JP7311983B2 - ゲル膜の製造方法およびゲル膜 - Google Patents

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Description

本開示は、ゲル膜の製造方法、およびそれにより製造されるゲル膜に関するものである。
近年、各種の高分子ゲルを用いた材料が開発されており、例えば、医療品、化粧品、食品等に応用されている。高分子ゲルは、例えばフィルム状またはシート状等の膜状の形態で使用されている。
高分子ゲルに用いられる高分子材料としては、例えば、ヒアルロン酸、アルギン酸、キトサン、セルロース、化学修飾セルロース、およびこれらの塩等の天然多糖類、コラーゲン、フィブロイン等のタンパク質、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニル化合物、ポリビニリデン化合物、ポリスチレン化合物、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等が知られている。
膜状の高分子ゲルの形成方法としては、例えば、高分子ゲルを平らな容器に注ぎ、常温で乾燥する方法や、少なくとも一方が多孔質である2つの部材の間に高分子ゲルを配置して、圧縮および脱水する方法や、高分子ゲルを凍結乾燥する方法や、高分子ゲルを凍結乾燥した後、圧縮する方法等が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。一般的には、高分子ゲルを平らな容器に注ぎ、常温で乾燥する方法が知られている。
特許第3399526号公報 特開平8-208706号公報 特開2017-113938号公報
しかし、高分子ゲルを平らな容器に注いだ後、常温で乾燥すると、膜状の高分子ゲルが乾燥しきる前に部分的に容器から剥離して変形したまま乾燥が進行したり、シワや空隙等の変形が生じたりして、平らなゲル膜が得られない場合や、割れ等が生じる場合があり、製造上の歩留りが低下するという問題がある。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基材からの部分的な剥離やシワ等によるゲル膜の変形や、ゲル膜の割れ等の不良発生を抑制することができる、ゲル膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材の一方の面に、高分子ゲル分散液膜を形成する高分子ゲル分散液膜形成工程と、上記高分子ゲル分散液膜を乾燥させることにより、上記分散媒を除去し、ゲル膜を得る乾燥工程と、を有し、上記乾燥工程において、少なくとも、上記高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥環境の平均相対湿度を35%RH以上に保持する、ゲル膜の製造方法を提供する。
また、本開示は、高分子ゲルを含むゲル膜であって、上記高分子ゲルが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含むゲル、または、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとの共重合体であるゲルであり、上記ゲル膜の含水率が、3%以上、25%以下の範囲内である、ゲル膜を提供する。
本開示によれば、ゲル膜の製造工程において、基材からの部分的な剥離やシワ等によるゲル膜の変形や、ゲル膜の割れ等の不良発生を抑制することができるという効果を奏する。
本開示のゲル膜の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法における高分子ゲル分散液膜形成工程の一例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。 本開示のゲル膜の製造方法における加熱工程の一例を示す模式図である。
以下、本開示のゲル膜の製造方法、およびそれにより製造されるゲル膜について詳細に説明する。
本明細書において、「ゲル膜」とは、高分子ゲルを薄膜状に成形したものをいう。ゲル膜は、乾燥したものでもよく、含水したものでもよい。なお、ゲル膜は、一般に「シート」、「フィルム」等と呼ばれるものも包含する。
A.ゲル膜の製造方法
本開示のゲル膜の製造方法は、高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材の一方の面に、高分子ゲル分散液膜を形成する高分子ゲル分散液膜形成工程と、上記高分子ゲル分散液膜を乾燥させることにより、上記分散媒を除去し、ゲル膜を得る乾燥工程と、を有し、上記乾燥工程において、少なくとも、上記高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥環境の平均相対湿度を35%RH以上に保持する、製造方法である。
以下、本開示のゲル膜の製造方法について、図面を参照して説明する。
図1(a)~(c)は、本開示のゲル膜の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材1の一方の面に、高分子ゲル分散液膜2aを形成する。次いで、図1(b)に示すように、高分子ゲル分散液膜2aを乾燥させることにより高分子ゲル分散液膜に含まれる分散媒を除去し、ゲル膜2bを得る。続いて、図1(c)に示すように、ゲル膜2bを基材1から剥離する。このようにして、ゲル膜2bを製造することができる。
本開示においては、乾燥工程での平均相対湿度を所定の値以上とすることにより、乾燥速度を制御することができる。例えば、平均相対湿度が低すぎると、乾燥速度が速いため、高分子ゲル分散液膜が乾燥中に基材から剥がれて変形した状態で固まったり、ゲル膜にシワ等の変形が生じたり、ゲル膜に割れが生じたりするおそれがある。特に、高分子ゲル分散液膜の含水率が所定の値以下となったときに、乾燥速度が速いと、上記の不具合が起こりやすい。そこで、本開示においては、乾燥工程において、少なくとも、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥環境の平均相対湿度を35%RH以上に保持している。これにより、乾燥工程において、少なくとも、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥速度を比較的遅くすることができる。したがって、高分子ゲル分散液膜が乾燥中に基材から剥がれて変形した状態で固まったり、ゲル膜にシワ等の変形が生じたり、ゲル膜に割れが生じたりするのを抑制することができる。よって、歩留まりを向上させることができる。
この理由は明らかではないが次のように考えられる。すなわち、高分子ゲル分散液膜は、乾燥過程で体積が収縮する。この際、乾燥した高分子ゲル分散液膜に内部応力が発生する。乾燥速度が遅いと、発生する内部応力が緩和されながら乾燥するため、内部応力は小さくなると考えられる。一方、乾燥速度が速いと、内部応力が緩和されないまま乾燥するため、内部応力は大きくなると考えられる。したがって、本開示においては、乾燥工程において、少なくとも、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥環境の平均相対湿度を35%RH以上に保持することにより、高分子ゲル分散液膜から分散媒が急激に除去されることが抑制され、乾燥速度を比較的遅くすることができ、これにより、乾燥過程で高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間はゲル膜に生じる内部応力を小さくすることができると考えられる。よって、ゲル膜に、基材から部分的な剥離やシワ等による変形、割れが生じるのを抑制することができる。
なお、図1に示す例は、枚葉方式の製造方法の例であるが、本開示のゲル膜の製造方法は、ロールツーロール方式やロールツーシート方式の製造方法とすることができる。
図2は、本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図であり、ロールツーロール方式の製造方法の例である。図2においては、巻出ロール21から基材1を巻出し、バックアップロール23で支持された基材1の面に、ダイ22から高分子ゲル分散液を流延し、高分子ゲル分散液膜2aを得る。高分子ゲル分散液膜2aが形成された基材1は、ガイドロール31により搬送され、乾燥手段24にて高分子ゲル分散液膜2aを乾燥させることにより高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去し、ゲル膜2bを得る。その後、ゲル膜2bが形成された基材1は、セパレータ32にて基材1およびゲル膜2bに分離されたのち、基材1およびゲル膜2bの搬送方向が変えられ、基材1は基材用巻取ロール26に巻取られ、ゲル膜2bはガイドロール33を経てゲル膜用巻取ロール27に巻取られることで、基材1からゲル膜2bが剥離される。このようにして、長尺状のゲル膜2bを製造することができる。
図3は、本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図であり、ロールツーシート方式の製造方法の例である。図3においては、巻出ロール21から基材1を巻出し、バックアップロール23で支持された基材1の面に、ダイ22から高分子ゲル分散液を流延し、高分子ゲル分散液膜2aを得る。次いで、高分子ゲル分散液膜2aが形成された基材1は、ガイドロール31により搬送され、乾燥手段24にて高分子ゲル分散液膜2aを乾燥させることにより高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去し、ゲル膜2bを得る。次いで、ゲル膜2bが形成された基材1は、セパレータ32にて基材1およびゲル膜2bに分離されたのち、基材1およびゲル膜2bの搬送方向が変えられ、基材1は基材用巻取ロール26に巻取られ、ゲル膜2bはガイドロール33により搬送されることで、基材1からゲル膜2bが剥離される。次いで、ゲル膜2bは断裁手段28にて断裁される。このようにして、枚葉状のゲル膜2bを製造することができる。
本開示は、枚葉方式、ロールツーロール方式、ロールツーシート方式のいずれにも適用することができる。
以下、本開示のゲル膜の製造方法の各工程について説明する。
1.高分子ゲル分散液膜形成工程
本開示においては、まず、高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、高分子ゲル分散液膜を形成する高分子ゲル分散液膜形成工程を行う。
(1)高分子ゲル分散液
本開示に用いられる高分子ゲル分散液は、高分子ゲルおよび分散媒を含むものである。高分子ゲル分散液は、高分子ゲルが分散媒に分散された分散液である。
高分子ゲルとしては、特に限定されるものではなく、公知の高分子ゲルを用いることができる。高分子ゲルは、生体適合性を有する高分子ゲルであってもよい。
ここで、「生体適合性」とは、生物学的機能に関して、医学上許容されない毒性または有害効果を有しない性質をいう。
また、生体適合性を有する高分子ゲルは、生体吸収性を有することが好ましい。生体吸収性が望まれる用途にも、本開示の製造方法により製造されたゲル膜を応用することができる。
ここで、「生体吸収性」とは、生体内で分解され、排泄または代謝される性質をいう。
また、高分子ゲルは、化学ゲルおよび物理ゲルのいずれであってもよい。中でも、高分子ゲルは、化学ゲルであることが好ましい。得られるゲル膜の強度および安定性を向上させることができるからである。
化学ゲルの場合、架橋方法としては、公知の架橋方法を適用することができる。例えば、加熱、電子線照射、ガンマ線照射、紫外線照射等の方法が挙げられる。また、反応を進めやすくするために、架橋剤(縮合剤とも称される)を用いたり、重合性官能基を導入したりしてもよい。高分子ゲルは、いずれの方法で架橋されたものであってもよい。
高分子ゲルは、中でも、ポリアニオン性多糖類およびその塩、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。ポリアニオン性多糖類は、高い生体適合性、ゲル膨潤性、粘弾性等を示すことが知られており、例えば医療品、食品、化粧品等の原料として広く用いられている。
なお、以下、「ポリアニオン性多糖類およびその塩、ならびにそれらの誘導体」を「ポリアニオン性多糖類等」と略称する場合がある。
ポリアニオン性多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、アルギン酸、ペクチン、ポリガラクチュロン酸等の天然多糖類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルアミロース、カルボキシメチルプルラン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルマンナン等のカルボキシアルキル多糖類;デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸等の硫酸基を有する多糖類等が挙げられる。
ポリアニオン性多糖類の塩としては、上述したポリアニオン性多糖類の塩を挙げることができ、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、あるいはカルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
ポリアニオン性多糖類の誘導体は、化学的に修飾されたポリアニオン性多糖類およびその塩である。ポリアニオン性多糖類の誘導体としては、上述したポリアニオン性多糖類およびその塩の誘導体を挙げることができ、例えば、官能基が導入されたポリアニオン性多糖類およびその塩が挙げられる。
ポリアニオン性多糖類等は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ポリアニオン性多糖類等は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルアミロース、ヒアルロン酸、およびそれらの塩、ならびにそれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。また、ポリアニオン性多糖類等は、ヒアルロン酸またはその塩あるいはそれらの誘導体と、カルボキシメチルセルロースまたはその塩あるいはそれらの誘導体とである、あるいは、ヒアルロン酸またはその塩あるいはそれらの誘導体と、ヘパリンまたはその塩あるいはそれらの誘導体とであることが好ましい。
特に、ポリアニオン性多糖類等は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとであることが好ましい。すなわち、高分子ゲルは、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含むゲル、または、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとの共重合体であるゲルであることが好ましい。これらのポリアニオン性多糖類等は、安全性および生体適合性が高いことから、医療品、食品、化粧品等の様々な用途に利用されており、例えば医療分野では癒着防止材等の原料に利用されている。
また、高分子ゲルは、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含むゲル、または、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとの共重合体であるゲルである場合、化学ゲルであることが好ましく、架橋剤(縮合剤)を用いて架橋されたものであることがより好ましい。
分散媒としては、高分子ゲルを分散可能な分散媒であれば特に限定されるものではなく、高分子ゲルの種類等に応じて適宜選択される。分散媒としては、例えば、水や、水と混和する分散媒が好ましく用いられる。水と混和する分散媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。これらの分散媒は、1種単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
また、高分子ゲル分散液の23℃における粘度は、例えば、3Pa・s以上、10Pa・s以下の範囲内とすることができ、中でも、4Pa・s以上、8Pa・s以下の範囲内であることが好ましい。上記粘度が上記範囲内であることにより、例えば基材の一方の面に高分子ゲル分散液を塗布する場合には、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を均一に塗布しやすくすることができ、高分子ゲル分散液膜の厚みを容易に均一にすることができる。また、後述するように高分子ゲル分散液を脱泡する場合には、気泡を抜けやすくすることができる。
ここで、高分子ゲル分散液の粘度は、B型粘度計にて測定する。具体的には、東機産業株式会社製の粘度計TVB10Mおよびスピンドル型ローターM3を用い、回転速度6rpmにて測定する。
高分子ゲル分散液は、例えば、架橋剤(縮合剤)、薬学上活性な物質、着色料、静菌剤、pH調整剤等を含有していてもよい。pH調整剤としては、例えば塩酸が挙げられる。
(2)基材
本開示に用いられる基材としては、基材の一方の面に高分子ゲル分散液膜を形成することができるとともに、乾燥工程後は基材からゲル膜を剥離することができるものであれば特に限定されるものではなく、ゲル膜の用途や、本開示のゲル膜の製造方法の工程順や方式等に応じて適宜選択することができる。
基材の形態は、枚葉状であってもよく、長尺状であってもよい。長尺状の基材である場合、基材はロール状に巻かれたものであってもよい。例えば、本開示のゲル膜の製造方法を枚葉方式で行う場合には、枚葉状の基材が用いられる。また、本開示のゲル膜の製造方法をロールツーロール方式やロールツーシート方式で行う場合には、長尺状の基材が用いられる。
枚葉状の基材である場合、基材は、例えば、平らな型、すなわち平らな容器とすることができる。例えば図4(a)に示す基材1は、平らな容器10である。この場合、図4(b)に示すように、容器10内の端部に、高分子ゲル分散液2a′を供給し、図4(c)~(d)に示すように、展開手段11によって、容器10内の底部10aの面に高分子ゲル分散液2a′を塗り広げることにより、高分子ゲル分散液膜2aを得ることができる。この際、容器10の壁部10bによって、容器10内の底部10aの面と展開手段11との間の距離Gを一定に保つことができ、均一な厚みを有する高分子ゲル分散液膜2aを得ることができる。
容器の深さは、目的とする高分子ゲル分散液膜の厚み等に応じて適宜調整される。
また、基材は、可撓性を有していてもよく、有さなくてもよい。例えば、本開示のゲル膜の製造方法をロールツーロール方式やロールツーシート方式で行う場合には、基材は可撓性を有することが好ましい。
基材の材料としては、例えば、プラスチック、金属、ガラス等が挙げられる。中でも、生体適合性を有するゲル膜の製造に用いる場合は、プラスチックが好ましく、医療用プラスチックがさらに好ましい。具体的には、アクリル系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂)、アクリロニトリルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、環状ポリオレフィン等が挙げられる。また、医療用プラスチックとしては、市販の医療用グレードのプラスチックを用いることができる。
また、基材は、親水性を有することが好ましい。基材が親水性を有する場合には、基材の一方の面に高分子ゲル分散液膜を良好に形成することができるからである。
一方で、基材の親水性が高すぎると、基材からゲル膜を剥離する際に剥離しにくくなってしまうため、基材の親水性としては、例えば、基材表面の水に対する接触角が、30°以上、95°以下の範囲内であることが好ましく、中でも、30°以上、85°以下の範囲内、特に、30°以上、60°以下の範囲内であることが好ましい。上記接触角が上記範囲内であることにより、基材の一方の面に高分子ゲル分散液膜を均一に形成することができる。また、乾燥工程では、基材と高分子ゲル分散液膜との密着性を良好にすることができ、膜の剥がれ等を抑制することができる。さらに、基材からゲル膜を剥離する際には、基材からゲル膜を容易に剥離することができる。
ここで、水に対する接触角は、協和界面科学(株)製の接触角測定器Drop Master-700を用い、22Gのステンレスニードルを用いて1.5mLの純水の液滴を作製し、基材表面に液滴を接触させてから1000ミリ秒後の水に対する接触角を測定することで求めることができる。
また、基材は、表面の水に対する接触角を調整するために、表面処理が施されていてもよい。すなわち、基材は、表面に親水性処理面を有していてもよい。表面処理としては、プラスチックの表面の親水性を高めることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理、エキシマUV処理、電子線照射処理、レーザー処理等が挙げられる。
また、後述するように、ゲル膜を基材から剥離する剥離工程前に加熱工程を行う場合、基材は、耐熱性を有することが好ましい。基材の耐熱性としては、基材が、加熱工程での加熱温度に対して耐熱性を有していることが好ましい。中でも、基材の材料の荷重たわみ温度は、加熱工程での加熱温度よりも高いことが好ましく、例えば、100℃以上とすることができ、好ましくは130℃以上であり、さらに好ましくは150℃以上である。なお、上記荷重たわみ温度の上限は、特に限定されない。
ここで、荷重たわみ温度は、JIS-K7191に準拠することで測定する。
耐熱性を有する基材の材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネート等が挙げられる。
基材の厚みは、基材の形態、本開示のゲル膜の製造方法の工程順や方式等に応じて適宜選択することができる。
(3)高分子ゲル分散液膜の形成方法
基材の一方の面に高分子ゲル分散液膜を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法、基材として型を用い、型に高分子ゲル分散液を注入する方法、基材として型を用い、型に高分子ゲル分散液を注入した後、振とうする方法が挙げられる。基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法や、型に高分子ゲル分散液を注入した後、振とうする方法では、均一な厚みを有する高分子ゲル分散液膜を得ることができる。その結果、均一な厚みを有するゲル膜を得ることが可能である。
基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法の場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給する方法としては、所定量の高分子ゲル分散液を供給することができる方法であれば、特に限定されるものではない。基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給する方法は、枚葉方式であってもよく、連続方式であってもよい。
また、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給する供給手段は、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する展開手段とは別のものであってもよく、展開手段を兼ねていてもよい。
供給手段が展開手段とは別である場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給する方法としては、例えば、ディスペンサを用いる方法が挙げられる。
また、供給手段が展開手段とは別である場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法としては、例えば、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給した後、余剰の高分子ゲル分散液を掻き取る方法が挙げられる。具体的には、バーコート法、リバースコート法、コンマダイレクトコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、アプリケータを用いる方法等を用いることができる。
供給手段が展開手段を兼ねている場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法としては、例えば、ダイコート法、マイクログラビア法等を用いることができる。
基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する際には、基材の一方の面に対して、展開手段を移動させてもよく、基材を移動させてもよく、展開手段および基材の両方を移動させてもよい。
基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する方法としては、展開手段または基材を、基材の一方の面に対して移動させることにより、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開することができる方法であれば、特に限定されるものではない。基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する方法は、枚葉方式であってもよく、連続方式であってもよい。
基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する方法が枚葉方式である場合、通常、展開手段または基材を、基材の一方の面に対して平行な方向に移動させることにより、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する。
なお、基材の一方の面に対して平行な方向とは、基材の一方の面に対して、±1°以内の方向をいう。
また、上述したように、展開手段は、供給手段とは別のものであってもよく、供給手段を兼ねていてもよい。
展開手段が供給手段とは別である場合、展開手段としては、例えば、棒状または板状の部材を挙げることができ、具体的には、ドクターブレード等のブレード、スキージ、ワイヤーバーやワイヤレスバー等の塗工バー、アプリケータ等が挙げられる。
また、展開手段が供給手段とは別である場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法としては、例えば、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給した後、余剰の高分子ゲル分散液を掻き取る方法が挙げられる。この場合、展開手段は、基材の一方の面から余剰の高分子ゲル分散液を掻き取る手段とすることができる。また、この場合において、展開手段は、例えば、それ自身が回転してもよく、回転しなくてもよい。具体的な方法としては、上述した通りである。
展開手段が供給手段を兼ねている場合、基材の一方の面に高分子ゲル分散液を供給し、展開する方法としては、上述した通りである。
基材の一方の面に高分子ゲル分散液を展開する際には、展開手段が、基材の一方の面から一定の高さに配置されていることが好ましい。展開手段と基材との間の距離によって、高分子ゲル分散液の膜の厚みを容易に決定することができ、均一な厚みを有する高分子ゲル分散液の膜を得ることができるからである。その結果、均一な厚みを有するゲル膜を得ることができる。
型に高分子ゲル分散液を注入した後、振とうする方法の場合、振とう方法としては、特に限定されるものではなく、公知の振とう方法を適用することができる。例えば、振とう機を用いる方法が挙げられ、水平往復式、旋回式、シーソー式、8の字運動式等の振とう方式を適用することができる。
高分子ゲル分散液膜の厚みは、高分子ゲルの種類、ゲル膜の用途、目的とするゲル膜の厚み、高分子ゲル分散液の固形分濃度等に応じて、適宜設定することができる。
2.乾燥工程
本開示においては、上記高分子ゲル分散液膜形成工程後に、高分子ゲル分散液膜を乾燥させることにより高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去し、ゲル膜を得る乾燥工程を行う。また、乾燥工程において、少なくとも、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、乾燥環境の平均相対湿度を35%RH以上に保持する。
乾燥工程において、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、平均相対湿度35%RH以上の環境下とし、好ましくは平均相対湿度45%RH以上の環境下とする。平均相対湿度が上記範囲であることにより、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間、高分子ゲル分散液膜の乾燥速度を遅くすることができ、ゲル膜に、基材からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れが生じるのを抑制することができる。
また、乾燥工程において、平均相対湿度が高い場合、高分子ゲル分散液膜の乾燥速度が遅くなるため、乾燥に長時間を要し、製造効率の低下をもたらすおそれがある。そのため、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間、平均相対湿度65%RH以下の環境下とすることが好ましい。平均相対湿度が上記範囲であることにより、製造効率を良くすることができる。
なお、「高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間」とは、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから、乾燥終了時までのことをいう。
高分子ゲル分散液膜の乾燥が終了し、ゲル膜が得られたことは、高分子ゲル分散液膜の粘着性がなくなっていることを評価することでも確認できる。
すなわち、乾燥工程では、高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから、乾燥終了時まで、乾燥環境の平均相対湿度を上記範囲とすることにより、基材からの部分的な剥離やシワ等によるゲル膜の変形、割れが生じるのを抑制し、また、製造効率を良くすることができる。
高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下であれば、乾燥工程後、後述するように基材からゲル膜を破損なく容易に剥離することができる。また、高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下である場合には、粘着性がなくなっているため、後工程でのゲル膜の取扱い性が良くなり、例えば加熱工程においては、加熱装置等からゲル膜が剥がれにくくなるのを防ぐことができる。
なお、高分子ゲル分散液膜の含水率は、高分子ゲル分散液膜の重量変化により測定する。高分子ゲル分散液膜の重量変化は、例えば乾燥減量法により測定することができる。
例えば、株式会社アクタック製の水分/揮発分固形分測定装置マーク3を用いることができる。まず、高分子ゲル分散液膜からサンプルを採取し、サンプルの重量を計測することができる。サンプルは、例えば約0.2gとする。
次いで、サンプルを加熱する。この際、加熱開始温度を25℃に設定し、100℃まで昇温した後、重量変動率が0.05%/分になった時点で加熱終了とする。そして、加熱後のサンプルの重量を計測する。含水率は、下記式により求められる。
含水率(%)=(a-b)/a×100
(上記式中、aは加熱前のサンプルの重量、bは加熱後のサンプルの重量を表す。)
また、高分子ゲル分散液膜の粘着性がないことは、高分子ゲル分散液膜の表面に無塵紙(クリーンルーム用紙CP-01HA4、(株)オストリッチダイヤ製)を、0.25~2.5g/cm の圧力で1分間接触させた場合に、無塵紙が分散媒でにじまないことを目視で確認すること、あるいは、ゲル分散液膜表面に加圧による跡がつかないことを目視で確認することで、評価することができる。
また、乾燥工程は、平均相対湿度35%RH以上の環境下で行うことが好ましく、平均相対湿度45%RH以上の環境下で行うことがさらに好ましい。乾燥工程全体で、平均相対湿度が上記範囲であることにより、高分子ゲル分散液膜の乾燥速度を遅くすることができ、ゲル膜に、剥がれ、シワ等の変形、割れが生じるのを抑制することができる。
また、乾燥工程は、平均相対湿度65%RH以下の環境下で行うことが好ましい。乾燥工程全体で、乾燥環境の平均相対湿度が上記範囲であることにより、製造効率を良くすることができる。
ここで、平均相対湿度は、高分子ゲル分散液膜を形成した基材から10cm離れた場所にハイグロクロン(株式会社KNラボラトリーズ製)を設置して1分毎に相対湿度を計測し、相対湿度の実測値を平均した値とする。
乾燥工程において、相対湿度は、一定としてもよく、経時的に変化させてもよい。
また、乾燥工程において、高分子ゲル分散液膜を風にさらすことが好ましい。高分子ゲル分散液膜の分散媒が除去される過程において、基材近傍に分散媒が滞留すると高分子ゲル分散液膜から分散媒が除去されにくくなってしまうが、高分子ゲル分散液膜を風にさらすことで基材近傍に分散媒が滞留することを防ぐことが出来るからである。この場合、乾燥工程を、風速0.1m/秒以上、2.0m/秒以下の環境下で行うことが好ましく、風速0.1m/秒以上、1.5m/秒以下の環境下で行うことがより好ましい。風速が上記範囲であることにより、製造効率を高めることができる。一方、風速が大きすぎると、枚葉方式では基材が吹き飛ばされてしまうおそれがあり、連続方式では長尺状の高分子ゲル分散液膜にかかる負荷が大きく、高分子ゲル分散液膜が充分に乾燥しない状態で長尺状の高分子ゲル分散液膜が暴れてしまい、均一な厚みのゲル膜が得られなくなるおそれがある。
乾燥工程において、風速は、一定としてもよく、経時的に変化させてもよい。
高分子ゲル分散液膜の乾燥方法としては、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な高分子ゲルの乾燥方法を適用することができる。例えば、常温乾燥、加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥の場合、乾燥時間を短縮することができ、製造効率を向上させることができる。また、乾燥方法は、枚葉方式であってもよく、連続方式であってもよい。
ここで、常温とは、23℃±7℃をいう。常温乾燥の場合、温度は、20℃以上、25℃以下の範囲内であることが好ましい。
加熱乾燥の場合、温度は、基材が耐熱性を有する温度であることが好ましい。具体的には、温度は、基材の材料の荷重たわみ温度よりも低いことが好ましい。具体的には、温度は、15℃以上、80℃以下が好ましく、20℃以上、45℃未満がより好ましい、温度が上記範囲内であることにより、ゲル膜にシワ等の変形や割れが生じるのを抑制しつつ、製造効率を高めることができる。
中でも、常温乾燥が好ましい。ゲル膜にシワ等の変形や割れが生じるのを効果的に抑制することができる。
乾燥工程において、温度は、一定としてもよく、経時的に変化させてもよい。
高分子ゲル分散液膜を枚葉方式で乾燥する際には、高分子ゲル分散液膜を一枚ずつ乾燥させてもよく、複数の高分子ゲル分散液膜を同時に乾燥させてもよい。複数の高分子ゲル分散液膜を同時に乾燥させる場合には、製造効率や作業効率を向上させることができる。
複数の高分子ゲル分散液膜を同時に乾燥させる場合には、複数の高分子ゲル分散液膜を、風速が上述の範囲内となる環境下で乾燥させることが好ましい。すなわち、複数の高分子ゲル分散液膜を同時に乾燥させる場合、高分子ゲル分散液膜の位置によって乾燥状態が異なる場合が生じるが、いずれの高分子ゲル分散液膜も、風速が上述の範囲内となる環境下で乾燥させることが好ましい。
複数の高分子ゲル分散液膜を、風速が上述の範囲内となる環境下で乾燥させるために、例えば、複数の高分子ゲル分散液膜を乾燥台や乾燥棚に配置し、風力源から離して配置することができる。
3.剥離工程
本開示においては、上記乾燥工程後に、上記ゲル膜を上記基材から剥離する剥離工程を行うことができる。
ゲル膜を基材から剥離する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、物理的手法により基材からゲル膜を剥離する方法が挙げられる。
4.加熱工程
本開示においては、上記乾燥工程後、上記ゲル膜を加熱する加熱工程を行うことが好ましい。加熱工程を行うことにより、ゲル膜の強度を向上させることができる。これにより、本開示のゲル膜の製造方法により製造されるゲル膜を、種々の用途に応用することが可能となる。
図5(a)~(e)は、本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図である。まず、図5(a)に示すように、高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材1の一方の面に、高分子ゲル分散液膜2aを形成する。次いで、図5(b)に示すように、高分子ゲル分散液膜2aを乾燥させることにより高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去し、乾燥後のゲル膜2bを得る。続いて、図5(c)に示すように、乾燥後のゲル膜2bを基材1から剥離する。次に、図5(d)に示すように、一対の熱板31の間に乾燥後のゲル膜2bを挟んで加熱する。なお、図5(d)に示す例においては、熱板による熱プレスを行っているが、これに限定されるものではない。このようにして、図5(e)に示すように、加熱後のゲル膜2cを得ることができる。
図6は、本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図であり、ロールツーロール方式の製造方法の例である。図6においては、巻出ロール21から基材1を巻出し、バックアップロール23で支持された基材1の面に、ダイ22から高分子ゲル分散液を流延し、高分子ゲル分散液膜2aを得る。次いで、高分子ゲル分散液膜2aが形成された基材1は、ガイドロール31により搬送され、乾燥手段24にて高分子ゲル分散液膜2aを乾燥させることにより高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去し、乾燥後のゲル膜2bを得る。次いで、乾燥後のゲル膜2bが形成された基材1は、ガイドロール33により搬送され、加熱手段25にて乾燥後のゲル膜2bが加熱される。その後、加熱後のゲル膜2cが形成された基材1は、セパレータ32にて基材1および加熱後のゲル膜2cに分離されたのち、基材1および加熱後のゲル膜2cの搬送方向が変えられ、基材1は基材用巻取ロール26に巻取られ、加熱後のゲル膜2cはガイドロール34を経てゲル膜用巻取ロール27に巻取られることで、基材1から加熱後のゲル膜2cが剥離される。このようにして、加熱後の長尺状のゲル膜2cを得ることができる。
なお、図6に示す例においては、加熱工程および剥離工程の順に行っているが、これに限定されるものではなく、剥離工程および加熱工程の順に行ってもよい。
図7は、本開示のゲル膜の製造方法の他の例を示す工程図であり、ロールツーシート方式の製造方法の例である。図7に示す例は、図6に示す例において、剥離工程後に、ゲル膜を断裁する断裁工程を行う例である。すなわち、図7において、加熱後のゲル膜2cは、ガイドロール34により搬送され、断裁手段28にて断裁される。このようにして、加熱後の枚葉状のゲル膜2cを得ることができる。
また、図示しないが、図3に示すように、ゲル膜2bを断裁した後、加熱してもよい。
ゲル膜を加熱する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な高分子ゲルの加熱方法を適用することができる。加熱方法は、枚葉方式であってもよく、連続方式であってもよい。加熱方法としては、例えば、熱板や熱ロールによる熱プレス法、赤外線加熱、オーブン加熱、ホットプレート加熱等が挙げられる。
中でも、熱板による熱プレス法が好ましい。すなわち、熱板を用いてゲル膜を熱プレスすることが好ましい。ゲル膜にシワ、うねり(ゲル膜の表面に発生する巨視的な凹凸形状)、カール等の変形が生じることを抑制することができる。そのため、平滑性に優れるゲル膜を得ることができる。したがって、取り扱い性が良く、生体等の適用対象との密着性が良好なゲル膜を得ることができる。これにより、ゲル膜を使用する際には、ゲル膜の性能を十分に発揮させることが可能となる。また、熱板による熱プレスでは、複数のゲル膜を積層して一括して加熱することができ、製造効率を高めることができる。
熱板は、平板である。熱板が平板であることにより、巨視的な凹凸の少ない、平滑性に優れるゲル膜を得ることができる。
熱板による熱プレスの場合、ゲル膜は熱板に直に接しないように配置されていることが好ましい。すなわち、ゲル膜と熱板との間に離型シートや緩衝シート等が配置されていることが好ましい。
一般に、熱板による熱プレスでは、例えば図8に示すように、対象物に均一に熱および圧力を加えるため、さらには対象物を保護し、熱板から対象物を容易に剥離することができるように、対象物(ここでは、ゲル膜2b)と熱板41との間に緩衝シート43、ステンレス板44および離型シート42が配置される。図8に示す例においては、ゲル膜2b同士の密着を防ぐために、ゲル膜2bの間にも離型シート42が配置されている。
離型シートおよび緩衝シート等としては、熱プレスにおける一般的な熱プレス温度に対して耐熱性を有するものを使用することができる。離型シートおよび緩衝シート等の材料としては、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等のゴム、紙等が挙げられる。
ゲル膜を加熱する際には、ゲル膜を一枚ずつ加熱してもよく、複数のゲル膜を積層して一括して加熱してもよい。複数のゲル膜を積層して一括して熱プレスする場合には、製造効率や作業効率を向上させることができる。
複数のゲル膜を積層して一括して加熱する方法としては、上述の加熱方法のうち、例えば、熱板による熱プレス法、オーブン加熱等が挙げられる。
複数のゲル膜を積層して一括して加熱する場合には、ゲル膜同士の密着を防ぐために、各ゲル膜の間に離型シートを配置することが好ましい。
離型シートの材料としては、上述したように、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等のゴム、紙等が挙げられる。紙としては、具体的には、無塵紙等を用いることができる。
加熱温度としては、ゲル膜の強度を高めることができる温度であれば特に限定されるものではなく、高分子ゲルの種類、本開示のゲル膜の製造方法の工程順や方式等に応じて適宜設定することができる。
例えば、加熱工程および剥離工程の順に行う場合、加熱温度は、基材が耐熱性を有する温度であることが好ましい。具体的には、加熱温度は、基材の材料の荷重たわみ温度よりも低いことが好ましい。
また例えば、高分子ゲルが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含む場合、加熱温度は、100℃以上、200℃未満の範囲内とすることができ、中でも、120℃以上、160℃以下の範囲内であることが好ましい。加熱温度が低すぎると、ゲル膜の強度を十分に高めることができない場合がある。また、加熱温度が高すぎると、高分子ゲルが劣化するおそれがある。
ゲル膜の加熱後は、冷却を行うことが好ましい。
冷却環境の温度としては、加熱後のゲル膜の温度を加熱温度以下に冷却することができればよく、特に限定されない。
また、冷却環境の相対湿度としては、40%RH以上、60%RH以下とすることが好ましい。中でも、相対湿度40%RH以上、60%RH以下の環境下に1時間以上静置することが好ましい。加熱後のゲル膜は含水率が低下しており、ゲル膜に力がかかると破損し易いからである。冷却環境の相対湿度が低すぎると、ゲル膜が充分に含水することができず、ゲル膜に力がかかると破損し易い状態のままとなってしまう場合がある。また、相対湿度が高すぎると、ゲル膜が含水し過ぎてしまうことで、ゲル膜にシワが生じたり、うねりが生じたりする場合がある。上記範囲内の相対湿度の環境下で上記時間以上静置することによって、ゲル膜の含水率が適切な範囲におさまるため、ゲル膜が容易に破損したり、ゲル膜にシワが生じたりするのを抑制することができる。
剥離工程および加熱工程は順不同に行うことができる。剥離工程および加熱工程の順序は、本開示のゲル膜の製造方法の方式や、基材の種類および耐熱性等に応じて適宜決定することができる。
剥離工程および加熱工程の順に行う場合には、例えば、加熱工程にて、複数のゲル膜を積層して一括して加熱することができ、製造効率を高めることができる。
また、例えば基材の耐熱性が比較的低い場合には、剥離工程および加熱工程の順に行うことが好ましい。基材の耐熱性が比較的低い場合であっても、加熱工程では、既に基材が剥離されていることから、基材の耐熱性に関係なく、加熱温度を設定することができる。
また、例えば高分子ゲル分散液膜形成工程が枚葉方式であり、基材として平らな容器を用いる場合には、剥離工程および加熱工程の順に行うことが好ましい。容器内にゲル膜が製膜されている場合、ゲル膜の熱プレスが困難になるからである。
一方、加熱工程および剥離工程の順に行う場合には、加熱工程にて、ゲル膜が基材に支持された状態、すなわちゲル膜が基材に密着した状態で、ゲル膜を加熱することができる。基材に密着した状態のゲル膜を複数枚一括して加熱する場合には、基材が離型シートとして機能するため、必ずしも離型シートを必要とせず、加熱によるゲル膜の変形を抑制することができる。
また、例えばゲル膜の製造方法がロールツーロール方式またはロールツーシート方式である場合において、加熱工程および剥離工程の順に行う場合には、加熱工程にて、基材にテンションをかけたまま加熱することができ、ゲル膜に直接テンションをかける必要が無い。そのため、ゲル膜に直接テンションをかけたことに起因するシワ等の変形がゲル膜に残存してしまったり、割れが発生してしまったりするのを抑制することができる。
5.脱泡工程
本開示においては、高分子ゲル分散液膜形成工程前に、高分子ゲル分散液を脱泡する脱泡工程を行ってもよい。巨視的に気泡の少ないゲル膜を得ることができるからである。その結果、気泡による凹凸の少ない、巨視的に平滑性に優れるゲル膜を得ることができる。
高分子ゲル分散液を脱泡する方法としては、高分子ゲル分散液中の気泡を除去することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、真空脱泡等を用いることができる。また、予め高分子ゲル分散液に消泡剤を添加する方法等を用いることもできる。
6.他の工程
本開示のゲル膜の製造方法は、上記の工程の他に、他の工程を有していてもよい。他の工程としては、例えば、上記剥離工程後に、上記ゲル膜を断裁する断裁工程や、上記剥離工程および加熱工程後、または断裁工程を行う場合には断裁工程後に、上記ゲル膜を梱包する梱包工程や、梱包工程後に、上記ゲル膜を滅菌する滅菌工程等が挙げられる。特に、ゲル膜が生体適合性を有するゲル膜である場合は、滅菌工程を行うことが好ましい。
断裁工程において、ゲル膜を断裁する方法としては、ゲル膜を所定の寸法に切り出すことができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な断裁方法を適用することができる。
ゲル膜を断裁する際には、ゲル膜に割れが生じないように、湿度を比較的高くすることが好ましく、例えば45%RH~60%RHとすることができる。
断裁工程は、乾燥工程後であれば、加熱工程前に行ってもよく、加熱工程後に行ってもよい。
梱包工程において、ゲル膜を梱包する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な梱包方法を適用することができる。
また、滅菌工程において、ゲル膜を滅菌する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な滅菌方法を適用することができる。例えば、ガンマ線滅菌等を用いることができる。
7.ゲル膜
本開示のゲル膜の製造方法により製造されるゲル膜は、単層であることが好ましい。
本開示のゲル膜の製造方法により製造されるゲル膜の厚みは、高分子ゲルの種類、ゲル膜の用途等に応じて、適宜設定することができる。例えば、ゲル膜の厚みは、40μm以上、80μm以下程度とすることができる。
また、ゲル膜の片面または両面に、保護シートを配置してもよい。ゲル膜の取扱いが容易になるからである。
8.用途
本開示のゲル膜の製造方法により製造されるゲル膜は、所望の用途に用いることができる。ゲル膜が生体適合性を有するゲル膜である場合には、例えば、医療材料、化粧料、美容材料等に用いることができる。中でも、ゲル膜が生体適合性を有する場合、医療材料に好適である。医療材料としては、具体的には、癒着防止材、創傷被覆材、医療器具の表面被覆材、再生医療用足場材、薬物徐放剤の担体、止血材、人工皮膚等が挙げられる。
B.ゲル膜
本開示のゲル膜は、高分子ゲルを含み、上記高分子ゲルが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含むゲル、または、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとの共重合体であるゲルであり、上記ゲル膜の含水率が、3%以上、25%以下の範囲内である、ゲル膜である。
本開示によれば、ゲル膜の含水率が上記範囲内であることにより、ゲル膜が容易に破損したり、ゲル膜にシワが生じたりするのを抑制することができる。
以下、本開示のゲル膜について説明する。
ゲル膜の含水率が高い場合は、基材からゲル膜を剥離する場合にゲル膜の破損や変形が生じ易い傾向にある。ゲル膜の含水率が低い場合は、基材からゲル膜を剥離する前にゲル膜に亀裂が入ってしまったり、基材から剥離したゲル膜が割れ易く取扱いが困難になったりする傾向が有る。
ゲル膜の含水率は、3%以上、25%以下の範囲内であり、好ましくは10%以上、25%以下の範囲内であり、より好ましくは11%以上、22%以下の範囲内であり、ゲル膜の含水率がこの範囲にあることにより、基材からゲル膜を剥離するまでにゲル膜の破損や変形が生じ難く、基材から剥離したゲル膜の取扱が容易なゲル膜を得る事ができる。
ここで、ゲル膜の含水率は、重量変化により測定でき、株式会社アクタック製の水分/揮発分固形分測定装置マーク3を用いて測定する。
まず、高分子ゲル分散液膜からサンプルを採取し、サンプルの重量を計測する。サンプルは、例えば約0.2gとする。
次いで、サンプルを加熱する。この際、加熱開始温度を25℃に設定し、100℃まで昇温した後、重量変動率が0.05%/分になった時点で加熱終了とする。そして、加熱後のサンプルの重量を計測する。含水率は、下記式により求められる。
含水率(%)=(a-b)/a×100
(上記式中、aは加熱前のサンプルの重量、bは加熱後のサンプルの重量を表す。)
また、ゲル膜は、所定の強度を有することが好ましい。ゲル膜の強度としては、例えば、ゲル膜の膨潤率や、ゲル膜の加熱分解時間を指標とすることができる。
ゲル膜の膨潤率は、ゲル膜にガンマ線滅菌を施した段階において、例えば100%以上、130%以下の範囲内であることが好ましく、100%以上、125%以下の範囲内であることがより好ましい。膨潤率が上記範囲内であることにより、膨潤によってゲル膜が脆化するのを抑制し、取り扱い性を良くすることができる。一方、膨潤率が高すぎると、膨潤によってゲル膜が脆化し、ゲル膜が壊れやすくなるおそれがある。例えば架橋密度が高い場合にはゲル膜の膨潤率が低く、また架橋密度が低い場合にはゲル膜の膨潤率が高くなる。そのため、ゲル膜の膨潤率が高いと、架橋密度が低くなり、所望の強度が得られない場合がある。
ここで、ゲル膜の膨潤率は、次の方法により求めることができる。まず、所定の寸法を有するゲル膜を準備する。ゲル膜の寸法は、短辺方向の長さが1cm、長辺方向の長さが5cmである短冊形状が好ましい。次に、ゲル膜を生理食塩水またはリン酸緩衝溶液(PBS)に室温にて30分間浸漬する。PBSを用いる場合は、pH7.2~7.6のPBSであればよい。その後、浸漬前および浸漬後のゲル膜の寸法の変化により、すなわち下記式により、膨潤率を求める。
膨潤率[%]=(短辺方向の寸法変動率+長辺方向の寸法変動率)/2
短辺方向の寸法変動率[%]=L2/L1×100
長辺方向の寸法変動率[%]=L4/L3×100
(L1は浸漬前のゲル膜の短辺方向の長さ、L2は浸漬後のゲル膜の短辺方向の長さ、L3は浸漬前のゲル膜の長辺方向の長さ、L4は浸漬後のゲル膜の長辺方向の長さを表す。)
なお、膨潤率が100%であるとは、浸漬前後でゲル膜の寸法の変化がないことを示す。
また、ゲル膜の加熱分解時間は、例えば150分以上、240分以下の範囲内であることが好ましく、170分以上、220分以下の範囲内であることがより好ましい。ここで、ゲル膜の加熱分解時間は、生体内でのゲル膜の分解時間の指標となる。ゲル膜は生体内に一定期間存在し、その後は生体内で分解され、排泄または代謝される。ゲル膜の加熱分解時間が上記範囲内であることにより、生体内でのゲル膜の分解時間を所望の時間に設定することができる。また、ゲル膜の加熱分解時間は、ゲル膜の架橋構造と相関があり、例えば架橋密度が高くなると、加熱分解時間が長くなり、また架橋密度が低くなると、加熱分解時間が短くなる。そのため、ゲル膜の加熱分解時間が短いと、架橋密度が低くなり、所望の強度が得られない場合がある。
ここで、ゲル膜の加熱分解時間は、次の方法により求めることができる。まず、ゲル膜を1cm×2cmのサイズに切り出し、試験片を準備する。次に、試験片をリン酸緩衝溶液(PBS)に浸漬し、90℃に加熱する。リン酸緩衝溶液中の試験片が、目視できなくなるまでに要した時間を加熱分解時間とする。
本開示のゲル膜は、上述のゲル膜の製造方法により製造することができる。
ゲル膜に所定の強度を付与するためには、上述したように、乾燥工程後に、加熱工程を行うことが好ましい。
なお、高分子ゲル、ならびにゲル膜の厚みや特性等のその他の点については、上述の「A.ゲル膜の製造方法」の項に記載したので、ここで説明は省略する。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
縮合剤としてEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride)を用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.5質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Aを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を4個準備し、得られた高分子ゲル分散液Aを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Aを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Aを、20℃、55%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Aを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.51~0.66m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は20.0~20.8℃、相対湿度の実測値は52.9~59.5%RH、平均相対湿度は57.1%RHであった。
得られたゲル膜Aはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例2]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Bを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を16個準備し、得られた高分子ゲル分散液Bを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Bを得た。得られた高分子分散液膜Bを、平均温度および平均相対湿度が23.1℃、45.3%RHの室内に540分間(9時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Bを得た。各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.85~1.36m/秒であった。なお、乾燥中の室内の温度の実測値は21.9~24.0℃、相対湿度の実測値は41.5~50.3%RHであった。
得られたゲル膜Bはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例3]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.5質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Cを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を8個準備し、得られた高分子ゲル分散液Cを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Cを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Cを、20℃、38%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Cを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.42~0.75m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は20.3~21.2℃、相対湿度の実測値は36.3~41.5%RH、平均相対湿度は37.8%RHであった。得られたゲル膜Cはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例4]
縮合剤としてEDCを用い、カルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させて、高分子ゲル分散液Dを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を2個準備し、得られた高分子ゲル分散液Dを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Dを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Dを、20℃、30%RHに設定した恒温恒湿槽内に270分間(4.5時間)静置した。この時点で2個の容器のうち片方の含水率を測定したところ、含水率は84%であった。その後、他方の容器を恒温恒湿槽内に静置したまま、恒温恒湿槽の相対湿度の設定値を45%RHに上げ、引き続き945分(15.75時間)静置して、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Dを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.42~0.75m/秒だった。なお、乾燥開始から270分間の恒温恒湿槽の温度の実測値は20.7~22.2℃、相対湿度の実測値は25.3~33.1%RH、平均相対湿度は28.2%RHであり、270分以降の945分間における恒温恒湿槽の温度の実測値は21.6~23.8℃、相対湿度の実測値は35.6~42.7%RH、平均相対湿度は39.6%RHであった。
得られたゲル膜Dはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[比較例1]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.5質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Eを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器8個準備し、得られた高分子ゲル分散液Eを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Eを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Eを、20℃、30%RHに設定した恒温恒湿槽内に1380分間(23時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Eを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.42~0.75m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は19.5~21.5℃、相対湿度の実測値は27.1~35.6%RH、平均相対湿度は29.7%RHであった。
得られたゲル膜Eはいずれも、ゲル膜に割れが生じていた。
[比較例2]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Fを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を2個準備し、得られた高分子ゲル分散液Fを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Fを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Fを、平均温度および平均相対湿度が26.2℃、16.2%RHの室内に1380分間(23時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Fを得た。
室内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.61~0.78m/秒であった。乾燥中の室内の温度の実測値は22.7~26.8℃、相対湿度の実測値は10.5~25.9%RHであった。
得られたゲル膜Fはいずれも、ゲル膜に割れが生じていた。
[評価1](ゲル膜の評価)
実施例1~4および比較例1~2の結果を表1に示す。表1の外観評価は下記の通りである。
○:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じなかった。
×:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じた。
Figure 0007311983000001
上記の結果から、乾燥工程での平均相対湿度が35%RH以上であれば、均一な厚みを有し、平滑な膜を得られることが確認された。
[実施例5]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に1.8質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Gを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を1個準備し、得られた高分子ゲル分散液Gを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Gを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Gを、平均温度および平均相対湿度が22.6℃、44.1%RHの室内に720分間(12時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜G1を得た。各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.30m/秒であった。なお、乾燥中の室内の温度の実測値は21.1~24.0℃、相対湿度の実測値は38.0~46.5%RHであった。
得られたゲル膜G1は、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例6]
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を1個準備し、実施例5で得られた高分子ゲル分散液Gを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Gを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Gを、平均温度および平均相対湿度が22.6℃、44.1%RHの室内に720分間(12時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜G2を得た。各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は1.35m/秒であった。なお、乾燥中の室内の温度の実測値は21.1~24.0℃、相対湿度の実測値は38.0~46.5%RHであった。
得られたゲル膜G2は、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例7]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Hを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を2個準備し、得られた高分子ゲル分散液Hを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Hを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Hを、平均温度および平均相対湿度が23.4℃、42.7%RHの室内に360分間(6時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Hを得た。各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は4.45m/秒であった。なお、乾燥中の室内の温度の実測値は22.0~24.5℃、相対湿度の実測値は39.4~47.7%RHであった。
得られたゲル膜Hはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[評価2]
実施例5~7の結果を表2に示す。表2の外観評価は下記の通りである。
○:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じなかった。
×:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じた。
Figure 0007311983000002
上記の結果から、乾燥工程での平均相対湿度が35%RH以上である場合において、平均風速が0.30~4.45m/秒の範囲内である場合に、均一な厚みを有し、平滑な膜を得られることが分かった。
[実施例8]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.0質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Iを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器4個を用意し、得られた高分子ゲル分散液Iをアクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Iを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Iを、38.0℃、57.0%RHに設定した恒温恒湿槽内に600分間(10時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Iを得た。アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.33m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽内の温度の実測値は38.7~39.3℃、相対湿度の実測値は52.3~54.8%RH、平均相対湿度は57.8%であった。
得られたゲル膜Iはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例9]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Jを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を2個準備し、得られた高分子ゲル分散液Jを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Jを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Jを、25.0℃、55.0RHに設定した恒温恒湿槽内に設置した40℃のホットプレート上に180分間(3時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Jを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.82m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は25.6~26.8℃、相対湿度の実測値は51.4~56.1%RH、平均相対湿度は53.2であった。
得られたゲル膜Jはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[実施例10]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Kを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を2個準備し、得られた高分子ゲル分散液を各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Kを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Kを、40.0℃、55.0%RHに設定した恒温恒湿槽内に設置した40℃のホットプレート上に180分間(3時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Kを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.82m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は38.7~39.3℃、相対湿度の実測値は52.3~54.8%RH、平均相対湿度は53.3%RHであった。
得られたゲル膜Kはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。
[評価3]
(乾燥条件と分散媒の除去に要する時間)
実施例8~10の結果から、ホットプレート等の熱源により、直接、高分子ゲル分散液膜を加熱することにより、分散媒の除去にかかる時間を大幅に削減することができることが分かった。実施例8~10の乾燥条件と乾燥時間を表3に示す。
実施例8~10の結果を表3に示す。表3の外観評価は下記の通りである。
○:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じなかった。
×:ゲル膜に、基材からの剥がれやシワ等による変形、割れ等が生じた。
Figure 0007311983000003
[実施例11]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.05質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Lを調製した。
エキシマUVを8秒照射した内寸140mm×140mm、深さ3mmのポリスチレン製容器を1個準備し、得られた高分子ゲル分散液Lを各ポリスチレン製容器に注ぎ、アプリケータを用いて均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Lを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Lを、20℃、45%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Lを得た。恒温恒湿槽内で、各ポリスチレン製容器に対する平均風速は0.35~0.38m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は17.9~22.9℃、相対湿度の実測値は40.7~46.2%RH、平均相対湿度は42.7%RHであった。
得られたゲル膜Lは、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。次に、カッターを用いてこのゲル膜を所望の大きさに切込をいれた後、容器からゲル膜の剥離を試みたところ、ゲル膜を破損させずに容器から剥離することが出来た。
[実施例12]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.05質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Mを調製した。
内寸160mm×160mm、深さ3mmの塩化ビニル製容器を1個準備し、得られた高分子ゲル分散液Mを各塩化ビニル製容器に注ぎ、アプリケータを用いて均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Mを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Mを、20℃、45%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Mを得た。恒温恒湿槽内で、各塩化ビニル製容器に対する平均風速は0.35~0.38m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は17.9~22.9℃、相対湿度の実測値は40.7~46.2%RH、平均相対湿度は42.7%RHであった。
得られたゲル膜Mは、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。次に、カッターを用いてこのゲル膜を所望の大きさに切込をいれた後、容器からゲル膜の剥離を試みたところ、ゲル膜を破損させずに容器から剥離することが出来た。
[実施例13]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.05質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Nを調製した。
内寸160mm×160mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を1個準備し、得られた高分子ゲル分散液Nを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Nを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Nを、20℃、45%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Nを得た。恒温恒湿槽内で、各アクリル製容器に対する平均風速は0.35~0.38m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は17.9~22.9℃、相対湿度の実測値は40.7~46.2%RH、平均相対湿度は42.7%RHであった。
得られたゲル膜Nは、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。次に、カッターを用いてこのゲル膜を所望の大きさに切込をいれた後、容器からゲル膜の剥離を試みたところ、ゲル膜を破損させずに容器から剥離することが出来た。
[実施例14]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.05質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Oを調製した。
内寸50mm×50mm、深さ3mmのガラス製容器を1個準備し、得られた高分子ゲル分散液Oを各ガラス製容器に注ぎ、アプリケータを用いて均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Oを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Oを、20℃、45%RHに設定した恒温恒湿槽内に1140分間(19時間)静置し、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Oを得た。恒温恒湿槽内で、各ガラス製容器に対する平均風速は0.35~0.38m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は17.9~22.9℃、相対湿度の実測値は40.7~46.2%RH、平均相対湿度は42.7%RHであった。
得られたゲル膜Oはいずれも、容器からの部分的な剥離やシワ等による変形、割れ等の不良が生じておらず、均一な厚みの平滑な膜であった。次に、カッターを用いてこのゲル膜を所望の大きさに切込をいれた後、容器からゲル膜の剥離を試みたところ、容器からゲル膜を剥離する過程において、ゲル膜が破損した。
[評価4]
(容器の表面の水に対する接触角)
容器の表面の水に対する接触角は、協和界面科学(株)製の接触角測定器Drop Master-700を用い、22Gのステンレスニードルを用いて1.5mLの純水の液滴を作製し、基材表面に液滴を接触させてから1000ミリ秒後の水に対する接触角を測定することで求めた。
実施例11~14の結果を表4に示す。表4の剥離評価は下記の通りである。
○:ゲル膜を破損させずに容器から剥離することが出来た。
△:容器からゲル膜を剥離する過程において、ゲル膜が破損した。
Figure 0007311983000004
上記の結果から、基材の表面の水に対する接触角が95°以下である場合、容器からの剥離、シワ等の変形、割れ等の不良の発生が抑制されることが確認された。また、水に対する接触角が低すぎると、具体的には30°未満になると、均一な厚みを有し、平滑なゲル膜は得られるものの、容器からゲル膜を剥離することが難しいことが分かった。
[実施例15]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2.2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Pを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を3個準備し、得られた高分子ゲル分散液Pを各アクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Pを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Pを、40.0℃、55.0%RHに設定した恒温恒湿槽内に設置した40℃のホットプレート上に静置した。各アクリル樹脂製容器に対する平均風速は0.61~0.78m/秒であった。なお、乾燥中の恒温恒湿槽の温度の実測値は38.5~40.4℃、相対湿度の実測値は49.3~59.8%RHの範囲であった。
[評価5]
実施例15について、高分子ゲル分散液の膜を乾燥してゲル膜Pを得る過程において、乾燥開始から4.25時間経過時点、5.5時間経過時点、6.6時間経過時点の高分子ゲル分散液膜を採取し、含水率と粘着性の評価を行った。含水率の評価、ならびに粘着性の評価方法について、以下に示す。
(含水率の評価)
株式会社アクタック製の水分/揮発分固形分測定装置マーク3を用いて含水率を測定した。まず、高分子ゲル分散液膜から約0.2gのサンプルを採取し、サンプルの重量を計測した。次いで、サンプルを加熱した。この際、加熱開始温度を25℃に設定し、100℃まで昇温した後、重量変動率が0.05%/分になった時点で加熱終了とした。含水率は、下記式により求めた。
含水率(%)=(a-b)/a×100
(上記式中、aは加熱前のサンプルの重量、bは加熱後のサンプルの重量を表す。)
実施例15の各時間経過時点に付き3サンプルを測定し、実測された含水率の平均値をその時間経過時点における高分子ゲル分散液膜の平均含水率として算出した。
(粘着性の評価)
各時間経過時点の高分子ゲル分散液膜の表面に、無塵紙(クリーンルーム用紙CP-01HA4、(株)オストリッチダイヤ製)を、0.25~2.5g/cm の圧力で1分間接触させた。その後、無塵紙に滲みが生じているか、または、ゲル分散液膜表面に無塵紙が加圧された痕跡があるかを、目視で確認した。
同様にして、実施例1、3にて乾燥終了して得られたゲル膜において、含水率、ならびに粘着性の評価を行った。表5に、各評価結果を示す。表5の粘着性評価は下記の通りである。
○:膜に無塵紙を触れさせた場合に、無塵紙に滲みが無く、かつ、膜上に無塵紙が加圧された痕跡が目視確認できなかった。
×:膜に無塵紙を触れさせた場合に、無塵紙に滲みが生じた、または、膜上に無塵紙が加圧された痕跡が目視確認できた。
Figure 0007311983000005
[実施例16]
縮合剤としてEDCを用いてカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とを共重合させた高分子ゲルを、分散媒(水)に2質量%の割合で分散させ、高分子ゲル分散液Qを調製した。
内寸150mm×180mm、深さ3mmのアクリル樹脂製容器を準備し、得られた高分子ゲル分散液Qをアクリル樹脂製容器に注ぎ、アプリケータを用いて、均一な厚みの高分子ゲル分散液膜Qを得た。得られた高分子ゲル分散液膜Qを、25℃、55%RHに設定した恒温恒湿槽内に20時間静置して、高分子ゲル分散液に含まれる分散媒を除去することで、ゲル膜Qを製膜した。
その後、アクリル樹脂製容器からゲル膜を剥離した。アクリル樹脂製容器からのゲル膜の剥離は、小型打抜機III型(テスター産業(株)製)を用いてアクリル樹脂製容器に密着したゲル膜に146mm×176mmのサイズに切込をいれ、ゲル膜の切込端を支持しながらアクリル樹脂製容器からゲル膜を剥離することで行った。
[実施例17]
実施例16と同様にしてゲル膜Qを得て、アクリル樹脂製容器から剥離した。次に、ゲル膜に加熱処理を行った。加熱処理は、無塵紙(クリーンルーム用紙CP-01HA4、(株)オストリッチダイヤ製)にて挟持したゲル膜を、温度150℃に加熱した熱板を用いて、0.013kN/cmの圧力をかけて600秒間熱プレスすることで行った。
[評価6]
実施例16、17により得られたゲル膜に関し、それぞれ25kGyのガンマ線を照射した後における膨潤率、ならびに膨潤時の脆性を以下の様にして評価した。
(膨潤率)
各実施例で得られたゲル膜から、短辺方向の長さが1cm、長辺方向の長さが5cmである短冊形状の試験片を切り出した。次に、試験片を生理食塩水に室温にて30分間浸漬した。その後、浸漬前および浸漬後の試験片の寸法の変化により、すなわち下記式により、膨潤率を求めた。
膨潤率[%]=(短辺方向の寸法変動率+長辺方向の寸法変動率)/2
短辺方向の寸法変動率[%]=L2/L1×100
長辺方向の寸法変動率[%]=L4/L3×100
(L1は浸漬前の試験片の短辺方向の長さ、L2は浸漬後の試験片の短辺方向の長さ、L3は浸漬前の試験片の長辺方向の長さ、L4は浸漬後の試験片の長辺方向の長さを表す。)
(膨潤時の脆性)
各実施例で得られたゲル膜を、上記膨潤率の測定と同様に生理食塩水に30分間浸漬したときのゲル膜の脆性を評価した。
〇:浸漬中のゲル膜をピンセットで摘み、生理食塩水中で軽く揺らした場合でも、ゲル膜が崩れない
△:浸漬中のゲル膜をピンセットで摘んだ際に、ゲル膜が崩れる
実施例16、17により得られたゲル膜に関し、ガンマ線を照射した後における膨潤率、ならびに膨潤時の脆性を、表6に示す。
Figure 0007311983000006
1 … 基材
2a … 高分子ゲル分散液膜
2b … 乾燥後のゲル膜
2c … 加熱後のゲル膜

Claims (9)

  1. 高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材の一方の面に、高分子ゲル分散液膜を形成する高分子ゲル分散液膜形成工程と、
    前記高分子ゲル分散液膜を乾燥させることにより、前記分散媒を除去し、ゲル膜を得る乾燥工程と、を有し、
    前記乾燥工程において、少なくとも、前記高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、平均相対湿度を35%RH以上とする、ゲル膜の製造方法であって、
    前記乾燥工程を、風速0.1m/秒以上、2.0m/秒以下の環境下で行う、ゲル膜の製造方法。
  2. 前記乾燥工程では、複数の前記高分子ゲル分散液膜を、風速0.1m/秒以上、2.0m/秒以下の環境下で枚葉状の基材をもちいて乾燥させる、請求項1に記載のゲル膜の製造方法。
  3. 高分子ゲルおよび分散媒を含む高分子ゲル分散液を用いて、基材の一方の面に、高分子ゲル分散液膜を形成する高分子ゲル分散液膜形成工程と、
    前記高分子ゲル分散液膜を乾燥させることにより、前記分散媒を除去し、ゲル膜を得る乾燥工程と、を有し、
    前記乾燥工程において、少なくとも、前記高分子ゲル分散液膜の含水率が85%以下になってから高分子ゲル分散液膜の含水率が25%以下となるまでの間は、平均相対湿度を35%RH以上とする、ゲル膜の製造方法であって、
    前記基材の表面の水に対する接触角が、30°以上、95°以下の範囲内である、ゲル膜の製造方法。
  4. 前記乾燥工程を、平均相対湿度35%RH以上の環境下で行う、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のゲル膜の製造方法。
  5. 前記乾燥工程を、平均相対湿度45%RH以上の環境下で行う、請求項4に記載のゲル膜の製造方法。
  6. 前記乾燥工程後に、前記ゲル膜を加熱する加熱工程を有する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載のゲル膜の製造方法。
  7. 前記加熱工程では、熱板を用いて前記ゲル膜を熱プレスする、請求項6に記載のゲル膜の製造方法。
  8. 前記高分子ゲルが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとを含むゲル、または、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩およびヒアルロン酸誘導体からなる群から選択される少なくとも1つと、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩およびカルボキシメチルセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1つとの共重合体であるゲルである、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のゲル膜の製造方法。
  9. 前記ゲル膜が、生体適合性を有するゲル膜である、請求項1から請求項8までのいずれかに記載のゲル膜の製造方法。
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