JP7298182B2 - 時刻伝送装置および伝送方法 - Google Patents
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Description
図22の時刻伝送システムにおいては、PTPに対応したPTPノードであるGMノード82zと、BC(Boundary Clock)ノード83z,84zと、OC(Ordinary Clock)ノード85zとがネットワークで接続されている。
BCノード83zは、マスタノード91zであるGMノード82zから時刻情報を受けるスレーブノード92zであり、その後にBCノード84zに時刻情報を提供するマスタノード91zとして機能する。
OCノード85zは、BCノード84zから時刻情報を受けるスレーブノード92zであり、その後にエンド端末86zに時刻情報を提供する。
なお、BCノード83z,84zとOCノード85zとの呼び方の違いは、他PTPノードへの接続ポートがBCノード83z,84zには複数本存在し、OCノード85zには1本だけ存在することによる。
時刻情報としてタイムスタンプを付与したPTPパケットは、図23のようにマスタノード91zとスレーブノード92zとの間で送受信される。すなわち、PTPパケットとして下りのSyncメッセージ(S11z)と、下りのFollow-upメッセージ(S12z)と、上りのDelay_Requestメッセージ(S13z)と、下りのDelay_Responseメッセージ(S14z)とが順番に送受信される。
発時刻t3は、Delay_Requestメッセージがスレーブノード92zから送信された時刻である。
着時刻t4は、Delay_Requestメッセージがマスタノード91zに到着した時刻である。着時刻t4は、Delay_Requestメッセージに対するDelay_Responseメッセージに含めて、スレーブノード92zに通知される。
これにより、スレーブノード92zは、4つのタイムスタンプ(発時刻t1~着時刻t4)をすべて把握できる。
下り遅延Dmsは、マスタノード91z→スレーブノード92zの下り方向のSyncメッセージの伝搬遅延である。マスタノード91z側の時計に対するスレーブノード92z側の時計のずれをオフセット値とすると、下り遅延Dmsは次の式(1)により求めることができる。
Dms=(t2-Voffset)-t1 ・・・(1)
t2:着時刻
Voffset:オフセット値
t1:発時刻
Dsm=t4-(t3-Voffset) ・・・(2)
t4:発時刻
t3:着時刻
Voffset=((t2-t1)-(t4-t3))/2 ・・・(3)
(1)伝送経路途中の装置内のパケット処理によるバッファリングやフレーム処理による変動遅延の影響が考えられる。
(2)伝送路の温度変動に起因して物理的に光路長が変化し伝搬遅延が変動する。
(3)二芯の光伝送路を用いて双方向通信する場合には、上下方向の2本のファイバの長さの差に応じた誤差が発生する。実際には、長さの違いの1メートルあたり、5ナノ秒程度の誤差が生じる。
(4)一芯の光伝送路を用いて双方向通信する状況では、上りと下りで異なる波長の光信号を利用する場合に、波長分散に起因して遅延差が発生する。例えば、1500[nm]/1300[nm]の2波長でシングルモードファイバを用いて80[km]の距離を伝送する場合には、これらの波長間の遅延差が130[ns]となり、その半分の65[ns]の時刻同期誤差がPTPにおいて発生する。
つまり、上記の各要因により上り下りのリンク非対称性が生じると、PTPにおいて時刻オフセットに上り下りの遅延差に起因する同期誤差が発生してしまう。
遅延計測信号として、互いに異なる波長の複数の信号を前記伝送路に同時に送出する遅延計測信号生成部と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した伝搬遅延の最大値に所定値を加算した設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して待ち時間量を決定する遅延管理部と、
前記設定遅延を他ノードへ通知する遅延値通知部と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記待ち時間量だけ遅延して出力する可変遅延部と、
少なくとも前記時刻情報、前記遅延計測信号、および、所望の通信情報のうち何れかを周期的に選択して多重化した光間欠信号を、複数の波長の1つ以上を用いて生成する間欠信号生成部と、
受信信号に含まれる前記光間欠信号の中から、多重化された所望の信号を抽出する信号識別部と、
を備え、
それぞれが前記遅延計測信号生成部、前記遅延管理部、および前記可変遅延部を含む複数の独立した同期用モジュールが、複数ノードのそれぞれに接続されており、
前記同期用モジュールのうち、マスタノードに接続された第1の同期用モジュールが、複数のスレーブノードのそれぞれに接続された第2の同期用モジュールの前記各スレーブノードにおける前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理し、
前記第1の同期用モジュールは、前記マスタノードから前記各スレーブノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、前記各第2の同期用モジュールから収集し、
前記第1の同期用モジュールは、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、それ自身でスレーブノード毎に算出し、
前記第1の同期用モジュールは、送信する信号の種類毎に、前記伝搬遅延に基づいて算出した待ち時間量に関する情報を前記各第2の同期用モジュールに通知する、ことを特徴とする。
更に、この時刻伝送装置によれば、マスタ側の第1の同期用モジュールがスレーブ側の各ノードの前記伝搬遅延および前記設定遅延を把握できるので、スレーブ側の各ノードに信号が到着するタイミングをマスタ側で適切に制御できる。これにより、例えば同報配信型のサービストラヒックを望ましいタイミングで各スレーブノードに配信することが可能になる。
更に、この時刻伝送装置によれば、前記マスタノードから前記各スレーブノードに向かう下り方向の信号に対する伝搬遅延と、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう上り方向の信号に対する前記伝搬遅延とをマスタ側のノードで把握できる。また、適切な待ち時間量をスレーブ側の各ノードに通知することにより、各スレーブノードに到着した信号がそれぞれ目的とするタイミングで処理されるようにマスタ側で制御することが容易になる。
前記間欠信号生成部は、送信する信号毎の優先度の違いを反映して、入力される複数種類の信号をバッファリングし多重化する、
ことを特徴とする。
複数の他ノードのそれぞれを宛先とする同報通信情報を生成する同報通信機器との接続を許容する同報通信信号処理部を更に備え、
前記遅延管理部は、複数の他ノードのそれぞれについて、互いに独立した状態で前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理する、
ことを特徴とする。
前記第1の同期用モジュールと、複数の前記第2の同期用モジュールとが、リング状に形成された前記伝送路を介して互いに接続される、
ことを特徴とする。
前記第2の同期用モジュールは、前記第1の同期用モジュールから通知された前記待ち時間量に関する情報に基づいて、前記可変遅延部における遅延時間を、受信する信号の種類毎に決定する、
ことを特徴とする。
各ノード位置の光伝送装置が、互いに異なる波長の複数の信号を、遅延計測信号として前記伝送路に同時に送出する手順と、
少なくとも1つのノードに接続された光伝送装置が、前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した伝搬遅延の最大値に所定値を加算した設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して待ち時間量を決定する手順と、
前記光伝送装置が前記設定遅延を他ノードへ通知する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記各光伝送装置が前記待ち時間量だけ遅延して出力する手順と、
少なくとも1つのノードに接続された光伝送装置が、少なくとも前記時刻情報、前記遅延計測信号、および、所望の通信情報のうち何れかを周期的に選択して多重化した間欠信号を、複数の波長の1つ以上を用いて生成する手順と、
受信信号に含まれる前記間欠信号の中から、多重化された所望の信号を抽出する手順と、
を実行し、
複数ノードのそれぞれに接続された複数の独立した同期用モジュールが、
互いに異なる波長の複数の信号を、前記遅延計測信号として前記伝送路に同時に送出する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した前記伝搬遅延の最大値に所定値を加算した前記設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して前記待ち時間量を決定する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記待ち時間量だけ遅延して出力する手順と、
を実行し、
前記同期用モジュールのうち、マスタノードに接続された第1の同期用モジュールが、前記マスタノードから各スレーブノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、複数の前記スレーブノードのそれぞれに接続された各第2の同期用モジュールから収集する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、それ自身でスレーブノード毎に算出する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、送信する信号の種類毎に、前記伝搬遅延に基づいて算出した待ち時間量に関する情報を前記各第2の同期用モジュールに通知する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、前記各スレーブノードにおける前記第2の同期用モジュールの前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理する手順と、
を実行することを特徴とする。
更に、この伝送方法によれば、マスタ側の第1の同期用モジュールがスレーブ側の各ノードの前記伝搬遅延および前記設定遅延を把握できるので、スレーブ側の各ノードに信号が到着するタイミングをマスタ側で適切に制御できる。これにより、例えば同報配信型のサービストラヒックを望ましいタイミングで各スレーブノードに配信することが可能になる。
更に、この伝送方法によれば、前記マスタノードから前記各スレーブノードに向かう下り方向の信号に対する伝搬遅延と、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう上り方向の信号に対する前記伝搬遅延とをマスタ側のノードで把握できる。また、適切な待ち時間量をスレーブ側の各ノードに通知することにより、各スレーブノードに到着した信号がそれぞれ目的とするタイミングで処理されるようにマスタ側で制御することが容易になる。
<通信システムの構成例-1>
通信システムの基本的な構成例を図1に示す。
図1に示した通信システムにおいては、マスタノード3とスレーブノード4との間が光伝送路7Aを介して物理的に接続されている。光伝送路7Aは、1本又は2本以上の芯線で構成される光ファイバである。
例えば、1500[nm]/1300[nm]の2波長でシングルモードファイバを用いて80[km]の距離を伝送する場合には、これらの波長間の遅延差が130[ns]となり、その半分の65[ns]の時刻同期誤差がPTPにおいて発生する。
図1に示したような通信システムにおける各部の遅延時間および待ち時間の例を図2に示す。
Wms=Dx-Dms ・・・(4)
Wsm=Dx-Dsm ・・・(5)
但し、温度変化などに伴って伝搬遅延Dms、Dsmの変動が見込まれるので、例えば定期的に伝搬遅延Dms、Dsmを実測し、待ち時間量Wms、Wsmを修正する必要がある。
現実的な通信システムの構成例を図3に示す。図3に示した通信システムは、PTPのような時刻同期信号と、例えば放送型サービスを実施する場合の同報通信のデータとの両方を収容できるように構成されている。
マスタノード側に配置される光伝送装置1の構成例を図4に示す。図4に示した光伝送装置1は、図1に示した通信システムに対応した機能を搭載している。
なお、光伝送路7Aにおける芯線の波長分散係数、および温度情報については既知であることを前提として遅延を算出する。
<スレーブ側の光伝送装置の構成例-1>
スレーブノード側に配置される光伝送装置2の構成例-1を図5に示す。図5に示した光伝送装置2は、図1に示した通信システムに対応した機能を搭載している。
光伝送装置2内のトランスポンダ91、マルチプレクサ92、デマルチプレクサ93、光クロスコネクト94、光増幅器95、96、光監視部97の各機能は、上述の光伝送装置1の場合と同様である。
スレーブノード側に配置される光伝送装置2Aの構成例-2を図6に示す。図6に示した光伝送装置2Aは、図3に示した通信システムに対応した機能を搭載している。すなわち、図3に示したスレーブ側の各光伝送装置2A-1、2A-2、2A-3が、図6の光伝送装置2Aと同様にそれぞれ構成される。
図3に示したマスタ側の光伝送装置1Aの構成については、同期用モジュール20Aの代わりとして、マスタの機能に対応した同期用モジュール10Aを搭載する点を除き、図6の光伝送装置2Aと同様である。
複数の同期用モジュールの接続例を図7に示す。すなわち、図3に示した構成の通信システムにおいては、マスタ側の同期用モジュール10Aと、スレーブ側の複数の同期用モジュール20A-1、20A-2、20A-3とが図7のように互いに通信可能な状態で接続される。
図7に示した同期用モジュール10A、20A-1、20A-2、および20A-3は、それぞれ図3に示した光伝送装置1A、2A-1、2A-2、および2A-3に内蔵されている。
マスタノード側に配置される同期用モジュール10Aの構成例を図8に示す。
図8に示した同期用モジュール10Aは、送信処理部10Aa、受信処理部10Ab、複数の共通部98-1、98-2、98-3、スイッチ部(SW)13、クロックタイマ14、および環境情報管理部15を備えている。
トリガ付与部11e、11fは、複数波長間の遅延差を検出するために用いる独自パケットに対して、検出用のトリガを付与する。
遅延演算部12fは、時間差検出部12eが検出した到着時間差Δt21を利用して、スレーブからマスタに向かう上り方向の距離(光路長)Lsmを算出する。更に、上り方向の伝搬遅延Dsmを算出する。この計算の詳細は後で説明する。
Wsm=Dx-Dsm ・・・(6)
これにより、スレーブ側の送信元から送出された光信号は、伝搬遅延Dsmだけ遅延して同期用モジュール10Aに到着した後、可変遅延部12jで更に待ち時間量Wsmだけ遅延する。したがって、可変遅延部12jの出力においては、光伝送路7A、7Bの上り下りの非対称性とは無関係に、上り下りで共通の設定遅延Dxの時間だけ遅延した状態で受信信号を処理できる。つまり、ノード間の時刻同期を高精度で行うことができる。また、この設定遅延Dxを想定される最大遅延Dmaxよりも大きい値に定めることにより、温度変化による光路長の変動があっても、時刻同期の精度を維持できる。
スレーブノード側に配置される同期用モジュール20Aの構成例を図9に示す。
図9に示した同期用モジュール20Aは、送信処理部20Aa、受信処理部20Ab、複数の共通部98-1、98-2、98-3、デマルチプレクサ(DEMUX)16、可変遅延部12k、クロックタイマ14、および環境情報管理部15を備えている。
なお、PONの規定を活用して通信する場合には、上りはバースト信号であるが、下りは連続信号になる。したがって、その場合はスレーブ側で下りの信号を受信する光レシーバ12c、12dがバースト動作に対応したデバイスでなくてもよい。
また、遅延演算部12fは時間差検出部12eが検出した到着時間差Δt12を利用して、マスタからスレーブに向かう下り方向の距離(光路長)Lmsを算出する。更に、下り方向の伝搬遅延Dmsを算出する。この計算の詳細は後で説明する。
Wms=Dx-Dms ・・・(7)
これにより、マスタ側の送信元から送出された光信号は、伝搬遅延Dmsだけ遅延して同期用モジュール20Aに到着した後、可変遅延部12jで更に待ち時間量Wmsだけ遅延する。したがって、可変遅延部12jの出力においては、光伝送路7A、7Bの上り下りの非対称性とは無関係に、上り下りで共通の設定遅延Dxだけ遅延した状態で受信信号を処理できる。つまり、ノード間の時刻同期を高精度で行うことができる。また、この設定遅延Dxを想定される最大遅延Dmaxよりも大きい値に定めることにより、温度変化による光路長の変動があっても、時刻同期の精度を維持できる。
2つの同期用モジュール10、20間を接続する伝送路と伝搬遅延との関係の例を図10に示す。また、マスタ側が伝送路に送出する2波長の光信号の例を図11Aに示す。伝送路からスレーブ側に到着した2波長の光信号の例を図11Bに示す。スレーブ側が伝送路に送出する2波長の光信号の例を図11Cに示す。伝送路からマスタ側に到着した2波長の光信号の例を図11Dに示す。
(a1)各時刻同期装置5、6と各同期用モジュール10、20間の光ファイバペア、および各同期用モジュール10、20とマルチプレクサ92、デマルチプレクサ93間の光ファイバ群は等長である。
(a2)光ファイバの波長分散係数C[ps/nm/km]は既知、各同期用モジュール10、20間の距離(光路長)Lms、Lsmは未知である。
(a3)温度は既知である。
(b1)マスタ側の同期用モジュール10が異なる2つの波長を同時に使い、遅延測定用の独自パケットを送出端光信号P1A、P1Bとして図11Aのように同時に下り伝送路7Amsに送出する。
(b2)この場合、同期用モジュール20に到着する2波長の受信端光信号P2A、P2Bは、図11Bのように時間差Δt12[ps]だけずれる。このずれは波長分散に起因する。
t12=C×Δλ×Lms ・・・(8)
C:波長分散係数
Δλ:2波長の波長差
(b3)同期用モジュール20が、2波長の受信端光信号P2A、P2Bの到着時間差として時間差Δt12を計測する。
(b4)同期用モジュール20が、上記式(8)の関係を利用して下り方向の距離Lmsを算出する。
(b5)例えば、次の式(9)に基づき同期用モジュール20が伝搬遅延Dmsを算出する。
Dms=5000[ns/km]×Lms[km]×K1 ・・・(9)
K1:温度補正係数
(b6)スレーブ側の同期用モジュール20が異なる2つの波長を同時に使い、遅延測定用の独自パケットを送出端光信号P3A、P3Bとして図11Cのように同時に上り伝送路7Asmに送出する。
(b7)この場合、同期用モジュール10に到着する2波長の受信端光信号P4A、P4Bは、図11Dのように時間差Δt21[ps]だけずれる。このずれは波長分散に起因する。
t21=C×Δλ×Lsm ・・・(10)
(b8)同期用モジュール10が、2波長の受信端光信号P4A、P4Bの到着時間差として時間差Δt21を計測する。
(b9)同期用モジュール10が、上記式(10)の関係を利用して上り方向の距離Lsmを算出する。
(b10)次の式(11)に基づき同期用モジュール20が伝搬遅延Dsmを算出する。
Dsm=5000[ns/km]×Lsm[km]×K1 ・・・(11)
-<時刻同期のための処理手順>
図3に示した通信システムにおいて時刻同期を実施する場合の動作手順の概要を図12に示す。実際には、マスタノード3Aの光伝送装置1A内の同期用モジュール10Aが図12中の各ステップS31、S34、S35、S12、S23A、およびS23Bの処理を行う。また、スレーブノード4Aの光伝送装置2A-1内の同期用モジュール20Aが図12中の各ステップS32、S33、S36、S13、およびS22の処理を行う。スレーブノード4Bの光伝送装置2A-2についても同様である。
図12に示した処理手順は、大きく分けて、準備フェーズS30と、PTPパケット処理フェーズS10、S20とで構成されている。具体的には、準備フェーズS30は伝搬遅延Dms、Dsmの情報を収集するための処理である。PTPパケット処理フェーズS10は、PTPにおける「Sync」、「Follow-up」、「Delay-res」の各処理に対応し、PTPパケット処理フェーズS20は、PTPにおける「Delay-Req」の処理に対応する。ここで、上り下りの非対称性を補正するために必要な特別な準備フェーズS30をPTPパケット処理フェーズS10、S20の前に実行する点に大きな特徴がある。
スレーブ側の各光伝送装置2A-1、2A-2は、それぞれ、ステップS32の処理結果に基づき、次のステップS33の「送信側処理A」で2波長光信号P02を送信する。この2波長光信号P02は、複数波長を含む光伝送路7Bの上り回線を利用して、同時にマスタノード3Aの光伝送装置1Aに送られる。
マスタ側の光伝送装置1Aは、ステップS35の「送信側処理B」で、2波長光信号P03を送信する。この2波長光信号P03は、マスタ側の光伝送装置1Aが決定した設定遅延Dxの情報をスレーブ側に通知するために利用される。
マスタノード3に接続されている時刻同期装置5は、ステップS11でPTPパケットを光伝送装置1Aに送信する。
また、マスタ側の光伝送装置1Aは、2波長光信号P22でPTPパケットを受信すると、ステップS23Bの「受信側処理C」でPTPパケットを時刻同期装置5に送信する。時刻同期装置5はステップS24Bで光伝送装置1AからのPTPパケットを受信する。
図12中のステップS31の詳細を図13に示す。図13に示した処理について以下に説明する。
可変波長トランスミッタ11g、11hは、ステップS314で入力された遅延算出用の独自パケットをそれぞれ光信号に変換し、2波長光信号P01として同時に出力する。
図12中のステップS32の詳細を図14に示す。図14に示した処理について以下に説明する。
光伝送装置2又は2A-1、2A-2内の同期用モジュール20Aの中には、図14に示した光カプラ12a、12b、時間差検出部12e、遅延演算部12f、遅延管理部12hが含まれている。これらが、以下に説明するように図14の処理を行う。
時間差検出部12eは、光カプラ12a、12bから入力される2波長の光信号の波形ピーク位置、すなわちトリガ付与された位置の到着時間差をステップS322で検出する。
遅延管理部12hは、遅延演算部12fが算出した下り方向の伝搬遅延Dmsを、ステップS324で受け取って保持し管理する。
図12中のステップS33の詳細を図15に示す。図15に示した処理について以下に説明する。
光伝送装置2又は2A-1、2A-2内の同期用モジュール20Aに含まれている遅延管理部12h、コピー部11b、MUX・キュー部11c、11d、トリガ付与部11e、11f、可変波長トランスミッタ11g、11hが、以下に説明するように図15の処理を行う。
コピー部11bは、ステップS332で入力された遅延算出用の独自パケットをコピーして2つの同じパケットを作り、これらを同時にMUX・キュー部11c、11dの入力に与える。
可変波長トランスミッタ11g、11hは、ステップS334で入力された遅延算出用の独自パケットをそれぞれ光信号に変換し、2波長光信号P02として同時に出力する。
図12中のステップS34の詳細を図16に示す。図16に示した処理について以下に説明する。
マスタ側の光伝送装置1又は1A内の同期用モジュール10Aに含まれている光カプラ12a、12b、時間差検出部12e、遅延演算部12f、遅延管理部12h、遅延量制御部12i、光レシーバ12c、12dが、以下に説明するように図16の処理を行う。
時間差検出部12eは、光カプラ12a、12bから入力される2波長の光信号の波形ピーク位置、すなわちトリガ付与された位置の到着時間差をステップS342で検出する。
遅延管理部12hは、遅延演算部12fが算出した上り方向の伝搬遅延Dsmを、ステップS344で受け取って保持し管理する。
遅延管理部12hは、2つの伝搬遅延Dsm、Dmsの両方の保持が完了したか否かをステップS346で識別する。そして、両方の保持が完了した場合は、次のステップS347で設定遅延Dxを決定する。すなわち、2つの伝搬遅延Dsm、Dmsの中で大きい方の値を最大遅延Dmaxとし、それに余裕分を加算した結果を設定遅延Dxとする。遅延量制御部12iは、遅延管理部12hが決定した設定遅延DxをステップS348で保持する。
なお、各ステップS347、S348で、設定遅延Dxの代わりに、最大遅延Dmaxをそのまま採用し、これに基づいて待ち時間量Wms、Wsmを決定してもよい。
図12中のステップS35の詳細を図17に示す。図17に示した処理について以下に説明する。
コピー部11bは、ステップS352で入力された設定遅延Dxの情報を含む通知用の独自パケットをコピーして2つの同じパケットを作り、これらを同時にMUX・キュー部11c、11dの入力に与える。
可変波長トランスミッタ11g、11hは、ステップS354で入力された通知用の独自パケットをそれぞれ光信号に変換し、2波長光信号P03として同時に出力する。
図12中のステップS36の詳細を図18に示す。図18に示した処理について以下に説明する。
選択識別部12gは、ステップS363で光レシーバ12c、12dから入力された2つのパケットの一方を選択する。選択された一方のパケットは遅延管理部12hに入力される。
遅延量制御部12iは、遅延管理部12hから入力された設定遅延Dxの情報を取得して保持する。
図12中のステップS12の詳細を図19に示す。図19に示した処理について以下に説明する。
図12中のステップS13の詳細を図20に示す。図20に示した処理について以下に説明する。
遅延演算部12fは、時間差検出部12eが検出した到着時間差に基づいて、ステップS133で下り方向の伝搬遅延Dmsを算出する。遅延演算部12fが算出した伝搬遅延Dmsの情報は遅延管理部12hに入力される。
Wms=Dx-Dms ・・・(12)
図3に示した通信システムにおいて同報通信を実施する場合の動作手順の概要を図21に示す。実際には、マスタノード3Aの光伝送装置1A内の同期用モジュール10Aが図21中の各ステップS31、S34、S35A、およびS12Aの処理を行う。また、スレーブノード4Aの光伝送装置2A-1内の同期用モジュール20Aが図21中の各ステップS32、S33、S36A、およびS13Aの処理を行う。スレーブノード4Bの光伝送装置2A-2についても同様である。
図21に示した処理手順は、大きく分けて、事前準備S30Aと、同報通信サービストラヒック収容処理S10Aとで構成されている。ここで、光伝送路7Bにおける上り下りの非対称性の補正を可能にすると共に、光バースト信号を活用して、伝送する光信号の同じ波長を時刻同期用の信号伝送と、同報パケットの伝送とで共用できるように構成した点に大きな特徴がある。
スレーブ側の各光伝送装置2A-1、2A-2は、それぞれ、ステップS32の処理結果に基づき、次のステップS33の「送信側処理A」で2波長光信号P02を送信する。この2波長光信号P02は、複数波長を含む光伝送路7Bの上り回線を利用して、同時にマスタノード3Aの光伝送装置1Aに送られる。
マスタ側の光伝送装置1Aは、ステップS35Aの「送信側処理B2」で、2波長光信号P03Aを送信する。この2波長光信号P03Aは、マスタ側の光伝送装置1Aが決定した設定遅延Dx2の情報をスレーブ側に通知するために利用される。
例えば図3に示した通信システムにおいて、各ノードの光伝送装置1A、2A-1、2A-2、2A-3は、同期用モジュール10A又は20Aを搭載している。マスタ側の同期用モジュール10Aは、例えば図12のステップS31における「送信側処理A」で遅延計測のための2波長光信号P01を送出する。このステップS31が「遅延計測信号生成部」に相当する。
また、同期用モジュール10A内のMUX・キュー部11c、11dは、「間欠信号生成部」である。すなわち、共通部98-1から時刻情報として入力されるPTPパケットと、遅延計測信号としてコピー部11bから入力される独自パケットと、スイッチ部13から入力される同報通信用のパケットとの何れかを選択し、多重化した光間欠信号を、複数の波長の1つ以上を用いて生成する。
また、同期用モジュール20A内の選択識別部12g、すなわち「信号識別部」は、受信信号に含まれる前記光間欠信号の中から、多重化された所望の信号を抽出する機能を有している。
3,3A マスタノード
4,4A,4B,4C スレーブノード
5,6,6-1,6-2,6-3 時刻同期装置
7A,7B 光伝送路
7Ams 下り伝送路
7Asm 上り伝送路
7Ba,7Bb 伝送路接続端
8A,8B-1,8B-2,8B-3 同報通信用サービス機器
10,10A,20,20A,20A-1,20A-2 同期用モジュール
10Aa,20Aa 送信処理部
10Ab,20Ab 受信処理部
11a,11b コピー部
11c,11d MUX・キュー部
11e,11f トリガ付与部
11g,11h 可変波長トランスミッタ
12a,12b 光カプラ
12c,12d 光レシーバ
12e 時間差検出部
12f 遅延演算部
12g 選択識別部
12h 遅延管理部
12i 遅延量制御部
12j,12k 可変遅延部
13 スイッチ部
14 クロックタイマ
15 環境情報管理部
16 デマルチプレクサ
91,91A,91B トランスポンダ
92,92A,92B マルチプレクサ
93,93A,93B デマルチプレクサ
94,94A 光クロスコネクト
95,95A,95B,96,96A,96B 光増幅器
97,97A,97B 光監視部
98,98-1,98-2,98-3 共通部
Dms,Dsm 伝搬遅延
Dx 設定遅延
P1A,P1B,P3A,P3B 送出端光信号
P2A,P2B,P4A,P4B 受信端光信号
P01,P02,P03,P11,P22 2波長光信号
Claims (6)
- 下り及び上りの双方向に光通信が可能な伝送路上の何れかのノード位置に接続される光伝送部と、複数ノード間の時刻ずれを補正するための時刻情報を複数ノード間で伝送する時刻同期部とを有する時刻伝送装置であって、
遅延計測信号として、互いに異なる波長の複数の信号を前記伝送路に同時に送出する遅延計測信号生成部と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した伝搬遅延の最大値に所定値を加算した設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して待ち時間量を決定する遅延管理部と、
前記設定遅延を他ノードへ通知する遅延値通知部と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記待ち時間量だけ遅延して出力する可変遅延部と、
少なくとも前記時刻情報、前記遅延計測信号、および、所望の通信情報のうち何れかを周期的に選択して多重化した光間欠信号を、複数の波長の1つ以上を用いて生成する間欠信号生成部と、
受信信号に含まれる前記光間欠信号の中から、多重化された所望の信号を抽出する信号識別部と、
を備え、
それぞれが前記遅延計測信号生成部、前記遅延管理部、および前記可変遅延部を含む複数の独立した同期用モジュールが、複数ノードのそれぞれに接続されており、
前記同期用モジュールのうち、マスタノードに接続された第1の同期用モジュールが、複数のスレーブノードのそれぞれに接続された第2の同期用モジュールの前記各スレーブノードにおける前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理し、
前記第1の同期用モジュールは、前記マスタノードから前記各スレーブノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、前記各第2の同期用モジュールから収集し、
前記第1の同期用モジュールは、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、それ自身でスレーブノード毎に算出し、
前記第1の同期用モジュールは、送信する信号の種類毎に、前記伝搬遅延に基づいて算出した待ち時間量に関する情報を前記各第2の同期用モジュールに通知する、
時刻伝送装置。 - 請求項1に記載の時刻伝送装置において、
前記間欠信号生成部は、送信する信号毎の優先度の違いを反映して、入力される複数種類の信号をバッファリングし多重化する、
時刻伝送装置。 - 請求項1に記載の時刻伝送装置において、
複数の他ノードのそれぞれを宛先とする同報通信情報を生成する同報通信機器との接続を許容する同報通信信号処理部を更に備え、
前記遅延管理部は、複数の他ノードのそれぞれについて、互いに独立した状態で前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理する、
時刻伝送装置。 - 請求項1に記載の時刻伝送装置において、
前記第1の同期用モジュールと、複数の前記第2の同期用モジュールとが、リング状に形成された前記伝送路を介して互いに接続される、
時刻伝送装置。 - 請求項1に記載の時刻伝送装置において、
前記第2の同期用モジュールは、前記第1の同期用モジュールから通知された前記待ち時間量に関する情報に基づいて、前記可変遅延部における遅延時間を、受信する信号の種類毎に決定する、
時刻伝送装置。 - 下り及び上りの双方向に光通信が可能な伝送路上の何れかのノード位置に接続される複数の光伝送装置の間で、複数ノード間の時刻ずれを補正するための時刻情報を伝送するための伝送方法であって、
各ノード位置の光伝送装置が、互いに異なる波長の複数の信号を、遅延計測信号として前記伝送路に同時に送出する手順と、
少なくとも1つのノードに接続された光伝送装置が、前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した伝搬遅延の最大値に所定値を加算した設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して待ち時間量を決定する手順と、
前記光伝送装置が前記設定遅延を他ノードへ通知する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記各光伝送装置が前記待ち時間量だけ遅延して出力する手順と、
少なくとも1つのノードに接続された光伝送装置が、少なくとも前記時刻情報、前記遅延計測信号、および、所望の通信情報のうち何れかを周期的に選択して多重化した間欠信号を、複数の波長の1つ以上を用いて生成する手順と、
受信信号に含まれる前記間欠信号の中から、多重化された所望の信号を抽出する手順と、
を実行し、
複数ノードのそれぞれに接続された複数の独立した同期用モジュールが、
互いに異なる波長の複数の信号を、前記遅延計測信号として前記伝送路に同時に送出する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの前記遅延計測信号における複数波長間の到着時間差に基づいて算出した前記伝搬遅延の最大値に所定値を加算した前記設定遅延を決定し、前記設定遅延から前記伝搬遅延を減算して前記待ち時間量を決定する手順と、
前記伝送路を介して受信した他ノードからの信号を、前記待ち時間量だけ遅延して出力する手順と、
を実行し、
前記同期用モジュールのうち、マスタノードに接続された第1の同期用モジュールが、前記マスタノードから各スレーブノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、複数の前記スレーブノードのそれぞれに接続された各第2の同期用モジュールから収集する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、前記各スレーブノードから前記マスタノードに向かう方向の信号に対する前記伝搬遅延の情報を、それ自身でスレーブノード毎に算出する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、送信する信号の種類毎に、前記伝搬遅延に基づいて算出した待ち時間量に関する情報を前記各第2の同期用モジュールに通知する手順と、
前記第1の同期用モジュールが、前記各スレーブノードにおける前記第2の同期用モジュールの前記伝搬遅延および前記設定遅延を管理する手順と、
を実行する伝送方法。
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