JP7302341B2 - 食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制方法 - Google Patents
食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制方法 Download PDFInfo
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
[2]前記水性液と前記原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースオキシダーゼの量が、原料肉1g当たり0.18U以上である、[1]記載の抑制方法。
[3]前記水性液と前記原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースの量が、原料肉1g当たり0.007g以上である、[1]又は[2]記載の抑制方法。
[4]前記原料肉が、鶏肉である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[5]前記原料肉が、1個あたりの重量が5~1000gの食肉片である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[6]前記食肉加熱食品が、油ちょう加熱品又は蒸し加熱品である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の抑制方法。
[7]グルコースオキシダーゼ及びグルコースを組み合わせてなる、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制用水性液。
[8]前記食肉加熱食品の原料肉に接触させるためのものであり、当該接触により原料肉に浸透するグルコースオキシダーゼの量が、原料肉1g当たり0.18U以上である、[7]記載の水性液。
[9]前記食肉加熱食品の原料肉に接触させるためのものであり、当該接触により原料肉に浸透するグルコースの量が、原料肉1g当たり0.007g以上である、[7]又は[8]記載の水性液。
[10]前記食肉加熱食品の原料肉が、鶏肉である、[7]~[9]のいずれか一つに記載の水性液。
[11]前記食肉加熱食品の原料肉が、1個あたりの重量が5~1000gの食肉片である、[7]~[10]のいずれか一つに記載の水性液。
[12]前記食肉加熱食品が、油ちょう加熱品又は蒸し加熱品である、[7]~[11]のいずれか一つに記載の水性液。
また本発明によれば、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制に好適に用いられ得る水性液を提供し得る。
本発明の食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制方法(以下、単に「本発明の方法」と称する場合がある)は、グルコースオキシダーゼ及びグルコースを含有する水性液(以下、便宜上「水性液A」と称する場合がある)と、食肉加熱食品の原料肉とを接触させることを含むことを、主たる特徴とする。
すなわち、グルコースを基質として、25℃、pH7において、酸素存在下でグルコースオキシダーゼを作用させることで過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でペルオキシダーゼを作用させることで生成したキノンイミン色素を波長500nmで測定し、1分間に1μmolのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1ユニット(1U)と定義する。
吸水率(%)=([水性液Aと接触させた後の原料肉の重量]-[水性液Aと接触させる前の原料肉の重量])÷[水性液Aと接触させる前の原料肉の重量]×100
吸水率は、水性液Aを原料肉に均一に浸透させ得ることから、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、特に好ましくは25%以上である。吸水率の上限は特に制限されないが、通常70%以下であり、好ましくは60%以下であり、特に好ましくは40%以下である。吸水率の調整は、原料肉に接触させる水性液Aの量や、水性液Aと原料肉とを接触させる条件(例、タンブリング条件等)を適宜調整することによって行い得る。
本発明において、水性液Aと原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースオキシダーゼの量は、水性液Aと原料肉との接触により当該原料肉に浸透する水性液Aの量と、当該水性液Aのグルコースオキシダーゼの含有量とから算出される。
本発明において、水性液Aと原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースの量は、水性液Aと原料肉との接触により当該原料肉に浸透する水性液Aの量と、当該水性液Aの調製に用いられるグルコースの量とから算出される。
本発明の方法によれば、食肉加熱食品の表面部分だけでなく、その内部においても加熱後の赤色呈色を抑制し得、加熱後の赤色呈色が、食肉加熱食品全体において均一に抑制された食肉加熱食品を得ることができる。
また後述の実施例に示されるように、市販の官能分析システム(例、アルファ・モス・ジャパン株式会社製「ビジュアルアナライザー IRIS VA300」等)を用いて撮影した食肉加熱食品の画像データを、解析ソフトウェア(例、アルファ・モス・ジャパン株式会社製「AlphaSoft V14.2」等)を用いて解析し、色度を算出すること等によっても評価し得る。
本発明は、グルコースオキシダーゼ及びグルコースを組み合わせてなる、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制用水性液(以下、単に「本発明の水性液」と称する場合がある)も提供する。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)ベースマリネ液
水、料理酒、醤油及び食塩を、下表1に示す配合割合で混合し、ベースマリネ液を調製した。
ベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、コントロールマリネ液を調製した。
(3)マリネ液A1~A3
ベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して8重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり下表2に示す量(75~800U)で添加して、マリネ液A1~A3をそれぞれ調製した。
ベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して12.6重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり3124U添加して、マリネ液Bを調製した。
(1)原料肉に、原料肉に対して35重量%のコントロールマリネ液、マリネ液A1をそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
(2)原料肉に、原料肉に対して35重量%のマリネ液A2、A3をそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
(3)原料肉に、原料肉に対して35重量%のマリネ液Bを添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を1時間実施した。タンブリング後に、原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
作製した蒸し鶏の赤色呈色について、下記の通り、官能評価及び理化学的評価を実施した。
(1)官能評価
蒸し鶏を、その作製から10分後に7~10mmの厚さに切断し、切断直後及び切断から15分後の断面を、写真撮影した。これらの写真を用い、5名の専門パネルが、下記の評価基準1にしたがって、合議により評点付けを行った。
<評価基準1>
1点:コントロールマリネ液を用いて作製された蒸し鶏と同等の赤み
2点:コントロールマリネ液を用いて作製された蒸し鶏よりやや赤みが弱い
3点:コントロールマリネ液を用いて作製された蒸し鶏よりも赤みが弱い
4点:コントロールマリネ液を用いて作製された蒸し鶏より非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
(2)理化学評価
蒸し鶏の作製から10分後に、市販の官能分析システム(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「ビジュアルアナライザー IRIS VA300」)を用いて、7~10mmの厚みにカットした蒸し鶏の断面を撮影し(撮影条件:上下照明5mm)、断面の画像データを取得した(n=3)。取得した画像データを、前記官能分析システムに付属の解析ソフトウェア(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「AlphaSoft V14.2」)を用いて解析し、断面に含まれる色及びそのピクセル数から、a*(色度)を算出した。a*(色度)は、高値であるほど、赤みが強いことを示す。
また下表3における「a*相対値」は、コントロールマリネ液を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液A1~3、Bを用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
またマリネ液のグルコースオキシダーゼ濃度を調整することにより、反応時間(タンブリング時間、タンブリング後の静置時間)によらず、食肉の加熱後の赤色呈色を抑制し得ることが確認された。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して下表4に示す量(3~8重量%)で上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液C~Fをそれぞれ調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のマリネ液C~Fをそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
作製した蒸し鶏の赤色呈色について、試験例1と同様に、官能評価及び理化学的評価を実施した。
下表5における「a*相対値」は、コントロールマリネ液を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液C~Fを用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)マリネ液G1
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して0.7重量%上乗せ添加してpH6.5に調整し、マリネ液G1を調製した。
(2)マリネ液G2
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して0.7重量%上乗せ添加してpH6.5に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して3重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液G2を調製した。
(3)マリネ液H1
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して5重量%上乗せ添加してpH7.5に調整し、マリネ液H1を調製した。
(4)マリネ液H2
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して5重量%上乗せ添加してpH7.5に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して3重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液H2を調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のマリネ液G1、G2、H1、H2をそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
作製した蒸し鶏の赤色呈色について、マリネ液G1、G2を用いて作製された蒸し鶏の官能評価の評点付けを、下記の評価基準2にしたがって行い、マリネ液H1、H2を用いて作製された蒸し鶏の官能評価の評点付けを、下記の評価基準3にしたがって行ったこと以外は試験例1と同様に、官能評価及び理化学的評価を実施した。
<評価基準2>
1点:マリネ液G1を用いて作製された蒸し鶏と同等の赤み
2点:マリネ液G1を用いて作製された蒸し鶏よりやや赤みが弱い
3点:マリネ液G1を用いて作製された蒸し鶏よりも赤みが弱い
4点:マリネ液G1を用いて作製された蒸し鶏より非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
<評価基準3>
1点:マリネ液H1を用いて作製された蒸し鶏と同等の赤み
2点:マリネ液H1を用いて作製された蒸し鶏よりやや赤みが弱い
3点:マリネ液H1を用いて作製された蒸し鶏よりも赤みが弱い
4点:マリネ液H1を用いて作製された蒸し鶏より非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
下表6における、マリネ液G2の「a*相対値」は、マリネ液G1を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液G2を用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。またマリネ液H2の「a*相対値」は、マリネ液H1を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液H2を用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)亜硝酸含有マリネ液
水、料理酒、醤油、食塩、生姜ペースト(亜硝酸含有量:0.62ppm)及び卵白粉(亜硝酸含有量:2.54ppm)を、下表7に示す配合割合で混合し、亜硝酸含有マリネ液を調製した。ここで生姜ペースト及び卵白粉の亜硝酸含有量は、市販の試薬キット(HACH社製、「亜硝酸試薬セット NitriVer3 LR TNT」、「NriVer3 テストNチューブ」)を用いて、下記(i)~(vi)の手順で測定、算出した。
(i)試料10gに、80℃の蒸留水(40mL)を加え、ホモジナイズする。
(ii)得られた液に、0.5N NaOH(10mL)、12%ZnSO4・7H2O(10mL)を加えた後、200mLメスフラスコに移し、約150mLとなるよう蒸留水を加える。
(iii)得られた混合物を、ウォーターバスを用いて80℃で20分間加熱する。
(iv)加熱した混合物を、放冷後、200mLに定容し、濾過したものを、試料溶液とする。
(v)得られた試料溶液5mLを上記の試薬セットの入ったチューブに供し、20分間反応させる。
(vi)反応後、吸光光度計DR3900(HACH社製)を用い、亜硝酸用プログラムNo.345にて、試料溶液の吸光度を測定し(測定波長:540nm)、亜硝酸濃度を算出する。
亜硝酸含有マリネ液に、クエン酸を、亜硝酸含有マリネ液に対して0.04重量%上乗せ添加してpH5.0に調整し、マリネ液I1を調製した。
(3)マリネ液I2
亜硝酸含有マリネ液に、クエン酸を、亜硝酸含有マリネ液に対して0.04重量%上乗せ添加してpH5.0に調整し、更にグルコースを、亜硝酸含有マリネ液に対して3重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、亜硝酸含有マリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液I2を調製した。
(4)マリネ液J1
亜硝酸含有マリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、亜硝酸含有マリネ液に対して1重量%上乗せ添加してpH6.5に調整し、マリネ液J1を調製した。
(5)マリネ液J2
亜硝酸含有マリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、亜硝酸含有マリネ液に対して1重量%上乗せ添加してpH6.5に調整し、更にグルコースを、亜硝酸含有マリネ液に対して3重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、亜硝酸含有マリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液J2を調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のマリネ液I1、I2、J1、J2をそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
作製した蒸し鶏の赤色呈色について、マリネ液I1、I2を用いて作製された蒸し鶏の官能評価の評点付けを下記の評価基準4にしたがって行い、マリネ液J1、J2を用いて作製された蒸し鶏の官能評価の評点付けを、下記の評価基準5にしたがって行ったこと以外は試験例1と同様に、官能評価及び理化学的評価を実施した。
<評価基準4>
1点:マリネ液I1を用いて作製された蒸し鶏と同等の赤み
2点:マリネ液I1を用いて作製された蒸し鶏よりやや赤みが弱い
3点:マリネ液I1を用いて作製された蒸し鶏よりも赤みが弱い
4点:マリネ液I1を用いて作製された蒸し鶏より非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
<評価基準5>
1点:マリネ液J1を用いて作製された蒸し鶏と同等の赤み
2点:マリネ液J1を用いて作製された蒸し鶏よりやや赤みが弱い
3点:マリネ液J1を用いて作製された蒸し鶏よりも赤みが弱い
4点:マリネ液J1を用いて作製された蒸し鶏より非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
下表8における、マリネ液I2の「a*相対値」は、マリネ液I1を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液I2を用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。またマリネ液J2の「a*相対値」は、マリネ液J1を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液J2を用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
これらの結果から、本発明によれば、亜硝酸に起因する食肉の加熱後の赤色呈色も抑制し得ることが確認された。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が50±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)コントロールマリネ液
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、コントロールマリネ液を調製した。
(2)マリネ液K
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して3重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり75U添加して、マリネ液Kを調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のコントロールマリネ液、マリネ液Kをそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
作製した蒸し鶏の赤色呈色について、試験例1と同様に、官能評価及び理化学的評価を実施した。
下表9における、マリネ液Kの「a*相対値」は、コントロールマリネ液を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液Kを用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
当該結果から、本発明によれば、食肉のサイズによらず、加熱後の赤色呈色を抑制し得ることが確認された。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)コントロールマリネ液
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、コントロールマリネ液を調製した。
(2)マリネ液L
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して10重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり1000U添加して、マリネ液Lを調製した。
(3)マリネ液M
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加し、50%グルコン酸を、ベースマリネ液に対して1.70重量%上乗せ添加し、更に30%過酸化水素を、ベースマリネ液に対して0.51重量%上乗せ添加して、pH6.8のマリネ液Mを調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のコントロールマリネ液、マリネ液L、Mをそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉を、蒸し器を用いて100℃で5分間蒸し加熱し、蒸し鶏を作製した。
蒸し鶏の作製から2分後に、市販の官能分析システム(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「ビジュアルアナライザー IRIS VA300」)を用いて、蒸し鶏の外観を撮影し(撮影条件:上下照明5mm)、外表面の画像データを取得した(n=3)。次いで、蒸し鶏の作製から10分後に、蒸し鶏を7~10mmの厚みにカットし、前記官能分析システムを用いて、断面を撮影し(撮影条件:上下照明5mm)、断面の画像データを取得した(n=3)。取得した各画像データを、前記官能分析システムに付属の解析ソフトウェア(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「AlphaSoft V14.2」)を用いて解析し、外表面、断面に含まれる色及びそのピクセル数から、a*(色度)を算出した。
下表10における、「a*内外差」は、「断面a*」(断面の画像データを解析して算出されたa*)から「外表面a*」(外表面の画像データを解析して算出されたa*)を減じて算出された値である。
当該結果から、本発明による食肉の加熱後の赤色呈色抑制効果は、過酸化水素の脱色反応を利用するものであるが、単に過酸化水素を含有する水性液を、原料肉に接触させても、食肉内部の赤色呈色は抑制されず(原料肉に水性液が浸透すると同時に、過酸化水素が反応するため、外表面のみが脱色されると推察される)、グルコースオキシダーゼ及びグルコースを含有する水性液を、原料肉に接触させ、食肉内部で過酸化水素を発生させることにより、食肉内部及び外表面のいずれにおいても、加熱後の赤色呈色を均一に抑制し得ることが確認された。
[原料肉の調製]
鶏もも肉を、1個当たりの重量が25±2gの食肉片にカットし、原料肉を調製した。
(1)コントロールマリネ液
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、コントロールマリネ液を調製した。
(2)マリネ液N
試験例1のベースマリネ液に、リン酸水素二ナトリウムを、ベースマリネ液に対して2重量%上乗せ添加してpH7に調整し、更にグルコースを、ベースマリネ液に対して8重量%上乗せ添加し、グルコースオキシダーゼを、ベースマリネ液100g当たり400U添加して、マリネ液Nを調製した。
原料肉に、原料肉に対して35重量%のコントロールマリネ液、マリネ液Nをそれぞれ添加し、ロータリータンブラー(大道産業株式会社製「ロータリータンブラー RTN-350B」)を使用してタンブリング(16rpm、5℃)を3時間実施した。タンブリング後に、各原料肉の重量を測定して原料肉にマリネ液が吸水されていることを確認してから、5℃で19時間静置した。静置後、各原料肉の表面に市販のから揚げ粉(日清フーズ株式会社製「日清 から揚げ粉」)を満遍なくまぶして衣付けを行い、フライヤーを用いて175℃で2分間油ちょう加熱し、から揚げを作製した。
作製したから揚げの赤色呈色について、下記の通り、官能評価及び理化学的評価を実施した。
(1)官能評価
から揚げを、その作製から10分後に衣を剥いで7~10mmの厚さに切断し、切断直後及び切断から15分後の断面を、写真撮影した。これらの写真を用い、5名の専門パネルが、下記の基準にしたがって、合議により評点付けを行った。
<評価基準>
1点:コントロールマリネ液を用いて作製されたから揚げと同等の赤み
2点:コントロールマリネ液を用いて作製されたから揚げよりやや赤みが弱い
3点:コントロールマリネ液を用いて作製されたから揚げよりも赤みが弱い
4点:コントロールマリネ液を用いて作製されたから揚げより非常に赤みが弱い
5点:全く赤みが無い
(2)理化学評価
から揚げの作製から10分後に衣を剥いで7~10mmの厚みにカットし、市販の官能分析システム(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「ビジュアルアナライザー IRIS VA300」)を用いて、断面を撮影し(撮影条件:上下照明5mm)、断面の画像データを取得した(n=3)。取得した画像データを、前記官能分析システムに付属の解析ソフトウェア(アルファ・モス・ジャパン株式会社製「AlphaSoft V14.2」)を用いて解析し、断面に含まれる色及びそのピクセル数から、a*(色度)を算出した。
下表11における、マリネ液Nの「a*相対値」は、コントロールマリネ液を用いて作製された食肉加熱食品のa*を1としたときの、マリネ液Nを用いて作製された各食肉加熱食品のa*の相対値である。
当該結果から、本発明によれば、食肉加熱食品の加熱方法によらず、加熱後の赤色呈色を抑制し得ることが確認された。
また本発明によれば、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制に好適に用いられ得る水性液を提供し得る。
Claims (7)
- グルコースオキシダーゼ及びグルコースを含有する水性液と、食肉加熱食品の原料肉とを接触させることを含む、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制方法。
- 前記水性液と前記原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースオキシダーゼの量が、原料肉1g当たり0.18U以上である、請求項1記載の抑制方法。
- 前記水性液と前記原料肉との接触により当該原料肉に浸透するグルコースの量が、原料肉1g当たり0.007g以上である、請求項1又は2記載の抑制方法。
- 前記原料肉が、鶏肉である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抑制方法。
- 前記原料肉が、1個あたりの重量が5~1000gの食肉片である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抑制方法。
- 前記食肉加熱食品が、油ちょう加熱品又は蒸し加熱品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抑制方法。
- グルコースオキシダーゼ及びグルコースを組み合わせてなる、食肉加熱食品の加熱後の赤色呈色の抑制用水性液。
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