JP7309301B1 - ロボットハンドの把持制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、特許文献1では、3分力を測定できる触覚センサをロボットハンドの指の掌面に設けることが提案されている。
このように構成されたロボットハンドの把持制御方法は、把持対象物を把持するまでの時間をかけることなく、ロボットハンドで把持対象物の持ち上げを開始した直後にロボットハンドが受けるモーメントから正しい把持位置を求めることができるので、容易に把持対象物を安定して把持することができる。
このように構成されたロボットハンドの把持制御方法は、モーメントの変化から滑りの予測まで出来るので、把持対象物をさらに安定して把持することができる。
このように構成されたロボットハンドの把持制御方法は、弾性体でセンシング面に平行なバルジ変形が起こるため、せん断力をよりはっきりと検出しやすくなる。
このように構成されたロボットハンドの把持制御方法は、ロボットハンドのグリッパを解放させたときに把持対象物Wの姿勢が変わるおそれがない。
以下、本発明の第1実施形態に係るロボットハンドの把持制御方法について図面を用いて説明する。
(1)ロボットの概要
(1-1)ロボット
図1には、ロボットハンドの把持制御方法に使用するロボットの一例が示されている。図1に示されているロボット100 は、水平多関節ロボット(スカラロボット)であって、基台110と、基台110に対して回動可能に接続されているロボットアーム120と、を有している。また、ロボットアーム120は、関節機構を介して基台110に垂直軸まわりに回動可能に接続されている第1アーム130と、関節機構を介して第1アーム130に垂直軸まわりに回動可能に接続されている第2アーム140と、第2アーム140の先端部に設けられている作業ヘッド150と、を有している。そして、作業ヘッド150の下端部にロボットハンド1が取りつけられている。作業ヘッド150は、ロボットハンド1を垂直軸回りに回動可能であり、かつ、上下方向に昇降可能である。
以下、ロボットハンド1についてさらに詳細に説明する。
図2は、ロボットハンドの一例を示す模式的な図である。
図2に示す例では、ロボットハンド1は、触覚センサ付き指1Fを2本(1FA,1FB)備えている。各々の触覚センサ付き指1Fは、指2と、指2を構成する筐体21外面に貼合された触覚センサ5とを備える。また、2本の指2の後端を支持するグリッパ3と、指2を駆動する駆動部4とを備えている。駆動部4は、2本の指2を互いに近づく向きと離れる向きとに可動させることができる。これにより、ロボットハンド1 は、把持対象物Wを把持したり、把持している把持対象物Wを解放したりすることができる。また、ロボットハンド1全体は、必要に応じて上下移動や回転も可能である。
なお、把持対象物Wとしては、特に限定されず、例えば、種々の工業製品や農作物、様々な大きさ・形状を有するものや、正確な形状が不明なものなどが挙げられる。
図3は、ロボットハンドの触覚センサ付き指の一例を示す模式的な図である。図3(a)は、触覚センサ付き指を指の掌面側から見た図である。図3(b)は、図3(a)のAA線断面である。
各々の指2は、持対象物Wに接触(ロボットハンドとしては持対象物Wを把持)する掌面21aと、掌面21aと反対側の背面21bと、掌面21aおよび背面21bの延在方向Xの先端で掌面21aおよび背面21bと隣接する先端面21cと、掌面21aおよび背面21bの延在方向Xに交差する方向Yで掌面21aおよび背面21bと隣接する両方の側面21d,21dとを各々有する、おおよそ直方体の筐体21で構成される。また、筐体21は、樹脂または金属製である。
また、各々の指2は、図2および図3に示すよう例では、無関節である。したがって、触覚センサ付き指1Fは、平行な掌面21aどうしが接近することにより把持対象物Wを把持する。
触覚センサ5は、図3に示すように、指2を構成する筐体21外面に貼合されたフィルム状物である。また、触覚センサ5は、その構成中の電極(図示せず)によって検知可能な領域(以下、感圧エリア5a)を有する。図3に示す例では、感圧エリア5aは、指2の掌面21aと、先端面21cに跨って重なる。
また、触覚センサ5は、図示しない接着層によってロボットハンド1の指2に貼合されている。接着層の材質としては、例えば、両面テープなどが挙げられる。
また、触覚センサ5のセンシング面は、図3に示すように、保護層7で被覆されている。
保護層7は、力の加えられる触覚センサ5の少なくとも感圧エリアを保護するものである。保護層7の上面が、把持対象物Wとの接触面になっている。
保護層7の材質としは、ウレタン、シリコーン、エポキシ、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ブタジエンなどで作成されたゴムシートや、フォーム材などの弾性体が挙げられる。保護層7の被覆は、これらゴムシートやフォーム材を貼合することによって行う。触覚センサ本体5を貼合した筐体21を成形型に設置して液状のゴム材料などを流し込んで成型するインサート成型などによっておこなってもよい。保護層7の厚みは、0.5mm~5mmが好ましい。
(2-1)制御の概要
図11は、ロボットハンド1の把持制御方法の一例を示すフローチャートである。
以下で説明するロボットハンドの把持制御方法は、把持ステップS1と、せん断力分布検出ステップS2と、モーメント値算出ステップS3と、滑り発生評価ステップS4と、滑り予測評価ステップS5と、重心位置推定ステップS6と、把持位置移動ステップS7と、搬送継続ステップS8と、を備えている。
次に、せん断力分布検出ステップS2において、ロボットハンド1が把持対象物Wを把持したままグリッパ3を微小上昇した間に、渦巻状のせん断力分布を触覚センサ5にて検出する。
本明細書におけるモーメントは、指2に加わる力のモーメントであり、その値は、作用点を設定し、その位置と触覚センサ5が検出する摩擦力分布より計算する。
具体的に以下のように定義する。
作用点は、感圧面のうち把持対象物Wが接触している範囲に設定するのがよい。把持対象物Wと接触している範囲は、触覚センサ5が検出する摩擦力の大きさが一定以上の範囲でもよいし、触覚センサ5が圧力(面に対して法線方向の応力)の分布を検出できるようにして、その圧力が一定以上の範囲でもよい。また、触覚センサ5が圧力(面に対して法線方向の応力)の分布を検出できるようにして、その圧力分布の重心値を作用点と設定してもよい。
次の滑り予測評価ステップS5では、算出されたモーメントMの値の微小上昇の間の変化から、ロボットハンド1が把持対象物Wの搬送を続けることによって把持対象物Wの滑りが予測されるか否かを評価する。把持対象物Wの滑りが予測されないと評価された場合(図中、NO)には、次の搬送継続ステップS8へ進む。しかし、把持対象物Wの滑りが予測されると評価された場合(図中、YES)には、やはり重心位置推定ステップS6へ進む。
次に、把持位置移動ステップS7では、推定された重心位置gまでロボットハンド1の把持位置を移動させる。
このロボットハンド1の把持位置を移動させた後は、再びせん断力分布検出ステップS2に戻る。つまり、滑り発生評価ステップS4、滑り予測評価ステップS5をクリアして搬送継続ステップS8へ進むまで、ロボットハンド1の把持位置を修正して繰り返す。
図6(a)および図6(b)は、把持ステップS1について説明するための模式的な図である。
図6(a)に示す例では、把持対象物Wは、細長い短冊状の板であり、細長い側面を上下としてトレイなどに載置されている。一方、ロボットハンド1は、直方体形状の2本の指2と、その後端を支持するグリッパ3を備えており、2本の指2が離れた状態になっている。また、2本の指2の対向面には触覚センサ5が貼合されている。
図6(a)の状態からロボットハンド1を把持対象物Wが2本の指2の間に入る位置まで移動させた状態で、図6(b)の左図に示すように、ロボットハンド1は、図示しない駆動部4の駆動によって2本の指2を互いに近づく向きに可動させることによって把持対象物Wを把持する。このとき、把持対象物Wはトレイなどに載置されたままであり、鉛直方向、すなわち重力方向から把持対象物Wを把持することはない。
触覚センサ5の表面には前述したように弾性体からなる保護層7が被覆されていてバルジ変形委が起きるため、把持対象物Wを把持した直後は、触覚センサ5と把持対象物Wとの重複領域の中央を中心に放射状にせん断力Fが検出される(図6(b)の右図参照)。図6(b)では、せん断力Fを示す矢印8本だけで渦巻きを模式的に描いているが、実際には、触覚センサ付き指1FA,1FBのセンシング面におけるせん断力Fの分布はもっと細かい(図4参照)。
図6(c)は、せん断力分布検出ステップS2について説明するための模式的な図である。
せん断力分布検出ステップS2において、把持対象物Wを把持したままロボットハンド1のグリッパ3を微小上昇させる。
図6(c)に示す例では、グリッパ3の微小上昇はロボットハンド1全体の上下移動によって行われる。つまり、図6中に図示しないロボットアーム120の可動によりロボットアーム120の先端に取り付けられたグリッパ3を微小上昇させている。別のやり方として、ロボットハンド1の中にグリッパ3を上下移動させる機構を備えることにより、グリッパ3を微小上昇させることも出来る。
また、図6(c)では、せん断力Fを示す矢印4本だけで渦巻きを模式的に描いているが、実際には、触覚センサ付き指1FA,1FBのセンシング面におけるせん断力Fの分布はもっと細かい(図5参照)。そして、触覚センサ5にて検出されるせん断力Fのデータ上は、図6(b)に示す把持対象物Wを把持した直後の放射状の力分布と、図6(c)に示す把持対象物Wを把持したまま微小上昇させたときの渦巻状に回転する力分布とが重畳されて出ている。そのため、微小上昇させたときの検出データから把持した直後のデータを引き算することで、渦巻状のせん断力分布は得られる。
なお、本明細書における微小上昇の程度は、把持対象物Wの材料や把持対象物Wが置かれている環境によっても異なるが、載置された把持対象物Wを把持したロボットハンド1のグリッパ3を上に動かし始めた直後の状態である。数値的な表現をするならば、把持対象物Wを把持したままロボットハンド1のグリッパ3を上昇させたとき、把持対象物Wの重量が触覚センサ5のセンシング面を下側に引っ張る力Fyの大きさが、閾値を超えたときとすることができる。この閾値は、例えば、把持対象物Wの重量の1/4である。
図7は、触覚センサ5が把持対象物Wから受けるモーメントMを説明するための模式的な図である。
モーメント値算出ステップS3において、検出されたせん断力分布から、ロボットハンド1に印加されるモーメントMの値を算出する。短冊状の把持対象物Wは、その中心に重心位置gがある。図7に示す例では、ロボットハンド1の把持位置は、把持対象物Wの重心位置gより右側にある。すなわち、把持対象物Wは、ロボットハンド1の把持位置より左側の部分が右側の部分より重い。把持対象物Wの左側の部分が下がろうとし、右側の部分が上がろうとするので、把持対象物Wを回転させようとする力が働く。したがって、ロボットハンド1が把持対象物Wを持ち上げたとき、モーメントMは、触覚センサ5と把持対象物Wとの重複領域において反時計回りに働いている。
図8は、滑りに関する評価方法の一例を示すグラフである。図9は、滑りに関する評価方法の別の例を示すグラフである。
滑り発生評価ステップS4において、算出されたモーメントMの値の微小上昇の間の変化から、把持対象物Wの滑りが発生しているか否かを評価する。
その評価方法の一つとしては、ロボットハンド1のグリッパ3の移動量に対するモーメント値の変化量をモニターする方法である。図8(b)に示すように、急激にモーメント値が下がる変化をしたときは、その時点で滑りが発生したと判断する。
別の評価方法としては、把持対象物Wを把持したままロボットハンド1のグリッパ3を上昇させたとき、把持対象物Wの重量が触覚センサ5のセンシング面を下側に引っ張る力Fyの値の面内合計に対するモーメント値の変化量をモニターする方法である。図9(b)に示すように、急激にモーメント値が下がる変化をしたときは、その時点で滑りが発生したと判断する。
滑り予測評価ステップS5において、算出されたモーメントMの値の微小上昇の間の変化から、ロボットハンド1が把持対象物Wの搬送を続けることによって把持対象物Wの滑りが予測されるか否かを評価する。
その評価方法の一つとしては、ロボットハンド1のグリッパ3の移動量に対するモーメント値の変化量をモニターする方法である。図8(a)に示すモーメント値の変化の傾きが基準(図中の破線)より大きければ、把持対象物Wの重心位置gから大きく離れたところをロボットハンド1が把持しており、把持対象物Wの搬送を続けることによって把持対象物Wの滑りが予測されると判断する。
別の評価方法としては、把持対象物Wを把持したままロボットハンド1のグリッパ3を上昇させたとき、把持対象物Wの重量が触覚センサ5のセンシング面を下側に引っ張る力Fyの値の面内合計に対するモーメント値の変化量をモニターする方法である。図9(a)に示すモーメント値の変化の傾きが基準(図中の破線)より大きければ、把持対象物Wの重心位置gから大きく離れたところをロボットハンド1が把持しており、把持対象物Wの搬送を続けることによって把持対象物Wの滑りが予測されると判断する。
なお、上記基準(図8(a)、図9(a)中の破線)の傾きは、把持対象物Wの素材や形状や重さと、ロボットハンド1の把持力によって適宜決定される。また、ロボットハンド1による過去の大量の搬送成功例および失敗例から、滑りが発生しない傾きをロボットに学習させてよい。
図10は、重心位置の推定方法の一例を示す模式的な図である。
重心位置推定ステップS6において、モーメントMの向きと大きさから把持対象物Wの重心位置gを推定する。
図10(a)に示す例では、触覚センサ5が把持対象物Wから受けるモーメントMの向きは、反時計回りであるため、把持対象物Wが左側の部分を下向きに向かうような回転が起こっていることがわかる。つまり、把持対象物Wの重心位置gは、ロボットハンド1の把持位置より左側である。
また、図10(b)に示す例では、触覚センサ5が把持対象物Wから受けるモーメントMの大きさは、図10(a)に示す例に比べて小さい。つまり、図10(b)に示す例の方が、ロボットハンド1の把持位置が把持対象物Wの重心位置gに近い。
また、図10(c)に示す例では、触覚センサ5が把持対象物Wから受けるモーメントMの大きさは、図10(b)に示す例に比べて小さい。つまり、図10(c)に示す例の方が、ロボットハンド1の把持位置が把持対象物Wの重心位置gにさらに近い。
把持位置移動ステップS7において、推定された重心位置gまでロボットハンド1の把持位置を移動させる。このロボットハンド1の把持位置の移動によって再び把持ステップS1に戻り、滑り予測評価ステップS5で把持対象物Wの滑りが予測されないと評価されるまで、以後のステップを繰り返す。
例えば、図10(a)に示す例では、把持対象物Wの重心位置gがロボットハンド1の把持位置より左側であるから、現在の把持位置より左側に移動させる。
以上を繰り返して、ロボットハンド1の把持位置が把持対象物Wの重心位置gに近づける。
なお、把持位置移動ステップS7においては、把持位置の移動前に把持対象物Wの把持を一旦解除し、把持位置の移動完了後に再び把持対象物Wを把持するようにする。把持を解除しないと、ロボットハンド1と把持対象物Wとの摩擦によって把持対象物W自体がロボットハンド1と共に移動してしまうからである。
最後の搬送継続ステップS8においては、把持対象物Wが滑りにくいロボットハンド1の把持位置が確定したので、そのままの把持位置でロボットハンド1が把持対象物Wを目的の場所まで搬送する。また、本ステップにおいては、ロボットアーム120を所定速度まで上げて動かすことができる。
なお、本明細書において、搬送には、把持対象物Wを上下方向や左右方向へ移動させることだけでなく、把持対象物Wを回転させることも含まれる。
(3-1)変形例1
上記第1実施形態では、ロボット100は、水平多関節ロボットの場合を図示して説明したが、これに限定されない。例えば、ロボット本体100は、垂直多関節ロボットなど他のロボットであってもよい。
上記第1実施形態では、ロボットハンド1の指2が無関節の場合を図示して説明したが、指2はこれに限定されない。例えば、各指2が1~2の関節を有していてもよい。
上記第1実施形態では、ロボットハンド1の指2が2つの2本指型の場合を図示して説明したが、指2これに限定されない。例えば、指2が3つの3本指型、人間と同様の5本指型などの多指型であってもよい。多指型のロボットハンド1の場合、変形例2で述べた関節を組み合わせるのが好ましい。
例えば、3本または5本の指2は、それらの後端を支持する支持部3の垂直軸の周方向に離散的に配列されており、これら指2は、駆動部4によって各指2の関節を曲げることで、軸に対して近づく向きと離れる向きとに可動する。
上記第1実施形態では、触覚センサ5が、掌面21aと、先端面21cのみに跨って重なる感圧エリア5aを有している例を示して説明したが、これに限定されない。把持対象物Wの滑り対策だけであれば、感圧エリア5aは、掌面21aのみに有していてもよい。また、感圧エリア5aは、掌面21aと2つの側面21d,21dのうちの少なくとも1つとに跨って重なっていてもよい。また、感圧エリア5aは、掌面21aおよび先端面21cと2つの側面21d,21dのうちの少なくとも1つとに跨って重なっていてもよい。
上記第1実施形態では、ロボットハンド1の指2がおおよそ直方体の筐体21で構成されていたが、これに限定されない。例えば、指2の掌面21a、先端面21cおよび2つの側面21d,d1dのうちの少なくとも1つが、複数面で構成され且つ感圧エリア5aと重なっているようにしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係るロボットハンドの把持制御方法について、図12を用いて説明する。
図12は、ロボットハンド1の把持制御方法の別の例を示すフローチャートである。
第2実施形態に係るロボットハンドの把持制御方法は、把持ステップS1と、せん断力分布検出ステップS2と、モーメント値算出ステップS3と、滑り発生評価ステップS4と、重心位置推定ステップS6と、把持位置移動ステップS7と、搬送継続ステップS8と、を備えている。すなわち、第2実施形態は、滑り予測評価ステップS5を備えていない点で第1実施形態と異なる。
一方、滑り発生評価ステップS4で把持対象物Wの滑りが発生していたと評価された場合(図中、YES)には、重心位置推定ステップS6、把持位置移動ステップS7を経た後、再びせん断力分布検出ステップS2に戻る。つまり、滑り発生評価ステップS4をクリアして搬送継続ステップS8へ進むまで、ロボットハンド1の把持位置を修正して繰り返すことになる。
上記第1、2実施形態では、ロボットハンド1が、弾性体からなる保護層7で触覚センサ5のセンシング面を覆っていたが、保護層7は設けなくてもよい。
その他の点については、第1実施形態と説明が重複するため、説明を省略する。また、第1実施形態で説明した各変化例も、第3実施形態に適用できる。
上記第1~3実施形態では、把持位置移動ステップS7は、ロボットハンド1のグリッパ3が微小上昇した状態で行なわれているが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、図13に示すように、第4実施形態は、把持位置移動ステップS7の前に、ロボットハンドの前記グリッパを前記微小上昇の前の位置まで下降させる下降ステップS9をさらに備えている点で第1実施形態と異なる。
第4実施形態においては、ロボットハンドのグリッパを解放させたときに把持対象物Wの姿勢が変わることがない。ただし、本明細書における微小上昇の範囲では、解放させたときに把持対象物Wの姿勢が変わるおそれは低いので、下降させる時間や下降させたときの載置面との接触する回数が増える(=破損のおそれ)ことを考慮すると、総合的には第1実施形態の方が好ましいと言える。
1F 触覚センサ付き指
2 指
21 筐体
21a 掌面
21b 背面
21c 先端面
21d 側面
3 支持部
4 駆動部
5 触覚センサ
5a 感圧エリア
7 保護層
90 フィルムコネクタ
91 PCB
92 ケーブル
100 ロボット
110 基台
120 ロボットアーム
130 第1アーム
140 第2アーム
150 作業ヘッド
F せん断力
g 重心位置
М モーメント
W 把持対象物
Claims (6)
- 複数本の指と、前記指の後端を支持し、把持対象物を把持又は解放するように前記指を駆動するグリッパと、前記指の把持面に設けられそのセンシング面のせん断力の分布を測定できる触覚センサとを備え、ロボットアームの先端に取り付けられたロボットハンドの把持制御方法であって、
前記ロボットハンドが載置された前記把持対象物を把持する把持ステップと、
前記ロボットハンドが前記把持対象物を把持したまま前記グリッパを微小上昇した間に、渦巻状のせん断力分布を前記触覚センサにて検出するせん断力分布検出ステップと、
検出された前記せん断力分布から、前記ロボットハンドに印加されるモーメントの値を算出するモーメント値算出ステップと、
算出された前記モーメントの値の前記微小上昇の間の変化から、前記把持対象物の滑りが発生しているか否かを評価する滑り発生評価ステップと、
前記把持対象物の滑りが発生していると評価された場合に、前記モーメントの向きと大きさから前記把持対象物の重心位置を推定する重心位置推定ステップと、
推定された前記重心位置まで前記ロボットハンドの把持位置を移動させる把持位置移動ステップと、
最終的に前記ロボットハンドが前記把持対象物を目的の場所まで搬送する搬送継続ステップと、を備えており、
推定された前記重心位置まで前記ロボットハンドの把持位置を移動させた後は、再び前記せん断力分布検出ステップに戻る、ロボットハンドの把持制御方法。 - 前記滑り発生評価ステップにおいて、前記ロボットハンドのグリッパが前記微小上昇する間に前記モーメントの値が急減した瞬間を有することを以って前記把持対象物の滑りが発生していると評価する、請求項1記載のロボットハンドの把持制御方法。
- 前記把持対象物の滑りが発生していないと評価された場合に、前記モーメントの値の前記微小上昇の間の変化から、前記ロボットハンドが前記把持対象物の搬送を続けることによって前記把持対象物の滑りが予測されるか否かを評価する滑り予測評価ステップをさらに備え、
前記把持対象物の滑りが予測されると評価された場合にも前記把持対象物の重心位置を推定し、推定された前記重心位置まで前記ロボットハンドの把持位置を移動させる、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のロボットハンドの把持制御方法。 - 前記ロボットハンドの前記微小上昇に対する前記モーメントの値の増加の割合が閾値を超えたことを以って前記把持対象物の滑りが予測されると評価する、請求項3記載のロボットハンドの把持制御方法。
- 前記ロボットハンドが、前記触覚センサのセンシング面を覆う弾性体をさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載のロボットハンドの把持制御方法。
- 前記把持位置移動ステップの前に、前記ロボットハンドの前記グリッパを前記微小上昇の前の位置まで下降させる下降ステップをさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載のロボットハンドの把持制御方法。
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