不図示)を用いた図柄抽選を行う。具体的にCPU201は、先のステップS1304で取得した特別図柄判定用乱数値と図柄テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(当り種別の抽選)を行い、その結果(「先読み図柄結果」と称する)を取得する。本実施形態の「図柄テーブル」には、図柄種別を決定するための判定値(当選領域)が定めらており、特別図柄判定用乱数値が何れの判定値に属するかにより、停止図柄として表示すべき特別図柄の種類が決定される。
なお、本例のようにはずれ種別が複数種類ある場合には、はずれ種別決定用のはずれ図柄テーブルを設ける。はずれが1種類のみであれば、はずれ図柄テーブルは不要である。
ここで、本例では、はずれの種類が「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の複数あることに対応して、図柄判定においてははずれ種別を抽選するためのはずれ図柄テーブルが用いられるとする。
また、本例において、当りの種別は、前述したように少なくとも「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」の4種があり、上記のはずれ図柄テーブルとは別途に設けられた当り図柄テーブルに基づき、これら4種の当り種別のうち特別図柄判定用乱数値に応じた当り種別に対応する特別図柄の種類が決定される。
ここで、上記した図柄テーブルの一部又は全部について、設定値Veに応じて異なる図柄選択率を定めた図柄テーブルを設けてもよい。例えば、大当り図柄テーブルについて、設定1~6ごとに、大当り種別の選択率が異なるテーブル(例えば、設定6段階に対応した6種類の大当り図柄テーブル)を設けることができる。例えば、高設定となるに従い出玉性能が遊技者にとって有利となるようにテーブル内容を定めることが考えられる。勿論、各設定で共通の大当り図柄テーブルであってもよい。また、ステップS1309で用いる図柄テーブルは、変動開始時の処理(図23)にも利用される。
CPU201は、先読み図柄結果を、上述した先読み当落判定のときと同様にCPU201内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203に格納しない。これは、先読み図柄結果が、この後の先読み変動パターン判定で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAM203に記憶する必要が無いためである。
上記の先読み図柄判定を終えると、CPU201は先読み変動パターン判定を実行する。この先読み変動パターン判定では、上記の先読み図柄結果(本例では「通常4R」「通常6R」「確変6R」「確変10R」「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の何れかを表す)と、該先読み図柄結果に応じた変動パターンを選択するための変動パターンテーブルと、ステップS1304で取得した変動パターン用乱数とを利用した変動パターンの抽選を行い、先読み変動パターン決定する。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動パターン(変動開始時の変動パターン)を先読み判定する。
本例では、上記の変動パターンテーブルは、変動開始時の処理(図23)で行われる変動パターンの抽選においても利用される。
上記の変動パターンテーブルの具体例、及び該テーブルを用いた変動パターンの抽選処理については、変動開始時の処理の説明時に改めて説明する。
なお、先読み変動パターン判定結果(入賞コマンドデータ(EVENT))は、以下で説明するステップS1310の保留加算コマンド作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。従って、CPU201は、先読み変動パターン判定の結果をRAM203に格納することなくレジスタに取り込んだまま、ステップS1309の処理を終えるようになっている。
ステップS1309の先読み判定処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1310に進み、先読み判定結果に応じた保留加算コマンドの下位バイト側のデータを作成する。具体的には、先読み変動パターンの種類を表すデータを、保留加算コマンドの下位バイト側の入賞コマンドデータ(EVENT)として作成する。
なお、EVENTのデータについては、ステップS1305で設定された「01H」が、本処理にて先読み変動パターンに対応する値(先読み変動パターン判定処理で得られた値)に更新されることになる。
ステップS1310の作成処理を終えると、CPU201はステップS1311で、作動保留球数に応じた保留加算コマンドの上位バイト側のデータを作成する。すなわち、現在の作動保留球数と、上述した先読み図柄結果(特別図柄種別)とを表すデータを保留加算コマンドの上位バイト側の入賞コマンドデータ(MODE)として作成する。
該MODEのデータについては、特図1の保留1個~特図1の保留4個、特図2の保留1個~特図2の保留4個を識別可能に設定される。
ステップS1311の作成処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1312で、保留加算コマンドの送信処理を行う。すなわち、ステップS1310、S1311で作成した入賞コマンドデータをそれぞれEVENT、MODEとして含む保留加算コマンドを作成し、演出制御部24に送信する。
ここで、先読み禁止条件である場合(S1306でYの場合)や、先のステップS1308の判定処理で設定値Vdの異常が認められた場合、CPU201は上述した先読み禁止データ(下位バイト=01H)を更新せずにそのまま維持し、先読み禁止データを持つ保留加算コマンドを送信する。
また、オーバーフロー時(最大保留記憶数に達しているときに、新たな入賞が発生した場合)は、オーバーフロー指定の保留加算コマンドが送信されるようになっている(ステップS1302のYの処理ルート参照)。
なお、保留加算コマンドは、主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において今回の作動保留球に係る「先読み予告演出」を現出する際に利用されるだけであり、図23に示す特別図柄変動開始処理において特に利用されるものではない。従って、CPU201は保留加算コマンドもRAM203に格納することなく、ステップS1301の特図1始動口チェック処理を抜けて、続いてステップS1302の特図2始動口チェック処理を行うことになる。
ここで、上記のように本例では、入賞時(作動保留球発生時)において設定値Vdのデータに異常が生じた場合であっても、保留加算コマンドを送信するが、この保留加算コマンドは、先読み禁止データを持つコマンドであるので、設定値Veに基づく先読み予告演出、又は設定値Veに基づかない先読み予告演出を現出可能に構成している場合であっても、先読み予告に係る演出制御自体が禁止されるため、不具合に起因する先読み予告が現出されることがなく、遊技者に不利益になることもないので、特に問題は生じない。仮に、先読み予告演出を禁止しない場合、設定値Veが異常であるにもかかわらず、保留表示系の先読み予告演出にて、高期待度の保留表示が現出された場合、その後のRAMエラー処理(設定値異常に起因したエラー処理)により遊技進行が停止してしまうと、遊技者が抱いていた当選期待感が一気に消滅してしまい、遊技機に対する大きな不信感を招来してしまう。しかし本例の場合は、上述したように、先読み予告自体を禁止しているので、このような問題を生じさせず、遊技者に不信感を抱かせることの防止が図られる。
(特別図柄変動開始処理)
続いて、図23のフローチャートを参照して、変動開始時の処理である特別図柄変動開始処理(ステップS1205)について説明する。
図23において、CPU201は先ずステップS1401で、特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し、特図2作動保留球数がゼロでない場合には、ステップS1403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図2作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS1403~S1412)を行う。
一方、特図2作動保留球数がゼロの場合、CPU201はステップS1402で、特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し、特図1作動保留球数がゼロでない場合には、ステップS1403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図1作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS1403~S1412)を行う。
上記のステップS1401とS1402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を優先的に消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される。つまり、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行される。なお、上述の優先変動タイプに限らず、入賞した順番通りに作動保留球を消化していく構成としてもよい。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、且つ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示(客待ちデモ画面)に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS1413に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する。
ステップS1413において、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納する)。そして、演出制御コマンドとして、客待ちデモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信し(ステップS1415)、ステップS1205の特別図柄変動開始処理を終える。
以後、ステップS1413の判定処理が実行されるときに「待機中(00H)」であれば、再度、デモ表示コマンドを送信することなく特別図柄変動開始処理を終える。このようにする理由は、作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生し、無闇に制御負担が増してしまうことを考慮し、その防止を図るためである。
ステップS1401で特図2作動保留球数がゼロでない場合、及びステップS1402で特図1作動保留球数がゼロでない場合(特図2作動保留球数がゼロである一方、特図1作動保留球数がゼロでない場合)のそれぞれにおいて、CPU201は今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始時に係る処理(ステップS1403~S1412)を行っていく。
ここで、以下に説明するステップS1403~S1412の処理については、上記のステップS1401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS1402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理であるか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理であるかの区別はせずに説明していく。
ステップS1403でCPU201は、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数-1)、続くステップS1404で減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する。この保留減算コマンドにより、演出制御部24側は、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握し、現在表示中の保留表示をシフト表示させる。
次いで、CPU201はステップS1405で、特別図柄作動確認データを設定する。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、例えば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H(特図1変動開始指定)」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H(特図2変動開始指定)」を、RAM203の所定領域(特別図柄作動確認データ格納領域)に格納する。
次いで、CPU201はステップS1406で、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトし、続くステップS1407で保留4記憶エリアをクリアする。このステップS1406~S1407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、及び変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納すると共に、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n-1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS1406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS1407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球が何れの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されると共に、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、CPU201はステップS1408で、変動回数残指定コマンド、遊技状態コマンドを送信する処理を行う。このステップS1408では、電サポ有り状態の残余回数をカウントする「電サポ回数カウンタ」がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「変動回数残指定コマンド」を演出制御部24に送信する。この「変動回数残指定コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握し残り時短回数情報を報知する処理を実行可能とされる。
またステップS1408では、現在の遊技状態を指定する遊技状態コマンドを演出制御部24に送信する処理も行う。
次いで、CPU201はステップS1409で変動管理処理を実行する。
この変動管理処理では、変動開始時に対応した大当り抽選、停止図柄についての図柄抽選、及び変動パターンの抽選が行われる。また、該変動管理処理では、設定値Vdの異常判定が行われ、設定値Vdのデータに異常が認められる場合には演出制御部24に設定エラーを通知するための演出制御コマンド(RAM異常コマンド)を送信する処理が行われる。
なお、ステップS1409の変動管理処理の詳細については図24~図33を参照して改めて説明する。
ステップS1409の変動管理処理を終えると、CPU201はステップS1410で、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する。「特別図柄N変動中フラグ」とは、特別図柄1、2のうち対象とする何れかの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には対象の特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には対象の特別図柄が停止中である旨を示す。
なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応するものである。
次いで、CPU201はステップS1411で、変動開始時のコマンド送信処理を実行する。このコマンド送信処理では、ステップS1409の変動管理処理で選択された変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターン内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、演出制御部24に送信する。
また、該コマンド送信処理では、ステップS1409における図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し、演出制御部24に送信する。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、当選種別を指定する下位バイト(EVENT)の2バイトで構成される。従って、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別に関する情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素とする図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。
さらに、該コマンド送信処理では、演出制御部24側に現在の設定値Veを通知するための設定値コマンドの送信も行われる。この設定値コマンドにより、演出制御部24側は現在の設定値Veに応じて異なる種別の演出を現出させたり、所定演出の出現率を変化させたりすることが可能とされている。
そして、続くステップS1412でCPU201は、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアと変動パターン用乱数記憶エリアをクリアする処理を行う。
ステップS1412の変動開始時設定処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1205の特別図柄変動開始処理を終える。CPU201は、特別図柄変動開始処理を終えると、図21の特別図柄表示データ更新処理(ステップS1208)を行い、これにより特別図柄の変動表示が開始されることになる。
(変動管理処理)
図24は、ステップS1409の変動管理処理を示したフローチャートである。
図24において、CPU201は、先ずステップS1501で設定エラーか否かを判定する。すなわち、設定値エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する。
ステップS1501において、設定エラーフラグがOFFであり設定エラーではないと判定した場合、CPU201はステップS1502の大当り乱数判定処理を実行した上で、ステップS1503の図柄抽選処理に進む。
ステップS1502の大当り乱数判定処理は、大当り判定用乱数(内部抽選用乱数)、大当り判定用乱数判定テーブル、及び設定値Vdに基づいて大当り/はずれの当落種別を抽選により選択(判定)するものである。
なお、実施形態としての大当り乱数判定処理の詳細については図25及び図26を参照して改めて説明する。
また、CPU201は、ステップS1501で設定エラーであると判定した場合は、ステップS1502の大当り乱数判定処理をパスして、ステップS1503の図柄抽選処理に進む。
ここで、本実施形態では、設定エラーとなった場合(ステップS1501でYの判定結果が得られた場合)、該設定エラーが解消されない限り、大当り乱数判定処理が行われない。
先に説明した通り、設定エラーは、設定変更操作を行うことで解除できるものである。すなわち、設定エラー状態に陥った場合、設定変更操作を行って設定エラー状態を解除することで、大当り乱数判定処理が行われる状態に復帰される。
なお、前述のように、設定変更操作が行われるようにするための設定値異常コマンドは設定異常チェック処理(図20)において送信される。
ステップS1503の図柄抽選処理において、CPU201は、少なくとも当落抽選結果(大当り判定フラグ)、特別図柄判定用乱数、及び図柄テーブルに基づいて、当り/はずれの種別(停止図柄の種類)を決定する処理を行う。そして、その結果(特別図柄判定データ)をRAM203の所定領域(特別図柄判定データ記憶領域)に格納する。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当り/はずれの種類)が決定される。
なお、先読み判定時の図柄抽選処理と同様、図柄抽選については設定値Vdに応じた抽選を行うこともできる。
ステップS1503に続くステップS1504でCPU201は、変動パターン抽選処理として、少なくとも図柄抽選結果(上記の特別図柄判定データ)、変動パターン用乱数、及び変動パターンテーブルに基づき、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした変動開始時の変動パターンを抽選により決定する処理を行う。
具体的に、本実施形態における変動パターン抽選処理では、設定値Vd、及び作動保留球数(今回消化分を減算した作動保留球数)も利用した変動パターンの抽選を行う。
なお、本実施形態における変動パターン抽選処理の詳細については図28~図33を参照して改めて説明する。
ステップS1504の変動パターン抽選処理を実行したことに応じ、CPU201はステップS1409の変動管理処理を終える。つまりこの後、処理は図23に示したステップS1410に進められる。
ここで、上記説明のように本例では、変動開始時における当落抽選や図柄抽選の抽選結果をRAM203に格納するものとしているが、その理由は、これらの抽選結果は、ステップS1409の変動管理処理が属する特別図柄管理処理(ステップS911:図18及び図21参照)のみで利用されるものではなく、後々の特別電動役物管理処理(ステップS912:図18参照)等においても利用されるデータだからである。
この点、抽選結果をRAM203に格納しない先読み判定時の処理とは異なる。
なお、図示による説明は省略するが、ステップS1409の変動管理処理では、当落抽選結果が当りである場合に、遊技状態を移行させるための設定処理として、当り遊技後の遊技状態を指定するための必要な設定処理を行う(遊技状態移行準備処理)。
(大当り乱数判定処理)
図25は、ステップS1502の大当り乱数判定処理を示したフローチャートであり、図26は、実施形態の大当り乱数判定手法の説明図である。
図25による大当り乱数判定処理の詳細説明に先立ち、図26を参照して実施形態で採用する大当り乱数判定手法について説明しておく。
先ず前提として、本実施形態では、大当り判定用乱数は0~65535の65536通りの値をとり得る。本実施形態における大当り乱数判定では、このような大当り判定用乱数がとり得る値の範囲内において判定基準値THを定め、大当り判定用乱数と判定基準値THの大小関係を比較した結果に基づき、大当り/はずれの判定を行う。一例として、本例では、大当り判定用乱数の値が「0~判定基準値TH」の範囲内である場合に大当りの判定結果を、それ以外の場合にはずれの判定結果を得る手法を採っている。
本実施形態では、大当り乱数判定として低確率時(通常状態時:以下「低確時」と略称する)に対応した判定と高確率時(確変状態時:以下「高確時」と略称する)に対応した判定の2種の判定を行う。このため、判定基準値THとしては、低確時の判定に用いる判定基準値TH1と、高確時の判定に用いる判定基準値TH2の2種が設定される。
図26に例示するように、高確時の判定基準値TH2は低確時の判定基準値TH1よりも値が大きくされ、これにより高確時の判定でより大当りの当選確率が高まるようにされている。
本例の場合、設定値Veに応じた大当り乱数判定とするため、判定基準値THとしては設定値Veごとに異なる値が用意されている。具体例に、低確時の判定基準値TH1については、設定値Ve「1」に対応した値(BIGLMAX1)、設定値Ve「2」に対応した値(BIGLMAX2)、及び設定値Ve「6」に対応した値(BIGLMAX6)が用意され、高確時の判定基準値TH2についても設定値Ve「1」に対応した値(BIGHMAX1)、設定値Ve「2」に対応した値(BIGHMAX2)、及び設定値Ve「6」に対応した値(BIGHMAX6)が用意されている。図26に示した低確時の判定基準値TH1(=842)、高確時の判定基準値TH2(=8429)は、それぞれ設定値Ve「1」に対応した値(BIGLMAX1、BIGHMAX1)を例示している。
本例では、低確時の判定基準値TH1はBIGLMAX1<BIGLMAX2<BIGLMAX6とし、高確時の判定基準値TH2はBIGHMAX1<BIGHMAX2<BIGHMAX6とすることで、設定値Veの値が大きくなるほど(つまり高設定であるほど)当選確率が高まるようにしている。
なお、本例では、実際の判定処理においては、乱数値に対する閾値として「判定下限値」(後述する「BIGMINI-1」に相当)も用いる。先ずは、乱数値が当該「判定下限値」よりも大きいか否かを判定し、乱数値が「判定下限値」よりも大きくなければはずれの判定結果を得る。乱数値が「判定下限値」よりも大きい場合に、上記した判定基準値TH1や判定基準値TH2を用いた大当り判定を行う。
なお、「判定下限値」を「0」とした場合には、乱数値が「0」~「判定基準値TH」の範囲内であることが大当りの判定条件となる。一方で、「判定下限値」を「0」よりも大きな値(Xとする)とすれば、乱数値が「X」~「判定基準値TH」の範囲内であることが大当りの判定条件となる。
上記の前提を踏まえ、図25に示す大当り乱数判定処理を説明する。
図25において、CPU201は、先ずステップS1601で、大当り判定用乱数判定テーブルから設定差情報を取得する。
図27は、大当り乱数判定処理に用いられる大当り判定用乱数判定テーブルを例示しており、図27Aは特図1用の大当り判定用乱数判定テーブルを、図27Bは特図1用の大当り判定用乱数判定テーブルを例示している。
大当り乱数判定処理としては、図27Aに示すテーブルを使用した特図1用の判定処理と、図27Bに示すテーブルを使用した特図2用の判定処理とが行われるが、これらの判定処理は図25に示す共通の処理により同様に行われるものであるため、以下では代表して図27Aに示すテーブルを使用した特図1用の判定処理のみを説明する。
ステップS1601において、設定差情報とは、図27Aに示すテーブルにおける現在の参照先アドレスに格納されている変数を意味するものであり、図25に示す大当り乱数判定処理の開始時において参照先アドレスはテーブルの先頭アドレスとされるため、CPU201は、該先頭アドレスに格納された「000H」で表される変数を設定差情報として取得する。
続くステップS1602でCPU201は、設定差情報が「000H」以外であるか否かを判定する。設定差情報が「000H」であり、ステップS1602で否定結果が得られた場合、CPU201はステップS1603に進んで判定基準値を取得する。すなわち、図27Aに示すテーブルにおける先頭アドレスの次アドレスに格納された変数(「BIGMIN-1」で表される変数)を判定基準値として取得する。この処理は、上述した「判定下限値」を取得する処理に相当する。
次いで、CPU201はステップS1604で、指定のアドレスまでずらす処理を行う。具体的には、上述した参照先アドレスを現状の参照先アドレス(図27A中の「4093」)から四つ先のアドレス(図27A中の「4097」)にずらす処理を行う。
そして、CPU201はステップS1610で、乱数値(大当り判定用乱数の値)が判定基準値よりも大きいか否かを判定する。
上記により説明したステップS1601→S1602→S1603→S1604→S1610の一連の処理は、乱数値が上述した判定下限値よりも大きいか否かを判定する処理に相当する。
ステップS1610において、乱数値が判定基準値よりも大きくなければ、CPU201はステップS1611に進んで小当り情報を取得する。
ここで、図27Aに示すテーブルでは、判定下限値(「BIGMIN-1」)に対応した当り情報を表す変数として、該判定下限値の次アドレスに「000H、000H、000H」で表される変数が格納されている。該変数は、左側から順に「低確中大当り情報」「高確中大当り情報」「小当り情報」に相当する。
ステップS1610で乱数値が判定下限値(「BIGMIN-1」)よりも大きくないと判定されたことに応じて実行されるステップS1611の処理では、CPU201は、判定下限値の次アドレスに格納された当り情報の変数「000H、000H、000H」のうち最も右側の「000H」を取得する。
なお、当り情報は、「05AH」が「当り」を表し、「000H」が「はずれ」を表す。
ステップS1611に続くステップS1612でCPU201は、確変中であるか否かを判定し、確変中でなければステップS1613で低確中大当り情報を取得してステップS1502の大当り乱数判定処理を終え、確変中であればステップS1614で高確中大当り情報を取得してステップS1502の大当り乱数判定処理を終える。
ここで、ステップS1613の低確中大当り情報取得処理が、ステップS1610で乱数値が判定下限値(「BIGMIN-1」)よりも大きくないと判定されたことに応じて実行される場合には、CPU201は該ステップS1613において、判定下限値(「BIGMIN-1」)の次アドレスに格納された当り情報の変数「000H、000H、000H」のうち最も左側の「000H」を取得する。
また、ステップS1614の高確中大当り情報取得処理について、該ステップS1614の処理がステップS1610で乱数値が判定下限値(「BIGMIN-1」)よりも大きくないと判定されたことに応じて実行される場合、CPU201は、判定下限値(「BIGMIN-1」)の次アドレスに格納された当り情報の変数「000H、000H、000H」のうち中央の「000H」を取得する。
上記した一連の処理により、乱数値が判定下限値以下である場合には、はずれの情報が取得される。
続いて、ステップS1610で乱数値が判定基準値よりも大きいと判定した場合、CPU201はステップS1601に戻り、大当り判定用乱数判定テーブルから設定差情報を取得する。
このステップS1601の処理が、ステップS1610で乱数値が判定下限値よりも大きいと判定されたことに応じて実行される場合、上述した参照先アドレスは図27Aに示す「4097」とされているため、設定差情報としては該参照先アドレスに格納されている「001H」が取得される。
そのためこの場合は、続くステップS1602において設定差情報が「000H」以外であるとの判定結果が得られ、CPU201はステップS1605に処理を進める。
ステップS1605~S1609の処理は、設定値Veに応じた判定基準値THの取得に係る処理となる。先ずは、低確時の判定基準値TH1に係る処理が行われる。
具体的に、CPU201はステップS1605で、設定値情報の取得処理として、RAM203のワーク領域に格納された設定値Vdを取得し、続くステップS1606で取得した設定値情報を2バイト補正する。すなわち、本例では1バイトとされた設定値Vdを2バイトに補正する。
次いで、ステップS1607でCPU201は、補正情報、すなわち2バイト補正された設定値Vdに基づいて、設定値Veに応じた判定基準値を取得する。
ステップS1502の大当り乱数判定処理の開始後、初回にステップS1607が実行される時点では、参照先アドレスは図27Aに示す「4097」とされている。ステップS1607の処理では、参照先アドレスから上記の補正情報に応じた分ずれたアドレスに格納されている判定基準値(つまりこの場合はアドレス「4098」の「BIGLMAX1」、アドレス「4099」の「BIGLMAX2」アドレス「4100」の「BIGLMAX6」の何れか)を取得する。具体的にこの場合、上記の補正情報が設定値Ve「1」(設定値Vd=「00H」)に対応したものである場合には参照先アドレスの次のアドレスにおける「BIGLMAX1」を取得し、補正情報が設定値Ve「2」(設定値Vd=「01H」)に対応したものである場合には参照先アドレスの二つ先のアドレスにおける「BIGLMAX2」を取得し、補正情報が設定値Ve「3」(設定値Vd=「02H」)に対応したものである場合には参照先アドレスの三つ先のアドレスにおける「BIGLMAX6」を取得する。
ステップS1607で判定基準値を取得したことに応じ、CPU201はステップS1608→S1609の処理(こられの処理については後述する)を介し、ステップS1610で乱数値が判定基準値よりも大きいか否かを判定する。これにより、低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定が行われる。
ステップS1610で低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定が行われ、乱数値が判定基準値TH1よりも大きくない(つまり大当りである)と判定された場合は、上述したステップS1611以降の処理が実行されて、当り情報の取得処理が行われる。
図27Aに示すテーブルでは、低確時の判定基準値TH1を用いた場合に対応した当り情報を表す変数として、低確時の判定基準値TH1(「BIGLMAX1」「BIGLMAX2」「BIGLMAX6」)の格納領域(「4098」~「4100」)の次アドレスに「05AH、05AH、000H」で表される変数が格納されている(該変数についても左側から順に「低確中大当り情報」「高確中大当り情報」「小当り情報」を表す)。
ステップS1610で乱数値が判定基準値TH1よりも大きくないと判定されたことに応じて実行されるステップS1611の処理では、CPU201は、上記のように判定基準値TH1の格納領域の次アドレスに格納された当り情報の変数「05AH、05AH、000H」のうち最も右側の「000H」を取得する。
また、この場合、確変中でなければ、CPU201はステップS1613の処理において、上記のように判定基準値TH1の格納領域の次アドレスに格納された当り情報の変数「05AH、05AH、000H」のうち最も左側の「05AH」を取得し、確変中であれば、ステップS1614の処理において、該当り情報の変数「05AH、05AH、000H」のうち中央の「05AH」を取得する。
ここで、ステップS1610で低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定が行われ、乱数値が判定基準値TH1よりも大きかった(つまり低確時の判定としては「はずれ」であった)場合は、高確時の判定基準値TH2(「BIGHMAX1」「BIGHMAX2」「BIGHMAX6」)を用いた大当り判定を行うことになる。この際、参照先アドレスは、図27Aに示すアドレス「4097」、すなわち、低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定のための情報格納領域(「4097」~「4101」)の先頭アドレスから、アドレス「4103」、すなわち高確時の判定基準値TH2を用いた大当り判定のための情報格納領域(「4103」~「4107」)の先頭アドレスにずらすべきとなる。
設定値Veが3段階であれば、アドレスのずらし量は「4097」→「4103」の6アドレス分となるが、仮に、設定値Veを6段階とする場合には、テーブルにおける低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定のための情報格納領域には、「BIGLMAX1」「BIGLMAX2」「BIGLMAX6」のみでなく、「BIGLMAX3」「BIGLMAX4」「BIGLMAX5」も格納されることになる。つまりこの場合、アドレスのずらし量は、判定基準値TH1が三つ増えた分に対応して9アドレス分とべきである。
このようにテーブルにおける低確時に対応した情報格納領域から高確時に対応した情報格納領域に参照先を遷移させる際、参照先アドレスのずらし量は、設定値Veの段数(使用する設定値Veの数)に応じて変化させるべきものとなる。このため本例では、ステップS1608で設定段階情報を取得し、続くステップS1609で設定段階情報に基づいて指定のアドレスまでずらす処理を行っている。具体的に、本例においては「3段階」を表す設定段階情報を取得し、該設定段階情報に基づき参照先アドレスを6アドレス分先のアドレスにずらす。
上記ステップS1608及びS1609の処理が実行されることにより、ステップS1610で低確時の判定基準値TH1を用いた大当り判定が行われ乱数値が判定基準値TH1よりも大きかったと判定された場合には、ステップS1601の処理において、図27Aに示すアドレス「4103」の設定差情報「001H」が取得される。
従ってこの場合は、ステップS1602の判定処理において設定差情報が「000H」以外であると判定され、再びステップS1605以降の処理が実行される。
そして、この場合におけるステップS1607の取得処理では、「BIGHMAX1」「BIGHMAX2」「BIGHMAX6」の判定基準値TH2のうちから設定値Veに応じた判定基準値TH2が取得され、ステップS1608及びS1609を介して行われるステップS1610の判定処理では、乱数値が取得した判定基準値TH2よりも大きいか否かが判定される。すなわち、高確時の判定基準値TH2を用いた大当り判定が行われる。
このようにステップS1610で高確時の判定基準値TH2を用いた大当り判定が行われ、乱数値が判定基準値TH2よりも大きくない(大当りである)と判定された場合は、ステップS1611以降の処理により、当り情報の取得処理が行われる。
図27Aに示すテーブルでは、高確時の判定基準値TH2を用いた場合に対応した当り情報を表す変数として、高確時の判定基準値TH2の格納領域(「4104」~「4106」)の次アドレスに「000H、05AH、000H」で表される変数が格納されている(該変数についても左側から順に「低確中大当り情報」「高確中大当り情報」「小当り情報」を表す)。
ステップS1610で乱数値が判定基準値TH2よりも大きくないと判定されたことに応じて実行されるステップS1611の処理では、CPU201は、上記のように判定基準値TH2の格納領域の次アドレスに格納された当り情報の変数「000H、05AH、000H」のうち最も右側の「000H」を取得する。
また、この場合、確変中でなければ、CPU201はステップS1613の処理において、上記のように判定基準値TH2の格納領域の次アドレスに格納された当り情報の変数「000H、05AH、000H」のうち最も左側の「000H」を取得し、確変中であれば、ステップS1614の処理において、該当り情報の変数「000H、05AH、000H」のうち中央の「05AH」を取得する。つまり、確変中でなければ「はずれ」、確変中であれば「当り」の情報が取得されるものである。
ステップS1610で高確時の判定基準値TH2を用いた大当り判定が行われ、乱数値が判定基準値TH2よりも大きい(つまり判定基準値TH1、TH2の双方に対してはずれである)とされた場合、本例では、図27Aに示すテーブルにおけるアドレス「4109」~「4111」の領域に格納された情報、すなわち、はずれ情報を取得するためのはずれ時対応情報に基づいた処理を行う。
ここで、ステップS1607で高確時の判定基準値TH2が取得された場合に実行されるステップS1608及びS1609の処理によっては、参照先アドレスが、それまでのアドレス「4103」から6アドレス分先の「4109」にずらされることになる。従って、ステップS1610で乱数値が判定基準値TH2よりも大きいと判定されたことに応じて実行されるステップS1601の処理では、設定差情報として該アドレス「4109」に格納された「000H」が取得される。つまりこの場合、処理はステップS1601→S1602→S1603と進められる。
ここで、図27Aに示すテーブルにおいて、はずれ時対応情報の格納領域(「4109」~「4111」)には、設定差情報の次のアドレス(「4110」)に判定基準値として「65535」が格納されている。すなわち、0~65535をとり得る乱数値に対し確実にはずれ判定を得るための「はずれ用判定基準値」が格納されている。さらに、はずれ用判定基準値の次のアドレス(「4111」)には、はずれ情報を表す変数「000H、000H、000H」が格納されている。該変数についても、左側から順に低確中、高確中、小当りに対応する情報とされている。
この場合、ステップS1603の取得処理では、判定基準値として、参照先アドレスの次のアドレスに格納された「はずれ用判定基準値」としての「65535」が取得される。そして、ステップS1604の処理を介して実行されるステップS1610の判定処理では、乱数値が「はずれ用判定基準値」=65535よりも大きいか否かが判定され、その判定結果としては、乱数値が「はずれ用判定基準値」よりも大きくないとの判定結果が得られる。
このようにステップS1610で「はずれ用判定基準値」を用いた判定が行われ、乱数値が「はずれ用判定基準値」よりも大きくないと判定された場合は、ステップS1611以降の処理によりはずれ情報の取得処理が行われる。
具体的に、ステップS1610で乱数値が「はずれ用判定基準値」よりも大きくないと判定されたことに応じて実行されるステップS1611の処理では、CPU201は、テーブルにおける「はずれ用判定基準値」の次アドレスに格納された変数「000H、000H、000H」のうち最も右側の「000H」を取得する。
また、この場合、確変中でなければ、CPU201はステップS1613の処理において、「はずれ用判定基準値」の次アドレスに格納された変数「000H、000H、000H」のうち最も左側の「000H」を取得し、確変中であれば、ステップS1614の処理において、該変数「000H、000H、000H」のうち中央の「000H」を取得する。
このように、判定基準値TH1、TH2の双方に対してはずれであると判定された場合には、当落を表す情報としての各「当り情報」(小当り情報、低確中大当り情報、高確中大当り情報)として、「はずれ」を表す情報が取得される。
(変動パターン抽選処理)
図28~図33を参照して、変動パターン抽選処理について説明する。
図28は、ステップS1504の変動パターン抽選処理を示したフローチャートである。
先ず、CPU201はステップS1701で、設定エラーフラグに基づき設定エラーか否かを判定し、設定エラーでなければ、ステップS1702で当りか否かを判定する。すなわち、大当り判定フラグに基づき、大当り(=5AH)であるか否かを判定する。
ステップS1702において、当りでない(はずれである)と判定した場合、CPU201はステップS1703ではずれ変動パターンテーブルを選択した上で、ステップS1706の変動パターン選択処理に進む。すなわち、テーブルと変動パターン用乱数に基づいて変動パターンを選択する処理である。
一方、ステップS1702において当りと判定した場合、CPU201はステップS1704で当り変動パターンテーブルを選択した上で、ステップS1706の変動パターン選択処理に進む。
図29は、はずれ変動パターンテーブルの一例を、図30は当り変動パターンテーブルの一例をそれぞれ示している。
先ず前提として、はずれ変動パターンテーブル、当り変動パターンテーブルとしては、それぞれ特図1用の変動パターンテーブルと特図2用の変動パターンテーブルとが用意されている。
図29に示すはずれ変動パターンテーブルを用いて行われるはずれ時の変動パターン抽選においては、抽選候補の変動パターン(抽選により選択され得る変動パターン)が「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」「ノーマルリーチ」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の9種とされる。
また、図30に示す当り変動パターンテーブルを用いて行われる当り時の変動パターン抽選においては、抽選候補の変動パターンが「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされる。
なお、「通常変動」について、併記する数値は変動時間を表し、数値後の「s」は「秒」を意味する。
ここで、上記した変動パターンのうち、特に「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」は、当り時に選択されないいわば「はずれ」に対応した変動パターンに属する(以下「はずれ変動パターン」と称することもある)。
本実施形態では、はずれ時の変動パターン抽選は、特図1、2の別に関わらず、はずれ種別(はずれ1、2、3)ごとに異なる変動パターンテーブルを用いて行われる(図29参照)。
ここで、本実施形態において、「はずれ1」「はずれ2」「はずれ3」の各はずれ種別については、図柄抽選による選択率(該当種別が選択される率)が異なるものとされ、「はずれ1」が最も選択率が高く、「はずれ2」「はずれ3」は「はずれ1」よりも選択率が低くされている。具体的に、本例では、「はずれ1」の選択率は「190/200」、「はずれ2」「はずれ3」の選択率はそれぞれ「5/200」等とされている。この場合、大当り判定結果が「はずれ」であれば、殆どの場合、はずれ種別として「はずれ1」が選択されることになる。
特図1についての変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ1」の場合における変動パターン抽選については、設定値Veに応じた抽選とはせず、保留球数に応じた抽選を行う。このため、特図1用の変動パターンテーブルのうち、はずれ種別が「はずれ1」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、設定値Ve間で共通とされるが、保留球数ごとに異なるテーブルが用意されている。
「はずれ1」の場合における特図1の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」「ノーマルリーチ」の5種とされており、本例では、保留球数に応じて抽選対象する変動パターンを異ならせるものとしている。
具体的に、保留球数=0の場合は「通常変動12s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=1の場合は「通常変動8s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=2の場合は「通常変動6s」「ノーマルリーチ」を、保留球数=3の場合は「通常変動4s」「ノーマルリーチ」をそれぞれ抽選対象の変動パターンとしている。
ここで、変動パターンテーブル内において、抽選対象の変動パターンごとに格納された数値は、変動パターン判定用乱数が0~199の200通りの数値をとり得ることを前提とした場合における当選確率の振り分け値(振り分けを表す値)を表している。例えば、特図1用の変動パターンテーブルにおいて、「はずれ1」且つ「保留球数=0」のテーブルでは「通常変動12s」に対する格納値=「160」、「ノーマルリーチ」に対する格納値=「40」とされているが、これは、「通常変動12s」の当選確率が「160/200」、「ノーマルリーチ」の当選確率が「40/200」であることを意味している。
テーブルの格納値として上記の振り分け値を示したのはあくまで説明の便宜を図るためであり、実際における変動パターンテーブルには、前述の大当り乱数判定で用いたような判定基準値が格納されることになる。例えば、上記の「はずれ1」且つ「保留球数=0」のテーブルについて言えば、実際の格納値(判定基準値)として例えば「159」が格納され、その場合、変動パターン用乱数が159以下であれば「通常変動12s」が選択され、変動パターン用乱数が159よりも大きければ「ノーマルリーチ」が選択される。
図29に示した振り分け値を参照して分かるように、「はずれ1」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選においては、「ノーマルリーチ」よりも「通常変動」の方が選ばれ易くなるようにしている(出現率が高くなるようにしている)。
また、「はずれ1」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選においては、保留球数が多いほど、変動時間の短い通常変動パターンが選択されるようにしている。
続いて、特図1の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合における変動パターン抽選については、設定値Veに応じた抽選とする一方、保留球数に応じた抽選とはしない。このため、「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合に用いられる特図1用の変動パターンテーブルとしては、保留球数間で共通とされるが、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
本例では、「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選については、設定値Veによって抽選対象する変動パターンを異ならせるものとしている。
具体的に、特図1の変動パターン抽選において、「はずれ2」「はずれ3」と設定1、2,6の組合わせごとにそれぞれ抽選対象とされる変動パターンは下記の通りである。
設定1且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定1且つ「はずれ3」=スーパーリーチ1
設定2且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定2且つ「はずれ3」=スーパーリーチ2、3
設定6且つ「はずれ2」=スーパーリーチ1、2、3、4
設定6且つ「はずれ3」=スーパーリーチ4
図中に例示した振り分け値より、本例では、「はずれ2」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選として、設定1の場合にはスーパーリーチ4、3、2、1の順で変動パターンが選択され易くしており、設定2の場合にはスーパーリーチ1、2、3、4の順、設定3の場合にはスーパーリーチ1、3、2、4の順で変動パターンが選択され易くしている。
また本例では、「はずれ3」の場合に対応した特図1の変動パターン抽選に関しては、高設定となるほど(設定値Veが大きくなるほど)当選期待感の高いスーパーリーチが選択される傾向となるようにしている。
なお、上記の「はずれ2」の場合に対応した変動パターン抽選のように、抽選候補の変動パターンが3種以上とされる抽選に用いられる変動パターンテーブルには、判定基準値として複数の値(「抽選候補の変動パターン数-1」で表される値)が格納される。例えば、図中の設定1且つ「はずれ2」の場合に対応したテーブルで言えば、例えば、判定基準値としてそれぞれ第一の値=9、第二の値=39、第三の値=99が設定され、その場合、変動パターン用乱数が第一の値以下であれば「スーパーリーチ1」が、第一の値より大きく第二の値以下であれば「スーパーリーチ2」が、第二の値より大きく第三の値以下であれば「スーパーリーチ3」が、第三の値より大きければ「スーパーリーチ4」がそれぞれ選択される。
続いて、特図2の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ1」の場合における変動パターン抽選については、特図1の場合とは異なり、抽選候補の変動パターンを「通常変動12s」のみとしている。このため、特図2用の変動パターンテーブルのうち、「はずれ1」且つ「保留球数=0」、「はずれ1」且つ「保留球数=1」、「はずれ1」且つ「保留球数=2」、「はずれ1」且つ「保留球数=3」の場合に用いられる各テーブルにおいては、「通常変動12s」に対応する振り分け値が全て「200」とされている。
なおこの場合、保留球数が異なっても抽選結果は同一となるため、変動パターンテーブルとしては保留球数間で共通のテーブルとすることもできる。
また、特図2の変動パターン抽選として、はずれ種別が「はずれ2」「はずれ3」の場合における変動パターン抽選については、特図1の場合と同様に設定値Veに応じた抽選とするが、保留球数に応じた抽選とはしない。このため、特図2用の変動パターンテーブルについて、「はずれ2」「はずれ3」それぞれの場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、保留球数間で共通とされるが、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図2の変動パターン抽選では、抽選候補の変動パターンが「通常変動12s」「スーパーリーチ4」の2種とされており、設定値Veによって、これら「通常変動12s」「スーパーリーチ4」の何れかの変動パターンが選択される。
具体的に、本例における「はずれ2」「はずれ3」の場合に対応した特図2の変動パターン抽選では、それぞれ、設定1、2の何れかである場合に「通常変動12s」が必ず選択され、設定6の場合に「スーパーリーチ4」が選択されるようにしている。
続いて、図25に示す当り変動パターンテーブルについて説明する。
本実施形態において、当り時の変動パターン抽選では、特図1、2共に、当り種別ごとに異なるテーブルを用いる。
本実施形態では、当り種別ごとに、抽選対象の変動パターンが次のように設定されている。すなわち、当り種別が「通常4R」の場合は、特図1、2共に、抽選対象の変動パターンは「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされている。
また、当り種別が「通常6R」の場合、特図1では、抽選対象の変動パターンは「通常変動当り」「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の5種とされ、特図2では、「通常変動当り」を除いた「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
さらに、当り種別が「確変6R」「確変10R」の場合、特図1、2共に、抽選対象の変動パターンは「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」の4種とされている。
本実施形態における当り時の変動パターン抽選では、特定の当り種別についてのみ、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う。具体的に、特図1の変動パターン抽選については、「通常4R」「確変10R」の当り種別についてのみ設定値Veに応じた変動パターン抽選を行い、特図2の変動パターン抽選については「通常4R」「確変6R」「確変10R」の当り種別についてのみ設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う。
「通常4R」の場合における変動パターン抽選については、特図1、2の双方において、設定値Veにより抽選対象の変動パターンを異ならせている。具体的に、本例における「通常4R」に対応した変動パターン抽選では、設定1であれば「通常変動当り」~「スーパーリーチ4」の5種を、設定2又は設定6であれば「スーパーリーチ1」~「スーパーリーチ4」の4種をそれぞれ抽選対象の変動パターンとしている。
「通常4R」以外の当り種別である「通常R6」「確変6R」「確変10R」の場合における変動パターン抽選については、特図1、2の双方において、抽選対象の変動パターンは設定値Veによらず不変とされている。
本実施形態において、特図1の当り時の変動パターン抽選では、「通常4R」「確変10R」の場合のみ、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行うものとしている。このため、特図1の当り変動パターンテーブルにおいて、これら「通常4R」「確変10R」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては、設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。
図30を参照して分かるように、本例では、特図1の変動パターンテーブルにおいて、「通常4R」「確変10R」それぞれのテーブルでは「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を設定値Veが大きくなるほど大きくしている。これにより、「通常4R」「確変10R」それぞれの当り時には、現在の設定が高設定であるほど、特図1の変動パターンとして最も当選期待値の高い変動パターンが選択され易くなる。
また、本例において、特図2の当り時の変動パターン抽選では、「通常4R」「確変10R」と共に「確変6R」についても設定値Veに応じた変動パターン抽選を行うものとしている。このため、特図2の当り変動パターンテーブルにおいて、「通常4R」「確変6R」「確変10R」の場合に用いられる変動パターンテーブルとしては設定値Veごとに異なるテーブルが用意されている。本例において、特図2の変動パターンテーブルでは、これら「通常4R」「確変6R」「確変10R」全てのテーブルにおいて、「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を設定値Veが大きくなるほど大きくしている。
ここで、図中の振り分け値を参照して分かるように、本例では、当り種別や設定値Veの別に拘わらず、各テーブルにおいて「スーパーリーチ4」に対する振り分け値を最も大きくしている。つまり、本例では、大当りと判定された場合の変動パターン抽選において、最も当選期待度の高い変動パターンが最も選択され易くなっている。
説明を図28に戻す。
上述したステップS1706の選択処理では、上記のようなはずれ、又は当り変動パターンテーブルに基づいて変動パターンの選択を行う。
具体的に、ステップS1702ではずれであると判定した場合に対応してはずれ変動パターンテーブルを選択した場合、CPU201は該変動パターンテーブルよりはずれ種別、保留球数、設定値Veに応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。また、ステップS1702で当りであると判定した場合に対応して当り変動パターンテーブルを選択した場合、CPU201は該当り変動パターンテーブルより当り種別、設定値Veに応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。なおこの際、処理対象としている図柄が特図1、2の何れであるかに応じて特図1用、特図2用のテーブルを選択し分けることは言うまでもない。
先の説明から理解されるように、当り/はずれの各変動パターンテーブルにおいては、抽選対象の変動パターンに対応した判定基準値が1又は複数(抽選候補の変動パターン数-1)定められており、ステップS1706の選択処理では、上記のように選択したテーブルに格納された判定基準値と変動パターン用乱数の値との大小関係を比較した結果に基づき、変動パターンの選択を行うことになる。
なお、上記では、変動パターンを選択するための変動パターンテーブルについて、設定値Veごとにテーブルを分ける例を挙げたが、一部の設定値Ve間で共通のテーブルが用いられてもよい。
図31は、その一例を示すものである。
ここでは、設定値Veが設定1~6に対応した6値をとり得ることを前提とした場合の当り変動パターンテーブルの変形例を示している。
この図31の例では、特図1用の「通常4R」「確変10R」に対応したテーブル、特図2用の「通常4R」「確変6R」「確変10R」に対応したテーブルとして、それぞれ設定1~3の組、設定4~6の組ごとにテーブルを分けた例を示している。
この図31の例のように、設定値Veに応じた変動パターン抽選を行う上では、個々の設定値Veごとに個別にテーブルを分けることに限定されず、一部の設定値Ve間で共通のテーブルが用いられてもよい。
続いて、変動パターン抽選時に設定エラーが検知された場合の処理について説明する。
図28のステップS1701において、設定エラーであると判定した場合、CPU201はステップS1705に進み、設定エラー時共通変動パターンテーブルを選択し、ステップS1706の選択処理を実行する。
図32は、設定エラー時共通変動パターンテーブルについての説明図である。
本実施形態において、設定エラー時共通変動パターンテーブルを用いて行われる設定エラー時の変動パターン抽選では、特図1、2双方とも、当り/はずれの別に拘わらず強制的にはずれ変動パターンが選択されるようにする。つまり本例では、「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」の何れかのはずれ変動パターンが強制的に選択される。
本例における設定エラー時の変動パターン抽選では、特図1側については保留球数に応じて異なる変動パターンが選択されるようにし、特図2側については保留球数によらず特定の変動パターンのみ、具体的には「通常変動12s」のみが選択されるようにしている。
特図1側については、保留球数が多いほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにしている。
図32においても説明の便宜上、テーブル構造としては、変動パターン抽選用乱数が0~199の値をとり得る場合に対応した振り分け値を格納した構造を示したが、実際のテーブル構造は、保留球数(0~3)ごとのテーブルとして、少なくとも抽選候補の変動パターンに判定基準値を対応づけた構造が採られる。
なお、特図2側について、本例のように保留球数によらず特定変動パターンが選択されるようにするのであれば、保留球数(0~3)ごとにテーブルを分ける必要性がないことは言うまでもない。
図28において、ステップS1706の選択処理では、ステップS1705で設定エラー時共通変動パターンテーブルが選択された場合には該テーブルと変動パターン用乱数とに基づいて変動パターンの選択を行う。具体的に、本例では、設定エラー時共通変動パターンテーブルにおける現在の保留球数に応じたテーブルを選択し、該選択したテーブルに格納される判定基準値と変動パターン用乱数との大小関係を比較した結果に基づいて変動パターンを選択する。
CPU201は、ステップS1706の選択処理を実行したことに応じてステップS1508の変動パターン抽選処理を終える。ステップS1504の抽選処理の終了により、図24に示したステップS1409の変動管理処理が終了となり、以降、処理は図23に示したステップS1410(変動中フラグON処理)に進められる。
前述のように、ステップS1410に続くステップS1411のコマンド送信処理では、変動パターンの抽選結果を表す「変動パターン指定コマンド」や図柄抽選結果を表す「装飾図柄指定コマンド」が演出制御部24に送信される。
演出制御部24側では、これらのコマンドに基づき、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素とする図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せが決定され、また図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出の抽選等が行われる。
ここで、上記のように本実施形態では、特図の変動開始時に設定エラーが認められた場合は強制的にはずれ変動パターン(通常変動)が選択されるようになるが、このとき、装飾図柄側の変動として激熱変動が選ばれてしまうと遊技者を困惑させるため、本例では、上記のように通常変動4s~通常変動12s等、変動時間の短い変動パターンが選択されるようにしている。
そして、本実施形態では、演出制御部24側においても、設定エラー時には予告演出を行わない工夫をしている。具体的に、演出制御部24は、設定エラーを通知する設定値異常コマンド(図20のステップS1104を参照)を主制御部20側より受信した場合は、予告演出の抽選を行わないようにされる。
ここで、本実施形態において、演出制御部24は、上記の設定値異常コマンドに基づき設定エラーが認められた場合には、液晶表示装置36に「RAM異常です 係員を呼んで下さい」等のメッセージを含む画像を表示させる等、異常発生の報知を行う。該報知としては、液晶表示装置36を用いた画像表示による報知に限らず、例えば音やLEDの点灯(及び/又は点滅)による報知や、画像、音、LED等の複数種の演出手段の組合わせによる報知とすることもできる。
なお、上記では特図1側の設定エラー時共通変動パターンテーブルについて、保留球数が多いほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにしたが、これは一例であって、例えば保留球数が少なくなるほど変動時間の長い通常変動パターンが選択されるようにすることもできる。
或いは、図33に例示するように、特図2側と同様に各保留球数で同一の変動パターンが選択されるようにすることもできる。図33の例では、各保留球数において「通常変動12s」が共通に選択される場合を示している。
このように設定エラー時共通変動パターンテーブルにおいて、保留球数と選択される変動パターンとの関係については多様に考えられ、特定の関係に限定されるものではない。
なお、特図2側についても、特図1側のように保留球数によって選択される変動パターンが異なるようにすることもできる。
(実施形態としての設定値関連データテーブルの利点)
ここで、本例では、先の図27Aに示した大当り判定用乱数判定テーブルにおいて、はずれ時対応情報の格納領域(「4109」~「4111」)よりも下層側の領域を空き領域としている。また、本例では、図27Bに示した大当り判定用乱数判定テーブルについても、はずれ時対応情報の格納領域(「4148」~「4150」)よりも下層側の領域を空き領域としている。本例では、これら空き領域には「0」を記憶させている。
これら大当り判定用乱数判定テーブルにおいて、該空き領域以外の領域は、遊技動作の進行制御に用いる使用データが記憶された使用データ記憶領域と換言できる。また、空き領域は、遊技動作の進行制御に用いない不使用データが記憶された不使用データ記憶領域と換言できる。
そして、このような大当り判定用乱数判定テーブルを、設定値Vdを参照して選択される複数の設定値関連情報を含む第一データテーブルとしたときに、本実施形態では、主制御部20のROM202において、該第一データテーブルと、第一データテーブルよりも下層側の記憶領域に記憶され且つ設定値関連情報を含まない第二データテーブルとを格納するものとしている。
図34は、本実施形態のROM202における第一データテーブルと第二データテーブルの格納例を示した図である。
図示のように本実施形態のROM202においては、第一データテーブル(大当り判定用乱数判定テーブル)よりも下層側の記憶領域に、特別図柄作成アドレステーブル、すなわち設定値関連情報を含まない第二データテーブルが格納されている。
このように本実施形態では、主制御部20のROM202において、複数の設定値関連情報を含む第一データテーブルと、第一データテーブルよりも下層側の記憶領域に記憶され且つ設定値関連情報を含まない第二データテーブルとが格納されており、第一データテーブルは、遊技動作の進行制御に用いる使用データが記憶された使用データ記憶領域と、遊技動作の進行制御に用いない不使用データが記憶された不使用データ記憶領域とで構成されている。
設定値関連情報を含む第一データテーブルに使用データ記憶領域しか確保されてない場合には、使用する設定値Vdの数(段階の数)を増加させようとしたときに、増加分の設定値Vdに係る設定値関連情報を第一データテーブルに追記すると、その下層に格納すべき第二データテーブル以降のデータは下層側にシフトさせることを要する。すなわち、第二データテーブル以降のデータについては記憶領域をシフトさせるための書き替えを強いられるものである。
上記のように設定値関連情報を含む第一データテーブルに使用データのみでなく不使用データの記憶領域を確保しておくことで、使用する設定値Vdの数を増加させようとしたときは、増加分の設定値Vdに係る設定値関連情報を該不使用データの記憶領域に記憶させることが可能とされる。
従って、第二データテーブル以降のデータの書き直しを不要とすることが可能となり、使用する設定値Vdの数を変更することに伴うデータ書き替え作業の負担軽減を図ることができる。
また、本実施形態では、上記した使用データ記憶領域には、設定変更処理で設定可能な設定値Vdの数(本例では「3」)に応じた容量の使用データが記憶され、不使用データ記憶領域には、設定変更処理で設定不能な設定値Vdの数(本例では設定値Ve「3」「4」「5」に対応した「3」)に応じた容量の不使用データが記憶されている。具体的に本例では、規則上設定可能な設定値Veの数=6から実際に使用する設定値Veの数=3を減じた「3」個分の設定値Veに応じた容量の不使用データを記憶させるものとしている。
これにより、不使用データ記憶領域の記憶容量として、使用する設定値Veの数を増加させた際における増加分の設定値Veに係る設定値関連情報の記憶容量を確保することが可能とされる。
従って、第二データテーブル以降のデータの書き直しが生じてしまうことの防止を図ることができる。
さらに、本実施形態では、上記のように不使用データとして「0」が記憶されているが、これにより、仮に不使用の設定値Vdによって第一データテーブルが参照されても、不使用の設定値Vdに対応する設定値関連情報が取得されてしまうことの防止が図られる。すなわち、不正行為が成立してしまうことの防止を図ることができ、遊技の公平性を高めることができる。
また、本実施形態では、主制御部20のROM202においては、第二データテーブルよりも下層側の記憶領域に第一データテーブルを記憶し、第一データテーブルよりも下層側の記憶領域に第2データテーブルを記憶しないものとしている。
具体的に、本実施形態のROM202においては、図35に示すように、第一データテーブルとしての設定値オフセット変換テーブル(図16参照)は、通常用データ領域の最下層領域に記憶している。
ここで、主制御部20のROM202は、図36に示すように上層側から順に「通常用プログラム領域」「未使用領域」「通常用データ領域」「未使用領域」「計測用プログラム領域」「未使用領域」「計測用データ領域」「未使用領域」が定められている。「通常用プログラム領域」は遊技全般に関するプログラムが記憶された領域であり、「通常用データ領域」は「通常用プログラム領域」のプログラムに基づき参照される遊技全般に関するデータテーブルが記憶された領域である。例えば、図27に示した大当り判定用乱数判定テーブルは、この「通常用データ領域」に記憶される。
「計測用プログラム領域」は、前述した通常時比率情報等の性能情報の表示や計測に関するプログラムが記憶された領域であり、「計測用データ領域」は「計測用プログラム領域」のプログラムに基づき参照される性能情報の表示や計測に関するデータテーブルが記憶された領域である。
図35に示すように、第一データテーブルとしての設定値オフセット変換テーブルを通常用データ領域の最下層領域に記憶することで、第一データテーブルは、例えば前述した「特別図柄作成アドレステーブル」(図34参照)等としての第二データテーブルよりも下層側の記憶領域に記憶され、第2データテーブルは第一データテーブルよりも下層側の記憶領域には記憶されないものとなる。
ROM202に対し第一、第二データテーブルを上記態様により記憶させることで、使用する設定値Vdの数を増加させる場合には、ROM202におけるデータ領域の最下層に位置された第一データテーブルの内容を書き替えれば済み、第一データテーブルよりも下層側のデータ部分の書き替えを不要とすることが可能とされる。
従って、使用する設定値Vdの数を変更することに伴うデータ書き替え作業の負担軽減を図ることができる。
<5.演出制御部の処理>
[5-1.処理概要]
続いて演出制御部24の処理について説明するが、まず演出制御のためのシナリオデータの構造例について述べる。
シナリオ登録情報の構造を図37、図38で説明する。図37Aは、メインシナリオ及びサブシナリオとしてのシナリオ登録情報の構造を示している。このシナリオ登録情報は演出制御部24のRAM243(例えば内蔵CPU用ワークメモリ)に設けられたワークエリアを用いて設定される。
本実施形態ではシナリオ登録情報は、シナリオチャネルsCH0~sCH63の64個のチャネルを有するものとされる。各シナリオチャネルsCHに登録されたシナリオについては同時に実行可能とされる。
図示のように各シナリオチャネルsCHに登録できる情報としては、サブシナリオ更新処理で用いるサブシナリオタイマ(scTm)、前回時間(scPrevTm)、音/モータのサブシナリオテーブルの実行ラインを示すサブシナリオ実行ライン(scIx)、ランプサブシナリオテーブルの実行ラインを示すサブシナリオ実行ラインlmp(lmpIx)、シナリオ更新処理に用いるメインシナリオタイマ(msTm)、メインシナリオテーブルの実行ラインを示すメインシナリオ実行ライン(mcIx)、メインシナリオ番号(mcNo)、メインシナリオに付加可能なオプションデータであるメインシナリオオプション(mcOpt)、ユーザオプション(userFn)、待機時間(delay)、チェックサム(checkSum)がある。
スピーカ46による音出力、光表示装置45aによる発光、及び可動体役物モータ80cによる可動体役物の駆動による演出を開始するときには、待機時間(delay)とメインシナリオ番号(mcNo)をシナリオチャネルsCH0~sCH63のうちの空いているシナリオチャネルに登録する。
待機時間(delay)は、シナリオチャネルsCHに登録してからそのシナリオが開始されるまでの時間を示す。なおこの待機時間(delay)は所定の処理タイミング(例えば後述の図41のステップS2004)で1減算される。待機時間(delay)が0の場合に、登録されたデータに対応した処理が実行されることとなる。
図39には、メインシナリオテーブルの一部として、シナリオ番号1,2,3の例を示している。各シナリオ番号のシナリオとしては、シナリオの各ライン(行)に時間データとしてメインシナリオタイマ(msTm)の値が記述されると共に、サブシナリオ番号(scNo)、オプション(OPT)を記述することができる。即ちメインシナリオテーブルでは、メインシナリオタイマ(msTm)による時間として、実行されるべきサブシナリオ(及び場合によってはオプション)が指定される。またシナリオ最終行には、シナリオデータ終了コードD_SEEND、又はシナリオデータループコードD_SELOPが記述される。
なお、メインシナリオタイマ(msTm)の値はメインシナリオの開始時から、所定の処理タイミング(例えば後述の図41のステップS2004)で+1される。
各シナリオ番号のシナリオテーブルは、或る行におけるメインシナリオタイマ(msTm)の時間を経過すると、次の行へ進むことになる。各行の時間データは、その行が終わるタイミングを示している。
例えばシナリオ番号2の場合、タイマ値“1500”の時間としてサブシナリオ番号2の動作が指定され、次のタイマ値“500”の時間としてサブシナリオ番号20の動作が指定され、次のタイマ値“2000”の時間としてサブシナリオ番号21の動作が指定されている。その次の行はシナリオデータ終了コードD_SEENDである。シナリオデータ終了コードD_SEENDの場合、シナリオ登録情報(ワーク)から、このシナリオが削除される。
次に図37Bでランプデータ登録情報の構造を説明する。ランプデータ登録情報としては、ランプサブシナリオテーブルから選択されたシナリオ、即ち光表示装置45aによる演出動作(点灯パターン)を示す情報が登録される。このランプデータ登録情報もRAM243のワークエリア(ワーク領域)を用いて設定される。
本実施形態では、ランプデータ登録情報は、ランプチャネルdwCH0~dwCH15の16個のチャネルを有するものとされる。各ランプチャネルdwCH0~dwCH15には優先順位が設定されており、ランプチャネルdwCH0からdwCH15に向かって順にプライオリティが高くなる。従ってランプチャネルdwCH15に登録されたシナリオ(ランプサブシナリオ)が最も優先的に実行される。また例えばランプチャネルdwCH3、dwCH10にシナリオが登録されていれば、ランプチャネルdwCH10に登録されたシナリオが優先実行される。
なお、ランプチャネルdwCH0は主にBGM(Back Ground Music)に付随するランプ演出、ランプチャネルdwCH15はエラー関係のランプ演出に用いられ、ランプチャネルdwCH1~dwCH14が通常演出に用いられる。
各ランプチャネルdwCHに登録できる情報としては、図示のように、登録した点灯パターンの番号を示す登録点灯ナンバ(lmpNew)、実行する点灯パターンの番号を示す実行点灯ナンバ(lmpNo)、ランプサブシナリオの実行ラインを示すオフセット(offset)、実行時間(time)、チェックサム(checkSum)がある。
図40Aにランプサブシナリオテーブルの一部として、ランプサブシナリオ番号1,2,3の例を示している。各番号のランプサブシナリオとしては、シナリオの各ライン(行)に時間データ(time)の値が記述されると共に、ランプチャネルと、各種の点灯パターンを示すランプナンバが記述される。また最終行には、ランプシナリオデータ終了コードD_LSENDが記述される。
このランプサブシナリオテーブルにおいて、各ラインの時間データ(time)は、そのサブシナリオが開始されてからの、当該ラインが開始される時間を示している。
上述のメインシナリオタイマ(msTm)と、テーブルの時間データを比較して、一致した場合に、そのラインのランプナンバが、図37Bのランプデータ登録情報に登録される。登録されるランプチャネルdwCHは、当該ラインに示されたチャネルとなる。
例えば、上述の或るシナリオチャネルsCHにおいて、図39に示したシナリオ番号2が登録され、サブシナリオ番号2が参照されるとする。図40Aに示したランプサブシナリオ番号2では、1ライン目に時間データ(time)=0としてランプチャネル5(dwCH5)及びランプナンバ5が記述されている。この場合、メインシナリオタイマ(msTm)=0の時点で、まず当該1ライン目の情報が図37Bのランプデータ登録情報のランプチャネルdwCH5に、登録点灯ナンバ(lmpNew)=5として登録される。シナリオ登録情報のサブシナリオ実行ラインlmp(lmpIx)の値は、次のラインの値(2ライン目)に更新される。これはランプチャネルdwCH5という比較的低い優先度で、点灯ナンバ5の点灯パターン動作の実行を行うための登録となる。
2ライン目については、メインシナリオタイマ(msTm)が“500”となった時点で同様の処理が行われる。即ちランプデータ登録情報のランプチャネルdwCH5に、登録点灯ナンバ(lmpNew)=6(つまり点灯ナンバ6の点灯パターンの指示)が登録される。
なお、時間データ(time)が連続する2ラインで同一の値であったら、その各ラインについての処理は同時に開始されることとなる。
後述するランプ駆動データ作成処理では、このように更新されるランプデータ登録情報に基づいて、ランプ駆動データが作成される。
次に図37Cでモータデータ登録情報の構造を説明する。モータデータ登録情報としては、モータサブシナリオテーブルから選択されたシナリオを示す情報が登録される。このモータデータ登録情報もRAM243のワークエリアを用いて設定される。
本実施形態では、モータデータ登録情報は、例えば8個のモータに対応してモータチャネルmCH0~mCH7の8個のチャネルを有するものとされる。
各モータチャネルmCHに登録できる情報としては、図示のように、実行動作ナンバ(no)、登録動作ナンバ(noNew)、動作カウント(lcnt)、励磁カウンタ(tcnt)、実行ステップ(step)、動作ライン(offset)、親(移行元)/子(移行先)の属性(attribute)、親ナンバ(retNo)、戻りアドレス(retAddr)、ループ開始ポイント(roopAddr)、ループ回数(roopCnt)、エラーカウンタ(errCnt)、現在の入力情報(currentSw)、ソフト上のスイッチ情報(softSw)、ソフト上のカウント(softCnt)がある。
図40Cにモータサブシナリオテーブルの一部として、モータサブシナリオ番号1の例を示している。各番号のモータサブシナリオとしては、シナリオの各ライン(行)に時間データ(time)の値が記述されると共に、モータ、ソレノイド/ユーザオプションの情報が記述される。また最終行には、シナリオデータ終了コードD_MSENDが記述される。
このモータサブシナリオテーブルに関しては、サブシナリオタイマ(scTm)が0になったら(なお最初は0である)、このモータサブシナリオテーブルの時間データ(time)の値をサブシナリオタイマ(scTm)にセットする。なお、各ラインの時間データ(time)は、当該ラインが終了するタイミングを示している。サブシナリオタイマ(scTm)には、絶対時間を記述するが、従って、セットする時間データ値は、(当該ラインの時間データ)-(前回ラインの時間データ)の値である。
モータのデータ(モータ0~3,4~7)は、モータ1個につき1バイトでモータの動作パターンの番号(後述するモータ動作テーブルの番号)を示すように構成されている。モータ番号に対応するモータチャネルの登録動作ナンバ(noNew)及び実行動作ナンバ(no)に動作パターンの番号がセットされる。
後述する図44のステップS2202では、このモータデータ登録情報の更新が行われ、ステップS2203では、モータデータ登録情報の更新に基づいて、モータ駆動データが作成される。
図38は音データ登録情報を示している。音データ登録情報としては、音サブシナリオテーブルから選択されたシナリオを示す情報が登録される。この音データ登録情報もRAM243のワークエリアを用いて設定される。
本実施形態では、音データ登録情報は、音チャネルaCH0~aCH15の16個のチャネルを有するものとされる。
各音チャネルaCHに登録できる情報としては、図示のように、ボリューム遷移量(frzVq)、ボリューム(frzVl)、遷移量変化(rsv2)、ボリューム変化(rsv1)、フレーズ変化(rsv0)、ステレオ(frzSt)、ループ(frzLp)、フレーズ番号hi(frzHi)、フレーズ番号low(frzLo)がある。
図40Bに音サブシナリオテーブルの一部として、音サブシナリオ番号1,2の例を示している。各番号の音/モータサブシナリオとしては、シナリオの各ライン(行)に時間データ(time)の値が記述されると共に、BGM、予告音、エラー音、音コントロールの情報が記述される。また最終行には、シナリオデータ終了コードD_SEENDが記述される。
この音サブシナリオテーブルに関しては、サブシナリオタイマ(scTm)が0になったら(なお最初は0である)、この音サブシナリオテーブルの時間データ(time)の値をサブシナリオタイマ(scTm)にセットする。なお、各ラインの時間データ(time)は、当該ラインが終了するタイミングを示している。サブシナリオタイマ(scTm)には、絶対時間を記述するが、従って、セットする時間データ値は、(当該ラインの時間データ)-(前回ラインの時間データ)の値である。
当該ラインのBGMのデータは、BGMのフレーズ番号やボリューム値等の音データ登録情報に登録する情報で構成され、音データ登録情報における音チャネルaCH0(ステレオの場合は加えてaCH1)にセットされる。
当該ラインの予告音のデータは、予告音のフレーズ番号やボリューム値等の音データ登録情報に登録する情報で構成され、音チャネルaCH2~aCH14の空いているところにセットされる。
当該ラインのエラー音のデータは、エラー音のフレーズ番号やボリューム値等の音データ登録情報に登録する情報で構成され、音チャネルaCH15にセットされる。
音コントロールのデータは、下位6バイトでチャネル情報、上位2バイトでコントロール情報とされている。
後述する図41のステップS2033では、シナリオ更新処理及び更新された音データ登録情報に基づいて、再生出力制御が行われる。
なお、音サブシナリオテーブルとモータサブシナリオテーブルは時間(time)の各ラインに対して一体化されたテーブル構造とされてもよい。
以上のようなシナリオデータ構造を用いた演出制御を行う演出制御部24の処理、特にはCPU241の処理の例を図41で説明する。
CPU241は、パチンコ遊技機1本体に対して電源が投入されると図41の処理を開始する。
CPU241は、まずステップS2000で、遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う。例えば初期設定処理として、インターフェース系の初期化、割込設定、外部メモリの初期化、WDT初期化、可動体役物の起点復帰処理及び制御の初期化、音源制御初期化、シリアル出力コントローラの初期化、スケジューラ(シナリオスケジューラ、デバイススケジューラ、ランプスケジューラ、サウンドスケジューラ)の初期化、システムタイマの初期化、液晶制御初期化等を行う。
なお各スケジューラは、上述のシナリオ登録情報、モータデータ登録情報、ランプデータ登録情報、音データ登録情報のこと、もしくはこれらに基づいたシナリオ制御の進行を指す。初期化処理としては、これらシナリオ登録情報等を記憶するワーク領域を初期化する。
ステップS2000の初期設定処理を終えると、CPU241はステップS2001で電源投入時履歴情報初期設定処理を実行する。該初期設定処理は、液晶表示装置36を用いて行われる後述する設定履歴確認画面Gsの表示に必要な情報をRAM243に保持するための処理である。詳細は後述するが、設定履歴確認画面Gsには、設定値Veの変更履歴情報等、所定の履歴情報が表示される(図46参照)。
なお、ステップS2001の電源投入時履歴情報初期設定処理を初めとして、設定履歴確認画面Gsの表示にあたりCPU241が実行する実施形態としての処理については改めて説明する。
CPU241は、ステップS2001の処理を実行したことに応じ、ステップS2002以降の処理を繰り返し行う。
特に本実施形態では、CPU241は、ステップS2002以降の処理を、液晶表示装置36のフレームタイミングを監視しながら実行する。本例では特に表示制御に用いる同期信号であるVブランク信号に基づく制御を行う。
なお、本実施形態では、液晶表示装置36における表示画像の1フレーム期間である1/30秒(33.3ms)の間においてVブランク信号が2回発生される。CPU241は、Vブランク信号に応じてVブランク割込カウンタをカウントアップするため、Vブランク割込カウンタは1/60秒(16.6ms)毎にカウントアップされることになる。
なお当然、CPU241の個々の処理はVブランク信号の周波数よりも極めて高い周波数の処理クロックに基づいて行われる。図41の各処理は、Vブランク信号に応じてフレーム開始から終了までの期間を把握しながら行われるもので、フレーム開始時点では、処理はステップS2004~S2006が1回行われ、その後はVブランク割込カウンタの値によって1フレーム期間の終了が確認されるまでの期間、ステップS2021~S2043がくり返し行われる。1フレーム期間の終了を検知した時点でステップS2050~S2052の処理が行われる。
ステップS2002でCPU241は、演出制御部24が有するWDT回路に対するクリア制御を行う。
続くステップS2003でCPU241は、フレーム更新フラグを確認する。フレーム更新フラグは、スケジューラ更新等をフレーム期間で管理するためのフラグである。
表示データの或るフレームの開始時点ではフレーム更新フラグはオフとされている(フレーム終了時に後述するステップS2052でオフとするため)。
従ってフレーム開始タイミングでは、CPU241はステップS2003からS2004に進む。
ステップS2004でCPU241は、シナリオスケジューラのフレーム更新を行う。これは具体的には、図37Aのシナリオ登録情報の待機時間(delay)、メインシナリオタイマ(msTm)、サブシナリオタイマ(scTm)の更新を行う処理となる。つまりフレーム開始時点で演出シナリオのタイマを1タイミング進める処理ということができる。
そしてCPU241は続くステップS2005でフレーム更新フラグをONにする。これは、現在のフレームにおいてシナリオのタイマ進行を行ったことを示す情報となる。
またCPU241はステップS2006でスケジューラ更新フラグをオフとする。これは、スケジューラ更新、つまりタイマ進行に伴ったシナリオ内容(シナリオ登録情報、ランプデータ登録情報、音データ登録情報)の更新がまだ行われていないことを示す情報となる。
そしてステップS2002に戻る。CPU241はWDT回路のクリアを行った後、ステップS2003ではフレーム更新フラグはONになっているためステップS2020に進むことになる。ここでWDT回路は、CPU241が正常な処理状態であれば逐次リセットされる。
なお、以上のようにフレーム開始タイミング後の最初の1回だけ、ステップS2004~S2006が行われ、ステップS2004ではシナリオ登録情報のタイマ更新が行われる。演出のためのシナリオは、1フレーム期間である33.3ms毎に進行することになる。例えばメインシナリオタイマ(msTm)は33.3ms毎に進行する。図39のメインシナリオテーブルにおける1行のメインシナリオタイマ(msTm)の時間は、表記する値×33.3msの時間に相当する。また図40のサブシナリオテーブルの時間(time)で示す1行の時間も、表記する値×33.3msの時間に相当する。
CPU241は、ステップS2020ではVブランク割込カウンタの値により処理を分岐する。Vブランク割込カウンタが“2”に達していなければ(つまり“0”又は“1”であれば)、ステップS2021に進む。
Vブランク割込カウンタはステップS2051でフレーム終了時にクリアされると共に、1フレームに2回インクリメントされる。従ってVブランク割込カウンタ=0はフレームの前半期間を、またVブランク割込カウンタ=1はフレームの後半期間を示すことになる。フレーム終了時のVブランク信号でVブランク割込カウンタ=2となる。
CPU241は、Vブランク割込カウンタが“0”又は“1”であるフレーム期間中は、ステップS2021~S2043を可能な回数、繰り返すようにステップS2020からS2021に進む。
ステップS2021でCPU241は、Vブランク割込カウンタが“0”であるか“1”であるかで処理を分岐する。つまり現在が或るフレーム期間の前半であるか後半であるかである。
現在、Vブランク割込カウンタ=0、つまりフレーム前半であれば、ステップS2022に進んで、主制御部20からの受信コマンドを確認する。つまりコマンド受信バッファに1つ以上の受信コマンドが記憶されているか否かを確認する。受信コマンドがなければステップS2030に進む。
1又は複数の受信コマンドがあればCPU241はステップS2023でコマンド解析処理を行う。
そしてCPU241はステップS2024でスケジューラ更新フラグをオフにする。なお、このステップS2024でスケジューラ更新フラグのオフとすることは、現在のフレーム期間中において、以前に一旦ステップS2031でスケジューラ更新フラグをオンにした後であっても、コマンド受信があった場合は再びオフにするという意味を持つ。
ステップS2023のコマンド解析処理の例を図42、図43で説明する。
上記のようにCPU241は図41のステップS2022で、主制御部20から供給される演出制御コマンドがコマンド受信バッファに格納されているか否かを確認し、演出制御コマンドが格納されていればそのコマンドを図42の処理で読み出すことになる。
演出制御部24には、主制御部20から送信されてきた演出制御コマンドを取り込むコマンド受信バッファが、RAM243に用意される。
CPU241は、まず図42のステップS2101で、コマンド受信バッファの読み出しアドレスを示すリードポインタと、書き込みアドレスを示すライトポインタの確認を行う。
ライトポインタは、コマンド受信に応じて更新され、それに応じてライトポインタで示されるアドレスに、受信した演出制御コマンドが格納されていく。リードポインタは、コマンド受信バッファからの読み出しを行った際に更新(ステップS2102)される。従って、もしリードポインタ=ライトポインタでなければ、まだ読み出していない演出制御コマンドがコマンド受信バッファに格納されているということになる。そこでリードポインタ=ライトポインタでなければステップS2102に進み、CPU241はコマンド受信バッファにおいてリードポインタで示されるアドレスから1バイトのコマンドデータをロードする。この場合、次の読み出し(ロード)のためにリードポインタをインクリメントしておく。
なお、実際には図41のステップS2022の受信コマンドの有無の判断もリードポインタ=ライトポインタであるか否かで行うことができる。実際のプログラムとしては、コマンドチェックの処理に最初に進んだ時点でリードポインタ=ライトポインタであれば、図41のステップS2022で受信コマンド無しと判断されるものとすればよい。
上述したように一つの演出制御コマンドは、モードとしての1バイトとイベントとしての1バイトの2バイトで形成されている。CPU241は図42のステップS2103で、ロードした1バイトのコマンドデータが、モードであるかイベントであるかを確認する。この確認は、8ビット(Bit0~Bit7)のうちのBit7の値により行われる。
そしてモードであれば、コマンドの上位データ受信の処理として、ステップS2104に進み、読み出したコマンドデータを、レジスタ「コマンドHIバイト」にセーブする。また「コマンドLOバイト」のレジスタをクリアする。そしてステップS2101に戻る。
続いても、リードポインタ=ライトポインタでなければ、まだ読み出していない演出制御コマンドがコマンド受信バッファに格納されていることになるため、ステップS2102に進み、CPU241はコマンド受信バッファにおいてリードポインタで示されるアドレスから1バイトのコマンドデータをロードする。またリードポインタをインクリメントする。
そして読み出したコマンドがイベントであれば、コマンドの下位データ受信の処理として、ステップS2103からS2105に進み、読み出したコマンドデータを、レジスタ「コマンドLOバイト」にセーブする。
モード及びイベントのコマンドデータが、レジスタ「コマンドHIバイト」「コマンドLOバイト」にセーブされることで、CPU241は一つのコマンドを取り込んだことになる。
そこでCPU241はステップS2106で、取り込んだコマンドに応じた処理を行う。具体例は図43で後述する。
リードポインタ=ライトポインタとなるのは、CPU241がまだ取り込んでいない演出制御コマンドがコマンド受信バッファには存在しない場合である。ステップS2101でリードポインタ=ライトポインタを確認したことで図41のステップS2023としてのコマンド解析処理を終了する。
上記のステップS2106におけるコマンド対応処理の例を図43で説明する。
図43Aは、コマンド対応処理としての基本処理を示している。2バイトの演出制御コマンドの受信に応じて、CPU241はまず図43AのステップS2121で、現在テストモード中であるか否かを確認する。テストモード中であれば、ステップS2122ですべての演出シナリオのクリア、音出力の停止、光表示装置45aにおけるLEDの消灯を行う。そしてステップS2123でテストモードを終了する。
テストモード中でなければ、これらの処理は行わない。
そしてCPU241は、ステップS2130において、取り込んだ演出制御コマンドについての処理を行うことになる。
演出制御コマンドとしては、例えば特別図柄の変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、保留加算コマンド、遊技状態指定コマンド、電源投入コマンド、RAMクリアコマンド、設定変更中コマンド、設定変更終了コマンド、設定確認中コマンド、設定確認終了コマンド、設定値コマンド(本例では少なくとも起動時(図17のS808)や図柄変動開始時(図23のS1411)に主制御部20が送信する)、エラーコマンド(各種エラーの通知コマンド)・・・など多様に設定されている。ステップS2130では、CPU241は、受信したコマンドに対応して、プログラムで規定された処理を行う。ここでは図43B~図43Eに四つの演出制御コマンドを挙げて、具体的処理を例示する。
図43Bは、ステップS2130でのコマンド処理として、変動パターン指定コマンドを取り込んだ場合の処理S2130aを示している。
この場合、CPU241は、ステップS2131で、装飾図柄指定コマンド待ち状態をセットする処理を行う。これは変動パターン指定コマンドと、装飾図柄指定コマンドが順次受信されることで、CPU241が図柄の変動表示の制御を行うためである。
図43Cは、ステップS2130でのコマンド処理として、図柄指定コマンドを取り込んだ場合の処理S2130bを示している。
この場合、CPU241は、まずステップS2132で、変動パターン指定コマンドを受信済みであるか否かを確認する。受信していなければそのまま処理を終える。
装飾図柄指定コマンドを受信した際に、既に変動パターン指定コマンド受信済みであれば、ステップS2133に進み、まず役物原点補正の動作についてのシナリオ登録を行う。そしてステップS2134で、図柄変動フラグをセットする。図柄変動フラグは、第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄のそれぞれに対応してそれぞれ設けられ、それぞれのフラグで変動状態を表すものとされる。例えば各2ビットの第1特別図柄変動フラグFZ1、第2特別図柄変動フラグFZ2、普通図柄変動フラグFZ3が用意され、それぞれについて変動中、停止中(当り)、停止中(はずれ)が示される。ここでは変動開始に伴い、対応する図柄変動フラグ(FZ1,FZ2,FZ3のいずれか)を、「変動中」を示す値にセットする。
なお図柄変動フラグは、当りの場合は、図柄変動終了時に所定時間「停止中(当り)」を示す値にセットされ、その後、図柄変動が開始されるまで「停止中(はずれ)」を示す値にセットされる。
ステップS2135でCPU241は、変動開始処理を行う。その後、変動開始に応じてステップS2136で変動パターン指定コマンドの削除を行う。
図43Dは、ステップS2130でのコマンド処理として、電源投入コマンドを取り込んだ場合の処理S2130cを示している。
この場合、CPU241は、ステップS2137でRAM243のクリア処理を行う。例えばコマンド受信/送信バッファ、各種操作入力情報バッファの内容等の記憶領域のクリアを行う。
そしてステップS2138でエラー解除コマンドの送信、ステップS2139で役物エラー情報のクリア、ステップS2140で役物動作の停止、ステップS2141で電源投入のシナリオ登録、ステップ2142で液晶制御部40へ送信する電源投入コマンドのセットを順次行う。
図43Eは、ステップS2130でのコマンド処理として、RAMクリアコマンドを取り込んだ場合の処理S2130dを示している。
この場合、CPU241は、ステップS2143でRAM243のクリア処理を行う。例えばコマンド受信/送信バッファ、各種操作入力情報バッファの内容等の記憶領域のクリアを行う。
そしてステップS2144でエラー解除コマンドの送信、ステップS2145でRAMクリアエラーセットと、エラー報知タイマのセットを行う。さらにステップS2146でRAM243における抽選処理に関する情報のクリア、ステップS2147で、シナリオに関する情報のクリアを行う。そしてステップS2148で液晶制御部40へ送信する電源初期投入表示(RAMクリア)コマンドのセットを行う。
以上、コマンド受信に応じた処理の例を説明した。
以上のコマンド受信に応じた処理としての図41のステップ2022~S2024の処理は、本例ではVブランク割込カウンタ=0の期間のみ実行開始される。
続いてCPU241は、図41のステップS2030でスケジューラ更新フラグを確認して処理を分岐する。ここではスケジューラ更新フラグがオフの場合のみ、ステップS2031~S2034の処理を行うようにする。
そしてステップS2031でフレーム更新フラグをオンとする。
スケジューラ更新フラグはフレーム開始直後のステップS2006でオフとされるため、現在のフレーム期間で最初にステップS2030の処理に進んだときに、ステップS2031~S2034の処理を行うことになる。またステップS2024でスケジューラ更新フラグがオフとされるため、コマンド受信があった場合もステップS2031~S2034の処理を行う。
CPU241はステップS2032でシナリオスケジューラ実行としての処理を行う。これはシナリオ登録情報の更新処理である。例えばシナリオチャネルsCHに登録された情報のうち待機時間(delay)が0のものについて、登録されたデータに対応した処理を実行する。即ちメインシナリオテーブルのうちで指定されたシナリオ番号に応じた処理を行う。メインシナリオ実行ライン(mcIx)、サブシナリオ実行ライン(scIx)、サブシナリオ実行ラインlmp(lmpIx)等の更新も行われる。
ステップS2033でCPU241はサウンドスケジューラ実行及び出力の処理を行う。これは、シナリオテーブルで指定される音サブシナリオに応じた音データ登録情報の更新処理、及び音データ登録情報に基づいた音制御信号の出力処理である。CPU241は演出制御部24が有する音コントローラに対して、現在のシナリオ進行に応じた音出力を実行させる。
ステップS2034でCPU241はランプスケジューラ実行処理を行う。
これはシナリオテーブルで指定されるランプサブシナリオに応じたランプデータ登録情報の更新処理である。
例えばCPU241はランプチャネルdwCH0~dwCH15のそれぞれについて次の処理を行う。まずメインシナリオタイマ(msTm)とランプサブシナリオテーブルの時間データ(time)を比較する。ランプサブシナリオテーブルの時間データ(time)は、当該ライン(サブシナリオ実行ラインlmp(lmpIx)で示されるライン)が開始される時間を示している。従って、メインシナリオタイマの時間が、時間データ(time)以上となっていたら、そのラインについての処理を行う。
例えばまず、現在のラインが、ランプシナリオデータ終了コードD_LSENDが記述されたラインであるか否かを判断する。ランプシナリオデータ終了コードD_LSENDが記述されたラインではなければ、CPU241は、当該ラインに記述されているランプチャネルdwCH及びランプナンバを取得し、取得したランプチャネルdwCHに点灯パターンナンバの登録を行う。
またそのランプチャネルdwCHに対応する領域に登録点灯ナンバ(lmpNew)と実行点灯ナンバ(lmpNo)をセットする。即ちランプサブシナリオテーブルの当該ラインから取得したランプナンバを、登録点灯ナンバ(lmpNew)にセットし、「0」を実行点灯ナンバ(lmpNo)にセットする。またサブシナリオ実行ラインlmp(lmpIx)の値を+1する。以上により、ランプデータ登録情報としては、実行すべきランプ演出動作が登録された状態に更新される。
なおステップS2034では、以上のようなランプデータ登録情報の更新を行うが、その更新したランプデータ登録情報に基づくランプ駆動データ作成及びランプ駆動データ出力は、後のステップS2041、S2042で行う。
CPU241はステップS2040では、Vブランク割込カウンタの値により処理を分岐する。Vブランク割込カウンタが“0”であればステップS2041~S2043の処理を実行し、“1”であればこれらの処理を実行しない。
ステップS2041では、CPU241はランプ駆動データの作成を行う。即ちランプデータ登録情報の各ランプチャネルdwCHに登録されている情報に基づいて実際に各種LEDを駆動するドライバに対して出力するランプ駆動データを生成する。
そしてステップS2042で、生成したランプ駆動データが上記のドライバに対して出力されるように制御する。
ステップS2043ではCPU241はキーイベント処理を行う。そしてステップS2002に戻る。
ステップS2041,S2042のランプ駆動データの作成及び出力の処理は、Vブランク割込カウンタ=0のときのみに実行が開始される。即ちフレームの前半の期間のみこれらの処理が開始されることになる。
Vブランク割込カウンタ=2となった後、つまりフレーム期間の終了が検知された場合(S2020:=2)、CPU241はステップS2050以降のフレーム終了時に対応した処理を行う。
まずCPU241はステップS2050で、履歴表示処理を実行する。この履歴表示処理は、前述した設定履歴確認画面Gsを液晶表示装置36に表示させるための処理となる。なお、詳細については後述する説明する。
ステップS2050の表示処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2051でVブランク割込みカウンタをクリアし、次いでステップS2052でフレーム更新フラグをオフとし、ステップS2002に戻る。そして説明してきたように、新たなフレーム期間についての処理を行う。
以上の図41の処理と共にCPU241では、例えば1ms毎の割込処理として図44の処理が実行される。即ち図44の処理は、表示データのフレームタイミングに関わらず1ms毎に実行される処理である。
図44において、CPU241はステップS2200で、WDTパルス生成処理を行う。WDT回路はこのWDTパルスにより1ms毎のカウントを行う。
ステップS2201でCPU241は、モータのセンサ更新処理を行う。これは前述した位置検出センサ82aの情報を検知する処理である。
ステップS2202でCPU241はデバイススケジューラ実行処理を行う。具体的にはモータデータ登録情報の更新を行う。またステップS2203でデバイススケジューラ出力処理として、可動体役物モータ80cのドライバへのモータ駆動データの出力処理を行う。
即ちCPU241は、フレーム期間に比べて約1/30の時間間隔である1ms毎に、モータ動作制御を行っている。
続くステップS2204でCPU241は、キー入力処理を行う。即ち、演出ボタン13等の各種操作子の操作に応じた信号を確認する。
CPU241はステップS2204の処理を実行したことに応じ、図44に示す割込処理を終える。
ここまでCPU241の処理例を説明してきたが、以上の処理例では、CPU241は表示データのフレームに合わせて各種処理を行っている。
図45は表示データのフレーム期間毎の各種タイミングを示している。
表示データの各フレームをフレームFR0、FR1、FR2・・・とする。例えば時点T0~T1にフレームFR0の表示、時点T1~T2にフレームFR1の表示が行われる。
Vブランク割込カウンタの値は、図41のステップS2051でクリアされるため、図示のようにフレーム開始時点で“0”、フレーム中間の時点(時点T0m、T1m等)で“1”となり、“2”となった直後にクリアされる。
図中、「SL」はフレーム期間を表し、「SLs」はフレーム期間の開始タイミング(以下「フレーム開始タイミングSLs」と表記)を表す。「CA」は、フレーム前半期間を意味している。
先ず前提として、液晶表示装置36に表示すべき表示データ(フレーム画像データ)の描画処理は、液晶制御部40が演出制御部24(CPU241)からの液晶制御コマンドに基づいて行う。この描画処理は、フレーム期間SL内において、次のフレームの表示データについて実行される。例えばフレームFR1の表示データの描画は、フレームFR0の表示期間である時点T0~T1内に実行される。
また、液晶制御部40では、描画に用いるデータのプリロードが行われる。このプリロードは、描画のための準備として、描画処理のさらに1フレーム前の期間に実行される。例えばフレームFR2の表示データの描画のためのプリロードは、フレームFR0の表示期間である時点T0~T1内に実行される。
なお、これら描画処理やプリロードの開始タイミングは、図示のようにフレーム開始タイミングSLsと同期している。
演出制御部24(CPU241)側では、SLで示すフレーム期間中は、くり返しステップS2021~S2043の処理が行われる。
但し、受信コマンド処理(S2022~S2024)は、フレーム前半期間CAのみ実行される。これらはVブランク割込カウンタ=0のときのみ実行されるためである。
受信コマンドの解析処理は、図42、図43のような処理となるが、これは比較的処理負担の重い処理となると共に、受信コマンド数によって処理も多くなる。コマンド種類によっては演出のための抽選等も行う必要が生ずる。本実施形態では、このような処理をフレーム前半期間にのみ行うものとしている。
なお、このためコマンド信号に関しては、例えば時点T0m~T1mとして破線で示す期間に受信されたコマンド信号については、時点T1~T1mの期間にコマンド解析が行われることになる。
またランプデータ作成/出力処理(S2241~S2243)もフレーム前半期間CAのみ実行される。これらもVブランク割込カウンタ=0のときのみ実行されるようにしているためである。
[5-2.設定履歴確認画面の表示]
本実施形態のパチンコ遊技機1は、設定値Ve(Vd)に関する操作に係る履歴を設定操作履歴として表示する機能を有する。具体的に、設定操作履歴としては、設定値Veの変更に係る履歴と、設定値Veの確認(設定確認処理)に係る履歴とを表示する。
図46は、設定操作履歴の一表示態様としての設定履歴確認画面Gsの例を示している。
設定履歴確認画面Gsは、演出制御部24の制御に基づき、液晶表示装置36の画面上に表示されるものであり、本例では、図のように設定変更、設定確認それぞれの対象事象について、その内容と発生時点(本例では日時:日付け及び時分による時刻)を表す情報が含まれる。
対象事象の「内容」は、設定変更については、対象事象の種類の名称情報(つまり「設定変更」)と、変更後の設定値Ve(設定変更処理により設定完了された設定値Vdに対応する設定値Ve)の数値情報とが含まれる。設定確認については、対象事象の種類の名称情報(つまり「設定確認」)と、設定確認時における設定値Ve(つまり使用者により確認された設定値Ve)の数値情報とが含まれる。
本例の設定履歴確認画面Gsは、複数のページから成り、具体的には5ページを表示可能とされている。1ページに表示可能な履歴情報は本例では10件とされ、従って最大で50件(10×5件)の履歴情報を表示可能とされている。
本例において、設定履歴確認画面Gsにおけるページの切り替え操作は、十字キー16(図3参照)の操作とされている。例えば、十字キー16うち何れかの方向指示キーを1回押圧操作するごとに、1ページ分のページ送りが行われる。
設定履歴確認画面Gsにおいては、各履歴情報に対して表示番号が付されている。本例の場合、この表示番号は、最新の履歴に対して「1」が割り振られ、最新から過去にかけて昇順に番号が割り振られる。
また、設定履歴確認画面Gsには、現在のページ番号も表示される(図中では「1/5」のように最大ページ数も併せて表記される)。
図46では図示されていないが、本例における履歴表示の対象事象としては、上記した設定変更及び設定確認以外にも、各種のエラーが含まれる。ここでのエラーとしては、例えば扉開放エラー、補給切れエラー、球詰りエラー等、設定値エラー以外の各種エラーがある。
設定履歴確認画面Gsは、所定の状態下において所定操作が行われたことに応じて表示が行われる。具体的に、本例における設定履歴確認画面Gsは、設定確認中(ステップS109の設定確認処理の実行中)において、演出ボタン13が操作されることに応じて表示される。ここで、先の説明から理解されるように、設定確認処理はパチンコ遊技機1の起動時に前枠2が開放され設定キーが操作されたことに応じて実行されるものであり、従って設定履歴確認画面Gsの表示は、このような起動時の前枠2開放状態で行われることが想定されるものである。
図47は、設定確認中において液晶表示装置36に表示される設定確認中画面の例を示している。この設定確認中画面は、演出制御部24(CPU241)が、主制御部20側からの設定確認中コマンド(S704参照)を受信したことに応じて表示を開始させる。
本例の設定確認中画面には、設定確認中である旨をホールスタッフ等の使用者に報知するための情報(図中では「設定確認中」の文字)と共に、設定履歴確認画面Gsの表示にあたり必要とされる操作の案内情報(図中では「設定履歴一覧」の文字、演出ボタン13のアイコンと「で決定」の文字が該当)が表示されている。
ここで、本例では、上記のように設定確認中画面、すなわち設定確認中の報知画面上に設定履歴確認画面Gsの表示のための操作案内を表示しており、該操作案内に従って使用者が所定操作(本例では演出ボタン13の操作)を行ったことに応じて、図46に示した設定履歴確認画面Gsに遷移する。
これは、演出制御部24(CPU241)は、設定確認中の報知画面上に操作案内を表示した状態で設定履歴確認画面Gsの表示指示を受け付けている、と換言することができる。
これにより、設定確認中画面を表示する処理のみで、設定履歴確認画面Gsを表示可能なタイミングと、設定履歴確認画面Gsの表示に必要な操作との二つの情報を使用者に把握させることができる。すなわち、設定履歴確認画面Gsの表示を行う上で使用者への通知が必要とされる情報を提示するにあたっての処理負担軽減が図られるものである。
また、本例の設定履歴確認画面Gsは、保存されている履歴情報の数に拘わらず、全ページに遷移可能とされている。例えば、図46のように保存されている履歴情報の数が「8」であったとしても、ページ切り替え操作に応じて、2ページ目~5ページ目の全ページを表示可能とされている。換言すれば、履歴情報が存在しない、いわば空のページも含んだ全てのページを表示可能とされているものである。
これにより、パチンコ遊技機1が最大でどの程度の数の履歴を保持及び表示可能であるかを使用者に直感的に把握させることができる。
図48は、設定履歴確認画面Gsの表示にあたり必要とされる履歴表示用情報の例を示している。
この履歴表示用情報は、演出制御部24のCPU241が履歴表示の対象事象の発生ごとに対応する履歴情報をRAM243の所定領域に蓄積していくことで構築される情報である。
RAM243のワーク領域には、履歴表示用情報を格納するための領域(以下「履歴保存領域」と表記)が定められており、CPU241は後述の処理(図52及び図53参照)を実行することで、対象事象の発生ごとに、対応する履歴情報を履歴保存領域に追加していく。
以下、対象事象の発生ごとに一つずつ追加されていく履歴情報のことを「個別履歴情報」と表記する。本例では、最大で50個の履歴を表示可能とされていることから、RAM243における履歴保存領域としては、履歴0~履歴49の50個の個別履歴情報を格納可能な領域として設定されている。
個別履歴情報としては、図示のように履歴の日時情報の表示に必要となる「年」「月」「時」「分」の情報と、履歴の種類(設定変更、設定確認、又はエラー)を表す「type」の情報と、「data」の情報とを含む。「data」の情報は、「type」が設定変更、設定確認の場合にはそれぞれ設定変更による変更後の設定値Ve、設定確認された設定値Veを表す情報が格納され、「type」の情報が「エラー」である場合にはエラー種別を表す情報が格納される。
履歴表示用情報としては、例えば先頭の領域にチェックサム領域及び最新履歴位置情報の格納領域がそれぞれ設けられ、これらの領域に続く領域が個別履歴情報の格納領域とされている。
チェックサム領域は、個別履歴情報の格納領域全体における記憶情報から計算されるサム値を格納する領域である。なお、このサム値の役割については後述する。
最新履歴位置情報は、RAM243上における最後に追加された個別履歴情報の記憶位置を表す情報である。
ここで、RAM243は情報読み出し速度が比較的速いことから、設定履歴確認画面Gsの迅速な表示にあったては、上記のようにワーク領域に保持された履歴表示用情報を用いることが望ましい。
しかしながら、RAM243は、バックアップ電源が接続されておらず、電源遮断された際に記憶情報を保持し続けることが不能とされている。設定履歴確認画面Gsで表示する設定操作履歴は、例えば数週間や1ヶ月程度等、比較的長い期間にわたっての履歴となることが想定されるものであり、従って、RAM243のみを履歴表示用情報の保存先メモリとしてしまうと、電源遮断が生じるごとに履歴情報が失われてしまい、履歴表示を適正に行うことができなくなってしまう。
そこで本実施形態では、CPU243がアクセス可能なメモリとして、図3に示したメモリ244(つまりパチンコ遊技機1が電源遮断されても記憶情報を保持可能なメモリ)を設け、該メモリ244に対してRAM243のワーク領域に記憶された履歴表示用情報をバックアップ記憶させる。
図49は、実施形態としての履歴表示用情報のバックアップ動作例を説明するための図である。
本例では、メモリ244には履歴表示用情報をバックアップ記憶するための領域として複数の領域が設けられている。具体的には、図中の第一履歴保存領域と第二履歴保存領域の二つの領域が設定されている。
CPU241は、メモリ244におけるこれら第一、第二履歴保存領域のそれぞれに、RAM243の履歴保存領域に記憶された履歴表示用情報をコピーする。
前述のように、設定履歴確認画面Gsが表示可能となるのは設定確認中(つまりパチンコ遊技機1の電源再投入直後の状態)であり、換言すれば、パチンコ遊技機1の電源遮断を介した後である。電源遮断によりRAM243における履歴表示用情報はクリアされる(保持不能となる)ので、CPU241は、自身の起動時において、メモリ244の第一履歴保存領域又は第二履歴保存領域にバックアップされた履歴表示用情報をRAM243の履歴保存領域に書き戻す。これにより、設定履歴確認画面Gsを表示すべき状態となる前に、RAM243に適正な履歴表示用情報が記憶された状態を得ることができる。
その上でCPU241は、設定履歴確認画面Gsの表示を、RAM243に記憶された履歴表示用情報に基づき液晶表示装置36に実行させる。
これにより、設定操作履歴の表示を適正且つ速やかに実行可能な遊技機を実現することができる。
本例では、このようにメモリ244にRAM243における履歴表示用情報のバックアップをとる前提において、上記した第一、第二履歴保存領域等の複数の履歴保存領域を設けて、複数のバックアップをとるものとしている。
このように履歴表示用情報について複数のバックアップをとることにより、メモリ244における記憶データ破損に対する設定履歴確認画面Gsの表示耐性の向上を図ることができる。すなわち、或る履歴保存領域にデータ破損が生じても他の履歴保存領域の履歴表示用情報を用いて設定履歴確認画面Gsを表示可能となるものであり、従って、メモリ244における記憶データ破損に起因して適正な履歴情報表示が不能となる事態の発生可能性を低減することができる。
ここで、本例では、履歴表示用情報のメモリ244へのコピー(バックアップ)は、RAM243における履歴表示用情報に新たな履歴情報(個別履歴情報)が追加されるごとに実行するものとしている。すなわち、対象事象の発生に応じてRAM243の履歴表示用情報に新たな個別履歴情報を追加したことに応じて、該追加後の履歴表示用情報をメモリ244における第一、第二履歴保存領域のそれぞれにコピーする。
例えば、履歴表示用情報のメモリ244へのコピーは一定時間ごとに行うことも考えられるが、その場合、最新の個別履歴情報の追加の直後に不慮の電源遮断(パチンコ遊技機1の電源遮断)が起きてしまうと、最新の履歴がメモリ244の履歴表示用情報に反映されないまま電断されてしまい、次回の起動時に設定履歴確認画面Gsを表示する際、最新の履歴が表示されない事態が起こり得る。
これに対し、上記のように履歴追加ごとにコピーを行うものとすれば、不慮の電断に起因してRAM243とメモリ244との間で履歴の記憶内容が不一致となる事態の発生防止を図ることができ、履歴情報の表示不具合発生を抑制することができる。
なお、個別履歴情報の追加ごとにメモリ244へのコピーを行うことはあくまで一例であり、例えば、パチンコ遊技機1の電源遮断ごとにコピーを行う等、他のタイミングでコピーを行うことも可能である。
図50は、履歴表示用情報における個別履歴情報の追加処理例を示している。
本例では、RAM243における個別履歴情報の格納領域は、個別履歴情報を50個保持可能なリングバッファ領域とされている。
具体的に、図50A中に例示されるように、個別履歴情報として履歴t0~履歴t49の50個が格納されている状態において、新たに履歴t50としての個別履歴情報を追加すべき状態となったとする。
この状態において、前述した最新履歴位置情報が示す最新履歴位置は、図示のように履歴t49としての個別履歴情報の格納位置とされている。
履歴t50としての個別履歴情報を追加するにあたっては、先ず、図50Bに示すように、CPU241は最新履歴位置を次の位置、すなわち履歴t0の格納位置に更新する。その上で、図50Cに示すように、最新履歴位置が表す個別履歴情報の格納位置に、追加すべき履歴t50の個別履歴情報を記憶する(つまり履歴t0に上書きする)。
これにより、個別履歴情報が最大に保持されている状態で新たな個別履歴情報を追加する際には、最も過去における個別履歴情報が最新の個別履歴情報により上書きされ、結果、履歴表示用データにおける個別履歴情報の格納領域には、最新から過去50個分の個別履歴情報が保持されることになる。すなわち、個別履歴情報の保持数が上限である(表示に必要とされる)50個を超えないように図られている。
本例では、このようにリングバッファの態様により個別履歴情報の記憶が行われた履歴表示用情報に基づいて、設定履歴確認画面Gsの表示が行われることになる。
個別履歴情報がリングバッファの態様により記憶される場合には、最新履歴位置が管理される共に、最新履歴位置を基準した各履歴情報の記憶位置によって各履歴情報の新順又は古順が自ずと把握されることになる。そのため、設定履歴確認画面Gsとして、履歴一覧を新順又は古順に表示する際には、各履歴情報に含まれる時刻情報を参照して各履歴情報の新順、古順を特定する必要がなくなる。すなわち、履歴を新順又は古順に一覧表示する上での処理負担の軽減を図ることができるものである。
ここで、本例では、設定履歴確認画面Gsの表示は、設定確認中であることを条件としてのみ実行されるものであり、設定変更中(ステップS115の設定変更処理中)においては設定履歴確認画面Gsを表示しない。
設定変更中には設定値Veが変更され得るので、設定変更中に設定変更に係る履歴を表示すると使用者の混乱を招く虞があり望ましくない。
設定変更中に設定履歴確認画面Gsを表示しないものとすることで、設定値Veの履歴表示に係る使用者の混乱を招くことの防止を図ることができる。
続いて、上記により説明した実施形態としての設定履歴確認画面Gsの表示に係る動作を実現するための処理について、図51~図55のフローチャートを参照して説明する。
図51は、電源投入時履歴情報初期設定処理(S2001)のフローチャートである。該処理は、図41で説明した演出制御メイン処理の一部としてCPU241が実行する処理であり、具体的にCPU241は、起動に伴いステップS2000の各種初期設定処理を終えたことに応じて該ステップS2001の処理を実行する。先に述べた通り、ステップS2001の処理は、設定履歴確認画面Gsの表示に必要な情報をRAM243に保持するための処理となる。
図51において、CPU241はステップS2301で、メモリ244における第一履歴保存領域の履歴表示用情報を内部ワーク(RAM243)に転送する処理を行う。ここで、今回の起動よりも以前の段階で履歴表示の対象事象が発生していれば、メモリ244に対しては、後述するステップS2160の履歴情報更新処理が行われることに伴い(図53:特にステップS2406)、第一、第二履歴保存領域のそれぞれに履歴表示用情報が記憶される。ステップS2301の処理では、このようにメモリ244に記憶された履歴表示用情報のうち第一履歴保存領域の履歴表示用情報をRAM243に転送し、履歴保存領域に記憶させる。
続くステップS2302でCPU241は、第一履歴保存領域についてのサム値の異常有無を判定する(チェックサム処理)。すなわち、上記のように第一履歴保存領域からRAM243の履歴保存領域に記憶された履歴表示用情報(以下「第一履歴表示用情報」と表記)について、個別履歴情報の格納領域全体の記憶値からサム値を計算し、該計算したサム値が、第一履歴表示用情報におけるチェックサム領域に記憶されているサム値と一致するか否かを判定する。
チェックサム領域におけるサム値は、履歴表示用情報のメモリ244へのバックアップに際して、ステップS2160の履歴情報更新処理(図53)におけるステップS2405の処理により個別履歴情報の格納領域における記憶値から計算されたものであり、従って、上記ステップS2302のチェックサム処理においてサム値の一致/不一致を判定することで、個別履歴情報の格納領域全体における記憶値がバックアップ時と一致/不一致であるかを判定できるものである。換言すれば、バックアップされた履歴情報の異常有無(例えば不正書き替え等の有無)を判定することができる。
ステップS2302において、サム値が一致する、すなわちサム値が正常であると判定した場合、CPU241はステップS2001の初期設定処理を終える。つまり、メモリ244の第一履歴保存領域にバックアップされた履歴情報が正常であれば、RAM243において第一履歴保存領域の履歴情報が保持された状態が継続される。すなわち、後述するステップ2050の履歴表示処理(図54)は、このようにRAM243に保持された第一履歴保存領域の履歴情報に基づき実行される。
一方、ステップ2302でサム値が一致しない、つまりサム値が異常であると判定した場合、CPU241はステップS2303でメモリ244における第二履歴保存領域の履歴表示用情報を内部ワークに転送する処理を行う。すなわち、第二履歴保存領域の履歴表示用情報をRAM243に転送して履歴保存領域に記憶させる(つまりステップS2301で記憶された第一履歴保存領域の履歴表示用情報に上書きさせる)。
次いで、ステップS2304でCPU241は、第二履歴保存領域についてのサム値の異常有無を判定する。つまり、上記のようにRAM243の履歴保存領域に記憶された第二履歴保存領域の履歴表示用情報(以下「第二履歴表示用情報」と表記)について、個別履歴情報の格納領域全体の記憶値からサム値を計算し、該計算したサム値が、第二履歴表示用情報におけるチェックサム領域に記憶されているサム値と一致するか否かを判定する。これにより、第二履歴保存領域にバックアップされた履歴情報の異常有無を判定することができる。
ステップS2304において、サム値が一致する、すなわちサム値が正常であると判定した場合、CPU241はステップS2001の初期設定処理を終える。つまり、RAM243に記憶された第二履歴保存領域の履歴情報が正常であれば、RAM243において該第二履歴保存領域の履歴情報が保持された状態が継続され、この場合は該第二履歴保存領域の履歴情報に基づいた履歴表示処理(図54)が実行される。
一方、ステップ2304でサム値が一致しない、つまりサム値が異常であると判定した場合、CPU241はステップS2305に進んで履歴表示用情報をクリアし、ステップS2001の初期設定処理を終える。ステップS2305のクリア処理では、RAM243の履歴保存領域に記憶された履歴表示用情報と共に、メモリ244の第一、第二履歴保存領域に記憶された履歴表示用情報もクリアする。
図52は、履歴表示の対象事象の発生に応じて履歴情報を更新するための処理を示したフローチャートである。
本例における対象事象は、設定変更、設定確認、及びエラーの発生であり、CPU241は、主制御部20側からの演出制御コマンドに基づき、これらの事象の発生に応じて履歴情報の更新処理を実行するようにされている。具体的に、設定変更、設定確認については、主制御部20側からの設定変更終了コマンドや設定値コマンド、設定確認中コマンドの受信に応じて履歴情報を更新する(図52A参照)。また、エラーについては、主制御部20側からの各種エラーコマンドの受信に応じて履歴情報を更新(図52B参照)する。
本例では、これら図52A、図52Bの各処理は、先に説明したステップS2130の各コマンド処理(図43参照)の一つとして実行される。
図52Aは、設定変更、設定確認に係るコマンドである設定関連コマンドに対応した設定関連コマンド処理S2130eを示している。
先ず、CPU241はステップS2150~S2154の処理により、設定確認中コマンド、設定確認終了コマンド、設定変更時コマンド、設定変更中コマンド、設定変更終了コマンドの何れかが受信されているかを確認する。
具体的に、ステップS2150では設定確認中コマンドが受信されたか否かを判定し、設定確認中コマンドが受信されていなければステップS2151で設定確認終了コマンドが受信されたか否かを判定する。設定確認終了コマンドが受信されていなければ、ステップS2152で設定変更時コマンドが受信されたか否かを判定し、設定変更時コマンドが受信されていなければステップS2153で設定変更中コマンドが受信されたか否かを判定する。設定変更中コマンドが受信されていなければ、ステップS2154で設定変更終了コマンドが受信されたか否かを判定する。
ここで、ステップS2150について、設定確認中コマンドには、先の図15で説明したように設定値Veの通知情報が含まれており、本例におけるステップS2150では、設定確認中コマンドとして設定値「1」~「6」の何れかの通知情報を含むコマンドが受信されたか否かを判定する。つまり、設定確認中コマンドとして、使用範囲Ru内ではなく使用可能範囲Re内の設定値Veを通知するコマンドが受信されたか否かを判定するものである。
また、本例では、ステップS2152の設定変更時コマンドについても、同様に使用範囲Ru内ではなく使用可能範囲Re内の設定値Ve(「1」~「6」)の何れかを通知するコマンドが受信されたか否かを判定する。
なお、このように設定値Veを通知するコマンドについて、使用範囲Ru内ではなく使用可能範囲Re内の値を通知するコマンドを許容する意義については後述する。
ステップS2150において、設定確認終了コマンド(設定値「1」~「6」)が受信されたと判定した場合、CPU241はステップS2155で設定確認中シナリオ登録処理を実行し、ステップS2159に進む。
また、ステップS2151で設定確認終了コマンドが受信されたと判定した場合、CPU241はステップS2156で設定確認終了シナリオ登録処理を実行してステップS2159に進み、ステップS2152で設定変更時コマンド(設定値「1」~「6」)が受信されたと判定した場合はそのままステップS2159に進む。
さらに、ステップS2153で設定変更中コマンドが受信されたと判定した場合、CPU241はステップS2157で設定変更開始シナリオ登録処理を実行してステップS2159に進み、ステップS2154で設定変更終了コマンドが受信されたと判定した場合はステップS2158で設定変更終了シナリオ登録処理を実行してステップS2159に進む。
ステップS2155、S2156、S2157、S2158のシナリオ登録処理が実行されることで、それぞれ設定確認中、設定確認終了、設定変更開始、設定変更終了に応じた演出動作が実行される。
ステップS2159でCPU241は、スペック指定/設定情報コマンドが受信されたか否かを判定する。すなわち、スペック指定コマンド、設定値コマンドの何れかが受信されたか否かを判定する。図示による説明は省略したが、スペック指定コマンドは、主制御部20のCPU201が起動時において送信する遊技機1のスペックを表す情報(例えば、大当りの当選確率や使用する設定値Veの段階数を表す情報等)を通知するためのコマンドとされる。また、設定値コマンドは、CPU201がメインループ前処理におけるステップS808(図17)で送信するコマンドである。
スペック指定コマンドと設定値コマンドは共に上位バイトが遊技機1のスペック情報を表す特定の値とされ、ステップS2159では上位バイトが該特定の値とされたコマンドが受信されたか否かを判定することにより、スペック指定コマンド、設定値コマンドの何れかが受信されたか否かを判定する。
スペック指定コマンド、設定値コマンドの何れも受信されておらず、ステップS2159でスペック指定/設定情報コマンドが受信されていないと判定した場合、CPU241はステップS2130eの設定関連コマンド処理を終える。すなわち、この場合は以降で説明するステップS2163による設定値のRAM243に対する格納処理は実行されない。
一方、スペック指定/設定情報コマンドが受信されたと判定した場合、CPU241はスペック情報をRAM243に格納する。すなわち、受信されたスペック指定コマンド、又は設定値コマンドの上位バイトの値をRAM243のワーク領域における所定領域に格納する。
ステップS2160に続くステップS2161でCPU241は、設定不定であるか否かを判定する。すなわち、受信されたスペック指定/設定情報コマンドが設定値コマンドではなく、スペック指定コマンドであるか否かを判定する。ここで、本例では、スペック指定コマンドの下位バイトは「0FH」であり、設定値コマンドの下位バイトは設定値Veに応じた値とされる。このためステップS2161では、受信されたスペック指定/設定情報コマンドの下位バイトが「0FH」であるか否かにより、スペック指定/設定情報コマンドが設定値コマンドではなく、スペック指定コマンドであるか否か(設定不定であるか否か)を判定する。
下位バイトが「0FH」でなく、設定不定でない(つまり設定値コマンドである)と判定した場合、CPU241はステップS2162に進み、設定情報は使用可能範囲Reか否かを判定する。すなわち、受信された設定値コマンドに含まれる設定値Veの識別データ(図16参照)が示す値が、使用可能範囲Reに対応した「00」~「05」の範囲内であるか否かを判定する。
上記識別データが示す値が使用可能範囲Re内の値であり、設定情報は使用可能範囲Reであると判定した場合、CPU241はステップS2163で設定値情報をRAM243に格納する。すなわち、上記識別データをRAM243のワーク領域における所定領域に格納する。
ステップS2163の格納処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2164に処理を進める。
一方、ステップS2162で設定情報は使用可能範囲Reでないと判定した場合、CPU241はステップS2163の格納処理をパスしてステップS2164に処理を進める。
また、ステップS2161で設定不定である(つまりスペック指定コマンドである)と判定した場合、CPU241はステップS2162の判定処理、及びS2163の格納処理をパスしてステップS2164に処理を進める。
なお、ステップS2162の判定処理は主制御部20側から受信した設定値Veの異常判定処理として機能し、異常であると判定された場合は設定値VeのRAM243への格納が行われないものとなるが、演出制御部24側において、設定値Veの異常判定として実際の使用範囲Ruではなく使用可能範囲Re内の値であるか否かを判定することの意義については後述する。
ステップS2164でCPU241は、設定変更又は設定確認時であるか否かを判定する。この判定は、例えば、今回の設定値関連コマンド処理(S2130e)で受信があったと判定したコマンドが「設定変更終了コマンド」受信後の初回の「設定値コマンド」か、又は「設定確認中コマンド」であったか否かの判定として行うことができる。
設定変更又は設定確認時であれば、CPU241はステップS2165に進んで履歴種別をセットする。すなわち、新たに追加すべき個別履歴情報について、前述した「type」の値と「data」の値をセットする。具体的に、設定変更時であれば、「type」の値として「設定変更」を表す値を、「data」の値として現在の設定値Ve(設定完了した設定値Ve)を表す値をそれぞれセットする。また、設定確認時であれれば、「type」の値として「設定確認」を表す値を、「data」の値として設定確認された設定値Ve(設定確認中コマンドで通知された設定値Ve)をそれぞれセットする。
ステップS2165のセット処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2166の履歴情報更新処理を実行する。
なお、ステップS2166の履歴情報更新処理については改めて説明する。
ステップS2166に続くステップS2167でCPU241は、設定値情報を液晶側へ送信する処理を実行する。すなわち、設定値コマンドで通知された設定値Veを表す情報を液晶制御部40に送信する処理を行う。これにより、設定変更処理で設定された設定値Ve等、設定値コマンドで通知された設定値Veを液晶表示装置36に表示させることが可能とされる。
ステップS2167の送信処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2130eの処理を終える。
図52Bは、エラーコマンドに対応した処理S2130fを示している。
先ずCPU241はステップS2170で、エラー報知を実行する。すなわち、受信したエラーコマンドから特定されるエラー種類に応じた報知処理(所定の演出手段を用いた報知処理)を実行する。
次いで、CPU241はステップS2171の履歴種別セット処理として、新たに追加すべき個別履歴情報について「type」の値を「エラー」を表す値に、「data」の値をエラー番号(エラー種別を表す値)にそれぞれセットし、ステップS2166の履歴情報更新処理を実行した上で、ステップS2130fの処理を終える。
図53は、ステップS2166の履歴情報更新処理のフローチャートである。該更新処理は、新たに発生した対象事象に応じた個別履歴情報の追加が行われるように、RAM243の履歴表示用情報を更新する処理となる。
先ず、CPU241はステップS2401で、最新履歴位置情報が規定範囲内の値であるか否か(つまり本例では0~49の範囲内か否か)を判定する。最新履歴位置情報が規定範囲内の値でなければ(つまり50以上であれば)、CPU241はステップS2160の更新処理を終える。すなわち、この場合は最新履歴位置情報に異常が生じているため、履歴表示用情報の更新は行わない。
最新履歴位置情報が規定範囲内の値であれば、CPU241はステップS2402に進み、最新履歴位置情報を次の位置の値に更新する。ここでの最新履歴位置情報の値の更新は、0~49の範囲内で行い、先の図42の説明から理解されるように、値が「49」であった場合には、次の位置の値として「0」をセットすることになる(つまり0~49の範囲内で循環的に値をインクリメントする)。
次いでCPU241はステップS2403で、RTC機能部の時間情報(年月日時分)を取得し、ステップS2404で最新履歴位置情報が示す領域に履歴情報を保存する処理を行う。すなわち、取得した時間情報、及び先の図52で説明したステップS2165、S2171のうち該当する処理でセットした「type」「data」の情報とを含む個別履歴情報を最新履歴位置情報が示すRAM243上の記憶領域に記憶させる。
なお、個別履歴情報として、RTCによる時間情報に代えて、電源投入からの通電時間を保存(表示)することも可能である。これにより、RTC機能部を有さない遊技機において、対象事象の発生時間を特定可能な情報を履歴情報として表示することが可能となる。
ステップS2404に続くステップS2405でCPU241は、内部ワークの履歴情報のサム値を算出し、チェックサム領域に保存する処理を行う。すなわち、RAM243における履歴表示用情報について、ステップS2404で新たに追加された個別履歴情報を含んだ個別履歴情報の格納領域全体の記憶値からサム値を計算し、該サム値を該履歴表示用情報におけるチェックサム領域に記憶させる。
さらに、続くステップS2406でCPU241は、内部ワークの履歴表示用情報をメモリ244の第一、第二履歴保存領域に転送する処理を行い、ステップS2160の更新処理を終える。
これにより、新たな個別履歴情報が追加され且つ該個別履歴情報の追加を反映したサム値を含んだ履歴表示用情報がメモリ244の第一、第二履歴保存領域にそれぞれ記憶される。
ここで、上記説明から理解されるように本例では、RAM243に記憶された履歴情報をメモリ244にバックアップする際には、RAM243に記憶された履歴情報からサム値を計算し、該サム値とRAM243に記憶された履歴情報とをメモリ244に記憶させている。
バックアップ情報を異常判定するためのサム値を計算してメモリ244に保存する手法としては、先ずはRAM243に記憶されている履歴情報のみをメモリ244にコピーした後、該コピーによりメモリ244に記憶された履歴情報からサム値を計算し、該サム値をメモリ244に記憶するということも考えられる。しかしながらその場合、RAM243からメモリ244への履歴情報のコピーが一部失敗してしまうと、サム値自体は正しい値となる、すなわちチェックサム処理(S2302又はS2304)では異常無しと判定されるが、実際には不正確な履歴情報がバックアップされている状態となり、履歴情報の表示不具合を誘発する虞がある。
上記の履歴情報及びサム値のコピー手法であれば、メモリ244への履歴情報のコピーが一部失敗した場合には、チェックサム処理で履歴情報が異常有りと判定されることになるので、メモリ244に記憶された履歴情報が設定履歴確認画面Gsの表示に用いられなくすることが可能となるため、不正確な履歴情報が表示されることの防止を図ることができる。
続いて、図54及び図55のフローチャートにより、RAM243に保持された履歴表示用情報に基づく履歴情報の表示のための処理を説明する。
図54は、履歴表示処理(S2050)のフローチャートである。先の図41の説明から理解されるように、この履歴表示処理は、本例では1フレーム期間につき1回実行される。
図54において、CPU241はステップS2501で、設定確認中であるか否かを判定する。設定確認中であるか否かは、前述した設定確認中コマンドの受信有無により判定することができる。
設定確認中でなければ、CPU241はステップS2050の履歴表示処理を終える。前述のように、本例では設定履歴確認画面Gsの表示は設定確認中でのみ行われるべきものとされている。
一方、設定確認中であれば、CPU241はステップS2502で履歴表示中フラグを確認する。この履歴表示中フラグは、後述するステップS2504においてオンにセットされる識別子(初期値はOFFである)であり、オンは履歴表示中であることを、オフは履歴表示中でないことをそれぞれ表す。
設定履歴確認画面Gsの表示開始条件が成立していない段階では履歴表示中フラグはオフであり、従ってCPU241はステップS2502からステップS2503に処理を進める。
ステップS2503でCPU241は、表示指示操作が行われているか否かを判定する。前述のように本例では、設定履歴確認画面Gsの表示指示操作は演出ボタン13の操作とされており、CPU241はステップS2503で演出ボタン13の操作有無を判定する。
なお、これまでのステップS2501~S2503の説明から理解されるように、CPU241は、設定確認中であることを条件として、設定履歴確認画面Gsの表示指示操作を受け付けるものである。
ステップS2503において、表示指示操作が無ければCPU241はステップS2050の履歴表示処理を終える。
一方、表示指示操作が有れば、CPU241はステップS2504で履歴表示中フラグをセットし(オンとし)、続くステップS2505で表示ページ識別子Pを「0」にセットする。表示ページ識別子Pは設定履歴確認画面Gsの表示ページを識別するための値である。
ステップS2505の処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2508で履歴情報画面作成処理を実行する。そして、ステップS2050の履歴表示処理を終える。
ステップS2508の履歴情報画面作成処理は、表示ページ識別子Pで示されるページについて、そのページの画面表示に必要な情報を液晶制御部40側に送信するための処理となる。すなわち、ステップS2505に続けてステップS2508が実行される場合には、1ページ目(P=0)についての画面表示に必要な情報の送信が行われる。
履歴情報画面作成処理の詳細については図55で後述する。
また、先のステップS2502において、履歴表示中フラグがオンであると判定された場合(つまり既に1ページ目の表示が行われた以降の状態)、CPU241はステップS2506に進み、ページ切替操作の有無を判定する。つまり、本例では十字キー16の何れかの方向指示キーに対する操作があったか否かを判定する。
ページ切替操作があれば、CPU241はステップS2508の履歴情報画面作成処理に進む。
ここで、図55のフローチャートによりステップS2508の履歴情報画面作成処理を説明する。
図55において、先ずステップS2601でCPU241は、履歴表示の先頭位置Idxを算出する。すなわち、これから表示すべきページの先頭位置に表示されるべき個別履歴情報の記憶領域の位置(RAM243上の位置)を先頭位置Idxとして算出する。具体的に、先頭位置Idxは「最新履歴位置-P×α」により計算する(ただしαは1ページあたりの個別履歴情報の表示数:本例では「10」)。例えば、1ページ目(P=0)を表示する際には、先頭位置Idxは「最新履歴位置-0×α」より「最新履歴位置」として求まる。或いは、3ページ目(P=2)を表示する際には、先頭位置Idxは「最新履歴位置-2α」として求まる。
ステップS2601に続くステップS2602でCPU241は、ページ番号をコマンド送信する。すなわち、ページ識別子Pから特定されるページ番号の情報(つまり表示対象ページのページ番号)を液晶制御コマンドにより液晶制御部40に対して送信する。
次いで、CPU241はステップS2603で表示番号を「1」にセットした上で、ステップS2604~S2610の処理により、表示対象ページの画面表示に必要な情報(具体的には個別履歴情報とその表示番号)を液晶制御部40に送信する。
先ず、ステップS2603に続くステップS2604でCPU241は、先頭位置Idxが示す領域の履歴情報を参照する。すなわち、RAM243の履歴保存領域(履歴表示用情報)における先頭位置Idxが示す領域の記憶情報を参照する。
次いでCPU241はステップS2605で、履歴情報があるか否か、すなわち、先頭位置Idxが示す領域に個別履歴情報が記憶されているか否かを判定する。
個別履歴情報が記憶されており、履歴情報があると判定した場合、CPU241はステップS2606の表示番号のコマンド送信処理を実行し、次いでステップS2607で履歴情報のコマンド送信処理を実行する。すなわち、表示番号、先頭位置Idxが示す領域から取得した個別履歴情報をそれぞれ液晶制御コマンドにより液晶制御部40に送信する。
ステップS2607に続くステップS2608でCPU241は、先頭位置Idxを一つ過去の個別履歴情報の記憶領域に対応した値に更新する(Idx←Idx-1)。この更新処理は、先頭位置Idxの値が0~49の範囲内で循環的に更新されるように実行する(つまり先頭位置Idxが「0」であったときは「49」に更新する)。
さらに、続くステップS2609でCPU241は、表示番号を1インクリメントし、ステップS2610で1ページ分の送信処理(個別履歴情報及び表示番号の送信)が終了したか否かを判定する。この判定は、例えば表示番号の値がα以上となったか否かの判定として実現することができる。
1ページ分の送信処理が終了していなければ、CPU241は、再びステップS2604~S2610の処理を実行する。これにより、1ページ分の個別履歴情報が保存されている場合には、1ページ分の送信処理が終了するまで、個別履歴情報とその表示番号との送信処理が繰り返される。保存されている個別履歴情報が1ページ分未満である場合には、保存されている個別履歴情報についてのみ、個別履歴情報の送信とその表示番号の送信が行われる(S2605を参照)。
なお、先頭位置Idxが示す領域に個別履歴情報が保存されていなくても(つまり記憶値が「0」であっても)、そのまま「0」による個別履歴情報を液晶制御部40側に液晶制御コマンドにより送信することもできる。その場合、液晶制御部40側では、そのような「0」による液晶制御コマンドを受信した個別履歴情報については、設定履歴確認画面Gs上に履歴無しを表す表示(例えば図38で例示した「----」の表示)が行われるように表示制御を行う。
この手法によると、ステップS2605の判定処理は不要とすることができる。
また、ステップS2607で液晶制御部40に個別履歴情報を送信する際には、送信対象の個別履歴情報が設定変更についての履歴情報(設定変更履歴情報)であるか否かを判定した上で、設定変更履歴情報である場合には、該履歴情報に含まれる設定値Veの異常確認を行うこともできる。具体的には、設定値Veが使用可能範囲Re外の値であるか否か(「0」~「5」の範囲外であるか否か)を判定する。
そして、設定値Veが使用可能範囲Re外の値であり、送信対象の個別履歴情報における設定値Veに異常があると認められた場合は、液晶制御部40に対して異常表示の指示情報を送信する。これにより、設定履歴確認画面Gsにおいて、該当する個別履歴情報における設定値Veに異常が認められた旨を表す情報を表示させることができる(例えばエラーを意味する「E」マークの表示等)。すなわち、正常な設定変更履歴でない旨を報知可能となる。
或いは、送信対象の個別履歴情報における設定値Veに異常が認められた場合には、該個別履歴情報に含まれる設定値Veの情報を送信しないものとすることもできる。これにより設定履歴確認画面Gsにおいては、設定値Veに異常が認められた個別履歴情報の設定値Veが表示されないようにすることができ、正常な設定変更履歴でない旨を報知可能となる。
CPU241はステップS2610で1ページ分の送信処理が終了したと判定したことに応じ、ステップS2508の履歴情報画面作成処理を終える。
なお、1ページ分の送信処理が終了した場合は、その旨を表す液晶制御コマンドを液晶制御部40側に送信することもできる。
ここで、液晶制御部40は、上記の処理により送信された各種の液晶制御コマンドを受信したことに応じて、先の図46で例示したような態様による設定履歴確認画面Gsの1ページ分の画面表示が行われるように液晶表示装置36による画像表示動作を制御する。
説明を図54に戻す。
CPU241は、ステップS2506でページ切替操作が行われていないと判定した場合には、ステップS2509で終了指示操作の有無、すなわち設定履歴確認画面Gsの表示終了を指示する操作の有無を判定する。本例では、該終了指示操作は演出ボタン13の操作とされ、従ってCPU241はステップS2509で演出ボタン13の操作有無を判定する。
演出ボタン13が操作されておらず、終了指示操作が行われていないと判定した場合、CPU241はステップS2050の履歴表示処理を終える。前述のようにステップS2050の履歴表示処理は1フレーム期間につき1回行われるものであり、次のフレーム期間では再度ステップS2501以降の処理が実行される。
一方、ステップS2509で終了指示操作が行われたと判定した場合、CPU241はステップS2510で履歴表示中フラグをクリアし(オフとし)、ステップS2511でデモ画面表示コマンドをセットした上で、ステップS2050の履歴表示処理を終える。
なお、ステップS2511の処理は、前述した客待ち待機用のデモ画面表示の実行を液晶制御部40に対して指示するための液晶制御コマンドをコマンドバッファにセットする処理となる。
ここで、上記処理によると、或るページについて個別履歴情報が全く存在しない場合には、液晶制御部40側には、ページ番号が通知されるのみで(S2602)、個別履歴情報やその表示番号の送信は行われない。
液晶制御部40側では、このようにページ番号が送信されたが個別履歴情報や表示番号が送信されなかった場合には、該当するページの画面として、該ページのページ番号情報と、各表示番号ごとに個別履歴情報が存在しない旨の情報(例えば図38の「----」の表記)とを表した画面を液晶表示装置36に表示させる。
これにより、履歴情報が存在しない、いわば空のページも含んだ全てのページを表示可能とされている。すなわち、保存されている履歴情報の数に拘わらず、全ページに遷移可能とされているものである。
なお、個別履歴情報が全く存在しないページについては表示しないこととすることもできる。その場合、CPU241は、表示番号=1の段階でステップS2605(図55)で履歴情報なしと判定したことに応じ、液晶制御部40に対し現在の表示ページPについての画面表示を実行させないように指示を行う等すればよい。
上記した図54、図55の処理から理解されるように、本例では、表示すべき個別履歴情報を液晶制御部40側に送信するとき、個別履歴情報を1つずつ個別に送信するものとしている。
これにより、個別履歴情報をコマンドにより送信することができる。
従って、液晶制御部40側のプログラム設計を容易化できる。
なお、上記では、ページ切替ごとに該当ページの履歴情報を送信する例を挙げたが、最初に全ページ分の履歴情報を液晶制御部40側に送信しておき、ページ切替時には液晶制御部40側にページ切替コマンドを送信して表示ページの切り替えを指示するようにしてもよい。
[5-3.実施形態における設定値のデータ型について]
ここで、演出制御部24のRAM243においては、主制御部20からの設定確認中コマンドや設定値コマンドにより通知された設定値Veを格納する領域(以下「通知設定値格納領域A1」と表記する)と、設定履歴確認画面Gsの表示に必要な個別履歴情報の一部を構成する設定値Veの格納領域(以下「履歴設定値格納領域A2」と表記する)とが個別に設けられている。
そして、本実施形態では、演出制御部24のCPU241の動作プログラムにおいて、通知設定値格納領域A1に格納する設定値Veのプログラム変数(以下「通知設定値Pv1」と表記する)と、履歴設定値格納領域A2に格納する設定値Veのプログラム変数(以下「履歴設定値Pv2」と表記する)の型(データ型)を同じとしている。具体的に本例では、これら通知設定値Pv1と履歴設定値Pv2の型を同じ「符号なし8bit」とすることで、履歴設定値格納領域A2に格納する設定値Veのビット数を、通知設定値格納領域A1に格納する設定値Veのビット数に一致させている。
これにより、通知設定値格納領域A1に格納した設定値Veを履歴設定値格納領域A2に格納する際(図52AのS2163~S2166を参照)における情報落ちの防止を図ることができる。すなわち、通知設定値Pv1のビット数よりも履歴設定値Pv2のビット数が少ないことにより履歴設定値格納領域A2に通知設定値格納領域A1から取得した設定値Veを適正に格納できなくなる事態の発生防止を図ることができ、設定履歴情報として正確な情報が表示されるように図ることができる。
図56は、上記のような「符号なし8bit」で表現可能な設定値Veの数値を例示している。
8ビットとすることで、図示のように設定値Veとして「1」~「6」の6値を表現できると共に、「6」よりも大きな値、換言すれば使用可能範囲Re外の異常値を表現することが可能とされる。
つまり、本実施形態では設定値Veとして使用可能範囲Reの値以外の異常値の記憶も可能としているものであり、これにより異常が生じた際に、その原因特定が容易となるように図られている。
[5-4.設定値示唆演出]
演出制御部24は、現在の設定値Veを遊技者に示唆する設定値示唆演出を現出させるための制御を実行可能に構成されている。
本例の演出制御部24は、このような設定値示唆演出として以下で説明するような左図柄による示唆演出、ミニキャラ予告による示唆演出、大当り終了時の示唆演出、SU(ステップアップ)予告による示唆演出を現出させるための制御を行う。
(左図柄による示唆演出)
先ずは、左図柄による示唆演出について説明する。ここで言う左図柄は、液晶表示装置36に表示される「左」「中」「右」の装飾図柄のうち「左」の装飾図柄を意味するものである。
図57は、左図柄の内容を抽選するための左図柄抽選処理を示したフローチャートである。
先ず、演出制御部24のCPU241は、ステップS2701で特殊モード1であるか否かを判定する。すなわち、遊技のモードが「特殊モード1」としての所定のモードであるか否かを判定する。
特殊モード1でない場合、CPU241はステップS2702で特殊モード2であるか否かを判定し、特殊モード2でなければステップS2703で連続リーチ先読み(先読み後から当該変動に向けて装飾図柄の表示を所定態様に制御する先読み演出)に当選しているか否かを判定する。
ステップS2703において、連続リーチ先読みに当選していなければ、CPU241はステップS2705の設定値情報取得処理として、RAM243の所定領域(上述した通知設定値格納領域A1)に格納されている設定値Veを取得する処理を実行し、ステップS2706で設定値情報に基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得する処理を行い、続くステップS2707で抽選値に基づいて左図柄の内容を決定する。
ここで、図58は、ステップS2707で用いる左図柄抽選テーブルの例を示しており、図59は、ステップS2706で用いる左図柄抽選用オフセットテーブルの例を示している。なお、これらのテーブルはROM242の所定領域にそれぞれ格納されている。
図58に示すように、左図柄抽選テーブルにおいては、抽選対象とされる図柄内容(本例では図柄0~図柄9の10種の図柄内容)ごとの当選確率が、「1」~「6」の設定値Veごとに定められている。なお、図中では当選確率を表す値として抽選用の乱数が0~9999の10000通りの値をとり得ることを前提とした場合における振り分け値により表しているが、先の図29や図30の場合と同様、実際には抽選用乱数に対する閾値が格納される。なお、この点については、後の図63、図65、図68、図72、図74に示す各テーブルにおいても同様である。
図59に示す左図柄抽選用オフセットテーブルにおいては、「1」~「6」の設定値Veごとに、対応するオフセット値が格納されている。具体的に、設定値Ve「1」に対しては「0」、設定値Ve「2」に対しては「1」、設定値Ve「3」に対しては「2」、設定値Ve「4」に対しては「3」、設定値Ve「5」に対しては「4」、設定値Ve「6」に対しては「5」が格納されている。
図57のステップS2706では、図59に示す左図柄抽選用オフセットテーブルに従って、ステップS2705で取得した現在の設定値Veに対応するオフセット値を取得する。そして、ステップS2707では、図58に示す左図柄抽選テーブルにおける設定値Veごとの抽選テーブルのうち、ステップS2706で取得したオフセット値で特定される位置(アドレス)の抽選テーブルを選択する。具体的に、オフセット値が「0」であれば左図柄抽選テーブルにおける最上部に位置する(つまり番号の最も若いアドレスに格納された)設定値「1」の抽選テーブルを、オフセット値が「1」であれば左図柄抽選テーブルにおける上から2番目に位置する設定値「2」の抽選テーブルを、オフセット値が「2」であれば左図柄抽選テーブルにおける上から3番目に位置する設定値「3」の抽選テーブルを選択するといったように、オフセット値で特定される位置に格納されている抽選テーブルを選択する。
上記した一連の処理により、現在が第一特殊モード、第二特殊モードの何れにも該当せず、且つ連続リーチ先読みに非当選の状態であれば、設定値Veに基づく当選確率により左図柄の内容が抽選される。換言すれば、設定値Veによって左図柄の図柄0~9の出現率が異なるものとされ、これにより左図柄の特定の図柄内容の出現率によって設定値Veの種別を遊技者に示唆する設定値示唆演出が実現される。
図57に示すように、ステップS2701で第一特殊モードであると判定した場合、CPU241はステップS2702~S2708の処理をパスし、一連の処理を終える。つまり、第一特殊モード下では左図柄の図柄内容の抽選は行われない。
また、ステップS2702で第二特殊モードであると判定した場合、ステップS2703で連続リーチ先読みに当選していると判定した場合のそれぞれにおいて、CPU241はステップS2704に進み、設定値Veを参照せずにオフセットテーブルからオフセット値を取得し、ステップS2707のテーブル選択処理に進む。つまりこの場合は、左図柄抽選用オフセットテーブルにおける「0」のオフセット値を取得し(S2704)、左図柄抽選テーブルから設定値Ve「1」に対応した抽選テーブルを選択する(S2707)ことになる。従って、第二特殊モード下、連続リーチ先読み当選状態下では、設定値Veに依らない固定の当選確率により左図柄の図柄内容の抽選が行われる。換言すれば、左図柄を用いた設定値示唆演出は行われないものである。
なお、上記のように本例では連続リーチ先読み当選状態下で左図柄を用いた設定値示唆演出を行わないが、これにより、左図柄抽選処理で当選した左図柄の図柄内容が、連続リーチ先読みで選択された左図柄の図柄内容と整合しなくなってしまうことの防止を図ることが可能とされている。
図60は、左図柄抽選処理の別例を示したフローチャートである。
先ず、この別例においては、ROM242に格納される左図柄抽選用オフセットテーブルとして、図61に示すテーブルが用意されている。すなわち、図59に示したものと同内容のテーブルが第一左図柄抽選用オフセットテーブルとして格納されると共に(図61A)、第一左図柄抽選用オフセットテーブルとは異なる第二左図柄抽選用オフセットテーブルが格納されている(図61B)。
第二左図柄抽選用オフセットテーブルにおいては、「1」~「6」の設定値Veに対し同一のオフセット値(本例では「2」)が格納されている。
図60に示す左図柄抽選処理は、第二特殊モード時、連続リーチ先読み当選時のそれぞれで実行される処理として、図57に示したステップS2704の処理に代えてステップS2710及びS2711の処理を実行する点が異なる。
この場合のCPU241は、ステップS2710の設定値情報取得でRAM243の所定領域に格納されている設定値Veを取得し、続くステップS2711で設定値情報に基づいて第二オフセットテーブルからオフセット値を取得し、ステップS2707の抽選テーブル選択処理に進む。
ステップS2711で取得されるオフセット値は設定値Veに拘わらず同一値となるための、この場合のステップS2707の選択処理では、設定値Veに依らず同一の抽選テーブルが選択されることになる。
なお、この別例において、ステップS2706ではオフセットテーブルとして図61Aに示す第一左図柄抽選用オフセットテーブルを用いる。
このように、第二特殊モード時、連続リーチ先読み当選時に対応して設定値Veに依らない左図柄抽選を行うための手法としては、設定値Veを参照せずに固定のオフセット値を取得する手法に限定されず、図61Bのように各設定値Veに同一のオフセット値を格納したオフセットテーブルを参照し、設定値Veに依らず同一の抽選テーブルが選択されるようにする手法を採ることもできる。
(ミニキャラ予告による示唆演出)
図62は、CPU241が実行するミニキャラ予告抽選処理のフローチャートである。
先ず前提として、本例の遊技機1では、ミニキャラ予告演出として第一ミニキャラ予告演出と第二ミニキャラ予告演出の2種を現出可能とされている。なお、第一ミニキャラ予告演出と第二ミニキャラ予告演出について、予告演出を現出させるか否か自体の抽選処理は図62に示す処理とは別処理で既に実行されているとする。
本例では、第一ミニキャラ予告演出については設定値Veを示唆する演出とはせず、第二ミニキャラ予告演出として設定値Veを示唆する演出を現出可能としている。
図62において、CPU241はステップS2801で、ミニキャラ予告演出に当選しているか否かを判定する。ミニキャラ予告演出に当選していなければ、CPU241は以下で説明する一連の処理は実行せず、図62のミニキャラ予告抽選処理を終える。
ミニキャラ予告演出に当選していれば、CPU241はステップS2802で当選内容が第一ミニキャラ予告であるか否かを判定する。
第一ミニキャラ予告演出に当選しており、当選内容が第一ミニキャラ予告であると判定した場合、CPU241はステップS2803の変動パターン情報取得処理として、主制御部20より受信した変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報を取得する処理を行った上で、ステップS2804で当選した変動パターンに基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得し、続くステップS2805でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する処理を行う。
図63は、ステップS2805で用いる第一ミニキャラ予告抽選テーブルの例を示しており、図64は、ステップS2804で用いる第一予告用オフセットテーブルの例を示している。なお、これらのテーブルはROM242の所定領域にそれぞれ格納されている。
図64に示す第一予告用オフセットテーブルにおいては、短変動パターン(図中「短変P」)、リーチ変動パターン(図中「リーチ変P」)、スーパーリーチ変動パターン(図中「SPリーチP」)ごとにオフセット値が定められている。本例では、短変動パターンは前述した「通常変動4s」「通常変動6s」「通常変動8s」「通常変動12s」が該当し、リーチ変動パターンは前述した「ノーマルリーチ」が該当し、スーパーリーチ変動パターンは前述した「スーパーリーチ1」「スーパーリーチ2」「スーパーリーチ3」「スーパーリーチ4」が該当し、図示のように短変動パターンには0、リーチ変動パターンには1、スーパーリーチ変動パターンには2のオフセット値がそれぞれ定められている。
図63の第一ミニキャラ予告抽選テーブルにおいては、第一ミニキャラ予告の内容ごとに当選確率の振り分けを定めた抽選テーブルが複数用意されている。本例では、第一ミニキャラ予告の内容としては「なし」「保留変化説明」「強予告説明」「確変モード説明」「キャラ紹介」の5種が用意されており、抽選テーブルとしては、これらの内容に対する当選確率の振り分けを定めたテーブル1~テーブル3の3種のテーブルが用意されている。
図62において、ステップS2804の取得処理では、取得した変動パターン情報から特定される、当選した変動パターンの情報に基づいて図64に示す第一予告用オフセットテーブルからオフセット値が取得され、ステップS2805の選択処理では、該オフセット値に基づいて、図63に示す第一ミニキャラ予告抽選テーブルから抽選テーブルが選択される。具体的に本例では、当選した変動パターンが短変動パターンでオフセット値として0が取得された場合は、テーブル1が選択される。また、当選した変動パターンがリーチ変動パターンでオフセット値として1が取得された場合はテーブル2が選択され、当選した変動パターンがスーパーリーチ変動パターンでオフセット値として2が取得された場合はテーブル3が選択される。
ステップS2805に続くステップS2806でCPU241は、選択値に基づいて第一ミニキャラ予告の内容を決定し、図62に示すミニキャラ予告抽選処理を終える。すなわち、テーブル1~3のうち選択したテーブルにおける振り分け値に従って第一ミニキャラ予告の内容を決定する。
このように、第一ミニキャラ予告演出については、設定値Veに応じた演出とはされず、変動パターンに応じた演出とされる。
また、CPU241は、先のステップS2802で当選内容が第一ミニキャラ予告でないと判定した場合には、ステップS2807で設定変更情報を取得し、続くステップS2808で設定変更されたか否かを判定する。すなわち、前述した設定履歴確認画面Gsの表示のために記憶された個別履歴情報のうち最新の個別履歴情報を取得し、該個別履歴情報における「type」の情報が「設定変更」であるか否かを判定する。
ステップS2808において、該「type」の情報が「設定変更」ではなく、設定変更がされていないとの否定結果を得た場合、CPU241はステップS2809に進んで設定値情報取得処理を実行した上で、ステップS2810で設定値情報に基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得し、続くステップS2811でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する処理を行い、ステップS2820で抽選値に基づいて第二ミニキャラ予告の内容を決定する。
図65は、ステップS2811で用いる第二ミニキャラ予告抽選テーブルの例を示しており、図66は、ステップS2810で用いる第二予告用オフセットテーブルの例を示している(なお、これらのテーブルとしてもROM242の所定領域にそれぞれ格納されている)。
図66に示す第二予告用オフセットテーブルにおいては、設定値Veごとにオフセット値が定められている。本例の第二予告用オフセットテーブルでは、オフセット値は、設定値Ve「1」~「6」に対してのみでなく、「上げ用」「下げ用」としての値に対しても設定されているが、これについては後述する。
図65の第二ミニキャラ予告抽選テーブルにおいては、第二ミニキャラ予告の内容ごとに当選確率の振り分けを定めた抽選テーブルが複数用意されている。本例では、第二ミニキャラ予告の内容としては「なし」「ゲーム性説明」「設定示唆説明1」「設定示唆説明2」「設定示唆説明3」「設定示唆説明4」「設定示唆説明5」の7種が用意されており、抽選テーブルとしては、これらの内容に対する当選確率の振り分けを定めたテーブルが、設定値Ve「1」~「6」及び「上げ用」「下げ用」のそれぞれに対応して計8種用意されている。
図62において、ステップS2810の取得処理では、図66に示す第二予告用オフセットテーブルより、ステップS2809で取得した設定値Veに応じたオフセット値が取得され、ステップS2811の選択処理では、該オフセット値に基づいて、図65に示す第二ミニキャラ予告抽選テーブルから抽選テーブルが選択される。
そして、ステップS2811に続くステップS2820の決定処理では、選択した抽選テーブルに従って第二ミニキャラ予告の内容を決定する処理が行われる。
また、CPU241は先のステップS2808において、前述した「type」の情報が「設定変更」であり設定変更されたとの肯定結果を得た場合には、ステップS2812に進んで前回と今回の設定値情報を取得し、続くステップS2813で設定値は前回よりも上か否かを判定する。
すなわち、「type」の情報が「設定変更」である個別履歴情報のうち前回の設定変更時に記憶された個別履歴情報に含まれる設定値Veの情報と、RAM243の「通知設定値格納領域A1」に格納されている設定値Veの情報とを取得し、後者の設定値Veの方が前者の設定値Veよりも大きいか否かを判定する。
ステップS2813において、最新の設定値Veの方がその前の設定値Veよりも大きくなく、設定値は前回よりも上ではないとの否定結果を得た場合、CPU241はステップS2814に進んで第一選択値を取得し、続くステップS2815で第一選択値に基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得する。すなわち、図66の第二予告用オフセットテーブルからオフセット値を取得する。ここで、第一選択値は、図66に示す「下げ用」に対応したアドレスを選択するための値であり、従って上記のステップS2814及びS2815の処理が実行されることで、第二予告用オフセットテーブルから「下げ用」に対応したオフセット値が取得される。
そして、ステップS2815に続くステップS2816でCPU241は、オフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する、すなわち、図65の第二ミニキャラ予告抽選テーブルから「下げ用」に対応したテーブルを選択する処理を実行し、ステップS2820の決定処理に進む。
これにより、設定値Veを下げる設定変更が行われた場合の第二ミニキャラ予告演出については、その内容が「下げ用」の抽選テーブルに基づき決定される。
一方、ステップS2813において、設定値が前回よりも上であるとの肯定結果を得た場合、CPU241はステップS2817に進んで第二選択値を取得し、続くステップS2818で第二選択値に基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得する。第二選択値は、図66に示す「上げ用」に対応したアドレスを選択するための値であり、従って上記ステップS2817及びS2818の処理が実行されることで、第二予告用オフセットテーブルから「上げ用」に対応したオフセット値が取得される。
そして、ステップS2818に続くステップS2819でCPU241は、オフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する、すなわち、図65の第二ミニキャラ予告抽選テーブルから「上げ用」に対応したテーブルを選択する処理を実行し、ステップS2820の決定処理に進む。
これにより、設定値Veを上げる設定変更が行われた場合の第二ミニキャラ予告演出の内容は、「上げ用」の抽選テーブルに基づき決定される。
図65の抽選テーブルによると、本例では、予告内容「なし」「ゲーム性説明」「設定示唆説明1」「設定示唆説明2」「設定示唆説明3」の当選確率は「上げ用」と「下げ用」の間で同一されているが、「設定示唆説明4」「設定示唆説明5」については「上げ用」と「下げ用」の間で当選確率が異なるものとされている。「設定示唆説明4」については、設定値Ve「1」~「6」及び「下げ用」の当選確率が全て「0」とされる一方、「上げ用」の当選確率が「0」以外、具体的に本例では「1000/10000」とされており、従って「設定示唆説明4」は「上げ用」の場合にのみ現出し得る予告内容とされている。また、「設定示唆説明5」については、設定値Ve「1」~「6」及び「上げ用」の当選確率が全て「0」とされる一方、「下げ用」の当選確率が「0」以外(本例では「1000/10000」)とされており、従って「設定示唆説明5」は「下げ用」の場合にのみ現出し得る予告内容とされている。
図62において、CPU241は、ステップS2820の決定処理を実行したことに応じ、ミニキャラ予告抽選処理を終える。
ここで、上記したステップS2813で設定値が前回よりも上であるか否かを判定するにあたっては、RAM243における「履歴設定値格納領域A2」に格納された設定値Veと「通知設定値格納領域A1」に格納された設定値Veを比較するが、このとき、RAM243に対しては、「履歴設定値格納領域A2」とは別途に、前回の設定値Veを格納しておくための領域(「前回設定値格納領域A3」)を設けるようにしてもよい。
この場合、メモリ244には、設定履歴情報とは別途に前回の設定値Veを記憶させるようにし、例えば、遊技機1の電源遮断時に、「通知設定値格納領域A1」の値をメモリ244に書き込み、電源投入時に、メモリ244に書き込んだ該値を、「前回設定値格納領域A3」に読み出すように構成することもできる。
そして、演出の抽選に関しては、「前回設定値格納領域A3」と「通知設定値格納領域A1」の値を比較することで、上げ/下げを判断する。
なお、ステップS2813において、前回と今回の設定値Veが同値であった場合には、「通知設定値格納領域A1」に格納された今回の設定値Veをオフセットとして第二ミニキャラ予告抽選テーブルを参照することが考えられる。
(大当り終了演出による示唆演出)
図67は、CPU241が実行する大当り演出抽選処理のフローチャートである。
図67に示す抽選処理は、ラウンド遊技が規定ラウンド数実行されたことに応じて現出される大当り終了INT(インターバル)演出の内容を設定値Veに基づき抽選する処理とされる。具体的には、大当り終了INT演出における背景画像の抽選を行う。
なお、ここでは説明上、当りの種別が「3R確変」「9R確変」「3R時短」の三種とされた場合を前提とする。
先ず、CPU241はステップS2901で、当りの種別が「3R確変」であるか否か否かを判定する。当りの種別は、主制御部20より送信される例えば装飾図柄指定コマンドによって通知される。
当りの種別が「3R確変」でなければ、CPU241はステップS2902に進み当りの種別が「9R確変」であるか否かを判定し、当りの種別が「9R確変」でなければ図67に示す大当り演出抽選処理を終える。すなわち、当りの種別が「3R時短」の場合には大当り終了INT演出による設定示唆は行わない。
ステップS2901で当りの種別が「3R確変」であった場合と、ステップS2902で当りの種別が「9R確変」であった場合のそれぞれにおいて、CPU241はステップS2903に処理を進めて確変中であるか否かを判定する。これは、今回の当りが連荘としての当りであるか否か(初当りではないか否か)を判定していることに相当する。
確変中でない、すなわち初当りであると判定した場合、CPU241はステップS2904に進んで設定値情報取得処理を実行した上で、ステップS2905で設定値情報に基づいて第一オフセットテーブルからオフセット値を取得し、続くステップS2906でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する処理を行う。さらに、CPU241はステップS2910に進み、抽選値に基づいて大当り終了INT中の示唆要素を決定する。
図68は、ステップS2906で用いる大当り終了INT示唆要素を抽選するための抽選テーブル(以下「大当り終了INT示唆要素テーブル」と表記)の例を示しており、図69は、ステップS2905で用いる第一オフセットテーブルの例を示している(なお、これらのテーブルとしてもROM242の所定領域にそれぞれ格納されている)。
図69に示す第一オフセットテーブルにおいては、設定値Veごとにオフセット値が定められている。具体的には、図示のように設定値Ve「1」~「6」に対して「0」~「5」のオフセット値が定められている。
図68の大当り終了INT示唆要素テーブルにおいては、大当り終了INT演出の内容ごとに当選確率の振り分けを定めた抽選テーブルが複数用意されている。本例では、設定示唆には大当り終了INT演出における背景画像が用いられ、図示のように「なし(所定の背景画像がなし)」及び「背景1」~「背景12」の計13種の内容が用意されており、抽選テーブルとしては、これらの内容に対する当選確率の振り分けを定めたテーブルが複数用意されている。
本例の大当り終了INT示唆要素テーブルにおいては、これらの抽選テーブルとして、設定値Ve「1」~「6」の各々に対する振り分けを定めた六つが上層側から順に格納され、その下層側に対し、さらに設定値Ve「1」~「6」の各々に対する振り分けを定めた六つが格納されている。上層側の六つの抽選テーブルは、初当り時に対応した設定値Veごとの振り分けを定めたテーブルとされ、下層側の六つの抽選テーブルは連荘時に対応した設定値Veごとの振り分けを定めたテーブルとされる。
図67において、ステップS2905の取得処理では、図69に示す第一オフセットテーブルより、ステップS2904で取得した設定値Veに応じたオフセット値が取得され、ステップS2906の選択処理では、該オフセット値に基づいて、図68に示す大当り終了INT示唆要素テーブルから抽選テーブルが選択される。このとき、第一オフセットテーブルでは設定値Veに対するオフセット値が「0」~「5」の範囲とされるため、ステップS2906の選択処理では、大当り終了INT示唆要素テーブルにおける上層側六つのうちから抽選テーブルが選択される。つまりこれにより、初当り時に対応した抽選テーブルのうちから、設定値Veに応じた抽選テーブルが選択される。
ステップS2906に続き実行されるステップS2910の決定処理では、選択した抽選テーブルに従って大当り終了INT中の示唆要素としての背景(なしの場合もある)を決定する処理が行われる。
また、先のステップS2903において、確変中である、すなわち連荘時であると判定した場合、CPU241はステップS2907に進んで設定値情報取得処理を実行した上で、ステップS2908で設定値情報に基づいて第二オフセットテーブルからオフセット値を取得し、続くステップS2909でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する処理を行い、ステップS2910の決定処理を実行する。
図70は、ステップS2908で用いる第二オフセットテーブル(該第二オフセットテーブルとしてもROM242の所定領域に格納されている)の例を示している。
図示のように第二オフセットテーブルにおいては、設定値Ve「1」~「6」に対して「6」~「11」のオフセット値が定められている。
このため、ステップS2908の取得処理では、大当り終了INT示唆要素テーブルにおける下層側六つのうちから抽選テーブルが選択され、つまりは、連荘時に対応した抽選テーブルのうちから設定値Veに応じた抽選テーブルが選択される。
ステップS2909に続き実行されるステップS2910の決定処理では、ステップS2909で選択した抽選テーブルに従って大当り終了INT中の示唆要素としての背景(なしの場合もある)を決定する処理が行われる。
図68に示すように本例では、上層側に格納された初当り時に対応した抽選テーブルについては、背景7~背景12に対する振り分け値を0としており、また下層側の連荘時に対応した抽選テーブルについては背景1~背景6に対する振り分け値を0としている。これにより、連荘時には背景1~6を現出させず(設定示唆要素としては現出させず)、初当り時には背景7~12を現出させないものとしている。
CPU241は、ステップS2910の決定処理を実行したことに応じて図67に示す大当り演出抽選処理を終える。
ここで、上記のように共通の設定値Veに対しそれぞれ異なるオフセット値を定めたオフセットテーブル(図69、図70)を設け、条件に応じてそれらオフセットテーブルを使い分けて図68のような大当り終了INT示唆要素テーブルを用いた抽選を行うことで、設定示唆要素の抽選として、条件ごとに異なる抽選を行うにあたり、テーブルの参照処理を共通処理とすることができ、プログラム容量の削減を図ることができる。
(SU予告による示唆演出)
続いて、図71~図77を参照してSU予告による示唆演出について説明する。
SU予告演出は、遊技者にとって有利な状態である有利状態に制御する可能性を報知する予告演出の一種であり、1段階から複数段階の予告ステップを有する演出とされる。換言すれば、段階を有する段階予告演出である。
本例では、SU予告演出の内容、具体的には背景画像を利用して設定値Veを示唆する演出を現出可能とする。
図71は、CPU241が実行するSU予告抽選処理のフローチャートである。
先ず、CPU241はステップS3001の変動パターン情報取得処理として、例えば前述した装飾図柄指定コマンドに基づき当選した変動パターンの情報を取得する処理を行う。次いで、CPU241はステップS3002で、当選した変動パターンに基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得した上で、ステップS3003でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択し、ステップS3004で抽選値に基づいてSU段階と内容を決定する処理を行う。
図72は、ステップS3003の選択処理で用いるSU演出テーブルの例を示し、図73はステップS3002の取得処理で用いるSU段階抽選用オフセットテーブルの例を示している(これらのテーブルとしてもROM242の所定領域にそれぞれ格納されている)。
図73に示すSU段階抽選用オフセットテーブルにおいては、先の図64に示した第一予告用オフセットテーブルと同様に、短変動パターン(「短変P」)、リーチ変動パターン(「リーチ変P」)、スーパーリーチ変動パターン(「SPリーチP」)ごとにオフセット値が定められており、本例では、短変動パターンには0、リーチ変動パターンには1、スーパーリーチ変動パターンには2のオフセット値がそれぞれ定められている。
図72のSU演出テーブルにおいては、SU予告演出に係る抽選対象ごとに当選確率の振り分けを定めた抽選テーブルが複数用意されている。本例では、SU予告演出「なし」としての抽選対象と、SU1(白枠)、SU2(白枠)、SU3(白枠)、SU4(キャラA)、及びSU5(キャラB)としての各抽選対象のそれぞれに対する振り分け値を定めた抽選テーブルが3種用意されている(図中「テーブル1」「テーブル2」「テーブル3」)。ここで、SU段階を表すSU1~SU5の後に付した(白枠)等の括弧書きは、SU予告演出の内容、具体的には背景画像の種別を意味しており、例えば(白枠)は白枠を伴う背景画像を、また(キャラA)や(キャラB)はそれぞれ特定キャラの画像を含む背景画像を意味する。
SU演出テーブルにおいては、上層側から順に「テーブル1」「テーブル2」「テーブル3」が格納されている。
図71において、ステップS3002の取得処理では、当選した変動パターンの情報に基づいて図73に示すテーブルからオフセット値が取得され、ステップS3003の選択処理では、該オフセット値に基づいて図72に示すテーブルから抽選テーブルが選択される。具体的に本例では、当選した変動パターンが短変動パターンでオフセット値として0が取得された場合は、テーブル1が選択される。また、当選した変動パターンがリーチ変動パターンでオフセット値として1が取得された場合はテーブル2が選択され、当選した変動パターンがスーパーリーチ変動パターンでオフセット値として2が取得された場合はテーブル3が選択される。
そして、ステップS3003に続くステップS3004でCPU241は、このようにテーブル1~テーブル3のうちから選択したテーブルの格納値(抽選値)と、抽選用の乱数値とに基づいてSU予告演出「なし」、SU1(白枠)、SU2(白枠)、SU3(白枠)、SU4(キャラA)、又はSU5(キャラB)の決定を行う。すなわち、SUの段階と内容を決定する。
なお、図72に示す振り分け値の例によると(この場合も抽選用乱数が1~9999の10000通りをとり得る例としている)、短変動パターンに対応したテーブル1においては、SU予告演出「なし」の当選確率が最も高くされ、次いでSU1(白枠)の当選確率が高くされていると共に、残りのSU2(白枠)、SU3(白枠)、SU4(キャラA)、及びSU5(キャラB)については当選確率が0とされている。
リーチ変動パターンに対応したテーブル2においては、SU5(キャラB)、SU4(キャラA)、SU予告演出「なし」、SU1(白枠)、SU2(白枠)、SU3(白枠)の順で徐々に当選確率が高まるようにしている。
スーパーリーチ変動パターンに対応したテーブル3においては、SU5(キャラB)の当選確率が最も高くされ、以降はSU4(キャラA)、SU3(白枠)、SU予告演出「なし」の順で徐々に当選確率が下げられ、SU1(白枠)及びSU2(白枠)の当選確率が最も低くされている。
CPU241は、ステップS3004の処理を実行したことに応じ、ステップS3005でSU3以上に当選したか否かを判定する。すなわち、ステップS3004でSU3(白枠)、SU4(キャラA)、SU5(キャラB)の何れかが決定されたか否かを判定する。
SU3以上に当選していなければ、CPU241は図71に示すSU予告抽選処理を終える。すなわち、SU2以下に当選の場合、以下で説明するSU予告演出の内容差し換えのための処理は行われない。
一方、SU3以上に当選していれば、CPU241はステップS3006に進んで前回SU3デンジャーで外れたか否かを判定する。すなわち、前回現出したSU予告演出が、後述するSU3差替えテーブルを用いた内容差し替えにより背景がデンジャー柄枠の背景に差し替えられたSU3以上のSU予告演出であり、該SU予告演出が予告の対象とした図柄変動表示ゲームにおいてはずれの判定結果が得られたか否かを判定する。
ステップS3006において、前回SU3デンジャーで外れたと判定した場合、CPU241はステップS3007に進み、設定値を参照せずにオフセットテーブルからオフセット値を取得した上で、ステップS3008でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択し、ステップS3012で抽選値に基づいてSU3の差替え内容を決定する。
図74は、ステップS3008の選択処理で用いるSU3差替えテーブルの例を示し、図75はステップS3007の取得処理で用いるSU3差替え用オフセットテーブルの例を示している(これらのテーブルもROM242の所定領域にそれぞれ格納されている)。
図75に示すSU3差替え用オフセットテーブルにおいては、設定値Veごとにオフセット値が定められ、具体的には、図示のように設定値Ve「1」~「6」に対しオフセット値「0」~「5」が定められている。
図74に示すSU3差替えテーブルにおいては、「デフォルト」「赤」「デンジャー」の差替え内容ごとの振り分け値を定めた抽選テーブルが設定値Veごとに用意されている。ここで、「デフォルト」は、背景における枠を差し替えないことを意味し、「赤」「デンジャー」はそれぞれ該枠を赤色、デンジャー柄に差し替えることを意味する。
図示のように、SU3差替えテーブルにおいては、設定値Ve「1」の抽選テーブルが最も上層に格納され、以降、設定値Veの数値が大きい抽選テーブルほどより下層側に位置するように格納されている。
図71において、ステップS3007の取得処理では、図75に示すSU3差替え用オフセットテーブルから設定値Veを参照せずにオフセット値が取得される。すなわちCPU241は、該オフセットテーブルにおける設定値Ve「1」に対応するオフセット値「0」を取得する。そして、ステップS3008の選択処理では、このように取得したオフセット値「0」に基づいてSU3差替えテーブルから抽選テーブルが選択される。具体的には、SU3差替えテーブルにおける最も上層に格納された設定値Ve「1」に対応する抽選テーブルが選択される。
そして、ステップS3008に続き実行されるステップS3012の決定処理では、このように選択した抽選テーブルに基づいて「デフォルト」「赤」「デンジャー」のうちから差替え内容が決定される。
ここで、図74に示した振り分け値の例によると、上記したステップS3007→S3008→S3012の処理が行われることで、「デフォルト」の当選確率が最も高い抽選テーブルが選択されることになる。すなわち、最も差し替えの生じる可能性が低い抽選テーブルが選択される。この結果、前回SU3デンジャーで外れた場合には、再びSU3デンジャーによるSU予告演出が行われ難くなる。
一方、先のステップS3006において、前回SU3デンジャーで外れたと判定した場合、CPU241はステップS3009で設定値情報取得処理を実行した上で、ステップS3010で設定値情報に基づいてオフセットテーブルからオフセット値を取得し、続くステップS3011でオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択し、ステップS3012で抽選値に基づいてSU3の差替え内容を決定する処理を行う。
具体的に、ステップS3010の取得処理では、図75に示したSU3差替え用オフセットテーブルから、ステップS3009で取得した設定値Veに対応するオフセット値を取得し、続くステップS3011では図74に示したSU3差替えテーブルより、取得したオフセット値に基づく抽選テーブルを選択する。具体的には、オフセット値「0」であれば最上層位置に格納された設定値Ve「1」の抽選テーブルを選択し、オフセット値「1」であれば最上層位置の次の位置に格納された設定値「2」の抽選テーブルを選択するといったように、オフセット値で特定される位置(アドレス)に格納された抽選テーブルを選択する。
そして、この場合のステップS3012の決定処理では、ステップS3011で選択した抽選テーブルに基づいて「デフォルト」「赤」「デンジャー」のうちから差替え内容を決定する。
図74に示す振り分け値の例によると、この場合のSU3差替えテーブルにおいては、高設定となるほど「デフォルト」の当選確率が低くされる一方、「赤」に関しては高設定となるほど当選確率が高まるようにされている。また、「デンジャー」に関しては、設定値Veの別に依らず「デンジャー」「赤」よりも当選確率が低くされると共に、最高設定である設定値Ve「6」の場合に最も当選確率が高くなるようにされている。本例では、「デンジャー」の当選確率は、設定値Ve「1」~「5」までは同一とし、設定値Ve「6」についてのみ当選確率を高めるようにしている。
CPU241は、ステップS3012の決定処理を実行したことに応じて図71に示すSU予告抽選処理を終える。
上記した一連の処理から理解されるように、本実施形態では、SU予告演出(段階予告演出)の「段階」は変動情報に基づき決定可能とし、SU予告演出の「内容」は設定値Veに基づき決定可能としている。具体的に本例では、SU予告演出の「内容」は差し替えにより決定可能としている。
段階予告演出を利用した設定示唆について、仮に、設定値に基づき段階予告演出の段階を決定するとした場合には、段階予告演出が発展し難くなり、演出効果を高めることが困難となる。そのため、上記のように段階予告演出の段階は変動情報に応じて決定可能とし、段階予告演出の予告内容は設定値に基づき決定可能としている。
これにより、段階予告演出を利用した設定値示唆演出の実現にあたり、段階予告演出が発展し難くなることの防止を図ることができ、演出効果を高めることができる。
通常、遊技機には複数種類の予告演出が実装されているが、そのうち予告演出の内容として段階を有する予告の全てを前述したような構成としてもよいし、一部の予告についてのみ、前述のような構成となるようにしてもよい。また、演出興趣を高めるために、一部の予告については、「段階」を設定値Veに基づき決定し、「内容」を変動情報に基づいて決定するように構成してもよい。こうすることで、予告間で異なった特徴を持たせることができ、演出興趣を向上させることが可能となる。
図76は、SU予告抽選処理の別例を示したフローチャートである。
先ず、この別例においては、ROM242に格納されるSU3差替え用オフセットテーブルとして、図77に示すテーブルが用意されている。すなわち、図75に示したものと同内容のテーブルがSU3差替え用第一オフセットテーブルとして格納されると共に(図77A)、SU3差替え用第一オフセットテーブルとは異なるSU3差替え用第二オフセットテーブルが格納されている(図77B)。
SU3差替え用第二オフセットテーブルにおいては、「1」~「6」の設定値Veに対し同一のオフセット値(本例では「0」)が格納されている。
図76に示すSU予告抽選処理は、前回SU3デンジャーで外れた場合に実行される処理として、図71に示したステップS3007の処理に代えてステップS3020及びS3021の処理を実行する点が異なる。
この場合のCPU241は、ステップS3020の設定値情報取得でRAM243の所定領域に格納されている設定値Veを取得し、続くステップS3021で設定値情報に基づいてSU3差替え用第二オフセットテーブルからオフセット値を取得し、ステップS3008の抽選テーブル選択処理に進む。
ステップS3021で取得されるオフセット値は設定値Veに拘わらず同一の値であるため、この場合のステップS3008の選択処理では、設定値Veに依らず同一の抽選テーブルが選択されることになる。具体的に本例では、設定値Ve「1」に対応したオフセット値「0」が選択されるため、図71の処理例の場合と同様に内容差替えが最も生じ難い抽選テーブルが選択されることになる。
なお、この場合のステップS3010の取得処理では、オフセットテーブルとして図77Aに示したSU3差替え用第一オフセットテーブルを用いる。
上記のように、設定値Veに依らず同一の抽選テーブルを選択するための手法としては、設定値Veを参照せずに固定のオフセット値を取得する手法に限定されず、図77Bのように各設定値Veに同一のオフセット値を格納したオフセットテーブルから取得したオフセット値に基づいて抽選テーブルを選択する手法を採ることもできる。
ここで、SU予告演出の抽選については、次のような態様で行うことも考えられる。
図78は、実施形態におけるSU予告演出の抽選態様例についての説明図である。
先ず、図中、上段の表の左下部に示す展開M06J-1、展開M06J-2、展開M06J-3は、それぞれ以下のような展開を意味する。
M06J-1:特定の背景モードに滞在している状態、且つ先読み予告(先読み演出)に非当選で対象SU予告(花火打ち上げSU予告)に当選している
M06J-2:特定の背景モードに滞在している状態、且つ先読み予告を実行中で対象SU予告に当選している
M06J-3:特定の背景モードに滞在している状態で、当該変動が先読み予告のターゲット変動且つ対象SU予告に当選している
展開M06J-1においては、対象SU予告の抽選をテーブルTBL1に基づき行う。また、展開M06J-2、展開M06J-3においては、対象SU予告の抽選をテーブルTBL2、テーブルTBL3に基づきそれぞれ行う。
展開M06J-1において、テーブルTBL1に基づく抽選の結果SU3、SU4に当選した場合、及びSU5に当選した場合を展開M06L-1とする。
また、展開M06J-2において、テーブルTBL2に基づく抽選の結果SU3、SU4に当選した場合、及びSU5に当選した場合を展開M06L-2とする。
さらに、展開M06J-3において、テーブルTBL3に基づく抽選の結果SU3、SU4に当選した場合、及びSU5に当選した場合を展開M06L-3とする。
なお、これら展開M06L-1~M06L-3において、SU5に当選した場合には、SU5の内容についてそれぞれテーブルTBL4、TBL5、TBL6に基づく抽選を行う。
図78の下段の表は、M06L-1~M06L-3の各展開に対するSU3の内容差替え(背景差替え)についての抽選手法を例示している。
図示のように展開M06L-1においては、前回デンジャーで外れたか否かを判定する(ステップS3006参照)。前回デンジャーで外れていれば、設定値Veごとの分岐はなく、テーブルTBL4に基づいて差替え内容を抽選する。
一方、前回デンジャーで外れていなければ、抽選手法は設定値Veごとに分岐する。具体的には、「1」~「6」の設定値Veごとに異なるテーブル(図中、テーブルTBL5~TBL10)を用いて差替え内容を抽選する。
また、展開M06L-2、展開M06L-3においては、前回デンジャーで外れたか否かによる分岐、及び設定値Veによる分岐はなく、図示のようにテーブルTBL11、TBL12に基づき差替え内容を抽選する。
上記の抽選手法においては、展開M06J-1としての、先読み演出に非当選の状態においては、SU予告による設定示唆を行うことが可能とされる。
これにより、先読みするほどでもない当り期待度の低い変動や、先読みのターゲット変動に向かって先読み演出を実行していない変動では、SU予告の役割を変動に対する信頼度を示唆する目的で使用するのではなく、設定を示唆する目的で使用することができる。
また、展開M06J-2としての、先読み演出を実行中である状態においては、SU予告による設定示唆を行わないものとしている。
複数変動を利用して先読み演出を実行している場合の、まさに先読み途中の変動においてSU予告に当選した場合は、先読みのターゲット変動に向かって、当選期待度を示唆する先読みを行っている最中なので、SU予告の役割として設定を示唆する目的では使用しないようにしている。つまり、先読み予告はターゲット変動に向けて当選期待度を示唆しており、遊技者の興味はそちらに注がれているので、このような状況では設定示唆要素を入れないようにし、遊技者が混乱してしまうことの防止を図っている。
さらに、展開M06J-3としての、当該変動が先読み演出のターゲット変動である状態においても、SU予告による設定示唆を行わないものとしている。
この場合、当該変動は、先読みのターゲット変動であり、当たり期待度の高い変動であるため、SU予告の役割を変動に対する信頼度を示唆する目的で使用し、設定を示唆する目的では使用しないようにすることで、遊技者が混乱してしまうことの防止を図っている。
上記、抽選手法として、展開M06L-1、展開M06L-2、展開M06L-3を採用したが、いずれか一つを採用するようにしてもよいし、いずれかの組み合わせを採用するようにしてもよい。
展開M06L-2に関して、先読み演出が複数種類ある場合には、特定の先読み演出(例:全画面系の先読み予告等)の実行中のみSU予告による設定示唆を行わないように構成し、その他の先読み演出(例:保留変化予告等)の実行中にはSU予告による設定示唆を行うように構成してもよい。
展開M06L-3に関して、先読み予告が複数種類ある場合には、当該変動が特定の先読み演出(例:全画面系の先読み予告等)のターゲット変動である状態では、SU予告による設定示唆を行わないように構成し、当該変動がその他の先読み演出(例:保留変化予告等)のターゲット変動である状態では、SU予告による設定示唆を行うように構成してもよい。
また、当該変動が当り変動の場合には、前述のSU予告のような設定示唆要素を含む設定示唆予告による、設定示唆を行わないようにし、当該変動がはずれ変動の場合には、設定示唆を行うように構成してもよい。
ここで、先の図71~図77により説明した本例のSU予告抽選の手法では、SU予告による設定示唆を行う場合は、設定値ごとにSU予告内容が対応づけられた複数のテーブルうち、現在の設定値に対応するテーブルに基づいてSU予告内容を抽選し、SU予告による設定示唆を行わない場合は、上記複数のテーブルのうち特定のテーブル(設定値に基づかずに特定したテーブル)に基づいてSU予告内容を抽選している。
このような抽選手法は、SU予告による設定示唆を行う場合は、SU予告の予告内容を設定値Veに基づき決定し、SU予告による設定示唆を行わない場合は、SU予告の予告内容を設定値Veに基づかずに決定する手法であると換言できる。
これを、上記した展開M06J-1~M06J-3に当て嵌めると、本例の遊技機1では、以下のようにSU予告抽選を行っていると換言することができる。
先ず、上記した展開M06J-1と展開M06J-2の対比では、次のように換言することができる。
すなわち、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合(展開M06J-2)には、当該図柄の変動表示を対象としたSU予告の予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能とし、一方で、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合(展開M06J-1)には、当該図柄の変動表示を対象としたSU予告の予告内容を設定値Veに基づいて決定可能としたもの、と換言できる。
また、上記した展開M06J-1と展開M06J-3の対比では、次のように換言することができる。
すなわち、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合(展開M06J-3)には、当該所定の図柄の変動表示を対象としたSU予告の予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能とし、一方で、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合(展開M06J-1)には、当該所定の図柄の変動表示を対象としたSU予告の予告内容を設定値Veに基づいて決定可能としたもの、と換言できる。
上記のような抽選手法により、先読み演出を実行中である状態や、当該変動が先読み演出のターゲット変動である状態において、SU予告による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
ここで、SU予告等の所定の予告演出により設定示唆を行うことは、次のような手法により実現することもできる。すなわち、設定値Veを示唆する要素(例えば、デンジャー柄等の特定背景等)を含む予告演出である「所定演出」を用意しておき、該所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づいて決定するものである。具体的には、例えば高設定であるほど所定演出が現出し易くなるように構成されたテーブルを用いて抽選を行うことで、高設定である旨の設定示唆を可能とする。
一方、設定示唆を行わない場合には、所定演出を実行するか否かを、設定値Veに基づかずに決定する。具体的には、例えば設定値Veに拘わらず所定演出を実行しない決定を行うことで、設定示唆が行われないようにすることができる。
このように、所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づいて決定すれば、所定演出による設定示唆が行われるようにすることができる。一方で、所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づかずに決定することで、所定演出による設定示唆が行われないようにすることができる。
これを、上記した展開M06J-1~M06J-3での「設定示唆を行う」「設定示唆を行わない」の各ケースに当て嵌めると、本例の遊技機1は、以下のような構成とすることができる。
先ず、上記した展開M06J-1と展開M06J-2の対比では、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合(展開M06J-2)には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づくことなく決定可能とし、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合(展開M06J-1)には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づいて決定可能した、という構成である。
また、上記した展開M06J-1と展開M06J-3の対比では、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合(展開M06J-3)には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づくことなく決定可能とし、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合(展開M06J-1)には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づいて決定可能とした、という構成である。
これらの構成を採ることで、先読み演出を実行中である状態や、当該変動が先読み演出のターゲット変動である状態において、所定演出による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
ここで、上記では、所定演出の予告内容の決定や、所定演出を実行するか否かの決定について、先読み演出を実行中である場合や、当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合には、それらの決定を設定値Veに基づくことなく行う例を挙げたが、遊技者の混乱防止を図る上では、先読み演出を実行中でない場合や当該変動が先読み演出のターゲット変動でない場合よりも、先読み演出を実行中である場合や当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合において、所定演出による設定示唆が行われる割合が少なくなればよい。
そこで、所定演出の予告内容の決定や、所定演出を実行するか否かの決定については、先読み演出を実行中である場合か否か、当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合か否かに応じて、設定値Veに基づく決定を行う割合を異ならせるという構成を採ることもできる。具体的には、以下の(c1)~(c4)の構成である。
(c1)
先読み演出を実行中である場合と、先読み演出を実行中でない場合とで、当該変動を対象とした所定演出の予告内容を設定値Veに基づき決定する割合を異ならせる。
(c2)
先読み演出を実行中である場合と、先読み演出を実行中でない場合とで、当該変動を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づき決定する割合を異ならせる。
(c3)
当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合と、当該変動が先読み演出のターゲット変動でない場合とで、当該変動を対象とした所定演出の予告内容を設定値Veに基づき決定する割合を異ならせる。
(c4)
当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合と、当該変動が先読み演出のターゲット変動でない場合とで、当該変動を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値Veに基づき決定する割合を異ならせる。
これらの構成では、当該変動が先読み演出のターゲット変動である場合や、先読み演出を実行中である場合において、当該変動が先読み演出のターゲット変動でない場合や先読み演出を実行中でない場合よりも、所定演出による設定示唆が行われる割合を少なくすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
なお、上記した(c1)~(c4)の構成における「割合」は「0」を含むものである。すなわち、例えば(c1)の構成を例に挙げれば、先読み演出を実行中である場合に、所定演出の予告内容を設定値Veに基づかずに決定することも含む。
なお、先読み予告の非当選状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について、予告内容を設定値Veに基づいて決定可能となるように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告についてのみ、予告内容を設定値Veに基づいて決定可能となるように可能となるように構成しても良い。
また、先読み予告の非当選状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について実行可能となるように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告についてのみ実行可能となるように構成しても良い。
また、先読み予告を実行中(例:変動開始時に各予告の抽選を行う際に、当該変動よりも後の変動をターゲットとして先読み予告を実行する場合や、している場合など)である状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について、予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能となるように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告(例:リーチ前に実行可能な種類の設定示唆予告など)についてのみ、予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能となるように構成しても良い。
さらに、先読み予告を実行中である状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について実行しないように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告(例:リーチ前に実行可能な種類の設定示唆予告など)についてのみ実行しないように構成しても良い。
また、当該変動が先読み予告のターゲット変動である状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について、予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能となるように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告(例:リーチ前に実行可能な種類の設定示唆予告など)についてのみ、予告内容を設定値Veに基づくことなく決定可能となるように構成してもよい。
さらに、当該変動が先読み予告のターゲット変動である状態において、設定示唆予告が複数ある場合には、全ての設定示唆予告について実行しないように構成してもよいし、SU予告など一部の設定示唆予告(例:リーチ前に実行可能な種類の設定示唆予告など)についてのみ実行しないように構成してもよい。
また、設定示唆予告の予告内容を設定値Veに基づくことなく決定する場合には、特定の抽選テーブルを用いて、予告内容を決定するようにしてもよい。その際、当該変動の変動パターン情報や当落に関する情報に基づいて、抽選テーブルから予告内容を決定するようにすることが望ましい。また、先読み予告の実行中である状態や、先読み予告のターゲット変動である状態において、設定示唆予告の予告内容を設定値Veに基づくことなく決定する場合に、それぞれで共通の特定の抽選テーブルを使用するようにしてもよいし、それぞれで異なる抽選テーブルを使用するようにしてもよい。また、設定示唆予告を複数有する場合には、設定示唆予告の種類によって、予告内容が異なるため、設定示唆予告毎に抽選テーブルが存在することは言うまでもない。
[5-5.主制御部と演出制御部が対応する設定値範囲の差違について]
ここで、上記により説明した演出制御部24の各種抽選処理から理解されるように、演出制御部24は、設定値Veが実際の使用範囲Ru(本例では「1」「2」「6」)でなくても、使用可能範囲Re(「1」~「6」)内の値であれば、演出抽選がエラーとなることなく正常に行われるように構成されている。
一方で、主制御部20は、設定値Veが実際の使用範囲Ru内の値でなければ、遊技進行に関する少なくとも特定の処理を実行不能とされている。例えば、先の図25~図27を参照して説明した大当り乱数判定処理(S1502)においては、設定値Ve(設定値Vd)が使用範囲Ru内の値でない場合には、図27に示した大当り判定用乱数判定テーブルから適正な判定基準値THや設定差情報を取得することが不能となり、大当り判定を適切に実行できないものとなる。
上記のような主制御部20と演出制御部24の設定値に対する対応の差は、以下のように表現することができる。
すなわち、主制御部20は、設定変更処理(ステップS115)によりN(Nは2以上の自然数)種の中からいずれか一つの設定値を設定可能であると共に、N種の設定値に基づいて、遊技動作の進行に関する第一処理を実行可能とされている。
一方で、演出制御部24は、主制御部20から受信した設定値に関する設定値情報について、N種よりも多いM種の設定値情報に基づいて、演出動作の進行に関する第二処理を実行可能とされている。
これにより、設定値の段階数を変更可能とするにあたり、演出制御部24は、M段階までであれば、演出動作の進行に関する第二処理を実行可能とされている。すなわち、M段階までは演出制御部24のプログラム書き替えを不要とすることが可能となる。
従って、設定値の段階数の変更をプログラム書き替え作業の負担軽減を図りつつ実現することができる。
また、本実施形態において、演出制御部24は、先の図52Aで説明したように、主制御部20が送信する設定値を通知するためのコマンド(設定値情報)、具体的には設定確認中コマンド、及び設定変更時コマンドとしての設定値情報について、実際の使用範囲Ruに対応した3種の設定値情報ではなく、使用可能範囲Reに対応した6種の設定値情報を解析可能とされている。
具体的に、これら設定確認中コマンド、設定変更時コマンドについては、それぞれステップS2150、S2152で「1」~「6」の何れかの識別データを含むコマンドの受信が可能とされており、従ってこれらのコマンドの解析が可能とされている。
すなわち、使用範囲Ruに対応した3種の設定値Veが、設定変更処理で設定可能なN種の設定値であるとすれば、演出制御部24は、N種よりも多いM種の設定値情報を解析可能に構成されている。
これにより、設定値Veの段階数を変更可能とするにあたり、演出制御部24は、M段階までであれば、設定値情報を解析可能とされている。すなわち、M段階までは演出制御部24のプログラム書き替えを不要とすることが可能となる。
従って、使用する設定値の数の変更をプログラム書き替え作業の負担軽減を図りつつ実現することができる。
また、本実施形態では、演出制御部24は、主制御部20側において設定変更処理で設定された設定値Vdと、解析された設定値情報に基づく設定値解析情報とが、対応する場合(例えば、設定値Vdが示す設定値Veと設定値解析情報が示す設定値Veとが一致する場合)でも、対応しない場合でも所定処理(図57~図77で説明した各種の演出抽選処理)を実行可能に構成されている。
これにより、設定値Veの段階数を変更可能とするにあたり、演出制御部24は、M段階までであれば処理を実行可能とされ、M段階までは演出制御部24のプログラム書き替えを不要とすることが可能となる。
従って、設定値Veの段階数の変更をプログラム書き替え作業の負担軽減を図りつつ実現することができる。
ここで、図52Aの処理によると、本実施形態では、ステップS2154で設定変更終了コマンドを受信したと判定した場合には、主制御部20から受信される設定値Veが適正範囲内の値であるか否かを確認することなく(ステップS2162を参照)、ステップS2158で設定変更終了シナリオ登録処理を実行するものとしている。
これにより、主制御部20側が設定変更処理を正常に終了しようとしているときに、演出制御部24側が設定値の異常を報知してしまうことの防止を図ることができる。すなわち、演出制御部24側が異常報知を行っているのに主制御部20側が設定変更処理の正常終了に応じてその後の遊技動作を進行させてしまうという状況の発生防止を図ることができ、遊技者に不安感を抱かせることの防止が図られる。
また、図52Aの処理によると、演出制御部24はステップS2162で、主制御部20側から受信した設定値Veが使用可能範囲Re内か否かを判定し、使用可能範囲Re内であれば受信した設定値Ve(上述した識別データ)をRAM243(具体的には前述した「通知設定値格納領域A1」)に格納し、使用可能範囲Re外であれば受信した設定値VeをRAM243に格納しないものとしている。
設定値Veが使用可能範囲Re外であるときは、RAM243に設定値Veが格納されないが、本実施形態では、「設定値コマンド」が設定変更時以外の複数タイミングで送信される、具体的には、少なくとも電断復帰時(電断復帰した際のS808)、変動開始時(S1411)にも送信されるので、それらのタイミングで使用可能範囲Re内の設定値Veが受信されることで、RAM243に適切な設定値Veが格納されるようにすることができる。
なお、設定値コマンドは、上記で例示したタイミング以外にも、客待ちデモ中、大当りや小当りの開始や終了時、ラウンド遊技開始時、ラウンド間INT開始時等に送信することもできる。
なお、上記のように本実施形態では、設定値Veが使用可能範囲Re内の値であれば、使用範囲Ru内の値でなくてもそのままRAM243に格納するものとしているが、先に説明した各種演出に係る抽選処理(図57~図77等)のように、本実施形態では抽選処理が使用可能範囲Reの設定値Veに対応しているため、設定値Veが使用範囲Ru内の値でなくても演出抽選処理にバグが発生することがない。
また、図52Aの処理によると、設定値Veが使用可能範囲Re外であるときは、ステップS2166の設定履歴情報更新処理において、使用可能範囲Re外の設定値VeがRAM243(具体的には、前述した「履歴設定値格納領域A2」)に格納される(図53のステップS2404を参照)。
しかしながら、このように履歴設定値格納領域A2に使用可能範囲Re外の設定値Veが格納されても、前述したステップS2607(図55)の送信処理時において、設定値Veの異常確認を行うことで、設定履歴確認画面Gsに使用可能範囲Re外の不適切な設定値Veが表示されてしまうことの防止が図られる。
前述のように、この際の異常確認の処理としては、送信対象の個別履歴情報が設定変更についての履歴情報(設定変更履歴情報)であるか否かを判定した上で、設定変更履歴情報である場合には、該履歴情報に含まれる設定値Veが使用可能範囲Re外の値であるか否かを判定し、設定値Veが使用可能範囲Re外の値である場合には、液晶制御部40に対して異常表示の指示情報を送信する。これにより、設定履歴確認画面Gsにおいて、該当する個別履歴情報における設定値Veに異常が認められた旨を表す情報を表示させることができる(例えばエラーを意味する「E」マークの表示等)。
<6.設定関連コマンド処理、設定値変換についての変形例>
ここで、上記では、図10に示した設定変更処理(S115)で設定された設定値Ve(ステップS416で保存した設定値Ve)を、図17に示したメインループ前処理(S119)で設定値コマンド(S808)により演出制御部24側に送信する例を挙げたが、設定変更処理により設定された設定値Veは、設定変更終了時のコマンドにより演出制御部24に送信することもできる。具体的に、実施形態では、設定変更終了時のコマンドとして、図14に示したRAMクリア処理(S116)で設定変更終了コマンドを送信(S605、S606)するものとしているが、この設定変更終了コマンドに代えて、設定変更処理で設定された設定値Veを含ませた「設定変更完了コマンド」を演出制御部24に送信する構成とすることもできる。
また、上記した図52Aの処理では、演出制御部24がRAM243に設定値Veを格納する処理(S2163)が、主制御部20からの設定値コマンドが受信されるごとに実行され得ることになるが、このRAM243に対する設定値Veの格納処理は、設定変更時にのみ行われるようにすることもできる。
そして、このようにRAM243に対する設定値Veの格納処理が設定変更時にのみ行われる場合には、図52Aに示す処理のように設定値Veが使用可能範囲Re外の値である場合に設定値Veを格納しないものとすると(S2162→S2164のルート)、RAM243に設定値Veがセットされないものとなってしまう。
そこでこの場合には、設定値Veが使用可能範囲Re外であればRAM243に設定値Ve「1」を表す値(換言すれば、設定値Veの最低段階を表す値)を格納するものとして、RAM243に異常な設定値Veがセットされないようにしつつ、設定値Veのセット自体が行われなくなってしまうことの防止を図ることもできる。
図79は、上記のような最低段階値の格納を含む、第一変形例としての設定関連コマンド処理S2130eのフローチャートを示している。
この第一変形例としての設定関連コマンド処理S2130eは、主制御部20が上述した「設定変更完了コマンド」により設定変更処理で設定された設定値Veを演出制御部24側に送信する場合に対応した処理とされる。
図52Aに示した処理との差異点は、ステップS2154の設定変更終了コマンドの受信判定処理が省略された点と、ステップS2159~S2161の処理及びステップS2164の処理が省略された点と、ステップS2181の処理が追加された点である。
図79に示す処理において、CPU241は先ずステップS2180で、「設定変更完了コマンド」の受信判定処理を行う。具体的には、「設定変更完了コマンド」として設定値Ve「1」~「6」の何れかの通知情報(識別データ)を含むコマンドが受信されたか否かを判定する。
ステップS2180において、「設定変更完了コマンド」(設定値「1」~「6」)を受信していないと判定した場合、CPU241はステップS2150に処理を進める。なお、この場合、ステップS2151で否定結果が得られたことに応じ、CPU241はステップS2153に処理を進める。また、ステップS2153で否定結果が得られた場合、CPU241は図79に示す一連の処理を終える。
さらにこの場合、CPU241は、ステップS2155~S2157の各シナリオ登録処理を実行したことに応じ、図79に示す一連の処理を終える。
一方、ステップS2180において「設定変更完了コマンド」(設定値「1」~「6」)を受信したと判定した場合、CPU241はステップS2158の設定変更終了シナリオ登録処理を実行する。
上記したステップS2180の判定処理により、受信した「設定変更完了コマンド」に含まれる設定値Veが「1」~「6」の使用可能範囲Re内であれば、このステップS2158で設定変更終了シナリオが登録される。すなわち、使用可能範囲Re内における不使用の設定値Veを受信した場合でも、設定変更終了を報知する演出が行われるようにされている。
ステップS2158のシナリオ登録処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2162で設定情報は使用可能範囲Reか否かを判定する。
そして、設定情報が使用可能範囲Reである場合には、CPU241はステップS2163で設定値情報をRAMに格納する処理を行ってステップS2166の履歴情報更新処理に進む。
一方、設定情報が使用可能範囲Reでない場合には、CPU241はステップS2181で設定値「1」をRAM243に格納し、ステップS2166の履歴情報更新処理に進む。
上記のような第一変形例としての処理により、設定変更時にのみRAM243に設定値Veを格納する場合に対応して、設定値Veが使用可能範囲Re外の値であればRAM243に特定値(本例では「1」)を格納することができる。
なお、上記した第一変形例のようにRAM243の設定値格納領域(前述した「通知設定値格納領域A1」)に特定値(「1」)を格納する場合には、設定履歴情報における設定値Ve(つまり前述した「履歴設定値格納領域A2」)についても特定値(「1」)を格納するようにしてもよい。
或いは、設定履歴情報には異常値を記憶させておくようにしてもよい。
設定履歴情報に異常値を記憶させることで、遊技の抽選は特定値に基づき行われるようにしつつ、設定値Veが異常であったことを履歴情報として保存しておくことが可能となる。
ここで、RAM243に設定値Veを格納する際における設定値Veの適否判定としては、使用可能範囲Re内であるか否かではなく使用範囲Ru内であるか否かを判定することもできる。
例えば、本例のように使用する設定値Veが「1」「2」「6」とされる場合においては、先ず、設定値Veが使用可能範囲Re内の値か否かを判定し、使用可能範囲Re内の値であれば、さらに、設定値Veが不使用の値(「3」「4」「5」の何れか)であるか否かを判定する。
このとき、設定値Veが不使用の値でなければ、設定値VeをそのままRAM243に格納する。一方、設定値Veが不使用の値である場合は、RAM243に特定値(「1」)を格納することが考えられる。或いは、設定値Veが不使用の値である場合は、設定値Veを使用範囲Ruの値に補正してRAM243に格納することもできる。例えば、設定値Veが「3」「4」のときは「2」に補正し、「5」のときは「6」に補正する等が考えられる。
図80は、上記のような設定値Veの補正を含む、第二変形例としての設定関連コマンド処理S2130eのフローチャートを示している。
図79に示した処理との差異点は、ステップS2182及びS2183の処理が追加された点である。
この場合、CPU241は、ステップS2162で設定情報が使用可能範囲Reであると判定したことに応じ、ステップS2182に処理を進めて設定情報は不使用の値か否かを判定する。具体的に本例では、設定値Veが「3」「4」「5」の何れか(「02H」「03H」「04H」の何れか)であるか否かを判定する。
設定情報は不使用の値でないと判定した場合、CPU241はステップS2163に進んで設定情報をRAM243に格納する。一方、設定情報は不使用の値であると判定した場合、CPU241はステップS2183に進み、設定値補正テーブルを参照して補正値をRAM243に格納する。具体的に本例では、設定値補正テーブル(ROM242の所定領域に格納しておく)を参照し、設定値Veが「3」「4」のときは「2」に補正し、「5」のときは「6」に補正し、補正した設定値VeをRAM243の「通知設定値格納領域A1」に格納する。
ここで、これまでの説明では、主制御部20が図16に示した設定値オフセット変換テーブルを用いて、主制御部20側で扱う設定値Vdを演出制御部24側のプログラムに合わせた設定値Veに変換する例を挙げたが、主制御部20は設定値オフセット変換テーブルを用いた変換を行わずに設定値Vdの情報を演出制御部24に送信し、演出制御部24側において設定値Vdを変換する構成を採ることもできる。
図81は、この場合に演出制御部24側で用いるべき設定値変換テーブルの例を示している。なお、ここでは、遊技機1のスペック情報によって設定値Veの段階や使用する値が一意に定められている前提とする。
図示のように設定値変換テーブルには、主制御部20側が送信する設定値Vdの情報、具体的には「0」~「5」のそれぞれに対する変換値を格納した変換テーブルが、スペック(図中では「スペック1」~「スペック4」の4種としている)ごとに用意されている。
この場合の演出制御部24(CPU241)は、例えば前述したスペック指定コマンドで指定されるスペックの情報に基づき、設定変換テーブルから対応する変換テーブルを選択し、主制御部20から受信した設定値Vdの情報を該選択した変換テーブルに基づき変換する。
ここで、「スペック1」は設定6段階であり、この場合の主制御部20は設定値Vdとして「0」~「5」を使用する。「スペック2」「スペック3」はそれぞれ設定2段階、設定3段階であり、主制御部20は設定値Vdとしてそれぞれ「0」「1」、「0」~「3」を使用する。「スペック4」は「設定なし」であり、この場合は図示のように設定値Vdごとの変換値として「0」を格納しておく。
上記のように演出制御部24側で設定値変換を行う構成とすることで、主制御部20側の処理負担軽減を図ることができる。
<7.その他、設定値に係る変形例>
ここで、設定履歴画面Gsに表示する情報については、図46等で例示した情報に限定されず多様に考えられる。例えば、或る設定値により遊技がどの程度の期間行われていたかを示すようにしてもよい。具体的には、或る設定値が設定されてから、次に変更されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、電源投入時から或る設定値により遊技が行われ、次に電源断されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、設定値が異常値と判定された場合は、異常と判定されてから、正常な設定値が設定されるまでの日時、時間を表示するようにしてもよい。また、本来は遊技中に設定値が変更されたり、設定値が正常値から異常値になることはないが、ノイズやゴト行為により、遊技中にもかかわらず設定値に変更があった場合には、その日時を記憶して、履歴表示として表示するようにしてもよい。また、RAMクリア処理やバックアップ復帰処理が行われた回数や日時情報についても同様に表示するように構成してもよい。また、履歴表示を表示するタイミングとしては、設定確認処理が行われている間以外にも、例えば設定変更処理が行われている間等とすることも可能である。さらには、遊技中であっても所定の操作入力があった場合には、履歴表示を行うように構成してもよい。
また、上記では、履歴表示の対象事象の発生に応じて履歴情報を内部ワーク(RAM243のワーク領域)に保存し、内部ワークに保存された履歴情報を即座にメモリ244に記憶させる例を挙げたが、内部ワークの履歴情報をメモリ244に記憶するタイミングとしては、内部ワークに記憶された経過時間を参照し、所定時間が経過したと判断された場合にメモリ244に記憶させる(コピーする)ことも可能である。
また、設定履歴確認画面Gsについては、終了指示操作に応じて表示を終了した後も、設定確認中(或いは設定変更中)等の所定の表示条件を満たす状況下であれば、再度の表示指示操作に応じ何度でも表示が可能である。或いは、所定の表示条件を満たす状況下で既に設定履歴確認画面Gsの表示を1回等の所定回数行っている場合には、再度の表示指示操作が行われても設定履歴確認画面Gsの表示を不可とすることもできる。
また、履歴情報の表示中においては、ベース値を表示する性能表示モニタを非表示としておくことが望ましい。また、履歴情報の表示中であっても、音量/光量調整が有効となるように構成してもよい。このとき、調整が有効ではあるが、調整内容については表示手段に表示しないようにすることが望ましい。
また、性能表示モニタの内容や状態を液晶上に表示するようにしてもよく、その場合には、履歴情報とは重ならない位置に表示することが望ましい。また音量/光量を調整不能に構成するようにしてもよく、この場合には履歴情報と表示が重なってしまう恐れがなく、画面構成の設計の自由度が高くなる。
また、履歴情報の表示中には少なくとも盤側の可動体のイニシャライズ動作を実行しないようにすることが望ましい。これにより盤側の可動体が表示手段の前側に移動して、表示画面の視認性を妨げてしまうことを防止することができる。また、枠側の可動体についても同様にイニシャライズ動作を実行しないようにしておくようにしてもよい。ただし、枠側の可動体については、表示画面を妨げる可能性がない場合には、イニシャライズを行うようにしてもよい。この場合、例えば操作手段に搭載された振動手段のイニシャライズ動作や、エアーが噴出されるエアー噴出手段などについてもイニシャライズ動作を行うようにしてもよい。これにより、枠側の可動体については、先にイニシャライズ動作を終了させておくことができるので、履歴情報の表示終了後、すなわち設定確認処理(或いは設定変更処理)の終了後に、盤側の可動体のイニシャライズを行うだけで済むので効率的である。また、これに限らず、履歴情報の表示終了後に、全ての可動体についてイニシャライズ動作を行うようにしてもよい。
また、主制御部20と演出制御部24とを接続するハーネスが切断された状態で、設定値の変更操作が行われた場合には、主制御部20は変更された設定値に基づいて処理を行う一方、演出制御部24はその情報を知ることができないので、履歴情報として記憶・表示することができない。そのため、ハーネスを切断した状態で設定値を変更し、一度電源を遮断した後に、再度ハーネスを接続し直した状態で電源ONすることで、設定値を変更した形跡を残すことなく、設定変更を行うことができてしまう。それを防止するために、電源投入時に、主制御部20から演出制御部24に設定値の情報を送信し、演出制御部24は、記憶した設定値の情報と、主制御部20から送信された設定値の情報とを比較して、矛盾が生じている場合には、ランプ・スピーカ・液晶等を利用してエラー報知を行うように構成してもよい。
また、この場合には、演出制御部24側は、遊技停止状態とするようにしてもよく、主制御部20から遊技に関するコマンドが送信されてきたとしても、それに基づく処理を行わないように構成してもよい。また、演出制御部24は、設定変更処理やRAMクリア処理を実行する際に送信される種々のコマンドを受信した場合には、主制御部20側で、再度正常に設定変更処理が為されたと判断して、新たに決定された設定値を記憶するとともに、エラー報知を中断/中止(矛盾発生⇒エラー報知⇒電源断⇒設定変更中(非エラー報知)⇒設定変更完了(非エラー報知))するようにしてもよい。また、初回の電源投入時においては、演出制御部24側には設定値に関する情報がない状態となるので、このような場合に主制御部20から設定値の情報が送信されてきた場合には、エラー報知を行わないように構成することが望ましい。
また、設定値示唆演出としては、遊技者が操作可能な操作手段を使用した操作演出を利用したものとすることもできる。具体的には、遊技者が操作可能な操作手段として、第一操作手段(例:PUSHボタン)、第二操作手段(例:パトボタン)を備え、(第一操作手段及び第二操作手段は、別々の操作デバイスであってもよいし、共通の操作デバイスの中で第一態様と第二態様に変化しうるものであってもよい)、第一操作手段の操作のみが有効となる第一操作有効期間中において第一操作手段の操作が行われた場合に、現在の設定値Veを示唆する設定示唆予告が実行されるように構成してもよい。また、第一操作有効期間中において、遊技者による第一操作手段の操作が行われなかった場合には、設定示唆予告を実行しないように構成してもよい。また、設定示唆予告を実行しない場合には、設定示唆予告とは異なる演出(例:当該変動の当りに対する期待度を示唆する演出など)を実行するように構成してもよい。また、設定示唆予告を実行する場合であっても、設定示唆予告の実行に加えて、設定示唆予告とは異なる演出(例:当該変動の当りに対する期待度を示唆する演出など)を実行するように構成してもよい。また、第一操作有効期間中に、第二操作手段の操作が行われた場合には、第二操作手段の操作は有効になっていないので、第一操作手段を操作しなかった場合と同様の対応とすることができる。
第二操作手段に関しても、上記した第一操作手段と同様の構成とするようにしてもよい。
また、第一操作手段による操作演出が実行されるよりも、第二操作手段による操作演出が実行される方が、当該変動が当りとなる期待度が高い場合には、第二操作手段による操作演出では設定示唆予告を実行し、第一操作手段による操作演出では、設定示唆予告を実行しないように構成してもよい。また、第一操作手段による操作演出では設定示唆予告を実行し、第二操作手段による操作演出では設定示唆予告を実行しないように構成してもよい。
第一操作手段と第二操作手段の両方の操作が有効となる特定操作演出において、第一操作手段が操作された場合には、設定示唆予告を実行し、第二操作手段が操作された場合には、設定示唆予告を実行しないように構成してもよい。また、その逆の構成としてもよい。
また、特定操作演出の操作有効期間中において、表示手段に第一操作手段又は第二操作手段のいずれか一方を模した画像を表示し、遊技者に対して何れの操作手段を操作すべきかを促すようにしてもよく、その場合、第一操作手段を模した画像が表示されているときは、第一操作手段が操作された場合に設定示唆予告を実行し、第二操作手段が操作された場合に設定示唆予告を実行しないように構成してもよい。また、第一操作手段を模した画像が表示されているとき、第二操作手段の操作が行われた場合に設定示唆予告を実行するように構成してもよい。
また、特定操作演出に関しても、操作後に設定示唆予告を実行する場合と実行しない場合の関係、及び設定示唆予告と設定示唆予告とは異なる演出との関係に関しては前述の操作演出の場合と同様の構成となるようにしてもよい。
また、操作演出の演出態様は、設定値Veに応じて異ならせるように構成してもよい。例えば、操作手段の操作有効期間中に、演出手段を用いて、操作を促す表示・音声・ランプによる操作促進演出を実行してもよく、操作促進演出の内容を設定値Veに応じて異ならせるように構成してもよい。具体的には、設定値Veが所定値以上の場合(例:設定2~6)の場合でしか出現しない操作促進演出を実行することで、最低設定値(例:設定1)が否定されることを報知することが可能となる。また、設定値Veが所定値以上の場合(例:設定6)でしか出現しない操作促進演出を実行することで、最高設定値(例:設定6)であることを報知することが可能となる。
また、操作演出の中でもリーチ演出の最終で行われ、当該変動の当落を報知する当落操作演出において、上述の実施形態を利用するようにしてもよい。この場合、当落結果が当りの場合のみ、操作促進演出の内容を設定値Veに応じて異ならせるように構成してもよい。また、はずれの場合のみ、操作促進演出の内容を設定値Veに応じて異ならせるように構成してもよい。また、当り後に遊技者に有利な確変状態へと移行する当りの場合のみ、操作促進演出の内容を設定値Veに応じて異ならせるように構成してもよい。
<8.これまでのまとめ>
上記のように実施形態の遊技機(1)は、図柄の変動表示を行い、遊技者にとって有利な状態である有利状態に制御する遊技機であって、有利状態に制御するか否かを決定する決定手段(ステップS1502:大当り乱数判定処理)と、有利状態に制御するか否かを、決定手段による決定前に判定する先読み判定手段(ステップS1309:先読み判定処理)と、先読み判定手段の判定結果に基づいて、判定対象の図柄の変動表示が行われるよりも前に、有利状態に制御される可能性を報知する先読み演出を実行可能な先読み演出実行手段(演出制御部24、及び液晶表示装置36や光表示装置45a、音響発生装置46a等の演出手段)と、図柄の変動表示中に、有利状態に制御される可能性を報知する予告演出を実行可能な演出実行手段(演出制御部24、及び液晶表示装置36や光表示装置45a、音響発生装置46a等の演出手段)と、有利状態に制御するか否かの確率についての段階を表す設定値(同Ve)を設定可能な設定手段(ステップS115:設定変更処理)と、を備えている。
そして、予告演出には、所定演出(例えばSU予告演出)が含まれ、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出の予告内容を設定値に基づくことなく決定可能とし、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出の予告内容を設定値に基づいて決定可能としたものである。
これにより、先読み演出を実行中である状態において、所定演出による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
また、実施形態の遊技機(1)は、図柄の変動表示を行い、遊技者にとって有利な状態である有利状態に制御する遊技機であって、上記した決定手段、先読み判定手段、先読み演出実行手段、演出実行手段、及び設定手段を備えると共に、予告演出には、所定演出が含まれ、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値に基づくことなく決定可能とし、図柄の変動表示を行う際に、当該図柄の変動表示よりも後に行われる図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合には、当該図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値に基づいて決定可能としたものである。
これにより、先読み演出を実行中である状態において、所定演出による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
また、実施形態の遊技機(1)は、図柄の変動表示を行い、遊技者にとって有利な状態である有利状態に制御する遊技機であって、上記した決定手段、先読み判定手段、先読み演出実行手段、演出実行手段、及び設定手段を備えると共に、予告演出には、所定演出が含まれ、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出の予告内容を設定値に基づくことなく決定可能とし、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出の予告内容を設定値に基づいて決定可能としたものである。
これにより、当該変動が先読み演出のターゲット変動である状態において、所定演出による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
また、実施形態の遊技機(1)は、図柄の変動表示を行い、遊技者にとって有利な状態である有利状態に制御する遊技機であって、上記した決定手段、先読み判定手段、先読み演出実行手段、演出実行手段、及び設定手段を備えると共に、予告演出には、所定演出が含まれ、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行される場合には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値に基づくことなく決定可能とし、所定の図柄の変動表示が行われるより前に、当該所定の図柄の変動表示を対象とした先読み演出が実行されない場合には、当該所定の図柄の変動表示を対象とした所定演出を実行するか否かを設定値に基づいて決定可能としたものである。
これにより、当該変動が先読み演出のターゲット変動である状態において、所定演出による設定示唆が行われないようにすることが可能とされる。
従って、遊技者の混乱防止を図ることができる。
<9.設定値に関する示唆演出>
本実施の形態の遊技機1においては、設定値に関する示唆演出が適宜行われ得る。設定値に関する示唆演出とは、遊技機1を遊技する遊技者が当該遊技機1に設定された設定値Veを推測可能な演出等である。なお、以降の説明では、設定値Veの値(範囲)として、遊技機1内部で設定値に対応して使用される値(0~5)ではなく、設定値を設定する作業者や遊技者が把握可能な値(1~6)を用いる。
設定値に関する示唆演出としては、設定された設定値Veを推測できるような演出(設定値示唆演出)に加えて、設定値Veが変更されたか否かを推測できるような演出(設定値変更示唆演出)も含む。具体的には、ある遊技機1に対して前日に設定された設定値Veが当日も変更されずに同じ設定値Veが用いられているのか、或いは前日の設定値Veが変更されて新たな設定値Ve(設定値4から同じ設定値4へと打ち直したケースも含む)が設定されたのかを推測できるような演出である。
設定値に関する示唆演出として設定値Veを推測できるような演出を行う場合は、設定値Veが6であることや5であることを示唆する以外にも、ある程度の幅を持って設定値Veの取り得る値を示唆することが考えられる。
具体的には、設定値Veが偶数(2,4,6の何れか)であることを示唆する演出や、奇数(1,3,5の何れか)であることを示唆する演出などが考えられる。また、設定値Veが4~6の何れかであることを示唆する演出などでもよい。更に広い範囲を示唆する例として、設定値Veが1以外(即ち2~6の何れか)であることを示唆する演出などもあり得る。
設定値に関する示唆演出では、演出制御部24のCPU241による音、光、液晶、可動体役物、ボタン等を用いた演出を行う。具体的には、遊技機1が備えるスピーカ46を含む音響発生装置46aを用いた音演出、装飾ランプ45や各種LEDを含む光表示装置45aを用いた光演出、液晶表示装置36等を用いた画像演出、可動体役物等を用いた視覚的な演出、演出ボタン13や風圧装置等を用いた体感型の演出等である。
このような設定値に関する示唆演出を用いることにより、遊技を行っている遊技機1にどのような設定値Veが適用されているのかを遊技者が推定することが可能とされ、遊技する遊技機を選択する際の判断材料とすることができる。遊技者は、遊技機の選択の際にこのような情報を利用することで、闇雲に遊技機を選択するよりも有利に立ち回ることが可能となる。これにより、遊技者に選択されやすい遊技機1を提供することができる。
また、設定値に関する示唆演出に基づいて遊技機1の設定を適切に推測する楽しさや遊技機1を選択することの楽しさを遊技者に提供することができる。
図119は、設定値に関する示唆演出の種類と、該示唆演出の実行タイミングの関係を示したものである。図119に示す「設定値に関する示唆演出の種類」の部分を図82に示し、図119に示す「実行タイミングの種類」の部分を図83に示す。更に、図119における「演出の実行有無(○/無印)」の部分については図84に示す。
[9-1.演出の種類]
本実施の形態における遊技機1において実装される設定値に関する示唆演出(以降、単に「示唆演出」と記載)について、その種類を説明する(図82)。
図82には、演出01~演出21で示す21種類の示唆演出が記載されている。それぞれの示唆演出には、「種別」「当該/その他」「演出手段」の欄が設けられている。
「種別」としては、「設定値示唆演出」、「設定値変更示唆演出」、「大当り予告演出」の3種類が設けられている。「設定値示唆演出」及び「設定値変更示唆演出」については前述の通りである。「大当り予告演出」は、本来大当りであるか否かを報知するための予告演出であるが、その予告態様を設定値Veに応じて変化させることにより設定値示唆演出としての役割を持たせたものである。
「当該/その他」の別は、示唆演出が当該図柄変動表示ゲームに係るものである場合には「当該」とされ、当該図柄変動表示ゲームとは関係なく現出するものである場合には「その他」とされている。
「演出手段」は、何れの演出手段を用いて示唆演出を行うかを定めたものである。「音」に○印が記載されていれば、スピーカ46を含む音響発生装置46aを用いた音演出を行う演出が実行され、「光」に○印が記載されていれば、装飾ランプ45や各種LEDを含む光表示装置45aを用いた光演出が実行され、「液晶」に○印が記載されていれば、液晶表示装置36等を用いた画像演出が実行され、「可動体」に○印が記載されていれば、可動体役物等を用いた視覚的な演出が実行され、「ボタン」に○印が記載されていれば、演出ボタン13や風圧装置等を用いた体感型の演出が実行される。
それぞれの演出についての具体例は後述する。
[9-2.演出タイミング]
続いて、示唆演出が行われ得るタイミングについて、図83を参照して説明する。
先ず、タイミング01~42で示される42種類の示唆演出タイミングは、「客待ち中」「変動中」「大当り中」の3種類に大別される。
「客待ち中」に行われる示唆演出は、更に細かな実行タイミングとして「イニシャライズ」「操作報知」「デモ」「メニュー画面」の種別に分けられ、「イニシャライズ」は枠役物のイニシャライズ(タイミング01)と盤役物のイニシャライズ(タイミング02)とに分けられる。
なお、ここで枠役物とは「枠」に設けられた可動体役物である。「枠」とは、前枠2、外枠4、ガラス扉6、前面操作パネル7等を含んで構成されている。
また、盤役物とは「盤」に設けられた可動体役物である。「盤」とは、遊技盤3を含んで構成されている。
「操作報知」に行われる示唆演出は、メニュー報知(タイミング03)と音量・光量報知(タイミング04)とに実行タイミングが分けられる。メニュー報知は、例えば、保留球数が0となった状態で特別図柄変動表示ゲームが終了した後、5秒などの所定時間上始動口34への入賞が発生しなかった場合に液晶表示装置36を用いて行われる報知演出であり、液晶表示装置36上にて「メニュー画面は○○ボタンを押すと表示されるよ!」などの文言を含む画像が表示されることにより実現される。
また、音量・光量報知とは、メニュー報知の実行から更に10秒などの所定時間、上始動口34への入賞が発生しなかった場合に液晶表示装置36を用いて行われる報知演出であり、液晶表示装置36上にて「音量・光量は××ボタンを押すと変更できるよ!」などの文言を含む画像が表示されることにより実現される。
「デモ」は前述のデモ画面表示中のタイミングであり、更に細かく機種紹介の表示中(タイミング05)と企業ロゴの表示中(タイミング06)とのめり込み注意喚起の表示中(タイミング07)に分けられる。
「メニュー画面」の表示中に実行される示唆演出は、メニュー画面の第1層が表示されている間(タイミング08)に実行されるものと、メニュー画面の第2層が表示されている間(タイミング09)に実行されるものに分けられる。
以上に示すように、「客待ち中」に実行される示唆演出についての実行タイミングは、更に細かく分けるとタイミング01~09の9種類に分けることができる。
イニシャライズの開始タイミング(タイミング01の開始)は、主制御部20から電源投入コマンドを受信することで演出制御部24は把握可能である。タイミング02~04については、枠役物のイニシャライズ処理に要する時間や盤役物のイニシャライズ処理に要する時間を演出制御部24が把握しているため、それぞれ対応可能とされている。
また、デモ開始タイミング(タイミング05の開始)は、主制御部20から待機画面表示コマンドやデモ表示コマンドを受信することで演出制御部24が把握可能とされている。タイミング06,07については、機種紹介の画像演出に要する時間や企業ロゴの画像演出に要する時間等を演出制御部24が把握しているため、それぞれ対応可能とされている。
メニュー画面の表示中に関しては、演出ボタンのうちの一つとしてのメニューボタンが押下されたことに応じて該ボタンからの信号を受信する。これによりメニュー画面を液晶表示装置36に表示するための処理が演出制御部24で実行される。これにより、メニュー画面の第1層及び第2層の表示中のタイミング(タイミング08,09)は演出制御部24で把握可能である。
「変動中」に行われる示唆演出は、更に「リーチ前」「リーチ後」「リーチ終了後」のタイミングに分けられる。
「リーチ前」としては、更に変動開始の契機となる入賞時(タイミング10)、低速変動時(タイミング11)、高速変動時(タイミング12)、装飾図柄のうちの一つとして例えば左図柄が停止するタイミングとされた第1図柄停止時(タイミング13)、疑似連2回目(タイミング14)、疑似連3回目(タイミング15)、疑似連4回目(タイミング16)に更に細かく分類される。なお、疑似連回数は例として4回である例を挙げたが、5回目以降の疑似連があってもよい。その場合には、適宜示唆演出の実行が可能な演出タイミングが追加される。
「リーチ後」としては、例えば左図柄が停止した状態で右図柄が停止するタイミングとしての第2図柄停止時、即ち、リーチ発生タイミング(タイミング17)、ノーマルリーチが発生した後に例えば中図柄が停止するまでの間とされた当落煽り演出実行時(タイミング18)がある。更に、「リーチ後」としては、第1種スーパーリーチの発生後におけるタイトル表示中(タイミング19)、当落煽り演出実行中(タイミング20)、演出が発展するか否かを報知する煽り演出中(タイミング21)、第2種スーパーリーチの発生後におけるタイトル表示中(タイミング22)、当落煽り演出実行中(タイミング23)がある。
なお、第1種スーパーリーチ演出では演出が発展するか否かを報知する煽り演出が実行されることがあるが、この抽選に当選し演出が発展した場合に実行されるのが第2種スーパーリーチである。即ち、第1種スーパーリーチが発展して第2種スーパーリーチが実行される。ここでは、第2種スーパーリーチの方が第1種スーパーリーチよりも当選期待度が高い演出とされている。例えば、前述のスーパーリーチ4は、第1種スーパーリーチから第2種スーパーリーチへと発展する演出態様を備えたスーパーリーチ種別とされる。
「リーチ終了後」のタイミングとしては、再抽選演出時(タイミング24)と、例えば左図柄と右図柄が停止した状態で中図柄が停止するタイミングとなる全図柄停止時(タイミング25)がある。
以上から理解されるように、「変動中」に実行される示唆演出についての実行タイミングは、更に細かく分けるとタイミング10~25の16種類に分けられる。
リーチ前の入賞(変動開始)タイミングとしてのタイミング10は、変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドを演出制御部24が受信することにより把握することが可能である。タイミング11~25の各タイミングについては、変動パターン指定コマンド及び装飾図柄指定コマンドに含まれる情報に基づいて演出制御部24が時系列的な展開(演出内容)を決定するため、自ずと把握することができる。
続いて、「大当り中」に属する各タイミングについて説明する。大当り中とは、大当り遊技後に確変状態へと遷移せずに通常状態へと遷移する通常大当りの遊技中や、大当り遊技後に確変状態へと遷移する確変大当りの遊技中などを含む。
「大当り中」に属するタイミングとしては、「オープニング演出中」「ラウンド中」「パターンAのエンディング中」「パターンBのエンディング中」の4種類に更に分けられる。
「オープニング演出中」としては、大当り報知演出中(タイミング26)、右打ち指示(報知)中(タイミング27)に分けることが可能である。
「ラウンド中」については、各ラウンド(1~7R)に分けられる。一例として、1R遊技中については液晶表示装置36を用いたバトル演出が行われている間(タイミング28)、2R遊技中についてもバトル演出中(タイミング29)、3R遊技中についてはバトル演出中(タイミング30)及びオーバー入賞発生時(タイミング31)、4R遊技中については勝利・敗北演出中(タイミング32)、5R遊技中については短時間開放のVラウンド中(タイミング33)、6R遊技中についてはキャラ紹介演出中(タイミング34)、7R遊技中についてもキャラ紹介演出中(タイミング35)に分けることができる。
オーバー入賞とは、1ラウンド中に大入賞口50に入賞可能な入賞数として予め規定されている規定入賞数に対して、それよりも多くの遊技球が大入賞口50に入賞することである。例えば、1ラウンド中の規定入賞数が10球である場合に、9球が入賞した状態で10球目と11球目が略同時に大入賞口50付近に到達した場合には、オーバー入賞となる可能性があり得る。
即ち、タイミング31は、オーバー入賞が発生したことを契機としたタイミングである。
勝利・敗北演出とは、例えば液晶表示装置36上でキャラクタ同士が対決する演出であり、通常大当りの場合は敗北演出が実行され、確変大当りの場合は勝利演出が実行されることが考えられる。また、通常大当りに見せかけているが、内部では確変大当りとされている場合には、勝利演出が実行されることにより遊技者に確変大当り遊技中であると報知してもよい。
Vラウンドとは、1~7Rのうちの特定のラウンドであり、遊技球を入賞させることで大当り遊技後の遊技状態を確変状態とするための特定の入賞口が所定時間開放されるラウンドである。即ち、Vラウンドとされたラウンド中に所定時間開放された特定の入賞口に遊技球を入賞させることで、大当り遊技後に確変状態へと遷移することができる。
「パターンAのエンディング中」としては、大当り後の移行モードが表示されるモード表示演出時(タイミング36)、IC取り忘れの注意喚起表示時(タイミング37)、企業ロゴ表示時(タイミング38)に分けることができる。
また、「パターンBのエンディング中」としては、大当り後の移行モードが表示されるモード表示演出時(タイミング39)、IC取り忘れの注意喚起表示時(タイミング40)、のめり込み注意喚起の表示中(タイミング41)、企業ロゴ表示時(タイミング42)に分けることができる。
以上に示すように、タイミング01~42で示される42種類のタイミングにおいて、先の演出01~21の各示唆演出が実行され得る。以降では、具体的な演出態様を例示して説明する。
なお、各ラウンドで実行されるバトル演出や勝利・敗北演出はあくまで一例であり、必ずしもこの通りの演出が実行されなくてもよい。また、ラウンド数(1~7R)についても一例であり、1~10Rの遊技が可能な通常大当りや確変大当りなどであってもよい。
大当りの開始タイミング、即ち、オープニング演出の開始タイミングとしてのタイミング26は、大当り開始コマンドを受信することにより演出制御部24は把握することができる。タイミング27については、大当り報知演出に要する時間を演出制御部24は把握しているため、自ずとタイミング27の到来を知ることができる。
1R~7Rそれぞれの開始タイミングとしてのタイミング28~35は、主制御部20からラウンド開始コマンドやラウンド終了コマンドを演出制御部24が受信することにより把握することができる。
パターンAのエンディング中に属する各タイミング(タイミング36~38)、及び、パターンBのエンディング中に属する各タイミング(タイミング39~42)については、大当り終了コマンドを主制御部20から受信することで、演出制御部24は把握することができる。
[9-3.演出例]
図84は、19種類の示唆演出(演出01~19)と42種類のタイミング(タイミング01~42)の関係を例示したものである。図中における○印は示唆演出が行われることを示すものである。具体的には、演出01はタイミング02~09の各タイミングで実行され得る。
(演出01)
演出01の具体例としては、枠役物を用いた示唆演出が考えられる。例えば、枠役物が振動する設定値示唆演出を行うものである。タイミングとしては、タイミング02~09とされており、「客待ち中」の状態にある遊技機1において実行される。
「客待ち中」とされた遊技機1に対して遊技者が各ボタン等の操作子に触れたことを遊技機1は検知し、演出01の実行可否について抽選を行う。該抽選に当選した場合には、演出01としての示唆演出が実行される。
ここで、設定値Veが高設定なほど、演出01の実行可否についての当選確率が高く設定されており、演出01が実行された遊技機1に対する遊技者の遊技意欲を高めることができる。
図85に具体的な処理の流れの一例についてフローチャートを示す。
演出制御部24(CPU241)は、ステップS3101において、現在が演出01の実行に適切なタイミングであるか否かを判定する。即ち、現在の状況がタイミング02~09の何れかにある場合(S3101:Yの場合)は続くステップS3102に進み、それ以外のタイミングであれば(S3101:Nの場合)、図85に示す一連の処理を終了する。
ステップS3102では、演出制御部24は、実行フラグが0であるか否かに応じて分岐する処理を実行する。実行フラグは、「0」が演出01を実行していないことを示し、「1」が演出01を既に実行済みであることを示す。
図85に示す示唆演出01のための各処理は、例えば、演出制御メイン処理(図41)や演出制御タイマ割込み処理(図44)などにおける適所で実行され得る。その場合には、図85に示すステップS3101から続く各処理を実行した後、数msec後に再びステップS3101から続く各処理を実行することになる。即ち、例えば一度客待ち中の状態に遷移した遊技機1に対して、客待ち中の状態から他の状態へ遷移するまでの間に何度も図85に示す一連の処理が実行される可能性が生じる。仮に数msecの間隔で図85の処理が実行され、そのたびに演出01についての実行可否抽選に当選してしまうと、演出01がひたすら実行され続けてしまうことになるため、遊技機1の枠役物が継続的に振動し続ける状態となり、遊技者にとっても適切とは言えない示唆演出01となってしまう。
そこで、本実施の形態では、ステップS3102において実行フラグが「0」であるか否かを判定し、「0」である場合には、演出制御部24はステップS3103において実行フラグを「1」に変更する処理を行う。また、実行フラグが「1」である場合(S3102:Nの場合)には、その後の各処理を行わずに図85の処理を終了する。これにより、示唆演出としての演出01が過剰に発生してしまうことを防止し、適切に現出させることができる。
なお、図85に示す各処理においては、実行フラグを「0」に戻す処理は含まれていない。実行フラグは、例えば、客待ち中の状態から他の状態に遷移することが確定した場合に0へと戻される。例えば、変動パターン指定コマンドを主制御部20から受信した場合には、客待ち中の状態から抜けることが確定するため、該コマンドを受信したタイミングで示唆演出01のために設けられた実行フラグに「0」を設定する。これにより、再度客待ち中の状態へと遷移した場合に、図85に示す処理が実行されて、適宜示唆演出としての演出01が実行され得る。換言すれば、演出01は、客待ち中の状態へ一度遷移するごとに1回だけ実行される可能性がある。
なお、実行フラグは以降に説明する各示唆演出においても出てくるが、それぞれの示唆演出で異なる実行フラグを有している。即ち、演出01に用いられる実行フラグと、演出02に用いられる実行フラグは異なるフラグとされている。
また、遊技機1に実装されていない示唆演出についての実行フラグは備えていない。そして、遊技機1に実装された示唆演出が一つだけの場合(例えば、示唆演出としては演出01のみを実行可能な遊技機1である場合)は、実行フラグを一つ備えていればよく、演出ごとに異なる実行フラグを有するということ自体考慮する必要が無いことは言うまでもない。
実行フラグに1をセットした演出制御部24は、続くステップS3104において、演出01の発動契機となる操作子が操作されたか否かを判定する。発動契機となる操作子とは、本実施の形態では、例えば、演出ボタン13などである。
操作子が操作されていない場合(S3104:Nの場合)、演出制御部24は図85に示す一連の処理を終了する。
また、操作子が操作されていた場合(S3104:Yの場合)、演出制御部24は、続くステップS3105で設定値VeをRAM243などから取得し、ステップS3106で設定値Veに応じた抽選を行う。演出01についての設定値Veに応じた当選確率は、例えばテーブルなどの状態でROM242などに記憶されている。以降の各演出で用いられるそれぞれのテーブルについても、ROM242等に保存されているものであり、都度の説明は省略する。
続いて、演出制御部24はステップS3107で、演出01の実行可否についての抽選に当選したか否かを判定する。落選していた場合(S3107:Nの場合)、演出制御部24は図85に示す一連の処理を終了する。当選していた場合(S3107:Yの場合)、演出制御部24はステップS3108で、演出01を実行するために枠役物を振動させるためのシナリオ登録を行い、図85に示す示唆演出01実行処理を終了する。
上述したように、一度演出01としての示唆演出が実行された場合には、当該遊技機1が遊技され次に再度「客待ち中」の状態に遷移するまでは再度の抽選は行わず、演出01としての示唆演出は行われない。
これにより、抽選や演出01の実行に係る遊技機1の処理負担が軽減される。
なお、枠役物のイニシャライズ処理が実行されているタイミング01としての期間は演出01を現出させない。これは、演出01に用いられる枠役物のイニシャライズ処理中は、枠役物を駆動させるために必要な変数等が不整合な状態となる瞬間があるためであり、当該枠役物を用いた演出を行うことによって、遊技機1が正常に動作しない状況に陥る可能性があるためである。即ち、演出01が枠役物を振動させるなど示唆演出である場合には、枠役物のイニシャライズ期間(タイミング01)には実行しないようにすることで、不具合の発生の防止を図るものである。
(演出02)
演出02の具体例としては、液晶表示装置36を用いた示唆演出が考えられる。演出内容としては、例えば、何らかの点数が表示される演出が行われ、設定値Veが高いほど100点(100点満点中)などの高い点数が表示されるように構成されている。
演出02としての示唆演出は、「客待ち中」の状態にある遊技機1や「リーチ前」の状態にある遊技機1において実行される。
一例として、図84に示す表では、演出02としての示唆演出は、「客待ち中」の状態における音量・光量報知(タイミング04)、機種紹介の表示中(タイミング05)、企業ロゴの表示中(タイミング06)とのめり込み注意喚起の表示中(タイミング07)、更に変動中でありリーチ前の状態のうち、メニュー画面の第1層が表示されている間(タイミング08)、変動開始の契機となる入賞時(タイミング10)、低速変動時(タイミング11)、高速変動時(タイミング12)の各タイミングで実行され得る。
なお、メニュー報知(タイミング03)は、例えば保留球数が0個の状態で5秒などの所定時間上始動口34への入賞が発生しなかった場合に実行される演出であるため、遊技者が遊技している間に(即ち発射操作ハンドル15を握っている状態で)実行される可能性がある。特に、長時間遊技している場合には、遊技中にメニュー報知のタイミングが何度か到来する可能性が高い。
メニュー報知は、コンスタントに上始動口34に遊技球が入賞していない状態を遊技者に認識させてしまう演出であり、そのようなタイミングで演出02としての示唆演出を行っても、遊技者に有効な演出となるかどうかは分からず、かえって遊技意欲の低下を招きかねない演出となってしまう虞がある。そのために、タイミング03とされたメニュー報知のタイミングでは、演出02とされた本示唆演出は行わないこととしている。
また、音量・光量報知(タイミング04)は、例えば保留球数が0個の状態で15秒などの比較的長い期間上始動口34への入賞が発生しなかった場合に実行される演出であるため、遊技者が遊技している間に実行される可能性が低い。即ち、遊技者が発射操作ハンドル15から手を離して休憩している状態である可能性が高い。従って、そのようなタイミングで本示唆演出を行うことで、遊技者を遊技状態へ引き戻す効果を期待することができる。
演出02としての示唆演出を客待ち中に行う場合には、遊技者が演出ボタン13などに触れたことに応じて実行するようにしてもよい。これは、遊技者が何れの遊技機を遊技するか決めるために通路を歩きながら各台をチェックしているときに、ふと遊技機1の演出ボタン13等に触れることを想定している。
このようなタイミングで演出02としての示唆演出を行う場合、本示唆演出によって遊技者に提示される液晶表示装置36上のポイント表示は、遊技者による運試し(或いは験担ぎ)の要素を孕んでいる。即ち、遊技者は本演出02が搭載された各遊技機1において、演出02を発生させるための操作を行い、液晶表示装置36上に表示されたポイント表示が高ポイントとされた遊技機1を縁起がよいとして遊技を開始することが考えられる。
そのような状況を鑑みると、メニュー画面の第1層が表示されている間(タイミング08)は、遊技者が1回の操作を行うだけで到達できるタイミングであるため、本示唆演出を実行するのに相応しいタイミングといえる。
一方、メニュー画面の第2層が表示されている間(タイミング09)は、遊技者が2回以上の操作を行わないと到達できないタイミングであるため、本示唆演出を気軽に発生させたい遊技者にとっては相応しくないタイミングである虞がある。
従って、本実施の形態では、タイミング09は演出02としての示唆演出は実行しないこととしている。
具体的な処理の流れの一例について、図86を参照して説明する。
演出制御部24は、先ずステップS3111で、演出02の実行に適切なタイミングであるか否かを判定する。即ち、現在の状況がタイミング04~08、10~12の何れかである場合は、ステップS3112に進み、それ以外のタイミングであれば図86に示す一連の処理を終了する。
演出02を実行するタイミングとして問題ない場合、演出制御部24はステップS3112で、実行フラグが0であるか否かを判定する。
実行フラグは、演出02を既に実行済みである場合は「1」とされ、未実行である場合は「0」とされる。以降の各演出における実行フラグについても、意味合いは同じであり、実行済みである場合は「1」とされ、未実行である場合は「0」とされる。
実行フラグが「1」である場合、演出制御部24は図86に示す一連の処理を終了する。
一方、実行フラグが「0」である場合、演出制御部24はステップS3113で実行フラグに「1」を設定し、続くステップS3114で設定値Veを取得し、ステップS3115で設定値Veに応じた抽選を行う。これにより、演出02を実行するか否かを決定する。なお、当該抽選では、演出02を実行するか否かだけでなく、実行する場合に液晶表示装置36上に表示するポイント数も抽選する。何れのポイント数が当選しやすいかは、上述のように設定値Veによって異なるものとされる。
設定値Veによる演出02についての当選確率や表示するポイント数については、テーブルとして例えばROM242に保存されている。
演出制御部24は続くステップS3116で先の抽選結果に当選したか否かを判定し、落選していた場合は、処理を終了する。
演出02の実行抽選に当選していた場合、演出制御部24はステップS3117で演出制御部40にコマンドを送信する。
これにより、液晶表示装置36上にポイントが表示され、演出02としての示唆演出が遊技機1において実現される。
具体的に、図123を参照して説明する。図123は、図面上の上から下に向かって時系列に沿って配置されている。タイムチャートには、客待ち中の直前の状態から客待ち中における遊技機1の遊技状態の遷移について記載されている。また、客待ち中に遷移してから各状態に遷移するまでに要する時間が記載されている。例えば、客待ち中に遷移すると、先ず、変動開始待ちが開始され、液晶表示装置36は図柄停止画像状態となる。図柄停止状態が15秒続いた後、操作報知を行うための制御が開始され、液晶表示装置36上にはメニュー報知を示す画像が表示される。更に15秒経過すると、液晶表示装置36上には音量・光量報知を示す画像が表示される。
図123には、それぞれの状態で液晶表示装置36上に表示される画像の一例が記載されている。各画像には(a)~(f)の符号が振られており、各状態との対応関係が示されている。
図123に示す各画像が液晶表示装置36上に表示される遊技機1において演出02を実行する場合の具体例について説明する。例えば、画像(a)のような図柄停止画像が液晶表示装置36上に表示されている間や、画像(b)のようなメニュー報知や音量・光量報知が液晶表示装置36上で表示されている間には、設定値示唆演出は行われない。
但し、画像(b)のようなメニュー報知が行われている状態において、遊技者がメニュー画面を表示させるために演出ボタン13を押下した場合には設定値示唆演出を行う。
図123の画像(b)が液晶表示装置36上に表示されている状態において、遊技者が演出ボタン13を押下した場合、図124の画像(g)のようなメニュー画面の第1層が液晶表示装置36上に表示される。即ち、画像(g)が液晶表示装置36上に表示されているタイミングは図83に示すタイミング08とされている。
画像(g)には、遊技者が操作子を用いて選択可能なメニューと共に、「72点」という点数が表示されている。この数値は、前述のように、設定値Veが高いほど高い点数が表示されるものである。
(演出03)
演出03の具体例としては、客待ち中且つデモ画面表示中に液晶表示装置36を用いて行う示唆演出が考えられる。本実施の形態では、デモ画面表示中としては、タイミング05~07とされている。
例えば、デモ画面表示中に液晶表示装置36を用いた特定の画像演出の出現確率は、設定値Veが高いほど高くなるようにされている。従って、該特定の画像演出が出現するか否かに基づいてその遊技機1を遊技するかどうかを決定することができる。
特に、該画像演出がデモ画面表示中に液晶表示装置36を用いて実行されることにより、遊技中でない遊技機1であっても遊技者の遊技意欲を惹起させることができるため、空席となった遊技機1を少なくすることができ、遊技機1の稼働率を上昇させることが可能となる。
また、このような設定差のある演出は、遊技機1の電源投入後所定回数の装飾図柄変動表示ゲームが行われた後に出るようにしてもよい。具体的には、500回の装飾図柄変動表示ゲームが終わるまでは設定値Veによらず一定の確率で該画像演出が実行され、500回の装飾図柄変動表示ゲームが終わった後にデモ画面表示状態に遷移した場合には設定値Veに応じて異なる出現率とされた該画像演出が実行されるように構成されていてもよい。また、500回の装飾図柄変動表示ゲームが終わるまでは該特定の画像演出が出現しないように構成されていてもよい。
このような構成であれば、ある程度の時間遊技された後(少なくとも500回以上の装飾図柄変動表示ゲームが実行された後)に放置された遊技機1であっても、デモ画面表示中に該画像演出が実行されることにより、遊技者の遊技意欲を惹起させることができ、遊技機1を再び稼働中に戻すことができる。
具体的な処理手順の一例について、図87を参照して説明する。
図87は、図43のコマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130f)であり、具体的には、デモ表示コマンドを主制御部20から受信したことに応じて実行されるものである。
具体的には、演出制御部24はステップS3121で実行フラグに「1」をセットする処理を行う。この実行フラグは、前述の各演出における実行フラグとは別に設けられるものである。以降の各演出(演出04以降の各演出)においても同様の実行フラグが用いられるが、それぞれの演出で異なるフラグとされている。
演出03のための実行フラグは、図87には図示していないが、デモ画面表示が終了したタイミングで「0」へと書き戻される。具体的には、上始動口34に遊技球が入賞することにより液晶表示装置36上で装飾図柄変動表示ゲームが開始された場合などに該フラグは「0」へと書き戻される。
続いて、演出制御部24はステップS3122で、電源投入後に実行された特別図柄変動表示ゲームが500回以上であるか否かを判定する。電源投入後に実行された特別図柄変動表示ゲームが500回に満たない場合、演出制御部24はステップS3127の通常のデモ画面表示のためのコマンド送信を液晶制御部40に対して行う。これにより、液晶表示装置36上に示唆演出ではない通常のデモ画面が表示される。
一方、特別図柄変動表示ゲームが500回以上であると判定した場合、演出制御部24はステップS3123で設定値Veを取得し、ステップS3124で設定値Veに応じた抽選を行う。該抽選処理では、設定値Veが高いほど当選確率が高く設定されている。
次に、演出制御部24はステップS3125で、先の抽選に当選したか否かを判定し、当選していた場合はステップS3126で演出03としてのデモ画面表示のためのコマンド送信を液晶制御部40に対して行う。一方、先の抽選に落選していた場合、演出制御部24はステップS3127で通常のデモ画面表示のためのコマンド送信を行う。
上記の処理を行うことにより、液晶表示装置36上に何れかのデモ画面が表示されると共に、遊技者は液晶表示装置36上に表示されたデモ画面の種類を視認することにより設定値Veの推定が可能とされる。
(演出04)
演出04の具体例としては、遊技球の入賞時(タイミング10)に発生させる示唆演出であり、可動体役物を動作させる演出などである。また、入賞時の中でも、電源投入後の最初の変動開始タイミングとなる入賞時のみに実行する。また、演出種別としては、「設定値変更示唆演出」とされている。
即ち、遊技者は、ホールの開店後に一度も装飾図柄変動表示ゲームが行われていない遊技機1を遊技し、当該演出04が発生するか否かを確認することで、前日の設定値Veが新たな設定値Veへと変更されているか、前日の設定値Veがそのまま変更されずに据え置かれているかを推測できることとなる。
このような演出04が実行可能とされていることで、前日の出玉率が低い遊技機1であっても遊技対象として選択されやすい状況を作ることができる。即ち、遊技機1の稼働率の向上を図ることができる。
なお、演出04は、設定値Veを変更した後の最初の装飾図柄変動表示ゲームの開始時(即ち最初の入賞時)に必ず発生するように構成されていてもよい。
また、例えば設定値4から設定値4へ変更した場合には、演出04が実行されるように構成されていてもよいし、同じ設定値Veであることから演出04が実行されないように構成されていてもよい。
また、上述した構成とは逆の構成として、設定値Veを変更せずに電源の投入が行われた後の最初の装飾図柄変動表示ゲームの開始時に演出04が発生するように構成されていてもよい。
なお、ボタンを振動可能な可動体役物として捉え、ボタンを振動させることにより演出04を実行してもよい。
具体的な処理の流れの一例について、図88を参照して説明する。なお、あくまで一例であるが、演出制御部24が主制御部20から装飾図柄指定コマンドを受信したことによって演出04を現出させるための処理(S2130b)が実行される。
本例では、演出制御部24が装飾図柄指定コマンドを受信した際に実行する処理(図43C)に演出04を実行するための処理を加えたものである。従って、図43Cを用いて説明した部分については重複をさけるために詳述を省く。
演出制御部24は、ステップS2132~S2136を実行することにより、変動パターン指定コマンドの受信確認、役物原点補正のためのシナリオ登録、図柄変動フラグのセット、変動開始処理、変動パターン指定コマンドの削除を行う。
続いて、演出制御部24はステップS3131にて、当該特別図柄変動表示ゲームが電源投入後最初の変動であるか否かを判定する。
電源投入後最初の変動である場合(S3131:Yの場合)、演出制御部24は続くステップS3132で可動体役物を動作させる演出04を実行するためのシナリオ登録を行う。
一方、電源投入後最初の変動でなかった場合(S3131:Nの場合)、演出制御部24は図88に示す一連の処理を終了する。
(演出05)
演出05の具体例としては、液晶表示装置36を用いた画像演出及び音響発生装置46aを用いた音演出を実行するものである。リーチ前とされたタイミング10~13の各タイミングにおいて、例えば、遊技機1で実行される画像演出に出てくる登場人物同士の会話において、所定確率で通常のセリフから示唆演出用の特定のセリフへと変更された示唆演出が実行される。所定確率は、設定値Veによって異なる確率(即ち高設定値ほど所定確率が高くされる)とされていてもよいし、設定値Veによらず同一確率とされていてもよい。同一確率とされている場合には、設定値Veによってセリフの内容等が変わる示唆演出とされていてもよい。
装飾図柄変動表示ゲームの開始ごとに演出05を行うか否かが判定され、該判定結果に応じて適宜実行されることにより、遊技機1の遊技を続けるか否かを適切に判断できる判断材料を遊技者に提供することが可能となる。
具体的な処理内容の一例について、図89に示す。
演出制御部24はステップS3141で演出05の実行に適切なタイミングであるか否か、即ちタイミング10~13の何れかに該当するか否かを判定する。
適切なタイミングではないと判定した場合(S3141:Nの場合)、演出制御部24は図89に示す一連の処理を終了する。一方、適切なタイミングと判定した場合(S3141:Yの場合)、演出制御部24はステップS3142で実行フラグが「0」であるかを確認し、実行フラグが「0」でない場合は、処理を終了する。
実行フラグが「0」である場合、演出制御部24はステップS3143で実行フラグに「1」を設定し、続くステップS3144で演出05を実行するか否かの抽選を行う。この例では、設定値Veによらず一定の確率で示唆演出としての演出05が実行されることとなる。
続いて、演出制御部24はステップS3145で、該抽選に当選したか否かに応じて処理を分岐する。落選していた場合は、演出制御部24は図89に示す各処理を終了させ、当選していた場合は演出制御部24はステップS3146で設定値Veを取得し、ステップS3147で設定値Veに応じた会話選択を行う。会話選択では、設定値Veに応じて選択確率が異なる複数の会話から一つを選択する。例えば、複数の会話として会話1,会話2、会話3の3種類が用意され、設定値1では会話1~3をそれぞれ65%、30%、5%の確率で選択する。設定値6では会話1~3をそれぞれ10%、15%、75%の確率で選択する。
このような構成とすることで、遊技者は会話3が視認できた場合には設定値6の可能性が高いことを認識することができ、会話1が視認できた場合には設定値1の可能性が高いことを認識することができる。
(演出06)
演出06の具体例としては、変動中の各タイミング(タイミング10~25)で装飾ランプ45やLED装置などの光表示装置45aを用いて示唆演出を行う。具体的には、光表示装置45aを一定時間(例えば0.2秒など)点灯させることにより演出を行うが、発光色を設定値Veによって変化させる。設定値Veによって一意に発光色を決定してもよいし、設定値Veによって選択されやすい発光色が異なるように構成してもよい。
また、光表示装置45aとして複数のLED等の光源を遊技機1が備えている場合に、設定値Veによって演出に用いる光源を変えてもよいし、設定値Veによって異なる光源が演出に用いられやすいように構成してもよい。
また、光表示装置45aとして各種設けられたLEDの中から設定値Veによって演出に用いる光源を変化させるだけでなく、その発光色を変化させてもよい。
更に、上述した一定時間を設定値Veによって変えてもよい。他にも、1回の変動中におけるタイミング10~25のうち、複数のタイミングで発光演出を行うように構成し、設定値Veによって1変動中における演出回数を変えるようにしてもよい。具体的には、設定値1の場合は、タイミング10~25のうちの1~3個のタイミングで発光演出が行われやすく、設定値6の場合はタイミング10~25のうちの6~8箇所のタイミングで発光演出が行われやすいように構成する。勿論、上述した発光色や演出に用いる光表示装置45aの数を更に組み合わせた演出としてもよい。
これにより、1変動中に多くの発光演出が行われるほど、高設定値である期待度が高まる。従って、当該変動中に期待度が低い演出を実行中であっても、演出06としての示唆演出が現出した場合には、遊技者は興味を失わずに遊技を続けることができる。
具体的な処理手順について、図90を参照して説明する。なお、これまでの各演出例と同様の処理については、場合によって詳述を省略する。
演出制御部24はステップS3151で演出06を実行するのに相応しいタイミングであるか否かを判定し、ステップS3152で実行フラグが「0」であるか否かを判定する。
相応しいタイミングであり実行フラグが「0」であると判定した場合、演出制御部24はステップS3153で実行フラグに「1」を設定し、ステップS3154で設定値Veを取得し、ステップS3155で設定値Veに応じた抽選を行う。
この抽選では、設定値Veに基づいて、どの光源を用いるか、どのような表示態様(1回点滅、或いは2回点滅等の点灯パターン)を採用するか、などを決定する。
該抽選では、何れの光源についても点灯させない(=落選)という抽選結果もあり得る。
続いて、演出制御部24はステップS3156で、抽選結果の当落に基づいて分岐し、当選の場合には、ステップS3157で光演出を行うためのシナリオ登録を実行する。
このような処理により、示唆演出としての演出06が実行される。
なお、ステップS3153で「1」へと変更された実行フラグは、当該タイミングが終了した段階で「0」へとクリアされる。例えば、入賞(変動開始)のタイミングとされたタイミング10で演出06が実行されて実行フラグが「1」へと変更された場合、タイミング10としての期間が終了し次のフェーズ(例えばタイミング11)へと遷移した際に実行フラグが「0」へと戻される。これにより、タイミング11で再度演出06を実行することが可能となる。
(演出07)
演出07の具体例としては、液晶表示装置36上の特定の領域に停止表示される左、中、右の3箇所の装飾図柄のうち、一つ目の装飾図柄が停止するタイミング(タイミング13)、疑似連2回目と3回目のタイミング(タイミング14,15)、二つ目の装飾図柄が停止するタイミング(タイミング16)の何れかにおいて、停止した装飾図柄の種類が設定値Veに応じたものとなる示唆演出を行う。
例えば、設定値6であった場合には、一つ目に停止した装飾図柄と二つ目に停止した装飾図柄が共に6とされたリーチ演出(リーチ変動パターン)が実行される確率が他の設定値(1~5)よりも高くされている。
また、リーチ演出は実行されないが(即ち通常変動パターンを介して)三つの装飾図柄が全て停止した状態において、特定の並び順(例えば左図柄が1,中図柄が2,右図柄が3を模した装飾図柄)の出現率が設定値Veによって異なるものとされることにより示唆演出が行われてもよい。
リーチ演出の結果はずれたとしても、高設定値であることが期待される停止態様とされていた場合には、遊技者の遊技意欲を損なわずに済む。
また、リーチ演出を介して全ての装飾図柄が停止され大当りとなった場合に、大当りとなった装飾図柄の出現率に設定値Veに応じた差を設けてもよい。例えば、6を模した装飾図柄が三つ揃って大当りとなる確率は高設定値であるほど高い確率とされる。
当り種別が遊技者にとって不本意なものであっても、高設定値であることが期待される停止態様とされていた場合には、遊技者の遊技意欲を損なわずに済む。
具体的な処理について、図91を参照して説明する。なお、図91は、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130b)である。
先ず、演出制御部24はステップS2132乃至S2134の各処理を実行する。これらの処理は既に説明済みのため、詳述を避ける。
続いて、演出制御部24は、ステップS3161で設定値Veを取得し、続くステップS3162で変動開始処理を実行する。
本例における変動開始処理は、設定値Veに基づいて行われる。即ち、設定値Veに基づいて変動パターンの抽選を行うか否かを判定し(即ち変動パターンに設定値示唆を盛り込むか否かを判定し)、盛り込むと決定した場合に、設定値Veに基づく変動パターン抽選を行い、抽選の結果選択された変動パターンを開始するための処理(シナリオの登録や液晶制御部40へのコマンド送信など)を行う。
これにより、例えばリーチ演出を実行する際に設定値Veに応じた装飾図柄がテンパイする。また、大当りを報知するために三つの装飾図柄が揃った状態を表示する場合には、設定値Veに応じた装飾図柄が停止表示される。
なお、リーチ演出や大当りの報知演出の際に必ず設定値Veを用いた変動パターンの抽選を行うわけではない。従って、リーチ演出や大当り報知演出の一部は、設定値Veによらない変動パターンの抽選を行う。この場合は、設定値Veを用いずに主制御部20から受信した変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドの内容に基づいて変動パターンの抽選を行う。
続いて、演出制御部24はステップS2136において、変動パターン指定コマンドの削除を行い、図91に示す一連の処理を終了する。
(演出08)
演出08の具体例としては、はずれ変動パターンのうち最も短い演出とされた「通常変動4s」において、高設定値ほど停止した装飾図柄の数字が大きな数字となりやすいように構成することにより、該「通常変動4s」の変動パターンを示唆演出の一態様とする。
また設定値Veの値に応じた装飾図柄が停止しやすい態様とすることもできる。具体的には、設定値3であれば3を模した装飾図柄が停止しやすいということである。
また、ノーマルリーチを介したはずれの変動パターンにおいて、同様の装飾図柄が停止しやすい態様としてもよい。
示唆演出の実行タイミングとしては、第2図柄停止時(タイミング17)やノーマルリーチ発生時の当落煽り演出時(タイミング18)などが挙げられる。
演出08では、はずれの変動パターンであっても停止する装飾図柄の態様によっては高設定値の期待感が得られ、遊技意欲の減衰を防止することが可能である。
具体的な処理について、図91を参照して説明する。なお、ステップS2132~S2134の各処理については説明を省く。
演出制御部24はステップS3161で設定値Veを取得し、続くステップS3162で変動開始処理を行う。
変動開始処理においては、変動パターンの抽選結果がリーチ演出を含まない「通常変動4s」である場合に、設定値Veに応じて装飾停止図柄が決定され、それに応じたシナリオ登録や液晶制御部40へのコマンド送信などが行われる。
これにより、設定値Veに応じて選択された装飾図柄が液晶表示装置36上の所定位置に停止表示され、遊技者は設定値Veを推測することができる。
(演出09)
演出09の具体例としては、第1種スーパーリーチのタイトル表示中(タイミング19)や第2種スーパーリーチのタイトル表示中(タイミング22)において、液晶表示装置36にタイトル画像の一つとしてデンジャー柄などの特殊な画像(高期待値とされる画像)が表示された場合に、設定値Veに応じて大当りの当選確率が異なるものとされている。
液晶表示装置36だけでなく、音響発生装置46aや光表示装置45aなどもこの示唆演出に用いられる。
例えば、設定値Veが高いほど該示唆演出が出現した後の当選確率が低く設定されていてもよい。
また、設定値2~6までは大当りの当選確率が同じであるが、設定値1については大当りの当選確率が100%とされていてもよい。即ち、デンジャー柄などの特殊な画像がタイトル画像として表示されたにも関わらず大当りではなくはずれであった場合、遊技者は遊技意欲を失うことが考えられるが、この構成によれば、少なくとも最も遊技者に不利とされる設定値1である可能性が消失するため、遊技意欲の減衰を防止や遊技意欲の向上を図ることができる。即ち、抽選結果が大当りであってもはずれであっても遊技意欲を高めることができる。
具体的な処理について、図91を参照して説明する。なお、ステップS2132~S2134、S2136の各処理については説明を省略する。
演出制御部24はステップS3161で設定値Veを取得した後、ステップS3162で設定値Veに基づく変動開始処理を実行する。
該変動開始処理では、設定値Veに応じた演出態様の抽選が行われる。
例えば、設定値Veが1であり、大当り抽選の抽選結果が「はずれ」である場合には、例えばデンジャー柄のタイトル表示を行わず、他の態様でタイトル表示を行うように抽選を行う。
また、設定値Veが6であり、大当り抽選結果が「はずれ」である場合には、デンジャー柄のタイトル表示が選択される可能性を有する抽選を行う。
例えば、図92に示すようなテーブルを用いることにより実現可能である。第1種スーパーリーチには、例えば、タイトル1、タイトル2、タイトル3(デンジャー柄)の3種類のタイトル画面が用意されている。タイトル1よりもタイトル2の方が信頼性(大当り抽選に当選している可能性)が高く、タイトル2よりもタイトル3の方が信頼性が高くされている。
図92は、大当り抽選にはずれ、且つ、第1種スーパーリーチを実行する場合(第1種スーパーリーチを実行するか否かの抽選に当選した場合)に、タイトル1,2,3の振り分け確率を示すものである。具体的には、分母を65536とした場合の分子の数値が記載されており、はずれ、設定値Ve=1、タイトル1の欄に記載された45536は、45536/65536の確率で出現することを示している。また、最も右側の欄は、タイトル3の出現率とされており、設定値Veに応じたそれぞれの大当り当選確率や第1種スーパーリーチの出現確率等を考慮して算出されるものである。例えば、設定値Ve=2とされ、大当り抽選にはずれ、第1種スーパーリーチの実行可否に当選し、更にデンジャー柄が出現するタイトル3に当選した状態が出現する確率は1.5e-6(1.5×10^-6)とされている。
図92から理解されるように、第1種スーパーリーチとしてデンジャー柄を含むタイトル3が液晶表示装置36上に出現した場合の信頼度(大当り抽選に当選する期待度)は、設定値6よりも設定値1の方が高くされている。
即ち、上述のように設定値1ではデンジャー柄などの特殊な画像がタイトル画像として表示された場合には大当り確定演出となり、設定値6では同様の演出が大当り確定ではない演出となる。
(演出10)
演出10の具体例としては、特定のリーチ(例えば第1種スーパーリーチや第2種スーパーリーチ)の出現率が設定値Veの値によって異なる態様とされる。
演出タイミングとしては、第1種スーパーリーチに係るタイミング(タイミング19~21)と第2種スーパーリーチに係るタイミング(タイミング22,23)とされている。
液晶表示装置36だけでなく、音響発生装置46aや光表示装置45aなどもこの示唆演出に用いられる。
例えば、第1種スーパーリーチとして複数あるリーチ態様のうちの少なくとも一つが設定値Veの奇数/偶数に応じて異なる出現率とされる。また、該スーパーリーチが連続して出現するほど、高設定値である可能性が高くされている。
これにより、該スーパーリーチが出現したにも関わらずはずれた場合であっても、連続出現することにより高設定値である期待度が高まり、遊技意欲の減少を防止することができる。
具体的な処理例について、図93を参照して説明する。なお、図93は、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130b)である。
演出制御部24はステップS2132~S2134の各処理を実行する。各処理についての詳述は省く。続いて、演出制御部24はステップS3171で、これから行う特別図柄変動表示ゲームが第1種スーパーリーチであるか否かを判定する。この情報は、主制御部20から受信した変動パターン指定コマンドを解析することにより取得可能である。
第1種スーパーリーチである場合(S3171:Yの場合)、演出制御部24はステップS3172で設定値Veを取得し、続くステップS3173で設定値Veが偶数であるか否かを判定する。
偶数である場合(S3172:Yの場合)、演出制御部24は偶数用のテーブルを選択する(ステップS3174)。また、奇数である場合(S3172:Nの場合)、演出制御部24は奇数用のテーブルを選択する(ステップS3175)。
次に、演出制御部24はそれぞれのテーブルに基づいて演出態様(変動態様)を決定するための抽選をステップS3176で行い、抽選の結果選択された演出態様に基づきステップS3177で変動を開始する。具体的には、装飾図柄変動表示ゲームを実行させるためのコマンドを液晶制御部40へ送信する処理や、スピーカ46や光表示装置45a等を用いた各演出を行うためのシナリオを登録する処理などをステップS3177で実行する。
また、ステップS3171において、これから行う特別図柄変動表示ゲームが第1種スーパーリーチではない場合(S3171:Nの場合)、演出制御部24はステップS3178で、実行する変動態様に応じた処理や抽選を行い、ステップS3177で変動を開始する。
変動を開始させた後、演出制御部24はステップS2136で変動パターン指定コマンドの削除処理を実行する。
このように、設定値Veの偶数/奇数の別に応じて異なるテーブルを選択することにより(ステップS3174,S3175)、偶数で出現しやすい変動態様と奇数で出現しやすい変動態様を異ならせることができる。これにより、遊技者は、遊技機1の挙動を介して設定値Veの推測を行うことが可能となる。
(演出11)
演出11の具体例としては、第2種スーパーリーチにおける当落煽り演出実行中に液晶表示装置36と演出ボタン13を用いた示唆演出を行う。例えば、液晶表示装置36に当落煽り演出のうちの一つとして演出ボタン13の押下を指示する画像を表示させる場合に、当該煽り演出が示唆演出を兼ねている場合とそうでない場合で表示する画像を異ならせる(例えば、ボタン押下を指示する文言を異ならせる)。
示唆演出としての煽り演出は、例えば、確変大当りである確率が100%とされ、設定値6でしか出現しないように構成する。
この場合、示唆演出としての煽り演出が出現したことで、確変10Rなどの大当りに当選したことが確実となる上に設定値Veが最高設定値である6であることも確定するため、遊技者の遊技意欲を著しく向上させることができる。
なお、ここでいう設定値の「確定」とは、遊技機1の内部的に不定であったものがこの瞬間に確定するということではなく、遊技機1の内部的には既にある値として確定している設定値Veが、遊技者にとっても明らかになるという意味であり、遊技者にとって推定していた設定値Veが確定するという意味である。また、想定していた設定値Veが一つの数字に絞れた場合だけでなく、特定の数値以外であることが絞れた場合についても「確定」と記載する。具体的には、「奇数であることが確定」や「2以上であることが確定」などのように使用する。以降の説明において「確定」という文言を使用する場合にも、同様の意味で使用する。
なお、設定値6であることが確定することは必須ではなく、例えば、設定値4~6の何れかであることが確定する構成とすることや、設定値1ではないことが確定する構成とすることも考えられる。他にも、確定でなくとも高設定値であることが濃厚であることを示唆する演出とされていてもよい。
具体的に、当落煽り演出として、液晶表示装置36上にセリフが表示される演出を実行する例について、図94を参照して説明する。
図94Aは、設定値Veそれぞれで選択され得るセリフ1~4を示す表である。設定値Veが1のときは、セリフ1かセリフ3のいずれかが選択され、液晶表示装置36上に表示される。また、設定値Veが2のときは、セリフ1が選択される(即ち、セリフ2~4が表示されることはない)。
セリフ1は、設定値Veによらず選択されるため、示唆演出とはならない。セリフ2は、設定値Veが6のときのみに選択され得るものであり、該演出が選択された場合には設定値Veが6であることが確定する。
セリフ3は、設定値Veが1,3,5のときに選択され得るものであり、設定値Veが奇数であることが確定する。また、セリフ4は、設定値Veが4,5,6であるときに選択され得るものであり、設定値Veが4以上であることが確定する。
具体的な処理手順について、図94Bを参照して説明する。なお、前述した処理については、適宜詳述を省く。
演出制御部24は、ステップS3181で演出11を実行するのに適切なタイミングであるか否かを判定し、続くステップS3182で実行フラグが「0」であるか否かを判定する。
演出11を実行するのに適切なタイミングであり、且つ、実行フラグが「0」である場合には、演出制御部24はステップS3183で実行フラグに「1」を設定し、ステップS3184で設定値Veを取得し、続くステップS3185で設定値Veに応じた分岐処理を行う。
設定値Veが1である場合や3である場合、演出制御部24はステップS3186でセリフ1及びセリフ3から何れか一方を選択する。このとき、セリフ1よりもセリフ3の方が選択されにくい(即ち選択確率が低い)ように構成されていてもよい。
設定値Veが2である場合には、演出制御部24はステップS3187でセリフ1を選択する。
設定値Veが4である場合には、演出制御部24はステップS3188でセリフ1,4から何れか一方を選択する。
設定値Veが5である場合には、演出制御部24はステップS3189でセリフ1,3,4から何れか一つを選択する。
設定値Veが6である場合には、演出制御部24はステップS3190でセリフ1,2,4から何れか一つを選択する。
続いて、演出制御部24はステップS3191で液晶制御部40にコマンド送信を行う。
(演出12)
演出12の具体例としては、大当りに当選した後の再抽選演出時(タイミング24)に、液晶表示装置36を用いて示唆演出を行う。このとき、再抽選前の装飾図柄の出現確率や再抽選後の装飾図柄の出現確率などを設定値Veによって異ならせる構成とする。
例えば、再抽選演出として、大当り終了後に確変状態へ遷移しない「通常大当り」を示す装飾図柄(例えば2,4,6,8)が揃った状態から、大当り終了後に確変状態へ遷移する「確変大当り」を示す装飾図柄(例えば1,3,5,7,9)へと画像が変化する演出を行う場合に、遊技機1の設定値Veが1であれば1の装飾図柄へ変化する確率を高くし、設定値Veが6であれば7の装飾図柄へ変化する確率を高くする。
このような遊技機1では、再抽選演出を介して「確変大当り」に昇格する場合の中でも、1の装飾図柄へと変化する場合と7の装飾図柄へと変化する場合とで遊技者が一喜一憂することができるため、遊技興趣の高い演出を実現することが可能となる。
具体的な処理例について、図95を参照して説明する。なお、図95は、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130b)である。
演出制御部24はステップS2132,S2133,S2134の各処理を実行した後、ステップS3201で当り種別と変動パターンに基づいて装飾図柄の変動態様を抽選する処理を実行する。
ステップS3201の処理を実行するまでに、演出制御部24は主制御部20から装飾図柄指定コマンドと変動パターン指定コマンドを受信している。従って、前述のように、演出制御部24は、当り種別(はずれ、通常4R、確変10Rなどの別)と変動パターン(通常4sやスーパーリーチ1などの別)の情報を取得済みである。ステップS3201では、これらの情報を用いて、液晶表示装置36上でどのような態様の装飾図柄変動表示ゲームを行うかを抽選する。
続いて、演出制御部24はステップS3202で、先の変動態様の抽選の結果選択された変動態様が再抽選を含むものであるか否かによって分岐する。再抽選を実行しない変動態様である場合、演出制御部24はステップS3205で変動を開始させる処理を行い、ステップS2136で変動パターン指定コマンドの削除を実行する。
一方、再抽選を実行する変動態様であった場合、演出制御部24はステップS3203で設定値Veを取得し、続くステップS3204で設定値Veに応じた処理を実行する。具体的には、設定値Veに応じて再抽選の前に遊技者に停止表示する装飾図柄と、再抽選後に遊技者に提示する装飾図柄の抽選処理を行う。
具体的に、図96を参照して説明する。
図96は、液晶表示装置36を介して遊技者に停止表示される装飾図柄の抽選に用いられる表の一例である。再抽選演出には、昇格成功パターンとして「通常大当り」を示す装飾図柄から「確変大当り」を示す装飾図柄へと液晶表示装置36上の表示が変更される演出態様と、昇格失敗パターンとして「通常大当り」を示す装飾図柄から再び同じ「通常大当り」を示す装飾図柄が表示される演出態様が用意されている。図96は、昇格成功パターンを実行する際に参照されるテーブルである。図中の数値はそれぞれの装飾図柄の選択確率を示したものであり、単位は%である。
図示するように装飾図柄は、設定値Veに応じて選択される。例えば、設定値Veが1の場合の再抽選前の装飾図柄としては、「2」が選択される確率が60%、「4」が選択される確率が20%、「6」が選択される確率が10%、「8」が選択される確率が10%とされている。また、設定値Veが1の場合の再抽選後の装飾図柄としては、「1」が選択される確率が70%、「3」が選択される確率が10%、「5」が選択される確率が10%、「7」が選択される確率が5%、「9」が選択される確率が5%とされている。
即ち、設定値Veが1であり、再抽選演出として昇格成功パターンを現出させる際には、装飾図柄「2」から「1」へと変更される演出態様が最も選択されやすい。
図96から理解されるように、設定値Veに応じて再抽選前後で選択されやすい装飾図柄が異なる。
図95の説明に戻る。
設定値Veに応じた装飾図柄の抽選を終えた演出制御部24は、ステップS3205で変動を開始させる処理を行い、ステップS2136で変動パターン指定コマンドの削除を行う。変動を開始させる処理では、前述のように、装飾図柄変動表示ゲームを実行させるためのコマンドを液晶制御部40へ送信する処理や、スピーカ46や光表示装置45a等を用いた各演出を行うためのシナリオを登録する処理などを実行する。
(演出13)
演出13の具体例としては、二つの操作子(例えば演出ボタン13を含む二つの演出ボタンなど)を遊技者に操作させるための示唆演出を液晶表示装置36を用いて行う。
例えば、図97Aに示すように、液晶表示装置36に「Wデバイスチャンス!」などの文言が表示された後(画像1)、図97Bに示すように遊技者に操作させる二つの操作子を模したアイコン画像と「同時に押せ!」などの操作を誘導するような文言を含む画像(画像2)を表示させる。
続いて、大当り抽選結果が液晶表示装置36に表示される(図98A,図98B)大当り抽選に当選した場合は、図98Aに示すように同じ装飾図柄(図中では7の装飾図柄)が揃って報知される。一方、大当り抽選に落選した場合は、図98Bに示すように、装飾図柄が揃わないことで落選が報知される。
図98Bに示すように落選が報知された後、液晶表示装置36には図99Aまたは図99Bに示す画像が表示される。
図99Aに示す画像は、例えば設定値Veが1~6の何れかで表示される画像であり、高確率で選択される画像である。一方、図99Bに示す画像は、例えば設定値Veが6である場合に低確率で表示される画像であり、図99Aに示す画像に特定のキャラクタ画像(図中ではUFOのキャラクタ画像)を加えた画像とされている。換言すれば、設定値Veが1~5の場合は必ず図99Aに示す画像が表示され、設定値Veが6の場合に限り図99Aまたは図99Bの何れかの画像が表示されるように構成されている。
図99Bに示す画像が液晶表示装置36に表示された場合には、遊技者は設定値Veが最高値である6であることを把握することができる。
図99Bには、液晶表示装置36上に表示される画像と共にスピーカのアイコンが記載されている。これは、図99Bに示す画像演出を実行する際には、同時にスピーカによる音演出も行われることを示している。即ち、遊技者は、視覚的に演出を楽しむだけでなく、聴覚によっても演出を楽しむことが可能である。
そして、液晶表示装置36で実行される画像演出を見逃した遊技者であっても、スピーカ等の音響発生装置46aを用いた音演出が行われることで、当該示唆演出に気がつくことができる。
設定値6の確定演出に用いられる画像(図99B)が、大当り抽選にはずれた場合(即ち全図柄停止時としてのタイミング25)において遊技者に提示されることにより、大当り抽選にはずれたことによる遊技意欲の減衰を防止することや遊技意欲の向上を図ることが可能とされ、遊技興趣の高い演出の実現が図られる。
具体的な処理手順について、図100を参照して説明する。
演出制御部24はステップS3211において、演出13の実行に適切なタイミングであるか否かを判定する。即ち、現在が全図柄停止時(タイミング25)であるか否かによって分岐する。
演出13を実行するのに適切でないタイミングの場合、演出制御部24は図100に示す一連の処理を終了する。一方、適切なタイミングである場合、演出制御部24は続くステップS3212で実行フラグが「0」であるか否かを判定する。実行フラグが「0」でない場合、即ち「1」である場合、演出制御部24は図100に示す一連の処理を終了する。
実行フラグが「0」である場合、即ち、演出13を実行中でない場合、演出制御部24はステップS3213で実行フラグに「1」を設定し、ステップS3214で設定値Veを取得する。
続いて、演出制御部24はステップS3215で設定値Ve及び大当り抽選の当落情報に応じた演出態様の抽選を行う。なお、この抽選では、図97乃至図99に示す各画像を用いた装飾図柄変動表示ゲームを実行するか否かを抽選し、実行する場合には、何れの画像を液晶表示装置36上に表示させるかを抽選する。
抽選の結果、図97乃至図99に示す画像は用いない演出を実行する場合には、液晶表示装置36は図100に示す以降の処理を行わずに終了する。
図97乃至図99に示す各画像を用いた演出を実行する場合、演出制御部24はステップS3216で図97A(画像1)、図97B(画像2)を順に液晶表示装置36上に表示させるためのコマンドを液晶制御部40に送信する。
続いて、演出制御部24はステップS3217で、画像2に基づいた遊技者の操作が行われたか否かを判定する。即ち、液晶表示装置36上にアイコン画像として表示された操作子を遊技者が操作したか否かに基づいて分岐する。
操作子が操作された場合、液晶表示装置36はステップS3219の処理に進む。また、操作子が操作されていない場合、演出制御部24はステップS3218で所定時間(例えば3s)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合、演出制御部24はステップS3217の処理を再び実行する。一方、所定時間経過した場合、演出制御部24はステップS3219の処理に進む。
即ち、演出制御部24は、遊技者による操作子の操作が行われるか、所定時間が経過するまでステップS3217及びステップS3218の処理を繰り返し実行する。
ステップS3219では、演出制御部24は大当り抽選に当選しているか否かによって分岐する。当落情報は、主制御部20から受信したコマンドから取得可能である。
大当り抽選に当選している場合、演出制御部24はステップS3220で図98A(画像3)を液晶表示装置36上に表示させるためのコマンドを液晶制御部40に送信する。
大当り抽選に落選している場合、演出制御部24はステップS3221で図98B(画像4)を液晶表示装置36上に表示させるためのコマンドを液晶制御部40に送信し、続くステップS3222でキャラクタ画像(UFOのアイコン画像)を表示させるか否かを判定する。なお、キャラクタ画像を表示させるか否かは、ステップS3215の抽選によって決定済みである。
キャラクタ画像を表示しない場合、演出制御部24はステップS3223で、図99A(画像5)を液晶表示装置36上に表示させるためのコマンドを液晶制御部40に送信する。
一方、キャラクタ画像を表示する場合、演出制御部24はステップS3224で、図99B(画像6)を液晶表示装置36上に表示させるためのコマンドを液晶制御部40に送信する。
画像5と画像6を液晶表示装置36上に表示させる演出が示唆演出とされる。即ち、遊技者は、大当り抽選にはずれた場合に、液晶表示装置36上に表示される画像5と画像6の出現割合から遊技機1の設定値Veを推測することが可能となる。
(演出14)
演出14の具体例としては、装飾図柄変動表示ゲームの全図柄停止時(タイミング25)に遊技機1のロゴなどを点滅させるなどの示唆演出を行う。
詳述すると、電源投入後の累計回転数(電源投入後に行われた装飾図柄変動表示ゲームの数)が所定数(例えば2000回)に達した後、所定の契機が到来したことに応じてそこから特定回数(例えば20回)の装飾図柄変動表示ゲームの全図柄停止時(タイミング25)に遊技機1のロゴなどを点滅させるなどの示唆演出を行う。そして、その後、定期的(例えば100回の装飾図柄変動表示ゲームごと)に所定期間(例えば20回の装飾図柄変動表示ゲームの間)同様の示唆演出を実行し得る。示唆演出が行われる可能性のある所定期間(20回の装飾図柄変動表示ゲームの間)を示唆演出期間と記載する。
各示唆演出期間で少なくとも一度ずつ点滅しているうちは設定値Veが1であることを否定する演出とする。即ち、ある示唆演出期間でロゴなどを点滅させる示唆演出が一度も発生しなかった場合に、設定値Veが1である可能性が出てくるということである。
遊技者は、それまでの各示唆演出期間で一度ずつ点滅している間は、設定値Veが1ではないかもしれないと考えるため、当該示唆演出を行うことは遊技者に遊技を続行させるための理由となり得る。
また、上述の示唆演出期間のいずれかで示唆演出が2回行われた場合(例えば、ある示唆演出期間における20回の装飾図柄変動表示ゲーム中に2回の示唆演出が行われた場合)には、設定値Veが2以上であることが確定するように構成されている。この場合には、一つの示唆演出期間において当該示唆演出が2回出現したことによって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
なお、所定の契機とは、所定数の装飾図柄変動表示ゲームの開始時でもよいし、終了時でもよいし、特定の演出が行われた後などでもよい。
また、演出手段としては、装飾ランプ45などの光表示装置45aを用いる例を示したが、音響発生装置46aを用いた音演出で代用してもよいし、液晶表示装置36を用いた演出とされてもよいし、可動体役物を動作させる演出であってもよい。
更に、電源投入後の累計回転数の代わりに総アウト球数を用いてもよい。これによれば、各入賞口に遊技球があまり入賞せずに賞球数が少なく、遊技者が遊技を停止する可能性が高い遊技機1において、他の遊技機1よりも早いタイミングで該所定の契機が到来することとなり、遊技機1に対する遊技意欲の低下を抑制できる可能性を高めることができる。
具体的な処理について、図101を参照して説明する。
演出制御部24はステップS3231において、演出14を実行するタイミングとして適切か否かを判定し、続くステップS3232で実行フラグが「0」であるか否かを判定する。
実行するタイミングとして不適である場合や、実行フラグが「0」でない場合、演出制御部24は図101に示す処理を終了する。
演出制御部24はステップS3233で、実行フラグを「1」に変更する処理を実行する。これにより、同じタイミングで示唆演出としての演出14が何度も実行されてしまうことを防止する。
演出制御部24はステップS3234で累計回転数が2000回以上であるか否かに応じて分岐する。2000回未満である場合、演出制御部24は図101に示す各処理を終了する。累計回転数が2000回以上である場合、演出制御部24はステップS3235で累計回転数の下二桁が20未満であるか否かを判定する。図中の「%」は剰余演算子を示している。即ち、「累計回転数%100」の式は、累計回転数を100で割った余りを求める式を表している。
下二桁が20以上である場合は、演出制御部24は以降の処理を実行せずに示唆演出14実行処理を終了する。
下二桁が20未満である場合、演出制御部24はステップS3236で累計回転数の下二桁が「00」であるか否かを判定し、「00」である場合は、演出回数に0をセットする処理を行う(ステップS3237)。
演出14では、累計回転数が2000回以上となった後の20回転(2000~2019回)において、示唆演出が実行され得る。また、それ以降も下二桁が「00」となるごとにその後の20回転の間に示唆演出が実行され得る。このとき、20回転の示唆演出実行可能期間1セットにおいて、示唆演出が行われる回数が設定値Veに応じて変わるようにする。ステップS3237で「0」がセットされる演出回数は、示唆演出実行可能期間1セットにおいて何度の示唆演出が行われたかを表す変数であり、累計回転数の下二桁が「00」になるごとに「0」へリセットされる。
続いて、演出制御部24はステップS3238で、設定値Veを取得し、ステップS3239で演出14の実行可否を演出回数と設定値Veに基づいて抽選する。
該抽選に用いられるテーブルの一例について、図102に示す。
図中の数値の単位は「%」であり、示唆演出としての演出14が実行される確率(即ち当選確率)を示している。
例えば、設定値Veが1であり演出回数が「0」である場合、即ち、当該示唆演出実行可能期間において未だ演出14を実行していない場合、2%の確率で演出14が実行される。また、設定値Veが1であり演出回数が1~19である場合、当選確率は0%とされている。即ち、示唆演出実行期間1セットの間において演出14が実行されるのは、最大でも1回とされている。従って、1セットの間に複数回の演出14が実行された場合には、設定値Veが2以上であることが確定する。
図102から理解されるように、設定値Veが高い程、演出14が実行されやすい。従って、遊技者は演出14の出現頻度などから設定値Veを推測することが可能となる。
図101に戻る。演出制御部24はステップS3240で、演出14を実行するか否かによって、即ち、ステップS3239の抽選に当選したか否かによって分岐する。
落選していた場合、演出制御部24は図101の示唆演出14実行処理を終了する。
当選していた場合、演出制御部24はステップS3241で演出回数に1を加算し、ステップS3242で演出14のためのコマンドを液晶制御部40に送信し、ステップS3243で演出14のためのシナリオ登録を行う。
(演出15)
演出15の具体例としては、大当り中の各ラウンド遊技中(タイミング28~35)において、オーバー入賞発生時に行う示唆演出である。
例えば、各ラウンドにてオーバー入賞が発生した際に、通常とは異なる音演出が行われる。異なる音演出が行われる確率は、遊技機1が高設定値であるほど高くされる。更に、ラウンド4及びラウンド5において当該異なる演出が実行された場合には、設定2以上が確定する。
このような演出15を遊技機1に実装することにより、通常大当り中であっても遊技者は当該示唆演出が実行されるか否か、期待感を持って遊技することが可能となる。従って、遊技興趣の高い遊技機1を提供することが可能となる。
なお、音演出の代わりに光表示装置45aを用いた光演出を行ってもよい。
具体的な処理について、図103Aを参照して説明する。なお、図103Aは、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130g)であり、演出制御部24が主制御部20から大入賞口入賞コマンドを受信したことに応じて実行される処理の一例である。また、図103Aでは、示唆演出としての演出15に関する処理以外は省略して示している。
先ず、演出制御部24は主制御部20から大入賞口入賞コマンドを受信することにより、図103Aに示す一連の処理を実行する。このコマンドは、大当り遊技における各ラウンド遊技で所定時間開放される大入賞口50に遊技球が入賞したことに応じて主制御部20から発行される。
当該コマンドを受信した演出制御部24は、ステップS3251で、大入賞カウンタに1を加算する処理を行う。このカウンタは、各ラウンド遊技中に大入賞口50に入賞した遊技球数をカウントするための変数であり、各ラウンド遊技が開始される際に「0」へとクリアされる。
続いて、演出制御部24はステップS3252で、大入賞カウンタが入賞上限数よりも大きい値であるか否かを判定する。入賞球数の上限個数は、一つのラウンド中に許容された入賞球数の上限個数であり、その個数に入賞球数が達した場合には、大入賞口50が閉鎖される。但し、入賞球数が上限個数に達したタイミングと、大入賞口50が閉鎖されるタイミングには多少の誤差があり、例えば上限個数に一つ足りない状態から二つの遊技球が略同時に大入賞口50へ入賞した場合などに上限個数よりも多い入賞球が許容されることもある(所謂オーバー入賞)。
ステップS3252では、今回の受信コマンドに係る入賞球がそのような上限個数よりも多い入賞球であるか否かを判定している。
大入賞口50への今回の入賞がオーバー入賞であった場合(S3252:Yの場合)、演出制御部24はステップS3253で設定値Veを取得し、続くステップS3254で演出15を実行するか否かを抽選する。
この抽選処理では、設定値Veに応じて当選確率が異なるようにされており、例えば、図103Bに示すテーブルに基づいた抽選が行われる。本例では、図103Bに示すように、1ラウンド目においては、設定値1では10%の確率で特別な音演出が発生し、設定値6では60%の確率で特別な音演出が発生する。
また、4ラウンド目及び5ラウンド目では、設定値1の当選確率が0%とされており、演出15が発生した場合には設定値2以上が確定する。
演出制御部24は、ステップS3255で抽選に当選したか否かによって分岐する。演出15を実行する場合、演出制御部24はステップS3256で特別音を出力するためのシナリオ登録を行う。
一方、落選した場合(S3255:Nの場合)、或いは、今回の入賞がオーバー入賞でない場合(S3252:Nの場合)、演出制御部24はステップS3257で通常音を出力するためのシナリオ登録を行う。
なお、上記の例では、演出制御部24においてもラウンド中における入賞球数を管理している例を説明したが、入賞球数を表す情報を包含させた状態の大入賞口入賞コマンドを主制御部20から演出制御部24が受信するように構成されていてもよい。その場合には、演出制御部24で保持する大入賞カウンタは不要となり、入賞上限数の値のみ保持すればよい。また、入賞上限数の値も演出制御部24が保持しなくて済むように、当該入賞球がオーバー入賞に相当するか否かの情報が含まれた大入賞口入賞コマンドを受信してもよい。この場合には、演出制御部24はステップS3251の処理が不要となり、ステップS3252の代わりに当該大入賞口入賞コマンドがオーバー入賞によるものか否かを判定する処理を行えばよい。
なお、上記では、オーバー入賞時において通常の音演出と特別の音演出の何れを実行するか抽選する例を説明したが、それ以外の例も考えられる。
例えば、特定のラウンド数において大入賞カウンタが所定数に達したタイミングで特別な音演出が選択され得る構成であってもよい。具体的には、4ラウンド目において大入賞カウンタが5となったタイミングで特別な音演出を実行するか否かを設定値Veに応じて抽選し、当選した場合に特別な音演出を実行し、落選した場合には通常の音演出を実行する。演出15がこのような態様であってもよい。
また、それ以外にも、音演出無しと音演出有りを抽選結果に応じて選択する構成とされていてもよい。即ち、大入賞口50へ入賞した場合には、通常は音演出無しとされており、特定のタイミング(例えば4ラウンド目の大入賞カウンタが5となったタイミングなど)のみ音演出が発生し得る構成とされていてもよい。
(演出16)
演出16の具体例としては、大当りにおける全てのラウンド遊技が終了した後のエンディング開始時、即ち、大当り後の移行モードが表示されるモード表示演出時(タイミング36、39)において、液晶表示装置36上に通常とは異なる特定の画像を表示させる画像演出を行う。
通常の画像とは、例えば現在の大当りの連荘数に応じて液晶表示装置36に表示させる画像であり、遊技状態を報知するような画像とされる。それに対して、特定の画像とは、例えば、該通常の画像に特定のキャラクタ画像を重畳したような画像である。通常とは異なる特定の画像を表示させるか否かの抽選に当選した場合のみ、演出16としての画像演出が実行される。
該特定の画像演出は、例えば、設定値Veが1では無いことを示唆する演出(即ち設定値Veが2以上であることが確定したと遊技者に認識させる演出)とされる。
具体的な処理内容について、図104を参照して説明する。なお、図104は、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130h)であり、演出制御部24が主制御部20から大当り終了コマンドを受信したことに応じて実行される処理の一例である。
大当り終了コマンドは、大当り遊技中に実行されるラウンド遊技の全てが終了した際に発行されるコマンドであり、演出制御部24では当該コマンドの受信を契機として、液晶表示装置36上にエンディング用の画像演出を出力するための各処理が実行される。
なお、図104では、演出16に関する部分以外は省略して示している。
演出制御部24はステップS3261で、設定値Veを取得し、続くステップS3262で示唆演出としての演出16の実行可否を抽選する。
続いて、演出制御部24はステップS3263で、抽選結果に応じた分岐処理を行う。
抽選に当選した場合(S3263:Yの場合)、演出制御部24はステップS3264で特別画像表示のためのコマンドを液晶制御部40に送信する。これによって、例えば図105Bに示すような画像が液晶表示装置36に表示される。
一方、抽選に落選した場合(S3263:Nの場合)、演出制御部24はステップS3265で通常画像表示のためのコマンドを液晶制御部40に送信する。これによって、例えば、図105Aに示すような画像が液晶表示装置36に表示される。
なお、液晶表示装置36に画像を表示させると共に、音演出や光演出を行う場合は、ステップS3264やステップS3265と共にシナリオ登録のための処理も行う。
例えば、図105Bには、液晶表示装置36に表示される画像と共にスピーカアイコンが記載されている。これは、図99Bと同じように、図105Bに示す画像演出を実行する際には、同時にスピーカによる音演出も行われることを示している。
また、図105Bの画像に描かれたUFOアイコンには、図99Bの画像に描かれたUFOアイコンと同じエフェクト(集中線エフェクト)が記載されている。同じUFOアイコンに同じエフェクト描画が加えられた画像演出は、同じ示唆内容であることを意味するものであってもよい。例えば、図99Bに示す画像演出では、設定値Veが6であることが確定する演出に使用されることにより、遊技者に対して、集中線をまとったUFOアイコンが設定値6の確定演出であるとの認識を与えることができる。そして、同じ描画態様のUFOアイコンが用いられた画像(例えば図105B)は、同様に設定値Veが6であることを確定させる演出のみとされることにより、遊技者に示唆内容を誤認させることなく、適切に通知することが可能となる。
これは、画像演出に限らない。具体的には、図99Bには、画像演出と同時に音演出が実行されることが示されており、同様に図105Bにも音演出が実行されることが示されている。このときに実行される音演出は、同様のものである(例えば同じ音声や効果音が出力される)ことが望ましい。音演出においても同様の演出態様とされることで、遊技者の誤認を生じることなく正しい示唆内容の通知を行うことができる。
勿論、音演出だけでなくLED等を用いた光演出についても同様である。即ち音演出に用いられるLEDを同じものとすることや、LEDの発光色を同態様とすることにより、示唆内容の誤認を与えることを防止することが可能である。
また、組合せが同じ場合に同じ示唆内容を示すものとしてもよい。例えば、集中線をまとったUFOアイコンが出現したが、そのときの音演出が異なる場合は、異なる示唆内容であるように構成されていてもよい。即ち、UFOアイコンと音演出が共に同じ演出態様とされた場合に、同じ示唆内容とされた示唆演出とされてもよい。
演出16の別の例について、図126を参照して具体的に説明する。図126は、図83とはことなる状態遷移の例を示したものである。具体的に図126は、大当り遊技中における最終ラウンドのラウンド遊技(最終R開放)の後、ラウンド間インターバルを経て大当り終了インターバル演出が実行される。更にその後、のめり込み注意喚起及びIC取り忘れ注意喚起(図83に示すタイミング40及びタイミング41と同様のもの)が実行され、その後に、企業ロゴ(図83のタイミング42相当)、高確/通常示唆画面表示(図83のタイミング39相当)が順次実行される。
また、各ラウンド遊技は第2当り遊技区間(役物連続作動期間)とされ、エンディング期間は第3当り遊技区間とされている。なお、オープニング期間(ファンファーレ期間)は第1当り遊技区間とされる。
設定値示唆演出の実行期間の第1例としては、大当り終了インターバル演出の開始から大当り遊技の最後のフェーズ、即ち高確/通常示唆画面表示が終わるまで設定値示唆演出、即ち液晶表示装置36上に特定の図柄を重畳させた画像演出が実行される。
また、設定値示唆演出の実行期間の第2例としては、大当り終了インターバル演出の開始から企業ロゴの表示が終了するまで、該画像演出が実行される。
更に、設定値示唆演出の実行期間の第3例としては、大当り遊技のエンディング期間だけでなく、エンディング期間の前の区間、即ち大当り遊技の最終ラウンドの実行中から設定値示唆演出としての該画像演出が実行される。
設定値示唆演出の実行期間の第1例、第2例及び第3例の何れの場合であっても、少なくともエンディング期間(20秒)の半分よりも長い期間で設定値示唆演出が現出されるように構成されている。
このように、設定値示唆演出は所定期間以上現出されるようにすることが望ましい。また、エンディング期間(第3当り遊技区間)またはファンファーレ期間(第1当り遊技区間)に設定値示唆演出を行う場合であって、且つ、それらの区間が比較的短い時間で終わってしまう場合は、設定値示唆演出の実行期間の第3例のように、第2当り遊技区間から(或いは第2当り遊技区間に入ってしばらくの間)設定値示唆演出を現出するように構成してもよい。また、エンディング区間が終了した後、即ち、高確や低確(通常)の遊技が開始された後もしばらく(例えば、n秒間、あるいはn回の図柄変動表示ゲームが終了するまで)現出するように構成してもよい。
設定値示唆演出は、大当り示唆演出と比較してそれほど回数を多く実行するわけではない。これは、大当り抽選の当選結果は、大当り抽選が行われるたびに生じるものであり報知頻度が自ずと高くならざるを得ないのに対し、設定値は一日の遊技中に変更されることはなく(或いは著しく少なく)、一度報知してしまえばそれ以上の報知が無意味になってしまう可能性が高いためである。
しかし、数少ない設定値示唆演出による設定値の示唆を見逃してしまうと、遊技者は出現頻度の低い設定値示唆演出が次に現出するのを待たなくてはならず、遊技者にとって著しい不利益が生じてしまう虞がある。そのために、設定値示唆演出については、ある程度の長い時間を掛けて演出を行う、即ち示唆内容の提示を行うことが望ましい。
また、大当り遊技中における最終ラウンドを消化したタイミング(即ちエンディング期間)は、一時的に遊技機に対する遊技者の関心が薄れるタイミングでもある。ところが、このタイミングにおいて、のめり込み注意喚起やIC取り忘れ注意喚起のための画像演出を行っている。即ち、遊技者の関心が薄れたタイミングでそのような注意喚起を行ったとしても効果が薄れてしまう虞がある。
しかし、本例における遊技機1においては、エンディング期間において、設定値示唆演出としての画像演出が実行されるため、遊技者に高い関心を持たせたまま、各種の注意喚起を行うための画像演出を実行することができる。これにより、遊技者の遊技意欲を向上させると共に各注意喚起の実効性を向上させることができる。
(演出17)
演出17の具体例としては、パターンAのエンディング中(即ちタイミング36~38)において、所定の確率で音響発生装置46aを用いた示唆演出を行う。例えば、当該示唆演出を行う場合には、更に複数種類の音声データ(台詞データ)から一つが選択されて出力される。音声データは、例えば5種類あり、それぞれの音声データによって示唆内容が異なる。
図106Aに、選択された音声データと示唆内容の対応関係を示す。
図示するように、音声データ1が出力された場合には、設定値Veが2以上であることが確定し、音声データ2が出力された場合には、設定値Veが偶数であることが確定し、音声データ3が出力された場合には、設定値Veが奇数であることが確定する。また、音声データ4が出力された場合には、設定値Veが3以上であることが確定し、音声データ5が出力された場合には、設定値Veが6であることが確定する。
具体的な処理の流れについて、図106Bを参照して説明する。
先ず、演出制御部24はステップS3271で、演出17を実行するタイミングとして適切か否かを判定し、ステップS3272で実行フラグが「0」であるか否かを判定する。
タイミングが適切でない場合や実行フラグが「1」である場合、演出制御部24は図106Bに示す一連の処理を終了する。
タイミングが適切であり、且つ、実行フラグが「0」である場合、演出制御部24はステップS3273で、実行フラグに「1」をセットし、続くステップS3274で示唆演出としての演出17を実行するか否かを抽選する。
続いて、演出制御部24はステップS3275で、抽選に当選したか否かを判定する。落選していた場合(S3275:Nの場合)、演出制御部24は図106Bに示す一連の処理を終了する。一方、当選していた場合(S3275:Yの場合)、演出制御部24はステップS3276で設定値Veに応じた分岐処理を実行する。
設定値Veが1である場合、演出制御部24はステップS3277で音声データ3を選択する。設定値Veが2である場合、演出制御部24はステップS3278で音声データ1及び音声データ2から何れか一方を選択する。設定値Veが3または5である場合、演出制御部24はステップS3279で音声データ1、音声データ3及び音声データ4から何れか一つを選択する。設定値Veが4である場合、演出制御部24はステップS3280で音声データ1、音声データ2及び音声データ4から何れか一つを選択する。設定値Veが6である場合、演出制御部24はステップS3281で音声データ1、音声データ2、音声データ4及び音声データ5から何れか一つを選択する。
ステップS3277乃至S3281の各選択処理では、所定確率に基づく抽選処理を行う。即ち、予め決められている所定確率に基づいて選択肢の中から一つを選択する処理である。なお、それぞれの選択肢は選択のされやすさが同じである必要はない。例えば、設定値6の場合は、音声データ1、音声データ2、音声データ4及び音声データ5から一つを選択することになるが、音声データ1よりも音声データ2の方が選択されやすいように構成されていてもよい。
演出制御部24は、選択された音声データを出力するためのシナリオ登録をステップS3282で行う。これにより、設定値Veに応じた音声データが選択されて出力されることにより、遊技者に設定値Veの推測をさせることが可能となる。
演出17が実行され得る構成とされた遊技機1においては、確変大当りではなく通常大当りに当選したことによって遊技者の遊技意欲が削がれそうな場合であっても、パターンAのエンディング中に当該示唆演出が実行されるか否かについて期待感を持つことができるため、遊技意欲の減衰を防止することが可能となる。
(演出18)
演出18の具体例としては、例えば、大当り遊技後に確変状態へと遷移する確変大当り中とされたタイミング36~42において、確変状態へ遷移することを報知する演出が行われる場合に、演出ボタン13などが操作されたことに応じて実行される音演出を異ならせる。例えば、確変状態へ遷移することを祝福する祝福ボイスを流す音演出を行う場合に、該祝福ボイスを4種類用意する(図107A)。
祝福ボイス1が使用された場合には、設定値Veが何れの値であるのかは分からないようにされている。即ち、非示唆演出とされている。例えば、ほとんどの場合は祝福ボイス1が選択されるように構成されている。これにより、祝福ボイス1が選択されずに以降に示す示唆演出が行われた場合に遊技者に高揚感を与えることができる。
祝福ボイス2が使用された場合には、設定値Veが2以上であることが確定する。祝福ボイス3が使用された場合には、設定値Veが4以上であることが確定する。また、祝福ボイス4が使用された場合には、設定値Veが6であることが確定する。
具体的な処理について、フローチャートを示す(図107B)。なお、図107Bは、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130h)である。また、図107Bは、演出18の実行に係る処理のみを示したものであり、実際には、演出制御部24は図示していない各種処理を併せて行う。
演出制御部24はステップS3291で、当該大当り遊技終了後に移行するモードが確変状態か否かを判定する。移行するモードは、例えば前述のように、大当り終了コマンドによって特定可能である。
確変状態でない場合(S3291:Nの場合)、演出制御部24は図107に示す一連の処理を終了する。
移行モードが確変状態である場合(S3291:Yの場合)、演出制御部24はステップS3292で設定値Veを取得し、続くステップS3293で設定値Veに基づく分岐処理を行う。
設定値Veが1である場合、演出制御部24はステップS3294で祝福ボイス1を選択する。設定値Veが2または3である場合、演出制御部24はステップS3295で祝福ボイス1及び祝福ボイス2から何れか一方を選択する。設定値Veが4または5である場合、演出制御部24はステップS3296で祝福ボイス1、祝福ボイス2及び祝福ボイス3から何れか一つを選択する。設定値Veが6である場合、演出制御部24はステップS3297で祝福ボイス1、祝福ボイス2、祝福ボイス3及び祝福ボイス4から何れか一つを選択する。各選択処理は、予め設定された所定確率に基づく抽選処理を行うことと同義である。
続いて、演出制御部24は、選択した祝福ボイスを出力するためのシナリオ登録をステップS3298で実行する。
なお、選択肢となる各祝福ボイスは、それぞれ選択されやすさが同じとされている必要はない。
(演出19)
演出19の具体例としては、大当り中とされたタイミング36~42において、例えば大当り遊技後に時短状態へ遷移することを報知する際に、光表示装置45aを用いた光演出や液晶表示装置36を用いた画像演出を行うことで示唆演出を行う。
一例を示すと、時短状態への遷移が行われることを報知するためにタイミング36~42の何れかにおいて可動させる可動体役物がある場合に、該示唆演出において当該可動体役物に搭載された光表示装置45a(LEDなど)を光らせる演出を行う。この際に、当該光表示装置45aとしての光源を何色に光らせるかによって示唆演出を行う。
例えば、光の色は青、緑、黄、赤、虹の5種類とされている。「虹」とは、0.2秒などの一定時間ごとに複数の発光色を順に変えていく発光態様とされる。
図108Aは、各色の選択確率が設定値Veに応じて異なる例を示すものである。図示するように、設定値Veによらず虹色に発光する発行パターンが最も選択されにくいが、設定値Veが高くなるほど選択されやすい確率とされている。また、青色は設定値Veが低いほど選択されやすくされている。図から理解されるように、青色が最も期待値が低く、緑、黄、赤、虹の順で高設定値の期待値が高くされている。即ち、遊技者にとっては、青、緑、黄、赤、虹の順に遊技意欲が高まる演出とされている。
具体的な処理について、フローチャートを示す(図108B)。なお、図108Bは、コマンド対応処理(S2106)における各コマンド処理(S2130)の一例(S2130h)である。また、図108Bでは、示唆演出に関する処理のみを抜粋して示している。
演出制御部24はステップS3301で、大当り遊技後の移行モードが時短状態であるか否かを判定する。
時短状態へ移行しない場合(S3301:Nの場合)、演出制御部24は図108Bに示す一連の処理を終了する。一方、時短状態へ移行する場合(S3301:Yの場合)、演出制御部24は続くステップS3302で設定値Veを取得し、ステップS3303で設定値Veに応じた抽選を行う。該抽選では、図108Aに示すテーブルに基づいた抽選が行われる。
続いて、演出制御部24はステップS3304で、示唆演出としての演出19を実現するためのシナリオ登録を行う。
(演出20)
演出20~21は、図84には示していないタイミングで実行される示唆演出である。演出20は、時短状態における装飾図柄変動表示ゲーム中に実行される演出である。具体的には、時短状態にある間(即ち通常状態へと遷移するまでの間、若しくは、大当り遊技へと移行するまでの間)に、液晶表示装置36上に特定のキャラクタを出現させる演出である。一度出現させたキャラクタ画像は時短状態の遊技中消えることはなく、他の画像演出として液晶表示装置36上に表示されている画像上に重畳表示された状態が維持される。
また、液晶表示装置36上の当該キャラクタは時短状態を遊技していくうちに数が増えることも可能なように構成されており、最終的に液晶表示装置36上に表示された当該キャラクタの数に応じて設定値Veが推定できるようにされている。
具体的な処理の流れについて、図109Aを参照して説明する。図109Aに示す一連の処理は、例えば、時短状態における装飾図柄変動表示ゲームが開始されるタイミングや、全図柄停止時のタイミングなどに図109Aに示すなどに適宜実行される。また、時短状態における特別図柄変動表示ゲームごとに実行されてもよいし、5回の特別図柄変動表示ゲームごとに実行されてもよい。
先ず、演出制御部24はステップS3311で、示唆演出としての演出20を実行するタイミングとして適切か否かを判定する。適切なタイミングでない場合(S3311:Nの場合)、演出制御部24は図109Aに示す一連の処理を終了する。
適切なタイミングである場合(S3311:Yの場合)、演出制御部24は続くステップS3312で実行フラグが0であるか否かを判定する。
実行フラグが1である場合(S3312:Nの場合)、演出制御部24は処理を終了する。実行フラグが0である場合(S3312:Yの場合)、演出制御部24は続くステップS3313で実行フラグに1をセットする。該実行フラグは、例えば、特別図柄変動表示ゲームが開始されるごとに0へとリセットされる。即ち、実行フラグは、一回の変動表示ゲームで演出20が複数回実行されることを防止するためのフラグである。
演出制御部24はステップS3314で、設定値Ve及び出現カウンタCNTに応じた抽選を行う。出現カウンタCNTは、液晶表示装置36上に表示させるキャラクタの数であり、前述のように時短状態が続く間(即ち他の遊技状態へ移行するまで)は現状維持か増加するのみとされ、減少することは無いものとされている。図示していないが、出現カウンタCNTは、時短状態から他の状態へ遷移する際に「0」へとクリアされる。
設定値Veと出現カウンタCNTに応じた該抽選処理において参照されるテーブルの一例を示した図が図109Bである。
図示するように、出現カウンタCNTが0の状態においては、1回の抽選機会における当選確率は低めに設定されているが、これは、時短状態の間に何度も抽選機会が発生することを考えてのことである。
また、図から理解されるように、出現カウンタCNTが3の状態においては当選確率が0%とされているため、液晶表示装置36上に表示されるキャラクタは最大でも3体とされている。更に、設定値1~3においては、最大でも2体とされている。即ち、3体のキャラクタ画像が液晶表示装置36上に表示された場合、遊技者は設定値Veが4以上であることを認識することができる。
図109Aの説明に戻る。
テーブルに基づいた抽選が行われた後、演出制御部24はステップS3315で、該抽選に当選したか否かを判定する。当選していた場合(S3315:Yの場合)は、出現カウンタCNTに1を加算する処理が行われ(S3316)、出現カウンタCNTに応じた画像出力のためのコマンドが液晶制御部40に送信される(S3317)。
一方、落選していた場合(S3315:Nの場合)出現カウンタCNTはそのままでステップS3317に進み、出現カウンタCNTに応じた画像出力のためのコマンドが液晶制御部40に送信される。
なお、ステップS3317に送信されるコマンドは、そのときの装飾図柄変動表示ゲームで現出する画像演出に基づくコマンドとされており、画像演出が異なれば異なるコマンドとされる。
(演出21)
演出21の具体例としては、開店から所定時間の間や夕方、或いは閉店間際などの特定の時間に、液晶表示装置36を用いた画像演出を示唆演出として行う。
遊技機1にRTC機能部が設けられている場合には、RTC機能によって得られる現在時刻に基づいて、開店、夕方、閉店間際の時間帯を把握する。なお、店舗や地域によって開店時間や閉店時間が異なる場合には、開店時間や閉店時間を設定できるように遊技機1が構成されていてもよい。
また、遊技機1にRTC機能部が設けられていない場合には、アウト口49から排出される遊技球数からそれぞれの時間帯を間接的に把握するように構成されていてもよい。
具体的には、電源投入後最初のアウト球の発生から1000個目のアウト球の発生までの間に大当り抽選に当選した場合に特定の演出が開店時における示唆演出として出現する。また、25000個目のアウト球の発生から26000個目のアウト球の発生までの間に大当り抽選に当選した場合に特定の演出が夕方における示唆演出として出現する。更に、40000個目のアウト球の発生から41000個目のアウト球の発生までの間に大当り抽選に当選した場合に特定の演出が閉店間際の示唆演出として出現する。
この場合には、特定の演出が示唆演出として出現し得る時間帯であることを遊技者に報知してもよい。
即ち、それ以外の時間においては一定確率で抽選されて出現していた特定の演出が、上記の各区間においては設定値Veに応じて出現のし易さが変化する示唆演出として出現することとなる。なお、上記の各時間帯以外では出現しない示唆演出のための専用演出であってもよい。
開店時に示唆演出として出現する特定の演出と、夕方における示唆演出として出現する特定の演出と、閉店間際における示唆演出として出現する特定の演出は、それぞれ別の演出とされていてもよいし、同じ演出とされていてもよい。
また、液晶表示装置36には、示唆演出としての特定の演出のための画像のみが表示されてもよいし、他の画像演出として液晶表示装置36上に表示される画像(示唆演出とは無関係のもの)上に該示唆演出として提示する画像(アイコンのような小さな画像など)が重畳表示されてもよい。
具体的な処理の流れについて、図110を参照して説明する。なお、図110は、RTC機能部が遊技機1に設けられている場合についてのフローチャートの一例とされている。
先ず、演出制御部24はステップS3321で、演出21を実行するタイミングとして相応しいか否かを判定する。この処理では、例えば、特別変動表示ゲームにおける所定のタイミングであるか否かのみを判定する。具体的には、演出21が特別変動表示ゲームにおける変動開始のタイミングで実施するものであれば、今現在がそのようなタイミングであるか否かを判定する。
タイミングが適切である場合(S3321:Yの場合)、演出制御部24はステップS3322で、実行フラグが0であるか否かを判定する。
タイミングが適切でない(S3321:Nの場合)や実行フラグが1である場合(S3322:Nの場合)、演出制御部24は図110に示す一連の処理を終了する。
タイミングが適切であり、実行フラグが0である場合、演出制御部24はステップS3323で実行フラグに1をセットする処理を行い、続くステップS3324でRTCの値を取得する処理を行う。
次に、演出制御部24はステップS3325で、取得したRTCから現時刻が特定の時間帯であるか否か、即ち上述するような開店時に相当する時間帯であるかなどを判定する。
現時刻が特定のである場合(S3325:Yの場合)、演出制御部24はステップS3326で設定値Veを取得し、ステップS3327で設定値Veに応じた抽選を行う。具体的には、例えば、設定値Veが高いほど当選確率が高くされている。
一方、現時刻が特定の時間でない場合(S3325:Nの場合)、演出制御部24はステップS3328で一定確率で当選する演出抽選を行う。即ち、設定値Veによらず一定の確率で当選する。
ステップS3327またはS3328の後、演出制御部24はステップS3329で演出21の抽選に当選したか否かによって分岐する。
当選していた場合(S3329:Yの場合)、演出制御部24はステップS3330で液晶制御部40にコマンドを送信し、演出21としての画像演出を現出させる。
一方、落選していた場合(S3329:Nの場合)、演出制御部24はコマンドを送信せずに図110に示す一連の処理を終了させる。
説明から理解されるように、演出21はステップS3328によって一定確率で抽選された結果当選した場合には、示唆演出ではない画像演出として現出することとなる。また、ステップS3327によって設定値Veに応じた抽選の結果当選した場合には、示唆演出としての画像演出として現出することとなる。
上記のように、店舗の開店間際に示唆演出としての画像演出が実行されることにより、開店直後から遊技者の遊技を促進させることができ、遊技機1の稼働時間を向上させることができる。また、店舗の閉店間際に示唆演出としての画像演出が実行されることにより、閉店まで遊技者の遊技を継続させることができ、遊技機1の稼働時間の向上を図ることができる。また、その結果、翌日の開店時の遊技を促進させることも可能となる。
(各演出まとめ)
上述した21種類の示唆演出を同時に現出させない場合には、各示唆演出において使用する実行フラグを工夫することで実現可能である。即ち、各実行フラグにおいて、「0」は未実行を示し、「1」は実行済みを示し、「2」は実行中であることを示すような構成とする。そして、それぞれの演出を実行するか否かを判定する際に、他の示唆演出についての実行フラグが「2」であるか否かを確認することによって、他の示唆演出が実行中であることが把握できるため、複数の示唆演出が同時に実行されてしまうことを防止することができる。
また、同時に実行してもよい示唆演出については、当該示唆演出についての実行フラグを確認する処理を省くことによって実現可能である。
なお、当然のごとく、遊技機1は上述した21種類の示唆演出の全てを備えていなくてもよい。
また、図84はあくまで一例であり、図84における○印の記載が無いタイミングで各種の示唆演出を行ってもよい。
[9-4.その他の演出例]
上記した各演出例について説明する。先ず、図111を参照して、遊技機1の動作フローについて説明する。なお、図111に示す一連の動作フローは、主制御部20の処理と演出制御部24の処理とホールスタッフや遊技者等による操作を含んで記載している。また、図111に示す処理は、遊技機1が実施する各処理のうち遊技機1の動きを理解する上で重要な処理を抜粋して示したものであり、遊技機1が実行する処理の一部とされている。
ホールスタッフ等による電源投入操作が行われると(ステップS4001)、遊技機1の主制御部20は該操作を検知し演出制御部24へコマンドを送信することにより液晶制御部40に待機画面を表示させるためのコマンドが送信され、待機画面(Please wait...などの文字を含む画像)が液晶表示装置36に表示される(ステップS4002)。
続いて、主制御部20はステップS4003において、設定値変更条件の成立有無に応じた分岐処理を行う(前述のステップS104)。
設定値変更条件が成立している場合、主制御部20から演出制御部24を介して液晶制御部40に対してコマンドが発行されることにより液晶表示装置36に設定変更中を報知するための画面が表示される(ステップS4004)。
主制御部20は、ステップS4005における設定変更操作を受け付けながらステップS4006で設定キースイッチがOFFであるか否かを確認する。即ち、設定キースイッチがOFFになるまで設定変更操作を受け付けることにより、ホールスタッフ等の変更操作が可能とされる。
設定キースイッチがOFFであることを確認した主制御部20は、ステップS4007において演出制御部24を介したコマンド送信を行うことにより液晶表示装置36に設定変更終了を報知するための画面表示を行う。更に、演出制御部24は、ステップS4008で設定変更フラグをONにする処理を行う。
設定変更フラグは、設定変更がなされた際に「ON」へと変更されるものであり、設定値変更示唆演出を行うか否かを決定するために参照されるフラグである。設定変更フラグは、例えば、演出制御部24が備えるRAM243に記憶される。
なお、ステップS4005,S4006を行うタイミングで前述のステップS701~S717が実行される。また、ステップS4007に相当する処理は前述のステップS722の処理である。
続いて、主制御部20はステップS4009でRAMクリア処理を行い、ステップS4010でRAMクリア報知態様を実行する。RAMクリア報知態様は、主制御部20、演出制御部24、液晶制御部40などによって実現される遊技機1の態様であり、液晶表示装置36や各種ランプ(LED等)やスピーカ46などを用いて実現される。
設定変更を終えた主制御部20は、ステップS4009で演出制御部24等を用いてRAMクリア報知態様を実現し、ステップS4010でRAMクリア処理を実行する。
ステップS4009、S4010は、前述のステップS116~S118の各処理に相当する。
ステップS4003で設定変更条件が成立していないと判定した場合、ステップS4011で主制御部20は、RAM異常であるかまたはバックアップフラグ異常であるかを判定する。何れかの異常が発生していた場合、主制御部20は、演出制御部24を用いてエラー報知態様を実現する(ステップS4012)。エラー報知態様を認識したホールスタッフは、例えば、遊技機1の電源を落とす操作を行う(ステップS4013)。
設定値変更条件が成立しておらず、RAM異常でもなく、更にバックアップフラグ異常でもない場合、主制御部20はステップS4014で、RAMクリアスイッチがONであるか否かを判定する。RAMクリアスイッチがONである場合、ステップS4009へと遷移する。
一方、RAMクリアスイッチがOFFである場合、主制御部20はステップS4015で、設定値確認条件が成立しているか否かを判定する(前述のステップS108)。
設定確認条件が成立している場合、主制御部20はステップS4016で設定確認態様を実行する。設定確認態様とは、設定確認中であることを報知するための画像を液晶表示装置36に表示させることや、設定値Veを設定・性能表示器97に表示させる処理等が行われるものであり、前述のステップS109に相当するものである。
主制御部20は、ステップS4017で設定キースイッチがOFFであるか否かを判定する処理を行うことにより、設定キースイッチがOFFとされるまで設定値Veを設定・性能表示器97に表示し続ける。
設定キースイッチがOFFとされた場合、主制御部20はステップS4018で通常画面表示をさせるためのコマンド送信を行う。
ステップS4010或いはS4018の何れかを実行した後、図112に示す処理へと移行する。
主制御部20は、大当り抽選確率状態が高確であるか否かを判定する(ステップS4019)。高確でない場合、即ち低確である場合(S4019:Nの場合)、演出制御部24はステップS4020で設定値変更示唆演出抽選フラグにONを設定する。設定値変更示唆演出抽選フラグは、設定値変更示唆演出を行うか否かを決定するための抽選処理を行うか否かを示すフラグであり、ONであれば後述の処理で該抽選処理が実行される。このフラグは、例えば演出制御部24が備えるRAM243に記憶される。
大当り抽選確率状態が高確である場合(S4019:Yの場合)、演出制御部24は設定値変更示唆演出抽選フラグをOFFにし(ステップS4021)、設定変更フラグをOFFにする(ステップS4022)。
本実施の形態の遊技機1では、設定値変更を行った場合、大当り抽選確率状態は低確状態から開始される。即ち、ステップS4019の段階で高確であるということは、設定値変更を行っていないことになるため、ステップS4021、S4022の各処理を行い、設定値変更示唆演出が現出しないようにする。
なお、この処理は念のための処理であり、ここで両フラグをOFFにする処理を省いたとしても、設定値変更示唆演出が実行されることはない。
続いて、主制御部20は、ステップS4023で、大当り遊技を開始させるか否かを判定する。大当り遊技中に電源がOFFにされた場合などは、バックアップ復帰処理により、電源投入後に大当り遊技中の状態へと復帰する。このような場合は、ステップS4023の判定結果はYとなり、ステップS4024へと進む。
ステップS4024では、主制御部20及び演出制御部24は大当り画面を液晶表示装置36に表示させるための処理を行う。
電源投入後に大当り遊技の状態から開始される場合は、演出制御部24は設定値変更示唆演出抽選フラグと設定変更フラグを共にOFFにする処理を実行し(ステップS4025及びS4026)、ステップS4027の処理へ移行する。また、ステップS4023で大当り遊技を開始させないと判定した場合もステップS4027の処理へ移行する。
ステップS4027では、主制御部20及び演出制御部24は特別図柄変動表示ゲームが開始されるまで待機する。特別図柄変動表示ゲームが開始された場合や、電断復帰により特別図柄変動表示ゲーム中から開始される場合は、ステップS4028へと進み、設定値変更示唆演出抽選フラグがONであるか否かを演出制御部24が判定する処理を実行する。
設定値変更示唆演出抽選フラグがONである場合、演出制御部24はステップS4029で設定値変更示唆演出を実行するか否かについての抽選処理を行う。
該抽選処理に当選した場合は、以降の処理で当選した演出態様に基づく設定値変更示唆演出が現出される。
続いて、演出制御部24はステップS4030で設定値変更示唆演出抽選フラグをOFFにし、ステップS4031で設定値変更フラグをOFFにする。
主制御部20及び演出制御部24がコマンドを発行することにより、ステップS4032において液晶表示装置36上に装飾図柄変動表示ゲームが表示される。
(設定値変更示唆演出1)
先の演出04で示すような演出態様とされた設定値変更の有無に関する示唆演出は、例えば、ステップS4031とステップS4032の間に実行される。また、演出04の説明においては、示唆演出としての演出04を実行する場合はボタンを振動させるのに対し、実行しない場合はボタンを振動させない例を説明したが、それ以外の演出態様も考えられる。
例えば、電源投入後の初回の装飾図柄変動表示ゲームの開始時には、少なくとも多少のボタンの振動が発生するように設定し、示唆演出としての設定値変更示唆演出1を実行する場合には、ボタンの振動を大きくする(振動回数や振動時間の増加させる)ように構成してもよい。具体的には、PM型のステッピングモータなどを用いて実現可能である。例えば、示唆演出としての設定値変更示唆演出1を実行する場合は、ステッピングモータを4ステップ動作させ、示唆演出ではなく単にボタンを振動させる場合にはステッピングモータを2ステップ動作させる。
これにより、設定値変更示唆演出1を実行しない場合においても、ボタンの振動が発生し、高揚感を遊技者に与えることができる。
なお、遊技機1に特図1及び特図2が設けられている場合において、電源投入後初回の特別図柄変動表示ゲームが特図2に係るものである場合には、設定値変更示唆演出1を実施しなくてもよい。即ち、電源投入後における特図1についての最初の特別図柄変動表示ゲームが開始された際に設定値変更示唆演出1が実行されるように構成されていてもよい。
(設定値変更示唆演出2)
設定値変更示唆演出2は、液晶表示装置36上に表示される背景画像(演出モード)が切り替わるタイミングで出現させる。背景画像(演出モード)とは、例えば、液晶表示装置36に表示される場面の種別であり、遊技者が識別する演出モードである。例えば、キャラクタが町の中を歩いている場面が液晶表示装置36に表示される「町中モード」、キャラクタが車に乗車している場面が表示される「車モード」、キャラクタが海辺で休養している場面が表示される「バカンスモード」などが適宜表示される。各演出モードで液晶表示装置36を用いた画像演出を行う場合には、それぞれの場面に応じた画像演出が現出し得る。また、特定の演出モードでしか発生しない演出が設けられていてもよい。
背景画像(演出モード)が切り替わるタイミングは、例えば、一定回数の特別図柄変動表示ゲームごとに到来してもよいし、特別図柄変動表示ゲームごとに所定確率で演出モード移行抽選が行われ、当選した場合に背景画像(演出モード)が切り替わるように構成されていてもよい。
即ち、設定値変更示唆演出2の発生タイミングとしては、電源投入後の初回の装飾図柄変動表示ゲームの開始時とは異なるタイミングで発生し得る。
このような場合には、例えば、図111,図112に示す処理の一部を図113のように変更することにより実現可能である。
設定値変更示唆演出抽選フラグがONとされ(S4028:Yの場合)、ステップS4029で設定値変更示唆演出抽選が実行された後、演出制御部24はステップS4041で該抽選に当選したか否かによって分岐する。
当選していた場合、演出制御部24はステップS4042で当選した設定値変更示唆演出の演出態様をRAM243などに記憶する。記憶される情報からは、演出タイミングや演出内容が特定可能とさる。なお、ここで記憶される情報は、例えば設定値変更示唆演出の実行に利用された後に消去される。
設定値変更示唆演出2は、電源投入後に初めて背景画像(演出モード)が切り替わるタイミングで実行される。その際には、設定値変更示唆演出2のための専用の背景画像が液晶表示装置36に表示される。専用の背景画像としては、例えば、プールでキャラクタが遊んでいる場面が液晶表示装置36に表示される「プールモード」とされる。
専用の演出モードは、次回の背景画像の切り替えタイミングまでは維持される。即ち、設定値Veが変更されたことを示唆する当該示唆演出を遊技者が見逃し難くされ、遊技意欲を向上させることが可能となる。
なお、ステップS4029の抽選に落選した場合は、設定値Veの変更がなされた場合であっても液晶表示装置36に専用の背景画像が表示されることはない。
(設定値変更示唆演出3)
設定値変更示唆演出3は、電源投入後の初回の大当り遊技終了前まで特定の条件下で特定の画像を液晶表示装置36に表示させる示唆演出である。また、本例では、設定値変更示唆演出3は、設定値示唆演出も兼ねている。
具体的に、図114を参照して説明する。
図114Aは、大当り遊技終了後の液晶表示装置36に例えば大当り遊技の結果を報知するための例えばリザルト画面として表示される特定の画像を模式的に表した図である。
該特定の画像では、液晶表示装置36の画面内における左半分の領域に一人のキャラクタ画像が表示され、右半分の領域にもう一人のキャラクタ画像が表示される。図示していないが、この画像には出玉数などのリザルト情報が表示されているものとする。
以降の説明においては、左半分の領域に表示されるキャラクタ画像を「左キャラ」、右半分の領域に表示されるキャラクタ画像を「右キャラ」として以降記載する。
左キャラと右キャラは、同時に出現する場合は異なるキャラクタとされ、左右の何れか一方のみが出現するパターンや左右の何れにもキャラクタが出現しないパターンも存在する。
本例では、左キャラと右キャラに出現するキャラクタの組合せや出現タイミングに応じて示唆内容が異なる示唆演出とされる。
左キャラと右キャラの組合せと示唆内容の一例を示した図が図114Bである。図示するように、キャラクタ画像の出現パターンは14種類(パターンNo1~14)とされている。図中の「ANY」は、何れのキャラクタが出現しても該当するという意味であり、キャラクタが出現しない場合は含めない。即ち、パターンNoが1とされた演出パターンは、左キャラが存在せず右キャラとして何らかのキャラクタ画像が表示される場合が該当する。
パターンNo1または2とされた特定の画像演出は、示唆内容が「なし」とされており、示唆演出ではない通常の画像演出である。また、この場合の背景色は、「青」とされている。
即ち、大当り遊技後の特定の画像演出において、左キャラまたは右キャラの何れか一方のみが出現する場合は、示唆演出ではない通常の画像演出であることを遊技者は把握することができる。
また、背景色が「青」とされたのはパターンNo1及び2とされた特定の画像演出のみであるため、背景色が「青」であることを認識するだけで示唆演出ではない通常の画像演出であることを把握できる。
パターンNo3、4、5とされた特定の画像演出は、主人公Aまたは主人公BとペットC,D,Eの何れかの組合せとされている。また、何れの画像演出においても、示唆内容は「○○示唆」とされている。これは後述の「○○確定」とされた示唆内容とは異なり、○○であることが確定ではないが濃厚であることを示す内容とされている。
具体的にパターンNo3とされた特定の画像演出は、「4,5,6示唆」とされており、設定値Veが4~6において選択されやすく、設定値Veが1~3においては選択されにくい(但し出現率が0%ではない)演出パターンである。
パターンNo3、4、5とされた特定の画像演出は、何れも背景色が「緑」とされている。即ち、背景色が「緑」とされた特定の画像演出が出現することによって、遊技者は、設定値Veの推定を補佐するための情報を得ることができる。
パターンNo6、7、8、9、10とされた特定の画像演出は、示唆内容が「○○確定」とされている。即ち、設定値Veの値が一つに確定する場合やある範囲であることが確定する示唆演出(確定示唆演出)として出現する画像演出である。背景色は「金」や「虹」とされており、遊技者は、背景色を見るだけで設定値Veについての確定示唆演出であることを理解することができる。
また、背景色が「虹」とされたパターンNo6に示す特定の画像演出は、最高設定値である6が確定する示唆演出とされるため、遊技者の遊技意欲を著しく向上させることが可能となる。
パターンNo11、12とされた特定の画像演出は、示唆内容が「○○」否定とされている。即ち設定値Veがある値ではないことを示唆する画像演出(否定示唆演出)とされている。何れの画像演出においても背景色は「黒」とされており、背景色を確認するのみで何らかの否定示唆演出であることを認識することができる。
なお、パターンNo13、14とされた特定の画像演出は、大当り遊技終了後の表示される遊技結果表示画面には出現しない組合せである。具体的には後述する。
上述するように、遊技機1のテーマとなっている作品などの原作を知らない遊技者であっても、即ち、主人公Aや主人公Bなどのキャラクタを認知していない遊技者であっても、特定の画像演出についての背景色を見るだけで、どのような示唆演出が行われているのか把握することができるように構成されている。従って、原作を知らないことによって画像演出を楽しめず、遊技意欲が減衰してしまうことの防止が図られる。
また、図114Bに示すテーブルによる特定の画像演出は、原作を知っている遊技者にとっても楽しめるような構成とされている。例えば、左キャラもしくは右キャラに「ペットC」が出現する場合は、設定値Veが4~6である可能性が高いことが示唆される。即ち、パターンNo3とされた演出が出現した場合には、設定値4~6である可能性が高いことが画像演出によって報知され、パターンNo8とされた演出が出現した場合には、設定値4~6が確定することが報知される。
また、「ペットD」が出現した場合には、設定値Veが奇数である可能性が高いことが示唆される。
更に、左キャラもしくは右キャラに「ペットD」が出現する場合は、設定値Veが偶数である可能性が高いことが示唆される。
このように、原作を知っている遊技者にとっても出現するキャラクタ画像に応じて示唆内容を大まかに把握することができる。従って、図114Bに示すテーブルの詳細を全て把握していない遊技者に対しても遊技興趣を高めた画像演出を提供することができる。
このような設定値示唆演出として出現する特定の画像演出は、大当り遊技終了後(或いは全てのラウンド遊技の終了後)に現出するが、遊技者によっては当該示唆演出を見逃してしまう可能性がある。特に、獲得出玉を箱に移している場合などに見逃しやすいと考えられる。
そこで、遊技機1においては、大当り遊技の終了から次回の大当り遊技の開始まで、直前の特定の画像演出で出現したキャラクタ画像の組合せをデモ画面に表示させるように構成されている。
遊技機1では、デモ画面中に表示される出玉ランキング画面があり、出玉ランキング画面においてキャラクタ画像が表示される。その日の初回の大当りまでは、前日のランキングが表示され、初回の大当り以降は、当日の出玉ランキングが表示されるように構成されている。
初回の大当り以降は、直前の特定の画像演出(即ち大当り遊技のリザルト画面)で出現したキャラクタ画像及び背景色が該出玉ランキング画面上で再現される。但し、キャラクタ画像の姿勢(ポーズ)は異なっていてもよい。即ち、大当り遊技が終了するごとに、該出玉ランキング画面に表示されるキャラクタ画像は変更され得る(パターンNo1~12)。
ここで、初回の大当り遊技までに出玉ランキング画面を表示させた際の画像について記載する。
本例では、初回の大当り遊技が開始されるまでの出玉ランキング画面においては、パターンNoが13または14の組合せのキャラクタ画像が表示される。
パターンNo13及び14は、何れもキャラクタ画像として主人公Aと主人公Bが出現するものであり、出現位置のみが異なるものである。パターンNo13、14は、何れも電源投入後初回の大当り遊技前にのみに出現するものであり、遊技中に遊技機1の電源などが落ちなければ、基本的に初回の大当り遊技以降は出現しないものである。
パターンNo13とされた画像が出玉ランキング画面に表示された場合は、示唆内容は「なし」とされている。即ち、該演出が現出したとしても遊技者は設定値Veに関する何らかの情報を得ることはできない。
一方、パターンNo14とされた画像が出玉ランキング画面に表示された場合は、示唆内容は「設定変更確定」とされている。即ち、該演出が現出した場合は、設定値Veが変更されていることを把握することができるため、設定値変更示唆演出とされる。即ち、この場合の出玉ランキング画面演出は、設定値変更示唆演出3とされる。
なお、該画像における背景色は共に「白」とされている。これは、前述する何れの特定の画像とも異なる背景色とされており、背景色が「白」とされた出玉ランキング画面が出現することにより、遊技者は設定値変更に関する示唆演出であることを把握することが可能である。
デモ画面は、前述のように、一定時間大入賞口50等に遊技球が入賞しないことにより液晶表示装置36に表示される画像であるため、遊技者が意図的に発生させることが可能である。従って、大当り遊技終了後に現出した特定の画像演出を見逃した遊技者であっても、どのような示唆演出が行われたのか確認することができる。そして、初回の大当り遊技前であれば、設定値変更が行われたか否かを示す設定値変更示唆演出3を自らの手で出現させることができ、自分の好きなタイミングで確認することが可能である。
(設定値示唆演出1)
本演出例では、前述した演出03や演出21のように、示唆演出の出現確率が時間や条件等によって異なるものとされた例である。また、演出21では、RTC機能を用いる例をフローチャートに従って説明したが、ここでは、総アウト球数を用いる例を説明する。
また、本例では、大当り遊技の回数(所定ラウンド数の大当り遊技を1回として数えるものであり、以降、大当り回数と記載)も考慮する。
本例では、装飾図柄変動表示ゲームが開始されるごとに示唆演出の実行有無を抽選し、当選した場合には、液晶表示装置36に表示される他の画像演出に重畳させるように特定のキャラクタ画像(人物であってもよいし、メダルのようなものであってもよい)を表示させる示唆演出を行う。勿論、設定値Veに応じて出現しやすいキャラクタ画像(或いは出現するキャラクタ画像)が異なるように設定されている。
本例では、メダルを模したキャラクタ画像(以降、「メダルキャラ」と記載)が出現する例を挙げる。
具体的に、図115を参照して説明する。
図115Aは、大当り回数が20回未満であり且つ総アウト球数が1000個以下の条件における設定値示唆演出1の出現確率を示すテーブルである。設定値示唆演出1としての示唆演出で出現するメダルキャラは複数色存在し、例えば、銅、銀、金、デンジャー柄、虹の5種類とされている。
図示するように、設定値1では、何れのメダルキャラも出現しない。換言すれば、メダルキャラが出現すれば、その色に関わらず設定値Veが2以上であることが確定する。
同様に、設定値2では、銀、金、デンジャー柄、虹のメダルキャラが出現せず、銅色のメダルキャラのみ出現する可能性がある。
また、設定値3では、金、デンジャー柄、虹のメダルキャラが出現せず、設定値4ではデンジャー柄と虹のメダルキャラが出現せず、設定値5では虹のメダルキャラが出現しない構成とされている。出現確率が0%とされている組合せ(例えば、設定値1、銅のメダルキャラ)は、以降の各テーブルにおける出現確率も0%とされている。
図115Aは、総アウト数が1~1000個とされ、且つ大当り回数が20回未満であることから、ホールの開店後すぐの状態などが該当する。このような状態においては、銅色のメダルキャラが登場する確率をそれ以降の遊技中よりも上昇させている。従って、ホールの開店直後の遊技意欲を向上させることができる。
大当り回数が20回未満であって、総アウト球数が1000個を超えて6000個までの間は、図115Bに示すように、銅色のメダルキャラの出現確率が下降した状態とされている。
更に、大当り回数が20回未満であって、総アウト球数が6001個~12000個までの間は、銀、金、デンジャー柄、虹の各メダルキャラの出現確率が上昇する(図115C)。
そして、大当り回数が20回未満であって、総アウト球数が12001個~24000個までの間は、それまでと比較して銅色のメダルキャラの出現確率が上昇する(図116A)。
また、大当り回数が20回未満であって、総アウト球数が24001個以上となった場合は、各色のメダルキャラの出現確率が上昇している(図116B)。
このように、ホールの開店直後と思われる図115Aを除くと、総アウト球数が増えるごとに各メダルキャラの出現確率が上昇していくように構成されている。即ち、遊技時間の経過と共に設定値Veを推測するための示唆演出が出現しやすいようにされ、遊技意欲を維持させることが可能となる。
大当り回数が20~30回となる条件下では、各出現確率が高めに設定されている。それほどの回数の大当り遊技が実行されたということは、それなりの回数の装飾図柄変動表示ゲームが実行されたことが予想される。更に、遊技者はある程度の出玉を獲得している可能性が高い。そのような状況では、メダルキャラの出現確率を高めとし、該メダルキャラの出現を遊技者に認識させることによって遊技を継続する意欲を保持させることが望ましい。
そして、大当り回数が31回以上である場合には、出玉の獲得も増え、遊技者が気分上々で遊技をしていることが考えられる。そのような場合に、メダルキャラの出現確率を上昇させることで、遊技者の遊技意欲を更に向上させることができる。
なお、出玉の獲得が増えると、遊技者は当たっているうちに止めようという心理になる可能性がある。そのような場合であっても、図117Bのテーブルに示すようにメダルキャラの出現確率を高めることによって、遊技を継続させる意欲を惹起させることが可能となる。
また、本例は、条件によって各演出の出現確率が異なるものであるが、当該演出が出現した場合の示唆内容は同じとされている。具体的には、図115Aによれば、デンジャー柄のメダルキャラが出現した場合は、設定値5または設定値6であることが確定する。「デンジャー柄のメダルキャラ」と「設定値5,6確定という情報(即ち示唆内容)」の関係は、他の条件下(即ち図115B、図115C、図116A、図116B、図117A、図117B)であっても変わらない。従って、遊技者は遊技機1が現在どのような条件下であるかを把握することなく、「デンジャー柄のメダルキャラが出現したこと」を「設定値Veが5または6であることが確定した」と捉えることができるため、遊技者にとって分かりやすい示唆演出とされている。
なお、図118A,図118Bに示すように、示唆内容がより絞られる方向への変更(即ち、遊技者が推定する設定値Veの選択肢が絞られる方向への変更)となるように出現確率が変更されてもよい。
具体的には、条件Aの下にある遊技機1では、図118Aに示すように「デンジャー柄のメダルキャラの出現」が「設定値Veが5または6であることが確定」することを示唆する演出とされている。一方、条件Bの下にある遊技機1では、図118Bに示すようにメダルキャラの出現確率が上昇する場合と0%に減少する場合があり、これによって、「デンジャー柄のメダルキャラの出現」が「設定値Veが6であることが確定」することを示唆する演出と変更されている。即ち、条件Bにおいては、設定値Veが5である場合は当該演出の出現確率が0%へと減少する一方、設定値Veが6である場合は出現確率が上昇する。
即ち条件Aから条件Bへと変わることにより、示唆演出が現出した際に遊技者に知覚させる報知内容の情報の精度が上昇することとなる。
また、このように条件Aよりも条件Bの方が遊技者に伝達する情報の確度が上昇する場合においては、条件Bの方が出現しにくい(達成しにくい)条件であることが望ましい。
例えば、条件Bが通常の状態とされ、条件Aがまれに出現する条件とされているような場合、遊技者は通常の状態とされた条件Bの下でデンジャー柄のメダルキャラが出現することによって設定値Veが6であることを示唆内容として受け取った後、特定条件とされた条件Aが成立し、精度の落ちた示唆内容の情報を追加で受け取ってしまう可能性が高くなる。これは、条件Aの下で受け取った示唆内容が遊技者にとって無意味な情報となってしまうため、好ましくない。
それに対して、図118A,図118Bに示すように、条件Aが通常の遊技中とされ、条件Bがまれに成立する特定条件下とされることにより、遊技者は、通常の遊技中という条件下で示唆演出が発生したことによって「設定値Veが5または6である」という情報を受け取り、その後に発生した特定条件下で出現した示唆演出によって「設定値Veが5である可能性が消え6であることが確定」という格上げされた情報を受け取る可能性が高くなる。このため、遊技者が同様の演出(即ちデンジャー柄のメダルキャラが出現する演出)を視認したとしても、双方の示唆演出に意味を持たせることができ、無意味な示唆演出を減らすことができると共に、遊技者の遊技意欲の向上を果たすことができる。
なお、例えば「500回の装飾図柄変動表示ゲームに亘って大当り抽選に当選しなかった場合(=所謂500回ハマり)」に特定条件としての条件Bが成立するようにしてもよい。即ち、遊技者は大当り抽選に長時間落選し続けた場合に遊技を中止しようと考える可能性があるが、そのような場合に500回ハマりを超えて次の大当り抽選に当選するまでは格上げされた情報を得られやすくすることで、次の大当り遊技までの遊技意欲を維持することができる。
この効果は、本例のように装飾図柄変動表示ゲームごとに示唆演出としての設定値示唆演出1が実行され得る構成だけでなく、大当り終了後に表示させる特定の画像演出によって設定値示唆演出を行う構成によっても得ることができる。
即ち、500回ハマりの後に当選した大当り遊技後には、上記格上げされた情報を得られるような(或いは得られやすいような)設定値示唆演出を行う構成とすることで、遊技者の遊技意欲を次の大当り遊技まで維持させることができる。
<10.大当りに関する示唆演出>
本実施の形態の遊技機1においては、大当りに関する示唆演出(前述した予告演出)が適宜行われ得る。大当りに関する示唆演出とは、遊技機1を遊技する遊技者が当該遊技機1で行われる大当り抽選に当選したか否かを推測可能な演出である。
[10-1.演出の種類]
本実施の形態における遊技機1において実行可能な大当りに関する示唆演出(以降、「大当り示唆演出」と記載)について、その種類を説明する(図120)。
先ず、大当り示唆演出には、図120に示すように、「先読み/当該」による別と、「演出手段」による別が設けられている。
「先読み/当該」による別は、当該大当り示唆演出が「先読み予告演出」であるか、或いは「当該変動における予告演出」であるかを示している。当該変動とは、現在液晶表示装置36の画面上で実行される装飾図柄変動表示ゲームを示す。
なお、各大当り示唆演出は、前述した設定値に関する示唆演出と同様に、「音」「光」「液晶」「可動体」「ボタン」の何れかの演出手段を用いて行われる。一つの演出手段を用いて実行されてもよいし、複数の演出手段を用いて実行されてもよい。
演出手段として「音」を用いる演出は、スピーカ46を含む音響発生装置46aを用いた音演出とされる。演出手段として「光」を用いる演出手段は、装飾ランプ45や各種LEDを含む光表示装置45aを用いた光演出とされる。演出手段として「液晶」を用いる演出は、液晶表示装置36等を用いた画像演出とされる。演出手段として「可動体」を用いる演出は、可動体役物等を用いた視覚的な演出とされる。演出手段として「ボタン」を用いる演出は、演出ボタン13や風圧装置等を用いた体感型の演出とされる。
[10-2.演出タイミング]
大当り示唆演出が行われるタイミングについて説明する。大当り示唆演出が行われるタイミングは、図121に示すように、「変動中」のみに行われる。なお、「客待ち中」及び「大当り中」においては、大当り示唆演出は実行されない。
「変動中」に行われる大当り示唆演出は、更に細かくタイミング10~25に分けられる。各タイミングについては、既に説明済みであるため、詳述は省く。
[10-3.演出例]
図121は、大当り示唆演出の種別(演出50~67)と実行されるタイミングの関係を示した図である。それぞれの大当り示唆演出について説明する。
(演出50)
演出50は、「液晶」「ボタン」を用いて行われる先読み予告演出としての大当り示唆演出であり、例えば「保留変化予告演出」である。保留変化予告演出は、例えば、特別図柄変動表示ゲームが開始されるタイミングや装飾図柄が全て停止された全図柄停止タイミングで実行される。
具体的には、液晶表示装置36の画面内において設けられた保留表示領域76、77に表示された作動保留球(保留アイコン)が通常色(例えば銀色)から異なる色(青色や赤色、黄色など)や特別保留表示態様(虹柄やデンジャー柄等)に変化することで、次回以降の特定の変動表示ゲームにおける大当り抽選結果を示唆する演出である。即ち、保留変化予告演出の対象とされた変動表示ゲームでは、大当り抽選結果が当選である可能性が高いことを遊技者に示唆することができる。
本演出の具体的な流れについて説明する。
先ず、演出制御部24は、保留変化予告演出の実行可否抽選を行う。この抽選には、設定値情報が用いられる。即ち、設定値Veに応じて演出の出現確率が変化する演出とされている。
抽選に当選した場合、演出制御部24は液晶表示装置36に演出ボタン13の押下を促すための画像を所定のタイミングで表示させる。このとき、保留アイコンが震えるなどの画像演出を同時に行ってもよい。これによって、遊技者は保留変化予告演出が実行され得ることを把握することができる。
次に、遊技者が演出ボタン13を押下すると、液晶表示装置36上に表示された保留アイコンを通常色から特定の色へと変化させる画像演出や、既に特定の色であった場合に、更に期待度の高い表示態様へ変化させる画像演出や、保留アイコンの変化が起こらず元の保留アイコンの表示態様が維持されたままとなる画像演出が実行される。
保留アイコンの変化の是非は、例えば、保留変化予告演出を実行するか否かを抽選する際に演出制御部24によって抽選されて決定される。保留変化予告演出の実行についての抽選は、該当の作動保留球に係る大当り抽選を実行する際に併せて行ってもよいし、特別図柄変動表示ゲームが開始されるごとに行われてもよい。
一方、遊技者が演出ボタン13を押下しなかった場合には、所定のタイミングで保留アイコンが変化する画像演出が実行される。
他にも具体的な演出例は考えられる。例えば、保留アイコンの色・表示態様が期待度の高い順に虹、赤、橙、黄、青、銀(通常色)とされている。
保留変化予告演出が実行されると、先ず液晶表示装置36の画面内において、保留アイコンが銀から青に変化する演出が実行される。更に、液晶表示装置36の画面上に演出ボタン13の押下を促す画像を表示させる。
遊技者が演出ボタン13を押下すると、保留アイコンが更に高期待度の色へ変化するか否かを抽選している様子を示す画像演出が行われる。この抽選は実際にこのタイミングで実行されてもよいし、予め決められた抽選結果に基づいた画像演出が実行されてもよい。
抽選に当選した場合、青の保留アイコンが黄へと変化する画像演出が行われると共に、更に演出ボタン13の押下を促す画像演出が実行される。これを繰り返すことにより、最終的には虹の画像アイコンへと変化する演出が実行可能とされる。
また、各抽選において落選した場合には、それ以上期待度の高い色・表示態様への保留アイコンの変化は起きず、保留変化予告演出が終了する。
このような演出は、例えば、特別図柄変動表示ゲームの消化と共に保留変化予告演出の対象となった作動保留球が表示位置を変えながら実行されてもよい。例えば、保留変化予告演出の実行に伴って図4の保留表示部b1の作動保留球の保留アイコンの色が銀から青に変化した後、次の特別図柄変動表示ゲームの実行開始と共に保留表示部a1へ青色の保留アイコンが移動した後に保留変化予告演出が再度行われ(或いは前回の保留変化予告演出が継続して実行され)、保留表示部a1の作動保留球の保留アイコンの色が青から黄へと変化してもよい。
なお、保留変化予告演出は、演出ボタン13等を用いずに、液晶表示装置36のみを用いて実行されてもよい。
(演出51)
演出51は、「光」「液晶」「可動体」を用いて行われる先読み予告演出としての大当り示唆演出であり、例えば、「特殊ゾーン突入予告演出」である。
特殊ゾーン突入予告演出は、1回または複数回の特別図柄変動表示ゲームに亘って実行される特殊ゾーン演出に突入する可能性があることを示唆することにより、遊技者に期待感を持たせる演出である。
特殊ゾーン突入予告演出は、例えば、特別図柄変動表示ゲームが開始されるタイミングや装飾図柄が全て停止された全図柄停止タイミングで実行される。
特殊ゾーンは、例えば、液晶表示装置36の画面上に表示される背景画像が通常とは異なるものとされており、該ゾーンの最後の特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選に当選している可能性が高いことを、その前の数回の特別図柄変動表示ゲームに亘って(即ち特殊ゾーンに突入している間)遊技者に期待感を持たせながら示唆するための区間である。
特殊ゾーンが1回の特別図柄変動表示ゲームのみとされている場合は、例えば、当該変動表示ゲームで背景色が通常とは異なる画像演出が行われた後、大当り抽選に当選している旨の報知が遊技者に対して行われる。また、1回の特別図柄変動表示ゲームにおいては、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態を伴う疑似連演出を行ってもよい。
特殊ゾーン突入予告演出は、複数種類の演出パターンが設けられていてもよい。例えば、特殊ゾーンに必ず突入することを示唆する確定演出が実行可能とされていてもよいし、特殊ゾーンに突入する場合及び突入しない場合の双方で選択され得る演出が実行可能とされていてもよい。
また、特殊ゾーンへ突入する可能性が高い演出や低い演出が設けられていてもよい。
このように種々の特殊ゾーン突入予告演出が実行可能とされていることにより、遊技興趣の高い演出を提供可能とされている。
具体的な演出の流れについて説明する。ここでは、3回の特別図柄変動表示ゲームに亘って特殊ゾーンに関する演出が実行される例について説明する。
先ず、特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、演出制御部24は、演出の実行可否についての抽選処理を行う。この抽選処理では、設定値情報を参照することにより、出現確率に設定差を設けている。
演出の実行可否抽選に当選した場合、当該特別図柄変動表示ゲーム(1ゲーム目:特殊ゾーン突入予告演出)において装飾図柄の変動表示動作が開始され、遊技機各部に設けられた光演出手段を用いた光演出が実行されると共に、液晶表示装置36において特殊ゾーンに突入するか否かを抽選しているような態様の画像演出が行われる。
なお、本例のように、特殊ゾーンに突入する場合には、可動体役物によって遊技者に興趣の高い演出を行うと共に、可動体役物に搭載された光演出手段による発光演出を行い、更に、液晶表示装置36上に特殊ゾーン突入に成功したことを示唆する画像演出を行う。
一方、特殊ゾーンに突入しない場合には、液晶表示装置36上に特殊ゾーン突入に失敗したことを示唆する画像演出を行う。同時に光演出手段による発光演出や可動体役物を用いた演出を現出させてもよい。
特殊ゾーン突入に成功した旨の示唆、或いは失敗した旨の示唆を行った後、特別図柄変動表示ゲームの1回目が終了し、特別図柄が大当り抽選にはずれたことを示す表示態様で停止表示される。即ち、特別図柄がはずれ出目で停止される。このとき、液晶表示装置36上では、装飾図柄もはずれ出目で停止表示される。
このように、上述の1ゲーム目としての特別図柄変動表示ゲームで実行される演出が「特殊ゾーン突入予告演出」とされる。なお、特殊ゾーン突入に失敗した演出を実行した場合には、1回の特別図柄変動表示ゲームを終えると共に一連の特殊ゾーンに関する演出が終了する。
次の変動表示ゲーム(2ゲーム目:特殊ゾーン突入)において、装飾図柄の変動表示動作が開始されると、液晶表示装置36上では大当り抽選に当選したか否かについての期待感を抱かせるための画像演出(例えばバトルに勝利するかどうかを盛り上げる演出や、特定のミッションを達成できるか否かを盛り上げる演出など)が実行される。そして、液晶表示装置36上に「NEXT」などの文字を含む画像が表示されると共に、装飾図柄がはずれ出目で停止表示される。この変動表示ゲーム(2ゲーム目)及び次の変動表示ゲーム(3ゲーム目)の実行中においては、液晶表示装置36上に特殊ゾーンに突入中である旨を示す表示がなされる。
更に次の変動表示ゲーム(3ゲーム目:大当り当落示唆ゲーム)において、演出を盛り上げるための画像演出が実行された後、最終的に装飾図柄の停止態様による大当り抽選の当落示唆が行われる。例えば、左図柄と中図柄と右図柄が共に「3」を表す装飾図柄で停止表示されることにより大当り抽選に当選したことを示唆する画像演出や、左図柄と右図柄が共に「3」を表す装飾図柄とされ、中図柄が「2」を表す装飾図柄とされる停止態様が提示されることにより大当り抽選に落選したことを示唆する画像演出が実行される。
なお、3回の特別図柄変動表示ゲームに亘って特殊ゾーンに関する演出を実行する場合には、演出の開始時に当該変動を含めて3回の特別図柄変動表示ゲームの実行が確定している状況であることが望ましい。即ち、次の作動保留球に関する特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて特殊ゾーンに関する演出を実行する場合には、作動保留球数が3以上(3または4)であることを条件にして実行される。換言すれば、特殊ゾーンに関する一連の演出の実行が開始された際には、当該ゲームを1ゲーム目として、作動保留球数が2以上であればよい。
これは、大当り抽選の当落に係る情報を先読みすると共に、先読みした抽選結果が当選である場合に特殊ゾーン突入演出が実行されやすいことを考慮するためである。入賞すらしていない先読み不可能な特別図柄変動表示ゲームについて上述したような特殊ゾーン突入予告演出から始まる一連の演出を実行したとしても、その当選期待値は低いものであることは遊技者にとって明らかであり、遊技の興趣を高める演出はできないためである。
なお、上記の例はあくまで一例であり、一連の演出を装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態を伴う疑似連演出によって実現してもよい。
(演出52)
演出52は、「液晶」を用いて行われる先読み予告演出としての大当り示唆演出であり、例えば、「カウントダウン予告演出」である。カウントダウン予告演出は、複数回の特別図柄変動表示ゲームに亘って実行される予告演出である。また、1回の特別図柄変動表示ゲーム中に実行される複数回の疑似的な連続変動表示に併せて実行されてもよい。この場合には、1回の特別図柄変動表示ゲームにおいてカウントダウン予告演出が完結する。
カウントダウン予告演出の実行抽選に当選した場合、ある特定図柄変動表示ゲームにおいて所定の数値(例えば「2」など)をカウント値として液晶表示装置36上に表示させる画像演出が行われる。カウント値は、特別図柄変動表示ゲームが実行されるごとに減算されて液晶表示装置36上に表示され、カウント値が「0」になったタイミングで大当り抽選結果を示唆する画像演出などが実行される。
カウント値の表示が「0」となった特定図柄変動表示ゲームでは、大当り抽選結果を示唆する画像演出以外に、第1種スーパーリーチや第2種スーパーリーチへ発展する演出など、他の演出が行われるように構成してもよい。
また、カウント値が「0」になるまでカウントダウン予告演出を継続しなくてもよく、例えばカウント値の表示が「1」になった後、カウントダウン予告演出が継続されないことを示す画像演出が液晶表示装置36上で実行され、カウントダウン予告演出を終了してもよい。
このような演出も実行可能とすることにより、カウントダウン予告演出が発生した際に、カウント値が「0」となる特別図柄変動表示ゲームのみに遊技者の注意が払われてしまうことを防止し、カウント値が「1」や「2」である途中の状態においても、演出が継続することに期待を抱きながら遊技を行うことができ、遊技興趣の向上を図ることができる。
具体的な演出の流れについて説明する。
演出制御部24は、保留加算コマンドの受信に伴い、カウントダウン予告演出の実行可否抽選を行う。この抽選においては、設定値情報を参照しない。即ち、設定値Veによらず一定の確率で該抽選に当選する。
カウントダウン予告演出の実行可否抽選に当選した後、演出制御部24は、作動保留球数を考慮してカウント値の初期値を決定する。例えば、今回増加した作動保留球を含め作動保留球数が「3」とされ、カウント値の初期値を「2」と決定する。
次の特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、作動保留球数が「2」となり、液晶表示装置36上には、キャラクタ画像と共にカウント値が「2」である旨が報知され、カウントダウン予告演出が実行開始となったことを遊技者に通知する画像演出が実行される。
更に次の特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、作動保留球数が「1」となり、液晶表示装置36上には、カウント値が「1」である旨が報知され、カウントダウン予告演出が継続していることを示す画像演出が実行される。
そして、次の特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、作動保留球数が「0」となり、液晶表示装置36上には、カウント値が「0」である旨が報知され、カウントダウン予告演出が終了すると共に、大当り抽選の当落結果が液晶表示装置36上で報知される。具体的には、当該特別図柄変動表示ゲームの停止表示と共に、液晶表示装置36に装飾図柄が大当り抽選に当選したことを示す停止態様(或いは落選したことを示す停止態様)で表示される画像演出が実行される。
なお、演出のバリエーションとして、カウント値の初期値が複数種類用意されていてもよい。また、カウント値の初期値ごとに異なる当選期待度を有していてもよい。
(演出53)
演出53は、「液晶」「ボタン」を用いて行われる先読み予告演出としての大当り示唆演出であり、例えば「チャンス目予告演出」である。
チャンス目予告演出は、特別図柄変動表示ゲームが開始されるタイミングや、低速変動時、高速変動時のタイミング、或いは全図柄停止タイミングで実行され得る。
なお、「低速変動時」とは、上述した「通常変動12s」や「通常変動8s」などのように比較的長い変動時間とされた図柄変動表示ゲームを実行中のタイミングであり、単位時間あたりのゲーム消化スピードが低い状態を指す。このような変動は、例えば、作動保留球数が少ない場合に実行されやすい。
また、「高速変動時」とは、上述した「通常変動4s」や「通常変動6s」などのように比較的短い変動時間とされた図柄変動表示ゲームを実行中のタイミングであり、単位時間あたりのゲーム消化スピードが高い状態を指す。このような変動は、例えば、作動保留球数が多い場合に実行されやすい。
具体的な演出の流れについて一例を説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、演出制御部24はチャンス目予告演出の実行可否抽選を実行する。この抽選に当選した場合、演出制御部24はチャンス目予告演出を現出させる。
具体的には、液晶表示装置36上で装飾図柄が変動する装飾図柄変動表示ゲームが開始される。液晶表示装置36上には、左図柄(変動表示中)、中図柄(変動表示中)、右図柄(変動表示中)が表示されると共に、演出ボタン13の押下を促す文字や絵などが画像中に表示される。
遊技者が演出ボタン13を押下すると、例えば左図柄の停止表示が液晶表示装置36上で行われる。更に、液晶表示装置36に表示された画像(左図柄(停止表示中)、中図柄(変動表示中)、右図柄(変動表示中))には、更に演出ボタン13の押下を促す文字等が含まれる。
遊技者が画像演出による示唆に応じて演出ボタン13を更に押下すると、液晶表示装置36上では右図柄の停止表示が液晶表示装置36上で行われる。
更に、液晶表示装置36上には、左図柄(停止表示中)、中図柄(変動表示中)、右図柄(停止表示中)と演出ボタン13の押下を促す文字等が含まれた画像演出が実行される。
遊技者が画像演出に基づいて3回目の演出ボタン13の押下を行うと、液晶表示装置36上において、中図柄を停止表示させる画像演出が行われる。
液晶表示装置36上では、停止表示された各装飾図柄の色によって大当り抽選に当選した可能性の高低が遊技者に対して示唆される。
例えば、左図柄が青文字の「2」を模した装飾図柄とされ、中図柄が青文字の「8」を模した装飾図柄とされ、右図柄が青文字の「6」を模した装飾図柄とされている場合、停止表示された三つの装飾図柄が全て青文字を模した装飾図柄とされているため、この後図柄変動表示ゲームに供される作動保留球に関する期待度が通常よりも高いことが遊技者に示唆される。
また、左図柄が赤文字の「5」を模した装飾図柄とされ、中図柄が赤文字の「1」を模した装飾図柄とされ、右図柄が赤文字の「7」を模した装飾図柄とされている場合、停止表示された三つの装飾図柄が全て赤文字を模した装飾図柄とされているため、この後図柄変動表示ゲームに供される作動保留球に関する期待度が通常よりも高いことが遊技者に示唆される。なお、例えば、青文字の装飾図柄よりも赤文字の装飾図柄の方がより期待度が高いとされる。
なお、装飾図柄が停止する順序によって期待度の高さを示唆してもよい。例えば、上記では、左図柄、右図柄、中図柄の順で停止表示される例を説明した。この停止態様よりも、右図柄、中図柄、左図柄の順で停止表示される態様の方が高期待度となるように構成されていてもよい。
チャンス目予告演出は、設定値によらず一定の確率で現出するように構成されている。
(演出54)
演出54は、「光」を用いて行われる当該変動における大当り示唆演出であり、例えば、「入賞時ランプ予告演出」である。
入賞時ランプ予告演出は、入賞することにより作動保留球数が増加するタイミングで実行される。
具体的な演出の流れについて説明する。
ある入賞球についての特別図柄変動表示ゲームを実行中において、新たな入賞による作動保留球数の増加が発生した場合、演出制御部24は入賞時ランプ予告演出の実行可否抽選を行う。この抽選では、設定値Veが参照される。即ち設定値Veによって演出の出現確率が異なる。
該抽選に当選することで、入賞時ランプ予告演出が実行される。この抽選処理では、現在実行中の特別図柄変動表示ゲームが大当りであるか否かの情報を参照する。即ち、現在実行中の特別図柄変動表示ゲームが大当りである場合には、入賞時ランプ予告演出が実行されやすい。
入賞時ランプ予告演出の実行が決定されると、特定の光表示装置45aを点灯させる光演出が入賞時ランプ予告演出として実行される。
なお、入賞により作動保留球数が増加するタイミングで光表示装置45aを点灯させる演出を行う場合、上述のように、現在変動中の特別図柄変動表示ゲームについての期待度を示唆する入賞時ランプ予告演出を実行する以外に、増加した作動保留球数についての期待度が高いことを示唆する先読み予告演出を実行可能としてもよい。
また、それらの演出が同様の演出態様で現出するようにしてもよい。この場合には、該光演出を認識した遊技者は、現在変動中の特別図柄変動表示ゲームの当選期待度が高いことを認識すると共に、例え現在変動中の特別図柄変動表示ゲームが大当りではなくはずれだったとしても、演出実行の契機となった保留球について期待感を持つことが可能となる。即ち、一度の演出で2回の期待感を得ることができ、遊技興趣を高めることができる。
(演出55)
演出55は、「音」「光」「液晶」を用いて行われる当該変動における大当り示唆演出であり、例えば、「当該保留変化予告演出」である。
当該保留変化予告演出は、変動開始時、低速変動時、高速変動時、装飾図柄のうちの一つが停止した第1図柄停止時、疑似連2回目、疑似連3回目、疑似連4回目の各タイミングで実行可能とされている。
当該保留変化予告演出の実行抽選に当選した場合、図4に示す受座Jのアイコンの上に表示された現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンの色や図柄や形等が変化することにより、遊技者に対して当該変動における大当り抽選に当選した可能性が通常よりも高いことを示唆する演出を行う。
ここでは、疑似連演出と絡めて当該保留変化予告演出が実行される例を挙げて、演出の流れを説明する。なお、保留アイコンの色・表示態様は、期待度の高い順に虹、赤、橙、黄、青、銀(通常色)とされている。
先ず、特別図柄変動表示ゲームが開始されると、演出制御部24は演出実行可否抽選を行う。この抽選では、設定値情報を参照するため、当該保留変化予告演出は設定値Veの値に応じた出現確率となる。
演出実行可否抽選に当選した場合、液晶表示装置36上で装飾図柄変動表示ゲームが開始されると共に保留アイコンが銀(通常色)から青へと変化する画像演出が行われる。同時に、特定の光表示装置45aを保留アイコンと同色である青色に光らせる演出が実行され、音響発生装置46aから保留アイコンが高期待値のものへと変化した旨を示唆する効果音を出力させる演出が実行される。
続いて、液晶表示装置36上で変動表示されている装飾図柄が擬似的に一端停止した後、2回目の疑似連演出によって再変動する際に、保留アイコンが青から黄へと変化する画像演出が実行される。同時に、光表示装置45aと音響発生装置46aによる演出も実行される。
液晶表示装置36上で変動表示されている装飾図柄が擬似的な2回目の停止表示とされた後、3回目の疑似連演出によって再変動する際に、保留アイコンが黄から赤へと変化する画像演出が実行される。同時に、光表示装置45aと音響発生装置46aによる演出も実行される。
更に、液晶表示装置36上で変動表示されている装飾図柄が擬似的な3回目の停止表示とされた後、4回目の疑似連演出によって再変動する際に、保留アイコンが赤から虹へと変化する画像演出が実行される。同時に、光表示装置45aと音響発生装置46aによる演出も実行される。
このような演出を行うことにより、4回目の疑似連演出が実行された後に大当り抽選に当選した旨が報知されることを遊技者に期待させることができる。
(演出56)
演出56は、「可動体」「ボタン」を用いて行われる当該変動における大当り示唆演出であり、例えば、「ボタンバイブ予告演出」である。
ボタンバイブ予告演出は、例えば、三つの装飾図柄のうちの二つが停止表示された際に実行されるリーチ演出と平行して実行される演出である。
具体的に演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、演出制御部24は設定値情報を参照してボタンバイブ予告演出の実行可否抽選を行う。即ち、該演出は設定値に応じた確率で現出される。
特別図柄変動表示ゲームが開始された後、液晶表示装置36上では、第1,第2,第3図柄が変動表示される。このとき、当該変動の大当り抽選に当選した可能性が高い場合には、三つの装飾図柄の変動表示中に演出を実施する場合がある。
例えば、先の実行可否抽選に当選した場合、ボタンバイブ予告演出が実行される。
具体的には、可動体役物を振動させることにより期待感を視覚的に煽ると共に、演出ボタン13を振動させることにより期待値の高さを体感させる演出を行う。
また、液晶表示装置36では、ボタンバイブ予告演出の実行と共に、第1図柄及び第2図柄が停止表示される。このとき、第1図柄及び第2図柄の停止態様は二パターン設けられている。一つは、第1図柄及び第2図柄の装飾図柄が同一のものとされ、ボタンバイブ予告演出の終了と共にリーチ演出が継続して実行されるパターンである。
もう一方は、第1図柄と第2図柄の装飾図柄が異なるものとされ、リーチ演出が実行されずに第3図柄の停止表示と共に当該変動が終了するパターンである。
なお、可動体役物及び演出ボタン13の振動パターンを複数種類用意し、大当り抽選に当選したか否かに応じて選択確率を変えてもよい。具体的には、振動パターンAは当選した場合に選択されやすく、振動パターンBは落選した場合に選択されやすく構成してもよい。これにより、遊技興趣の高い演出を提供することが可能となる。
(演出57)
演出57は、「液晶」「可動体」を用いて行われる当該変動における大当り示唆演出であり、例えば、「可動体煽り予告演出」である。
可動体煽り予告演出は、例えば、可動体を可動させることにより大当り抽選に当選した可能性が高いことを示唆する信頼度の高い演出を実行可能な構成において、当該信頼度の高い可動体演出を実行する前に実行される演出である。この演出は、例えばリーチ演出と共に実行され得る。
例えば、可動体煽り予告演出は可動体を振動させる演出とされ、可動体煽り予告演出の実行後に続けて上述の高信頼度の可動体演出を実行するパターンと、実行しないパターンが設けられている。即ち、可動体煽り予告演出は、高信頼度の演出に発展する可能性があることを遊技者に示唆する演出とされる。
具体的に、演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、演出制御部24は可動体煽り予告演出の実行可否抽選と、高信頼度の可動体演出の実行可否抽選を行う。この抽選は、設定値情報を参照することにより、設定値Veに応じて当選確率が異なるものとされる。
該抽選の結果は、双方の演出を行い更に大当り抽選結果に当選したことを遊技者に報知する演出を実行するパターンAと、双方の演出を行うが大当り抽選結果に落選したことを遊技者に報知する演出を実行するパターンBと、可動体煽り予告演出を実行するが高信頼度の可動体演出に発展しないパターンCと、双方の演出何れも実行しないパターンDとに分岐される。
ここでは、パターンAを例に挙げて説明する。
特別図柄変動表示ゲームが開始された後、液晶表示装置36上では第1図柄、第2図柄及び第3図柄が変動表示される。このとき、可動体役物を振動させる演出が実行されると共に、液晶表示装置36上で高信頼度の可動体演出に発展するか否かを抽選しているような画像演出が実行される。
続けて、液晶表示装置36上において第1図柄及び第2図柄が同一の装飾図柄で停止表示されリーチ状態となった後、演出が発展する旨を示唆する画像演出が実行され、可動体役物を用いた高信頼度の演出(例えば、二つの可動体役物が合体する演出や、分離する演出など)が実行されると共に、液晶表示装置36上では大当り抽選に当選した可能性が高いことを示す画像演出が実行される。
更に、液晶表示装置36上では、第1図柄乃至第3図柄の全てが同じ数字を模した装飾図柄で停止表示されることで大当り抽選に当選したことを示す画像演出が実行され、可動体役物においても当選を示唆する演出が実行される。
(演出58)
演出58は、「光」を用いて行われる当該変動における大当り示唆演出であり、例えば、「イルミフラッシュ予告演出」である。
イルミフラッシュ予告演出は、遊技機が搭載しているイルミパネルを所定のパターンで発光させる演出である。イルミパネルは、例えば矩形状の導光板と、該導光板の縁部に配置された発光部を備えており、発光部から出射された光が導光板の内部を通過し、所定位置で前方に向かって反射されることにより所定の模様が浮かび上がるように形成されている。即ち、イルミフラッシュ予告演出は、発光部を発光させることにより所定の模様を遊技者に視認させる演出である。
イルミフラッシュ予告演出は、リーチ演出と共に実行され得る。
具体的に演出の流れを説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、演出制御部24はイルミフラッシュ予告演出の実行可否抽選を行う。この抽選は、設定値情報を参照することにより、設定値Veに応じて当選確率が異なるものとされる。
実行可否抽選に当選した場合、液晶表示装置36上で第1、第2図柄が停止し、リーチ演出が実行されると共に、イルミパネルの発光部を発光させ、イルミパネルに所定の模様を浮かび上がらせるイルミフラッシュ予告演出が実行される。これにより、遊技者に大当り抽選に当選した可能性が通常よりも高いことを報知することができる。
なお、イルミパネルは、特定の方向から出射される光のみを前方に反射するように反射部を形成することが可能である。従って、イルミパネルの左右方向の端部から出射された光を前方に反射する反射部について模様Aを形成するように配置すると共に、上下方向の端部から出射された光を前方に反射する反射部について模様Bを形成するように配置することで、複数種類の模様をイルミパネル上に浮かび上がらせることができる。
このようなイルミパネルを用いることにより、信頼度の高いイルミフラッシュ予告演出と信頼度の低いイルミフラッシュ予告演出を出し分けることが可能である。
また、フラッシュパターンを複数種類用意することにより信頼度の高低を表現することも可能である。例えば、イルミパネルを高周波で点滅させるフラッシュパターンを現出させることにより高信頼度の演出を表現し、低周波で点滅させるフラッシュパターンを現出させることにより低信頼度の演出を表現することが可能である。
他にも、発光部から出射する光の色を変えることにより信頼度の高低を表現してもよい。
(演出59)
演出59は、「音」「液晶」「ボタン」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「電話予告演出」である。
なお、ここでは、遊技機1のテーマに登場する重要なアイテムである「電話」を用いた予告演出を実行する。従って、遊技機1のテーマに沿った他の重要アイテムを用いた予告演出であってもよい。例えば、サッカーをテーマにした遊技機1であれば、「サッカーボール」を用いた「サッカーボール予告演出」を実行してもよい。
電話予告演出は、リーチ演出と共に実行され得る。例えば、液晶表示装置36上において第1図柄及び第2図柄が停止しリーチ演出が実行された後、電話が着信している様子を表す画像演出が実行されると共に、音響発生装置46aによって電話の着信音が効果音として出力され、更に液晶表示装置36上で演出ボタン13の押下を促す画像演出が実行される。
演出の流れについて具体例を挙げて説明する。
先ず、特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、電話予告演出の実行可否抽選が演出制御部24によって実行される。
該抽選に当選した場合、液晶表示装置36上で第1図柄と第2図柄に同一の装飾図柄が停止表示され、リーチ演出が実行された後、文字化された着信音の擬音が表示される画像演出を行いつつ、音響発生装置46aによって着信音の出力が実行される。
その後、液晶表示装置36上で演出ボタン13の押下を促す画像演出が実行される。
遊技者によって演出ボタン13が押下されると、第3図柄が停止表示されると共に液晶表示装置36上で大当り抽選に当選したか否かを示唆する画像演出が行われる。
演出59は、設定値Veによって実行可否抽選の当選確率が異なるものとされており、例えば、設定値Veが高いほど該抽選の当選確率が高いものとされている。従って、演出59の出現頻度が高いほど、設定値Veが高いと推測可能とされている。
(演出60)
演出60は、「液晶」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「背景変化予告演出」である。
背景変化予告演出は、例えば、特別図柄変動表示ゲーム開始時、低速変動時、高速変動時、装飾図柄のうちの一つが停止した第1図柄停止時などのタイミングで実行可能とされている。
具体的には、液晶表示装置36の画面内における背景画像が通常とは異なるものとされる画像演出である。
この演出は、設定値Veによらず一定の確率で出現するものである。
具体的な演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始と共に、背景変化予告演出の実行可否抽選を行う。当選した場合には、特定の背景画像上に装飾図柄を変動表示させる画像演出が行われる。例えば、通常は日中の背景を表した背景画像とされるのに対し、背景変化予告演出の実行可否抽選に当選した場合には、夕刻の背景を表した背景画像とされる。
第2図柄の停止表示と共に他の演出(例えばリーチ演出など)が実行されてもよい。
また、背景変化予告演出の実行タイミングによって期待度が異なるように構成されてもよい。例えば、特別図柄変動表示ゲームの開始と共に背景変化予告演出が実行されるよりも、第1図柄の停止と共に背景変化予告演出が実行される方が高期待度とされてもよい。
(演出61)
演出61は、「液晶」「可動体」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「ステップアップ予告演出」である。
ステップアップ予告演出は、例えば、特別図柄変動表示ゲーム開始時、低速変動時、高速変動時、第1図柄停止時などのタイミングで実行可能とされる。
ステップアップ予告演出では、複数段階用意された画像演出のうち、所定段階までの画像演出が実行される。そして、最終段階の画像演出が実行されることにより、大当り抽選に当選したことが示唆される。或いは、大当り抽選に当選したことが濃厚であることが示唆されるように構成されてもよい。
このような演出は、上記の複数のタイミングに亘って実行されてもよい。
具体的に説明する。
先ず、特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、ステップアップ予告演出を実行するか否かについての抽選が行われる。該抽選に当選した場合、どのような態様のステップアップ予告演出を実行するかについての抽選も実行される。例えば、ステップアップ予告演出として、第1段階演出~第4段階演出が設けられている。
実際に液晶表示装置36上で装飾図柄の変動表示が開始されるタイミングで、ステップアップ予告演出が実行され、第1段階の画像演出が実行される。
続いて、装飾図柄が停止表示された後、2回目の疑似連演出が液晶表示装置36上で実行されるタイミングで、第2段階の画像演出が実行される。
更に、3回目の疑似連演出が液晶表示装置36上で実行されるタイミングで、第3段階の画像演出が実行され、4回目の疑似連演出が液晶表示装置36上で実行されるタイミングで第4段階(最終段階)の画像演出が実行される。
これにより、遊技者に大当り抽選に当選した可能性が高いことが報知される。
その後、液晶表示装置36上で第1図柄~第3図柄が停止表示されることにより、大当り抽選に当選したことの報知が行われる。
ステップアップ予告演出は、設定値Veによらず一定の出現確率(実行可否抽選の当選確率)とされている。
(演出62)
演出62は、「光」「液晶」「ボタン」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「図柄停止時予告演出」である。
図柄停止時予告演出は、例えば、第1図柄停止のタイミングで実行され得る。
具体的な演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて図柄停止時予告演出の実行可否抽選が実行される。該抽選に当選した場合、図柄停止時予告演出が現出する。この演出は、設定値Veによらず一定の確率で実行される。
特別図柄変動表示ゲームの開始に伴って、液晶表示装置36上で装飾図柄変動表示ゲームが開始され、第1図柄が停止表示されたタイミングで、光表示装置45aによる発光制御が実行される。また、液晶表示装置36上では、演出ボタン13の押下を促すための画像演出が実行される。
遊技者が演出ボタン13を押下すると、液晶表示装置36上では第2図柄の停止することによりリーチ演出が実行されるか否かについての煽り演出が実行される。
リーチ演出の実行がユーザに示唆された場合、液晶表示装置36上では第1図柄と同様の図柄が第2図柄として停止表示され、いずれかのリーチ演出が現出する。
一方、リーチ演出が実行されないことをユーザに示唆した場合、液晶表示装置36上では第1図柄とは異なる図柄が第2図柄として停止表示され、続けて第3図柄も停止表示される。
(演出63)
演出63は、「音」「光」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「ルーレット予告演出」である。
ルーレット予告演出は、疑似連演出と併せて行われ得る演出であり、設定値Veによらず一定の確率で現出する。
ルーレット予告演出の流れについて、一例を挙げて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、ルーレット予告演出を実行するか否かを決定する実行可否抽選が実行される。
ここでは、該演出の実行が決定されたとする。
液晶表示装置36上では、装飾図柄変動表示ゲームが開始され、一端三つの装飾図柄の停止表示が行われた後、再始動することにより疑似連が開始される。疑似連が開始されたことに応じて、ルーレット予告演出が開始される。
遊技機1には、例えば、遊技領域3aの周囲にそれぞれ形の異なる複数の造形物が形成されている。それぞれの造形物は、例えば、丸型、星型、花型とされており、それぞれが異なる色で発光可能に形成されている。
ルーレット予告演出では、丸型、星型、花型の造形物が順に発光した後、特定の造形物(例えば星型の造形物)のみが発光する演出が実行されると共に、音響発生装置46aによって効果音が出力される。
大当り抽選に当選している可能性の高さに応じた造形物のみが最終的に発光されるように構成されており、例えば、花型の造形物が最終的に発光した場合に最も高期待度とされている。
2回目の擬似連の開始と共にそれぞれの造形物が順次発光された後、2回目の擬似連における装飾図柄の停止表示と共に星型の造形物が発光される。
3回目の疑似連の開始と共にそれぞれの造形物が順次発光された後、3回目の疑似連における装飾図柄の停止表示と共に再度星型の造形物が発光される。
更に、4回目の疑似連の開始と共に、再びそれぞれの造形物が順次発光された後、4回目の疑似連における装飾図柄の停止表示と共に花型の造形物が発光される。
これにより、遊技者は、疑似連演出の進行に応じたルーレット予告演出を体験することができると共に、疑似連の停止表示と共に何れの造形物が発光した状態となるか期待感を持って演出を体験することができる。即ち、遊技興趣の高い演出を提供することが可能である。
ルーレット予告演出についての他の例についても述べる。
丸型、星型、花型の造形物それぞれには対応するリーチ演出が設定されている。
そして、最終的に発光した造形物に応じて対応したリーチ演出が実行される。即ち、花型に対応するリーチ演出は期待度の高いリーチ演出とされており、遊技者はルーレット予告演出が現出した際には、花型の造形物が発光することで期待度の高いリーチ演出が実行されることを期待しながら演出を体感することが可能となる。
なお、何れの造形物も発光せず、リーチ演出が実行されない態様が用意されていてもよい。
(演出64)
演出64は、「光」「液晶」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「群予告演出」である。
群予告演出は、例えば、第2図柄停止のタイミングで実行され得る。即ち、リーチ演出と共に実行される可能性がある。
具体的に、演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、群予告演出の実行可否抽選が行われる。該抽選に当選した場合、群予告演出の実行が決定される。
液晶表示装置36上で装飾図柄変動表示ゲームが開始された後、第1図柄の停止表示に続いて第2図柄の停止表示が実行される。このタイミングで、液晶表示装置36上では、特定のキャラクタが多数表示される群予告演出が実行され、遊技者に対して大当り抽選に当選した可能性が通常よりも高いことが報知される。また、群予告演出の一部として、光表示装置45aによる発光制御が実行される。
群予告演出の実行後には、液晶表示装置36等を用いたリーチ演出が実行される。
なお、群予告演出で液晶表示装置36上に多数表示されるキャラクタの違いにより期待度の高低を表現してもよい。
(演出65)
演出65は、「液晶」「ボタン」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「SP発展予告演出」である。
SP発展予告演出は、第1種スーパーリーチに発展するか否かを煽る煽り演出を実行する際に出現するものである。
この演出は、設定値Veによらず一定の確率で現出する。
具体的に演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、演出制御部24はSP発展予告演出についての実行可否抽選を行う。
次に、液晶表示装置36上で、装飾図柄変動表示ゲームが開始され、第1図柄及び第2図柄が停止表示される。第1図柄及び第2図柄は共に同じ装飾図柄とされており、リーチ演出が液晶表示装置36上で展開される。このとき、SP発展予告演出も実行される。具体的には、第1種スーパーリーチに発展するか否かを煽るための画像演出が液晶表示装置36上で実行される。
この煽り演出では、例えば主人公キャラクタと敵キャラクタが戦う画像演出が実行され、同時に演出ボタン13の押下を促す報知が画像演出として実行される。
この報知に従って遊技者が演出ボタン13を押下すると、主人公キャラクタと敵キャラクタのいずれかが勝利する画像演出が液晶表示装置36上で実行される。ここで、主人公キャラクタが勝つ画像演出が実行されると、第1種スーパーリーチに発展する画像演出が更に実行される。これにより、遊技者は大当り抽選に当選した可能性が高いことを把握することが可能となる。
(演出66)
演出66は、「音」「液晶」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「SPタイトル予告演出」である。
SPタイトル予告演出は、第1種スーパーリーチや第2種スーパーリーチに発展した際に液晶表示装置36上に表示されるスーパーリーチのタイトルの色や柄などの表示態様を利用して行う演出である。
この演出は設定値Veによらず一定の確率で現出する。
具体的に演出の流れについて説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、演出制御部24はSPタイトル予告演出についての実行可否抽選を行う。
次に、液晶表示装置36上で装飾図柄変動表示ゲームが開始され、第1図柄及び第2図柄が停止表示される。第1図柄及び第2図柄が同一の装飾図柄で停止表示されることにより、リーチ演出が実行された後、更に期待度の高い第1種スーパーリーチへ発展した場合には、第1種スーパーリーチについてのタイトル画像が液晶表示装置36上に表示される。
このときのタイトル画像の態様によって大当り抽選に当選した可能性の多寡を示唆するのがタイトル予告演出である。
例えば、タイトルが金色の文字で形成されていた場合は、赤色で形成されているよりも高期待度とされる。また、虹柄やデンジャー柄であれば、金色よりも更に高い期待度とされている。
また、タイトル画像が表示される際に音響発生装置46aによる効果音が出力される。効果音を複数用意し、何れの効果音が出力されるかによって期待度の高低を示唆してもよい。
(演出67)
演出67は、「光」「液晶」「ボタン」を用いて行われる大当り示唆演出であり、例えば、「昇格演出煽り予告演出」である。
昇格演出煽り予告演出は、大当り種別が遊技者に報知された後に、遊技者にとって有利度の低い大当り種別から有利度の高い大当り種別へ昇格するか否かを示唆する演出(昇格演出)である。
遊技者にとっては、通常4Rや通常6Rの大当りに当選したことの通知がなされた後に、昇格演出が実行される方が有利である。更に、該昇格演出が実行された場合には、確変6Rや確変10Rなどの大当り種別に変更(昇格)されることにより、遊技者にとって更に有利な状況となる。
具体的に演出の流れを説明する。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて、演出制御部24は昇格演出煽り予告演出の実行可否抽選を行う。該抽選に当選した後、液晶表示装置36上では、装飾図柄変動表示ゲームが開始され、第1図柄、第2図柄及び第3図柄が同一の装飾図柄で停止表示される。三つの装飾図柄が停止表示されるまでは、各種の演出が実行され得る。
三つの装飾図柄が同一の装飾図柄が停止表示され、大当り抽選に当選したことが遊技者に報知された後、先の実行可否抽選に基づいて昇格演出煽り予告演出が実行され得る。この演出が実行される場合には、遊技者は有利度の高い大当り種別へ昇格することを期待することができる。なお、遊技機1の内部的には、これから実行する大当り遊技が有利度の低いものであるか高いものであるかは、予め決定されている。ここでいう「昇格」は、遊技者にとって不確定であった大当り遊技の種別が有利度の高いものであることが遊技者にとって明らかになるということである。
昇格演出煽り予告演出では、光表示装置45aとして例えば演出ボタン13に設けられている発光部などを光らせることにより、遊技者に昇格演出が実行されることを報知する。遊技者が演出ボタン13を押下したことに応じて、液晶表示装置36上において、有利度の高い装飾図柄と低い装飾図柄の何れが停止表示されるか期待感を持たせる画像演出が実行される。例えば、液晶表示装置36上では、装飾図柄を再変動させ、既に報知済みの大当り種別から更に有利な大当り種別へと変更されるか否かを煽る演出(昇格演出)が実行され、遊技者にその結果が報知される。これにより、入賞時に確定している大当り種別が遊技者に正しく報知される。
昇格演出煽り予告演出は、設定値Veによらず一定の確率で現出する。
<11.その他の演出>
設定値に関する示唆演出、大当りに関する示唆演出以外に、遊技機1に設けられる演出があってもよい。
例えば、設定値Veや大当りに関して何の示唆も行わないが、賑やかしとしての演出が実行されてもよい。
(演出80)
演出80は、「液晶」を用いて行われる賑やかし演出である。具体的には、入賞することにより作動保留球数が増加するタイミング(タイミング10)において実行され得る演出である。
特別図柄変動表示ゲームの開始に基づいて演出80についての実行可否抽選が行われ、該抽選に当選した場合には、液晶表示装置36上で通行人が左から右へ横切る画像演出が実行される。
なお、類似した演出を設定値に関する示唆演出や大当りに関する示唆演出として実行可能とされていてもよい。例えば、通行人が左から右へ横切る画像演出は賑やかし演出とされ、右から左へ横切る画像演出は大当りに関する示唆演出として実行可能とされてもよい。
このように、設定値に関する示唆演出や大当りに関する示唆演出に類似した演出を賑やかし演出とすることで、設定値や大当りに関する示唆を行わない賑やかし演出であっても遊技興趣を向上させることができる。
<12.設定値によって出現確率が異なる演出について>
上述したように、本実施の形態における遊技機1に搭載された演出の中には、設定値Veによって出現確率が異なるものが含まれている。設定値Veによって出現確率が異なる演出にはいくつかの例が考えられる。ここでは、各例について説明する。
[12-1.第1例]
設定値Veによって出現確率が異なる演出の第1例(以降単に「設定差第1例」と記載する)は、該当演出に対する実行可否抽選の当選確率が設定値Veごとに異なることによって演出の出現確率が異なるものである。
例えば、各設定値Veに応じた大当り確率の一例を以下に示す。
・設定値1:1/180
・設定値2:1/170
・設定値3:1/160
・設定値4:1/150
・設定値5:1/140
・設定値6:1/120
更に、ある演出Xについての実行可否抽選の当選確率、即ち演出Xが実行される確率の一例を以下に示す。
・設定値1:大当り抽選当選時の1/8
・設定値2:大当り抽選当選時の1/7
・設定値3:大当り抽選当選時の1/6
・設定値4:大当り抽選当選時の1/5
・設定値5:大当り抽選当選時の1/4
・設定値6:大当り抽選当選時の1/3
これらの数値から変動1回(1ゲーム)あたりの演出Xの出現確率を算出すると、以下となる。
・設定値1:1/1440
・設定値2:1/1190
・設定値3:1/960
・設定値4:1/750
・設定値5:1/560
・設定値6:1/360
これにより、演出Xの出現回数が多い遊技機1ほど、設定値Veが高いことを推定することができる。
また、大当り抽選に当選した回数に対して、演出Xが出現した回数を把握することにより、遊技者は設定値Veを推定することも可能である。
[12-2.第2例]
設定値Veによって出現確率が異なる演出の第2例(以降単に「設定差第2例」と記載する)は、当該演出に対する実行可否抽選の当選確率が設定値Veによらず一定であるが、そもそも設定値Veによって大当り抽選における当選確率が異なることにより、演出Xの出現確率が異なるものである。
例えば、各設定値Veに応じた大当り確率は第1例と同等とする。また、演出Xについての実行可否抽選の当選確率は、設定値Veによらず大当り抽選に当選した場合に1/5の確率で当選するものとする。
このとき、変動1回(1ゲーム)あたりの演出Xの出現確率は以下のように算出できる。
・設定値1:1/900
・設定値2:1/850
・設定値3:1/800
・設定値4:1/750
・設定値5:1/700
・設定値6:1/600
これにより、演出Xの出現回数が多い遊技機1ほど、設定値Veが高いことを推定することができる。
なお、第1例のように、大当り抽選に当選した回数に対して、演出Xが出現した回数を把握したとしても、設定値Veの推定はできない。
<13.遊技機への選択的実装の例>
上述した設定値に関する示唆演出及び大当り示唆演出は、一つの遊技機に全て実装されてもよいし、一つの遊技機に一部が選択されて実装されてもよい。
ここでは、一つの遊技機に上述した各示唆演出の一部が選択されて実装される例について説明する。
本例における遊技機1には、上述した演出1~21,演出50~67,演出80から選択的に各演出が実装される。
具体的には、遊技機1には、演出1,演出4,演出15,演出20,演出50,演出52,演出53,演出54,演出58,演出62,演出63,演出64,演出65,演出66,演出67,演出80が実装されている。以降の説明においては、この遊技機を遊技機1Aと記載する。
なお演出20について、上述した例では、実行し得るタイミングとして、時短状態における装飾図柄変動表示ゲーム中の各タイミングとしていた。即ち、一例として、タイミング01~42のうち、時短状態におけるタイミング10~25で実行可能に構成されている。
本例における遊技機1Aは、時短状態における先読み予告演出として、タイミング10でのみ演出20が実行され得るように構成されている。
遊技機1Aに実装される各演出について、図122に示す。
図122における演出の分類については、「設定値変更示唆演出」「設定値示唆演出」「大当り示唆演出(設定差あり)」「大当り示唆演出(設定差なし)」「賑やかし演出」とされている。
設定差のある演出とは、設定値Veによって出現確率が異なるものや、設定値Veによって演出態様が異なるもの、或いは、設定値Veによって演出態様が異なりやすいものなど、設定値Veの推測が可能な演出である。
設定差のある演出は、「設定値示唆演出」「大当り示唆演出(設定差あり)」とされている。
また、設定差のない演出は、「設定値変更示唆演出」「大当り示唆演出(設定差なし)」「賑やかし演出」とされている。
なお、「設定値変更示唆演出」については、設定差がある演出とされていてもよい。
なお、以降の説明においては、設定値変更示唆演出を「演出A」、設定値示唆演出を「演出B」、大当り示唆演出(設定差あり)を「演出C」、大当り示唆演出(設定差なし)を「演出D」、大当り示唆演出でも設定値に関する示唆演出でもない賑やかし演出を「演出E」と記載することもある。
ここで、各演出の分類のグループ分けについて説明する。なお、大当り示唆演出でも設定値に関する示唆演出でもない演出(演出80)については、ここでは除外する。
先ず、グループ分けの一つとして、大当りについての示唆を行わない示唆演出と、大当りについての示唆を行う示唆演出で区別することが考えられる。
この場合には、大当りについての示唆を行わず純粋に設定値に関する示唆のみを行う演出として、「設定値変更示唆演出」と「設定値示唆演出」が設けられている。
また、大当りについての示唆を行う演出については、「大当り示唆演出(設定差あり)」と「大当り示唆演出(設定差なし)」が設けられている。
更に、他の分類方法として、設定値に関する示唆を含む示唆演出と設定値に関する示唆を含まない示唆演出で区別することが考えられる。
この場合には、設定値に関する示唆を含む示唆演出として、「設定値変更示唆演出」と「設定値示唆演出」と「大当り示唆演出(設定差あり)」が設けられている。
また、設定値に関する示唆を含まない示唆演出として、「大当り示唆演出(設定差なし)」が設けられている。
[13-1.演出の現出タイミングについて]
各種演出の出現タイミングの分類について、上述したタイミング01~42を用いて説明したが、ここでは、それとは異なる分類を用いて説明する。
具体的には、演出が現出可能な各タイミングについて、「客待ち中」「先読み中」「変動中(前半)」「変動中(後半)」「大当り中」に分類する。
「客待ち中」とは、前述したタイミング01~09と同等の期間である。
「先読み中」とは、先読み予告演出が現出可能なタイミングであり、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(即ち未消化の作動保留球)について、当該作動保留球に係る図柄変動表示ゲームについての大当り抽選を先読み判定処理として実行可能なタイミングである。
「変動中(前半)」とは、装飾図柄に着目すると、装飾図柄変動表示ゲームの開始から第2図柄(例えば右図柄)が停止表示されるまでの期間である。
前述したタイミングでいえば、タイミング10~16と同等の期間である。
以降の説明においては、「変動中(前半)」を第1期間として記載する場合もある。
「変動中(後半)」とは、第1図柄(例えば左図柄)、第2図柄(例えば右図柄)が同じ装飾図柄で停止表示された状態且つ、第3図柄(例えば中図柄)が変動表示とされた状態から第3図柄が停止表示された状態までの期間である。即ち、装飾図柄がリーチ状態となってから三つの装飾図柄が最終的に停止表示されるまでとされている。
前述したタイミングでいえば、タイミング17~25と同等の期間である。
以降の説明においては、「変動中(後半)」を第2期間として記載する場合もある。
「大当り中」とは、大当り遊技が開始されてから終了するまでの期間であり、前述したタイミング26~42の期間に相当する。
[13-2.客待ち中について]
図122に示される各演出のうち、本実施の形態の遊技機1Aの客待ち中において実行可能とされている演出は、設定値示唆演出としての演出01である。
また、それ以外の演出については、客待ち中において実行されないように構成されている。即ち、客待ち中に唯一実行され得る演出が演出01である。
客待ち中において設定値示唆演出が実行可能とされている一方、大当りについての示唆を行う示唆演出が実行されないことで、遊技機1Aを客待ち中に演出が実行されにくい構成とすることができる。
従って、客待ち中に演出01が実行された場合には、比較的希なケースであることを遊技者に認識させることができ、遊技者に対して当該演出01が実行された遊技機に対する興味関心を惹起させることが可能となる。特に、各種の演出が絶えず現出するような遊技機と比較すると、効果的な演出を少ない演出回数で実現することが可能となる。
なお、客待ち中において賑やかし演出が実行されないことにより、このような効果を更に高めることが可能である。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値が記憶される記憶部を備え、
出現確率および/または演出内容に基づいて前記設定値に関する推測が可能とされた設定値推測可能演出と、出現確率および/または演出内容に基づいて前記設定値に関する推測が不可能とされた設定値推測不可能演出が実行可能に設けられ、
客待ち中において、前記設定値推測可能演出は現出可能とされると共に前記設定値推測不可能演出は現出しないことを特徴とした
遊技機。
また、このような構成は、以下の様に換言することも可能である。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、を実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、客待ち中において、前記第1演出を実行可能とすると共に前記第2演出及び前記第3演出の何れも実行不可能とされたことを特徴とした
遊技機。
また、演出の実装態様が図122に示すものとは異なり、客待ち中に設定値変更示唆演出を実行可能なように遊技機1Aが構成されていてもよい。その場合には、客待ち中において設定値変更示唆演出と設定値示唆演出の双方が実行されうる。
遊技機1Aがこのような構成をとれば、客待ち中であっても設定値Veの変更が行われたか否かを推測することや、遊技機1Aに設定された設定値Veを推測することが演出の現出により可能となり、当該遊技機に対する遊技意欲を高めさせることが可能となる。
また、ここで実行される演出が大当りについての示唆演出ではなく、設定値Veに関するものであることから、遊技者が遊技していない当該遊技機において、遊技者にとって設定値Veに関する有利な演出が実行された場合には、長い時間遊技者が当該遊技機を遊技する可能性を高めることができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて最後の電源投入操作後に設定値が変更されたか否かを推定可能な設定値変更示唆演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、を実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出手段は、客待ち中において、前記設定値変更示唆演出及び前記第1演出を実行可能とすると共に前記第2演出及び前記第3演出は実行不可能とされたことを特徴とした
遊技機。
[13-3.先読み中について]
図122に示される各演出のうち、本実施の形態の遊技機1Aの先読み中において実行可能とされている演出は、設定値示唆演出としての演出20と、大当り示唆演出(設定差あり)としての演出50と、大当り示唆演出(設定差なし)としての演出52,53とされている。
先読み中において現出する可能性のある演出は、大当りについての示唆を行わない示唆演出の種類数よりも大当りについての示唆を行う示唆演出の種類数の方が多くされている。
ここでいう「演出の種類数」とは、同系統の演出を1個として数えるものである。例えば、前述の図92を用いて説明した演出09であれば、液晶表示装置36上に表示されるタイトルが3種類用意されているため、演出態様としては少なくとも3パターンが用意されていることになる。出現タイミングを加味すれば更に演出パターンは増える。しかし、「演出の種類数」ではそれらをまとめて「1個」として数える。
なお、以降の説明において、演出パターンが異なる場合にそれぞれの演出パターンを1個として数える場合は「演出態様の総数」として記載する。
先読み中は、作動保留球に関する期待度が高まっている状態であり、そのような状態で設定値示唆演出を実行したとしても、遊技者が作動保留球についての大当り抽選に当選した可能性が高いと誤解を招く虞がある。
従って、そのような誤解を生じ難いように、大当りについての示唆を行わない示唆演出の種類数よりも大当りについての示唆を行う示唆演出の種類数を多くすることによって、遊技者の認識にあった演出が行われる可能性を高めることができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
前記始動手段による遊技球の検出を契機に所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された所定の遊技情報を前記特別図柄表示手段における前記特別図柄の変動表示動作の実行に供されるまで、あらかじめ定められた最大保留記憶個数を上限として、記憶順序を特定することができる作動保留球として保留記憶する保留記憶手段と、
前記作動保留球の数である保留球数を、保留球数分の保留アイコンを表示させることにより報知する保留球数報知手段と、
前記作動保留球が前記特別図柄の変動表示動作の実行に供される前の所定のタイミングで、該作動保留球に関する大当り抽選の当落について先読み判定を行う先読み判定手段と、
前記先読み判定の対象となった作動保留球についての保留アイコンの表示態様を変更する先読み予告演出を行う先読み予告演出手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、を備え、
前記先読み予告演出として、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを備え、
前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第1演出の種類数はa個(aは0以上)とされ、前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、
aは(b+c)よりも小さい数とされたことを特徴とする
遊技機。
また、上記のような効果を奏する別の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を設定可能な設定手段と、
利益状態を発生させるか否かの抽選結果に応じて、夫々変動する3つの図柄群で構成された演出図柄を変動表示可能な表示手段と、
遊技機に設定された前記設定値を示唆する第1種演出と、前記抽選結果を示唆する第2種演出と、を実行制御可能な演出実行制御手段と、を備え、
変動表示に供される前の作動保留球に関する前記抽選結果の当落に基づいて該作動保留球についての先読み予告演出が実行されている先読み期間において実行可能な前記第1種演出をs個とし、
前記先読み期間において実行可能な前記第2種演出をt個として、
t>s≧0が成り立つようにした
ことを特徴とする遊技機
上記の変数sと変数tの関係が成り立つ状態において、第1種演出は、演出目的として主に設定値に関する示唆を行う演出(演出a)を含んでもよい。また、第2種演出は、演出目的として主に抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、設定値に応じて選択割合が異なる演出(演出b)と、演出目的として主に抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、設定値に関わらず選択割合が同じ演出(演出c)を含んでもよい。
即ち、上記の変数sは演出aの数とされ、変数tは演出bの数と演出cの数を加算したものとされた場合に、t>s≧0が成り立つようにしてもよい。
これにより、先読み中においては、設定値に関する示唆を主目的とする演出よりも大当りの抽選結果に関する示唆を主目的とする演出が多く実行され得る。これによって、遊技者が作動保留球に関する期待度が高まっている状態で大当りについての示唆を含む演出が多く現出することによって、遊技者に混乱を与えにくく、遊技者の遊技意欲を増幅させるような効果的な演出を行うことができる。また、第1種演出が現出しにくいことにより、演出実行制御手段の処理負担軽減や消費電力の低減が図られる。
なお、ここでいう変数tや変数sは、「演出の種類数」であってもよいし、「演出態様の総数」であってもよい。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記演出aは、前記第1種演出に含まれ、
前記演出b及び前記演出cは、前記第2種演出に含まれる
ことを特徴とする遊技機。
上記の変数sと変数tが成り立つ状態において、第1種演出は演出bとされ、第2種演出はcとされてもよい。
即ち、上記の変数sは演出bの数とされ、変数tは演出cの数とされた場合に、t>s≧0が成り立つようにしてもよい。
これにより、先読み中に実行する大当りに関する示唆を行う演出に着目した場合に、設定値に応じて出現頻度が異なるような設定値の推測が可能とされた演出よりも、設定値によらず出現頻度が変わらない演出の方が多く現出されるため、設定値に関する示唆であるのか大当りに関する示唆であるのかを然程考慮せずに遊技者は演出を楽しむことができる。また、第1種演出を現出し難く構成することで、演出実行制御手段の処理負担軽減や消費電力の低減が図られる。
なお、設定値に関する示唆を主目的とした演出については、大当りに関する示唆を主目的として行う演出とは異なる演出や紛らわしくない演出とすることで、遊技者の混乱を避けつつ適切な演出を行うことができる。例えば、大当りに関する示唆を行う演出を実行中の液晶表示装置36上の片隅などに特定のキャラクタ画像を出現させることにより、さりげなく設定値に関する示唆を行ってもよい。また、大当りに関する示唆を行う演出を液晶表示装置36上で実行中であり遊技者が液晶表示装置36に注目している状態であれば、装飾ランプ45等を用いた発光演出などをさりげなく行うことにより、遊技機1に対する理解が進んでいる遊技者に対してアピールしてもよい。
なお、ここでいう変数tや変数sは、「演出の種類数」であってもよいし、「演出態様の総数」であってもよい。
上記のような効果を奏する遊技機1の構成例について示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記演出bは、前記第1種演出に含まれ、
前記演出cは、前記第2種演出に含まれる
ことを特徴とする遊技機。
上記の変数sと変数tが成り立つ状態において、第1種演出は演出a及び演出bとされ、第2種演出はcとされてもよい。
即ち、上記の変数sは演出aの数と演出bの数を加算したものとされ、変数tは演出cの数とされた場合に、t>s≧0が成り立つようにしてもよい。
これにより、先読み中においては、設定値に関する示唆を主目的とした演出、即ち演出aと演出bの数が少なくされることで、遊技者がより作動保留球が大当りであるか否かに着目しながら演出を体感することが可能となる。即ち、遊技者の混乱を来すこと無く、適切な演出を実行することが可能である。また、第1種演出としての演出aや演出bの現出を控えた構成とすることで、演出実行制御手段の処理負担軽減や消費電力の低減が図られる。
このような効果を奏する遊技機1の構成例を以下に示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記演出a及び前記演出bは、前記第1種演出に含まれ、
前記演出cは、前記第2種演出に含まれる
ことを特徴とする遊技機。
上記した第1種演出の数や第2種演出の数については、いくつかの例が考えられる。一つは、現出タイミングや現出契機が異なる演出をそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであって演出態様が少々異なるような似たような演出、例えば、液晶表示装置36上に表示される台詞が異なるだけの演出などは単なるバリエーションとし、各種のバリエーションを含めて一つの演出として捉えるものである。
これにより、遊技者が実質的に演出の数と捉え得る演出の種類数、即ち複数のバリエーションを一纏めにした演出の数を考慮して、遊技機1に実装される各演出のバランスを整えることができる。即ち、遊技者が混乱しないように設定値に関する示唆を行う演出を少なくすることを意図した場合に、バリエーションを除いた演出の種類数を考慮することで、遊技者にとって違和感のない演出のバランスを実現可能である。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例について示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記tと前記sは演出群の数とされた
ことを特徴とする遊技機。
第1種演出の数や第2種演出の数についての他の例としては、現出タイミングや現出契機が類似する演出であってもそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであっても演出態様が少々異なっていれば異なる演出として捉えるものである。即ち、演出のバリエーションが多ければ、演出数も多くなるものである。
バリエーションが異なる演出同士は、遊技機1の内部的には一部が共通の情報として記憶されている。そのため、バリエーションが異なる演出を異なる演出(別の演出)として扱うことで、記憶容量の使用効率を向上させながら、多様な演出態様を実現することが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記tと前記sは演出バリエーションの数とされた
ことを特徴とする遊技機。
なお、設定値示唆演出を実行する際には、必ず大当り示唆演出(設定差なし)や大当り示唆演出(設定差あり)も実行するように遊技機1Aを構成することで、誤解を生じないようにすることが可能である。
次に、演出機会の多寡について考慮する。本実施の形態の遊技機1Aにおける演出20は、時短状態における装飾図柄変動表示ゲーム中において実行可能とされており、演出50,52,53のように、時短状態以外の遊技状態では実行可能とされていない。即ち、演出50,52,53と比較して演出20は実行機会が少なく設定されている。
従って、大当りについての示唆を行わない示唆演出の実行機会よりも大当りについての示唆を行う示唆演出の実行機会が多くされていることにより、上記した誤解の生じにくい遊技機1Aを提供することが可能となる。
また、演出機会の多寡を考慮すると、遊技機1Aは、設定値に関する示唆を含む示唆演出よりも設定値に関する示唆を含まない示唆演出の方が実行機会が多くされていると捉えることが可能である。具体的には、演出20,50の実行機会よりも演出52,53の実行機会の方が多くされているということである。
これによって、純粋に作動保留球に関する大当りの抽選結果のみを示唆する演出が多く現出することにより、何を示唆している演出なのか分からず遊技者が混乱してしまうことを防止することができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
前記始動手段による遊技球の検出を契機に所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された所定の遊技情報を前記特別図柄表示手段における前記特別図柄の変動表示動作の実行に供されるまで、あらかじめ定められた最大保留記憶個数を上限として、記憶順序を特定することができる作動保留球として保留記憶する保留記憶手段と、
前記作動保留球の数である保留球数を、保留球数分の保留アイコンを表示させることにより報知する保留球数報知手段と、
前記作動保留球が前記特別図柄の変動表示動作の実行に供される前の所定のタイミングで、該作動保留球に関する大当り抽選の当落について先読み判定を行う先読み判定手段と、
前記先読み判定の対象となった作動保留球についての保留アイコンの表示態様を変更する先読み予告演出を行う先読み予告演出手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、を備え、
前記先読み予告演出として、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを備え、
前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第1演出の種類数はa個(aは0以上)とされ、前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、
(a+b)はc以下の数とされたことを特徴とする
遊技機。
次に、大当りについての示唆を行う示唆演出について説明する。
本実施の形態の遊技機1Aは、大当りについての示唆を行う示唆演出として、演出50,52,53が先読み中に実行可能とされている。その中では、大当り示唆演出(設定差あり)よりも大当り示唆演出(設定差なし)の方が演出の種類数が多くされている。
これにより、設定値Veについての示唆演出なのか大当り抽選の当落についての示唆なのか混乱しない大当り示唆演出(設定差なし)の方が多く現出可能とされるため、遊技者にとって分かりやすい演出を行うことが可能となる。特に、図122に示すように、大当り示唆演出(設定差あり)として遊技機1Aに実装されている演出の種類数が1個(演出50)とされていることで、遊技者は該演出(演出50)が設定値Veに関する示唆を含む演出であることを把握することにより、他の演出(演出52,53)は大当りについての示唆のみを行う演出であることが分かるため、設定値Veについて気にすること無く演出を楽しむことができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
前記始動手段による遊技球の検出を契機に所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された所定の遊技情報を前記特別図柄表示手段における前記特別図柄の変動表示動作の実行に供されるまで、あらかじめ定められた最大保留記憶個数を上限として、記憶順序を特定することができる作動保留球として保留記憶する保留記憶手段と、
前記作動保留球の数である保留球数を、保留球数分の保留アイコンを表示させることにより報知する保留球数報知手段と、
前記作動保留球が前記特別図柄の変動表示動作の実行に供される前の所定のタイミングで、該作動保留球に関する大当り抽選の当落について先読み判定を行う先読み判定手段と、
前記先読み判定の対象となった作動保留球についての保留アイコンの表示態様を変更する先読み予告演出を行う先読み予告演出手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、を備え、
前記先読み予告演出として、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを備え、
前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記先読み予告演出として実行可能とされた前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、
bはcよりも小さい数とされたことを特徴とする
遊技機。
[13-4.変動中(前半)について]
図122に示される各演出のうち、本実施の形態の遊技機1Aの変動中(前半)において実行可能とされている演出は、設定値変更示唆演出としての演出04と、大当り示唆演出(設定差あり)としての演出54と、大当り示唆演出(設定差なし)としての演出62,63と、賑やかし演出としての演出80とされている。
変動中(前半)において現出する可能性のある演出は、大当りについての示唆を行わない示唆演出の種類数よりも、大当りについての示唆を行う示唆演出の種類数の方が多くされている。
具体的には、大当りについての示唆を行わない示唆演出の種類数は、設定値変更示唆演出の1個のみとされている。また、大当りについての示唆を行う示唆演出の種類数は、大当り示唆演出(設定差あり)の1個と、大当り示唆演出(設定差なし)の2個で、計3個とされている。なお、前述したように、設定値に関する示唆も大当りに関する示唆も行わない演出80については、ここでは除外する。
変動中(前半)においては、リーチ演出などの各予告演出が実行されるか否かに対する遊技者の関心が高まった状態である。そのような状態で設定値示唆演出や設定値変更示唆演出を多く実行してしまうと、当該変動が大当り抽選に当選したか否かについて高い関心を持つ遊技者にとって不本意な演出となってしまう虞があり、遊技機1Aの魅力を半減させてしまう虞がある。
本実施の形態の遊技機1Aにおいては、大当りについての示唆を行わない示唆演出の種類数よりも、大当りについての示唆を行う示唆演出の種類数の方が多くされていることから、遊技者にとって関心のある大当りに関する示唆演出が多く現出可能とされている。
このような遊技機1の構成の一例を挙げる。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能な前記第1演出の種類数はa個(aは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第4演出の種類数はd個(dは0以上)とされ、
(a+d)は(b+c)よりも小さい数とされたことを特徴とする
遊技機。
なお、特に本実施の形態の遊技機1Aにおいては、変動中(前半)において出現する大当りについての示唆を行わない示唆演出は設定値変更示唆演出である演出04のみである。設定値変更示唆演出は、遊技者は一度確認すれば十分であり、その後遊技を続ける間において設定値変更示唆演出は不要な演出となってしまう。そのため、設定値変更示唆演出は、遊技を続けている間に何度も出現させる必要性が乏しく、他の示唆演出と比較して出現確率が低くされていてもよい。現に、演出04については、前述したように、電源投入後の最初の変動開始タイミングとなる入賞時のみに実行可能とされている。即ち、電源投入後1回出現するか否かとされている。
一方、演出54,62,63については、一日に何度も出現可能に構成されており、演出の実行機会としては、大当りについての示唆を行わない示唆演出よりも、大当りについての示唆を行う示唆演出の方が多くされている。
これにより、変動中(前半)に遊技者が体験する演出はほぼ全てが、大当りについての示唆を行う示唆演出とされているため、遊技者にとって何の示唆演出が現出したのか混乱する可能性が低くされている。
なお、設定値変更示唆演出(例えば演出04)は、演出機会が著しく限られている演出ではあるが、当該演出が出現した遊技機を遊技し続けるか否かを判断するための重要な演出でもある。
そのような演出が演出機会が少ないながらも実行可能とされていることで、長時間の遊技意欲を惹起させることが可能とされている。
なお、本実施の形態の遊技機1Aは、変動中(前半)において出現する大当りについての示唆を行わない示唆演出は設定値変更示唆演出である演出04のみであることを説明したが、換言すれば、変動中(前半)において設定値示唆演出が現出しないように構成されている。
これによって、遊技者にとって何の示唆演出が現出したのか混乱する可能性が低くされている。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成の一例を挙げる。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、前記第1演出を実行不可能とされたことを特徴とする
遊技機。
また、大当りについての示唆を行う示唆演出の種類は二つ以上(演出54,62,63)設けられているため、単調とならずに多様な演出を用いて大当りについての示唆を行うことが可能となっている。即ち、遊技興趣を高めることが可能とされている。
特に、大当り示唆演出(設定差なし)が複数実装され、且つ、演出の種類数が最も多くされていることから(演出62,63の2個)、当該変動に係る大当り抽選の当落に興味を持つ遊技者に対して効果的な演出を行うことが可能とされている。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成の一例を挙げる。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、複数種類の前記第3演出を実行可能とされたことを特徴とする
遊技機。
更に、本実施の形態の遊技機1Aにおいては、設定値変更示唆演出と設定値示唆演出と賑やかし演出の種類数の合計(1個、0個、1個で計2個)よりも、大当り示唆演出(設定差あり)と大当り示唆演出(設定差なし)の種類数の合計(1個、2個で計3個)の方が多くされていることで、遊技者にとって最も関心のある大当り抽選の当落についての示唆演出のバリエーションが多くされ、遊技興趣の向上を図ることが可能とされている。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成の一例を挙げる。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第5演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能な前記第1演出の種類数はa個(aは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第4演出の種類数はd個(dは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第5演出の種類数はe個(eは0以上)とされ、
(a+d+e)は(b+c)よりも小さい数とされたことを特徴とする
遊技機。
[13-5.変動中(後半)について]
図122に示される各演出のうち、変動中(後半)において実行可能とされている演出は、大当り示唆演出(設定差あり)として演出58、大当り示唆演出(設定差なし)として演出64,演出65,演出66,演出67とされている。
即ち、本例における遊技機1Aには、変動中(後半)において実行可能な設定値変更示唆演出と設定値示唆演出は設けられておらず、大当り示唆演出(設定差あり)が一つと大当り示唆演出(設定差なし)が四つ設けられている。
変動中(後半)において、設定値変更示唆演出及び設定値示唆演出が設けられていないことにより、遊技機1Aで実行される演出は大当りを示唆する演出となるため、演出による示唆内容について遊技者の混同を招くことがない。
特に、変動中(後半)においては、液晶表示装置36上で装飾図柄がリーチ状態とされているため、当該変動が大当りであるか否かについての関心が著しく向上した状態とされており、そのようなタイミングで設定値に関する示唆のみを行う演出を実行してしまうことは好ましくない。
例えば、遊技機1Aの特徴をよく知らずに遊技している遊技者に対して期待感を持てる派手な演出を実行した場合に、該演出が高設定値を示唆する演出であるにも関わらず遊技者がそのときに実行されている装飾図柄変動表示ゲームが大当りである可能性が高いことを期待してしまう場合がある。その結果、当該装飾図柄変動表示ゲームがはずれてしまうと、遊技者が混乱する虞、或いは、遊技者が落胆してしまい遊技を終了させてしまう虞がある。
本例によれば、変動中(後半)において設定値Veに関する示唆のみを行う演出が実行不可とされていることから、このような事態を招来してしまう虞が無く、演出が実行された場合には大当り抽選の当落結果だけに注目して該演出を楽しむことが可能となる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されたリーチ状態から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、前記第1演出及び前記第4演出の何れも実行不可能とされたことを特徴とする
遊技機。
また、大当りについての示唆を行う示唆演出の種類は二つ以上設けられているため、単調とならずに多様な演出を用いて大当りについての示唆を行うことが可能となっている。即ち、遊技興趣を高めることが可能とされている。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出と、演出態様に基づいて設定値変更の有無を推測可能な第4演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記第1装飾図柄、前記第2装飾図柄及び前記第3装飾図柄のうちの二つの装飾図柄が停止表示されたリーチ状態から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、前記第2演出及び前記第3演出を複数種類実行可能とされたことを特徴とする
遊技機。
なお、リーチ状態における演出は実行時間が長めとなる場合がある。そのような状態で大当りについての示唆を行う示唆演出だけでなく大当りについての示唆を行わない示唆演出を更に実行してしまうと、演出時間が長時間化する虞があり、遊技者が煩わしさを感じてしまう可能性がある。
本例によれば、変動中(後半)において大当りについての示唆を行わない示唆演出は実行されないため、演出時間が不要に長時間化してしまうことが防止される。
なお、変動中(後半)におけるタイミング17~25のうち、タイミング17で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出の数が最も多くされている。
具体的には、タイミング17で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出は、演出58,演出64の2種類とされる。タイミング19で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出は、演出65,演出66の2種類とされる。タイミング20、22、23で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出は、演出66の1種類とされる。タイミング24,25で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出は、演出67の1種類とされる。
タイミング18,21で実行可能な大当りについての示唆を行う示唆演出は、本例における遊技機1Aには実装されていない。
タイミング17は第2図柄が停止するタイミングであり、遊技者が大きな期待を持って迎えるタイミングのうちの一つである。即ち、遊技者は、第1図柄と同じ装飾図柄が停止するか否かについて大きな関心を有している。
そのようなタイミング17で実行可能とされた大当りについての示唆を行う示唆演出が多く遊技機1Aに実装されることにより、遊技者にとって遊技興趣の高い遊技機1Aを提供することが可能となる。
なお、遊技者が大きな期待を抱いて迎えるタイミングは他にも考えられる。例えば、タイミング20の当落煽り演出実行中や、タイミング23の当落煽り演出実行中やタイミング19の演出が発展するか否かを報知する煽り演出中なども該当し得る。そのようなタイミングにおいて出現可能な大当りについての示唆を行う示唆演出が多種多様に用意されることによっても、同様の効果を得ることができる。
また、遊技者の期待が高まる複数のタイミングのうち、一つのタイミングに絞って多様な演出が実行可能とされてもよいし、全てのタイミングで多様な演出が実行可能とされてもよい。
一つのタイミングに絞って多様な演出が実行可能とされた場合には、該当のタイミングを遊技者が迎えるにあたって、演出が実行されるか否かについての期待感が高められる。即ち、該当のタイミングが、遊技機1Aにおける最も遊技興趣が高まるタイミングとして遊技者に認知されることにより、当該タイミングが遊技機1Aの特有のタイミングとして捉えられ、他の遊技機との差別化を図ることができる。
また、該当のタイミング以外のタイミングで遊技者の不意を突く態様で大当りについての示唆を行う示唆演出が時折出現することにより、遊技者の遊技意欲を著しく向上させることが可能である。
なお、これらの効果は、変動中(後半)に限らない。即ち、遊技者が期待を持って迎えるタイミングに多様な演出を実行可能なように遊技機1Aを構成することにより同様の効果を得ることが可能である。
[13-6.大当り中について]
図122に示される各演出のうち、本実施の形態の遊技機1Aの大当り中(大当り遊技中)に実行可能とされている演出は、設定値示唆演出としての演出15のみとされている。
大当り中においては、大当り示唆演出が現出しないように遊技機1Aが構成されていることにより、大当り期間中に現出した演出が設定値に関する示唆を行う演出であることが確定するため、遊技者は適切に演出内容を把握することができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、大当り遊技中において、前記第2演出及び前記第3演出の実行が不可能とされたことを特徴とする
遊技機。
また、大当り中は、遊技者にとって有利な状況を享受する期間であると共に、それ以上の遊技を本遊技機1Aにおいて続けるべきか否かを判断する期間でもある。
そのような期間において現出する演出が設定値示唆演出のみとされていることにより、該演出を視認または体感した遊技者は、適切な判断を行うことが可能とされる。
大当り遊技中は、開放された大入賞口50に遊技球を入賞させることにより、所定の賞球数を獲得可能であるが、大入賞口50への入賞は比較的容易とされるため、それほど大入賞口50へ注目を払わなくても遊技が可能とされている。そのため、大当り遊技中は遊技機1Aへの関心が薄れてしまう虞がある。
しかし、本実施の形態の遊技機1Aにおいては、設定値示唆演出としての演出15において、オーバー入賞の発生に基づく音演出が実行可能とされている。即ち、オーバー入賞の発生を促すように遊技球を打ち出すことで設定値示唆演出の発生確率を向上させることができる。これにより、遊技者は遊技機1Aの設定値Veについての推測の確度を向上させることができる。即ち、遊技者は、オーバー入賞を発生させるために集中して大当り遊技を行うことができるため、遊技興趣の向上が図られる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
遊技領域に形成され、遊技球の入球を困難または不可能な閉鎖状態と、遊技球の入球を容易にする開放状態とを実行可能に構成された大入賞手段と、
前記大入賞手段に入球した遊技球を検出する入球検出手段による検出情報に基づき、前記大入賞手段に入球した遊技球を計数する入球数計数手段と、
当りとするか否かに関する抽選を実行する抽選手段と、
所定の規定時間を超えない範囲内において前記入球数計数手段により計数された遊技球数が規定入球数に達するまで前記大入賞手段を前記開放状態に制御可能な開放制御手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、計数した遊技球が前記規定入球数を超えたオーバー入賞時において前記第1演出の実行が可能とされたことを特徴とする
遊技機。
なお、大当り中においては、上始動口34や下始動口35に遊技球が入賞したとしても、最大保留記憶個数を超えて入賞した分については大当り抽選の対象とはならない。即ち、作動保留球の数が最大保留記憶個数に達した段階で、遊技者は上始動口34や下始動口35への遊技球の入賞について関心が薄れてしま虞がある。
そこで、大当り遊技中に作動保留球数が最大となった状態において更に上始動口34や下始動口35に遊技球が入賞した場合に、設定値を示唆するための何らかの効果音を再生するような設定値示唆演出を実行可能なように遊技機1Aを構成してもよい。これにより、作動保留球数が最大保留記憶個数に達した後であっても、遊技球が上始動口34や下始動口35に入賞したことに対して遊技者に興味を抱かせることができ、遊技興趣の向上を図ることができる。
[13-7.変動中(全体)について]
図122に示される各演出のうち、本実施の形態の遊技機1Aの変動中(全体)に実行可能とされている演出、即ち、変動中(前半)及び変動中(後半)に実行可能とされている演出は、設定値変更示唆演出としての演出04、大当り示唆演出(設定差あり)としての演出54,58、大当り示唆演出(設定差なし)としての演出62,63,64,65,66,67とされている。
実施の形態の遊技機1Aにおいては、変動中(全体)に現出する可能性のある演出に設定値示唆演出は含まれていない。また、唯一現出する可能性のある設定値変更示唆演出としての演出04は、上述したように電源投入後の最初の変動開始タイミングとなる入賞時のみとされていることから、現出可能なタイミングが著しく限られている。
従って、変動中(全体)において現出可能な演出において、設定値に関する示唆演出はほぼ含まれていない。
これにより、変動中(全体)において現出した演出については、何の示唆も行わない演出80を除きほぼ確実に大当り示唆演出とされているため、遊技者に混乱を抱かせること無く適切な情報が示唆される。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、前記第1演出の何れも実行不可能とされたことを特徴とする
遊技機。
また、変動中(全体)において現出可能な大当り示唆演出のうち、設定差ありのもの(演出54,58)は設定差なしのもの(演出62,63,64,65,66,67)と比較して種類数が少なくされている。
変動中は、当該変動の大当り抽選についての当落に対する関心が最も高くされている。これに対して、設定値Veに対する示唆は行わず大当り抽選の当落の期待度に関する示唆のみを行う演出(即ち大当り示唆演出(設定差なし))が、設定値Veに対する示唆及び大当り抽選の当落期待度の示唆の双方を行う演出(即ち大当り示唆演出(設定差あり))よりも多く設けられていることにより、遊技者が何の示唆演出であるのか混乱しない演出を提供することが可能となる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能とされた前記第2演出の種類数はb個(bは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能とされた前記第3演出の種類数はc個(cは0以上)とされ、
cはbよりも大きな数とされたことを特徴とする
遊技機。
更に、変動中(全体)において現出可能な演出として、大当り示唆演出(設定差あり)が複数種類設けられている。これによって、遊技者が最も関心のある当該変動の大当り抽選の当落結果のみを示唆する多彩な演出が実行可能とされ、遊技興趣の向上が図られている。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において、複数種類の前記第3演出を実行可能とされたことを特徴とする
遊技機。
変動中(全体)を構成する変動中(前半)と変動中(後半)で実行する演出の態様(演出内容や現出確率など)を異ならせることにより、効果を得ることが可能な場合もある。
例えば、第1期間(変動中(前半))において実行可能とされた設定値の示唆が可能な演出(第1種演出)の数(n個)は、第2期間(変動中(後半))において実行可能とされた該第1種演出の数(m個)よりも多くすることが考えられる。
第2期間は、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行可能とすることが遊技興趣上必須と考えられる。そのような期間において、設定値の示唆が可能な演出を行うことは、第2期間に実行される演出数が増え、場合によっては、同時に複数種類の演出が実行される。これは、演出に用いられる時間長が長くなると共に、演出に係るCPUの処理負担増大を招来してしまう。本構成によれば、このような事態を回避することで、処理負担の軽減や消費電力の削減に寄与することができる。また、液晶表示装置36上に表示される画像演出において、コマ落ちが発生してしまう可能性を低減させることができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を設定可能な設定手段と、
利益状態を発生させるか否かの抽選結果に応じて演出図柄を変動表示可能な表示手段と、
前記表示手段による前記演出図柄の変動中に、遊技機に設定された前記設定値を示唆する第1種演出を実行制御可能な演出実行制御手段と、を備え、
前記演出図柄は、夫々変動する3つの図柄群で構成されている
遊技機において、
前記表示手段において3つの図柄群が変動を開始してからそのうちの2つの図柄群が変動を停止するまでの期間を第1期間(変動中(前半))とし、前記2つの図柄群が変動を停止してから前記3つの図柄群が全て停止されるまでの期間を第2期間(変動中(後半))とした場合に、
前記第1期間に実行可能な前記第1種演出をn個とし、
前記第2期間に実行可能な前記第1種演出をm個として、
n>m≧0が成り立つようにした
ことを特徴とする遊技機。
また、3つの図柄群(左図柄群、中図柄群、右図柄群)のうちの2つの図柄群が停止表示された際の停止態様に応じて実行可能な演出に差異を設けることにより、効果を得ることが可能な場合もある。
例えば、2つの図柄群が停止表示された際の停止態様が「リーチ状態(リーチ態様)」でない場合に第2期間に実行可能な第1種演出の数(m1個)は、「リーチ状態(リーチ態様)」である場合に第2期間に実行可能な第1種演出の数(m2個)よりも多くすることが考えられる。
第2期間は、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行可能とすることが遊技興趣上必須であるが、リーチ状態でなければ第1種演出を現出させたとしても問題はない。従って、非リーチ状態であれば、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出は実行されない可能性が高く、該演出と第1種演出を同時に実行する可能性が低いため、CPUの処理負担の増大や消費電力の増大を招来することなく、第1種演出を実行することができる。また、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行しない代わりに第1種演出を実行することにより、遊技者の遊技意欲の低下を効率よく抑制することができる。
即ち、第2期間においては、リーチ状態よりも非リーチ状態の方が実行可能な第1種演出の数を多くすることが望ましい。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記3つの図柄群が変動を開始してからそのうちの2つの図柄群が変動を停止した際の表示態様において、
前記2つの図柄群が所定のリーチ態様でなかった場合、前記第2期間に実行可能な前記第1種演出の数をm1個とし、
前記2つの図柄群が所定のリーチ態様であった場合、前記第2期間に実行可能な前記第1種演出の数をm2個として、
m1>m2≧0が成り立つようにした
ことを特徴とする遊技機。
上述した第1種演出(設定値の示唆が可能な演出)について具体的にいくつかの例を説明する。
なお、以降の説明においては、設定値に関する示唆を行うことを主たる目的とした演出を「演出a」とし、大当り抽選についての当落結果の示唆を行うことを主たる目的とした演出を「演出b」または「演出c」とする。「演出b」及び「演出c」については、設定値に応じて選択割合が異なる演出が「演出b」、設定値に応じて選択割合が異ならない演出が「演出c」とされる。
一つ目の例は、第1種演出が演出aを含み、演出b及び演出cを含まないものである。
これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的として行う演出は第1種演出に含まれないため、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングで第1種演出を実行しないようにすることにより、上述した各種の効果を得ることが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記第1種演出は、前記演出aを含み、前記演出b及び前記演出cは含まない
ことを特徴とする遊技機。
また、上述した第1種演出についての二つ目の例は、第1種演出が演出bを含み、演出a及び演出cを含まないものである。
これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的としているが、設定値に関する示唆も含まれている演出、謂わば、遊技者によっては何を示唆しているのか迷ってしまうような演出が第1種演出として定義される。
このような第1種演出を大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングで実行しないように制御することにより、遊技者にとって示唆内容の誤解を与えないような演出を適切なタイミングで実行することが可能となる。また、設定値に関する示唆を行う演出を主目的とする演出(演出a)を実行しなくても、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を主目的とした演出であって、且つ、設定値に応じて選択割合が異なる演出が実行可能とされることにより、演出aを実行しないことの補間とすることが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記第1種演出は、前記演出bを含み、前記演出a及び前記演出cは含まない
ことを特徴とする遊技機。
更に、上述した第1種演出についての三つ目の例は、第1種演出が演出a及び演出bを含み、演出cは含まないものである。
これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的としていない演出(演出a)だけでなく大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的としているが選択割合が設定値によって異なるために設定値の示唆が可能とされた演出についても第1種演出として定義される。
大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングでこのような第1種演出を実行しないことにより、遊技者は現在遊技している遊技機1に設定された設定値Veがいくつなのかを気にせずに演出を楽しむことが可能となる。また、該タイミングにおいては、設定値によらず選択割合が同じ演出を主に実行することにより、CPUの処理負担の軽減や消費電力の削減を図ることが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出aとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出bとし、
演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、且つ、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出cとして、
前記第1種演出は、前記演出a及び前記演出bを含み、前記演出cは含まない
ことを特徴とする遊技機。
また、第1種演出の数についていくつかの例が考えられる。一つは、現出タイミングや現出契機が異なる演出をそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであって演出態様が少々異なるような似たような演出、例えば、液晶表示装置36上に表示される台詞が異なるだけの演出などは単なるバリエーションとし、各種のバリエーションを含めて一つの演出として捉えるものである。
これにより、遊技者が実質的に演出の数と捉え得る演出の種類数、即ち複数のバリエーションを一纏めにした演出の数を考慮して、遊技機1に実装される各演出のバランスを整えることができる。即ち、遊技者が混乱しないように設定値に関する示唆を行う演出を少なくすることを意図した場合に、バリエーションを除いた演出の種類数を考慮することで、遊技者にとって違和感のない演出のバランスを実現可能である。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記nと前記mは演出群の数とされた
ことを特徴とする遊技機。
第1種演出の数についての他の例としては、現出タイミングや現出契機が類似する演出であってもそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであっても演出態様が少々異なっていれば異なる演出として捉えるものである。即ち、演出のバリエーションが多ければ、演出数も多くなるものである。
バリエーションが異なる演出同士は、遊技機1の内部的には一部が共通の情報として記憶されている。そのため、バリエーションが異なる演出を異なる演出(別の演出)として扱うことで、記憶容量の使用効率を向上させながら、多様な演出態様を実現することが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記nと前記mは演出バリエーションの数とされた
ことを特徴とする遊技機。
[13-8.設定値示唆演出と現出タイミング]
本実施の形態において現出可能な設定値示唆演出は、演出01,15,20である。これらの演出は、変動中(全体)よりもそれ以外の期間に現出する演出の種類数の方が多くされている。具体的には、変動中(全体)に現出可能な設定値示唆演出は0種類とされ、それ以外の期間で現出可能な設定値示唆演出は3種類とされている。
これにより、当該変動についての大当り抽選の当落に最も関心がある変動中(全体)においては設定値示唆演出が現出し難くされると共に、それ以外の時間帯においては、遊技中の遊技機1Aを継続して遊技するか否かを判断するための判断材料となり得る設定値示唆演出が現出されやすいようにされている。従って、適切な情報提供が為される。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出を少なくとも一つ実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能な前記第1演出の種類数がa個(aは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第1演出の種類数がb個(bは0以上)とされ、
aはbよりも小さな数とされたことを特徴とする
遊技機。
[13-9.大当り示唆演出と現出タイミング]
本実施の形態において現出可能な大当り示唆演出(設定差あり)は、演出50,54,58とされている。これらの演出は、変動中(全体)に現出可能とされている演出の種類数の方がそれ以外の期間に現出可能とされている演出の種類数よりも多くされている。
即ち、変動中(全体)に現出可能とされている大当り示唆演出(設定差あり)は、2種類とされ、それ以外の期間に現出可能とされている大当り示唆演出(設定差あり)は、1種類とされている。
大当り示唆演出(設定差あり)は大当り示唆演出の一種であるため、変動中に多く出現可能とされており、これにより、当該変動の大当り抽選の当落に関心のある遊技者に対して適切な演出を行うことが可能とされる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出を少なくとも一つ実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能な前記第2演出の種類数がa個(aは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第2演出の種類数がb個(bは0以上)とされ、
aはbよりも大きな数とされたことを特徴とする
遊技機。
なお、変動中においては、設定値示唆演出を別途実行可能とするのではなく、大当り示唆演出が設定値示唆演出も兼ねることにより、即ち、大当り示唆演出(設定差あり)が現出可能とされていることにより、変動中に現出する演出の多くが大当りについての示唆を行う演出とされるため、遊技者に対する適切な示唆を行うことができると共に、設定値Veについて関心を持っている遊技者に対しても設定値Veに関する適切な示唆を行うことが可能とされている。また、演出54などが設定値Veについての示唆演出と大当りについての示唆演出を兼ねることにより、遊技機1Aに実装される演出の数を抑えることができるため、演出について利用される遊技機1Aの記憶領域の削減に寄与することができる。
本実施の形態において現出可能な大当り示唆演出(設定差なし)は、演出62,63,64,65,66,67とされている。大当り示唆演出(設定差なし)は、変動中(全体)に現出可能とされている演出の種類数が他の期間と比較して多くされている(6種類)。これによって、遊技者が最も大当り抽選の当落に関心のあるタイミングで大当り示唆演出(設定差なし)が現出されるため、遊技者に適切な示唆を行うことができる。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出を少なくとも一つ実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において実行可能な前記第3演出の種類数がa個(aは0以上)とされ、前記特定期間において実行可能な前記第3演出の種類数がb個(bは0以上)とされ、
aはbよりも大きな数とされたことを特徴とする
遊技機。
また、大当り示唆演出(設定差なし)は、変動中の中でも変動中(後半)に現出可能とされたものが最も多くの種類用意されている。変動中(後半)は、リーチ状態とされており、遊技者が当該変動の大当り抽選の当落について最も関心を持っている期間である。そのような期間に多様な大当り示唆演出(設定差なし)が用意されていることによって、遊技者に退屈させること無く遊技興趣の向上が図られている。
[13-10.演出ボタンと各演出]
本実施の形態の遊技機1Aに実装されている各演出には、演出ボタン13などの操作子を用いて現出される演出が含まれている。具体的には、演出01,50,53,62,65,67の各演出は、操作子を操作することによって演出が実行され得る。図122において丸印で囲んだ演出が該当する。
操作子を用いて現出される演出とは、例えば、操作子の操作を行うことにより演出が現出するが、操作子の操作を行わない場合には演出自体が現出しない演出である。或いは、操作子の操作によって即座に演出が現出するが、操作子の操作を行わない場合には、所定時間経過後に演出が現出(進行)するものなどが含まれる。
操作子の操作を行わなくても所定時間経過後に演出が現出(進行)するものについては、操作の有無によって演出時間が異なるものが含まれている。
具体的な例を説明する。
先ず、液晶表示装置36上に演出ボタン13の押下を促す画像を表示させる画像演出Aが実行される。遊技者が演出ボタン13の押下を行うと、液晶表示装置36上で画像演出Bが実行されることにより演出が進行し、最終的に画像演出Cを行うことにより何らかの示唆を行う。一方、遊技者が演出ボタン13の押下を行わなかった場合、例えば5秒などの所定時間が経過した後、示唆内容を提示するための画像演出Cが行われる。
即ち、演出ボタン13を押下したときの液晶表示装置36上における演出の流れは、画像演出A,B,Cと続くのに対し、演出ボタン13を押下しなかったときの液晶表示装置36上の演出の流れは、画像演出A,Cと続く。
このような演出は、操作子を契機として現出(進行)する演出の一態様とされる。
本実施の形態の遊技機1Aに実装されている各演出のうち、操作子を用いて現出される演出においては、設定値示唆演出(演出01)と比較して、大当り示唆演出(演出50,53,62,65,67)の方が種類数が多くされている。
設定値示唆演出は、当該遊技機1Aの遊技を継続するか否か、或いは、当該遊技機1Aの遊技を開始するか否かを判断するために用いられる重要な情報を遊技者が得ることが可能な演出である。操作子の操作の有無によりそのような重要な演出が現出しないことや、操作子の操作の有無により重要な演出の演出時間が短くなってしまい示唆内容の確認が不十分となってしまうことは、遊技者にとって著しく不利益となり得る。
本実施の形態の遊技機1Aにおいては、演出ボタン13などの操作子を用いて現出される設定値示唆演出は、演出01のみとされていることにより、多くの設定値示唆演出は、遊技者の操作によらず平等に示唆内容が伝達され得る。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第1演出の種類数はa(aは0以上)個とされ、前記操作手段の操作を契機として実行される前記第2演出の種類数はb(bは0以上)個とされ、前記操作手段の操作を契機として実行される前記第3演出の種類数はc(cは0以上)個とされ、
aは(b+c)よりも小さな数とされたことを特徴とする
遊技機。
また、遊技機1Aにおいて実装された演出ボタン13の操作を契機とした各示唆演出のうち、設定値示唆演出については、該操作によって演出開始タイミングや終了タイミングは変わらないものとされる。
例えば、演出01では、演出ボタン13の押下によって設定値示唆演出が開始された後、演出ボタン13の押下の有無によらず、演出が開始されてから所定のタイミングで該演出が終了する。即ち、演出の終了タイミングは、演出ボタン13の押下によらず演出開始から一定時間経過したタイミングとされている。
一方、演出ボタン13の操作を契機とした各示唆演出のうち、大当り示唆演出については、該操作によって演出開始タイミングや終了タイミングが異なるものとされる。
例えば、演出50では、保留変化予告演出が実行されるが、演出ボタン13の押下を促すための画像演出が実行された後、演出ボタン13の押下に応じたタイミングで次の画像演出(例えば、保留アイコンを通常色から特定の色へと変化させる画像演出)が実行される。即ち、演出ボタン13の押下によって開始される保留アイコンを通常色から特定の色へと変化させる画像演出は、演出ボタン13の押下に応じて異なるタイミングとされる。また、演出ボタン13の押下が遅ければ、それに応じて演出の終了タイミングも遅くされる。
また、これらを換言すると、遊技機1Aにおいて実装された演出ボタン13の操作を契機とした各示唆演出のうち、設定値示唆演出については、該操作によって演出時間長が不変とされているといえる。
更に、演出ボタン13の操作を契機とした各示唆演出のうち、大当り示唆演出については、該操作によって演出時間長が可変とされているといえる。
設定値示唆演出については、前述のように、操作子の操作の有無により演出が現出しないことや操作子の操作の有無により演出の演出時間が短くなってしまうことによって示唆内容の確認が不十分となってしまうことが、遊技者にとって著しく不利益となり得るため、終了タイミングや演出時間長が不変とされている。
一方、大当り示唆演出については、当該変動(或いは作動保留球について将来実行される予定の変動)における大当り抽選の当落に関する示唆演出であり、遊技者に応じて、早く当落についての情報を得たい欲求や、じっくりと演出内容を楽しむ欲求などが存在する。そのため、本実施の形態の遊技機1Aについては、開始タイミングや終了タイミングや演出時間長が操作ボタン13の操作タイミング等により可変とされることにより、遊技者の遊技態様に沿った適切な演出が現出可能とされている。
このような遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第1演出の終了タイミングは、前記操作手段の操作タイミングまたは操作有無によらず不変とされ、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第2演出または第3演出のうちの少なくとも一部の演出の終了タイミングは、前記操作手段の操作タイミングまたは操作有無に応じて可変とされたことを特徴とする
遊技機。
また、以下のような遊技機1の構成例も考えられる。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第1演出の演出時間長は、前記操作手段の操作タイミングまたは操作有無に応じて不変とされ、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第2演出または第3演出のうちの少なくとも一部の演出の演出時間長は、前記操作手段の操作タイミングまたは操作有無に応じて可変とされたことを特徴とする
遊技機。
また、演出01は、客待ち中の状態で遊技者がある操作子を押下したことに応じて演出が実行されるものであり、謂わば隠し演出のようなものである。従って、他の演出のように、示唆内容を遊技者に対して訴求するために実行が決定されたものの、操作子の非操作によってその実行がキャンセルされるような態様とは異なるものである。
従って遊技機1Aの遊技中(先読み中や変動中、或いは大当り中)に実行される設定値示唆演出については、特に、遊技者の操作によらず平等に示唆内容が伝達され得る。
本実施の形態における遊技機1Aにおいては、演出ボタン13などの操作子を用いて現出される大当り示唆演出は、演出50,53,62,65,67とされている。また、遊技者の操作によって演出が出現しなくなるものや、演出時間が短くなるものが含まれている。
大当り示唆演出は、該演出の実行から近い将来に大当り遊技が招来するか否かを示唆する演出であり、例え該演出を見逃したとしても、遊技者の不利益にはなりにくい。従って、大当り示唆演出については、臨場感を向上させることや遊技興趣を向上させる目的から、操作子の操作に応じて演出が現出(或いは発展)するものが多く実装されている。
なお、変動中(全体)に限れば、操作子の操作に応じて実行される設定値示唆演出は設けられていない。
操作子の操作に応じて実行される演出は、遊技者にとって期待度の高い演出とされている。そのような演出を変動中に実行する場合、遊技者はその時に最も関心を抱いている当該変動の大当りについての示唆演出であると推測しがちである。そのようなタイミングで、設定値示唆演出を行ってしまうと、遊技者の期待に添うことができない演出を実行してしまう虞や、遊技者が演出内容によって混乱してしまう虞が生じてしまう。
そこで、本実施の形態の遊技機1Aにおいては、変動中において操作子の操作を伴う演出を実行する場合には、必ず大当り示唆演出となるように構成されている。
このような構成とすることにより、遊技者の期待に添った適切な演出が実行されると共に、遊技者の混乱を招来することがない。
このような効果を得ることが可能な遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記変動表示動作の開始から三つの装飾図柄が停止表示されるまでの特定期間において前記操作手段の操作を契機として実行される特定演出を実行可能とされ、
前記特定演出に前記第1演出は含まれないことを特徴とした
遊技機。
また、本実施の形態における遊技機1Aにおいて、演出ボタン13などの操作子の操作を契機とした設定値示唆演出は、操作子の操作態様によらず、演出内容が不変とされている。例えば、遊技機1Aに実装された演出01は、演出ボタン13の押下によって開始される。しかし、演出内容は予め抽選によって決定された演出内容に基づくものであり、演出ボタン13の操作態様(操作タイミングや操作の有無)によって可変となるものではない。
一方、本実施の形態における遊技機1Aにおいて、演出ボタン13などの操作子の操作を契機とした大当り示唆演出は、操作子の操作態様によって演出内容が可変とされている。例えば、遊技機1Aに実装された演出50は、演出ボタン13の押下を促すための画像演出を実行した後、演出ボタン13の押下によって、保留アイコンが更に高期待度の色へ変化するか否かを抽選している様子を示す画像演出が実行され、保留アイコンが高期待度のものへと変化する画像演出が実行される。
しかし、演出ボタン13の押下を促すための画像演出を実行した後、演出ボタン13の押下が行われなかった場合、一定時間経過後に保留アイコンが高期待度のものへと変化する画像演出が実行される。即ち、演出ボタン13の押下の有無によって、画像演出の態様が異なるものとされる。
設定値示唆演出は、遊技の継続などを遊技者が決定するための重要な演出であるため、演出ボタン13等の操作子の操作態様によらず同一の演出内容を現出させることにより、遊技者に適切な示唆内容を提示するものである。
大当り示唆演出は、該演出の実行から近い将来に大当り遊技が招来するか否かを示唆する演出であり、例え該演出を見逃したとしても、遊技者の不利益にはなりにくい。そのため、遊技者の遊技興趣の向上を目的として、演出ボタン13等の操作子の操作態様に応じて、演出内容が変化するように構成されている。
遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第1演出においては、該操作の態様の違いによらず同一の演出態様とされ、
前記操作手段の操作を契機として実行される前記第2演出または第3演出のうちの少なくとも一部の演出においては、該操作の態様の違いに応じて異なる演出態様とされたことを特徴とする
遊技機。
上記の遊技機1においては、以下の様な特徴を更に備えてもよい。
前記異なる演出態様は異なる演出時間とされたことを特徴とする
遊技機。
また、遊技機1が以下の様な特徴を備えてもよい。
前記異なる演出態様は異なる画像演出とされたことを特徴とする
遊技機。
操作子を用いて現出される演出(以降、操作演出と記載)においては、変動中(前半)と変動中(後半)の違いを考慮してもよい。
例えば、即ち3つの図柄群が変動を開始してからそのうちの2つの図柄群が変動を停止するまでの期間を第1期間(変動中(前半))、2つの図柄群が変動を停止してから3つの図柄群全てが停止されるまでの期間を第2期間(変動中(後半))とした場合に、第2期間において実行可能な操作演出に設定値の示唆が可能な演出(第1種演出)を含まないことが考えられる。
第2期間は、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行可能とすることが遊技興趣上必須と考えられる。そのような期間において、設定値の示唆が可能な演出を操作演出として行うことは、第2期間に実行される演出数が増え、場合によっては、同時に複数種類の演出が実行されてしまう。これは、演出に用いられる時間長が長くなると共に、演出に係るCPUの処理負担増大を招来してしまう。本構成によれば、このような事態を回避することで、処理負担の軽減や消費電力の削減に寄与することができる。また、液晶表示装置36上に表示される画像演出において、コマ落ちが発生してしまう可能性を低減させることができる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を設定可能な設定手段と、
利益状態を発生させるか否かの抽選結果に応じて演出図柄を変動表示可能な表示手段と、
遊技者による操作が可能な操作手段と、
前記操作手段を用いた操作演出と、
遊技機に設定された前記設定値を示唆する第1種演出と、を実行制御可能な演出実行制御手段と、を備え、
前記演出図柄は、夫々変動する3つの図柄群で構成され、
前記表示手段において3つの図柄群が変動を開始してからそのうちの2つの図柄群が変動を停止するまでの期間を第1期間とし、前記2つの図柄群が変動を停止してから前記3つの図柄群が全て停止されるまでの期間を第2期間とした場合に、
少なくとも前記第2期間に実行可能な前記操作演出には、前記第1種演出を含まない
ことを特徴とする遊技機。
上述した第1種演出について、いくつかの例を説明する。
なお、操作演出であって且つ設定値に関する示唆を行うことを主たる目的とした演出を「演出Ba」とし、操作演出であって且つ大当り抽選についての当落結果の示唆を行うことを主たる目的とした演出を「演出Bb」または「演出Bc」とする。「演出Bb」及び「演出Bc」については、設定値に応じて選択割合が異なる演出が「演出Bb」、設定値に応じて選択割合が異ならない演出が「演出Bc」とされる。
また、操作演出であって且つ第1種演出である演出を「特定演出」とし、操作演出であるが第1種演出でない演出を「非特定演出」と定義する。
一つ目の例は、特定演出に演出Baが含まれると共に演出Bb及び演出Bcが含まれないものである。これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的として行う操作演出は特定演出に含まれないため、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングで第1種演出を実行しないようにすることにより、遊技者の混乱を招くこと無く適切な操作演出を実行することが可能となる。また、特定演出を実行するタイミングにおいて演出Bbや演出Bcが実行されないことにより、CPUの処理負担軽減や消費電力軽減を図ることが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記操作演出であって且つ前記第1種演出である演出を特定演出とし、
前記操作演出であって且つ前記第1種演出以外の演出を非特定演出として、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出Baとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出Bbとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出Bcとして、
前記特定演出は、前記演出Baを含み、前記演出Bb及び前記演出Bcは含まない
ことを特徴とする記載の遊技機。
二つ目の例は、特定演出に演出Bbが含まれると共に演出Ba及び演出Bcが含まれないものである。これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的としているが、設定値に関する示唆も含まれているような操作演出、謂わば、遊技者によっては何を示唆しているのか迷ってしまう可能性のある演出が特定演出として定義される。
大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングで特定演出を実行しないように制御することにより、遊技者にとって示唆内容の誤解を与えないような演出を適切なタイミングで実行することが可能となる。なお、特定演出を実行しないことにより、設定値に関する示唆を行う演出を主目的とする演出Baが現出しなくても、設定値によって選択割合が異なる演出Bbが現出可能とされることにより、設定値に関する示唆を代替する演出を現出させることができる。従って、遊技者によっては、設定値に関する情報を適切に伝達することができ、少ない演出で多様な情報を提供することができる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記操作演出であって且つ前記第1種演出である演出を特定演出とし、
前記操作演出であって且つ前記第1種演出以外の演出を非特定演出として、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出Baとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出Bbとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出Bcとして、
前記特定演出は、前記演出Bbを含み、前記演出Ba及び前記演出Bcは含まない
ことを特徴とする遊技機。
三つ目の例は、特定演出に演出Ba及び演出Bbが含まれると共に演出Bcが含まれないものである。これにより、設定値の示唆が可能な演出が特定演出として定義される。従って、特定演出を現出させないタイミングで操作演出を実行する場合においては、遊技者は演出内容(または演出における示唆内容)について混乱を来すこと無く大当り抽選についての当落結果の示唆内容を把握することができる。即ち、演出による示唆内容が分かりやすくされる。
また、特定演出を現出させないタイミングにおいては、演出Baや演出Bbが実行されないため、CPUの処理負担の軽減や消費電力の削減、或いは演出に用いられる表示手段(液晶表示装置36など)の処理負担の軽減を図ることが可能となる。特に、液晶表示装置36においては、複数の演出を同時に現出させるための処理を行う頻度が低下するため、コマ落ちなどが起きてしまう可能性を低減させることができる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記操作演出であって且つ前記第1種演出である演出を特定演出とし、
前記操作演出であって且つ前記第1種演出以外の演出を非特定演出として、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記設定値に関する示唆を行う演出を演出Baとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に応じて選択割合が異なる演出を演出Bbとし、
前記操作演出であって且つ演出目的として主に前記抽選結果の当落に関する示唆を行い、更に、前記設定値に関わらず選択割合が同じ演出を演出Bcとして、
前記特定演出は、前記演出Ba及び前記演出Bbを含み、前記演出Bcは含まない
ことを特徴とする遊技機。
また、変動中において実行される演出においては、特定演出の数よりも非特定演出の数を多くすることが考えられる。
特定演出は、設定値に関する示唆が可能な演出が含まれている。そのような演出が変動中に現出する可能性を低減させることで、大当り抽選についての当落結果の示唆を行う演出が相対的に多くなる。即ち、遊技者の興味関心が大当り抽選に当選したか否かに向けられている変動中において非特定演出の現出が多くされることによって、遊技者の興味に即した適切な演出を行うことができる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記表示手段による前記演出図柄の変動中において、
前記演出実行制御手段が実行可能な前記特定演出の数をi個とし、
前記演出実行制御手段が実行可能な前記非特定演出の数をj個として、
j>i≧0が成り立つようにした
ことを特徴とする遊技機。
特定演出と非特定演出は、共に操作手段の操作を用いたものであるが、操作手段の操作を行わなくても演出は現出可能である。操作手段の操作有無に応じた特定演出と非特定演出の相違点について説明する。
先ず、設定値に関する示唆が可能な演出が含まれる特定演出と、大当り抽選についての当落結果の示唆が可能な演出が含まれる非特定演出とにおいて、夫々の演出の終了タイミングと、操作手段の操作有無の関係性について説明する。
例えば、特定演出は、操作手段の操作の有無によらず終了タイミングが不変とされるが、非特定演出は、操作手段の操作の有無によって終了タイミングが変化することが考えられる。
特定演出は、前述のように、設定値に関する示唆が可能な演出が含まれるものである。設定値は、遊技中に不変のものとされることが多く、遊技者にとって遊技を継続するか否かを左右する重要な情報である。従って、操作手段の操作を行うことにより演出のキャンセルが可能とされ、設定値に関する示唆情報が遊技者に提示される時間が短くなってしまうことは、遊技者にとって著しく不利益になる可能性が高い。また、操作手段の操作を早く行ったことにより、示唆情報の提示が早く行われることや、操作が遅かったために示唆情報の提示の開始が遅く成ってしまい示唆情報の提示時間が短くなってしまうことも考えられる。
設定値に関する示唆情報を提示する特定演出は、大当り抽選についての当落結果の示唆を行う非特定演出と比較して現出回数が少ない可能性が高い。そのために、設定値に関する示唆情報の提示時間を短くしてしまうことは、遊技者にとって著しく不利益となる可能性が高いため、操作手段の操作の有無によらず、演出の終了タイミングを不変とすることが望ましい。同様に、操作手段の操作の有無によらず、演出の開始タイミングも不変とすることが望ましい。
なお、大当り抽選についての当落結果の示唆については、例えば遊技者が見逃したとしても、大当り抽選に当選していた場合には自ずと大当り遊技が開始されるため、遊技者にとって不利益を被る可能性が低い。従って、大当り抽選についての当落結果の示唆を行う演出については、遊技者の操作に同調して演出の開始や展開や発展を行うことにより、遊技興趣の高い演出を行うことが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記特定演出においては、前記操作手段の操作有無による演出の終了タイミングの変化が無いものとされ、
前記非特定演出における少なくとも一部の演出においては、前記操作手段の操作有無による演出の終了タイミングの変化があるものとされた
ことを特徴とする遊技機。
また、特定演出は、操作手段の操作の有無によらず演出に要する時間長が不変とされるが、非特定演出は、操作手段の操作の有無によって演出に要する時間長が変化することが考えられる。
このような構成にすることでも、上述したような遊技者の不利益を招く虞を低減させることが可能である。
具体的な遊技機1の構成例を以下に示す。
前記特定演出においては、前記操作手段の操作有無による演出に要する演出時間長の変化が無いものとされ、
前記非特定演出における少なくとも一部の演出においては、前記操作手段の操作有無による演出に要する演出時間長の変化があるものとされた
ことを特徴とする遊技機。
更には、特定演出は、操作手段の操作の有無によらず演出内容が不変とされるが、非特定演出は、操作手段の操作の有無によって演出内容が変化することが考えられる。
特定演出は、設定値に関する示唆を行うものが含まれているため、操作手段を操作しないことにより演出が現出せず演出内容による示唆が行えないような構成にしてしまうと、上述したような理由から、遊技者にとって著しく不利益となってしまう可能性がある。
一方、非特定演出は、大当り抽選についての当落結果の示唆が含まれており、操作手段を操作せずに演出が現出しなかったとしても、遊技者の不利益が生じる可能性は低い。
従って、特定演出に関しては、操作手段の操作の有無によらず、演出の終了タイミングを不変とすることが望ましい。また、非特定演出に関しては,操作手段の操作の有無によって、演出を現出させないことや演出を遅れて開始させることが望ましい。これにより、遊技者の操作に同調した演出が可能とされ、示唆内容について訴求効果の高い演出を行うことが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
前記特定演出においては、前記操作手段の操作有無による演出内容の変化が無いものとされ、
前記非特定演出における少なくとも一部の演出においては、前記操作手段の操作有無による演出内容の変化があるものとされた
ことを特徴とする遊技機。
また、特定演出及び非特定演出の数についていくつかの例が考えられる。一つは、現出タイミングや現出契機が異なる演出をそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであって演出態様が少々異なるような似たような演出、例えば、液晶表示装置36上に表示される台詞が異なるだけの演出などは単なるバリエーションとし、各種のバリエーションを含めて一つの演出として捉えるものである。
これにより、遊技者が実質的に演出の数と捉え得る演出の種類数、即ち複数のバリエーションを一纏めにした演出の数を考慮して、遊技機1に実装される各演出のバランスを整えることができる。即ち、遊技者が混乱しないように設定値に関する示唆を行う演出を少なくすることを意図した場合に、バリエーションを除いた演出の種類数を考慮することで、遊技者にとって違和感のない演出のバランスを実現可能である。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記iと前記jは演出群の数とされた
ことを特徴とする遊技機。
特定演出及び非特定演出の数についての他の例としては、現出タイミングや現出契機が類似する演出であってもそれぞれ一つの演出として捉えるものである。即ち、換言すれば、現出タイミングや現出契機が同じであっても演出態様が少々異なっていれば異なる演出として捉えるものである。即ち、演出のバリエーションが多ければ、演出数も多くなるものである。
バリエーションが異なる演出同士は、遊技機1の内部的には一部が共通の情報として記憶されている。そのため、バリエーションが異なる演出を異なる演出(別の演出)として扱うことで、記憶容量の使用効率を向上させながら、多様な演出態様を実現することが可能となる。
このような効果を得ることができる遊技機1の構成例を以下に示す。
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに異なる演出の数を演出群の数とし、
現出タイミング及び/又は現出契機が互いに類似する演出を別個に数えた数を演出バリエーションの数として、
前記iと前記jは演出バリエーションの数とされた
ことを特徴とする遊技機。
<14.遊技機への選択的実装の例2>
ここでは、上述した演出1~21,演出50~67,演出80から選択的に各演出が実装された遊技機1Bについて説明する。
遊技機1Bに選択的に実装された演出は、演出01,演出04,演出15,演出20,演出51,演出52,演出54,演出58,演出62,演出63,演出64,演出65,演出66,演出67とされている。
なお、遊技機1Bにおいて演出20は、タイミング10でのみ実行可能な時短状態における先読み予告演出とされている。
遊技機1Bでは、演出ボタン13などの操作子の操作が契機となって現出(発展)する演出は、演出01,演出62,演出65,演出67の4種とされている。
また、その中では、演出01のみが変動停止中に実行可能とされている。なお、変動停止中とは、液晶表示装置36上において、第1図柄、第2図柄、第3図柄の全てが停止表示された状態とされる。
遊技機1Bにおいて、変動停止中に現出可能な操作子を契機とした演出は、設定値示唆演出の一つとされた演出01のみであることから、変動停止中において現出可能な操作子を契機とした設定値示唆演出の種類数(即ち1個)は、変動停止中において現出可能な操作子を契機とした大当り示唆演出の種類数(即ち0個)よりも多くされている。
変動中は当該変動における大当り抽選の当落についての関心が高まっている一方、変動停止中は当該変動が行われていないタイミングでもあり、その中には、始動口に遊技球が入賞せずに遊技者が退屈している状態も含まれる。
そのようなタイミングでは、遊技者が遊技している遊技機の遊技を継続するか否かを迷うことも考えられる。
本実施の形態の遊技機1Bによれば、そのようなタイミングで実施される操作子の操作を契機とした示唆演出は、大当り示唆演出よりも設定値示唆演出の方が種類数が多くされているため、遊技者の遊技意欲の低下を抑制することが可能となる。
また、遊技機1Bとは異なる遊技機1の態様について説明する。遊技機1に実装される各演出について、演出の種別(設定値変更示唆演出、設定値示唆演出などの別)と実行タイミング(客待ち中、先読み中などの別)についてまとめたものが図125に示す表である。
図125には、演出の種類として、設定値変更示唆演出(演出d)、設定値示唆演出(演出a)、設定差ありの大当り示唆演出(演出b)、設定差なしの大当り示唆演出(演出c)、賑やかし演出(演出e)が示されている。また、遊技機1に実装された各演出が何れの演出の種類に属するか、また、何れの演出の実行タイミングで実行されるかが示されている。
更に、表には、各演出についてのバリエーションの種類数とボタン押下を伴う演出であるか否かを表す情報が示されている。ボタン押下とは、演出ボタン13だけでなく、遊技機1に設けられた各種操作子のうちの何れかを遊技者が操作することを示している。
例えば、演出No.が01とされた演出、即ち演出01は、ボタン押下を伴う演出とされ、バリエーションは1種類である。また、演出20については、ボタン押下を伴わず、バリエーションが3種類とされた演出である。演出20のバリエーションの一例として、液晶表示装置36上に表示される特定のキャラクタの人数が1人~3人の3パターンとされている。
図125のまとめの欄には、それぞれの実行タイミングにおいて実行され得る演出について集計した情報が示されている。例えば、客待ち中に実行される演出は全部で一つであり、それは設定値示唆演出であることが示されている。また、ボタン押下を伴う演出は一つとされている。
このような遊技機1の構成例を以下に示す。
遊技者が操作可能な操作手段と
始動手段が遊技球を検出して所定の始動条件が成立したことを条件に、特別図柄の変動表示動作を実行して表示結果を導出表示する特別図柄表示手段と、
前記特別図柄の変動表示動作の実行に伴って、第1装飾図柄を変動表示させる第1図柄表示領域と第2装飾図柄を変動表示させる第2図柄表示領域と第3装飾図柄を変動表示させる第3図柄表示領域を用いて各装飾図柄の変動表示動作を演出的に実行する装飾図柄表示手段と、
遊技者に有利な遊技状態に当選させるか否かの確率についての段階を表す設定値を記憶する記憶手段と、
演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測不可能な第1演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第2演出と、演出態様に基づいて設定値の高低を推測不可能且つ大当り抽選の当選期待度の高低を推測可能な第3演出の少なくとも一つを実行可能な演出実行手段と、を備え、
前記演出実行手段は、三つの装飾図柄が停止表示されている特定状態において前記操作手段の操作を契機として実行可能な前記第1演出の種類数がa個(aは0以上)とされ、前記特定状態において前記操作手段の操作を契機として実行可能な前記第2演出の種類数がb個(bは0以上)とされ、前記特定状態において前記操作手段の操作を契機として実行可能な前記第3演出の種類数がc個(cは0以上)とされ、
aは(b+c)よりも大きな数とされたことを特徴とする
遊技機。
<15.定義について>
(「第1種演出」と「第2種演出」について)
なお、すでに述べた通り、本発明の特徴部分の一つとして、遊技者が特に大当りを期待する場面(シーン、タイミング、演出パート等の語句も同義)では、設定を示唆する演出(予告、告知、報知、表示、発音、発光等の語句も同義、以下同じ)よりも、大当りを示唆する演出(予告、告知、報知、表示、発音、発光等の語句も同義、以下同じ)を優先して行うことが挙げられる。
しかしながら、遊技機において、その二つの演出(設定値示唆演出と大当り示唆演出)を明確に線引きすることは容易ではない。なぜならば、大当り示唆演出(例えば「群予告」が出た場合の大当り期待度が50%程度である等)が、設定値示唆演出(例えば、「群予告」が出た場合に設定2以上であることが確定する等)を兼ねていることが想定されるからである。
従って、以下に、設定値示唆演出を「第1種演出」とし、大当り示唆演出を「第2種演出」として、図125等を参照しつつ、その線引きをする際の定義について幾つかの例を示す。
まず、遊技中に行われる演出を、以下の通り、演出a~演出cの三つに分けて説明する。なお、演出はこれのみとしてもよいし、目的が異なる演出(例えば図125に示すような演出dや演出e等)を設けてもよい。
(演出a)設定値示唆演出
この演出の目的は、設定値を示唆することが主とされている。即ち、大当り抽選の当落結果の示唆については、おまけ程度とされている。例えば、大当り示唆についてはこの演出が出たとしても遊技者は然程期待感を持てない場合などである。
具体的には、大当り抽選の期待度が50%未満である場合や30%未満である場合、或いは、10%未満である場合のように演出が現出したとしても大当り抽選に当選していることにほとんど期待を持てない場合などである。
また、大当り示唆を全く行わない演出が設定値示唆演出に含まれてもよい。
或いは、ユーザが注目する部位に着目して演出aを定義してもよい。例えば、効果音と共に可動体役物が動作し液晶表示装置36上でのキャラクタ画像演出を実行することにより設定値示唆を行う場合、遊技者の注目は可動体役物の動きや液晶表示装置36の画像(画像変化)に注がれる。このときに、可動体役物や液晶表示装置36以外の場所でさりげなく大当り示唆を行う場合(例えば、筐体の一部を用いた発光演出等)には、演出を体感する遊技者の注目箇所から得られる情報はあくまで設定値示唆に関する情報であることから、このような演出は設定値示唆演出に分類してもよい。
また、可動体役物や液晶表示装置36を用いた同様の演出を行う場合に、液晶表示装置上の表示領域の50%未満の領域で大当り示唆を行う場合には、遊技者の注目度は設定値示唆に向けられていると推定することができる。従って、このような演出も演出aに分類することができる。
更に、遊技者が最初に受け取る情報に着目して分類してもよい。例えば、設定値に関する示唆情報と大当りに関する示唆情報の二つの情報のうち、演出開始後に最初に遊技者が受け取る情報が設定値示唆情報であるような演出を演出aに分類してもよい。
一例として、図125を用いて演出aに属する演出を具体的に分類すると、演出aに該当する演出は、演出01,演出20,演出15である。また、演出04を演出aに含めてもよい。
(演出b)設定差あり大当り示唆演出
この演出の目的は、大当り抽選の当落結果を示唆することにある。但し、出現頻度に設定差があることから、設定値の示唆を行うことも可能である。
演出bに分類される演出について定義すると、例えば、大当り抽選の期待度が50%以上である場合、或いは30%以上などのように、他の演出よりも比較的期待度が高い演出である。
また、出現頻度に設定差が設けられているだけでなく、設定値に関する示唆も併せて行うような演出の一部を演出bに分類してもよい。
例えば、演出aで定義したように、ユーザが注目する部位に着目して演出bを定義してもよい。効果音と共に可動体役物が動作し液晶表示装置36上でのキャラクタ画像演出を実行することにより大当り示唆を行う場合、遊技者の注目は可動体役物の動きや液晶表示装置36の画像(画像変化)に注がれる。このときに、可動体役物や液晶表示装置36以外の場所でさりげなく設定値に関する示唆(例えば、筐体の一部を用いた発光演出等)を行ったとしてもには、演出を体感する遊技者の注目箇所から得られる情報はあくまで大当りに関する示唆情報であることから、このような演出は演出bに分類してもよい。
また、可動体役物や液晶表示装置36を用いた同様の演出を行う場合に、液晶表示装置上の表示領域の50%未満の領域で設定値示唆を行う場合には、遊技者の注目度は液晶表示装置36における専有面積の広さから大当り示唆に向けられていると推定することができる。従って、このような演出も演出bに分類することができる。
更に、演出を選択する処理を実行する際に参照するテーブル上で設定値による差が設けられていないであっても、即ち、設定値がいくつであろうと一定の確率で選択される演出である場合であっても、実質的に出現頻度が異なる演出(詳しくは後述)については、設定差が現実的に存在するため、演出bに分類してもよい。
また、遊技者が最初に受け取る情報に着目して分類してもよい。例えば、設定値に関する示唆情報と大当りに関する示唆情報の二つの情報のうち、演出開始後に最初に遊技者が受け取る情報が大当り示唆情報であるような演出を演出bに分類してもよい。
一例として、図125を用いて演出bに属する演出を具体的に分類すると、演出bに該当する演出は、演出50,演出54,演出58である。
(演出c)設定差なし大当り示唆演出
この演出の目的は、演出bと同様に、大当り抽選の当落結果を示唆することにある。特に、演出bと異なり、設定差が設けられていないことから、純粋に大当り抽選の当落結果の示唆を行う演出と言える。
なお、演出bで説明した演出、即ち、演出を選択する処理を実行する際に参照するテーブル上で設定値による差が設けられていない演出であっても実質的に出現頻度が異なる演出については、テーブル上の選択率に設定差が設けられていないことから、設定差を意図的に出すことを目的とした演出ではないため、演出cに分類してもよい。
一例として、図125を用いて演出cに属する演出を具体的に分類すると、演出cに該当する演出は、演出52,演出53,演出62,演出63,演出64,演出65,演出66,演出67である。
次に、これらの演出分類を用いて、前述の第1種演出と第2種演出について説明する。
(例1)
第1種演出は演出aを含み、演出b及び演出cを含まない。
これにより、大当り抽選についての当落結果の示唆を主目的として行う演出は第1種演出に含まれないため、大当り抽選についての当落結果を示唆するための演出を実行することが望ましいタイミングで第1種演出を実行しないようにすることにより、同時に複数種類の演出が実行される機会が低減され、演出に用いられる時間長を短くすると共に、演出に係るCPUの処理負担の増大を抑制することができる。
(例2)
第1種演出は演出bを含み、演出a及び演出cを含まない。
例えば、第1種演出を実行しないタイミングにおいては、演出aと演出cのみが現出可能とされる。即ち、設定値示唆を主目的とする演出aと、設定差のない大当り示唆演出cのみとされる。これにより、演出が設定値に関する示唆を行うものであるのか、或いは大当りについての示唆を行う演出であるのかを遊技者が悩まなくてもよいため、混乱を来すこと無く効果的な演出を現出することが可能とされる。
(例3)
第1種演出は演出a及び演出bを含み、演出cを含まない。
例えば、第1種演出を実行しないタイミングにおいては、演出cのみが現出可能とされる。即ち、現出可能な演出が少ないため、複数の演出が同時に実行される契機が少なくされ、処理負担の軽減や演出の長時間化の抑制が図られる。
(例4)
第2種演出は演出b及び演出cを含み、演出aを含まない。
例えば、第1種演出よりも第2種演出の方が実行されやすいタイミングにおいては、演出aのような設定値示唆を主目的とした演出が現出し難い状態とされることにより、遊技者の混乱を招きにくくすることができる。
(例5)
第2種演出は演出cを含み、演出a及び演出bを含まない。
例えば、第1種演出よりも第2種演出の方が実行されやすいタイミングにおいては、演出aのような設定値示唆を主目的とした演出だけでなく、演出bのような設定差のある大当り示唆演出も現出し難くされるため、遊技者の混乱をより招き難くすることができる。
(「出現頻度」と「選択割合」について)
上述の各説明においては、「出現頻度」と「選択割合」という語句を用いたが、ここでは、これらの用語の定義について説明する。
「出現頻度」とは、対象とする演出が「時間あたりに出現する頻度(例えば1時間に1回等)」や「変動回数あたりに出現する頻度(例えば100回に1回)」、或いは「特定条件成立あたりに出現する頻度(例えばノーマルリーチ成立時の10回に1回等)」等を指す。
すなわち、設定値によって出現頻度が異なるということは、演出選択テーブルにおいて、設定値ごとに(もしくは特定の1または複数の設定値のみ)対象とする演出の選択割外が異なるということである。従って、「出現頻度」と「選択割合」とは略同義であるため、お互いに置換可能である。
なお、上述の通り、演出選択テーブル上では同一の演出選択割合(例えば、ハズレ変動時における1/100)で選択される演出Pがあった場合、出現頻度と選択割合のそれぞれの用語によって意味合いが異なるケースも存在する。
設定値によって大当り確率が異なる(全ての設定値で大当り確率が異なっている必要はないが、全ての設定値において同一の大当り確率であると、そもそも設定値を設ける意味がない)ということは、ハズレ確率が設定値によって異なるということである。そのため、上記例における演出P(ハズレ変動時における1/100で現出する演出)は選択割合は設定値間で差がないものの、ハズレ頻度が設定値で差があるため、結果として出現頻度が異なる(演出Pは低設定の方が出現頻度が高くなる)こととなる。
但し、それらを全て考慮すると、「設定差なし」というカテゴリに属する演出が存在しなくなってしまうため、同一請求項内で二つの用語を使い分けている場合を除いて、基本的に何れの語句を用いたとしても選択テーブルにおける選択割合が同じである場合を「設定差なし」とし、選択テーブルにおける選択割合が異なる場合を「設定差あり」とする。
なお、「設定差なし」を更に細分化して、特定設定値(例えば設定値1~3)の中では設定差なし、といったように特定の設定値間で設定差がないものを指すようにしてもよい。
同様に、「設定差あり」を更に細分化して、特定設定値(例えば設定値6)のみその他の設定値(例えば設定値1~5)とは選択割合が異なるものを指すようにしてもよい。
<16.1CPU構成について>
[16-1.パチンコ遊技機の制御構成]
続いて、別実施形態としてのパチンコ遊技機1Aについて説明する。
パチンコ遊技機1Aは、演出制御用のコンピュータ装置を1CPU化したものである。
なお、パチンコ遊技機1Aの外観については図1、2で説明したものと略同様となることから説明は省略する。以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図127は、パチンコ遊技機1Aの内部構成の概略的なブロック図である。
先の図3と対比して分かるように、パチンコ遊技機1Aは、パチンコ遊技機1と比較して、液晶制御部40が設けられていない点が異なる。
パチンコ遊技機1Aにおいては、演出制御部24に代えて演出制御部24Aが設けられている。演出制御部24Aは、いわゆる1CPUとして、図3のパチンコ遊技機1における演出制御部24が担っていた機能と共に、液晶制御部40(前述した液晶制御CPU)が担っていた機能を実現するように構成されている。
また本例における演出制御部24Aは、液晶制御CPUの機能と共に、前述した音響制御部に相当する機能も実現するように構成されている(後述する音コントローラ280)。
なお、本例では、液晶表示装置36として、主LCD36Mと副LCD36Sとが設けられた構成とされているが、図3の場合と同様に単一の液晶表示装置36のみを備えた構成とすることもできる。
主LCD36Mでは、演出制御部24Aの制御の下、背景画像上で例えば左、中、右の3つの装飾図柄の変動表示が行われる。また通常演出、リーチ演出、スーパーリーチ演出などの各種の演出画像の表示も行われる。副LCD36Sも、同様に各種演出に応じた表示が行われる。
なお、主LCD36Mは、特別図柄表示装置38a、38bによる第1、第2特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示する。
演出制御部24Aは、主LCD36M、副LCD36Sに対する制御装置としての機能も備えているため、VDP、画像ROM、VRAMとしての機能も備えられている。
VDPは、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を行う機能を指している。
画像ROMとは、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)が格納されているメモリを指す。
VRAMは、VDPが展開した画像データを一時的に記憶する画像メモリ領域である。
演出制御部24Aは、これらの構成により、主制御部20からのコマンド(演出制御コマンド)に基づいて各種の画像データを生成し、主LCD36Mや副LCD36Sに出力する。これによって主LCD36Mや副LCD36Sにおいて各種の演出画像が表示される。
[16-2.演出制御部の構成]
演出制御部24Aの具体的な構成例を図128に示す。
なお、図128ではメモリ244の図示は省略している。
図128の例の演出制御部24Aは、例えば複合チップ250に対してROM242、CGROM260(CG:Computer Graphics、前述した画像ROMに相当)、DRAM(Dynamic RAM)278が外付け接続されて構成されている。
複合チップ250は、CPU241が内蔵されたCPU回路250aと、VDPとしての機能を担うVDP回路250bとを含むとともに、図示する各部によって、上述したVDP、VRAM等の機能や、さらには光表示制御、モータ制御、音響制御を行う機能を有する。
構成各部について説明していく。
複合チップ250においては、CPU回路250aとVDP回路250bとがCPUインターフェース回路258を通じて接続されている。CPUインターフェース回路258は、CPU回路250aとVDP回路250bとの間の送受信データを中継する回路である。
この複合チップ250において、画像演出制御に関しては、CPU回路250aが所定時間毎にディスプレイリストDL(詳しくは後述する)を発行し、VDP回路250bは、発行されたディスプレイリストDLに基づいて画像データを生成して主LCD36Mと副LCD36Sを駆動する。
CPUインターフェース回路258には、ROM242、及びワークメモリ259が接続されている。ワークメモリ259は、例えば2Mバイト程度の記憶容量を有したRAMとされ、CPU回路250aからアクセス可能に構成されている。このワークメモリ259には、主LCD36M、副LCD36Sの各一フレームを特定する一連の指示コマンドが記載されたディスプレイリストDLを、一次的に記憶するDLバッファBUFが確保されている。
本例の場合、ディスプレイリストDLにおける一連の指示コマンドには、CGROM260から画像素材(テクスチャ)を読み出してデコード(展開)するためのTXLOADコマンドなどのテクスチャロード系コマンドと、デコード(展開)先のVRAM領域(インデックス空間)を予め特定するなどの機能を有するSETINDEXコマンドなどのテクスチャ設定系コマンドと、デコード(展開)後の画像素材を仮想描画空間(詳しくは図143等で後述する)の所定位置に配置するためのSPRITEコマンドなどのプリミティブ描画系コマンドと、描画系コマンドによって仮想描画空間に描画された画像のうち、実際に表示装置に描画する描画領域を特定するためのSETDAVR コマンドやSETDAVF コマンドなどの環境設定コマンドと、インデックス空間を管理するインデックステーブル268に関するインデックステーブル制御系コマンド(WRIDXTBL)が含まれる
CPU回路250aは、汎用のワンチップマイコンと同等の性能を有する回路であり、ROM242の制御プログラムに基づき画像演出を統括的に制御するCPU241と、プログラムが暴走状態になるとCPU241を強制リセットするWDT(ウォッチドッグタイマ)回路251と、16kバイト程度の記憶容量を有してCPU241の作業領域として使用されるRAM243と、CPU241を経由せずにデータ転送を実現するDMAC(Direct Memory Access Controller )252と、複数の入力ポートSi及び出力ポートSoを有するシリアル入出力ポート(SIO)253と、複数の入力ポートPi及び出力ポートPoを有するパラレル入出力ポート(PIO)254と、CPU回路250aの動作制御のための各種の値が書き込まれる各種の制御レジスタ255とを有して構成されている。
なお、便宜上、入出力ポートとの表現を使用するが、演出制御部24Aにおいて、入出力ポートには、独立して動作する入力ポートと出力ポートとが含まれている。なお、この点は、以下に説明する入出力回路256や入出力回路257についても同様である。
パラレル入出力ポート254は、入出力回路256を通して主制御部20等の外部機器に接続されており、CPU241は、入出力回路256を経由して、制御コマンド(演出制御コマンド)CMDと、ストローブ信号(割込み信号)STBとを受信するようになっている。
受信した制御コマンドCMDは、入出力回路256を経由して、パラレル入出力ポート(PIO)254に供給されている。また、ストローブ信号STBは、入出力回路256を経由して、CPU241の割込み端子に供給されることで、受信割込み処理を起動させている。したがって、受信割込み処理に基づいて、制御コマンドCMDを把握したCPU241は、演出抽選などを経て、この制御コマンドCMDに対応する音演出、光演出、モータ演出、及び画像演出を統一的に制御することになる。
特に限定されないが、本例では、光演出とモータ演出のために、VDP回路250bのSMC部(Serial Management Controller)276を使用している。SMC部276は、ランプコントローラ276aとモータコントローラ276bとを内蔵した複合コントコントローラであり、クロック同期方式でシリアル信号を出力できるよう構成されている。また、モータコントローラ276bは、VDP回路250bが備える後述する各種レジスタ265における所定の制御レジスタへの設定値に基づき、任意のタイミングでラッチパルスを出力可能に構成され、また、クロック同期方式でシリアル信号を入力可能に構成されている。
そこで、本例では、クロック信号に同期してモータ駆動信号(可動体役物モータ80cの駆動信号)やランプ駆動信号(光表示装置45aの駆動信号)を、SMC部276から出力させる一方、適宜なタイミングで、ラッチパルスを、動作制御信号ENABLEとして出力するようにしている。
また、本例では、SMC部276にはパラレル/シリアル変換部277が接続されている。図127に示した可動体役物モータ80cには位置検出センサ82aが対応して配置されており、位置検出センサ82aからの信号はパラレル/シリアル変換部277に入力される。
また図128では、操作部17からのユーザの操作情報もパラレル/シリアル変換部277に入力される例を示している。ユーザの操作情報とは、演出ボタン13、十字キー16等の操作に応じた信号である。
パラレル/シリアル変換部277は、例えば複合チップに内蔵されたICとして演出制御部24Aに搭載されているが、複合チップ250とは別体のICとして演出制御部24Aに搭載されてもよい。
パラレル/シリアル変換部277は、例えば32系統の信号を入力し、入力したデータをシリアルデータに変換してモータコントローラ276bに供給する。パラレル/シリアル変換部277の動作は、モータコントローラ276bからの制御信号によって制御される。また、パラレル/シリアル変換部277はクロック信号を用いてシリアルデータ転送を行う。
この構成により、SMC276が、可動体役物モータ80cの動作状態と演出ボタン13等の操作部17に対するユーザ操作をまとめて、つまり演出制御に必要な入力をまとめて効率的に検出できる。従って、CPU241は効率よく演出状態を把握できる。
なお、光演出やモータ演出の制御に関して、SMC部276を使用することは必須ではない。すなわち、CPU回路250aには、汎用のシリアル入出力ポート(SIO)253が内蔵されているので、これらを使用して光演出とモータ演出の制御を実行することもできる。
具体的には、図128の破線に示す通りであり、破線で示す構成では、シリアル入出力ポート253に接続されている入出力回路257を経由して、クロック信号CK、駆動信号SDATAが出力され、パラレル入出力ポート254に接続されている入出力回路256を経由して動作制御信号ENABLEが出力される。なお、便宜上、入出力ポートや入出力回路と表現するが、実際に機能するのは、出力ポートや出力回路である。
ここで、シリアル入出力ポート253において、シリアル出力ポートSOは、16段のFIFOレジスタを内蔵して構成されている。光演出とモータ演出の制御をシリアル入出力ポート253を使用して実行する場合には、DMAC回路252は、CPU241からの動作開始指示を受けて起動し、光演出やモータ演出の駆動データテーブル(以下、総称して「ランプ/モータ駆動テーブル」と表記)から必要な駆動テータを順番に読み出し、シリアル出力ポートSOのFIFOレジスタにDMA転送する。FIFOレジスタに蓄積された駆動データは、クロック同期方式でシリアル出力ポートSOからシリアル出力される。なお、DMAC回路252には、複数(例えば4)のDMAチャンネルが存在するが、第1のDMAチャンネルでランプ駆動データをDMA転送し、第2のDMAチャンネルでモータ駆動データをDMA転送する。
CPU回路250aにおいて、WDT回路251は、CPU241からアクセス可能な制御レジスタ255として設けられた複数の制御レジスタのうち所定の制御レジスタ(WDT制御レジスタなど)への設定値に基づいて、ダウンカウント動作するWDTカウンタを有して構成されている。このWDTカウンタは、所定の初期値から開始して、ゼロに向かって所定の動作周期でダウンカウントされ、ダウンカウント値がゼロに達するとすると、内部割込み(WDT割込み)が発生する。
CPU241は、WDT割込み処理プログラムの実行後に、ソフトウェアリセット処理によって、リセット状態となる。
DMAC回路252は、制御レジスタ255における所定の制御レジスタへの設定値に基づいて、転送元(Source)から転送先(Destination)に対して、所定のDMA転送モードで、所定のデータ転送単位毎に、所定回数、データ転送を繰り返す回路である。
例えば、シリアル出力ポートSOが機能する実施例(図128破線部参照)では、制御レジスタ255のうちの所定の制御レジスタには、ランプ/モータ駆動テーブルの先頭アドレス(転送元アドレスの先頭値)と、シリアル出力ポートSOの入力レジスタのアドレス(転送先アドレスの固定値)と、データ転送単位(8bit)と、転送回数と、が指定される。そして、所定の制御レジスタに動作開始指示を受けたDMAC回路252は、転送元アドレスを更新しつつ、所定の転送先アドレスに駆動データをDMA転送する。
この点は、ディスプレイリストDLをDMAC回路252が発行する後述の実施例(例えば、図150等)の場合もほぼ同様である。すなわち、CPU241は、CPU回路250aの所定の制御レジスタに、転送元(DLバッファBUF)の先頭アドレスと、転送先(転送ポートTR_PORT )のアドレスと、DMA転送モードと、データ転送単位と、転送回数、その他の条件を設定することになる。なお、これらの点は、図151等において後述する。
一般に、DMA転送モードには、DMA転送の単位動作(R動作/W動作)の途中でバス制御権を開放するなど、DMA動作がメモリバスを占有しない「サイクルスチール転送モード」と、複数のR動作やW動作を連続させるなど、指定された転送回数が完了するまでバス制御権を解放しない「バースト転送(パイプライン転送)モード」と、他のデバイスから受けるDMA転送要求(デマンド)がアクティブの間はDMA動作を継続する「デマンド転送モード」などが考えられる。
本例のDMAC回路252は、DMA転送時のリードアクセス起動(R動作)とライトアクセス起動(W動作)の間に、少なくとも1サイクルのメモリ開放期間を設けたサイクルスチール転送モードで機能することで、CPU241の動作に支障が出ないようにしている。具体的に、サイクルスチール転送モードの採用によれば、上記の1サイクルのメモリ解放期間においてCPU241のバス使用が可能となり、リードアクセス毎にバスがCPU241に開放されるためCPU241の動作が大きく遅れることがない。
そして、例えば、ディスプレイリストDLのVDP回路250bへの発行時にDMAC回路252を使用する実施例では、1サイクルのデータ転送単位(1オペランド)を、32×2bitに設定し、ディスプレイリストDLが格納されているRAM243のソースアドレスを適宜に増加しつつ(1オペランド転送毎に+8)、固定アドレスで特定されるデータ転送回路267の転送ポートレジスタTR_PORT (図140参照)に対して、DMA転送動作を実行している。
後述するように、上記実施例では、ディスプレイリストDLに、必要個数のNOP (no operation)コマンドを付加することで、全体のデータサイズを、固定値(例えば、4×64=256バイト、又はその整数倍)に調整しており、32bit×2回の1オペランド転送を32回(又はその整数倍)繰り返すことで、ディスプレイリストDLの発行を完了させている。なお、描画回路274がNOP コマンドを実行しても、事実上、何の変化も生じない。
続いて、VDP回路250bについて説明する。
VDP回路250bに対しては、画像演出を構成する静止画や動画の構成要素となる圧縮データを記憶するCGROM260と、4Gbit程度の記憶容量を有するDRAM278とが接続されると共に、主LCD36Mと副LCD36Sとが接続されている。なお、DRAM278は、好適にはDDR(Double-Data-Rate SDRAM)で構成される。
特に限定するものではないが、本例におけるCGROM260は、62Gbit程度の記憶容量のNAND型フラッシュメモリで構成されたフラッシュSSD(Solid State Drive)で構成されており、シリアル伝送によって必要な圧縮データを取得するよう構成されている。そのため、パラレル伝送において不可避的に生じるスキュー(ビットデータ毎の伝送速度の差)の問題が解消され、極限的な高速伝送動作が可能となる。特に限定されないが、本例では、SATA(シリアルATA)に準拠したHSS(High Speed Serial)方式で、CGROM260を高速アクセスしている。
なお、シリアルATAに準拠したHSS方式を採るか否かに拘らず、NAND型のフラッシュメモリは、ハードディスクより機械的に安定であり、且つ高速アクセスが可能である一方で、シーケンシャルアクセスメモリであるため、DRAMやSRAMに比較すると、ランダムアクセス性に難がある。そこで、一群の圧縮データ(CGデータ)を、描画動作に先行してDRAM278に読み出しておくプリロード動作を実行することで、描画動作時におけるCGデータの円滑なランダムアクセスを実現可能となる。ちなみに、アクセス速度は、VRAM261>DRAM278>CGROM260の順番に遅くなる。
VDP回路250bは、詳細には、VDPの動作を規定する各種の動作パラメータがCPU241によって設定可能な各種レジスタ265と、主LCD36M、副LCD36Sに表示すべき画像データの生成時に使用される48Mバイト程度のVRAM261と、チップ内部の各部間のデータ送受信及びチップ外部とのデータ送受信を実行するデータ転送回路267と、VRAM261に関して、SourceやDestination のアドレス情報を特定可能なインデックステーブル268と、描画動作に先行してCGROM260をReadアクセスするプリロード動作が実行可能なプリローダ269と、CGROM260から読み出した圧縮データをデコード(復号伸長/展開)するGDEC(グラフィックスデコーダ)273と、デコード(展開)後の静止画データや動画データを適宜に組み合わせて主LCD36M、副LCD36Sの各一フレーム分の画像データを生成する描画回路274と、描画回路274の動作の一部として、適宜な座標変換によって立体画像を生成するジオメトリエンジン275と、描画回路274によって生成されVRAM261のフレームバッファFBa、FBbに保持された画像データを読み出して、適宜な画像処理を並列的に実行可能な3系統(A/B/C)の表示回路270と、3系統(A/B/C)の表示回路270の出力に基づき、2系統のLVDS(Low Voltage Differential Signaling)出力と1系統のデジタルRGB出力の最大3系統の出力が可能に構成されたLCDインターフェース271と、3系統(A/B/C)の表示回路270の出力を適宜に選択出力させる出力選択部272と、前述したSMC部276と、音源ICとして機能する音コントローラ280とを有している。
ここで、VRAM261において、フレームバッファFBaは主LCD36M用のフレームバッファとされ、フレームバッファFBbは副LCD36S用のフレームバッファとされる。
また、VDP回路250bは、前述したCPUインターフェース回路258とのデータ送受信を中継するCPUインターフェース部264と、CGROM260からのデータ受信を中継するCGバスインターフェース部263と、DRAM278とのデータ送受信を中継するDRAMインターフェース部266と、VRAM261とのデータ送受信を中継するVRAMインターフェース部262とを有している。
図129は、CPUインターフェース部264、CGバスインターフェース部263、DRAMインターフェース部266、及びVRAMインターフェース部262と、各種レジスタ265、CGROM260、DRAM278、及びVRAM261との関係を示している。
プリロード動作を行う実施例の場合、CGROM260から取得したCGデータは、プリロードデータとして、データ転送回路267及びDRAMインターフェース部266を経由して、DRAM278のプリロード領域に転送される。
なお、プリロード動作は何ら必須動作ではなく、プリロード動作を行わない実施例も可能である。また、データ転送先も、DRAM278に限定されず、VRAM261であっても良い。
プリロード動作を実行しない実施例では、CGデータは、データ転送回路267及びVRAMインターフェース部262を経由して、VRAMに転送される。
ところで、本例では、VRAM261には、CGROM260から読み出した圧縮データの展開領域、LCD(液晶表示装置)36のW×H個の表示ピクセルの各ARGB情報(32bit=8×4)を特定する画像データを格納するフレームバッファ領域、及び、各表示ピクセルの深度情報を記憶するZバッファ領域などが必要となる。なお、ARGB情報において、Aは、8bitのαプレーンデータ、RGBは三原色の8bitデータを意味する。
ここで、VRAM261の上記した各領域は、CPU241がディスプレイリストDLに記載した各種の指示コマンド(前記したテクスチャやSPRITEなど)に基づいて間接的にアクセスされるが、そのREAD/WRITEアクセスにおいて、一々、VRAM261のDestinationアドレスや、Sourceアドレスを特定するのでは煩雑である。
そこで、本例では、CPUリセット後の初期処理において、描画動作で必要となる一次元又は二次元の論理メモリ空間(以下、「インデックス空間」と表記する)を確保して、各インデックス空間にインデックス番号を付与することで、インデックス番号に基づくアクセスを可能にしている。
具体的には、CPUリセット後、VRAM261を3種類のメモリ領域に大別すると共に、各メモリ領域に、必要数のインデックス空間を確保している。そして、インデックス空間とインデックス番号とを紐付けて記憶するインデックステーブル268(図141参照)を構築することで、その後のインデックス番号に基づく動作を実現している。
なお、本例におけるインデックス空間を用いたVRAM261の使用手法の具体例やVRAM261における描画動作の具体的手法等については後に改めて説明する。
図128において、データ転送回路276は、VDP回路250b内部のリソース(記憶媒体)と外部記憶媒体を、転送元ポート又は転送先ポートとして、これらの間でDMA(Direct Memory Access)的にデータ転送動作を実行する回路である。
なお、データ転送回路276の詳細については後に改めて説明する。
プリローダ269は、CPU241により発行され、データ転送回路267によって転送されたディスプレイリストDLに基づき、必要なプリロード動作を実行する。具体的に、プリローダ269は、ディスプレイリストDLを解析し、その中で参照している画像素材、すなわちCGROM2260上のCGデータをDRAM278上の指定されている領域、つまりはプリロード領域に転送する。
このとき、プリローダ269は、CGデータの参照先を、転送後のDRAM278上のアドレスに書換えたディスプレイリストDL(以下「書換えリストDL’」と表記する)を出力する。この書換えリストDL’は、DRAM278上に確保されたDLバッファ領域BUF’に保存される。DLバッファ領域BUF’に保存された書換えリストDL’は、データ転送回路267によって描画回路274に転送される。
なお、上記のプリロード領域やDLバッファ領域BUF’は、CPUリセット後の初期処理時(図145のST3)に、予め確保される。
描画回路274は、データ転送回路267を経由して転送されたディスプレイリストDLや書換えリストDL’の指示コマンド列を順番に解析して、GDEC273やジオメトリエンジン275などと協働して、VRAM261に形成されたフレームバッファ(FBa、FBb)に、主LCD36M、副LCD36Sの1フレーム分の画像を描画する回路である。
前述の通り、プリローダ269を機能させる実施例では、書換えリストDL’のCGデータの参照先は、CGROM260ではなくDRAM278に設定されたプリロード領域である。そのため、描画回路274による描画の実行中に生じるCGデータへのシーケンシャルアクセスを迅速に実行することができ、動きの激しい高解像度の動画についても問題なく描画することができる。すなわち、本例によれば、CGROM260として、安価なシリアルATAモジュールを活用しつつ、複雑高度な画像演出を実行することができる。
ここで、VRAM261におけるフレームバッファFBは、描画領域Adと読出領域Arに区分されたダブルバッファであり、これら二つの領域が交互に用途を切り替えて使用される。また、本例では、二つのLCD36M、36Sが接続されているので、2区画のフレームバッファFBa/FBbが確保されている。従って、描画回路274は、主LCD36M用のフレームバッファFBaの描画領域Ad(書込領域)に、1フレーム分の画像データを描画すると共に、副LCD36S用のフレームバッファFBaの描画領域Ad(書込領域)に、1フレーム分の画像データを描画することになる。なお、描画領域Adに、画像データが書込まれているとき、表示回路270は、他方の読出領域Ar(表示領域)の画像データを読み出して、主LCD36M、副LCD36Sに出力する。
表示回路270は、フレームバッファFBの画像データを読み出して、最終的な画像処理を施した上で出力する回路である。最終的な画像処理には、例えば、画像を拡大/縮小するスケーリング処理、微妙なカラー補正処理、画像全体の量子化誤差を最小化するディザリング処理が含まれている。
図130は、3系統の表示回路270及びLCDインターフェース226のブロック図を示している。
A/B/C各系統の表示回路270は、同期信号生成部285を有し、それぞれ画像のフレームに同期して処理を行う。同期信号生成部285は、同期信号として、例えば垂直ブランク期間(非有効ライン走査期間)を示すVブランク信号、水平同期信号、垂直同期信号を生成する。これらの同期信号は、複合チップ250内部での制御処理に用いることができる他、主LCD36M、副LCD36Sへの表示データ転送や表示制御動作にも用いられる。
なお、各表示回路270で用いる同期信号同士は同期させることができる。例えば主LCD36Mなどの外部ディスプレイの垂直同期信号の立ち下がりをトリガにして、各表示回路270を強制的に同期させることができる。
各表示回路270は、VRAM読出部281により、VRAM261のフレームバッファFBから読み出したフレームデータを取得する。
A/B各系統の表示回路270については、取得したフレームデータについてスケーラ282でのスケーリング処理、カラー補正部283でのカラー補正処理、ディザラー284でのディザリング処理を施すことが可能とされる。そして、ディザラー284による処理の後の出力としてデジタルRGB出力とLVDS出力が行われる。Cの系統の表示回路270も同様であるが、この図の例では該C系統の表示回路270はスケーラ282の機能を搭載していない例とした。
ここで、本例では、LCD36が2個であるので、動作させる表示回路270はA/Bの2系統のみとされる。具体的に、A系統の表示回路270はフレームバッファFBaのデータを読み出し、B系統の表示回路270はフレームバッファFBbのデータを読み出し、それぞれが上記した最終的な画像処理を施す。
LCDインターフェース271は、デジタルRGB出力部271aとLVDS出力部271bとを有する。
デジタルRGB出力部271aには、A/B/C各系統の表示回路270からのデジタルRGB出力としての表示データが供給される。デジタルRGB出力部271aは、各表示回路270の一つのデジタルRGB出力を選択して、接続された表示装置に出力可能とされている。
また、LVDS出力部271bには、各表示回路270からのLVDS出力としての表示データが供給される。LVDS出力部271bは、各表示回路270のうちで二つのLVDS出力を選択して、接続された表示装置に出力可能とされている。
本例のパチンコ遊技機1Aの場合、各表示回路270のうちA系統の表示回路270のLVDS出力を主LCD36Mに、B系統の表示回路270のLVDS出力を副LCD36Sにそれぞれ出力するようにされている。
もちろんこれは一例であり、デジタルRGB出力を主LCD36M、又は副LCD36Sに出力すること等も考えられる。
何れの表示回路270の出力を何れの系統に出力させるかの選択は、前述した出力選択部272によるLCDインターフェース部271の制御により実現される。
図128において、VDP回路250bには、音コントローラ280が設けられている。
音コントローラ280は、例えば圧縮音声データを記憶する音データ記憶部を有し、CPU241の制御に基づいて、圧縮音声データをデコードして出力音声信号を生成し、外部のアンプ部46dへ出力する。
なお、音コントローラ280の搭載の有無に拘わらず、CPU241は複合チップ250外部に設けられた音源ICを制御して、音声信号をアンプ部46dへ出力するようにしてもよい。
SMC部276は、ランプコントローラ276aとモータコントローラ276bとを内蔵した複合コントコントローラである。そして、外部基板に搭載されたランプドライバ部45d、モータドライバ部80d(シフトレジスタを内蔵するドライバIC)に対して、クロック信号に同期してLED駆動信号やモータ駆動信号を出力する一方、適宜なタイミングで、ラッチパルスを出力可能に構成されている。
上記したVDP回路250bの内部回路及びその動作に関し、内部回路が実行すべき動作内容は、CPU回路250aにおけるCPU241が、各種レジスタ265に設定する動作パラメータ(設定値)で規定され、VDP回路250bの実行状態は、各種レジスタ265の動作ステイタス値をREADすることで特定できるようになっている。各種レジスタ265は、CPU241のメモリマップ上、1Mバイト程度のメモリ空間(0~FFFFFH)にマッピングされた多数のVDPレジスタRGijを意味し、CPU241は、CPUインターフェース部258を経由して動作パラメータのWRITE(設定)動作と、動作ステイタス値のREAD動作を実行するようになっている(図129参照)。
図129に示す通り、各種レジスタ265(VDPレジスタRGij)には、割込み動作などシステム動作に関する初期設定値が書込まれる「システム制御レジスタ」と、VRAM261に対する各種領域の設定(例えば、後述するAAC領域(a) やページ領域(b)など)やインデックステーブル268の構築又は変更などに関する「インデックステーブルレジスタ」と、CPU241とVDP回路250bの内部回路との間のデータ転送回路267によるデータ転送処理に関する設定値などが書込まれる「データ転送レジスタ」と、GDEC273の実行状況を特定する「GDECレジスタ」と、指示コマンドや描画回路274に関する設定値が書込まれる「描画レジスタ」と、プリローダ269の動作に関する設定値が書込まれる「プリローダレジスタ」と、表示回路270の動作に関する設定値が書込まれる「表示レジスタ」と、ランプコントローラ276aに関する設定値が書込まれる「ランプ制御レジスタ」と、モータコントローラ276bに関する設定値が書込まれる「モータ制御レジスタ」とが含まれている。
以下の説明では、各種レジスタ265に含まれる一又は複数のレジスタRGijを、上記した個別名称で呼ぶ場合と、VDPレジスタRGijと総称することがあるが、何れにしても、CPU241は、所定のVDPレジスタRGijに、適宜な設定値を書込むことで、VDP回路250bの内部動作を制御している。具体的に、CPU241は、適宜な時間間隔で更新するディスプレイリストDLと、所定のVDPレジスタRGijへの設定値に基づいて、所定の画像演出を実現している。なお、本例では、ランプ演出やモータ演出も含め、CPU241が担当するので、VDPレジスタRGijにはランプ制御レジスタやモータ制御レジスタも含まれている。
[16-3.演出制御部の機能対比]
図131は、先の図3に示したパチンコ遊技機1のように演出制御部24としてのコンピュータ装置とは別途に液晶制御のためのコンピュータ装置(液晶制御部40)を設けた構成(以下「2CPU構成」とも表記する)とした場合における演出制御部24、液晶制御部40の各機能構成を模式的に表した機能ブロック図である。
これまでの説明から理解されるように、演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドを受信・解析し、解析結果に基づいてランプ、音、モータとしての画像演出以外の演出についてシナリオデータ(演出進行データ:具体的には図37や図38に示したような各種の登録情報)を生成し、該シナリオデータに基づきランプ、音、モータについての駆動データを生成・出力して所望の演出動作を実現している。
また、液晶に関しては、演出制御コマンドの解析結果に基づき得られる液晶制御コマンドを液晶制御部40側に送信する。
演出制御部24は、主制御部20が送信した演出制御コマンドを保持するためのバッファ領域(記憶領域)である演出制御コマンドバッファF11(前述した「コマンド受信バッファ」)を有すると共に、演出制御コマンドバッファF11に保持された演出制御コマンドについての解析を行う演出制御コマンド解析処理部F12と、演出制御コマンド解析処理部F12によるコマンド解析結果に基づきランプ、音、モータについてのシナリオデータを生成し、生成したシナリオデータに基づく処理を実行する演出制御シナリオ実行処理部F13と、液晶制御コマンドの出力バッファであるコマンド出力バッファF14とを有している。
演出制御コマンド解析処理部F12では、演出制御コマンドの解析処理として、先の図42に示した処理を行い、コマンドの種類を特定する。演出制御コマンドは、その種類ごとに実行すべき処理が予め定められている。演出制御コマンドの種類によっては、液晶制御部40に対する所定の液晶制御コマンドの送信処理を行うことが定められたものある。例えば、図43Dや図43Eで例示した「コマンドセット」の処理等である。この場合、演出制御コマンド解析処理部F12の解析処理の結果として、所定の液晶制御コマンドがコマンド出力バッファF14にセットされる。
また、演出制御コマンドとしては、液晶制御基板F12に対して当該演出制御コマンドと同一のコマンドを送信する(つまりスルー送信する)処理を行うべきことが定められたものもある。この場合も、演出制御コマンド解析処理部F12の解析処理の結果として、液晶制御コマンド(データとしては受信した演出制御コマンドと同一)がコマンド出力バッファF14にセットされる。
なお、コマンドのスルー送信については後の図135~図137においても説明する。
演出制御シナリオ実行処理部F13において、コマンド解析結果に基づくシナリオデータの生成は、例えば図43DのステップS2141のようにコマンド対応処理(S2106)の一部として設けられたシナリオ登録の処理によって実現される。
また、演出制御シナリオ実行処理部F13が実行するシナリオデータに基づく具体的な処理としては、図41で説明したシナリオの更新に係る処理(S2004)や、音、ランプ、モータについてのスケジューラの実行処理や出力処理(S2032、S2033、S2034、S2042、図44のS2202、S2203)等を挙げることができる。
ここで、演出制御コマンドとしては、当該演出制御コマンドの受信から所定時間の経過後に液晶制御部40に対する所定の液晶制御コマンドの送信を行うべきことが定められたものもある(以下、液晶制御コマンドの「時間差送信」とも表記する)。
本例では、このような時間差送信を行う場合には、液晶制御コマンドについて送信対象のコマンドと送信タイミングとを管理するためのシナリオデータ(以下「コマンド送信シナリオデータ」とも表記する)が用いられる。
演出制御コマンド解析処理部F12によるコマンド解析の結果、このようなコマンド送信シナリオデータが生成された場合には、演出制御シナリオ実行処理部F13が該コマンド送信シナリオデータに従った処理を実行することで、液晶制御部40への液晶制御コマンドの送信が行われる。つまりこの場合は、演出制御シナリオ実行処理部F13によるシナリオ実行に伴い所定の液晶制御コマンドがコマンド出力バッファF14にセットされる。
液晶制御コマンドの時間差送信については後の図135~図137においても説明する。
液晶制御部40は、演出制御部24が送信した液晶制御コマンドを保持するためのバッファ領域である液晶制御コマンドバッファF21と、液晶制御コマンドバッファF11に保持された液晶制御コマンドについての解析を行う液晶制御コマンド解析処理部F22と、液晶制御コマンド解析処理部F22によるコマンド解析結果に基づき液晶演出についてのシナリオデータ(以下「液晶シナリオデータ」とも表記する)を生成し、生成したシナリオデータに基づく処理を実行する液晶制御シナリオ実行処理部F23とを有している。
液晶制御シナリオ実行処理部F23が液晶シナリオデータに基づく処理を行うことで、前述したディスプレイリストの作成や描画が行われて画像演出を実現する上で必要な画像データが適宜生成され、該画像データが液晶表示装置36に出力される。これにより、液晶表示装置36に各種の演出画像が表示される。
ここで、上記のような液晶制御部40が有する画像演出についての制御機能を演出制御部24に実装させて1CPU化を図るとした場合には、画像演出以外の演出制御用のプログラム(主制御部20から送信される演出制御コマンドの解析やランプ、音、モータについてのシナリオデータの生成など)と、画像演出制御用のプログラムとを統合した新たなプログラムを作成し、該プログラムを1CPUとしてのコンピュータ装置(パチンコ遊技機1Aにおける演出制御部24AのCPU241)に実行させることが考えられる。
この際、1CPUとした場合には液晶制御部40に液晶制御コマンドを送信する必要はなくなるため、液晶シナリオデータの生成を、主制御部20からのコマンドとは別途のコマンドを介在させずに行うようなプログラムを構成することが考えられる。
しかしながら、これによると、1CPUに実行させる画像演出制御用のプログラムは、液晶制御部40(液晶制御CPU)に実行させていたプログラムから比較的大きく変更することを要し、プログラム作成の作業負担が増大する虞がある。
特に、演出制御部24のプログラムと液晶制御部40のプログラムとを別業者に作成させていた等の事情の下では、1CPUに実行させるべきプログラムの作成作業負担がより大きくなる。
そこで、本例では、1CPUとしての演出制御部24Aについて、図132に示すような制御構成を採る。
図示のように演出制御部24Aは、演出制御部24と同様に演出制御コマンドバッファF11、演出制御コマンド解析処理部F12、演出制御シナリオ実行処理部F13を有している。この場合、コマンド出力バッファF14は省略され、液晶制御コマンドバッファF15が設けられる。さらに、演出制御部24Aは、液晶制御コマンド解析処理部F16と液晶制御シナリオ実行処理部F17とを有している。
液晶制御コマンド解析処理部F16、液晶制御シナリオ実行処理部F17の処理内容は、液晶制御部40における液晶制御コマンド解析処理部F22、液晶制御シナリオ実行処理部F23とそれぞれ同様である。すなわち、液晶制御コマンド解析処理部F16は、液晶制御コマンドバッファF15に保持された液晶制御コマンドについての解析を行い、液晶制御シナリオ実行処理部F17は、液晶制御コマンド解析処理部F16によるコマンド解析結果に基づき液晶シナリオデータを生成し、生成した液晶シナリオデータに基づく処理を実行することで液晶演出を実現する上で必要な画像データを生成し、液晶表示装置(LCD)36に表示させる。
演出制御部24Aにおいて、演出制御コマンドバッファF11は、例えばRAM243の一部の記憶領域として設定されている。また、液晶制御コマンドバッファF15としても、例えばRAM243の一部の記憶領域として設定されている。
演出制御部24AのCPU241は、演出制御コマンド解析処理部F12や演出制御シナリオ実行処理部F13の処理に伴い液晶制御コマンドを送信すべきとされた場合には、対象の液晶制御コマンドを液晶制御コマンドバッファF15にセットする。
上記構成のように、演出制御部24Aは、主制御部20により送信された演出制御コマンドを保持する演出制御コマンドバッファF11と、演出制御コマンドを解析して得られる液晶制御コマンドを保持する液晶制御コマンドバッファF15とを有している。
これにより、演出制御部24Aは、演出制御コマンドを解析し、解析により得た液晶制御コマンドを所定記憶領域にセットするという処理については、演出制御部24の処理(コマンド出力バッファF14に液晶制御コマンドをセットする処理)を踏襲することが可能とされる。
また、画像演出の制御処理についても、液晶制御コマンドバッファF15にセットされた液晶制御コマンドを取得し、液晶制御コマンドに基づいた液晶シナリオデータの生成、及び液晶シナリオデータに基づいた液晶表示装置36の制御(図127の構成においては主LCD36M、副LCD36Sの制御)という、液晶制御部40と同様の処理を踏襲することが可能とされる。
これにより、1CPUとしての演出制御部24Aが実行すべきプログラムとしては、2CPU時の演出制御部24が実行していたプログラムと液晶制御部40(液晶制御CPU)が実行していたプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。具体的な変更点としては、主には液晶制御コマンドをコマンド出力バッファF14ではなく液晶制御コマンドバッファF15にセットする点である。
従って、1CPUを実現するにあたって既存プログラムの書き替えをほぼ不要とすることができ、プログラム作成に係る作業負担軽減を図ることができる。
また、演出制御部24Aは、主制御部20より送信された演出制御コマンドの解析結果に基づいて、画像表示以外の演出の進行を管理する第一演出進行管理手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、第一演出進行管理手段による演出の進行に応じて、画像表示に関する画像表示指示情報(液晶制御コマンド)を生成する画像表示指示情報生成手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、を有すると共に、画像表示指示情報生成手段により生成された画像表示指示情報に基づいて、画像表示に関する演出の進行を管理する第二演出進行管理手段(液晶制御コマンド解析処理部F16及び液晶制御シナリオ実行処理部F17)を有している。
第一演出進行管理手段、及び画像表示指示情報生成手段による処理は、演出制御部24が有する演出制御シナリオ実行処理部F13の処理と同様である。そして、第二演出進行管理手段による処理は、液晶制御部40が有する液晶制御コマンド解析処理部F22及び液晶制御シナリオ実行処理部F23の処理と同様である。
これにより、1CPUとしての演出制御部24Aが実行すべきプログラムとしては、2CPU時の演出制御部24が実行していたプログラムと液晶制御部40(液晶制御CPU)が実行していたプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。
従って、1CPUを実現するにあたって既存プログラムの書き替えをほぼ不要とすることができ、プログラム作成に係る作業負担軽減を図ることができる。
ここで、上記の第一演出進行管理手段及び画像表示指示情報生成手段の処理を実現するためのプログラムと、第二演出進行管理手段の処理を実現するためのプログラムは、それぞれ独立したプログラムモジュールとして構成することができる。
[16-4.演出制御部の処理]
続いて、演出制御部24Aの処理について説明する。
演出制御部24AのCPU241は、タイマ割込み処理(図44)についてはパチンコ遊技機1の場合と同様の処理を実行する。演出制御部24AのCPU241は、主として演出制御メイン処理(図41)について演出制御部24のCPU241と異なる処理を実行する。
図133のフローチャートは、演出制御部24AのCPU241が実行する演出制御メイン処理を示している。
なお、以下では演出制御部24のCPU241との比較で異なる処理のみを説明し、重複する処理については同一符号を付して説明を省略する。
図41に示したメイン処理との大きな相違点は、この場合のCPU241が液晶制御コマンドに応じた処理を実行する関係から、ステップS2060及びS2061と、ステップS2025~S2028が追加された点である。
また、この場合、ステップS2000の各種初期設定処理に代えて、ステップS2000’の各種初期設定処理を行うが、このステップS2000’の処理としては、ステップS2000で行っていたWDT初期化、可動体役物の起点復帰処理及び制御の初期化、音源制御初期化、スケジューラ(シナリオスケジューラ、デバイススケジューラ、ランプスケジューラ、サウンドスケジューラ)の初期化等、遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う。但し、ステップS2000’の初期設定処理では、図145に示す各種の処理が行われ、その点がステップS2000と異なる。なお、図145の処理については後述する。
この場合のCPU241は、ステップS2003でフレーム更新フラグがOFFであると判定した場合に、ステップS2060に処理を進めて液晶制御フレーム更新処理を実行する。この液晶制御フレーム更新処理は、前述した液晶シナリオデータによって進行管理が行われている画像演出についてのシナリオを、1フレーム分進める処理に相当する。
液晶シナリオデータには、図37Aに示したシナリオ登録情報の「待機時間(delay)」や「サブシナリオタイマ(scTm)」のように、シナリオの進行タイミングを管理する例えばタイマ値等による値が登録情報の一つに含まれている。従って、ステップS2060の液晶制御フレーム更新処理では、該値を更新することで画像演出のシナリオを1フレーム分進める。
ステップS2060に続くステップS2061でCPU241は、描画更新処理を行う。すなわち、液晶シナリオデータに基づき、例えば前述のように描画する順番に記載された一群の描画コマンドであるディスプレイリストDLの作成や、描画回路274の描画開始制御等を行う。また、プリローダ269を機能させる実施例では、プリロードの実行開始制御を行う。
なお、ステップS2060の描画更新処理においては、フレームバッファFBとしてのダブルバッファについて、描画領域Adと読出領域Arとを切り替えるための処理等も行われる。本例における描画更新処理の詳細については後に改めて説明する。
ステップS2061の描画更新処理を実行したことに応じ、CPU241はステップS2004のシナリオスケジューラフレーム更新処理に進む。これにより、フレーム開始時点で演出シナリオのタイマが1タイミング進められることになる。
また、この場合のCPU241は、ステップS2025~S2028の処理により、Vブランク割込みカウンタが0である場合、すなわちフレームの前半期間において、液晶制御コマンドについての解析処理を行うことが可能とされている。
具体的に、この場合のCPU241は、ステップS2022で受信コマンドがなかった場合や、ステップS2023のコマンド解析処理を経てステップS2024でスケジューラ更新フラグをOFFにした場合において、ステップS2025に処理を進めて、Vブランク割込みカウンタが1、0の何れであるかを確認する。なお、ここでは、ステップS2022で確認される受信コマンドが主制御部20からの演出制御コマンドである旨を明示している。
ステップS2025において、Vブランク割込みカウンタが1であれば、CPU241はステップS2026に進んで液晶制御コマンドの受信を確認する。具体的には、先に説明した液晶制御コマンドバッファF15に1以上の液晶制御コマンドが記憶されているか否かを確認する。液晶制御コマンドがなければ、CPU241はステップS2030に進む。
液晶制御コマンドバッファF15に1又は複数の液晶制御コマンドが記憶されていれば、CPU241はステップS2027の液晶制御コマンド解析処理として、液晶制御コマンドバッファF15に記憶されているコマンドについての解析処理を行う。液晶制御コマンド解析処理においては、先の演出制御コマンド解析処理の場合と同様に、受信コマンドに応じて予め定められた処理を実行する。液晶制御コマンドのうちには、対応する処理として、液晶シナリオデータにシナリオ登録を行う処理が定められたものもあり、その場合には液晶シナリオデータに新たなシナリオが追加される。
例えばこのようにして、液晶制御コマンドの解析結果に基づいた液晶シナリオデータの生成が行われる。
上述したステップS2061の描画更新処理では、上記のように液晶制御コマンドの解析結果に基づいて生成された液晶シナリオデータに基づいてディスプレイリストDLの作成や、プリロードの実行開始制御が行われて、VDP回路250bにおいて演出に必要な画像データが得られる。
CPU241は、ステップS2027のコマンド解析処理を実行したことに応じ、ステップS2028でスケジューラ更新フラグをOFFとし、ステップS2030に進む。
ここまで、演出制御部24AにおけるCPU241が実行する演出制御メイン処理を説明したが、以上の処理例では、CPU241は表示データのフレーム周期に合わせて各種処理を行っている。
図134は、表示データのフレーム期間内における各種タイミングを示している。
描画回路274による描画処理は、フレーム期間内に、次のフレームの表示データについて実行される。例えばフレームFR1の表示データの描画は、フレームFR0の表示期間に実行される。具体的にはステップS2061で描画が開始されるため、フレーム先頭時点で、次のフレームのための描画が開始される。この描画は、通常はフレーム期間内に完了する。
プリローダ269を機能させる実施例では、プリロードは、描画のための準備として、さらに1フレーム前の期間に実行される。例えばフレームFR2の表示データの描画のためのプリロードは、フレームFR0のフレーム期間内に実行される。具体的にはステップS2061で開始されるため、フレーム先頭時点で、2つ後のフレームのためのプリロードが開始される。プリロードとしても、通常はフレーム期間内に完了する。
CPU241は、各フレームの開始タイミングにおいて、先ずはステップS2060の処理により液晶制御フレームの更新処理を行う。そして、ステップS2061の処理により、フレームバッファFBについての新たに描画を行うべき領域の切り替え(図中、描画領域Ad<=>読出領域Ar)を行うと共に、ディスプレイリストDLの作成や描画回路274についての描画開始制御、プリロードの実行開始制御を行う。さらにCPU241は、ステップS2004によるスケジューラフレーム更新(シナリオ、ランプ、サウンド)が行われる。
そして、このスケジューラフレーム更新の処理が1度行われた後は、必要に応じてステップS2022の演出制御コマンド解析処理、ステップS2027の液晶制御コマンド解析処理、及びステップS2032~S2034の各種スケジューラ実行処理(シナリオ、サウンド、ランプ、及び本例ではコマンド送信シナリオのスケジューラ更新を含む)が行われる。
さらに、ステップS2041、S2042によるランプ駆動データの更新、出力の各処理と、ステップS2043のキーイベント処理が実行される。
そして、以上までの処理がフレーム期間の前半期間(16ms以内)に完了していれば、再度、演出制御コマンドや液晶制御コマンドについての解析処理を行うことが可能とされ、解析処理が行われればさらに各種スケジューラ実行処理、及びランプ駆動データ更新・出力処理、及びキーイベント処理が行われる。
[16-5.演出制御の動作例]
続いて、図135~図137を参照し、上記した演出制御部24A(CPU241)の処理により実現される演出制御の動作例を説明する。
以下の動作例では、大当たりの終了時に対応して行われる演出制御の動作例を説明する。
図135Aは、主制御部20が送信する演出制御コマンドの種類の例を示している。
演出制御コマンドとしては、上位1バイトの値によって図のように種々のコマンドが定義されている。そして、各コマンドには、対応して実行すべき処理(対応処理)が予め定められている(本例では「関数」として定められている)。
本例で着目するのは、大当たり終了指定コマンドとしての演出制御コマンド(「0xF3」)である。
図135Bは、大当たり終了指定コマンドの対応処理において送信が定められた液晶制御コマンドの一覧を例示している。
大当たり終了指定コマンドに対しては、当該大当たり終了指定コマンド(F301H)のスルー送信が定められていると共に、選択キャラコマンド(02xxH)、連荘数コマンド(03xxH)、攻略フラグコマンド(05xxH)、大当たり図柄コマンド(0AxxH)、大当たり根幹コマンド(88xxH)、決定時のキャラコマンド(9FxxH)、及び背景指定コマンド(01xxH)の送信が定められている。
選択キャラコマンドは、遊技者が選択したキャラクタ(例えば好みのキャラクタ)の別を表すコマンドであり、連荘数コマンドは大当たりの連続回数を表すコマンドである。攻略フラグコマンドは、選択したキャラクタを遊技者が攻略できたか否かを表すコマンド、大当たり図柄コマンドは今回の当たり目としての図柄を表すコマンド、大当たり根幹コマンドは今回の大当たりの種類、例えばビッグやスモールの大当たりや何ラウンドの大当たりか等を表すコマンドである。
決定時のキャラコマンド、及び背景指定コマンドは、大当り終了指定コマンドの受信時から所定時間後の送信(つまり前述した時間差送信)が指定されたコマンドである。本例のパチンコ遊技機1Aでは、大当り終了に応じて遊技者にキャラクタを選択させる。例えば、主LCD36M等に表示したキャラクタのうちから特定のキャラクタを選択させるものであり、演出制御部24Aは、演出ボタン13等の所定操作子に対する操作を遊技者によるキャラクタ選択についての決定操作として受け付ける。
決定時のキャラコマンドは、このような遊技者の操作により決定されたキャラクタの種別を表すコマンドとされる。
背景指定コマンドは、例えば主LCD36Mの表示画像における背景画像の種別を指定するコマンドとされる(例えば、決定されたキャラクタに応じた背景画像が指定される)。
本例では、決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドは、大当り終了指定コマンドの受信から略9s(270フレーム)の時間差を以て送信すべきコマンドとして定められている。換言すれば、この場合における大当り終了時の演出では、大当り終了から9sまでの間に遊技者によるキャラクタの選択(決定)操作が受け付けられ、その後、決定されたキャラクタに応じた決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドの送信(液晶制御コマンドバッファF15へのセット)が行われる。
本例では、時間差送信が定められた決定時のキャラコマンド、及び背景指定コマンドについては、その送信管理のために前述したコマンド送信シナリオデータが用いられる。
具体的に、本例の演出制御部24Aは、受信した演出制御コマンドが大当り終了指定コマンドであった場合のコマンド解析処理(ステップS2023)において、時間差送信の対象外である大当り終了指定コマンド(スルー送信)、選択キャラコマンド、連荘数コマンド、攻略フラグコマンド、大当り図柄コマンド、及び大当り根幹コマンドについては、液晶制御コマンドバッファF15にセットする処理が行われる。
そして、この場合のコマンド解析処理(S2023)では、受信した大当り終了指定コマンドに対応して定められたメインシナリオ番号(mcNo)をシナリオ登録情報に登録する処理が行われるが、このように登録されるメインシナリオにおいて、大当り終了時に対応したランプや音、モータのシナリオが定められていると共に、9s後に決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドを送信するシナリオが定められている。つまり、上記のように大当り終了指定コマンドに対応したメインシナリオ番号(mcNo)の登録が行われることで、その後の各種スケジューラ実行処理(S2032~S2034)により大当り終了時に対応したランプ、音、モータの各演出についてのシナリオ(サブシナリオ)の登録、及びコマンド送信シナリオの登録が行われる。なお、前述のように、コマンド送信シナリオデータについてのスケジューラ実行処理は、例えば、ステップS2032のシナリオスケジューラ実行処理の一部として実行することができる。
図136は、大当り終了指定コマンドに対応して定められた音、ランプ、モータ、ボタン、コマンド送信についての各シナリオデータを模式的に表している。
なお、図中の時間(f)は演出の進行時間を表すもので、単位は「フレーム」(表示データのフレーム)である。この場合の大当り終了時の演出シナリオは、300フレーム分の時間長に及ぶものとされている。時間(f)について、括弧内の数値は対応するラインのシナリオ実行時間を表している。これは、前述したランプや音/モータについての実行時間(time)に相当する(図40A、図40B参照)。
図示するようにこの場合のシナリオデータにおいては、時間=0のラインにおいて音、ランプ、モータについてのサブシナリオデータをそれぞれセットし、さらに時間=120のラインにおいて、ランプのサブシナリオデータとしてボタンランプの点灯を表すデータをセットすることが定められている。ここでのボタンは、前述したキャラクタの決定操作に用いられる操作子を意味するものであり、ボタンランプとは該操作子を発光させるためのランプを意味する。ここでのボタンは、本例では演出ボタン13であるとする。
また、時間=123のライン、時間=144のラインにおいて、ボタンの有効開始、有効終了を表す情報をセットすることが定められている。ここでの有効/無効は、操作受け付けの有効/無効を意味する。
さらに、時間=270のラインでは、ランプのサブシナリオデータとしてボタンランプの消灯を表すデータをセットし、またコマンド送信シナリオデータとして決定時のキャラコマンド、及び背景指定コマンドの送信を表すデータをセットすることが定められている。
時間=300のラインには、シナリオ終了を表すコードが記述される(前述した終了コードD_LSENDやD_SEENDを参照)。
なお、ここでは、ボタンの有効/無効の管理をシナリオデータに基づき行う例を示したが、ボタンの有効/無効を管理する手法としては必ずしもシナリオデータを用いた手法に限定されない。
図137は、大当り終了指定コマンドの受信に応じて演出制御部24Aが実行する処理の流れを説明するための図である。
図137において、横軸は1フレーム期間内での経過時間を表し、縦軸はフレーム単位での経過時間を表している。参考として、最上段には、1フレーム期間内における各処理の流れを図134と同様に示している。
とあるnフレーム目において、主制御部20からの大当り終了指定コマンドが受信されたとする。コマンドの受信タイミングは、図のように各スケジューラフレーム更新処理(S2004)を実行中のタイミングであったとする。なお、コマンドの受信処理は、前述のように外部割込み処理において実行される。
この場合、当該nフレーム目の最初の演出制御コマンド解析処理(S2023)において、受信した大当り終了指定コマンドに対応した処理が実行される。すなわち、上述した大当り終了指定コマンド(スルー送信)、選択キャラコマンド、連荘数コマンド、攻略フラグコマンド、大当り図柄コマンド、及び大当り根幹コマンドを液晶制御コマンドバッファF15にセットする処理(液晶制御へのコマンド送信処理)と、大当り終了指定コマンドに対応して定められたメインシナリオ番号(mcNo)のシナリオ登録情報への登録が行われる。
そして、続く液晶制御コマンド解析処理(S2027)において、液晶制御コマンドバッファF15にセットされた大当り終了指定コマンド、選択キャラコマンド、連荘数コマンド、攻略フラグコマンド、大当り図柄コマンド、及び大当り根幹コマンドについての解析処理が行われる。
先に説明したように、液晶制御コマンド解析処理によっては、液晶シナリオデータにシナリオ登録が行われる。そして、ステップS2061の描画更新処理において、液晶シナリオデータに基づいたディスプレイリストDLの作成や、プリロードの実行開始制御が行われて、演出に必要な画像データが得られる。
nフレーム目で更新された液晶シナリオデータに基づく液晶シナリオは、n+1フレーム目の液晶制御フレーム更新処理(S2060)によってシナリオ進行タイミングを管理する値の更新が行われることで開始され、その直後の描画更新処理(S2061)によって該開始されたシナリオに応じた描画更新のための処理が行われる。
nフレーム目において、上記した液晶制御コマンド解析処理の直後に実行される各種スケジューラ実行処理(S2032~S2034)によっては、登録されたメインシナリオ番号に対応したランプ、音についてのサブシナリオが登録され開始される。さらに、直後のランプ駆動データ更新・出力処理(S2041、S2042)により、登録されたランプサブシナリオに応じたランプ制御を行うための駆動データ(LED駆動データ)の更新・出力が開始される。すなわち、対応するランプ演出が開始される。
また、受信した演出制御コマンドが大当り終了指定コマンドであった場合には、コマンド送信シナリオとして決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドの時間差送信(270フレーム後)に係るシナリオが登録される。
このため、n+270フレーム目における各種スケジューラ実行処理によっては、コマンド送信シナリオデータに従って、これら決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドとしての液晶制御コマンドの送信が行われる。また、時間=270のラインには、ボタンランプの消灯に係るサブシナリオが登録されており、この場合の各種スケジューラ実行処理によっては当該消灯に係るサブシナリオが開始され、その直後に行われるランプ駆動データ更新・出力によって対応するランプ駆動データの出力が開始される。
n+270フレーム目において、上記の各種スケジューラ実行処理によって送信された決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドについては、当該n+270フレーム目に実行される液晶制御コマンド解析処理において解析が行われ得る。図137の例では、ランプ駆動データ出力処理がフレーム期間開始時から16msよりも十分に早いタイミングで完了したことにより、n+270フレーム目における液晶制御コマンド解析処理によってこれらコマンドの解析が行われた例を示している。前述のように、液晶制御コマンド解析処理は、フレーム期間開始時から16ms以内であれば実行され得るものである。
図示は省略したが、決定時のキャラコマンド及び背景指定コマンドについても、上記した時間差送信の対象外の各種コマンド(選択キャラコマンド等)と同様にコマンド解析結果に基づく液晶シナリオデータへの新たなシナリオの登録が行われ、該新たなシナリオは、次フレームにおける液晶制御フレーム更新処理によって開始され、その直後の描画更新処理によって該開始されたシナリオに応じた描画更新のための処理が行われる。
ここで、演出制御コマンド、液晶制御コマンドの解析処理は、比較的処理負担の重い処理となる共に、受信コマンド数によって処理も多くなる。コマンド種類によっては演出のための抽選等も行う必要が生ずる。
本例では、このような処理をフレーム前半期間にのみ行うものとしている。
これにより、以降に続く各種スケジューラ実行処理やランプ駆動データ更新・出力処理がフレーム期間内に終了しなくなる事態の発生防止を図っている。
また、一方で本例では、フレーム前半期間であれば演出制御コマンド、液晶制御コマンドの解析処理を複数回行うことを許容している。これにより、限られた処理期間において効率的に受信コマンドの解析を行うことができる。
[16-6.1CPU構成についてのまとめ及び変形例]
以上のパチンコ遊技機1Aによれば、演出制御のための処理を効率化でき、適正な演出制御を実現できる。
また演出制御処理負荷を軽減することができる。
また、パチンコ遊技機1Aは、第一の構成として、遊技動作の進行制御を行う主制御手段(主制御部20)と、主制御手段からの指示情報(演出制御コマンド)に基づき演出制御を行う演出制御手段(演出制御部24A)と、を備え、演出制御手段は、画像表示以外の演出の実行を管理する第一手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、画像表示に関する演出の実行を管理する第二手段(液晶制御コマンド解析処理部F16及び液晶制御シナリオ実行処理部F17)と、を有し、主制御手段からの指示情報を記憶する指示情報記憶手段(演出制御コマンドバッファF11)と、指示情報記憶手段に記憶された指示情報を解析する解析手段(演出制御コマンド解析処理部F12)と、解析手段の解析結果によって得られた第二手段についての指示情報である第二指示情報(液晶制御コマンド)を記憶する第二指示情報記憶手段(液晶制御コマンドバッファF15)と、をさらに有している。
上記のように演出制御手段が第二指示情報記憶手段を有していることで、当該演出制御手段をいわゆる1CPUとして構成する場合には、主制御手段からの指示情報を解析し、解析により得た第二指示情報を所定記憶領域にセットするという処理については、2CPUの場合における演出制御手段(演出制御部24)の処理を踏襲することが可能とされる。
また、画像演出の制御処理についても、第二指示情報記憶手段にセットされた第二指示情報を取得し、該第二指示情報に基づいて画像表示装置を制御するという、2CPUの場合における画像演出制御手段(液晶制御部40の液晶制御CPU)と同様の処理を踏襲することが可能とされる。
このように、第二指示情報記憶手段を有していることで、1CPUとしての演出制御手段が実行すべきプログラムとしては、2CPU時の演出制御手段が実行していたプログラムと画像演出制御手段が実行していたプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。
従って、1CPUを実現するにあたって既存プログラムの書き替えをほぼ不要とすることができ、プログラム作成の作業負担軽減が図られ、コスト削減を図ることができる。
また、画像演出制御についてのプログラムは、1CPUの場合と2CPUの場合とでほぼ共通なものとすることができ、従ってプログラムの汎用性を高めることができる。同様に、画像演出制御以外の制御についてのプログラムとしても、1CPUの場合と2CPUの場合とでほぼ共通なものとすることができ、汎用性を高めることができる。
さらに、上記した第一の構成としての遊技機においては、第二指示情報がコマンド情報とされている。
これにより、既存の2CPU構成における第二指示情報がコマンド情報とされている場合に対応して、既存プログラムからの変更点をさらに少なくすることが可能とされる。
従って、1CPU化を実現するにあたってのプログラム作成の作業負担をさらに軽減でき、さらなるコスト削減を図ることができる。また、プログラムの汎用性をさらに高めることができる。
また、パチンコ遊技機1Aは、第二の構成として、遊技動作の進行制御を行う主制御手段(主制御部20)と、主制御手段からの指示情報(演出制御コマンド)に基づき演出制御を行う演出制御手段(演出制御部24A)と、を備え、演出制御手段は、画像表示以外の演出の実行を管理する第一手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、画像表示に関する演出の実行を管理する第二手段(液晶制御コマンド解析処理部F16及び液晶制御シナリオ実行処理部F17)と、主制御手段からの指示情報を解析する解析手段(演出制御コマンド解析処理部F12)と、を有し、第一手段は、解析手段による解析結果に基づいて、画像表示以外の演出の進行を管理する第一演出進行管理手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、第一演出進行管理手段による演出の進行に応じて、画像表示に関する画像表示指示情報(液晶制御コマンド)を生成する画像表示指示情報生成手段(演出制御シナリオ実行処理部F13)と、を有し、第二手段は、画像表示指示情報生成手段により生成された画像表示指示情報に基づいて、画像表示に関する演出の進行を管理する第二演出進行管理手段(液晶制御コマンド解析処理部F16及び液晶制御シナリオ実行処理部F17)と、を有している。
2CPU構成の場合、画像演出制御手段(液晶制御部40の液晶制御CPU)は、演出制御手段(演出制御部24)が主制御手段からの指示情報を解析して得た画像表示指示情報を取得し、該画像表示指示情報に基づいて画像表示装置の制御を行って所要の画像演出動作を実現させている。
このため、上記のような第二手段(第二演出進行管理手段)を有していることで、画像演出に係る制御については、画像演出制御手段のプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。
また、第一手段による処理は、2CPU構成における演出制御手段が実行していた処理とほぼ同様であるため、該処理についても2CPU時に用いていたプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。
このように1CPUとしての演出制御手段が実行すべきプログラムとしては、2CPU時の演出制御手段が実行していたプログラムと画像演出制御手段が実行していたプログラムをほぼそのまま踏襲することが可能とされる。
従って、1CPUを実現するにあたって既存プログラムの書き替えをほぼ不要とすることができ、コスト削減を図ることができる。
また、第一手段、第二手段をそれぞれ実現するためのプログラムは2CPUの場合とほぼ共通なものとすることができ、従ってプログラムの汎用性を高めることができる。
また、上記した第二の構成としての遊技機においては、画像表示指示情報がコマンド情報とされている。
これにより、既存の2CPU構成における画像表示指示情報がコマンド情報とされている場合に対応して、既存プログラムからの変更点をさらに少なくすることが可能とされる。
従って、1CPU化を実現するにあたってのプログラム作成の作業負担をさらに軽減でき、さらなるコスト削減を図ることができる。また、プログラムの汎用性をさらに高めることができる。
<17.画像演出制御について>
[17-1.プリロード有無の対比]
続いて、パチンコ遊技機1Aにおける画像演出制御の詳細について説明する。
先ずは、図138と図139とを参照して、プリローダ269を機能させない場合と機能させる場合との対比を行う。
ここで、前提として、CPU回路250aやVDP回路250bは、表示データのフレーム周期に応じた周期で所定の動作を繰り返す。以下、このようなフレーム周期に応じた動作周期(本例ではフレーム周期に一致)のことを「動作周期δ」と表記する。
プリローダ269を機能させない実施例では、図138に示すように、各フレーム期間(本例では1/30秒)の開始タイミングにおいてCPU241が完成させたディスプレイリストDLi(iは自然数)は、描画回路274に発行され、描画回路274はディスプレイリストDLiに基づく描画動作によって、フレームバッファFBa,FBbに、画像データを完成させる。そして、フレームバッファFBa,FBbに完成された画像データは、次のフレーム期間において表示回路270が主LCD36M、副LCD36Sに出力することで、その後の主LCD36M、副LCD36Sの表示動作により遊技者が感知する表示画面となる。
一方、プリローダ269を機能させる実施例では、図139に示すように、CPU241が完成させたディスプレイリストDLiはプリローダ269に発行され、プリローダ269はディスプレイリストDLiを解釈して、必要な先読み動作を実行すると共に、ディスプレイリストDLiの一部を書き換えて、書換えリストDL’を完成させる。なお、先読みされたCGデータと書換えリストDL’は、DRAM278の適所に格納される。
次に、描画回路274は、その次のフレーム期間(+δ)で、DRAM278から書換えリストDL’を取得し、書換えリストDL’に基づく描画動作によって、フレームバッファFBa,FBbに画像データを完成させる。そして、フレームバッファFBa,FBbに完成された画像データは、更にその次のフレーム期間(+2δ)で、表示回路270が主LCD36M、副LCD36Sに出力することで、その後の主LCD36M、副LCD36Sの表示動作により遊技者が感知する表示画面となる。
[17-2.データ転送回路について]
図140は、データ転送回路267の内部構成を、関連する回路構成と共に記載したブロック図である。
図140に示す通り、データ転送回路267は、ルータ機能を有する統合接続バスICMを経由して、CGROM260、DRAM278、及びVRAM261とデータを送受信するよう構成されている。なお、CGROM260とDRAM278は、CGバスインターフェース部263や、DMAMインターフェース部266を経由してアクセスされる。
一方、CPU回路250aは、データ転送回路267に内蔵された転送ポートレジスタTR_PORTを経由して、描画回路274やプリローダ269にディスプレイリストDLを発行している。なお、CPU回路250aとデータ転送回路267は双方向に接続されているが、ディスプレイリストDLの発行時には、転送ポートレジスタTR_PORT は、ディスプレイリストDLを構成する一単位のデータを受け入れるデータ書き込みポートとして機能する。なお、転送ポートレジスタTR_PORT の書込み単位(一単位データ長)は、CPUバス制御部267dのFIFO構造に対応して32bitとなる。
図示の通り、CPU241は、CPUインターフェース回路258を経由して転送ポートレジスタTR_PORT をWrite アクセスできる一方、DMAC回路252を活用する場合には、DMAC回路252が転送ポートレジスタTR_PORT を直接的にWrite アクセスすることになる。そして、転送ポートレジスタTR_PORT に書込まれた一連の指示コマンド(つまり、ディスプレイリストDLを構成する指示コマンド列)は、32bit単位で、FIFO構造(32bit×130段)のFIFOバッファを内蔵したCPUバス制御部267dに自動蓄積されるよう構成されている。
また、データ転送回路267は、3チャンネルChA~ChCの伝送経路で、データの送受信動作を実行しており、FIFO構造(64bit×N段)のFIFOバッファを有するChA制御回路267a(N=130段)と、ChB制御回路267b(N=1026段)と、ChC制御回路267c(N=130段)とを有している。
そして、CPUバス制御部267dに蓄積された指示コマンド列(ディスプレイリストDL)は、CPU241によるデータ転送レジスタRGij(各種レジスタ265の一種)への設定値に基づき、描画回路274、又はプリローダ269に転送される。
プリローダ269を機能させない実施例では、矢印で示す通り、ディスプレイリストDLは、CPUバス制御部267dから、ChB制御回路267bのFIFOバッファを経由して描画回路274に転送される。プリローダ269を機能させる実施例では、ディスプレイリストDLは、ChC制御回路267cのFIFOバッファを経由してプリローダ269に転送される。
なお、本例では、ChB制御回路267bと、ChC制御回路267bは、ディスプレイリストDLの転送動作に特化されており、CPUバス制御部267dのFIFOバッファに蓄積されたデータは、ChB制御回路267bか、ChC制御回路267cのFIFOバッファを経由して、各々、ディスプレイリストDLの一部として、描画回路274かプリローダ269のディスプレイリストアナライザ(Display List Analyzer )に転送される。
そして、描画回路274は、転送されたディスプレイリストDLに基づいた描画動作を開始する。一方、プリローダ269は、転送されたディスプレイリストDLに基づき、必要なプリロード動作を実行する。プリロード動作によってCGROM260のCGデータがDRAM266に確保されたプリロード領域に先読みされ、TXLOADコマンドなどに関して、テクスチャのSourceアドレスを変更したディスプレイリストDL、つまり、前述した書換えリストDL’が、DRAM266に確保されたDLバッファ領域BUF’に保存される。
一方、CGROM260、DRAM266、及びVRAM261などの記憶媒体の間のデータ転送には、ChA制御回路267aと、接続バスアクセス調停回路267eとが機能する。また、インデックステーブル268のアドレス情報が必要になるVRAM261のアクセス時には、インデックステーブルアクセス調停回路267fが機能する。具体的に確認すると、ChA制御回路267aは、例えば、(a)CGROM260の圧縮データをVRAM261に転送する場合や、(b)CGROM260の圧縮データをプリロード(先読み)してDRAM278に転送する場合や、(c)プリロード領域の先読みデータをVRAM261に転送する場合に機能する。
ここで、ChA制御回路267aは、ChB制御回路267bやChC制御回路267cと並行して動作可能に構成されており、上記した(a)~(c)の動作は、ディスプレイリストDLの発行動作(図146のST8、図154のPT11)や、書換えリストDL’の転送動作(図154のPT10)と並行して実行可能となる。また、ChB制御回路267bとChC制御回路267cも、同時実行可能であり、例えば、ChB制御回路267bが機能する図154のステップPT10の処理と、ChC制御回路267cが機能するステップPT11の処理は並行して実行可能である。但し、転送ポートレジスタTR_PORTは単一であるので、何れか一方(267b/267c)が転送ポートレジスタTR_PORTを使用しているタイミングでは、他方(267c/267b)は、転送ポートレジスタTR_PORT をアクセスすることはできない。
なお、ChA制御回路267aの動作時に、接続バスアクセス調停回路267eは、統合接続バスICMを経由する各記憶素子(CGROM260、DRAM266)とのデータ伝送を調停(Arbitration)している。一方、インデックステーブルアクセス調停回路267fは、インデックステーブル268に基づいてChA制御回路267aを制御することで、VRAM261とのデータ交信を調停している。なお、プリローダ269を機能させる実施例の場合、DRAM278のDLバッファ領域BUF’に保存された書換えリストDL’は、接続バスアクセス調停回路267eと、ChB制御回路267bを経由して描画回路274に転送されることになる(図156参照)。
上記の通り、本例のデータ転送回路267は、各種の記憶リソース(Resource)から任意に選択されたデータ転送元と、各種の記憶リソース(Resource)から任意に選択されたデータ転送先との間で、高速のデータ転送を実現している。図140から確認される通り、データ転送回路267が機能する記憶リソースには、VRAM261だけでなく、CPUインターフェース部258、CGバスインターフェース部263、DRAMインターフェース部266を経由する外部デバイスも含まれる。
そして、CGROM260から1回に取得すべきデータ量(メモリシーケンシャルRead)のような、ChA制御回路267aが機能する外部デバイスとのデータ転送量は、ChB制御回路267bやChC制御回路267cが機能するディスプレイリストDLの場合と比較して膨大であり、互いに、データ転送量が大きく相違する。
ここで、これら各種のデータ転送について、単位データ量や総転送データ量を、細かく設定可能に構成することも考えらえるが、これでは、VDP回路250b内部の制御動作が煩雑化し、円滑な転送動作が阻害される。そこで、本例では、データ転送の最低データ量Dminを一意に規定すると共に、総転送データ量を、最低データ量DTminの整数倍となるよう制限することで、高速で円滑なデータ転送動作を実現している。特に限定されないが、実施例のデータ転送回路267では、最低データ量Dmin(単位データ量)を256バイトとし、総転送データ量を、この整数倍に制限することにしている。
したがって、32ビット毎にCPUバス制御部267dのFIFOバッファに蓄積されたディスプレイリストDLの指示コマンド列は、その総量が最低データ量Dminに達したタイミングで、ChB制御回路267bやChC制御回路267bに転送され、各々のFIFOバッファに蓄積されることになる。
ディスプレイリストDLは、一連の指示コマンドで構成されているが、本例では、転送ポートレジスタTR_PORTの書込み単位(32bit)に対応して、ディスプレイリストDLは、コマンド長が32bitの整数N倍(N>0)の指示コマンドのみで構成されている。したがって、データ転送回路267を経由して、ディスプレイリストDLの指示コマンドを受ける描画回路274やプリローダ269は、素早く円滑にコマンド解析処理(DL analyze)を開始することができる。なお、32bitの整数N倍のコマンド長は、その全てが有意ビットとは限らず、無意ビット(Don't care bit)も含んで、32bitの整数N倍という意味である。
[17-3.プリロードデータのキャッシュについて]
ここで、上記説明の通り、書換えリストDL’は、描画回路274の描画動作の開始時に、データ転送回路267の接続バスアクセス調停回路267eや、ChB制御回路267bを経由して、描画回路274のディスプレイリストアナライザに転送される。そして、描画回路274は、書換えリストDL’に基づいて、描画動作を実行する。したがって、TXLOADコマンドなどに基づき、本来は、CGROM260から取得すべきCGデータが、プリロード領域に先読みされているプリロードデータとして、DRAM278のプリロード領域から取得される。この場合、プリロードデータは、上書き消去されない限り、繰り返し使用可能であり、プリロード領域にキャッシュヒットしたプリロードデータは、繰り返し再利用される。
本例では、十分な記憶容量を有する外付けDRAM278にプリロード領域を設定しているので、上記のキャッシュヒット機能が有効に機能する。また、DRAM278の記憶容量が大きいので、例えば、複数フレーム分のCGデータを一気にプリロードする多重プリロードも可能である。すなわち、プリローダ269の動作期間に関し、CGデータの先読み動作を含んだ一連のプリロード動作の動作期間を、VDP回路250bの動作周期δの整数倍の範囲内で、適宜に設定することで多重プリロードが実現される。
但し、ここでは、説明の便宜上、多重プリロードのない実施例であるとする。この場合、プリローダ269は、一動作周期(δ)の間に1フレーム分のプリロード動作を完了することにする。
[17-4.描画時におけるVRAMの使用について]
前述のように、本例では、インデックステーブル268によりインデックス空間を定め、描画時のVRAM261の使用を行っている。
このインデックス空間は、(1)初期処理後に追加することや、逆に、(2)開放することも必要となる。そこで、これら追加/開放のCPU241の動作時に、追加/開放の処理が可能なタイミングか否か、また、追加/開放などの処理が実際に完了したか否か、などを判定可能なフラグ領域FGをインデックステーブル268に設けている。なお、VRAM261は、以下に説明する二つのAAC領域(a1,a2)と、ページ領域(b)と、任意領域(c)の三種類のメモリ領域に大別され、この三種類のメモリ領域(a1,a2)(b)(c)に対応して、インデックステーブル268が3区分されている。詳しくは、図141、及び図142に示す通りである。
図142に示す通り、本例では、AAC領域(a)として、第一AAC領域(a1)と第二AAC領域(a2)が確保されているが、特に限定されるものではなく、何れか一方だけでも良い。なお、以下の説明では、第一、第二AAC領域(a1,a2)を総称する場合には、AAC領域(a)と称する場合がある。
本例の場合、VRAM261は、(a)インデックス空間とそのインデックス番号が内部処理によって自動付与され、且つメモリキャッシュ機能を有するAAC領域と、(b)例えば4096bit×128ラインの二次元空間を単位空間として、その整数倍の範囲でインデックス空間が確保可能なページ領域と、(c)先頭アドレスSTxと水平サイズHxが任意に設定できる任意領域と、に区分可能に構成されている(図142参照)。但し、VDP回路250bの内部動作を円滑化するため、任意領域(c)において任意設定されるインデックス空間の先頭アドレスSTxは、その下位11bitが0であって、所定ビット(2048bit=256バイト)単位とする必要がある。
そして、CPUリセット後、各々に必要なメモリ空間の最大値と、先頭アドレス(下位11bit=0)を規定して、第一AAC領域(a1)と、第二AAC領域(a2)と、ページ領域(b)とが確保され、その残りのメモリ領域が任意領域(c)となる。VDP回路250bの内部動作を円滑化するため、AAC領域(a)のメモリ空間の最大値は、2048bit単位で規定され、ページ領域(b)のメモリ空間の最大値は、上記した4096bit×128ラインの単位空間の整数倍とされる。
次に、このように確保された各領域(a1,a2)(b)(c)に必要個数のインデックス空間が設定される。なお、任意領域(c)を使用する場合、VDP回路250bの内部動作を円滑化するため、二次元データを扱うインデックス空間の水平サイズHxは、256bitの倍数として、任意に設定可能である一方、その垂直サイズは固定値(例えば、2048ライン)となっている。
何れにしても、第一、第二AAC領域(a1,a2)は、VDP回路250bによって、インデックス空間とインデックス番号が自動的に付与されるので、例えば、テクスチャ設定系コマンドのSETINDEXコマンドによって、デコード先をAAC領域(a)に指定すれば、CGROM260からCGデータを読み出すTXLOAD(テクスチャロード)コマンドでは、CGROM260のSourceアドレスと、展開(デコード)後の水平・垂直サイズなどを指定するだけで足りることになる。そこで、本例では、予告演出時などに一時的に出現するキャラクタなどの静止画(テクスチャ)や、Iストリーム動画については、そのデコード先をAAC領域(a)にしている。
このAAC領域(a)は、いずれも、メモリキャッシュ機能が付与されているので、例えば、CGROM260の同一のテクスチャを複数回、AAC領域(a)に読み出すような場合には、二度目以降は、AAC領域(a)にキャッシュされているデコードデータが活用可能となり、余分なREADアクセスとデコード処理が抑制可能となる。もっとも、AAC領域(a)を使い切った場合には、古いデータが自動的に破壊されるので、本例では、AAC領域(a)を使用する場合、原則として第一AAC領域(a1)を使用することとし、繰り返し使用する特定のテクスチャだけを第二AAC領域(a2)に取得するようにしている。
繰り返し使用するテクスチャとして、例えば、所定の予告演出時に繰り返し出現するキャラクタや、背景画面を静止画で構築する場合の背景画などを例示することができる。このような場合、テクスチャ設定系コマンドのSETINDEXコマンドによって、デコード先を第二AAC領域(a2)に設定し、TXLOADコマンドによって、キャラクタや背景画などのテクスチャを第二AAC領域(a2)にデコードした後は、第二AAC領域(a2)を使用しないことで、デコード結果を保護する。
そして、その後、SETINDEXコマンドによって、デコード先を第二AAC領域(a2)に指定した上で、取得済みのテクスチャを再取得する同一のTXLOADコマンドを実行させると、取得済みのテクスチャがキャッシュヒットするので、CGROM260へのReadアクセスと、デコード処理に要する時間を削除することができる。
前述したように、この種のキャッシュヒット機能は、DRAM278のプリロード領域に先読みされたプリロードデータでも発揮されるが、プリロード領域でキャッシュヒットするプリロードデータは、デコード前の圧縮データであるのに対して、AAC領域(a)でキャッシュヒットするのはデコード後の展開データである点に意義がある。
ところで、テクスチャ(texture)とは、一般に、物の表面の質感・手触りなどを指す概念であるが、本明細書では、静止画を構成するスプライト画像データや、動画の1フレームを構成する画像データや、三角形や四角形などの描画プリミティブ(primitive)に貼り付ける画像データだけでなく、デコード後の画像データも含む概念として使用している。そして、VRAM261の内部で、画像データをコピーする(以下、便宜上、移動と称する)場合には、テクスチャ設定系コマンドのSETINDEXコマンドによって、移動元の画像データをテクスチャとして設定した上で、SPRITEコマンドを実行することになる。
なお、SPRITEコマンドの実行により、移動元のSource画像データが、形式上は、図143に示す仮想描画空間に描画されるが、液晶表示装置36に実際に描画される仮想描画空間内の描画領域と、フレームバッファFBとなるインデックス空間との対応関係を、予め環境設定コマンド(SETDAVR,SETDAVF)や、テクスチャ設定系コマンド(SETINDEX)によって設定しておけば、例えば、SPRITEコマンドによる仮想描画空間への描画により、所定のインデックス空間(フレームバッファFB)には、移動元のSource画像データが描画されることになる(図143参照)。
何れにしても、本例では、VRAM261が、AAC領域(a1,a2)とページ領域(b)と任意領域(c)に大別され、各々に、適当数のインデックス空間を確保することができ、各インデックス空間は、各領域(a)(b)(c)ごとに独立のインデックス番号によって特定される。インデックス番号は、例えば、1バイト長であり、(内部回路によって自動付与されるAAC領域(a)を除いた)ページ領域(b)と任意領域(c)については、0~255の範囲でCPU241がインデックス番号を自由に付与することができる。
そこで、本例では、図141に示す通り、主LCD36M用として、任意領域(c)に、一対のフレームバッファFBaを確保して、ダブルバッファ構造の双方に、インデックス番号255、254を付与している。すなわち、主LCD36M用のフレームバッファFBaとして、トグル的に切り換えて使用されるインデックス空間255と、インデックス空間254とを確保している。特に限定されないが、このインデックス空間255、254は、主LCD36Mの横方向ピクセル数に対応して、水平サイズ1280としている。なお、各ピクセルは、ARGB情報32bitで特定されるので、水平サイズ1280は、32×1280=40960bit(256bitの倍数)を意味する。
また、副LCD36S用として、任意領域(c)に、別の一対のフレームバッファFBbを確保して、ダブルバッファ構造の双方にインデックス番号252、251を付与している。すなわち、副LCD36S用のフレームバッファFBbとして、インデックス空間252と、インデックス空間251とを確保している。このインデックス空間252、251は、副LCD36Sの横方向ピクセル数に対応して、水平サイズ480としている。この場合も、各ピクセルは、ARGB情報32bitで特定されるので、水平サイズ480は、32×480=15360bit(256bitの倍数)を意味する。
なお、フレームバッファFBa、FBbを任意領域(c)に確保するのは、任意領域(c)には、32バイト(=256bit=8ピクセル分)の倍数として、任意の水平サイズに設定することができ、上記のように主LCD36M、副LCD36Sの水平ピクセル数に一致させれば、確保領域に無駄が生じないからである。一方、ページ領域(b)には、128ピクセル×128ラインの単位空間の整数倍の水平/垂直サイズしか設定できない。
但し、任意領域(c)に確保される二次元のインデックス空間は、その垂直サイズが固定値(例えば、2048ライン)となっている。そのため、フレームバッファFBaにおいて、水平サイズ1280×垂直サイズ1024の領域だけが、主LCD36Mにとって有効データ領域となる。この点は、副LCD36Sについても同様であり、フレームバッファFBbにおいて、水平サイズ480×垂着サイズ800の領域だけが、副LCD36Sにとって有効データ領域となる(図143参照)。
ここで、図144に、フレームバッファFBa、FBbの全体と、それぞれの有効データ領域との関係を示しておく。
上記のようなフレームバッファFBa、FBbの有効データ領域については更に後述するが、何れにしても、フレームバッファFBa,FBbは、描画回路274にとっての描画領域として、各ダブルバッファ(255/254,252/251)が交互に使用され、また、A/Bの2系統の表示回路270にとっての表示領域として、各ダブルバッファ(255/254,252/251)が交互に使用される。なお、本例では、表示ピクセルの深度情報を記憶するZバッファを使用しないので欠番(253)が生じるが、Zバッファを使用する場合には、任意領域(c)におけるインデックス番号253、250のインデックス空間253、250が、主LCD36Mと副LCD36SのためのZバッファとなる。
また、本例では、フレームバッファFBa,FBbが確保された任意領域(c)に、追加のインデックス空間(メモリ領域)を確保する場合には、0から始まるインデック番号を付与するようにしている。何ら限定されないが、本例では、キャラクタやその他の静止画で構成された演出画像を、必要に応じて、適宜な回転姿勢で表示画面の一部に出現させる予告演出用の作業領域として、任意領域(c)に、インデックス空間(0)を確保している。
但し、作業領域の使用は必須ではなく、また、任意領域(c)に代えて、ページ領域(b)に作業領域としてのインデックス空間を確保しても良い。ページ領域(b)を使用すれば、水平サイズ128(=4096bit)×垂直サイズ128の正方形状の単位空間の倍数寸法のインデックス空間を確保できるので、小型の演出画像を扱うには好適である。
ところで、本例では、背景画像も含め動画で構成されており、画像演出は、ほぼ動画のみで実現されている。特に、変動演出時には、多数(通常10個以上)の動画が同時に描画されている。これらの動画は、何れも、一連の動画フレームとして、圧縮状態でCGROM260に格納されているが、Iフレームのみで構成されたIストリーム動画と、IフレームとPフレームとで構成されたIPストリーム動画とに区分される。ここで、Iフレーム(Intra coded frame)とは、他画面とは独立して、入力画像をそのまま圧縮するフレームを意味する。一方、Pフレーム(Predictive coded frame)とは、前方向予測符号化を行うフレームを意味し、時間的に過去に位置するIフレーム又はPフレームが必要となる。
そこで、本例では、IPストリーム動画については、旧データの破壊が懸念されるAAC領域(a)ではなく、ページ領域(b)に展開している。すなわち、水平サイズ128×垂直サイズ128の倍数寸法のインデックス空間を確保可能なページ領域(b)に、多数のインデックス空間(IDX0~IDXN)を確保して、一連の動画フレームは、各動画MViに対応する、常に同一のインデックス空間IDXiを使用してデコードするようにしている。すなわち、動画MV1はインデックス空間IDX1に展開され、動画MV2はインデックス空間IDX2に展開され、以下同様に、動画MViはインデックス空間IDXiに展開されるよう構成されている。
動画MViについて、更に具体的に説明すると、SETINDEXコマンドによって、「IPストリーム動画MViのデコード先は、ページ領域(b)におけるインデックス番号iのインデックス空間(i)である」と予め指定した上で、IPストリーム動画MViの動画一フレームを取得するTXLOADコマンドを実行させている。
すると、TXLOADコマンドが特定するCGROM260上の動画の1フレーム(一連の動画フレームの何れか)が、先ず、AAC領域(a)に取得され、その後、自動的に起動するGDEC273によって、ページ領域(b)のインデックス空間(i)に、取得した動画の1フレームがデコードされて展開されることになる。
一方、本例では、Iストリーム動画については、静止画と同一扱いとしており、SETINDEXコマンドによって、「Iストリーム動画MVjのデコード先は、第一AAC領域(a1)である」と指定して、TXLOADコマンドを実行させる。その結果、動画フレームは第一AAC領域(a1)に取得され、その後、自動的に起動するGDEC273が、第一ACC領域(a1)にデコードデータを展開している。先に説明した通り、AAC領域(a)のインデックス空間は、自動的に生成されるので、インデックス番号を指定する必要はない。なお、インデックス空間に必要となる展開ボリューム、つまり、デコードされたテクスチャ(動画フレーム)の水平サイズと垂直サイズは、展開先がAAC領域(a)か、ページ領域(b)かに拘らず、TXLOADコマンドによって特定される。
ところで、IPストリーム動画MViやIストリーム動画MVjは、一般にN枚の動画フレーム(IフレームやPフレーム)で構成されている。そのため、TXLOADコマンドでは、例えば、k枚目(1≦k≦N)の動画フレームが記憶されているCGROM260のSourceアドレスと、展開後の水平・垂直サイズなどを指定することになる。何ら限定されないが、静止画を殆ど使用しない実施例では、VRAM261のメモリ空間48Mバイトの大部分(30Mバイト程度)をページ領域(b)に割り当てる。そして、静止画を殆ど使用しない実施例では、AAC領域(a)として、第一AAC領域(a1)だけを確保し、第二AAC領域(a2)を確保せず、また、前記したAAC領域(a)のキャッシュヒット機能も活用しない。
なお、圧縮動画データのデコード処理を高速化するため、専用のGDEC回路を設けることも考えられる。そして、専用のGDEC回路をVDP回路250bに内蔵させれば、N枚の圧縮動画フレームで構成された圧縮動画データのデコード処理において、動画圧縮データの先頭アドレスをGDEC回路に指示すれば足りるので、N枚の圧縮動画フレームについて、1枚ごとに先頭アドレスを指定する必要がなくなる。
しかし、このような専用のGDEC回路を、圧縮アルゴリズム毎に複数個内蔵させるのでは、VDP回路250bの内部構成が更に複雑化する。そこで、ソフトウェアGDECとし、IPストリーム動画、Iストリーム動画、静止画、その他α値などのデータについて、各圧縮アルゴリズムに対応するソフトウェア処理によってデコード処理を行うように構成することもできる。なお、ハードウェア処理とソフトウェア処理の処理時間差は、あまり問題にならず、処理時間が問題になるのは、もっぱら、CGROM260からのアクセス(READ)タイムである。
[17-5.画像演出制御に係るCPUの処理]
以下、図145~図159を参照し、演出制御部24AのCPU241が実行する画像演出制御に係る処理の詳細について説明する。
図145のフローチャートは、先の図133に示した各種初期設定処理(S2000’)において実行される処理を示している。
ステップS2000’の各種初期設定処理において、演出制御部24AのCPU241は、記憶容量48MバイトのVRAM261を、適切な記憶容量を有するACC領域(a)と、ページ領域(b)と、任意領域(c)とに適宜に切り分ける(ST1)。具体的には、ACC領域(a1,a2)と、ページ領域(b)について、各々の先頭アドレスと必要な総データサイズを、所定のインデックステーブルレジスタRGijに設定する(ST1)。すると、確保されたACC領域(a1,a2)とページ領域(b)には含まれない残余領域が任意領域(c)となる。
ここで、第一、第二ACC領域(a1,a2)と、ページ領域(b)の先頭アドレスは、各々の下位11bitが0でなくてはならないが、2048bit単位で任意に選択可能である(1番地=1バイトとして、256番地ごとの選択)。また、総データサイズも、単位サイズの整数倍の範囲で任意に選択される。特に限定されないが、ACC領域(a)の単位サイズは2048bit、ページ領域(b)の単位サイズは512kbitである。
このように本例では、ACC領域(a1,a2)と、ページ領域(b)の領域設定に一定の条件を設けるが、それは、メモリ容量が限られているVRAM261について、可能な限り無駄領域を排除する一方で、VDP回路250bの内部動作の円滑化を図るためである。すなわち、VRAM261の記憶容量を無闇に増加させると、製造コストの高騰やチップ面積の大型化が懸念される一方、無駄領域を完全に排除するような自由な領域設定を認めると、内部処理が煩雑化して、VRAMアクセスの処理時間を短縮化できないためである。なお、以下に説明するインデックス空間の確保に、一定の制約を設けるのも同じ理由による。
CPU241は、ステップST1の処理に続いて、ページ領域(b)と、任意領域(c)について必要なインデックス空間IDXiを確保する(ST2)。具体的には、所定のインデックステーブルレジスタRGijに、必要な情報を設定することで、各領域(b)(c)のインデックス空間IDXiを確保する。
例えば、ページ領域(b)にインデックス空間IDXiを設ける場合には、任意のインデックス番号iに対応して、任意の水平サイズHxと、任意の垂直サイズWxの倍数情報(単位空間に対する縦横の倍数情報)が、所定のインデックステーブルレジスタRGijに設定される(ST2)。
先に説明した通り、ページ領域(b)のインデックス空間IDXiは、水平サイズ128×垂直サイズ128ラインを単位空間としており、また、1ピクセルは32bitの情報で特定されるので、水平サイズHxと垂直サイズWxの設定に基づいて、データサイズ(bit長)=32×128×Hx×128×Wxのインデックス空間IDXiが確保されたことになる。なお、ページ領域(b)のインデックス空間IDXiの先頭アドレスは、内部的に自動付与される。
また、任意領域(c)にインデックス空間IDXiを設ける場合には、任意のインデックス番号iに対応して、任意の先頭アドレスSTxと、任意の水平サイズHxの倍数情報が、所定のインデックステーブルレジスタRGijに設定される(ST2)。なお、ここでの任意とは、所定条件を前提とするもので、水平サイズHxは256bit単位で任意決定され、先頭アドレスSTxの下位11bitは0であって、2048bit単位で任意決定される。先に説明した通り、任意領域の垂直サイズは、2048ラインに固定化されるので、水平サイズHxの設定に基づいて、先頭アドレスSTx以降には、データサイズ(bit長)=2048×Hxのインデックス空間が確保されたことになる。
具体的には、主LCD36M用のフレームバッファFBaとして、水平サイズ1280×垂直ライン2048の一対のインデックス空間が、各々インデックス番号を特定して、一又は複数の所定のインデックステーブルレジスタRGijに設定され、副LCD36S用のフレームバッファFBbとして、水平サイズ480×垂直ライン2048の一対のインデックス空間が、各々インデックス番号を特定して、一又は複数の所定のインデックステーブルレジスタRGijに設定される。なお、もし、LCD36の水平ピクセル数が、256bit/32bitの整数倍に一致しない場合には、各インデックス空間の水平サイズを、LCD36の水平ピクセル数より大きく、且つ、256/32=8の整数倍となる値に設定して、無駄なメモリ領域の発生を最小限に抑制する。
以上のように、ページ領域(b)と、任意領域(c)について、必要なサイズ情報やアドレス情報を所定のインデックステーブルレジスタRGijに各々設定することで、必要個数のインデックス空間IDXiが生成される(ST2)。そして、この設定処理(ST2)に対応して、各インデックス空間IDXiのアドレス情報やサイズ情報を特定するインデックステーブル268が自動的に構築される。
図141に示す通り、インデックステーブル268には、各インデックス空間IDXiの先頭アドレスが、その他の必要情報と共に記憶されており、VDP回路250b内部でのデータ転送時や、外部記憶リソース(Resource)からのデータ取得時に参照される(図140参照)。なお、AAC領域(a)のインデックス空間IDXiは、必要時に自動生成され、自動消滅するので、ステップST2の設定処理は不要である。
図141、図142に示される通り、任意領域(c)には、各一対のフレームバッファFBaとFBbが確保され、各々、インデックス番号が付与されている。Zバッファを使用しない実施例では、フレームバッファFBaとして、インデックス番号255,254が付与された、一対のインデックス空間255,254が確保される。また、フレームバッファFBbとして、インデックス番号252,251が付与された、一対のインデックス空間252,251が確保される。なお、本例では、任意領域(c)に、インデックス番号0の作業領域(インデックス空間0)も確保されている。
また、本例では、ページ領域(a)に、IPストリーム動画のデコード領域となる必要個数のインデックス空間IDXiを確保し、インデックス番号iを付与することにしている。但し、初期的には、背景動画(IPストリーム動画)のためのインデックス空間IDX0だけを確保している。そして、画像演出(変動演出や予告演出)における必要性に応じて、インデックステーブルレジスタRGijへの設定処理や、ディスプレイリストDLの指示コマンドに基づいて、ページ領域(a)のインデックス空間IDXjを増やし、その後、不要になれば、そのインデックス空間IDXjを開放するようにしている。
なお、ACC領域(a)のインデックス空間は、ディスプレイリストDLに記載されている指示コマンドに基づいて、必要時に自動的に生成され、インデックステーブル268には、自動生成されたインデックス空間IDXjの先頭アドレスや、その他の必要情報が自動設定される。本例では、このAAC領域(a)を、静止画その他のテクスチャのデコード領域として使用している。
インデックス空間を確保する上記の動作は、もっぱら、各種レジスタ265に含まれるインデックステーブルレジスタRGijへの設定動作によって実現されるが、ステップST1~ST2の処理に続いて、他のVDPレジスタRGijに、必要な設定動作を実行することで、先の図138や図139で説明したVDP回路250bの動作を可能にしている。
例えば、表示回路270の動作を規定する所定の表示レジスタRGijに、所定の動作パラメータ(ライン数と画素数)を書込むことで、主LCD36M、副LCD36Sについて表示ライン数と水平画素数を設定している(SS30)。その結果、各フレームバッファFBa,FBbにおいて、表示回路270がREADアクセスすべき有効データ領域(図144の破線部)の縦横寸法が、特定されることになる。
次に、所定の表示レジスタRGijに、所定の動作パラメータ(アドレス値)を書込んで、各フレームバッファFBa,FBbについて、垂直表示開始位置と水平表示開始位置を特定する(SS31)。その結果、ステップSS30の処理で縦横寸法が特定された有効データ領域が、フレームバッファFBa,FBb上に確定されることになる。ここで、垂直表示開始位置と水平表示開始位置は、各インデックス空間における相対アドレス値であって、本例では、表示開始位置は(0,0)となっている。
続いて、主LCD36Mを駆動する表示回路270(A)に関する表示レジスタRGij(DSPAINDEX)と、副LCD36Sを駆動する表示回路270(B)に関する表示レジスタRGij(DSPBINDEX )に、各々、「表示領域(0)」と「表示領域(1)」を設定して、各表示領域を定義している(SS32)。
ここで、「表示領域」とは、A/Bの各表示回路270が、主LCD36M、副LCD36Sを駆動するために、画像データを読み出すべきインデックス空間(フレームバッファFBa,FBb)を意味し、各々ダブルバッファ構造であるフレームバッファFBa,FBbにおけるダブルバッファの何れか一方を意味する(前述した「読出領域Ar」を参照)。もっとも、表示回路74A,74Bが、実際に画像データを読み出すのは、表示領域(0)又は表示領域(1)における、ステップSS30~SS31で特定された「有効データ領域」に限定される。
何ら限定されないが、初期設定時における表示領域の定義として、本例では、フレームバッファFBaについては、任意領域(c)におけるインデックス番号254のインデックス空間254を「表示領域(0)」と定義し、任意領域(c)におけるインデックス番号255のインデックス空間255を、「表示領域(1)」と定義している(SS32)。また、フレームバッファFBbについては、任意領域(c)におけるインデックス番号251のインデックス空間251を「表示領域(0))とし、任意領域(c)におけるインデックス番号252のインデックス空間252を「表示領域(1)」としている(SS32)。
なお、「表示領域」を初期処理(SS3)において定義することは、特に限定されず、動作周期δ毎に、表示回路270が画像データをREADアクセスすべきインデックス空間(表示領域)をトグル的に切換えても良い。
本例では、以上の初期処理(SS30~SS32)が終われば、次に、所定のシステム制御レジスタRGijへの設定値が、その後、ノイズなどの影響で変更されないよう、第一種の禁止設定レジスタRGijに、所定の禁止値を設定している(第1の禁止設定SS33)。
ここで、書込みが禁止される設定値には、(1)主LCD36M、副LCD36Sの表示クロックに関する設定値、(2)LVDSのサンプリングクロックに関する設定値、(3)出力選択回路272の選択動作に関する設定値、(4)複数の主LCD36M、副LCD36Sの同期関係(表示回路270(B)が表示回路270(A)の動作周期に従属すること)などが含まれている。なお、第1の禁止設定を解除するソフトウェア処理は存在するが、本例では使用していない。但し、必要に応じて使用するのも好適である。
次に、第二種の禁止設定レジスタRGijに、所定の禁止値を設定することで、初期設定系のVDPレジスタRGijについて書込み禁止設定をしている(第2の禁止設定SS34)。ここで、禁止設定されるレジスタには、ステップSS30~SS32に係るVDPレジスタRGijが含まれている。
一方、第三種の禁止設定レジスタRGijに、所定の禁止値を設定することで、ステップST1~ST3の設定処理に関するVDPレジスタを含んだ、多数のVDPレジスタへの禁止設定も可能である(第3の禁止設定)。但し、本例では原則として使用しない。何れにしても、第2の禁止設定や、第3の禁止設定は、所定の解除レジスタRGijに、解除値を書込むことで任意に解除可能であり、初期設定後に設定値を変更することも可能となる。
(プリローダを機能させない例)
続いて、図133におけるステップS2061の描画更新処理の詳細について説明するが、この描画更新処理は、プリローダ269を機能させる場合と機能させない場合とで処理内容が異なる。
以下では先ず、プリローダ269を機能させない場合について説明する。
図146は、プリローダ269を機能させない場合における描画更新処理(S2061)のフローチャートである。
先ず、演出制御部24AのCPU241は、処理の開始条件を満たしているか否かを判定する(ST5)。なお、図133を参照して分かるように、この判定タイミングは、フレーム期間の開始に応じたタイミングとなる。なお、副LCD36Sの表示タイミングは、主LCD36Mの表示タイミングに従属するよう、初期設定時(S2000’)に設定されている。
ステップST5の開始条件について説明する。
プリローダ269を機能させる場合には、本来、図138のタイムチャートに示す通りにVDP回路250bの内部動作が進行するよう、回路構成やプログラムが設計されている。すなわち、或るフレーム期間の開始時に完成されたディスプレイリストDLに基づき、該フレーム期間内に描画回路274が描画動作を終える筈である。しかし、例えば、図138中の3フレーム目のフレーム期間の開始時(T1+2δ)に完成されたディスプレイリストDL3のように、該当するフレーム期間中(T1+2δ~T1+3δ)に、描画動作を完了することができない場合も無いとは言えない。
ステップST5の判定処理は、かかる事態を考慮したのであり、CPU241は、描画回路274の動作状態を示すステイタスレジスタRGij(各種レジスタ265の一種)をアクセスして、ステップST5のタイミングで、描画回路274が必要な動作を終えているか否かを判定する。例えば、図138のタイミングT1+δで、描画回路274に関する描画レジスタのステイタス情報をReadアクセスして、ディスプレイリストDL1に基づく描画動作が終わっているか否かを判定する。
ステップST5において、開始条件を満たさない場合(不適合)には、異常回数をカウントする異常フラグERをインクリメントして、ステップST6~ST8処理をスキップする。異常フラグERは、その他の重大異常フラグABNと共に、ステップST9やST10の処理で判定され、重大異常フラグABNがリセット状態である前提において、連続異常回数が多くない場合(ER≦2)には、正常時と同様に、演出制御コマンドの解析のための処理を実行する(S2022~S2024)。
ここで、図示のように、ステップS2022で演出制御コマンドが受信されていないと判定した場合や、受信した演出制御コマンドについてステップS2023のコマンド解析処理を行ってステップS2024でスケジューラ更新フラグをOFFとした場合、CPU241は図133のステップS2002に戻る。
上記では、処理の開始条件が不適合の場合であって、異常フラグERがER≦2である場合について説明したが、このような場合には、そのフレーム期間では、表示回路270が読み出しを行う表示領域をトグル的に切換える処理(ST6)や、ディスプレイリストDLの作成処理(ST7)がスキップされ、且つ、演出シナリオが進行しないことになる(図133のステップS2005でフレーム更新フラグがONされず、処理がステップS2003→S2020に進まないため)。これは、不完全な状態のフレームバッファFBa,FBbの画像データを出力させないためである。そのため、例えば、図138のタイミング(T1+3δ)から開始されるフレーム期間では、画像演出が進行せず、元の画面(DL2に基づく画面)が再表示されるフレーム落ちが生じる。
ここで、フレーム落ちを回避するため、ステップST5の開始条件が成立するまで待機する構成も考えられる。しかし、CPU241が実行すべき制御処理は数多く、各々の処理時間を確保する必要があるので、本例では、開始条件を満たさない場合にフレーム落ちを生じさせるものとしている。
但し、フレーム落ちが生じたとしても、1/30~2/30秒程度、画像演出の進行が遅れるだけであり、これに遊技者が気付くことは希である。しかも、フレーム落ち時には、音やランプといった画像演出以外の演出の進行も合わせてスキップされる(図133のステップS2032~S2042がスキップされる)ので、その後に開始されるリーチ演出や予告演出や役物演出において、画像演出、音声演出、ランプ演出、及びモータ演出などの開始タイミングがずれる虞はない。
すなわち、演出シナリオでは、画像演出、音声演出、ランプ演出、モータ演出の開始タイミングと、その後に実行すべき演出内容を一元的に管理しており、正常時に限り進行が許可されることで、各種の演出の同期が外れることはない。例えば、爆発音と、爆発画像と、役物移動と、ランプフラッシュ動作を複合した演出動作がある場合、フレーム落ちが生じた後であっても、上記した各演出動作は正しく同期して開始される。
以上、比較的軽微な異常時について説明したが、重大異常フラグABNがセット状態である場合や、連続異常回数が多い場合(ER>2)には、ステップST10の判定の後、無限ループ状態としている。その結果、WDTタイマのダウンカウント動作が進行して、CPU241を含んだ複合チップ250は、異常リセットされ、その後、初期処理(ST1~ST3)が再実行されることで、異常事態発生の根本原因の解消が期待される。
以上、異常事態について説明したが、実際には、軽微な場合も含め上記した異常が発生することは殆どなく、ステップST5の処理の後、所定の表示レジスタRGij(DSPACTL /DSPBCTL)への設定に基づき、表示回路270(A)と表示回路270(B)が読み出すべき画像データを記憶するフレームバッファFBa,FBbの「表示領域」をトグル的に切り換える(ST6)。先に説明した通り、「表示領域(0)」と「表示領域(1)」は、予め初期処理において定義されているので(ST3)、ステップST6の処理では、フレームバッファFBa,FBbについて、今回の「表示領域」が、表示領域(0)/表示領域(1)の何れであるかを特定する。
このステップST6が実行されることで、表示回路270(A)は、インデックス空間254(表示領域(0))と、インデックス空間255(表示領域(1))から、動作周期δ毎に、交互に画像データを読み出して主LCD36Mを駆動することになる。同様に、表示回路270(B)は、インデックス空間251(表示領域(0))と、インデックス空間252(表示領域(1))から、動作周期δ毎に、交互に画像データを読み出して副LCD36Sを駆動することになる。なお、表示回路270が実際にREADアクセスするのは、表示領域(0)/表示領域(1)における有効データ領域に限定されるのは先に説明した通りである(図144参照)。
何れにしても、本例では、動作周期δ毎に「表示領域」(読出領域Ar)が切り替わるので、表示回路270(A),274(B)は、直前のフレーム期間で描画回路274が完成させた画像データについて、主LCD36M、副LCD36Sへの出力処理を開始することになる。但し、ステップST5の処理は、主LCD36Mの垂直帰線期間(Vブランク)の開始時から開始されるので、実際には、垂直帰線期間が完了してから画像データの出力処理が開始されることになる。図138において、表示回路の欄に示す矢印は、この出力処理の動作周期を示している。
以上のような意義を有するステップST6の処理が終われば、CPU241は、続いて、表示回路270がLCD36に出力するべき画像データを特定したディスプレイリストDLを完成させる(ST7)。特に限定されないが、本例では、RAM243のリストバッファ領域(DLバッファBUF)を確保し、そこにディスプレイリストDLを完成させている(図140参照)。
ディスプレイリストDLは、一連の指示コマンドを、適宜な順番で列記して構成され、EODL(End Of DL )コマンドを記載して終わるよう構成されている。描画回路274は、ディスプレイリストDLにおけるこのEODLコマンドを認識すると、当該ディスプレイリストDLで指示された画像データの生成処理を終了する。
そして、本例では、データ転送回路267、描画回路274、プリローダ269の円滑な動作を実現するべく、EODLコマンドを含む全ての指示コマンドを、コマンド長が32bitの整数N倍(N>0)の指示コマンドだけに限定している。なお、32bitの整数N倍で構成された指示コマンドに、無意ビット(Don't care bit)も含んで良いことは先に説明した通りである。
このように、本例のディスプレイリストDLは、コマンド長が32bitの整数N倍(N>0)の指示コマンドだけで構成されているので、ディスプレイリストDL全体のデータボリューム値(データ総量)は、必ず、コマンド長の最小単位(32bit=4バイト)の整数倍となる。更に、本例では、データ転送回路267の最低データ量Dminを考慮して、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を、最低データ量Dminの整数倍(1以上)であって、且つ、指示コマンドの最小単位(4バイト)の整数倍となるよう調整している。例えば、Dmin=256バイトであれば、ディスプレイリストDLのデータボリューム値は、256バイト、512バイト・・・の何れかの値に調整される。
ここで、演出内容の複雑さに応じて、適宜に、256バイトか、又は512バイトに調整するのも好適であるが、本例では、LCD36が二個であり、副LCD36Sはそれほど複雑な画像演出を実行させないことを考慮して、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を、常に、256バイトに調整している。
もっとも、この手法は、何ら限定されず、LCD36が三個以上になる場合や、副LCD36Sも含め複雑な画像演出を実行する遊技機の場合には、512バイト又は、768バイトに調整される。また、通常の演出時は、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を256バイトに調整し、特別な演出を実行する場合に限り、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を512バイト、又は768バイトに調整するのも好適である。
ディスプレイリストDLのデータボリューム値の調整手法としては、32bit長のEODLコマンドの後に、不足領域を補填する32bit長のNOP(No Operation)コマンドを埋める簡易手法(A)か、或いは、不足領域を32bit長のNOPコマンドで埋めた後、最後に32bit長のEODLコマンドを記載する標準手法(B)が考えられる。なお、ディスプレイリストDLのデータボリューム値(データ総量)を全く調整することなくEODLコマンドで終結させ、データ転送回路267の動作時に、ダミーデータを付加的に転送して、最低データ量Dminの整数倍の転送量を確保する無調整手法(C)も考えられる。
ここで、標準手法(B)を採る場合には、最初、コマンドカウンタCNTを規定値(256バイトに対応する64-1)に初期設定し、DLバッファ領域BUFに、有意な指示コマンドを書き込むごとに、コマンドカウンタCNTを適宜に減算し、一連の有意な指示コマンドの書き込みが終われば、コマンドカウンタCNTがゼロになるまで、NOPコマンドを記載し、最後にEODLコマンドを記載する手法が考えられる。本例の場合、指示コマンドは、そのコマンド長が32bitの整数N倍(N>0)のものに限定されているので、上記の処理は容易であり、コマンドカウンタCNTの減算処理は、整数Nに対応した減算処理となる。
一方、簡易手法(A)を採る場合には、ディスプレイリストDLの作成時、最初に、リストバッファ領域(DLバッファBUF)の全てをNOPコマンドで埋めれば足りるので、一見、標準手法(B)より優れているように思われる。また、簡易性の観点では、無調整手法(C)も優れているように思われる。しかし、本例では、基本的に標準手法(B)を採っており、ディスプレイリストDLの先頭からEODLコマンドまでの実データ量、つまり、EODLコマンドまでのデータ量が、常にデータ転送回路267の最低データ量Dminの整数倍となるよう調整している。
これは、プリローダ269を活用する実施例を考慮したものであり、もし、簡易手法(A)や無調整手法(C)を採用すると、EODLコマンドまでのディスプレイリストDLの実データ量が、ランダムな値となり、プリローダ269が書き換えた書換えリストDL’のDRAM278への転送時や、DRAM278から描画回路274への書換えリストDL’の転送時に支障が生じるからである。なお、書換えリストDL’のDRAM278への転送時にはデータ転送回路267のChA制御回路267aが機能し、書換えリストDL’の描画回路274への転送時にはChB制御回路267bが機能するが(先の図140の説明を参照)、何れの場合もEODLコマンドまでの書換えリストDL’しか転送しないことになる。
以上、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を調整する標準手法(B)の利点を説明したが、プリローダ269を機能させない実施例では、発行されたディスプレイリストDLは、描画回路274によって処理されるだけであるので、簡易手法(A)や無調整手法(C)の使用が何ら禁止されない。
但し、以下の説明では、プリローダ269の使用の有無に拘らず、原則として標準手法(B)を採ることを前提に、図147に基づいて、ディスプレイリストDLの詳細について説明する。
特に限定されないが、本例では、ディスプレイリストDLに、先ず主LCD36Mに関する指示コマンド列(L11~L16)を記載し、その後、副LCD36Sに関する指示コマンド列(L17~L20)を記載するようにしている。また、標準手法(B)を採用して、ディスプレイリストDLのデータボリューム値を固定長(256バイト)に調整している。なお、図147は、事実上、CPU241がRAM243のリストバッファ領域に、指示コマンドを書き込む手順や、ディスプレイリストDLに基づく描画回路274の動作を示したものともなっている。
図147に示す通り、ディスプレイリストDLの先頭では、環境設定系の指示コマンド(SETDAVR)を記載して、主LCD36MのフレームバッファFBaについて、インデックス空間IDX上の左上基点アドレス(X,Y)を規定する(L11)。図141に関して説明した通り、本例では、主LCD36M用として、任意領域(c)に一対のフレームバッファFBaが確保されている。そして、通常は、表示回路270にとっての有効データ領域に対応して、基点アドレス(X,Y)=(0,0)とすることで、フレームバッファFBaの先頭位置から描画回路274に活用される。
図143Aでは、その下方左側の実描画領域にL11と付しているが、これは、指示コマンドL11によって、フレームバッファFBa上の実描画領域が、フレームバッファFBaの基点アドレス(0,0)位置から始まると特定されたことを意味している。ただし、実描画領域の縦横寸法や、その実描画領域を具体的に特定するインデックス番号は、未だ未確定であり、後述する指示コマンド(SETINDEX)L13によって確定する。なお、指示コマンドL11ではZバッファの使用の有無も指定される。
次に、環境設定系の指示コマンド(SETDAVF)によって、仮想描画空間上に、左上基点座標(Xs,Ys)と、右下対角点座標(Xe,Ye)を設定して、W×H寸法の描画領域を定義する(L12)。ここで、仮想描画空間とは、描画用の指示コマンド(SPRITEコマンドなど)によって描画可能な、X方向±8192、Y方向±8192の仮想的な二次元空間である(図143A参照)。
この指示コマンドL12(SETDAVF)によって、仮想描画空間は、描画内容が実際に主LCD36Mに反映される描画領域と、その他の非描画領域に区分される。また、指示コマンドL12(SETDAVF)は、指示コマンドL11で開始位置(基点アドレス)が規定された実描画領域と、仮想描画空間上の描画領域とを対応付けることになる。
この点を言換すると、指示コマンドL12によって、(インデックス空間は未定の)フレームバッファFBaには、仮想描画空間上の描画領域に対応する、基点アドレスから始まるW×Hの実描画領域が定義されることになる。したがって、指示コマンドL12で指定する描画領域は、フレームバッファFBaの水平サイズと同一か、それ以下とする必要がある。通常、描画領域や実描画領域は、表示回路270にとっての有効データ領域(図144)と同寸法となるよう定義される。
そして、描画回路274が指示コマンドL11,L12を実行した後は、仮想描画空間に描画された描画内容のうち、描画領域に含まれるものだけが、フレームバッファFBaの実描画領域に反映されることになる。したがって、描画領域からはみ出した部分や、図143Aにおいて作業領域と記載された部分の描画内容は、そのままでは、フレームバッファFBaに反映されることはない。なお、仮想描画空間に作業領域を確保する場合には、仮想描画空間の非描画領域が使用される。
次に、今回の動作周期において、描画回路274が、これから完成させるディスプレイリストDLに基づいて描画する描画内容を何処に描画すべきかを規定する(L13)。具体的には、ダブルバッファ構成のフレームバッファFBaについて、今回のディスプレイリストDLに基づく描画内容の「書込み領域」(描画領域Ad)となるインデックス空間IDXが特定される(L13)。具体的には、テクスチャ設定系のコマンドであるSETINDEXコマンドによって、(1)フレームバッファFBaは、任意領域に確保されていること、及び、(2)「書込み領域」となるインデックス空間IDXNの任意領域上のインデックス番号Nが特定される。
この指示コマンドL13によって、例えば、N=255と特定された場合には、仮想描画空間上に定義された描画領域に対応する実描画領域は、具体的には、ダブルバッファ構造のフレームバッファFBaにおけるインデックス空間IDX255であると定義されたことになる。
本例の場合、フレームバッファFBaのインデックス番号は、255又は254であり(図141)、トグル的に切り換えた何れかが指定される(L13)。なお、このインデックス番号は、先に説明したステップST6で指定された表示領域(0)/(1)ではない方のインデック番号である。例えば、ステップST6の処理において、表示回路270に対して、表示領域(0)が指定されている場合には、表示領域(1)が、描画回路274にとっての「書込み領域」となる。
以上の通り、指示コマンドL11と指示コマンドL12とで、実描画領域(W×Hの論理空間)と描画領域(W×Hの仮想空間)との対応関係が、一般的に定義された後、インデックス空間IDXを具体的に特定する指示コマンドL13(SETINDEX)によって、W×Hの仮想空間が、特定のインデックス空間IDXにおけるW×Hの論理空間であると対応付けられたことになる。
この点を言換すると、今後、一連の指示コマンドに基づいて、W×Hの仮想空間に仮想的に描画される内容は、仮想空間とVRAM261の実アドレスとの対応関係を規定するVDP回路250b内部の変換テーブルに基づいて、VRAM261(フレームバッファ)の画像データとなる。
続いて、「書込み領域」として特定されたインデックス空間IDXを、例えば、黒色で塗りつぶすフレームバッファ・クリア処理を実行する指示コマンドが記載される(ST14,ST15)。これは、2フレーム期間前にフレームバッファFBaに書き込まれた画像データの消去処理に他ならない。
具体的には、環境設定コマンドの一種であるSETFCOLORコマンドによって、例えば黒色を選択し、プリミティブ描画系コマンドであるRECTANGLEコマンドによって矩形領域を塗り潰すべく規定する。なお、RECTANGLEコマンドでは、仮想描画空間に設定された描画領域(フレームバッファFBaに対応する仮想空間)について、その左上端点と、右下端点のXY座標が指定される(図143A参照)。
以上の処理によって、描画準備処理が完了するので、次に、静止画や動画一フレームなど、適宜なテクスチャを、仮想描画空間に描画するための指示コマンドを列記する。典型的には、先ず、テクスチャの展開先となるインデックス空間IDXを、テクスチャ設定系のSETINDEXコマンドで特定した上で、テクスチャロード系の指示コマンドであるTXLOADコマンドを記載して、CGROM260から読み出す所定のテクスチャを、所定のインデックス空間IDXに展開するようディスプレイリストDLに記載する。
先に説明した通り、本例では、背景動画がIPストリーム動画で構成されている。そこで、例えば、背景動画について、これを展開すべきインデックス空間IDXを、テクスチャ設定系のSETINDEXコマンドで、ページ領域(b)のインデックス空間IDX0と特定した上で、テクスチャロード系のTXLOADコマンドを記載する。なお、TXLOADコマンドでは、今回LOADすべき動画フレームについて、CGROM260の先頭アドレス(テクスチャのSourceアドレス)と、展開後のデータサイズ(水平×垂直)を特定する必要がある。
VDP回路250bにおいて、上記のTXLOADコマンドが実行されると、背景動画の1フレーム(テクスチャ)は、先ず、AAC領域(a)に取得され、その後、自動的に起動するGDEC273によって、ページ領域(b)のインデックス空間IDX0に展開される。次に、この動画の1フレームを仮想描画空間に描画することになる。この場合に、SETINDEXコマンド(テクスチャ設定系)によって、「ページ領域(b)のインデックス空間IDX0が、その後の処理対象のテクスチャである」と設定しても良いが、TXLOADコマンドに連続して処理する場合には、このSETINDEXコマンドの記載を省略することができる。
何れにしても、「ページ領域(b)のインデックス空間IDX0が、その後の処理対象のテクスチャである」と特定されている状態で、次に、αブレンド処理のためのパラメータを設定するなど、適宜な描画間演算系の指示コマンドを記載する。なお、αブレンド処理とは、既に描画領域(フレームバッファFBa)に記載されている画像と、これから上書きする画像との透明化/半透明化処理に関するものある。したがって、背景動画の動画フレームのように、第一枚目の描画動作では、描画間演算系の指示コマンドの使用は不要である。
続いて、プリミティブ描画系の指示コマンドであるSPRITEコマンドによって、「ページ領域(b)のインデックス空間IDX0のテクスチャ(背景動画の1フレーム)」を、仮想描画空間の適所(矩形のDestination 領域)に描画するべくSPRITEコマンドを記載する。なお、SPRITEコマンドには、仮想描画空間のDestination領域について、その左上端点と、右下端点を特定する必要がある。
このDestination領域は、予め、指示コマンドL11,L12によって、実描画領域(FBa)に対応付けられた描画領域(仮想描画空間上に定義された仮想空間)の全体又はその一部である。但し、背景動画は、通常、表示画面全体に描画するので、このような場合のDestination領域は、描画領域の全体又はそれ以上となる。なお、Destination領域が、描画領域の全体より大きい場合とは、例えば、背景動画がズームアップされる場合である。
以上の処理によって、背景動画の動画フレームの描画が終わったので、続いて、テクスチャロード系、テクスチャ設定系、描画間演算系、プリミティブ描画系コマンドなどの指示コマンドを適宜な順番で列記して、背景動画に重ねて、各種のテクスチャを描画するべくディスプレイリストDLを構成することになる。先に説明したように、変動演出時では、多数の動画が必要となるので、その場合には、VRAM261のページ領域(b)について、インデックス空間IDXを増加するべく、インデックステーブル制御系の指示コマンド(NEWPIX)を記載することになる。
例えば、二つ目のIPストリーム動画に関し、NEWPIXコマンドによって、ページ領域(b)に、追加のインデックス空間IDX1を確保した後、このインデックス空間IDX1を特定して(SETINDEX)、二つ目の動画の1フレームの展開を指示し(TXLOAD)、展開したテクスチャを描画領域の適所に配置する(SPRITE)。通常、この場合のDestination領域は、描画領域の一部となる。
以下、同様であり、NEWPIXコマンドによって、次々、インデックス空間IDXkを確保した後、適宜なαブレンド処理を実行しつつ、複数のIPストリームを描画領域に描画すれば、描画領域への描画内容は、実描画領域であるフレームバッファFBaに画像データとして順次蓄積されることになる。複数N個のIPストリーム動画が描画されている演出時には、ページ領域(b)において、複数N個のインデックス空間が機能している。
そして、一連の変動演出が終了したような場合には、ページ領域(b)に確保した多数のインデックス空間IDX1~IDXkのうち、不要と思われるインデックス空間IDXを開放するべく、DELPIXコマンドによって不要なインデックス空間IDXを削除すれば良い。
なお、静止画やIストリーム動画を描画する場合には、SETINDEXコマンドによって、これらのテクスチャのデコード先が、AAC領域(a)であると指定した上で、TXLOADコマンドを実行させれば、AAC領域(a)に取得されたテクスチャは、その後、自動的に起動するGDEC273によってACC領域(a)に展開される。そして、展開されたテクスチャは、SPRITEコマンドによって、描画領域の適所に描画すれば良い。なお、キャッシュヒット機能を活用するか否かに応じて、第一AAC領域(a1)か、第二AAC領域(a2)が使用される。
ここまでの説明では、各テクスチャは、直接的に、主LCD36Mの描画領域に描画されるが、必ずしも、このような動作に限定されない。例えば、既に主LCD36M用に確保されている描画領域に重複しない状態で、適宜な描画領域を設け(図143A)、この描画領域をVRAM261の作業領域に対応付ければ、中間的な描画領域を構築して、適宜な演出画像を完成させることができる。ここで、主LCD36M用の描画領域と重複しない状態とするのは、重複領域については、後の対応付け設定が優先され、その領域への描画内容がフレームバッファFBaに反映されないからである。
図143Aに示す通り、本例の作業領域は、任意領域(c)におけるインデックス空間IDX0である。そして、この作業領域を使用する演出タイミングでは、先行して、演出画像用の描画領域(図143A参照)を、作業領域(インデックス空間IDX0の実描画領域)に対応付けるための指示コマンド列(SETDAVR,SETDAVF,SETINDEX)を記載しておく。図143Aに示す通り、演出画像用の描画領域は、主LCD36M用の描画領域に含まれない領域に確保される。
そして、その後は、フレームバッファFBaに関する指示コマンド列L16と同様の指示コマンドを列記して、インデックス空間IDX0に、適宜な演出画像を完成させれば良い。本例の場合、演出画像は、静止画で構成されるので、デコードデータは第一AAC領域(a1)に展開されるよう指示コマンド(SETINDEX)が記載され、次に、インデックス空間IDX0の描画領域の適所をDestinationとするプリミティブ描画系の指示コマンド(SPRITE)が使用されることになる。なお、このような動作は、演出内容に応じて、一回又は複数回繰り返される。
そして、演出画像を完成させたインデックス空間IDX0をテクスチャと位置付けた後(SETINDEX)、SPRITEコマンドによって、主LCD36Mの描画領域の適所に、インデックス空間IDX0の演出画像(テクスチャ)を描画すれば良い。このような場合、インデックス空間IDX0の演出画像を、三角形の描画プリミティブ(primitive)に分解し、適宜な角度に回転させた上で、描画領域に描画することが考えられる。なお、テクスチャの回転角度は、例えば、予告演出の信頼度などに対応付けられる。
以上、主LCD36Mの1フレームを完成させるための指示コマンド列(L11~L16)について説明したが、副LCD36Sの1フレームを完成させるための指示コマンド列(L17~L12)についても、同様である。すなわち、フレームバッファFBbの開始XY座標を定義し(L17:通常はX=0,Y=0)、図143Bに示す仮想描画空間上に、副LCD36Sのための描画領域を定義する(L18)。
ところで、本例では、主LCD36M用の画像データの生成を終えた後、副LCD36S用の生成処理に移行するので、副LCD36S用の描画領域が、主LCD36M用の描画領域と重複しても何の問題もなく、描画領域を自由に設定することができる。そのため、ディスプレイリストDLの生成プログラムの開発時、例えば、SPRITEコマンドで、新規に設定された描画領域に適宜なテクスチャを貼り付けるような場合、SPRITEコマンドの動作パラメータ(Destination領域)の設定その他を、ある程度、定型化することができる。
このような任意の描画領域の定義が終われば(L18)、次に、ダブルバッファ構成の副LCD36SのフレームバッファFBbについて、今回のディスプレイリストDLに基づく描画内容の「書込み領域」となるインデックス空間IDXを特定する(L19)。このインデックス空間IDXのインデックス番号は、フレームバッファFBbに関し、メイン処理のステップST6で指定された表示領域(0)/(1)に対応しない方のインデック番号である。
そして、その後、副LCD36Sについての指示コマンド列L20~L22が、主LCD36Mに関する指示コマンド列L14~L16と同様に列記される。また、インデックス空間IDX0に完成させた演出画像を使用することもできる。
以上、ディスプレイリストDLを構成するL11~L22の指示コマンドは、本例では、全てコマンド長が32ビットの整数倍のものに限定されている。そして、先に説明した通り、本例のディスプレイリストDLのデータボリューム値(データ総量)を、固定長(256バイト)に調整しており、ダミーコマンドたる必要数のNOPコマンド(L23)を付加した上で、EODLコマンド(L24)で終結させている。すなわち、図147の実施例では、前記した標準手法(B)を採っている。
但し、標準手法(B)を採る場合でも、全ての動作周期において、ディスプレイリストDLのデータ総量を256バイトと固定化することは必ずしも必須ではない。すなわち、別の実施例では、NOPコマンドを除くディスプレイリストDLのデータ総量が、256バイトを超える場合(例えば、特別な演出期間)には、ディスプレイリストDLのデータ総量は、NOPコマンドを付加することで、512バイト又はそれ以上のN×256バイトに調整される。なお、標準手法(B)を採る場合、N×256バイトの最後はEODLコマンドで終端されることは先に説明した通りである。
以上、ディスプレイリストDLの構成について詳細に説明したが、CPU241は、完成させた固定バイト長のディスプレイリストDLをVDP回路250bに発行することになる(ST7~ST8)。
図148は、CPU241が、データ転送回路267の転送ポートレジスタTR_PORTを直接Writeアクセスして、描画回路274にディスプレイリストDLを発行するDL発行処理(図147のST8)を説明するフローチャートである。
なお、転送ポートレジスタTR_PORTは、データ転送回路267の動作内容を規定するデータ転送レジスタRGijの一種である。
DL発行処理を実現するには、先ず、データ転送回路267の動作内容を規定する複数のデータ転送レジスタRGijに、必要な設定値を設定する必要がある。具体的には、データ転送回路267の転送動作態様と、データ転送回路267内部の伝送経由と、を所定のデータ転送レジスタRGijに特定する。設定内容は、特に限定されないが、ここでは、CPUインターフェース部264からChB制御回路267b(図140)を経由すること、及び、CPUバス制御部267dに関し、そのFIFOバッファの残量をチェックしながらデータ転送動作を実行すると設定する(ST20)。なお、以下の説明では、ChB制御回路267bを、便宜上、「転送回路ChB」と略すことがある。
次に、転送総サイズを、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する。先に説明した通り、本例では、ディスプレイリストDLのデータ総量を256バイトの整数倍に調整しているので、その値を設定する。なお、データ総量=256×Nは、データ転送回路267の最低データ量Dminの整数N倍にもなっている。通常、倍数Nは、1又は2であるが、以下の説明では、N=1として説明することにする。
ここで、転送ポートレジスタTR_PORT(以下、転送ポートと略すことがある)は、32bit長のレジスタであるので、CPU241は、32bit毎に、転送ポートTR_PORTに対して、レジスタWrite動作を実行することになる。そこで、レジスタWrite 回数を管理する管理カウンタCNの値を64の初期設定する(ST21)。なお、無調整手法(C)を採る場合は、このタイミングで、最低データ量Dminの整数倍のデータ転送量を決定して、管理カウンタCNを設定することになる。
以上の処理で初期設定が完了するので、次に、転送回路ChBを経由するデータ転送動作を開始状態に設定すると共に(ST22)、描画回路274の動作を規定する所定の描画レジスタRGijへの設定値に基づいて、描画動作を開始させる(ST23)。この結果、その後、CPU241が転送ポートTR_PORTにレジスタWrite動作する指示コマンド列について、描画回路274(ディスプレイリストアナライザ)による迅速かつ円滑なAnalyze処理が担保される。
なお、迅速かつ円滑なAnalyze処理には、ディスプレイリストDLに列記する指示コマンドが、コマンド長32bit整数倍の指示コマンドに限定されている点も有効に寄与する。図138におけるタイミングt1,t2,t3,t4は、ステップST23の動作タイミングを示している。なお、ディスプレイリストDLの発行処理(ST8)は、素早く終わるので、図138~図139では発行処理の要する時間幅を記載していない。
続いて、ステップST22の設定が機能したか否かを確認する(ST24)。これは、データ転送回路267の各部の初期設定は、CPU241によるレジスタWrite動作(設定動作)より処理時間がかかるので、不完全な状態のデータ転送回路267に対して、その後の指示を与えないためである。そして、万一、所定時間、待機しても動作開始状態にならない場合には、重大異常フラグABNをセットしてDL発行処理を終える(ST25)。その結果、その後、WDT回路251が機能して、複合チップ250は異常リセットされる(図146のST10参照)。
但し、通常は、ステップST22の設定は、迅速に完了するので、続いて、CPUバス制御部267dのFIFOバッファ(32bit×130段)について、FIFOバッファが満杯でないことを確認した上で(ST26)、ディスプレイリストDLを構成する先頭行から順番に、一行ごとに転送ポートTR_PORTに指示コマンドを書込む(ST28)。
そして、管理カウンタCNをデクリメントしつつ(ST29)、管理カウンタCNがゼロになるまで、ステップST26~ST29の処理を繰り返す(ST30)。本例の場合、データ転送回路267には、最低データ量Dminが規定されているので、FIFOバッファに最低データ量Dminが蓄積されたタイミングで、データ転送動作が実行されることになり、間欠的な転送動作となる。
何れにしても、本例では、迅速にDL発行処理(ST28)が完了するが、万一、ノイズなどの影響でVDPレジスタRGijへの設定内容が矛盾したような場合には、ステップST26の判定において、所定時間待機してもFIFOバッファFullの状態が解消されない場合もあり得る。そして、そのような場合には、所定のVDPレジスタRGijに初期化データをセットして、描画回路274とデータ転送回路267を初期化した上で、重大異常フラグABNをセットしてDL発行処理を終える(ST27)。
ところで、このタイミングでは、データ転送回路267や、描画回路274は、既に動作を開始しており、ある程度の処理を終えているので、描画回路274の初期化処理には、描画レジスタRGijの内容を維持した状態で、(1)ディスプレイリストDLによって設定される可能性のある全ての内部パラメータを初期値に設定すること、(2)全ての内部制御回路を初期状態に設定すること、(3)GDEC273を初期化すること、(4)AAC領域のキャッシュ状態を初期化すること、が含まれている。同様に、データ転送回路267の初期化処理には、FIFOバッファのクリアなど、それまでのデータ転送全体の初期化処理が含まれている。この結果、データ転送回路267の動作状態を示すステイタス情報が所定値(データ転送全体初期化中を示す値)に変化する。
なお、上記したステップST27の初期化処理では、描画レジスタRGijの内容を維持したが、所定の描画レジスタについては、その内容を初期化しても良い。初期値にクリアされる所定の描画レジスタには、(a)描画実行開始を設定する実行制御レジスタ(ST23参照)、(b)描画回路274の実行状況を示すステイタスレジスタ、及び、(c)現在処理しているディスプレイリストの位置を特定するステイタスレジスタが含まれる。
何れにしても、重大異常フラグABNをセットした結果、その後、WDT回路251が機能して、複合チップ250は異常リセットされるので(ST10)、描画回路274やデータ転送回路267を初期化する処理は必ずしも必須ではない。一方、描画回路274やデータ転送回路267を初期化する場合には、その結果、異常回復が期待できるので、重大異常フラグABNをセットすることなく、ステップST20の処理に戻ってDL発行処理を再実行するのも好適である。
この点は、ステップST25の処理においても同様であり、データ転送回路276や描画回路274を初期化した上で、重大異常フラグABNをセットすることなく、ステップST20の処理に戻るもの好適である。但し、このような場合には、DL発行処理の再実行回数をカウントし、再実行回数が限界値を越えれば、重大異常フラグABNをセットしてDL発行処理を終えることになる。
図149は、正常な動作状態について、確認的に図示したものである。図示の通り、発行されたディスプレイリストDLは、列記された指示コマンドの順番に、描画回路274(ディスプレイリストアナライザ)によって解析され、各指示コマンドに基づく動作が実行される。この動作は、ディスプレイリストDLの発行処理や、データ転送回路267のデータ転送動作(ST26~ST30)に並行して実行される。
例えば、指示コマンド(TXLOAD)が実行されることで、CGROM260から必要なテクスチャが読み出されてAAC領域(a)に取得され、その後、GDEC273が自動的に起動してデコード動作が実行され、デコード後のデータが所定のインデックス空間に展開される。また、指示コマンドによっては、ジオメトリエンジン275その他が機能するが、何れにしても、描画回路274の各部が協働することで、ディスプレイリストDLに対応する画像データがフレームバッファFBa,FBbに完成されることになる。
続いて、DMAC回路252を介在させてディスプレイリストDLを発行する場合について説明する。
図150のフローチャートは、DMAC回路252を介在させてディスプレイリストDLを発行する場合に演出制御部24AのCPU241が実行すべき処理を示している。具体的には、ステップST8として実行すべき処理である。
何ら限定されないが、DMAC回路60に内蔵された第1~第4のDMAチャンネルのうち、第3のDMAチャンネルを使用することにする。
図150において、CPU241は先ず、所定のデータ転送レジスタRGijと、所定の描画レジスタRGijに各々クリア値を設定して、データ転送回路267と、描画回路274を初期化する(ST20)。この処理は、図148のステップST27のエラー処理と同じであり、FIFOバッファを含んだデータ転送回路267の内部回路が初期化され、データ転送の進行状態を示すデータ転送レジスタのステイタスビットが初期値となり、データ転送全体を初期化中であることを示すビットが所定値となる。
描画回路274についても同様であり、上記した(1)内部パラメータを初期値に設定すること、(2)内部制御回路を初期状態に設定すること、(3)GDEC273を初期化すること、(4)AAC領域のキャッシュ状態を初期化する処理が含まれている。また、描画回路274の初期化処理(図150のST20)においても、前記した所定の描画レジスタRGijを初期化しても良い。なお、図148の処理において、このような初期化処理を最初に実行しても良い。
図150の処理では、次に、初期化処理が正常に完了したことを、データ転送回路267と描画回路274の動作状態を特定する所定のステイタスレジスタRGijをReadして確認する(ST21)。そして、万一、初期化できない場合には、重大異常フラグABNをセットして処理を終える(ST22)。但し、このような事態は、実際にはほぼ発生しない。
次に、データ転送回路267の転送動作態様と、データ転送回路267内部の伝送経由とを、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する(ST23)。設定内容は、特に限定されないが、ここでは、CPUインターフェース部264からChB制御回路267bを経由すること、及び、CPUバス制御部267dへの転送プロトコルに関し、DMAC回路252への設定に従うと設定する(ST23)。
次に、転送総サイズを、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する(ST24)。図148の場合と同様、データ総量=256となる。なお、無調整手法(C)を採る場合は、このタイミングで、最低データ量Dminの整数倍の転送総サイズを決定して設定することになる。
次に、所定の描画レジスタRGijへの設定値に基づいて、描画回路274の描画動作を開始させる(ST25)。図138におけるタイミングt1,t2,t3,t4は、ステップST25の動作タイミングでもある。そして次に、DMAC回路252の動作を開始させた上で(ST26)、データ転送回路267のデータ転送動作を開始させる(ST27)。
DMAC回路252の動作の開始処理は、図151に示す通りであり、先ず、DMAC転送を禁止した状態で、1サイクルのデータ転送単位(1オペランド)の転送が完了するのを待つ(ST40)。詳細な動作内容は、図152に示す処理と同じであり、DMAC転送を禁止設定する処理(ST53)と、その後の待機処理(ST54)に区分される。
このような処理を設けるのは、(1)他の実施例では、メイン処理やタイマ割込み処理で、DMAC回路252(第3のDMAチャンネル)を使用する可能性があること、及び、(2)図146のステップST5の処理を設けない他の実施例において、ディスプレイリストDLの発行を開始したDMAC回路252が、その動作周期(δ)内ではDL発行動作を終了できない場合もあり得ることなどを考慮したものである。
上記のような例外事態において、動作中のDMAC回路252に対して、新規の設定値(矛盾する設定値など)を追加的に設定すると、正常なDMA動作が全く担保されず、深刻なトラブルが懸念されるが、ステップST40の処理を設けることで、その後の設定値に基づく正常動作が担保される。すなわち、本実施例を一部変更した変更実施例でも、先行するトラブルに拘らず、その後の正常なDMA動作を実現することができる。
以上のような意義を有するステップST40の処理を実行すれば、次に、DMAC回路252の動作条件を設定する(ST41)。具体的には、サイクルスチール転送モードを選択し、1オペランド転送を32bit転送×2回とする。また、Sourceアドレスは、RAM243のリストバッファ領域(DLバッファBUF)のアドレスであるので順次増加と認識すべきこと、一方、Destinationアドレスは、転送ポートTR_PORTであるため固定値とすべきことを規定する。
次に、RAM243のDLバッファBUFの先頭アドレスを、DMAC回路252の動作を規定する所定の動作制御レジスタに設定すると共に(ST42)、転送先アドレスである転送ポートTR_PORTのアドレスを設定する(ST43)。また、転送総サイズ、つまり、ディスプレイリストDLのデータ総量を256バイトに設定した上で(ST44)、DMAC回路252のDMA動作を開始させる(ST45)。
ところで、ここまでの説明は、指示コマンドの実質ビット長が、全て32bitの整数倍であることを前提にした。しかし、ディスプレイリストDLや指示コマンドの構成は必ずしも限定されないので、以下、このような場合について説明する。
例えば、前記した無調整手法(C)を採る場合も含め、ディスプレイリストDLのデータ総量Xが32bitの整数倍ではない任意値Xである場合には、ステップST44の処理では、この任意値Xを、適切な転送量MODに調整した上で、転送総サイズの設定処理を実行する。ここで、適切な転送量MODは、1オペランド転送についての設定内容と、データ転送回路267の最低データ量Dmin(バイト)とに基づいて規定される。
具体的には、1オペランド転送設定がNバイト×M回であれば、転送量MODは、N×M(バイト)の整数倍であって、且つ、Dmin(バイト)の整数倍の値に調整される。例えば、N×M=8×4、Dmin=256であれば、任意値X(=300)バイトは、転送量MOD(=512)バイトに調整される。
以上、一般論も含め説明したが、DMAC回路252のDMA動作は、サイクルスチール転送動作が開始され、CPU241の動作を特に阻害することなく、ディスプレイリストDLが、実施例の場合には32ビット毎に、転送ポートTR_PORTに転送される。そして、転送されたデータは、転送回路ChBを経由して、描画回路274に転送される。
このような動作を実現するため、本例では、ステップST45の処理に続いて、データ転送回路267の転送動作を開始させて処理を終える(ST27)。その後、データ転送回路267は、DMAC回路252から最低データ量Dminを一単位として、ディスプレイリストDLの指示コマンド列を受け、これを描画回路274に転送する。そして、描画回路274は、ディスプレイリストDLの指示コマンドに基づいて描画動作を実行する。したがって、ステップST27の処理の後、CPU241は、図146のステップST9を経て、図133のステップS2004以降の処理を開始することができ、VDP回路250bによる描画動作(DMAC回路252によるDL発行処理)と並行して、音やランプ、モータの演出を制御することができる。
図153は、この動作内容を図示したものである。DMA転送に先行して、描画回路274の動作を開始しており(ST25)、描画回路274のディスプレイリストアナライザは、迅速かつ円滑にAnalyze処理を実行し、その他、GDEC273やジオメトリエンジン275などの動作に基づき、フレームバッファFBa,FBbには、LCD36M、36Sについて、各1フレーム分の画像データが生成される。
ところで、DL発行処理をステップST27の処理で終える図150の手法は、必ずしも、限定されない。例えば、後述する図162のように、音、ランプ、及びモータの演出制御を、CPU241とは別に設けた他のCPUが制御する場合には、ステップST27の処理の後、DMAC回路252やデータ転送回路267の正常動作を確認するのが好ましい。
図152は、図150のステップST27に続く動作であり、正常動作の確認処理を説明するフローチャートである。
先ず、所定のステイタスレジスタを参照して、DMAC回路252の転送動作が正常に終了していることを確認する(ST50)。また、データ転送回路267が転送動作を終了していることを確認する(ST51)。通常、このような経路で、図150のDL発行処理が完了する。
一方、所定時間待機しても.DMAC回路252の動作が完了していない場合、或いは、データ転送回路267が転送動作を完了していない場合には、描画回路274とデータ転送回路267について、所定のVDPレジスタRGijにクリア値を設定して、DL発行処理を初期化する(ST52)。これは、ディスプレイリストDLの発行処理が正常に終了していないことに基づく動作であり、具体的には、図148のステップST27のエラー処理や、図150のステップST20の初期処理と同じ内容である。
すなわち、この場合も、描画回路274は、既に動作を開始しており、ある程度の処理を終えているので、描画回路274の初期化処理には、(1)ディスプレイリストDLによって設定される可能性のある全ての内部パラメータを初期値に設定すること、(2)全ての内部制御回路を初期状態に設定すること、(3)GDEC273を初期化すること、(4)AAC領域のキャッシュ状態を初期化することが含まれる。
次に、新規のDMA転送動作を禁止した上で(ST53)、実行中の1オペランドの転送動作が終わるのを待つ(ST54)。先に説明した通り、本例では、32bit転送×2回を1オペランドとしており、動作中のDMAC回路252をいきなり初期化することを避けるためである。
そして、この準備作業が終われば、DMAC回路252の動作を規定する所定の動作制御レジスタにクリア値を設定して、DMAC回路252を初期化する(ST52)。そして、重大異常フラグABNをセットしてDL発行処理を終える。なお、この場合、ステップST52やST55の処理によって、異常回復が期待できるので、重大異常フラグABNをセットすることなく、図150のステップST20に戻って、DL発行処理を再実行するのも好適である。但し、DL発行処理(ST23~ST27)の再実行回数をカウントし、再実行回数が限界値を越えれば、重大異常フラグABNをセットしてDL発行処理を終える必要がある。
(プリローダを機能させる例)
続いて、プリローダ269を機能させる場合の処理について、図154~図159を参照して説明する。
図154は、プリローダ269を機能させる場合にCPU241が実行すべき描画更新処理(S2061)を示したフローチャートである。
図154の処理は、図146の処理に類似しているが、先ず、開始条件判定(ST5’)の内容が相違する。すなわち、プリローダ269を使用する実施例では、各動作周期の開始時に、描画回路274とプリローダ269のステイタス情報をReadアクセスして、ディスプレイリストDL1に基づく描画動作が終わっていること、及び、ディスプレイリストDL2に基づくプリロード動作が終わっていること確認する(ST5’)。
図139のタイムチャートに示した通り、プリローダ269は、例えば、タイミングT1に発行されたディスプレイリストDL1に基づき、そのフレーム期間中(T1~T1+δ)に、先読み動作(プリロード動作)を終えている筈である。また、描画回路274は、例えば、タイミングT1+δより開始されるフレーム期間において指示された動作開始指令に基づき、そのフレーム期間中(T1+δ~T1+2δ)に、ディスプレイリストDL1に基づく描画動作を終えている筈である。
そこで、ステップST5’では、描画回路274とプリローダ269に関するVDPレジスタRGijのステイタス情報をReadアクセスして、上記の正常動作を確認する。図139には、1,2,3,5番目の各フレーム期間の判定では正常動作が確認されるが、4フレーム目(タイミングT1+3δより開始されるフレーム期間)の判定では、プリロード動作が終了していない状態が示されている。
そして、このような異常時には、異常フラグERをインクリメントした上で(ER=ER+1)、ステップST9の処理に移行させている。そのため、図146の場合と同様に、フレーム落ちが生じる。すなわち、表示領域の切換え処理(ST6)がスキップされるので、同じ画面が再表示される。図138や図139に示すフレーム期間(T1+3δ~T1+4δ)は、その動作状態を示している。
また、ステップST5’の判定において、開始条件を満たさない場合には、描画回路274に対して、書換えリストDL’に基づく描画動作の開始指示(PT10)が実行されないので、描画回路274は非動作状態であり、また、新規のディスプレイリストが生成されることもない。なお、図139において、タイミングt0,t2,t4は、描画動作の開始指示(PT10)の動作タイミング、より正確には、後述する図155のステップST26のタイミングを示している。
以上、ステップST5’の判定が不適合の場合を説明したが、通常の場合は、フレームバッファFBa,FBbの表示領域をトグル的に切換えた後(ST6)、描画回路274に対して、書換えリストDL’に基づく描画動作を開始させる(PT10)。具体的な内容は、図155に示す通りであり、描画回路274は、CPU241の制御に基づき、データ転送回路267(転送回路ChB)を経由して、DRAM278のDLバッファBUF’から書換えリストDL’を取得して描画動作を実行することになる。
この動作を実現する図155のフローチャートを説明することに先行して、プリローダ269の動作を確認すると、プリローダ269は、1フレーム前に取得したディスプレイリストDLに基づき、CGROM260の先読み動作(プリロード)を完了しており、先読みされたデータは、DRAM278に確保されたプリロード領域に既に格納済みである。また、ディスプレイリストDLに記載されているテクスチャロード系のコマンド(TXLOAD)については、そのSourceアドレスがプリロード領域のアドレスに書換えられ、書換えリストDL’として、DRAM278のDLバッファBUF’(図140参照)に格納されている。
なお、この書換え処理において、ディスプレイリストDLのデータ総量に変化はなく、書換えリストDL’のデータ総量は、ディスプレイリストDLと同じである。また、ディスプレイリストDLは、標準手法(B)で作成されており、書換えリストDL’の最後は、ディスプレイリストDLの場合と同様にEODLコマンドである。
以上を踏まえて、図155について説明すると、CPU241は、先ず、所定のデータ転送レジスタRGijと、所定の描画レジスタRGijに各々クリア値を設定して、データ転送回路267と、描画回路274を初期化する(ST20)。この処理は、図150のST20の処理と同一内容である。次に、この初期化処理が正常に終了したことを確認し(ST21)、万一、所定時間経過しても初期化が完了しない場合には、重大異常フラグABNをセットして処理を終える(ST22)。
通常は、データ転送回路267と描画回路274の初期化は正常に終了するので、続いて、データ転送回路267内部の伝送経由を、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する(ST23)。具体的には、DRAM278から、ChB制御回路267bを経由して描画回路274にデータを転送すると設定する(ST23)。次に、書換えリストDL’が格納されているDRAM278のDLバッファBUF’について、その先頭アドレスを、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する(ST24)。
また、この書換えリストDL’について、転送総サイズを、所定のデータ転送レジスタRGijに設定する(ST25)。先に説明した通り、書換えリストDL’のデータ総量は、ディスプレイリストDLのデータ総量と同じであり、具体的には、例えば、256バイトである。
次に、所定の描画レジスタRGijへの設定値に基づいて、描画回路274の描画動作を開始させる(ST26)。図138におけるタイミングt1,t2,t3,t4は、ステップST26の動作タイミングでもある。そして、次に、所定のデータ転送レジスタRGijへの設定値に基づいて、データ転送回路267の動作を開始させて処理を終える(ST27)。その後、CPU241は、データ転送回路267や描画回路274の動作に特に関与せず、次回の動作周期で実効化されるディスプレイリストの生成処理(ST7)に移行する。
一方、ステップST26のタイミングで動作を開始する描画回路274は、書換えリストDL’に基づいた描画動作を実行して、フレームバッファFBa,FBbに、書換えリストDL’に基づいた画像データを生成する。なお、この動作において、描画回路274は、CGROM260をReadアクセスすることなく、もっぱら、プリロード領域をReadアクセスするので、一連の描画動作を迅速に完了することができる。
以上、ステップPT10の処理内容を説明したので、図154に戻って説明を続けると、ステップPT11の処理の後、プリローダ269を機能させる実施例では、次サイクルで実効化されるディスプレイリストDLを、標準手法(B)に基づいて作成する(ST7)。例えば、図19に示すタイミングT1から開始されるフレーム期間では、次のフレーム期間(T1+δ~T1+2δ)において描画回路274に参照されるディスプレイリストDLを作成する。
次に、CPU241は、作成後のディスプレイリストDLを、描画回路274ではなく、プリローダ269に発行する(PT11)。具体的な動作内容は、図157~図159に示す通りである。先に、プリローダ269を機能させない実施例(図146)に関して、CPU241がディスプレイリストDLを直接的に描画回路274に発行する場合(図149)と、DMAC回路252を経由して発行する場合(図153)を示したが、図158、図159には、発行先がプリローダ269である点を除いて、これらとほぼ同じ動作が示されている。
図157は、図158の動作を説明するフローチャートであり、図148のフローチャートとほぼ同じである。但し、CPUインターフェース部264からChC制御回路267cを経由すること、及び、CPUバス制御部267dに関し、そのFIFOバッファの残量をチェックしながらデータ転送動作を実行すると設定する(ST20)こと、は異なる。なお、以下の説明では、ChC制御回路267cを、便宜上、「転送回路ChC」と略すことがある。
次に、転送総サイズ(標準手法(B)で調整された例えば256バイト)を、所定のデータ転送レジスタRGij設定し、管理カウンタCNを64に初期設定する(ST21)。さらに、転送回路ChCを経由するデータ転送動作を開始状態に設定すると共に(ST22)、プリローダ269の動作を規定するプリロードレジスタRGijへの設定値に基づいて、プリロード動作を開始させる(ST23)。
この結果、その後プリローダ269は、CPU241が転送ポートTR_PORTに書込む指示コマンド毎に、必要な解析(Analyze)処理を実行し、CGROM260をReadアクセスすべき指示コマンド(TXLOAD)を検出すると、そのテクスチャをプリロードして、DRAM278のプリロード領域に保存する。また、テクスチャのSourceアドレスを変更した書換えリストDL’をDRAM278のDLバッファ領域BUF’に保存する。
なお、図139におけるタイミングt1,t3,t5は、事実上、図157のステップST23の動作タイミングを示している。但し、この実施例においても、ディスプレイリストDLの発行処理の途中で、何らかの異常が発生すれば、ステップST25やステップST27の処理を実行する。具体的には、データ転送回路267や、プリローダ269の動作を初期化して、可能な範囲でディスプレイリストDLの発行処理(ST20~ST30)を再実行する。プリローダ269の初期化処理には、未完成状態の書き換えリストDL’の消去や、新規にプリロードデータを記憶したプリロード領域のクリア処理が含まれる。
[17-5.画像演出制御に係る変形例及びその他変形例]
以上、プリローダ269を機能させない場合と、機能させる場合について詳細に説明したが、具体的な動作内容は、特に限定されない。
図160は、CPU241が生成したディスプレイリストDLを、生成したその動作周期(フレーム期間)ではなく、一動作周期遅れて描画回路274に発行する実施例を示している。このような実施例の場合には、描画回路274は、1フレーム期間のほぼ全時間を使用できるので、フレーム落ちの可能性が低減される。
また、図161は、CPU241が生成したディスプレイリストDLを、生成したその動作周期ではなく、一動作周期遅れてプリローダ269に発行する実施例を示している。この場合、プリローダ7269は、1フレーム期間のほぼ全時間を使用してプリドード動作を実行することができるので、この場合も、フレーム落ちの可能性が低減される。
なお、ここまでの説明では、複合チップ250を使用することにしているが、必ずしも、CPU241とVDP回路250bを、一素子に集積化する必要はない。
さらにまた、上記の実施例では、演出制御全体を、単一のCPU(CPU241)で制御しているが、上流側のCPUと、下流側の演出制御CPUが互いに協働して、演出制御動作を実行しても良い。
図162は、このような実施例に対応した演出制御部24A’の概略内部構成を示すブロック図である。図示の通り、この実施例では、上流側のCPU241’(演出制御部24A’におけるチップ250c内のCPU)が、音演出と、ランプ演出と、モータ演出を制御している。一方、下流側のCPU300(演出制御部24A’が備え、VDP回路250が実装された画像制御部250dとしてのチップ内のCPU)は、CPU241’の制御に基づいて、画像演出だけを制御している。
このような構成を採る場合には、CPU300は、図133で説明した音やランプについての演出制御のための処理(特にS2032~S2042等)を実行する必要がなく、十分に時間をかけて複雑なディスプレイリストDLを生成することができ、より複雑で高度な3D(Dimension)などの画像演出を実現することができる。このような場合には、ディスプレイリストDLが大型化するが、その場合には、ディスプレイリストDLのデータ総量は、ダミーコマンドを付加することで、512バイト又はそれ以上のN×256バイトに調整される。
また、下流側のCPU300の動作は、画像演出制御に特化されるので、ディスプレイリストDLの発行後、描画動作が完了するのを確認することもできる。図148の下方は、この場合の動作制御例を示しており、限界時間を超えても描画動作が完了しない場合には、重大異常フラグABNをセットして処理を終える(ST32)。なお、下流側のCPU300の処理は、画像演出制御だけであるので、簡易的には、描画動作の完了を無限ループ状に待機するのでも良い。
このような構成を採る場合、図146の開始条件判定(ST5)を所定時間繰り返すことができる。このように構成しても、描画動作完了の遅れが、それほど長くなければ、表示領域(0)と表示領域(1)の切り換えが遅れるだけの問題しか生じない。すなわち、図163に示すタイミングT1+3δから開始されるフレーム期間のように、表示動作が二回繰り返される中で、前半だけ、フレーム落ち状態となり、後半は、正常なフレームが表示される。
この点は、プリローダを使用する場合も同様であり、図154の開始条件判定(ST5’)を所定時間繰り返すことができる。そして、多少の遅れであれば、図164に示すタイミングT1+3δから開始されるフレーム期間のように、前半だけ、フレーム落ち状態となり、後半は、正常なフレームが表示される。但し、描画動作の完了が大幅に遅れると、図138におけるフレーム期間(T1+3δ~T1+4δ)と同様に、完全なフレーム落ちが生じることになり、万一、このような事態が継続すると、WDT回路251が起動することになる。そこで、その後は、演出制御動作の全部又は一部(画像演出のみ)を異常リセットすればよい。この点は、プリローダを使用しない場合も同様である。
また、CPU300の制御動作が画像演出制御に特化される場合、DMA転送を採用する実施例では、図165に示す通り、描画回路274の描画動作の完了と、データ転送回路267の動作完了と、DMAC回路252の動作完了が判定される(ST50’~ST52’)。そして、何れかの動作が正常に終了しない場合には、データ転送回路267と、描画回路274の動作を初期化し、ステップST53~ST55の処理と同様の処理(ST55’~ST57’)が実行される。なお、この場合も、所定回数だけ、DL発行処理を再実行するのが好適である。
ところで、上記では、主LCD36M及び副LCD36SのフレームバッファFBa,FBbとして、各LCD36の水平ピクセル数に完全一致する水平サイズのインデックス空間を構築する実施例について説明した。
図166は、この関係を確認的に図示したものであり、仮想描画空間上の描画領域(W×H)と、インデックス空間上の有効データ領域(実描画領域W×H)とが、何れも、表示装置の水平/垂直ピクセル数に一致する場合を示している。
このような対応関係において、ディスプレイリストDLによる仮想描画空間への描画動作は、必ずしも、描画領域(W×H)に限定されないので、例えば、図166上部の右下がり斜線で示すように、描画領域(W×H)を超える描画画像(W’×H’)について、その描画位置を時間的に移動させることで、図167下部の左下がり斜線で示す実描画領域W×Hへの描画内容を、縦/横/斜めに適宜に移動させることが可能となる。
また、このような演出を実行するため、例えば、図167に示すように、LCD36の水平ピクセル数より大きい水平サイズWのインデックス空間を設けても良い。この場合には、ディスプレイリストDLの指示コマンドL12(SETDAVF)で定義される仮想描画空間上の描画領域W×Hは、LCD36の水平/垂直ピクセル数に対応する実描画領域w×hより大きく設定される。なお、図167の下部には、実描画領域w×hが、左下がり斜線で示されている。
そして、実描画領域w×hの縦横寸法は、図145のステップSS30の処理で、LCD36の表示ライン数と水平画素数として特定され、また、実描画領域w×hの左上端点は、図145のステップSS31の処理で、垂直/水平表示開始位置として、所定の表示レジスタに設定される。
一方、インデックス空間における基点アドレス(X,Y)は、ディスプレイリストDLの指示コマンドL11によって、所定の描画レジスタに設定される。先に説明した通り、具体的には、環境設定系の指示コマンドL11(SETDAVR)によって、インデックス空間IDX上の左上基点アドレスが、例えば(0,0)と規定される。そして、実描画領域w×hの左上端点を適宜に移動させれば、図167下部の左下がり斜線で示す実描画領域W×Hの描画内容は、縦/横/斜めに適宜に移動することになる。
前述のように、ステップSS30~SS32に係るVDPレジスタRGijについては、初期設定時に、書込み禁止設定がされているが(第2の禁止設定SS34)、上記の演出を実行するタイミングでは、所定のVDPレジスタRGijに解除値を書込むことで、この禁止設定が解除される。
以上、各種の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、何ら本発明を限定しない。なお、便宜上、弾球遊技機について説明しているが、本発明は、回胴遊技機など他の遊技機に対しても好適に適用可能である。
上述した各種の例は、組合せが不可能でない限り適宜組み合わせた構成とすることができる。
また、上記では、画像表示手段としてLCD(液晶表示装置)を用いる例を挙げたが、例えば有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の他の画像表示手段を用いることもできる。
ここで、CPU241は、図133に示した通り、ステップS2050の履歴表示処理を行っている。
前述のように、このステップS2050の履歴表示処理においてCPU241は、設定操作履歴表示用の液晶制御コマンドを生成する(図54、図55及びその説明を参照)。1CPU構成の場合、この液晶制御コマンドは、ステップS2027(図133)のコマンド解析処理で解析され、CPU241はこの解析結果に応じて、ステップS2061でディスプレイリストDLの作成や、作成したディスプレイリストDLのVDP回路250bへの発行を行う。
VDP回路250bは、発行されたディスプレイリストDLに基づき、必要な描画処理を行って、表示回路270が主LCD36MにディスプレイリストDLで指示された画像の表示を行う。
このような処理の流れにより、主LDC36Mの表示画面に設定操作履歴の情報が表示される。