[第1実施形態]
以下、図面を参照して本開示の第1実施形態について説明する。図1は本開示の第1実施形態による検査装置を適用した検査支援システムの構成を示す概略図である。図1に示すように、検査支援システム10は、本実施形態による検査装置1、スマートフォン等の携帯端末2、および測定器3,4を備える。携帯端末2と測定器3,4とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線により互いに通信可能とされている。また、検査装置1と測定器3,4とも近距離無線により通信可能とされている。また、検査装置1と携帯端末2とも近距離無線により通信可能とされている。検査装置1は、有線または無線のネットワーク5を介して、検査サーバ6と通信可能な状態で接続されている。
検査装置1は、コンビニエンスストア、ショッピングモール、駅、空港、会社、薬局、公民館、高齢者のケアプラザ、および温泉施設等の人が集まる場所に設置される。あるいは、検査装置1は移動車に搭載され、要望のある場所に移動して使用される。検査装置1は、ユーザが後述するように測定器3等から送信した血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、ユーザの血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定し、判定結果に応じて血糖相当値に関連する生体情報を取得するための検査候補をユーザに提示するものである。また、検査装置1は、ユーザが選択した検査候補に応じた案内をユーザに提示して、ユーザが行う検査の補助を行う。なお、血糖相当値とは、血糖値と相関があり、採血によらない手法により測定される生体情報である。また、図1に示す検査装置1には、後述する解析装置18および収容ケース20が示されている。
測定器3は、スマートウォッチ等の腕時計タイプのウェアラブル端末であり、ユーザの血糖値と相関を有する血糖相当値をモニタリングする機能を有する。モニタリングするとは、ユーザが測定の指示を行うことなく、例えば、15分、30分等のように、予め定められた時間間隔により自動で血糖相当値を常時測定することを意味する。なお、測定器3は、血糖相当値を常時測定しつつ、ユーザの指示があった場合にも血糖相当値を測定するものであってもよい。また、測定器3は、フィンガークリップのように測定時にのみユーザに装着されるタイプのものであってもよい。
また、測定器3は、非侵襲性の血糖相当値の測定器であり、例えば赤外線をユーザに照射することにより血中のグルコースが放つ信号を解析して血糖相当値を導出する。あるいは、ユーザの心電図を測定し、心電図の変化に相関する血糖相当値を導出する。測定器3は、導出された血糖相当値を検査装置1に送信する。
測定器4は、侵襲性の血糖相当値の測定器である。例えば、測定器4は、ユーザに装着されて、ユーザの表皮下にある間質液中のグルコース濃度をモニタリングし、測定したグルコース濃度を検査装置1に送信する。このために、測定器4は、ユーザの表皮下に挿入される針状のフィラメント4Aを有する。グルコース濃度は血糖値と相関があるため、血糖相当値となる。
測定器3,4により測定される血糖相当値は、第1の生体情報の一例である。なお、ユーザは、測定器3,4のいずれか一方のみを有すればよい。
ここで、本実施形態においては、検査装置1は、血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する。本実施形態においては、血糖相当値の異常傾向として、食後高血糖スパイクの状態にあるか否かを判定する。食後高血糖スパイクとは、糖尿病の初期に見られる症状であり、空腹時の血糖値が正常範囲内であっても、食後約1~2時間の血糖値が大きく上昇する症状である。食後高血糖スパイクを放置すると、血管がダメージを受け、動脈硬化および糖尿病の合併症が進みやすくなる。また、心筋梗塞、狭心症および脳卒中等の合併症が進行しやすくなると考えられている。本実施形態は、血糖相当値をモニタリングし、血糖相当値が異常傾向にあると判定されると、ユーザに対して推奨される検査候補をユーザに提示することにより、食後高血糖スパイクを正確に把握するための生体情報を取得できる検査を、ユーザに受けさせるようにするものである。
ネットワーク5は、公衆回線網または専用回線網を介して検査装置1と検査サーバ6とを広域的に結ぶワイドエリアネットワーク (広域通信網 WAN:Wide Area Network) である。
検査サーバ6は、血糖値に関する検査を支援する検査センターに設置されている。検査サーバ6は、本実施形態による検査プログラムを検査装置1に提供したり、検査装置1が検査プログラムを実行する際に必要な情報を検査装置1に提供したりする機能を有する。検査サーバ6は、汎用のコンピュータにサーバの機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。
検査センターは、ユーザに対して血糖値に関する検査についての各種サポートを行う。例えば、本実施形態による検査プログラムを提供することにより、ユーザが検査方法を選択するためのサポートを行う。また、ユーザが検査方法を選択した場合、選択した検査に必要な機器および検査キットの購入をサポートしたり、病院の検査予約をサポートしたりする。また、ユーザから配送された、ユーザが自己採血した検体を用いての検査も行う。検査センターが外部検査機関の一例である。
次いで、本実施形態に係る検査装置について説明する。まず、図2を参照して、本実施形態に係る検査装置のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、本実施形態による検査装置である検査装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、不揮発性のストレージ13、および一時記憶領域としてのメモリ16を備える。また、検査装置1は、タッチパネル14、近距離無線通信を行う通信I/F(InterFace)15、ネットワーク5に無線接続されるネットワークI/F17を備える。また、検査装置1は、解析装置18を備える。さらに、検査装置1は、収容ケース20を備える。CPU11、ストレージ13、タッチパネル14、通信I/F15、メモリ16、ネットワークI/F17および解析装置18は、バス19に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
ストレージ13は、SSD(Solid State Drive)およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ13には、検査装置1にインストールされた検査プログラム12が記憶される。CPU11は、ストレージ13から検査プログラム12を読み出してメモリ16に展開し、展開した検査プログラム12を実行する。
タッチパネル14は、液晶ディスプレイおよび有機EL等からなり、検査装置1が行う処理に関する各種表示を行う。また、タッチパネル14は、検査装置1に対する各種入力を行うための入力デバイスとしての機能も有する。
なお、検査プログラム12は、検査サーバ6に外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて検査装置1にダウンロードされ、インストールされる。
解析装置18は、ユーザの血液を解析することにより、血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)等の生体情報を導出する。このために、解析装置18は、ユーザの血液を採取するための機構および後述する検査キットから血液を取得するための機構等を有する。
収容ケース20には、ユーザの血液を算出するための検査キット20Aが複数収容されている。検査キット20Aとしては、採血器具の他、検査前にユーザに飲ませるためのグルコースドリンクを含む。ユーザは、後述するようにして自己採血を行う検査を選択した場合、収容ケースから検査キットを取り出して、必要であればグルコースドリンクを飲んだ後に、採血器具を用いて自己採血を行うことができる。
次いで、携帯端末2について説明する。図3は携帯端末2のハードウェア構成図である。図3に示すように、携帯端末2は、スマートフォン等の携帯型のコンピュータであり、CPU21、不揮発性のストレージ23、および一時記憶領域としてのメモリ26を備える。また、携帯端末2は、タッチパネル24、近距離無線通信を行う通信I/F(InterFace)25、ネットワーク5に無線接続されるネットワークI/F27を備える。また、携帯端末2はカメラ28を備える。CPU21、ストレージ23、タッチパネル24、通信I/F25、メモリ26、ネットワークI/F27およびカメラ28は、バス29に接続される。
ストレージ23は、SSD(Solid State Drive)およびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ23には、携帯端末2にインストールされた解析プログラム22が記憶される。CPU21は、ストレージ23から解析プログラム22を読み出してメモリ26に展開し、展開した解析プログラム22を実行する。
タッチパネル24は、液晶ディスプレイおよび有機EL等からなり、携帯端末2が行う処理に関する各種表示を行う。また、タッチパネル24は、携帯端末2に対する各種入力を行うための入力デバイスとしての機能も有する。
カメラ28は、例えばユーザの指示により、ユーザの食事の撮影を行い、これにより食事の画像を取得する。取得した食事の画像はストレージ23に保存される。あるいは、ユーザの指示によりまたは指示を待たずに、後述するように血糖相当値のモニタリング結果等と併せて、検査装置1に送信される。
なお、解析プログラム22は、検査サーバ6に外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて携帯端末2にダウンロードされ、インストールされる。解析プログラム22は、測定器3,4から送信された血糖相当値のモニタリング結果を解析することにより、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定するものである。なお、解析プログラム22は、測定器3,4から送信された血糖相当値をストレージ23に保存する処理のみを実行するものであってもよい。なお、測定器3,4から検査装置1に血糖相当値のモニタリング結果が送信される場合、携帯端末2は使用されない。
また、本実施形態においては、ユーザは検査センターに対してユーザ登録が完了しているものとする。ユーザは検査装置1において認証を行うことにより、検査装置1に対して血糖相当値のモニタリング結果を送信したり、検査装置1において検査を行ったりすることが可能となる。
次いで、測定器について説明する。図4は測定器3のハードウェア構成を説明する。測定器3は、腕時計型のコンピュータであり、図4に示すように、CPU31、不揮発性のストレージ33、および一時記憶領域としてのメモリ36を備える。また、測定器3は、タッチパネル34、近距離無線通信を行う通信I/F35、外部のネットワーク(不図示)に無線接続されるネットワークI/F37、およびセンサ38を備える。CPU31、ストレージ33、タッチパネル34、通信I/F35、メモリ36、ネットワークI/F37およびセンサ38は、バス39に接続される。
ストレージ33は、SSDおよびフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としてのストレージ33には、測定器3にインストールされた血糖相当値を測定するための測定プログラム32が記憶される。CPU31は、ストレージ33から測定プログラム32を読み出してメモリ36に展開し、展開した測定プログラム32を実行する。
タッチパネル34は、液晶ディスプレイおよび有機EL等からなり、測定器3が行う処理に関する各種表示を行う。また、タッチパネル34は、測定器3に対する各種入力を行うための入力デバイスとしての機能も有する。
センサ38は、例えば赤外線光源および赤外線検出器からなり、測定器3を装着したユーザに赤外線を照射し、これにより血中のグルコースが放つ信号を検出する。センサ38が検出した信号は、測定プログラム32を実行するCPU31により解析されて、血糖相当値が導出される。また、センサ38は、心電図を測定するものであってもよい。この場合、測定プログラム32により心電図が解析されて、血糖相当値が導出される。
なお、測定プログラム32は、検査サーバ6に外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて測定器3にダウンロードされ、インストールされる。または、測定プログラム32は検査装置1または携帯端末2にダウンロードされ、検査装置1または携帯端末2と近距離無線通信を介して測定器3にダウンロードされ、インストールされる。
測定器3においては、センサ38が予め定められた時間間隔により血中のグルコースが放つ信号を検出する。CPU31は測定プログラム32を実行することにより信号を解析し、血糖相当値を導出する。さらにCPU31は、導出された血糖相当値を測定時間と対応づけてストレージ33に保存する。測定時間と対応づけられた血糖相当値が、血糖相当値のモニタリング結果となる。そして、CPU31は、ユーザが検査装置1を使用する際に、ユーザの指示によりまたはユーザの指示を待たずに、血糖相当値のモニタリング結果を通信I/F35から検査装置1に送信する。
次いで、測定器4について説明する。図5は測定器4のハードウェア構成図である。図5に示すように、測定器4は例えば特表2016-520379号公報に記載された、人体に装着して、表皮下の間質液中のグルコース濃度を血糖相当値として測定する測定器である。測定器4は、プロセッサ41、一時記憶領域としてのメモリ42、近距離無線通信を行う通信I/F43およびセンサ44を備える。センサ44には、表皮下に挿入される針状のフィラメント4Aが接続されている。プロセッサ41、メモリ42、通信I/F43およびセンサ44は、間質液中のグルコースを測定する用途の集積回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit))45からなる。
測定器4においては、センサ44が、予め定められた時間間隔により、またはユーザによる測定の指示により、表皮下の間質液中のグルコース濃度を表す信号を検出する。プロセッサ41は信号を解析して、グルコース濃度を導出する。さらにプロセッサ41は、導出されたグルコース濃度を測定時間と対応づけてメモリ42に保存する。測定時間と対応づけられた血糖相当値が、血糖相当値のモニタリング結果となる。そして、プロセッサ41は、ユーザが検査装置1を使用する際に、ユーザの指示によりまたはユーザの指示を待たずに、血糖相当値のモニタリング結果を通信I/F43から検査装置1に送信する。
次いで、本実施形態による検査装置の機能的な構成を説明する。図6は、本実施形態による検査装置の機能的な構成を示す図である。図6に示すように、検査装置1は、取得部51、判定部52、決定部53および提示部54を備える。そして、CPU11は、検査プログラム12を実行することにより、取得部51、判定部52、決定部53および提示部54として機能する。なお、以降の説明においては、ユーザは測定器3を有し、検査装置1は、測定器3から血糖相当値のモニタリング結果を直接取得するものとする。
取得部51は、測定器3の通信I/F35から送信された血糖相当値のモニタリング結果を通信I/F15によって受信することにより取得する。なお、本実施形態においては、例えば直近の24時間に計測した血糖相当値のモニタリング結果が取得される。
判定部52は、取得部51が取得した血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する。具体的には、判定部52は、血糖相当値が食後高血糖スパイクの傾向にあるか否かを判定する。
ここで、食後高血糖について説明する。図7は2型糖尿病患者の血糖日内変動を示す図である。図7において、横軸は1日の時間(24時間)、縦軸は血糖値(mg/dL)である。実線はHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が9%以上の患者の血糖値を示す。破線はHbA1cが7~8%未満の患者の血糖値を示す。一点鎖線はHbA1cが6.5%~7%未満の患者の血糖値を示す。また、図7においては8時頃に朝食を、12時頃に昼食を、19時頃に夕食を取った場合の血糖値の変動を示している。なお、HbA1cは、血液中の赤血球成分であるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものである。HbA1cは1~2ヶ月の血糖の変動を表す。
図7に示すように、HbA1cがいずれの値であっても、食後に血糖値の上昇が見られるが、HbA1cが大きいほど、とくに朝食後に血糖値が大きく上昇する食後高血糖スパイクが顕著に表れる。朝食後の食後高血糖スパイクを分かりやすくするために、図7においては8時の位置に線が付与されている。
また、ユーザは、測定器3から直近の食事時間を検査装置1に送信する。または、検査装置1のタッチパネル14から食事時間を入力するようにしてもよい。あるいは、携帯端末2のカメラ28により食事を撮影し、撮影した食事の画像を検査装置1に送信するようにしてもよい。この場合、撮影した食事の画像のヘッダ情報に含まれる撮影日時の情報を食事時間として用いることができる。
判定部52は、測定器3から送信される血糖相当値のモニタリング結果において、血糖相当値の時間変動が食後に予め定められたしきい値Th1以上となる状況があった場合に、血糖相当値が異常傾向にあると判定する。本実施形態において、時間変動とは、例えば1時間当たりの血糖値の変動である。
本実施形態においては、判定部52は、さらに血糖相当値の変動がしきい値Th2以上となる状況があったか否かを判定し、判定が肯定されると食後高血糖スパイクが大きいと判定する。なお、Th2>Th1である。また、判定部52は、判定が否定されると食後高血糖スパイクが小さいと判定する。
なお、判定部52は、血糖相当値が異常傾向にないと判定した場合、その旨の通知を行う。通知については後述する。
決定部53は、判定部52により、血糖相当値が異常傾向にあると判定された場合に、ユーザに推奨すべき検査候補を決定する。また、決定部53は、異常傾向の程度に応じて検査候補を決定する。
図8は、血糖相当値に関連する生体情報についての検査方法を示す表である。図8においては、4種類の検査方法(1)~(4)について、検査方法、測定される生体情報、費用および所要時間が検査情報として示されている。検査方法(1)~(4)はいずれもユーザの採血を行う検査方法である。
検査方法(1)は、血糖値のみを測定する検査方法である。検査方法(2)は、血糖値に加えて幾つかの検査を行う検査方法である。図8においては、幾つかの検査方法を「+α」で示している。検査方法(3)は、血糖値、HbA1cおよびこれら以外の多項目を検査する検査方法である。検査方法(4)は、HbA1cのみを測定する検査方法である。図8においては、血糖値およびHbA1c以外の多項目を「+他多項目」で示している。なお、検査方法(1)、(2)、(4)は、検査装置1の解析装置18により実行することが可能であり、その場合、比較的短い時間で検査結果を取得することができる。取得された検査結果は、タッチパネル14に表示される。検査方法(3)は、外部検査機関である検査センターに検体を配送することによる検査となる。
検査方法(1)~(4)により得られる生体情報である、血糖値、HbA1cおよびこれら以外の生体情報は、第2の生体情報の一例である。
また、図8には、提示された検査候補をユーザが選択する際の指標となる各種項目が示されている。具体的には、検査に要する費用(費用)、検査結果が得られるまでの所要時間(所要時間)、各種病気に対するリスクチェックを含むか否か(リスクチェック)、および検査の精度(精度)の項目が示されている。各項目の欄には、検査方法毎に好ましさの程度が示されている。好ましさの程度は、好ましい順に、A、B、C、Dの記号で表されている。Aは非常に好ましい、Bは好ましい、Cはどちらとも言えない、Dは好ましくないことをそれぞれ表す。
費用については、安価であるほど好ましさの程度が大きくなる。所要時間については、短いほど好ましさの程度が大きくなる。各種病気に対するリスクチェックについては、検査項目が多く、糖尿病以外の他の病気に関する検査を含む場合に、好ましさの程度が大きくなる。精度については、とくに食後高血糖に対する検出の精度が高いほど、好ましさの程度が大きくなる。
なお、項目としては、費用、所要時間、リスクチェックおよび精度に加えて、被検体の採取時の安心感、検査時の拘束度、侵襲性か非侵襲性かを加えてもよい。安心感については、被検体の採取(例えば採血)に対するユーザの不安が小さいほど大きくなる。例えば、検査方法として病院での採血がある場合、医療従事者による採血はユーザにとっては安心感が高いものである。拘束度については、外出の有無および待ち時間により好ましさの程度が変動し、外出がなく、待ち時間が少ないほど大きくなる。侵襲性については、痛みを伴うことなく検体を取得できる場合に好ましさの程度が大きくなる。例えば、検査方法としてブドウ糖負荷試験がある場合、ブドウ糖負荷後に採血を3回行う必要があるため、侵襲性についての好ましさの程度は悪くなる。
また、図8には、血糖相当値の各種異常傾向が示されている。具体的には、食後高血糖スパイクが大きいことおよび食後高血糖スパイクが小さいことが示されている。
また、図8には、異常傾向のそれぞれについて、検査候補とすべき検査方法の欄に○が付与されている。すなわち、食後高血糖スパイクが大きい場合には、検査方法(1)~(3)に○が付与されている。なお、検査方法(1)~(3)については、食後高血糖スパイクの判定のために食後の採血が必須となっている。食後高血糖スパイクが小さい場合には、すべての検査方法(1)~(4)に○が付与されている。
本実施形態においては、図8に示す表がテーブルとしてストレージ13に保存されている。決定部53は、ストレージ13に保存されたテーブルを参照して、判定部52が判定した血糖相当値の異常傾向に応じて検査候補を決定する。具体的には、判定部52により判定された異常傾向が食後高血糖スパイク大である場合、決定部53はテーブルを参照して、検査方法(1)~(3)を検査候補に決定する。また、判定部52により判定された異常傾向が食後高血糖スパイク小である場合、決定部53は検査方法(1)~(4)を検査候補に決定する。なお、検査方法(1)~(4)のいずれも検査装置1において採血することが可能であり、かつ採血した検体を検査センターに配送して検査を行うことも可能である。一方、検査方法(3)は、検体を外部検査機関である検査センターに配送して検査を行う必要がある。
提示部54は、決定部53が決定した検査候補をユーザに提示する。本実施形態においては、提示部54は、決定部53が決定した検査候補をタッチパネル14に表示することにより、検査候補をユーザに提示する。
以下、本実施形態において行われる処理について説明する。図9および図10は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。血糖相当値の異常傾向を判定するために、取得部51は、測定器3から送信された血糖相当値のモニタリング結果を通信I/F15が受信したか否かを監視しており(ステップST1)、ステップST1が肯定されると、判定部52は、血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定する(ステップST2)。ステップST2が否定されると、判定部52は、血糖相当値が異常傾向にない旨の通知を行い(ステップST3)、ステップST1に戻る。図11は、血糖相当値が異常傾向にない場合の通知画面を示す図である。図11に示すように、通知画面60には、「血糖値は異常傾向にありません。このままの生活習慣を続けてください。」の通知61が表示される。
ステップST2が肯定されると、判定部52が、血糖相当値の異常傾向の程度を判定する。まず、判定部52は、血糖相当値のモニタリング結果に基づいて、血糖相当値の変動がしきい値Th2以上なる状況があったか否かを判定する(ステップST4)。ステップST4が肯定されると、決定部53は、図8に示す表に含まれる検査方法のうち、食後高血糖スパイクが大きい場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST5)。ステップST4が否定されると、決定部53は、図8に示す表に含まれる検査方法のうち、食後高血糖スパイクが小さい場合の検査方法を検査候補に決定する(ステップST6)。
ステップST5,ST6に続いて、判定部52は、食事時間に基づいて、現在時刻が食後2時間以内であるか否かを判定する(ステップST7)。ステップST7が肯定されると、提示部54が、検査候補に対してグルコースドリンクを飲むことを追加せず(ドリンク追加なし;ステップST8)、決定された検査候補をユーザに提示する(ステップST10)。一方、ステップST7が否定されると、提示部54が、検査候補に対してグルコースドリンクを飲むことを追加し(ドリンク追加;ステップST9)、決定された検査候補をユーザに提示する(ステップST10)。
図12は検査候補の提示画面を示す図である。図12に示すように検査候補の提示画面62には、食後高血糖スパイク大かつドリンクを含む場合の検査候補63が表示される。すなわち、検査方法(1)の「血糖値のみ」、検査方法(2)の「血糖値+α」および検査方法(3)の「血糖値+HbA1c+他多項目」のそれぞれについて、ドリンクありと採血容器を後で届ける検査についての合計6つの検査候補が表示される。ドリンクありについては「ドリンク&」と表示され、採血容器を後で届ける検査は「採血容器届&」と表示されている。また、提示画面62は、統計情報参照ボタン64、項目選択ボタン65および決定ボタン66を含む。統計情報参照ボタン64は、後述するように統計情報を表示するためのものである。項目選択ボタン65は、後述するようにユーザが検査候補を選択する際の指標となる項目の一覧画面を表示するためのものである。決定ボタン66は、検査候補を決定するためのものである。
なお、食後高血糖スパイク大かつドリンクを含まない場合の検査候補の提示画面62Aを図13に示す。また、食後高血糖スパイク小かつドリンクを含む場合の検査候補の提示画面62Bを図14に示す。また、食後高血糖スパイク小かつドリンクを含まない場合の検査候補の提示画面62Cを図15に示す。図13に示す提示画面62Aには、食後高血糖スパイク大かつドリンクを含まない場合の検査候補63Aが表示される。図14に示す提示画面62Bには、食後高血糖スパイク小かつドリンクを含む場合の検査候補63Bが表示される。図15に示す提示画面62Cには、食後高血糖スパイク小かつドリンクを含まない場合の検査候補63Cが表示される。なお、食後高血糖スパイクが小さい場合には、検査方法(1)の「血糖値のみ」、検査方法(2)の「血糖値+α」、検査方法(3)の「血糖値+HbA1c+他多項目」、および検査方法(4)の「HbA1cのみ」が検査候補として選択される。なお、以降の説明においては、図12に示す提示画面62が表示されたものとして説明する。
検査候補63に含まれる各検査候補は選択可能とされており、ユーザが検査候補に含まれる検査候補を選択すると、選択した検査候補の内容説明が表示される。例えば、ユーザが6つの検査候補のうちの「ドリンク&血糖値のみ」を選択すると、図16に示すように、「これは、グルコースドリンクを飲んでから60分後に採血を行う検査です。」の説明67が、項目選択ボタン65と決定ボタン66との間に表示される。この状態でユーザが決定ボタン66を選択すると、選択した検査候補が、ユーザが行う検査方法に決定される。検査方法が決定された以降の処理については後述する。
また、ユーザが統計情報参照ボタン64を選択すると、過去に選択された検査候補の統計情報が表示される。ここで、検査候補はユーザの血糖相当値の異常傾向に応じて複数選択されてユーザに提示され、ユーザは複数の検査候補の内の1つの検査候補を選択して検査を行う。統計情報とは、複数の検査候補のそれぞれについて、現在検査を行っているユーザおよびまたは他のユーザにより、過去に選択された割合を表す。なお、統計情報は、ユーザの血糖相当値の異常傾向と同様の異常傾向の検査候補について、過去にいずれの検査候補が選択されたかを集計することにより導出される。例えば、ユーザの血糖相当値の異常傾向が食後高血糖スパイク大であれば、提示された6つの検査候補についての統計情報が表示される。
図17は、検査候補の統計情報が表示された検査候補の提示画面を示す図である。図17に示すように、提示された6つの検査候補のそれぞれについての統計情報68が、項目選択ボタン65と決定ボタン66との間に表示される。図17に示すように、統計情報68においては、過去に各検査候補が選択された割合が百分率で示されている。なお、統計情報68は検査サーバ6に保存されており、統計情報参照ボタン64が選択されると、携帯端末2が検査サーバ6にアクセスして統計情報68を取得し、ユーザに提示する。
統計情報68が表示された場合においても、ユーザがいずれかの検査候補を選択して決定ボタン66を選択すると、選択した検査候補がユーザが行う検査方法に決定される。
決定部53は、検査候補の提示後、決定ボタン66が選択されたか否かを判定し(ステップST11)、ステップST11が肯定されると、後述するステップST19の処理に進む。ステップST11が否定されると、決定部53は、項目選択ボタン65が選択されたか否かを判定する(項目選択;ステップST12)。ステップST12が否定されると、ステップST10に戻る。ステップST12が肯定されると、提示部54は項目の一覧を表示する(ステップST13)。
図18は項目の一覧を表示する一覧画面を示す図である。図18に示すように、項目の一覧画面70には、「いずれの項目を重視しますか?」のテキストが表示される。また、一覧画面70には、検査候補を選択する際の指標となる項目として、検査に要する費用、検査結果が得られるまでの所要時間、各種病気に対するリスクチェックを含むこと、および検査の精度が表示される。また、各項目にはチェックボックス71が付与されている。ユーザは自身が検査情報を選択する際に重視したいいずれかの項目のチェックボックスをチェックすることにより項目を指定して、項目指定ボタン72を選択する。このために、決定部53は、項目指定ボタン72が選択されたか否かを判定する(ステップST14)。ステップST14が否定されるとステップST13に戻る。ステップST14が肯定されると、決定部53は、指定された項目に応じた、後述するスケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示する(ステップST15)。
図19は質問提示画面を示す図である。なお、説明のために、ここでは、ユーザは「検査結果が得られるまでの所要時間」を検査候補を選択する際の指標となる項目として選択したものとする。図19に示すように、質問提示画面75には、2つの質問Q1,Q2が表示される。質問Q1は、「ドリンクを飲む場合は今飲みますか?」であり、質問Q2は、「自宅にて採血する場合は、いつ採血容器を届けられますか?」である。質問Q1に対して、ユーザはYESかNOで回答する。質問Q2に対しては入力ボックス76に採血容器を届けられる日時を入力する。ここで、ユーザは、質問Q1に対してYESと回答し、質問Q2に対して明日の日付を入力したものとする。
ユーザが回答後に回答終了ボタン77を選択すると、決定部53は、指定された項目に応じたスケール上において検査候補を表示する位置を決定する。そして提示部54が、スケール上の決定した表示位置に、検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する(検査候補スケール提示;ステップST16)。ここで、本実施形態においては、「検査結果が得られるまでの所要時間」が検査候補を選択する際の指標となる項目として選択されている。このため、決定部53は、質問の回答に応じて検査結果が得られるまでの所要時間を導出し、所要時間を表すスケール上における、検査候補の表示位置を決定する。そして、提示部54は、決定したスケール上の表示位置に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示する。
図20は、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて、検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図である。図20に示すように、提示画面78には、所要時間を表すスケール79が表示され、6つの検査候補のアイコン80A~80Fが所要時間に応じてスケール79に沿って並べられて表示される。図20に示すように、「ドリンク&血糖値のみ」に対応する検査候補のアイコン80Aのスケール79上での表示位置は「65分後」となっている。これは、質問Q1に対して今ドリンクを飲む回答をし、60分後に採血を行い、検査開始後5分で結果が出るからである。また、「ドリンク&血糖値+α」に対応する検査候補のアイコン80Bのスケール79上での表示位置は「75分後」となっている。これは、質問Q1に対して今ドリンクを飲む回答をし、60分後に採血を行い、検査開始後15分で結果が出るからである。また、「ドリンク&血糖値+HbA1c+他多項目」に対応する検査候補のアイコン80Cのスケール79上での表示位置は「3日後」となっている。これは、質問Q1に対して今ドリンクを飲む回答をしているが、すべての検査結果が出るまで3日要するためである。
「採血容器届&血糖値のみ」に対応する検査候補のアイコン80Dおよび「採血容器届&血糖値+α」に対応する検査候補のアイコン80Eのスケール79上での表示位置は「明日」となっている。これは、質問Q2に対して採血容器を明日に届ける回答を行っているからである。「採血容器届&血糖値+HbA1c+他多項目」に対応する検査候補のアイコン80Fのスケール79上での表示位置は「4日後」となっている。これは、質問Q2に対して採血容器を明日に届ける回答を行い、すべての検査結果が出るまでさらに3日要するためである。
なお、仮にユーザが食後2時間以内の状況にあり、図13に示す提示画面62Aが表示され、質問事項として直ちに採血するか否かの質問があり、その質問に対してYESと回答した場合の検査候補の提示画面を図21に示す。なお、図13に示す提示画面62Aの検査候補63Aには、ドリンクなしであることは示していないが、図21に示すアイコンにおいてはドリンクなしであることが示されている。図21に示す提示画面78Aにおいて、「ドリンクなし&血糖値のみ」に対応する検査候補のアイコン80Gのスケール79上での表示位置は「5分後」となっている。これは、検査開始後5分で結果が出るからである。また、「ドリンクなし&血糖値+α」に対応する検査候補のアイコン80Hのスケール79上での表示位置は「15分後」となっている。これは、検査開始後15分で結果が出るからである。また、「ドリンクなし&血糖値+HbA1c+他多項目」に対応する検査候補のアイコン80Iのスケール79上での表示位置は「3日後」となっている。これは、すべての検査結果が出るまで3日要するためである。
ユーザは提示画面78により、提示された検査候補についての所要日時を一見して認識することが可能となる。これにより、ユーザが重視する項目に応じた検査候補の比較を容易に行うことができる。
ユーザは、提示画面78において検査候補のアイコンを選択し、決定ボタン81を選択することにより、ユーザが所望する検査方法を決定することができる。また、項目選択ボタン82を選択することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を追加で指定することができる。このために、決定部53は、ステップST16に続いて、項目選択ボタン82が選択されたか否かを判定する(ステップST17)。ステップST17が肯定されるとステップST13に戻り、ステップST13~ステップST17の処理が繰り返される。ステップST17が否定されると、決定部53は、決定ボタン81が選択されたか否かを判定する(ステップST18)。ステップST18が肯定されると、後述するステップST19の処理に進む。ステップST18が否定されると、ステップST16の処理に戻る。
図22はステップST17が肯定されることにより、2回目に表示される項目の一覧画面を示す図である。図22に示すように、項目の一覧画面70に表示されたチェックボックス71のうち、「検査結果が得られるまでの所要時間」のチェックボックスはすでにチェックされている。ユーザは、項目の一覧画面70において、さらに項目を選択することができる。ここで、ユーザがさらに「検査に要する費用」を選択したとする。決定部53は、「検査に要する費用」に応じた、スケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示する。
図23は、「検査に要する費用」に関しての質問提示画面を示す図である。図23に示すように、質問提示画面84には、1つの質問Q3が提示される。質問Q3は、「ドリンクを注文しますか?」である。ユーザはYESかNOで質問に回答する。ここでは、ユーザはYESと回答したものとする。回答後、ユーザが回答終了ボタン85を選択すると、提示部54は、検査候補を表すアイコンの表示形態を更新する。すなわち、決定部53が、追加で指定された項目に応じた追加のスケール上における検査候補の表示位置を決定し、提示部54が、提示済みのスケールおよび追加のスケール上の決定した表示位置に、検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する。
具体的には、決定部53は、質問の回答に応じて検査に要する費用を導出し、検査に要する費用を表すスケール上における、検査候補の表示位置を決定する。そして、提示部54は、所要時間のスケールおよび検査に要する費用のスケールを直交するように表示し、直交する2つのスケール上の位置に検査候補のアイコンを表示することにより、検査候補をユーザに提示する。
図24は、2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面を示す図である。図24に示すように、提示画面86には、所要時間を表すスケール79に直交して費用を表すスケール87が表示され、6つの検査候補のアイコン80A~80Fが所要時間および費用に応じて2次元状に並べられて表示される。図24に示すように、「ドリンク&血糖値のみ」に対応する検査候補のアイコン80Aのスケール79上での表示位置は「65分後」となり、スケール87上での表示位置は600円となっている。費用は、血糖値のみの検査費用にグルコースドリンクの料金を加算したものである。
また、「ドリンク&血糖値+α」に対応する検査候補のアイコン80Bのスケール79上での表示位置は「75分後」となり、スケール87上での表示位置は2300円となっている。費用は、血糖値+αの検査費用にグルコースドリンクの料金を加算したものである。また、「ドリンク&血糖値+HbA1c+他多項目」に対応する検査候補のアイコン80Cのスケール79上での表示位置は「3日後」となり、スケール87上での表示位置は4300円となっている。費用は、血糖値+HbA1c+他多項目の検査費用にグルコースドリンクの料金を加算したものである。
また、「採血容器届&血糖値のみ」に対応する検査候補のアイコン80Dおよび「採血容器届&血糖値+α」に対応する検査候補のアイコン80Eのスケール79上での表示位置は「明日」となり、スケール87上での表示位置は、アイコン80A,80Bよりも若干上となっている。これは「ドリンク&血糖値のみ」および「ドリンク&血糖値+α」の費用に対して、採血容器を再度検査装置1まで届ける際の交通費(例えば300円)が含まれるからである。また、「採血容器届&血糖値+HbA1c+他多項目」に対応する検査候補のアイコン80Fのスケール79上での表示位置は「4日後」となり、スケール87上での表示位置は、アイコン80Cよりも若干上となっている。これは「ドリンク&血糖値+HbA1c+他多項目」および「ドリンク&血糖値+α」の費用に対して、採血容器を再度検査装置1まで届ける際の交通費が含まれるからである。
ユーザは提示画面86により、提示された検査候補についての所要日時および費用を一見して認識することが可能となる。これにより、所要日時および費用の双方を考慮しての検査候補の比較を容易に行うことができる。
提示画面86において、ユーザは検査候補のアイコンを選択し、決定ボタン81を選択することにより、ユーザが所望する検査方法を決定することができる。また、さらに項目選択ボタン82を選択することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を追加で指定することができる。これにより、さらに項目を追加して、ユーザが納得するまで検査候補を比較することが可能となる。
ステップST11およびステップST18が肯定されると、提示部54は、ユーザが選択した検査方法についての案内をタッチパネル14に表示する(ステップST19)。例えば、ユーザが提示画面62等において、「ドリンク&血糖値のみ」を選択したとすると、60分後に採血が必要であることから、提示部54は検査の予約を行うための案内画面を表示する。図25は検査の予約の案内画面を示す図である。図25に示す予約の案内画面89において、ユーザは、予約を希望する時間を入力ボックス90に入力する。その後、予約ボタン91を選択すると、予約が完了する。検査装置1は、ユーザが予約を行った時間の数分前から、他のユーザの血糖相当値のモニタリング結果の取得および検査を行わないように制御される。
ステップST19に続いて、決定部53は、取得したユーザの血糖相当値のモニタリング結果を、取得日時および異常傾向と対応づけてストレージ13に保存する(ステップST20)。さらに、取得したユーザの血糖相当値のモニタリング結果を、取得日時、異常傾向および選択した検査候補と対応づけ、かつユーザが特定されないように加工して、検査サーバ6に送信し(ステップST21)、処理を終了する。なお、食事の画像を取得した場合には、画像も併せて検査サーバ6に送信される。検査サーバ6においては、取得した情報が蓄積される。
なお、ユーザは予約した時間に検査装置1の設置場所に出向き、解析装置18において採血を行うか、または検査キットを用いて採血した血液を入れた採血容器を解析装置18に装填する。これにより、解析装置18が、ユーザが選択した検査方法に応じて血液を解析して解析結果を導出する。解析結果はタッチパネル14に表示される。図26は解析結果の表示画面を示す図である。図26に示すように、解析結果表示画面92には、例として血糖値の解析結果である「150mg/dL」が表示されている。
このように、本実施形態においては、ユーザの血糖相当値のモニタリング結果が異常傾向にある場合に、血糖相当値に関連する生体情報を取得するための検査候補をユーザに提示し、ユーザが選択した検査候補に応じた案内をユーザに提示するようにした。このため、ユーザは本実施形態による検査装置を用いて、血糖相当値のモニタリング結果に応じた検査を行うことができる。また、ユーザは、自身の血糖値の異常傾向にそぐわない検査を行うことがなくなる。したがって、ユーザに寄り添った個別化医療を推進することができる。
また、測定器3,4よりも高い精度により、血糖相当値に関連する生体情報を取得可能な検査候補を提示することにより、ユーザは、自身の血糖の状況を正確に把握可能な検査を選択することができる。したがって、ユーザは、選択した検査を受けることにより、自身の血糖の状況をより正確に把握することが可能となる。
また、ユーザが検査候補を選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の指定を受け付け、指定された項目に応じた表示形態にて検査候補を提示することにより、検査候補を選択する際にユーザが重視したい事項を反映した表示形態で検査候補を提示することができる。したがって、ユーザは検査候補を容易に選択することができる。
また、指定された項目に応じたスケール上での検査候補の表示位置を決定するための質問をユーザに提示し、スケール上での検査候補の表示位置を質問の回答に応じて決定し、スケール上の決定した表示位置に検査候補を表すアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示することにより、検査候補を選択する際の指標となる項目を反映した表示形態にて、検査候補をユーザに提示することができる。したがって、ユーザは、自身が重視する項目を考慮して、検査候補を選択することが可能となる。
また、検査候補を選択する際の指標となる少なくとも1つの項目の追加の指定を受け付け、追加で指定された項目にも応じて、検査候補を表すアイコンの表示形態を更新して検査候補をユーザに提示することにより、検査候補を選択する際の指標となる複数の項目を考慮した表示形態で検査候補を提示することができる。したがって、ユーザは検査候補を容易に選択することが可能となる。
また、過去に選択された検査候補の統計情報をユーザに提示することにより、ユーザは自身に適した検査方法をより一層選択しやすくなる。
また、検査サーバ6に血糖相当値、異常傾向、選択した検査候補および食事の画像等を蓄積することにより、蓄積した情報をビッグデータとして用いることが可能となる。蓄積したビッグデータは、血糖値に関連する情報を提供するAIの学習に使用したり、統計情報として用いることが可能となる。
なお、上記第1実施形態においては、検査装置1においては実施することができない検査方法を、検査候補として提示してもよい。例えば、ユーザが自己採血を定期的に行う検査、あるいは病院で採血を行う検査方法を検査候補として提示してもよい。そのような検査方法が検査候補として提示された場合において、例えば、ユーザが今後定期的に血糖値をチェックしたいとの考えから、自宅自己採血血糖値測定の検査方法を選択したとすると、提示部54は、血糖値測定器(SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose)を販売するウェブサイトをユーザに案内する。図27は、血糖値測定器を販売するウェブサイトの案内画面を示す図である。図27に示すように、案内画面93には、血糖値測定器を購入可能なウェブサイトが複数表示される。ユーザは表示されたウェブサイトにアクセスすることにより、血糖値測定器を購入することが可能となる。
一方、病院で行う検査方法が検査候補として提示された場合において、ユーザが、自身の血糖値の現状をしっかりと把握したいとの意向があり、病院でのブドウ糖負荷試験を選択した場合、提示部54は、ユーザの自宅あるいは職場の近くにある、ブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院をユーザに案内する。図28は、ブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院をユーザに案内する案内画面を示す図である。図28に示すように、案内画面94には、ユーザの職場の近くにあるブドウ糖負荷試験を行うことが可能な病院が表示される。また、提示された病院名は選択可能とされており、病院名を選択すると、ブドウ糖負荷試験を予約可能な日時の一覧95が表示される。図28においては、病院Aが選択されて、病院Aの予約可能な日時の一覧が表示された状態を示している。ユーザは「○」が付与されている日時を選択し、予約ボタン96を選択することにより、選択した病院でのブドウ糖負荷試験の検査の予約を行うことができる。
なお、上記第1実施形態においては、ユーザが検査候補から検査を選択した時点で案内を行って処理を終了しているが、ユーザが選択した検査に対して、さらにステップアップするような検査候補を提案するようにしてもよい。例えば、図12に示すように、食後高血糖スパイクが大きい場合の6つの検査候補が提示された場合において、ユーザがいずれかの検査候補を選択した後、次の検査候補として、病院での検査を案内するようにしてもよい。図29は次の検査の案内画面を示す図である。図29に示すように、案内画面97には、次のステップの検査として、病院でのGA検査および1,5AG検査、並びに病院でのブドウ糖負荷試験の2つの検査方法が提示されている。ユーザは、案内画面97を参考に、次は病院でのGA検査および1,5AG検査、または病院でのブドウ糖負荷試験を行うことが好ましいことを認識することができる。
なお、GA検査はグリコアルブミンの検査であり、1,5AG検査は、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールの検査である。グルコアルブミンは、血清中のタンパクの一種であるアルブミンとブドウ糖とが結合したものであり、1~2週間前の血糖値の状況を知ることができる生体情報である。1,5AGは、血液中の糖で、ブドウ糖の次に多く含まれる糖である。1,5AGを生体情報として測定することにより、過去数日間の血糖値の状況を知ることができる。ブドウ糖負荷試験は、ブドウ糖負荷後に採血を3回行うことにより、血糖値を測定する検査である。
また、上記第1実施形態においては、例えば血糖相当値の測定値が不足することにより、血糖値が異常傾向にあるか否かを判定できない場合がある。例えば、ユーザによる測定器3の装着時間が短く、食後高血糖スパイクを判断できるほど血糖相当値がモニタリングできていない場合がある。このような場合、判定部52は、異常傾向にあるか否かを判定することができない。このため、判定部52が異常傾向にあるか否かを判定できない場合、測定器3の装着時間を増やすことを促す通知を行うことが好ましい。図30は通知画面を示す図である。図30に示すように、通知画面98には、「測定器の装着時間を増やしてください。」の通知99が表示される。ユーザは、通知画面98により、測定器3の装着時間を増やす行動を取ることができ、これにより、これより後の血糖相当値が異常傾向にあるか否かを判定できるようにすることができる。
また、上記第1実施形態においては、ユーザは、携帯端末2のカメラ28を用いて食事内容を撮影し、血糖相当値のモニタリング結果と併せて食事内容の画像を検査装置1に送信するようにしてもよい。この場合、検査装置1においては、食後2時間以内の場合、食事内容の画像に基づいて食事内容を判別し、食事内容に応じて検査候補を決定してもよい。例えば、判定部52により判定された異常傾向が、食後高血糖スパイク小である場合において、食事内容を判別した結果、糖分が少ない食事内容であった場合、食事の影響により食後高血糖スパイクが小さいと考えられる。このため、血糖相当値の異常傾向を、食後高血糖スパイク大に変更し、検査方法(1)~(3)を検査候補に決定するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、項目の一覧画面70において、検査候補を選択する際の指標となる項目が1つ選択される毎に、スケールを用いた表示形態にて検査候補をユーザに提示しているが、これに限定されるものではない。項目の一覧画面70において、複数の項目を一度に選択できるようにしてもよい。この場合、選択した複数の項目のそれぞれのスケール上における検査候補の表示位置が決定され、決定された表示位置に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補がユーザに提示されることとなる。
また、上記第1実施形態においては、項目選択ボタン65が選択されると項目の一覧画面70を表示して、検査候補を選択する際の指標となる項目を選択させるようにしているが、これに限定されるものではない。本実施形態による検査装置により血糖相当値のモニタリング結果に基づいて異常傾向を判定する前に、検査候補を選択する際の指標となる項目を予めユーザに選択させるようにしてもよい。あるいは、測定器3から検査候補を選択する際の指標となる項目を検査装置1に送信するようにしてもよい。この場合、検査候補の提示画面62には、項目選択ボタン65に代わるボタンが表示され、そのボタンを選択することにより、図21、図22あるいは図24に示す表示形態でユーザに検査候補が提示されることとなる。
なお、検査候補を選択する際の指標となる項目を予めユーザに選択させる場合において、ユーザが各種病気に対するリスクチェックを含む項目を選択する場合がある。このような場合、決定部53は、他多項目検査を含む検査方法を検査候補に決定するようにすればよい。例えば、図8に示す検査方法(2)、(3)を検査候補に決定するようにすればよい。
また、上記第1実施形態においては、項目の一覧画面70において、検査候補を選択する際の指標となる項目が選択されるとユーザに質問を行い、質問の回答に応じてスケール上における検査候補の表示位置を決定しているが、これに限定されるものではない。質問を行うことなく、選択された項目の好ましさの程度に応じて、スケール上における検査候補の表示位置を決定してもよい。例えば、ユーザが検査の精度を選択した場合、検査の精度を表すスケール上において、より検査の精度が高い検査候補のアイコンが、より精度が高い位置に表示されるように表示位置が決定される。
また、上記第1実施形態においては、血糖相当値が異常傾向にない場合に、図11に示すように、「血糖値は異常傾向にありません。このままの生活習慣を続けてください。」の通知を行っているが、通知の内容はこれに限定されるものではない。血糖相当値が異常傾向にないものの、血糖相当値が上昇する傾向が見られる場合には、生活習慣に気をつけるアドバイスを含むような通知を行うことが好ましい。
また、上記第1実施形態においては、測定器3,4により血糖相当値を測定しているが、これに限定されるものではない。測定器3,4による血糖相当値の測定に代えて、尿糖検査を行って尿糖を測定するようにしてもよい。この場合、測定した尿糖値が第1の生体情報の一例となる。尿糖検査の場合、尿糖検査装置を用いれば尿糖値として得られるため、それを血糖相当値として用いればよい。尿糖検査装置が測定器の一例となる。この場合、尿糖検査装置に携帯端末2との通信機能を持たせ、測定した尿糖値を携帯端末2に送信して、携帯端末2において尿糖値により血糖相当値のモニタリングを行うようにすればよい。
一方、試験紙を用いて尿糖検査を行う場合、尿糖に応じて試験紙の色が変化する。この場合、試験紙を携帯端末2のカメラ28により撮影することにより試験紙の画像を取得し、携帯端末2において試験紙の画像から試験紙の色を認識することにより尿糖値を蓄積し、蓄積した尿糖値を血糖相当値のモニタリング結果として携帯端末2から検査装置1に送信するようにすればよい。この場合、測定器は不要となるため、ユーザは測定器3,4または尿糖検査装置を用意する必要がなくなる。またこの場合、携帯端末2において取得した尿糖値から血糖相当値の異常傾向を判定するようにしてもよい。
また、測定器3,4により測定された血糖相当値に代えて、AGP(Ambulatory glucose profile)を用いることにより、血糖相当値をモニタリングしてもよい。AGPは、連続測定して得られた数日間分の血糖値または間質液中のグルコース値から、 血糖変動の傾向、すなわち血糖トレンドを読み取る際に有用な解析方法である(https://dm-net.co.jp/trend/agp/001.php)。AGPにより、1日のうちで低血糖および高血糖となる可能性の高い時間帯、並びに血糖値の変動が大きい時間帯等を把握することが容易となる。このため、AGPにより血糖相当値をモニタリングすることにより、血糖相当値の異常傾向の判定を容易に行うことができる。
また、上記第1実施形態において、測定器3,4により測定した血糖相当値をモニタリングし、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果をユーザに提示するようにしてもよい。図31は、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果を示す図である。図31において、実線が血糖相当値のモニタリング結果を示し、破線が採血により行った検査結果を示す。図31に示すように、測定器3,4による血糖相当値は実際の血糖よりも高めにでる傾向がある。図31に示すように、血糖相当値のモニタリング結果と、ユーザが採血により行った検査結果との比較結果をユーザに提示することにより、ユーザは現在の血糖相当値の値と実際の血糖値との乖離を判断することができる。
また、上記第1実施形態においては、検査方法(3)を選択した場合、ユーザが採取した血液を検査センターに配送することとなる。また、検査方法(1)、(2)、(4)を選択した場合も、ユーザが採取した血液を検査センターに配送して検査を希望する場合もある。この場合、検査装置1の提示部54は、配送手続きを行うための案内画面をタッチパネル14に表示する。図32は、検査結果の配送手続きを行うための案内画面を示す図である。図32に示すように、案内画面100には、ユーザの氏名、住所、電話番号およびEメールアドレスを入力するボックスが表示される。ユーザは必要事項を入力して決定ボタン101を選択する。これにより、検体の宛先がユーザのメールアドレスにメールされる。ユーザは自らメールされた宛先に検体を配送する。また、検査結果が後日ユーザに配送されることとなる。一方、検査結果は、検査装置1においても確認することが可能である。この場合、検査センターから検査結果が検査装置1に送信され、ユーザは検査装置1において自身のID等を入力することにより、検査結果を検査装置1において表示することができる。
なお、ユーザは検査装置1を使用するためにユーザ登録を行っている。ユーザ登録のために氏名、住所および電話番号等のユーザ情報を検査センターに通知している場合には、検査装置1が検査サーバ6にアクセスしてユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいて、ユーザの氏名、住所および電話番号等を確認するための案内を、タッチパネル14に表示するようにしてもよい。
また、検体を配送するに際し、検査装置1に検体を収容する収容ボックスを設け、収容ボックスに検体を収容し、決められた時間に収容ボックスから検体を回収して、検査センターに配送するようにすればよい。
また、上記第1実施形態においては、血糖相当値の異常傾向として、食後高血糖スパイクを判定しているが、これに限定されるものではない。血糖相当値をモニタリングすることにより判定される異常傾向として、空腹時高血糖、低血糖症あるいは夜間高血糖等を判定するようにしてもよい。例えば、低血糖症の場合、提示する検査候補としては、5時間負荷試験、唾液中コルチゾール検査、唾液中コルチゾール+DHEA検査、遅延型フードアレルギー検査および有機酸尿測定が挙げられる。5時間負荷試験は、低血糖症の検査としてほぼ必須の検査である。唾液中コルチゾール検査は、ストレスにより疲労状態にあるか否かを判定する検査である。DHEA検査は、デヒドロエピアンドロステロンサルフェートの検査である。デヒドロエピアンドロステロンサルフェートとは、男性ホルモンの一種である。遅延型フードアレルギーの検査は、腸内障害の重症度を判定する検査である。有機酸尿測定は、真菌が腸管内で増殖して毒素を出しているかの判定をする検査である。
[第2実施形態]
上記第1実施形態においては、血糖相当値の異常傾向に応じて血糖相当値に関連する生体情報を取得するための検査候補に応じた案内をユーザに提示する形態について説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、本開示の技術を、感染症およびがん等の各種病気の診断を行う場合に必要とされる生体情報を取得するための検査候補に応じた案内をユーザに提示する形態に適用してもよい。各種病気のなかには、罹患した場合に、心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温等の生理情報に異常傾向を示すものがあることが知られている。特にユーザが病気の症状を自覚する前において、本実施形態の技術によって各種生理情報の異常傾向を判定し、異常傾向にある場合にユーザに各種検査の受診を推奨できれば、病気の早期発見に寄与できる。
以下、このような病気の具体例として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を適用した例について説明する。本実施形態においては、第1実施形態の血糖相当値に代えて、第1の生体情報として心拍を適用する。心拍は、測定器3が備えるセンサにより取得されるものとする。また、第1実施形態のグルコース、尿糖、血糖値、HbA1c、グリコアルブミンおよび1,5AGに代えて、第2の生体情報として新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を適用する。本実施形態において、第1実施形態と同様の構成および作用については、重複する説明を一部省略する。
図33は、新型コロナウイルス感染症の罹患者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)、体内ウイルス量、体内抗体量およびウイルス排出量の推移の一例を示す概略図である。図33において、心拍変動を太実線、体内ウイルス量を細実線、体内抗体量を一点鎖線、ウイルス排出量を破線で図示している。図33の横軸は、発熱および咳等の症状を自覚した発症日を0日目として、発症後の日をプラス、発症前の日をマイナスで表している。心拍変動とは、心拍の一拍ごとの時間的間隔(RRI:R-R Interval)の変動を表す値である。具体的には、心拍変動は、予め定められた期間におけるRRIの標準偏差(SDNN:Standard Deviation of the R-R interval)および/または連続する2つのRRIの差の二乗の平均値の平方根(rMSSD:root Mean Square of Successive R-R interval Differences)等で表される。
図33に示すように、新型コロナウイルス感染症の場合は、発症日の約5日前から体内ウイルス量が急増し始め、それに伴い心拍変動が減少するといった異常傾向を見せる。これは、非感染者であれば運動時および緊張状態等において心拍数が増加し、リラックス時には心拍数が減少するというような変動があるところ、感染者は心拍の追従性が悪く、心拍数の増減の程度が小さくなるためである。その後、発症日付近において体内ウイルス量が最大値をとり、心拍変動が最小値をとり、発症日の約10日後には体内抗体量が増加するとともに体内ウイルス量が減少し始め、心拍変動も徐々に正常に戻る。
新型コロナウイルス感染症に関連する検査においては、ユーザが自己採取可能な検体として、鼻腔ぬぐい液、唾液および血液が用いられる(詳細は後述)。そこで、本実施形態における解析装置18は、ユーザの鼻腔ぬぐい液、唾液および血液を解析することにより、新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を第2の生体情報として導出する。このために、解析装置18は、ユーザの鼻腔ぬぐい液、唾液および血液を採取するための機構および後述する検査キット20Aから鼻腔ぬぐい液、唾液および血液を取得するための機構等を有する。
本実施形態における収容ケース20には、ユーザの鼻腔ぬぐい液、唾液および血液をそれぞれ採取するための検査キット20Aが複数収容されている。検査キット20Aは、例えば、鼻腔ぬぐい液を採取するための綿棒、唾液を採取するための容器、および採血器具を含む。
取得部51は、測定器3の通信I/F35から送信された心拍のモニタリング結果を通信I/F15によって受信することにより取得する。なお、本実施形態においては、例えば直近の24時間に計測した心拍のモニタリング結果が取得される。
判定部52は、取得部51が取得した心拍のモニタリング結果に基づいて、心拍が異常傾向にあるか否かを判定する。具体的には、判定部52は、測定器3から送信される心拍のモニタリング結果から心拍変動を算出し、心拍変動が予め定められたしきい値Th11以下となる状況があった場合に、心拍が異常傾向にあると判定する。また、判定部52は、心拍変動がしきい値Th12(ただしTh12<Th11)以下である場合に心拍の異常傾向の程度が大きいと判定し、心拍変動がしきい値Th11以下、Th12を超える場合に心拍の異常傾向の程度が小さいと判定する。
また、判定部52は、予め定められた期間(例えば直近の24時間)における、単位時間当たりの心拍変動の平均値および中央値等の代表値を用いて、心拍の異常傾向を判定してもよい。というのも、運動時および緊張状態における心拍変動の一時的な増加を異常傾向とみなさないようにすることが好ましいためである。
また、判定部52は、心拍変動が増加している(しきい値Th11以上となる)状況があった場合に、当該増加が運動時および緊張状態等による一時的なものであるか否かを判定し、一時的な増加と判定した場合は当該増加期間を除外して、心拍が異常傾向にあるか否かを判定してもよい。心拍変動が一時的な増加であるか否かの判定は、以前の同じような状況における心拍変動の一時的な増加傾向と比較することで行ってもよい。具体的には、例えば、予め心拍変動の一時的な増加パターンをストレージ13に記憶しておき、判定部52は、記憶した増加パターンと心拍のモニタリング結果とを比較することで、心拍変動が一時的な増加であるか否かを判定してもよい。
決定部53は、判定部52により、心拍が異常傾向にあると判定された場合に、ユーザに推奨すべき検査候補を決定する。
図34を参照して、決定部53による検査候補の決定方法の具体例について説明する。図34は、新型コロナウイルス感染症に関連する検査方法を示す表である。図34には、6種類の検査方法(C1)~(C6)について、検体種類、取得される生体情報、費用および所要時間が、検査情報として示されている。図34に示す表は、例えば、テーブルとしてストレージ13に保存されている。なお、図34の内容は一例であり、検査情報、各項目の評価および条件は、新型コロナウイルス感染症の流行状況、治療状況および検査方法の進展状況等に応じて、適宜更新されてもよい。
検査方法(C1)~(C2)は、それぞれ被検体を鼻腔ぬぐい液および唾液としたPCR(Polymerase Chain Reaction)検査である。検査方法(C3)~(C4)は、それぞれ被検体を鼻腔ぬぐい液および唾液とした抗原定量検査である。検査方法(C5)は、被検体を鼻腔ぬぐい液とした抗原定性検査である。検査方法(C1)~(C5)は、新型コロナウイルス感染症に現在感染しているかの検査結果を第2の生体情報として取得できる。検査方法(C6)は、血液を被検体とした抗体検査であり、新型コロナウイルス感染症に過去に感染したことがあるかの検査結果を第2の生体情報として取得できる。このような被検体の種類の指定を含み、かつ当該被検体から第2の生体情報を取得するための複数の検査方法(C1)~(C6)の中から、決定部53が検査候補を選択的に決定する。
また、図34には、提示された検査候補をユーザが選択する際の指標となる各種項目が示されている。各種項目の定義および評価方法については、上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。ただし、精度については、陽性者を陽性と検出できる度合い(いわゆる感度)が高いほど、好ましさの程度が大きくなる。
また、図34には、決定部53が検査候補を決定する際の各種条件が示されている。具体的には、検査可能期間、並びに異常傾向が小さい者、無症者および高リスク者の検査適否に関する条件が示されている。「検査可能期間」は、陽性者に対して検査を行った場合に陽性と検出できる度合い(いわゆる感度)が比較的高く、検査結果を信頼できる期間を示している。「異常傾向が小さい者」は、判定部52によって、異常傾向の程度が小さいと判定された者である。「無症者」は、発熱および咳等の症状を発症していない者を意味する。異常傾向が小さい者および無症者については、偽陰性による見逃しを防ぐために感度が高い検査方法を採用すべきと考えられるため、感度が比較的低い検査方法は不可となっている。「高リスク者」は、重症化および高治療難度等のリスク因子を有する者であり、例えば、高齢者、基礎疾患を有する者、および妊婦等である。高リスク者については、適切な治療を迅速に行うために検査をより正確に行うべきと考えられるので、感度が比較的低い検査方法は不可となっている。
決定部53は、図34のテーブルを参照して、検査方法(C1)~(C6)のうち、各種条件に適した検査方法を検査候補として決定する。図34に示したように、新型コロナウイルス感染症の場合、検査可能期間は発症日を基準として定められている。そこで、第一に、決定部53は、心拍変動に基づいて発症日を推定し、推定した発症日を基準とした検査可能期間に現時点が含まれているかに応じて、検査候補を決定する。例えば、現時点は発症日の2日前であると推定した場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C3)を検査候補に決定する。また例えば、現時点は発症日の4日後であると推定した場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C5)を検査候補に決定する。また例えば、現時点は発症日の15日以上後であると推定した場合、決定部53は、検査方法(C6)を検査候補に決定する。
発症日の推定方法としては、例えば、心拍変動が異常傾向を見せ始めてから発症までに約5日のタイムラグが生じること(図33参照)に基づき、判定部52によって心拍が異常傾向にあると判定された時点から約5日後を発症日と推定してもよい。また例えば、新型コロナウイルス感染症の罹患者の心拍変動の推移データと、実際の発症日と、のペアを学習用データとして学習された学習モデルであって、心拍変動の推移データを入力とし、推定される発症日を出力とする学習モデルを用いてもよい。
第二に、決定部53は、判定部52が判定した心拍の異常傾向の程度に応じて検査候補を決定する。例えば、判定部52により異常傾向が小さいと判定された場合、決定部53は、検査方法(C2)、(C4)および(C6)を検査候補に決定する。また、決定部53は、ユーザが無症者である場合にも、同様にして検査候補を決定する。一方、判定部52により異常傾向が大きいと判定された場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C6)を検査候補に決定する。
第三に、決定部53は、ユーザが有するリスク因子に応じて検査候補を決定する。例えば、ユーザが高リスク者である場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C4)および(C6)を検査候補に決定する。一方、ユーザが高リスク者ではない場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C6)を検査候補に決定する。
上記第一~第三の決定に応じて、決定部53は、最終的な検査候補を決定する。例えば、現時点が発症日の4日後であり、判定部52により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは有症者であり高リスク者ではない場合、決定部53は、検査方法(C1)~(C5)を検査候補に決定する。また例えば、現時点が発症日の4日後であり、判定部52により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは無症者であり高リスク者である場合、決定部53は、検査方法(C2)および(C4)を検査候補に決定する。
提示部54は、決定部53が決定した検査候補をユーザに提示する。図35および36は、ユーザにより「費用」および「精度」の2つの項目が選択された場合における、スケール上に検査候補のアイコンを表示する表示形態にて検査候補をユーザに提示する提示画面の一例を示す図である。図35および36の提示画面86Xには、費用を表すスケール87に直交して精度を表すスケール88が表示され、検査候補のアイコン801~805が費用および精度に応じて2次元状に並べられて表示される。アイコン801~805は、それぞれ検査方法(C1)~(C5)に対応する。
図35は、現時点が発症日の4日後であり、判定部52により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは有症者であり高リスク者ではない場合の提示画面である。図36は、現時点が発症日の4日後であり、判定部52により異常傾向が大きいと判定され、ユーザは無症者であり高リスク者である場合の提示画面である。提示画面86Xにより、ユーザは提示された検査候補についての費用および精度を一見して認識することが可能となる。これにより、費用および精度の双方を考慮しての検査候補の比較を容易に行うことができる。
提示部54は、提示した検査候補についてのユーザによる選択を受け付ける。その後、タッチパネル14を用いて、選択された検査候補に応じた案内をユーザに提示する。例えば、選択された検査候補に合わせて、鼻腔ぬぐい液、唾液および血液のうちいずれかを自己採取するための検査キット20Aを収容ケース20から取り出すよう、ユーザに案内する。また、提示部54は、自己採取の方法についての案内をユーザに提示する。これらの案内に関する情報は、ストレージ13保存されていてもよい。提示部54は、ユーザによって選択された検査候補に応じた案内をストレージ13から読み出し、読み出した案内をタッチパネル14に表示させてもよい。ユーザは、案内に従って、鼻腔ぬぐい液、唾液および血液のいずれかを自己採取する。
また、提示部54は、案内として、選択された検査候補の検査の実施を支援する支援情報であって、遠隔地からリアルタイムで送信される支援情報を提示してもよい。さらに、検査装置1がユーザを撮影するカメラを備え、提示部54は、選択された検査候補の検査をユーザが実施している様子をカメラで撮影して得られる動画像を、遠隔地に送信してもよい。具体的には、医療従事者が所有するコンピュータと検査装置1とをネットワークを介して接続することで、遠隔地にいる医療従事者がユーザに対してリアルタイムに自己採取の方法を案内できるようにしてもよい。この場合、検査装置1が備えるカメラによって、ユーザが鼻腔ぬぐい液、唾液および血液を自己採取する様子を撮影し、遠隔地にある医療従事者のコンピュータに送信してもよい。また、検査装置1はスピーカを備え、医療従事者からの音声による案内を再生してもよい。
また、提示部54は、現時点が発症日の3日以前である場合等において、決定部53が何れの検査方法も適さないと決定した場合に、その旨の案内を提示してもよい。例えば、「心拍に異常傾向が見られますが、現時点では検査をしても正確な結果が得られません。このまま心拍のモニタリングを継続しましょう。」といった案内である。また、提示部54は、判定部52によって心拍が異常傾向にないと判定された場合に、その旨の案内を提示してもよい。例えば、「現在、心拍は異常傾向にありません。引き続き感染対策を心がけましょう。」といった案内である。
このように、本実施形態においては、ユーザの心拍のモニタリング結果が異常傾向にある場合に、心拍に関連する新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査結果を取得するための検査候補をユーザに提示し、ユーザが選択した検査候補に応じた案内をユーザに提示するようにした。このため、ユーザは本実施形態による検査装置を用いて、心拍のモニタリング結果に応じた検査を行うことができる。特に、新型コロナウイルス感染症の場合、罹患者からのウイルス排出量、すなわち他者への感染性は発症日付近でピークを迎える(図33参照)ので、発症日前に心拍の異常傾向を判定し、ユーザに検査の受診を提示することで、感染拡大の防止に寄与できる。
なお、上記第2実施形態においては、判定部52が心拍変動に基づいて心拍の異常傾向を判定する形態について説明したが、これに限らない。判定部52は、心拍変動に代えて、心拍数の値が予め定められた期間(例えば3日間)、予め定められたしきい値以上である場合に、心拍が異常傾向にあると判定してもよい。このような形態によれば、罹患時に心拍数が高い状態を保つ病気の早期発見に寄与できる。また、判定部52は、心拍変動に代えて、心拍数の時間変動(予め定められた期間(例えば3日間)における心拍数の最大値と最小値の差)が予め定められたしきい値以上である場合に、心拍が異常傾向にあると判定してもよい。このような形態によれば、罹患時に心拍数が急上昇する病気の早期発見に寄与できる。
また、上記第2実施形態においては、第1の生体情報として心拍を適用する形態について説明したが、これに限らない。第2実施形態において、第1の生体情報として心拍、血圧、呼吸、心電図、最大酸素摂取量、動脈血酸素飽和度および体温等の生理情報の少なくとも1つを適用してもよい。これらの生理情報は、例えば、スマートウォッチ等のウェアラブル端末が備えるセンサにより取得される。
また、上記第2実施形態においては、第2の生体情報として新型コロナウイルスの感染有無に関する検査結果を適用する形態について説明したが、これに限らない。第2実施形態において、生理情報に関連する第2の生体情報として、ユーザの病気の診断結果を適用してもよい。「病気の診断結果」としては、例えば、ユーザの血液、尿、便、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液および唾液等の体液を被検体とした、成分の分析結果、並びにウイルスおよび細菌等の病原体の検出結果を適用できる。また例えば、ユーザの胃、大腸、肺、子宮および乳房等の臓器を被検体として、コンピュータ断層撮影(CT(Computed Tomography))、磁気共鳴画像(MRI(Magnetic Resonance Imaging))および超音波等の手法により撮影された画像の読影結果を適用できる。
また、上記第2実施形態において、生理情報に関連する第2の生体情報として、複数の異なる種類の病気の診断結果を適用してもよい。例えば、新型コロナウイルス感染症に関連する検査と、インフルエンザウイルス感染症に関連する検査と、をともに検査候補として提示するようにしてもよい。また、このような複数の異なる種類の病気に関連する検査を同時に受ける旨の案内を提示してもよい。これらの場合には、各種病気についての診断を推奨できるので、病気の早期発見により寄与できる。
なお、上記第2実施形態において、発症日、並びにユーザが無症者および高リスク者に該当するかの情報は、例えば、タッチパネル14を介してユーザに入力させてもよい。図37は、これらを入力させるための質問提示画面を示す図である。図37に示すように、質問提示画面75Xには、4つの質問Q1~Q4が表示される。質問Q1~Q4に対して、ユーザはYESまたはNOで回答する。質問Q1がYESの場合、入力ボックス76Xに発症日を入力させることで、決定部53は発症日を特定する。質問Q1がNOの場合、決定部53は、ユーザが無症者であると特定する。質問Q2~Q4の少なくとも1つがYESである場合、決定部53は、ユーザが高リスク者であると特定する。ユーザが回答後に回答終了ボタン77を選択すると、決定部53は、4つの質問Q1~Q4の回答結果に応じて、検査候補を決定する。
また、上記第2実施形態において、ユーザが無症者であるか否かは、心拍が異常傾向を見せてから発症するまでに約5日のタイムラグが生じること(図33参照)に基づいて、決定部53が推定してもよい。例えば、現時点が、心拍が異常傾向を見せてから2日目である場合、決定部53は、ユーザがまだ発症していない無症者であると推定してもよい。また例えば、測定器3により体温を測定することで、決定部53が発熱の有無を判定し、発熱が無い場合には無症者であると推定してもよい。
また、上記第2実施形態においては、新型コロナウイルス感染症の検査可能期間が発症日を基準として定められていることに即し、決定部53が発症日を推定する形態について説明したが、これに限らない。例えば、インフルエンザウイルス感染症を検査対象とする場合は、感染から発症までが1~2日程度と短く、第1の生体情報に異常傾向が見られ始める日と発症日との差が小さいため、発症日の推定をする意義が小さい。また例えば、各種生活習慣病を検査対象とする場合は、明確な発症日の推定が困難である。しかし、これらの病気においても、異常傾向が見られ始めてからの経過時間に応じて、適する検査方法が異なる場合がある。そこで、決定部53は、第1の生体情報が異常傾向にあると判定された時点から現時点までの経過時間に応じて、検査候補を決定してもよい。
また、上記第2実施形態において、検査候補を決定するための条件として、ユーザが濃厚接触者であるかを適用してもよい。濃厚接触者の場合は、陽性である可能性が比較的高いため、偽陰性による見逃しを防ぐために感度が高い検査方法を採用すべきと考えられる。そこで、感度が比較的低い検査方法を不可としてもよい。ユーザが濃厚接触者であるか否かは、例えば、公知の新型コロナウイルス接触確認アプリによって検知してもよい。
また、上記第2実施形態において、新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査を行った後、検査結果をフィードバックすることで、検査装置1が心拍のモニタリングを継続すべきか否かを判定してもよい。例えば、判定部52により心拍が異常傾向にあると判定されたため新型コロナウイルス感染症の検査を行ったにもかかわらず、検査結果が陰性であった場合、心拍のモニタリングを継続すべきと判定してもよい。特に、ユーザが異常傾向が小さい者、無症者、高リスク者および濃厚接触者の何れかに該当する場合は、偽陰性による見逃しおよび容体急変等のリスクが高いと考えられるため、心拍のモニタリングを継続すべきと判定することが好ましい。
具体的には、取得部51が、新型コロナウイルス感染症の感染有無に関する検査結果を取得する。検査結果は、例えば、解析装置18から取得部51に送信するようにしてもよいし、タッチパネル14を介してユーザに入力させてもよい。取得した検査結果が陰性である場合、提示部54は、心拍のモニタリングを継続すべきと判定し、その旨の案内をユーザに提示する。心拍のモニタリングが継続されると、判定部52は、心拍の異常傾向がさらに顕著になったか否か、および心拍の異常傾向が継続しているか否かを判定する。決定部53は、判定部52により心拍の異常傾向が顕著になった、または継続していると判定された場合に、再度ユーザに推奨すべき検査候補を決定する。
また、上記第2実施形態において、図34の検査方法(C1)~(C6)には、新型コロナウイルス感染症の検査方法として一般的に用いられている、被検体を鼻咽頭ぬぐい液としたPCR検査、抗原定量検査および抗原定性検査が含まれていない。これは、鼻咽頭ぬぐい液は自己採取することが困難なためである。しかし、例えば、検査装置1の付近に医療従事者を配置し、医療従事者がユーザの鼻咽頭ぬぐい液を採取するようにすることで、被検体を鼻咽頭ぬぐい液としたPCR検査、抗原定量検査および抗原定性検査を検査候補とすることもできる。
また、上記第2実施形態において、図34の検査方法(C1)~(C6)のいずれにおいても、検査キット20Aにより採取した検体を検査センターに配送するよう案内し、検体の検査は検査センターにおいて行うようにしてもよい。この場合に、提示部54は、ユーザの心拍のデータ、および決定部53により決定された検査候補を、検査センターに対して送信してもよい。このような形態によれば、ユーザが選択した検査方法が妥当なものであるかを、検査センターにおける医療従事者が判断する際の補助とすることができる。なお、これらの場合、検査装置1は、解析装置18を備えていなくてもよい。
また、上記各実施形態においては、提示部54が検査候補をタッチパネル14に表示することによりユーザに提示しているが、これに限定されるものではない。提示部54は、音声により検査候補をユーザに提示するものであってもよい。
また、上記各実施形態において、検査装置1は、タッチパネル14、検査装置1の筐体および検査装置1の設置場所の周辺等の、ユーザが接触する可能性がある箇所を、ユーザが検査装置1の使用を終了するごとに清掃する機構を備えていてもよい。清掃手段としては、例えば、布等による拭取り、消毒液の噴霧および紫外線の照射等が挙げられる。このような形態によれば、これらの箇所にユーザが自己採取した鼻腔ぬぐい液、唾液および血液等が付着してしまっても、不衛生にならず、感染症が拡大することを防ぐことができる。
また、上記各実施形態においては、測定器3,4が測定した第1の生体情報のモニタリング結果を検査装置1に送信しているが、これに限定されるものではない。測定器3,4が測定した第1の生体情報を携帯端末2に送信し、第1の生体情報のモニタリング結果を携帯端末2から検査装置1に送信するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、測定器3,4が測定した第1の生体情報のモニタリング結果を検査装置1に送信し、判定部52が、第1の生体情報のモニタリング結果に基づいて第1の生体情報の異常傾向を判定しているが、これに限定されるものではない。測定器3,4において、第1の生体情報のモニタリング結果に基づいて第1の生体情報の異常傾向を判定し、判定結果を検査装置1に送信するようにしてもよい。この場合、測定プログラム32が異常傾向の判定の処理を行うこととなる。また、検査装置1においては、判定部52による判定を行うことなく、受信した判定結果に基づいて、決定部53が検査候補を決定することとなる。
また、測定器3,4が測定した第1の生体情報を携帯端末2に送信し、携帯端末2において第1の生体情報のモニタリング結果に基づいて第1の生体情報の異常傾向を判定し、その判定結果を携帯端末2から検査装置1に送信するようにしてもよい。この場合、解析プログラム22が異常傾向の判定の処理を行うこととなる。また、検査装置1においては、判定部52による判定を行うこと無く、受信した判定結果に基づいて、決定部53が検査候補を決定するようにすればよい。
また、上記各実施形態において、例えば、取得部51、判定部52、決定部53および提示部54といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。