JP7299501B2 - 管内土計測方法および管内土計測システム - Google Patents

管内土計測方法および管内土計測システム Download PDF

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Description

本発明は、管内土計測方法および管内土計測システムに関する。
建築や土木構造物の基礎杭を押し込む圧入工法や回転圧入工法等では、先端を解放した開端杭を使用し、管の先端部より管内に侵入してきた土砂によって先端が塞がる先端閉塞によって先端支持力を発揮する工法である。すなわち、杭下端が解放された開端杭は地中に貫入するにともなって管内に土が侵入し、管内土の高さが増加するが、一定高さになると開端杭の内周壁と土の摩擦力によって先端閉鎖の効果が期待できる。そのため、先端閉塞を確認することは、先端支持力を発揮させるための重要な管理指標となっている。
このような管理指標として、開端杭を貫入させた深度に対して、管内土の高さ(図7に示す符号H10)を計測して、それらの経時的差分を算出することで先端閉塞の発生度合である先端閉塞度を評価することが可能である。
従来の施工中の開端杭の管内土の計測方法としては、例えば図7に示すように、作業者が開端杭100の杭頭部100aまで近づき、杭上部から錘101を先端に取り付けた巻尺102などを管内に吊り下げて、杭頭から管内土103の表面103aまでの距離を逐次計測して、施工前に計測しておいた開端杭の長さから杭頭から管内土103の表面103aまでの距離を差し引くことで管内土103の高さH100を計測する方法が知られている。また、開端杭100の上端が地表面から高い位置にある場合には、作業者は高所作業車に乗って計測作業を行っていた。
また、他の管内土の計測方法として、例えば特許文献1に示されるような、管内に光波距離計を設置して杭頭から管内土の上面までの距離を連続的に計測する方法も提案されている。
特許文献1には、鋼管杭内に着脱可能なクランプに取り付けた光波距離計をセットし、鋼管杭を地中に貫入する際に管内に侵入する土の高さを非接触で計測することで、先端を解放した開端杭の管内土の高さを計測する管内土計測方法が記載されている。
特開2000-230234号公報
しかしながら、従来の管内土計測方法では、以下のような問題があった。
すなわち、作業者が巻尺を用いて管内土の高さを計測する場合には、施工を中断して、高所作業車が開端杭に近づき、巻尺の先端を管内に落とし込み、数値を読み、巻尺を巻き上げ、高所作業車を退避させるという作業工程が必要となり、施工にかかる時間が増大するという問題があった。
また、上述した特許文献1に示されるように管内に光波距離計を設置して連続的に計測する方法では、地下水が管内に侵入している場合や管内に掘削時の粉塵等が飛散している場合などは計測精度が著しく低下するため、管内を排水する作業を実施したり、粉塵の飛散が収まるまで十分な時間待機したりしなければならないという問題があり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡単な作業により短時間で計測でき、かつ高い精度で管内土の高さを計測することができる管内土計測方法および管内土計測システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る管内土計測方法は、開端杭の管内土の高さを計測するための管内土計測方法であって、ワイヤ先端に計測用錘を備えたワイヤをワイヤ巻出機によって巻き下げ、又は巻き上げる工程と、前記ワイヤ巻出機の近傍の前記ワイヤの外周面を撮像カメラで所定の撮像間隔で連続的に撮影する工程と、前記撮像カメラで撮影した画像データより時間当たりの前記ワイヤの縒り目の移動個数をカウントする工程と、算出された前記縒り目の移動個数に基づいてワイヤ変位量を算出し、該ワイヤ変位量に基づいて前記管内土の高さを求める工程と、を有することを特徴としている。
また、本発明に係る管内土計測システムは、開端杭の管内土の高さを計測するための管内土計測システムであって、ワイヤ先端に計測用錘を備えたワイヤを巻き出し可能なワイヤ巻出機と、前記ワイヤ巻出機の近傍の前記ワイヤの外周面を所定の撮像間隔で連続的に撮影する撮像カメラと、前記撮像カメラで撮影した画像データより時間当たりの前記ワイヤの縒り目の移動個数をカウントする画像処理部と、前記画像処理部で算出された前記縒り目の移動個数に基づいて変位量を算出し、該ワイヤ変位量に基づいて前記管内土の高さを求める演算部と、を備えていることを特徴としている。
本発明では、ワイヤ巻出機を駆動してワイヤを巻き下げてワイヤの先端に取り付けた計測用錘を開端杭の管内土の表面に着底させるときに、巻き下げるワイヤを撮像カメラで所定の撮像間隔で連続的に撮影して複数の画像データを取得する。そして、複数の画像データより時間当たりのワイヤの縒り目の移動個数をカウントし、算出された縒り目の移動個数に基づいて変位量を算出して管内土の高さを求めることができる。
この場合には、ワイヤ巻出機を備えたクレーンを使用して管内土の高さを計測することが可能となる。そのため、本発明では、従来のように高所作業車を開端杭の近傍に設置して高所作業車に乗って計測する場合のように、一時的に回転圧入することで開端杭を貫入する施工を停止することなく、ワイヤの変位量から計測用錘の移動量を簡単な作業により短時間で計測することができる。
また、本発明では、計測用錘を管内土の表面に着底させる方法であり、さらに計測用錘をワイヤ先端に取り付けたワイヤの外周面の縒り目を撮像カメラで撮影する方法となるので、例えば管内土の表面に地下水が侵入している場合や掘削時の粉塵が生じている場合であってもワイヤの外周面を撮影して縒り目を確認することができるので、高い計測精度で管内土の高さを計測することができる。
さらに、本発明では、撮像カメラをワイヤ巻出機の近傍のワイヤの外周面を撮影できるように例えばクレーンの一部に簡単に着脱することができることから、使用するクレーンが変更になる場合であっても計測の準備に時間を要することなく、管内土の高さを計測することができる。
また、本発明に係る管内土計測方法は、前記ワイヤの横振れによる固有周期が計測可能に設けられ、前記計測用錘が前記管内土の表面に着底時の特有の前記ワイヤの固有周期を検出することにより、前記計測用錘が前記管内土の表面に着底したことを判断することを特徴としてもよい。
この場合には、計測用錘が管内土の表面に着底したときのワイヤは通常の風や施工機械の振動、ワイヤをワイヤ巻出機によって巻き下げ、又は巻き上げる際の振動の影響に伴う横振れよりも大きな横振れが発生し、ワイヤにおける着底時特有の固有周期となる。そのため、計測用錘が管内土の表面に着底したときに示す特有のワイヤの固有周期を検出したときに、計測用錘が管内土の表面に着底したものと判断することができる。このようにクレーン運転者から見えない管内土の表面への着底をクレーン運転者の判断に頼ることなく行えるので、より精度の高い計測を行うことができる。
また、本発明に係る管内土計測システムは、前記画像処理部では、撮像された前記画像データが白黒で画像処理され、前記縒り目が白色に表示され、前記縒り目同士の間が黒色に表示されることが好ましい。
本発明によれば、撮像カメラで撮影した画像データ中のワイヤの縒り目と、縒り目同士の間の部分との境界線が白黒表示で明確に表示されるので、縒り目の判別がつきやすくなり、縒り目の移動個数がカウントする画像処理をより精度よく行うことができる。また、例えばワイヤの外周面に水や油が付着している場合であってもワイヤの縒り目が白黒で判別し易くなる。
また、本発明に係る管内土計測システムは、前記撮像カメラは、前記ワイヤ巻出機の回転軸方向から撮影するように配置されていることを特徴としてもよい。
この場合には、ワイヤの巻き出し又は巻き取り時におけるワイヤがワイヤ巻出機の回転軸方向に移動することから、同じ回転軸方向から撮影するように配置される撮像カメラの撮像範囲からワイヤが外れることを防止できる。
本発明の管内土計測方法および管内土計測システムによれば、簡単な作業により短時間で計測でき、かつ高い精度で管内土の高さを計測することができる。
本発明の実施形態による管内土計測システムの構成を示す側面図である。 管内土計測システムの撮像カメラで撮影した画像の一例を示す図である。 管内土計測システムの画像処理装置を模式的に示したブロック図である。 (a)~(c)は、管内土計測システムによる管内土計測方法の作業手順を示す図である。 撮像カメラで撮影した複数の画像データを使用して画像処理部による処理方法を説明するための図である。 ワイヤ巻出機に対する撮像カメラの位置を説明するための図であって、(a)は回転軸に直交する方向から見た図、(b)は回転軸方向から見た図、(c)は回転軸に直交する方向から見た図である。 従来の管内土計測の作業状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態による管内土計測方法および管内土計測システムについて、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による管内土計測システム1は、先端が解放されている開端鋼管杭(以下、開端杭2という)の施工時又は施工完了時における管内土4の高さを、クレーン30によって計測用錘31を管内土4の上面に相当する表面4aに着底させて管内土の高さを計測する際に、クレーンワイヤ3の画像データ(後述する図2に示す符号D)を撮影することによって連続的に精度良く計測するシステムである。
開端杭2としては、円筒状に形成され、例えば回転圧入施工に用いる回転圧入杭であって、鋼管杭下端部の外周面に羽根(不図示)を設けた羽根付き鋼管杭を採用できる。開端杭2は、杭打ちハンマーによる打撃方式、圧入方式、又は回転圧入方式等によって地中に打込み施工される。本実施形態では、回転圧入機5を使用した回転圧入方式により施工される。回転圧入方式による開端杭2の施工では、開端杭2を地中に貫入すると、杭先端2b(図4(b)参照)から管内に土が侵入し、管内土4の高さが増すことにより杭先端2bを閉塞する作用が生じる。
ここで、図1に示す回転圧入機5は、開端杭2を外周側から把持した状態で油圧ジャッキにより下方に押し下げて地中に貫入し、順次、鋼管杭を継ぎ足しながら所定深さに打ち込む装置である。
管内土計測システム1は、クレーン30に設けられてワイヤ先端3bに計測用錘31を備えたクレーンワイヤ3を巻き出し可能なワイヤ巻出機32と、ワイヤ巻出機32の近傍(ワイヤ送出直後の位置)のクレーンワイヤ3の外周面3aを所定の撮像間隔で連続的に撮影する撮像カメラ6と、撮像カメラ6で撮影した複数の画像データD(図2参照)に基づいて管内土4の高さを求める画像処理装置10(図3参照)と、を備えている。
クレーン30は、周知のクローラからなる走行部33を備えた移動式クレーンであり、走行部33上に旋回可能なベース部34が設けられ、ベース部34上にブーム35、前記ワイヤ巻出機32、及び運転操作室36が装備されている。
クレーンワイヤ3は、数本から数10本の素線を縒り合わせて作ったストランド(縒り線)をさらに数本まとめて縒り合わせた構造であり、それぞれの縒り線はほぼ円柱形状をしている。つまり、クレーンワイヤ3としては、図2に示すように、一定の間隔(例えば50mmの縒り目間隔dで縒り目3Aが形成されたワイヤが使用されている。ここで、縒り目間隔dは、図2に示すように、クレーンワイヤ3を側方から見てワイヤ長方向に隣接するストランド同士の間隔をいう。
また、クレーンワイヤ3は、ワイヤ巻出機32に巻き付けられており、ブーム35の先端のシーブ35aを介してワイヤ先端3bが下げられている。ワイヤ先端3bには、フック37を介して計測用錘31が取り付けられている。計測用錘31は、例えば5kg程度の錘であればよいし、ワイヤ先端3bに設けられているフック37を計測用錘31としてもよい。なお、計測用錘31は、風速に対応した重量のものに変更してもよい。
撮像カメラ6は、ワイヤ巻出機32の近傍のベース部34に固定され、ワイヤ巻出機32の回転軸方向から撮影するように配置されている。撮像カメラ6では、図2に示すように、クレーンワイヤ3の外周面3aで複数の縒り目3Aを1枚の画像で撮影できるように設置されている。そして、撮像カメラ6によって、例えば0.02秒の撮像間隔で画像データDが取得される。
画像処理装置10は、図3に示すように、画像処理部11、演算部12、及び表示部13を有している。画像処理装置10は、コンピュータで実現するようにしてもよく、例えば図1に示すクレーン30の運転操作室36内に設けられていてもよいし、計測員が計測する開端杭2の近傍に移動可能なものであってもよい。
画像処理部11では、撮像カメラ6で一定の撮像間隔で撮影した画像データDが無線あるいは有線により伝送され、入力された画像データDに基づいて時間当たりのクレーンワイヤ3の縒り目3Aの移動個数をカウントする画像処理が行われる。
画像処理部11では、曇りや日照量など撮影条件に応じて大きな縒り目3Aと、大きな縒り目3A同士の間の判別がつきやすいように、コントラストや明るさを自動で調整する機能を有するようにしてもよい。例えば、画像処理部11において、撮像した画像データDを白黒で画像処理を行い、画像のコントラストや明るさを調整することで、大きな縒り目3Aを白色に表示し、大きな縒り目3A、3A同士の間を黒色で表示することができる。
演算部12は、画像処理部11で算出された縒り目3Aの移動個数に基づいてワイヤ速度を算出し、管内土4の高さを求める処理が行われる。演算部12は、演算回路および制御回路としてのCPU等のプロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより演算処理が行われる。
演算部12では、画像処理部11で得られた縒り目3Aの移動個数からクレーンワイヤ3の移動量である巻き下げ距離(ワイヤ先端3b(計測用錘31)の落下距離)に相当するワイヤ変位量を算出し、ワイヤ先端3bの計測用錘31の位置(図4(c)に示す管内土4の高さH0)が求められる。
なお、演算部12で得られた開端杭2の貫入中の管内土4の高さH0より、あらかじめ検証されている土質、管径等の条件と管内土4の高さH0の関係から開端杭2の閉塞率を推定することが可能である。さらに、この閉塞率により、開端杭2の先端抵抗力を評価することができる。
表示部13は、不図示の液晶ディスプレイ等であって、演算部12で求められた管内土4の高さH0や開端杭2の閉塞状態や先端抵抗力等の情報が表示される。
次に、上述した管内土計測システム1を使用して開端杭2の管内土4の高さH0を計測する処理手順について図面に基づいて具体的に説明する。なお、図4(a)~(c)では、見やすくするために図1に示す回転圧入機5を省略している。
図4(a)~(c)に示すように、管内土計測方法としては、ワイヤ先端3bに計測用錘31を備えたクレーンワイヤ3をワイヤ巻出機32によって巻き下げ、又は巻き上げる工程と、ワイヤ巻出機32の近傍のクレーンワイヤ3の外周面3aを撮像カメラ6で所定の撮像間隔で連続的に撮影する工程と、撮像カメラ6で撮影した画像データD(図2参照)より時間当たりのクレーンワイヤ3の縒り目3Aの移動個数をカウントする工程と、算出された縒り目3Aの移動個数に基づいてワイヤ速度を算出し、ワイヤ速度からワイヤ変位量を算出し、ワイヤ変位量に基づいて管内土4の高さH0を求める工程と、を有する。
具体的には、先ず、図4(a)、(b)に示すように、図1に示す回転圧入機5を使用して開端杭2を所定の深さまで打ち込む。そして、地表面Gを基準面とした基準高さを0mとする。クレーン30においてクレーンワイヤ3のワイヤ先端3bに取り付けた計測用錘31が地表面Gに着底させ、このときのクレーンワイヤ3の繰り出し長(基準長)を計測しておく。なお、基準面としては、地表面Gであることに限定されず、同じ条件で管内土4の高さを計測できれば、例えば地表面Gに露出している基礎等の構造物であってもかまわない。
ここで、地表面Gから開端杭2の杭先端2bまでの深さ、すなわち打込み深度H2は、開端杭2を回転圧入する施工機械(回転圧入機5)で計測される表示値、あるいは測量に基づく計測値により確認できる。
次に、図4(c)に示すように、計測用錘31をクレーンワイヤ3を巻き出すことによりクレーンワイヤ3とともに管内に下ろしていき、管内土4の表面4aに着底した瞬間を確認する。このときの計測用錘31の着底の確認方法としては、クレーン操作者がクレーンワイヤ3の弛みが生じたことを目視することで確認できる。このクレーンワイヤ3を巻き出して計測用錘31を下げる間、撮像カメラ6によってクレーンワイヤ3を連続的に、例えば毎秒60フレームを撮影する。
地表面Gから管内土4の表面4aの高さH5がわかれば、打込み深度H2との差から管内土4の高さH0(=H-H)を算出することができる。
また、事前に例えば2m程度で確実な距離を計測し、その範囲でクレーンを動かして画像計測をすることで、撮像した画像の明るさや濃淡の処理条件などをキャリブレーションを実施することで、より計測精度を高めることが可能である。
なお、クレーンワイヤ3の横振れによる固有周期が計測可能に設けられていてもよい。そして、クレーンワイヤ3の張力により固有周期が変化するため、計測用錘31が管内土4の表面4aに着底時の特有のクレーンワイヤ3の固有周期を検出することにより、計測用錘31が管内土4の表面4aに着底したことを判断するようにしてもよい。巻き上げロープのドラム(ワイヤ巻出機32)からブーム先端までの長さを自由部分L1とすると、計測用錘31が着底した場合、この自由部分L1の長さと着底の直前の張力に応じた固有周期を持って横方向に振動することから、着底したことを判断するものである。
次に、撮像カメラ6で取得した画像データDから管内土4の高さH0を算出する方法について説明する。
図3に示すように、撮像カメラ6で撮影した画像データDは、画像処理装置10の画像処理部11に伝送される。このとき、画像データDの伝送方法としては、リアルタイムで画像処理部11に送信するようにしてもよいし、計測用錘31を下げる工程1回ごとに、撮像カメラ6側の記憶領域に保存した画像データDを一括で送信してもよい。
続いて、画像処理部11において、図5に示すように、撮像カメラ6から入力された画像データDから時間当たりのクレーンワイヤ3の縒り目3Aの移動個数をカウントして、計測用錘31の落下距離を算出する。
図5は、画像処理方法の一例を示す図であり、0.02秒間隔で連続的に撮影された5枚の画像データD1~D5を示している。なお、図5は、時系列で紙面左から右の画像となる。これらの画像データD1~D5は、クレーンワイヤ3の巻き取り時であって、図5の紙面で下側にクレーンワイヤ3が移動している状態を撮影したものである。また、図5において、二点鎖線は画像の範囲を示し、一点鎖線E1、E2、E3はそれぞれの間隔が50mmである目盛りを示している。符号D1の画像1枚目(第1画像D1)とその0.02秒後に撮影された符号D2の画像2枚目(第2画像D2)の画像を比べると、最上部に位置する第1縒り目3Aaの下端位置P1は、第1画像D1から第2画像D2で25mmの移動量(ワイヤ変位量)であることが画像処理により確定される。そして、クレーンワイヤ3の巻上げ速度が一定であるので、第3画像D3、第4画像D4、及び第5画像においても同様に第1縒り目3Aaの下端位置P1が画像1枚ごとに25mmの移動量となっている。そして、第1縒り目3Aaの直下に位置する第2縒り目3Abの、さらに第2縒り目3Abの直下の第3縒り目3Acについても第1画像D1から第5画像D5まで1枚ずつ25mmだけ下方に移動している。つまり、5枚の画像で0.08秒の間に100mm各縒り目3Aが下方に移動している。
このように、画像処理部11では、縒り目3Aの移動個数がカウントされるとともに、縒り目3Aの移動量(ワイヤ変位量)が算出される。
次に、図3に示す演算部12において、画像処理部11で得られた縒り目3Aの移動数からクレーンワイヤ3の移動量である巻き下げ距離(ワイヤ先端3b(計測用錘31)の落下距離)に相当するワイヤ変位量を算出する。
そして、図4(b)及び(c)に示すように、地表面Gから管内土4の表面4aまでのワイヤ変位量H5が求められ、上述したように地表面Gから開端杭2の杭先端2bまでの距離(打込み深度H2)が計測されているので、その打込み深度H2からワイヤ変位量H5を差し引くことで管内土4の高さH0(開端杭2の杭先端2bから管内土4の表面4aまでの高さ)を演算することができる。例えば、上述したように前記打込み深度H2が5mであり、ワイヤ変位量H5が2mであるので、管内土4の高さH0は3mとなる。
次に、上述した管内土計測方法および管内土計測システムの作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による管内土計測方法および管内土計測システムでは、図4(a)~(c)に示すように、ワイヤ巻出機32を駆動してクレーンワイヤ3を巻き下げてワイヤ先端3bに取り付けた計測用錘31を開端杭2の管内土4の表面4aに着底させるときに、巻き下げるクレーンワイヤ3の外周面3aを撮像カメラ6で所定の撮像間隔で連続的に撮影して複数の画像データDを取得する。そして、複数の画像データDよりクレーンワイヤ3の縒り目3Aの移動個数をカウントし、算出された縒り目3Aの移動個数に基づいてワイヤ変位量を算出して管内土4の高さH0を求めることができる。
この場合には、ワイヤ巻出機32を備えたクレーン30を使用して管内土4の高さH0を計測することが可能となる。そのため、本実施形態では、従来のように高所作業車を開端杭2の近傍に設置して高所作業車に乗って計測する場合のように、一時的に回転圧入することで開端杭2を貫入する施工を停止することなく、クレーンワイヤ3の変位量から計測用錘31の移動量を簡単な作業により短時間で計測することができる。
また、本実施形態では、計測用錘31を管内土4の表面4aに着底させる方法であり、さらに計測用錘31をワイヤ先端3bに取り付けたクレーンワイヤ3の外周面3aの縒り目3Aを撮像カメラ6で撮影する方法となるので、例えば管内土4の表面4aに地下水が侵入している場合や掘削時の粉塵が生じている場合であってもクレーンワイヤ3の外周面3aを撮影して縒り目3Aを確認することができるので、高い計測精度で管内土4の高さを計測することができる。
また、本実施形態では、計測用錘31が管内土4の表面4aに着底したときのクレーンワイヤ3は通常の風や施工機械の振動、クレーンワイヤ3をワイヤ巻出機32によって巻き下げ、又は巻き上げる際の振動の影響に伴う横振れよりも大きな横振れが発生し、クレーンワイヤ3における着底時特有の固有周期となる。そのため、計測用錘31が管内土4の表面4aに着底したときに示す特有のクレーンワイヤ3の固有周期を検出したときに、計測用錘31が管内土4の表面4aに着底したものと判断することができる。このようにクレーン運転者から見えない管内土4の表面4aへの着底をクレーン運転者の判断に頼ることなく行えるので、より精度の高い計測を行うことができる。
また、本実施形態では、画像処理部11において、撮像された画像データDが白黒で画像処理される。そして、撮像カメラ6で撮影した画像データD中のクレーンワイヤ3の縒り目3Aと、縒り目3A、3A同士の間の部分との境界線が白黒表示で明確に表示されるので、縒り目3Aの判別がつきやすくなり、縒り目3Aの移動個数がカウントする画像処理をより精度よく行うことができる。しかも、例えばクレーンワイヤ3の外周面3aに水や油が付着している場合であってもクレーンワイヤ3の縒り目3Aが白黒で判別し易くなる。
また、本実施形態では、図6(a)~(c)に示すとおり、クレーンワイヤ3の巻き出し又は巻き取り時におけるクレーンワイヤ3がワイヤ巻出機32の回転軸方向X1に移動することから、同じ回転軸方向X1から撮影するように撮像カメラ6(図1参照)を配置することで撮像範囲を小さくすることができる。つまり、図6(c)に示すように、ワイヤ巻出機32の回転軸に直交する方向X2から撮影する撮像カメラ6で撮影する場合には、クレーンワイヤ3における回転軸方向X1の移動距離lが大きいため、撮像カメラ6の撮像範囲を広くする必要がある。一方、図6(b)に示す本実施形態のように回転軸方向X1から撮像カメラ6で撮影する場合には、撮影範囲で移動するクレーンワイヤ3の移動距離lが小さいため、撮影カメラの撮像範囲を小さくすることができ、カメラの必要性能、扱うデータ量を低く抑えることができる。
なお、管内土4の高さH0の算出としては他の方法も考えられる。図4(c)に示すように、開端杭2の上端2aより上方の位置を基準面とすべく計測用錘31を一旦停止し、計測用錘31をクレーンワイヤ3を巻き出すことによりクレーンワイヤ3とともに管内に下ろしていき、管内土4の表面4aに着底した位置までの高さH3を確認する。杭長H4は既知であることから、杭長H4と開端杭2の上端2aから管内土4の表面4aまでの高さH3との差から管内土4の高さH0(=H4-H3)を算定することができる。
上述した本実施形態による管内土計測方法および管内土計測システムでは、簡単な作業により短時間で計測でき、かつ計測精度を向上させることができる。
以上、本発明による管内土計測方法および管内土計測システムの実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、ワイヤ巻出機32が移動式のクレーン30に搭載されたものを対象としているが、このようなクレーンあることに限定されることはなく、ワイヤ巻出機単体で設けられていてもよい。
また、撮像カメラ6の取付け位置においても、上述した実施形態のようにワイヤ巻出機32の回転軸方向から撮影するように配置されていることに制限されることはない。
また、本実施形態では、開端杭2の貫入に回転圧入機5を採用しているが、他の工法による回転圧入方法を採用してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 管内土計測システム
2 開端杭
2a 上端
2b 杭先端
3 クレーンワイヤ(ワイヤ)
3a 外周面
3b ワイヤ先端
3A 縒り目
4 管内土
4a 表面
5 回転圧入機
6 撮像カメラ
10 画像処理装置
11 画像処理部
12 演算部
13 表示部
30 クレーン
31 計測用錘
32 ワイヤ巻出機
d 縒り目間隔
H0 管内土の高さ
G 地表面

Claims (5)

  1. 開端杭の管内土の高さを計測するための管内土計測方法であって、
    ワイヤ先端に計測用錘を備えたワイヤをワイヤ巻出機によって巻き下げ、又は巻き上げる工程と、
    前記ワイヤ巻出機の近傍の前記ワイヤの外周面を撮像カメラで所定の撮像間隔で連続的に撮影する工程と、
    前記撮像カメラで撮影した画像データより時間当たりの前記ワイヤの縒り目の移動個数をカウントする工程と、
    算出された前記縒り目の移動個数に基づいてワイヤ変位量を算出し、該ワイヤ変位量に基づいて前記管内土の高さを求める工程と、
    を有することを特徴とする管内土計測方法。
  2. 前記ワイヤの横振れによる固有周期が計測可能に設けられ、
    前記計測用錘が前記管内土の表面に着底時の特有の前記ワイヤの固有周期を検出することにより、前記計測用錘が前記管内土の表面に着底したことを判断することを特徴とする請求項1に記載の管内土計測方法。
  3. 開端杭の管内土の高さを計測するための管内土計測システムであって、
    ワイヤ先端に計測用錘を備えたワイヤを巻き出し可能なワイヤ巻出機と、
    前記ワイヤ巻出機の近傍の前記ワイヤの外周面を所定の撮像間隔で連続的に撮影する撮像カメラと、
    前記撮像カメラで撮影した画像データより前記ワイヤの縒り目の移動個数をカウントする画像処理部と、
    前記画像処理部で算出された前記縒り目の移動個数に基づいてワイヤ変位量を算出し、該ワイヤ変位量に基づいて前記管内土の高さを求める演算部と、
    を備えていることを特徴とする管内土計測システム。
  4. 前記画像処理部では、撮像された前記画像データが白黒で画像処理され、前記縒り目が白色に表示され、前記縒り目同士の間が黒色に表示されることを特徴とする請求項3に記載の管内土計測システム。
  5. 前記撮像カメラは、前記ワイヤ巻出機の回転軸方向から撮影するように配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の管内土計測システム。
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