JP7301280B2 - ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス物品の製造方法に関する。
板ガラスなどのガラス物品の製造工程では、ガラス原料を溶融してガラス物品の元となる溶融ガラスを得るためにガラス溶融炉が用いられる。
ガラス溶融炉には、ガラス原料をバーナにより溶融するタイプのものが広く利用されているが、ガラス原料を電気加熱のみで溶融するタイプのものもある(例えば特許文献1を参照)。
特開2003-183031号公報
板ガラスは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、有機EL照明、太陽電池などの基板や保護カバーに用いられる。フラットパネルディスプレイでは、板ガラス上の成膜パターニングの高精細化が進められており、板ガラスの熱的寸法安定性が悪いと、熱処理を伴う成膜パターニング時に位置ずれが生じ易くなる。したがって、板ガラスをはじめとするガラス物品には、熱処理前後の寸法差が小さくなるように、高い熱的寸法安定性が要求される場合が多くなっている。
ここで、熱的寸法安定性は溶融ガラス及びガラス物品の水分量と密接に関連している。つまり、溶融ガラス及びガラス物品の水分量が少ないほど、ガラス物品の歪点が高くなって熱処理前後の寸法差が小さくなり、高い熱的寸法安定性を示す。
しかし、従来のガラス物品の製造方法では、溶融ガラス及びガラス物品の水分量が依然として高く、ガラス物品の熱的寸法安定性が十分でないという問題がある。
本発明は、高い熱的寸法安定性を有するガラス物品を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、バッチとカレットとを含むガラス原料を加熱し、前記バッチを融解させてガラス化すると共に前記カレットを融解することにより、溶融ガラスを得る溶融工程と、溶融ガラスからガラス物品を成形する成形工程と、を備えたガラス物品の製造方法において、溶融工程では、カレットが含有するB源の質量が、バッチが含有するB源の質量よりも多くなるように調整されることを特徴とする。
本発明者等は鋭意研究の結果、ガラス物品の水分量は、ガラス原料に含まれるB源に大きく依存することを知見するに至った。つまり、ガラス化していないバッチがオルトホウ酸を含有する場合、溶融ガラスの水分量が多くなり、ガラス物品の水分量も多くなる。また、バッチが無水ホウ酸を含有する場合、オルトホウ酸を含有する場合に比べて溶融ガラスの水分量が少なくなるものの、その水分量は依然として多い状態を維持するため、ガラス物品の水分量も多くなる。その結果、バッチがB源を含有している場合には、ガラス物品の歪点が低くなり熱的安定性が低下する傾向がある。一方、ガラス化しているカレットに含まれるB源は、バッチに含有されているB源に比べて溶融ガラスの水分量が十分に少なくなり、ガラス物品の水分量も十分に少なくなる。その結果、カレットがB源を含有している場合には、ガラス物品の歪点が低くなり熱的安定性が低下する事態は生じ難い。そこで、上記の構成のように、溶融工程において、カレットが含有するB源の質量をバッチが含有するB源の質量よりも多くなるように調整すれば、溶融ガラス及びガラス物品の水分量が十分に少なくなり、ガラス物品の歪点が高くなってガラス物品の熱的寸法安定性が良好になる。
上記の構成において、バッチは、B源を実質的に含有せず、カレットのみが、B源を含有することが好ましい。このようにすれば、溶融ガラスの水分量をより確実に低下させ、ガラス物品の熱的寸法性を向上させることができる。
上記の構成において、ガラス原料に対するカレットの配合率は、質量%で1~50%であることが好ましい。ガラス原料に対するバッチの配合率が高くなり過ぎると、ガラス原料の溶融性が悪くなると共に、投入時等に原料の飛散、いわゆるキャリーオーバーが生じてガラスの品質が不均一になり易い。ガラス原料に対するカレットの配合率を上記数値範囲に設定すると、このような問題も回避できる。
上記の構成において、溶融工程では、ガラス原料を電気加熱のみで溶融することが好ましい。ガラス原料を電気加熱のみで溶融した場合、ガス燃料の燃焼などに起因する水蒸気量の上昇がないため、バーナを利用して溶融した場合に比べて溶融ガラス及びガラス物品の水分量をさらに低下させることができる。
上記の構成において、カレットは、電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたものであることが好ましい。電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたカレットは、ガス燃料の燃焼などに起因する水蒸気量の上昇がないため、バーナを利用して溶融した溶融ガラスから得られたカレットよりも水分量が少ない。したがって、電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたカレットを利用すれば、溶融ガラス及びガラス物品の水分量をさらに低下させることができる。
上記の構成において、ガラス物品のβ-OHは、0.3/mm以下であることが好ましい。このようにすれば、ガラス物品の水分量が十分に少なくなり、ガラス物品の熱的寸法安定性が向上する。
上記の構成において、ガラス物品の歪点は、720℃以上であることが好ましい。このようにすれば、ガラス物品の歪点が十分に高くなるため、熱的寸法安定性が向上する。
本発明によれば、高い熱的寸法安定性を有するガラス物品を提供できる。
ガラス物品の製造装置を示す側面図である。 図1のガラス物品の製造装置のガラス溶融炉を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本製造方法に用いられるガラス物品の製造装置は、上流側から順に、ガラス溶融炉1と、清澄室2と、均質化室(攪拌室)3と、ポット4と、成形体5と、を備え、これら各部1~5が移送管6~9によって接続されている。なお、「室」及び「ポット」という用語には、槽状構造を有するものや、管状構造を有するものが含まれる。
ガラス溶融炉1は、溶融ガラスGmを得る溶融工程を行うための空間である。
溶融ガラスGmとしては、例えば無アルカリガラスを使用することができる。無アルカリガラスのガラス組成としては、モル%で、SiO 60~75%、Al 9.5~17%、B 0.5~12%、MgO 0~8%、CaO 0~15%、SrO 0~10%、BaO 0~10%、SnO 0.001~1%、Cl 0~3%を含有し、As及びSbを実質的に含有しないガラスが例示できる。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を表す。
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分である。SiOの含有量は60~75%、62~75%、63~75%、64~75%、64~74%、特に65~74%であることが好ましい。SiOの含有量が少な過ぎると、密度が高くなり過ぎると共に、耐酸性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなることに加えて、クリストバライトなどの失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
Alは、ガラスの骨格を形成する成分であり、また歪点やヤング率を高める成分であり、さらに分相を抑制する成分である。Alの含有量は9.5~17%、9.5~16%、9.5~15.5%、特に10~15%であることが好ましい。Alの含有量が少な過ぎると、歪点、ヤング率が低下し易くなり、またガラスが分相し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、ムライトやアノーサイトなどの失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
は、溶融性を高めると共に、耐失透性を高める成分である。Bの含有量が少な過ぎると、溶融性や耐失透性が低下し易くなり、またフッ酸系の薬液に対する耐性が低下し易くなる。また、Bの含有量が多い程、本発明による水分量を低下させる効果が顕著となる。このため、Bの含有量は、0.5%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上であることが好ましい。一方、Bの含有量が多過ぎると、ヤング率や歪点が低下し易くなる。このため、Bの含有量は、12%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、特に7.5%以下であることが好ましい。
MgOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量は0~8%、0~7%、0~6.7%、0~6.4%、特に0~6%であることが好ましい。MgOの含有量が少な過ぎると、溶融性やヤング率が低下し易くなる。一方、MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなると共に、歪点が低下し易くなる。
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。また、アルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量は0~10%、2~15%、2~14%、2~13%、2~12%、特に2~11%であることが好ましい。CaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、CaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなると共に、熱膨張係数が高くなり易い。
SrOは、分相を抑制し、また耐失透性を高める成分である。さらに、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であると共に、液相温度の上昇を抑制する成分である。SrOの含有量は0~10%、0.1~10%、0.1~9%、0.1~8%、0.1~7%、特に0.1~6%であることが好ましい。SrOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、SrOの含有量が多過ぎると、ストロンチウムシリケート系の失透結晶が析出し易くなって、耐失透性が低下し易くなる。
BaOは、耐失透性を顕著に高める成分である。BaOの含有量はBaOの含有量は0~10%、0~7%、0~6%、0~5%、特に0.1~5%であることが好ましい。BaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、密度が高くなり過ぎると共に、溶融性が低下し易くなる。またBaOを含む失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有する成分であると共に、歪点を高める成分であり、また高温粘性を低下させる成分である。またモリブデン電極を浸食しないというメリットがある。SnOの含有量は0.001~1%、0.001~0.5%、0.001~0.3%、特に0.01~0.3%であることが好ましい。SnOの含有量が多過ぎると、SnOの失透結晶が析出し易くなり、またZrOの失透結晶の析出を促進し易くなる。なお、SnOの含有量が0.001%より少ないと、上記効果を享受し難くなる。
Clは、脱水効果、即ち、ガラス中の水分量を低下させる効果がある。またClは無アルカリガラスの溶融を促進する効果があり、Clを添加すれば、溶融温度を低温化できると共に、清澄剤の作用を促進し、結果として、溶融コストを低廉化しつつ、ガラス製造窯の長寿命化を図ることができる。しかし、Clの含有量が多過ぎると、歪点が低下し易くなる。このため、Clの含有量は、0~3%、0.001~3%、0.001~2%、特に0.001~1%であることが好ましい。
As及びSbは実質的に含有しない。具体的にはAs及びSbの含有量が何れも50ppm以下であることを意味する。これらの成分は、清澄剤として有用であるが、モリブデン電極を浸食し、工業的規模での電気溶融を困難にするため使用すべきでない。また環境的観点からも使用しないことが好ましい。
上記成分以外にも、例えば、任意成分として、以下の成分を添加してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で10%以下、特に5%以下が好ましい。
ZnOは、溶融性を高める成分である。しかし、ZnOを多量に含有させると、ガラスが失透し易くなり、また歪点が低下し易くなる。ZnOの含有量は0~5%、0~4%、0~3%、特に0~2%が好ましい。
は、歪点を高める成分であると共に、アノーサイトなどのアルカリ土類アルミノシリケート系の失透結晶の析出を抑制し得る成分である。但し、Pを多量に含有させると、ガラスが分相し易くなる。Pの含有量は、好ましくは0~2.5%、0~1.5%、0~1%、特に0~0.5%である。
TiOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であると共に、ソラリゼーションを抑制する成分であるが、TiOを多量に含有させると、ガラスが着色して、透過率が低下し易くなる。TiOの含有量は0~4%、0~3%、0~2%、特に0~0.1%が好ましい。
、Nbには、歪点、ヤング率などを高める働きがある。しかし、これらの成分の含有量が各々2%より多いと、密度が増加し易くなる。
Laにも、歪点、ヤング率などを高める働きがあるが、近年、導入原料の価格が高騰している。本発明の無アルカリガラスは、Laの含有を完全に排除するものではないが、バッチコストの観点から、実質的に添加しないことが好ましい。Laの含有量は、好ましくは2%以下、1%以下、0.5%以下、実質的に含有させないこと(0.1%以下)が望ましい。
ZrOは、歪点、ヤング率を高める働きがある。しかし、ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が顕著に低下する。特に、SnOを含有させる場合は、ZrOの含有量を厳密に規制する必要がある。ZrOの含有量は0.2%以下、0.15%以下、特に0.1%以下が好ましい。
清澄室2は、ガラス溶融炉1から供給された溶融ガラスGmを清澄剤などの働きによって清澄(泡抜き)する清澄工程を行うための空間である。
均質化室3は、清澄された溶融ガラスGmを攪拌翼3aにより攪拌し、均一化する均質化工程を行うための空間である。均質化室3は、複数の均質化室を連ねたものであってもよい。この場合、隣接する二つの均質化室の一方の上端部と、他方の下端部を連ねることが好ましい。
ポット4は、溶融ガラスGmを成形に適した状態(例えば粘度)に調整する状態調整工程を行うための空間である。なお、ポット4は省略してもよい。
成形体5は、成形装置を構成し、溶融ガラスGmを所望の形状に成形する成形工程を行うためのものである。本実施形態では、成形体5は、オーバーフローダウンドロー法によって溶融ガラスGmを帯状のガラスリボンに成形する。
成形体5は、断面形状(紙面と直交する断面形状)が略楔形状をなし、成形体5の上部にオーバーフロー溝(図示省略)が形成されている。移送管9によって溶融ガラスGmをオーバーフロー溝に供給した後、溶融ガラスGmをオーバーフロー溝から溢れ出させて、成形体5の両側の側壁面(紙面の表裏面側に位置する側面)に沿って流下させる。その後、流下させた溶融ガラスGmを側壁面の下端部で融合させ、帯状のガラスリボンに成形する。成形されたガラスリボンに徐冷や切断などの処理を施すことにより、ガラス物品としての板ガラス又はガラスリボンを巻き取ったガラスロールが製造される。
ガラスリボンの厚みは、好ましくは0.01~2mmであり、さらに好ましくは0.1~1mmである。
板ガラス又はガラスロールは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、有機EL照明、太陽電池などの基板や保護カバーに利用される。
移送管6~9は、例えば白金又は白金合金からなる円筒管で構成されており、溶融ガラスGmを横方向(略水平方向)に移送する。移送管6~9は、必要に応じて通電加熱される。
図2に示すように、ガラス溶融炉1は、電気加熱のみによって、ガラス原料Grを連続的に溶融して溶融ガラスGmを形成する。溶融ガラスGmは、移送管6によって連続的に排出される。図2中、矢印Xは、溶融ガラスGmの流れ方向を示している。ガラス溶融炉1は、耐火煉瓦(例えば、ジルコニア系電鋳煉瓦やアルミナ系電鋳煉瓦、アルミナ・ジルコニア系電鋳煉瓦、AZS(Al-Zr-Si)系電鋳煉瓦、デンス焼成煉瓦など)で構成された壁部によって炉内の溶融空間を区画形成する。
ガラス溶融炉1の底壁部10には、溶融ガラスGmを直接的に電気加熱(通電加熱)してガラス原料Grを溶融するために、溶融ガラスGmに浸漬された状態で複数の棒状電極11が設けられている。本実施形態では、ガラス溶融炉1内には、電極11以外の他の加熱手段が設けられておらず、電極11の電気加熱(電気エネルギー)のみでガラス原料Grを溶融(全電気溶融)するようになっている。換言すれば、ガラス溶融炉1内の雰囲気の水蒸気量が上昇する原因となるガス燃料の燃焼は用いていない。なお、連続溶融が開始される前の段階、つまりガラス溶融炉1の立ち上げ段階では、例えば側壁部に設置したバーナー(ガス燃料の燃焼)により溶融ガラスGm及び/又はガラス原料Grを加熱してもよい。
電極11は、例えばモリブデン(Mo)やスズ(Sn)から形成される。なお、電極11は、棒状に限らず、板状やブロック状であってもよく、これらを組み合わせてもよい。また、電極11は、底壁部10に限らず、側壁部に配置してもよく、底壁部10と側壁部の両方に配置してもよい。また、連続溶融の開始前及び/又は開始後に、ガラス原料Gr及び溶融ガラスGmをガラス溶融炉1内の雰囲気を介して間接的に電気加熱するために、ガラス溶融炉1の溶融ガラスGmの上部にヒーターなどの電気加熱手段を別途設けてもよい。
ガラス溶融炉1には、ガラス原料Grをガラス溶融炉1内に連続的に供給する原料供給部12が設けられている。原料供給部12は、例えばスクリューフィーダなどで構成される。
ガラス原料Grは、ガラス化していないバッチ(粉粒体)Gbと、カレット(ガラス屑)Gcと、を含む。ガラス原料Grは、カレットGcが含有するB源の質量Mcが、バッチGbが含有するB源の質量Mbよりも多くなるように調整された状態で、原料供給部12によりガラス溶融炉1内に供給される。なお、B源には、例えばオルトホウ酸、無水ホウ酸などが挙げられる。
ここで、カレットGcが含有するB源の質量とは、単位質量当たりのガラス原料Grにおいて、カレットGcが含有するB源の質量を意味する。具体的には、カレットGcが含有するB源の質量Mcは、ガラス原料Grの単位質量M1(kg)にガラス原料Grに対するカレットGcの配合率R1(質量%)及びカレットGcのB源の含有量R2(質量%)を乗じることで算出できる。
また、バッチGbが含有するB源の質量は、単位質量当たりのガラス原料Grにおいて、バッチGbが含有するB源の質量を意味する。具体的には、バッチGbが含有するB源の質量Mbは、ガラス原料Grの単位質量M1(kg)にガラス原料Grに対するバッチGbの配合率R3(質量%)及びバッチGbのB源の含有量R4(質量%)を乗じることで算出できる。
本実施形態では、バッチGbはB源を実質的に含有せず、カレットGcのみがB源を含有している。なお、「B源を実質的に含有しない」とは、B源となる原料を意図的に添加しないことを意味し、不純物として混入する場合を排除するものではない。より客観的にはBの含有量が0.1%以下であることを指す。
ガラス原料Grに対するカレットGcの配合率は、質量%で1%~50%であることが好ましい。換言すれば、ガラス原料Grに対するバッチの配合率は、質量%で50%~99%であることが好ましい。カレットGcの配合率は、質量%で5%~40%であることがより好ましく、質量%で10%~30%であることが最も好ましい。
カレットGcは、バーナで溶融した溶融ガラスから得られたものでもよいが、電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたものであることが好ましい。
次に、以上のように構成された製造装置によるガラス物品の製造方法を説明する。
本製造方法は、上述のように、溶融工程と、清澄工程と、均質化工程と、状態調整工程と、成形工程とを備える。なお、清澄工程、均質化工程、状態調整工程及び成形工程は上述の製造装置の構成で説明した通りであるため、以下では溶融工程について説明する。
図2に示すように、溶融工程では、溶融ガラスGmに浸漬された電極11によって溶融ガラスGmを通電加熱し、バッチGbとカレットGcとを含むガラス原料Grを連続的に溶融する。通電加熱のみでガラス原料Grを溶融すると、溶融ガラスGmの水分量が少なくなるが、バッチGbに含まれるB源が多い場合、溶融ガラスGmの水分量が十分に少なくならない。そこで、本製造方法では、ガラス原料Grは、カレットGcが含有するB源の質量がバッチGbが含有するB源の質量よりも多くなるように調整された状態で、ガラス溶融炉1内に供給される。
バッチGbに含まれるB源は、水分を多く含むため溶融ガラスGmの水分量を上昇させ易いが、カレットGcに含まれるB源は、水分を多く含まないため溶融ガラスGmの水分量を上昇させ難い。したがって、上記のように、カレットGcが含有するB源の質量Mcが、バッチGbが含有するB源の質量Mbよりも多くなるようにすれば、換言するとMc>Mbとすれば、溶融ガラスGmの水分量が確実に抑えられてガラス物品の水分量が少なくなる。その結果、ガラス物品の歪点が高くなって、ガラス物品の熱的安定性が向上する。
溶融ガラスGm及びガラス物品の水分量を低下させる観点からは、Mc>2Mbであることが好ましく、Mc>4Mbであることがより好ましく、バッチGbはB源を実質的に含有せず、カレットGcのみがB源を含有していることが最も好ましい。また同様の観点から、カレットGcは電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたカレットであることが好ましい。
また、カレットGcのB源の含有量Rc(質量%)は、バッチGbのB源の含有量Rb(質量%)よりも多いこと、換言するとRc>Rbであることが好ましく、Rc>2Rbであることがより好ましく、Rc>4Rbがさらにより好ましく、バッチGbはB源を実質的に含有せず、カレットGcのみがB源を含有していることが最も好ましい。
以上のように製造されたガラス物品のβ-OH(水分量)は、0.3/mm以下、好ましくは0.25/mm以下、さらに好ましくは0.2/mm以下になる。ここで、「β-OH」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた値を指す。
β-OH=(1/X)log10(T/T) ・・・(1)
X:板ガラスの厚み(mm)
:参照波長3846cm-1における透過率(%)
:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
また、以上のように製造されたガラス物品の歪点は、720℃以上、好ましくは730℃以上、さらに好ましくは740℃以上になる。歪点は、ASTM C336、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
なお、製造されたガラス物品を抜き取り検査などにより検査し、ガラス物品のβ-OHが0.3/mm超の場合、及び/又は、ガラス物品の歪点が720℃未満の場合には、バッチGb及びカレットGcにおけるB源の質量やB源の種類(B源の水分量)が調整される。つまり、ガラス物品のβ-OH及び/又は歪点が目標値を満たすように、B源の質量やB源の種類が調整される。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、ガラス原料Grを電気加熱のみで溶融(全電気溶融)する場合を説明したが、ガラス原料Grは、バーナ(ガス燃料の燃焼)のみで溶融してもよいし、バーナと電気加熱とを併用して溶融してもよい。ただし、バーナを用いると、溶融ガラスGmの水分量が上昇するため、その水分量を低下させる観点からは、電気加熱のみを用いることが好ましい。
上記の実施形態では、成形装置で成形されるガラス物品が板ガラス又はガラスロールである場合を説明したが、これに限定されない。例えば、成形装置で成形されるガラス物品は、例えば光学ガラス部品、ガラス管、ガラスブロック、ガラス繊維などであってもよいし、任意の形状であってもよい。
上記の実施形態では、成形装置として、オーバーフローダウンドロー法によりガラス物品を成形するものを説明したが、成形装置は、スロットダウンドロー法などの他のダウンドロー法や、フロート法によりガラス物品を成形するものであってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。ただし、実施例は単なる例示であり、本発明は実施例に何ら限定されない。
表1は、カレットの製造条件を示している。なお、表中のカレットAは、B源を実質的に含んでいない。
Figure 0007301280000001
次に、バッチと表1のカレットとを含むガラス原料を所定の方式で加熱し、バッチを融解させてガラス化すると共にカレットを融解することにより溶融ガラスを得る溶融工程と、溶融ガラスからガラス板を成形する成形工程とを実施した。この際、溶融工程では、ガラス原料に対するカレットの配合率は、30質量%とした。また、実施例1~2及び比較例1では、ガラス板(溶融ガラス)のBの含有量が、6モル%になるようにガラス原料を調整し、実施例3~10及び比較例2では、ガラス板(溶融ガラス)のBの含有量が、3モル%になるようにガラス原料を調整した。そして、このようにして成形された各ガラス板の水分量(β-OH)を測定した。水分量は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)で測定したガラスの透過率から前記(1)式を用いて求めた。その結果を表2及び表3に示す。なお、表2において、バッチのB源の質量は、100kgのガラス原料において、バッチが含有するB源の質量を示し、カレットのB源の質量は、100kgのガラス原料において、カレットが含有するB源の質量を示す。また、実施例3~10では、バッチはB源を実質的に含んでいない。
Figure 0007301280000002
Figure 0007301280000003
表2及び表3の結果からも、カレットが含むB源の質量が、バッチが含むB源の質量よりも多くなると、ガラス板の水分量が低下することが確認できる。特にガラス板の水分量を低下させる観点からは、バッチはB源を実質的に含有せず、カレットのみがB源を含有することが好ましいことが分かる。
また、カレットにおけるB源は、無水ホウ酸の方がオルトホウ酸よりもガラス板の水分量を低下させる効果が高いことが確認できる。
さらに、カレットやガラス原料の加熱方式は、全電融方式が電極とバーナを併用する方式よりもガラス板の水分量を低下させる効果が高いことが確認できる。
1 ガラス溶融炉
2 清澄室
3 均質化室
4 ポット
5 成形装置
6~9 移送管
10 底壁部
11 電極
12 原料供給部
Gm 溶融ガラス
Gr ガラス原料
Gb バッチ
Gc カレット

Claims (7)

  1. バッチとカレットとを含むガラス原料を加熱し、前記バッチを融解させてガラス化すると共に前記カレットを融解することにより、溶融ガラスを得る溶融工程と、前記溶融ガラスからガラス物品を成形する成形工程と、を備えたガラス物品の製造方法において、
    前記溶融工程では、前記カレットが含有するB源の質量が、前記バッチが含有するB源の質量よりも多くなるように調整され、
    前記ガラス原料に対する前記カレットの配合率が、質量%で1~50%であり、
    前記ガラス物品は、ディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 前記バッチは、B源を実質的に含有せず、前記カレットのみが、B源を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. バッチとカレットとを含むガラス原料を加熱し、前記バッチを融解させてガラス化すると共に前記カレットを融解することにより、溶融ガラスを得る溶融工程と、前記溶融ガラスからガラス物品を成形する成形工程と、を備えたガラス物品の製造方法において、
    前記溶融工程では、前記カレットが含有するB 源の質量が、前記バッチが含有するB 源の質量よりも多くなるように調整され、
    前記バッチは、B 源を実質的に含有せず、前記カレットのみが、B 源を含有し、
    前記ガラス物品は、ディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とするガラス物品の製造方法
  4. 前記溶融工程では、前記ガラス原料を電気加熱のみで溶融することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
  5. 前記カレットは、電気加熱のみで溶融した溶融ガラスから得られたものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
  6. 前記ガラス物品のβ-OHが、0.3/mm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
  7. 前記ガラス物品の歪点が、720℃以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
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