JP7311289B2 - 分子篩活性炭、吸着材及び吸着システム - Google Patents

分子篩活性炭、吸着材及び吸着システム Download PDF

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Description

本発明は、分子篩活性炭、吸着材及び吸着システムに関する。
ガスを分離させる方法は従来から種々知られている。代表的なガス分離方法としては、圧力スイング法(一般的に「PSA法」と称される)が挙げられる。PSA法は、2種類の混合ガスのそれぞれの吸着力の差を利用した分離方法であり、例えば、酸素と窒素、二酸化炭素とメタン、又は、窒素とメタン等の各種混合ガスから、一方のガスを分離できることが知られている。PSA法においては、いわゆる分子篩活性炭(CMS)と称される吸着材が使用される。この分子篩活性炭は、分離プロセスにおける速度分離型の吸着材として知られている材料である。近年では、分子篩活性炭の吸着性能をより向上させるべく、細孔分布を制御する方法について多くの研究が進められている。
例えば、特許文献1には、フェノール樹脂と、沸点が800℃以下である化合物とを含有する組成物を硬化処理した後、炭化処理してなる炭素材が開示されている。このように得られる炭素材では、表面に形成される細孔の量及び細孔径の制御が容易になるので、二酸化炭素とメタンとの混合ガスの分離が広範囲のモル比にわたって可能になる。
特開2006-96780号公報
しかしながら、最近ではパラフィンとオレフィンとの混合ガスを効率よく分離させることも求められているところ、これまでの炭素材ではガス吸着速度等が十分ではなく、大いに改善の余地が残されていた。効率的な分離を達成するには、パラフィンとオレフィンとの吸着速度の差を大きくすることが有効である。しかし、特許文献1等に開示されるような従来の炭素材では、パラフィンとオレフィンとの吸着速度の差を大きく広げることは困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ガス吸着の選択性に優れ、少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを効率よく分離することが可能である分子篩活性炭、吸着材及び吸着システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の入口径を有する細孔の総容積の割合を調節することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを分離処理するための分子篩活性炭であって、分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1を満たす、分子篩活性炭。
項2
ペレット状に形成されている、項1に記載の分子篩活性炭。
項3
前記ペレットの最大径が0.5~3mmであり、アスペクト比が1:1~1:5である、項2に記載の分子篩活性炭。
項4
石炭、やし殻、樹脂及び木炭からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の材料の炭化物で形成されている、項1~3のいずれか1項に記載の分子篩活性炭。
項5
前記混合ガスがメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン及びアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも2種を含む、項1~4のいずれか1項に記載の分子篩活性炭。
項6
前記混合ガスがエタン及びエチレン混合ガス、並びにエタン及びアセチレン混合ガスのいずれかであり、分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB1としたときに、B1/A1≦0.3を満たす、項5に記載の分子篩活性炭。
項7
前記混合ガスがプロパン及びプロピレン混合ガス、ブタン及び1-ブテン混合ガス、ブタン及び2-ブテン混合ガス、ブタン及び1,3-ブタジエン混合ガス並びにブタン及び1,2-ブタジエン混合ガスのいずれかであり、分子プローブ法により求められた0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A2≦0.3を満たす、項5に記載の分子篩活性炭。
項8
オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/100以下である、項6又は7に記載の分子篩活性炭。
項9
プロピレンの1/2平衡吸着時間がプロパンの1/2平衡吸着時間の1/2500以下である、項8に記載の分子篩活性炭。
項10
オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間が120分以下である、項6~9のいずれか1項に記載の分子篩活性炭。
項11
項1~10のいずれか1項に記載の分子篩活性炭を備える吸着材。
項12
項11に記載の吸着材を備える圧力スイング又は温度スイング吸着システム。
本発明に係る分子篩活性炭は、少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを分離処理するために使用され、炭化水素ガス吸着の選択性に優れ、混合ガスに含まれる少なくとも2種類の炭化水素から各炭化水素を効率よく分離することができる。
本発明に係る吸着材は、前記分子篩活性炭を備えるので、混合ガスに含まれる少なくとも2種類の炭化水素から各炭化水素を効率よく分離することができる。そのため、本発明に係る吸着材は、圧力スイング又は温度スイング吸着システムに好適に用いられる。
各実施例及び比較例の分子篩活性炭の吸着速度の測定装置概略図である。 各実施例及び比較例の分子篩活性炭の細孔分布を示すグラフである。 各実施例及び比較例の分子篩活性炭の、エタンおよびエチレンの吸着速度を示すグラフである。 各実施例及び比較例の分子篩活性炭の、プロパンおよびプロピレンの吸着速度を示すグラフである。 各実施例及び比較例の分子篩活性炭の、ブタンおよび1-ブテンの吸着速度を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.分子篩活性炭
分子篩活性炭は、少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを分離処理するために用いられる。特に、分子篩活性炭は、分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1を満たす。
本発明において、分子プローブ法とは、分子サイズが異なる二種以上のガス分子(分子プローブ)の分子篩活性炭に対する吸着等温線から、Dubinin-Astakhov式に基づいて、各々のガス分子の極限吸着容積を算出する方法をいう。分子プローブ法から算出された極限吸着容積が、そのガス分子の見かけ体積よりも大きな容積に対応すると仮定して、細孔径分布を求めることができる。
特に本発明では、T.A.Braymer,et al.,Carbon,Vol.32,445-452,1994に開示されるように、25℃、1気圧の雰囲気において分子篩活性炭にプローブ分子を吸着させ、平衡吸着後の分子篩活性炭の質量変化から、特定の入口径を有する細孔の総容積を算出することができる。
例えば、0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積A1、及び、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積B2を算出する場合は、それぞれ二硫化炭素(最小分子直径0.37nm)及びイソペンタン(最小分子直径0.49nm)を分子プローブとして使用する。また、後記する0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積A2、及び、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積B1を算出する場合は、それぞれ塩化メチレン(最小分子直径0.40nm)及びクロロホルム(最小分子直径0.46nm)を分子プローブとして使用する。
本発明の分子篩活性炭は、少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスにおいて、1種のガスを優先的に吸着することができる。詳述すると、例えば、2種類以上の炭化水素ガスの吸着において本発明の分子篩活性炭を使用した場合、ある1種の炭化水素ガスの吸着速度が、他の炭化水素ガスよりも顕著に大きい。これにより、ある1種の炭化水素ガスを優先的に吸着することができ、結果として、混合ガスに含まれる少なくとも2種類の炭化水素を効率よく分離処理することができる。
本発明の分子篩活性炭を使用した混合ガスの分離処理の態様は特に限定されない。例えば、本発明の分子篩活性炭を使用することで、2種以上パラフィンのみを含む混合ガスから1種類のパラフィンを分離することができる。また、2種以上オレフィンのみを含む混合ガスから1種類のオレフィンを分離することができる。また、1種のパラフィン及び1種のオレフィン混合ガスから、両者を分離処理することができる。また、2種以上のパラフィン及び1種のオレフィン混合ガスから、1種の炭化水素ガスを分離することもでき、逆に、1種のパラフィン及び2種以上のオレフィン混合ガスから、1種の炭化水素ガスを分離することもできる。さらには、2種以上のパラフィンと、2種のオレフィンとを含む混合ガスから、1種のパラフィン又はオレフィンを分離することもできる。また、これらの混合ガスに炭化水素以外のガスが含まれている場合においても、特定の炭化水素ガス又は炭化水素以外のガスを分離することができる。
特に本発明の分子篩活性炭では、炭素数が同じであるパラフィン及びオレフィン混合ガスにおいて、オレフィンの吸着速度がパラフィンの吸着速度よりも大きくなり得る。言い換えれば、本発明の分子篩活性炭では、オレフィンの吸着時間がパラフィンの吸着時間よりも短くなり得る。
分子篩活性炭は、B2/A1≦0.1(Aは分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積、Bは0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積)を満たす。これにより、ある1種の炭化水素ガスの吸着速度が、その他の種類の炭化水素ガスの吸着速度に比べて顕著に大きくなり、結果としてより効率的に特定の炭化水素ガスを分離することができる。
B2/A1≦0.09であることが好ましく、B2/A1≦0.08であることがより好ましく、B2/A1≦0.06であることが特に好ましい。B2/A1の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
本発明の分子篩活性炭の形状は特に限定されない。例えば、分子篩活性炭は、公知の吸着材として適用可能な形状とすることができる。例えば、分子篩活性炭は、ペレット状、基板状、棒状、ブロック状、球状、楕円球状、歪曲状、繊維状等が挙げられる。吸着特性が特に向上しやすく、加工が容易で強度も高く、充填密度も高くでき、種々の用途に適用しやすいという観点から、分子篩活性炭の形状はペレット状であることが好ましい。また、分子篩活性炭がペレット状である場合は、不必要な微粉が発生しにくいので、分子篩活性炭の成形工程において、配管等の閉塞も起こりにくい。
分子篩活性炭の形状がペレット状である場合、その平面視形状は、例えば、公知の吸着材として適用可能な形状とすることができる。例えば、ペレットは、平面視で円状、楕円状、矩形状、棒状、歪曲状等のいずれであってもよい。ペレットの厚みも特に限定されない。例えば、公知の吸着材と同様とすることができ、特に、圧力スイング又は温度スイング吸着システムに適用可能な厚みであることが好ましい。
分子篩活性炭の形状がペレット状である場合、最大径が0.5~3mmであり、アスペクト比が1:1~1:5であることが好ましい。この場合、圧力スイング又は温度スイング吸着システムに好適に使用することができる。
ここでいう最大径は、分子篩活性炭を無作為に30個採取し、これらの分子篩活性炭の最大径を平均した値を意味する。1個の分子篩活性炭の最大径及び後記最小径は、例えばノギス等で計測できる。
また、アスペクト比とは、1個の分子篩活性炭の最小径と最大径との比、つまり、分子篩活性炭の最小径:分子篩活性炭の最大径をいう。アスペクト比は、分子篩活性炭を無作為に30個採取し、これらの分子篩活性炭のアスペクト比を平均した値を意味する。
前記混合ガスの種類は特に限定されない。分子篩活性炭の吸着特性がより顕著に発揮される点においては、前記混合ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン及びアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも2種を含むことが好ましい。言い換えれば、混合ガスに含まれる炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン及びアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも2種であることが好ましい。これらの中でも、前記混合ガスは、炭素数の同じパラフィンおよびオレフィンの混合ガスであることが、分子篩活性炭の吸着特性がより顕著に発揮される点においてより好ましく、具体的には、前記混合ガスは、エタン及びエチレン混合ガス、プロパン及びプロピレン混合ガス、ブタン及び1-ブテン混合ガス、又はブタン及び2-ブテン混合ガスであることが、分子篩活性炭の吸着特性がより顕著に発揮される点において特に好ましい。
前記混合ガスが、エタン及びエチレン混合ガスである場合、分子プローブ法により求めた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB1としたときに、B1/A1≦0.3であることが好ましい。この場合、エチレンの吸着速度がエタンの吸着速度に比べて顕著に速くなり、より効率的にこれらを分離することができる。B1/A1≦0.1であることがより好ましく、B1/A1≦0.08であることがさらに好ましく、B1/A1≦0.06であることが特に好ましい。前記混合ガスが、エタン及びエチレン混合ガスである場合、B1/A1の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
前記混合ガスが、エタン及びアセチレン混合ガスである場合、分子プローブ法により求めた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB1としたときに、B1/A1≦0.3であることが好ましい。この場合、アセチレンの吸着速度がエタンの吸着速度に比べて顕著に速くなり、より効率的にこれらを分離することができる。B1/A1≦0.1であることがより好ましく、B1/A1≦0.08であることがさらに好ましく、B1/A1≦0.06であることが特に好ましい。前記混合ガスが、エタン及びアセチレン混合ガスである場合、B1/A1の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
前記混合ガスが、プロパン及びプロピレン混合ガスである場合、分子プローブ法により求めた0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A2≦0.3であることが好ましい。この場合、プロピレンの吸着速度がプロパンの吸着速度に比べて顕著に速くなり、より効率的にこれらを分離することができる。B2/A2≦0.1であることがより好ましく、B2/A2≦0.08であることがさらに好ましく、B2/A2≦0.06であることが特に好ましい。前記混合ガスが、プロパン及びプロピレン混合ガスである場合、B2/A2の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
前記混合ガスが、ブタン及び1-ブテン混合ガスである場合、分子プローブ法により求めた0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A2≦0.3であることが好ましい。この場合、1-ブテンの吸着速度がブタンの吸着速度に比べて顕著に速くなり、より効率的にこれらを分離することができる。B2/A2≦0.1であることがより好ましく、B2/A2≦0.08であることがさらに好ましく、B2/A2≦0.06であることが特に好ましい。前記混合ガスが、ブタン及び1-ブテン混合ガスである場合、B2/A2の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
前記混合ガスが、ブタン及び2-ブテン混合ガスである場合、分子プローブ法により求めた0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A2≦0.3であることが好ましい。この場合、2-ブテンの吸着速度がブタンの吸着速度に比べて顕著に速くなり、より効率的にこれらを分離することができる。B2/A2≦0.1であることがより好ましく、B2/A2≦0.08であることがさらに好ましく、B2/A2≦0.06であることが特に好ましい。前記混合ガスが、ブタン及び2-ブテン混合ガスである場合、B2/A2の下限は、例えば、0.005とすることができ、0.01であることが好ましい。
分子篩活性炭において、オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/100以下とすることができ、1/1000以下であることが好ましく、1/2500以下であることがより好ましい。この場合、分子篩活性炭の吸着特性は、特にオレフィンもしくはアルキンの吸着選択性に優れ、より効率的にパラフィンと、オレフィン又はアルキンとの混合ガスを分離することができる。
特に、前記混合ガスがエタン(パラフィン)及びエチレン(オレフィン)混合ガス、並びにエタン(パラフィン)及びアセチレン(アルキン)混合ガスのいずれかであって、B1/A1≦0.3を満たす場合、オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/100以下とすることができ、1/1000以下であることが好ましく、1/2500以下であることがより好ましく、1/5000以下であることがさらに好ましく、1/7500以下であることが特に好ましい。これにより、分子篩活性炭の吸着特性は、特にオレフィンもしくはアルキンの吸着選択性に優れるので、より効率的に混合ガスの分離処理を行うことができる。
また、前記混合ガスがプロパン(パラフィン)及びプロピレン(オレフィン)混合ガスであって、B2/A2≦0.3を満たす場合、オレフィンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/2500以下とすることができ、1/5000以下であることが好ましく、1/7500以下であることがより好ましく、1/10000以下であることがさらに好ましい。この場合、分子篩活性炭の吸着特性は、特にオレフィンの吸着選択性に優れ、より効率的に混合ガスの分離処理を行うことができる。
また、前記混合ガスがブタン(パラフィン)及び1-ブテン(オレフィン)混合ガス、並びにブタン(パラフィン)及び2-ブテン(オレフィン)混合ガスのいずれかであって、B2/A2≦0.3を満たす場合、オレフィンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/100以下とすることができ、1/1000以下であることが好ましく、1/2500以下であることがより好ましく、1/5000以下であることがさらに好ましく、1/10000以下であることが特に好ましい。この場合、分子篩活性炭の吸着特性は、特にオレフィンの吸着選択性に優れ、より効率的に混合ガスの分離処理を行うことができる。
分子篩活性炭において、前記混合ガスが、炭素数が同じであるパラフィンとオレフィンとの混合ガスである場合は、オレフィンの1/2平衡吸着時間が120分以下であることが好ましく、90分以下であることがより好ましく、60分以下であることが特に好ましい。これにより、オレフィンが速やかに分子篩活性炭に吸着するので、短時間で分離を行うことができる。また、分子篩活性炭において、前記混合ガスが、炭素数が同じであるパラフィンとアルキンとの混合ガスである場合は、アルキンの1/2平衡吸着時間が120分以下であることが好ましく、90分以下であることがより好ましく、60分以下であることが特に好ましい。これにより、オレフィンが速やかに分子篩活性炭に吸着するので、短時間で分離を行うことができる。
本明細書において、1/2平衡吸着時間とは、炭化水素ガスの吸着測定の開始を起算点として、吸着量が平衡吸着量に対して50%となるまでの時間をいう。つまり、1/2平衡吸着時間とは、吸着測定の開始を起算点として、吸着量/平衡吸着量の値が0.5となるまでの時間をいう。
2.分子篩活性炭の製造方法
分子篩活性炭の製造方法は、分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1を満たす分子篩活性炭が得られる限りは限定されない。例えば、公知の製造方法によって、分子篩活性炭を製造することができる。ただし、従来公知の窒素-酸素混合ガスの分離用活性炭を製造する方法が知られているが、この方法では、本発明の目的とする細孔容積の制御が容易ではない。
分子篩活性炭の製造方法としては、熱収縮法、含浸法、CVD法等を挙げることができる。本発明の分子篩活性炭の製造方法の一例を以下に説明する。
例えば、分子篩活性炭は、原料を炭化して炭化物を得る炭化工程、及び、該炭化物を賦活処理する賦活工程を備える方法によって製造できる。
原料は、目的の分子篩活性炭を得ることができる材料であれば特に制限されない。
原料としては、例えば、石炭、やし殻(具体的には、パームヤシ殻、ココナッツヤシ殻など)、天然繊維(具体的には、麻、綿など)、合成繊維(具体的には、レーヨン、ポリエステルなど)、合成樹脂(具体的には、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール)、木炭などが挙げられる。
細孔容積を所望の範囲に調整しやすいという観点から(つまり、B2/A1≦0.1を満たす分子篩活性炭が得られやすいという観点から)、原料は、石炭、やし殻、樹脂及び木炭からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。従って、本発明の分子篩活性炭は、石炭、やし殻、樹脂及び木炭からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の材料の炭化物で形成されていることが好ましい。
分子篩活性炭の製造方法では、原料には必要に応じて、添加剤を含むこともできる。添加剤としては、水、コールタール、無水タール、硬質ピッチ、コールタール系ピッチ、石油系ピッチ等を挙げることができる。添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。添加剤は、例えば、原料100質量部あたり、1~50質量部とすることができる。原料と添加剤を混合するにあたっては、必要に応じて、あらかじめ原料中の酸素量を例えば、原料に対して1~20質量%の範囲で調節することもできる。原料中の酸素量の調節は、例えば、150~300℃の雰囲気下で原料と酸素とを混合することで行うことができる。
本発明の分子篩活性炭の製造方法では、原料を炭化させる前に、原料を成形することができる。例えば、原料をペレット状に成形した後、炭化を行うことができる。
原料の炭化条件は特に限定されない。例えば、酸素を含まない条件で300~900℃、より好ましくは300~800℃まで加熱して、前記原料を炭化することができる。
炭化時間は、用いる原料、炭化を行う設備によって適宜設定し得る。例えば、15分~20時間程度、好ましくは30分~10時間程度で炭化を行うことができる。当該炭化処理は、例えば、ロータリーキルンなどの公知の製造設備を用いて行われる。
上記炭化工程により、原料の炭化物が得られる。炭化した後は、洗浄処理、乾燥処理等を行うことができる。これらの条件は、例えば、従来と同じ条件で行うことができる。
上記の炭化処理により得られた炭化物を賦活工程にて賦活処理する。賦活処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、水蒸気、酸素、炭酸ガスなどの活性ガスによる賦活方法が適宜用いられる。賦活処理は、ロータリーキルン、流動炉などの公知の製造設備を用いることができる。例えば、水蒸気を1分間あたり10~300リットル流量で1分以上炭化物と接触させる方法により、賦活を行うことができる。
賦活処理の温度は特に限定されない。所望の細孔容積に調整しやすい(つまり、B2/A1≦0.1を満たしやすいという観点から)点で、賦活処理の温度は750~1200℃であることが好ましく、800~1100℃であることがより好ましい。活性ガスの分圧は10~100%とすることができ、30~100%とすることが好ましい。
賦活時間は、用いる原料、賦活温度、製造設備などの条件によって適宜の範囲で調節することができ、例えば、0.25~48時間とすることができ、0.5~24時間とすることが好ましい。賦活時間の上限は1時間であってもよい。
賦活処理の後は必要に応じて、焼成処理することができる。焼成処理は熱収縮法、含浸法、CVD(chemical vapor deposition、化学気相成長)法等といった公知の方法を広く採用することができる。この焼成処理をするにあたり、炭素源を使用することができる。
前記焼成処理において、炭素源は含浸法、CVD法において使用される公知の炭素源を広く使用することができる。含浸法においては例えば、炭素源として、コールタール、無水タール、コールタール系ピッチ、石油系ピッチ、クレオソート油(特許第4893944号公報等参照)等、公知の材料を広く適用する事ができる。CVD法においては例えば、炭素源として、メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ベンゼン(特表2004-530622号公報等参照)、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘキサン等の炭化水素、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;エチレングリコール等の多価アルコール;等の溶媒を挙げることができる。炭素源がベンゼンである場合であって、焼成温度が600~900℃である場合、ベンゼンの使用量の下限は、賦活工程にて賦活処理された炭化物(賦活処理品)100質量部に対し、0.1質量部とすることができ、0.3質量部であることが好ましく、0.8質量部であることがより好ましく、0.9質量部であることがさらに好ましく、1質量部であることが特に好ましい。さらにこの場合のベンゼンの使用量の上限は、賦活工程にて賦活処理された炭化物(賦活処理品)100質量部に対し、10質量部とすることができ、8質量部であることが好ましく、5質量部であることがより好ましく、2質量部であることがさらに好ましく、1.5質量部であることが特に好ましい。
焼成温度は、所望の細孔容積に調整しやすい点で、600~900℃とすることができ、700~800℃とすることがより好ましい。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜決定することができ、例えば、15~240分とすることができる。
焼成処理は、例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、酸素雰囲気下、あるいは、空気雰囲気で行うことができる。
賦活処理又は焼成処理によって得られた分子篩活性炭は、必要に応じて、公知の方法等で洗浄を行うことができる。
以上の炭化工程及び賦活工程、さらには必要に応じて焼成処理を経ることで、本発明の分子篩活性炭を得ることができる。
特に本発明の製造方法では、賦活条件、焼成処理で使用する炭素源の種類、炭素源の使用量、焼成温度(CVD処理温度)のいずれか一以上の条件を適切に設定することで、B2/A1≦0.1を満たす分子篩活性炭を製造することができる。
上記製造方法で得られた分子篩活性炭は、混合ガスに含まれる少なくとも2種類の炭化水素を分離するために使用されるものであり、特に、細孔容積が適切な範囲に調整されていることで、吸着の選択性に優れ、混合ガスを効率よく分離処理することができる。従って、本発明の分子篩活性炭は、少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスから特定の炭化水素を選択的に分離する方法に好適に使用できる。
本発明の分子篩活性炭は、吸着材として好適に使用できる。該吸着材は、本発明の分子篩活性炭を備えるので、前記混合ガスを効率よく分離することができる。そのため、吸着材は、圧力スイング又は温度スイング吸着システム等の各種の吸着システムに好適に使用することができる。
吸着材は、分子篩活性炭のみで形成されていてもよいし、他の公知の部材を組み合わせて形成されていてもよい。
圧力スイング又は温度スイング吸着システムも、吸着材を備えていれば、その他の構成は、例えば、公知の圧力スイング又は温度スイング吸着システムと同様の構成とすることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
0.05mm以下の粒度を有する石炭100質量部を回転床中、250℃の雰囲気下に置き、石炭全重量に対する酸素含有量が10質量%まで空気を流通した。次いで、石炭に水を添加しつつ硬質ピッチ25質量部、コールタール15質量部を加えて混練した。この時、均一な練合ができるように混合機外面を80℃に加温した。得られた混練物を押出し成型機に充填し、直径が2.0mmのペレット状に成型した。このように得られたペレットをロータリーキルン中で空気を排除しつつ、最終温度が800℃になるまで約5時間かけて昇温した。その後、水蒸気を1分間当り100リットルの割合で加え、30分間処理を行って賦活処理品を得た。次いで、800℃窒素雰囲気下にて、得られた賦活処理品100質量部に対しベンゼン1.0質量部を120分かけて流通せしめた。この焼成処理により、分子篩活性炭を得た。
(実施例2)
ベンゼンを1.3質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
(実施例3)
ベンゼンを2.0質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
(実施例4)
ベンゼンを0.9質量部に変更し、水蒸気での処理時間を40分に変更して賦活処理を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
(比較例1)
ベンゼンの流通を行わなかったこと以外は実施例4と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
(比較例2)
ベンゼンを0.7質量部に変更したこと以外は比較例1と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
(参考例1)
水蒸気での処理時間を120分に変更し、ベンゼンの流通を行わなかったこと以外は比較例1と同様の方法で分子篩活性炭を得た。
[評価方法]
(細孔容積の測定)
細孔容積は、分子プローブ法により計測した。分子径の異なる数種類のプローブ分子を用いて平衡吸着量を測定することで、細孔容積を算出した。ここで用いたプローブ分子は、二硫化炭素(0.37nm)、塩化メチレン(0.40nm)、クロロホルム(0.46nm)、イソペンタン(0.49nm)の4種類とした。括弧内の数値は最小分子直径である。25℃、1気圧の雰囲気において、分子篩活性炭にプローブ分子を吸着させ、平衡吸着後の分子篩活性炭の質量変化から、細孔容積を算出した(T.A.Braymer,et al.,Carbon,Vol.32,445-452,1994に記載される方法に準じた)。
(吸着速度の測定)
図1に示す測定装置を用い、容量法によって1/2平衡吸着時間τを測定した。容積100ccの試料セル10内に3gの分子篩活性炭Aを収容し、試料セル10を排出口20から真空引きした。次いで、容積500ccのガス溜め11に、圧力が0.2MPaとなるまで吸着ガスGを導入した。次いで、試料セル10とガス溜め11を連通させるバルブ12を開放して吸着測定を開始した。バルブを開放した時から起算して、経過時間tにおける試料セル10の圧力Pを、圧力センサー13により測定した。測定は25℃で行った。
吸着速度の測定結果は以下の方法で解析した。式(1)を用いて、バルブ解放前のガス溜め11の圧力P、ガス溜め11の容積V、試料セル10の死容積V(つまり、試料セル10容積から分子篩活性炭が占める容積を引いた容積)から測定開始時の圧力Pを算出した。式(2)を用いて、測定開始時の圧力P、試料セル10の圧力P、ガス溜め11の容積V、試料セル10の死容積V、気体定数Rから、所定の試料セル10の圧力P(つまり所定の経過時間t)における分子篩活性炭へのプロパンおよびプロピレンの吸着量nを算出した。
(1)P=P×V/(V+V
(2)n=(P-P)×(V+V)/(298.15×R)
吸着平衡時のエタンおよびエチレンの吸着量nは以下の方法で算出した。比較例1のエチレン吸着測定において、測定開始から2000分経過時の吸着量nを平衡吸着量nとした。エチレン吸着測定における平衡吸着量nが0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積A1に比例するものとして、実施例1~3のエチレン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。各実施例および比較例において、エタン吸着測定における平衡吸着量nと0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積A2の比が、エチレン吸着測定における平衡吸着量と0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積A1の比に等しいものとして、実施例1~3および比較例1のエタン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。エタンおよびエチレンの平衡吸着量nに対する吸着量nの比n/nが0.5に到達した時間を1/2平衡吸着時間τとした。各々の吸着測定において、得られた分析値の中から、n/nが0.40≦n/n≦0.50を満たし、かつ0.50に最も近い1点、および、n/nが0.0.50≦n/n≦0.60を満たし、かつ0.50に最も近い1点からなる計2点を抽出し、これらを対数近似して得られた近似式より1/2平衡吸着時間τを算出した。
吸着平衡時のプロパンおよびプロピレンの吸着量nは以下の方法で算出した。比較例1のプロピレン吸着測定において、測定開始から4000分経過時の吸着量nを平衡吸着量nとした。プロピレン吸着測定における平衡吸着量nが0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積A1に比例するものとして、実施例1~4のプロピレン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。各実施例および比較例において、プロパン吸着測定における平衡吸着量nと0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積A2の比が、プロパン吸着測定における平衡吸着量と0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積A1の比に等しいものとして、実施例1~4および比較例1、2のプロパン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。プロパンおよびプロピレンの平衡吸着量nに対する吸着量nの比n/nが0.5に到達した時間を1/2平衡吸着時間τとした。各々の吸着測定において、得られた分析値の中から、n/nが0.40≦n/n≦0.50を満たし、かつ0.50に最も近い1点、および、n/nが0.0.50≦n/n≦0.60を満たし、かつ0.50に最も近い1点からなる計2点を抽出し、これらを対数近似して得られた近似式より1/2平衡吸着時間τを算出した。
吸着平衡時のブタンおよび1-ブテンの吸着量nは以下の方法で算出した。比較例1の1-ブテン吸着測定において、測定開始から8000分経過時の吸着量nを平衡吸着量nとした。1-ブテン吸着測定における平衡吸着量nが0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積A2に比例するものとして、実施例1~3の1-ブテン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。各実施例および比較例において、ブタン吸着測定における平衡吸着量nと0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積B1の比が、1-ブテン吸着測定における平衡吸着量と0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積A2の比に等しいものとして、実施例1~3および比較例1のブタン吸着測定における平衡吸着量nを算出した。ブタンおよび1-ブテンの平衡吸着量nに対する吸着量nの比n/nが0.5に到達した時間を1/2平衡吸着時間τとした。各々の吸着測定において、得られた分析値の中から、n/nが0.40≦n/n≦0.50を満たし、かつ0.50に最も近い1点、および、n/nが0.0.50≦n/n≦0.60を満たし、かつ0.50に最も近い1点からなる計2点を抽出し、これらを対数近似して得られた近似式より1/2平衡吸着時間τを算出した。
図2には、各実施例及び比較例の分子篩活性炭の、細孔入口径における細孔容積の測定結果を示している。
Figure 0007311289000001
表1には各分子篩活性炭の細孔の総容積を示している。この結果から、実施例1~4で得られた分子篩活性炭は、分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB1、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1、B1/A1≦0.3、B2/A2≦0.1を満たすことがわかった。一方、比較例1および2の分子篩活性炭は、これらを満たしていなかった。
図3には、各実施例及び比較例の分子篩活性炭を使用した、プロパンおよびプロピレンの吸着速度の測定結果を示している。
Figure 0007311289000002
表2にはエタンおよびエチレンの1/2平衡吸着時間および比を示している。実施例1~3の分子篩活性炭では、エチレンの1/2平衡吸着時間がエタンの1/2平衡吸着時間よりも顕著に短く、つまり、エチレンの吸着速度がエタンの吸着速度よりも顕著に速いことがわかる。実施例1~3の分子篩活性炭では、エタンの1/2平衡吸着時間は、エチレンの1/2平衡吸着時間に対して100倍以上であると認められる。
従って、実施例1~3の分子篩活性炭は、エタン及びエチレンの混合ガスの吸着選択性に優れ、混合ガスに含まれるエタンとエチレンとを効率よく分離できることがわかった。
Figure 0007311289000003
表3にはプロパンおよびプロピレンの1/2平衡吸着時間および比を示している。また、図4には、分子篩活性炭のプロパンおよびプロピレンの吸着速度を示すグラフを示している。実施例1および2の分子篩活性炭では、プロピレンの1/2平衡吸着時間がプロパンの1/2平衡吸着時間よりも顕著に短く、つまり、プロピレンの吸着速度がプロパンの吸着速度よりも顕著に速いことがわかる。特に、実施例1の分子篩活性炭では、プロパンの1/2平衡吸着時間は、プロピレンの1/2平衡吸着時間に対して約7600倍程度であると認められる。実施例2の分子篩活性炭でも、プロパンの1/2平衡吸着時間は、プロピレンの1/2平衡吸着時間に対して少なくとも2500倍以上になり得ることは図4から看取できる。
従って、実施例1および2の分子篩活性炭は、プロパン及びプロピレンの混合ガスの吸着選択性に優れ、混合ガスに含まれるプロパンとプロピレンとを効率よく分離できることがわかった。
実施例3の分子篩活性炭では、プロピレンの1/2平衡吸着時間が実施例1,2に比べて長いものの、混合ガスに含まれるプロパンとプロピレンとの分離は可能であった。実施例4の分子篩活性炭では、1/2平衡吸着時間比が実施例1,2に比べて低いものの、混合ガスに含まれるプロパンとプロピレンとの分離は可能であった。これらの結果から、混合ガスの分離の効率性の点では、実施例1および2が特に優れることがわかった。比較例1及び2の分子篩活性炭では、プロピレンの1/2平衡吸着時間とプロパンの1/2平衡吸着時間との差が、実施例1,2に比べると短く、混合ガスに含まれるプロパンとプロピレンとを分離する上で実用上不適当であった。
Figure 0007311289000004
表4にはブタンおよび1-ブテンの1/2平衡吸着時間および比を示している。また、図5には、分子篩活性炭の、ブタンおよび1-ブテンの吸着速度を示すグラフを示している。実施例1~3の分子篩活性炭では、1-ブテンの1/2平衡吸着時間がブタンの1/2平衡吸着時間よりも顕著に短く、つまり、1-ブテンの吸着速度がブタンの吸着速度よりも顕著に速いことがわかる。実施例1~3の分子篩活性炭では、ブタンの1/2平衡吸着時間は、1-ブテンの1/2平衡吸着時間に対して少なくとも100倍以上になり得ることが図5から看取できる。
従って、実施例1~3の分子篩活性炭は、ブタン及び1-ブテンの混合ガスの吸着選択性に優れ、混合ガスに含まれるブタン及び1-ブテンを効率よく分離できることがわかった。

Claims (10)

  1. 少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを分離処理するための分子篩活性炭であって、
    前記混合ガスは、少なくともエタン及びエチレンを含む混合ガス、並びに、少なくともエタン及びアセチレンを含む混合ガスからなる群より選ばれる1種の混合ガスであり、
    分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.46nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB1、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1、かつ、B1/A1≦0.3を満たす、分子篩活性炭。
  2. 少なくとも2種類の炭化水素を含む混合ガスを分離処理するための分子篩活性炭であって、
    前記混合ガスは、少なくともプロパン及びプロピレンを含む混合ガス、少なくともブタン及び1-ブテンを含む混合ガス、並びに、少なくともブタン及び2-ブテンを含む混合ガスからなる群より選ばれる1種の混合ガスであり、
    分子プローブ法により求められた0.37nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA1、0.40nm以上の入口径を有する細孔の総容積をA2、0.49nm以上の入口径を有する細孔の総容積をB2としたときに、B2/A1≦0.1、かつ、B2/A2≦0.3を満たす、分子篩活性炭。
  3. ペレット状に形成されている、請求項1又は2に記載の分子篩活性炭。
  4. 前記ペレットの最大径が0.5~3mmであり、アスペクト比が1:1~1:5である、請求項に記載の分子篩活性炭。
  5. 石炭、やし殻、樹脂及び木炭からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の材料の炭化物で形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の分子篩活性炭。
  6. オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間がパラフィンの1/2平衡吸着時間の1/100以下である、請求項1又は2に記載の分子篩活性炭。
  7. プロピレンの1/2平衡吸着時間がプロパンの1/2平衡吸着時間の1/2500以下である、請求項に記載の分子篩活性炭。
  8. オレフィンもしくはアルキンの1/2平衡吸着時間が120分以下である、請求項1又は2に記載の分子篩活性炭。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の分子篩活性炭を備える吸着材。
  10. 請求項に記載の吸着材を備える圧力スイング又は温度スイング吸着システム。
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