以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、本発明に係る警備システム1の概略構成の一例を示す図である。警備システム1は、例えば、監視対象である施設において監視機能及び受付機能を含む警備サービスを提供するために用いられる。
警備システム1は、複数の監視表示装置2a-2d(以下、特に区別する必要がないときは監視表示装置2と称する。)と、管理装置3とを有する。監視表示装置2と管理装置3とは、インターネット又はイントラネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続される。
監視表示装置2は、監視対象である施設において、それぞれ異なる監視空間に設置され、各監視空間の監視を行うとともに、施設の利用者に対する案内等を行う。
管理装置3は、ワークステーション又はPC等の情報処理装置である。管理装置3は、所定の情報処理が可能な多機能携帯電話、タブレット端末等であってもよい。管理装置3は、例えば、施設内の監視室等に設置され、その監視室に常駐するオペレータによって操作される。管理装置3は、施設外に設置されてもよい。
監視表示装置2は、立哨する警備員を模したキャラクタ(以下、「警備員キャラクタ」と称する。)を表示する。監視表示装置2は、施設の利用者等の監視空間内の人物を検知する。監視表示装置2は、検知した人物の動作及び発話を認識し、警備員キャラクタに検知した人物と対話させることによって応対(以下、「第1応対」と称する。)を行う。また、監視表示装置2は、管理装置3との間のビデオ通話機能を備え、管理装置3に切替要求を送信することで管理装置3を操作するオペレータによる、検知した人物に対する応対(以下、「第2応対」と称する。)を可能とする。
図2は、監視表示装置2の概略構成の一例を示す図である。監視表示装置2は、第1表示部21と、第1撮像部22と、センサ23と、第1音声入出力部24と、第1通信部25と、第1記憶部26と、第1制御部27とを備える。
第1表示部21は、ミラー型ディスプレイであり、第1制御部27から供給されたデータに応じた画像、テキスト等の各情報を表示する。特に、第1表示部21は、第1制御部27からの指示に従って、警備員キャラクタを表示する。なお、第1表示部21は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の非ミラー型ディスプレイでもよい。
第1撮像部22は、結像光学系、撮像素子及び画像処理部等を備える。結像光学系は、例えば光学レンズであり、被写体からの光束を撮像素子の撮像面上に結像させる。撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等であり、撮像面上に結像した被写体像の画像信号を出力する。画像処理部は、撮像素子によって生成された画像信号から所定のファイル形式の画像データを生成して第1制御部27に供給する。
センサ23は、監視表示装置2の周囲の対象物までの距離を測定するデバイスであり、例えばTOF(Time of Flight)方式のレーザ測距センサである。センサ23は、所定の走査範囲内の各方向にパルス変調されたレーザ光を照射し、その反射光を検出するまでの時間に基づいて各方向の反射点までの距離を算出する。続いて、センサ23はレーザ光を照射した方向と各方向における反射点までの距離とを対応付けて測距データとして第1制御部27に供給する。
第1音声入出力部24は、例えば、マイク及びスピーカである。第1音声入出力部24は、監視表示装置2の周囲の音声を電気信号に変換して第1制御部27に供給するとともに、第1制御部27から供給された電気信号を音声に変換して出力する。
第1通信部25は、ネットワーク4を介して監視表示装置2を管理装置3と通信可能にする通信インタフェース回路を備える。第1通信部25が備える通信インタフェース回路は、LTE(Long Term Evolution)又は無線LAN若しくは有線LANの通信インタフェース回路等である。第1通信部25は、第1制御部27から供給されたデータを管理装置3に送信するとともに、管理装置3から送信されたデータを受信し、第1制御部27に供給する。
第1記憶部26は、プログラムまたはデータを記憶するためのデバイスであり、例えば、半導体メモリ装置を備える。第1記憶部26は、第1制御部27による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶部26にインストールされる。
また、第1記憶部26は、データとして対話目的テーブル261及び切替条件テーブル262を記憶する。
第1制御部27は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。第1制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、監視表示装置2の動作を統括的に制御する。なお、第1制御部27は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large-Scaled IC)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。第1制御部27は、第1記憶部26に記憶されているプログラム又は第1音声入出力部24からの音声入力に基づいて監視表示装置2の各種処理が適切な手順で実行されるように、第1表示部21や第1通信部25の動作を制御する。第1制御部27は、第1記憶部26に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、第1制御部27は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
第1制御部27は、第1表示制御部271、検知部272、第1応対部273、特定部274、判定部275及び送信部276をその機能ブロックとして備える。第1表示制御部271は、認識した監視空間の状況等に応じて表示する警備員キャラクタの動作を表示制御する。また、第1応対部273は、監視表示装置10の近傍(例えば、1m以内)で立ち止まった人物を検知したり、人物からの発話を検知したりすると当該人物と対話するように音声出力を制御する。第1表示制御部271、検知部272、第1応対部273、特定部274、判定部275及び送信部276は、第1制御部27が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。また、これらの各部は、ファームウェアとして監視表示装置2に実装されてもよい。
図3は、監視表示装置2の外観を説明するための模式図である。図3に示すように、監視表示装置2の第1表示部21は、台座28により支持されている。監視表示装置2は、第1表示部21が監視空間Aに向くように配置される。
第1表示部21は、例えば、モニターの表示面にミラーパネル211を貼り合わせることにより形成されている。ミラーパネル211は、外側(監視空間側)からの光を反射しつつ、内側(モニター側)からの光(画像)を透過する。これにより、第1表示部21は、監視空間Aを往来する人物H1、H2の像を反射させて表示しつつ、第1制御部27から出力された警備員キャラクタCの画像を表示する。
ミラーパネル211の外枠212には、センサ23が監視空間Aに向けて近赤外線のパルスレーザを照射可能に配置される。同様に、外枠212には、第1撮像部22が監視空間Aを撮像可能に配置され、第1音声入出力部24が、監視空間Aの音を集音可能且つ監視空間Aに向けて音を出力可能に配置される。なお、センサ23、第1撮像部22、第1音声入出力部24の配置は外枠212に限られるものではなく、ミラーパネル211越しに配置されてもよい。
図4は、管理装置3の概略構成の一例を示す図である。管理装置3は、第2通信部31と、第2表示部32と、操作部33と、第2音声入出力部34と、第2撮像部35と、第2記憶部36と、第2制御部37とを備える。
第2通信部31、第2音声入出力部34、第2撮像部35及び第2記憶部36の構成は、それぞれ第1通信部25、第1音声入出力部24、第1撮像部22及び第1記憶部26と同様である。
第2表示部32は、オペレータに対して画像等を表示するデバイスであり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。第2表示部32は、第2制御部37から供給されるデータに応じた画像等を表示する。
操作部33は、オペレータによる管理装置3の操作を受付けるためのデバイスであり、例えば、キーボード及びマウス等である。操作部33は、ユーザによる文字、数字、記号等の入力操作及び選択操作等を受付ける。操作部33は、ユーザによる操作を受付けた場合、その操作に対応する信号を生成し、第2制御部37に供給する。
第2制御部37は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。第2制御部37は、例えばCPUであり、管理装置3の動作を統括的に制御する。なお、第2制御部37は、DSP、LSI、ASIC、FPGA等でもよい。第2制御部37は、管理装置3に記憶されているプログラムに基づいて管理装置3の各種処理が適切な手順で実行されるように、第2通信部31や第2表示部32の動作を制御する。第2制御部37は、管理装置3に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、第2制御部37は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
第2制御部37は、第2表示制御部371及び第2応対部372をその機能ブロックとして備える。これらの各部は、第2制御部37によって実行されるプログラムによって実現される機能モジュールである。また、これらの各部は、ファームウェアとして管理装置3に実装されてもよい。
図5は、監視表示装置2の第1記憶部26に記憶される対話目的テーブル261のデータ構造の一例を示す図である。対話目的テーブル261は、複数の対話条件と、対話目的と、発話内容とを互いに関連付けて記憶している。
対話条件は、監視表示装置2が第1応対において対話を行うための条件であり、監視表示装置2によって検知された人物の動作又は発話に関する条件である。対話目的は、関連付けられた対話条件が満たされた場合に行われる対話の目的である。対話目的には、「あいさつ」、「案内」及び「安否問いかけ」等が含まれる。発話内容は、関連付けられた対話条件が満たされた場合に警備員キャラクタによって発話される(すなわち、音声として出力される)内容であり、関連付けられた対話目的に沿った内容が記憶されている。
図5に示す例では、「人物が接近して5秒以上経過」という対話条件に「あいさつ」という対話目的及び「こんにちは。」という発話内容が関連付けられている。すなわち、監視表示装置2が「人物が接近して5秒以上経過」という対話条件が満たされたと判定した場合、第1応対において「あいさつ」を対話目的とする対話を開始する。そして、監視表示装置2は、警備員キャラクタに「こんにちは。」と発話させる。なお、検知部272は、監視空間内の人物位置が、予め設定された特定エリアの位置から所定距離内である場合、その人物が特定エリアへ接近していると判定する。
また、同様に、監視表示装置2が「人物からの場所の問いかけ」という対話条件が満たされたと判定した場合、第1応対において「案内」を対話目的とする対話を開始する。そして、監視表示装置2は、人物から問いかけがあった場所への経路を第1記憶部26から取得し、警備員キャラクタに「○○へは、右手の通路をお進みください。」というように、取得した経路を案内するように発話させる。
対話目的テーブル261の各種データは、警備サービスの提供者によってあらかじめ適切に設定され、第1記憶部26に記憶される。
図6は、第1記憶部26に記憶される切替条件テーブル262のデータ構造の一例である。切替条件テーブル262は、切替条件と、対話継続情報と、対話目的と、緊急度とを互いに関連付けて記憶している。
切替条件は、監視表示装置2が、第1応対から第2応対への切替要求を管理装置に送信するための条件であり、監視表示装置2が検知した人物の動作及び発話又は検知した人物との第1応対における対話に関する条件である。対話継続情報は、第1応対において対話が継続しているか否かを示す情報であり、「対話中」は対話が継続していることを示し、「立哨中」は対話が継続していないことを示す。緊急度は、関連付けられた切替条件が満たされた時の対話目的及び対話継続情報に応じた、切替要求の緊急度である。
図6に示す例では、「人物の動作及び発話が10秒以上検知されない」という切替条件に、「対話中」という対話継続情報、「あいさつ」という対話目的及び「低」の緊急度が関連付けられている。すなわち、監視表示装置2が「人物の動作及び発話が10秒以上検知されない」という切替条件が満たされたと判定した時に対話が継続しており、且つ、その対話の対話目的が「あいさつ」であれば、緊急度が「低」である切替要求が送信される。
また、監視表示装置2は、対話継続情報に応じて、切替条件が満たされると判定された場合でも切替要求を送信しなくてもよい。例えば、監視表示装置2が検知した人物の発話の認識に失敗したとしても、監視表示装置2がその人物との対話をしていない場合には、第2応対に切り替える必要性は小さい。そこで、図6に示す例では、「人物の発話が認識できず、又は発話に対して対応できない」という切替条件には、「立哨中」の対話継続情報が関連付けられていない。すなわち、「人物の発話が認識できない又は発話に対して対応できない」という切替条件が人物との対話をしていないときに満たされたとしても、監視表示装置2は切替要求を送信しなくてもよい。このようにすることで、監視空間内の人物の状況に応じてより適切にオペレータによる応対が可能となる。
切替条件テーブル262の各種データは、警備サービスの提供者によってあらかじめ適切に設定され、第1記憶部26に記憶される。
なお、図6の例に限られず、例えば、切替条件を満たした場合は、切替条件の内容や対話目的によらず「対話中」の対話継続情報であれば「高」の緊急度として、「立哨中」の対話継続状態であれば「低」の緊急度としてもよい。また、切替条件の内容や対話目的によらず「あいさつ」の対話目的であれば「低」の緊急度として、「案内」の対話目的であれば「中」の緊急度として、「安否問いかけ」の対話目的であれば「高」の緊急度としてもよい。また、切替条件の内容と対話継続情報とを考慮した緊急度を関連付けてもよい。この場合、例えば、「人物の発話が認識できない又は発話に対して対応できない」における「対話中」には、「中」の緊急度を関連付け、「人物が同一の発話を3回以上繰り返す」における「対話中」には、「中」の緊急度が関連付けられる。また、切替条件の内容と対話目的とを考慮した緊急度を関連付けてもよい。例えば、「人物の感情が「怒り」である」切替条件を満たしたときの対話目的として「あいさつ」の場合は「低」の緊急度を関連付け、「案内」の場合は「高」の緊急度を対応付け、「安否問いかけ」の場合は「中」の緊急度を関連付ける。
図7は、警備システム1による監視処理の流れの一例を示すシーケンス図であり、図8は、警備システム1による応対処理の流れの一例を示すフロー図である。これらの処理は、あらかじめ第1記憶部26及び第2記憶部36に記憶されているプログラムに基づいて、第1制御部27及び第2制御部37が監視表示装置2及び管理装置3の各構成要素と協働することにより実現される。なお、これらの処理は、定期的に、互いに非同期に並行して実行される。
また、これらの処理が実行されている間、監視表示装置2の第1表示制御部271は、継続して第1表示部21に警備員キャラクタを表示する。この場合、第1表示制御部271は、警備員キャラクタが所定の監視動作をするように警備員キャラクタの表示を制御してもよい。所定の監視動作は、例えば、周囲を監視するように視線又は顔若しくは体の向きを左右に動かす動作、監視空間内に人物が検知された場合にその人物を所定時間だけ追跡するように視線を動かす動作等である。このようにすることで、第1表示制御部271は、警備員キャラクタの自然な動きにより利用者に安心感を与え、利用者が警備員キャラクタによる応対を受けようという意欲を促進させる。
まず、図7を参照して監視処理について説明する。まず、監視表示装置2の送信部276は、第1撮像部22に監視空間を撮像させて、撮像画像を取得する(S101)。続いて、特定部274は、警備員キャラクタと監視空間内に検知された人物との対話状況を特定し、第1記憶部26に記憶する(S102)。なお、対話状況には最新の対話継続情報と対話目的とが含まれる。特定部274による対話状況の特定方法は応対処理の説明において詳述する。続いて、送信部276は、撮像画像と対話状況とを対応付けて管理装置3に送信する(S103)。
続いて、管理装置3の第2表示制御部371は、各監視表示装置2から受信した撮像画像と対話状況とをそれぞれ対応付けて表示する(S104)。例えば、第2表示制御部371は、受信した撮像画像と対話状況とを含む監視画面900を第2表示部32に表示する。
図9は、第2表示部32に表示される監視画面900の一例を示す図である。監視画面900は、監視表示装置2a-2dのそれぞれから送信された撮像画像910-940を含む。撮像画像910には、対応する監視表示装置2aの名称911と、対話継続情報912とが重畳して表示される。また、対話が継続している場合、撮像画像910には、監視表示装置2aの対話目的913が重畳して表示されてもよい。撮像画像920-940についても同様である。なお、監視表示装置2の名称の表示に代えて、設置場所を示す情報(例えば、エントランス等)を表示してもよい。なお、対話継続情報912と対話目的913のいずれか一方が表示されてもよい。
続いて、図8を参照して応対処理について説明する。まず、警備員キャラクタの視線を所定範囲内で動かすように表示制御することで立哨警備を行う。この制御と並行して、監視表示装置2の検知部272は、監視空間を含む監視装置周辺の人物を検知する(S201)。例えば、検知部272は、撮像画像から監視空間内の人物を検知する。この場合、検知部272は、順次撮像された複数の撮像画像にフレーム差分技術又は背景差分技術を適用し、撮像画像から背景を除いた変化領域を抽出する。検知部272は、抽出した変化領域の大きさ及び形状等とあらかじめ記憶されたパターンとのマッチング処理を行うことで、人物領域を抽出する。続いて、検知部272は、あらかじめ第1記憶部26に記憶されたマップ情報を参照し、抽出した人物領域の足元に相当する位置に基づいて人物位置を特定する。
なお、検知部272は、センサ23が取得した測距データから人物を検知してもよい。この場合、検知部272は、取得された測距データにおいて、監視空間に人物がいない時に測定された測距データに対して距離が変化した方向を示す変化領域を抽出する。続いて、検知部272は、抽出した変化領域の大きさ及び形状等とあらかじめ記憶されたパターンとのマッチング処理を行うことで、人物領域を抽出する。続いて、検知部272は、抽出した人物領域の位置に基づいて人物位置を特定する。
続いて、検知部272は、S201の検知処理において、監視空間内に人物が検知されたか否かを判定する(S202)。人物が検知されたと判定された場合、応対処理はS203へ進む。人物が検知されない場合、応対処理はS201に戻る。なお、検知部272は、監視空間内に人物が所定時間(例えば、5秒)以上継続して検知された場合に人物が検知されたと判定してもよい。
続いて、第1応対部273は、警備員キャラクタを検知された人物と対話させることにより第1応対を行う(S203)。なお、第1応対部273は、第1応対において、警備員キャラクタが所定の応対動作をするように警備員キャラクタの表示を制御する。所定の応対動作は、例えば、体の向きを検知された人物の方向に変える動作、視線を検知された人物の顔に向ける動作、検知された人物に対して会釈する動作である。所定の応対動作は、検知された人物が子どもである場合にしゃがんで目線の高さを合わせる等の、検知された人物の属性に応じて異なる動作を含んでもよい。このようにすることで、第1表示制御部271は、警備員キャラクタの自然な動きにより、応対を受ける利用者に安心感を与えることができる。
まず、第1応対部273は、検知された人物の動作及び発話を特定する。例えば、第1応対部273は、撮像画像から抽出された人物領域から肩や肘等の関節点を抽出し、関節点の位置関係を特定する。そして、第1応対部273は、特定された位置関係と姿勢ごとに予め設定されたパターンとのマッチング処理を行うことで人物の姿勢を推定する。そして、第1応対部273は、推定された姿勢の時間変化に基づいて人物の動作を特定する。例えば、人物の姿勢として「立っている」、「しゃがんでいる」及び「倒れている」という姿勢がこの順に推定された場合、その人物は「立っている」姿勢から「倒れる」という動作をしたと考えられる。したがって、この場合、第1応対部273は人物の動作として「倒れる」という動作を特定する。また、人物の動作として、人物位置の時間的な変化から人物が移動しているかを判定してもよい。また、第1応対部273は、第1音声入出力部24から取得した音声データに公知の音声認識技術及び自然言語処理技術を適用することにより、人物の発話に含まれる内容を特定する。続いて、第1応対部273は、対話目的テーブル261を参照し、特定した人物の動作及び発話が何れかの対話条件を満たすか否かを判定する。何れかの対話条件が満たされると判定された場合、第1応対部273は、その対話条件に対応する対話目的を特定する。なお、何れの対話条件も満たされない場合は対話を行わず、立哨警備を継続する。
続いて、第1応対部273は、対話目的テーブル261を参照し、特定された対話目的に関連付けられた発話内容を取得する。続いて、第1応対部273は、第1音声入出力部24を介して、取得した発話内容を音声として出力させる。
続いて、特定部274は、警備員キャラクタと検知された人物との対話状況を特定する(S204)。特定部274は、対話状況として、S203において第1応対部273が特定した対話目的を特定する。また、特定部274は、対話状況として警備員キャラクタと検知された人物との間の対話が継続しているか否かを判定する。例えば、「人物が接近して5秒以上経過」という対話条件が満たされ、警備員キャラクタが発話した時には、警備員キャラクタからの一方的な発話があったにすぎず、対話は開始していない。したがって、この場合、特定部274は対話が継続していないと判定し、現在の対話継続情報として「立哨中」を第1記憶部26に記憶する。一方、「人物からの場所の問いかけ」という対話条件が満たされ、警備員キャラクタが発話した時には、人物からの問いかけに対して警備員キャラクタが応答するという対話が開始している。したがって、この場合、特定部274は対話が継続していると判定し、現在の対話継続情報として「対話中」を第1記憶部26に記憶する。特定部274は、第1記憶部26に記憶した現在の対話継続情報を対話状況として特定する。特定部274は、特定した対話状況を第1記憶部26に記憶する。
続いて、監視表示装置の判定部275は、切替条件が満たされるか否かを判定する(S205)。判定部275は、切替条件テーブル262を参照して、複数の切替条件のうちの何れかが満たされるか否かを判定する。
まず、判定部275は、第1応対部273と同様にして人物の動作及び発話を特定する。そして、判定部275は、人物が10秒以上動作をせず、且つ10秒以上発話をしていない場合、「人物の動作及び発話が10秒以上検知されない」という切替条件が満たされると判定する。また、判定部275は、取得した人物の発話に「苦しい」等の特定の単語が含まれる場合、「人物の発話が特定の単語を含む」という切替条件が満たされると判定する。また、判定部275は、人物の発話に係る音声入力の音圧が所定値以上である場合に「人物の感情が「怒り」である」という切替条件が満たされると判定する。また、判定部275は、取得した人物の発話が連続して同一の内容を含む場合、「人物が同一の発話を3回以上繰り返す」という切替条件が満たされると判定する。また、判定部275は、警備員キャラクタの発話が連続して同一の内容を含む場合、「警備員キャラクタが同一の発話を3回以上繰り返す」という切替条件が満たされると判定する。
なお、判定部275は、人物の表情に基づいて人物の感情に関する切替条件が満たされるか否かを判定してもよい。この場合、判定部275は、撮像画像から抽出された人物領域の上部に位置する顔領域から、目、耳、鼻等の各部分の位置又は大きさといった特徴量を抽出し、表情ごとに予め設定された特徴量のパターンとのマッチング処理を行うことにより人物の表情を推定する。続いて、表情に基づいて人物の感情を特定し、特定した感情に関する切替条件が満たされるか否かを判定する。
切替条件のうちの何れかが満たされると判定された場合(S205-Y)、送信部276は、第1応対からオペレータとの通話による第2応対への切替要求を管理装置3に送信する(S206)。送信部276は、切替条件テーブル262を参照し、満たされると判定された切替条件、切替条件が満たされた時の対話状況に基づいて切替要求の緊急度を決定する。続いて、送信部276は、決定した緊急度がパラメータとして設定された切替要求を管理装置3に送信する。
切替条件が満たされないと判定された場合(S205-N)、応対処理はS210へ進む。
管理装置3の第2表示制御部371は、切替要求を送信した監視表示装置2から受信した撮像画像を、その切替要求の緊急度に応じて異なる態様で表示する(S207)。第2表示制御部371は、切替要求を受信し、受信した切替要求を送信した監視表示装置2を特定するとともに、その切替要求に設定された緊急度を取得する。第2表示制御部371は、特定された監視表示装置2から送信された撮像画像を取得した緊急度に応じた態様で表示する。
図10は、S207において第2表示部32に表示される監視画面1000の一例を示す図である。図10に示す監視画面1000は、監視表示装置2dから切替要求が送信された場合に、監視画面900に代わって表示される画面である。なお、図9と同一の構成については説明を省略する。監視画面1000は、強調表示オブジェクト1001と、第2応対開始画面1010と、対話履歴1020とを含む。
強調表示オブジェクト1001は、切替要求を送信した監視表示装置2dの撮像画像を他の監視表示装置2a-2cの撮像画像とは異なる態様で表示させるためのオブジェクトである。また、強調表示オブジェクト1001は、切替要求に設定された緊急度に応じて表示態様が変更される。第2応対開始画面1010は、オペレータに第2応対を開始させるための画面であり、緊急度情報1011と「応対する」ボタン1012と「応対しない」ボタン1013とを含む。
なお、撮像画像は強調表示オブジェクト1001とは異なる方法により表示態様が変更されてもよい。例えば、切替要求を送信した監視表示装置2dの撮像画像が拡大表示されてもよい。また、切替要求を送信した監視表示装置2dの撮像画像が監視画面1000の中央に表示されてもよい。さらに、切替要求の緊急度に応じて表示態様が変更されてもよい。例えば、緊急度が高いほど、切替要求を送信した監視表示装置2dの撮像画像をより拡大表示する。
図8に戻り、第2応対部372は、第2応対が開始される条件が満たされるか否かを判定する(S208)。第2応対部372が「応対する」ボタン1012を選択するオペレータの操作を受付けた場合、第2応対部372は、第2応対が開始される条件が満たされると判定する。また、第2応対部372が「応対しない」ボタン1013を選択するオペレータの操作を受付けた場合、第2応対部372は、第2応対が開始される条件が満たされないと判定する。第2応対が開始される条件が満たされないと判定された場合(S208-N)、応対処理はS210へ進む。
なお、第2応対部372は、受信した切替要求の緊急度に応じた第2応対への切替処理を行ってもよい。例えば、第2応対部372は、受信した切替要求の緊急度が所定値以上である場合、自動的に第2応対が開始される条件が満たされると判定する。例えば、第2応対部372は、緊急度が「高」である場合、自動的に第2応対を開始し、緊急度が「中」又は「低」である場合、「応対する」ボタン1012を選択するオペレータの操作を受付けたときに第2応対を開始する。このようにすることで、緊急時にオペレータが迅速に対応することが可能となる。
第2応対が開始される条件が満たされると判定された場合(S208-Y)、第2応対部372は、第2応対を開始する(S209)。第2応対部372は、第2音声入出力部34及び第2撮像部から取得したオペレータの音声及び画像を第2通信部31を介して監視表示装置2に送信することにより、オペレータと監視表示装置2に検知された人物との通話による第2応対を行う。第2応対において、第2応対部372は、オペレータの音声を監視表示装置2の第1音声入出力部24から出力させるとともに、オペレータの画像を第1表示部21に表示させる。
図11は、第2応対が開始された後の第1表示部21に表示される応対画面1100の一例を示す図である。応対画面1100には、ミラーパネル211に反射した監視空間Aに加え、オペレータの画像を表示するオペレータ画面1110が含まれる。
図8に戻り、監視表示装置2の第1応対部273は、対話終了条件が満たされるか否かを判定する(S210)。対話終了条件は、例えば、監視空間内に人物が検知されなくなったこと、対話終了時に発する可能性の高い単語(例えば、「ありがとう。」「さようなら。」等)を含む音声が検知されたこと等である。なお、第2応対が行われた場合、第1応対部273は自動的に対話終了条件が満たされると判定してもよい。
対話終了条件が満たされると判定された場合(S210-Y)、第1応対部273は、対話継続情報を「立哨中」に更新するとともに対話を終了し、一連の処理を終了する。対話終了条件が満たされないと判定された場合(S210-N)、応対処理はS203に戻る。
以上説明したように、本発明に係る警備システム1において、送信部276は、第1応対における対話状況に応じて、警備員キャラクタによる第1応対からオペレータによる第2応対への切替要求の緊急度を異ならせる。このようにすることで、警備システム1は、監視空間内の人物の状況に応じて適切にオペレータによる応対がなされることを可能とする。
また、本発明に係る警備システムにおいて、送信部276は、対話継続情報又は対話目的に基づいて緊急度を異ならせる。このようにすることで、警備システム1は、監視空間内の人物の状況に応じてより適切にオペレータによる応対がなされるようにする。
また、本発明に係る警備システム1において、図9では撮像画像とともに対話状況を表示する例について説明したが、管理装置3は、通常は各監視表示装置2から受信した撮像画像のみを表示してもよい。この場合、各監視表示装置2から受信した対話状況を第2記憶部36に記憶しておき、切替要求を受信した場合に切替要求を送信した監視表示装置に対応する対話状況を第2記憶部36から読み出して撮像画像とともに表示するようにしてもよい。これにより、オペレータが適切なタイミングで監視空間の状況を確認できる。なお、送信部276は、通常は撮像画像のみを送信し、切替要求を送信するときに対話状況を併せて送信するようにしてもよい。
また、本発明に係る警備システム1において、警備員キャラクタと監視空間内に検知された人物とがそれぞれ発話した対話内容を対話履歴として時系列に記憶してもよい。この場合、送信部276は、撮像画像に対話履歴を対応付けて管理装置3に送信し、第2表示制御部371は、監視表示装置2から対話履歴を受信した場合、その監視表示装置2から受信した撮像画像に対話履歴を対応付けて表示する。このようにすることで、警備システム1は、オペレータによる応対が開始される時にオペレータが過去の対話の状況を把握することを可能とし、円滑な応対が可能となる。なお、対話履歴は常時表示してもよいし、オペレータによる操作により表示するようにしてもよい。また、切替要求を受信した場合に切替要求を送信した監視表示装置に対応する対話履歴を表示するようにしてもよい。これにより、オペレータが適切なタイミングで監視空間の状況を確認できる。なお、送信部276は、通常は撮影画像のみを送信し、切替要求を送信するときに対話履歴を併せて送信するようにしてもよい。
また、本発明に係る警備システム1において、オペレータの画像を第1表示部21に表示させずに警備員キャラクタの画像を表示したまま、オペレータの音声をキャラクタの音声に変換し、監視表示装置2の第1音声入出力部24から出力してもよい。この場合、音声は、第1制御部27又は第2制御部37により変換される。これにより、オペレータによる対応を行っている場合でも目の前のキャラクタが応対している印象を抱かせることができる。また、オペレータによる選択操作や切替条件、緊急度に応じて、第2応対をオペレータの画像を表示して行うかキャラクタの表示のまま行うかを決定してもよい。例えば、「人物の感情等が「怒り」である」や「高」の緊急度の場合はオペレータの画像を表示し、「人物の動作及び発話が10秒以上検知されない」場合や「低」の緊急度の場合はオペレータの画像を表示させずキャラクタの表示のまま第2応対を行う。これにより、対応するオペレータの画像を表示させた方が好ましい場合やキャラクタが応対している印象を抱かせた方が好ましい場合等に応じて適切な対応ができる。
また、本発明に係る警備システム1において、第2表示制御部371は、監視表示装置2から受信した対話状況に応じて、監視表示装置2から受信した画像の表示態様を異ならせるようにしてもよい。例えば、「対話中」の監視表示装置の画像を拡大表示したり、監視画面1000中央に表示したりすることで、オペレータが監視表示装置2による応対の状況を容易に視認することができるようになる。
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。