JP7304280B2 - ダイヤモンド合成用cvd装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイヤモンド合成用CVD装置に係り、より詳細には、マイクロ波を用いたプラズマCVDによりダイヤモンドを合成するためのダイヤモンド合成用CVD装置に関する。
ダイヤモンドは、高硬度であるだけでなく、高い熱伝導率、広い光透過波長帯域、低誘電率、及び化学的安定性といった特性を有し、そのうえ、ダイヤモンド自体が半導体として利用できるため、エレクトロニクス分野への幅広い応用が期待されている。
現在、良質なダイヤモンド半導体を合成するために、マイクロ波によるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積法)法が広く用いられている。プラズマCVD法では、マイクロ波の高周波により水素とメタンとの混合プラズマを生成し、このプラズマ中での電子、イオン、ラジカル種による気相分子の分解・合成作用を利用して、基板上にダイヤモンドを成長させる。
特許文献1に、本願の出願人によって提案された、マイクロ波を用いたプラズマCVDによりダイヤモンドを合成するダイヤモンド合成用CVD装置が記載されている。同文献に記載のダイヤモンド合成用CVD装置では、中心に配置した試料ホルダにマイクロ波を集中させる球形チャンバーと、共振構造を有するアンテナとを組み合わせることにより、単結晶ダイヤモンドを高効率で成長させることができる。このダイヤモンド合成用CVD装置において、マイクロ波電力その他の成膜条件の最適化を図ることにより、現在、400μm/hという世界トップレベルの成長速度が実現されている。
特許第4649153号公報
マイクロ波を用いてプラズマCVDによりダイヤモンドを合成するダイヤモンド合成用CVD装置においては、通常、2mm角~3mm角のダイヤモンド基板上にダイヤモンドを成長させている。
一方、盛んに行われているパワー半導体やセンサーなどの応用研究には、より多くの高純度の単結晶ダイヤモンドが必要とされる。そのため、より大きな基板上でダイヤモンドを成長させることができるように、また、複数の基板上で同時にダイヤモンドを成長させることができるように、基板ホルダの大型化が要請されている。
ところが、特許文献1に記載のダイヤモンド合成用CVD装置においては、球形チャンバーの中心部分にのみプラズマを集中させているため、大きな基板ホルダ全体で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることが困難であった。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、より広い面積で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることができるダイヤモンド合成用CVD装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明のダイヤモンド合成用CVD装置は、基板の表面にダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド合成用CVD装置であって、扁平なドーム形状を有する上半球面と扁平なドーム形状を有する下半球面とで構成された放電室と、前記下半球面を貫通して前記放電室の中心軸線に沿って延在し、前記放電室の内部へマイクロ波を供給する同軸アンテナ部材と、前記放電室内で、前記同軸アンテナ部材の先端部に取り付けられ、前記放電室の最大直径面に沿って前記中心軸線と同心に拡がった円盤状の共振アンテナと、円形外周を有し、前記共振アンテナの上面の中央に前記中心軸線と同心に配置された、前記基板が載置される載置台と、を備えることを特徴としている。
本発明のダイヤモンド合成用CVD装置においては、放電室の上半球面を扁平なドーム形状とすることにより、放電室の上半球面の頂部付近と円盤状の共振アンテナとが接近する。その結果、放電室の頂部付近の電界が共振アンテナの上面に移動し、共振アンテナの上面の電界強度が高められる。
また、放電室の下半球面も扁平なドーム形状とすることにより、放電室内に露出している同軸アンテナの長さが短くなる。その結果、共振アンテナと接続している同軸アンテナの周囲の電界強度が低下し、共振アンテナの上面の電界強度が更に高められる。
さらに、本発明のダイヤモンド合成用CVD装置においては、共振アンテナの上面に載置台を配置することにより、共振アンテナのみでは、共振アンテナの広い上面の中央部で電界強度が強くなる効果と、載置台では、載置台の周囲のエッジ部分に電界が集中し、中央に向かって電界強度が低下する効果とが組み合わせられた結果、載置台の上面の電界強度が均一化する。
このように、本発明のダイヤモンド合成用CVD装置によれば、共振アンテナの上面の電界強度が高められることによって、ダイヤモンドの合成速度が向上し、さらに、載置台上で電界が均一化されるため、より広い領域で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることができる。
本発明によれば、より広い領域で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることができるダイヤモンド合成用CVD装置を提供することができる。
本発明の実施形態によるダイヤモンド合成用CVD装置の概略断面図である。 (a)及び(b)は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。 (a)及び(b)は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。 (a)及び(b)は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。 (a)及び(b)は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。 (a)及び(b)は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。 本発明の実施形態によるダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるダイヤモンド合成用CVD装置を説明する。
図1に、本発明の実施形態のダイヤモンド合成用CVD装置の概略断面図を示す。同図に示すように、本実施形態のダイヤモンド合成用CVD装置は、ダイヤモンド基板の表面に単結晶ダイヤモンド膜(ダイヤモンドの薄膜及び厚膜)を形成するダイヤモンド合成用CVD装置100であって、扁平なドーム形状を有する上半球面11と扁平なドーム形状を有する下半球面12とで構成された放電室(真空チャンバ)1と、下半球面12を貫通して放電室1の中心軸線Aに沿って延在し、放電室1の内部へマイクロ波を供給する同軸アンテナ部材2と、放電室1内で、同軸アンテナ部材2の先端部に取り付けられ、放電室1の最大直径面13に沿って中心軸線Aと同心に拡がった円盤状の共振アンテナ(基板ホルダ)3と、円形外周を有し、共振アンテナ3の上面31の中央に中心軸線Aと同心に配置された、ダイヤモンド基板Sが載置される載置台(サセプタ)4とを備えている。
本実施形態では、放電室1の上半球面11及び下半球面12は、それぞれ扁平回転楕円体を赤道面で切断した半球形状を有する。扁平回転楕円体の赤道面が、放電室1の最大直径面13となっている。ただし、最大直径面13から下半球面12の最低部12aまでの高さH2が、最大直径面13から上半球面11の最高部11aまでの高さH1よりも低くなっている。
具体的には、マイクロ波の周波数が2.45GHzの場合、シミュレーションの結果から、放電室1の最大直径面13における直径(内径)は、270mm~310mmが好ましく、例えば、300mmである。上半球面の扁平回転楕円体の極半径、即ち、最大直径面13から上半球面11の最高部11aまでの高さH1は、シミュレーションの結果から、80mm~100mmが好ましく、例えば、90mmである。一方、下半球面の扁平回転楕円体の極半径、即ち、最大直径面13から下半球面12の最低部12aまでの高さH2は、シミュレーションの結果から、20mm~40mmが好ましく、例えば、30mmである。高さH1及び高さH2がこの範囲内であるときに、プラズマと共振アンテナ3との接触が大きく、ダイヤモンド成長に適している。一方、この範囲から離れると、共振アンテナ3の上面31上のプラズマが弱まる傾向がある。
ダイヤモンド合成用CVD装置100の各部の寸法は、2.45GHzマイクロ波の波長に対するマイクロ波の波長の比率に合わせて比例させるとよい。
例えば、マイクロ波の周波数が915MHzの場合、シミュレーションの結果から、放電室1の最大直径面13における直径(内径)は、720mm~830mmが好ましく、例えば、800mmである。上半球面の扁平回転楕円体の極半径、即ち、最大直径面13から上半球面11の最高部11aまでの高さH1は、シミュレーションの結果から、210mm~270mmが好ましく、例えば、240mmである。一方、下半球面の扁平回転楕円体の極半径、即ち、最大直径面13から下半球面12の最低部12aまでの高さH2は、シミュレーションの結果から、50mm~110mmが好ましく、例えば、80mmである。
なお、下半球面12の最低部12aは、同軸アンテナ部材2が貫通しているため、扁平回転楕円体の仮想の最低部、即ち、下半球面12の扁平回転楕円体と中心軸線Aとの交点である。
このように、放電室1の上半球面12を扁平なドーム形状としたことにより、放電室1の上半球面11の頂部付近と円盤状の共振アンテナ3とが接近する。その結果、放電室1の頂部付近の電界が共振アンテナ3の上面31に移動し、共振アンテナ3の上面31の電界強度が、放電室1の頂部付近の電界と直接接続することなく、高められる。
さらに、放電室1の下半球面12も扁平なドーム形状としたことにより、放電室1内に露出している同軸アンテナ部材2の長さが短くなる。その結果、共振アンテナ3と接続している同軸アンテナ部材2の周囲の電界強度が低下し、共振アンテナ3の上面31の電界強度が更に高められる。
放電室1の上半球面11には、ポート110、111及びポート112が形成されている。ポート112は、反応ガス(例えば、水素(H2)とメタン(CH4)との混合ガス)の導入口及び放射温度計の窓として用いられる。また、ポート111は、ダイヤモンド膜の形成状態の観察に用いられる。
また、マイクロ波の電力を大きくすることにより、ダイヤモンドの成長速度も増加するが、放電室1も加熱される。このため、放電室1を冷却するための冷却水を通す冷却用パイプ14が、放電室1の周囲に設けられている。放電室1は、アルミニウム合金で形成されているため、効果的に水冷を行うことができる。
同軸アンテナ部材2は、先端部が放電室1内に配置され、他端部(図示せず)が導波管5内に配置され、マイクロ波発振器(図示せず)から導波管5を伝搬してきたマイクロ波を放電室1内へ供給する。同軸アンテナ部材2の先端部には、共振アンテナ3が取り付けられ、マイクロ波の電力が同軸条件を満たしたまま、同軸アンテナ部材2から共振アンテナ3に給電される。
共振アンテナ3は、放電室1の最大直径面13に沿って中心軸線Aと同心に拡がった円盤状の形状を有し、実質的に平坦な上面31を有している。また、共振アンテナ3の厚みは、中心から周辺に向かって徐々に薄くなっている。
具体的には、マイクロ波の周波数が2.45GHzの場合、シミュレーションの結果から、共振アンテナ3の直径は、160mm~190mmが好ましく、例えば、170mmである。共振アンテナ3の直径がこの範囲内であるときに、プラズマと共振アンテナ3との接触が大きく、ダイヤモンド成長に適している。一方、この範囲から離れると、共振アンテナ3の上面31上のプラズマが弱まる傾向がある。
また、マイクロ波の周波数が2.45GHzの場合、シミュレーションの結果から、放電室1の最大直径部10と共振アンテナ3の外周30との距離Lは、45mm~65mmが好ましいく、例えば、60mmである。距離Lがこの範囲内であるときに、プラズマと共振アンテナ3との接触が大きく、ダイヤモンド成長に適している。一方、この範囲から離れると、共振アンテナ3の上面31上のプラズマが弱まる傾向がある。
マイクロ波の周波数が915MHzの場合、シミュレーションの結果から、共振アンテナ3の直径は、425mm~510mmが好ましく、例えば、455mmである。放電室1の最大直径部10と共振アンテナ3の外周30との距離Lは、120mm~175mmが好ましく、例えば、160mmである。
なお、共振アンテナ3の上面31は、平坦でなくてもよく、例えば、中心部が高くなるように周辺部から中心部に向かって緩やかに傾斜していてもよい。
また、同軸アンテナ部材2の先端部から共振アンテナ3の上面31の中心までの経路長は、マイクロ波の波長の実質的に(2n+1)/4倍である。これにより、共振アンテナ3の上面31の中心に電界を集中させることができる。なお、この経路長は、放電室1の形状との関係で調整されるとよい。
なお、マイクロ波は、通常、2.45GHzのものが使用されるが、他の周波数(例えば、915MHz)の場合にも経路長を上記の式((2n+1)/4)により計算し、設計することができる。
載置台4は円柱形状を有し、共振アンテナ3の上面31の中央に形成された円形の凹部に配置される。
共振アンテナ3の上面31に載置台4を配置することにより、共振アンテナ3の広い上面31の中央部で電界強度が強くなる効果と、載置台4の周囲のエッジ部分に電界が集中し、中央に向かって電界強度が低下する効果とが組み合わせられた結果、載置台4の上面41の電界強度が均一化する。
載置台4の直径は、放電を維持するため、マイクロ波の波長の1/2以下であることが好ましい。例えば、2.45GHzのマイクロ波の波長は約12cmであるので、載置台4の直径は50mm~60mmであることが好ましく、載置台4の直径をできるだけ大きくする観点から、60mmが好ましい。
また、マイクロ波の周波数が915MHzの場合には、載置台4の直径は、134mm~161mmであることが好ましく、載置台4の直径をできるだけ大きくする観点から、161mmが好ましい。915MHzのマクロ波を利用することにより、2.45GHzのマイクロ波を利用する場合よりも、載置台4の面積、即ち、プラズマ暴露する範囲を広くすることができる。
また、載置台4の高さは、5mm~15mm、例えば10mmであるとよい。
載置台4上に載置された基板Sの温度をダイヤモンドの成長に適する1000℃~1200℃に保つため、例えば、周波数が2.45GHzのマイクロ波で6kWの電力を供給する場合には、載置台4の直径は50mm~60mmであることが好ましい。また、例えば、3kWの電力を供給する場合には、載置台4の直径は、20mm~25mmであることが好ましい。また、例えば、1kWの電力を供給する場合には、載置台4の直径は、5mm~10mmであることが好ましい。
このように、マイクロ波の電力に応じて種々の直径の載置台4を用いることにより、マイクロ波が低出力であってもダイヤモンドの成長が可能である。このため、柔軟性の高い装置運用が可能である。
載置台4は、モリブデン(Mo)で形成されている。モリブデンは硬質であるため、モリブデン製の載置台4は、変形がなく、取り扱いが容易であるという利点を有する。そのうえ、モリブデンは高融点金属であり、水素脆性も炭素吸蔵も少ないため、炭素を含む水素雰囲気中において高温下で行われるダイヤモンド合成プロセスに用いて好適である。さらに、モリブデンは熱伝導率が高いため、モリブデン製の載置台4を介して、載置台4に載置された基板Sの冷却を行う場合に好適である。
載置台4上に載置された基板Sの温度をダイヤモンドの成長に適する1000℃~1200℃に保つため、共振アンテナ3内には、載置台4を水冷するための冷却機構が設けられている。冷却機構は、同軸アンテナ部材2内を通じて供給された冷却水を共振アンテナ3内の内部空洞内に循環させる構造となっている。
同軸アンテナ部材2が放電室1の下半球面12の最低部12aを貫通しているため、放電室1の内部と外部とを遮断するように、真空シール部6が設けられている。真空シール部6は、マイクロ波の集中が少なく異常放電等が発生しないように考慮した位置に設けられている。また、シール部6に使用するOリングの材質は、マイクロ波の吸収が極力少ないものを選定する必要がある。また、シール部6に使用する絶縁物は、誘電損失の少ないテフロン(登録商標)等が望ましいが、熱の影響を考えると石英などの耐熱性を有するものがより望ましい。
上述したように本実施形態のダイヤモンド合成用CVD装置では、共振アンテナ3上の電界強度が高められるうえ、載置台4上で電界強度が均一化されるため、より広い領域で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることができる。
なお、載置台4に載置するダイヤモンド基板Sは、1つであってもよいし、複数であってもよい。
次に、図2~図7を参照して、従来のダイヤモンド合成用CVD装置から、図1に示す本実施形態のCVD装置へ至る改良経過を説明する。
図2~図7は、ダイヤモンド合成用CVD装置の電界強度のシミュレーション結果を示す。図2~図7の各図では、電界の向きと強度を矢印で表すとともに、電界強度を明るさ(白さ)で表している。したがって、電界強度が高いところほど、矢印が長くなるとともに、明るく(白く)表され、電界強度が低いところほど、矢印が短くなるとともに、暗く(黒く)表されている。
まず、図2(a)に示す従来のダイヤモンド合成用CVD装置における放電室(真空チャンバ)1aは、直径180mmの球形状を有している。放電室1a内へ、直径10mmの同軸アンテナ部材2及び同軸パイプ20が延び、同軸アンテナ部材2の先端に基板ホルダ3aが取り付けられている。この基板ホルダ3aは、球状の放電室1aの中心に配置されている。
次に、放電室1aの直径を種々変えてシミュレーションを繰り返した結果、図2(b)に示したように、放電室1aの直径を200mmに拡張したときに、直径15mmの同軸アンテナ部材2の先端に取り付けられた基板ホルダ3a付近を中心とした同心球状の最適な電界分布が得られた。
次に、直径200mmの球状の放電室1aにおいて、直径20mmの同軸アンテナ部材2の先端に取り付けられた基板ホルダ3bの直径を30mmに拡張すると、図3(a)に示すように、基板ホルダ3bの上面に電界集中が得られた。
そこで、図3(b)に示すように、基板ホルダ3bを、定在波が得られやすいと期待された直径120mmの円盤状に拡張した共振アンテナ3としたところ、かえって共振アンテナ3上の電界集中が得られなくなり、定在波が得られやすいと期待された直径120mmの場合にも、共振アンテナ3の上面の電界強度が低下してしまった。
共振アンテナ3の直径を更に拡張したところ、図4(a)に示すように、直径180mmで電界分布に変化が見られ、共振アンテナ3の上面の電界強度も若干強くなることが認められた。
そこで、共振アンテナ3の直径を180mmとしたまま、放電室1aの内径を300mmに拡張し、遮断が起きているのであれば、その緩和を試みたところ、図4(b)に示すように、かえって電界が発散し、放電室1の天井付近に僅かに強い電界が認められるのみとなった。
このため、図5(a)に示すように、天井付近の電界が共振アンテナ3の上面へ移動するまで、放電室1aを縦方向に圧縮して扁平回転楕円体の放電室1bとした。扁平回転楕円体の極半径を150mmから90mmまで短縮したところで、天井付近の電界が共振アンテナ3の上面へ移動した。
しかし、依然として、図5(a)に示すように、共振アンテナ3の底面側と同軸アンテナ部材2を囲む同軸パイプ20の上端との間に電界が集中している。
そこで、この電界集中を避けるために、同軸パイプ20の上端を放電室1bの底面まで押し下げたところ、図5(b)に示すように、放電室1bの天井付近ではなく、共振アンテナ3の上面の中央部に電界集中が得られた。
しかし、依然として、図5(b)に示すように、共振アンテナ3の底面側と同軸アンテナ部材2との間では電界強度が高いままである。
そこで、この電界集中を強度を下げるために、放電室1の下面側の扁平回転楕円体の扁平率を増大させた。即ち、扁平回転楕円体の極半径を90mmから30mmまで小さくしたところ、図6(a)に示すように、共振アンテナ3の上面の中央部に強い電界集中が得られた。
なお、実際の放電室1においては真空シールが必要なため、真空シール部6が共振アンテナ3の根元の弱電界となる位置に配置されるように設計しているものの、真空シール部6の影響により、図6(b)に示すように、放電室1内の電界強度が全体的に低下する。
次に、図7に示すように、共振アンテナ3の上面に、載置台(サセプタ)4を配置したところ、載置台4の上面の電界強度の均一化を図ることができた。これは、共振アンテナ3と載置台4とを組み合わせることによって、共振アンテナ3のみでは、共振アンテナ3の広い上面の中央部で電界強度が強くなる効果と、載置台4の周囲のエッジ部分に電界が集中し、中央に向かって電界強度が低下する効果とが組み合わせられた結果である。
そして、図7に示したダイヤモンド合成用CVD装置は、図1に示したものに相当する。
これにより、広い領域で高速かつ均一にダイヤモンドを成長させることができるダイヤモンド合成用CVD装置の構成が明らかにされた。
[実施例]
次に、図1に示す本実施形態のダイヤモンド合成用CVD装置の動作試験を行った。放電室1内の載置台4上に、4mm角の単結晶のダイヤモンド基板Sを載置し、メタンガス(CH4)を水素ガス(H2)で1%に希釈して、放電室1の圧力が25kPaになるように放電室1内に導入した。同時の酸素も1%導入した。なお、放電室1内の圧力は、超高純度のダイヤモンドを合成する場合においても、バックグラウンド圧力を超高真空とする必要はない。
そして、2.45GHz、3000Wのマイクロ波を印加して、載置台4上にプラズマを発生させ、ダイヤモンド基板Sに成膜を行った。その結果、30μm/hの成膜速度で、単結晶ダイヤモンド膜が成長した。プラズマの大きさに対するパワー密度から、特許文献1と同等以上の成長速度が得られていた。
また、マイクロ波の電力を大きくすることにより、ダイヤモンドの成長速度も増大するため、3kWより高い6kWまでの電力のマイクロ波を印加することによって、より高い成膜速度の実現が可能であることが明らかである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲内で種々の変更及び変形を行うことができる。上述した実施形態では、単結晶のダイヤモンド基板上に単結晶ダイヤモンドの膜を形成するホモエピタキシャル成長の例を説明したが、ダイヤモンド基板以外の基板を使用するヘテロエピタキシャル成長も可能である。また、本発明では、成膜するダイヤモンドは単結晶ダイヤモンドに限定されず、多結晶ダイヤモンドでもよい。多結晶ダイヤモンドを成膜する場合には、通常、基板としてシリコン基板や金属基板が用いられる
また、上述した実施形態では、放電室の上半球面及び下半球面の内面形状を扁平楕円体とした例を説明したが、本実施形態では、放電室の上半球面及び下半球面の内面形状は、扁平楕円体に限定されない。
1,1a,1b 放電室
10 最大直径部
11 上半球面
110,111 ポート
12 下半球面
13 最大直径面
14 冷却用パイプ
2 同軸アンテナ部材
20 同軸パイプ
3,3a,3b 共振アンテナ(基板ホルダ)
30 外周
31 上面
4 載置台
41 上面
5 導波管
6 真空シール部
100 ダイヤモンド合成用CVD装置
S ダイヤモンド基板

Claims (10)

  1. 基板の表面にダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド合成用CVD装置であって、
    扁平なドーム形状を有する上半球面と扁平なドーム形状を有する下半球面とで構成された放電室と、
    前記下半球面を貫通して前記放電室の中心軸線に沿って延在し、前記放電室の内部へマイクロ波を供給する同軸アンテナ部材と、
    前記放電室内で、前記同軸アンテナ部材の先端部に取り付けられ、前記放電室の最大直径面に沿って前記中心軸線と同心に拡がった円盤状の共振アンテナと、
    円形外周を有し、前記共振アンテナの上面の中央に前記中心軸線と同心に配置された、前記基板が載置される載置台と、
    を備えることを特徴とする、ダイヤモンド合成用CVD装置。
  2. マイクロ波の波長が2.45GHzである場合に、前記共振アンテナの直径が、160mm~190mmである
    ことを特徴とする、請求項1記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  3. マイクロ波の波長が2.45GHzである場合に、前記放電室の最大直径部と前記共振アンテナの外周との距離が、45mm~65mmである
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  4. マイクロ波の波長が915MHzである場合に、前記共振アンテナの直径が、425mm~510mmである
    ことを特徴とする、請求項1記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  5. マイクロ波の波長が915MHzである場合に、前記放電室の最大直径部と前記共振アンテナの外周との距離が、120mm~175mmである
    ことを特徴とする、請求項1又は4記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  6. 前記最大直径面から前記下半球面の最低部までの高さが、前記最大直径面から前記上半球面の最高部までの高さよりも低い
    ことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  7. 前記放電室の前記上半球面及び前記下半球面は、それぞれ扁平回転楕円体を赤道面で切断した半球形状を有する
    ことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  8. マイクロ波の波長が2.45GHzである場合に、
    前記上半球面の扁平回転楕円体の極半径は、80mm~100mmであり、
    前記下半球面の扁平回転楕円体の極半径は、20mm~40mmである
    ことを特徴とする、請求項7記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  9. マイクロ波の波長が915MHzである場合に、
    前記上半球面の扁平回転楕円体の極半径は、210mm~270mmであり、
    前記下半球面の扁平回転楕円体の極半径は、50mm~110mmである
    ことを特徴とする、請求項7記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
  10. 前記同軸アンテナ部材の先端部から前記共振アンテナの上面の中心までの経路長が、マイクロ波の波長の実質的に(2n+1)/4倍である
    ことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のダイヤモンド合成用CVD装置。
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