JP7311993B2 - 食肉加工食品の製造方法 - Google Patents
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Description
高齢者向けレシピは、エネルギー価の高い油脂を添加することがよく行われるが、レシピによっては、油脂と馴染の悪い食材が多く含まれると、添加した油脂が分離したり、漏出(ドリップ)を起こすことがあった。
例えば、ハンバーグ等の食肉加工食品について、油脂添加によりエネルギー価を高めた高齢者向けレシピでは、通常の温度で加熱調理すると、表面の肉の蛋白質が凝固することで、油脂のドリップが抑えられるが、表面が固く、一方で内部が柔らかいため、固さのバラツキが大きくなり、高齢者にとって咀嚼し辛い物性であった。また、加熱調理の温度を下げて調理すると、添加した油脂が漏出して、レシピの総エネルギーが低下する問題があった。
しかし、油脂を多く含みエネルギー価が高く、高齢者でも食べやすい食肉加工食品については、検討されていなかった。
(2)前記中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールが中鎖脂肪酸トリグリセリドである、(1)に記載の食肉加工食品の製造方法。
(3)前記食肉加工食品が咀嚼困難者用である、(1)又は(2)に記載の食肉加工食品の製造方法。
(4)前記食肉加工食品がハンバーグ、ミートボール、及びシュウマイから選ばれる1種以上である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の食肉加工食品の製造方法。
(5)
請求項1~4のいずれか1項に記載の食肉加工食品の製造方法により製造された、食肉加工食品。
本発明における食肉加工食品とは、肉類(畜肉、鳥肉、魚肉、海老肉等)を主原料として、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを配合し、野菜類、卵類、澱粉類、豆類(豆腐を含む)、調味料、香辛料、水等を混合したものを加熱調理して得られる食品である。また、本発明の食肉加工食品は、加熱調理前の原料の混合物(生地、パテ等)中に、肉類(畜肉、鳥肉、魚肉、海老肉等)を好ましくは30~75質量%、より好ましくは35~70質量%、さらに好ましくは40~60質量%含有する。
本発明の食肉加工食品は、好ましくは挽肉加工食品であり、具体的にはソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、つくね、ミートパティー、魚肉ダンゴ、海老しんじょ、シュウマイ、餃子等が挙げられるが、より好ましくは、ハンバーグ、ミートボール、及びシュウマイから選ばれる1種以上である。
本発明における食肉加工食品は、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含むトリアシルグリセロール(中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール、以下、MTGともいう)を含有する。ここで中鎖脂肪酸とは、炭素数が6~12である脂肪酸を指す。中鎖脂肪酸は、特に、エネルギー効率と風味の面から、炭素数が8であるn-オクタン酸及び炭素数が10であるn-デカン酸から選ばれる1種以上が好ましい。MTGとしては、例えば、構成脂肪酸が全て中鎖脂肪酸である中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、MCTともいう)や、構成脂肪酸が中鎖脂肪酸と炭素数が14以上である長鎖脂肪酸とからなる中長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、MLCTともいう)が挙げられる。
本発明の食肉加工食品の製造方法とは、肉類(畜肉、鳥肉、魚肉、海老肉等)を主原料として、特定量の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを配合し、野菜類、澱粉類、調味料、香辛料、水等の副原料を混合した後、前記原料の混合物(生地、パテ等)を成形し、一定の温度帯で一定時間加熱調理する製造方法である。
本発明の食肉加工食品の製造方法は、原料中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの配合量と、加熱調理条件が所望の範囲であれば、特に限定されず、通常の食肉加工食品の製造方法と同様の方法を用いることができる。
本発明の食肉加工食品の製造方法は、80~150℃で5~30分間加熱調理する工程を含む。前記加熱調理の方法は、加熱条件(温度・時間)が所望の条件となるような方法であれば特に限定されないが、フライパン、グリル、オーブン、蒸し器等を用いることができる。なお、熱伝達特性に優れる過熱水蒸気オーブン(スチームコンベクションオーブン、スチームオーブン等)が比較的低温で食肉加工食品の中心まで加熱することができるため好ましい。
本発明における加熱調理の温度は、好ましくは90~145℃、より好ましくは95~140℃、最も好ましくは100~130℃である。また、前記加熱調理の時間は、好ましくは7~25分間、より好ましくは10~20分間である。加熱調理の条件が前記の範囲にあると、加熱調理時の油脂のドリップが抑制され、咀嚼が困難な人でも食べやすい固さの食肉加工食品を得ることができる。なお、本発明における加熱調理の温度は、180℃より高い温度を含まない。
表1に示す配合に従い、実施例1、比較例1、及び比較例2のハンバーグを製造した。すなわち、原材料をしっかり混合し、パテ(生地)を調製した。調製したパテを、スチームコンベクションオーブンで、表1に示す条件で加熱することによりハンバーグを得た。
なお、表中のMCTは、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn-オクタン酸(炭素数8)とn-デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が75:25である中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:ODO)を使用した。
ハンバーグ製造における加熱調理後の油脂のドリップの程度、及び得られたハンバーグの食感を、実施担当者4名が総合的に評価し、コメントした。結果を表1に示す。
また、ハンバーグの固さを、(株)山電製レオメーター(RE-33005)等を用いて、直径20mmの円柱状のプランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値を測定した。5個の試料につき1回ずつ測定し、得られた5つのデータのうち、最大値と最小値を除いた3つのデータの平均値を求め測定値とした。測定結果を表1に示す。
表2に示す配合に従い、実施例2、比較例3、及び比較例4のミートボールを製造した。すなわち、原材料をしっかり混合し、パテ(生地)を調製した。調製したパテを一口大に丸め、スチームコンベクションオーブンで、表2に示す条件で加熱することによりミートボールを得た。
なお、表中のMCTは、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn-オクタン酸(炭素数8)とn-デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が75:25である中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:ODO)を使用した。
ミートボール製造における加熱調理後の油脂のドリップの程度、及び得られたミートボールの食感を、実施担当者4名が総合的に評価し、コメントした。結果を表2に示す。
表3に示す配合に従い、実施例3、及び比較例5のシュウマイを製造した。すなわち、原材料をしっかり混合し、パテ(生地)を調製した。調製したパテをシュウマイの皮で包み、蒸し器で、表3に示す条件で加熱することによりシュウマイを得た。
なお、表中のMCTは、トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn-オクタン酸(炭素数8)とn-デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が75:25である中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:ODO)を使用した。
シュウマイ製造における加熱調理後の油脂のドリップの程度(シュウマイを半分に切断し、漏出した液を目視で確認)、及び得られたシュウマイの食感を、実施担当者4名が総合的に評価し、コメントした。結果を表3に示す。
Claims (3)
- 挽肉加工食品の原料中に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを7~16質量%配合し、80~150℃で5~30分間、蒸し器又は過熱水蒸気オーブンを用いて加熱調理する工程を含む、挽肉加工食品の製造方法。
- 前記挽肉加工食品が咀嚼困難者用である、請求項1に記載の挽肉加工食品の製造方法。
- 前記挽肉加工食品がハンバーグ、ミートボール、及びシュウマイから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の挽肉加工食品の製造方法。
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Citations (3)
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JP2006020600A (ja) | 2004-07-09 | 2006-01-26 | Q P Corp | 飲食品 |
CN102113684A (zh) | 2009-12-31 | 2011-07-06 | 上海海洋大学 | 一种紫菜鱼肉丸及制备方法 |
JP2015080459A (ja) | 2013-10-24 | 2015-04-27 | 日清オイリオグループ株式会社 | 油脂含有食品 |
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Non-Patent Citations (2)
Title |
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日本油化学会誌,1996年,45(1),29-36 |
日本調理科学会誌,2007年,40(6),420-426 |
Also Published As
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