以下、本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、各図面については、同一又は同等の要素には同一の符号が付されているため、重複する説明は繰り返さない。
(第一実施形態)
図1~図4を用いて、本実施形態の電位測定装置101を説明する。
図1は、電位測定装置101の一例を示す模式的平面図である。電位測定装置101は、絶縁基板102と、導電性配線103と、複数の電極構造体104と、絶縁層201(図2参照)とを備える。絶縁基板102は、例えば、ガラス板により形成される。絶縁基板102の両面のうち、生体試料401(図4参照)が配置される側を向く面を、主表面という。
以下の説明では、説明の便宜上、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向を、「高さ」とも称する。絶縁基板102の主表面が向く方向(図2の上方向)を、電位測定装置101の上方向とする。絶縁基板102の裏面が向く方向(図2の下方向)を、電位測定装置101の下方向とする。本実施形態の電位測定装置101では、上方向に向かうほど高さが大きい。
導電性配線103は、絶縁基板102の主表面上に配置され、複数の電極構造体104のそれぞれに電気的に接続する。導電性配線103は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウム)、又はAl(アルミニウム)系の合金により形成される。複数の電極構造体104の各々は、絶縁基板102の主表面上に露出して配置され、電極(図2参照)を含んで構成される。
図2は、図1のII矢視部分断面図である。図2に示すように、絶縁層201は、導電性配線103を覆うように絶縁基板102の主表面上に形成され、電極202を露出させる開口204を有する。絶縁層201は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等により形成される。本実施形態では、複数の開口204が平面視(図1参照)でドットマトリクス状に並ぶように、絶縁層201に形成されている。
複数の電極構造体104は、夫々、複数の開口204に一つずつ配置される。各電極構造体104は、電極202と、導電体203とを備える。電極202と導電体203とは、絶縁基板102の厚さ方向に沿って積層されている。詳細には、電極202は、開口204内において絶縁基板102の主表面上に形成される。電極202の少なくとも一部は、開口204から上方向に露出する。電極202は、導電性配線103に電気的に接続される。電極202は、例えば、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、またはその合金により形成される。
導電体203は、電極202の露出部分の上に設けられ、絶縁基板102の厚さ方向において絶縁層201よりも外側(即ち、上方向)に突出する。換言すると、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として絶縁層201よりも高い位置まで突出する。
絶縁層201は、導電性配線103を覆う配線被覆部201Aと、各電極202の周縁を覆う電極被覆部201Bと、絶縁基板102と直接接触する基準部201Cとを含む。配線被覆部201A及び電極被覆部201Bは、基準部201Cよりも上方向に盛り上がっている。従って、配線被覆部201A及び電極被覆部201Bの各表面の高さは、基準部201Cの表面の高さよりも大きい。基準部201Cのうちで各電極構造体104の周囲にある部分を、電極周囲部201Dという。電極周囲部201Dは、平面視で、各電極構造体104の全体を含み、且つ各電極構造体104よりも外側に延びる。
絶縁層201の表面のうちで電極周囲部201Dの表面を、基準面210という。導電体203のうちで絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、導電体203の上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる平面状の天面205である。例えば、基準面210から天面205までの上下方向(厚さ方向)の距離L1は、5μm以上である。距離L1は、5μm以上且つ100μm以下であってもよい。
導電体203の表面は導電材料により形成される。導電体203の表面は、化学反応せず、生体に対して毒性がない材料からなることが好ましい。例えば、導電体203は、Au(金)またはPt(白金)の少なくともいずれか一方からなる。これにより、導電体203に酸化膜が形成されることを防止できる。また、金は白金よりも硬度が低いため、導電体203を金により形成することで、天面205を白金よりも容易に加工することができる。
さらに、平面視において天面205の面積は、電極202の面積よりも大きい。換言すると、導電体203の高さ方向の投影面積は、電極202の高さ方向の投影面積よりも大きい。図2に例示する導電体203は、天面205から絶縁基板102の主表面に向かって先細るテーパ形状を有する。これにより、電極202の全体が天面205の下方に配置されるため、電極202の全体は平面視で天面205によって覆われる。
図3Aは、本実施形態の電極構造体104の製造方法の一例を示すフローチャートである。図3Bは、図3Aに例示する電極構造体104の製造方法の一部を例示する模式図である。なお、以下の製造方法の前工程において、複数の電極202及び導電性配線103が絶縁基板102上にパターニングされる。さらに、複数の電極202及び導電性配線103を覆うように、絶縁層201が絶縁基板102上に積層される。絶縁基板102上に積層される絶縁層201が、複数の電極202を露出するようエッチングされることで、絶縁層201に複数の開口204が形成される。これらの前工程は、公知の手法により実行されればよい。前工程で得られた電位測定装置101を用いて、以下の製造方法が実行される。
まず、ステップS301において、メッキ技術で電極上に柱状のメッキを形成する。
ステップS302において、くさび形状の金型311が、各導電材料310の突出端312に対して、絶縁基板102の主表面に向かう方向に押し当てられる(図3BのS3031)。各導電材料310の突出端312がくさび形状の金型311によって、絶縁基板102の厚さ方向と交差する複数の方向に押し広げられる(図3BのS3032)。ステップS303において、平面状の金型313が、各導電材料310の突出端312に対して、絶縁基板102の主表面に向かう方向に押し当てられる。各導電材料310の突出端312が平面状の金型313によって、絶縁基板102の主表面と略平行に押し広げられることで、天面205が形成される(図3BのS3041)。これにより、導電体203が形成される。このとき、平面視において導電体203の面積が電極202の面積以上になるように、導電材料310の突出端312が広げられる。
以上の製造工程により、上記実施形態に示す電位測定装置101が得られる。次に、電位測定装置101の利用形態の一例について説明する。図4は、図2に示す導電体203を有する電位測定装置101の利用形態の一例を示す図である。
電位測定装置101が生体試料401の電位変化を測定する場合、絶縁基板102の主表面側(即ち上側)にある絶縁層201及び導電体203の各表面を、緩衝液402に浸す。生体試料401は、生体細胞、生体組織の少なくともいずれかを含み、固体状又はジェル状である。緩衝液402は、生体内において生体試料401の周辺に存在する液体であり、導電性の液体である。緩衝液402は、細胞外液であってもよい。例えば、生体試料401が脳細胞である場合、緩衝液402は、脳脊髄液、生理食塩水等である。
次いで、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を配置する。このとき、生体試料401を複数の導電体203に押し当てる。導電体203が絶縁層201よりも突出して形成されているので、生体試料401を導電体203の天面205のみに接触させることができる。これにより、生体試料401は導電体203のみに電気的に接続できる。
ここで、導電体203の天面205の面積が電極202の面積以上に形成されることにより、電極202の全体は平面視で天面205によって覆われる。これにより、例えば生体試料401の一部が天面205の縁部から下方に垂れ下がった場合でも、その垂れ下がった試料部分が電極202に接触することが抑制される。また、導電体203が天面205から絶縁基板102の主表面に向かって先細るテーパ形状を有する。これにより、例えば生体試料401の一部が天面205の縁部から下方に垂れ下がった場合でも、その垂れ下がった試料部分が導電体203のうちで天面205以外の部分に接触することを抑制できる。従って、生体試料401は、より確実に導電体203のみに電気的に接続できる。
さらに、導電体203の天面205の面積が電極202の面積よりも大きく形成されることにより、電極202を小さく形成しつつ、生体試料401と導電体203との接触面積を大きくできる。また、電極202を小さく形成することにより、絶縁基板102の主表面上において、導電性配線103等に使用できる面積を広くできる。
なお、電位測定装置101に配置された生体試料401が複数の導電体203の天面205で支持された状態では、隣り合う二つの導電体203の間にある電極周囲部201Dにおいて、生体試料401の一部が垂れ下がりやすい。従って、基準面210から天面205までの距離L1は、電極周囲部201Dにおいて垂れ下がる生体試料401の一部が絶縁層201の基準面210に接触しない程度の大きさ(例えば、10μm以上)であることが好ましい。
導電体203が化学反応(酸化等)した場合、導電体203の表面に、生体において毒性のある物質(金属酸化物等)が形成されるおそれがある。導電体203の表面に、生体において毒性のある物質が形成された状態において、生体試料401が、導電体203の天面205に接触した場合、生体試料401の表面に、生体において毒性のある物質が付着するおそれがある。
また、電極構造体104を緩衝液402に浸している状態において、導電体203に形成された金属酸化物が、導電体203から剥離した場合、緩衝液402に当該金属酸化物が混入するおそれがある。その状態において、生体試料401を導電体203の天面205に押し当てた場合、緩衝液402に混入した金属酸化物が、生体試料401の表面に付着するおそれがある。
しかし、金または白金の少なくともいずれかにより導電体203を形成することで、表面における化学反応を防止できる。それにより、導電体203の表面において、生体において毒性のある物質が形成されることを防止できる。その結果、生体試料401が、導電体203の天面205に接触した場合、生体試料401の表面に、生体において毒性のある物質が付着することを防止できる。同様に、金または白金の少なくともいずれかにより導電体203の表面を形成することにより、緩衝液402を介して、生体試料401の表面に、生体において毒性のある物質が付着することを防止できる。
(変形例1)
導電体203は、2種類以上のメッキで形成し、最表面を金または白金の少なくともいずれかにより形成されてもよい。これにより、導電体203に酸化膜が形成されることが防止できる。その結果、上記と同様の理由により、生体試料401の表面に、生体において毒性のある物質が付着することを防止できる。
(変形例2)
導電体203の天面205に、金または白金の少なくともいずれかによるメッキ加工が施されてもよい。これにより、導電体203の天面205に酸化膜が形成されることが防止できる。その結果、生体試料401が導電体203の天面205に接触した際に、生体において毒性のある物質が、生体試料401の表面に付着することを防止することができる。
(第二実施形態)
次に、図5~図7を参照して、第二実施形態について説明する。以下の各実施形態では、第一実施形態と実質的に共通の機能を有する構成および処理を共通の符号で参照して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を説明する。
図5Aは、図1のII矢視部分断面図であり、本実施形態の電極構造体104の一例を示す。本実施形態の電極構造体104は、複数の導電体203に替えて、複数の導電体510を備える。図5Aに示す導電体510の天面511に、絶縁基板102の厚さ方向と略平行な方向に複数の突起501を有する。
図5Bは、複数の突起501の一例を示す図1のII矢視部分断面図である。図5Bに例示する距離L2は、複数の突起501の下方向の端部である基部503から、複数の突起501の上方向の頂点502までの上下方向(厚さ方向)の距離である。以下の説明では、説明の便宜上、距離L2を、複数の突起501の「高さ」と称する。
図6Aは、本実施形態の電極構造体104の製造方法の一例を示すフローチャートである。図6Bは、図6Aに例示する電極構造体104の製造方法の一部を例示する模式図である。上記の前工程で得られた電位測定装置101を用いて、以下の製造方法が実行される。図6Aに示すステップS301~S303は図3Aに示すステップS301~S303と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS303の処理の後、ステップS601において、複数の凹凸を有する金型611が、各導電材料310の突出端312に対して、絶縁基板102の主表面に向かう方向に押し当てられる(図6BのS6011)。これにより、各導電材料310の突出端312に、金型611の凹凸に対応する複数の凹凸が形成される(図6BのS6012)。これにより、導電体510が形成される。また、ステップS601において、複数の溝が形成された金型611が、各導電材料310の突出端312に対して、絶縁基板102の主表面に向かう方向に押し当てられてもよい。これにより、各導電材料310の突出端312に、金型611の溝に対応する複数の凹凸が形成される。
導電体510の天面511に形成された複数の凹凸のうち、複数の凸部を複数の突起501という。本実施形態では、複数の突起501の各々は、基部503から頂点502に向けて先細る形状である。または、各導電材料310の突出端312に、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、レーザー光を照射して凹凸を形成することにより、導電体510の天面511に複数の突起501が形成されてもよい。
次に、電位測定装置101の利用形態の一例について説明する。図7は、図5Aに示す導電体510を有する電位測定装置101の利用形態の一例を示す図である。
上記の通り、下方向に生体試料401を複数の導電体510に押し当てた場合、まず、各導電体510の天面511に形成された複数の突起501の頂点502に、生体試料401が接触する。さらに、下方向に生体試料401を複数の導電体510に押し当てた場合、各導電体510の天面511に形成された複数の突起501に沿って、生体試料402が各突起501の基部503に接触する位置まで嵌まり込む。生体試料401は、複数の導電体510によって下方から支持されると共に、各導電体510の天面511に形成された複数の凹凸が形成された隙間なく接触する。これにより、生体試料401が各導電体510の天面511上で滑ることを抑制し、生体試料401と導電体510とを物理的に安定して接触させることができる。その結果、生体試料401と導電体510とが電気的に接続した場合に、電位測定装置101は生体試料401における同一の位置の電位変化を正確に測定できる。
また、生体試料401が、複数の突起501に沿って嵌まり込むことによって、天面511が平面に形成される場合よりも、生体試料401と天面511との接触面積を大きくできる。これにより、生体試料401と導電体510とが電気的に接続した場合に、生体試料401における電流集中及び接触抵抗のばらつきを抑制できる。さらに、これにより、生体試料401と導電体510とが電気的に接続した場合に、局所的な異常反応を抑制できる。
また、複数の突起501は、生体試料401の弾性に応じた高さであることが好ましい。つまり、複数の突起501の高さは、電位測定対象の生体試料401の弾性に応じて決定されることが好ましい。生体試料401の弾性が高いほど、生体試料401を複数の導電体510に押し当てた場合、生体試料402を複数の突起501に容易に嵌め込むことができる。そのため、生体試料401の弾性が高いほど、複数の突起501が深く形成されてもよい。換言すると、生体試料401が柔らかいほど、複数の突起501が深く形成されてもよい。
(第三実施形態)
次に、図8~図10を参照して、第三実施形態について説明する。
図8Aは、図1のII矢視部分断面図であり、本実施形態の電極構造体104の一例を示す。本実施形態の電極構造体104は、複数の導電体203に替えて、複数の導電体810を備える。各導電体810は、台座部801と、先端部802とを有する。図8Bは、本実施形態の導電体810の一例を示す平面図である。
台座部801は、電極202に接触して形成される。具体的には、台座部801は、絶縁基板102の主表面に向かう方向(即ち、下方向)の面が、電極202に接触して形成される。また、台座部801は、絶縁基板102の主表面に向かう方向とは逆方向(即ち、上方向)に、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる天面803を有する。
先端部802は、平面視で台座部801の中央部に設けられ、且つ絶縁基板102の厚さ方向において台座部801から外側に突出する。換言すると、先端部802は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として台座部801よりも高い位置まで突出する。さらに、絶縁基板102の主表面から離れるにしたがって先細る円錐状である。
先端部802の突出端は、上端面804である。上端面804は、絶縁基板102の主表面と同一側(即ち上方向)を向き、且つ絶縁基板102の主表面と略平行な円形状の平面である。さらに、先端部802は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、上端面804から突出する突起805を有する。以下の説明では、説明の便宜上、絶縁基板102の厚み方向における、先端部802の面804から突起805の先端までの距離L3を、突起805の高さと称する。
平面視における導電体810の表面積は、平面視における電極202の表面積以上である。そのため、導電体810の絶縁基板102の主表面と同一側を向く部分の表面積は、平面視における電極202の表面積以上である。換言すると、導電体810の高さ方向の投影面積は、電極202の高さ方向の投影面積以上である。
図9Aは、本実施形態の電極構造体104の製造方法の一例を示すフローチャートである。図9Bは、図9Aに例示する電極構造体104の製造方法の一部を例示する模式図である。
上記の前工程で得られた電位測定装置101を用いて、以下の製造方法が実行される。以下の製造方法を実行する前に、筒体912にワイヤ913が挿入される。詳細には、筒体912の長手方向の両端部を、第一端部911A及び第二端部911Bという。筒体912は、筒体912の径方向中心を長手方向に貫通するワイヤ孔を有する。ワイヤ913は、筒体912を貫通するようにワイヤ孔に挿入される。ここで、筒体912の第一端部911Aには、第二端部911B側に向かって凹む切り欠き914を有する。切り欠き914の内壁は、先端部802の外形に沿う形状を有する。
ステップS901において、筒体912の第一端部911A側から引き出されたワイヤ913の先端に放電によりボール形状部910を形成する。ボール形状部910は、金および白金の少なくともいずれか一方からなる。
ステップS902において、ボール形状部910を筐体912で、絶縁基板102の主表面に向かう方向(即ち、下方向)に天面803に押し当て、熱と超音波で接合する(図9BのS9011)。例えば、電極がAl(アルミニウム)であり、ワイヤ913がAu(金)である場合、天面803とボール形状部910との境界部分に、AlとAuとの合金による共晶を形成して、天面803とボール形状部910とが接合される。平面視において天面803の面積が、電極202の面積以上になるように天面803が広げられる。これにより、台座部801が形成される。
絶縁基板102の主表面に向かう方向に、筒体912が軟性のボール形状部910に押し当てられた場合、ボール形状部910の一部が、筒体912の内壁に形成された切り欠き914に沿って、筒体912内に押し込まれる(図9BのS9021)。ステップS903において、筒体912を上方向に引き上げることで、筒体912とボール形状部910とを切り離す。これにより、筒体912内のボール形状部910が、切り欠き914の形状に沿った外形で、台座部801上に成型される。その結果、切り欠き914の形状に沿った外形の先端部802が、台座部801上に形成される(図9BのS9031)。つまり、本実施形態の導電体810は、所謂、ワイヤボンディングにより形成できる。
次に、電位測定装置101の利用形態の一例について説明する。図10は、図8Aに示す導電体203を有する電位測定装置101の利用形態の一例を示す図である。
上記の通り、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を複数の導電体810に押し当てた場合、まず、各導電体810の突起805が生体試料401に刺さり込む。さらに、下方向に生体試料401を複数の導電体810に押し当てた場合、生体試料401が、各導電体810の突起805に刺さり込んだ状態で、各導電体810の台座部801の天面803と先端部802の側面とに沿って接触して、複数の導電体810に固定される。これにより、生体試料401が、導電体203上で滑ることを抑制し、生体試料401と導電体810とを物理的に安定して接触させることができる。その結果、生体試料401と導電体810とが電気的に接続した場合に、電位測定装置101が生体試料401における同一の位置の電位変化を測定できる。
さらに、生体試料401が、突起805に刺さり込んだ状態で、台座部801の天面803と、先端部802の側面とに沿って接触することで、生体試料401と導電体810との接触面積を大きくできる。これにより、導電体810の天面が平面に形成される場合よりも、生体試料401と導電体810との接触面積を大きくできる。その結果、生体試料401と導電体810とが電気的に接続した場合に、生体試料401における電流集中及び接触抵抗のばらつきを抑制できる。さらに、これにより、生体試料401と導電体810とが電気的に接続した場合に、局所的な異常反応を抑制できる。
また、生体試料401が突起805に刺さり込むことにより、電位測定装置101は、生体試料401の内部の電位変化を測定できる。さらに、筒体912の切り欠き914の形状を調整することで、先端部802の形状を容易に調整できる。これにより、絶縁基板102の厚み方向に略平行な突起805の高さを容易に調整できる。また、突起805の高さを調整することにより、電位測定装置101が、生体試料401の内部の電位変化を測定する位置を容易に調整できる。
また、ワイヤ913を利用して導電体810を形成することにより、金属にメッキ加工を施すことなく、金および白金の少なくともいずれかの金属で形成された導電体810を形成できる。これにより、導電体810の表面に、生体において毒性のある物質が付着することを防止できる。また、メッキ加工を施した場合、導電体810に対する外的な力により、メッキが剥離する場合がある。メッキが剥離した場合、生体において毒性のある物質が、導電体810の表面に露出するおそれがある。しかし、導電体810にメッキ加工を施さず、導電体810が金および白金の少なくともいずれかの金属で形成されることにより、生体において毒性のある物質が導電体810の表面に露出することを回避できる。その結果、導電体810が生体にとって安全な状態を長期間維持できる。
(第四実施形態)
次に、図11を参照して、第四実施形態について説明する。
図11は、図1のII矢視部分断面図であり、本実施形態の電極構造体104の一例を示す。本実施形態の電位測定装置101は、導電体203に替えて、凸部1101を備える。
凸部1101は、絶縁基板102の主表面から突出して形成され、絶縁性である。例えば、凸部1101は、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等により形成される。
絶縁層1102は、導電性配線103を覆うように主表面上に形成され、凸部1101を露出させる開口1103を有する。絶縁層1102は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)等により形成される。本実施形態では、複数の開口1103が平面視(図1参照)でドットマトリクス状に並ぶように、絶縁層1102に形成されている。
絶縁層1102は、配線被覆部201Aと、各凸部1101の周縁を覆う凸部被覆部1102Bと、基準部201Cとを含む。配線被覆部201A及び凸部被覆部1102Bは、基準部201Cよりも上方向に盛り上がっている。さらに、凸部被覆部1102Bは、配線被覆部201Aよりも上方向に盛り上がっている。従って、凸部被覆部1102Bの各表面の高さは、配線被覆部201Aの表面の高さよりも大きい。
凸部1101は、絶縁基板102の厚さ方向に絶縁層1102(配線被覆部201A)よりも外側(上方向)に突出する。絶縁層802の表面のうちで配線被覆部201Aの端部(即ち、配線被覆部201Aの上端部)を、天面1110という。凸部1101のうちで絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、凸部1101の上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる平面状の天面1111である。
電極202は、凸部1101の露出部分の天面1111を覆うように、凸部1101上に形成される。電極202は、絶縁基板102の厚さ方向に絶縁層1102よりも外側に突出している。電極202のうちで絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、電極202の上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる平面状の天面1112である。例えば、天面1110から天面1112までの上下方向(厚さ方向)の距離L4は、5μm以上である。距離L4は、5μm以上且つ100μm以下であってもよい。
複数の凸部1101及び導電性配線103が絶縁基板102上にパターニングされる。さらに、複数の凸部1101及び導電性配線103を覆うように、絶縁層1102が絶縁基板102上に積層される。絶縁基板102上に積層される絶縁層1102が、複数の凸部1101を露出するようエッチングされることで、絶縁層1102に複数の開口1103が形成される。凸部1101の天面1111を覆うように、電極202が凸部1101上に積層される。
これにより、電極202は距離L4の高さ分、絶縁層1102よりも上方に突出する。絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を複数の電極202に押し当てた場合、電極202が絶縁層1102よりも突出して形成されているので、上記と同様の理由により、生体試料401を電極202の天面1112のみに接触させることができる。これにより、生体試料401は電極202のみに電気的に接続できる。
(第五実施形態)
次に、図12~図15を参照して、第五実施形態について説明する。
図12は、電位測定装置1201の一例を示す模式的平面図である。電位測定装置1201は、絶縁基板102と、導電性配線103と、複数の電極構造体104と、絶縁層1301(図13参照)と、複数の周壁1202とを備える。
複数の周壁1202の各々は、平面視において絶縁基板102の主表面上において、各電極構造体104を取り囲むように形成される。導電性配線103は、平面視において、各周壁1202を貫通して、各周壁1202の内側にある電極構造体104に接続する。周壁1202は、絶縁材料により形成される。本実施形態の周壁1202は、無機絶縁材料により形成され、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンにより形成される。
図13は、図12のXIII矢視部分断面図である。図13に示すように、周壁1202は、絶縁基板102の厚さ方向において、電極202及び導電性配線103よりも外側(即ち、上方向)に突出する。換言すると、周壁1202は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として電極202及び導電性配線103よりも高い位置まで突出する。
絶縁層1301は、導電性配線103と、周壁1202とを覆うように絶縁基板102の主表面上に形成される。絶縁層1301は、電極202を露出させる開口204を有する。
絶縁層1301は、配線被覆部201Aと、電極被覆部201Bと、各周壁1202を覆う周壁被覆部1301Bと、基準部201Cとを含む。電極被覆部201Bは、平面視で、周壁1202の内側に設けられて、電極202の周縁を覆う。周壁被覆部1301Bは、配線被覆部201A及び電極被覆部201Bよりも上方向に盛り上がっている。従って、周壁被覆部1301Bの各表面の高さは、配線被覆部201A及び電極被覆部201Bの高さよりも大きい。
絶縁層1301の表面のうちで電極周囲部201Dの表面を、基準面1303という。周壁被覆部1301Bのうちで絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、周壁被覆部1301Bの上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる平面状の天面1304である。例えば、基準面1303から天面1304までの上下方向(厚さ方向)の距離L5は、5μm以上である。距離L5は、5μm以上且つ100μm以下であってもよい。
導電体203は、電極202の露出部分の上に設けられ、開口204を貫通して絶縁層1301の上方に突出する。導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向において周壁1202よりも外側に突出している。換言すると、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として周壁1202よりも高い位置まで突出する。例えば、導電体203の高さは、基準面1303を基準として、周壁1202の高さの1.1倍以内である。または、導電体203の高さと周壁1202の高さとの差分は、100μm以下である。ここで、周壁1202の高さとは、絶縁基板102の厚み方向における、基準面1303から天面1304までの距離L5である。
更に導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向において絶縁層1301よりも外側(即ち、上方向)に突出する。換言すると、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として周壁被覆部1301よりも高い位置まで突出する。
本実施形態の電極構造体104の製造方法の前工程において、複数の電極202と複数の周壁1202と導電性配線103とが絶縁基板102上にパターニングされる。複数の電極202と複数の周壁1202と導電性配線103とを覆うように、絶縁層1301が絶縁基板102上に積層される。絶縁基板102上に積層される絶縁層1301が、複数の電極202を露出するようエッチングされることで、絶縁層1301に複数の開口204が形成される。そして、当該前工程で得られた電位測定装置1201を用いて、複数の導電材料301が複数の電極202の上に一つずつ形成される。
図14は、電位測定装置1001の利用形態の一例を示す図である。緩衝液402は導電性であるため、電極202が通電した場合、緩衝液402を介して、生体試料401と導電体203とが接触する部分以外において、生体試料401の電位変化が発生するおそれがある。しかし、導電体203を周壁1202で取り囲むことにより、周壁1202と導電体203間の緩衝液402を少なくできる。
さらに、平面視において周壁1202と導電体203との間隔が狭いほど、周壁1202と導電体203間の緩衝液402をより一層少なくできる。これにより、周壁1202は絶縁性であるため、生体試料401と導電体203とが接触する部分以外において、生体試料401の電位変化が発生することを抑制できる。
また、周壁1202と導電体203間の緩衝液402が少ないほど、生体試料401が、導電体203の天面205に接触する位置から離れた位置に、緩衝液402を介して通電する恐れを抑制できる。そのため、周壁1202と導電体203間の緩衝液402が少ないほど、生体試料401と導電体203とが接触する部分以外において、生体試料401の電位変化が発生することを抑制できる。
また、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を複数の導電体203に押し当てた場合、周壁1202が導電体203を取り囲むことにより、生体試料401を導電体203の天面205と周壁1202とのみに接触させることができる。生体試料401が導電体203の天面205と周壁1202の天面1304とのみに接触することで、周壁1202は絶縁性であるため、生体試料401は、導電体203のみに電気的に接続できる。
また、絶縁基板102の主表面に向けて、生体試料401を複数の導電体203に押し当てた場合、周壁1202が導電体203を取り囲むことにより、生体試料401が、導電体203の天面205の縁部から下方に垂れ下がり、電極202に接触することが抑制される。これにより、生体試料401は、より確実に導電体203のみに電気的に接続できる。
なお、生体試料401の弾性が高い場合絶縁基板102の主表面に向けて、生体試料401を導電体203に押し当てた際に、生体試料401のうち、導電体203の天面205に接触していない部分が、絶縁基板102の主表面に向けて、垂れ下がりやすい。そのため、生体試料401の弾性が高く、生体試料401が変形しやすい場合、導電体203の天面205と、周壁1202の天面1304との差が大きくてもよい。換言すると、生体試料401の弾性が高く、生体試料401が変形しやすい場合、導電体203の高さと周壁1202の高さとの差分の許容範囲が大きくなる。
一方、生体試料401の弾性が低い場合、絶縁基板102の主表面に向けて、生体試料401を導電体203に押し当てた際に、生体試料401のうち、導電体203の天面205に接触していない部分が、絶縁基板102の主表面に向けて、垂れ下がりにくい。そのため、生体試料401の弾性が低く、生体試料401が変形しにくい場合、導電体203の高さと周壁1202の高さとの差分が小さいことが好ましい。
また、図15は、図11に例示する導電体203を有する電位測定装置1201に周壁1202を適用した利用形態の一例を示す。図15に示すように、凸部1102上に形成された電極202に、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を押し当てもよい。図15に示す構成においても、周壁1202が電極202を取り囲むため、電位測定装置1201は、上記と同様の効果を奏することができる。
(第六実施形態)
次に、図16を参照して、第六実施形態について説明する。本実施形態に係る電位測定装置1201は、図13に示す周壁1202に替えて、周壁1602を備える。
図16は、図12のXIII矢視部分断面図である。
絶縁層1603は、導電性配線103を覆うように絶縁基板102の主表面上に形成され、電極202を露出させる開口204を有する。絶縁層1603は、配線被覆部201Aと、電極被覆部201Bと、基準部201Cとを含む。絶縁層1603の表面のうちで、基準部201Cのうちで各電極構造体104の周囲は、電極周囲部201Dである。絶縁層1601の表面のうちで電極周囲部201Dの表面は、基準面210である。
周壁1602は、有機絶縁材料により形成され、例えば、樹脂材料により形成されてもよく、例えば、ポリイミド系材料により形成されてもよい。周壁1602は、絶縁層1603上に形成される。具体的には、周壁1602は、基準部201C上に形成される。周壁1602のうちで絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、周壁1602の上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる天面1604である。例えば、基準面210から天面1604までの上下方向(厚さ方向)の距離L6は、5μm以上且つ100μm以下であってもよい。
周壁1602は、絶縁基板102の厚さ方向において、導電体203よりも外側(即ち、上方向)に突出する。換言すると、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として周壁1602よりも高い位置まで突出する。導電体203の高さは、基準面210を基準として、周壁1602の高さの1.1倍以内である。または、導電体203の高さと周壁1602の高さとの差分は、100μm以下である。ここで、周壁1602の高さとは、絶縁基板102の厚み方向における、基準面210から天面1604までの距離L6である。
図17は、本実施形態の電位測定装置1201の利用形態の一例を示す図である。
周壁1602が有機絶縁材料により形成されることにより、周壁1602が無機絶縁材料により形成される場合よりも、周壁1602を任意の形状に形成することが容易になるとともに、周壁1602を高く形成することが容易になる。それにより、周壁1602を無機絶縁材料により形成する場合よりも、生体試料401と導電体203とが接触する位置と、絶縁層201との差を大きくできる。
生体試料401と導電体203とが接触する位置と、絶縁層201との差を大きくなることで、生体試料401の一部が天面205の縁部から下方に垂れ下がった場合でも、その垂れ下がった試料部分が電極202に接触することが抑制される。その結果、絶縁基板102の主表面に向けて(即ち下方向に)、生体試料401を複数の導電体203に押し当てた場合、生体試料401と導電体203とが接触する位置と、絶縁層1603との差が大きいほど、導電性配線103の絶縁の安定性を向上させることができる。
(第七実施形態)
次に、図18~図19を参照して、第七実施形態について説明する。
図18は、図12のXIII矢視部分断面図である。導電体203は、図2、図5または図8に示す形状であってもよい。または、電極構造体104の構造は、図11に例示する構造であってもよい。
絶縁基板102は、主表面に複数の凹部1801を有する。本実施形態では、複数の開口1804が、平面視(図12参照)でドットマトリクス状に並ぶように、絶縁基板102の主表面に形成されている。複数の電極202は、夫々、複数の凹部1801の底面1802上に設けられ、導電性配線103に電気的に接続される。絶縁層1803は、導電性配線103を覆うように絶縁基板102の主表面上に形成され、複数の電極202を夫々露出させる複数の開口1804を有する。
絶縁層1803は、配線被覆部201Aと、電極被覆部201Bと、基準部1803Cと、絶縁層凹部1803Dとを含む。基準部1803Cは、絶縁基板102と直接接触し、配線被覆部201Aから導電性配線103が形成された面と略平行に伸びる。絶縁層凹部1803Dは、絶縁基板102と直接接触し、凹部1801の表面を覆う。絶縁層凹部1803Dのうち、電極202の周囲を覆う部分を、電極周囲部1803Eという。
配線被覆部201Aは、基準部1803Cよりも上方向に盛り上がっている。従って、配線被覆部201Aの各表面の高さは、基準部1803Cの表面の高さよりも大きい。電極周囲部1803Eは、平面視で、各電極構造体104の全体を取り囲み、且つ各電極構造体104よりも外側に延びる。
絶縁層1803の表面のうちで電極周囲部1803Eの表面を、基準面1810という。また、配線被覆部201Aの表面のうちで、絶縁基板102から最も離れた位置にある端部(即ち、配線被覆部201Aの上端部)は、絶縁基板102の主表面と略平行に広がる平面状の天面1805である。例えば、基準面1810から天面205までの上下方向(厚さ方向)の距離L7は、5μm以上である。距離L7は、5μm以上且つ100μm以下であってもよい。
複数の電極構造体104は、夫々、複数の開口1804に一つずつ配置される。導電体203は、電極202の露出部分の上に設けられる。導電体203は、絶縁基板10の厚さ方向において主表面よりも外側(即ち、上方向)に突出する。具体的には、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向において、配線被覆部201Aの天面1805よりも外側に突出している。換言すると、導電体203は、絶縁基板102の厚さ方向と平行な高さ方向において、絶縁基板102の主表面を基準として絶縁層1803の上端部(即ち、配線被覆部201Aの天面1805)よりも高い位置まで突出する。例えば、導電体203の天面205の高さは、絶縁層1803の上端部の高さの1.1倍以内である。または、導電体203の高さと、絶縁層1803の上端部との高さとの差分は、100μm以下である。
本実施形態の電極構造体104の製造方法の前工程において、複数の凹部1801を形成するように、絶縁基板103を加工する。複数の凹部1801のそれぞれの底面1802上に、電極202がパターニングされる。さらに、導電性配線103が絶縁基板102にパターニングされる。さらに、複数の電極202及び導電性配線103が絶縁基板102上にパターニングされる。さらに、複数の電極202及び導電性配線103を覆うように、絶縁層201が絶縁基板102上に積層される。絶縁基板102上に積層される絶縁層201が、複数の電極202を露出される。そして、当該前工程で得られた電位測定装置1201を用いて、複数の導電材料301が複数の電極202の上に一つずつ形成される。
次に、本実施形態の電位測定装置101の利用形態の一例について説明する。図19は、本実施形態の電位測定装置101の利用形態の一例を示す図である。
絶縁基板102の主表面に向けて(即ち、下方向に)、生体試料401を複数の導電体203に押し当てた場合、凹部1801に形成された電極202上に導電体203が形成されることにより、導電体203の天面205と、絶縁層1803の上端部(即ち、配線被覆部201Aの天面1805)とのみに生体試料401を接触させることができる。これにより、上記と同様の理由により、生体試料401は、導電体203のみに電気的に接続される。
さらに、凹部1801に形成された電極202上に導電体203が形成されることにより、電極202を周壁1202または周壁1602で取り囲むことなく、生体試料401と導電体203とが接触する位置と、絶縁層1603との差を大きくできる。これにより、上記と同様の理由により、導電性配線103の絶縁の安定性が向上する。
なお、生体試料401の弾性が高く、生体試料401が変形しやすい場合には、上記と同様の理由により、導電体203の高さと絶縁層1803の上端部との高さの差分の許容範囲が大きくなる。同様に、生体試料401の弾性が低く、生体試料401が変形しにくい場合、上記と同様の理由により、導電体203の高さと絶縁層1803の上端部との高さの差分が小さいことが好ましい。
本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。