JP7309276B2 - 肌質改善剤 - Google Patents
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Description
そこで、肌質改善を目的として、日常のスキンケアに加えて、高濃度の化粧料あるいは保湿剤を用いた方法が一般的に用いられているが、これらには肌に合わない、べたべた感が残る、洗顔または汗で機能成分が取れてしまう(落ちる)等の欠点がある。一方、肌の改善を目的とした様々な機能性成分または栄養成分をサプリメントとして摂取する方法が開発されているが、消化吸収等を経るため効果の発現までに時間がかかる点、風味や価格の点、過剰摂取による副作用が懸念される点でまだまだ問題がある。
さらに、同じく紅茶に含まれる香気成分であるβ-フェニルエチルアルコールについては、特許文献10に、ストレス緩和剤としても利用されていることが開示されている。
フラネオールについては、特許文献11及び特許文献12に茶飲料用の添加剤として利用されていること、また特許文献13にリラックス効果について開示されている。
また、経口摂取する方法では、従来の香気成分を鼻から摂取する場合と比較し、鼻腔のみならず、摂取直後あるいは摂取後の口腔内に残る香気からも有効成分を持続的に吸収することができるが、そのため香気成分の嗜好性に影響されやすく、薬のような香りや刺激的な香りでは継続摂取に課題があった。
[1]ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール、ゲラニオールから選ばれる1以上の香気成分を含有する肌質改善剤、
[2]ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール及びゲラニオールから選ばれる1以上を合計で0.001質量%以上50質量%を含有する[1]に記載の肌質改善剤、
[3]ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコールおよびゲラニオールを含有する肌質改善剤、
[4]ホトリエノールの濃度が0.0001質量%~10.0質量%である[1]~[3]のいずれかに記載の肌質改善剤、
[5]肌保湿用又は肌色改善用である、[1]~[4]のいずれかに記載の肌質改善剤、
[6]肌質改善作用が角質層水分量の改善、肌色の明るさの改善及び肌の赤みの抑制から選ばれる1以上である[1]~[5]のいずれかに記載の肌質改善剤、
[7][1]~[6]のいずれかに記載の肌質改善剤を含有する、肌質改善用経口剤、
[8]肌質改善用経口剤がタブレットである[1]~[7]のいずれかに記載の肌質改善用経口剤、
[9]ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール及びゲラニオールから選ばれる1以上の香気成分を経口摂取することを特徴とする肌質改善方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の肌質改善剤の有効成分であるホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコールおよびゲラニオールは神経伝達系を経て効果がもたらさせるので、身体の内部からの肌質改善が期待できる。
本発明の肌質改善剤は、ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール、ゲラニオールから選ばれる1以上の香気成分を有効成分として含む。なお、これらにより改善される肌の部位は、特に制限はされないが、例えば顔、首、背中、肩、胸、腹、手、足等が挙げられ、特に顔への効果が期待できる。なお、本明細書において「肌」は、「皮膚」と区別せずに用いられる。
その他、肌のキメを整えること、化粧のりをよくすること、吹き出物を抑制すること、または肌のたるみ、くすみを抑制するなどの改善効果も挙げられる。
〈ホトリエノールについて〉
ホトリエノール(hotrienol:3,7-ジメチルオクタ-1,5,7-トリエン-3-オール)は、華やかで芳醇かつ重厚な花香であり、その合成方法としては、例えば特開2004-107207号公報や特開2000-192073号公報に記載の方法が例示できる。これらの方法で得られたものを利用しても良い。
〈フラネオールについて〉
フラネオール(furaneol:フィルメニッヒ社の商標、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)は、フルーティーでカラメル様香気を有する。パイナップル、ストロベリータイプのフレーバーなどに使用される(非特許文献1最新 香料の事典、荒井綜一他編、朝倉書店発行(2000年))。
〈2-フェニルエチルアルコールについて〉
2-フェニルエチルアルコール(2-phenylethylalcohol)は、穏やかなローズ様香気を有する香料として知られている。例えば、ローズ等の精油から、常法により単離精製して、本発明において用いることが可能である。
〈ゲラニオールについて〉
ゲラニオール(geraniol)は、ローズ様香気を有する香料として知られている。本発明においては、例えば、紅茶葉の留出液から単離精製したものを利用しても良い。
以上の香気成分は、化学合成されたものであってもよく、市販品を適宜混合したものであってもよい。また、利用しやすさから、通常用いられる方法(スプレードライ等)で粉末状としてもよい。
その他の本発明における香気成分の製造方法としては、紅茶葉より、超臨界水又は超臨界二酸化炭素を用いた超臨界抽出法を例示することができる。
また、得られた香気成分は、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法を用いて精製されたものであってもよいし、精製されていない濃縮物であってもよい。
このようにして得られた香気成分は、通常利用される方法(スプレードライ等)で粉末状とし、ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコールまたはゲラニオールの粉末香料を有効濃度になるように添加し、適宜調製して経口剤することによって本発明の肌質改善剤とすることができる。
肌質改善剤は、有効成分のみで構成されていてもよく、効果を妨げない範囲であれば、助剤、添加剤等の任意の他の成分を含有してもよい。添加剤等を適宜選択して、肌質改善剤に含有させれば、肌質改善剤を医薬品、医薬部外品、食品、飲料、化粧料、雑貨等に使用することができる。
特に、ホトリエノールが、肌質改善剤中に0.0001質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは0.0007質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以上1.0質量%である。
また、フラネオールが、肌質改善剤中に0.0001質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは0.0007質量%以上5質量%、さらに好ましくは0.001質量%以上0.5質量%である。
さらに、肌質改善剤中の有効成分としてホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコールおよびゲラニオールのすべてを含むものも例示でき、この場合ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール、又はゲラニオールの配合比は、ホトリエノール1重量部に対してフラネオールが0.5~2重量部、2-フェニルエチルアルコールが1~6重量部、ゲラニオールが0.5~2重量部であることが好ましい。このような組成に調合することによって紅茶に近い香調が得られ、嗜好性を向上させることができる。
本発明の肌質改善剤をタブレットとして提供する場合は、有効成分以外に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤等の添加剤を用いることができる。その他成分としては、例えばpH調整剤、増粘剤、界面活性剤、香味剤、甘味剤等が挙げられるが、特に限定はされない。このような成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、賦形剤として、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、ラクチトール、パラチノースが挙げられる。
さらに、本発明のタブレットは、1回1粒を口腔内に5分以上滞留できればよく、大きさ、重量、形状、表面積は、口腔内に留まりやすいものを選択すればよい。例えば、タブレットの重量は1粒当たり、500~2000mgが好ましく、900~1000mgとすることがより好ましい。
本発明のタブレットの形状は、例えば、略円柱形、略球状、ラグビーボール状、ドーナツ形などが挙げられ、公知の菓子類又は医薬製剤で用いられている任意の形状でよい。好ましい態様としては、直径が10~15mm、最大厚さは5~15mmの略円柱形である。
本発明の肌質改善用経口剤の摂取方法は、肌質改善剤の一日あたりの摂取量のあわせて、一日3~5に分けて摂取すればよい。一定時間あけて摂取すればよく、特に毎食後および就寝前に、1回1錠を口腔内で溶かして、噛まずに摂取することが好ましい。
上記1粒(900~1000mg)当たりのそれぞれの配合量は以下のように例示することができる。
ホトリエノールの配合量は、0.005~10mgであることが好ましい。0.008~5mgがより好ましく、0.01~2mgがさら好ましい。
フラネオールの配合量は、0.005~10mgであることが好ましい。0.008~5mgがより好ましく、0.01~2mgがさら好ましい。
2-フェニルエチルアルコールの配合量は、0.01~10mgであることが好ましい。0.03~5mgがより好ましく、0.05~3mgがさら好ましい。
ゲラニオールは、0.005~10mgであることが好ましい。0.01~8mgがより好ましく、0.03~3mgがさら好ましい。
本発明の肌質改善用経口剤の製造方法は、タブレットの場合、従来の製造に用いられている方法をそのまま利用して製造することができる。例えば、粉末化したタブレット材料を混合し、直接打錠する方法を採用しても良く、または、タブレット材料を別々にまたは混合して湿式または乾式で顆粒化したのちに、混合して、打錠する方法を採用しても良い。
ホトリエノール、2-フェニルエチルアルコール、ゲラニオール
定性分析用試料としては、各香気成分を水で適宜希釈したものを測定試料とした。
定量分析用試料としては、以下のように調製した。試験品(タブレットの場合は1粒、粉末香料の場合は100mgを使用した)を100mLの水で希釈した液10ml及び塩化ナトリウム3gを20mLバイアルに入れ、終濃度で500ppbとなるように内部標準物質としてシクロヘプタノール(東京化成工業(株)製)を添加し、測定試料液とした。
各測定試料液中の香気化合物を固相マイクロ抽出法(Solid Phase Micro Extraction:SPME)により、吸着剤を用いて回収し、以下に示す分析条件でガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS分析法)により分析した。
ホトリエノール、2-フェニルエチルアルコール、ゲラニオールの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析法により定量した。
GC:TRACE GC ULTRA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
MS:TSQ QUANTUM XLS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
SPMEファイバー:50/30μm Divinylbenzene/Carboxen/Polydimethylsiloxane Stableflex (シグマアルドリッチ社製)
抽出:60℃、30分
カラム:SUPELCO WAX10 0.25mmI.D.×60m×0.25μm(シグマアルドリッチ社製)
オーブンプログラム:40℃で2分間保持した後、160℃まで3℃/分で昇温し、その後280℃まで10℃/分で昇温
キャリアーガス:ヘリウム(100kPa、一定圧力)
インジェクター:スプリットレス、240℃
イオン化:電子イオン化
イオン化電圧:70eV
上記の香気成分と同様に溶解後、0.45μmのフィルター(アドバンテック社)でろ過したものを試料とし、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS分析)に供した。LC-MS分析条件は以下の通りである。定量には、標準物質としてフラネオール(furaneol:東京化成工業社製)を超純水に溶解し、段階的に希釈したものを標準溶液として用いた。
<LC条件>
使用機器:Agilent1100Series(Agilent technologies社)
カラム:Atlantis T3 2.1×100mm、粒子径3μm
カラム温度:40℃
流速:0.2mL/min
移動相:(A)水+0.1%(v/v)ギ酸(B)アセトニトリル+0.1%(v/v)ギ酸
グラジエント条件:0分(A)95%(B)5%、1分(A)95%(B)5%、21分(A)20%(B)80%、24分(A)0%(B)100%、30分(A)95%(B)5%
<MS条件>
使用機器:3200QTRAP(AB SCIEX社)
スプレー電圧:5500V
イオン源温度:600℃
カーテンガス:10psi
コリジョンガス:3psi
測定モード:スキャン、Multiple Reaction Monitoring (MRM)
MRM条件: Q1(m/z)=129.04、Q2(m/z)=100.90
ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール、ゲラニオールの粉末品をタブレット1粒(900mg)中に下記の組成となるように、甘味料(エリスリトール、ソルビトール)、ショ糖エステルと混合し、ロータリー打錠機 (富山薬品機械 FY-ACU-PCMA)にて予備打錠圧0.91t、本打錠圧2.54tで直接打錠し、硬度12kgfのタブレットを製造した(試験品A)。
ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコール及びゲラニオールは粉末香料であって、すべて曽田香料株式会社製を使用した。なお、粉末香料は香料成分以外の賦形剤を含み、香料の濃度は、タブレット1粒を100mLのイオン交換水に溶解して上記分析方法にて濃度を求めた。
・タブレット1粒(900mg)あたり
エリスリトール:85質量%
ソルビトール:10質量%
ショ糖エステル:4質量%
粉末香料合計:1質量%(粉末香料中、ホトリエノール0.11質量%、フラネオール0.10質量%、2-フェニルエチルアルコール0.47質量%、ゲラニオール0.26質量%含有 合計0.95質量%)
タブレット中の香料の濃度(前記方法により測定結果)
ホトリエノール:0.001質量%
フラネオール:0.001質量%
2-フェニルエチルアルコール:0.004質量%
ゲラニオール:0.002質量%
合計:0.008質量%
・タブレットの形態:直径15mm、厚さ5-6mm
対象(プラセボ)として、香料成分を配合しない代わりにデキストリン(1質量%)を配合して、同様に製造した(試験品B)。
〈対象者〉
25~39歳の女性16名であって、自覚症状としてストレスによる肌の乾燥が気になり、日常的に2種類以上の基礎化粧品を使用し、スキンケアをしている者を被験対象者とした。
〈試験スケジュール〉
2期2試験品(A及びB)使用による2群クロスオーバー試験を試験デザインとして、3週間ずつ交互に実施した。各群を8名とした。
第1期(1週目~3週目)は、1群は試験品A、2群は試験品Bを用い、第2期(4週目~6週目)は、1群は試験品B、2群は試験品Aを用いて試験を行った。
〈摂取方法〉
1日4回(原則毎食後および就寝前)、1回1錠を噛まずに5分間かけて口腔内で溶かして摂取した。
〈試験項目〉測定方法の詳細は以下のとおりである。
各測定・評価は、摂取前(摂取開始時、0W)、摂取3週後(3W)および摂取終時(摂取6週後;6W)に各群の被験者に対して行った。
・測定部位:頬部位
・測定機器:SKICON-200EX (株式会社ヤヨイ)
顔面頬部の角質層水分量を5回以上測定し、安定した5回の測定値の平均値を採用した。
得られた水分量から、水分変化量を求めた。3週後の測定値は3週後の値から開始前の値を引いた値を示し、6週後の測定値は6週後の値から3週後の値を引いた値を示す。
検定は、ノンパラメトリックなウィルコクソンの順位和検定を用いた。結果を図1に示す。
図1中のsampleは試験品A,placeboは試験品Bを示す。
・測定部位:頬部位
・測定機器:分光測色計CR-13(コニカミノルタ社)
なお、L*値は、数値が大きいほど肌が白いことを示し、a*値は赤色を示しその変化から肌の炎症を判断できる。
L*値、a*値からそれぞれの変化量を求め、水分量、肌の色の変化を検証した。
L*値の変化量(以下ΔL*)は3週後の測定値は3週後のL*値から開始前のL*値を引いた値を示し、6週後の測定値は6週後のL*値から3週後のL*値を引いた値を示す。
a*値の変化量(以下Δa*)も同様に算出した。
検定は、ノンパラメトリックなウィルコクソンの順位和検定を用いた。結果を図2、3に示す。図2及び3中のsampleは試験品A、placeboは試験品Bを示す。
[1]角質層水分量
図1より、プラセボ群(試験品B)に比べて、サンプル群(試験品A)が、有意に角質層の水分変化量が増加したことが示されており、本発明の肌質改善剤により角質層水分量が増え、保湿効果または肌の乾燥状態を予防する効果が期待できる。
紅茶葉(ダージリン産 2nd flush)を用いて各々の香気成分を調製した。茶葉180kgに対して温水1800kgを加水後、フィルターで茶葉を除去し、抽出液1600kgを回収した。抽出液を減圧加熱濃縮し、蒸発分を冷却して凝縮させた香気水1440kgを回収後、逆浸透膜(RO膜)処理により香気成分各50kg(Brix0.09)を得た。香気成分に含まれる化合物について、上記に示す分析条件のガスクロマトグラフ質量分析法により分析した。
得られた香気成分は、デキストリンを賦形剤としてスプレードライにより粉末化した。タブレット1粒の濃度が、ホトリエノール0.002質量%、フラネオール0.002質量%、2-フェニルエチルアルコール0.004質量%、ゲラニオール0.002質量%となるように、それぞれ粉末香料を添加混合した。得られた粉末香料をタブレット1粒中の濃度が1質量%となるよう添加混合し、製造例1と同様に肌質改善用のタブレットを製造した。
製造例1の粉末香料(粉末香料中、ホトリエノール0.11質量%、フラネオール0.10質量%、2-フェニルエチルアルコール0.47質量%、ゲラニオール0.26質量%含有 合計0.95質量%)、エリスリトールの濃度を変更した以外は、下記に示した処方にて製造例1と同様に肌質改善用のタブレットを製造した。
・タブレット1粒(900mg)あたり
エリスリトール:84質量%
ソルビトール:10質量%
ショ糖エステル:4質量%
粉末香料合計:2質量%
Claims (6)
- ホトリエノール、フラネオール、2-フェニルエチルアルコールおよびゲラニオールを有効成分として含有する肌質改善剤。
- ホトリエノールの濃度が0.0001質量%~10.0質量%である請求項1に記載の肌質改善剤。
- 肌保湿用又は肌色改善用である、請求項1又は2に記載の肌質改善剤。
- 肌質改善作用が角質層水分量の改善、肌色の明るさの改善及び肌の赤みの抑制から選ばれる1以上である請求項1~3のいずれかに記載の肌質改善剤。
- 請求項1~4のいずれかに記載の肌質改善剤を含有する、肌質改善用経口剤。
- 肌質改善用経口剤がタブレットである請求項1~5のいずれかに記載の肌質改善用経口剤。
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