JP7300452B2 - エンドサイトーシスビタミンdの状態の測定方法 - Google Patents

エンドサイトーシスビタミンdの状態の測定方法 Download PDF

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Description

本出願は、特定の性質の生物学的材料を含むアッセイに関し、特に、対象の生物学的試料、特に血液又は血清中のエンドサイトーシス可能ビタミンDの濃度を測定するためのアッセイ及び血液又は血清中のビタミンDの状態に関する疾患又は状態の検出又は診断のためのアッセイに関する(G01N2333/00、G01N2800/00)。
活性ビタミンDの合成につながる代謝経路には、様々な組織で起こる3つの反応がある。ヒトでは、紫外線を媒介とした開裂により皮膚で合成が開始され、コレカルシフェロール(ビタミンD、VD)が生成される。他のビタミンD異性体「エルゴカルシフェロール」(ビタミンD、VD)は植物に存在し、食物と一緒に取り込まれる。どちらのビタミンD異性体も肝臓で25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]に代謝されるが、これも主要な循環型(プロホルモン)である。この第2段階はチトクロームP450酵素であるNAPH-ヘモタンパク質還元酵素によって触媒されるが、肝25-ヒドロキシラーゼの正体はまだ解明が必要である。25(OH)Dはその後、腎臓で1α-水酸化されて1α,25-ジヒドロキシビタミンD又は生理活性型(D-ホルモン)であるカルシトリオールになる。カルシトリオールは、腸内でのカルシウムの吸収、骨のミネラル化、骨芽細胞の分化、骨母細胞の合成及び神経筋機能を調節する。血清中の25(OH)D濃度が血清1mLあたり15ng(37.5nmol/L)未満では副甲状腺ホルモンの値が上昇し、骨吸収の増加につながることは医学的にも一般的に知られている(Chapuy MC et al.in J Clin Endocrinol Metab 1996;81:1129-33)。ビタミンD欠乏は、消化器系疾患、肝機能障害、吸収不良の薬物による代謝の亢進、遺伝的な欠陥又は日光への曝露不足が原因と考えら得る。ビタミンD欠乏は老人性骨粗鬆症の危険因子として知られている。一般に、血清1mLあたり5ng25(OH)D(12.5nmol/L)未満の欠乏は重症とされ、小児ではくる病、成人では骨軟化症を引き起こす(Scharla et al.Exp Clin Endocrinol Diabetes,1996,104:289-292)。過剰摂取による過剰のビタミンDは、高カルシウム血症を引き起こす。VDとVDの効果に決定的な違いがあるのか又は血清25(OH)Dの上昇、特に低用量のビタミンDではそれらは同等の効果があるのかは明らかではない(Tripkovic L et al,Am J Clin Nutr 2012 Jun;95(6):1357-1364;Am J Clin Nutr 2017 Aug;106(2):481-490を参照)。
ビタミンD結合タンパク質(DBP)は、アルビノイドスーパーファミリーのメンバーである。56~58kDaのグルコタンパク質は、ビタミンD代謝物だけでなく、脂肪酸や他のエンドトキシンと結合し得る。DBPはビタミンDの半減期を延ばし、欠乏時には貯蔵器として機能すると考えられているが、ビタミンDの中毒からも保護する。血中DBP濃度は、健常者では病的状態やカルシウム代謝の障害があっても、比較的狭い範囲(323~460mg/L(5.52~7.93mol/L))に安定的に維持されている。妊娠中を除き、高いDBP濃度は観察されていない。血清中のDBPは、免疫比濁法を含む多くの方法で測定され得る(Hamashima et al,Clinica Chimica Acta 321(2002)23-28)。DBPは好中球顆粒球に対して化学運動効果を発揮し、マクロファージを活性化させ、組織損傷時にアクチンを隔離することが知られている。
血清中のDBP濃度はビタミンDの約20倍超であるため、2~5%のみがビタミンD代謝物によって占められる。測定には、酵素消化、変性及び/又はリガンド置換により、ビタミンD代謝物がDBPから放出される(EP2126586B1、WO99/67211;EP0753743、WO2004/063704)。離型剤としては、あらゆる種類の洗浄剤及び界面活性剤(EP2955516B1)並びにビタミンDの構造類似体、例えばワルファリン、サリチル化合物、特定のスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アニリノナフタレンスルホン酸などが挙げられる(WO03/023391)。特に、ビタミンDの代謝物が疎水性でコレステロールに似ており、多数の血清タンパク質と結合しているため、その定量的な測定は技術的に困難であり、結果は解釈の余地があるがゆえに、DBPからのビタミンDの放出は、ほとんどの実験において決定的に重要な工程である。ビタミンDの状態に関する混乱は、米国国立衛生研究所の栄養補助食品室が主導する共同イニシアチブを生じさせ、最近では血清中の「遊離25(OH)D」(DBP又はアルブミンによって結合されていない25(OH)Dを言う)の決定を介してビタミンDの状態を評価するための提案がある(総説として:The Importance of 25-Hydroxyvitamin D Assay Standardization and the Vitamin D Standardization Program.J AOAC Int.2017,100(5):1223-1224;及びMalmstroem S et al,J AOAC Int.2017,100(5):1323-7)。
カルシウム及びリンは、細胞のシグナル伝達、エネルギー代謝、骨格の成長及び完全性を含む多くの重要な生物学的機能に必要な必須ミネラルである。カルシウム及びフォスフェートの恒常性は、主に腎臓及び腸における上皮カルシウム及びフォスフェートのコトランスポートの調節によって維持されるが、この方法は、カルシトリオール、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)及び副甲状腺ホルモン(PTH)を含むホルモンによって厳密に調節されている。慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能が低下すると、これらのホルモン間のフィードバックループが乱れることで、骨格、心臓及び血管系を含むいくつかの臓器系に悪影響を及ぼす。合併症としては、血管石灰化、脳卒中、骨格骨折及び死亡リスクの増加がある。FGF23及びPTH濃度の上昇並びにビタミンD欠乏が病態に寄与する。したがって、患者の処置は、骨格及び心血管系の合併症を予防するために、正常なカルシウム及びフォスフェートのバランスを維持するためのフィードバックループを回復させることに焦点を当てている。最近の証拠は、ビタミンDの状態とがん、糖尿病、うつ病などの障害との関連性をさらに示しており、健康な患者でもビタミンD濃度のルーチン検査の需要が高くなっている。そのため、研究及び健康におけるビタミンD状態の重要性は誇張されているわけではなく、臨床検査室は検査数の増加と、低いビタミンD状態に本当に苦しんでいる人を特定する必要性といった課題に直面している。現状技術では問題がある。
欧州特許第2126586号明細書 国際公開第99/67211号 欧州特許出願公開第0753743号明細書 国際公開第2004/063704号 欧州特許第2955516号明細書 国際公開第2003/023391号
Chapuy MC et al.J Clin Endocrinol Metab 1996;81:1129-33 Scharla et al.Exp Clin Endocrinol Diabetes,1996,104:289-292 Tripkovic L et al,Am J Clin Nutr 2012 Jun;95(6):1357-1364 Tripkovic L et al,Am J Clin Nutr 2017 Aug;106(2):481-490 Hamashima et al,Clinica Chimica Acta 321(2002)23-28 The Importance of 25-Hydroxyvitamin D Assay Standardization and the Vitamin D Standardization Program.J AOAC Int.2017,100(5):1223-1224 Malmstroem S et al,J AOAC Int.2017,100(5):1323-7
本出願は、ビタミンD結合タンパク質(DBP)の存在下で、体液試料中の有効ビタミンD濃度(貯蔵形態のビタミンD代謝物を含む)を測定するアッセイ及び方法を提供し、該アッセイ及び方法は、a)前記試料をメガリン/LRP2(低密度リポタンパク質関連タンパク質2)及び/又はその可溶性断片と結合条件下で接触させ、DBP、ビタミンD又はその代謝物とメガリン/LRP2又はその断片とを含有する複合体を形成する工程と、b)DBP:ビタミンD及び/又はその成分のいずれか1つの量を測定する工程と、c)DBP:ビタミンDのメガリン結合複合体の量を前記対象の有効ビタミンD状態に関連付ける工程と、を含む。
好ましい実施形態では、アッセイ及び方法は、メガリン/LRP2の他のリガンドのいずれにも結合しないメガリンの断片及び/又はDBP:VD複合体に結合し得る前記メガリンの断片との融合タンパク質の使用を含む。前記方法の好ましい実施形態は、ヒドロキシル化エルゴカルシフェロール(25-ヒドロキシビタミンD)、24,25-ジヒドロキシビタミンD及び/又は24,25-ジヒドロキシビタミンDの存在下でのヒドロキシル化コレカルシフェロール(25-ヒドロキシビタミンD)の示差測定を含む。
本開示は、血清中に存在する内因性DBPの使用を包含するが、試験試料中のDBPの標準濃度を得るためにDBPを添加することを含み得る。本開示は、さらに、キュービリンがエンドサイトーシス工程を促進することが知られているので、追加的にキュービリン及び/又はその可溶性断片を前記試料に接触させることを包含し得る(Nykjaer A,et al Cubilin dysfunction causes abnormal metabolism of the steroid hormone 25(OH)vitamin D PNAS USA(2001)98(24):13895-900[PUBMED:11717447])。
一実施形態では、メガリンによって結合されたDBP:VDの量は、濁度計若しくはネフェロメトリーによって又は特にDBPのためのイムノアッセイによって決定される。別の実施形態では、メガリン及び/又はその前記可溶性断片は、50~200nmの範囲の直径を有する粒子又はビーズに結合してもよい。又は、本開示は、完成のために、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、FIA(蛍光イムノアッセイ)、LIA(発光イムノアッセイ)又はILMA群から選択されるイムノアッセイを教示する。
別の実施形態では、方法は、(a)固相に結合した規定量のメガリン及び/又はその断片を提供する工程と、(b)試料を固相に接触させる工程と、(c)DBPとビタミンD代謝物との間に形成された複合体にメガリン及び/又はその断片を結合させる条件を作成する工程であって、DBP単独ではメガリン及び/又はその断片に結合されない工程と、固相を洗浄する工程と、(e)DBP:VDの複合体又は通性にメガリン若しくはその可溶性断片を認識する抗体を提供する工程と、(f)DBP:VDに結合した前記メガリン及び/又はその断片を抗DBP抗体と接触させ、任意選択的に、複合体を固相に固定化する工程と、(g)固相に結合した抗体の量を決定し、基準値との相関により血漿又は血清中のビタミンDの状態を定量する工程を含み得る。
本開示はまた、DBPに特異的な抗体と、メガリン又はその断片を含む結合パートナーを含む試験キットとを提供する。抗体は、前記複合体中のDBP又はビタミンD代謝物に結合したものであり得る。別の実施形態では、試験キットは、結合メガリン及び/又はその可溶性断片を有するナノ粒子を含み得る。
本開示は、血清又は血漿中の有効なビタミンDの状態を直接定量的に決定する方法を提供するので、記載の目的は達成される。状態は、プロホルモン(25(OH)D)が生理的に活性なD-ホルモン(カルシトリオール)に1α-水酸化されるように、腎臓の細胞への又はエンドサイトーシスメガリン輸送経路を有する細胞へのエンドサイトーシス及び内包化の準備ができている主要な循環ビタミンD代謝物に基づく。エルゴカルシフェロール及びコレカルシフェロールは共にDBPに結合しているが、DBP:VDの複合体はメガリンに優勢に結合しているので、開示された方法は、活性ホルモンとなり得るプロホルモンの状態を提供する。24,25(ジヒドロキシ)ビタミンDなどのビタミンD代謝物は、DBPとの複合体を形成することができるが、メガリンによってほとんど結合されていないか又はそれらの濃度は、決定された有効なビタミンDの状態に影響を与えるために循環の中であまりにも低い。
DBP:VD複合体は、メガリンキューブリン経路により、P450 1α-ヒドロキシラーゼ(Cyp27B1)がミトコンドリア膜の外側に位置する細胞内にエンドサイトーシスされるのみである。その結果、他のビタミンD代謝物は活性化されないか又は循環中のそれらの濃度が低すぎて、測定されたビタミンDの状態に関連するものではない。これは、DBPとの複合体がメガリンによって結合されていないか又はほとんど結合されていない25-ヒドロキシル化エルゴカルシフェロール[25(OH)D]に特に当てはまる(図8Bを参照)。したがって、本開示は、ビタミンD代謝物の非タンパク質結合画分(遊離画分)のみが細胞に入り、生物学的効果を発揮することができるという遊離ホルモン仮説と矛盾する。
ビタミンD代謝物の親油性にもかかわらず、有効なビタミンDの状態の決定は水溶液中で行われ得る。メガリン又はその可溶性断片によって結合又は識別されるDBP:VDの複合体の測定に基づく方法であるため、ビタミンDの代謝物をそれらの結合パートナー(DBP、アルブミン、アルビノイドスーパーファミリーのタンパク質など)から放出する必要はない。ビタミンDと結合したビタミン結合タンパク質の信頼性の高い識別が可能である。メガリン又はその断片は、本発明者らが提出する循環中のもっぱら生物活性化可能なプロホルモンを表すエンドサイトーシスDBP:VD複合体に基づいてビタミンDの状態を識別するために使用される。
可溶性メガリンは、組換え法により哺乳類細胞内で産生し、アフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る。水溶液(血清、血漿)に可溶なメガリン断片は、生理的に近いDBP:VD複合体の形成条件を可能にするので好ましい。
開示されているように、先行技術の方法によるように、ビタミンDを結合パートナーから放出する必要はない。したがって、ハロゲン系溶媒、テンシド(tensid)、界面活性剤(PFOA、CTAB)を必要としないため、環境に優しい方法となっている。分析前の精製及び調製工程がないことにより、さらに、試料採取直後の有効なビタミンDの状態を直接決定し得る。前記メガリン結合複合体の形成を決定するという概念は、ELISA、濁度測定及びネフェロメトリーなどのプラットフォームに容易に適合させ得る。前記複合体のタンパク質性成分を確実に定量し得る。
本開示は、25-ヒドロキシビタミンDが25-ヒドロキシビタミンDよりも効果的であるという臨床報告にさらに適合する。本開示は、活性化のために利用できるであろうエンドサイトーシス可能プロホルモンに基づく有効な状態を提供する。25-ヒドロキシ化ビタミンD及びDの異性体が等しくDBPによって結合されている間、提供された方法は、25-ヒドロキシビタミンDとの相互作用でDBPへのメガリンの異なる結合親和性を利用する。結合親和性の違いが、印象的である。生理的な関連性が見過ごせない基本的な生物学的メカニズムが発見されたことが、報告されている。本方法は、したがって、活性化可能な循環ビタミンD代謝物の識別を可能にし、したがって、容易に活性化可能なビタミンD代謝物(プロホルモン)の状態を提供する。提供される情報により、ビタミンD補給療法は、毒性又は非効率的な療法を避けて、対象の真の生理的状態に適合させ得る。
発明の原理を、その利点、代表的な実施例及び図面を参照して説明するが、特許請求の範囲に含有される開示から導き出すことができる本発明の要旨を限定するものではない。
ペップサイト2により予測されるヒトDBP(ダイマー)のメガリンへの潜在的な結合部位を示す模式図である(Trabuco LG et al,PepSite:prediction of peptide-binding sites from protein surfaces in Nucleic Acids Res.2012;40(Web Server issue):W423-426)。 メガリン/LRP2、キューブリン及びそれらの既知のリガンドとの間の腔内形質膜の外側での相互作用を示す図である。 プロホルモン(25(OH)D)を介したビタミンDから活性ホルモン(1,25(OH)D-カルシトリオール)への経路及び排泄経路を示す図である。 ビタミンD結合タンパク質の結合について試験された選択されたメガリン断片の概略図:定常M1:M1-K386(シグナルペプチド+A1-7+EGF様1/2);M2:(M1-25シグナルペプチド+E1024-K1429);M3:(M1-25シグナルペプチド+E2698-R3192;M4:(M1-25シグナルペプチド+P3510-A4048-詳細な調査なし)。 発現ベクターpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)にクローニングされたメガリン断片(M1、M2及びM3)のcDNA構築物の概略図。 分泌されたメガリン断片(M1~M3ダイマー)及びM2モノマー:HEK細胞溶解物のウエスタンブロット及び培養上清からのNi-NTA親和性精製後のウエスタンブロットである。 トランスフェクトしたHEK細胞溶解物(M1、M2、M3+対照/なし;約20μg)からのメガリン断片のウエスタンブロットを示す。 抗His抗体(WB染色:抗DBP Ab)を用いて、VD(0、2μg)の存在下又は非存在下でのメガリン結合(M1、M2、M3)DBP(0、5μg)の共免疫沈降を示す。 Ni-NTA精製メガリン断片(M1、M2及びM3+対照としての抗IgG AB;約3μg)のウエスタンブロットを示す。 抗His抗体(WB染色:抗DBP Ab)を用いたVD(0、5μg)の存在下又は非存在下でのメガリン結合DBP(2μg)の複合体の共免疫沈降を示す。 VD(50nM)の存在下又は非存在下でのメガリン断片M1、M2及びM3並びにDBP(50nM)のマイクロスケール熱泳動分析を示す。 アフィニティー分析に対するVD濃度の効果を示す。 精製メガリン断片M1(3μg)を用いた、異なるヒト血清又は血漿からの共免疫沈降DBPのウエスタンブロットを示す。 表面コーティングメガリン断片(M1又はM2)によって結合された総DBP及び形成されたDBP/VDのELISAの結果を示す棒グラフを示す。 対象のヒト血清の試料(RMS)中のM2-メガリン結合DBP:25(OH)Dの形成に対する添加された精製DBPの効果を示すグラフである。 25(OH)D血清濃度とDBP:25(OH)Dのヒト血清中のメガリンM2断片への結合の間の相関関係である。 25(OH)D濃度と三元複合体DBP/25(OH)D/M2の間の相関関係、並びにそれぞれ25(OH)D及び24,25(OH)VDを含む三元複合体の相関関係である。 DBP及び様々な25(OH)D代謝物のマイクロスケール熱泳動分析:(25(OH)D、25(OH)D、24,25(OH)Dを示す。 メガリンM2断片によって結合された場合のDBP:VD代謝物のマイクロスケール熱泳動分析を示す。 メガリン結合DBP:25(OH)Dの直線性範囲を示すグラフであり、高濃度(50ng/mLまで)での24,25(OH)VD及び25(OH)VDの濃度を変化させた存在下でのグラフである。 メガリン結合DBP:25(OH)Dの直線性範囲を示すグラフであり、高濃度(50ng/mLまで)での24,25(OH)VD及び25(OH)VDの濃度を変化させた存在下でのグラフである。 メガリン結合DBP:25(OH)Dの直線性範囲を示すグラフであり、下濃度(19ng/mLまで)での24,25(OH)VD及び25(OH)VDの濃度を変化させた存在下でのグラフである。 メガリン結合DBP:25(OH)Dの直線性範囲を示すグラフであり、下濃度(19ng/mLまで)での24,25(OH)VD及び25(OH)VDの濃度を変化させた存在下でのグラフである。
本明細書は、対象からの体液試料中の生物学的に有効なビタミンDの量を決定する方法を提供する。方法は、前記試料をDBPとメガリン又はその機能性断片と結合条件下で接触させてメガリン又はその機能性断片によって特異的に結合されるDBP:ビタミンD(又はビタミンDの代謝物)の複合体を形成し、DBP:ビタミンD:メガリンを含む三元複合体を形成する工程を含む。次に、前記体液試料中の前記三元複合体の形成された量を、前記体液試料中の前記ビタミンDの生物学的に有効な量と相関させ得る。
この文脈では、用語「生物学的に有効なビタミンD」又は「有効なビタミンD」は、メガリン又はその機能性断片によって認識され、結合されて三元複合体を形成するDBPとの複合体を形成する全ての構造的ビタミンD分子を定義し、これを含む。したがって、これらの構造的ビタミンD分子は、ビタミンD(コレカルシフェロール及びエルゴカルシフェロール)だけでなく、それぞれのエピマーを含む25-ヒドロキシル化されたビタミンD代謝物をも含む。長年にわたり、25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の総濃度を測定することに重点が置かれてきた。測定値は生理学的には一致していなかったため、最近では「遊離25(OH)D」がビタミンDの状態を示すより良いマーカーになる可能性があるという仮説が立てられている。しかし、提案されている「遊離25(OH)D」の評価は、総25(OH)D、アルブミン、DBPを用いた計算と、ビタミンD代謝物に対するDBPの親和性が一定であるという仮定に依存する。この仮説は、親油性ビタミンD代謝物が細胞膜を介して受動的に拡散することができ、血清DBPとアルブミンは、ビタミンDの利用可能な量とビタミンDの状態を容易に減少させるだろうという仮定で働く。「25(OH)Dの遊離DBP未結合画分」の決定は、「実質遊離かつ利用可能なビタミンDの状態」を与えるものとする。
ビタミンDの状態は、正常な腎臓機能及び骨の健康に欠かせないだけでなく、がんの発生及び一部の自己免疫疾患にも関連し得る。ビタミンDの状態がヒトの健康に与える影響を考えると、臨床現場では信頼性の高い方法が求められる。
血清中の総「25-ヒドロキシビタミンD」の濃度は、臨床現場ではほとんど使われているが、「遊離若しくは利用可能な」又は隠れた25-ヒドロキシビタミンD」の量又は割合についての議論は無視できない。しかし、この仮説では、上皮細胞及び他の組織(腎尿細管、副甲状腺、胎盤など)の細胞が、DBP結合ビタミンD代謝物のエンドサイトーシス内在化を可能にするエンドサイトーシス経路を持っていることは考慮されていない。25(OH)Dは、カルシトリオールへの取り込み及び細胞内変換のためのプロホルモンの主要な形態である。ビタミンD代謝物は、主に輸送され、ビタミンD結合タンパク質によって循環中に結合される。先行技術の測定方法では、活性化された状態になり得るビタミンD代謝物の量は知られておらず、さらに知られていないのは、エンドサイトーシス内在化及び活性D--ホルモンへの1α-水酸化のために利用可能なプロホルモンの量である。
本方法は、ビタミンD代謝物がエンドサイトーシスによって内包化され得る前に、ビタミンD、DBP及びメガリンの三元複合体を形成しなければならないことを利用している(図1A~C)。ビタミンD(コレカルシフェロール又はエルゴカルシフェロール)は、最初に肝臓でその25位でプロホルモンに水酸化され、その後、循環中に存在することが十分に確立されている。また、活性D-ホルモン[1,25(OH)D]は、細胞内のミトコンドリア膜の外側に位置する酵素1α-ヒドロキシラーゼ(Cyp27B1-シトクロムP450)によって合成されることも十分に確立されている(図1C参照)。25-水酸化ビタミンD代謝物は、最初に肝臓から腎臓の各細胞に輸送されなければならない。カルシトリオール(1,25(OH)D)の主な供給源は腎臓であるが、リンパ球、マクロファージ、ケラチノサイト並びに副甲状腺及び膵臓の細胞を含む腎外細胞もカルシトリオールを生成し得る。
25-ヒドロキシビタミンDは、25-ヒドロキシビタミンDに比べて300%の効果があることが知られている。それに伴い、本開示は、エンドサイトーシス可能DBPの識別を提供し、ここで、エンドサイトーシス可能DBPとは、結合したビタミンD代謝物を有するDBPと言う。メガリン又はその断片は、生理的に活性化されたビタミンD代謝物を識別するために使用される。組換えメガリン断片は、哺乳類細胞株で生産し、アフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る。ビタミンDの状態を直接及び迅速に測定することができ、追加の前処理又は試料の前処理は必要ない。このように、アッセイのタイムスケールは、生理的に正確及び有効な測定値を提供しながら、短縮されている。開示されたアプローチは、ELISA、濁度測定及びネフェロメトリーのような異なるプラットフォームに容易に適合させ得る。
新規なビタミンDの状態は、生理的に活性化されたエンドサイトーシス可能なビタミンD、特に血清又は血漿中の25-ヒドロキシビタミンDに対応する。他のエンドサイトーシス可能ビタミンD代謝物の濃度は、はるかに低い。25-ヒドロキシ化ビタミンD及びD異性体は、DBPによって等しく結合しているが(図8A)、DBP:25(OH)VD及び24,25-ヒドロキシビタミンDと比較して、DBP:25(OH)VDに対するメガリンのより高い結合親和性は印象的である。25-ヒドロキシビタミンD[3-epi-25(OH)D]のC3-エピマーが特別な役割を果たしているようであるが、その臨床的意義についてのデータはほとんどない。3-epi-25(OH)Dのin vivoでの重要性についてはほとんど知られていないが、臨床検査ではビタミンDの状態の測定に3-epi-25(OH)Dを含めるかどうかの判断に直面している。図8A、Bのデータは、記載された方法が、25(OH)DのC-3エピマー形態を十分に検出して解明し得ることを示す。したがって、本発明の方法は、最も強力なビタミンD代謝物を決定するための区別を可能にし、ひいては、活性の低い形態を含まない、より正確で生理的に有効なビタミンDの状態を提供する。したがって、本開示により提供される情報により、ビタミンD補給療法は、毒性又は非効率的な療法を回避して、対象の生理的状態に適合させ得る。
好ましい実施形態では、方法は、メガリンの可溶性断片及び/又はDBP:VD代謝物の複合体を結合するが、LPR2/メガリンの他の多数のリガンドのいずれも結合しない、前記可溶性メガリン断片の融合体の使用を含む。より正確には、アルブミン又は抗DBP抗体と親和性を有しないメガリンの可溶性断片(Ab交差反応性なし)。このような実施形態は、表面結合DBP結合メガリン断片又はその融合タンパク質を含み、その中には以下のようなエピトープを含み得る。
Figure 0007300452000001
又は
Figure 0007300452000002
又は両方のエピトープ。
ヒトDBP:VD複合体の親和性結合のための配列は、
Figure 0007300452000003
又は
Figure 0007300452000004
を含有するようである。
メガリンM2領域(E1024-K1429)内の他の有用なDBP結合エピトープは、CelluSpots(TM)ペプチドアレイを使用して、DBPとメガリンM2(E1024-K1429)(配列番号09)との相互作用によって決定されるような、
Figure 0007300452000005
Figure 0007300452000006
Figure 0007300452000007
である。
好ましい実施形態は、DBP:VD代謝物のメガリン結合複合体の決定を含み得る。これは、DBP:VDの複合体を認識する抗体を用いて又はDBP、ビタミンD若しくはその代謝物又はメガリン若しくはその可溶性断片を単離した後に行ってもよい。本開示の一態様では、方法は、標準試料を確立するためのビタミンD代謝物及びDBPの混合物を提供することを含み得る。
好ましい実施形態では、本開示は、プロホルモンの結合のための標準条件又は一定の過剰なDBPを作製するために添加された量のDBPを前記試料に接触させることを含み得る。本開示は、キュービリン及び/又はその可溶性断片を試料に接触させることをさらに包含し得る。
前記実施形態は、配列番号01から配列番号10までのアミノ酸配列のいずれか1つ以上を有するエピトープを含有する、表面結合DBP結合メガリン断片又はその融合タンパク質を含み得る。
一実施形態では、本開示の方法は、濁度測定又はネフェロメトリックイムノアッセイに関し得る。前記メガリン及び/又はその可溶性断片は、DBP:VDの複合体が前記ナノ粒子に結合するように、50~200nmの範囲の直径を有するナノ粒子に結合され得る。本開示はまた、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、FIA(蛍光イムノアッセイ)、L1A(発光イムノアッセイ)又はILMA群から選択されるイムノアッセイを提供する。
従って、方法は、(a)固相に結合した規定量のメガリン及び/又はその可溶性断片を提供する工程と、(b)結合したメガリン及び/又はその可溶性断片を有する固相と試料を接触させる工程と、(c)DBP及びビタミンD代謝物によって形成された複合体の結合を可能にする条件を作製する工程であって、DBP単独ではメガリン及び/又はその可溶性断片に結合しない工程と、固相を洗浄する工程と、(e)DBP、ビタミンD又はその代謝物を含む三元複合体を認識する抗体を提供する工程と、(f)前記三元複合体を抗体、任意にDBPに対する抗体、と接触させ、免疫複合体を固相上に固定化する工程と、(g)固相に結合した抗体の量を測定し、結合した抗体の量を、標準物質を参照することにより、血液、血漿又は血清中のエンドサイトーシスビタミンD又は活性化可能なビタミンDの状態と相関させる工程と、を含む。
本開示は、さらに、三元複合体、メガリン又はその断片、DBP又はビタミンD及びその代謝物に特異的な抗体を含む、有効なビタミンDの状態を測定する方法で使用するための試験キットを含む。開示はまた、結合したメガリン及び/又はその可溶性断片を有するナノ粒子を含む、体液試料中のビタミンD代謝物を測定する方法で使用するための試験キットに関する。
達成された目的は、試料中のビタミンD及びその代謝物の有効状態を直接定量的に決定するための簡単で信頼性の高い方法である。体液が、血液、血清又は血漿などの場合、状態は、循環中のビタミンD代謝物のエンドサイトーシス可能な画分を表し、任意選択的にそれぞれの標的細胞及び組織が活性ホルモンに細胞内で処理できる画分を言う。ビタミンDの親油性が高いにもかかわらず、水溶液中でビタミンDの状態を判定することができる新規なビタミンDの開発に成功した。
ビタミンDは生体内で容易に吸収及び処理され、半減期が短く、ビタミンDレセプター(VDR)との親和性が低く結合するビタミンDよりも強力であると考えられる。1α,25(OH)D及び副甲状腺ホルモン(PTH)は、1α-ヒドロキシラーゼ及び24-ヒドロキシラーゼの活性の正又は負の調節によってビタミンD代謝に影響を与える(図1C参照)。ここでも、ビタミンDは肝臓で25-水酸化されて25(OH)D又は25(OH)Dになり、腎臓細胞でさらに水酸化されてその生物学的に活性な形態1α,25(OH)Dになる。24,25(OH)Dは25(OH)Dのさらなる代謝物であるが、不活性であり、排泄される運命にある。循環の中では、ビタミンDの代謝物はDBPと強固に結合している。少量であればアルブミン及びリポタンパク質と結合する。アルブミンに対する25(OH)D(Ka=6×10-1)及び1,25(OH)D(Ka=5.4×10-1)の親和性は、DBP(25(OH)D(Ka=7×10-1)及び1,25(OH)D(Ka=4×10-1)の親和性よりも実質的に低い。DBP(5μM)と比較して血清中のアルブミン(650μM)の豊富さのために、いくつかのビタミンDは、エンドサイトーシスのために効果的に利用できないが、アルブミンによって結合される可能性が高いであろう。さらに、血清中のDBPの大部分は、ビタミンD代謝物によって占められていない。DBPへの結合に基づいてビタミンD代謝物のバイオアベイラビリティに対処するパラメータを定義する先行技術内の開示及び以下のエンドサイトーシス経路内の開示はない。DBPは循環中に高濃度で存在するため、これまでビタミンDの状態を評価する際には考慮されていなかった。先行技術では、別々に、合計(結合及び遊離)又は遊離循環ビタミンDのいずれかが、ビタミンDの状態を確立するための情報源と考えられていた。
メガリン(低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質2、LRP2としても知られている)は、LDLレセプター(LDLR)と構造的に類似しているマルチリガンド結合細胞レセプターである。メガリンは、多数の細胞及び組織、特に吸収性上皮細胞の形質膜中に見出され得る(Farquhar MG et al,Soc.Nephrol 6(1):35-47)。LRP2/メガリンは、そのリガンドのエンドサイトーシスを媒介することが知られており、キューブリン:メガリン複合体が再び分子を(再)吸収することができるキュービリンとの複合体を形成し得る。キューブリン:メガリン複合体は、脂質、VLDL、特定のタンパク質(アルブミン、ラクトフェリン)、コバラミン(ビタミンB12)及びカルシドールの細胞内取り込みに対してとりわけ責任がある。本開示は、メガリンが結合するDBP:VDの量を決定することを提案する。これは、例えば、前記三元複合体の「単離又は分離」後のヒトDBPに対するELISAによって行われ得る。これが好ましく、ELISAは既に市販されている(Immundiagnostik AG,Bensheim)。用語「有効なビタミンD」は、メガリン(又はその断片)が結合したDBP:VDの形成された複合体を意味する。メガリンとの複合体は、「活性化されたビタミンD代謝物」がエンドサイト化され、その後1α-水酸化されて活性ホルモンになるように、キューブリンと相互作用すると考えられている。
効果的なビタミンDの状態は、生理的な情報とDホルモンに処理される循環ビタミンDの濃度の読み取りを提供するので、先行技術に対する改善を表す。この状態は、25(OH)Dのような活性の低い形態は、有効なビタミンDの状態に寄与しないか又ははるかに少ないので、主要な循環貯蔵形態とは異なる。本開示は、メガリン及び/又はキューブリンによって選択的及び識別的に結合されたDBP:VDの量に基づくビタミンDの状態を提供する。したがって、このエンドサイトーシス複合体は、血清又は血漿中の有効なビタミンDの状態に対応する。しかし、先行技術で使用されている用語「生物学的に利用可能な」は、「完全に遊離した」ビタミンDを指しており、これは、細胞の形質膜を横切る推測される拡散を前提としている。
DBPの役割に関しては、先行技術において矛盾した見解がある。一方では、DBPへのビタミンDの結合は、遊離ビタミンの過剰な量に対する保護メカニズムと考えられてきた。この見解には、「自由ホルモン仮説」を支持するグループが続く。一方、DBPノックアウトマウスを用いた研究では、これらの動物は25(OH)D及び1,25-(OH)の血漿中濃度が有意に低下していることが示された。ビタミンD枯渇食では、動物はビタミンD欠乏及び骨形成不全に悩まされた。これらの結果は、DBPが循環中に存在する場合には関係のない代替経路の展開を示唆する。
ビタミンDなどのステロイドホルモン及びステロールは脂溶性であり、効果的な送達のためにキャリアタンパク質を必要とするのが一般的である。ステロイドホルモン及びステロールのリガンド特異的な血清キャリアとしては、コルチコステロイド結合グロブリン(CBG)(グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド)、ビタミンA(レチノール)結合タンパク質、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)(エストロゲン、アンドロゲン)及び甲状腺ホルモン結合グロブリンなどの多くのものが挙げられる。例えば、CBG及びSHBGは高親和性の血清輸送体として作用するだけでなく、それらのリガンド形態で細胞膜に結合することができ、シグナル伝達物質としての代替的な作用を示唆する。同様に、DBPはマクロファージ活性化因子(MAF)及びアクチン結合体であり、ビタミンD代謝物との結合とは無関係に機能しているようである。結合グロブリンからリガンドが放出され、標的細胞によって獲得されるメカニズムは、ステロイドホルモンのシグナル伝達経路に重要な役割を果たす。
これは、プロホルモン(25(OH)D)の活性Dホルモンへの腎外、頭蓋内変換の証拠が増加しているビタミンDについて特に重要である。ビタミンDの影響は、その後、1α-ヒドロキシラーゼの組織特異的発現と、核内ビタミンDレセプター(VDR)である1,25(OH)Dのレセプターの組織特異的発現に非常に依存する。血清中の遊離1,25(OH)Dの濃度は、約10-13Mと推定されており、これはビタミンDレセプターに結合するために引用された濃度(解離定数(Kd)=約10-10M)よりもはるかに低い。(おそらく)受動的な拡散に利用可能な遊離ホルモンの量と細胞内の標的レセプターを効率的に占有するために必要な濃度との間の明らかな格差のために、「遊離ホルモン仮説」は、生理的に関連する(「真の」)ビタミンDの状態の基礎としての疑問を提起する。
全25(OH)Dは現在、LC-MS/MS(標準技術研究所及びアメリカ疾病予防管理センター)で測定されている。総25(OH)D及び他のビタミンD代謝物の濃度を測定するために、様々な免疫測定法が使用されている。しかし、これらの方法は全て、ビタミンD代謝物をそれらの担体タンパク質から放出する必要があるため、結果が大きく変動するようである。これは、偽の(低い)ビタミンD濃度が決定されるように、血管表面に結合してビタミンDが失われるリスクを含む。固定化DBP及び可溶化ウサギ腎臓膜を用いたアフィニティークロマトグラフィー研究により、腎尿細管内での25(OH)D-DBP複合体の取り込みのための共レセプター、すなわち600kDaのタンパク質(メガリン)及び460kDaのタンパク質(キュービリン)が同定された。これらの研究は、DBPとキュービリンとのCa依存的な結合を示す。著者らは、いずれの共レセプターとのDBPの結合が、DBPと25(OH)Dとの複合体の形成に先行し、影響を受け又は依存していることを示唆しておらず、また、DBPにより結合したビタミンD代謝物の種類にも先行し、影響を受け又は依存していることを示唆していない(Nykjaer et al,Cubilin dysfunction causes abnormal metabolism of the steroid hormone 25(OH)vitamin D,Proc Natl Acad Sci U S A 2001 Nov 20;98(24):13895-13900)。
メガリンは、4400アミノ酸の細胞外アミノ末端ドメイン、22アミノ酸の膜貫通ドメイン及び213アミノ酸のカルボキシ末端細胞質テールの3つのドメインを持ち、I型細胞表面レセプターであることを示す。細胞外ドメインは、LDLR型A(補体型)リピートの4つのシステインリッチなクラスターを含有する。補体型リピートは、LDLRのリガンド中の正電荷配列の高親和性結合に関与する、6つのシステイン残基及びSDE(Ser-Asp-Glu)モチーフを含む約40個のアミノ酸からなる。4つのシステインリッチなクラスターは、上皮成長因子(EGF)型リピート及びエンドソームコンパートメントにおけるリガンドのpH依存性解離に関与するYWTD(Tyr-Trp-Thr-Asp)モチーフを含有するスペーサー領域に挟まれている。メガリンの細胞質ドメインは3つのテトラアミノ酸NPXYモチーフを含有し、これらのモチーフはクラスリンで被覆されたピットを介したリガンド-レセプター複合体のエンドサイトーシスに不可欠である。
メガリンには、様々な種類のリガンドがあり、ビタミン結合タンパク質及びその他の結合タンパク質、アポリポタンパク質、ホルモン及びホルモン前駆体、薬物及び毒素、酵素及び酵素阻害剤、免疫及びストレス応答関連タンパク質並びにカルシウムを含むその他である。メガリンノックアウトマウスは、糸球体濾液からDBPを回収することができず、尿中のビタミンDカーゴとともにDBPを失ってしまう。その結果、メガリンノックアウトマウスは25(OH)Dを1,25(OH)Dに十分に代謝することができず、ビタミンD欠乏くる病に似た骨の表現型になってしまう。
キュービリンは、末期回腸における内因性因子B12(IF-B)複合体のレセプターとして同定されている。460kDaのレセプターであり、膜貫通ドメインを持たず、エンドサイトーシスのシグナルを持たない。キュービリンは、リガンド結合を担う27個のCUBドメイン及び110個のアミノ酸のストレッチによって先行する8つのEGF型リピートを含有し、ここでは、N末端領域は膜の固定に必須であると考えられている。キュービリン及びメガリンの間の直接的な関連が実証されており、それによって分子協力は、キュービリンに結合したリガンドの内部移行の基礎を提供する。したがって、キュービリン結合リガンドは、メガリン媒介エンドサイトーシスを受け、そのカーゴをリソソームに降ろし、メガリンとともに形質膜にリサイクルし得る。
DBPのメガリン依存的な取り込みは、腎臓のビタミンD内分泌学において明確な役割を果たしているが、他のビタミンD標的組織においても同様のメカニズムが存在するかどうかはまだ明らかではない。腎外では、メガリンは胎盤、乳腺及び副甲状腺を含むいくつかの組織で発現しており、これらの組織では1α-ヒドロキシラーゼ活性を有することが知られており、腎外DBP-メガリン相互作用が示唆されている。
本開示は、DBP、ビタミンD並びにメガリン及びキューブリンのいずれか一方又は両方を含む複合体の検出及び定量に基づいてビタミンDの状態を決定する方法を記載する。先行技術とは異なり、本方法は、DBPからのビタミンD代謝物の特異的な放出を必要とせず、エンドサイトーシス及び活性化の対象となるビタミンD代謝物の画分のみを評価するであろう。理論に縛られることなく、メガリンに結合したDBPの測定は、エンドサイトーシス可能ビタミンD代謝物のパラメータを提供する。したがって、提供される方法は、血清又は血漿中の生理的に活性及びエンドサイトーシス可能なビタミンD濃度に対応するビタミンDの状態を確立するために使用され得る。
本方法を用いることで、コレカルシフェロール(ビタミンD)又はエルゴカルシフェロール(ビタミンD)のいずれかを補給した後の対象の25OHD、1,25(OH)D及びDBPの総血清濃度の変化と共に、様々なビタミンD代謝物、特に25(OH)Dを識別し得る。補給は、エンドサイトーシス及び水酸化の対象となるであろう活性型ビタミンD分子の測定を妨げることがなくなるであろう。それ故、真に生物学的に利用可能なビタミンD分子の画分は、循環中の他のタンパク質によって結合された補充されたビタミンD又はビタミンD分子と容易に識別され得る。
イムノネフェロメトリーは、試料中のDBP濃度を測定するために使用され得る。イムノネフェロメトリーは、抗体が適度に過剰な条件下で、大きな可溶性抗原抗体複合体による入射光源の散乱を定量化する。これらの条件下で、複合体は安定した格子を形成し、抗原の濃度の増加と散乱光強度の増加との間に直接的な線形関係が確立される。自動比濁計は、DBP濃度の敏感及び正確な測定を迅速及び技術的なスキルの必要条件を最小限にして提供する。これらは、DBP濃度を分析するために臨床化学研究所で使用され得る。好ましい実施形態では、DBP、ビタミンD及びメガリンによって形成される三元複合体のみが抗体によって認識される。
別の態様では、免疫比濁法を使用して、試料中のDBP濃度を測定し得る。濁度測定は、そこで懸濁された粒子の散乱効果による透過光の強度の損失を測定する方法である。光はフィルターを通過し、既知の波長の光を生成し、そして、この光は、例えば、溶液を含むキュベットを通過する。光電セルは、キュベットを通過する光を集める。次に、吸収された光の量を測定する。免疫比濁法は、抗原抗体反応が行われるバリアントである。抗原抗体複合体は、光度計で光学的に検出できる粒子である。好ましい実施形態では、抗体は、DBP、ビタミンD及びメガリンによって形成される三元複合体を認識する。別の態様では、メガリン又はその断片で被覆されたナノ粒子を、DBP/ビタミンD複合体を含む試料と接触させる。試料中のDBP/ビタミンD/メガリン三元複合体の濃度が増加すると、濁度が増加する。
実施例1
複雑な生物学的機能は、複雑なタンパク質間相互作用ネットワークを通じて現れる。タンパク質間相互作用の重要なクラスは、ペプチドを介した相互作用に対応し、1つのパートナーからの短いペプチドストレッチが他のパートナーからの大きなタンパク質表面と相互作用する。タンパク質-ペプチド相互作用は、一般的に親和性が低く、タンパク質相互作用ネットワークを動的に再形成する調節メカニズムに関与する。比較的小さい相互作用表面のため、タンパク質-ペプチド相互作用の調節は、例えば治療目的のために、実行可能であり及び非常に魅力的であると考えられてきた。残念ながら、利用可能なタンパク質-ペプチド界面の三次元構造の数は非常に限られている。しかしながら、ビタミンDの輸送及び代謝の文脈におけるDBPと他のタンパク質、特にメガリン/LRP2(UniProtKB/Swiss-Prot、タンパク質アクセッション番号P98164、ヒト)との相互作用に関する情報は、限定的であるか又は全くなかった。DBPとメガリンのペプチドレベルでの潜在的な相互作用を調べるために、PepSite2プログラム(http://pepsite2.russelllab.org)を用いてペプチド結合スポットを予測した。PepSite法は、既知のタンパク質-ペプチド三次元構造のセットから計算された好ましいペプチド結合環境と、既知のペプチドから得られる距離制約とを組み合わせたものに依存する。Pepsiteの予測によれば、メガリンは、ドメイン2及び3に位置するリガンド結合性リピート9、13-15、16、19、22-25;27及び29を介してヒトビタミンD結合タンパク質と相互作用する可能性が高い(図1Aを参照のこと)。
上記予測と一致し、本発明者らは、DBP-メガリン相互作用の解析のために、システインリッチな補体型リガンド結合性リピート(LDLRクラスA)を選択した。また、EGF様モジュールは、エンドソームコンパートメントでの受容体のフォールディング及びリガンドの解離に重要であると考えられているため、EGF様モジュールも含まれていた。補体型リピートのN末端にシグナルペプチド(M1-G25)を導入し、分泌経路へのソーティングを可能にした。C末端に6xHis-タグを付加して親和性精製を行い、共免疫沈降及びウエスタンブロット法でタンパク質を解析した。各々のcDNA配列をPCRにより得て、哺乳類発現ベクターpcDNA3.1に挿入した。カルシウムはLDLR-Aドメインの正しいフォールディングに必要であるため、HEK細胞は内因性カルシウムチャネルを有するため、メガリンcDNA配列(M1、M2、M3)で安定にトランスフェクトした。タンパク質の精製は、His-タグ及び市販のNi-NTA樹脂を用いて行った。哺乳類発現ベクターpcDNA3.1へのメガリン断片(M1、M2、M3)のクローニング戦略を図2A~Bに示す。
メガリンM1 cDNAは、ヒトLRP2/メガリン(配列番号08)のアミノ酸26~386の配列をコードした。構築物は、N末端25アミノ酸シグナルペプチド及びC末端6xヒスチジンタグをコードするcDNAを含んだ。予測分子量は、モノマーで約43kDa、ダイマーで約86kDaであった。
HEK発現及び分泌された組換えメガリンM1断片は、以下のアミノ酸配列を有した(シグナル配列を含まない)。
Figure 0007300452000008
メガリンM2 cDNAは、ヒトLRP2/メガリン(配列番号09)のアミノ酸1024-1429の配列をコードした。構築物は、N末端25アミノ酸シグナルペプチド及びC末端ヒスチジン(6x)タグをコードするcDNAを含んだ。予測分子量は、モノマーで約50kDa、ダイマーで約100kDaであった。HEK発現及び分泌された組換えタンパク質メガリンM2断片は、以下のアミノ酸配列を有した(シグナル配列を含まない)。
Figure 0007300452000009
メガリンM3 cDNAは、ヒトLRP2/メガリン(配列番号10)のアミノ酸2698~3192の配列をコードした。cDNAは、25アミノ酸シグナルペプチド及びC末端6xヒスチジンタグをコードした。予測分子量は、モノマーで約60kDa、ダイマーで120kDaであった。構築物は、HEK293哺乳類細胞で発現させた。分泌されたメガリンM3断片。配列番号10は以下のアミノ酸配列に対応する(シグナル配列を含まない)。
Figure 0007300452000010
メガリンM1、M2、M3断片のタンパク質解析は、6xHis-タグに対する抗体を用いたウエスタンブロット法で行った。上記の構築物(M1、M2、M3)を導入した細胞を溶解し、溶解物をHis-タグでタンパク質の分析を行った。また、Hisタグを持つタンパク質(右)と結合するNi/NTA樹脂を用いて、細胞上清からメガリン断片を精製した。その結果を図2Cに示す。
ウエスタンブロットは、メガリンM1、M2、M3断片がHEK細胞で発現し及び分泌されたことを示す。メガリン断片を溶液中に保持することができた。沈降は観測されなかった。メガリン断片はダイマーを形成する傾向を示したが、分子量は全て予測されたサイズと一致していた。メガリンモノマー及びダイマー形成の分析には、2X Laemmli及び2X Urea試料バッファーを使用したが、これらのバッファーを使用しても差は認められなかった。M2断片は、ほとんどがモノマーに解離しやすいものであった。
メガリン断片を、ビタミンD(VD)の存在下(+)又は非存在下(-)でのDBPとの相互作用についてさらに調べた。共免疫沈降を行い、その結果を図3A、Bに示す。簡単に言えば、HEK細胞を上記のcDNA構築物(M1、M2、M3)でトランスフェクトし、共免疫沈降に使用した細胞溶解物を用いた。図3Aは、M1、M2及びM3を発現するHEK細胞の細胞溶解物(20μg)のウエスタンブロットを示す。His-タグに対する抗体で検出。図3Bは、DBP(0、5μg)及びVD(0、2μg)との共免疫沈降の結果を示す。
血清試料には、DBP単独又はビタミンDを添加したものが含まれていた。各試料は、メガリン断片を含む細胞溶解物と接触させた。インキュベーション後、His-タグに対する抗体をコーティングしたビーズを試料に接触させ、遠心分離によりDBPをプルダウンした。結合したリガンド(DBP)をビーズから解離させ、抗DBP-抗体を用いてDBPの発現をウエスタンブロットで分析した。対照として、純粋なDBP単独を分析した。図3Bは、DBPがメガリンM1及びM2断片でプルダウンされ得ることを確認した。注目すべきことに、DBPは、ビタミンDの存在下(+)でのみプルダウンされ得る。このことは、メガリン断片M1及びM2がDBPと単独で相互作用するのではなく、DBPがビタミンDの代謝物で占められている場合にのみ相互作用することを示す。すなわち、ビタミンD結合タンパク質、ビタミンD代謝物、メガリン断片を含む三元複合体がin vitroで形成され、メガリンM1又はM2断片とDBP単独との間には相互作用は起こらなかった。
追加の共免疫沈降は、上記と同様のセットアップでDBP及びNi-NTAアガロース精製可溶性メガリンM1、M2、M3断片(3μg)の間のin vitro相互作用を示す。その結果を図4A、Bに示す。図4Aは、抗His抗体による検出;メガリンM1、M2、M3断片のためのcDNAをトランスフェクトしたHEK細胞によって分泌された培養上清(3μg)からの精製メガリンM1、M2、M3断片のウエスタンブロットである。図4Bは、精製メガリンM1、M2、M3断片との共免疫沈降の結果を示すウエスタンブロットである。血清試料は、DBP単独又はビタミンDの存在(+)下でDBPを含有した。インキュベーション後、6xHis-タグに対する抗体をコーティングしたビーズを試料に接触させ、遠心分離によりプルダウンした。結合したタンパク質をビーズから解離させ、ビタミンD結合タンパク質に対する抗体を用いたウエスタンブロット法で分析した。ここでも、図4Bは、DBPが精製された可溶性M1及びM2断片でプルダウンされ得ることを確認している。DBPはビタミンDの存在下(+)でのみプルダウンされた。このことは、可溶性精製メガリン断片M1及びM2は、ビタミンDで占有されない限り、DBPと相互作用しないことを示す。DBP、ビタミンD及び精製メガリンM1又はM2断片を有する三元複合体をin vitroで形成した。可溶性精製メガリンM1又はM2断片及びDBP単独の間には、相互作用又は結合は観察されなかった。
実施例2
精製された可溶性メガリンM1又はM2断片とDBP単独又はビタミンD代謝物で占有されたDBPとの形成された複合体のさらなる特性決定のために、得られた複合体をマイクロスケール熱泳動によってさらに分析し、その結果を図5Aに示す。マイクロスケール熱泳動(MST)は、ミクロな温度勾配(熱泳動)の中での粒子の方向性のある動きを調べる。生体分子の構造変化による水和シェルの変化は、温度勾配に沿った動きの相対的な変化をもたらす。この原理を利用して、2つの分子の結合親和性を決定し得る。この技術により、特に表面に固定化することなく、溶液中の相互作用を調べることができる。空間的な温度差は、高温領域での分子濃度の低下をもたらし、そしてこれが決定され得る。熱泳動は通常、蛍光標識された分子を用いて行われる。
分子の熱泳動の違いはさらに、一定のバッファー条件下での結合強度を定量化することである。蛍光標識された分子の熱泳動は、キャピラリー内の蛍光分布をモニターすることで測定される。微細な温度勾配をIRレーザーで発生させ、キャピラリー内に集光して水中に吸収させる。そのため、レーザースポット領域の水溶液の温度が上昇する。IR-レーザーのスイッチを入れる前に、キャピラリー内の均一な蛍光分布が観察される。IR-レーザーのスイッチを入れると、新たな蛍光分布が確立される。熱緩和時間は高速であり、温度の段階的上昇に対する局所的な環境依存的な応答により、色素の蛍光の結合依存的な低下を誘導する。分子はその後、局所的に加熱された領域から外側の寒冷領域に移動する。分子の局所的な濃度は、定常分布に達するまで加熱された領域で減少する。
正規化蛍光(Fnorm)は、温度の段階的上昇を考慮した濃度比を測定する。蛍光強度の直線性及び熱泳動による枯渇により、結合していない分子と結合した複合体からの正規化された蛍光は直線的に重畳する。結合基質の連続希釈を用いて定量的な結合パラメータを得た。Fnormを希釈系列の異なる濃度の対数に対してプロットすることで、シグモイド結合曲線が得られる。この結合曲線は、質量作用の法則の非線形解で直接フィットさせることができ、その結果として解離定数Kdが得られる。
手短に言えば、精製DBPをMonolith Protein Labeling Kit Red(NanoTemper Technologies,Munich,Germany)を用いて赤色蛍光色素NT-647で標識した。Ni-NTA精製可溶性メガリン断片M1、M2及びM3断片を0.488~1000nmol/Lの範囲で滴定した。測定には、Monolith NT.115デバイス(NanoTemper Technologies)とNT解析ソフトウェアバージョン1.427(NanoTemper Technologies社)を使用した。
Hisタグ精製可溶性メガリンM1、M2及びM3断片並びにDBPの間の結合について、ビタミンDの非存在下又は存在下でのマイクロスケール熱泳動分析を行った。その結果を図5Aに示す。上記の共免疫沈降実験と同様に、M1及びM2はDBPと相互作用したが、M3は相互作用しなかった。各実験について解離定数を算出した。メガリンM1及びM2断片はともに、25-OHビタミンDの非存在下でDBPへの弱い結合を示した(M1/DBP:Kd=442+/-44.93nM;M2/DBP:134.2+/-23.57nM)。対照的に、25(OH)Dの存在下では、解離定数Kdが著しく低いため、両メガリン断片の高い結合親和性が見出された(M1/DBP/VD:Kd=45.65+/-4.57nM;M2/DBP/VD:23.7+/-2.28nM)。また、25(OH)Dの存在下で、精製された可溶性メガリン断片M1又はM2へのDBPの結合の増加を観察した。
この結果は、25(OH)Dに依存してDBPがメガリンに結合していることを示す良好な証拠である。メガリンM2断片は、DBP:25(OH)Dとの複合体に対してより高い親和性を有していたため、さらなる研究に使用された。
可溶性メガリンM1及びM2断片のDBPへの結合に対する25(OH)D濃度の影響を、有効なビタミンDの状態のための提案された新しい複合体結合アッセイの実施形態を既に表しているELISAを用いて、さらに評価した。その結果を図5Bに示す。簡単に言えば、マイクロタイタープレートを、精製可溶性メガリンM1又はM2断片(1μg/100μlのPBS)でコーティングした。DBP及び25(OH)Dの混合物は、1μgのDBP及び25(OH)D(VD)のPBS中での連続希釈(0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10、20μg)を用いて調製した。各混合物をコーティングされたウェルに塗布し、三元複合体の形成を可能にするために生理的条件でインキュベートし及び洗浄した。メガリンに結合したDBP(可溶性断片M1及びM2)の検出及び定量は、DBPに対するポリクローナルウサギ抗体及びHRP共役ロバ抗ウサギ抗体を用いて行った。吸光度は450nmで読み取った。
図5Bに示すように、可溶性メガリンM1及びM2断片のDBPへの結合は、25-ヒドロキシビタミンDに依存していた。より正確には、図9A及び図10Aに示すように、吸光度はビタミンD濃度に直線的に比例しており、この関係は、25(OH)VDBP又は24,25(OH)VDの濃度を増加させても影響を受けない(図9B、10B参照)。重要なことに、これらの実験は、三元複合体に基づく簡単で信頼性の高いビタミンD測定の原理を実証している。
実施例3
種々のメガリン可溶性断片の結合特性を、ヒト対象の血清及び血漿試料を用いた共免疫沈降により、さらに分析した。その結果を図6Aに示す。精製された可溶性メガリンM1タンパク質を、試料中に存在する可溶性メガリンM1断片及び内因性DBPとの相互作用を可能にするために、2つのヒト血清又は血漿試料と混合した。試料を、樹脂へのメガリンM1/DBPの相互作用を可能にするために、Ni-NTA樹脂でインキュベートした。樹脂を洗浄した後、結合した複合体を樹脂から溶出させ、ウエスタンブロット法でアッセイした。図6A(右)は、DBPが両方の試料に存在し、特異的な抗体を用いて検出することができたことを示す。図6A(左、上側ブロット)は、プルダウンされたDBPの存在によって示されるように、精製された可溶性メガリンM1断片が、全ての試料においてDBPと溶液中で相互作用したことを示す。注目すべきことに、血清のみを含むがメガリンタンパク質を含まない対照試料を使用しても、DBPは検出されなかった。精製メガリンM1タンパク質の存在は、抗6xHisタグ抗体を用いて、全ての試料において検出された(図6A、左、下側ブロット)。
要約すると、共免疫沈降は、DBP及び25(OH)Dの複合体が、適切な可溶性メガリン断片を用いて、特異的に結合し、血漿又は血清から単離され得ることを証明する。アミノ酸26-386及び1024-1429を有するメガリン部分は、DBP及び25(OH)Dとの三元複合体形成に関与することが示される。アミノ酸2698-R3192を有する外部メガリン領域は、記載された条件下では結合に加わらなかった。
本出願は、DBPの結合に使用できるメガリンの代表的なアミノ酸配列を含み、それらは、体液中のエンドサイトーシスビタミンD又は活性化可能なビタミンDの状態を決定するためにさらに使用され得る。「エンドサイトーシス及び1α-水酸化に利用可能なビタミンDの生理的状態」から「遊離ビタミンD」又は「総ビタミンD」を区別する必要がないため、エンドサイトーシス可能なビタミンDの状態は、「遊離ビタミンD」又は「総ビタミンD」の状態よりも優先される。従来の方法では、活性ホルモンへの処理準備が整った代謝物を分析することができないため、通常、生理的に関連するビタミンDの状態を決定することができない。このように、従来の方法では不十分であるのに対し、本研究では、腎臓及びおそらく他の組織で水酸化され得及び水酸化されるであろう循環プロホルモンの状態を対象とし、活性ホルモンを生成する。
実施例4
DBP、ビタミンD、メガリンの三元複合体(M1及びM2断片)の割合を詳細に測定するために、メガリンコートプレートを用いたELISAを開発した。血清試料中のDBPの総量は、市販のDBP用ELISAを用いて測定した。その結果を図6Bに示す。アッセイは、血清中のDBPの総量のわずかな割合(0.0028%)のみが、水酸化ビタミンDと結合しており、メガリンと結合し得ることを示す。メガリンM1断片を用いたアッセイでは、9.45ng複合体/mLの血清濃度値が得られた。メガリンM2断片の場合、約12.89ng複合体/mLの血清の値が得られた。これは、メガリン断片がプロホルモンとの複合体のときにDBPのみを行ったことを示す証拠である。このようにメガリンは、臨床試料中の生理的に活性化されたプロホルモン(DBPに結合している)を検出し及び定量するための手段と考えられ得る。
本発明者らは、ヒト血清中のメガリン、DBP及びビタミンD代謝物の間の三元複合体を誘導するために、精製DBP(DBP、約5~25ng/mL)の量を添加することが必要な場合があることに留意した。添加したDBPが三元複合体の形成に及ぼす影響を評価するために、精製したビタミンD結合タンパク質の量を増加させたELISAも実施した。その結果を図7Aに示す。血清試料(RMS)において、25ng/mLまでの用量範囲での精製DBPの添加は、精製可溶性メガリンM2断片への複合体DBP/VDの結合に影響を与えなかった。8.65ng/mLの初期値は、精製DBPの添加量とは無関係に変化しなかった。精製DBPを40ng/mLまで添加した場合、複合体-メガリン相互作用がわずかに増加したことが観察された。この限界を超えると、三元複合体が指数関数的に形成されるようになった。したがって、限界内では、DBP-VD-メガリンの三元複合体の測定された濃度は、添加された精製ビタミンD結合タンパク質の量に依存しない。
比較のために、異なる対象からの5つの血清試料(S3、S6、S8、S9、RMS)を分析し、全DBP(DBP)、25(OH)D及びDBP:25(OH)VD:M2の三元複合体の濃度を決定した。DBPはELISAにより測定した。25(OH)Dの含有量は、独立した研究機関により従来通り定量した。三元複合体DBP:25(OH)VD:M2メガリンを、本開示に従ってDBP:VD3:メガリンELISAにより分析した。比較のための結果を以下の表1にまとめた。
Figure 0007300452000011
健康対照(四分位間)範囲の現在の基準値は、i)血清DBP 193.5~4345.0μg/ml(中央値423.5μg/ml;354.1~586μg/ml)及びii)血清25(OH)D 30~100ng/mL(正常範囲)、20~30ng/ml(不足)、20ng/ml未満(欠乏)である。したがって、試料S3は25(OH)Dの正常濃度、S9は不足濃度、S8及びS6は欠乏濃度とした。すなわち、高い濃度から低い濃度に向かって、25(OH)D:S3>S9>S8>S6とした。その結果、ヒト血清中の総DBP濃度と25(OH)D濃度との間には相関性がないことが明らかになった。
異なる検体は異なる方法で測定されたため、直接の比較は厳密には不可能であるが、25(OH)D値と比較した場合、三元複合体DBP:25(OH)VD:M2メガリンの濃度の相関が試料中で見出だされることは注目に値する;25(OH)D濃度で決定されたものと同じく、高い濃度から低い濃度に向かって、三元複合体S3>S9>S8>S6。このことは、メガリンはプロホルモンが結合しているときにのみin vitroでDBPと相互作用するという考えをさらに支持し、循環におけるプロホルモンのバイオアベイラビリティを記述する生理的に活性なエンドサイトーシス可能ルなビタミンDの新しい状態を提供する。
25(OH)VD血清濃度及び三元複合体の間の相関をさらに分析した;図7Bのグラフを参照。25(OH)VD及びDBP:25(OH)VD:M2メガリンの血清濃度間の線形相関が決定され(R=0.8897)、この方法は、標準値と比較又は関連できる正確な情報を提供し得、対象の活性化可能なビタミンD状態の測定値を取得することを示す。
さらに、メガリンとDBP間の相互作用の直線性の範囲は、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)VD)、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)VDBP)及び24,25-ジヒドロキシビタミンD(24,25(OH)VD)について請求された方法を用いて調べられた。開示されているように、DBP:VD:メガリンの複合体のELISAを行った。簡単に言うと、精製メガリンM2断片でコーティングされたマイクロタイタープレートを、DBPと25(OH)VD、25(OH)VD又は24,25(OH)VDの連続希釈の混合物とインキュベートした。三元複合体の決定には、ポリクローナルウサギ抗DBP抗体及びHRP共役ロバ抗ウサギ抗体を使用した。その結果を図7Cに示す。全てのビタミンD代謝物について、アッセイは50ng/mlまで直線的であった。決定された感度限界は2.0ng/mlであった。
一方のDBPと25(OH)VD、25(OH)VD、24,25(OH)VD及び25(OH)Dの3C-エピマーと他方のメガリンの結合特性を、マイクロスケール熱泳動を使用してさらに調べた。結果を図8A、Bに示す。精製DBPを赤色蛍光色素NT-647で標識した。ビタミンD代謝物を異なる濃度で滴定した。解離定数Kdは相互作用相手ごとに計算した。結合親和性は、得られた解離定数Kdを用いて評価した。結果は、DBPと25(OH)VD(Kd=1.88+/-0.28nM)又は25(OH)VDBP(Kd=2.81+/-0.681nM)との相互作用親和性が同等であったのに対し、24,25(OH)VDとの相互作用はわずかに弱いように見えたことを示す。3C-epi25(OH)VDが最も強く結合した。
また、25(OH)VD、25(OH)VD又は24,25-24,25(OH)VD、25(OH)Dの3C-エピマー及びメガリンM2と相互作用したときのDBPの親和性をマイクロスケール熱泳動により解析した。その結果を図8Bに示す。精製DBP(50nM)を赤色蛍光色素NT-647で標識し、いずれかのビタミンD代謝物(37.8nM)と混合した。精製メガリンM2を異なる濃度で滴定した。解離定数Kdは、全ての条件について計算した。結合親和性は解離定数Kdで評価した。分析は、複合体DBP:25(OH)VDへのメガリンM2断片の結合親和性が、複合体DBP:25(OH)VD(Kd=160+/-22.7nM)又は-/DBP-24,25VD(Kd=171+/-24.6nM)よりもはるかに強い(Kd=33.7+/-20.7nM)ことを示す。3Cエピマーは非常に高い親和性を示したので、今後の検討が必要である。
これらの実験は、メガリンのDBPへの結合がプロホルモンと結合したときにのみ行われることを示す。この三元複合体は、タンパク質の定量のための任意の方法で検出し、定量され得る。上記の観点から、メガリンの使用は、生理的に活性化されたビタミンD、例えば25-ヒドロキシビタミンDの信頼性の高い測定を可能にし、これは循環中のビタミンDの最も活性な形態を表す。開示された方法は、食品サプリメント中のビタミンDBPの観点からも関連する他のビタミンD代謝物の示差測定を提供する。
メガリン又はその断片は、有効なビタミンDの状態を識別するために使用される。記載されたメガリン断片は、組換え法で容易に製造することができ、さらには化学的に合成されたものであってもよい。記載されたメガリン断片は、生理的に近い条件で使用できるように、水溶液に可溶性を保ったままであった。先行技術の方法で要求されるような、ビタミンDの結合パートナーからの放出の必要性はもはやない。したがって、ビタミンDの結合相手からの置換のための溶媒又は界面活性剤は不要である。したがって、ビタミンDの状態の測定は、非生理的化学物質によって妨げられることはないであろう。精製工程又はLC-MSのような時間及びコストのかかる技術は必要ない。効果的なビタミンDの状態を直接及び迅速に決定することができ、試料採取後すぐに行うことができる。開示された原理は、さらに、利用可能なプラットフォーム及びオートマットに容易に適合させることができる。
DBP以外のリガンドもメガリンに結合する可能性があることから、M2領域内の結合領域又はエピトープをさらに詳細にマッピングした。結果は、結合エピトープのために提供された配列に含有される。最小結合エピトープがさらに試験される。
実施例5
組換えメガリン断片の製造。メガリン(LRP2)cDNA断片は、Caco-2細胞(ヒト大腸癌上皮細胞)由来のmRNAを用いて、RT-PCRにより増幅させた。cDNA転写合成には、Maxima H Minus First strand cDNA合成キット(Thermo Scientific)を用いた。本キットは20kbまでのcDNAを合成し得る。オリゴdt18プライマー及び65Cを用いた。PCR反応には、Platinum PCR SupermixハイフィデリティPCRキット(Invitrogen)を使用した。メガリンM1 cDNA:1158bp;メガリンM2 cDNA:1215bp;メガリンM3 cDNA:1482bp。
メガリンcDNA断片をC末端HisタグでpcDNA3.1にクローニングし、クローニングしたプラスミドを哺乳類HEK293細胞にトランスフェクトした。ヒトLRP2/メガリン(配列番号09)のアミノ酸1024~1429の配列をコードするメガリンM2 cDNAを以下のクローニング戦略でクローニングし、シグナルペプチド(25アミノ酸)+E1024-K1429+6xHisタグを有する構築物を得た。PCRで生成した配列を用いてクローニングを行った。
ネオマイシン(G418、800μg/ml)を用いて安定な細胞株選択を行った。細胞培養上清又は細胞溶解物をNi-NTA樹脂で精製した。6xHis-タグを有するメガリンタンパク質M1、M2、M3断片の解析は、6xHis-タグに対する抗体(Cohesion Biosciences)を用いたウエスタンブロットにより行った。細胞培養上清又は細胞溶解物をNi-NTAアガロース(Thermo Fischer Scientific)で精製した。細胞溶解物又は培養上清(0.5~2mL)を、50μlの前平衡化Ni-NTA樹脂と4℃で一晩インキュベートした。樹脂をH-バッファー+20mMイミダゾールで3回洗浄した。メガリンタンパク質複合体を200mMイミダゾールを含むH-バッファーで溶出し、バッファーをPBS 1Xで交換した。タンパク質溶液は、使用前に凍結乾燥させるか、4℃で保存した。
断片M2は、ヒトDBPを結合するメガリンの領域であるM2領域内のメガリンリガンドの主要な結合エピトープについてさらにマッピングされた。他のメガリンリガンドの結合部位を除去し、ヒトDBPの結合のためのエピトープを同定した。そのためには、最小エピトープがメガリン以外のリガンドの結合エピトープと重ならないことが重要である。結果は以下の表の通りである。
Figure 0007300452000012
Figure 0007300452000013
ヒトDBPの結合のためのメガリンM2領域内の最小エピトープは、以下の表3に記載されている。
Figure 0007300452000014
実施例6
メガリン複合ELISA結合アッセイ。マイクロタイタープレートに可溶性精製メガリンM1又はM2断片(PBS1Xで希釈した1μg/100μl)をコーティングし、2時間、室温でインキュベートした。25-ヒドロキシビタミンD(VD)0、0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10、20ngを100μlのPBSで連続希釈し、それぞれ1μgのDBP(DBP)を混合した。この混合物を37℃で1時間インキュベートした。非特異的な結合部位をブロッキングバッファー(PBS1X中の1%BSA)で1時間室温でブロッキングした。DBP-VD混合物又は血清試料をメガリンコートウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。PBST-バッファー(PBS中の0.05% Tween 20)で洗浄後、100μlのウサギ抗DBP抗体(1:3500で希釈したブロッキングバッファー)を添加し、室温で2時間インキュベートした。PBSTで洗浄した後、HRP共役ロバ抗ウサギ第2抗体(ブロッキングバッファーで1:500希釈)100μlを添加し、37℃で1時間インキュベートした。100μlの基質試薬A+B(1:1)(R&D)を添加し、室温で30分間インキュベートした。その後、100μlの停止液をウェルに添加した。吸光度は450nmで読み取った。その値を、既知の25-ヒドロキシビタミンD濃度の標準値と比較した。
実施例7
組換え精製可溶性メガリン及びヒト血清からのDBPの共免疫沈降。Ni-NTA精製可溶性メガリンM1又はM2タンパク質断片(3μg)を、最初にヒト血清又は血漿試料(30μl)と混合した。これらの試料を50μlの前平衡化Ni-NTA樹脂で4℃で一晩インキュベートした。樹脂をH-バッファー+20mMイミダゾールで3回洗浄した。結合した複合体を200mMイミダゾールを含有するH-バッファーで溶出し、DBPに対するポリクローナルウサギ抗体(Abcam)を用いたウエスタンブロットで分析した。
実施例8
可溶性メガリンを用いたビタミンDの状態を決定するための免疫比濁法アッセイ。Ni-NTA精製可溶性メガリンM1又はM2タンパク質断片(3μg)を、最初にヒト血清又は血漿試料(30μl)と混合する。試料を50μlの前平衡化Ni-NTA樹脂で4℃で一晩インキュベートする。樹脂をH-バッファー+20mMイミダゾールで3回洗浄する。結合した複合体を200mMイミダゾール含有H-バッファーで溶出する。溶出した複合体をビタミンD結合タンパク質に対する抗体を水溶液に接触させる。濁度の増加は、標準の濁度計で測定され、既知の25-ヒドロキシビタミンD濃度の標準値と比較される。
あるいは、ナノ粒子、例えば、ラテックスナノ粒子(約150nm)、メガリンM1又はM2断片でコーティングされ、血清又は血漿試料とインキュベートされる。次に濁度の増加を測定し、既知の25-ヒドロキシビタミンD濃度の標準値と比較する。
実施例9
直線性の範囲を決定するためのELISA結合アッセイ。マイクロタイタープレートに、精製メガリンM1又はM2タンパク質断片(PBS1Xで希釈した1μg/100μl)を2時間、室温でインキュベートすることによりコーティングした。DBPと25-ヒドロキシビタミンD(VD)、25-ヒドロキシビタミンD(VD)又は24,25-ヒドロキシビタミンD(24,25VD)の混合物を、20μgのDBP及び100μlのPBS中の連続希釈VD(0、0.78、1.56、3.125、6.25、12.5、25、50ng)と混合することによって調製した。混合物を37℃で1時間インキュベートした。プレートブロッキング後、上記調製したDBP-VD混合物をメガリンコートウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。次いで、プレートを100μl希釈したウサギ抗DBP抗体(ブロッキングバッファーで希釈した1:1000)で2時間、室温でインキュベートし、次いで、100μlのHRP共役ロバ抗ウサギ抗体(ブロッキングバッファーで希釈した1:500)で37℃で1時間インキュベートした。基質反応後、450nmで吸光度を読み取った。アッセイは50ng/mlまで直線的であった。感度限界は2.0ng/mlとした。
実施例10
マイクロスケール熱泳動アッセイ。精製DBP(Merck,345802)をMonolith Protein Labeling Kit Red(NanoTemper Technologies,Munich,DE)を用いて赤色蛍光色素NT-647で標識した。Ni-NTA精製メガリン断片(M1、M2)を0.488~1000nmol/Lの範囲で滴定した。精製DBP(Merck,345802)を、Monolith Protein Labeling Kit Redを用いて赤色蛍光色素NT-647で標識した。25-ヒドロキシビタミンD(VD)を0.0488~100nmol/Lの範囲の濃度で滴定した。25-ヒドロキシビタミンD(VD)、24,25-ヒドロキシビタミンD(24,25VD)及び3epi25(OH)VDを0.0163~37nmol/Lの範囲の濃度で滴定した。50nMのNT-647標識DBPにVD、VD、24,25VDをそれぞれ37.8nM添加した。測定には、Monolith NT.115デバイス(NanoTemper Technologies)を使用した。解析には、NT解析ソフトウェアバージョン1.427(NanoTemper Technologies)を使用した。変数:レーザーパワー、100%;LED、80;レーザーのオンタイム、30秒;レーザーのオフタイム、5秒;温度、25℃。FNorm:正規化蛍光;Kd:解離定数。
ビタミンD代謝物のDBPに対する解離定数Kdから、結合親和性の順位は以下のようになった。3epi25(OH)VD3>25(OH)VD3≧25(OH)VD>24,25(OH)VD3>1,25(OH)VD3。DBP-VDの結合親和性はDBP-VDのKdに匹敵する。24,25(OH)VDのDBPへの結合はわずかに低い。25(OH)Dの3Cエピマーの高い結合親和性は驚くべきものであり、したがって、このエピマーは、他の理由のために有毒でない場合、食品サプリメントとして特に有用であると思われるので、さらなる調査を必要とするであろう。

Claims (13)

  1. 対象からの体液試料中のビタミンD及びその代謝物を測定する方法であって、前記体液試料は、内因性ビタミンD結合タンパク質(DBP)を含有し得、前記方法は、
    a)結合条件下で前記体液試料をメガリン及び/又はその断片と接触させてDBP、ビタミンD代謝物及びメガリン又はその断片を含む三元複合体を形成する工程と、
    b)メガリン又はその断片によって結合したDBPの量を測定する工程と、
    c)メガリン結合DBPの量を前記対象の前記ビタミンDの状態と関連付ける工程と、
    を含む、方法。
  2. メガリンの前記断片が、配列番号01~配列番号10のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、請求項に記載の方法。
  3. メガリンの前記断片が、アミノ酸配列番号1若しくは配列番号2又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. メガリンの前記断片が、ビタミンD結合タンパク質(DBP)のみと結合し、メガリンの他のリガンドのいずれとも結合しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 結合した前記ビタミンD代謝物を決定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 25-ヒドロキシビタミンD、24,25-ジヒドロキシビタミンD又は24,25-ジヒドロキシビタミンDの存在下で、25-ヒドロキシビタミンDを示差測定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 既知の量のビタミンD結合タンパク質を前記体液試料に添加することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記体液試料をキュービリン及び/又はその可溶性断片と接触させることをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. DBPとの前記三元複合体が、粒子増強免疫比濁法又はネフェロメトリーによって決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. DBPとの前記三元複合体が、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、FIA(蛍光イムノアッセイ)、L1A(発光イムノアッセイ)又はILMAの群から選択されるイムノアッセイによって決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. (a)固相に結合した規定量のメガリン及び/又はその可溶性断片を提供する工程と、
    (b)前記体液試料を、メガリン及び/又はその可溶性断を結合した前記固相と接触させる工程と、
    (c)ビタミンD結合タンパク質(DBP)及びビタミンD代謝物によって形成される複合体にメガリン及び/又はその可溶性断が結合することを可能にする条件を作成する工程であって、ビタミンD結合タンパク質(DBP)単独ではメガリン及び/又はその可溶性断片に結合しない工程と、前記固相を洗浄する工程と、
    (e)DBP、ビタミンD又はその代謝物及びメガリン又はその可溶性断片を含む前記三元複合体を認識する抗体を提供する工程と、
    (f)ビタミンD結合タンパク質(DBP)及びビタミンD代謝物に結合した前記メガリン及び/又はその可溶性断片を、前記抗体と接触させて免疫複合体を形成し、前記免疫複合体を前記固相上に固定化する工程と、
    (g)前記固相に結合した前記抗体の量を測定し、標準試料との相関により血漿又は血清である前記体液試料中の前記ビタミンD代謝物を定量する工程と、
    を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 体液試料中のビタミンD状態を決定する方法において使用するための試験キットであって、ビタミンD結合タンパク質(DBPに対する抗体及び任意選択で担体に結合された、メガリンの断片を含む、キット。
  13. 体液試料中のビタミンD代謝物を測定するための組成物であって、ビタミンD結合タンパク質(DBPのエピトープに対する抗体及びメガリンの断片を含む、組成物。
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