JP7298180B2 - 車両の走行制御方法及び走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両の走行を制御するための走行制御方法及び走行制御装置に関する。
従来の車両の走行制御装置は、自車両の現在の操舵角度に基づいて、前方注視点において自車両が到達すると推定される推定横位置を算出する。そして、走行制御装置は、操舵アシスト量及びそれに応じた加減速指令値を算出するために、推定横位置における目標進行路からの横変位量及び横変位速度を算出する(特許文献1)。
国際公開第2016/163210号
しかしながら、特許文献1に示す走行制御装置では、演算時点の舵角情報のみを用いて自車両の推定横位置を推定するため、走行制御装置が算出する推定横位置には、自車両の車両特性が反映されていない。そのため、前方注視点における目標軌道に応じた目標横位置と、車両特性に基づいて自車両が到達し得る推定横位置との横偏差を正確に把握することができなかった。これにより、自車両がコースアウトする等の緊急時に、走行制御装置が自車両に対する制御介入を行う場合、自車両の挙動に対して不要な制御を行ってしまう可能性があった。
本発明が解決しようとする課題は、緊急時に自車両に対して制御介入を行う場合、自車両の挙動に対して適切な制御を行ことができる車両の走行制御方法及び走行制御装置を提供する。
本発明に係る車両の走行制御方法及び走行制御装置は、軌道制御器からの旋回指令に対し、運動制御器を用いて、自車両が前方注視点において到達可能な推定横位置を推定し、目標横位置と推定横位置との横偏差に基づいて、自車両の走行を制御することにより、上記課題を解決する。
本発明に係る車両の走行制御方法及び走行制御装置によれば、緊急時に自車両に対して制御介入を行う場合、自車両の挙動に対して適切な制御を行ことができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る車両の走行制御装置を含む車両走行制御システムの構成を示すブロック図である。 図1に示す走行制御装置による自車両の走行制御の概要を示すフローチャートである。 図1に示す走行制御装置による自車両の挙動制御の概要を示すフローチャートである。 図1に示す走行制御装置によって前方注視点における目標横位置と推定横位置との横偏差を算出する方法を示すフローチャートである。 図1に示す走行制御装置の軌道制御器によって旋回指令が出力された場合の自車両の走行軌道の例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る走行制御装置100について、図1~5に基づいて説明する。
図1は、走行制御装置100を含む走行制御システム101の構成を示すブロック図である。なお、本発明に係る車両の走行制御方法及び車両の走行制御装置100は、自車両Kを走行させるための駆動系アクチュエータ11、制動系アクチュエータ12及び操舵系アクチュエータ13の挙動をコンピュータによって自律制御する走行制御方法及び走行制御装置である。
走行制御装置100は、一又は複数のコンピュータ及び当該コンピュータにインストールされたソフトウェアにより構成される。走行制御装置100は、現在地から目的地までの自車両Kの目標軌道を決定する軌道制御器8と、軌道制御器8からの指令に基づいて自車両Kの駆動系アクチュエータ11、制動系アクチュエータ12及び操舵系アクチュエータ13を制御する運動制御器9とを備える。すなわち、走行制御装置100は、軌道制御器8及び運動制御器9の各機能を発揮させるためのプログラムを格納したROMと、このROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとから構成される。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU、DSP、ASIC、FPGA等を用いることができる。
軌道制御器8は、ナビゲーション装置1、地図データベース2、自車両位置検出器3、カメラ4、レーダー装置5、車速センサ6及び入力部7からの情報に基づき、現在地から目的地までの自車両Kの目標軌道を演算して決定する。軌道制御器8によって決定された目標軌道は、1つ以上の車線、直線状のライン、曲率を有するカーブ若しくは進行方向を含む進路、又はこれらの組み合わせを含むデータとして出力される。また、軌道制御器8は、現在地における要求縦力FxAD及び要求横力FyADを所定の時間間隔で演算して出力する。一方、運動制御器9は、軌道制御器8によって決定された軌道の情報に基づいて、自車両Kの駆動系アクチュエータ11、制動系アクチュエータ12及び操舵系アクチュエータ13の挙動を制御する。
ナビゲーション装置1は、自車両Kの現在位置に関する情報や目的地までの走行ルート等の情報を表示可能なディスプレイと、入力された目的地及び自車両位置検出器3により検出された現在地から、選択された経路演算モードに応じた走行経路を演算するプログラムが実装されたコンピュータとを備える。
地図データベース2には、データ取得用車両を用いて実際の道路を走行した際に検出された道路形状に基づく三次元高精細地図情報が格納されている。この地図データベース2が記憶する三次元高精細地図情報には、地図情報とともに、各地図座標における境界情報、二次元位置情報、三次元位置情報、道路情報、道路属性情報、上り情報、下り情報、レーン識別情報、接続先レーン情報等が含まれている。道路情報及び道路属性には、道路幅、曲率半径、路肩構造物、道路交通法規(制限速度、車線変更の可否)、道路の合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置、サービスエリア/パーキングエリア等の情報が含まれている。
自車両位置検出器3は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサ等から構成される。自車両位置検出器3は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、自車両Kの位置情報を周期的に取得するとともに、取得した自車両Kの位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両Kの現在の位置情報を周期的に検出する。
カメラ4は、CCD広角カメラ等のイメージセンサからなり、自車両Kに前方、後方及び必要に応じて両側方に設けられ、自車両Kの周囲を撮像して画像情報を取得する。カメラ4は、ステレオカメラや全方位カメラであってもよく、複数のイメージセンサを含むようにしてもよい。カメラ4は、取得した画像データから、自車両Kの前方に存在する道路及び道路周辺の構造物、道路標示、標識、他車両、二輪車、自転車、歩行者等を自車両Kの周囲状況として検出する。
レーダー装置5は、自車両Kの前方、後方及び両側方に設けられ、ミリ波又は超音波を自車両Kの周囲に照射して自車両Kの周囲の所定範囲を走査し、自車両Kの周囲に存在する他車両、二輪車、自転車、歩行者、路肩の縁石、ガードレール、壁面、盛り土等の障害物を検出する。例えば、レーダー装置5は、障害物と自車両Kとの相対位置(方位)、障害物の相対速度、自車両Kから障害物までの距離等を自車両Kの周囲状況として検出する。
車速センサ6は、ドライブシャフト等の回転速度を計測し、これに基づいて自車両Kの走行速度を検出する。入力部7は、機械的スイッチや、ディスプレイに表示された電子的スイッチ等から構成され、ドライバによって、目的地等の情報及び自動運転を行うか否かの決定が入力される。
次に、走行制御装置100による全体的な制御の概要について、図2を用いて説明する。
まず、走行制御装置100は、自車両位置検出器3によって得られた自車両Kの位置情報及び地図データベース2の地図情報により、自己位置の推定を行う(ステップS1)。また、走行制御装置100は、カメラ4及びレーダー装置5によって、自車両Kの周囲の歩行者その他の障害物を認識する(ステップS2)。そして、ステップS1で推定された自己位置の情報と、ステップS2で認識された障害物等の情報とが、地図データベース2の地図上に展開されて表示される(ステップS3)。
さらに、入力部7から目的地が入力され、自律走行制御の開始指示が入力されると、地図データベース2の地図上に目的地が設定され(ステップS4)、ナビゲーション装置1及び地図データベース2を用いて、現在地から目的地までのルートプランニングがなされる(ステップS5)。そして、地図上に展開された情報に基づいて、自車両Kの行動が決定される(ステップS6)。具体的には、たとえばプラニングされたルートに存在する複数の交差点の各位置において、自車両Kがどの方向に曲がるか等が決定される。そして次に、カメラ4又はレーダー装置5により認識された障害物等の情報に基づき、地図データベース2の地図上において、ドライブゾーンプランニングが行われる(ステップS7)。具体的には、障害物との関係を考慮すると、ルート上の所定位置又は所定間隔において、自車両Kがどの車線を走行するべきか等が適宜設定される。そして、軌道制御器8は、入力された現在地及び目的地の位置情報、設定されたルート情報、自車両Kの行動及びドライブゾーンの情報に基づいて、自車両Kの目標軌道を設定する(ステップS8)。さらに、運動制御器9は、目標軌道に自車両Kが追従するように、自車両Kの挙動を制御する(ステップS9)。
次に、運動制御器9による自車両Kの挙動制御の概要について、図3を用いて説明する。
本実施形態の走行制御装置100の制御モードは、ドライバによって、自車両Kの自律走行制御を実行する自律走行モードと、自律走行制御を実行しないでドライバの運転操作によって自車両Kを走行させる手動走行モードとが選択可能である。たとえば、ドライバが入力部7の自律走行モードを選択することで、自律走行制御の実行が開始され、入力部7の自律走行モードの終了を選択することで自律走行制御が終了して手動走行モードに遷移する。また、自律走行制御の実行中に、ハンドル操作、ブレーキ操作又はアクセル操作といったドライバによる操作介入がされた場合、手動操作は自律走行制御に対して優先する。
運動制御器9には、自動運転階層の軌道制御器8が目標軌道に応じて生成する要求縦力FxAD及び要求横力FyADに基づく指令値が入力される(ステップS11)。また、運動制御器9には、ドライバのマニュアル操作に基づく指令値が、並行して入力される(ステップS12)。運動制御器9は、自律走行モードによる指令値と、手動操作に基づく指令値とを調整し(ステップS13)、縦力指令値Fx及び横力指令値Fyを出力する(ステップS14)。例えば、ステップS13の調整では、手動操作を自律走行制御に対して優先するといった内容が定義される。そして、縦力指令値Fx及び横力指令値Fyに基づいて、自車両Kが目標軌道に追従して走行するように、車体の挙動が制御されるとともに(ステップS15)、車輪の挙動が制御される(ステップS16)。その結果、これらの制御によって、自車両Kの駆動系アクチュエータ11、制動系アクチュエータ12及び操舵系アクチュエータ13が作動される(ステップS17)。
ステップS15の車体挙動制御及びステップS16の車輪挙動制御は、ステップS14において運動制御器9が出力する縦力指令値Fx及び横力指令値Fyに基づいて制御される。なお、自律走行モードでは、車体の挙動安定性及び車輪の挙動安定性が最適化できる制御範囲において、軌道制御器8によって出力される要求縦力FxAD及び要求横力FyADが最も反映されるように、縦力指令値Fx及び横力指令値Fyが選択される。すなわち、軌道制御器8は、自車両Kの車体の安定性や車輪の安定性を考慮することなく、現在地と目的地、地図データ等に基づいて目標軌道を生成し、自車両Kの挙動を制御する。一方、運動制御器9は、目標軌道に対し、車体の安定性や車輪の安定性を考慮した範囲に、自車両Kの走行制御を制限するものである。そのため、軌道制御器8によって演算された目標軌道と、運動制御器9に制御される自車両Kの実際の走行軌道が一致しない場合もある。
なお、走行制御装置100が生成する目標軌道の情報は、自車両Kの進行方向に対して平行な要求縦力FxADと、自車両Kの進行方向に対して垂直な要求横力FyADとに分力されて出力される。そして、要求縦力FxADの出力より、目標軌道に自車両Kが追従するために必要な加減速が制御され、要求横力FyADの出力により、自車両Kは目標軌道に沿って旋回するように制御される。
次に、前方注視点Qにおける自車両Kの目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差の算出手順について、図4及び5を用いて説明する。なお、以下の説明において、自車両Kの現時点における直進方向を縦方向xとし、縦方向xに直角な方向を横方向yとする。また、縦方向xにおける座標位置を縦位置とし、横方向yにおける座標位置を横位置とする。また、前方注視点Qとは、例えば、自車両Kの車幅の中央を通って縦方向xに延びる車体中心線上での自車両前方の規定距離における点である。この規定距離は実験等によって求められ、自車両Kの車速によって決まる。
まず、図4に示すように、自車両Kに設けられた慣性センサにより、自車両Kの現在の旋回状態を示すヨーレートr[rad/s]を計測する(ステップS21)。これにより、下記の(1)式から、ヨーレートr及び車速V[m/s]に基づいて、現在の曲率変化率ρ[rad/m]を算出することができる(ステップS22)。なお、曲率変化率の増減は、自車両Kの横加速度の増減に対応している。
Figure 0007298180000001
また、運動制御器9は、予め同定された自車両Kの車両特性に基づき、ヨー角加速度SrMODEL[rad/s]を算出する(ステップS23)。このヨー角加速度SrMODELに基づいて、下記の(2)式から、自車両Kが生成可能な曲率変化率の変化率Sρ[rad/m]が算出される(ステップS24)。なお、曲率変化率の変化率とは、自車両Kの縦方向xの移動1mに対する曲率変化率の変化量である。
Figure 0007298180000002
また、運動制御器9は、予め同定された自車両Kの車両特性に基づき、自車両Kが達成可能な旋回曲率の上限値である最大旋回曲率RMAX[rad]を算出する(ステップS25)。
運動制御器9は、現在の曲率変化率ρ、自車両Kが生成可能な曲率変化率の変化率Sρ及び自車両Kが達成可能な最大旋回曲率RMAXに基づいて、下記の式(3)を充足させる横加速度飽和点Pの縦位置Xs[m]を算出する(ステップS26)。従って、図5に示すように、自車両Kが、横加速度飽和点Pに到達した時に、自車両Kの旋回曲率は最大旋回曲率RMAXと等しくなる。ここで、自車両Kの曲率変化率は、自車両Kが横加速度飽和点Pを通過した後は、0[rad/m]となり、自車両Kは最大旋回曲率RMAXを保持した状態で、定常旋回で走行する。すなわち、横加速度飽和点Pにおいて、自車両Kの横加速度は飽和する。
Figure 0007298180000003
前方注視点Qの縦位置Xtと横加速度飽和点Pの縦位置Xsとを比較し、縦位置Xtが縦位置Xsと同じ位置か、又は自車両Kの現在位置に対して近い位置に存在する場合、下記の式(4)により、推定横位置YPOT[m]を算出する(ステップS27)。すなわち、この場合、前方注視点Qに至るまで自車両Kの横加速度は飽和せず、旋回曲率の値は追加的に増え続ける状態となる。
Figure 0007298180000004
また、図5に示す例のように、横加速度飽和点Pの縦位置Xsが前方注視点Qの縦位置Xtの手前側に存在する場合、下記の式(5)により、推定横位置YPOTを算出する(ステップS27)。これは、自車両Kが横加速度飽和点Pを通過した後は、前方注視点Qに至るまで一定の最大旋回曲率RMAXで定常旋回すると推定されるためである。
Figure 0007298180000005
なお、図5に示す最小横位置YCUR[m]は、自車両Kが現在位置を起点として、現在の曲率変化率ρを保持しながら走行すると仮定した場合の、前方注視点Qにおける横位置である。最小横位置YCURは、以下の式(6)により求められる。従って、自車両Kが前方注視点Qにおいて到達可能な推定横位置YPOTは、現在の車速V及びヨーレートrのみから算出される最小横位置YCURよりも、大きな距離をとる。
Figure 0007298180000006
また、自車両Kが目標軌道TREQに追従するように、軌道制御器8は、運動制御器9に対して旋回指令を出力する。図5に示すように、軌道制御器8が出力する旋回指令に基づいて自車両Kが目標軌道TREQに追従して走行したと仮定した場合に、自車両Kが到達する前方注視点Qでの横位置を目標横位置YREQとする。運動制御器9は、軌道制御器8が出力する要求縦力FxAD及び要求横力FyADに基づく指令値により、目標横位置YREQを算出する(ステップS28)。そして、運動制御器9は、前方注視点Qでの目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差(YREQ-YPOT)を算出する(ステップS29)。推定横位置YPOTは、軌道制御器8からの旋回指令に対して、自車両Kが、車両特性に応じて、前方注視点Qにおいて実際に到達可能な横位置である。そのため、目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差が所定値以上であった場合、自車両Kがコースアウトする可能性があると判断される。従って、運動制御器9は、目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差が所定値以上であった場合、自車両Kが緊急ブレーキをかけるように、制動系アクチュエータ12を制御する。また、運動制御器9は、制動系アクチュエータ12のみならず、目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差に応じて、適宜、駆動系アクチュエータ11及び操舵系アクチュエータ13の制御も行うものとする。
以上より、この実施の形態の走行制御装置100は、運動制御器9を用いて、軌道制御器8からの旋回指令に対し、予め同定された自車両Kの車両特性に応じて、自車両Kが前方注視点Qにおいて到達可能な推定横位置YPOTを推定する。これにより、運動制御器9は、目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差に基づいて、自車両Kの駆動系アクチュエータ11、制動系アクチュエータ12及び操舵系アクチュエータ13を制御することができる。従って、自車両Kが前方注視点Qにおける目標横位置YREQから乖離することを抑制することができるため、ひいては道路状況に合わない制御を実行することを抑制することができる。さらに、本願発明では、生成した目標軌道TREQに対する追従性を向上させることができるため、目標軌跡に追従せず意図しない姿勢になることを抑制することができる。例えば、自車両Kがコースアウトする等の緊急時に、走行制御装置100は、自車両Kの挙動に対して適切な制御を行うことができる。
なお、本願発明は、制御の遅れ時間を考慮するため、自車両Kからのプレビュー時間又はプレビュー位置(前方注視点Q)を設定して、そのプレビュー時間における目標値にしたがって、自車両Kの走行を制御するシステムに用いられる。本願発明では、プレビュー位置における実際に到達可能な横位置を基準に、旋回制御を実行することができるようになる。そのため、制御の遅れ時間を考慮せずに目標軌道TREQに追従しようとすることを抑制することができる。なお、上述したプレビュー時間、プレビュー位置及び前方注視点Qの設定方法には、従来の手法を適用することが可能である。
また、運動制御器9は、自車両Kの現在の旋回状態を示すヨーレートrに応じて、自車両Kの旋回曲率の曲率変化率ρを算出し、予め同定された自車両Kの車両特性に応じて自車両Kの曲率変化率の変化率Sρを算出する。運動制御器9は、少なくとも、この曲率変化率ρと、曲率変化率の変化率Sρとに基づいて、推定横位置YPOTを推定する。これにより、推定横位置YPOTの推定精度が向上し、最終的に実現可能な推定横位置YPOTを算出することができる。
また、自車両Kの車両特性に応じて自車両Kの曲率変化率の変化率Sρを算出することにより、自車両Kの曲率変化率を過大に算出してしまうことを抑制することができる。
また、運動制御器9は、予め同定された自車両Kの車両特性に応じて自車両Kの旋回曲率の上限値である最大旋回曲率RMAXを算出し、曲率変化率ρと、曲率変化率の変化率Sρと、最大旋回曲率RMAXとに基づいて、自車両Kの横加速度が飽和する横加速度飽和点Pの縦位置Xsを算出する。ここで、横加速度飽和点Pでは、自車両Kの挙動が不安定となることが推測されるため、横加速度飽和点Pにおいて推定される自車両Kの横位置と実際の自車両Kの横位置とが乖離する可能性がある。そのため、横加速度飽和点Pの位置の推定に縦位置Xsを用いることにより、推定横位置YPOTの推定精度がより向上する。
横加速度飽和点Pの縦位置Xsが前方注視点Qの縦位置Xtよりも自車両Kの現在位置に対して近い位置にある場合、自車両Kが横加速度飽和点Pから前方注視点Qに至るまでの間、最大旋回曲率RMAXを保持した状態で定常旋回を行うものとして、運動制御器9は、推定横位置YPOTを推定する。従って、自車両Kが横加速度飽和点Pに至るまでの旋回状態と、自車両Kが横加速度飽和点Pを通過した後の旋回状態とを、共に考慮することによって、推定横位置YPOTの推定精度がより向上する。
また、目標横位置YREQと推定横位置YPOTとの横偏差が所定値以上の場合、運動制御器は、自車両Kが緊急ブレーキをかけるように、自車両Kの制動系アクチュエータ12を制御する。これにより、緊急時に自車両Kのコースアウトを防止することができる。
100…走行制御装置
8…軌道制御器
9…運動制御器
11…駆動系アクチュエータ
12…制動系アクチュエータ
13…操舵系アクチュエータ
K…自車両
P…横加速度飽和点
Q…前方注視点
MAX…最大旋回曲率
REQ…目標軌道
Xs…横加速度飽和点の縦位置
Xt…前方注視点の縦位置
POT…推定横位置
REQ…目標横位置
ρ…曲率変化率
Sρ…曲率変化率の変化率

Claims (5)

  1. 現在地から目的地までの自車両の目標軌道を決定する軌道制御器と、前記軌道制御器からの指令に基づいて前記自車両を走行させるためのアクチュエータを制御する運動制御器とを備える走行制御装置を用い、前記自車両の走行を制御する車両の走行制御方法において、
    前記軌道制御器を用いて、前記自車両が前記目標軌道に追従し、前方注視点において目標横位置に到達するように旋回指令を出力し、
    前記運動制御器を用いて、
    前記軌道制御器からの前記旋回指令に対し、予め同定された前記自車両の車両特性に応じて、前記自車両が前記前方注視点において到達可能な推定横位置を推定し、
    前記目標横位置と前記推定横位置との横偏差に基づいて、前記自車両を走行させるための前記アクチュエータを制御し、
    前記推定横位置の推定においては、前記運動制御器を用いて、
    前記自車両の現在の旋回状態に応じて、前記自車両の旋回曲率の曲率変化率を算出し、
    予め同定された前記自車両の車両特性に応じて前記自車両の曲率変化率の変化率を算出し、
    少なくとも、前記曲率変化率と、前記曲率変化率の変化率とに基づいて、前記推定横位置を推定する、車両の走行制御方法。
  2. 前記運動制御器を用いて、
    予め同定された前記自車両の車両特性に応じて前記自車両の旋回曲率の上限値である最大旋回曲率を算出し、
    前記曲率変化率と、前記曲率変化率の変化率と、前記最大旋回曲率とに基づいて、前記自車両の横加速度が飽和する横加速度飽和点の縦位置を算出する、請求項1に記載の車両の走行制御方法。
  3. 前記横加速度飽和点の縦位置が前記前方注視点の縦位置よりも前記自車両の現在位置に対して近い位置にある場合、
    前記自車両が前記横加速度飽和点から前記前方注視点に至るまでの間、前記自車両は前記最大旋回曲率を保持した状態で定常旋回を行うものとして、前記推定横位置を推定する、請求項2に記載の車両の走行制御方法。
  4. 前記目標横位置と前記推定横位置との横偏差が所定値以上の場合、前記運動制御器は、前記自車両が緊急ブレーキをかけるように、前記アクチュエータを制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。
  5. 現在地から目的地までの自車両の目標軌道を決定する軌道制御器と、
    前記軌道制御器からの指令に基づいて前記自車両を走行させるためのアクチュエータを制御する運動制御器とを備え、
    前記軌道制御器は、前記自車両が前記目標軌道に追従し、前方注視点において目標横位置に到達するように旋回指令を出力し、
    前記運動制御器は、
    前記軌道制御器からの前記旋回指令に対し、予め同定された前記自車両の車両特性に応じて、前記自車両が前記前方注視点において到達可能な推定横位置を推定し、
    前記目標横位置と前記推定横位置との横偏差に基づいて、前記自車両を走行させるための前記アクチュエータを制御し、
    前記推定横位置の推定において、前記運動制御器は、
    前記自車両の現在の旋回状態に応じて、前記自車両の旋回曲率の曲率変化率を算出し、
    予め同定された前記自車両の車両特性に応じて前記自車両の曲率変化率の変化率を算出し、
    少なくとも、前記曲率変化率と、前記曲率変化率の変化率とに基づいて、前記推定横位置を推定する、車両の走行制御装置。
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