JP7303961B2 - 長尺の繊維強化熱可塑性樹脂製品の成形装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述の技術(第1の従来技術)では、長尺物の長さに対応する長さを有する成形装置が必要となり、それではコストも高くなるとともに、大きなスペースを必要とすることとなる。
その成形装置は、所定の断面を有するキャビティを有している。そして、繊維を含んだ熱可塑性樹脂(材料)が、加熱されつつ、キャビティを通過すべく引き抜かれる。
こうして、長さ方向のいずれの部位においても同一断面を有し長く延びる長尺物が繊維強化熱可塑性樹脂によって形成される。
しかしながら、上述の技術(第2の従来技術)においては、そのような成形物を成形することは不可能である。
引抜成形装置においては、引抜機構によって材料が引き抜かれることによって、当該材料が、所定の断面を有し一方向に延びるキャビティを通過する。こうして、長さ方向のいずれの部位においても同一の断面を有し一方向に延びる基本的形状を有する中間成形物が成形される。
そして、引抜成形装置の下流側に設けられた射出成形装置において、中間成形物に対して射出成形されて付加的形状が付与される。こうして、最終成形物が成形される。
離隔引抜状態においては、引抜成形装置が接近位置から離隔位置に移動しつつ、当該引抜成形装置によって中間成形物が成形されるとともに、中間成形物が射出成形装置に対して相対的に移動しない。
そして、その離隔引抜状態において、射出成形装置によって中間成形物に対して付加的形状が付与され、最終成形物が成形されるのである。
引抜成形装置から射出成形装置に流入してくる中間成形物に対して射出成形をしない状態においては、中間成形物/最終成形物は、第1型待機位置に位置する第1型と、第2型待機位置に位置する第2型との間において、円滑に射出成形装置を移動することが可能である。
一方、中間成形物に対して射出成形をしようとする状態においては、第1型型締位置に位置する第1型と、第2型型締位置に位置する第2型とが中間成形物を挟持することによって、当該中間成形物に対して適切に射出成形される。
図1に示すように、この成形装置は、引抜成形装置10及び射出成形装置70を有しているとともに、制御装置90(図7)を有している。
そして、この成形装置は、熱可塑性樹脂及び繊維からなる材料(被成形物)W1(図9(a))を用いて、中間成形物W2(図9(b))の成形を経て、成形物(最終成形物)W3(図9(c))を成形(製造)するものである。
なお、材料W1,中間成形物W2,最終成形物W3、及び、それらの間の状態のものを総称して、ワークWということとする。
図9(b)に示すように、中間成形物W2は、上下反転された角張った略U字状(角U字状)断面を有し、一方向(長さ方向)に延びるという基本的形状を有する長尺物である。すなわち、中間成形物W2は、一対の縦壁部Vと、両者の上端部同士をつなぐ上板部Uを有している。
図9(c)に示すように、最終成形物W3は、上記の基本的形状を有するとともに、その長さ方向の一部において、所定の間隔を隔ててリブR(付加的形状)を有する長尺物である。リブRは、板状をしており、上板部U及び一対の縦壁部Vをつないでいる。
引抜成形装置10及び射出成形装置70は直列的に配置されており、射出成形装置70は引抜成形装置10の下流側に位置している。
そして、長尺状の材料W1(図9(a))が、引抜成形装置10によって中間成形物W2(図9(b))に成形される。その後、その中間成形物W2が、射出成形装置70によって最終成形物W3(図9(c))に成形される。
すなわち、図8A~図8Eに示すように、この成形装置の作動状態において、上流側から下流側にかけて材料W1・中間成形物W2・最終成形物W3が長さ方向に一体となったもの(上下反転したもの)が存在することとなる。
一方、引抜成形装置10は、接近位置(接近状態)(図1中実線で示す)と離隔位置(離隔状態)(図1中二点鎖線で示す)との間を移動(変位)可能に設けられている。
接近位置(接近状態)とは、射出成形装置70に接近した位置(状態)であり、離隔位置(離隔状態)とは、射出成形装置70から離隔した位置(状態)である。
引抜成形装置10はフレーム11を有しており、予備的加熱装置20,型30(下型30A及び上型30B),冷却装置40,引抜装置50は、フレーム11に対して設けられている。
ベース60は、材料W1(ワークW)の長さ方向(移動方向)に延びている。ベース60には、一対のレール62が設けられている。各レール62に対応して、フレーム11には、その移動方向に沿って複数対の把跨部12が設けられている。
すなわち、移動用モータ14は、フレーム11に固定されており、移動用モータ14の回転軸にはピニオン15が固定されている。一方、ベース60にはラック65が設けられており、ピニオン15がラック65にかみ合っている。
そして、移動用モータ14の回転に伴うピニオン15の回転(正方向/逆方向の回転)によって、ピニオン15に対してラック65が自身の長さ方向に沿って相対的に移動し、結果的には引抜成形装置10(フレーム11)がワークWの長さ方向(移動方向)に沿って往復移動する。
型30(下型30A及び上型30B)は、一方向(材料W1(ワークW)の長さ方向(移動方向))に沿って長く延び、フレーム11に対して位置固定的に設けられている。下型30A及び上型30Bには、電熱線による加熱機構(図示省略)が設けられている。
図4に示すように、下型30Aには凹部35Aが設けられており、それに対応して、上型30Bには凸部35Bが設けられている。凹部35A及び凸部35Bは、型30(下型30A及び上形30B)の長さ方向に沿っている。凹部35Aと凸部35Bとの間の部分がキャビティ35(図3)である。
下型30Aの凹部35Aは、その長さ方向のいずれの部位においても同一の大きさ・形状を有している。
上型30Bの凸部35Bは、同一断面部32においては、その長さ方向のいずれの部位においても同一の大きさ・形状を有しており、漸狭断面部31においては、下流側から上流側に向けて、ほぼ相似の形状を維持しつつ徐々に小さくなっている。
こうして、引抜装置50は、材料W1(ワークW)を型30(キャビティ35)の上流端(開口)を通して型30内に引き込んで(型30内に流入させ)、型30(キャビティ35)内をその上流端から下流端に移動させ、型30(キャビティ35)の下流端(開口)を通して型30外に引き抜く(型30外に流出させる)。
さらに、引抜装置50は、中間成形物W2(ワークW)を射出成形装置70に導入し、最終成形物W3を射出成形装置70から流出させる、ということにも寄与する。
下型80Aは、下型用シリンダ72Aの作動によって、下降位置(実線で示す)と上昇位置(二点鎖線で示す)との間を上下動可能である。下降位置(下型下降位置)は待機位置(第1型待機位置)であり、上昇位置(下型上昇位置)は型締位置(第1型型締位置)である。
同様に、上型80Bは、上型用シリンダ72Bの作動によって、上昇位置(実線で示す)と下降位置(二点鎖線で示す)との間を上下動可能である。上昇位置(上型上昇位置)は待機位置(第2型待機位置)であり、下降位置(上型下降位置)は型締位置(第2型型締位置)である。
溝85Aの幅及び深さは、中間成形物W2/最終成形物W3の幅及び高さに対応している。正確には、中間成形物W2/最終成形物W3のいずれも外側の幅(両縦壁部Vの外面間の距離)及び高さ(上板部Uの上面と両縦壁部Vの上端部との間の距離)に対応している。
嵌合突出部85Bの幅及び深さは、中間成形物W2/最終成形物W3の幅及び高さに対応している。正確には、中間成形物W2/最終成形物W3のいずれも内側の幅(両縦壁部Vの内面間の距離)及び高さ(上板部Uの下面と両縦壁部Vの上端部との間の距離)に対応している。
図5に示すように、上型80Bには、溶融樹脂流路82が形成されている。溶融樹脂流路82は、その上端部において溶融樹脂流入部81に接続されている。溶融樹脂流路82は、上型80B内を下方に延び、途中で3本に分岐し、嵌合突出部85Bに至っている。
図5及び図6に示すように、嵌合突出部85Bにおいては、最終成形物W3(図9(c))の3つのリブRに対応して、3つのリブ形成溝部86が形成されている。
こうして、下型80Aの溝85Aと上型80Bの嵌合突出部85Bとが、中間成形物W2(上下反転状態)を挟持することとなる。
引抜駆動用モータ54(図1)は、基本的に、常に同速度で同方向に回転するようにされる。
これによって、ワークW(材料W1/中間成形物W2)は、引抜成形装置10に対して基本的に同速度で下流側に移動する(図8A~図8Eも参照)。すなわち、材料W1(図9(a))は、引抜装置50(ローラ52A,52B)によって型80(キャビティ35)を基本的に同速度で下流側に移動し、中間成形物W2(図9(b))が成形される。この工程が「引抜成形工程」である。
これによって、引抜成形装置10は、離隔位置(前述したように図1中二点鎖線で示す。図8Aも参照)から接近位置(前述したように図1中実線で示す。図8Bも参照)に移動したり、接近位置から離隔位置に移動したりする。
離隔位置から接近位置への移動速度は、引抜装置50によるワークW(材料W1/中間成形物W2)の移動速度と基本的に同一であり、接近位置から離隔位置への移動速度は、引抜装置50によるワークW(材料W1/中間成形物W2)の移動速度と基本的に逆方向に同一である。
その状態において、射出成形装置70において射出成形され、最終成形物W3が成形される。この工程が「射出成形工程」である。
そして、図8Dに示すように、下型80Aが下型上昇位置に到達して下型80Aの溝85Aと上型80Bの嵌合突出部85Bとが中間成形物W2(上下反転状態)を挟持することになった直後に、射出装置75が作動状態にされ、溶融樹脂が中間成形物W2に供給される。
また、引抜成形装置10及び射出成形装置70の双方が、相互に対して接近位置と離隔位置との間を移動するようにされてもよい。
例えば、「基本的形状」は、V字状断面や台形状断面を有し、一方向に延びるというものでもよい。また、「付加的形状」は、基本的形状に対応して種々の形状があり得る。
また、上記の実施例のものが上下反転されたもの、又は、90度回転されたものでもよい。
14 移動用モータ
35 キャビティ
50 引抜装置(引抜機構)
70 射出成形装置
80A 下型(第1型)
80B 上型(第2型)
W ワーク
W1 材料
W2 中間成形物
W3 最終成形物
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂及び繊維を有する材料を用いて最終成形物を製造する成形装置であって、
所定の断面を有し一方向に延びるキャビティと、そのキャビティを前記材料が通過すべく当該材料を下流側に引き抜く引抜機構とを有し、長さ方向のいずれの部位においても同一の断面を有し一方向に延びる基本的形状を有する中間成形物を成形する引抜成形装置と、
前記引抜成形装置の下流側に設けられ、前記中間成形物に対して射出成形することによって付加的形状を付与する射出成形装置とを有し、
前記引抜成形装置は、前記射出成形装置に対して接近した接近位置と前記射出成形装置から離隔した離隔位置との間を移動可能であり、
前記引抜成形装置が前記離隔位置から前記接近位置に移動しつつ、当該引抜成形装置によって前記中間成形物を成形するとともに、当該中間成形物を前記射出成形装置に対して下流側に相対的に移動させる接近引抜状態と、前記引抜成形装置が前記接近位置から前記離隔位置に移動しつつ、当該引抜成形装置によって前記中間成形物を成形するとともに、当該中間成形物を前記射出成形装置に対して相対的に移動させない離隔引抜状態との間を変相し、
前記離隔引抜状態において前記射出成形装置によって前記中間成形物に対して前記付加的形状を付与すべく制御される、
成形装置。 - 請求項1に記載の成形装置であって、
前記射出成形装置は、第1型及び第2型を有し、
前記第1型は、第1型待機位置と第1型型締位置との間を移動可能であり、
前記第2型は、第2型待機位置と第2型型締位置との間を移動可能であり、
前記第1型型締位置に位置する前記第1型と、前記第2型型締位置に位置する前記第2型とが前記中間成形物を挟持した状態で、当該中間成形物に対して射出成形するものである、
成形装置。
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