いくつかの実施形態では、本開示は、種々の治療、診断、モニタリング、及び/又は研究用途のための化合物、組成物、試薬、方法、キット、及び装置を提供する。本開示の一部は、例えば、診断キットなどのCD59への翻訳後修飾を検出するためのキットに関する。本明細書には、修飾又は未修飾CD59に結合する抗体をコードする、アミノ酸及び核酸配列が含まれる。これらの抗体は、様々な治療用途のために翻訳後修飾CD59を検出するために使用されるキットで使用されてもよい。これらの及びその他の抗体の用途は、本明細書でさらに詳細に説明されている。
I.化合物及び組成物
タンパク質
本開示の化合物は、タンパク質を含んでもよい。タンパク質は、独立して1つ若しくは複数の核酸、複数の核酸、核酸の断片又は前述のいずれかの変異型によってコードされてもよい、ポリペプチド全体、複数のポリペプチド又はポリペプチドの断片として存在してもよい。本明細書の用法では、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって連結された、アミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。用語は、本明細書の用法では、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。場合によっては、コードされるポリペプチドが約50アミノ酸よりも小型であれば、ポリペプチドはペプチドと称される。ポリペプチドがペプチドである場合、それは少なくとも約2、3、4、又は少なくとも5アミノ酸残基長である。したがって、ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然ポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、前述の断片及びその他の同等物、変異型、及びアナログが挙げられる。ポリペプチドは、単一分子であってもよく、又は二量体、三量体若しくは四量体などの多重分子複合体であってもよい。それらはまた、一本鎖又は多重鎖ポリペプチドを含んでもよく、付着又は連鎖していてもよい。ポリペプチドという用語はまた、その中で1つ又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工化学的類似体である、アミノ酸ポリマーにも適用されてもよい。
「ポリペプチド変異型」という用語は、それらのアミノ酸配列が、天然又は参照配列とは異なる分子を指す。アミノ酸配列変異型は、天然又は参照配列と比較して、アミノ酸配列中の特定の位置に置換、欠失、及び/又は挿入を有してもよい。通常、変異型は、天然又は参照配列と少なくとも約50%の同一性(相同性)を有し、好ましくは、天然又は参照配列と少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一(相同)である。
いくつかの実施形態では、「変異型模倣体」が提供される。本明細書の用法では、「変異型模倣物」という用語は、活性化配列を模倣する1つ又は複数のアミノ酸を含有するものである。例えば、グルタミン酸は、ホスホロスレオニン及び/又はホスホロセリンの模倣体の役割を果たしてもよい。代案としては、変異型模倣体は、不活性化をもたらし又は模倣体を含有する不活性化された生成物をもたらしてもよく、例えば、フェニルアラニンはチロシンの不活化置換として機能してもよく;又はアラニンはセリンの不活化置換として機能してもよい。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在するアミノ酸を含んでなってもよく、それ自体が、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、又はその断片であると見なされてもよい。
代案としては、本開示のポリペプチドは、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の双方を含んでもよい。
「アミノ酸配列変異型」という用語は、天然又は出発配列と比較して、アミノ酸配列にいくつかの違いがある分子を指す。アミノ酸配列変異型は、アミノ酸配列内の特定の位置で置換、欠失、及び/又は挿入を有してもよい。「天然」又は「出発」配列は、野生型配列と混同されるべきではない。本明細書の用法では、天然又は出発配列は、それに対して比較が行われてもよい、元の分子を指す相対用語である。「天然」若しくは「出発」配列又は分子は、野生型(天然に見られる配列)に相当してもよいが、必ずしも野生型配列でなくてよい。
通常、変異型は、天然配列と比較して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の配列同一性を有する。アミノ酸配列に適用される「配列同一性」は、配列を整列させて、必要ならば、最大パーセント配列同一性を達成するために、ギャップ及び断片を考慮した後に、第2の配列のアミノ酸配列中の残基と同一である候補アミノ酸配列中の残基の百分率と定義される。2つの重合配列のパーセント同一性の計算は、例えば、2つの配列を最適比較目的で整列させることで実施され得る(例えば、最適アライメントのために第1の及び第2の重合配列の片方又は双方にギャップを導入し得て、非同一の配列は、比較目的で無視され得る)。特定の実施形態では、比較目的で整列される配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%である。次に、対応するヌクレオチド配列部位のヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同一のヌクレオチドによって占有される場合、分子は、その位置において同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適アライメントのために導入する必要がある、ギャップ数と各ギャップ長とを考慮した、配列により共有される同一位置数の関数である。2つの配列間の配列の比較及びパーセント同一性の判定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、そのそれぞれが参照により本明細書に援用される、「コンピュータによる分子生物学(Computational Molecular Biology)」、レスク,A.M.(Lesk,A.M.)編、オックスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)、ニューヨーク、1988年;「バイオコンピューティング:情報科学及びゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects)」、スミス,D.W.(Smith,D.W.)編、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1993年;「分子生物学における配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」フォンヘインジュ,G.(von Heinje,G.)著、アカデミック・プレス(Academic Press)、1987年;「配列データのコンピュータ解析(Computer Analysis of Sequence Data)」、第I部、グリフィン,A.M.(Griffin,A.M.)及びグリフィン,H.G.(Griffin,H.G.)編、フマナ・プレス(Humana Press)、ニュージャージー、1994年;「配列解析入門(Sequence Analysis Primer)」、グリプスコウ,M.(Gribskov,M.)及びデベロー,J.(Devereux,J.)編、Mストックトン・プレス(M Stockton Press)、ニューヨーク、1991年に記載されるものなどの方法を使用して、確認され得る。例えば、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、PAM120重み残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用して、アライン(ALIGN)プログラム(バージョン2.0)に組み込まれている、マイアーズ(Meyers)及びミラー(Miller)著(コンピュータ・アプリケーション・イン・ザ・バイオサイエンシス(CABIOS)、1989年、第4巻、p.11~17)のアルゴリズムを用いて判定され得る。代案としては、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用して、GCGソフトウェアパッケージ中のギャッププログラムを使用して判定され得る。配列間のパーセント同一性を判定するために、一般に用いられる方法としては、参照により本明細書に援用される、カリロ,H.(Carillo,H.)及びリップマン,D.(Lipman,D.)著、SIAMジャーナル・オブ・アプライド・マセマティクス(SIAM J Applied Math.)、第48巻、p.1073、1988年で開示されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。同一性を判定する技術は、公的に利用可能なコンピュータプログラムで体系化される。2つの配列間の相同性を判定するための代表的コンピュータソフトウェアとしては、GCGプログラムパッケージ(デベロー,J.(Devereux,J.)ら著、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12巻、第1号、p.387、1984年)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(アルツシュール S.F.(Altschul S.F.)ら著、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Molec.Biol.)、第215巻、p.403、1990年)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
アミノ酸配列に適用される「ホモログ」は、第2の生物種の第2の配列と実質的な同一性を有する、その他の生物種の対応する配列を意味するものとする。「アナログ」は、例えば、アミノ酸残基の置換、付加又は欠失などの、1つ又は複数のアミノ酸改変によって異なるが、依然として、親ポリペプチドの特性を維持する、ポリペプチド変異型を含むことが意図される。「相同性」は、例えば、ポリペプチド分子、核酸分子、及びオリゴ糖間などの重合分子間の全体的な関連性を指す。相同性の判定は、比較される重合分子の配列同一性、配列類似性、三次元立体構造、及び/又は機能を考慮に入れてもよい。
本発明は、変異型及び誘導体を含めたアミノ酸ベースの数種類のポリペプチドを考察する。これらとしては、置換的、挿入的、欠失的、及び共有結合的な変異型並びに誘導体が挙げられる。そのようなものとして、本発明の範囲内に含まれるのは、置換、挿入及び/又は付加、欠失、並びに共有結合修飾を含有するポリペプチドである。例えば、1つ又は複数のリジンなどの配列タグ又はアミノ酸が、本発明のペプチド配列に付加され得る(例えば、N末端又はC末端に)。ペプチド精製又は局在化のために、配列タグが使用され得る。ペプチド溶解度を高め、又はビオチン化を可能にするために、リジンが使用され得る。代案としては、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基が任意選択的に欠失して、トランケート型配列を提供してもよい。代案としては、特定のアミノ酸(例えば、C末端又はN末端残基)は、例えば、可溶性のより大型の配列の一部としての配列発現などの配列の用途次第で、欠失するか、又は固体担体に結合されてもよい。
「置換変異型」は、タンパク質に言及する場合、天然配列又は出発配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、それに変えて同一位置に異なるアミノ酸が挿入されているものである。置換は、分子中の1つのアミノ酸のみが置換されている単一置換であってもよく、又は同一分子中の2つ以上のアミノ酸が置換されている多置換であってもよい。
本明細書の用法では「保存的アミノ酸置換」という用語は、常態では、類似したサイズ、電荷、又は極性がある、異なるアミノ酸の配列中に存在する、アミノ酸置換を指す。保存的置換の例としては、別の非極性残基による、イソロイシン、バリン、及びロイシンなどの非極性(疎水性)残基の置換が挙げられる。同様に、保存的置換の例としては、アルギニン及びリジン間、グルタミン及びアスパラギン間、並びにグリシン及びセリン間などの、別の残基極性(親水性)による極性(親水性)残基の置換が挙げられる。さらに、別の塩基性残基によるリジン、アルギニン又はヒスチジンなどの塩基性残基の置換、或いは別の酸性残基によるアスパラギン酸又はグルタミン酸などの酸性残基の置換は、保存的置換の追加的な例である。非保存的置換の例としては、システイン、グルタミン、グルタミン酸又はリジンなどの極性(親水性)残基による、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基の置換及び/又は非極性残基による、極性残基の置換が挙げられる。
「挿入変異型」は、タンパク質に言及する場合、天然配列又は出発配列中の特定位置のアミノ酸に直接隣接して、1つ又は複数のアミノ酸が挿入されたものである。アミノ酸に「直接隣接する」とは、アミノ酸のα-カルボキシ又はα-アミノ官能基のどちらかに結合することを意味する。
「欠失変異型」は、タンパク質に言及する場合、天然アミノ酸配列又は出発アミノ酸配列中の1つ又は複数のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失変異型は、1つ又は複数のアミノ酸が、分子の特定領域で欠失している。
本明細書の用法では、「誘導体」という用語は、「変異型」という用語と同義で使用され、参照分子又は出発分子に対して、任意の方法で修飾又は変更された分子を指す。いくつかの実施形態では、誘導体としては、有機タンパク質性又は非タンパク質性誘導体化剤で、及び翻訳後修飾で、修飾されている天然又は出発タンパク質が挙げられる。共有結合修飾は、従来より、タンパク質の標的アミノ酸残基剤と、選択された側鎖若しくは末端残基と反応する能力がある有機誘導体化剤とを反応させることで、又は選択された組換え宿主細胞内で機能する翻訳後修飾の機構を活用することで、導入されている。結果として生じる共有結合誘導体は、生物学的活性にとって、免疫測定法にとって、又は組換え体タンパク質のイムノアフィニティー精製のための抗タンパク質抗体の調製にとって、重要な残基の同定を目的とするプログラムにおいて、有用である。このような修飾は、当該技術分野の技巧の範囲内であり、過度の実験なしに実施される。
特定の翻訳後修飾は、発現したポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル及びアスパラギニル残基は、しばしば翻訳後に脱アミドされて、対応するグルタミル及びアスパルチル残基になる。代案としては、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミドされる。これらの残基のいずれの形態も、本発明に従って使用されるタンパク質に存在してもよい。
その他の翻訳後修飾としては、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化が挙げられる(T.E.クレイトン(T.E.Creighton)著、「タンパク質:構造分子特性(Proteins:Structure and Molecular Properties)」、W.H.フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman & Co.)、サンフランシスコ、p.79~86、1983年)。
共有結合誘導体は、その中で本発明のタンパク質が非タンパク質性ポリマーに共有結合する、融合分子を特に含む。非タンパク質性ポリマーは、通常、親水性合成ポリマーであり、すなわち、その他の点では天然に見られないポリマーである。しかし、天然で存在し、組換え又は生体外法によって生産されたポリマーは、自然界から単離されたポリマーと同様に有用である。例えば、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンなどの親水性ポリビニルポリマーは、本発明の範囲内に入る。特に有用なのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリビニルアルキレンエーテルである。タンパク質は、米国特許第4,640,835号明細書;米国特許第4,496,689号明細書;米国特許第4,301,144号明細書;米国特許第4,670,417号明細書;米国特許第4,791,192号明細書又は米国特許第4,179,337号明細書に記載される方法で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリオキシアルキレンなどの様々な非タンパク質性ポリマーに連結させてもよい。
「特徴」は、タンパク質に言及する場合、分子の特徴的なアミノ酸配列ベースの構成要素と定義される。本発明のタンパク質の特徴としては、表面顕在化、局所立体配座形状、折り畳み、ループ、半ループ、ドメイン、半ドメイン、部位、末端又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「表面顕在化」という用語は、最外側の表面に出現する、タンパク質のポリペプチドベースの構成要素を指す。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「局所立体構造的形状」という用語は、タンパク質の限定できる空間内に位置する、タンパク質のポリペプチドベースの構造的発現を意味する。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「折り畳み」という用語は、エネルギー最小化時に、結果として生じるアミノ酸配列の立体構造を意味する。折り畳みは、折り畳みプロセスの二次的又は三次的レベルで起こってもよい。二次的レベル折り畳みの例としては、βシート及びαらせんが挙げられる。三次的折り畳みの例としては、エネルギー力の凝集又は分離のために形成される、ドメイン及び領域が挙げられる。このようにして形成される領域としては、疎水性及び親水性ポケットなどが挙げられる。
本明細書の用法では、タンパク質立体構造に関わる「ターン」という用語は、ペプチド又はポリペプチド骨格の方向を変化させて、1つ、2つ、3つ以上のアミノ酸残基が関与してもよい、折れ曲がりを意味する。
本明細書の用法ではタンパク質を指す場合、「ループ」という用語は、ペプチド又はポリペプチドの骨格の方向を逆転させて、4つ以上のアミノ酸残基を含む、ペプチド又はポリペプチドの構造的特徴を指す。オリバ(Oliva)らは、少なくとも5クラスのタンパク質ループを同定した(ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol Biol)、第266巻、第4号、p.814~830、1997年)。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「半ループ」という用語は、それが由来するループのアミノ酸数の少なくとも半分を有する、同定されたループの一部を指す。ループは、常に偶数のアミノ酸残基を含有しなくてもよいものと理解される。したがって、ループが奇数のアミノ酸を含有し又はそれを含むと同定された場合、奇数ループの半ループは、ループの整数部分又は次の整数部分を含む(ループ/2±0.5アミノ酸のアミノ酸数)。例えば、7アミノ酸ループとして同定されたループは、3アミノ酸又は4アミノ酸の半ループを生じ得る(7/2=3.5±0.5は3又は4である)。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「ドメイン」という用語は、1つ又は複数の識別可能な構造特性若しくは機能特性又は性質(例えば、結合能力、タンパク質-タンパク質相互作用部位の役割を果たす)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、「半ドメイン」という用語は、それが由来するドメインとして同定されたドメインに属するアミノ酸数の少なくとも半分を有する部分を指す。ドメインは、常に偶数のアミノ酸残基を含有しなくてもよいものと理解される。したがって、ドメインが奇数のアミノ酸を含有し又はそれを含むと同定された場合、奇数ドメインの半ドメインは、ドメインの整数部分又は次の整数部分を含む(ドメイン/2±0.5アミノ酸のアミノ酸数)。例えば、7アミノ酸ドメインとして同定されたドメインは、3アミノ酸又は4アミノ酸の半ドメインを生じ得る(7/2=3.5±0.5は3又は4である)。ドメイン又は半ドメイン内にサブドメインが同定されてもよく、これらのサブドメインが、それらが由来するドメイン又は半ドメイン中で同定された構造特性又は機能的性質の全てに満たない、構造特性又は機能的性質を保持することもまた理解される。本明細書のドメインタイプのいずれかを含むアミノ酸が、ポリペプチド骨格に沿って連続していなくてもよいこともまた理解される(すなわち、非隣接アミノ酸は構造的に折り畳まれて、ドメイン、半ドメイン又はサブドメインを生じてもよい)。
本明細書の用法では、タンパク質に言及する場合、アミノ酸ベースの実施形態に関する「部位」という用語は、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」の同意語として使用される。部位は、本発明のポリペプチドベースの分子中で、修飾され、操作され、改変され、誘導体化され、又は変動してもよい、ペプチド又はポリペプチド内の位置を表す。
本明細書の用法では「複数の末端又は1つの末端」という用語は、タンパク質に言及する場合、ペプチド又はポリペプチドの端を指す。このような端は、ペプチド又はポリペプチドの最初の又は最後の部位のみに限定されず、末端領域に追加的なアミノ酸を含んでもよい。本発明のポリペプチドベースの分子は、N末端(遊離アミノ基(NH2)があるアミノ酸で終了)と、C末端(遊離カルボキシル基(CO2H)があるアミノ酸で終了)との双方を有することを特徴としてもよい。本発明のタンパク質は、場合によっては、ジスルフィド結合によって、又は非共有結合力によってまとめられた、多ポリペプチド鎖(多量体、オリゴマー)で構成される。これらの種類のタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有する。代案としては、ポリペプチド末端は、場合によっては、有機コンジュゲートなどの非ポリペプチドベース部分によって開始し又は終結するように、修飾されてもよい。
ひとたび特徴のいずれかが本発明の分子の成分として同定又は定義されると、これらの特徴のいくつかの操作及び/又は修正のいずれかが、移動、交換、反転、欠失、ランダム化又は複製によって実施されてもよい。さらに、特徴の操作は、本発明の分子に対する修飾と同一の結果をもたらしてもよいものと理解される。例えば、ドメインの欠失を伴う操作は、全長分子未満をコードする核酸の修飾と全く同じように、分子長の改変をもたらす。
修飾及び操作は、部位特異的変異誘発などの当該技術分野で知られている方法によって達成され得る。次に結果として生じる修飾分子は、本明細書に記載されるもの、又は当該技術分野で公知の任意のその他の適切なスクリーニングアッセイなどの生体外又は生体内アッセイを使用して、配列、構造、及び/又は活性について試験されてもよい。
同位体の変異型
本開示の化合物は、同位体である1つ又は複数の原子を含有してもよい。本明細書の用法では、「同位体」という用語は、1つ又は複数の追加的な中性子を有する化学元素を指す。一実施形態では、本発明の化合物は重水素化であってもよい。本明細書の用法では、「重水素化」という用語は、1つ又は複数の水素原子が重水素同位体で置換された物質を指す。重水素同位体は、水素の同位体である。水素の核が1つの陽子を含有する一方で、重水素原子核は陽子及び中性子の双方を含有する。安定性などの化合物の物理的性状を変化させるため、又は化合物を診断及び実験用途で使用できるようにするために、化合物が重水素化されてもよい。
抗体
いくつかの実施形態では、本開示は標的タンパク質に結合する抗体を提供する。本明細書の用法では、「標的タンパク質」は、タンパク質の検出及び/又は分析を伴う、アッセイ、診断法、又は本明細書に記載の任意のその他の方法の一部として分析される、タンパク質をはじめとする、関心のあるタンパク質を指す。標的タンパク質はまた、1つ又は複数のアミノ酸ベースのセグメントを有する合成コンストラクトもまた含んでもよい。合成コンストラクトには、リンカー、化学的部分、又は化学基などの1つ又は複数の非アミノ酸ベースの要素が含まれてもよい。場合によっては、標的タンパク質は、検出可能な標識をはじめとするが、これに限定されるものではない部分又はタグを含む。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、CD59、CD59断片、CD59変異型、CD59翻訳後修飾バージョン、並びに/又はCD59、CD59断片、CD59変異型、CD59翻訳後修飾、CD59翻訳後修飾断片、及び/若しくはCD59翻訳後修飾変異型を含む合成コンストラクトを含む。成熟したヒトCD59(hCD59;シグナル配列を欠く)は、LQCYNCPNPT10ADCKTAVNCS20SDFDACLITK30AGLQVYNKCW40KFEHCNFNDV50TTRLRENELT60YYCCKKDLCN70FNEQLEN77(配列番号1)のアミノ酸配列を有する。本明細書で言及されるhCD59の残基番号は、この配列に存在する残基番号を参照する。hCD59断片及び変異型には、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書に記載されるもののいずれかが含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、CD59の非糖化エピトープに結合する。いくつかの捕捉抗体は、hCD59(配列番号1)のリジン41(本明細書で「K41」と称される)を含まないhCD59のエピトープに結合する。本開示のいくつかの抗体は、糖化CD59(GCD59)の糖化エピトープに結合する。このような糖化エピトープには、K41糖化ヒトGCD59が含まれてもよい。いくつかの糖化エピトープは、アマドリ修飾K41を含む。
hCD59の糖化エピトープには、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書に記載されるもののいずれかが含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、GCD59のアマドリ修飾K41を含む糖化エピトープに結合する抗体(本明細書では「抗アマドリ修飾GCD59抗体」又は「抗アマドリ抗体」とも称される)は、約1.0pM~約5.0×108pMの平衡解離定数(KD)で結合してもよい。場合によっては、KDは、約1.5pM~約150pMである。
本開示の抗体は、捕捉抗体を含んでもよい。捕捉抗体とは、このような標的タンパク質の単離、固定化、及び/又はさらなる分析の目的で、標的タンパク質に結合する抗体を指す。捕捉抗体は、CD59又はその断片及び/若しくは変異型に結合してもよい。いくつかの捕捉抗体は、1つ又は複数の翻訳後修飾の存在に関係なく、CD59に結合する。
いくつかの捕捉抗体は、標的タンパク質の標的エピトープに結合する。
本明細書の用法では、「標的エピトープ」は、抗体又はその他の分子が特異的親和性を有する特異的配列、特徴、又は部分を指す。CD59、CD59断片、又はCD59変異型上に存在する標的エピトープには、場合によってはその糖化、非糖化、グリコシル化、及び非グリコシル化特徴をはじめとする、特異的アミノ酸、アミノ酸配列、及び/又は三次元的特徴が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。hCD59の標的エピトープは、前述のCD59エピトープのいずれか、又はそれぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書に記載されるhCD59(ヒトCD59)エピトープのいずれかを含んでもよい。このようなエピトープは、抗体の使用、又はレクチン、アプタマー、その他のタンパク質若しくは核酸などのその他の生体分子の使用をはじめとする、様々な方法で捕捉又は検出されてもよい。例えば、N-グリコシル化エピトープのようなhCD59エピトープなどのCD59は、その他のタンパク質に、又はCD59タンパク質が存在する環境に、CD59を結合させ及び/又はそれから分離するのに十分に特異的な任意の検出剤を使用して、検出されてもよい。検出剤は、例えば、糖化又は非糖化などのそのグリコシル化状態に関わりなく、CD59に結合し又はそれを認識する抗体であってもよい。
本明細書の用法では、検出抗体とは、そのような標的タンパク質の存在、非存在、及び/若しくはレベルを判定する目的で、又は標的タンパク質の特徴付けのために、標的タンパク質に結合する抗体である。場合によっては、検出抗体を使用して、標的タンパク質上の標的エピトープの有無が判定されてもよい。このような標的エピトープには、標的タンパク質上に存在する翻訳後修飾エピトープが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、検出抗体は、CD59を標的化してもよい。このような検出抗体は、CD59化学種間で変動してもよいCD59のエピトープ(例えば、異なる翻訳後修飾CD59化学種)を認識してもよい。いくつかの実施形態では、検出抗体は、CD59上に存在する翻訳後修飾エピトープを認識する。一例では、検出抗体は、糖化CD59(GCD59)を認識する。糖化hCD59には、K41糖化hCD59が含まれてもよい。場合によっては、検出抗体は、アマドリ形態の糖残基を保有する、K41糖化CD59を認識してもよい。K41アマドリ-修飾hCD59の例は、例えば、それぞれその内容全体が参照により援用される、米国特許第9,068,006号明細書及び国際公開第2015/084994号パンフレットに記載される。いくつかの検出抗体は、GCD59のみに結合し、非糖化形態には結合しない。本明細書で「捕捉」又は「検出」抗体として記載される抗体は、それぞれ、捕捉及び検出機能に限定されない。場合によっては、このような抗体は、本明細書に記載の目的のいずれかをはじめとするが、これに限定されるものではないその他の目的(例えば、治療又は製造)に有用であってもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、溶液ベースの形式で提示される標的タンパク質に結合する。本明細書の用法では、「溶液ベースの形式」とは、溶液中に存在するタンパク質の立体構造を指す。このような溶液には、生理食塩水、緩衝液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、血清、血漿、血液、リンパ液、汗、尿、及び唾液が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。場合によっては、抗体は、希釈された血清又は血漿中で標的タンパク質に結合できてもよい。場合によっては、血清は、約1:1~約1:100,000に希釈されてもよい。
本明細書の用法では、「抗体」という用語は、最も広い意味で言及され、具体的には、望ましい生物学的活性(例えば、「機能的」)を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される二重特異性抗体)、及び抗体断片(例えば、二特異性抗体)をはじめとするが、これに限定されるものではない、様々な実施形態をカバーする。抗体は、主にアミノ酸ベースの分子であるが、1つ又は複数の修飾(糖部分、蛍光部分、化学標識などの付加をはじめとするが、これに限定されるものではない)もまた含んでなってもよい。
本明細書の用法では、「抗体ベースの」又は「抗体由来の」組成物は、既知抗体配列又は親抗体配列に由来する少なくとも1つのアミノ酸領域と、例えば哺乳類タンパク質などの非抗体配列に由来する少なくとも1つのアミノ酸領域とを含む、単量体又は多量体ポリペプチドである。
本開示の抗体は、治療用、診断用、工業的であってもよく、又は研究目的で使用されてもよい。さらに、本開示の抗体は、このような抗体の断片、又はこのような断片(例えば、可変ドメイン又は相補的決定領域(CDR))の1つ又は複数を含むように開発された抗体を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体を使用して、サンプル(例えば、臨床サンプル)中のCD59及び/又はGCD59が捕捉されてもよい。
抗体の生成
本開示の抗体は、当該技術分野で公知の方法を使用して生成されてもよい。このような方法には、免疫化及びディスプレイ技術(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、及びリボソームディスプレイ)が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。抗体は、例えば、天然又は合成抗原を使用して開発されてもよい。本明細書の用法では、「抗原」は、生物において免疫応答を誘発又は誘起する実体である。免疫応答は、生物の細胞、組織及び/又は器官の異物の存在に対する反応によって特徴付けられる。このような免疫応答は、典型的には、生物による、例えば抗原又は抗原の一部などの異物に対する、1つ又は複数の抗体の産生をもたらす。本明細書の用法では、「抗原」はまた、ディスプレイライブラリ中の特異的抗体又は結合因子の結合パートナーも指す。
本開示の抗体は、ハイブリドーマ技術を使用して生成された抗体に由来してもよい。宿主動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、及びラマ)は、抗原に特異的に結合するリンパ球を惹起するために、抗原タンパク質の注射によって免疫化される。リンパ球が収集され、不死化細胞株と融合されて、増殖を促進するために適切な培地中で培養され得るハイブリドーマが生成されてもよい。培養されたハイブリドーマによって産生された抗体は分析に供され、標的抗原に対する抗体の結合特異性が判定されてもよい。ひとたび望ましい特性がある抗体が特定されたら、対応するハイブリドーマを限界希釈法を通じてサブクローニングされ、標準法で増殖させる。これらの細胞によって産生される抗体は、標準的な免疫グロブリン精製手順を使用して単離及び精製されてもよい。
組換え抗体は、本明細書の用法では、組換えDNAの発現によって生成される抗体である。本開示の組換え抗体は、当該技術分野で公知の標準技術を使用して生成されてもよい。組換え抗体は、本明細書に記載の方法に従って生成されたハイブリドーマ細胞由来の抗体から得られた可変ドメインを使用して、生成されてもよい。抗体の重鎖及び軽鎖可変領域cDNA配列は、標準的な生化学的技術を使用して判定されてもよい。全RNAは、抗体産生ハイブリドーマ細胞から抽出され、逆転写酵素(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってcDNAに変換される。得られたcDNAに対してPCR増幅を実行し、可変領域遺伝子を増幅してもよい。このような増幅は、重鎖及び軽鎖配列の増幅に特異的なプライマーの使用を含んでもよい。その他の実施形態では、組換え抗体は、その他の供給源から得られた可変ドメインを使用して生成され得る。これは、抗原パニングで使用されるscFvライブラリなどの1つ又は複数の抗体断片ライブラリから選択される、可変ドメインの使用を含む。次に、得られたPCR産物はプラスミドにサブクローニングされてもよく、検証及び/又は最適化のために配列解析に供されてもよい。抗体コード配列は、発現ベクター中に配置されてもよい。ヒト化のためには、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン及び/又は可変ドメインフレームワーク領域のコード配列を使用して、相同的な又はそうでなければ対応するマウス配列が置換されてもよい。次に、得られたコンストラクトは、大規模翻訳のために、細胞(例えば、哺乳類細胞)に形質移入されてもよい。いくつかの実施形態では、組換え抗体及び/又は組換え抗体をコードするベクターは、本明細書に提示される配列のいずれかの1つ又は複数を使用して生成されてもよい。
本開示の抗体は、ディスプレイ技術を使用して生成されてもよい。本発明のポリペプチドを生成するために使用されるディスプレイ技術には、その内容全体が参照により援用される、米国特許出願公開第2015/0284455号明細書で開示されるディスプレイ技術(例えば、ディスプレイライブラリスクリーニング技術)のいずれかが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ技術(例えば、ファージディスプレイ技術)を使用して標的抗原をスクリーニングすることにより、合成抗体が、設計、選択又は最適化されてもよい。ディスプレイライブラリは、数百万~数十億個のディスプレイ粒子(例えば、ファージ又は細胞ディスプレイ粒子)を含んでなってもよく、それぞれがそれらの表面に(例えば、ウイルスコートタンパク質又は細胞表面分子若しくはタンパク質の一部として)ユニークな抗体断片を発現する。このようなライブラリは、1つ又は複数の関心のある抗原に対する多様なレベルの親和性がある、潜在的に数百の抗体断片を選択するために使用されてもよい、豊富な多様な資源を提供してもよい(それぞれその内容全体が参照により援用される、マッカファティ(McCafferty)ら著、1990年、ネイチャー(Nature)、第348巻、p.552~4;エドワーズ,B.M.(Edwards,B.M.)ら著、2003年、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(JMB.)、第334巻、p.103~18;スコフィールド,D.(Schofield,D.)ら著、2007年、ゲノム・バイオロジー(Genome Biol.)、第8巻、R254;及びペルシャード,K.(Pershad,K.)ら著、2010年、プロティン・エンジニアリング・デザイン・アンド・セレクション(Protein Engineering Design and Selection)、第23巻、p.279~88)。このようなライブラリに存在する抗体断片は、フレキシブルリンカーによって結合されたVH及びVL抗体ドメインの融合タンパク質を含む、scFv抗体断片であってもよい。場合によっては、CDRの可変ループをコードするユニークな配列を除き、scFvは同一配列を含有してもよい。場合によっては、scFvは、表面分子に連結される融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイ粒子使用時における、ウイルスpIIIコートタンパク質のN末端)として発現される。VL鎖は、表面分子への複雑な取り込みに先だって、ペリプラズム中又は細胞内でのVH鎖とのアセンブリのために、別々に発現されてもよい。沈殿したライブラリメンバーは、結合したディスプレイ粒子から配列決定され、所望のscFvをコードするcDNAが得られてもよい。このような配列からの抗体可変ドメイン又はCDRは、組換え抗体生成のために抗体配列に直接組み込まれ、又は変異されて、親和性成熟を通じたさらなる最適化に利用されてもよい。
いくつかの実施形態では、抗体は、酵母表面ディスプレイ技術を使用して生成されてもよく、その中で抗体可変ドメイン配列は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の細胞表面で発現されてもよい。組換え抗体は、酵母表面で、例えば、Aga2pタンパク質への融合物として、関心のある抗体断片を提示することによって生じさせてもよく、タンパク質は、溶液中でタンパク質及び小型分子と相互作用する。所望の抗原に親和性のあるscFvは、磁気分離及びフローサイトメトリーを使用して、酵母表面から単離されてもよい。数サイクルの酵母表面ディスプレイ及び分離が実施され、指向性進化を通じて、所望の特性があるscFvが得られてもよい。酵母ディスプレイは、例えば、その内容全体が参照により援用される、チャオ,G(Chao,G)ら著、ネイチャー・プロトコルズ(Nat Protoc.)、2006年、第1巻、第2号、p.755~68に教示される方法のいずれかに従って実行されてもよい。
IgG合成
いくつかの実施形態では、本開示の抗体はIgG抗体である。IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)は、本明細書中で提示される、1つ又は複数の可変ドメイン及び/又はCDRアミノ酸配列(又はその断片若しくは変異型)を含んでもよい。このようなIgG抗体は、さらなる試験及び/又は製品開発のために合成されてもよい。いくつかのIgG抗体は、IgG生成に適した発現ベクターに、所望のアミノ酸配列をコードするcDNAの1つ又は複数のセグメントを挿入することによって生成されてもよい。発現ベクターは、哺乳類細胞におけるIgG発現に適した哺乳類発現ベクターを含んでなってもよい。IgGの哺乳類発現は、生成された抗体が哺乳類タンパク質に特徴的な修飾(例えば、グリコシル化)を含むことを確実にするために、及び/又は抗体調製物が細菌発現系からのタンパク質調製物中に存在してもよい、内毒素及び/又は他の混入物を欠くことを確実にするために、実行されてもよい。
抗体断片及び変異型
本開示の抗体は、無傷の抗体からの抗体断片(例えば、抗原結合領域)を含んでもよい。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二特異性抗体;直鎖抗体;並びに一本鎖抗体分子が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。抗体のパパイン消化は、それぞれに単一の抗原結合部位がある、「Fab」断片と称される2つの同一の抗原結合断片を生じる。また、残留「Fc」断片も生成され、その名称は、それが容易に結晶化する能力を反映する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有してなおも抗原を架橋できる、F(ab’)2断片をもたらす。本開示の抗体は、これらの断片の1つ又は複数を含んでなってもよい。本明細書の目的のために、「抗体」は、重鎖及び軽鎖可変ドメイン並びにFc領域から構成されてもよい。
一実施形態では、Fc領域は、米国特許出願公開第20150065690号明細書に記載されるような修飾Fc領域であってもよく、Fc領域は、野生型Fc領域の対応する配列と比較して、単一アミノ酸置換を有してもよく、単一アミノ酸置換は、野生型Fc領域の特性よりも好ましい特性を有するFc領域をもたらす。単一アミノ酸置換によって変化してもよいFc特性の非限定な例としては、結合特性及びpH条件への応答(例えば、安定性及び/又は標的親和性の変化)が挙げられる。
本明細書の用法では、「天然抗体」という用語は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、通常は約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質を指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は知られており、それぞれを構成するセグメントは特徴がよく分かっており、記載されている(それぞれその内容全体が参照により援用される、マツダ,F.(Matsuda,F.)ら著、1998年、ザ・ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(The Journal of Experimental Medicine)、第188巻、第11号、p.2151~62;及びリー,A.(Li,A.)ら著、2004年、ブラッド(Blood)、第103巻、第12号、p.4602~9)。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖は、典型的には、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一端に重鎖可変ドメイン(VH)を有し、それにいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に軽鎖可変ドメイン(VL)、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。
本明細書の用法では、「可変ドメイン」という用語は、抗体間で配列が大幅に異なりうるとともに各特定の抗体の特定の抗原に対する結合及び特異性に使用される、抗体の重鎖及び軽鎖の双方に存在する特異的抗体ドメインを指す。可変ドメインは、典型的に超可変領域を含む。本明細書の用法では、「超可変領域」という用語は、抗原結合に関与するアミノ酸残基を有する可変ドメイン内の領域を指す。超可変領域内に存在するアミノ酸は、抗体の抗原結合部位の一部となる相補性決定領域(CDR)の構造を決定する。本明細書の用法では、「CDR」という用語は、その標的抗原又はエピトープに相補的な構造を有する、抗体の領域を指す。抗原と相互作用しない可変ドメインのその他の部分は、フレームワーク(FW)領域と称される。抗原結合部位(抗原結合部位又はパラトープとしても知られている)は、典型的に、特定の抗原と相互作用するのに必要なアミノ酸残基を含む。抗原結合部位を構成する正確な残基は、典型的には、結合した抗原との共結晶学によって解明されるが、その他の抗体との比較に基づいて、計算による評価も使用され得る(その内容全体が参照により援用される、ストロール,W.R.(Strohl,W.R.)著、「治療抗体工学(Therapeutic Antibody Engineering)」、ウッドヘッド・パブリッシング(Woodhead Publishing)、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、2012年、第3章、p.47~54)。CDRを構成する残基の判定には、それぞれその内容全体が参照により援用される、カバット(Kabat)[ウー,T.T.(Wu,T.T.)ら著、1970年、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(JEM)、第132巻、第2号、p211-50;及びジョンソン,G.(Johnson,G.)ら著、2000年、ニュークリック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、第28巻、第1号、p.214~8];それぞれその内容全体が参照により援用される、チョチア(Chothia)[チョチア(Chothia)及びレスク(Lesk)著、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、第196巻、p.901、1987年;チョチア(Chothia)ら著、ネイチャー(Nature)、第342巻、p.877、1989年;及びアルラジカニ,B.(Al-Lazikani,B.)ら著、1997年、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、第273巻、第4号、p.927~48]及びそれぞれその内容全体が参照により援用される、レフランク(Lefranc)(レフランク,M.P.(Lefranc,M.P.)ら著、2005年、イムノーム・リサーチ(Immunome Res.)第1巻、第3号)、及びオネゲル(Honegger)(オネゲル,A.(Honegger,A.)及びプルックツン,A.(Pluckthun,A.)、2001年、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、第309巻、第3号、p657~70)によって教示されるものをはじめとするが、これに限定されるものではない、番号付けスキームの使用が含まれてもよい。
VH及びVLドメインは、典型的には、それぞれ3つのCDRを有する。VL CDRは、本明細書で、可変ドメインポリペプチドに沿ってN末端からC末端に移動する際の出現順に、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3と称される。VH CDRは、本明細書で、可変ドメインポリペプチドに沿ってN末端からC末端に移動する際の出現順に、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3と称される。CDRのそれぞれは、抗体間で配列及び長さが高度に可変的であって抗原結合ドメインに様々な三次元的構造をもたらしうるアミノ酸配列を含むCDR-H3を除いて、典型的には、好適な標準(canonical)構造を有する(その内容全体が参照により援用される、ニコロウディス,D.(Nikoloudis,D.)ら著、2014年、ピア・ジャーナル(Peer J)、第2巻、e456)。場合によっては、関連する抗体のパネル間でCDR-H3が分析されて、抗体の多様性が評価されてもよい。CDR配列を決定する種々の方法が当該技術分野で知られており、既知の抗体配列に適用されてもよい(その内容全体が参照により援用される、ストロール,W.R.(Strohl,W.R.)著、「治療抗体工学(Therapeutic Antibody Engineering)」、ウッドヘッド・パブリッシング(Woodhead Publishing)、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、2012年、第3章、p.47~54)。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体はFv断片として整形されてもよい。本明細書の用法では「Fv」という用語は、完全な抗原結合部位を形成するのに必要な抗体上の最小断片を含む抗体断片を指す。これらの領域は、1つの重鎖と1つの軽鎖可変ドメインとの二量体で構成され、非共有結合で緊密に結合する。Fv断片はタンパク質分解性切断によって生成され得るが、ほとんど不安定である。典型的に、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間にフレキシブルリンカーを挿入することによって[一本鎖Fv(scFv)を形成する]、又は重鎖と軽鎖可変ドメインの間にジスルフィド架橋を導入することによって、安定したFv断片を生成する、組換え法が当該技術分野で知られている(その内容全体が参照により援用される、ストロール,W.R.(Strohl,W.R.)著、「治療抗体工学(Therapeutic Antibody Engineering)」、ウッドヘッド・パブリッシング(Woodhead Publishing)、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、2012年、第3章、p.46~47)。
本明細書の用法では、「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてκ及びλと称される、明確に異なる2つのタイプの1つに割り当てられた、任意の脊椎動物種からの抗体構成要素を指す。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体はscFvとして整形されてもよい。本明細書の用法では、「一本鎖Fv」又は「scFv」という用語は、VHとVL抗体ドメインとの融合タンパク質を指し、これらのドメインは、フレキシブルなペプチドリンカーによって、単一のポリペプチド鎖に連結する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドリンカーは、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成できるようにする。いくつかの実施形態では、scFvは、抗体提示法(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ又はその他の提示形式)と併せて利用され、表面メンバー(例えば、ファージコートタンパク質又は細胞表面分子)と共同で発現され、所与の抗原に対する高親和性ペプチドの同定に使用される。
本開示の抗体は、二重特異性抗体(bispecific antibody)として整形されてもよい。本明細書の用法では、「二重特異性抗体」という用語は、2つの異なる抗原に結合できる抗体を指す。このような抗体は、典型的には、少なくとも2つの異なる抗体からの領域を含む。二重特異性抗体には、それぞれその内容全体が参照により援用される、リエスマラー,G.(Riethmuller,G.)、2012年、キャンサー・イミュニティ(Cancer Immunity)、第12巻、p.12~18;マービン,J.S.(Marvin,J.S.)ら著、2005年、アクタ・ファーマコロジカ・シニカ(Acta Pharmacologica Sinica)、第26巻、第6号、p.649~58;及びシェーファー,W.(Schaefer,W.)ら著、2011年、米国科学アカデミー紀要(PNAS)、第108巻、第27号、p.11187~92に記載されるもののいずれかが含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は二特異性抗体(diabody)として生成されてもよい。本明細書の用法では、「二特異性抗体」という用語は、2つの抗原結合部位がある小型の抗体断片を指す。二特異性抗体は、同一ポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメインVLに連結される、重鎖可変ドメインVHを含む。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補ドメインとの対合を強制され、2つの抗原結合部位を作り出す。二特異性抗体は、例えば、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第404097号明細書;国際公開第1993011161号パンフレット;及びホリンガー(Hollinger)ら(ホリンガー,P.(Hollinger,P.)ら著、「“二特異性抗体”:小型の二価及び二重特異性抗体断片(“Diabodies”:Small bivalent and bispecific antibody fragments)」、米国科学アカデミー紀要(PNAS)、1993年、第90巻、p.6444~8)でより詳細に説明される。
本開示の抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。本明細書の用法では、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な細胞(又はクローン)集団から得られる抗体を指し、すなわち、モノクローナル抗体の産生中に生じうる一般的に微量に存在する可能な変異型を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一であり及び/又は同一エピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一決定基に向けられる。
修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特性を示唆し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるものではない。本明細書におけるモノクローナル抗体が、特定の種に由来する、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する、抗体の対応する配列と、重鎖及び/又は軽鎖の一部が同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含む一方で、鎖の残りの部分は、別の種に由来する、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する、抗体の対応する配列と同一又は相同であり、このような抗体の断片についても同様である。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体はヒト化抗体であってもよい。本明細書の用法では、「ヒト化抗体」という用語は、1つ又は複数の非ヒト(例えば、マウス)抗体源からの最小部分と、1つ又は複数のヒト免疫グロブリン源に由来する残りの部分とを含むキメラ抗体を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(受容者抗体)であり、受容者の抗体の超可変領域からの残基は、所望の特異性、親和性、及び/又は能力を有する、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の抗体(供与者抗体)の超可変領域からの残基によって置換される。抗体のヒト化は、その内容全体が参照により援用される、米国特許出願公開第20150284455号明細書に教示される方法のいずれかに従って実行されてもよい。
本開示の抗体は、抗体模倣物を含んでもよい。本明細書の用法では、「抗体模倣物」という用語は、抗体の機能又は効果を模倣し、それらの分子標的に特異的且つ高親和性で結合する、任意の分子を指す。いくつかの実施形態では、抗体模倣物は、タンパク質スキャフォールドとしてフィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)を組み込むように設計されたモノ抗体であってもよい(米国特許第6,673,901号明細書;米国特許第6,348,584号明細書)。いくつかの実施形態では、抗体模倣物は、アフィボディ分子、アフィリン、アフィチン、アンチカリン、アビマー、センチリン、ダルピンズ(DARPINS)(商標)、フィノマー及びクニッツ及びドメインペプチドをはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で公知のものであってもよい。その他の実施形態では、抗体模倣物は、1つ又は複数の非ペプチド領域を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗体変異型を含んでもよい。本明細書の用法では、「抗体変異型」という用語は、構造及び/又は機能において、天然抗体又は出発抗体に類似する修飾抗体(天然抗体又は出発抗体に関して)又は生体分子(例えば、抗体模倣物)を指す。抗体変異体は、天然抗体と比較して、アミノ酸配列、組成又は構造が変化していてもよい。抗体変異型には、イソタイプが変化した抗体(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgM)、ヒト化変異型、最適化された変異型、多重特異性抗体変異型(例えば、二重特異性変異型)、及び抗体断片が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒンジ領域がIgG4分子から除去されている「ユニボディ」を含んでもよい。IgG4分子は不安定で軽鎖-重鎖ヘテロ二量体を互いに交換し得るが、ヒンジ領域の欠失は重鎖と重鎖の対合を完全に妨げ、Fc領域を保持して安定性及び生体内半減期を確実にしながら、高度に特異的な一価の軽/重ヘテロ二量体が残される。この立体配置では、IgG4がFcRと不十分に相互作用し一価のユニボディが細胞内シグナル伝達複合体の形成を促進できないことから、免疫活性化又は発がん性増殖のリスクを最小化させてもよい。その他の抗体は、圧縮された100kDa抗体である、「小型化された」抗体であってもよい(例えば、ネルソン,A.L.(Nelson,A,L.)、mAbs、2010年1月~2月、第2巻、第1号、p77~83を参照されたい)。
抗体の調製は、モノクローナル又はポリクローナルを問わず、当該技術分野で公知の任意の方法を使用して実行されてもよい。抗体の製造のための技術は、例えば、それぞれその内容全体が参照により援用される、ハーロウ(Harlow)及びレーン(Lane)著、「抗体、実験室マニュアル(Antibodies、A Laboratory Manual)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年;ハーロウ(Harlow)及びレーン(Lane)著、「抗体の使用:実験室マニュアル(Using Antibodies:A Laboratory Manual)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、1999年;及び「治療用抗体工学:製薬業界で最も強力な成長分野を推進する現在及び将来の進歩(Therapeutic Antibody Engineering:Current and Future Advances Driving the Strongest Growth Area in the Pharmaceutical Industry)」、ウッドヘッド・パブリッシング(Woodhead Publishing)、2012年に記載されるように実行されてもよい。
多重特異性抗体
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、2つ以上のエピトープに結合してもよい。本明細書の用法では、用語「マルチボディ」又は「多重特異性抗体」は、2つ以上の可変領域が異なるエピトープに結合する、抗体を指す。エピトープは、同一又は異なる標的上にあってもよい。特定の実施形態では、多重特異性抗体は、同一又は異なる抗原上の2つの異なるエピトープを認識する「二重特異性抗体」である。
抗体薬物コンジュゲート
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)治療用途のために開発された抗体を含んでもよい。ADCは、1つ又は複数のカーゴ(例えば、治療剤)が(例えば、直接又はリンカーを介して)付着している、抗体である。ADCは、1つ若しくは複数の標的細胞又は組織への治療剤(例えば、薬物)の送達に有用である(パノウスキー,S.(Panowski,S.)ら著、2014年、mAbs、第6巻、第1号、p.34~45)。場合によっては、ADCは、標的とされる細胞上の表面抗原に結合するように設計されてもよい。結合すると、抗体-抗原複合体全体が内部に取り込まれ、細胞リソソームに向けられる。次に、ADCが分解されて結合したカーゴが放出されてもよい。
抗体配列
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表1に列挙される翻訳されたポリペプチドの1つ又は複数を使用して生成されてもよい。シグナルペプチドは、太字でマーキングされる。成熟した抗体では、完全な抗体のアセンブリに先だって、シグナルペプチドが除去されてもよい。
いくつかの抗体は、前の表に列挙されるもののいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する、翻訳されたポリペプチドを使用して生成されてもよい。いくつかの抗体は、前の表に列挙されるアミノ酸配列の断片の1つ又は複数を使用して生成されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表2に列挙される核酸の1つ又は複数を使用して生成されてもよい。いくつかの抗体は、列挙されるもののいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する、1つ又は複数の核酸によってコードされた重鎖又は軽鎖を含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙される核酸配列の1つ又は複数の断片及び/又はコドン最適化変異型を含む、核酸によってコードされてもよい。抗体は、これらの核酸、それらの変異型、及び/又はそれらの断片の1つ又は複数を担持するコンストラクトから生成されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表3に列挙される翻訳されたリーダアミノ酸配列の1つ又は複数を有する、翻訳された可変ドメインアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙されるアミノ酸配列のいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する、翻訳された可変ドメインアミノ酸配列を有してもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表4に列挙されるアミノ酸配列の1つ又は複数を含む、フレームワーク領域(FR)アミノ酸配列を含んでもよい。FR1、FR2、FR3、及びFR4は、可変ドメインのN末端から可変ドメインのC末端への位置の順に、フレームワーク領域を指す。フレームワーク領域の後には、可変ドメインの最後のCDRの後にあるFR4を除く、相補性決定領域(CDR)が典型的に続く。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表5に提示される重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列の1つ又は複数を含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙されるもののいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列がある、少なくとも1つの可変ドメイン含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙されるアミノ酸配列の1つ又は複数の断片又は変異型を有する、可変ドメインを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表6に列挙される翻訳されたCDRポリペプチドの1つ又は複数を使用して生成されてもよい。CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3は、可変ドメインのN末端から可変ドメインのC末端までの位置の順に軽鎖可変ドメイン上に存在するCDRを指す。CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3は、可変ドメインのN末端から可変ドメインのC末端までの位置の順に重鎖可変ドメイン上に存在するCDRを指す。いくつかの抗体は、列挙されるもののいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する、翻訳されたポリペプチドを使用して生成されてもよい。いくつかの抗体は、列挙されるアミノ酸配列の1つ又は複数の断片を使用して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、提示されたCDR配列のいずれかから選択されるアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するCDRを有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。場合によっては、重鎖CDRはCDR-H3である。いくつかの抗体はVHドメインを含み、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3は全て、提示された重鎖CDRのいずれかから、又は提示された重鎖可変ドメインの1つ又は複数と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の配列同一性を有するその変異型から選択される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、提示されたCDR配列のいずれかから選択されるアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するCDRを有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。場合によっては、軽鎖CDRはCDR-L3である。いくつかの抗体はVLドメインを含み、CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3は全て、提示された軽鎖CDRのいずれかから、又は提示された軽鎖可変ドメインの1つ又は複数と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の配列同一性を有するその変異型から選択される。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、表7に列挙される定常領域アミノ酸配列の1つ又は複数を含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙されるもののいずれかと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列同一性を有する定常ドメインアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの抗体は、列挙されるアミノ酸配列の1つ又は複数の断片又は変異型を含む、定常ドメインを含んでもよい。
エピトープ及び断片
いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、国際公開第2015084994号パンフレットに記載されるhCD59断片及び/若しくは変異型を含む又はそれらに存在する、エピトープに結合する。このような断片及び/又は変異型は、FEHCNFNDVTTRLRENELTYYCCKKDL(配列番号46);FEHCNFNDVTTRLRENELTYYCCKK(配列番号47);HCNFNDVTTRLRENELTYYCCKK(配列番号48);ACNFNDVTTRLRENELTYYCAAK(配列番号49);Ac-ACNFNDVTTRLRENELTYYCAAK-NH2(配列番号50、Acはアセチル基であり、NH2はアミン基である);AFEHCNFNDVTTRLRENELTYYCAAKDL(配列番号51);AFEHCNFNDVTTRLRENELTYYC(βA)KDL(配列番号52、βAはβ-アラニンである);又はAFEHCNFNDVTTRLRENELTYYC(Aib)AKDL(配列番号53、Aibはα-アミノ-イソ酪酸である)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの断片及び/又は変異型は、システイン残基間のジスルフィド結合を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの断片及び/又は変異型は、N末端基及び/又はC末端基(例えば、ヒドロキシル基「-OH」、アセチル基「Ac-」又はアミン基「-NH2」)を含んでも、又は除外してもよい。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、これらの断片及び/又は変異型のいずれかで哺乳類を免疫化し、免疫化哺乳類から、又は免疫化哺乳類から得られた抗体産生細胞から、得られた抗体を単離することによって生成される。いくつかの実施形態では、捕捉抗体は、免疫化哺乳類から得られた抗体アミノ酸若しくは核酸配列から、又は免疫化哺乳類から得られた抗体産生細胞から、組換え的又は合成的に生成される。
いくつかの実施形態では、検出抗体は、国際公開第2015084994号パンフレットに記載される糖化CD59断片及び/若しくは変異型を含む又はそれらに存在する、エピトープに結合する。このような断片及び/又は変異型は、NKCWKFEHCNFNDV(配列番号54);WKFEH(配列番号55);NKAWKFEHANFND(配列番号56);Ac-NKAWKFEHANFNDC-OH(配列番号57、Acはアセチル基でありOHはヒドロキシル基である)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの断片及び/又は変異型は、N末端基及び/又はC末端基(例えば、ヒドロキシル基「-OH」、アセチル基「Ac-」又はアミン基「-NH2」)を含んでも、又は除外してもよい。断片及び/又は変異型は、糖化リジン残基を含んでもよい。糖化残基には、化学結合と立体化学構造の異なる配置が含まれてもよい。このような残基には、リジンの糖化及び/又は再配列中に生じる構造又は中間体が含まれてもよい。糖化残基は、下に示される構造I~VIIのいずれかを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、検出抗体は、上に提示した糖化CD59の断片及び/又は変異型のいずれかで哺乳類を免疫化し、免疫化哺乳類から、又は免疫化哺乳類から得られた抗体産生細胞から、得られた抗体を単離することによって生成される。いくつかの実施形態では、検出抗体は、免疫化哺乳類から得られた抗体アミノ酸若しくは核酸配列から、又は免疫化哺乳類から得られた抗体産生細胞から、組換え的又は合成的に生成される。
K41糖化の調節因子
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で「糖化調節因子」と称される、CD59の糖化を調節するための化合物を提供する。糖化調節因子には、小型分子、ペプチド、合成コンストラクト、融合タンパク質、アプタマー、核酸、及び抗体が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの糖化調節因子は、hCD59の残基K41の糖化を調節してもよい。いくつかの糖化調節因子は、補体レギュレータとしてのCD59の機能を阻害することなく、CD59の糖化を調節してもよい。hCD59の残基K41の糖化を阻害する糖化調節因子は、本明細書で「K41糖化阻害剤」と称される。K41糖化阻害剤は、例えば、K41に、又はK41付近の1つ又は複数の残基(例えば、ポリペプチドの長さに沿ったK41付近及び/又は二次及び三次タンパク質構造によるK41付近)に結合し、そうでなければ相互作用してもよい。いくつかの実施形態では、K41糖化阻害剤は、K41における糖化を物理的に妨害し、又はK41が糖化されるのを妨げるようにhCD59タンパク質の立体構造を変化させてもよい。いくつかのK41糖化阻害剤はhCD59の残基H44に結合し、K41糖化に必要な化学反応を妨害してもよい。
いくつかの実施形態では、K41糖化阻害剤は、本明細書で開示される抗体を含んでもよい。このような抗体は、K41における糖化を物理的に妨害し、又はK41が糖化されるのを妨げるようにhCD59タンパク質の立体構造を変化させてもよい。いくつかの抗体は、例えば、ヒトhCD59のH44を標的化することによって、K41糖化を阻害してもよい。いくつかの実施形態では、このような抗体は、K41糖化に必要な化学反応を妨害してもよい。
II.使用方法
本開示の方法は、本明細書に記載の種々の因子の存在を検出し、レベル及び又はレベルの変化を測定する方法を含む。このような因子には、標的タンパク質、翻訳後修飾、及び標準薬剤が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。「レベル」は、検出された因子の実際の数、因子の濃度、又は相対レベルを指してもよい(例えば、検出された因子とサロゲート因子又は標準的薬剤との間の検出シグナルの比較を通じた)。このような方法には、CD59を捕捉するための捕捉剤の使用が含まれてもよい。本明細書の用法では、「捕捉剤」という用語は、アッセイ構成要素(例えば、アッセイ標的タンパク質又は化合物)に結合できる、任意の化合物を指す。捕捉剤には、捕捉抗体が含まれてもよい。捕捉抗体には、本明細書に記載の抗体のいずれかが含まれてもよい。場合によっては、捕捉剤は、グリコシル化アッセイ構成要素に結合できるレクチンである。
追加的な方法には、検出剤の使用が含まれてもよい。本明細書の用法では、「検出剤」という用語は、分析物に結合でき、又はそうでなければその存在及び/又はレベルを表示できる、アッセイ構成要素を指す。いくつかの実施形態では、検出剤は抗体(検出抗体)である。検出剤には、GCD59を検出するために使用される抗体が含まれてもよい。検出抗体には、本明細書に記載の任意の抗体が含まれてもよい。さらなる検出剤には、グリコシル化アッセイ構成要素を検出できるレクチンが含まれてもよい。検出剤は、検出可能な標識を含んでなってもよい。このような検出可能な標識には、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、蛍光標識、酵素的標識、ルミネセンス標識、及び放射性標識が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの方法では、検出剤は、二次抗体を使用して検出されてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、CD59及び/又はGCD59を捕捉又は検出するための技術分野で公知のその他の抗体の使用を含んでもよい。このような抗体は、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書のいずれかに記載され及び/又は特許請求されるものを含んでもよい。
方法には、タンパク質を捕捉し、このようなタンパク質上に存在する1つ又は複数の特定のエピトープを検出するための標準的な免疫学的アッセイ形式が含まれてもよい。このようなエピトープには、翻訳後修飾エピトープが含まれてもよい。翻訳後修飾エピトープには、糖化及び/又はグリコシル化エピトープが含まれてもよい。
方法には、免疫学的アッセイが含まれてもよい。本明細書の用法では、「免疫学的アッセイ」は、分析物を検出するための少なくとも1つの抗体を利用する、任意のアッセイを指す。免疫学的アッセイには、酵素結合免疫吸着アッセイ(エライザ(ELISA))、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、及びウエスタンブロット分析が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。本開示の方法には、表面付着形式又は溶液ベース形式の使用が含まれてもよい。本明細書の用法では、「表面付着形式」という用語は、表面への1つ又は複数のアッセイ構成要素の固定化を含む方法を指す。このような表面には、アッセイプレート、膜、センサー、又は表面を含むその他の基材が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、表面付着形式には、磁気相互作用表面、ビーズ又は被覆磁性ビーズが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、それらは強磁性標識の使用を含んでもよい。
本明細書の用法では、「溶液ベース形式」という用語は、液体培地中で自由に移動できる基材上への1つ又は複数のアッセイ構成要素の固定化を含む方法を指す。溶液ベース形式に適する基材には、液体媒体中で移動可能なビーズ又はその他の粒子が含まれてもよい。溶液ベース形式を利用する方法は、結合した分析物の検出が実行されてもよい、チューブ、チャネル、又はその他の通路に液体媒体を通過させることによって、分析されてもよい。アッセイ構成要素は、変動するレベル及び/又は被覆密度で、表面又は溶液ベース形式で固定化されてもよい。固定化は、共有結合、非共有結合、水素結合、及び疎水性結合をはじめとするが、これに限定されるものではない、任意の数の相互作用の形成を通じて促進されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、CD59を表面又は基材に固定化するための捕捉抗体の使用を含む。このような方法は、CD59上に存在する特定のエピトープを検出するための検出剤(例えば、レクチン又は検出抗体)の使用をさらに含んでもよい。このようなエピトープには、糖化及び/又はグリコシル化エピトープが含まれてもよい。糖化エピトープには、hCD59の糖化K41が含まれてもよい。このようなエピトープには、GCD59のアマドリ修飾K41が含まれてもよい。グリコシル化エピトープには、hCD59及び/又はGCD59上にN-グリコシル化エピトープが含まれてもよい。N-グリコシル化エピトープの検出は、検出剤としてのレクチンを使用して実行されてもよく、レクチンは、このようなN-グリコシル化エピトープ(eptitopes)(例えば、GCD59のN-グリコシル化残基)に結合する。いくつかの実施形態では、N-グリコシル化エピトープの検出は、検出抗体を使用して実行されてもよい。
本開示のいくつかの方法によれば、抗アマドリ修飾GCD59抗体は、GCD59を表面又は基材に固定化するための捕捉抗体として使用されてもよい。このような方法は、GCD59の非糖化エピトープを認識する検出抗体の使用をさらに含んでもよい。いくつかの方法には、GCD59のグリコシル化エピトープを認識する検出抗体の使用が含まれてもよい。このようなエピトープには、GCD59のN-グリコシル化エピトープが含まれてもよい。
本開示の方法は、1つ又は複数の内部対照の使用を含んでもよい。このような内部対照には、血漿アッセイ対照が含まれてもよい。いくつかの方法は、アッセイ希釈剤、コンジュゲート希釈剤、及び洗浄緩衝液の1つ又は複数を含む。場合によっては、方法は、還元剤、酸化剤、ジチオスレイトール(DTT)、及び/又はβ-メルカプトエタノール(BME)の1つ又は複数を有する少なくとも1つの緩衝剤を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第6835545号明細書、米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書のいずれかに記載される方法のいずれかを実行するための本明細書に記載の抗体の1つ又は複数の使用を含んでもよい。
濃度レベルを判定する方法には、標的タンパク質の濃度を判定するための標準曲線との比較が含まれてもよい。標準曲線は、標準薬剤の一連の濃度を有するサンプルから得られるデータのセットである。本明細書の用法では、「標準薬剤」は、アッセイで検出される標的タンパク質と同一の又薬剤は代表的な薬剤である。いくつかの実施形態では、標準薬剤はサロゲート化合物である。本明細書の用法では、「サロゲート化合物」は、標的タンパク質又はその他の分子の1つ又は複数の特徴を呈する化合物である。このような特徴には、1つ又は複数の標的タンパク質上に存在するエピトープが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、サロゲート化合物は、CD59断片又はその変異型を含む。いくつかの実施形態では、サロゲート化合物は、配列番号50を含む断片を含む。いくつかの実施形態では、捕捉剤がこのような断片に結合する。いくつかの実施形態では、サロゲート化合物は、糖化CD59断片又はその変異型を含む。糖化断片には、配列番号57が含まれてもよい。このような断片には、糖化リジン残基が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、糖化リジン残基は、グルシトールリジンを含む。いくつかの実施形態では、糖化リジン残基は、アマドリ修飾糖化リジンを含む。いくつかの実施形態では、検出剤がこのような断片に結合する。サロゲート化合物には、1つ又は複数の非タンパク質構成要素が含まれてもよい。このような非タンパク質構成要素には、天然又は標的タンパク質上に存在しない、リンカー、標識(例えば、検出可能標識)、部分、又はその他の特徴が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、サロゲート化合物は、それぞれその内容全体が参照により援用される、米国特許第9,417,248号明細書又は米国特許出願公開第2016/0299150号明細書で開示されるもののいずれかを含んでもよい。このようなサロゲート化合物には、米国特許第9,417,248号明細書の図27で描写される化合物が含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、標的タンパク質の濃度等価物を使用して、標的タンパク質の濃度が示される。本明細書の用法では、「濃度等価物」は、サロゲート化合物を使用して作成された標準曲線との比較に基づく濃度の指標である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の診断、スクリーニング、及び/又はモニタリングの方法には、対象からの因子レベルと閾値又は受信者動作特性(ROC)曲線との比較が含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示は、治療、診断、及びモニタリング用途の方法を提供する。このような方法には、本明細書に記載の1つ又は複数の抗体の使用が含まれてもよい。このような抗体には、抗アマドリ修飾GCD59抗体が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
治療用途
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、対象における1つ又は複数の疾患及び/又は障害の発生又は症状を治療、予防、及び/又は低減するために使用されてもよい治療用途を含む。本明細書の用法では、「対象」は、任意の人、個人、胎児、新生児、乳児、動物、及び/又は患者である。対象には、胎児対象が含まれてもよい。本明細書の用法では、「胎児対象(gestational subject)」は、子宮内に存在する対象であるが、この用語は、対象が子宮内外の双方の期間を含む期間にわたり対象を指すために使用されてもよい。例えば、胎児対象の診断は、出産時又は出産後に確認された診断を指してもよい。本明細書の用法では、「妊娠対象(pregnant subject)」又は「妊娠キャリア(gestational carrier)」は、対象の子宮内に胎児対象を保有する個人を指し、胎児対象との生物学的関係性の有する又は有しない個人を含む。本明細書の用法では、「乳児対象」という用語は、乳児である対象を指し、出生から約1才までの対象を包含する。対象は、治療を受けていてもよく、治療を必要としていてもよく、治療を受けたことがあってもよく、又は可能な若しくは潜在的な治療についてスクリーニング又は層別化されてもよい。対象には、例えば、霊長類、非ヒト霊長類などの動物、又は家畜などの動物が含まれてもよい。
糖尿病
いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、1つ又は複数の糖尿病関連徴候の発生又は症状が、治療、予防、及び/又は低減されてもよい。本明細書の用法では、「糖尿病関連徴候」という用語は、血中グルコースレベルの上昇、細胞グルコース取り込みの低下、インスリンレベルの低下、又はインスリン感受性の低下に関連する任意の疾患、障害、及び/又は状態を指す。糖尿病関連徴候としては、糖尿病及び前糖尿病が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示は、補体機能不全、溶血性疾患、発作性夜間血色素尿症、非定型溶血性尿毒症症候群、創傷治癒、臓器移植に伴う合併症、血管徴候、及び加齢黄斑変性に関連する徴候が含まれてもよいが、これに限定されるものではない、1つ又は複数の糖尿病関連徴候を診断、モニタリング、スクリーニング、及び/又は治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、糖尿病関連徴候には、前臨床糖尿病関連徴候が含まれてもよい。前臨床糖尿病関連徴候には、糖尿病の臓器特異的合併症、前臨床糖尿病性末梢神経障害、前臨床糖尿病性腎障害、前臨床糖尿病性網膜症、及び前臨床糖尿病性血管疾患の素因が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
糖尿病は、血中グルコースレベルの上昇を特徴とする疾患であり、高血糖症とも称される。インスリンは、グルカゴン及びエピネフリンをはじめとするが、これに限定されるものではないその他のホルモンと並んで、血中の正常なグルコースレベルを維持するために重要である。細胞の受容体に結合するインスリンは、グルコースの細胞内取り込みを促進し、細胞にエネルギー源を提供し、血中グルコースレベルを低下させる(ロジャー,W.(Rodger,W.)著、カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(CMAJ)、1991年、第145巻、第10号、p.1227~37)。インスリンは膵臓β細胞によって発現され、血中グルコースレベルが上昇するとその発現は上方制御される。糖尿病では、インスリンレベル及び/又はインスリンに対する感受性が妨害され、細胞のグルコース取り込みが減少し、グルコースの循環レベルが上昇する。糖尿病の2つの主要な形態は、インスリン依存型(本明細書では若年性糖尿病又はI型糖尿病とも称される)及びインスリン非依存型(本明細書では成人発症型糖尿病又はII型糖尿病とも称される)である。I型糖尿病はあまり一般的でなく、典型的には、インスリンの主要な供給源であるβ細胞の自己免疫性破壊によって引き起こされる。糖尿病患者の90%以上は、II型糖尿病に罹患している。この形態の疾患は、インスリン分泌の低下及び/又はインスリンに対する感受性の低下(例えば、細胞におけるグルコース取り込みを刺激するインスリンの能力の低下)によって特徴付けられる(ロジャー,W.(Rodger,W.)著、「インスリン非依存型(II型)糖尿病(Non-insulin-dependent(Type II)diabetes mellitus)」、カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(CMAJ)、1991年、第145巻、第12号、p.1571~81)。II型糖尿病は、遺伝的易罹患性にある程度起因すると考えられており、過体重及び/又は肥満の対象において最も頻繁に発生する。
本明細書の用法では、「糖尿病患者」という用語は、1つ又は複数のタイプのインスリン欠乏症(例えば、インスリンレベルの低下及び/又はインスリン感受性の低下)を含む個人を指す。糖尿病患者という用語には、若年性糖尿病(I型糖尿病)、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、妊娠性糖尿病(GDM)、及び任意のその他のインスリン欠乏症状態がある個人が含まれるが、これに限定されるものではない。「糖尿病」という用語は技術用語であり、医療専門職に従事している人々に知られ、理解されており、その正式な定義は「ハリソンの医学の原則(Harrison’s Principles of Medicine)」、(ハリソン(Harrisons)著、第14巻、「内科の原則(Principles of Internal Medicine)」、ファウチ,A.S.(Fauci,A.S.)、E.ブラウンウォルド(E.Braunwald)、K.J.イッセルバッハー(K.J.Isselbacher)、J.D.ウィルソン(J.D.Wilson)、J.B.マーティン(J.B.Martin)、D.L.カスパー(D.L.Kasper)、S.L.ハウザー(S.L.Hauser)、D.L.ロンゴ(D.L.Longo)編、マグローヒル(McGraw-Hill)、ニューヨーク、1999年)に見いだされ得る。
妊娠性糖尿病(GDM)
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、妊娠性糖尿病(GDM)の検出、診断及び/又は予後に有用であってもよい。本明細書の用法では、「妊娠糖尿病」又は「GDM」という用語は、血中グルコースレベルの上昇、炭水化物不耐性、及び/又は妊娠によって引き起こされるインスリン感受性の低下を特徴とする糖尿病状態を指す。場合によっては、各国のGDM診断は、そこで従事している医師に勧告を出す、このような国々の専門機関によって設定された異なる基準に依存してもよい。GDMは妊娠の18%にまで影響を及ぼして、短期的及び長期的双方の影響を含めて、母親と子孫の双方に悪影響を及ぼす結果をもたらすこともある。現在、妊娠中の女性対象のGDMの診断及びモニタリングは、血中グルコースレベルの測定に大きく依存している。血中グルコースは絶えず変化し、食事や活動レベルをはじめとする外部要因によって影響を受ける。グルコースレベルは毎時間、変化しうる。これは、試験を受ける対象に食餌の要件及び/又は制限を課すことによって、GDM試験を複雑にする。
GDMは、妊婦に影響を及ぼす最も多く見られる障害の1つであり、妊娠中、出産時、さらには出産後も合併症のリスクがより高くなる。さらに、このような合併症は、母親及び子孫の双方に影響を及ぼしうる。GDMがある個人は、炭水化物をエネルギーに適切に分解する能力を欠く(オーカン,N.(Okun,N.)著、カナディアン・ファミリー・フィジシャン(Can.Fam.Physician.)、1997年、第43巻、p.88~93)。場合によっては、GDM診断は、高い血中グルコースレベルの検出を通じて、及び/又は妊娠中のグルコース負荷に応答する能力の低下の観察を通じて、実行されてもよい。このような診断は、妊娠第三期に最も頻繁に発生する。GDMをもたらす機序は未だに不明確であるが、場合によっては、妊娠中に上昇するホルモンが、インスリン抵抗性をはじめとするが、これに限定されるものではない、正常なインスリンシグナル伝達を妨げることもあると考えられる。このインスリンシグナル伝達機能不全は、細胞のグルコース取り込みの減少、及び血中グルコースレベルの上昇をもたらす。GCD59レベルは、GDMと診断された対象をはじめとする、異なるレベルの耐糖能異常を示す対象において、上昇しうる。
GDMスクリーニング及び診断
GDMは、妊娠の最も一般的な医学的合併症の1つである。各国において、GDM診断は、開業医に勧告を出す責任を負う専門機関によって設定された基準によって、決定されてもよい。GDM診断へのアプローチ方法については、米国内の専門機関の間、並びに米国内の専門機関と海外の専門機関との間で、進行中の議論がある。このような米国の専門機関には、米国国立衛生研究所(NIH)、米国糖尿病協会(ADA)、米国産婦人科医会議(ACOG)が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。このような国際機関には、国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。米国及び海外の専門機関は、異なる研究、そのような研究の異なる分析に基づいてアプローチを調整してもよく、医療及び経済的圧力の影響を受けることもある。確かに、GDMを定義する要因及び診断の基準は、時間経過と共に変化しうる。このように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本開示の方法は、妊婦、胎児、及び新生児の健康に関与する各国の専門機関によって出された、最新の勧告に従って実施されてもよい。
いくつかの現行の米国の慣行によれば、GDMについて、全ての妊婦のスクリーニングが提案されている。場合によっては、スクリーニングは、患者病歴のレビュー、臨床リスク因子の評価、及び/又はグルコース負荷を含む1つ又は複数の検査を含んでなってよい。本明細書の用法では、「グルコース負荷」という用語は、対象へのグルコースの投与を特徴とする試験構成要素を指す。グルコース負荷試験は、典型的には、グルコース負荷に対する対象の応答を評価する。これは、血中グルコースレベルを分析することを含んでなってもよい。グルコース負荷中に投与されるグルコースの量は、変動してもよい。典型的な試験は、約50g~約100gのグルコースの投与を含む。その他の実施形態では、75gのグルコースが投与される。場合によっては、血漿グルコースレベルは、1回又は複数回のグルコース負荷後、又は食後に評価されてもよい。いくつかの実施形態では、GCD59検出に関連する本開示の方法は、絶食の有無にかかわらず対象で実行されてもよい。いくつかの方法は、グルコース負荷を伴う又は伴わない対象で実行されてもよい。
GDMを発症するリスクが最も低い「低リスク」の妊娠対象は、25才未満であり、正常体型指数を有し、糖尿病の家族歴がなく(第一度近親者のレベルで)、異常なグルコース代謝の病歴がなく、芳しくない産科の結果の病歴がなく、高リスクの民族(例えば、ヒスパニック、北米先住民、アフリカ系米国人、及び南アジア系)でない対象を含む。妊娠対象のリスク評価は、典型的には、出産前の最初の来院中に実行される。GDMを発症するリスクがより高い女性(例えば、肥満、GDMの個人歴、糖尿症、糖尿病の家族歴など)は、典型的に、できる限り速やかに検査を受ける。このような女性の最初の検査が陰性の場合、妊娠24週~28週の間の再検査が推奨される。
高い血漿グルコースレベルは、グルコース負荷の非存在下で、GDMの指標となってもよい。本明細書で開示されるいくつかの方法は、空腹時グルコース試験を含む。このような試験に従って、空腹時血漿グルコース(FPG)レベル判定されてもよい。空腹時血漿グルコースレベルは、絶食期間の直後に測定されたグルコースのレベルを指す。絶食の期間は、約1時間~約24時間であってもよい。特定の実施形態では、FPGレベルは、約12時間の絶食後に測定されてもよい。医療基準に関する米国糖尿病協会(ADA)の勧告によれば、妊娠24~28週におけるGDM診断は、顕性糖尿病と以前に診断されていない女性におけるFPG≧92mg/dL(5.1mmol/L)の場合に、下されるべきである(米国糖尿病協会(ADA)、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、第37巻、(補遺1)、S14~S80、2014年)。国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)によれば、FPG≧92mg/dL(5.1mmol/L)であるが<126mg/dL(7.0mmol/L)の場合は、出生前の最初の来院時にGDMの診断を行うことが推奨される。(メツガー,B.E.(Metzger,B.E.)、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、第33巻、p.676、2010年)。いくつかの実施形態では、対象におけるGCD59を評価するための本明細書に記載の方法は、FPGの評価と組み合わせて実行されてもよい。本開示のいくつかの方法は、ADA及び/又はIADPSGによって承認されるGDM診断レベルの範囲内又は範囲外のFPGレベルの判定に先だって又はそれに応答して、実行されてもよい。
いくつかの実施形態では、ランダムグルコース試験が実施されてもよい。このような試験は、ランダムな血漿グルコースレベル(カジュアル血漿グルコースレベルとも称される)を測定する。ランダムグルコースレベルとは、いかなる摂食制限及び/又は要件(例えば、絶食)もなしで、得られたグルコースレベルを指す。妊娠対象では、200mg/dlを超えるランダム血漿グルコースレベルは、そのような対象におけるGDMを示唆する。特定の実施形態では、GDMの診断を確認するために、FGPレベル及びランダム血漿レベルの双方について、翌日、2回目の測定が必要とされる。本発明のいくつかの実施形態では、GCD59レベルもまた、摂食制限及び/又は要件(例えば、絶食)なしで得られてもよい。
高血糖が微妙な場合、診断にはその他のアプローチが必要であってもよい。高リスクと同定された妊娠対象では、一段階のアプローチで十分でありうる。一段階アプローチによれば、診断は、経口グルコース負荷試験(OGTT)によって、事前の血糖スクリーニングなしに行われてもよい。平均リスクの個人に対しては、典型的には、二段階のアプローチが実行される。二段階アプローチによれば、グルコース負荷を含む最初のスクリーニングが実施される。二段階アプローチの最初のスクリーニングでは、2001年に出された米国産科婦人科学会(The American College of Obstetricians)の勧告は、50gで1時間の経口グルコース負荷試験(GCT)の使用を求めている(産科診療委員会(Committee on Obstetric Practice)、米国産科婦人科学会(The American College of Obstetricians and Gynecologists):委員会意見書(Committee Opinion)、2011年)。1時間の経口GCTは、50gのグルコースの経口投与の1時間後に血糖値を測定する。GDMがある妊娠対象の80%は、130mg/dlのカットオフ値を超える血糖値を含み、90%は、140mg/dlのカットオフ値を超えるレベルを含む。本明細書の用法では、「カットオフ値」という用語は、診断の決定又はその他の種類の決定に関して指標となりうる値又はレベルを指し、所与のカットオフ未満のレベルは、所定のカットオフを超えるレベルに基づく決定とは異なる決定をもたらす(米国糖尿病協会(American Diabetes Association)、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、第31巻、第1号、S62~S67)。
二段階アプローチの第2段階では、100gのOGTTが実行されてもよい。本明細書の用法では、「経口耐糖能試験」又は「OGTT」という用語は、身体がグルコースを利用する能力を測定する試験を指す。このような試験は典型的には、対象が8~12時間食事をしていない午前中に始まる。ベースライン濃度は、最初の血液サンプルに基づいて確立される。本明細書の用法では、「ベースライン」という用語が測定値、レベル又は値を指す場合、引き続く測定値、レベル又は値が比較されてもよい、初期測定値、レベル又は値を指す。最初の血液サンプルが採取された後、対象は、測定されたグルコース濃度の飲用グルコース溶液を与えられる。100gのOGTTでは、100gのグルコースがグルコース溶液中で投与される。対象は典型的には、5分間の時間内に飲料を飲み干す必要がある。最後に、OGTTは、血中グルコース及び/又はインスリンレベルをモニターするために、引き続いて血液サンプルを取得することを含む。100gのOGTTによれば、妊娠対象の血中グルコースレベルが、ベースライン読み取りで95mg/dlのカットオフ値、グルコース投与の1時間後の180mg/dlのカットオフ値、グルコース投与の2時間後の155mg/dlのカットオフ値、及び/又はグルコース投与の3時間後の140mg/dlのカットオフ値を超える場合に、GDMの診断が下されてもよい。いくつかの実施形態では、GDMの診断は、4つの試験のうち2つが血中グルコースレベルの上昇をもたらすことを必要としてもよい(例えば、本明細書に記載の評価のいずれかに従って)。
場合によっては、GDM診断への二段階アプローチの2番目のステップにおいて、75gのOGTTが実行される。75gのOGTTは、75gのグルコースのみが投与されることを除いては、100gのOGTTに従って実行されてもよい。75gのOGTTによれば、妊娠対象の血中グルコースレベルが、ベースライン読み取りで95mg/dlのカットオフ値、グルコース投与の1時間後の180mg/dlのカットオフ値、及び/又はグルコース投与の2時間後の155mg/dlのカットオフ値を超える場合に、GDMの診断が下されてもよい。いくつかの実施形態では、GDMの診断は、4つの試験のうちの2つが血中グルコースレベルの上昇をもたらすことを必要としてもよい。
場合によっては、GDMスクリーニング中に、食後2時間のグルコース試験が実行される。食後2時間のグルコース試験は、食後2時間の血中グルコースレベルの分析を含む。
場合によっては、GDMスクリーニング中に、1,5-アンヒドログルシトール試験が実行されてもよい。1,5-アンヒドログルシトールのレベルは、高血糖(血糖値が180mg/dlを超える)期間中に低下し、高血糖状態が終了した後に、正常に戻るまで最大2週間を要する(マギル,J.B.(McGill,J.B.)ら著、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、2004年、第27巻、第8号、p.1859~65)。1,5-アンヒドログルシトール試験は、対象が長期間にわたり高血糖に耐えているかどうかを判定するために行われてもよい。
場合によっては、GDMスクリーニング中に、ヘモグロビンA1c(HbA1c)試験が実行されてもよい。このような試験は、血中のヘモグロビンの糖化バージョンであるHbA1cのレベルを測定する。HbA1cレベルは、高血糖の期間中に増加する。HbA1cは、HbA1cを含む赤血球が置換されるまで約8週間~約12週間血中に残留し、HbA1cは、その期間中の全体的な血中グルコースレベルの良好な長期的読み取り値になる(http://medweb.bham.ac.uk/easdec/prevention/what_is_the_hba1c.htm)。
いくつかの実施形態では、GDMスクリーニング中に、フルクトサミン試験が実行されてもよい。フルクトサミンレベルは、高血糖状態で上昇する。フルクトサミンレベルの上昇は、高血糖状態が鎮まった後に2~3週間上昇したままであり、それらは、高い血中グルコースレベルの良好な長期的指標になる(デルピエール,G.(Delpierre,G.)ら著、バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem J.)、2002年、第365巻、p.801~8)。
いくつかの実施形態では、対象サンプルは、妊娠前に取得され分析されてもよい。このような対象サンプルは、女性対象から取得されてもよい。対象サンプルはまた、現在及び/又は将来の妊娠において、GDM及び/又は子癇前症を発症するリスクのレベルを判定するために使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、本明細書に記載の試験のいずれかと組み合わされてもよい。このような試験には、グルコース負荷試験、経口グルコース負荷試験、空腹時グルコース試験、ランダムグルコース試験、食後2時間グルコース試験、ヘモグロビンA1c(HbA1c)試験、フルクトサミン試験、及び1,5-アンヒドログルシトール試験が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、GDM又はその他の糖尿病状態の診断、予後及び/又はモニタリングの目的で、このような試験と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、II型糖尿病の産後スクリーニングのために使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、その他の糖化タンパク質の検出と組み合わされてもよい。体液内に存在するその他の多くのタンパク質は、糖化される可能性があるアミノ基を含む。このようなタンパク質には、糖化アルブミン、糖化ヘモグロビン、糖化免疫グロブリン、糖化ヘモペキシン、糖化ビタミンD結合タンパク質、糖化フィブリノーゲンα鎖、糖化アポリポタンパク質A1、糖化トランスフェリン、糖化マクログロブリンα2、糖化補体成分4A、糖化フィブリノーゲンβ鎖、糖化フィブリノーゲンα鎖、糖化abヒドロラーゼドメイン含有タンパク質14B、糖化アミロライド感受性アミンオキシダーゼ銅含有、糖化アンギオテンシン変換酵素イソ型1前駆体、糖化ペプチダーゼ系統群M2アンギオテンシン変換酵素、糖化アコニターゼ1、糖化リソソーム酸ホスファターゼイソ型1前駆体、糖化膵臓炎関連タンパク質、糖化α-アクチニン-4、トロンボスポンジン1型モチーフを有する糖化メタロプロテイナーゼ、糖化アスパルチルグルコサミニダーゼ、糖化アデノシルホモシステイナーゼ、糖化α-2-HS-糖タンパク質、糖化アルコールデヒドロゲナーゼNADP+、糖化アルドケト還元酵素ファミリー1、糖化アルデヒドデヒドロゲナーゼファミリー1ファミリーメンバーL1、糖化アルドラーゼBフルクトース二リン酸、糖化膵臓アミラーゼA、糖化アポリポタンパク質A4が含まれてもよい(ウキタ(Ukita)ら著、クリニカル・ケミストリー(Clin.Chem.)、1991年、第37巻、p.504;ヨハンセン(Johansen)ら著、グリコバイオロジー(Glycobiol.)、2006年、第16号、p.844;及びデービス(Davies)ら著、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Med.)、1989年、第170号、p.637)。いくつかの実施形態では、GCD59は、上に列挙される糖化タンパク質のいずれかを含むバイオマーカのパネル又はアレイの一部として検出されてもよい。
GDMカテゴリー
いくつかの実施形態では、妊娠対象は、特定の基準に基づいて疾患の異なるサブカテゴリーに入れられてもよい。このような2つのカテゴリーには、耐糖能障害(IGT)のあるカテゴリー及び空腹時血糖値の異常(IFG)のあるカテゴリーが含まれる。これらのカテゴリーは、グルコースレベルが正常を超えているが、GDMのレベルまで上昇していない対象、又はGDM診断の要件を満たしていない対象向けに指定されている。このようなカテゴリーへの対象の位置付けを決定する要因は国毎に異なってもよく、このような国々で従事している医師に勧告を提供する責任を負う、このような国々の専門機関によって管理されてもよい。
いくつかの実施形態では、妊娠対象は、このような対象における空腹時グルコースレベルが、正常絶食時グルコースレベル(例えば、先に記載されている評価によると、92mg/dL未満)のもの、及びそのレベルがGDMの暫定診断につながるもの[場合によっては、レベルが≧92mg/dL(5.1mmol/L)であり、又はレベルが≧92mg/dL(5.1mmol/L)であるが<126mg/dL(7.0mmol/L)である]と比較して、約100mg/dl~約125mg/dlを含む場合に、IFGと診断されてもよい。場合によっては、妊娠対象は、OGTT結果の後にIGTと診断されてもよい。場合によっては、IGTがある妊娠対象は、正常レベルのもの(レベルが140mg/dl未満の場合)、及びそのレベルがGDMの暫定診断につながるもの(レベルが200mg/dlを超える場合)と比較して、グルコース投与の2時間後に、約140mg/dl~約199mg/dlの血中グルコースレベルを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、IGT及び/又はIFGを有する妊娠対象は、前糖尿病を有すると称される。本明細書の用法では、「前糖尿病」という用語は、糖尿病を発症する高リスクを特徴とする状態を指す(米国糖尿病協会(American Diabetes Association)、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、2008年、第31巻、第1号、S62~S67)。前糖尿病のカテゴリーへの対象の指定を決定する要因は国毎に異なってもよく、このような国々で従事している医師に勧告を提供する責任を負う、このような国々の専門機関によって管理されてもよい。
場合によっては、GDMに罹患している妊娠対象は、本書では「ホワイトのGDMクラス」と称される、プリシラ・ホワイト博士によって開発されたGDMのクラスを含むカテゴリーに割り当てられてもよい(その全体が参照により本明細書に援用される、ダン,P.M.(Dunn,P.M.)著、「ボストンのプリシラ・ホワイト博士(1900年生まれ、1989年死去)と妊娠糖尿病(Dr.Priscilla White(1900-1989) of Boston and pregnancy diabetes)」、アーカイブス・オブ・ディジーズ・イン・チャイルドフッド・フェータル・アンド・ネオネイタル・エディション(Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed.)、2004年5月、第89巻、第3号、F276~8)。このようなGDMクラスには、表8に列挙されるもののいずれかが含まれてもよい。
ホワイトのGDMクラスには、クラスA1、クラスA2、クラスB、クラスC、クラスD、クラスF、クラスR、クラスT、及びクラスHが含まれる。これらのうち、クラスA1及びクラスA2は、GDMがあるが既存の糖尿病はない対象を分類するために使用される。その他のクラスは、妊娠前のある時点で発症した糖尿病に罹患している妊娠対象のカテゴリーのために使用される。
いくつかの実施形態では、GDMは、GDM重症度の2つ以上のレベルに従って分類されてもよい。本明細書の用法では、「GDM重症度のレベル」という用語は、典型的には低重症度から高重症度への、合併症又は負の転帰の異なるレベルを特徴とする、疾患のカテゴリーを指す。GDM重症度は、このような合併症又は負の転帰と相関する、1つ又は複数の因子のレベルに基づいて割り当てられてもよい。その他の実施形態では、GDM重症度は、血中グルコースの代謝に基づいて割り当てられてもよい。GDM重症度はまた、GCD59のレベルによって判定されてもよい。このような実施形態では、対象サンプルから得られたGCD59の濃度レベルが所定のカットオフ値の間のどこに入るかに応じて、軽度、中度、及び重度のGDMレベルが対象に割り当てられてもよい。
予備的徴候及びリスク因子
典型的には、GDMには症状がない。場合によっては症状が起こり、喉の渇き、疲労、悪心、嘔吐、膀胱感染、酵母感染、及びかすみ目が挙げられるが、これに限定されるものではない(http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/000896.htm)。疾患の予備的徴候は、典型的には、試験結果(例えば、グルコースレベルの上昇、糖化タンパク質のレベル上昇)を伴う。
GDMのリスク因子には、体型指数(BMI)の上昇、糖尿病又はGDMの家族歴、高齢の母親、多嚢胞性卵巣症候群の病歴、喫煙歴、産科問題の病歴、高コレステロール、低身長、及び民族性が含まれてもよいが、これに限定されるものではない(ロス,G.(Ross,G.)著、オーストラリアン・ファミリー・フィジシャン(Australian Family Physician)、2006年、第35巻、第6号、p.392~6;ビョージ,T.(Bjorge,T.)ら著、アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデモロジー(Am J Epid.)、2004年、第160巻、第12号、p.1168~76;マー,R.M.(Ma,R.M.)ら著、ダイアベーテス・ケア(Diabetes Care)、2007年、第30巻、第11号、p.2960~1)。場合によっては、リスク因子の有無が、女性対象の試験及び/又は治療に関する1つ又は複数の行動方針に影響を与えてもよい。
本明細書の用法では、「体型指数」という用語は対象の体重及び身長から計算される数を指し、それは所与の対象の体脂肪のレベルと相関する。この値は、対象のキログラム単位の体重をメートル単位の(身長)2で除算することによって得られる。場合によっては、BMI値は、次のように解釈されてもよい:18.5kg/m2未満は低体重;18.5kg/m2~24.9kg/m2は正常;25.0kg/m2~29.9kg/m2は過体重;30.0kg/m2~34.9kg/m2はグレードI肥満症;35.0kg/m2~39.9kg/m2はグレードII肥満症;及び40kg/m2以上はグレードIII肥満症。このような解釈によると、過体重の対象は、GDMを発症するリスクが2.14倍増加する(イエッソウフォウ,A.(Yessoufou,A.)ら著、エクスペリメンタル・ダイアベーテス・リサーチ(Experimental Diabetes Research)、2011年、第2011巻、p.1~12)。肥満の対象はGDMの発症リスクが3.56倍増加し、重度の肥満の対象はGDMの発症リスクが8.56倍増加する。BMIの解釈は国毎に異なってもよく、このような国々及び/又は管理機関で従事している医師に勧告を提供する責任を負う、専門機関によって判定されてもよい。
前糖尿病及び/又はGDMの病歴を有する妊娠対象は、GDMを発症するリスクがより高い。さらに、糖尿病、前糖尿病及び/又はGDMの家族歴を有する妊娠対象は、GDMを発症するリスクがより高い。対象の病歴及び/又は家族歴は、典型的には、出産前の最初の予約時に審査される。いくつかの実施形態では、対象の病歴及び/又は家族歴を使用して、対象の試験及び/又は治療に関する決定が下されてもよい。
高齢の母親もまた、GDMを発症するリスク因子である。GDMがある妊娠対象の百分率は、異なる年齢層間で変動する(ロス,G.(Ross,G.)著、オーストラリアン・ファミリー・フィジシャン(Australian Family Physician)、2006年、第35巻、第6号、p.392~6)。20才未満の妊娠対象の約1%が妊娠中にGDMを発症する一方で、20~24才の妊娠対象の約1.8%がGDMを発症し、25~29才の妊娠対象の約2.5%がGDMを発症し、30~34才の妊娠対象の約4.1%がGDMを発症し、35~39才の妊娠対象の約6.5%がGDMを発症し、40~45才の妊娠対象の約9.8%がGDMを発症し、45才を超える妊娠対象の約12.8%がGDMを発症する。
GDMの率は民族性にも影響され、アフリカ系米国人、北米先住民、ヒスパニック、及び南アジア系(太平洋諸島系住民をはじめとするが、これに限定されるものではない)の妊娠対象における発生率が高い(キム,S.Y.(Kim,S.Y.)ら著、プリベンティング・クロニック・ディジーズ(Prev Chronic Dis.)、2012年、第9巻、E88)。
GDM関連病状
GDMは、母親と彼女らの子孫の出産前後の合併症の主原因である。GDMに罹患している妊婦は、1つ又は複数のGDM関連病状を有してもよく、又は発症するリスクがあってもよい。本明細書の用法では、「GDM関連病状」は、GDMに関連する、又はGDMの結果生じる、妊娠キャリア又は胎児対象のあらゆる障害である。妊婦のGDM関連症状には、分娩時の合併症、帝王切開の増加、子癇前症/子癇のリスク、流産及び/又は及び/また妊娠後糖尿病が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。GDMに罹患している妊婦から産まれた胎児対象及び/又は乳児対象は、巨人児、在胎期間に比べて大きい(LGA)胎児、先天異常、出産外傷、高ビリルビン血症、低血糖、癲癇発作、及び死産をはじめとするが、これに限定されるものではない、1つ又は複数のGDM関連病状を有してもよく、又は発症するリスクがあってもよい。いくつかの実施形態では、妊娠キャリアにおけるGDMのリスクを診断、評価、モニター、又は層別化する(すなわち、1人又は複数人の対象にリスクレベルを割り当てる)ために使用される本開示の方法を使用して、1つ又は複数のGDM関連病状を発症するリスクがある、胎児対象及び/又は乳児対象が同定されてもよい。
胎児対象及び/又は乳児対象に影響を及ぼすGDM関連病状には、巨人児が含まれうる。本明細書の用法では、巨人児という用語は、出生時体重が大きいことを特徴とする、乳児対象における状態を指す。本明細書の用法では、大きな出生時体重とは、約8ポンド13オンス又は約4kgを超える出生時体重を指す。巨人児と特徴付けられた乳児対象は、全出産の約10%を構成する。往々にして、GDMがある妊娠対象から産まれた幼児対象に関連する異常な又は難しい出産(本明細書では難産とも称される)及び/又は出産外傷は、このような幼児対象のサイズが大きく、出産中に母親及び子孫の双方に物理的ストレスを引き起こすことに起因する(ナジャフィアン,M.(Najafian,M.)ら著、オブステトリックス・アンド・ガイネコロジー(Obstetrics and Gynecology)、2012年、第2012号、p.353791)。GDMに罹患している妊娠対象では、血中グルコースレベルの上昇は、典型的には、発達中の子孫への胎盤を通過するグルコース及び栄養素の輸送の増加につながる(イエッソウフォウ,A.(Yessoufou,A.)ら著、エクスペリメンタル・ダイアベーテス・リサーチ(Experimental Diabetes Research)、2011年、第2011巻、p.1~12)。発達中の子孫における過剰な栄養レベルはまた、このような子孫を出生後に低血糖又は低血中グルコースを発症する危険にさらすこともある。子宮内の栄養レベルの増加は、発達中の子孫によるインスリン産生の増加につながる。出生後、胎盤栄養素の移動が停止し、乳児対象の循環インスリンが上昇すると、血糖値が低下して低血糖をもたらす。いくつかの実施形態では、GDMのリスクを診断、評価、モニター、又は層別化するために使用される本開示の方法は、巨人児を発症するリスクを診断、評価、モニター及び/又は層別化するために使用されてもよい。
GDM関連病状には、在胎期間に比べて大きい(LGA)胎児が含まれうる。在胎期間に比べて大きいとは、所与の在胎期間で出生時体重が90パーセンタイル値を超えることを特徴とする状態を指す。このために、閾値重量は変動しうるが、一般的に、満期で産まれた場合に約4kg(8ポンド13オンス)より大きい赤ちゃんは、LGAのカテゴリーに分類される。妊婦がGDMを有する場合、妊婦の高い血中グルコースレベルに応答して胎児によって産生される過剰なインスリンによってLGAが生じてもよく、それは通常よりも大きい成長と引き続く出生時体重上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、GDMのリスクを診断、評価、モニター、又は層別化するために使用される本開示の方法を使用して、LGAを発症するリスクがある胎児対象が同定されてもよい。
子癇前症などの妊娠関連高血圧障害もまた、GDMに関連することが示されている(フェイグ,D.S.(Feig,D.S.)ら著、プロス・メディシン(PLoS Med.)、2013年、第10巻、第4号、e1001425)。子癇前症は、血圧上昇及びタンパク尿症(尿中のタンパク質)を特徴とする、妊娠対象の重篤な医学的状態である。研究は、妊娠中のGDM患者は、子癇前症を発症するリスクがより高いことを示している。それはまた、子癇前症子のリスクが、グルコース不耐性と共に増加することを示している。さらに、子癇前症がある妊娠対象は、インスリン抵抗性の発生率がより高いことが示されている。いくつかの実施形態では、GDMのリスクを診断、評価、モニター、又は層別化するために使用される本開示の方法は、子癇前症を発症するリスクを診断、評価、モニター及び/又は層別化するために使用されてもよい。
妊娠期間
本発明の実施形態の文脈で、妊娠を構成する時間の長さは、2つ以上の妊娠期間に分割され得る。本明細書の用法では、「妊娠期間」という用語は任意の時間的、発達的及び/又は生理学的に定義された、妊娠期間を指す。妊娠期間は、妊娠週を含んでなってもよい。ヒトの妊娠の典型的な期間は、約40~約42週間(ただし、場合によっては42週間を超えることもある)であり、妊娠対象の最後の月経周期の終わりから計算される。このように、妊娠期間は、約0~約46、約0~約42、約2~約42、約4~約42、約8~約42、約12~約42、約16~約42、約20~約42、約24~約42、約28~約42、約32~約42、約36~約42、約12~約36、約16~約36、約20~約36、約24~約36、約10~約28、約16~約28、約20~約28、約16~約24、又は約18~約24週間の妊娠を含んでなってもよい。場合によっては、妊娠期間は、妊娠1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、20週、21週、22週、23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、41週、42週、43週、44週、45週、46週、又は46週後を含んでなってもよい。妊娠期間は、妊娠月を含んでなってもよい。妊娠の典型的な期間は、9~10ヶ月間である。このように、妊娠期間は、約1ヶ月~10ヶ月、約2ヶ月~10ヶ月、約3ヶ月~10ヶ月、約4ヶ月~10ヶ月、約5ヶ月~10ヶ月、約6ヶ月~10ヶ月、約7ヶ月~10ヶ月、約8ヶ月~10ヶ月、約9ヶ月~10ヶ月、約1ヶ月~9ヶ月、約2ヶ月~9ヶ月、約3ヶ月~9ヶ月、約4ヶ月~9ヶ月、約5ヶ月~9ヶ月、約6ヶ月~9ヶ月、約7ヶ月~9ヶ月、約8ヶ月~約9ヶ月(mount)、約1ヶ月~6ヶ月、約1ヶ月~4ヶ月、約1ヶ月~3ヶ月、約3ヶ月~9ヶ月、約3ヶ月~6ヶ月、約4ヶ月~6ヶ月、約3ヶ月~7ヶ月、約2ヶ月~7又は約2ヶ月~6ヶ月の妊娠を含んでなってもよい。場合によっては、妊娠期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヶ月を含んでなってもよい。その他の実施形態では、妊娠期間は三半期を含んでなってもよい。妊娠期間は、3つの三半期に分割されてもよい。妊娠の第1の三半期は、妊娠の約1ヶ月~約3ヶ月及び/又は妊娠の約1週~約12週を含んでなってもよい。第1の三半期中に、典型的な発達は、体重約28g(又は約1オンス)及び身長約7.6cm~約10cm(又は約3~約4インチ)への胎児の成長を含む。第2の三半期は、約4ヶ月~約6ヶ月の妊娠及び/又は約13週~約28週の妊娠を含んでなってもよい。第2の三半期中に、典型的な発達は、体重約910g(又は約2ポンド)及び身長約23cm~約31cm(又は約9インチ~約12インチ)への胎児の成長を含む。第3の三半期は、約7ヶ月~約9ヶ月の妊娠及び/又は約29週~約40週の妊娠を含んでなってもよい。第3の三半期中に、典型的な発達は、体重約3.2kg(又は約7ポンド)及び身長約45cm~約51cm(又は約18インチ~約20インチ)への胎児の成長を含む。
いくつかの実施形態では、妊娠期間は胎児の発達段階を含んでなってもよい。このような段階には、胚盤胞形成、胎盤形成、胚形成、心臓発達、肺発達、肝臓発達、腎臓発達、胃腸発達及び神経系発達が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
モニタリング及び治療
本明細書で開示される分析は、対象から取得された単一サンプルの使用を含んでなってもよい。このようなサンプルは、体液サンプルを含んでなってもよい。体液サンプルには、血液、尿、粘液、羊水、唾液、及び/又は本明細書に開示されるその他のサンプルタイプが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。バイオマーカレベルは、単一の対象サンプル又は複数の対象サンプル中で、分析されてもよい。例えば、GCD59レベルは、経時的にモニターされてもよい。本明細書の用法では、「モニタリング」という用語は、経時的な観察、評価、及び/又は測定の行為を指す。観察、評価、及び/又は測定は、1つ又は複数の量又は値の形式で記録されてもよい。
いくつかの実施形態では、モニタリングの目的のための値は、濃度値又は濃度等価値を含んでなってもよい。モニタリングは典型的には、初期値又はベースライン値を得ることによって実行され、それによって引き続く値が比較されてもよい。モニタリング中に、1つ又は複数の引き続く値が得られ、ベースライン値及び/又は以前に得られた任意のその他の値と比較される。引き続く値は、短期比較、長期比較、毎週の比較、毎月の比較などの目的で得られてもよい。短期比較を使用して、対象に対する特定の負荷(例えば、グルコース負荷)に応答する、対象サンプル中の1つ又は複数のバイオマーカレベルがモニターされてもよい。このような対象サンプルは、10、20、30、40、50、75、及び/又は150分毎に取得され分析されて、比較のための引き続く値が生成されてもよい。短期比較のための対象サンプルは、引き続く値を生成するために、1、2、3、4、5、10、12、及び/又は24時間毎に取得されてもよい。このような対象サンプルは、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液を含んでなってもよい。グルコースレベル及び/又は糖化タンパク質のレベルもまた、このようなサンプルから得られてもよい。場合によっては、短期比較のために、対象サンプルからGCD59のレベル(濃度値をはじめとするが、これに限定されるものではない)が得られてもよい。
いくつかの実施形態では、長期比較を使用して、対象の1つ又は複数のバイオマーカレベル/濃度がモニターされてもよい。長期比較のために得られた引き続く値は、毎週、毎月、各四半期、毎年、及び/又は少なくとも毎年、取得されてもよい。長期比較は、約2週間から約2ヶ月間離れた対象サンプルから得られた、引き続く値を含んでなってもよい。このような対象サンプルは、体液サンプルを含んでなってもよい。このような体液サンプルは、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液サンプルを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、長期比較のために、サンプルからグルコースレベルが得られてもよい。その他の実施形態では、長期比較のために、サンプルから糖化タンパク質のレベルが得られてもよい。さらなる実施形態では、GCD59レベル(例えば、GCD59濃度レベル)が得られてもよい。
GDMのモニタリングに関連するいくつかの実施形態では、遵守(observance)、評価及び/又は測定値には、体重、血中グルコースレベル、糖化タンパク質(例えば、GCD59)のレベル、バイオマーカレベル、胎児の体重、胎児のサイズ、及びBMIを反映する値が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。GDMのモニタリングは、試験及び/又は観察を繰り返すことによって実行されてもよい。ベースライン値は、妊娠前、出産前の最初の健康診断時、又は妊娠の所与の間隔内に、取得されてもよい。ベースライン値は、例えば、妊娠約12週~約36週、妊娠約20週~約36週、及び/又は妊娠約24~約28週(妊娠24週、妊娠25週、妊娠26週、妊娠27週及び/又は妊娠28週を含む)に得られてもよい。いくつかのベースライン値は、濃度値であってもよい。このような濃度値は、様々な情報源から得られてもよい。ベースライン濃度値はまた、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液をはじめとするが、これに限定されるものではない、体液から得られてもよい。対象のサンプルレベルは、ベースラインレベル及び/又は以前に得られたレベルと比較され、分析中の1つ又は複数の因子のレベルの変化が判定されてもよい。場合によっては、対象サンプルレベルは、分析中の1つ又は複数の因子の閾値と比較される。
いくつかの実施形態では、ベースライン値は、GDMに関連する1つ又は複数の因子を評価するために使用される、1つ又は複数の試験の結果を含んでなってもよい。このような試験には、グルコース負荷試験(GCT)、OGTT、空腹時グルコース試験、日和見的グルコース試験、食後2時間グルコース試験、HbA1c試験、フルクトサミン試験、及び1,5-アンヒドログルシトール試験が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
GDMモニタリング中に、1つ又は複数の引き続く値が得られ、ベースライン値及び/又は以前に得られた任意のその他の値と比較される。短期比較、長期比較、毎週の比較、毎月の比較、三半期の比較、経分娩時の比較(例えば、分娩前後の比較)、経妊娠時の比較(例えば、妊娠前、妊娠中、及び/又は妊娠後の比較)及び妊娠間の比較(例えば、最初の妊娠と2回目、3回目、及び/又は4回目の妊娠の間の)の目的で、いくつかの引き続く値が得られてもよい。短期比較を使用して、対象に対する特定の負荷(例えば、グルコース負荷)に応答する、1つ又は複数のバイオマーカレベルがモニターされてもよい。短期比較のために取得された体液サンプルは、10、20、30、40、50、75、及び/又は150分毎に取得され分析されて、比較のための引き続く値が生成されてもよい。その他の実施形態では、1、2、3、4、5、10、12、及び/又は24時間毎に短期比較のための体液が取得され、引き続く値が生成されてもよい。短期比較のためのいくつかの体液サンプルは、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液を含んでなってもよい。場合によっては、グルコースレベルが、このようなサンプルから得られてもよい。短期比較のために、糖化タンパク質のレベル(濃度値をはじめとするが、これに限定されるものではない)が、体液から得られてもよい。このようなレベルは、GCD59レベルを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、長期比較を使用して、妊娠対象の1つ又は複数のバイオマーカレベル/濃度がモニターされてもよい。長期比較のために得られる引き続く値は、毎週、毎月、三半期毎、妊娠毎、及び/又は妊娠前、妊娠中、及び妊娠後の各期間に得られてもよい。いくつかの長期比較は、約2週間から約2ヶ月間離れた対象サンプルから得られた、引き続く値を含んでなってもよい。いくつかのこのような対象サンプルは、体液サンプルを含んでなってもよい。このような体液サンプルは、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液を含んでなってもよい。場合によっては、長期比較のために、サンプルからグルコースレベルが得られてもよい。その他の実施形態では、長期比較のために、サンプルから糖化タンパク質のレベルが得られてもよい。さらなる実施形態では、GCD59レベル(例えば、GCD59濃度レベル)が得られてもよい。
モニタリングが実行されて、1つ又は複数の病状及び/又は疾患の発生が観察されてもよい。いくつかのモニタリングが実行されて、GDM及び/又は子癇前症の発症が判定されてもよい。このような実施形態では、得られたベースライン値は、GDM及び/又は子癇前症を示唆しなくてもよい;しかし、得られた引き続く値は、発症を示唆してもよい。発症は、体液をはじめとするが、これに限定されるものではない、対象サンプルをモニタリングすることによって判定されてもよい。このような体液には、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液が含まれてもよい。いくつかの対象サンプルでは、グルコースレベルをモニターして、GDM及び/又は子癇前症の発症が判定されてもよい。その他の実施形態では、糖化タンパク質のレベルを監視して、GDM及び/又は子癇前症の発症が判定されてもよい。さらなる実施形態では、GCD59レベル(例えば、GCD59濃度レベル)をモニターして、GDM及び/又は子癇前症の発症が判定されてもよい。
いくつかの実施形態では、モニタリングを実行して、1つ又は複数の病状及び/又は疾患の進行又は退行が、観察又は評価されてもよい。いくつかのモニタリングを実行して、GDM及び/又は子癇前症の進行又は退行が観察又は評価されてもよい。このような実施形態では、得られたベースライン値は、GDM及び/又は子癇前症を示唆してもよい;しかし、得られた引き続く値は、疾患の進行又は退行を示唆してもよい。進行又は退行は、体液をはじめとするが、これに限定されるものではない、対象サンプルをモニタリングすることによって評価されてもよい。このような体液には、血液、尿、粘液、羊水、唾液及び/又は本明細書で開示される任意のその他の体液が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、グルコースレベルをモニターして、GDM及び/又は子癇前症の進行又は退行が評価されてもよい。その他の実施形態では、糖化タンパク質のレベルをモニターして、GDM及び/又は子癇前症の進行又は退行が評価されてもよい。さらなる実施形態では、GCD59レベル(例えば、GCD59濃度レベル)をモニターして、GDM及び/又は子癇前症の進行又は退行が評価されてもよい。
いくつかの実施形態では、モニタリングを実行して、分娩後対象における糖尿病状態の進行が観察又は評価されてもよい。本明細書の用法では、「分娩後対象」という用語は、最近出産した対象を指す。分娩後対象には、ほぼ1時間前、ほぼ昨日、ほぼ先月、ほぼ3ヶ月前及び/又はほぼ1年前に出産した対象が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、分娩後対象から取得された1つ又は複数のサンプルにおけるGCD59レベルが判定されてもよい。分娩後対象から取得された1つ又は複数のサンプルから得られたこのようなGCD59レベルを使用して、このような分娩後対象における1つ又は複数の糖尿病状態が、診断され、予測され又は別の様式で分析されてもよい。
いくつかの実施形態では、治療の適切な形態を適用するために、対象サンプルの評価が実行されてもよい。このような対象のサンプルは、GDMがある妊娠対象から取得されてもよい。GDMの治療ストラテジーは、食生活の調整、活動の増加、運動の増加、定期的な血中グルコースモニタリング及び/又はインスリン療法を含んでなってもよい。妊娠対象からのサンプルの評価に基づいて1つ又は複数の治療ストラテジーを選択し、選択された治療ストラテジーの1つ又は複数を妊娠対象に適用することで、このような妊娠対象から産まれた乳児対象に影響するGDM関連の病状が予防されてもよい。このような妊娠対象から取得されたサンプルは、1つ又は複数の治療ストラテジーを選択するために、1つ又は複数のバイオマーカのレベルについて評価されてもよい。このようなバイオマーカには、GCD59をはじめとするが、これに限定されるものではない、糖化タンパク質が含まれてもよい。妊娠対象サンプルから得られたGCD59濃度値は、GDMの治療のための1つ又は複数の治療法を選択するために使用されてもよい。このような実施形態では、このような妊娠対象から産まれた乳児対象における1つ又は複数のGDM関連病状が、軽減、逆転及び/又は予防されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して、GDMの治療を受けている対象がモニターされてもよい。このような方法は、本明細書に記載のモニタリングのタイプのいずれかから得られた見識に基づいて、治療用量及び/又は治療のタイプを調節することを含んでなってもよい。
コンパニオン診断
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、コンパニオン診断として使用されてもよい。本明細書の用法では、「コンパニオン診断」という用語は、その結果が対象の診断又は治療対象を助けるアッセイを指す。コンパニオン診断は、患者の疾患、障害又は病状の重症度レベルを層別化するのに役立ってもよく、治療レジメン及び用量を調整してコストを削減できるようにし、臨床試験の持続期間を短縮し、安全性を高め、及び/又は有効性を高める。コンパニオン診断を使用して、疾患、障害、又は病状の進行を予測し、予防療法の処方を助けてもよい。いくつかのコンパニオン診断を使用して、1つ又は複数の臨床試験の対象が選択されてもよい。場合によっては、コンパニオン診断アッセイが特定の治療と連携し、治療の最適化を容易にしてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、血糖レベルに関連する疾患、障害及び/又は病状のためのコンパニオン診断として有用であってもよい。本発明のいくつかのコンパニオン診断は、糖尿病、前糖尿病又はGDMをはじめとするが、これに限定されるものではない、その他の糖尿病状態の重症度を予測及び/又は判定するのに役立ってもよい。本発明のいくつかのコンパニオン診断を使用して、糖尿病性合併症を発症するリスクによって、対象が層別化されてもよい。このような糖尿病性合併症には、糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖、低血糖、高血糖高浸透圧状態、糖尿病性昏睡、気道感染症、歯周病、心臓損傷、腎臓損傷、感覚低下、視力喪失、心血管疾患、筋肉劣化及び脳卒中が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。本発明のいくつかのコンパニオン診断を使用して、抗糖尿病及び代謝障害薬の薬剤開発を容易にし促進してもよい。
ポイントオブケア検査
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される本開示の方法は、ポイントオブケア検査のために使用されてもよい。本明細書の用法では、「ポイントオブケア検査」という用語は、対象が医療を受けている現場又はその付近で実行される医学検査を指す。ポイントオブケア検査は、試験、試験結果のレビュー、及び治療の間隔をより短くするのに役立ってもよい。ポイントオブケア検査はまた、患者が試験され、同日中に及び/又は同じ医療訪問中にこのような試験の結果によって決定された治療を受けられるようにしてもよい。
プラットフォーム技術
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ又は複数のプラットフォーム技術を使用して実行されてもよい。本明細書の用法では、「プラットフォーム技術」は、方法又はアッセイの1つ又は複数のステップを標準化するように構成された、機器又はシステムを指す。プラットフォーム技術を使用して、例えば、免疫学的アッセイ(例えば、エライザ(ELISA)、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光アッセイ、EIA、RIA、及びウエスタンブロット分析)が実行されてもよい。プラットフォーム技術には、例えば、1つ又は複数のバイオ・ラッド(Bio-Rad)(ハーキュリーズ、カリフォルニア州)機器(イマーク(IMARK)(商標)マイクロプレート吸光度読取装置、エックスマーク(XMARK)(商標)マイクロプレート吸光分光光度計、PW41マイクロプレート洗浄機、及び/又はイムノウォッシュ(IMMUNOWASH)(商標)1575マイクロプレート洗浄機をはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のバイオテック(BioTek)(ウィヌースキ、バーモント州)機器(ELX800(商標)吸光度読取装置、シナジー(SYNERGY)(商標)HT多重モードマイクロプレートリーダ、ELX50(商標)マイクロプレートストリップ洗浄機、プレシジョン(PRECISION)(商標)XS自動ピペット操作システム、マルチフロ(MULTIFLO)(商標)自動ディスペンサー、EL406(商標)洗浄機ディスペンサー、マルチフロ(MULTIFLO)(商標)FX多モードディスペンサー、405TS(商標)マイクロプレート洗浄機、405LS(商標)マイクロプレート洗浄機、ELx405セレクト(Select)深型ウェル洗浄機、及び/又はELx50洗浄機をはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のサーモフィッシャー(Thermo-Fisher)(ウォルサム、マサチューセッツ州)機器(マルチスカン(MULTISKAN)(商標)FCマイクロプレート光度計、マルチスカン(MULTISKAN)(商標)GOマイクロプレート吸光分光光度計、マルチドロップ(MULTIDROP)(商標)コンビ(Combi)試薬ディスペンサー、マルチドロップ(MULTIDROP)(商標)384試薬ディスペンサー、マルチドロップ(MULTIDROP)(商標)DW試薬ディスペンサー、及び/又はウェルウォッシュ(WELLWASH)(商標)マイクロプレート洗浄機をはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のモレキュラー・デバイス(Molecular Devices)(サニーベール、カリフォルニア州)機器(ジェネピックス(GENEPIX)(登録商標))4300Aマイクロアレイスキャナ、ジェネピックス(GENEPIX)(登録商標)4400Aマイクロアレイスキャナ、ジェネピックス(GENEPIX)(登録商標)4000Bマイクロアレイスキャナ、アクアマックス(AQUAMAX)(登録商標)マイクロプレート洗浄機、マルチウォッシュプラス(MULTIWASH+)(商標)マイクロプレート洗浄機、及び/又はジェネピックス(GENEPIX)(登録商標)SL50自動スライドローダーをはじめとするが、これに限定されるものではない);及び/又は1つ又は複数のテカン(Tecan)(メンネドルフ、スイス)機器(サンライズ(SUNRISE)(商標)吸収度マイクロプレートリーダ、インフィニト(INFINITE)(登録商標)F50吸収度マイクロプレートリーダ、ハイドロフレックス(HYDROFLEX)(商標)マイクロプレート洗浄機、ハイドロスピード(HYDROSPEED)(商標)マイクロプレート洗浄機、及び/又はコネクト(CONNECT)(商標)マイクロプレートスタッカーをはじめとするが、これに限定されるものではない)などの免疫学的アッセイの実行に使用される1つ以上の市販の機器又はシステムが含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、プラットフォーム技術には、自動プラットフォーム技術が含まれる。自動化プラットフォーム技術は、方法また又はアッセイの1つ又は複数のステップを標準化された方法で人為的操とは無関係に実行するように構成された、自動化された機器又はシステムであるが、そのようなステップは、ヒトの入力又はガイダンスに基づいて実行されてもよい。自動プラットフォーム技術には、例えば、1つ又は複数のバイオ・ラッド(Bio-Rad)(ハーキュリーズ、カリフォルニア州)システム(バイオ・プレックス(BIO-PLEX)(登録商標)200システム及び/又はバイオ・プレックス(BIO-PLEX)(登録商標)3D懸濁液アレイシステムをはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のテカン(Tecan)(メンネドルフ、スイス)システム(フリードメボ(FREEDOMEVO)(登録商標)シリーズシステムをはじめとするが、これに限定されるものではない);トリツラス(TRITURUS)(登録商標)システム(グリフォルス(Grifols)、ロサンゼルス、カリフォルニア州);1つ又は複数のハミルトン・ラボラトリー・ソリューションズ(Hamilton Laboratory Solutions)(マニトウォック(Manitowac)、ウィスコンシン州)システム(マイクロラブ・スター(Microlab STAR)(商標))ライン(Line)システム、マイクロラブ・ニンバス(Microlab NIMBUS)(商標)システム、及び/又はマイクロラブ・バンテージ(Microlab VANTAGE)(商標)リキッド・ハンドリング(Liquid Handling)システムをはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のアボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratorie)(アボットパーク、イリノイ州)システム(アーチテクト(ARCHITECT)(商標)i2000SR免疫アッセイ分析装置、アーチテクト(ARCHITECT)(商標)i1000SR免疫アッセイ分析装置、及び/又はアーチテクト(ARCHITECT(商標)i4000SR免疫アッセイ分析装置をはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics)(ブランフォード、コネチカット州)システム(コーバス(COBAS)(登録商標)8100自動ワークフローシリーズシステム、COBコーバス(COBAS)(登録商標)8000モジュラー分析装置システム、コーバス(COBAS)(登録商標)6000分析装置システム、コーバス(COBAS)(登録商標)4000分析装置システム、コーバス(COBAS)(登録商標)c513分析装置システム、及び/又はウリシス(Urisys )2400(登録商標)分析器システムをはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のメソ・スケール・ディスカバリー(MESO Scale Discovery)(ロックビル、メリーランド州)システム(メソ・クイックプレックス(MESO QuickPlex)SQ120システム及び/又はメソ・セレクトル(MESO SECTOR)S600システムをはじめとするが、これに限定されるものではない);1つ又は複数のシーメンス(Siemens)(ミュンヘン、独国)システム(ディメンション(DIMENSION)(登録商標)EXL(商標)システム、ディメンションビスタ(DIMENSION VISTA)(登録商標)システム、ディメンション(DIMENSION)(登録商標)エクスパンド(XPAND)(登録商標)プラス(Plus)システム、ディメンション(DIMENSION)(登録商標)RXL マックス(MAX)(登録商標)システム、アドビア・セントール(ADVIA Centaur)XPT免疫アッセイシステム、アドビア・セントール(ADVIA Centaur)XP免疫アッセイシステム、アドビア・セントール(ADVIA Centaur)CP免疫アッセイシステム、イムライテ(IMMULITE)2000 XPi免疫アッセイシステム、イムライテ(IMMULITE)IMMULITE 1000免疫アッセイシステム、ベルサセル(VersaCell)システム、及び/又はベルサセル(VersaCell)X3システムをはじめとするが、これに限定されるものではない);及び/又は1つ又は複数のルミネックス(Luminex)(オースチン、テキサス州)システム(マグピックス(MAGPIX)(登録商標)システム及び/又はルミネックス(LUMINEX)(登録商標)100/200(商標)システムをはじめとするが、これに限定されるものではない)などの免疫学的アッセイの実行に使用される1つ又は複数の市販のシステムが含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、免疫学的アッセイを実行するために使用されるプラットフォーム技術には、1つ又は複数の所望のステップを実行できる1つ又は(one or)モジュールが含まれてもよい。このようなモジュールは、サンプルの配分、試薬の添加及び/又は除去、インキュベーション、混合、シグナル検出、シグナル分析、分析物の定量化、すすぎ、及びサンプル及び/又は基質廃棄の1つ又は複数を実行するように構成されてもよい。
製剤及び投与
医薬製剤
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、(1)安定性を高め;(2)細胞透過性を高め;(3)徐放又は遅延放出させ(例えば、製剤から);及び/又は(4)生体内分布を変化させる(例えば、組成物を特定の組織又は細胞型標的化する)ための1つ又は複数の賦形剤を使用して製剤化され得る。あらゆる全ての溶剤、分散媒、希釈剤、又はその他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘又は乳化剤、保存料などの伝統的な賦形剤に加えて、本発明の製剤は、制限なしに、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、(例えば、対象への移植のために)本発明の化合物又は組成物で形質移入された細胞、及びそれらの組み合わせを含み得る。
賦形剤
本明細書の用法では、「賦形剤」という用語は、使用前に、本発明の化合物及び/又は組成物と組み合わされる任意の物質を指す。いくつかの実施形態では、賦形剤は、非活性であり、主に本発明の化合物及び/又は組成物のための担体、希釈剤又はビヒクルとして使用される。医薬組成物を製剤化するための種々の賦形剤と、組成物を調製するための技術とが、当該技術分野で知られている(参照により本明細書に援用される、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、A.R.ジェンナーロ(A.R.Gennaro)著、リッピンコット、ウィリアムズ&ウィルキンズ(Lippincott,Williams & Wilkins)、ボルチモア、メリーランド州、2006年を参照されたい)。
望ましくない生物学的効果を生じさせること、又はそうでなければ有害な様式で医薬組成物の任意のその他の構成成分と相互作用することなどによって、任意の従来の賦形剤媒体が物質又はその誘導体と不適合であってもよい場合を除いて、従来の賦形剤媒体の使用は本開示の範囲内で想定される。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で既知の又は今後開発される任意の方法によって調製されてもよい。一般に、このような調製方法は、活性成分を賦形剤及び/又は1つ又は複数のその他の副成分と結び付けるステップを含む。
本開示による医薬組成物は、単回単位用量として、及び/又は複数の単回単位用量として、バルクで調製、包装、及び/又は販売されてもよい。
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容可能な賦形剤、及び/又は任意の追加的成分の相対量は、治療される対象のアイデンティティ、サイズ、及び/又は状態に応じて、さらには組成物がそれによって投与される経路に応じて、変動してもよい。
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%純粋である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ヒトでの使用及び獣医学的使用について承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は製薬等級である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/又は国際薬局方の基準を満たす。
医薬組成物の製造に使用される薬学的に許容可能な賦形剤としては、不活性希釈剤、分散及び/又は造粒剤、表面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存料、緩衝剤、潤滑剤、及び/又は油が挙げられるが、これに限定されるものではない。このような賦形剤は、任意選択的に、医薬組成物に含まれてもよい。
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム乳糖、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖など及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な造粒及び/又は分散剤としては、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル-ピロリドン)(クロスポビドン)、ナトリウムカルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(VEEGUM)(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物など、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な表面活性剤及び/又は乳化剤としては、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドレックス(chondrex)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びビーガム(VEEGUM)reg(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、及びモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラゲニン、セルロース系誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[ツイーン(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[ツイーン(TWEENn)(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[ツイーン(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミテート[SPAN(登録商標)40]、ソルビタンモノステアレート[スパン(Span)(登録商標)60]、ソルビタントリステアレート[スパン(Span)(登録商標)65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[スパン(SPAN)(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びソルトル(SOLUTOL)(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、クレモフォール(CREMOPHOR)(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[ブリジ(BRIJ)(登録商標)30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルオリンク(PLUORINC)(登録商標)F68、ポロキサマー(POLOXAMER)(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムなど及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト);ゼラチン;糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、乳糖、ラクチトール、マンニトール);天然及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワールガム、ガッチガム、イサポール穀皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(Veegum)(登録商標))、及びカラマツアラボガラクタン);アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコールなど;及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な保存料には、抗酸化剤、キレート化剤、抗菌保存料、抗真菌保存料、アルコール保存料、酸性保存料、及び/又はその他の保存料が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。例示的な抗酸化剤としては、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル(acorbyl palmitate)、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び/又は亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的なキレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及び/又はエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌保存料としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及び/又はチメロサールが挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的な抗真菌保存料としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムプロピオン酸塩、及び/又はソルビン酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的なアルコール保存料としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及び/又はフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的な酸性保存料としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及び/又はフィチン酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の保存料としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グリダント・プラス(GLYDANT PLUS)(登録商標)、フェノニップ(PHENONIP)(登録商標)、メチルパラベン、ジャーマル(GERMALL)(登録商標)115、ジャーマベン(GERMABEN)(登録商標)II、ネオロン(NEOLONE)(商標)、カソン(KATHON)(商標)、及び/又はユーキシル(EUXYL)(登録商標)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質非含有水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、滑石、麦芽、ベヘン酸(behanate)グリセリル、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例示的な油としては、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロスグリ(current)種子、ルリヂサ、カデ、カモミール、キャノーラ、ヒメウイキョウ、カルナウバ、ヒマシ油、シナモン、カカオ脂、ココナツ、タラ肝、コーヒ、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリノキ、月見草、魚類、亜麻仁、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヤナギハッカ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカダミア(macademia)ナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、落花生、ケシの実、カボチャ種子、ナタネ、米糠、ローズマリー、紅花、ビャクダン、サザンカ(sasquana)、セイバリー(savoury)、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、椿、ベチベル、クルミ、及びコムギ胚芽油が挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的な油としては、ステアリン酸ブチル、カプリルトリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱物油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
処方者の判断に従って、カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤、着色剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び/又は香料が、組成物中に存在し得る。
ビヒクル
リポソーム、リポプレックス、及び脂質ナノ粒子
本開示の化合物又は組成物は、1つ又は複数のリポソーム、リポプレックス、又は脂質ナノ粒子を使用して製剤化されてもよい。一実施形態では、本開示の医薬化合物又は組成物は、リポソームをさらに含む。リポソームは、人工的に調製された小胞であり、それは主に1つ又は複数の脂質二重層を含み、栄養素及び医薬製剤の投与のための送達ビヒクルとして使用されてもよい。リポソームは、直径が数百ナノメートルであってもよく、狭い水性区画で区切られた一連の同心二重層を含有してもよい多重膜小胞(MLV);直径が50nm未満であってもよい小型単細胞小胞(SUV);及び直径が50~500nmであってもよい大型単層小胞(LUV)などであるが、これに限定されるものではない異なるサイズであり得る。リポソームの設計には、不健康な組織へのリポソームの付着を改善するための、又はエンドサイトーシスなどであるが、これに限定されるものではない事象を活性化するための、オプソニン又はリガンドが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。リポソームは、医薬製剤の送達を改善するために、低い又は高いpHを含有してもよい。
リポソームの形成は、封入された医薬製剤及びリポソーム性成分、その中に脂質小胞が分散されている媒体の性質、封入された物質の有効濃度及びその潜在的な毒性、小胞の適用及び/又は送達中に関与する追加的プロセス、意図される用途に対する最適化サイズと多分散性と小胞の貯蔵寿命、及び安全且つ効率的なリポソーム製品のバッチ毎の再現性と大規模生産の可能性などであるが、これに限定されるものではない物理化学的特性に依存してもよい。
一実施形態では、このような製剤は、それらが生体内で受動的又は能動的に異なる細胞型に向けられるように、構築されてもよく又は組成が変更されてもよい。
製剤は、葉酸、トランスフェリン、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、及び抗体標的化アプローチによって例示されるが、これに限定されるものではない、それらの表面上の異なるリガンドの発現を通じて、選択的に標的化され得る。
リポソーム、リポプレックス、又は脂質ナノ粒子は、本発明の組成物による細胞形質移入を増加させてもよいので、これらの製剤が本開示の化合物又は組成物の機能的効能を改善するために使用されてもよい。リポソーム、リポプレックス、又は脂質ナノ粒子を使用して、本発明の化合物又は組成物の安定性もまた高めてもよい。
エップシュタイン(Eppstein)ら、(エップシュタイン,D.A.(Eppstein,D.A.)ら著、「リポソームカプセル化マウスインターフェロンγの生物学的活性は細胞膜受容体により媒介される(Biological activity of liposome-encapsulated murine interferon gamma is mediated by a cell membrane receptor)」、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci U S A.)、1985年6月、第82巻、第11号、p.3688~92);ウォング(Hwang)ら、(ウォング,K.J.(Hwang,K.J.)ら著、「単層スフィンゴミエリン/コレステロールリポソームの肝臓への取り込み及び分解:動態研究(Hepatic uptake and degradation of unilamellar sphingomyelin/cholesterol liposomes:a kineticstudy)」、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci U S A.)、1980年7月第77巻、第7号、p.4030~4);米国特許第4,485,045号明細書及び米国特許第4,544,545号明細書などによって記載されるように、抗体カーゴ用に特に調製されたリポソームは、当該技術分野で公知の技術に従って調製される。持続的な循環時間を備えたリポソームの製造は、米国特許第5,013,556号明細書にも記載される。
本発明の化合物又は組成物を含むリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、並びにポリエチレングリコール誘導体化されたホスファチジルエタノールアミンなどの脂質を利用する逆相蒸発を使用して、生成されてもよい。規定の孔径のフィルターを使用して、所望の直径のリポソームが押し出される。別の実施形態では、本発明の組成物は、マーティン(Martin)ら、(マーティン,F.J.(Martin,F.J.)ら著、「免疫グロブリン断片の予備形成された小胞への不可逆的結合。リポソーム標的化の改善された方法(Irreversible coupling of immunoglobulin fragments to preformed vesicles.An improved method for liposome targeting)」、ジャーナル・オブ・バイロジカル・ケミストリー(J Biol Chem.)、1982年1月10日、第257巻、第1号、p.286~8)によって記載されるような、ジスルフィド交換反応によってリポソームの外表面にコンジュゲートされ得る。
ポリマー及びナノ粒子
化合物又は本発明の組成物は、天然及び/又は合成ポリマーを使用して製剤化され得る。送達に使用されてもよいポリマーの非限定的例としては、DMRI/DOPE、ポロキサマー、キトサン、シクロデキストリン、及びポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)ポリマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは生分解性であってもよい。
ポリマー製剤は、組成物の持続又は遅延放出を可能にし得る(例えば、筋肉内又は皮下注射に続いて)。本開示の化合物又は組成物の変更された放出プロファイルは、例えば、長期間にわたる化合物又は組成物の放出をもたらし得る。ポリマー製剤はまた、本発明の化合物又は組成物の安定性を高めるために使用されてもよい。
ポリマー製剤はまた、葉酸、トランスフェリン、及びN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)によって例示されるが、これに限定されるものではない、異なるリガンドの発現を通じて選択的に標的化され得る。(その全体が参照により本明細書に援用される、ベノア(Benoit)ら著、バイオマクロモレキュールズ(Biomacromolecules)、2011年、第12巻、p.2708~2714;ロゼマ(Rozema)ら著、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci U S A.)、2007年、第104号、p.12982~12887;デービス(Davis)著、モレキュラー・ファーマコロジー(Mol Pharm)、2009年、第6巻、p.659~668;デービス(Davis)著、ネイチャー(Nature)、2010年、第464巻、p.91067~1070)。
本開示の化合物又は組成物はまた、ポリマー、脂質、及び/又はリン酸カルシウムなどであるが、これに限定されるものではないその他の生分解性薬剤の組み合わせを使用して、ナノ粒子として製剤化され得る。構成要素をコア-シェル、ハイブリッド、及び/又は層毎の構造で組合わせて、ナノ粒子の微調整ができるようにしてもよく、その結果、発明の化合物又は組成物の送達が促進されてもよい。本開示の化合物又は組成物では、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)-ブロック-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート)、(PMPC-PDPA)、ポリマーソームとしても知られる、生理学的pHで自己集合しナノメートルサイズの小胞を形成するpH感受性ジブロック共重合体に基づくシステムが使用されてもよい。これらのポリマーソームは、生細胞内で比較的高いペイロードを成功裏に送達することが示されている(マッシニャニ(Massignani)ら著、「抗体の細胞送達:効果的な標的化された細胞内イメージング及び新規治療ツール(Cellular delivery of antibodies:effective targeted subcellular imaging and new therapeutic tool)」、ネイチャー・プロシーディングス(Nature Proceedings)、2010年5月)。
一実施形態では、PEG電荷反転型ポリマー(ピテラ(Pitella)ら著、バイオマテリアルズ(Biomaterials)、2011年、第32巻、p.3106~3114)を使用して、本発明の化合物又は組成物を送達するナノ粒子が形成されてもよい。PEG電荷変換ポリマーは、酸性pHでポリカチオンに切断されエンドソーム漏出を促進することによって、PEG-ポリアニオンブロック共重合体を改善してもよい。
コアシェルナノ粒子の使用は、カチオン性架橋ナノゲルコア及び種々のシェルを合成するための高スループットアプローチに、さらに焦点を合わせている(ジークバルト(Siegwart)ら著、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci U S A.)、2011年、第108巻、p.12996~13001)。重合ナノ粒子の複合体形成、送達、及び内部移行は、ナノ粒子のコア及びシェル構成要素の双方の化学組成を改変することによって、正確に制御され得る。
一実施形態では、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)マトリックスを使用して、本発明の化合物又は組成物が送達される。このようなマトリックスは、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)、1992年、第10巻、p.1446~1449に記載される。
投与経路
本発明の化合物又は組成物は、当該技術分野で公知の標準的な方法又は経路のいずれかによって投与されてもよい。
本発明の化合物又は組成物は、治療的に有効な成果をもたらす任意の経路によって投与されてもよい。これらとしては、経腸、胃腸部、硬膜外、経口、経皮、硬膜外(硬膜周囲)、大脳内(大脳の中へ)、脳室内(脳室の中へ)、皮膚上(皮膚への塗布)、皮内(皮膚自体の中へ)、皮下(皮膚の下へ)、経鼻投与(鼻を介して)、静脈内(静脈の中へ)、(動脈の中へ)、筋肉内(筋肉の中へ)、心臓内(心臓の中へ)、骨内注入(骨髄の中へ)、クモ膜下腔内(脊柱管の中へ)、腹腔内(腹腔内への注入又は注射)、膀胱内注入、硝子体内(目を介して)、海綿体内注射(陰茎基部の中へ)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身拡散のための無傷の皮膚を介した拡散)、経粘膜(粘膜を介した拡散)、吹送(鼻からの吸引)、舌下、唇下、浣腸、点眼薬(結膜上へ)、又は点耳薬が挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の実施形態では、化合物又は組成物は、それらが血液脳関門、血管関門、又はその他の上皮性関門を通過できるような様式で投与されてもよい。本発明の化合物又は組成物の非限定的投与経路は、下述される。
非経口及び注射投与
経口及び非経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ剤、及び/又はエリキシル剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水;又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド;油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びエステルソルビタン脂肪酸などのその他の溶媒や可溶化剤や乳化剤、及びそれらの混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含んでなってもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、例えば、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、甘味剤、着香料、及び/又は芳香剤などのアジュバントを含み得る。非経口投与の特定の実施形態では、クレモフォール(CREMOPHOR)(登録商標)、アルコール、油、改質油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマーなどの可溶化剤、及び/又はそれらの組み合わせと混合される。その他の実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤が含まれる。
注射用製剤、例えば、無菌注射用水性又は油性懸濁液は、適当な分散剤、又は湿潤剤、及び/又は懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化されてもよい。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤及び/又は溶剤中の、例えば1,3-ブタンジオールの溶液としての滅菌注射用溶液、懸濁液、及び/又はエマルションであり得る。用いられてもよい許容できるビヒクル及び溶媒は、水、米国薬局方リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒として従来法で用いられる。この目的で、合成モノ又はジグリセリドをはじめとする、あらゆる無刺激不揮発性油が用いられ得る。脂肪酸などのオレイン酸が、注射剤の調製に使用され得る。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通過させる濾過によって、及び/又は使用前に滅菌水又はその他の無菌注射用培地中に溶解又は分散され得る、無菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
活性成分の効果を延長するために、皮下注射又は筋肉内注射からの有効成分の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、水溶性が劣る結晶性又は非晶質物質の液体懸濁液の使用によって、達成されてもよい。次に薬物の吸収速度は、その溶出速度に左右され、それは次に結晶サイズ及び結晶形態に左右されてもよい。代案としては、非経口的に投与される剤形の遅延性の吸収は、薬物をオイルビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内に、薬物の微小カプセル化マトリックスを形成することで製造される。薬物とポリマーの比率及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度は調節され得る。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤は、薬物を身体組織適合性のリポソーム又はマイクロエマルション中に封入することによって調製される。
直腸内及び膣内投与
直腸内又は膣内投与のための組成物は、典型的には坐薬であり、それは環境温度で固体であるが体温では液体であり、したがって直腸又は膣窩洞内で溶融して活性成分を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコール又は坐薬ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤に、組成物を混合することで、調製され得る。
経口投与
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、及び顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、活性成分は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム及び/又は充填剤又は増量剤(例えば、デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシア)、保湿剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリン)吸収剤(例えば、カオリン及びベントナイト粘土)、及び潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、及びそれらの混合物などの少なくとも1つの不活性で薬学的に許容可能な賦形剤と混合される。カプセル、錠剤、及び丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含んでなってもよい。
局所又は経皮投与
本明細書に記載されるように、本開示の化合物又は組成物は、局所投与のために製剤化されてもよい。皮膚は、容易にアクセスできるので、送達のための理想的な標的部位であってもよい。遺伝子発現は皮膚に制限されて非特異的毒性を潜在的に回避するだけでなく、皮膚内の特定の層及び細胞型にもまた制限される。
送達された化合物又は組成物の皮膚発現の部位は、核酸送達の経路に依存するであろう。本発明の化合物又は組成物を皮膚に送達するために、(i)局所塗布(例えば、局限的/局所的治療及び/又は美容用途のため);(ii)皮内注射(例えば、局限/局所的治療及び/又は美容用途のため);及び(iii)全身送達(例えば、皮膚及び真皮外領域の双方に影響する皮膚疾患の治療のため)の3つの経路が一般的に検討される。本発明の化合物又は組成物は、当該技術分野で公知のいくつかの異なるアプローチによって皮膚に送達され得る。
一実施形態では、本発明は、本発明の方法を好都合に及び/又は効果的に実行するための様々な包帯(例えば、創傷包帯)又は絆創膏(例えば、接着絆創膏)を提供する。典型的には包帯剤又は絆創膏は、本明細書に記載される本開示の医薬組成物及び/又は化合物又は組成物の十分量を含み、使用者が対象の複数回の治療を実施できるようにしてもよい。
一実施形態では、本発明は、2回以上の注射で送達される、化合物又は組成物を提供する。
組成物の局所及び/又は経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤及び/又はパッチが含まれてもよい。一般的に、活性成分は、必要に応じて、滅菌条件下で、薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は任意の所要の保存料及び/又は緩衝剤と混合される。
さらに、本発明は、経皮パッチの使用を考察し、これはしばしば、身体への化合物の制御送達を提供するという追加的利点を有する。このような剤形は、例えば、化合物を適切な媒体に溶解及び/又は分配することによって、調製されてもよい。代案としては、又はそれに加えて、速度制御膜を提供することによって、及び/又は化合物をポリマーマトリックス及び/又はゲルに分散させることによって、速度が制御されてもよい。
製剤に適した局所投与としては、リニメント剤やローションなどの液体及び/又は半液体製剤;クリーム、軟膏及び/又はペーストなどの水中油及び/又は油中水エマルション;及び/又は溶液及び/又は懸濁液が挙げられるが、これに限定されるものではない。
局所投与可能な製剤は、例えば、約1%~約10%(w/w)の活性成分を含んでなってもよいが、活性成分の濃度は、溶媒中の活性成分の溶解限度と同程度に高くてもよい。局所投与用の製剤は、本明細書に記載の追加的な成分の1つ又は複数をさらに含んでなってもよい。
デポー投与
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、持続放出用のデポー剤に製剤化される。一般的に、特定の臓器又は組織(「標的組織」)が投与の標的になる。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、標的組織内又は標的組織の近位に空間的に保持される。化合物又は組成物が標的組織に実質的に保持される、すなわち、少なくとも組成物の10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99又は99.99%以上が標的組織に保持されるような条件下で、1つ又は複数の標的組織(1つ又は複数の標的細胞を含む)を化合物又は組成物に接触させることによって、哺乳類対象の1つ又は複数の標的組織に化合物又は組成物を提供する方法が提供される。有利なことに、保持は、標的組織及び/又は細胞に入る組成物のレベルを測定することによって判定される。例えば、対象に投与された本発明の化合物又は組成物の少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99又は99.99%以上が、投与後一定期間、細胞内に存在する。例えば、哺乳類対象への筋肉内注射が、本発明の水性組成物及び形質移入試薬を使用して実施され、組成物の保持は、筋肉細胞に存在する本発明の化合物又は組成物のレベルを測定することによって判定される。
本発明の特定の態様は、化合物又は組成物が標的組織に実質的に保持されるような条件下で、標的組織(1つ又は複数の標的細胞を含有する)を化合物又は組成物と接触させることによって、哺乳類対象の標的組織に化合物又は組成物を提供する方法に関する。いくつかの実施形態では、目的の効果が少なくとも1つの標的細胞で生じるように、本開示の化合物又は組成物の有効量が使用されてもよい。化合物又は組成物は一般に細胞浸透剤及び薬学的に許容可能な担体を含有するが、「裸の」形態の化合物又は組成物(細胞浸透剤又はその他の薬剤を含まない化合物又は組成物など)もまた想定される。
いくつかの実施形態では、化合物又は組成物は、複数の化合物又は組成物を含む。任意選択的に、組成物はまた、細胞浸透剤を含有して、組成物の細胞内送達を助ける。標的組織の所定の体積内に含有されるかなりの割合の細胞で(一般に、所定の体積に隣接する組織内、又は標的組織の遠位にある化合物を標的化することなく)、目的の標的を標的とするのに必要な組成物の用量を決定する。この決定に引き続いて、決定された用量が哺乳類対象の組織に直接導入されてもよい。
一実施形態では、本発明は、2回以上の注射で又は分割投与注射によって送達される、化合物又は組成物を提供する。
肺内投与
医薬組成物は、頬側口腔を介した肺内与に適した製剤中で、調製、包装、及び/又は販売されてもよい。このような製剤は、活性成分を含み約0.5nm~約7nm又は約1nm~約6nmの範囲の直径を有する、乾燥粒子をさらに含んでなってもよい。このような組成物は、適切には、それに対して粉体を分散させるために噴射剤の流れが向けられ得る乾燥粉末リザーバーを含む装置を使用する、及び/又は密封容器内の低沸点噴射剤に溶解及び/又は懸濁した活性成分を含む装置などの自走式溶剤/粉末分配容器を使用する、投与用の乾燥粉末の形態である。このような粉末は、重量で粒子の少なくとも98%が0.5nmを超える直径を有し、数で粒子の少なくとも95%が7nm未満の直径を有する、粒子を含む。代案としては、重量で粒子の少なくとも95%が1nmを超える直径を有し、数で粒子の少なくとも90%が6nm未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、砂糖などの固体微粉末希釈剤を含んでもよく、好都合には単位用量形態で提供される。
低沸点噴射剤は、一般に、大気圧で18.3333℃(65°F)未満の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般に、推進剤は組成物の50%~99.9%(w/w)を構成してもよく、活性成分は組成物の0.1%~20%(w/w)を構成してもよい。噴射剤は、液体非イオン性及び/又は固体アニオン性界面活性剤及び/又は固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同程度の粒度を有してもよい)などの追加的成分をさらに含んでなってもよい。
肺送達用に製剤化された医薬組成物は、溶液及び/又は懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供してもよい。このような製剤は、活性成分を含む任意選択的に滅菌された水性及び/又は希釈アルコール性溶液及び/又は懸濁液として、調製、包装、及び/又は販売されてもよく、好都合には任意の噴霧化及び/又は微粒化装置を使用して投与されてもよい。このような製剤は、サッカリンナトリウムや揮発油などの香味剤、緩衝剤、表面活性剤、及び/又はメチルヒドロキシ安息香酸などの保存料をはじめとするが、これに限定されるものではない、1つ又は複数の追加的な成分をさらに含んでなってもよい。この投与経路により提供される液滴は、約0.1nm~約200nmの範囲の平均直径を有してもよい。
鼻腔内、経鼻、及びバッカル投与
本明細書で肺送達に有用であると記載されている製剤は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に適した別の製剤は、活性成分を含み約0.2μm~500μmの平均粒子を有する粗粉末である。このような製剤は、嗅剤が鼻吸入される、すなわち鼻近くに保持される粉末容器からの鼻腔を介する迅速な吸入の様式で投与される。
経鼻投与に適した製剤は、例えば、わずか約0.1%(w/w)から100%(w/w)に至る有効成分を含み、本明細書に記載の1つ又は複数の追加的成分を含んでもよい。医薬組成物は、バッカル投与に適した製剤で、調製、包装、及び/又は販売されてもよい。このような製剤は、例えば、従来法を使用して製造された錠剤及び/又はロゼンジの形態であってもよく、例えば、0.1%~20%(w/w)の活性成分を有してもよく、残りは、経口溶解性及び/又は分解性組成物、そして任意選択的、本明細書に記載の1つ又は複数の追加的成分を含む。交互に(Alternately)、バッカル投与に適した製剤は、活性成分を含む粉末及び/又はエアロゾル化及び/又は噴霧化された溶液及び/又は懸濁液を含んでなってもよい。このような粉末状のエアロゾル化された、及び/又はエアロゾル化された製剤は、分散すると、約0.1nm~約200nmの範囲の平均粒子及び/又は液滴サイズを有してもよく、本明細書に記載の任意の追加的な成分の1つ又は複数をさらに含んでなってもよい。
眼又は耳への投与
医薬組成物は、眼又は耳投与に適した製剤で、調製、包装、及び/又は販売されてもよい。このような製剤は、例えば、水性又は油性液体賦形剤中に0.1~1.0%(w/w)の活性成分の溶液及び/又は懸濁液を含む、点眼薬又は点耳薬の形態であってもよい。このような滴剤は、緩衝剤、塩、及び/又は本明細書に記載の1つ又は複数の任意の追加的成分をさらに含んでなってもよい。有用なその他の眼に投与可能な製剤としては、微結晶形態の及び/又はリポソーム性調製物中の活性成分を含むものが挙げられる。網膜下挿入物もまた、投与形態として使用されてもよい。
ペイロード投与
本明細書に記載される本発明の化合物又は組成物は、例えば、標的を検出するための検出可能な物質の送達又は治療薬若しくは診断薬の送達など、その中で生物学的標的への物質の送達(「ペイロード」)が望ましいいくつかの異なるシナリオで使用されてもよい。検出方法には、例えば、免疫組織化学検査、生物発光画像法(BLI)、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)、電子顕微鏡検査、X線コンピュータ断層撮影、ラマン画像法、光干渉断層撮影、吸収画像法、赤外線画像、蛍光反射画像法、蛍光顕微鏡検査、蛍光分子断層撮影、核磁気共鳴画像法、X線画像法、超音波画像法、光音響画像法、ラボアッセイ、又は標識付け/染色/画像法が必要なあらゆる状況などの、生体外及び生体内画像検査法の双方の画像法が含まれ得るが、これに限定されるものではない。
本開示の化合物又は組成物は、任意の有用な配向でリンカー及びペイロードの双方を含むように設計され得る。例えば、2つの末端を有するリンカーを使用して、一端をペイロードに付着させ、他端を本開示の化合物又は組成物に付着させる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、2つ以上のペイロード並びに切断可能リンカーを含み得る。別の例では、リンカーを介して本開示の化合物又は組成物に付着されてもよく、蛍光標識されてもよい薬物を使用して、薬物が、例えば細胞内などの生体内で追跡され得る。
その他の例としては、細胞への可逆的薬物送達における、本開示の化合物又は組成物の使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本開示の化合物又は組成物は、例えば検出可能薬又は治療薬などの特定細胞小器官へのペイロードの細胞内標的化に使用され得る。さらに、本開示の化合物又は組成物を使用して、例えば生きている動物の細胞又は組織に治療薬が送達されてもよい。例えば、本明細書に記載の化合物又は組成物を使用して、化学療法剤を送達してがん細胞を死滅させてもよい。リンカーを介して治療薬に付着した本明細書に記載の化合物又は組成物は、膜透過を促進し得て、治療薬が細胞内に移動し細胞内標的に到達できるようにする。
いくつかの実施形態では、ペイロードは、細胞毒、放射性イオン、化学療法薬、又はその他の治療薬などの治療薬であってもよい。細胞毒又は細胞傷害性薬としては、細胞に有害であってもよいあらゆる薬剤が挙げられる。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン(dihydroxyanthracinedione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、そして例えばメイタンシノール(その全体が本明細書に援用される、米国特許第5,208,020号明細書を参照されたい)などのメイタンシノイド、ラケルマイシン(CC-1065、全て参照により本明細書に援用される、米国特許第5,475,092号明細書、米国特許第5,585,499号明細書、及び米国特許第5,846,545号明細書を参照されたい)、及びそれらの類似体又はホモログが挙げられるが、これに限定されるものではない。放射性イオンとしては、ヨウ素(例えば、ヨウ素125又はヨウ素131)、ストロンチウム89、亜リン酸、パラジウム、セシウム、イリジウム、リン酸塩、コバルト、イットリウム90、サマリウム153、及びプラセオジムが挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の治療剤としては、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパクロランブシル、ラケルマイシン(CC-1065)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(元ダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧称アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、及び糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、及びメイタンシノイド)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、ペイロードは、種々の有機小分子、無機化合物、ナノ粒子、酵素又は酵素基質、蛍光物質、発光物質(例えば、ルミノール)、生物発光物質(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリン)、化学発光物質、放射性物質(例えば、18F、67Ga、81mKr、82Rb、111In、123I、133Xe、201Tl、125I、35S、14C、3H、又は99mTc(例えば、過テクネチウム酸塩(テクネチウム酸塩(VII)、TcO4
-)として)、及び造影剤(例えば、金(例えば、金ナノ粒子)、ガドリニウム(例えば、キレート化Gd)、酸化鉄(例えば、超常磁性酸化鉄(SPIO)、単結晶酸化鉄ナノ粒子(MION)、及び超小型超常磁性酸化鉄(USPIO))、マンガンキレート(例えば、Mn-DPDP)、硫酸バリウム、ヨウ化造影剤(イオヘキソール)、マイクロバブル、又はパーフルオロカーボン)などの検出可能薬剤であってもよい。このような光学的に検出可能な標識としては、例えば、制限なしに、4-アセタミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジン及び誘導体(例えば、アクリジン及びイソチオシアン酸アクリジン);5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5-ジスルホネート;N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;ボディピー(BODIPY);ブリリアントイエロー;クマリン及び誘導体(例えば、クマリン、7-アミノ-4-チルクマリン(AMC、クマリン120)、及び7-アミノ-4-トリフルオロチルクマリン(クマリン151));シアニン染料;シアノシン;4’,6-ジアミジノ(diaminidino)-2-フェニルインドール(DAPI);5’5”-ジブロモピロガロール-スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-チルクマリン;ジエチレントリアミン五酢酸;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸;4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]-ナフタレン-1-塩化スルホニル(DNS、塩化ダンシル);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC);エオシン及び誘導体(例えば、エオシン及びエオジンイソチオシアネート);エリスロシン及び誘導体(例えば、エリスロシンB及びエリスロシンイソチオシアネート);エチジウム;フルオレセイン及び誘導体(例えば、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、X-ローダミン-5-(及び-6)-イソチオシアネート(QFITC又はXRITC)、及びフルオレスカミン);2-[2-[3-[[1,3-ジヒドロ-1,1-ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-2H-ベンズ[エ]インドール-2-イルイデン]エチリデン]-2-[4-(エトキシカルボニル)-1-ピペラジニル]-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-1,1-ジメチル-3-(3-スルホプロピル(sulforpropyl))-1H-ベンズ[エ]インドリウム水酸化物、分子内塩、n,n-ジエチルエタンアミン(1:1)(IR144)との化合物;5-クロロ-2-[2-[3-[(5-クロロ-3-エチル-2(3H)-ベンゾチアゾール-イルイデン)エチリデン]-2-(ジフェニルアミノ)-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-3-エチルベンゾチアゾリウムパークロレート(IR140);マラカイトグリーンイソチオシアン酸塩;4-メチルウンベリフェロンオルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン;o-フタルジアルデヒド;ピレン及び誘導体(例えば、ピレン、酪酸ピレン、及びスクシンイミジル1-ピレン);酪酸塩量子ドット;リアクティブレッド4(シバクロン(CIBACRON)(商標)ブリリアントレッド3B-A);ローダミン及び誘導体(例えば、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンB塩化スルホニルローダミン(rhodarnine)(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101(テキサスレッド)の塩化スルホニル誘導体、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)テトラメチルローダミン、及びテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC));リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート化誘導体;シアニン-3(Cy3);シアニン-5(Cy5);シアニン-5.5(Cy5.5)、シアニン-7(Cy7);IRD700;IRD800;アレクサ(Alexa)647;ラ・ホヤ・ブルー(La Jolta Blue);フタロシシアニン;及びナフタロシアニンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、検出可能薬剤は、活性化時に検出可能になる検出不能前駆体(例えば、蛍光発生テトラジン-フルオロフォアコンストラクト(例えば、テトラジン-ボディピー(BODIPY)FL、テトラジン-オレゴングリーン488、又はテトラジン-ボディピー(BODIPY)TMR-X)、又は酵素活性化可能な蛍光発生剤(例えば、プロセンス(PROSENSE)(登録商標)(ビスエン・メディカル(VisEn Medical)))であってもよい。酵素標識された組成物が使用され得る生体外アッセイとしては、酵素結合免疫吸着アッセイ(エライザ(ELISA))、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光アッセイ、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、及びウエスタンブロット分析が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用量
本開示の化合物又は組成物は、薬物送達の科学における有望な進歩を勘案した適切な経路により、治療、医薬、診断又は画像法のいずれかのために送達されてもよい。送達は、裸でも又は配合中でもよい。
裸の送達
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、細胞、組織、器官又は生物に裸の形態で送達されてもよい。本明細書用法では、「裸の」という用語は、形質移入又は透過性を促進する薬剤又は修飾を含まない送達を指す。本開示の化合物又は組成物は、当該技術分野で公知の及び本明細書に記載される投与経路を使用して、細胞、組織、器官及び/又は生物に送達されてもよい。裸の送達には、生理食塩水又はPBSなどの単純な緩衝液中の製剤が含まれてもよい。
製剤化された送達
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、本明細書に記載の方法を使用して製剤化されてもよい。製剤は、修飾及び/又は非修飾であってもよい、本開示の化合物又は組成物を含んでもよい。製剤は、これに限定されるものではないが、細胞浸透剤、薬学的に許容される担体、送達剤、生体内分解性又は生体適合性ポリマー、溶剤、及び徐放性送達デポー剤をさらに含んでもよい。本開示の化合物又は組成物は、当該技術分野で公知の及び本明細書に記載される投与経路を使用して、細胞に送達されてもよい。
化合物又は組成物は、直接浸漬又は湯浴、カテーテルを経由して、ゲル、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、及び/又は滴剤によって、化合物又は組成物で被覆又は含浸された布帛又は生分解性物質などの基材を使用することによってなどであるが、これに限定されるものではない、当該技術分野のいくつかの方法のいずれかで、臓器又は組織に直接送達するために製剤化されてもよい。
投薬
本発明は、本発明による本発明の化合物又は組成物の1つ又は複数を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。抗体をコードする核酸、タンパク質、又は本開示の化合物又は組成物を含む複合体、又は医薬、画像法、診断、又は予防的な化合物又はその組成物は、疾患、障害、及び/又は病状の予防、治療、診断、又は画像法に有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して、対象に投与されてもよい。必要な正確な量は、対象の生物種、年齢、及び全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活動様式などに応じて、対象毎に変動するであろう。本発明による化合物又は組成物は、典型的には、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投与単位形態で製剤化される。しかし、本発明の化合物又は組成物の1日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されることが理解されるであろう。特定の対象に対する特定の治療的に有効である、予防的に有効である、又は画像法に適する、投与レベルは、治療される障害及び障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別、及び食生活;投与時間、投与経路、及び用いられる特定の化合物の排泄速度;治療の持続時間;用いられる特定の化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物;及び医学分野で周知の同様の要因をはじめとする、様々な要因に依存する。
特定の実施形態では、本発明による化合物又は組成物は、1日1回又は複数回、対象の体重1日当たり、約0.0001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約20mg/kg、0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約2.5mg/kg~約5.0mg/kg、又は約1mg/kg~約25mg/kgを送達して、所望の治療、診断、予防、又は画像法効果を得るのに十分な用量レベルで投与されてもよい。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日毎、毎週、2週間毎、3週間毎、又は4週間毎に送達されてもよい。特定の実施形態では、所望の投与量は、複数回の投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回、又はそれ以上の投与)を使用して送達されてもよい。
本発明によれば、本開示の化合物又は組成物は、分割用量レジメンで投与され得る。本明細書の用法では、「分割用量」は、例えば、単回単位用量の2回以上の投与などの、単回単位用量又は総1日用量を2回以上の用量に分割することである。本明細書の用法では、「単回単位用量」は、1用量/1回/1経路/単一接触点、すなわち、単回投与事象において投与される任意の治療薬の用量である。本明細書で使用される「総1日用量」は、24時間の間に与えられ又は処方される量である。それは、単回単位用量として投与されてもよい。一実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、分割用量で対象に投与される。本開示の化合物又は組成物は、緩衝剤のみで製剤化されても、又は本明細書に記載の製剤に製剤化されてもよい。本明細書に記載の本発明の医薬組成物は、局所、鼻腔内、気管内、又は注射可能(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、心臓内、腹腔内又は皮下)などの本明細書に記載の剤形に製剤化されてもよい。医薬品の調製及び/又は製造における一般的な考察事項は、例えば、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット、ウィリアムズ&ウィルキンズ(Lippincott,Williams & Wilkins)、2005年(参照により本明細書に援用される)に見いだされる。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物の用量は、バイスタンダー効果を低減するために調節されてもよい。本明細書の用法では、「バイスタンダー効果」は、非標的細胞に対する、又は標的細胞に隣接する細胞(本明細書ではバイスタンダー細胞とも呼ばれる)対する、負の効果を指す。このような方法によれば、バイスタンダー効果を低減するために、用量又はコンジュゲートの種類が調節調されてもよい。このような調節は、95%を超える、90%を超える、85%を超える、80%を超える、75%を超える、70%を超える、65%を超える、60%を超える、55%を超える、50%を超える、45%を超える、40%を超える、35%を超える、30%を超える、又は25%を超えるバイスタンダー細胞が生存したままである治療をもたらしてもよい。
コーティング又はシェル
錠剤、糖衣丸、カプセル、丸薬、及び顆粒の固体剤形は、腸内コーティング及び製剤処方技術分野で周知のその他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製され得る。それらは任意選択的に不透明剤を含んでなってもよく、それらは腸管の特定部分のみで又は優先的に、活性成分を任意選択的に遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質、及びワックスが挙げられる。類似タイプの固体組成物が、乳糖又は乳糖類、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられてもよい。
組み合わせ
いくつかの実施形態では、本開示の化合物又は組成物は、1つ又は複数のその他の治療薬、予防薬、診断薬、又は造影剤と組み合わせて使用されてもよい。「と組み合わせて」によって、薬剤を同時に投与すべき、及び/又は一緒に送達するために製剤化すべきであることの暗示は意図されないが、これらの送達方法は本開示の範囲内である。化合物又は組成物は、1つ又は複数のその他の所望の治療又的は医学的手順と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。一般に、各薬剤は、その薬剤に対して決定された用量及び/又は時間スケジュールで投与される。いくつかの実施形態では、本開示は、生物学的利用能を改善し、代謝を低減及び/又は変更し、排泄を阻害し、及び/又は体内分布を変更してもよい、薬剤と組み合わされた、医薬、予防、診断、及び/又は画像法組成物の送達を包含する。
測定
生物学的利用能
本発明の化合物及び組成物は、本明細書に記載の送達/製剤化剤又はビヒクルと共に組成物に製剤化されると、本明細書に記載の送達剤を欠く組成物と比較して、生物学的利用能の増加を呈し得る。本明細書の用法では、「生物学的利用能」という用語は、哺乳類に投与された本発明の化合物及び組成物の所与の量の全身的利用可能性を指す。生物学的利用能は、哺乳類への化合物の投与に続く化合物の無変化形態の曲線下面積(AUC)又は最大血清又は血漿濃度(Cmax)を測定することによって、評価され得る。AUCは、横座標(X軸)に沿った時間に対して、縦座標(Y軸)に沿った化合物の血清又は血漿濃度をプロットする、曲線下面積の判定である。一般に、特定の化合物のAUCは、当業者に知られており、本明細書に参照により援用される、G.S.バンカー(G.S.Banker)、「現代薬剤学、薬剤、及び薬学(Modern Pharmaceutics、Drugs and the PharmaceuticalSciences)」、第72巻、マルセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、Inc.1996年に記載されるような方法を使用して、計算され得る。
Cmax値は、哺乳類への化合物の投与に続いて、哺乳類の血清又は血漿中で達成される化合物の最大濃度である。特定の化合物のCmax値は、当業者に知られている方法を用いて測定され得る。語句「生物学的利用能の増加」又は「薬物動態の改善」は、本明細書の用法では、哺乳類におけるAUC、Cmax、又はCminとして測定される本発明の化合物及び組成物の全身的利用可能性が、本明細書に記載の送達剤と同時投与された場合、そのような同時投与が行われない場合よりも大きいことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び組成物の生物学的利用能は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%増加し得る。
治療濃度域
本発明の化合物及び組成物は、本明細書に記載の送達剤と共に組成物に製剤化された場合、本明細書に記載の送達剤を欠く投与された化合物及び組成物の治療濃度域と比較して、投与された本発明の化合物及び組成物の治療濃度域の増加を呈し得る。本明細書の用法では、「治療濃度域」は、治療効果を引き出す可能性が高い、作用部位における治療活性物質の血漿濃度範囲又はレベル範囲を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の送達剤と同時投与された場合の本発明の化合物及び組成物の治療濃度域は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は約100%増加し得る。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、投与後、少なくとも2日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年にわたり対象サンプル中で検出可能である。
分布容積
本発明の化合物及び組成物は、本明細書に記載の送達剤と共に組成物に製剤化されると、本明細書に記載の送達剤を欠く組成物と比較して、例えば、減少又は標的化などの改善された分布容積(Vdist)を呈し得る。分布容積(Vdist)は、体内の薬物の量を血液又は血漿中の薬物の濃度に関連付ける。本明細書の用法では「分布容積」という用語は、血液又は血漿中と同一濃度で、体内の薬物の総量を含有するのに必要な液量を指し:Vdistは体内薬物量/血液又は血漿中の薬物濃度に等しい。例えば、10mgの用量及び10mg/Lの血漿濃度の場合、分布容積は1リットルになる。分布容積は、血管外組織に薬物が存在する程度を反映する。大量の分布容積は、血漿タンパク質結合と比較して、化合物が組織構成要素に結合する傾向を反映する。臨床状況では、Vdistを使用して、定常状態の濃度を達成する初回負荷量が判定され得る。いくつかの実施形態では、送達剤との同時投与を使用して、本開示の化合物及び/又は組成物の分布容積が調節されてもよい。例えば、分布容積は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、又は少なくとも約70%減少してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物及び組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされた、組成物及び/又は複合体を含む。医薬組成物は、例えば、治療的及び/又は予防的活性物質などの1つ又は複数の追加的活性物質を任意選択的に含んでなってもよい。医薬品の調製及び/又は製造における一般的な考察事項は、例えば、「レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、リッピンコット、ウィリアムズ&ウィルキンズ(Lippincott,Williams & Wilkins)、2005年に見いだされる(参照により本明細書に援用される)。
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者又は対象に投与される。本開示の目的で、「活性成分」という語句は、本明細書に記載されるように送達される、本発明の化合物及び組成物を一般に指す。
本明細書で提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物を対象とするが、このような組成物は、一般に、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳類などの任意のその他の動物投与に適することが当業者によって理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与に適したものにするための、ヒトへの投与に適した医薬組成物の改変は良く理解されており、通常の獣医薬理学者は、たとえあったとしても単に通常の実験で、そのような改変を設計及び/又は実施し得る。それに対する医薬組成物の投与が想定される対象としては、ヒト及び/又は他の霊長類;畜牛、豚、馬、羊、猫、犬、マウス、及び/又はラットなどの商業的価値を持つ哺乳類をはじめとする哺乳類;及び/又は家禽、鶏、鴨、ガチョウ、及び/又は七面鳥などの商業的価値を持つ鳥類をはじめとする鳥類が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の分野で既知の又は今後開発される任意の方法によって調製されてもよい。一般に、このような調製方法は、活性成分を賦形剤及び/又は1つ又は複数のその他の副成分と結合させ、次に、必要である及び/又は望ましい場合、望ましい単回又は複数回投与ユニットに、製品を分割、成形及び/又は包装するステップを含む。
本発明による医薬組成物は、単回単位用量として、及び/又は複数の単回単位用量として、バルクで調製、包装、及び/又は販売されてもよい。本明細書の用法では、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の個別の量である。活性成分の量は、一般に、対象に投与される活性成分の用量に等しく、及び/又は例えば、そのような投与量の半分又は3分の1などのそのような用量の便利な画分に等しい。
本発明による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容可能な賦形剤、及び/又は任意の追加的成分の相対量は、治療される対象のアイデンティティ、サイズ、及び/又は状態に応じて、さらには組成物がそれによって投与される経路に応じて、変動するであろう。例として、組成物は、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、又は少なくとも80%(w/w)などの0.1%~100%の活性成分を含んでなってもよい。一実施形態では、活性成分はがん細胞に対する抗体である。
診断及びモニタリング用途
いくつかの実施形態では、本開示は、対象サンプルを取得するステップと;対象サンプルをCD59捕捉抗体を有する基材に適用するステップと;アマドリ修飾GCD59検出抗体を適用するステップと;アマドリ修飾GCD59検出抗体を検出するステップとを含む、GCD59を検出する方法を提供する。対象サンプルには、細胞、組織、組織切片、そして例えば、尿、血液、汗、血清、血漿、及び唾液などの体液の1つ又は複数が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
いくつかの方法によれば、サンプルは前処理なしで使用される。場合によっては、サンプルは分析に先だって希釈されてもよい。このような希釈は、少なくとも10:1、少なくとも5:1、少なくとも2:1、少なくとも1:1、少なくとも1:10、少なくとも1:100、少なくとも1:1,000、少なくとも1:10,000、少なくとも1:100,000、少なくとも1:1,000,000、少なくとも1:109、少なくとも1:1012、又は少なくとも1:1015であってもよい。場合によっては、サンプルは約1:200~約1:300に希釈される。場合によっては、サンプルは、分析に先だって、還元剤、酸化剤、ジチオスレイトール(DTT)、及び/又はβ-メルカプトエタノール(BME)で処理される。
本明細書の用法では、「還元剤」という用語は、酸化還元反応に関与し又はその中で使用される、電子供与体化学物質又は化合物を指す。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)から選択される。還元剤によるサンプル前処理を実施して、例えば、還元K41によるGCD59の検出剤認識のために、糖化側鎖構造が修飾されてもよい。NaCNBH3処理は、シッフ塩基糖化K41をグルシトールリジンに還元する。NaBH4処理は、シッフ塩基糖化K41及びアマドリ修飾糖化K41の双方をグルシトールリジンに還元する。
還元剤は、単独で又は溶液中(本明細書では「還元剤溶液」と称される)で使用されてもよい。還元剤溶液には、様々な溶剤のいずれかが含まれてもよい。いくつかの実施形態では、還元剤溶液は水を含む。いくつかの実施形態では、還元剤溶液は有機溶剤を含む。有機溶剤は、炭素ベースの構成要素を含む溶剤である。いくつかの実施形態では、有機溶剤には、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジメトキシ-エタン、1-ブタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-アミノエタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、2-ペンタノール、2-ペンタノン、2-プロパノール、3-ペンタノール、3-ペンタノン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アセチルアセトン、アニリン、アニソール、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、二硫化炭素、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジエチルアミン、ジエチレングリコール、ジグリム、ジメトキシエタン(グリム)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルエーテル、N,N-ジメチル-ホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチル-アセトアミド、ジメチルフタル酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジ-n-フタル酸ブチル、ジオキサン、エタノール、エーテル、酢酸エチル、エチルアセト酢酸、安息香酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、2-エチルヘキサノール、ヘキサメチルホスホラミド、ヘキサメチル亜リン酸トリアミド(HMPT)、ヘキサン、i-ブタノール、メタノール、酢酸メチル、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N,N-ジメチルアニリン、ニトロメタン、N-メチル-2-ピロリジノン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、ピリジン、t-ブチルアルコール、テトラグリム、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、ニトロメタン、及びトリエチレングリコールジメチルエーテルが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、還元剤溶液は、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル及び/又はテトラグリム溶剤を含んでなってもよい。
有機溶媒を含む還元剤溶液には、NaBH4溶液が含まれてもよい。このような溶液には、市販の製剤(例えば、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)から)が含まれてもよく、又はそれから調製されてもよい。このような商業的調製物には、ビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5M;テトラグリムエーテル中の99%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;ビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99.5%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5M;テトラグリムエーテル中の99.5%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99.5%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;テトラグリムエーテル中の99.9%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99.9%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;ビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99.95%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5M;テトラグリムエーテル中の99.95%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99.95%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;ビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99.99%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5M;テトラグリムエーテル中の99.99%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99.99%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;ビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99.999%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5M;テトラグリムエーテル中の99.999%水素化ホウ素ナトリウム溶液3M;トリエチレングリコールジメチルエーテル中の99.999%水素化ホウ素ナトリウム溶液2.0M;及びビス(2-メトキシエチル)エーテル中の99.9%水素化ホウ素ナトリウム溶液0.5Mが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
還元剤溶液は、約0.1M~約10Mの還元剤濃度を含んでもよい。いくつかの実施形態では、使用に先だって希釈を必要とする還元剤溶液の貯蔵溶液が使用される。還元剤貯蔵溶液は、1Mを超える(例えば、約1.1~約1.5M、約1.2M~約2M、約1.7M~約3M、約2.5M~約4M、約3.5M~約5M、約4.5M~約8M、又は約6M~約10Mの)還元剤濃度を含んでもよい。還元剤貯蔵溶液は、サンプル処理に先だって、約0.5M~約1Mの還元剤濃度に希釈されてもよい。希釈は、水性及び/又は有機溶剤を使用して実行されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗アマドリ修飾GCD59検出抗体は、検出可能な標識を含んでもよい。このような検出可能な標識には、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、蛍光標識、酵素的標識、ルミネセンス標識、及び放射性標識が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの方法では、抗アマドリ修飾GCD59検出抗体は、二次抗体を使用して検出されてもよい。
いくつかの実施形態では、1M還元剤溶液は、約1:1(サンプル:還元剤溶液)~約1:1000の比率で対象サンプルと組み合わされてもよい。例えば、比率は、1:5、1:10、1:20、1:100又は1:500であってもよい。サンプルは、約20分~約2時間、約1時間~約4時間、約3時間~約24時間、約12時間~約3日、約2日~約5日間、又は少なくとも5日間、還元剤溶液と共にインキュベートして、サンプルの還元が起こるようにしてもよい。
本開示のいくつかの方法によれば、マイクロタイタープレートが使用される。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象の糖尿病をモニタリング、検出、及び/又はスクリーニングするために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、糖尿病対象におけるリスクを評価及び/又は層別化するために使用されてもよい。いくつかの方法は、糖尿病関連徴候のコンパニオン診断の一部として使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、薬剤開発のために使用されてもよい。このような実施形態は、糖尿病関連徴候の治療薬を試験及び/又は開発するステップを含んでもよい。場合によっては、本開示の方法を使用して、臨床試験が実施されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象の遠隔モニタリングを含む。このような方法は、本明細書で教示されるその他の方法の全部又は一部を組み込んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、少なくとも1つのN-グリコシル化の存在について、GCD59を評価する方法を含む。CD59は、補体活性化の一次制御因子であるN-グリコシル化膜GPIアンカータンパク質である。複数のグリコシル化酵素経路は、タンパク質上の成熟炭水化物ユニットの形成をもたらし、これらの修飾は、細胞及び/又は組織特異的であってもよい。CD59 N-グリコシル化のサンプルの評価を使用して、残基K41でのCD59糖化によって最も影響を受ける器官及び/又は組織が同定されてもよい。場合によっては、CD59は、残基N18上でN-グリコシル化されてもよい。いくつかの実施形態では、血漿、血清、及び/又は尿を評価して、糖化によって最も影響を受け、ひいては糖尿病の血管合併症に最も感受性の臓器/組織が同定されてもよい。例えば、前糖尿病患者又は糖尿病患者の血液及び尿サンプル中のGCD59の優勢な形態である腎臓特異的N-グリコシル化GCD59の検出は、糖尿病腎症の発症に対する患者の易罹患性を示してもよい。場合によっては、この検出は、そうでなければ現行の診断法では非検出のままである、実際の腎臓損傷の発生前に実行されてもよい。このような早期発見は、患者の自覚を高め、生活習慣の変更に対する必要性を示すために、使用されてもよい。場合によっては、早期発見は、早期の予防的治療介入を開始するように医師を誘導してもよい。
いくつかの実施形態では、本開示は、K41アマドリ修飾GCD59に結合できる抗体によってGCD59を単離するステップと、GCD59上に存在する少なくとも1つのN-グリコシル化(例えば、GCD59の残基N18上のN-グリコシル化)を検出するステップとを含む、GCD59を評価する方法を提供する。
本開示の方法は、(1)糖尿病の臓器特異的合併症の素因;(2)前臨床糖尿病性末梢神経障害;(3)前臨床糖尿病性腎障害;(4)前臨床糖尿病性網膜症;及び(5)前臨床糖尿病患者血管疾患の少なくとも1つを同定する方法を含んでもよい。このような方法は、(1)K41アマドリ修飾GCD59に特異的な抗体によってGCD59を単離するステップと、(2)GCD59上に存在する少なくとも1つのN-グリコシル化(例えば、GCD59の残基N18上のN-グリコシル化)を検出するステップとを含んでもよい。
GCD59 N-グリコシル化の検出は、当該技術分野で公知の任意の方法によって実行されてもよい。場合によっては、GCD59 N-グリコシル化は、免疫学的方法を使用して検出される。その他の実施形態では、GCD59 N-グリコシル化は、質量分析法を使用して検出されてもよい。
ポイントオブケア検査
開示されているキット及び方法(このような方法の全部又は一部を含む)は、ポイントオブケア使用のために体裁が整えられてもよい。いくつかの実施形態では、ポイントオブケア使用は、1つ又は複数の患者モニタリング装置の使用を含んでもよい。このような装置は、電子シグナルを受信及び/又は送信できる装置を含んでもよい。場合によっては、患者モニタリング装置は、スマート装置(例えば、スマートフォン又はスマートウォッチ)であってもよく、又はそれと併用されてもよい。
CD59糖化阻害
いくつかの実施形態では、本開示は、CD59糖化阻害剤と、このような阻害剤を開発する方法とを提供する。ヒトCD59は主要な補体調節因子であり、その正常な機能は、高血糖状態下で生じ得る糖化によって、低下し又は遮断されうる。hCD59は、残基K41及びH44を含む推定糖化モチーフを含有する。これらの残基は、タンパク質の活性部位の不可欠な部分であると考えられるW40の近くに収まる。K41の糖化には、グルコースとK41のεアミノ基との間の化学反応に酸塩基触媒作用を提供する、H44が必要である。K41におけるhCD59の糖化は、血管糖尿病をはじめとするが、これに限定されるものではない、糖尿病関連の合併症を発症するリスクを高め得る。
本開示の方法は、CD59糖化を阻害する方法を含んでもよい。いくつかのこのような方法によって、CD59を標的化してK41糖化を妨げる薬剤が投与されてもよい。このような薬剤は、例えば、ヒトCD59のH44を標的化してK41の糖化を妨げてもよい。いくつかの実施形態では、抗アマドリ修飾GCD59抗体をスクリーニング手順で使用して、CD59を標的化してK41糖化を妨げる薬剤が同定されてもよい。
本開示の方法は、hCD59 K41糖化の阻害剤を開発する方法を含んでもよい。このような方法は、本明細書に記載の抗K41アマドリ修飾hCD59抗体のいずれかをはじめとするが、これに限定されるものではない、K41糖化CD59に結合できる1つ又は複数の抗体の使用を含んでもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、(1)K41糖化に適した条件でhCD59(精製又は組換え)を含むサンプルを少なくとも1つの試験化合物に接触させるステップと、(2)GCD59検出抗体を使用して、サンプル中のK41糖化hCD59のレベルを評価するステップとを含む。評価は、本明細書に記載される方法、又はそれぞれその内容全体が参照により援用される、米国特許第6,835,545号明細書;米国特許第7,049,082号明細書;米国特許第7,439,330号明細書;米国特許第9,068,006号明細書;米国特許第9,417,248号明細書;及び米国特許出願公開第2016/0299150号明細書のいずれかで以前に記載された方法のいずれかに従って実行されてもよい。このような方法には、GCD59サロゲート化合物をはじめとするが、これに限定されるものではない、標準薬剤の使用が含まれてもよい。試験化合物がhCD59 K41糖化を阻害できる場合、検出されるGCD59のレベルは低下するであろう。試験化合物には、小型分子、ペプチド、合成コンストラクト、融合タンパク質、アプタマー、核酸、及び抗体が含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
III.キット
いくつかの実施形態では、本開示は、対象サンプル中のGCD59の濃度を判定するためのキットを提供する。このようなキットは、(1)捕捉抗体、(2)検出抗体、及び(3)使用説明書の1つ又は複数を含んでもよい。いくつかのキットは、標準曲線を作成するための化合物を含む。このような化合物には、標準薬剤(例えば、サロゲート化合物)が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、サロゲート化合物には、それぞれその内容全体が参照により援用される、米国特許第9,417,248号明細書(例えば、その中の図27で提示されるサロゲート化合物)又は米国特許出願公開第2016/0299150号明細書で開示されるもののいずれかが含まれてもよい。場合によっては、キットは、少なくとも1つの緩衝剤を含む。このような緩衝剤を使用して、対象サンプルに接触させてもよい。緩衝剤には、還元剤、酸化剤、ジチオスレイトール(DTT)、及び/又はβ-メルカプトエタノール(BME)が含まれてもよい。還元剤は、還元剤溶液の一部として提供されてもよい。還元剤溶液は、水及び/又は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、ビス(2-メトキシエチル)エーテルを含んでもよい。
本開示のキットは、GCD59レベルの存在、レベル、及び/又は変化を検出するために使用されてもよい。このようなキットは1つ又は複数の捕捉抗体を含み、CD59及び/又はGCD59が捕捉されてもよい。捕捉抗体には、本明細書に記載の抗体のいずれか(例えば、配列番号9及び10によってコードされる抗体H9)が含まれてもよい。追加的なキットは1つ又は複数の検出抗体を含んで、GCD59及び/又はCD59が検出されてもよい。検出抗体には、本明細書に記載の任意の抗体(例えば、D2では配列番号6及び7によってコードされ、又はD3では配列番号6及び8によってコードされる、抗体D2又はD3)が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、CD59及び/又はGCD59を捕捉又は検出するための当技術分野で公知のその他の抗体を含んでもよい。このような抗体には、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書のいずれかに記載され及び/又は特許請求されるものが含まれてもよい。
本開示のキットは、1つ又は複数の内部対照を含んでもよい。このような内部対照には、血漿アッセイ対照が、及び/又は任意のその他の体液をベースとする対照が、含まれてもよい。いくつかのキットは、アッセイ希釈剤、コンジュゲート希釈剤、及び洗浄緩衝液の1つ又は複数を含む。キット試薬は、凍結乾燥されていてもよい。
いくつかの実施形態では、キットを使用して、グリコシル化タンパク質エピトープの存在、非存在、又は分量が判定されてもよい。このようなグリコシル化タンパク質エピトープには、グリコシル化CD59エピトープが含まれてもよい。場合によっては、N-グリコシル化CD59及び/又はGCD59が検出されてもよい。このようなキットを使用して、例えば、細胞及び/又は組織特異的N-グリコシル化エピトープが検出されてもよい。
キットは、それぞれその内容全体が参照により援用される、欧州特許第2348050号明細書、国際公開第2015084994号パンフレット、及び米国特許第9068006号明細書、米国特許第9417248号明細書のいずれかに記載され及び/又は特許請求されるものを含んでもよい。このようなキットは、このようなキットに記載される抗体の1つ又は複数の代替として、本明細書に記載される1つ又は複数の抗体を有してもよい。場合によっては、このようなキットは、その中に記載される検出抗体の代わりに、本明細書に記載される抗アマドリ修飾GCD59抗体を含んでもよい。これらのキットは、還元剤なしで組み立てられ、サンプル還元ステップを実行する必要なしに、サンプル中のGCD59の検出及び/又は定量のために使用できる。
IV.装置
開示されているキット及び方法(このような方法の全部又は一部を含む)は、装置と共に使用するために体裁が整えられていてもよい。いくつかの実施形態では、装置には、ウェアラブル装置が含まれてもよい。このような装置は、例えば、腕時計の形態であっても及び/又はリストバンドを含んでもよい。
本明細書に記載の化合物、組成物、方法、キット、及び試薬は、いくつかの実施形態では、その内容全体が参照により援用される、国際公開第2015084994号パンフレットに記載されているものと共に使用されてもよく、又はそれらを改善してもよい。
V.定義
本明細書の用法では、「受信者動作特性曲線」又は「ROC曲線」という用語は、その識別カットオフ(閾値)が変動するときに、バイナリ分類指標システムの性能を描写する図形プロットを作成する、統計的ツールを指す。ROC曲線は、診断試験評価のツールの役割を果たしてもよく、医療診断試験が患者の2つの状態をどの程度正確に識別できるかを定量化するために使用できる。一例では、ROC曲線を使用して、分析における感度と特異性の間のトレードオフが実証されてもよい。なじみ深い統計的手法を用いたROC曲線の分析は、バイオマーカのレベルに最適な診断カットオフを同定するために使用されてもよい。次に、最適な診断カットオフ値を使用して、医学的判断が下されてもよい。
本明細書の用法では、「閾値」という用語は、結果を生成するために使用される作用因子を特徴付けるために、連続的な結果をカテゴリー(例えば、正及び負)に分割するため、1つ又は複数のこのようなカテゴリーへの作用因子の位置付け配置を決定するため、又は1つ又は複数のこのような対象に関連付けられた対応する値(連続的な結果の範囲に入る)に基づいて、対象をカテゴリーに分離するために使用される値を指す。いくつかの実施形態では、閾値は、閾値を上回る、下回る、又はそれに等しいバイオマーカ又はその他の指標レベルを有する1人又は複数人の対象を分類するために使用される、バイオマーカ又はその他の指標のレベルであってもよい。例えば、閾値は、対象を疾患カテゴリーに分けるために使用される、対象に又は対象サンプルに存在する因子の濃度であり得る。閾値が対象のGCD59レベルである場合、閾値を使用して、対象のGCD59レベルがそれぞれ閾値を上回るか下回るかに基づいて、対象が糖尿病又は非糖尿病のカテゴリーに割り当てられてもよい。場合によっては、閾値を使用して、1人又は複数人の患者に関連付けられた値が閾値を上回る、下回る、又はそれに等しいかどうかに基づいて医学的判断が下されてもよい。いくつかの実施形態では、連続的な実数値をもたらすバイオマーカの診断閾値(「カットオフポイント」と称される)を使用して、テスト陽性及びテスト陰性が描写されてもよい。例えば、血漿サンプルのトレーニングセットを使用して、異なる可能なカットオフポイントの偽陽性率に対する真陽性率のプロットである、受信者動作特性(ROC)曲線が作成されてもよい。ROC曲線の分析は、当業者に知られているなじみ深い統計的方法を用いて、バイオマーカの最適な診断カットオフの同定をもたらしてもよい。最適な診断カットオフ値は、医学的判断に到達するのに使用されてもよい。
VI.等価物及び範囲
当業者は、単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載される本発明による特定の実施形態の多くの同等物を認識し、又は見極めることができるであろう。本発明の範囲は、上の説明に限定されることは意図されず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される。
別段の指示があり又はさもなければ文脈から明白な場合を除いて、特許請求の範囲では、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの冠詞は、1つ又は2つ以上を意味してもよい。グループの1つ又は複数の構成要素間に「又は」を含む特許請求の範囲又は説明は、別段の指示があり又はさもなければ文脈から明白な場合を除いて、1つ、2つ以上、又は全てのグループ構成要素が存在し、用いられ、又はさもなければ所与の生成物又は方法に関連する場合に、満たされると見なされる。本発明は、その中でグループの正確に1つの構成要素が、存在し、用いられ、又はさもなければ所与の生成物又は方法に関連する、実施形態を含む。本発明は、その中で2つ以上の、又は全てのグループ構成要素が、存在し、用いられ、又はさもなければ所与の生成物又は方法に関連する実施形態を含む。
「含む」という用語は開放型を意図しており、追加の要素又はステップを許可するが、それらの包含を必要としないことにもまた留意されたい。「を含む」という用語が本明細書で使用される場合、「からなる」という用語もしたがって包含され、開示される。
範囲が示される場合、両端が包含される。さらに、特に断りのない限り、又はさもなければ文脈及び当業者の理解から明白な場合を除いて、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態で、文脈上例外が明記されていない限り、範囲下限の単位の10分の1まで、任意の特定値又は記述される範囲内の部分的範囲を取り得るものと理解される。
さらに、先行技術内に入る本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つ又は複数から明示的に除外されてもよいと理解される。このような実施形態は、当業者に知られていると見なされるので、たとえ除外が本明細書で明示的に記載されていない場合でさえ、それらは除外されてもよい。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、それによってコードされる任意の核酸又はタンパク質;任意の生成方法;任意の使用方法など)は、理由の如何を問わず、先行技術の存在に関連するか否かを問わず、あらゆる1つ又は複数の請求項から除外され得る。
引用中に明示的に記述されなくても、例えば、参考文献、出版物、データベース、データベース入力項目、及び参照により本出願に援用される技術などの引用された全ての情報源は、参照により本出願に援用される。引用された情報源と本出願の記述が矛盾する場合、本出願の記述が効力を持つものとする。セクション及び表の見出しは、限定的であることを意図しない。
(実施例)
実施例1.抗体の調製及び配列決定
CD59及びK41アマドリ修飾GCD59に対する抗体は、それぞれCD59断片を使用して生成した。抗K41アマドリ修飾GCD59抗体調製物のために、アマドリ修飾K41を有するCD59断片を使用した。抗体は、マウスの免疫化、及び高い親和性及び特異性を備えた抗体の成功裏の発現を示す動物からのハイブリドーマ細胞の開発によって調製した。糖化及び非糖化CD59の双方に結合する捕捉抗体として、クローンH9を開発した。K41アマドリ修飾GCD59に結合する検出抗体として、クローンD2及びD3を開発した。抗体を配列決定して分析し、抗体領域を同定した。得られた配列は、表1~7に提供される。抗体D2及びD3は、同一のアミノ酸配列がある重鎖及び軽鎖を有することが判明したが、重鎖ヌクレオチド配列はヌクレオチドが1つ異なる。
実施例2.尿サンプルにおけるGCD59検出
上述したアマドリ修飾GCD59に特有の検出抗体D2を使用して、尿サンプル中のGCD59検出を実行した。アッセイプレートを最初に、CD59捕捉抗体H9で被覆した。1人は高レベルのHbA1C(HbA1C-H)を有することが知られており、もう1人は低レベルのHbA1C(HbAC1-L)を有することが知られている2人の対象から、尿サンプルを取得した。高レベルのHbA1Cは、血中グルコースの上昇の既知の指標である。最初にβ-メルカプトエタノール(BME)を5%の最終濃度に添加することで、サンプルを調製した。次に、サンプルを100℃で5分間煮沸し、遠心分離してあらゆる残骸をペレット化した。次に、アッセイのために上清を単離した。米国特許第9,417,248号明細書の図27に示されているようなサロゲート化合物標準を使用して、検量線を作成するための希釈系列を調製した。アマドリ修飾GCD59サロゲートには、フレキシブルリンカーで連鎖された捕捉及び検出ペプチドをはじめとする合成化合物が含まれた。
標準サンプル、尿サンプル、並びに対照サンプル[血清希釈緩衝液(50mM酢酸/酢酸Na;2%ノニデット(NonIdet)P40代替品;0.15%ツイーン20;0.1%トリトンX-100;50ppmのプロクリン(ProClin)300)単独]を三連でアッセイプレートに添加した。血清希釈緩衝液を使用して尿サンプルをさらに希釈し、血清希釈緩衝液中の6%v/v尿サンプルから0.2%尿サンプルまでの一連の状態を作成した。アッセイプレートを室温で1時間振盪機に載せた。次に、100μlの抗体D2溶液[10%無タンパク質ブロック緩衝液添加リン酸緩衝食塩水(PBS)中の1.25μg/ml(サーモフィッシャー(Thermo-Fisher)、ウォルサム、マサチューセッツ州)]の添加前に、プレートを洗浄緩衝液[0.05%ツイーン(登録商標)20添加PBS]で洗浄した。次に、プレートを振盪しながら室温で2時間インキュベートした。
2時間後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされた100μlの二次抗体と共にインキュベートし、TMB基質試薬A及びBの存在下で振盪しながら室温で1時間インキュベートした。プレートをH2SO4溶液処理によってクエンチし、比色分析最終生成物を生成した。次に、ウェルを分光光度法で検査して、450nmで光学濃度値を得た。
サロゲート化合物標準を使用して、ウェルに基づいて検量線(図1A)を作成した。尿サンプルの結果を検量線に基づいて標準タンパク質単位(SPU)に変換し、各サンプルの百分率尿値に対してプロットした(図1B)。HbAC1-Hサンプルから得られた値は、高濃度サンプル中で約2.5SPUの濃度依存性抗体D2結合を示した。HbAC1-Lのサンプル値は低く、抗体D2の結合が極微量又は皆無であることが示唆された。これらの結果は、H9がCD59を捕捉して、D2が液状サンプル中のアマドリ修飾GCD59を濃度依存様式で検出する能力を実証する。
実施例3.ウエスタンブロットによるGCD59検出
糖尿病遺伝子組換えマウス由来の細胞溶解物中で、抗アマドリ修飾hGCD59 mAb D2及びD3の糖化hCD59に対する特異性を試験した。1用量のストレプトゾトシン(STZ)を投与することによって、hCD59遺伝子組換えマウスに糖尿病を誘発し、2週間後に血中グルコースを測定した。血糖レベルが200mg/dLを超える場合に、マウスは糖尿病と見なされた。糖尿病の遺伝子組換えマウス(D)及び対照の非糖尿病マウス(ND)からRBCを取得し、溶解してタンパク質を抽出した。SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を使用してタンパク質サンプルを分離し、抗アマドリ修飾hGCD59抗体(D2)及び抗hCD59抗体を用いて免疫ブロット法を実施した(図2)。糖尿病における糖化CD59の上昇と一致して、抗アマドリ修飾hGCD59抗体は、糖尿病マウスでは強いバンドを示し、対照の非糖尿病マウスではかすかなバンドのみを示した。糖尿病マウス及び対照の非糖尿病マウスはどちらも同様のレベルのhCD59を示し、抗アマドリ修飾hGCD59抗体の特異性が実証された。
実施例4.エライザ(ELISA)キット
糖化CD59(GCD59)ペプチドハイブリッドサロゲートと比較してGCD59を特異的に定量化する、サンドイッチ型エライザ(ELISA)アッセイを調製する。試験サンプル中のCD59を捕捉する捕捉抗体として、抗体H9を使用する。検出抗体は、CD59のK41と同等の位置にグルシトールリジン残基を含有する、ペプチド抗原を使用して開発される。この理由から、これらのアッセイは還元型のGCD59を検出する。これらの抗グルシトールリジンGCD59 エライザ(ELISA)キットアッセイには、糖化形態のGCD59を還元糖化形態のGCD59に変換するための還元剤としてNaBH4を利用する、サンプル調製ステップもまた含まれる。キットには、このステップを実行するための有機溶媒中の還元剤溶液が含まれる。
サンドイッチ型アマドリ修飾GCD59 エライザ(ELISA)アッセイは、非還元アマドリ修飾型GCD59に対する抗体特異性を検出するので、NaBH4還元によるサンプル調製を必要としない。しかし、DTTによるサンプル処理は、抗体親和性を改善しうる。
実施例5.ポイントオブケア検査
開示されているキット及び方法は、ポイントオブケア検査で使用するために体裁が整えられている。これには、患者モニタリング装置と、スマート装置(例えば、スマートフォンなど)との併用され得る装置とで使用するための体裁が含まれる。
実施例6.ウェアラブル装置
開示されたキット及び方法は、手首、指、首又は四肢の周囲に着用されてもよい、時計又はその他のバンドの形態のウェアラブル装置で使用するために整形される。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項1]
配列番号38~43からなる群から選択されるアミノ配列と少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する相補性決定領域(CDR)を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗体。
[項2]
前記CDRが、配列番号42及び43からなる群から選択されるCDR-H3である、項1に記載の抗体。
[項3]
前記VHが、
i.配列番号38及び39からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性があるアミノ酸配列を有する、CDR-H1;
ii.配列番号40及び41からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性があるアミノ酸配列を有する、CDR-H2;及び
iii.配列番号42及び43からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性があるアミノ酸配列を有する、CDR-H3を含む、項2に記載の抗体。
[項4]
配列番号33~37からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するCDRを有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
[項5]
前記VLが、配列番号36及び37からなる群から選択されるCDR-L3を含む、項4に記載の抗体。
[項6]
前記VLが、
i.配列番号33及び34からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性があるアミノ酸配列を有する、CDR-L1;
ii.配列番号35の配列と少なくとも30%の配列同一性があるアミノ酸配列を有するCDR-L2;及び
iii.配列番号36及び37からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性があるアミノ酸配列を有する、CDR-L3を含む、項5に記載の抗体。
[項7]
前記抗体がモノクローナル抗体である、項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
[項8]
前記抗体がヒト化抗体である、項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
[項9]
前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である、項7又は8に記載の抗体。
[項10]
配列番号29~32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する少なくとも1つの可変ドメインを有する、抗体。
[項11]
前記少なくとも1つの可変ドメインが、配列番号30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列があるVHを含む、項10に記載の抗体。
[項12]
前記少なくとも1つの可変ドメインが、配列番号29及び31からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列があるVLを含む、項11に記載の抗体。
[項13]
配列番号3及び5からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する翻訳されたアミノ酸配列がある、重鎖を有する、抗体。
[項14]
前記重鎖が、配列番号7、8、及び10からなる群から選択される核酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、項13に記載の抗体。
[項15]
配列番号2及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する翻訳されたアミノ酸配列を有する軽鎖を有する、抗体。
[項16]
前記軽鎖が、配列番号6及び9からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、項15に記載の抗体。
[項17]
i.配列番号3及び5からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性がある翻訳されたアミノ酸配列を有する重鎖;及び
ii.配列番号2及び4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性がある翻訳されたアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体。
[項18]
前記抗体がCD59に結合する、項1~17のいずれか一項に記載の抗体。
[項19]
前記抗体がCD59の非糖化エピトープに結合する、項18に記載の抗体。
[項20]
前記抗体が、リジン41(K41)を含まないCD59のエピトープに結合する、項18に記載の抗体。
[項21]
前記抗体が、糖化CD59(GCD59)の糖化エピトープに結合する、項1~17のいずれか一項に記載の抗体。
[項22]
前記GCD59の糖化エピトープが、アマドリ修飾K41を含む、項21に記載の抗体。
[項23]
前記抗体が、前記GCD59の糖化エピトープに、約1.0pM~約5.0×10
8
pMの平衡解離定数(KD)で結合する、項21又は22に記載の抗体。
[項24]
前記抗体が、前記GCD59の糖化エピトープに、約1.5pM~約150pMの平衡解離定数で結合する、項23に記載の抗体。
[項25]
前記GCD59の糖化エピトープが、表面付着形式及び溶液ベース形式の少なくとも1つから選択される形式で提示される、項21~24のいずれか一項に記載の抗体。
[項26]
前記溶液ベース形式が、尿、血漿、血清、血液、汗、及び唾液の少なくとも1つを含む溶液を含む、項25に記載の抗体。
[項27]
前記溶液が血清を含み、前記血清が約1:1~約1:100,000に希釈される、項26に記載の抗体。
[項28]
捕捉剤;及びキットの使用説明書を含む、キット。
[項29]
前記捕捉剤が捕捉抗体であり、前記捕捉抗体が項1~27のいずれか一項に記載の抗体を含む、項28に記載のキット。
[項30]
前記捕捉抗体がCD59に結合し、前記捕捉抗体が項19又は20に記載の抗体を含む、項29に記載のキット。
[項31]
検出剤を含み、前記検出剤がレクチン及び検出抗体から選択され、前記検出抗体が項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体を含む、項30に記載のキット。
[項32]
前記捕捉剤が捕捉抗体であり、前記捕捉抗体が項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体を含む、項28に記載のキット。
[項33]
検出剤を含み、前記検出剤がレクチン及び検出抗体から選択される、項32に記載のキット。
[項34]
検出抗体を含み、前記検出抗体がCD59に結合し、前記検出抗体が項19又は20に記載の抗体を含む、項33に記載のキット。
[項35]
前記検出剤が、GCD59のグリコシル化エピトープに結合する、項33に記載のキット。
[項36]
前記GCD59のグリコシル化エピトープが、GCD59のN-グリコシル化エピトープを含む、項35に記載のキット。
[項37]
検量線を生成するための化合物を含む、項28~36のいずれか一項に記載のキット。
[項38]
少なくとも1つの緩衝液を含む、項28~37のいずれか一項に記載のキット。
[項39]
前記少なくとも1つの緩衝液が、対象サンプルに接触させるために使用される緩衝液を含む、項38に記載のキット。
[項40]
対象サンプルに接触させるために使用される前記緩衝液が、還元剤、酸化剤、ジチオスレイトール(DTT)、及びβ-メルカプトエタノール(BME)の少なくとも1つを含む、項39に記載のキット。
[項41]
1つ又は複数の内部対照を含む、項28~40のいずれか一項に記載のキット。
[項42]
前記1つ又は複数の内部対照が、1つ又は複数の血漿アッセイ対照を含む、項41に記載のキット。
[項43]
アッセイ希釈剤、コンジュゲート希釈剤、及び洗浄緩衝液の1つ又は複数を含む、項28~42のいずれか一項に記載のキット。
[項44]
1つ又は複数の試薬が凍結乾燥されている、項28~43のいずれか一項に記載のキット。
[項45]
サンプル中の標的タンパク質を検出する方法であって、前記標的タンパク質がGCD59を含み、該方法が、
i.サンプルを入手するステップと;
ii.CD59のN-グリコシル化エピトープに結合する抗体、項19に記載の抗体、及び項20に記載の抗体の少なくとも1つから選択される捕捉抗体を含む基材に、前記サンプルを適用するステップと;
iii.前記基材に、GCD59の糖化又は非糖化エピトープを含む標的エピトープに結合する検出抗体を適用するステップと;
iv.前記検出抗体の存在について前記基材を分析するステップとを含む、方法。
[項46]
前記検出抗体が、項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体から選択される、項45に記載の方法。
[項47]
サンプル中の標的タンパク質を検出する方法であって、前記標的タンパク質がGCD59を含み、該方法が、
i.サンプルを入手するステップと;
ii.項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体から選択される捕捉抗体を含む基材に、前記サンプルを適用するステップと;
iii.GCD59の非糖化エピトープを含む標的エピトープに結合する検出抗体を適用するステップと;
iv.前記検出抗体の存在について前記基材を分析するステップとを含む、方法。
[項48]
前記検出抗体が、項19又は20に記載の抗体から選択される、項47に記載の方法。
[項49]
前記標的エピトープが、GCD59のグリコシル化エピトープを含む、項47に記載の方法。
[項50]
前記標的エピトープが、GCD59のN-グリコシル化エピトープを含む、項49に記載の方法。
[項51]
前記サンプルが対象サンプルである、項45~50のいずれか一項に記載の方法。
[項52]
前記対象サンプルが、尿、血液、血漿、血清、汗、及び唾液の少なくとも1つから選択される、項51に記載の方法。
[項53]
前記サンプルが、還元剤、酸化剤、ジチオスレイトール(DTT)、及びβ-メルカプトエタノール(BME)の少なくとも1つで処理される、項45~52のいずれか一項に記載の方法。
[項54]
前記サンプルが希釈されている、項45~53のいずれか一項に記載の方法。
[項55]
前記サンプルが約1:1~約1:1,000に希釈される、項54に記載の方法。
[項56]
サンプル中の標的タンパク質を検出する方法であって、前記標的タンパク質がGCD59を含み、該方法が、
i.細胞、組織、及び組織切片の少なくとも1つを含むサンプルを入手するステップと;
ii.GCD59の糖化エピトープを含む標的エピトープに結合する検出抗体を前記サンプルに適用するステップと;
iii.前記検出抗体の存在について前記サンプルを分析するステップとを含む、方法。
[項57]
前記検出抗体が検出可能な標識を含む、項45~56のいずれか一項に記載の方法。
[項58]
前記検出可能な標識が、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、蛍光標識、酵素的標識、ルミネセンス標識、及び放射性標識からなる群から選択される、項57に記載の方法。
[項59]
前記検出抗体が二次検出剤を使用して検出され、前記二次検出剤が検出可能な標識を含む、項45~56のいずれか一項に記載の方法。
[項60]
前記二次検出剤が抗体である、項59に記載の方法。
[項61]
前記検出可能な標識が、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、蛍光標識、酵素的標識、ルミネセンス標識、及び放射性標識からなる群から選択される、項57~60のいずれか一項に記載の方法。
[項62]
前記基材が、アッセイプレート、ビーズ、膜、導電性表面、及び導電性ナノ粒子の少なくとも1つから選択される、項45~55及び57~61のいずれか一項に記載の方法。
[項63]
前記方法の全部又は一部がポイントオブケアで実行される、項45~62のいずれか一項に記載の方法。
[項64]
前記方法の少なくとも一部が患者モニタリング装置と連動して実行される、項63に記載の方法。
[項65]
前記患者モニタリング装置が電子シグナルを受信及び/又は送信できる、項64に記載の方法。
[項66]
前記患者モニタリング装置が、スマートフォン及びスマートウォッチの少なくとも1つから選択されるスマート装置である、項65に記載の方法。
[項67]
前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物が、前記検出可能な標識に関連する少なくとも1つのシグナルを測定することによって判定される、項57~66のいずれか一項に記載の方法。
[項68]
対象を評価する方法であって、
i.少なくとも1つの試験サンプルを対象から採取するステップと;
ii.項67に記載の方法を実行するステップであって、前記サンプルが(i)で採取された前記少なくとも1つの試験サンプルを含む、ステップと;
iii.項67に記載の方法を実行するステップであって、前記サンプルが少なくとも1つの対照サンプルを含む、ステップと;
iv.前記少なくとも1つの試験サンプル中の前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物と、前記少なくとも1つの対照サンプル中で検出された前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物とを比較するステップとを含む、方法。
[項69]
対象における糖尿病関連徴候をスクリーニング、診断、及びモニタリングする方法であって、
項68に記載の方法を実行するステップを含み、前記少なくとも1つの試験サンプル中の前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物が、前記少なくとも1つの対照サンプル中で検出された前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物と閾値分異なる場合、前記対象が前記糖尿病関連徴候があると診断される、方法。
[項70]
対象における1つ又は複数の糖尿病関連徴候をモニタリングする方法であって、前記対象が1つ又は複数の糖尿病関連徴候を有し、該方法が、
i.少なくとも2つの試験サンプルを前記対象から採取するステップであって、前記2つの試験サンプルが少なくとも2つの期間にわたって獲得される、ステップと;
ii.項67に記載の方法を実行するステップであって、前記サンプルが(i)で採取された前記少なくとも2つの試験サンプルを含む、ステップと;
iii.前記少なくとも2つの試験サンプル中の前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物間の変動をモニタリングするステップとを含む、方法。
[項71]
前記方法がコンパニオン診断法の一部として実行される、項68又は69に記載の方法。
[項72]
項68~70の1以上の項に記載の方法を含む、治療法の有効性を評価する方法。
[項73]
前記治療法が、少なくとも1つの治療用化合物を少なくとも1つの対象に投与するステップを含む、項72に記載の方法。
[項74]
リスクレベルを対象に割り当てる方法であって、前記リスクレベルが1つ又は複数の糖尿病関連徴候の発症に関連するリスクレベルを含み、該方法が、
i.項68に記載の方法を実行するステップと;
ii.前記少なくとも1つの試験サンプル中の前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物と、前記少なくとも1つの対照サンプル中で検出された前記標的タンパク質の濃度又は濃度等価物とを比較するステップと
iii.(ii)で実施された比較に基づいて、前記リスクレベルを前記対象に割り当てるステップとを含む、方法。
[項75]
前記対象が、妊娠した対象、妊娠が疑われる対象、及び妊娠可能な対象の少なくとも1つである、項74に記載の方法。
[項76]
前記糖尿病関連徴候が妊娠性糖尿病である、項75に記載の方法。
[項77]
項45~76のいずれか一項に記載の方法の全部又は一部を実行するための装置。
[項78]
ウェアラブル装置である、項77に記載の装置。
[項79]
前記ウェアラブル装置がリストバンドを含む、項78に記載の装置。
[項80]
前記ウェアラブル装置がスマートウォッチである、項79に記載の装置。
[項81]
前記標的エピトープが、GCD59の残基N18を含むGCD59のN-グリコシル化エピトープを含み、残基N18がN-グリコシル化されている、項69に記載の方法。
[項82]
前記1つ又は複数の糖尿病関連徴候が、糖尿病、糖尿病の臓器特異的合併症の素因;前臨床糖尿病性末梢神経障害;前臨床糖尿病性腎障害;前臨床糖尿病性網膜症;及び前臨床糖尿病性血管疾患の少なくとも1つから選択される、項81に記載の方法。
[項83]
N-グリコシル化GCD59を検出する方法であって、
i.項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体を使用してGCD59を単離するステップと;
ii.ステップ(i)で単離されたGCD59を分析してN-グリコシル化残基の存在を検出するステップとを含む、方法。
[項84]
ステップ(ii)が、質量分析法の使用を含む、項83に記載の方法。
[項85]
ステップ(ii)が、前記N-グリコシル化残基に結合できるレクチンの使用を含む、項83に記載の方法。
[項86]
前記N-グリコシル化残基がGCD59の残基N18である、項83~85のいずれか一項に記載の方法。
[項87]
CD59 K41糖化の阻害剤を同定する方法であって、
i.少なくとも1つのサンプルを少なくとも1つの試験化合物に接触させるステップであって、前記少なくとも1つのサンプルが、CD59と、K41糖化に適した条件とを含むステップと;
ii.前記少なくとも1つのサンプル中のGCD59の濃度又は濃度等価物を判定するステップと;
iii.ステップ(i)の結果として、ステップ(ii)で判定されたGCD59の濃度又は濃度等価物が低下した場合、前記少なくとも1つの試験化合物の1つ又は複数をCD59 K41糖化の阻害剤として同定するステップとを含む、方法。
[項88]
ステップ(ii)が、項1~17及び21~27のいずれか一項に記載の抗体の使用を含む、項87に記載の方法。
[項89]
前記少なくとも1つの試験化合物が、小分子、ペプチド、合成コンストラクト、融合タンパク質、アプタマー、核酸、及び抗体の1つ又は複数から選択される、項87又は88に記載の方法。
[項90]
項87~89のいずれか一項に記載の方法に従って開発される、阻害剤。
[項91]
項1~17のいずれか一項に記載の抗体又はその1つ又は複数の断片をコードする、ベクター。
[項92]
項91に記載のベクターから生成される、組換え抗体。
[項93]
項91に記載のベクターを含む、細胞。
[項94]
項93に記載の細胞から生成される、抗体。
[項95]
項90に記載の阻害剤の使用を含む、糖尿病関連徴候を治療する方法。
[項96]
前記糖尿病関連徴候が、補体機能不全、溶血性疾患、発作性夜間血色素尿症、非定型溶血性尿毒症症候群、創傷治癒、臓器移植に伴う合併症、血管徴候、及び加齢黄斑変性の1つ又は複数から選択される、項95に記載の方法。
[項97]
リスクレベルを胎児対象に割り当てる方法であって、前記リスクレベルが1つ又は複数のGDM関連病状の発症に関連しており、該方法が、
i.前記胎児対象の妊娠キャリアから少なくとも1つの試験サンプルを採取するステップと;
ii.アッセイを使用して、前記試験サンプル中のGCD59のレベルを判定するステップであって、前記アッセイが項20に記載の捕捉抗体及び項22に記載の検出抗体を利用する、ステップと;
iii.前記試験サンプル中で判定された前記GCD59のレベルに基づいて、前記1つ又は複数のGDM関連病状の発症に関連する前記リスクレベルに割り当てるステップとを含む、方法。
[項98]
前記1つ又は複数のGDM関連病状が、巨人児、大妊娠年齢(LGA)、先天異常、出産外傷、高ビリルビン血症、低血糖、癲癇発作、及び死産の1つ又は複数から選択される、項97に記載の方法。
[項99]
プラットフォーム技術を使用するステップを含む、項45~76、81~83、85~89、97、又は98のいずれか一項に記載の方法。
[項100]
前記プラットフォーム技術が自動プラットフォーム技術を含む、項99に記載の方法。